(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046180
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】金銭処理機
(51)【国際特許分類】
G07D 1/06 20060101AFI20240327BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20240327BHJP
G07D 1/04 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
G07D1/06
G07G1/00 331A
G07D1/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151416
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新妻 信行
【テーマコード(参考)】
3E141
3E142
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141GA10
3E141HA06
3E141HA09
3E141KC06
3E141LA01
3E141LA31
3E141LA41
3E142AA01
3E142FA35
3E142GA24
(57)【要約】
【課題】入出金処理の機会の低下を防止すること。
【解決手段】投入口(11,21)より投入された投入金銭を識別し、識別結果に応じて投入金銭を金種毎に振り分けて収納庫(15a等)に収納する一方、出金指令が与えられた場合には、該当する収納庫より収納金銭を繰り出して出金口(12,22)より出金する金銭処理機1であって、出金指令が最小金額紙幣の金額以上の出金金額であり、かつ直前の投入金銭の硬貨枚数構成が最小金額以上である場合に、硬貨枚数構成に相当する金銭から出金金額の金銭を硬貨出金口12より出金する硬貨優先出金動作を行う制御部40を備えている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口より投入された投入金銭を識別し、識別結果に応じて投入金銭を金種毎に振り分けて収納庫に収納する一方、出金指令が与えられた場合には、該当する収納庫より収納金銭を繰り出して出金口より出金する金銭処理機であって、
前記出金指令が最小金額紙幣の金額以上の出金金額であり、かつ直前の投入金銭の硬貨枚数構成が前記最小金額以上である場合に、前記硬貨枚数構成に相当する金銭から前記出金金額の金銭を前記出金口より出金する硬貨優先出金動作を行う制御部を備えたことを特徴とする金銭処理機。
【請求項2】
前記制御部は、前記硬貨優先出金動作において、前記硬貨枚数構成に相当する金銭から前記出金金額の金銭を最小構成枚数で構成して前記出金口より出金することを特徴とする請求項1に記載の金銭処理機。
【請求項3】
前記制御部は、前記硬貨優先出金動作において、前記収納庫毎に設定された閾値以下の収納枚数となる希少金種金銭が前記硬貨枚数構成に相当する金銭に含まれている場合、前記希少金種金銭を除いて前記出金金額の金銭を最小構成枚数で構成して前記出金口より出金することを特徴とする請求項2に記載の金銭処理機。
【請求項4】
低額金種から高額金種への等価払い出しを行う逆両替処理を選択する逆両替選択手段を備え、
前記逆両替選択手段を通じて逆両替処理が選択された場合、前記制御部は、前記出金指令が最小金額紙幣の金額以上の出金金額であって直前の投入金銭の硬貨枚数構成が前記最小金額以上であっても、前記出金金額の金銭を紙幣を含む最小構成枚数で構成して前記出金口より出金することを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の金銭処理機。
【請求項5】
所定の金額が課金されることを条件として低額金種から高額金種への等価払い出しを行う課金逆両替処理を選択する課金逆両替選択手段を備え、
