(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046205
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】超音波洗浄機
(51)【国際特許分類】
B06B 1/02 20060101AFI20240327BHJP
B08B 3/12 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
B06B1/02 A
B08B3/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151449
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000243364
【氏名又は名称】本多電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114605
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 久彦
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 雅和
(72)【発明者】
【氏名】藤原 直之
【テーマコード(参考)】
3B201
5D107
【Fターム(参考)】
3B201AB01
3B201BB02
3B201BB83
3B201BB92
5D107AA15
5D107BB11
5D107CD01
5D107CD03
5D107CD08
5D107DE01
5D107DE02
(57)【要約】
【課題】周波数の切替時における過大電圧の発生を抑えることができる超音波洗浄機を提供すること。
【解決手段】本発明の超音波洗浄機10は、整流部23、高周波発生部26、発振制御部28及び電源電圧検出部27を備える。整流部23は、商用交流電源21を全波整流して脈流40を生成する。高周波発生部26は、脈流40を駆動電源として入力して高周波を発振し、超音波振動子13に駆動信号Vを出力する。発振制御部28は、駆動信号Vを駆動制御し、電源電圧検出部27は、商用交流電源21の電圧を検出して発振制御部28に出力する。なお、高周波発生部26は、脈流40に基づいて、商用交流電源21の電圧変化に同期した振幅変調を行う。また、発振制御部28は、商用交流電源21の電圧が最大電圧の半分以下であるときに駆動信号Vの周波数を切り替える周波数変調を行うように、高周波発生部26を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用交流電源を全波整流して脈流を生成する整流部と、
前記整流部が生成した前記脈流を駆動電源として入力して高周波を発振し、超音波振動子に高周波の駆動信号を出力する高周波発生部と、
前記高周波発生部から出力される前記駆動信号を駆動制御する発振制御部と、
前記商用交流電源または前記駆動電源である前記脈流を監視することで、前記商用交流電源の電圧を検出し、その結果を前記発振制御部に出力する電源電圧検出部と
を備えるとともに、
前記高周波発生部は、入力した前記脈流に基づいて、前記商用交流電源の電圧変化に同期した振幅変調を行うとともに、
前記発振制御部は、前記商用交流電源の電圧が最大電圧の半分以下であることを前記電源電圧検出部が検出しているときに前記駆動信号の周波数を別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、前記高周波発生部を制御する
ことを特徴とする超音波洗浄機。
【請求項2】
前記発振制御部は、前記商用交流電源の電圧が最大電圧の20%以下であることを前記電源電圧検出部が検出しているときに前記駆動信号の周波数を一定時間ごとに別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、前記高周波発生部を制御することを特徴とする請求項1に記載の超音波洗浄機。
【請求項3】
前記電源電圧検出部は、前記商用交流電源の電圧のゼロクロスポイントを検出して、その結果を前記発振制御部に出力し、
前記発振制御部は、前記商用交流電源の電圧が前記ゼロクロスポイントとなるタイミングで前記駆動信号の周波数を一定時間ごとに別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、前記高周波発生部を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波洗浄機。
【請求項4】
商用交流電源を全波整流して直流の駆動電源を生成する駆動電源生成部と、
前記駆動電源生成部が生成した直流の前記駆動電源を入力して高周波を発振し、超音波振動子に高周波の駆動信号を出力する高周波発生部と、
振幅変調を制御するための振幅変調信号を生成してそれを前記高周波発生部に出力することで、前記高周波発生部から出力される前記駆動信号を駆動制御する発振制御部としてのプロセッサと
を備えるとともに、
前記高周波発生部は、入力した前記振幅変調信号の電圧変化に同期した振幅変調を行うとともに、
前記発振制御部としての前記プロセッサは、前記振幅変調信号の電圧が最大電圧の半分以下であるときに前記駆動信号の周波数を別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、前記高周波発生部を制御する
