(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046232
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】リント除去装置
(51)【国際特許分類】
D06F 58/22 20060101AFI20240327BHJP
D06F 58/02 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
D06F58/22
D06F58/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151489
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】波戸 成典
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA01
3B166AA05
3B166AA24
3B166AB22
3B166AB30
3B166AE01
3B166AE02
3B166BA38
3B166BA48
3B166BA73
3B166BA83
3B166CA01
3B166CA11
3B166CA21
3B166CB02
3B166CB12
3B166CC05
3B166EA03
3B166EA13
3B166EA34
3B166EB03
3B166EB08
3B166EB17
3B166EB24
3B166FB01
(57)【要約】
【課題】比較的簡素な構造でありながら、2段のフィルタの双方を簡単に清掃できるリント除去装置を実現させる。
【解決手段】熱交換器5よりも上流側に設置されているリントフィルタ収容室8に着脱可能に収容されるリントフィルタユニット10を備える。リントフィルタユニット10は、ユニット本体20と、そのユニット本体20に組み付けられてその内部の中間経路21に面した開放口22を開閉する蓋体30とを有している。ユニット本体20が、中間経路21に面する主フィルタ50、その下流側に配置される予備フィルタ60、および、主フィルタ50および予備フィルタ60の各々に付着したリントを掻き取るリント清掃機構70を有している。リント清掃機構70の操作が蓋体30を開くことによって可能になる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を乾燥するために温風を循環供給する送風経路に配置されるリント除去装置であって、
前記送風経路に設置されている熱交換器よりも上流側に設置されているリントフィルタ収容室に着脱可能に収容されるリントフィルタユニットを備え、
前記リントフィルタユニットは、
前記送風経路を構成する中間経路が内部に設けられているユニット本体と、
前記ユニット本体に組み付けられて前記中間経路に面した開放口を開閉する蓋体と、
を有し、
前記ユニット本体が、
前記中間経路に面する主フィルタと、
前記主フィルタの下流側に配置される予備フィルタと、
前記主フィルタおよび前記予備フィルタの各々に付着したリントを掻き取るリント清掃機構と、
を有し、
前記リント清掃機構の操作が前記蓋体を開くことによって可能になる、リント除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリント除去装置において、
前記ユニット本体が、
一端が温風導入口として開口するとともに一面が前記開放口として開口する筒形に形成されて前記予備フィルタおよび前記蓋体が周面に設置されている外筒体と、
一端が前記温風導入口として開口するとともに一面が前記開放口として開口し、前記外筒体と断面が相似の筒形に形成されて前記予備フィルタに重なるように前記主フィルタが周面に設置されている内筒体と、
を更に有し、
前記内筒体を前記外筒体に挿入して、前記予備フィルタおよび前記主フィルタが設置されている周面を前記熱交換器に向けた状態で、前記ユニット本体が前記熱交換器に隣接するように配置される、リント除去装置。
【請求項3】
請求項2に記載のリント除去装置において、
前記リント清掃機構が、前記内筒体に設けられていてその内面に接した状態で前記中間経路を筒軸方向にスライド可能な第1清掃体を有し、
前記蓋体を開いて前記第1清掃体を手動でスライドさせることによって前記主フィルタに付着したリントが掻き取られる、リント除去装置。
【請求項4】
請求項3に記載のリント除去装置において、
前記内筒体を適正位置まで前記外筒体に挿入した時に前記第1清掃体の待機位置からの移動を阻止する規制リブが、前記蓋体の内面に設けられている、リント除去装置。
【請求項5】
請求項4に記載のリント除去装置において、
前記内筒体が、前記外筒体に出し入れ可能とされ、
前記リント清掃機構が、前記内筒体の挿入先端側の端部の外縁部に設けられていて前記外筒体の内面に接する第2清掃体を有し、
前記蓋体を開いて前記内筒体を前記外筒体から引き出すことによって前記予備フィルタに付着したリントが掻き取られる、リント除去装置。
【請求項6】
請求項5に記載のリント除去装置において、
前記規制リブが筒軸方向に延びるように設けられ、
前記内筒体が前記外筒体の適正位置まで挿入されていない場合に、前記第1清掃体と前記規制リブとが接触することによって前記蓋体が閉まらないように構成されている、リント除去装置。
【請求項7】
請求項2~6のいずれか1つに記載のリント除去装置において、
前記リントフィルタユニットが、前記ユニット本体に組み付けられて前記リントフィルタ収容室からの出し入れ操作を可能にする把手体を更に有し、
前記温風導入口が前記把手体の反対側に位置するとともに、前記開放口が前記リントフィルタユニットの下側に位置している、リント除去装置。
【請求項8】
