(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046165
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】既設管更生施工におけるコーン長管理方法
(51)【国際特許分類】
B29C 63/40 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
B29C63/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151391
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蛭田 将司
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 武司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 聡俊
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雅稀
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AA15
4F211AC03
4F211AG08
4F211AH43
4F211AR07
4F211AR08
4F211SA05
4F211SC03
4F211SD04
4F211SH19
4F211SJ11
4F211SP20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エキスパンダー工法による既設管更生施工において、容易にコーン長を管理しながら拡張工程を行なえる、コーン長管理方法を提供する。
【解決手段】更生管3を既設管1の内径より小径に製管して既設管内に設置した後、接合部15に介在させておいた拘束力調整ワイヤー21を管軸方向の第1側へ向けて順次引き取ることによって接合部の拘束力を弱化させるとともに、更生管の第1側の管端3dを捩じって、更生管を拡張させる。この時、更生管における未拡張の小径管部3aから拡張済の大径管部3bへ向かって拡径するコーン部3cの軸長L
3cを管理するために、カメラ車30でコーン部の像が所定の形体を保つように、管内カメラ車の位置を調整する。カメラ映像53における所定映像範囲Rを標示しておき、拘束力調整ワイヤーの引き出し部21gの像が所定映像範囲R内に配置されるように、拘束力調整ワイヤーの引き取り速度を調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状部材を螺旋状に巻回するとともに一周ずれて隣接する縁部分どうしを接合してなる螺旋管状の更生管を、既設管の内径より小径に製管して前記既設管内に設置する製管工程と、
前記更生管の前記隣接する縁部分どうしの接合部に介在させておいた拘束力調整ワイヤーを管軸方向の第2側から第1側へ向けて順次引き取ることによって前記隣接する縁部分どうしの拘束力を弱化させる拘束弱化工程と、
前記更生管の前記第1側の管端を捩じって前記更生管の前記弱化がなれた部分の周長を拡張させる拡張工程と、
を含む既設管更生施工における、前記拘束弱化工程及び前記拡張工程の際に、前記更生管における未拡張の小径管部から拡張済の大径管部へ向かって拡径するコーン部の軸長を管理するコーン長管理方法であって、
カメラを搭載した走行体を前記大径管部の内部に配置して、前記カメラで撮影したカメラ映像における前記コーン部の像が所定の形体を保つように、前記走行体ひいては前記カメラの位置を調整するカメラ位置調整工程と、
前記カメラ映像における所定映像範囲を標示する範囲標示工程と、
前記カメラ映像において前記拘束力調整ワイヤーの更生管内への引き出し部の像が前記所定映像範囲内に配置されるように、前記拘束弱化工程における前記引き取りの速度を調整する引き取り速度調整工程と
を備えたことを特徴とする既設管更生施工におけるコーン長管理方法。
【請求項2】
前記範囲標示工程において、前記走行体に設けられたレーザー照射機からレーザーを、前記更生管の内周面における前記所定映像範囲と対応する所定周面部分へ照射する請求項1に記載のコーン長管理方法。
【請求項3】
前記レーザー照射機からのレーザーとして、第1レーザーを前記所定周面部分の前記第1側の端部へ照射するとともに、第2レーザーを前記所定周面部分の前記第2側の端部へ照射する請求項2に記載のコーン長管理方法。
【請求項4】
前記レーザー照射機からラインレーザーを照射し、前記ラインレーザーの線状の照射領域の一端が前記所定周面部分の前記第1側の端部に位置され、前記照射領域の他端が前記所定周面部分の前記第2側の端部に位置されるようにする請求項2に記載のコーン長管理方法。
【請求項5】
前記レーザーが前記所定周面部分の前記第1側の端部へ照射される角度と前記所定周面部分の前記第2側の端部へ照射される角度との間を往復するように、前記レーザー照射機を首振り機構によって首振りさせる請求項2に記載のコーン長管理方法。
【請求項6】
映像処理手段によって、前記所定映像範囲の前記第1側の端部を標示する第1マークと、前記所定映像範囲の前記第2側の端部を標示する第2マークとを前記カメラ映像に表示させる請求項1に記載のコーン長管理方法。