前記課金逆両替選択手段を通じて課金逆両替処理が選択された場合、前記制御部は、前記出金指令が最小金額紙幣の金額以上の出金金額であって直前の投入金銭の硬貨枚数構成が前記最小金額以上であっても、前記投入金銭に対応した課金金額を前記出金金額から減算し、その減算後の金銭を紙幣を含む最小構成枚数で構成して前記出金口より出金することを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の金銭処理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金銭処理機に関し、より詳細には、自動釣銭機としての金銭処理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今のスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗には、客さばきや現金管理の厳正化のため、自動釣銭機として金銭処理機が設置されている。この金銭処理機は、通常、大型店舗などでは、POS(Point Of Sales)レジスタ装置等の上位装置に接続されており、上位装置からの指令に応じて硬貨や紙幣等の金銭の入出金処理を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、一定枚数を超える金種枚数の受け取りに対して手数料を課金することが、すべての金融機関で採用されている。
【0005】
そのため、課金による持ち金の金額減少を敬遠して、金銭処理機に対して大量枚数の硬貨を入金し、釣銭として入金した硬貨よりも高額な硬貨や紙幣を受け取る事案が増えている。
【0006】
そのような大量枚数の硬貨の投入は、収納庫の満杯に起因する硬貨の回収操作を過度に必要とし、金銭処理機による入出金処理の機会の低下を招来し、好ましいものでない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、入出金処理の機会の低下を防止することができる金銭処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る金銭処理機は、投入口より投入された投入金銭を識別し、識別結果に応じて投入金銭を金種毎に振り分けて収納庫に収納する一方、出金指令が与えられた場合には、該当する収納庫より収納金銭を繰り出して出金口より出金する金銭処理機であって、前記出金指令が最小金額紙幣の金額以上の出金金額であり、かつ直前の投入金銭の硬貨枚数構成が前記最小金額以上である場合に、前記硬貨枚数構成に相当する金銭から前記出金金額の金銭を前記出金口より出金する硬貨優先出金動作を行う制御部を備えたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記金銭処理機において、前記制御部は、前記硬貨優先出金動作において、前記硬貨枚数構成に相当する金銭から前記出金金額の金銭を最小構成枚数で構成して前記出金口より出金することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記金銭処理機において、前記制御部は、前記硬貨優先出金動作において、前記収納庫毎に設定された閾値以下の収納枚数となる希少金種金銭が前記硬貨枚数構成に相当する金銭に含まれている場合、前記希少金種金銭を除いて前記出金金額の金銭を最小構成枚数で構成して前記出金口より出金することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記金銭処理機において、低額金種から高額金種への等価払い出しを行う逆両替処理を選択する逆両替選択手段を備え、前記逆両替選択手段を通じて逆両替処理が選択された場合、前記制御部は、前記出金指令が最小金額紙幣の金額以上の出金金額であって直前の投入金銭の硬貨枚数構成が前記最小金額以上であっても、前記出金金額の金銭を紙幣を含む最小構成枚数で構成して前記出金口より出金することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、上記金銭処理機において、所定の金額が課金されることを条件として低額金種から高額金種への等価払い出しを行う課金逆両替処理を選択する課金逆両替選択手段を備え、前記課金逆両替選択手段を通じて課金逆両替処理が選択された場合、前記制御部は、前記出金指令が最小金額紙幣の金額以上の出金金額であって直前の投入金銭の硬貨枚数構成が前記最小金額以上であっても、前記投入金銭に対応した課金金額を前記出金金額から減算し、その減算後の金銭を紙幣を含む最小構成枚数で構成して前記出金口より出金することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、制御部は、出金指令が最小金額紙幣の金額以上の出金金額であり、かつ直前の投入金銭の硬貨枚数構成が最小金額以上である場合に、硬貨枚数構成に相当する金銭から出金金額の金銭を出金口より出金する硬貨優先出金動作を行うので、金銭処理機に対して大量枚数の硬貨を入金されたとしても硬貨収納庫が満杯になることを回避することができ、回収操作が必要以上に増大することを抑制して、入出金処理の機会の低下を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である金銭処理機を含む金銭処理システムの構成を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した金銭処理機の硬貨収納ユニットの動作を説明する模式図である。