請求項1に記載のリント除去装置において、
前記ユニット本体が、
一端が温風導入口として開口するとともに一面が前記開放口として開口する断面扇形の筒形に形成されていて、断面円弧形の周曲面に前記予備フィルタが設置されるとともに前記周曲面に連なる一方の前記一面に前記蓋体が設置されているベース体と、
断面円弧形のシート状に形成されていて前記予備フィルタと重なるように前記主フィルタが設置されるとともに前記ベース体の内側に装着されるカバー体と、
前記ベース体の両端部に対向状に設置されていて、前記カバー体を当該周曲面に沿ってスライド可能に支持する一対のスライドガイドと、
を更に有し、
前記リント清掃機構が、
前記スライドガイドにおける前記開放口の側の辺部の各々に支持されて筒軸方向に延びた状態で前記主フィルタの内面に接する第1清掃体と、
前記カバー体における前記開放口の反対側の辺部に筒軸方向に延びるように設置されて前記予備フィルタの内面に接する第2清掃体と、
を有し、
前記蓋体を開いて前記カバー体を前記ベース体から引き出すことにより、前記主フィルタおよび前記予備フィルタの双方に付着したリントが同時に掻き取られる、リント除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する技術は、家庭用の洗濯乾燥機や衣類乾燥機などに好適なリント除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温風の循環供給によって衣類を乾燥させる洗濯乾燥機や衣類乾燥機(以下、単に乾燥機ともいう)では、衣類の乾燥中に発生するリント(糸屑)は、温風とともに送風経路に入り込む。そのリントが熱交換器に侵入するのを防止するために、通常、送風経路には、リントを取り除くフィルタ(いわゆるリント除去装置)が設置されている。
【0003】
リントフィルタは、2段で構成される場合がある。すなわち、主フィルタと、その下流側に配置される予備フィルタとで構成される。リントのほとんどは主フィルタで捕捉され、予備フィルタは主フィルタを通過する微小かつ少量のリントを捕捉する。予備フィルタはまた、主フィルタが破損してもリントを下流に流出させない機能も果たす。
【0004】
リントフィルタに捕捉されるリント量が多くなると、目詰まりして温風が流れ難くなる。従って、衣類の乾燥を効率的に行うためには、目詰まりしないようにリントフィルタから定期的にリントを除去する必要がある。
【0005】
すなわち、温風の流量が低下すると、ユーザは、乾燥機からリントフィルタを取り出し、ブラシ等でリントフィルタからリントを除去した後、再度、リントフィルタを乾燥機に取り付けるといった作業を行う必要がある。このようなリントフィルタの清掃作業は煩雑で、ユーザの負担となる。リントフィルタが2段であれば、その負担は倍増する。そのため、リントフィルタの清掃作業を簡便化する工夫はこれまでも提案されている。
【0006】
例えば特許文献1では、ダクトから引出可能な円筒状のフィルタの内部に、一回り小径のフィルタ掃除具を収容したリント除去装置が提案されている。フィルタ掃除具の奥方の一端は、ダクトに固定されている。フィルタ掃除具の手前側の他端には、フィルタの内面に摺接する環状のブラシ部が設けられている。
【0007】
フィルタを引き出すのに伴って、ブラシ部がフィルタの内面に沿って摺動する。それにより、フィルタの内面に付着したリントをブラシ部で掻き取ることができる。
【0008】
特許文献2には、2段(バックアップフィルタ部およびフィルタ部材)で構成されたリント除去装置が開示されている。主フィルタに相当するフィルタ部材は、フィルタユニットに円弧状に組み付けられている。予備フィルタに相当するバックアップフィルタ部は、フィルタユニットを収容するダクトに組み付けられている。
【0009】
フィルタユニットには、フィルタカバーを開閉する操作機構と、この操作機構の操作に伴って清掃部材が回動してリントをフィルタユニットから掻き落とす清掃機構とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7-694号公報(
図6,7等)
【特許文献2】特開2019-30506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した特許文献1のリント除去装置は、フィルタ掃除具がダクトに固定されているので、ブラシ部に付着したリントを除去し難い不利がある。その点、特許文献2のリント除去装置は、清掃機構がフィルタユニットに一体化されているので、そのような不利は無い。
【0012】
しかし、特許文献2のリント除去装置は、構造が複雑で、部材コストが高いうえに、リントの噛み込みによる動作不良が発生するおそれがある。
【0013】
また、特許文献1のリント除去装置には予備フィルタが無い。それに対し、特許文献2のリント除去装置にはバックアップフィルタ部が有る。しかし、そのバックアップフィルタ部は、ダクトに組み付けられているため、その清掃は困難である。
【0014】
そこで開示する技術では、比較的簡素な構造でありながら、主フィルタおよび予備フィルタの双方を簡単に清掃できるリント除去装置の実現をめざす。
【課題を解決するための手段】
【0015】
開示する技術は、衣類を乾燥するために温風を循環供給する送風経路に配置されるリント除去装置に関する。
【0016】
前記リント除去装置は、前記送風経路に設置されている熱交換器よりも上流側に設置されているリントフィルタ収容室に着脱可能に収容されるリントフィルタユニットを備える。前記リントフィルタユニットは、前記送風経路を構成する中間経路が内部に設けられているユニット本体と、前記ユニット本体に組み付けられて前記中間経路に面した開放口を開閉する蓋体と、を有している。