【請求項7】
前記カメラ位置調整工程において、前記カメラ映像の外周部分に前記コーン部の大径側端部の像が配置されるように、前記走行体ひいては前記カメラの位置を調整する請求項1~6の何れか1項に記載のコーン長管理方法。
【請求項8】
前記所定映像範囲が、前記カメラ映像の前記外周部分から内側へ向かって前記更生管の像の巻き数を数えたとき巻き数8~12の位置から巻き数18~22の位置までの範囲である請求項7に記載のコーン長管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、老朽化した下水道管等の既設管の更生施工に関し、特に、既設管の内周に沿って螺旋管状の更生管を既設管の内径より小径になるよう製管した後、更生管の周長を拡張させる拡張製管工法(エキスパンダー工法)による既設管更生施工におけるコーン長の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化した下水道管等の既設管の内周に沿って帯状部材(プロファイル)からなる螺旋管状の更生管を構築することによって、既設管を更生する方法が知られている(特許文献1~3等参照)。
【0003】
例えば、特許文献1~3には、いわゆるエキスパンダー工法による既設管更生方法が開示されている。詳しくは、元押し式の製管機を発進側の人孔に設置する。該製管機によって、帯状部材を螺旋状に巻回して、その隣接する縁どうしを凹凸嵌合にて接合することで、螺旋管状の更生管を既設管の内径より小径に製管しながら、既設管内へ更生管を順次押し込む。製管の際、帯状部材の隣接する縁どうしの間に拘束力調整ワイヤーを介在させておく。更生管の押し込み方向の先端部が到達側の管口まで到達したら、該押し込み方向の先端部(到達側の端部)を固定したうえで、前記拘束力調整ワイヤーを引き取ることによって、前記隣接する縁どうしの接合部の一部を巻回方向に沿って順次切断して、接合力を弱化させる。併行して、帯状部材を製管機によって更に更生管に供給することで、更生管の発進側の端部を捩じって回転させる。これによって、前記切断により接合力が弱化された接合部の前記隣接する縁どうしが滑り、更生管の周長が到達側から発進側へ向けて順次拡張(大径化)されて、既設管の内周面に張り付けられる。
エキスパンダー工法では裏込め材注入の工程が不要であり、他工法と比較して、工期短縮や施工コストの削減が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-126830号公報
【特許文献2】特開2021-115749号公報
【特許文献3】特開2021-115750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記エキスパンダー工法においては、拘束弱化工程及び拡張工程の際、更生管における未拡張の小径管部から拡張済の大径管部へ向かって円錐状に拡径するコーン部が形成される。前記コーン部の軸長(以下適宜「コーン長」と称す)の管理が重要である。コーン長が長すぎると、拡径(拡張)する力がコーン部の大径側の端部まで伝達せず、拡径不良が起き、張り付き不足になるおそれがある。コーン長が短すぎると、コーンのテーパ角度が急になり嵌合外れが発生するおそれがある。熟練作業者であれば、例えば管内カメラ車による更生管内の映像からコーン長を容易に判断でき、それに基づいて拘束力調整ワイヤーの引き取り速度を調整しながら、拡張作業を実施できる。しかし、経験の少ない作業者が更生管内の映像だけからコーン長を判断して拡張工程を行なうのは困難である。
本発明は、かかる事情に鑑み、エキスパンダー工法による既設管更生施工において、経験の少ない作業者であっても容易にコーン長を管理しながら拡張工程を行なえる方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、
帯状部材を螺旋状に巻回するとともに一周ずれて隣接する縁部分どうしを接合してなる螺旋管状の更生管を、既設管の内径より小径に製管して前記既設管内に設置する製管工程と、
前記更生管の前記隣接する縁部分どうしの接合部に介在させておいた拘束力調整ワイヤーを管軸方向の第2側から第1側へ向けて順次引き取ることによって前記隣接する縁部分どうしの拘束力を弱化させる拘束弱化工程と、
前記更生管の前記第1側の管端を捩じって前記更生管の前記弱化がなれた部分の周長を拡張させる拡張工程と、
を含む既設管更生施工における、前記拘束弱化工程及び前記拡張工程の際に、前記更生管における未拡張の小径管部から拡張済の大径管部へ向かって拡径するコーン部の軸長を管理するコーン長管理方法であって、
カメラを搭載した走行体を前記大径管部の内部に配置して、前記カメラで撮影したカメラ映像における前記コーン部の像が所定の形体を保つように、前記走行体ひいては前記カメラの位置を調整するカメラ位置調整工程と、
前記カメラ映像における所定映像範囲を標示する範囲標示工程と、
前記カメラ映像において前記拘束力調整ワイヤーの更生管内への引き出し部の像が前記所定映像範囲内に配置されるように、前記拘束弱化工程における前記引き取りの速度を調整する引き取り速度調整工程と
を備えたことを特徴とする。
【0007】
前記拡張工程時のコーン部は、それを構成する帯状部材が拡張方向へ捩じられるように動かされながら第1側へ移行される。