ことを特徴とする超音波洗浄機。
【請求項5】
前記発振制御部は、前記振幅変調信号の電圧が最大電圧の20%以下であるときに前記駆動信号の周波数を一定時間ごとに別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、前記高周波発生部を制御することを特徴とする請求項4に記載の超音波洗浄機。
【請求項6】
前記発振制御部は、前記振幅変調信号の電圧がゼロとなるタイミングで前記駆動信号の周波数を一定時間ごとに別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、前記高周波発生部を制御することを特徴とする請求項5に記載の超音波洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を照射して被洗浄物を洗浄する超音波洗浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄液中に超音波を照射することにより、被洗浄物の洗浄(超音波洗浄)を行う超音波洗浄機(例えば、特許文献1参照)が実用化されている。超音波洗浄は、超音波による物理的作用と洗浄液による化学的作用との組み合わせにより、複雑な形状をなす被洗浄物の細部にまで作用して効率良く洗浄できる。このため、精密機械部品、光学部品、液晶ディスプレイ、半導体等の製造には不可欠なものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4512721号公報(
図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、超音波振動子から照射された超音波は、洗浄液の液面で反射して、洗浄液中に定在波を生じさせる。この定在波は、洗浄液の深さ方向に沿って音圧(音響放射圧)が最大となる部分(腹)と音圧が最小となる部分(節)とが交互に並んだものである。従って、被洗浄物を洗浄すると、被洗浄物の表面のうち、定在波の腹に対応する部分が効率良く洗浄される一方、定在波の節に対応する部分は殆ど洗浄されないため、被洗浄物の表面を均一に洗浄できないという問題がある。
【0005】
そこで、従来の超音波洗浄機においては、超音波振動子を駆動する駆動信号に対して振幅変調(AM変調)と周波数変調(FM変調)とを施し、駆動信号の周波数を切り替えることが提案されている。このようにすれば、周波数の切り替えに伴って定在波の腹節位置が移動するため、被洗浄物の表面を均一に洗浄することができる。しかしながら、周波数の切替時に、浮遊インダクタンスに起因する過大電圧がスイッチング素子に印加されてしまうため、回路の誤動作や破損が生じやすいという問題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、周波数の切替時における過大電圧の発生を抑えることができる超音波洗浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、商用交流電源を全波整流して脈流を生成する整流部と、前記整流部が生成した前記脈流を駆動電源として入力して高周波を発振し、超音波振動子に高周波の駆動信号を出力する高周波発生部と、前記高周波発生部から出力される前記駆動信号を駆動制御する発振制御部と、前記商用交流電源または前記駆動電源である前記脈流を監視することで、前記商用交流電源の電圧を検出し、その結果を前記発振制御部に出力する電源電圧検出部とを備えるとともに、前記高周波発生部は、入力した前記脈流に基づいて、前記商用交流電源の電圧変化に同期した振幅変調を行うとともに、前記発振制御部は、前記商用交流電源の電圧が最大電圧の半分以下であることを前記電源電圧検出部が検出しているときに前記駆動信号の周波数を別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、前記高周波発生部を制御することを特徴とする超音波洗浄機をその要旨とする。
【0008】
従って、請求項1に記載の発明によると、発振制御部が、商用交流電源の電圧が最大電圧の半分以下であるときに駆動信号の周波数を別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、高周波発生部を制御している。即ち、電圧が最大電圧の半分以下となり、電流もあまり流れていないタイミングで駆動信号の周波数を切り替える制御を行うため、浮遊インダクタンスに起因する過大電圧の発生を抑えることができる。ゆえに、過大電圧吸収用のスナバ回路等の保護回路を小型化できるため、超音波洗浄機のコストを抑えることができる。また、過大電圧の発生を抑えることにより、高周波発生部等の誤動作や破損を防止することができる。さらに、電圧が最大電圧の半分以下となるタイミングで駆動信号の周波数を切り替えることで、周波数の切替時に発生するキックバックが小さくなるため、キックバックに起因する高周波ノイズを低減させることができる。また、高周波発生部は、商用交流電源の周波数を利用して振幅変調及び周波数変調を行っている。このため、発振制御部を機能させるためのプログラムがなくても、振幅変調及び周波数変調を容易に行うことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記発振制御部は、前記商用交流電源の電圧が最大電圧の20%以下であることを前記電源電圧検出部が検出しているときに前記駆動信号の周波数を一定時間ごとに別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、前記高周波発生部を制御することをその要旨とする。