【0017】
前記ユニット本体が、前記中間経路に面する主フィルタと、前記主フィルタの下流側に配置される予備フィルタと、前記主フィルタおよび前記予備フィルタの各々に付着したリントを掻き取るリント清掃機構と、を有し、前記リント清掃機構の操作が前記蓋体を開くことによって可能になるように構成されている。
【0018】
すなわち、このリント除去装置によれば、送風経路に設置されている熱交換器よりも上流側に設置されているリントフィルタ収容室に着脱可能に収容されるリントフィルタユニットを備える。従って、リントフィルタユニットでリントを除去することで、熱交換器にリントが侵入するのを防止できる。
【0019】
リントフィルタユニットはリントフィルタ収容室に着脱可能であるので、リントフィルタに付着したリントの清掃もリントフィルタユニットを取り外すことで容易にできる。
【0020】
しかも、リントフィルタユニットは、主フィルタおよび予備フィルタの2段のリントフィルタを備えるので、リントを効果的に除去でき、これらの清掃もまとめてできる。更に、そのリント本体には、これらフィルタの各々に付着したリントを掻き取るリント清掃機構が設けられていて、その操作が蓋体を開くことで可能になる。
【0021】
従って、ユーザはリントフィルタユニットをリントフィルタ収容室から取り出し、蓋体を開いてリント清掃機構を操作するだけで、主フィルタおよび予備フィルタの双方のリント清掃が行える。すなわち、このリント除去装置によれば、比較的簡素な構造でありながら、主フィルタおよび予備フィルタの双方を簡単に清掃できる。
【0022】
前記リント除去装置はまた、前記ユニット本体が、一端が温風導入口として開口するとともに一面が前記開放口として開口する筒形に形成されて前記予備フィルタおよび前記蓋体が周面に設置されている外筒体と、一端が前記温風導入口として開口するとともに一面が前記開放口として開口し、前記外筒体と断面が相似の筒形に形成されて前記予備フィルタに重なるように前記主フィルタが周面に設置されている内筒体と、を更に有し、前記内筒体を前記外筒体に挿入して、前記予備フィルタおよび前記主フィルタが設置されている周面を前記熱交換器に向けた状態で、前記ユニット本体が前記熱交換器に隣接するように配置される、としてもよい。
【0023】
そうすれば、簡単な構造で、主フィルタおよび予備フィルタの双方を、大きな面積で送風経路の流路に面した状態でその上流側および下流側に配置できる。そして、これらフィルタの濾過面を熱交換器に向け、熱交換器に隣接するように配置されるので、フィルタによる流路抵抗があっても、円滑に温風を熱交換器に導入できる。
【0024】
前記リント清掃機構が、前記内筒体に設けられていてその内面に接した状態で前記中間経路を筒軸方向にスライド可能な第1清掃体を有し、前記蓋体を開いて前記第1清掃体を手動でスライドさせることによって前記主フィルタに付着したリントが掻き取られる、としてもよい。
【0025】
そうすれば、第1清掃体を手動でスライドさせるだけで主フィルタに付着したリントを掻き取れる。簡単に主フィルタのリント清掃ができる。
【0026】
前記内筒体を適正位置まで前記外筒体に挿入した時に前記第1清掃体の待機位置からの移動を阻止する規制リブが、前記蓋体の内面に設けられている、としてもよい。
【0027】
そうすれば、蓋体を適正に閉めれば、第1清掃体は規制リブによって待機位置に保持される。従って、第1清掃体が不用意にスライドしたり外筒体に挿入した内筒体がズレたりするのを防止できる。
【0028】
前記内筒体が、前記外筒体に出し入れ可能とされ、前記リント清掃機構が、前記内筒体の挿入先端側の端部の外縁部に設けられていて前記外筒体の内面に接する第2清掃体を有し、前記蓋体を開いて前記内筒体を前記外筒体から引き出すことによって前記予備フィルタに付着したリントが掻き取られる、としてもよい。
【0029】
そうすれば、内筒体を外筒体から引き出すだけで、第2清掃体により、予備フィルタに付着したリントを掻き取れる。簡単に予備フィルタのリント清掃ができる。
【0030】
前記規制リブが筒軸方向に延びるように設けられ、前記内筒体が前記外筒体の適正位置まで挿入されていない場合に、前記第1清掃体と前記規制リブとが接触することによって前記蓋体が閉まらないように構成されている、としてもよい。
【0031】
そうすれば、内筒体を適正位置まで外筒体に挿入し、かつ、第1清掃体を待機位置に位置させなければ、蓋体を完全に閉めることができない。従って、内筒体および第1清掃体の適切かつ確実な取り扱いを確保できる。
【0032】
前記リントフィルタユニットが、前記ユニット本体に組み付けられて前記リントフィルタ収容室からの出し入れ操作を可能にする把手体を更に有し、前記温風導入口が前記把手体の反対側に位置するとともに、前記開放口が前記リントフィルタユニットの下側に位置している、としてもよい。
【0033】
この場合、リント清掃を行うためにはリントフィルタユニットを裏返す必要がある。そのため、リントフィルタユニットをリントフィルタ収容室に収容する際には、リントフィルタユニットを再度、裏返す必要がある。それにより、蓋体は、適切に閉まっていないと大きく開くので、ユーザは蓋体の開閉を確実に判断できる。従って、不用意な誤操作を確実に防止できる。
【0034】