走行体担当の作業者は、前記コーン部の移行に合わせて、走行体の位置を調整することによって、カメラ映像内のコーン部の像が、実際のコーン部の移行に拘わらず、所定の形体を保つようにする。例えば、コーン部の像がカメラ映像内においてほぼ同じ位置又は大きさ又は遠近感等を保つように、コーン部の第1側への移行に合わせて走行体を第1側へ前進させる。コーン部の大径側端部に連なる大径管部は既設管の内面に張り付いて動かないから、カメラ映像における更生管を構成する帯状部材の像の動きの有無等からコーン部の像と大径管部の像とを容易に判別できる。ひいては、コーン部の像を容易に把握できる。したがって、コーン部の像が所定の形体(位置、大きさ、遠近感等)を保つように走行体の位置を容易に調整できる。
好ましくは、前記所定映像範囲は、前記コーン部の軸長(以下「コーン長」と称す)が所望範囲のときの前記コーン部の小径側端部(第1側の端部)の像の、カメラ映像内における位置と対応する。
引き取り担当の作業者は、カメラ映像を見ながら、該カメラ映像中の引き出し部の像が範囲標示工程で示された所定映像範囲内に配置されるように引き取りの速度を調整すればよい。そうすることで、拘束弱化工程及び前記拡張工程の期間中、コーン長を所望範囲に保持できる。したがって、経験の乏しい作業者であっても、コーン長を的確に管理しながら拡径(拡張)作業を行なうことができる。この結果、コーン長が長すぎることによる張り付き不足や、コーン長が短すぎることによる嵌合外れが発生するのを防止できる。
【0008】
好ましくは、前記範囲標示工程において、前記走行体に設けられたレーザー照射機からレーザーを、前記更生管の内周面における前記所定映像範囲と対応する所定周面部分へ照射する。
レーザーを走行体のレーザー照射機から更生管の内周面の所定周面部分へ照射すると、更生管の内周面を撮影したカメラ映像にそのレーザー照射箇所が映される。該レーザー照射箇所によって前記所定映像範囲を標示することができる。
【0009】
好ましくは、前記レーザー照射機からのレーザーとして、第1レーザーを前記所定周面部分の前記第1側の端部へ照射するとともに、第2レーザーを前記所定周面部分の前記第2側の端部へ照射する。
これによって、引き取り担当の作業者は、カメラ映像中の引き出し部の像が、第1レーザーの照射箇所の像と第2レーザーの照射箇所の像との間を通るように前記引き取り速度を調整することで、引き出し部が所定周面部分に配置されるようにできる。
【0010】
好ましくは、前記レーザー照射機からラインレーザーを照射し、前記ラインレーザーの線状の照射領域の一端が前記所定周面部分の前記第1側の端部に位置され、前記照射領域の他端が前記所定周面部分の前記第2側の端部に位置されるようにする。
これによって、引き取り担当の作業者は、カメラ映像中の引き出し部の像が、前記線状の照射領域の像を横切るように前記引き取り速度を調整することで、引き出し部の像を所定映像範囲内に配置させることができる。ひいては、引き出し部が所定周面部分に配置されるようにできる。
【0011】
好ましくは、前記レーザーが前記所定周面部分の前記第1側の端部へ照射される角度と前記所定周面部分の前記第2側の端部へ照射される角度との間を往復するように、前記レーザー照射機を首振り機構によって首振りさせる。
これによって、引き取り担当の作業者は、カメラ映像中の引き出し部の像が、前記レーザーの照射箇所の像の往復移動部分を横切るように前記引き取り速度を調整することで、引き出し部が所定周面部分に配置されるようにできる。
【0012】
好ましくは、映像処理手段によって、前記所定映像範囲の前記第1側の端部を標示する第1マークと、前記所定映像範囲の前記第2側の端部を標示する第2マークとを前記カメラ映像に表示させる。
これによって、引き取り担当の作業者は、カメラ映像中の引き出し部の像が、第1マークと第2マークの間を横切るように前記引き取り速度を調整することで、引き出し部の像を所定映像範囲内に配置させることができる。
【0013】
好ましくは、前記カメラ位置調整工程において、前記カメラ映像の外周部分に前記コーン部の大径側端部の像が配置されるように、前記走行体ひいては前記カメラの位置を調整する。
大径管部は既設管の内面に張り付いて動かないから、走行体担当の作業者は、更生管を構成する帯状部材の動きが止まる部分がカメラ映像の外周部分に配置されるようにすればよく、走行体の位置調整を容易に行なうことができる。前記所定映像範囲は、前記カメラ映像における前記外周部分より内側に環状に設定すればよい。
【0014】
前記所定映像範囲は、前記カメラ映像の前記外周部分から内側へ向かって前記更生管の像の巻き数を数えたとき、好ましくは巻き数8~12の位置から巻き数18~22の位置までの範囲であり、より好ましくは巻き数10程度の位置から巻き数20程度の位置までの範囲である。
これによって、コーン長を好適な大きさになるよう管理でき、張り付き不足や嵌合外れを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、エキスパンダー工法による既設管更生施工において、経験の少ない作業者であっても容易にコーン長を管理しながら拡張工程を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るコーン長管理を含む更生施工中の既設管を、拘束弱化工程及び拡張工程時で示す側面断面図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1の円部IIaの斜視断面図である。