【0010】
従って、請求項2に記載の発明によると、商用交流電源の電圧が最大電圧の20%以下となり、電流も殆ど流れていないタイミングで駆動信号の周波数を切り替える制御を行うため、浮遊インダクタンスに起因する過大電圧の発生を確実に抑えることができる。また、電圧が最大電圧の20%以下となるタイミングで駆動信号の周波数を切り替えることで、周波数の切替時に発生するキックバックがいっそう小さくなるため、キックバックに起因する高周波ノイズを確実に低減させることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記電源電圧検出部は、前記商用交流電源の電圧のゼロクロスポイントを検出して、その結果を前記発振制御部に出力し、前記発振制御部は、前記商用交流電源の電圧が前記ゼロクロスポイントとなるタイミングで前記駆動信号の周波数を一定時間ごとに別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、前記高周波発生部を制御することをその要旨とする。
【0012】
従って、請求項3に記載の発明によると、商用交流電源の電圧が最小値となり、電流も流れていないタイミングで駆動信号の周波数を切り替える制御を行うため、浮遊インダクタンスに起因する過大電圧の発生をより確実に抑えることができる。また、電圧がゼロクロスポイントとなるタイミングで駆動信号の周波数を切り替えることで、周波数の切替時に発生するキックバックがよりいっそう小さくなるため、キックバックに起因する高周波ノイズをより確実に低減させることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、商用交流電源を全波整流して直流の駆動電源を生成する駆動電源生成部と、前記駆動電源生成部が生成した直流の前記駆動電源を入力して高周波を発振し、超音波振動子に高周波の駆動信号を出力する高周波発生部と、振幅変調を制御するための振幅変調信号を生成してそれを前記高周波発生部に出力することで、前記高周波発生部から出力される前記駆動信号を駆動制御する発振制御部としてのプロセッサとを備えるとともに、前記高周波発生部は、入力した前記振幅変調信号の電圧変化に同期した振幅変調を行うとともに、前記発振制御部としての前記プロセッサは、前記振幅変調信号の電圧が最大電圧の半分以下であるときに前記駆動信号の周波数を別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、前記高周波発生部を制御することを特徴とする超音波洗浄機をその要旨とする。
【0014】
従って、請求項4に記載の発明によると、発振制御部としてのプロセッサが、振幅変調信号の電圧が最大電圧の半分以下であるときに駆動信号の周波数を別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、高周波発生部を制御している。即ち、電圧が最大電圧の半分以下となり、電流もあまり流れていないタイミングで駆動信号の周波数を切り替える制御を行うため、浮遊インダクタンスに起因する過大電圧の発生を抑えることができる。ゆえに、過大電圧吸収用のスナバ回路等の保護回路を小型化できるため、超音波洗浄機のコストを抑えることができる。また、過大電圧の発生を抑えることにより、高周波発生部等の誤動作や破損を防止することができる。さらに、電圧が最大電圧の半分以下となるタイミングで駆動信号の周波数を切り替えることで、周波数の切替時に発生するキックバックが小さくなるため、キックバックに起因する高周波ノイズを低減させることができる。また、発振制御部としてのプロセッサは、商用交流電源の周波数を利用するのではなく、プロセッサが生成した振幅変調信号を利用して振幅変調を行うため、振幅変調の開始タイミング等の自由度が高くなる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4において、前記発振制御部は、前記振幅変調信号の電圧が最大電圧の20%以下であるときに前記駆動信号の周波数を一定時間ごとに別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、前記高周波発生部を制御することをその要旨とする。
【0016】
従って、請求項5に記載の発明によると、振幅変調信号の電圧が最大電圧の20%以下となり、電流も殆ど流れていないタイミングで駆動信号の周波数を切り替える制御を行うため、浮遊インダクタンスに起因する過大電圧の発生を確実に抑えることができる。また、電圧が最大電圧の20%以下となるタイミングで駆動信号の周波数を切り替えることで、周波数の切替時に発生するキックバックがいっそう小さくなるため、キックバックに起因する高周波ノイズを確実に低減させることができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5において、前記発振制御部は、前記振幅変調信号の電圧がゼロとなるタイミングで前記駆動信号の周波数を一定時間ごとに別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、前記高周波発生部を制御することをその要旨とする。