開示する技術を適用したリント除去装置は、次のように変形してもよい。すなわち、前記ユニット本体が、一端が温風導入口として開口するとともに一面が前記開放口として開口する断面扇形の筒形に形成されていて、断面円弧形の周曲面に前記予備フィルタが設置されるとともに前記周曲面に連なる一方の前記一面に前記蓋体が設置されているベース体と、断面円弧形のシート状に形成されていて前記予備フィルタと重なるように前記主フィルタが設置されるとともに前記ベース体の内側に装着されるカバー体と、前記ベース体の両端部に対向状に設置されていて、前記カバー体を当該周曲面に沿ってスライド可能に支持する一対のスライドガイドと、を更に有し、前記リント清掃機構が、前記スライドガイドにおける前記開放口の側の辺部の各々に支持されて筒軸方向に延びた状態で前記主フィルタの内面に接する第1清掃体と、前記カバー体における前記開放口の反対側の辺部に筒軸方向に延びるように設置されて前記予備フィルタの内面に接する第2清掃体と、を有し、前記蓋体を開いて前記カバー体を前記ベース体から引き出すことにより、前記主フィルタおよび前記予備フィルタの双方に付着したリントが同時に掻き取られるように構成する。
【0035】
このリント除去装置においても、2段の主フィルタおよび予備フィルタのリント清掃を簡単に行える。しかも、カバー体をベース体から引き出すだけで、これら双方に付着したリントを同時に掻き取ることができる。従って、効率的にリント清掃が行え、利便性に優れる。
【発明の効果】
【0036】
開示する技術を適用したリント除去装置によれば、比較的簡素な構造でありながら、主フィルタおよび予備フィルタの双方を簡単に清掃できる。従って、ユーザのリント清掃作業の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】開示する技術を適用した衣類乾燥機の構造を説明するための図である。
【
図2】リントフィルタユニットの全体を示す概略斜視図である。
【
図3】リントフィルタユニットを上下逆向きにした概略斜視図である。
【
図4】リントフィルタユニットの分解斜視図である。
【
図5】
図3における矢印Y1ーY1線で示す概略断面図である。
【
図6】
図3における矢印Y2ーY2線で示す概略断面図である。
【
図8】リント除去装置の変形例を説明するための図である。そのリントフィルタユニットの概略斜視図を示している。
【
図9】変形リントフィルタユニットの主なパーツを分解して示す概略斜視図である。
【
図10】
図8における矢印Y3-Y3線で示す断面での概略斜視図である。
【
図11】
図8における矢印Y3-Y3線で示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、開示する技術を説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎない。説明で用いる前後、左右、および上下の方向は各図面に矢印で示す。
【0039】
<適用例>
図1に、開示する技術(リント除去装置)の具体的な適用例として衣類乾燥機1を示す。
図1は、右側方から見た衣類乾燥機1の断面図である。
図1の上部には、衣類乾燥機1の上部の前方から見た断面図(矢印で示す部分)についても別途示している。
【0040】
衣類乾燥機1は、矩形箱形の筐体2を備え、その筐体2に、ドラム3、送風経路4、熱交換器5、送風装置6などが設置されている。筐体2の前面には、ドア7で開閉される円形の投入口2aが形成されている。筐体2の内部には、有底円筒状のドラム3が、その開口を投入口2aと重なるように前方に向けた状態で収容されている。
【0041】
衣類は投入口2aを通じてドラム3に投入される。ドラム3は、図示しない駆動機構により、前後方向に延びる回転軸Jを中心に回転制御されるように構成されている。ドラム3の内部に温風を循環供給するために、ダクトなどで構成された送風経路4が筐体2の内部に設置されている。送風経路4には送風装置6が設置されており、送風装置6の作動により、送風経路4を矢印A1で示す方向に風が流れる。
【0042】
筐体2の上部、詳細には筐体2の左右方向の中間部位であってドラム3の上方の部位に、熱交換器5が設置されている。熱交換器5は、送風経路4の下流側に設置されている。熱交換器5は、圧縮機や蒸発器などとともに、筐体2の内部に設置されているヒートポンプユニット(不図示)を構成している。
【0043】
送風経路4を流れる空気は、熱交換器5を通過することによって加熱および乾燥される。それによって生成される温風がドラム3に供給される。そして、ドラム3から排気される空気が再度、送風経路4に導入されることにより、温風がドラム3に循環供給される。
【0044】
ドラム3から流出する温風には、衣類から脱落したリントが混入する。リントが熱交換器5に侵入するのを防止するため、送風経路4における熱交換器5の上流側にリント除去装置を設置するのが一般的である。
【0045】
そこで、衣類乾燥機1には、熱交換器5よりも上流側の送付経路にリントフィルタ収容室8が設置されている。リントフィルタ収容室8は、略矩形の断面を有する筒形に形成されており、筐体2の上部における熱交換器5の右側に隣接した位置に、前後方向に延びるように配置されている。
【0046】
このリントフィルタ収容室8に、リントフィルタユニット10(開示する技術を適用したリント除去装置を構成)が着脱可能に収容されている。
【0047】
(リントフィルタユニット10)
図2に、リントフィルタユニット10の全体を示す概略斜視図を示す。
図3に、リント清掃時の状態であるリントフィルタユニット10を上下逆向きにした概略斜視図を示す。
図4に、リントフィルタユニット10の主なパーツを分解して示す分解斜視図を示す。
図5に、
図3における矢印Y1ーY1線で示す概略断面図を示す。
図6に、
図3における矢印Y2ーY2線で示す概略断面図を示す。
【0048】
リントフィルタユニット10は、その主なパーツとして、ユニット本体20、蓋体30、および把手体40を有している。ユニット本体20は、リントフィルタ収容室8に嵌合するように断面が略矩形を有する筒形に形成されている。そのユニット本体20の内部に、送風経路4を構成する中間経路21が設けられている。