図2(b)は、
図1の円部IIbの斜視断面図である。
【
図3】
図3(a)は、前記既設管の更生施工手順を更生管の製管工程の完了時で示す解説側面図である。
図3(b)は、前記更生施工手順を拘束弱化工程の開始段階で示す解説側面図である。
図3(c)は、前記更生施工手順を回り止め工程~拡張工程の開始段階で示す解説側面図である。
【
図4】
図4(a)は、前記更生施工手順を管内カメラ車の更生管内への導入段階で示す解説側面図である。
図4(b)は、前記更生施工手順を、範囲標示工程におけるレーザーポインターの角度調節時で示す解説側面図である。
図4(c)は、前記更生施工手順を、カメラ位置調整工程及び引き取り速度調整工程を含む拘束弱化工程及び拡張工程時で示す解説側面図である。
【
図5】
図5は、
図4(c)のV-V線に沿う解説平面図である。
【
図6】
図6は、前記カメラ位置調整工程及び引き取り速度調整工程を含む拘束弱化工程及び拡張工程時における前記管内カメラ車によるカメラ映像の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態に係る既設管の更生施工を、カメラ位置調整工程及び引き取り速度調整工程を含む拘束弱化工程及び拡張工程で示す解説側面図である。
【
図8】
図8は、
図7のVIII-VIII線に沿う解説平面図である。
【
図9】
図9は、
図7における前記管内カメラ車によるカメラ映像の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の第3実施形態に係る既設管の更生施工を、カメラ位置調整工程及び引き取り速度調整工程を含む拘束弱化工程及び拡張工程で示す解説側面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第4実施形態に係る既設管の更生施工を、カメラ位置調整工程及び引き取り速度調整工程を含む拘束弱化工程及び拡張工程で示す解説側面図である。
【
図15】
図15は、本発明の第5実施形態に係るカメラ映像の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(
図1~
図6)>
図1に示すように、老朽化した既設管1の内周に更生管3がライニングされることによって、既設管1が更生されている。更生対象の既設管1は、例えば地中に埋設された下水道管であるが、本発明は、これに限定されず、上水道管、農業用水管、ガス管、水力発電導水管、トンネルなどであってもよい。
【0018】
図1及び
図2(a)に示すように、更生管3は、帯状部材10(プロファイル)によって構成されている。帯状部材10は、ポリ塩化ビニル(PVC)などの合成樹脂からなり、一定の断面形状に形成されている。
図2(a)に示すように、帯状部材10の幅方向の両側の縁部分には雌雄の嵌合部13,14が設けられている。螺旋状に巻回された帯状部材10の一周ずれて隣接する嵌合部13,14どうしが凹凸嵌合によって接合されることで、螺旋管状の更生管3が構成されている。
図1及び
図2(a)に示すように、更生管3には、嵌合部13,14どうし(前記隣接する縁部分どうし)の接合部15が螺旋状に形成されている。
【0019】
既設管1は、次のようにして更生される。
<製管工程>
図1及び
図3(a)に示すように、元押し式の製管機8を用意して、既設管1の発進側(第1側)の管口1dに連なる発進側人孔4内に設置する。帯状部材10を人孔4近くの地上のドラム7から順次繰り出して製管機8に供給する。製管機8において、帯状部材10を螺旋状に巻回して隣接する縁部分の嵌合部13,14どうしを凹凸嵌合させて接合することによって螺旋管状の更生管3を製管するとともに、製管した更生管3を既設管1内へ順次押し込む。
製管工程における更生管3は、既設管の内径より小径に製管される。
【0020】
<ワイヤー介在工程>
前記製管工程と併行して、人孔4近くの地上に置かれたワイヤー繰出巻取ユニット20の繰出ロール23から拘束力調整ワイヤー21を元押し式製管機8へ導入する。該拘束力調整ワイヤー21を更生管3の前記隣接する縁部分どうしの接合部15内に介在させる。具体的には
図2(a)に示すように、拘束力調整ワイヤー21を雄嵌合部14の2条の凸条14a,14bの間に配置するとともに嵌合部13を被せて挟み込む。
図1に示すように、拘束力調整ワイヤー21は、接合部15に沿って螺旋状に巻かれる。
図1及び3(a)に示すように、拘束力調整ワイヤー21は、更生管3の到達側(第2側)の管端3eから出されて、更生管3の内部及び人孔4を経て、ワイヤー繰出巻取ユニット20の引き取りウィンチ24に巻き取られている。引き取りウィンチ24は、ペンダント型操作盤25(引き取り制御手段)によって駆動制御可能である。ペンダント型操作盤25には、引き取りウィンチ24をオンオフしたり、回転速度を調節したりする2又は複数のつまみ25aが設けられている。製管工程及びワイヤー介在工程における引き取りウィンチ24は、回転フリーになっている。
【0021】