【0018】
従って、請求項6に記載の発明によると、振幅変調信号の電圧が最小値となり、電流も流れていないタイミングで駆動信号の周波数を切り替える制御を行うため、浮遊インダクタンスに起因する過大電圧の発生をより確実に抑えることができる。また、電圧がゼロとなるタイミングで駆動信号の周波数を切り替えることで、周波数の切替時に発生するキックバックがよりいっそう小さくなるため、キックバックに起因する高周波ノイズをより確実に低減させることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上詳述したように、請求項1~6に記載の発明によると、周波数の切替時における過大電圧の発生を抑えることができる超音波洗浄機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態における超音波洗浄機を示す概略構成図。
【
図2】AC電源の交流電流の電圧波形を示すグラフ。
【
図4】超音波振動子に出力される駆動信号の波形を示すグラフ。
【
図5】振幅変調された駆動信号の波形を概略的に示すグラフ。
【
図6】振幅変調及び周波数変調された駆動信号の波形を概略的に示すグラフ。
【
図7】第2実施形態における超音波洗浄機を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
図1に示されるように、本実施形態の超音波洗浄機10は、洗浄液W1を貯留する洗浄槽11と、洗浄槽11の底板12に装着される超音波振動子13と、超音波振動子13の出力を駆動制御する超音波発振器20とを備えている。また、洗浄槽11に溜められた洗浄液W1には、被洗浄物14が浸漬されている。
【0023】
洗浄槽11の底板12は、ステンレス等の金属板からなり、超音波S1を放射するための振動板として機能する。また、超音波振動子13は、振動面を上方に向けた状態で、洗浄槽11の底板12に接合されている。超音波振動子13は、超音波発振器20に電気的に接続されており、超音波発振器20から出力される駆動信号V(
図4参照)に基づいて機械振動する。この超音波振動子13の機械振動によって、底板12から洗浄槽11内に超音波S1が出力される。
【0024】
図1に示されるように、超音波発振器20は、AC電源21、保護回路22、整流回路23(整流部)、第1電源回路24、第2電源回路25、高周波発生回路26(高周波発生部)、電源電圧検出回路27(電源電圧検出部)、発振制御回路28(発振制御部)及び整合回路29を備えている。また、超音波発振器20は、機器全体を統括的に制御する制御部(図示略)を備えている。制御部は、CPU、ROM、RAM等からなる周知のコンピュータにより構成されている。CPUは、上記の電源電圧検出回路27や発振制御回路28に電気的に接続されており、各種の駆動信号によってそれらを制御する。
【0025】
また、AC電源21は、各回路22~29に100Vの交流電力を供給するための商用交流電源である。なお、
図1の〈A〉及び
図2に示されるように、AC電源21の交流電流の電圧波形は、周期T0で出力される正弦波である。また、保護回路22は、各回路23~29を過電圧から保護するための回路である。
【0026】
図1に示されるように、整流回路23は、AC電源21から供給された交流電流を整流して、脈流40(
図1の〈B〉及び
図3参照)を生成する回路である。詳述すると、整流回路23は、交流電圧の負電圧部である負パルス41(
図2参照)を正電圧部である正パルス42(
図3参照)に変換整流する全波整流を行うことにより、複数の正パルス42が連続する脈流40(直流)を生成する。
【0027】
第1電源回路24は、整流回路23から供給された脈流40を平滑して、12Vの直流に変換して出力する回路である。なお、変換した12Vの直流は、第2電源回路25に出力されるとともに、トランジスタ駆動制御用電源として高周波発生回路26に出力される。また、第2電源回路25は、第1電源回路24から供給された12Vの直流を、5Vの直流に変換して発振制御回路28等に出力する回路である。
【0028】
高周波発生回路26は、整流回路23が生成した脈流40を駆動電源として入力して高周波を発振し、整合回路29を介して超音波振動子13に高周波の駆動信号Vを出力する回路である。本実施形態の高周波発生回路26は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor )、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などのトランジスタを複数個用いて構成されたインバータ回路により形成されている。具体的に言うと、高周波発生回路26は、整流回路23から供給される脈流40を、発振制御回路28から出力されたトランジスタ駆動制御信号を増幅してスイッチングし、高周波の駆動信号Vに変換する。なお、