【0049】
ユニット本体20にはまた、それぞれがリントフィルタを構成する主フィルタ50および予備フィルタ60と、これらの各々に付着したリントを掻き取るリント清掃機構70が設けられているが、これらについては後述する。
【0050】
ユニット本体20の下面には、中間経路21に面するように、そのほぼ全域を開放する開放口22が形成されている。そして、この開放口22を開閉する蓋体30が、ユニット本体20に組み付けられている。蓋体30は、
図4に示すように、開放口22の右側縁部に回動可能に軸支されており、揺動開閉するように構成されている。
【0051】
開放口22の左側縁部の前後方向の中間部位には、係合部23が設けられている。蓋体30のそれに対応した右側縁部には、係合部23に係合するラッチ体31が設けられている。このラッチ体31をユーザが操作することにより、蓋体30は閉じた状態と開いた状態とに操作できる。
【0052】
把手体40は、筐体2の形状に合わせて成形された樹脂成形品であり、ユニット本体20の前端に組み付けられている。リントフィルタユニット10は、把手体40が筐体2の前面に露出するように、把手体40を前方に向けた状態で、ユニット本体20をリントフィルタ収容室8に収容することによって筐体2に装着されている。
【0053】
把手体40の上部の後側には、
図2に示すように、バネで上方に付勢されたクランプ突起11が設けられている。把手体40には、クランプ突起11を下げるレバー43が設けられていて(
図5参照)、このレバー43の操作により、リントフィルタユニット10をリントフィルタ収容室8から引き出すことができる。
【0054】
ユニット本体20の後端は、開放されることによって温風導入口24が形成されている。中間経路21には、この温風導入口24を通じて温風が導入される。ユニット本体20の左側面および上面に至るその周面に、中間経路21に面する主フィルタ50および予備フィルタ60が設置されている。後述するように、予備フィルタ60は主フィルタ50の外側に重なるようにして主フィルタ50の下流側に配置されている。
【0055】
リントを捕捉するフィルタは、1段でもよいが、2段の方が好ましい。そのため、このリントフィルタユニット10には、主フィルタ50および予備フィルタ60の双方が備えられている。リントのほとんどは主フィルタ50で捕捉され、予備フィルタ60は主フィルタ50を通過する微小かつ少量のリントを捕捉する。
【0056】
主フィルタ50と予備フィルタ60のメッシュサイズは同じであってもよいが、予備フィルタ60は主フィルタ50よりもメッシュサイズを小さくしてもよい。そうすれば、捕捉するリントを双方に分散できるので、予備フィルタ60および主フィルタ50の目詰まりを抑制できる。
【0057】
特に、このリント除去装置の場合、主フィルタ50および予備フィルタ60の双方に付着したリントを簡単に除去できるので、リントの分散捕捉に対して有利である。すなわち、予備フィルタ60の清掃頻度が高くてもよい。予備フィルタ60はまた、主フィルタ50が破損してもリントを下流に流出させない機能も果たす。
【0058】
図1に示すように、ユニット本体20は、これら主フィルタ50および予備フィルタ60が設置されている周面を熱交換器5のある下流側に向けた状態で、熱交換器5に沿って延びるように配置されている。それにより、中間経路21に導入される温風は、その流れを前方から左方(詳細には、左斜め上方)に変え、流路断面積を拡大した状態で主フィルタ50および予備フィルタ60を通じて熱交換器5に向かって流れることになる。
【0059】
従って、フィルタによる流路抵抗があっても、円滑に温風を熱交換器5に導入できる。ドラム3の上方に配置されている熱交換器5との相対的な位置関係から、リントフィルタユニット10をリントフィルタ収容室8に収容した状態では、温風導入口24は後側に位置する。つまり筐体2の内側に向くので、送風経路4を配置し易い。
【0060】
そして、開放口22および蓋体30は下側に位置する。リントフィルタユニット10をリントフィルタ収容室8から引き出した時には、これらが下方に向くので、蓋体30の開閉操作は適切に行われることが重要である。
【0061】
図2、
図5に示すように、把手体40は、その下部に開口する差込口41と、差込口41の上部前面を覆う掴み部42と有している。ユーザは、差込口41に指を差し込んで掴み部42を掴むことにより、把手体40を把持できる。ユーザが把手体40を把持することにより、レバー43を操作して、リントフィルタユニット10をリントフィルタ収容室8から出し入れ操作できる。また、リントフィルタ収容室8から取り出したリントフィルタユニット10を保持できる。
【0062】
ユニット本体20は、
図4に示すように、外筒体25とその内部に挿入される内筒体26とで構成されている。
【0063】
外筒体25は、ユニット本体20の外側部分を構成している。従って、外筒体25は、断面が略矩形を有する筒形に形成されていて、その前端に把手体40が組み付けられ、その後端には、温風導入口24として開口する外側端部開口25aが形成されている。そして、その上面には、開放口22として開口する外側辺部開口25bが形成されていて、その外側辺部開口25bの右側縁部に、蓋体30が揺動するように設置されている。
【0064】
外筒体25の右側面は板壁25cによって覆われている。外筒体25の上面から左側面にわたる部分には複数の外側通気窓25dが格子状に形成されている。そして、これら外側通気窓25dの各々を覆うように、シート状の樹脂製メッシュからなる予備フィルタ60が設置されている。予備フィルタ60は、外筒体25の内面に貼り付けられている。
【0065】