図3(a)に示すように、製管工程及びワイヤー介在工程によって、既設管1の発進側(第1側)の管口1dから到達側(第2側)の管口1eまで更生管3を設置する。更生管3の管端3eが、既設管1の到達側(第2側)の管口1eから到達側人孔4B内へ更生管3の螺旋ピッチ数個分(例えば4ピッチ程度)突き出たら、製管完了とする。
【0022】
<拘束弱化工程の開始>
続いて、
図2(b)及び
図3(b)に示すように、に示すように、引き取りウィンチ24の駆動によって、拘束力調整ワイヤー21を、更生管3の螺旋ピッチ十数個分(例えば14ピッチ程度)巻き取る。これによって、接合部15内の拘束力調整ワイヤー21が、更生管3の管端3e側から順次、更生管3の管内空間へ引き出される。このとき、凸条14b(接合部15の一部)が切断される。これによって、更生管3における拘束力調整ワイヤー21が引き出された部分3b’の接合部15の拘束力が弱化される。
【0023】
<回り止め工程>
次に、
図3(c)に示すように、更生管3の到達側(第2側)の管端3eに例えば棒状の回転止め手段5を貫き通すことで、管端3eを既設管1に対して回り止めする。
【0024】
<拡張工程の開始>
続いて、元押し製管機8を駆動して、後続の未製管の帯状部材10を更生管3の発進側(第1側)の管端3dへ送り込む。これによって、回り止めされた管端3eを除く更生管3の略全体が回転され、拘束弱化部分3b’の隣接する縁部分どうしが滑ることで、拘束弱化部分3b’の周長が拡張(拡径)される。
図3(c)の二点鎖線にて示すように、これによって、更生管3における未だ拘束弱化されていない小径管部分3aから管端3eへ向かって拡径するコーン部3cが形成される。小径管部分3aとコーン部3cとの境すなわちコーン部3cの小径側端部3gには、拘束力調整ワイヤー21の引き出し部21gが位置される。
【0025】
やがて、
図4(a)に示すように、コーン部3cにおける管端3e側の部分が、大径管部3bとなって既設管1の管口1eに張り付く。ここで一旦、元押し式製管機8の駆動を停止し、拘束弱化工程及び拡張工程を停止する。
そして、管内カメラ車30を到達側人孔4Bから更生管3の管端3eの内部に導入する。
【0026】
<管内カメラ車30>
図1及び
図4(a)に示すように、管内カメラ車30は、走行体31と、カメラ32と、レーザー照射機33を含む。走行体31には、遠隔操作可能な走行駆動機構が設けられている。走行体31にカメラ32及びレーザー照射機33が搭載されている。レーザー照射機33は、第1レーザーポインター33aと、第2レーザーポインター33bを有している。カメラ32の撮影方向は、走行体31の走行方向前方へ向けられている。レーザーポインター33a,33bは、走行体31ひいてはカメラ32に対して、レーザー照射角度をそれぞれ調節可能である。
【0027】
図1に示すように、管内カメラ車30からのケーブル34が、到達側人孔4Bを通って、地上の管理車両40に接続されている。ケーブル34には、電源線(図示省略)と、走行制御線34aと、撮像信号線34bが収容されている。走行制御線34aが管理車両40内の遠隔操作盤41に接続されている。遠隔操作盤41には、走行体31の走行駆動機構を遠隔操作する1又は複数のつまみ41aが設けられている。
【0028】
撮像信号線34bは、管理車両40内の映像分配器42を介して第1モニター51に接続されている。
図6に示すように、モニター51には、カメラ32で撮影した映像(以下「カメラ映像53」と称す)が表示される。
【0029】
更に
図1に示すように、映像分配器42からの撮像信号線43が、地上を発進人孔4側へ配線され、ワイヤー繰出巻取ユニット20の近くの第2モニター52に接続されている。第2モニター52には、第1モニター51と同じカメラ映像53が第1モニター51と同時に表示される。
【0030】
管内カメラ車30を管端3e内に配置した後(
図4(a))、元押し式製管機8を再駆動して、拡張工程を再開する。かつ、管内カメラ車30のカメラ32によって、更生管3の内部を到達側(第2側)から発進側(第1側)へ向かって見た映像が撮影される。該更生管3の内部のカメラ映像53が、モニター51,52にそれぞれ表示される。
【0031】
管理車両40内の作業者A1は、モニター51のカメラ映像53(
図6)を観て、カメラ映像53内の更生管3のコーン部3cの像が所定の形体(映像内の位置、大きさ、遠近感等)を保つようにする。好ましくは、カメラ映像53の外周部分54にコーン部3cの大径側端部3f(大径管部3bとの境)の像が配置されたか否かを監視する。
【0032】
拡張工程中のコーン部3cは、当該コーン部3cを構成する螺旋状の帯状部材10が捩じられるように動いているが、コーン部3cの大径側端部3f及び大径管部3bではその動きが止まる。したがって、作業者A1は、カメラ映像53の外周部分54における螺旋状の帯状部材10の像の動きが止まったどうかによって、カメラ映像53の外周部分54にコーン部3cの大径側端部3fの像が配置されたか否かを判断できる。
【0033】
作業者A1は、カメラ映像53の外周部分54にコーン部3cの大径側端部3fの像が配置されたのを確認したら(
図6)、合図を出して、元押し式製管機8を停止させる。これによって、
図4(b)に示すように、大径管部3b内に置かれた管内カメラ車30のカメラ32の撮影視野R