図4に示されるように、駆動信号Vの波形は、周期T2で出力される正弦波である。また、高周波発生回路26は、第1電源回路24から出力されたトランジスタ駆動制御用電源によって駆動するようになっている。
【0029】
図1に示されるように、電源電圧検出回路27は、駆動電源である脈流40を監視することで、AC電源21の電圧を検出し、その結果を発振制御回路28に出力する回路である。具体的に言うと、電源電圧検出回路27は、脈流40の交流電圧が0VになるポイントであるゼロクロスポイントZ1(
図1の〈C〉及び
図3参照)を検出し、その結果を0V時のトリガー信号として発振制御回路28に出力する。
【0030】
そして、発振制御回路28は、高周波発生回路26から出力される駆動信号Vを駆動制御する回路である。具体的に言うと、発振制御回路28は、トリガー信号が入力されるタイミングで発振(トランジスタ駆動制御信号)のオンオフを切り替えることにより、高周波発生回路26のスイッチング波形のパターンを制御する。なお、発振制御回路28は、第2電源回路25から出力された5Vの直流によって駆動する。
【0031】
図1に示されるように、整合回路29は、トランスなどの素子によりインピーダンス変換を行い、送り出す側(発振制御回路28側)の駆動信号のインピーダンス値と受け取る側(超音波振動子13側)の駆動信号のインピーダンス値とを同じにする(マッチングする)回路である。そして、整合回路29は、インピーダンスマッチングが行われた高周波の駆動信号Vを超音波振動子13に供給する。
【0032】
次に、超音波洗浄機10を用いた被洗浄物14の洗浄方法について説明する。
【0033】
まず、洗浄槽11内に洗浄液W1とともに被洗浄物14を収容した後、超音波洗浄機10のAC電源21をオンする。このとき、超音波発振器20の発振制御回路28(CPU)は、超音波振動子13に対して駆動信号Vを出力する制御を行い、超音波振動子13を駆動させる。具体的に言うと、まず、発振制御回路28は、高周波発生回路26に対してトランジスタ駆動制御信号を出力する。その結果、高周波発生回路26の発振が開始され(オンに切り替えられ)、駆動信号V(
図4参照)が生成される。なお、高周波発生回路26はバースト駆動されるため、本実施形態の駆動信号Vは、単一周波数のバースト波により形成される。
【0034】
次に、超音波発振器20の発振制御回路28(CPU)は、被洗浄物14の洗浄効率を向上させるべく、超音波振動子13を駆動するための駆動信号Vに振幅変調(AM変調)と周波数変調(FM変調)とを施すように、高周波発生回路26を制御する。具体的に言うと、まず、発振制御回路28は、入力した脈流40に基づき、駆動信号Vに対して、AC電源21(脈流40)の電圧変化に同期した振幅変調を行うように、高周波発生回路26を制御する。詳述すると、高周波発生回路26は、駆動信号Vの振幅を最大振幅Hmax (
図4,
図5参照)の0%以上100%以下の範囲内で変調させる変調度100%の振幅変調(100%変調)を行う。なお、振幅変調した駆動信号Vでは、振幅が最大振幅Hmax の0%→最大振幅Hmax の100%→最大振幅Hmax の0%の順に連続的に変調する期間T3(
図5参照)が、脈流40の電圧周期T1(
図3参照)と等しくなっている。
【0035】
さらに、発振制御回路28は、電源電圧検出回路27の検出結果(トリガー信号)に基づき、AC電源21の電圧(本実施形態では、脈流40の電圧)がゼロクロスポイントZ1(
図3参照)となるタイミングで駆動信号Vを周波数変調するように、高周波発生回路26を駆動制御する。換言すると、高周波発生回路26は、AC電源21(及び脈流40)の電圧が最大電圧V1max (
図2,
図3参照)の0%であるときに周波数を切り替える。そして、高周波発生回路26は、周波数変調において、駆動信号Vの周波数を一定時間T4(
図6参照)ごとに別の周波数に切り替える制御を行う。なお、一定時間T4は、駆動信号Vの振幅が最大振幅Hmax の0%→100%→0%の順に変調する期間T3と等しくなっている。詳述すると、まず、高周波発生回路26は、5つの周波数(本実施形態では、38kHz、39kHz、40kHz、41kHz、42kHz)を設定する。そして、高周波発生回路26は、一定時間T4ごとに周波数を別の周波数に切り替えることで、駆動信号Vの周波数を段階的に切り替える制御を行う。
図6に示されるように、高周波発生回路26は、駆動信号Vの周波数を、40kHz→41kHz→42kHz→41kHz→40kHz→39kHz→38kHz→39kHz→40kHz→…の順に段階的に切り替える制御を行う。
【0036】
そして、振幅変調及び周波数変調が施された駆動信号Vが超音波振動子13に入力されると、超音波振動子13が連続的に振動し、洗浄槽11の底板12から洗浄液W1中に超音波S1が照射される。なお、超音波S1は、洗浄液W1中を伝搬し、被洗浄物14に作用する。その結果、被洗浄物14の表面が洗浄される。その後、作業者がAC電源21をオフすると、CPUにより超音波発振器20が停止し、被洗浄物14の洗浄が終了する。
【0037】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0038】