内筒体26は、外筒体25と断面が相似していて外筒体25よりも断面が僅かに小さい筒形に形成されている。外筒体25と同様に、内筒体26の後端には、温風導入口24として開口する内側端部開口26aが形成されている。そして、内筒体26の上面には、開放口22として開口する内側辺部開口26bが形成されている。内筒体26の前端は端壁26cによって塞がれている。
【0066】
内筒体26の全長は外筒体25とほぼ同じである。内筒体26の後端には、送風経路4と接合される矩形の接合枠26dが設置されている。内筒体26を外筒体25に挿入し、端壁26cが外筒体25の前端部に突き当たる位置(適正位置)まで挿入した場合に、接合枠26dが外筒体25の外側端部開口25aの外側に接するように形成されている。
【0067】
内筒体26の上面から左側面にわたる部分には、外側通気窓25dと内外に重なり合うように、複数の内側通気窓26eが格子状に形成されている。そして、これら内側通気窓26eの各々を覆うように、シート状の樹脂製メッシュからなる主フィルタ50が設置されている。主フィルタ50は、内筒体26の内面に貼り付けられている。
【0068】
(リント清掃機構70)
主フィルタ50および予備フィルタ60(特に主フィルタ50)に捕捉されるリント量が多くなると、目詰まりして温風が流れ難くなる。従って、これらフィルタ50,60は、定期的に清掃を行って付着したリントを除去する必要がある。
【0069】
しかし、フィルタに付着したリントを除去するリント清掃の作業は煩雑で、ユーザの負担となる。フィルタが2段の場合は尚更である。自動化することも可能であるが、構造が複雑になるしコストアップになる。
【0070】
そこで、ユニット本体20には、主フィルタ50および予備フィルタ60の各々に付着したリントを手動操作で簡単に掻き取ることができ、リント清掃作業を簡単かつ簡便に行えるように、リント清掃機構70が設けられている。
【0071】
リント清掃機構70は、主フィルタ50に付着したリントを掻き取る第1清掃体71を含む第1清掃機構と、予備フィルタ60に付着したリントを掻き取る第2清掃体73を含む第2清掃機構とを有している。
【0072】
(第1清掃機構)
図7に、第1清掃機構を具体的に示す。第1清掃機構は、第1清掃体71、ガイドバー72などで構成されていて、内筒体26に設けられている。
【0073】
ガイドバー72は、内筒体26の前端から後端に延びる3対の金属棒で構成されている。具体的には、内筒体26の左右の上隅部の各々に位置する2本のガイドバー72,72と、下面の横幅方向の略中央部位に位置する1本のガイドバー72とで構成されている。これらガイドバー72の各々の両端部は、内筒体26に設けられたボス部72aに固定されている。
【0074】
第1清掃体71は、前後方向から見て略U形状に形成された樹脂成形品からなる。第1清掃体71は、略板形状をした摘まみ部71aと、摘まみ部71aの上部両端から対向して上方に延びる一対の支持腕部71b,71bとを有している。各支持腕部71bの上端部分には、上部ガイド部71cが形成されている。摘まみ部71aの下縁部には、下部ガイド部71dが形成されている。
【0075】
上部ガイド部71cおよび下部ガイド部71dに各ガイドバー72をスライド可能な状態で挿通することにより、第1清掃体71は、これらガイドバー72によって内筒体26の内部、つまり中間経路21を筒軸方向にスライド可能に支持されている。具体的には、第1清掃体71は、内筒体26の端壁26cに近接した位置(待機位置)と、内側端部開口26aに近接した位置(廃棄位置)との間をスライドする。
【0076】
第1清掃体71はまた、略L形状を有するゴムなどの弾性素材からなる第1スクレパー71eを有している。第1スクレパー71eは、第1清掃体71の左縁部および下縁部にわたる部分に沿って延びるように設置されている。第1スクレパー71eは、第1清掃体71を内筒体26に組み付けることで、その先端部分が、主フィルタ50が設置されている内筒体26の内面に圧接するように構成されている。
【0077】
蓋体30を開いた状態で、摘まみ部71aを摘まんで第1清掃体71を手動で待機位置から廃棄位置までスライドさせる。そうすることにより、主フィルタ50に付着したリントは、第1スクレパー71eによって掻き取られ、内側端部開口26aを通じて内筒体26の内部から廃棄できる。このとき、内側端部開口26aはリントの廃棄口として利用される。
【0078】
第1清掃体71の操作は、リントフィルタユニット10をリントフィルタ収容室8から取り出し、裏向けた状態で蓋体30を開くことによって可能になる。
【0079】
すなわち、内筒体26を適正位置まで外筒体25に挿入した時に第1清掃体71の待機位置からの移動を阻止する規制リブ32が、蓋体30の内面に設けられている。
【0080】
図4、
図5に示すように、規制リブ32は、蓋体30の内面から垂下する板状に形成されている。規制リブ32は、筒軸方向に沿って延びるように蓋体30の左縁部寄りの部位に設けられている。蓋体30を閉めた状態では、規制リブ32の突端は、第1清掃体71の左側の支持腕部71bの上端よりも下方に位置するように構成されている。
【0081】
そうして、規制リブ32の前端側には、第1清掃体71の左側の支持腕部71bが入り込む凹部33が設けられている。それにより、内筒体26が外筒体25に適正位置まで挿入されていて、かつ、第1清掃体71が待機位置に位置している状態では、左側の支持腕部71bの上端部分は凹部33に入り込み、規制リブ32の前端はその上端部分の後側に近接した状態となる。
【0082】
従って、蓋体30を閉めた状態では、第1清掃体71は待機位置から後方にスライドできない。蓋体30を開くことで、第1清掃体71は待機位置から後方にスライドできる。その結果、不用意に第1清掃体71が移動するのを防止できる。