32の外周部分にコーン部3cの大径側端部3fが配置され、コーン部3cの全周がカメラ映像53内に収まる。
【0034】
<範囲標示工程>
図4(b)に示すように、元押し式製管機8を停止させた状態で、管内カメラ車30から更生管3の管軸に沿って発進側(第1側)へ所定距離範囲だけ離れた更生管3の内周部分3R(以下「所定周面部分3R」へレーザーを照射する。前記所定距離範囲は、コーン部3cの軸長(以下「コーン長L
3c」と称す)が所望範囲のときの管内カメラ車30からコーン部3cの小径側端部3gまでの距離に相当する。
【0035】
詳しくは、
図4(b)及び
図5に示すように、第1レーザーポインター33aからの第1レーザーL
33aを、所定周面部分3Rの発進側(第1側)の端部3R
1に当てる。第2レーザーポインター33bからの第2レーザーL
33bを、所定周面部分3Rの到達側(第2側)の端部3R
2に当てる。更に詳しくは、コーン部3cの大径側端部3fから発進側へ向かって更生管3の螺旋の巻き数を数えたとき、好ましくは巻き数8~12程度、より好ましくは巻き数10程度の位置を所定周面部分3Rの第2側端部3R
2とし、そこに第2レーザーL
33bを当てる。また、前記巻き数が好ましくは18~22程度、より好ましくは20程度の位置を所定周面部分3Rの第1側端部3R
1とし、そこに第1レーザーL
33aを当てる。
【0036】
図4(b)及び
図5において網掛け模様にて示すように、所定周面部分3Rは、更生管3の周方向の全周にわたる円筒面状であり、その両端部3R
1,3R
2は、更生管3の周方向の全周にわたる環状である。環状の各端部3R
1,3R
2の一箇所にレーザー照射すればよい。要するに、更生管3の内周面の側方部にレーザー照射してもよく、更生管3の内周面の頂部や底部にレーザー照射してもよい。
【0037】
図6に示すように、前記レーザーL
33a,L
33bの照射箇所は、モニター51のカメラ映像53で確認できる。モニター51側の作業者A1が、カメラ映像53を観ながら到達側人孔4B内の作業者A2へ指示を出す。これに応じて、作業者A2は、レーザーL
33a,L
33bが所定周面部分3Rの両端部3R
1,3R
2に当たるようにレーザーポインター33a,33bの向き(照射角度)を調整する。調整が済んだらレーザーポインター33a,33bの向きを固定用ネジ(図示せず)等で固定する。
【0038】
図6の仮想線にて示すように、カメラ映像53においては、所定周面部分3Rは、該カメラ映像53内の所定映像範囲Rと対応する。好ましくは、所定映像範囲Rは、コーン長L
3cが所望範囲のときのコーン部3cの小径側端部3gの像の、カメラ映像53内における位置と対応する。より好ましくは、所定映像範囲Rは、カメラ映像53の外周部分54より内側に円環状に配置される。該円環状の所定映像範囲Rの内周縁(第1側の端部)R
1上にレーザーL
33aの照射箇所の像が配置される。かつ、所定映像範囲Rの外周縁(第2側の端部)R
2上にレーザーL
33bの照射箇所の像が配置される。
図6では、円形の各周縁R
1,R
2の側方部にレーザー照射の像が映されているが、これに限らず、頂部や底部にレーザー照射の像が映されるようにしてもよい。
カメラ映像53における、これらレーザーL
33a,L
33bの照射像によって、所定映像範囲Rを標示することができる。
【0039】
具体的には、更生管3において、コーン部3cの大径側端部3fから発進側へ向かって更生管3の螺旋の巻き数を数えたとき、好ましくは巻き数8~12程度、より好ましくは巻き数10程度の位置を所定周面部分3Rの第2側端部3R2とし、好ましくは巻き数18~22程度、より好ましくは巻き数20程度の位置を所定周面部分3Rの第1側端部3R1とする。したがって、カメラ映像53における所定映像範囲Rは、カメラ映像53の外周部分54から内側へ向かって更生管3の像の巻き数を数えたとき、好ましくは巻き数8~12程度、より好ましくは巻き数10程度の位置から、好ましくは巻き数18~22程度、より好ましくは巻き数10程度の位置までの範囲である。
【0040】
要するに、作業者A1,A2が連携して、更生管3の好ましくは巻き数8~12程度、より好ましくは巻き数10程度の位置にレーザーL
33bが当たるよう、レーザーポインター33bの向きを調整するとともに、好ましくは巻き数18~22程度、より好ましくは巻き数20程度の位置にレーザーL
33aが当たるよう、レーザーポインター33aの向きを調整する。
なお、
図6においては、前記好適な巻き数より少ない巻き数で作図されている(
図9、
図12、
図14において同様)。
【0041】
<拘束弱化工程及び拡張工程>
その後、
図1及び
図4(c)に示すように、拘束弱化工程及び拡張工程を本格的に実行する。すなわち、引き取りウィンチ24を駆動して、更生管3の接合部15内の拘束力調整ワイヤー21を到達側(第2側)から発進側(第1側)へ向けて順次引き取ることによって、接合部15の拘束力を順次弱化させる。かつ、元押し式製管機8を駆動して、後続の帯状部材10を更生管3の管端3dへ送り込むことによって、管端3dからコーン部3cの小径側端部3gまでの小径管部3aを捩じるように回転させる。これによって、前記弱化がなされた部分の周長が拡張され、コーン部3cが発進側(第1側)へ移行されるとともに、大径管部3bが発進側へ伸びていく。