【
図4】
図4は、
図2に示した金銭処理機の紙幣収納ユニットの動作を説明する説明図である。
【
図5】
図5は、
図1に示した金銭処理システムを構成する金銭処理機の制御系を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、金銭処理システムを構成するレジスタ制御部(レジスタ装置)の取引制御処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、金銭処理システムを構成する入出金制御部(制御部:金銭処理機)の取引制御処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図7に示した出金動作処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
<金銭処理機の構造>
図1は、本発明の実施の形態である金銭処理機を含む金銭処理システムの構成を示す分解斜視図である。
図2は、
図1に示した金銭処理機の平面図である。また
図3は、
図2に示した金銭処理機の硬貨収納ユニットの動作を説明する模式図である。更に
図4は、
図2に示した金銭処理機の紙幣収納ユニットの動作を説明する説明図である。
【0017】
ここに例示する金銭処理システムは、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗において自動釣銭機として用いられる金銭処理機1と、これに通信可能に接続される上位装置としてのレジスタ装置2とからなる。ここで、レジスタ装置2は従来公知のものであり、平板状のレジスタ制御部4上に、タッチパネルで実現される入出力部3を有する。またレジスタ制御部4には、バーコードリーダ5が接続される。尚、入出力部3は、入力部と出力部とに分離された構成であってもよい。そのようなレジスタ装置2の詳細については割愛する。
【0018】
図2~
図4に示すように、金銭処理機1は、直方体状を成す装置本体の前端部に硬貨投入口11、硬貨出金口12、硬貨返却口16、紙幣投入口21、紙幣出金口22を備えている。尚、
図2に示すように、金銭処理機1は、硬貨収納ユニット10と紙幣収納ユニット20とを有する。
【0019】
<硬貨収納ユニット10の構成及び動作>
硬貨投入口11は、投入された硬貨を装置本体の内部に受け入れるための開口であり、装置本体の前端上面に形成してある。硬貨投入口11は、顧客からの預り金を一時保持する一時保持部として機能する。硬貨投入口11に投入された硬貨は、レジスタ装置2側からの入金許可指令を受け、図示せぬ投入検出センサによって検出された後、
図3に示すように、硬貨収納ユニット10の取り込み搬送部として機能する入金搬送機構13cによって搬送される。入金搬送機構13c内に設けられた硬貨鑑別センサ14は、硬貨の真贋及び金種及び枚数を判定する。搬送された硬貨が正貨である場合、一時保留庫15gに保留される。一方、搬送された硬貨が正貨でない場合、硬貨出金口12を介して受け皿17に返却される。尚、レジスタ装置2側から返却指示があった場合、一時保留庫15gに保留された硬貨は、硬貨返却口16に返却される。
【0020】
その後、一時保留庫15gに保留された硬貨は、振り分け部である振分搬送機構13aによって搬送される。振分搬送機構13aによって搬送される硬貨は、金種に応じて収納部である硬貨収納庫15a~15fに収納される。本実施の形態では、装置本体の内部に1円硬貨収納庫15a、50円硬貨収納庫15b、5円硬貨収納庫15c、100円硬貨収納庫15d、10円硬貨収納庫15e、500円硬貨収納庫15fが設けてあり、投入された硬貨を金種毎に個別に収納するようにしている。尚、一時保留庫15gは、各硬貨収納庫15a~15fに収納された硬貨を一旦空にして各硬貨収納庫15a~15fの収納個数を再計数するための精査庫としても機能する。硬貨出金口12は、レジスタ装置2側からの出金指令に応じてそれぞれの硬貨収納庫15a~15fから出金搬送機構13bを介して搬出された硬貨を装置本体の外部に払い出すための開口であり、装置本体の前面に形成してある。
【0021】
<紙幣収納ユニット20の構成及び動作>
紙幣投入口21は、投入された紙幣を装置本体の内部に受け入れるための開口であり、装置本体の前面上部に設けてある。紙幣投入口21は、顧客から預り金を一時保持する一時保持部として機能する。紙幣投入口21に投入された紙幣は、レジスタ装置2側からの入金許可の指示を受け、図示せぬ投入検出センサによって検出された後、