【0083】
更に、内筒体26が外筒体25の適正位置まで挿入されていない場合には、第1清掃体71と規制リブ32とが接触することによって蓋体30が閉まらないように構成されている。
【0084】
上述したように、蓋体30を閉めた状態では、規制リブ32の突端は、第1清掃体71の左側の支持腕部71bの上端よりも下方に位置するように構成されている。従って、内筒体26が外筒体25の適正位置まで挿入されていない場合には、左側の支持腕部71bの上端部分は凹部33に入り込まないので、蓋体30が閉まるまでに、規制リブ32の突端が左側の支持腕部71bの上端に突き当たる。蓋体30は半開きの状態になり、完全に閉めることはできない。
【0085】
その結果、内筒体26を適正位置まで外筒体25に挿入し、かつ、第1清掃体71を待機位置に位置させなければ、蓋体30を完全に閉めることができない。従って、内筒体26および第1清掃体71の適切かつ確実な取り扱いを確保できる。
【0086】
(第2清掃機構)
図6、
図7に示すように、第2清掃機構は、内筒体26に設けられた第2清掃体73によって構成されている。第2清掃体73は、略L形状を有するゴムなどの弾性素材からなる。すなわち、第2清掃体73は第2スクレパー73を構成している(以下、第2スクレパー73ともいう)。
【0087】
第2スクレパー73は、内筒体26の挿入先端側の端部の外縁部(左縁部および下縁部にわたる部分)に沿って延びるように設置されている。第2スクレパー73は、内筒体26を外筒体25に入れ込むことで、その先端部分が、予備フィルタ60が設置されている外筒体25の内面に圧接するように構成されている。
【0088】
従って、内筒体26を外筒体25から引き出すことにより、予備フィルタ60に付着したリントは、第2スクレパー73によって掻き取られ、外側端部開口25aを通じて内筒体26の内部から廃棄できる。このとき、外側端部開口25aはリントの廃棄口として利用される。
【0089】
第2清掃体73の操作、つまり内筒体26を外筒体25から引き出すことは、リントフィルタユニット10をリントフィルタ収容室8から取り出し、蓋体30を開くことによって可能になる。規制リブ32により、内筒体26は第1清掃体71とともに移動が規制されているからである。
【0090】
蓋体30は、リントフィルタユニット10をリントフィルタ収容室8から取り出さないと、開くことができない。そして、リントの清掃を行うためにはリントフィルタユニット10を裏返す必要がある。ユーザは、リントフィルタユニット10の下側を上方に向け、その状態で蓋体30を開く。そうして、温風導入口24のあるユニット本体20の後端部をゴミ箱などの上方に配置して、第1清掃体71をスライドおよび/または内筒体26を引き出し操作する。
【0091】
そうすることで、主フィルタ50および/または予備フィルタ60に付着したリントを掻き取って簡単に廃棄できる。蓋体30は、内筒体26を適正位置まで外筒体25に挿入し、かつ、第1清掃体71を待機位置に位置決めしないと閉められない。つまり蓋体30は半開きの状態になる。
【0092】
リントフィルタユニット10をリントフィルタ収容室8に収容するためには、リントフィルタユニット10を裏返す必要がある。蓋体30が下向くので、蓋体30は、適切に閉まっていないと大きく開く。それにより、リントフィルタユニット10をリントフィルタ収容室8に収容する際、ユーザは蓋体30の開閉を確実に判断できる。従って、不用意な誤操作を確実に防止できる。
【0093】
このように、開示する技術を適用したリント除去装置によれば、蓋体30を開いて第1清掃体71を引き出し操作することで、主フィルタ50に付着したリントを掻き取って内側端部開口26aを通じて廃棄できる。蓋体30を開いて内筒体26を引き出し操作することで、予備フィルタ60に付着したリントを掻き取って外側端部開口25aを通じて廃棄できる。
【0094】
蓋体30を開くことによって可能になる同じような手動操作により、ほぼ同時に、しかもほぼ同じ場所から廃棄できるので、煩雑な2段のフィルタのリントの清掃が簡単かつ簡便に行える。
【0095】
<リント除去装置の変形例>
図8から
図11に、リント除去装置の変形例を示す。本変形例のリント除去装置は、リントフィルタ収容室8の位置が左右逆の衣類乾燥機1への適用例を示している。すなわち、リントフィルタ収容室8は、筐体2の上部における熱交換器5の左側に隣接した位置に配置されている。
【0096】
図8は、本変形例のリント除去装置が備えるリントフィルタユニット10(変形リントフィルタユニット10A)である。
図8の上図は、リントフィルタ収容室8から引き出した状態(上向きの状態)を示し、
図8の下図はリント清掃時の状態(下向きの状態)を示している。
図9は、変形リントフィルタユニット10Aの主なパーツを分解して示す概略斜視図である。
図10は、
図8における矢印Y3-Y3線で示す断面での概略斜視図である。
図11は、
図8における矢印Y3-Y3線で示す概略断面図である。
【0097】
変形リントフィルタユニット10Aの基本的な構造は、上述したリントフィルタユニット10と同じである。従って、変形リントフィルタユニット10Aの構成うち、リントフィルタユニット10と同じ機能の構成は、同じ符号を用いてその説明は省略ないし簡略化する。ただし、同じ機能で一部構造が異なるものについては、その名称に「変形」を付し、符号に「A」を付して区別する。
【0098】
変形リントフィルタユニット10Aも、その主なパーツとして、ユニット変形本体20A、蓋変形体30A、および把手体40を有している。ユニット変形本体20Aにはまた、主変形フィルタ50Aおよび予備変形フィルタ60A、並びに、これらの各々に付着したリントを掻き取るリント変形清掃機構70Aも設けられている。