【0042】
<カメラ位置調整工程>
図1に示すように、このとき、管内カメラ車30の操作担当の作業者A1は、モニター51を観ながら、遠隔操作盤41のつまみ41aによって、管内カメラ車30がコーン部3の移行に追従して前進されるように遠隔操作する。これによって、カメラ映像53におけるコーン部3cの像が、実際のコーン部3cの前記移行に拘わらず所定の形体(映像53内の位置、大きさ、遠近感等)を保つようにする。詳しくは、モニター51のカメラ映像53(
図6)の外周部分54にコーン部3cの大径側端部3fすなわち帯状部材10の捩じれるような動きが止まった部分の像が常時配置されるように、走行体31の走行速度ひいては管内カメラ車30の位置を調整する。
【0043】
<引き取り速度調整工程>
併行して、ワイヤー繰出巻取ユニット20の操作担当の作業者A3は、モニター52を観ながらペンダント型操作盤25のつまみ25aを操作することで、カメラ映像53における引き出し部21gの像が所定映像範囲R内に常時配置されるように、引き取りウィンチ24による拘束力調整ワイヤー21の引き取り速度を調節する。引き取りウィンチ24の回転速度を調節することによって引き取り速度を増減させてもよく、引き取りウィンチ24をオンオフすることによって時間的に平均した引き取り速度を調節してもよい。
【0044】
実際の引き出し部21gは、更生管3の巻き方向に沿って螺旋状(つる巻き状)に到達側(第2側)から発進側(第1側)へ移動される。したがって、カメラ映像53における引き出し部21gの像は、回転ないしは渦巻き状に画面の外周側から中央へ向けて移動される。そこで、作業者A3は、引き出し部21gの像が、
図6の矢印gにて示すように、2つのレーザーL
33a,L
33bの照射点の像どうしの間を通過するように、引き取り速度を調節する。これによって、引き出し部21gの像が、所定映像範囲R内に収まるようにできる。したがって、実際の引き出し部21gが、管内カメラ車30に対して所定周面部分3R内に配置されるようにできる。ひいては、コーン長L
3cを所望の大きさに保持できる。
【0045】
このように、作業者A1がカメラ位置調整を行なうと同時に、作業者A3が引き取り速度調整を行なうことによって、たとえ経験が乏しかったとしても、拘束弱化工程及び拡張工程の期間中、コーン長L3cを適確に管理することができる。期間中、コーン部3cにおける巻き数を何度も数えて確認しなくても、所望(例えば10~20程度)の巻き数に保持できる。この結果、コーン部分3cの小径側端部3g等における接合部15の嵌合外れや、大径側端部3fひいては拡張済の大径管部3bにおける既設管1への張り付き不足を確実に防止することができる。
【0046】
これによって、発進側の管端3dの近くまでコーン長L3cを所望の大きさに保ちながら拡張工程を円滑に実施することができる。発進側の管端3dの近くにおいては、例えば凸条14bを製管前に予め切除しておく等の管端処理を行なうことによって、コーン長の管理を省略できる。このようにして、更生管3の全域を既設管1の内周面に張り付かせることで、既設管1を更生できる。
【0047】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態(
図7~
図9)>
図7及び
図8に示すように、本発明の第2実施形態においては、管内カメラ車30のレーザー照射機が、2つのレーザーポインター33a,33b(
図4)に代えて、1つのラインレーザー照射機35によって構成されている。ラインレーザー照射機35は、照射方向と直交する方向に幅W
L35を持つラインレーザーL
35を照射する。したがって、更生管3の内周面には、線状の照射領域R
35が出来る。
【0048】
範囲標示工程において、作業者A1,A2(
図1参照)は、ラインレーザーL
35による線状の照射領域R
35の一端が所定周面部分3Rの発進側(第1側)の端部3R
1に位置されるように調整する。かつ、照射領域R
35の他端が所定周面部分3Rの到達側(第2側)の端部3R
2に位置されるように調整する。
【0049】
図9に示すように、引き取り速度調整工程において、引き取り担当の作業者A3(
図1参照)は、カメラ映像53中の引き出し部21gの像が線状の照射領域R
35の像を横切るように、拘束力調整ワイヤー21の引き取り速度を調整する。これによって、引き出し部21gの像を所定映像範囲R内に配置させることができる。ひいては、実際の引き出し部21gが所定周面部分3Rに配置されるようにでき、コーン長を所望の大きさに保持できる。
【0050】
<第3実施形態(
図10~
図12)>
図10及び
図11に示すように、本発明の第3実施形態においては、管内カメラ車30のレーザー照射機が、1つのレーザーポインター36によって構成されている。レーザーポインター36は、首振り機構37によって首振り可能である。
【0051】
範囲標示工程において、作業者A1,A2(
図1参照)は、レーザーポインター36からのレーザーL
36が、所定周面部分3Rの発進側(第1側)の端部3R
1へ照射される角度(
図11の一点鎖線L
36a)と、所定周面部分3Rの到達側(第2側)の端部3R
2へ照射される角度(
図11の一点鎖線L
36b)との間を往復するように、レーザーポインター36を首振り機構37によって首振りさせる。