図4に示すように、紙幣収納ユニット20の紙幣搬送機構23によって搬送される。搬送された紙幣は、紙幣鑑別センサ24によって、紙幣の真贋及び金種が判定される。搬送された紙幣が正券である場合、金種に応じて収納部である紙幣収納庫25内の1000円紙幣収納庫25b又は混合紙幣収納庫25cの上流側部分に分割構成された一時保留庫26に保留される。一方、搬送された紙幣が正券でない場合、あるいはレジスタ装置2側からの返却指示があった場合、紙幣は紙幣出金口22に返却される。
【0022】
その後、一時保留庫26に保留された紙幣は、1000円紙幣収納庫25b又は混合紙幣収納庫25cに収納される。尚、混合紙幣収納庫25cは、1000円紙幣以外の紙幣を収納する。例えば、10000円紙幣や5000円紙幣を混合して収納する。また精査庫25aは、1000円紙幣収納庫25b、混合紙幣収納庫25cに収納された紙幣を一旦空にして各紙幣収納庫25の収納枚数を再計数する際に一時収納する収納庫である。紙幣出金口22は、レジスタ装置2側からの出金指令に応じて、紙幣収納庫25から搬出された紙幣を装置本体の外部に払い出すための開口であり、装置本体の前面に設けてある。
【0023】
尚、金銭処理機1の前面右上部には、
図1に示したように操作表示部30が設けてある。操作表示部30は、表示部30a及び操作部30bを有する。表示部30aは、金種毎の金銭の収納状況を表示する7セグメントのLED表示器と、その金銭の収納状況に関する情報及び他の必要な情報を文字表示するLCD表示器と、表示若しくは音声出力をすべき情報があることを示すヘルプランプを有する。また操作部30bは、操作者が各種指令を入力するためのもので、例えばテンキーとしても動作する複数の機能ボタンによって構成してある。
【0024】
<金銭処理機1の制御系>
図5は、
図1に示した金銭処理システムを構成する金銭処理機1の制御系を示すブロック図である。この
図5に示すように、金銭処理機1は、制御部40に、硬貨収納ユニット10、紙幣収納ユニット20、操作表示部30及びメモリ50が接続される。
【0025】
制御部40は、操作表示部30を通じて指令が与えられた場合、硬貨鑑別センサ14、紙幣鑑別センサ24から検出信号が与えられた場合、更には上位装置であるレジスタ装置2から各種指令が与えられた場合、メモリ50に格納したプログラムや初期データに基づいて操作表示部30の表示制御、硬貨搬送機構(振分搬送機構13a,出金搬送機構13b,入金搬送機構13c)の駆動制御、紙幣搬送機構23の駆動制御を行うものである。制御部40は、入出金制御部40aを有する。
【0026】
入出金制御部40aは、レジスタ装置2から入力許可指令が与えられた後に金銭が投入された場合に、入金許可指令に従って金銭の入金処理を行い、またレジスタ装置2から出金指令が与えられた場合に、出金指令に従って金銭の出金処理を行うものである。また入出金制御部40aは、これらの入金処理及び出金処理を実行している間、実施した入金処理及び出金処理の内容を入出金情報として逐次、メモリ50に格納する処理も行う。
【0027】
<金銭処理システムの取引制御処理>
図6は、金銭処理システムを構成するレジスタ制御部4(レジスタ装置2)の取引制御処理手順を示すフローチャートであり、
図7は、金銭処理システムを構成する入出金制御部40a(制御部40:金銭処理機1)の取引制御処理手順を示すフローチャートである。これら
図6及び
図7を参照しながら金銭処理システムの取引制御処理を説明する。
【0028】
図6に示すように、レジスタ制御部4は、顧客が購入する商品の登録と金額を入力する入力受付を行う(ステップS101)。その後、レジスタ制御部4は、入出力部3に表示した図示せぬ小計ボタンが押下されたか否かを判定する(ステップS102)。小計ボタンが押下されていない場合(ステップS102:No)、レジスタ制御部4は、ステップS101の処理を続行する。
【0029】
一方、小計ボタンが押下された場合(ステップS102:Yes)、レジスタ制御部4は、登録された各商品の金額を合計した売上額を買上金額として入出力部3の所定領域に表示する(ステップS103)。このように売上額を表示したレジスタ制御部4は、金銭処理機1の入出金制御部40aに対して入金許可指令を送出し(ステップS104)、この入出金制御部40aからの投入金銭の識別計数結果通知待ちとなる(ステップS105)。
【0030】
一方、金銭処理機1の入出金制御部40aは、
図7に示すように、レジスタ制御部4からの入金許可指令の入力の有無を判定している(ステップS201)。入金許可指令が入力されていない場合(ステップS201:No)には、ステップS201の処理を続行する。
【0031】