【0099】
ユニット変形本体20Aの下面には開放口22が形成されていて、この開放口22を開閉する蓋変形体30Aが、ユニット変形本体20Aに組み付けられている。開放口22の右側縁部の左右に離れた2箇所には、掛止部80が設けられている。蓋変形体30Aのそれに対応した右側縁部には、掛止部80に掛け止められる一対のフック体81が設けられている。このフック体81をユーザが操作することにより、蓋変形体30Aは閉じた状態と開いた状態とに操作できる。
【0100】
把手体40は、ユニット変形本体20Aの前端に組み付けられている。ユニット変形本体20Aの後端には温風導入口24が形成されている。ユニット変形本体20Aの右側面および上面に至るその周面に主変形フィルタ50Aおよび予備変形フィルタ60Aが設置されている。
【0101】
ユニット変形本体20Aには、内筒体26および外筒体25に代えて、ベース体83およびカバー体84が設けられている。
【0102】
図8、
図11などに示すように、ベース体83は、外筒体25に相当するパーツである。ベース体83は、断面扇形の筒形に形成されている。その後端が温風導入口24として開口している。ベース体83の上面部から右側部にわたる範囲に断面円弧状の周曲面83aが設けられ、ベース体83の下面および左側面は略平坦面となっている。
【0103】
そして、ベース体83の下面が開放口22として開口しており、その下面に、開放口22を開閉する蓋変形体30Aが設置されている。予備変形フィルタ60Aは、ベース体83の周曲面83aに設置されている。
【0104】
ベース体83の前後の両端部には、一対のスライドガイド85,85が対向状に設置されている。各スライドガイド85は、前後方向から見て、周曲面83aに沿って延びる円弧状の形状を有している。
【0105】
カバー体84は、ベース体83の内側に着脱可能に装着されるパーツである。カバー体84は、予備変形フィルタ60Aの内側に重なるように、周曲面83aと略同じ形状及び大きさを有する断面円弧形のシート状に形成されている。カバー体84に主変形フィルタ50Aが設置されている。
【0106】
カバー体84は、その両端部が一対のスライドガイド85,85によって支持された状態でベース体83に装着される。カバー体84の下側の辺部(開放口22の側の辺部)の前後方向の中央部位には、凸部86が設けられている。カバー体84は、凸部86を摘まんで開放口22を通じて引き出すことができ、それにより、カバー体84は周曲面83aに沿ってスライドしながらベース体83から抜き出すことができる。
【0107】
リント変形清掃機構70Aは、主変形フィルタ50Aのリントを掻き取る第1変形清掃体71Aと、予備変形フィルタ60Aのリントを掻き取る第2変形清掃体73Aとを有している。
【0108】
第1変形清掃体71Aは、弾性素材からなる第1変形スクレパーを構成している。第1変形スクレパー71Aは、各スライドガイド85における下側の辺部(開放口22の側の辺部)の各々の間に架設された支持部材に支持されて、ベース体83の前端から後端まで筒軸方向に延びている。第1変形スクレパー71Aの先端部分は、主変形フィルタ50Aの内面に圧接するように配置されている。
【0109】
第2変形清掃体73Aは、弾性素材からなる第2変形スクレパーを構成している。第2変形スクレパー73Aは、カバー体84における上側の辺部(開放口22の反対側の辺部)に、カバー体84の前端から後端まで筒軸方向に延びるように設置されている。第2変形スクレパー73Aの先端部分は、予備変形フィルタ60Aの内面に圧接するように配置されている。
【0110】
従って、
図11に示すように、蓋変形体30Aを開いた後、矢印A2の方向に、カバー体84をベース体83から引き出す。そうすることにより、主変形フィルタ50Aおよび予備変形フィルタ60Aの双方に付着したリントが同時に掻き取られる。詳細には、カバー体84の引き出し操作に伴い、第1変形スクレパー71Aが主変形フィルタ50Aの内面に圧接した状態でその下縁部から上縁部に摺接するので、主変形フィルタ50Aの全面に付着したリントが掻き取られ、第2変形スクレパー73Aが予備変形フィルタ60Aの内面に圧接した状態でその上縁部から下縁部に摺接するので、予備変形フィルタ60Aの全面に付着したリントが掻き取られる。
【0111】
蓋変形体30Aを開いてカバー体84をベース体83から引き出すだけで、主変形フィルタ50Aおよび予備変形フィルタ60Aのリントを掻き取れる。従って、本変形例のリント除去装置でも、煩雑な2段のフィルタのリント清掃が簡単かつ簡便に行える。
【0112】
なお、開示する技術は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0113】
開示する技術は、衣類乾燥機に限らず、温風を循環供給することによって衣類を乾燥する装置であれば、適用できる。例えば、開示する技術は洗濯乾燥機に適用してもよい。熱交換器に対するリントフィルタ収容室の位置は左右いずれであってもよい。上述したように、その位置に応じてリントフィルタの位置を変更すればよい。
【符号の説明】
【0114】
1 衣類乾燥機
2 筐体
2a 投入口
3 ドラム
4 送風経路
5 熱交換器
6 送風装置
8 リントフィルタ収容室
10 リントフィルタユニット
20 ユニット本体
21 中間経路
22 開放口
24 温風導入口
25 外筒体
26 内筒体
30 蓋体
31 ラッチ体
32 規制リブ
33 凹部
40 把手体
50 主フィルタ
60 予備フィルタ
70 リント清掃機構
71 第1清掃体
71e 第1スクレパー
73 第2清掃体(第2スクレパー)