【0052】
図12に示すように、引き取り速度調整工程において、引き取り担当の作業者A3(
図1参照)は、カメラ映像53中の引き出し部21gの像がレーザーL
36の照射箇所の像の往復移動部分R
36を横切るように、引き取り速度を調整する。これによって、引き出し部21gの像を所定映像範囲R内に配置させることができる。ひいては、実際の引き出し部21gが所定周面部分3Rに配置されるようにでき、コーン長を所望の大きさに保持できる。
【0053】
<第4実施形態(
図13~
図14)>
図13に示すように、本発明の第4実施形態においては、管内カメラ車30にレーザー照射機が設けられていない。これに代えて、映像処理手段38がカメラ32に付加されている。
図14に示すように、映像処理手段38は、カメラ映像53内の定点に例えば矢印状のマーク39a,39b等を表示させる機能を有する。
【0054】
図14に示すように、範囲標示工程において、管内カメラ車30の担当の作業者A2(
図1参照)が、モニター51担当の作業者A1(
図1参照)の指示にしたがって、映像処理手段38を操作することによって、第1マーク39aが所定映像範囲3Rの第1側の端部3R
1を標示するように調整する。かつ、第2マーク39bが所定映像範囲3Rの到達側(第2側)の端部3R
2を標示するように調整する。
引き取り速度調整工程において、引き取り担当の作業者A3(
図1参照)は、カメラ映像53中の引き出し部21gの像が、第1マーク39aと第2マーク39bの間を横切るように、引き取り速度を調整する。これによって、引き出し部21gの像を所定映像範囲R内に配置させることができる。ひいては、実際の引き出し部21gが所定周面部分3Rに配置されるようにでき、コーン長を所望の大きさに保持できる。
【0055】
<第5実施形態(
図15)>
カメラ位置調整工程では、コーン部3cの像が所定の形体(カメラ映像53内の位置、大きさ、遠近感等)を保つようにすればよく、必ずしもコーン部3cの全周がカメラ映像53内に収まっている必要は無い。例えば、
図15に示すように、更生管3の片側に偏ったカメラ映像であってもよく、コーン部3cの周方向の一部分だけが映ったカメラ映像であってもよい。この場合、カメラ位置調整工程では、コーン部3cの前記周方向の一部分の像がその形体(位置、大きさ、遠近感等)を保つようにする。範囲標示工程では、コーン部3cの前記周方向の一部分における小径側端部3gの像の好適な配置範囲を所定映像範囲Rとして標示する。
図15における所定映像範囲Rの標示手段は、第1実施形態(
図6)と同様のレーザーL
33a,L
33bであるが、第2実施形態(
図9)のラインレーザーL
35でもよく、第3実施形態(
図12)の首振りレーザーL
36でもよく、第4実施形態(
図14)の映像処理手段38でもよい。
【0056】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、第1~第3実施形態の変形例として、所定周面部分3Rの円形の端部3R1,3R2の全周にレーザーが照射されるようにしてもよい。
第4実施形態の変形例として、映像処理手段38によって環状の所定映像範囲3Rの全周をマーキングしてもよい。
所定映像範囲Rの表示手段は、目印シールでもよい。目印シールは、所定映像範囲Rを示すように更生管3の内周面の2箇所(例えば2つの円周3R1,3R2上)に貼ればよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、例えば老朽化した下水道管の更生に適用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 既設管
1d 発進側(第1側)の管口
1e 到達側(第2側)の管口
3 更生管
3a 小径管部分
3b 大径管部
3b’ 拘束力調整ワイヤーが引き出された部分(拘束弱化部分)
3c コーン部
L3c コーン長
3d 発進側(第1側)の管端
3e 到達側(第2側)の管端
3f 大径側端部
3g 小径側端部
3R 所定周面部分
3R1 所定周面部分の発進側(第1側)の端部
3R2 所定周面部分の到達側(第2側)の端部
8 元押し式製管機
10 帯状部材(プロファイル)
13,14 嵌合部(隣接する縁部分)
15 接合部
20 ワイヤー繰出巻取ユニット
21 拘束力調整ワイヤー
21g 引き出し部
24 引き取りウィンチ
25 ペンダント型操作盤(引き取り制御手段)
30 管内カメラ車
31 走行体
32 カメラ
R32 カメラの撮影視野
33 レーザー照射機
33a 第1レーザーポインター
L33a 第1レーザー
33b 第2レーザーポインター
L33b 第2レーザー
35 ラインレーザー照射機(レーザー照射機)
R35 線状の照射領域
L35 ラインレーザー
36 レーザーポインター(レーザー照射機)
37 首振り機構
38 映像処理手段
39a 第1マーク
39b 第2マーク
L36 レーザー
R36 往復移動部分
41 遠隔操作盤
51,52 モニター
53 カメラ映像
54 外周部分
R 所定映像範囲
R1 所定映像範囲の内周縁(第1側の端部)
R2 所定映像範囲の外周縁(第2側の端部)
A1 カメラ位置調整担当の作業者
A2 範囲標示担当の作業者
A3 引き取り速度調整担当の作業者