(1)本実施形態の超音波洗浄機10では、発振制御回路28が、脈流40の電圧がゼロクロスポイントZ1となるタイミングで駆動信号Vの周波数を別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、高周波発生回路26を制御している。即ち、電圧が最小値V1min (
図2,
図3参照)となり、電流も流れていないタイミングで駆動信号Vの周波数を切り替える制御を行うため、浮遊インダクタンスに起因する過大電圧の発生を抑えることができる。ゆえに、過大電圧吸収用のスナバ回路等の保護回路を小型化できるため、超音波洗浄機10のコストを抑えることができる。また、過大電圧の発生を抑えることにより、超音波発振器20の誤動作や破損を防止することができる。さらに、電圧がゼロクロスポイントZ1となるタイミングで駆動信号Vの周波数を切り替えることで、周波数の切替時に発生するキックバックが小さくなるため、キックバックに起因する高周波ノイズを低減させることができる。
【0039】
(2)本実施形態では、高周波発生回路26が、商用交流電源であるAC電源21の周波数(50Hzまたは60Hz)を利用して振幅変調及び周波数変調を行っている。このため、CPUを機能させるためのプログラム(振幅変調用プログラムや周波数変調用プログラム)がなくても、振幅変調及び周波数変調を容易に行うことができる。
【0040】
(3)本実施形態では、駆動信号Vの周波数として、5つの周波数(38kHz,39kHz,40kHz,41kHz,42kHz)を設定している。そして、高周波発生回路26が、設定した5つの周波数を段階的に切り替える周波数変調を行うため、周波数の切替時のごく短時間のあいだに洗浄液W1中において音響的な不整合(乱れ)が生じる。その結果、周波数を無段階で連続的に変化させる単純な周波数変調を行う場合に比べて、被洗浄物14の表面に対する超音波S1の作用の仕方が複雑になるため、洗浄効率が向上する。ゆえに、周波数を連続的に変化させる従来の周波数変調とは異なる洗浄効果を得ることができる。
【0041】
(4)例えば、周波数が異なる複数の超音波振動子を使い分けたり、多周波用の超音波振動子を用いたりすることにより、本実施形態と同様の周波数の切り替えを行うことは可能である。しかし、本実施形態では、駆動信号Vを調整するのみで周波数の切り替えを実現できるため、超音波洗浄機10の小型化・簡素化を実現しやすくなる。
【0042】
[第2実施形態]
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に基づいて説明する。ここでは、前記第1実施形態と相違する部分を中心に説明し、共通する部分については同じ部材番号を付して詳細な説明を割愛する。
【0043】
図7に示されるように、第2実施形態の超音波洗浄機50は、制御態様が第1実施形態の超音波洗浄機10とは異なっている。即ち、第1実施形態の超音波洗浄機10は、AC電源21の周波数を利用して振幅変調(AM変調)及び周波数変調(FM変調)を行うものであったが、本実施形態の超音波洗浄機50は、AC電源21の周波数ではなく、プロセッサ52(CPU)により振幅変調及び周波数変調を行うものである。
【0044】
具体的に言うと、超音波洗浄機50の超音波発振器51は、第1電源回路24(駆動電源生成部)、高周波発生回路26(高周波発生部)及びプロセッサ52(発振制御部)を備えている。第1電源回路24は、整流回路23から供給された脈流40を平滑して、12Vの直流の駆動電源に変換して出力する回路である。なお、変換した12Vの駆動電源は、第2電源回路25に出力されるとともに、トランジスタ駆動制御用電源として高周波発生回路26に出力される。また、高周波発生回路26は、第1電源回路24が生成(変換)した直流の駆動電源を入力して高周波を発振し、超音波振動子13に高周波の駆動信号Vを出力する回路である。
【0045】
図7に示されるように、プロセッサ52は、CPU、ROM、RAM等からなる周知のコンピュータにより構成されている。プロセッサ52は、振幅変調を制御するための振幅変調信号V2を生成してそれを高周波発生回路26に出力することで、高周波発生回路26から出力される駆動信号Vを駆動制御する。なお、
図8に示されるように、振幅変調信号V2の電圧波形は、電圧周期T5で出力される脈流である。また、振幅変調信号V2は、商用交流電源(AC電源21)の電圧波形の周期T0とは無関係に生成される。そして、高周波発生回路26は、入力した振幅変調信号V2の電圧変化に同期した振幅変調を行う。詳述すると、高周波発生回路26は、駆動信号Vの振幅を最大振幅Hmax の0%以上100%以下の範囲内で変調させる振幅変調(100%変調)を行う(
図5参照)。
【0046】
さらに、プロセッサ52は、振幅変調信号V2の電圧がゼロとなるタイミングZ2で駆動信号Vを周波数変調するように、高周波発生回路26を駆動制御する。換言すると、高周波発生部26は、振幅変調信号V2の電圧が最大電圧V2max (
図8参照)の0%であるときに周波数を切り替える。そして、高周波発生回路26は、周波数変調において、駆動信号Vの周波数を一定時間T4(
図6参照)ごとに別の周波数に切り替える制御を行う。
【0047】
なお、振幅変調及び周波数変調が施された駆動信号Vが超音波振動子13に入力されると、超音波振動子13の機械振動により超音波S1が照射される。そして、超音波S1が、洗浄液W1中を伝搬して被洗浄物14に作用することにより、被洗浄物14の表面が洗浄される。
