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特開2024-46234電子機器、キャリブレーション方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046234
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】電子機器、キャリブレーション方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 17/28 20060101AFI20240327BHJP
   G01C 17/38 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
G01C17/28 C
G01C17/38 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151494
(22)【出願日】2022-09-22
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】大村 竜義
(57)【要約】
【課題】高い利便性を維持しつつ、地磁気センサのキャリブレーションに起因する電力の消費をより抑制することができる電子機器、キャリブレーション方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】電子機器1は、地磁気データを検出する地磁気センサ211を備える電子機器であって、所定の活動に関連付けられた所定の活動モードを含む複数種類の使用モードが設定可能であり、前記使用モードが前記所定の活動に関連付けられた前記所定の活動モードであると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始する処理部30を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地磁気データを検出する地磁気センサを備える電子機器であって、
前記電子機器は、所定の活動に関連付けられた所定の活動モードを含む複数種類の使用モードが設定可能であり、
前記使用モードが前記所定の活動に関連付けられた前記所定の活動モードであると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始する処理部を備える電子機器。
【請求項2】
前記使用モードは、複数種類の活動に関連付けられた複数種類の活動モードを含み、
前記複数種類の活動モードの各々は、各活動モードにおける方位の表示の有無を示す情報が少なくとも関連付けられていて、
前記処理部は、
前記活動モードが、前記方位の表示があるとの情報が関連付けられた活動モードである場合に、前記キャリブレーションを開始する
請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記使用モードは、複数種類の活動に関連付けられた複数種類の活動モードを含み、
前記複数種類の活動モードの各々は、各活動モードにおける方位の表示以外での地磁気データの利用の有無を示す情報が少なくとも関連付けられていて、
前記処理部は、
前記活動モードが、前記方位の表示以外での地磁気データの利用があるとの情報が関連付けられた活動モードである場合に、前記キャリブレーションを開始する
請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記使用モードは、所定の活動に関連付けられていない所定の非活動モードを含み、
前記所定の非活動モードが、方位計測モードであると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始する処理部を備える
請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記処理部は、前記使用モードが前記所定の活動に関連付けられていない活動モードであると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始しない
請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
地磁気データを検出する地磁気センサを備える電子機器であって、
前記電子機器は、複数種類の使用モードが設定可能であり、
前記電子機器に設定された前記複数種類の使用モードのうちの何れかの使用モードが、前記地磁気センサによって検出された地磁気データを利用するモードである場合に、前記地磁気センサのキャリブレーションを開始する処理部を備える電子機器。
【請求項7】
前記処理部は、前記電子機器に設定された前記複数種類の使用モードのうちの何れかの使用モードが、前記地磁気センサによって検出された地磁気データを利用しないモードである場合に、前記キャリブレーションを行わない
請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記処理部は、前記電子機器に設定された前記複数種類の使用モードのうちの何れかの使用モードにおいて、方位の表示があると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始する
請求項6記載の電子機器。
【請求項9】
前記処理部は、前記電子機器に設定された前記複数種類の使用モードのうちの何れかの使用モードにおいて、方位の表示以外での地磁気データの利用があると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始する
請求項6記載の電子機器。
【請求項10】
前記使用モードは、所定の活動に関連付けられた所定の活動モードを含み、
前記所定の活動モードにおいて方位の表示があると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始する
請求項6記載の電子機器。
【請求項11】
前記使用モードは、所定の活動に関連付けられた所定の活動モードを含み、
前記所定の活動モードにおいて方位の表示以外での地磁気データの利用があると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始する
請求項6記載の電子機器。
【請求項12】
前記使用モードは、所定の活動に関連付けられていない所定の非活動モードを含み、
前記所定の非活動モードが方位計測モードであると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始する処理部を備える
請求項6に記載の電子機器。
【請求項13】
前記使用モードは、ユーザ操作によって選択される請求項1に記載の電子機器。
【請求項14】
前記地磁気センサによって検出された地磁気データを利用するモードである前記活動モードでは、選択により前記地磁気センサによって検出された地磁気データに基づいた方位が表示される請求項1~13の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項15】
前記地磁気センサによって検出された地磁気データを利用するモードである前記活動モードでは、方位の表示を伴わずに前記地磁気センサによって検出された地磁気データが利用される請求項1~13の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項16】
前記地磁気センサによって検出された地磁気データを利用するモードである前記活動モードでは、前記地磁気センサによって検出された地磁気データをその活動モードにおける利用態様によって利用する前に、前記キャリブレーションを完了する請求項1~13の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項17】
前記処理部は、前記地磁気センサによって検出された地磁気データを利用するモードである前記活動モードにおいて、前記キャリブレーションを開始した場合、該活動モードが異なる前記使用モードに切り替わるまで前記キャリブレーションを繰り返す請求項1~13の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項18】
角速度データを検出するジャイロセンサを更に備え、
前記処理部は、前記キャリブレーションを行うと判定した場合に、前記ジャイロセンサによって検出された前記角速度データを用いた前記キャリブレーションを開始し、前記角速度データを用いた前記キャリブレーションによるキャリブレーション精度が所定の精度を満足する場合、又は前記角速度データを用いた前記キャリブレーションによるキャリブレーション精度が所定の精度を満足せず、かつ前記キャリブレーションを行うと判定してから所定の時間経過した場合に、前記角速度データを用いずに前記キャリブレーションを行う請求項1~13の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項19】
地磁気データを検出する地磁気センサを備える電子機器が実行するキャリブレーション方法であって、
前記電子機器は、所定の活動に関連付けられた所定の活動モードを含む複数種類の使用モードが設定可能であり、