入金許可指令が入力された場合(ステップS201:Yes)、入出金制御部40aは、硬貨投入口11や紙幣投入口21より投入された金銭(投入金銭)の金種等の識別及び計数を行う(ステップS202)。このように投入金銭の識別及び計数を行った入出金制御部40aは、識別計数結果をレジスタ制御部4に通知し(ステップS203)、このレジスタ制御部4からの釣銭出金指令待ちとなる(ステップS204)。
【0032】
入出金制御部40aからの識別計数結果通知待ちとなるレジスタ制御部4は、識別計数結果通知の有無を判定しており(ステップS105)、識別計数結果通知がない場合(ステップS105:No)、本判定処理を繰り返し、識別計数結果の通知を受けた場合(ステップS105:Yes)、入出力部3に入金額を表示し(ステップS106)、その後に入金額が売上額以上になったか否かを判定する(ステップS107)。
【0033】
入金額が売上額以上でない場合(ステップS107:No)、レジスタ制御部4は、ステップS105に移行し、入出金制御部40aからの識別計数結果の通知を続行しつつ入金額を表示して、入金額が売上額以上になるまで繰り返す。
【0034】
一方、入金額が売上額以上になった場合(ステップS107:Yes)、レジスタ制御部4は、入出力部3に表示させた入金終了の機能ボタンである図示せぬ合計ボタンが押下された否かを判定する(ステップS108)。合計ボタンが押下されていない場合(ステップS108:No)、本判定処理を繰り返し、合計ボタンが押下された場合(ステップS108:Yes)、レジスタ制御部4は、入出金制御部40aに入金終了指令を送出しつつ入金額と売上額との差額である釣銭額を算出する(ステップS109,ステップS110)。
【0035】
このようにして釣銭額を算出したレジスタ制御部4は、入出金制御部40aに対して釣銭出金指令を送出し(ステップS111)、この入出金制御部40aからの出金終了通知待ちとなる(ステップS112)。
【0036】
レジスタ制御部4からの釣銭出金指令待ちとなる入出金制御部40aは、釣銭出金指令が通知されたか否かを判定しており、釣銭出金指令が通知されていない場合(ステップS204:No)、本判定処理を繰り返し、釣銭出金指令が通知された場合(ステップS204:Yes)、出金動作処理を実施する(ステップS205)。
【0037】
図8は、
図7に示した出金動作処理の処理内容を示すフローチャートである。この出金動作処理において入出金制御部40aは、釣銭額である出金額が1000円(最小金額紙幣の金額)以上であるか否かを判定するとともに、ステップS202での投入金銭の識別及び計数において投入金銭の硬貨枚数構成が1000円以上であるか否かを判定する(ステップS205a,ステップS205b)。
【0038】
出金額が1000円以上でない場合(ステップS205a:No)や、投入金銭の硬貨枚数構成が1000円以上でない場合(ステップS205b:No)、入出金制御部40aは、釣銭額が最小構成枚数となるように該当する収納庫から繰り出して出金し(ステップS205c)、その後に手順をリターンさせて出金動作処理を終了する。
【0039】
一方、出金額が1000円以上であって投入金銭の硬貨枚数構成が1000円以上である場合(ステップS205a:Yes,ステップS205b:Yes)、入出金制御部40aは、硬貨枚数構成に相当する硬貨(金銭)から釣銭額(出金金額)の金銭を最小構成枚数で構成して硬貨出金口12より出金する硬貨優先出金動作を行う(ステップS205d)。
【0040】
この硬貨優先出金動作について具体的に説明する。例えば、売上額が100円で入金額が硬貨にて2100円である場合、出金額(釣銭額)が1000円以上であって投入金銭の硬貨枚数構成が1000円以上に該当し、入出金制御部40aは、硬貨収納庫15a~15fより入金額の硬貨枚数構成に相当する硬貨から釣銭額(2000円)を最小構成枚数で構成して硬貨出金口12より出金する。
【0041】
かかる硬貨優先出金動作を行った入出金制御部40aは、その後に手順をリターンさせて出金動作処理を終了する。
【0042】
このようにして出金動作処理を行った入出金制御部40aは、レジスタ制御部4に対して出金終了通知を行って(ステップS206)、今回の処理を終了する。
【0043】
入出金制御部40aからの出金終了通知待ちとなるレジスタ制御部4は、出金終了通知が通知されたか否かを判定しており、出金終了通知が通知されていない場合(ステップS112:No)、本判定処理を繰り返し、出金終了通知が通知された場合(ステップS112:Yes)、待機状態に遷移し(ステップS213)、その後に今回の処理を終了する。
【0044】