【0048】
従って、本実施形態の超音波洗浄機50では、プロセッサ52が、振幅変調信号V2の電圧がゼロとなるタイミングZ2で駆動信号Vの周波数を別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、高周波発生回路26を制御している。即ち、電圧が最小値V2min (
図8参照)となり、電流も流れていないタイミングZ2で駆動信号Vの周波数を切り替える制御を行うため、浮遊インダクタンスに起因する過大電圧の発生を抑えることができる。また、電圧がゼロとなるタイミングZ2で駆動信号Vの周波数を切り替えることで、周波数の切替時に発生するキックバックが小さくなるため、キックバックに起因する高周波ノイズを低減させることができる。さらに、プロセッサ52は、AC電源21の周波数を利用するのではなく、プロセッサ52が生成した振幅変調信号V2を利用して振幅変調を行うため、振幅変調の開始タイミング等の自由度が高くなる。また、本実施形態の超音波発振器51は、前記第1実施形態の電源電圧検出回路27を持たない既存の装置であるが、プロセッサ52のプログラム変更により対応可能となる。
【0049】
なお、上記各実施形態を以下のように変更してもよい。
【0050】
・上記第1実施形態の発振制御回路28は、AC電源21(脈流40)の電圧が最大電圧V1max の0%(ゼロクロスポイントZ1)であることを電源電圧検出回路27が検出しているときに、駆動信号Vの周波数を切り替える周波数変調を行うように、高周波発生回路26を制御していた。しかし、発振制御回路28は、AC電源21の電圧がゼロクロスポイントZ1の近傍であっても、周波数変調を行うように高周波発生回路26を制御してもよい。具体的に言うと、発振制御回路28は、AC電源21の電圧が最大電圧V1max の50%(半分)以下であるときに、周波数変調を行うように高周波発生回路26を制御してもよい。また、発振制御回路28は、AC電源21の電圧が最大電圧V1max の20%以下や30%以下であるときにも、周波数変調を行うように高周波発生回路26を制御してもよい。
【0051】
・上記第2実施形態の発振制御部としてのプロセッサ52は、振幅変調信号V2の電圧が最大電圧V2max の0%(ゼロ)であるときに、駆動信号Vの周波数を切り替える周波数変調を行うように、高周波発生回路26を制御していた。しかし、プロセッサ52は、振幅変調信号V2の電圧がゼロとなるタイミングZ2の近傍であっても、周波数変調を行うように高周波発生回路26を制御してもよい。具体的に言うと、プロセッサ52は、振幅変調信号V2の電圧が最大電圧V2max の50%(半分)以下であるときに、周波数変調を行うように高周波発生回路26を制御してもよい。また、プロセッサ52は、振幅変調信号V2の電圧が最大電圧V2max の20%以下や30%以下であるときにも、周波数変調を行うように高周波発生回路26を制御してもよい。
【0052】
・上記各実施形態では、5つの周波数を切り替える5周波の超音波発振器20,51が用いられていたが、2つ以上4つ以下の周波数を切り替える2周波以上4周波以下の超音波発振器を用いてもよいし、6つ以上の周波数を切り替える6周波以上の多周波の超音波発振器を用いてもよい。なお、切り替える周波数が多くなる程、超音波S1がより複雑に作用するため、洗浄効率が向上する。
【0053】
・上記各実施形態において、超音波発振器20,51の高周波発生回路26は、駆動信号Vの周波数を、40kHz→41kHz→42kHz→41kHz→40kHz→39kHz→38kHz→39kHz→40kHz→…の順に切り替える制御を行っていた。即ち、高周波発生回路26は、周波数を切り替える際の変化量を一定の値(1kHz)に設定していた。しかし、高周波発生回路26は、周波数を切り替える際の変化量を1kHz以上の複数の値に設定し、それらの値からランダムに選択するものであってもよい。例えば、高周波発生回路26は、周波数を、38kHz→41kHz(変化量3kHz)→39kHz(変化量2kHz)→42kHz(変化量3kHz)→40kHz(変化量2kHz)→38kHz(変化量2kHz)の順に段階的に変化させる制御を行ってもよい。このようにすれば、周波数がランダムに変化するため、被洗浄物14の表面に照射される超音波S1の音圧が常に変化する。その結果、被洗浄物14の表面がムラなく洗浄されるため、洗浄効率がよりいっそう向上する。
【0054】
・上記各実施形態の発振制御部(発振制御回路28、プロセッサ52)は、駆動信号Vの周波数を別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、高周波発生回路26を制御していた。しかし、発振制御部は、周波数の切り替えと同時に駆動信号Vの最大振幅Hmax を変更するようにしてもよいし、周波数の切り替えと同時に駆動信号Vの期間T3(
図5参照)の長さを変更するようにしてもよい。なお、これらを実現するうえでは、第2実施形態を採用することが好ましい。
【0055】
・上記各実施形態の高周波発生回路26は、駆動信号Vの振幅を最大振幅Hmax の0%以上100%以下の範囲内で変調させる変調度100%の振幅変調(100%変調)を行っていたが、変調度が異なる振幅変調を行ってもよい。
【0056】
・上記各実施形態の高周波発生回路26は、複数の周波数を段階的に切り替える周波数変調を行っていたが、周波数を無段階で連続的に変化させる周波数変調を行ってもよい。具体的に言うと、高周波発生回路26は、駆動信号Vのそれぞれの期間T3(
図5参照)の中で、周波数を徐々に高く(または低く)するスイープ変調を行ってもよい。
【0057】
・上記第1実施形態の電源電圧検出回路27は、駆動電源である脈流40を監視することでAC電源21の電圧を検出し、その結果を発振制御回路28に出力するようになっていた。しかし、電源電圧検出回路27は、AC電源21を監視することでAC電源21の電圧を検出し、その結果を発振制御回路28に出力するようになっていてもよい。この場合、電源電圧検出回路27は、全波整流される前(脈流40が生成される前)のAC電源21の交流電流を監視することで、AC電源21の交流電圧が0Vになる点であるゼロクロスポイントZ0(
図1の〈A〉及び
図2参照)を検出し、その結果を0V時のトリガー信号として発振制御回路28に出力する。
【0058】
・上記第1実施形態の電源電圧検出回路27や発振制御回路28は、ハードウェアで構成されていてもよいが、所定のソフトウェアによって、CPUに電源電圧検出回路27及び発振制御回路28と同じ動作を実行させてもよい。
【0059】
・上記各実施形態の超音波発振器20は超音波洗浄機10,50に用いられていたが、これ以外のもの、例えば、超音波分散器、超音波殺菌装置、ソノケミストリーを利用して化学反応を行わせる超音波反応器などに用いられていてもよい。
【0060】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0061】
(1)請求項1乃至3のいずれか1項において、前記高周波発生部は、前記駆動信号の振幅を最大振幅の0%以上100%以下の範囲内で変調させる前記振幅変調を行うことを特徴とする超音波洗浄機。
【0062】
(2)請求項1において、前記発振制御部は、前記商用交流電源の電圧が最大電圧の30%以下であることを前記電源電圧部が検出しているときに前記駆動信号の周波数を一定時間ごとに別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、前記高周波発生部を制御することを特徴とする超音波洗浄機。
【0063】
(3)請求項4において、前記発振制御部は、前記振幅変調信号の電圧が最大電圧の30%以下であるときに前記駆動信号の周波数を一定時間ごとに別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、前記高周波発生部を制御することを特徴とする超音波洗浄機。
【0064】
(4)請求項1乃至3のいずれか1項において、前記整流部は、前記商用交流電源の交流電圧の負電圧部を正電圧部に変換整流する全波整流を行うことにより、複数の前記正電圧部が連続する前記脈流を生成することを特徴とする超音波洗浄機。
【0065】
(5)商用交流電源を全波整流して脈流を生成する整流部と、前記整流部が生成した前記脈流を駆動電源として入力して高周波を発振し、超音波振動子に高周波の駆動信号を出力する高周波発生部と、前記高周波発生部から出力される前記駆動信号を駆動制御する発振制御部と、前記商用交流電源または前記駆動電源である前記脈流を監視することで、前記商用交流電源の電圧を検出し、その結果を前記発振制御部に出力する電源電圧検出部とを備えるとともに、前記高周波発生部は、入力した前記脈流に基づいて、前記商用交流電源の電圧変化に同期した振幅変調を行うとともに、前記発振制御部は、前記商用交流電源の電圧が最大電圧の半分以下であることを前記電源電圧検出部が検出しているときに前記駆動信号の周波数を別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、前記高周波発生部を制御することを特徴とする超音波反応器。
【0066】
(6)商用交流電源を全波整流して直流の駆動電源を生成する駆動電源生成部と、前記駆動電源生成部が生成した直流の前記駆動電源を入力して高周波を発振し、超音波振動子に高周波の駆動信号を出力する高周波発生部と、振幅変調を制御するための振幅変調信号を生成してそれを前記高周波発生部に出力することで、前記高周波発生部から出力される前記駆動信号を駆動制御する発振制御部としてのプロセッサとを備えるとともに、前記高周波発生部は、入力した前記振幅変調信号の電圧変化に同期した振幅変調を行うとともに、前記発振制御部としての前記プロセッサは、前記振幅変調信号の電圧が最大電圧の半分以下であるときに前記駆動信号の周波数を別の周波数に切り替える周波数変調を行うように、前記高周波発生部を制御することを特徴とする超音波反応器。
【符号の説明】
【0067】
10,50…超音波洗浄機
13…超音波振動子
21…商用交流電源としてのAC電源
23…整流部としての整流回路
24…駆動電源生成部としての第1電源回路
26…高周波発生部としての高周波発生回路
27…電源電圧検出部としての電源電圧検出回路
28…発振制御部としての発振制御回路
40…脈流
52…発振制御部としてのプロセッサ
T4…一定時間
V…駆動信号
V1max,V2max…最大電圧
V2…振幅変調信号
Z1…ゼロクロスポイント
Z2…ゼロとなるタイミング