以上説明したように、本発明の実施の形態である金銭処理機1によれば、制御部40(入出金制御部40a)が、レジスタ制御部4(レジスタ装置2)からの釣銭出金指令が1000円以上であり、かつ直前の投入金銭の硬貨枚数構成が1000円以上である場合に、該硬貨枚数構成に相当する金銭から釣銭額(出金金額)の金銭を最小構成枚数で構成して硬貨出金口12より出金するので、金銭処理機1に対して大量枚数の硬貨を入金されたとしても硬貨収納庫15a~15fが満杯になることを回避することができ、回収操作が必要以上に増大することを抑制して、入出金処理の機会の低下を防止することができる。
【0045】
尚、このように大量枚数の硬貨が投入された場合、硬貨返却口16に返却したり、図示せぬ所定の回収庫に直接回収したりするようなことも考えられるが、硬貨返却口16に返却すると取引がなかなか進まず、結果的に入出金処理の機会の低下を招来するおそれがある。また大量の硬貨を回収庫に直接回収するようにすると、投入された硬貨を保留する領域から回収庫まで硬貨搬送経路を新たに必要とし、部品点数の増加に伴う金銭処理機の製造コストの増大化を招来し好ましくない。この点、本実施の形態である金銭処理機1によれば、部品点数の増加を伴わないので、製造コストの増大化を抑制しつつ入出金処理の機会の低下を防止することができる。
【0046】
また上記金銭処理機1によれば、レジスタ装置2等の上位機器に関しては何もする必要がなく、金銭処理機1の制御部40の処理内容を書き換えるだけで済むので、これによっても製造コストの増大化を抑制しつつ入出金処理の機会の低下を防止することができる。
【0047】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0048】
上述した実施の形態では、硬貨優先出金動作において、釣銭額(出金金額)の金銭を最小構成枚数で構成して硬貨出金口12より出金するようにしたが、本発明においては、出金金額の金銭を最小構成枚数で構成しないで出金口より出金してもよい。これによっても、入出金処理の機会の低下を防止することができる。
【0049】
本発明においては、硬貨優先出金動作において、硬貨収納庫15a~15f毎に設定された閾値(例えば10枚)以下の収納枚数となる金銭(希少金種金銭)が硬貨枚数構成に相当する金銭に含まれている場合、希少金種金銭を除いて出金金額の金銭を最小構成枚数で構成して硬貨出金口12より出金するようにしてもよい。これによれば、収納枚数の少ない硬貨の収納量を増大させることができるので、硬貨の補充操作を抑制することができ、かかる補充操作による入出金処理の機会の低下を防止することができる。
【0050】
本発明においては、操作表示部30に、低額金種から高額金種への等価払い出しを行う逆両替処理を選択する逆両替選択ボタン等の逆両替選択手段が設けられており、逆両替選択手段を通じて逆両替処理が選択された場合、制御部40が、出金指令が最小金額紙幣の金額(例えば1000円)以上の出金金額であって直前の投入金銭の硬貨枚数構成が最小金額(例えば1000円)以上であっても、出金金額の金銭を、紙幣を含む最小構成枚数で構成して出金口より出金するようにしてもよい。
【0051】
本発明においては、操作表示部30に、所定の金額が課金されることを条件として低額金種から高額金種への等価払い出しを行う課金逆両替処理を選択する課金逆両替選択ボタン等の課金逆両替選択手段が設けられており、課金逆両替選択手段を通じて課金逆両替処理が選択された場合、制御部40は、出金指令が最小金額紙幣の金額(例えば1000円)以上の出金金額であって直前の投入金銭の硬貨枚数構成が最小金額(例えば1000円)以上であっても、投入金銭(例えば2100円)に対応した課金金額(例えば150円)を出金金額(例えば2000円)から減算し、その減算後の金銭(例えば1850円)を紙幣を含む最小構成枚数で構成して出金口より出金するようにしてもよい。
【0052】
尚、上記の実施の形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…金銭処理機、2…レジスタ装置、3…入出力部、4…レジスタ制御部、5…バーコードリーダ、10…硬貨収納ユニット、11…硬貨投入口、12…硬貨出金口、13a…振分搬送機構(硬貨搬送機構)、13b…出金搬送機構(硬貨搬送機構)、13c…入金搬送機構(硬貨搬送機構)、14…硬貨鑑別センサ、15a~15f…硬貨収納庫、15g…一時保留庫、16…硬貨返却口、17…受け皿、20…紙幣収納ユニット、21…紙幣投入口、22…紙幣出金口、23…紙幣搬送機構、24…紙幣鑑別センサ、25…紙幣収納庫、26…一時保留庫、30…操作表示部、30a…表示部、30b…操作部、40…制御部、40a…入出金制御部、50…メモリ。