前記使用モードが前記所定の活動に関連付けられた前記所定の活動モードであると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始する処理ステップを含むキャリブレーション方法。
【請求項20】
地磁気データを検出する地磁気センサを備え、所定の活動に関連付けられた所定の活動モードを含む複数種類の使用モードが設定可能である電子機器のコンピュータに、前記使用モードが前記所定の活動に関連付けられた前記所定の活動モードであると判定した場合に、前記地磁気センサのキャリブレーションを開始する処理機能を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、キャリブレーション方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地磁気センサを用いて方位測定を行う電子機器において、磁場環境の変化を補正するために地磁気センサのキャリブレーションを行う必要がある。この地磁気センサのキャリブレーションに関する技術を開示する文献として、例えば特許文献1がある。特許文献1には、前回のキャリブレーションからの経過時間、歩行動作の継続時間、及び、使用モードが時刻モードであることを条件に、磁気センサを起動してキャリブレーションを行うウェアラブル機器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-153805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、磁気センサを起動してキャリブレーションを行う際、使用モードに関する情報以外にも、前回のキャリブレーションからの経過時間や歩行動作の継続時間などを、判定条件として取得する必要があり、処理が煩雑であった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、地磁気センサのキャリブレーションを開始するための処理を簡素化することができる電子機器、キャリブレーション方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の電子機器は、地磁気データを検出する地磁気センサを備える電子機器であって、前記電子機器は、所定の活動に関連付けられた所定の活動モードを含む複数種類の使用モードが設定可能であり、前記使用モードが前記所定の活動に関連付けられた前記所定の活動モードであると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始する処理部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、地磁気センサのキャリブレーションを開始するための処理を簡素化することができる電子機器、キャリブレーション方法及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る電子機器の外観を例示する概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電子機器のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る電子機器の機能的構成のうち、キャリブレーションを行うための機能的構成を示す機能ブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る電子機器が記憶するテーブルの一例であり、アクティビティログモードの各活動モードにおける地磁気データの利用の有無及びキャリブレーションの実行の有無を示すテーブルである。
図5】本発明の一実施形態に係る電子機器が記憶するテーブルの一例であり、基本時計モードの各非活動モードにおけるキャリブレーションの実行の有無を示すテーブルである。
図6】本発明の一実施形態に係る電子機器の処理部が実行するキャリブレーション制御処理のうちキャリブレーションを行うか否かを判定する処理の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係る電子機器の処理部が実行するキャリブレーション制御処理のうちキャリブレーションを行うと判定された後に実行されるキャリブレーションの一例を示すフローチャートである。
図8】本発明の他の実施形態に係る電子機器の処理部が実行するキャリブレーション制御処理のうちキャリブレーションを行うか否かを判定する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
第1実施形態
まず、本発明の第1実施形態に係る電子機器1について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る電子機器1の外観を例示する概略図である。
【0011】
電子機器1は、後述する地磁気センサ211を備え、周辺の磁場の影響によるオフセットを補正するためのキャリブレーションを実行する情報処理装置である。電子機器1は、例えばユーザの手首に装着されるスマートウォッチ等の腕時計型のウェアラブル端末であってもよく、ユーザが携帯可能なスマートフォンやタブレット等のモバイル端末であってもよい。本実施形態の電子機器1は、図1に示すように、腕時計型のウェアラブル端末である。
【0012】
次に、電子機器1のハードウェアの構成について説明する。図2は、電子機器1のハードウェアの構成例を示すブロック図である。電子機器1は、図2に示すように、プロセッサ10と、ROM(Read Only Memory)11と、RAM(Random Access Memory)12と、バス13と、入出力インターフェース14と、入力部15と、出力部16と、通信部17と、記憶部18と、バッテリ19と、GNSS部20と、センサ部21とを備える。
【0013】
プロセッサ10は、電子機器1の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピュータの中枢部分であり、各種演算及び処理などを行う。プロセッサ10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、SoC(System on a Chip)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等である。或いは、プロセッサ10は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサ10は、これらにハードウェアアクセラレーターなどを組み合わせたものあっても良い。
【0014】
プロセッサ10は、ROM11又はRAM12等に記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、電子機器1の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサ10は、プログラムに基づく後述の処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサ10の回路内に組み込まれていても良い。
【0015】
プロセッサ10、ROM11及びRAM12は、バス13を介して相互に接続されている。このバス13にはまた、入出力インターフェース14も接続されている。入出力インターフェース14には、入力部15、出力部16、通信部17、記憶部18及びバッテリ19が接続されている。
【0016】
入力部15は、各種ボタンやタッチパネル等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。入力部15は、例えば、電子機器1について後述する各種の使用モードを切り替えるモード変更ボタン等で構成される。
【0017】
出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。出力部16は、例えば、ディスプレイの表示画面等に現在の時刻や方位等の情報を表示する処理を実行する。なお、入力部15及び出力部16は、タッチパネルのように表示機能と入力機能が一体的な構成であってもよい。
【0018】
通信部17は、Bluetooth等の近距離無線通信(NFC)用の通信モジュール、携帯電話網、インターネット等の通信ネットワークとの通信を行うための通信モジュール等を備え、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等の外部装置との通信機能を提供する。電子機器1は、外部装置から各種プログラム、データ等を受信して、記憶部18に格納しておくことができる。
【0019】
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリで構成され、電子機器1の種々のデータを保存する装置である。記憶部18には、例えば電子機器1の機能を実現するためのプログラム、及びそのプログラムの実行に使用するデータの記憶領域を提供している。また、記憶部18は、後述する各種の使用モードとこれらの使用モード中のキャリブレーションの実行との対応関係を示すテーブルやセンサ部21によって検出された各種データ等を記憶する。なお、記憶部18は、通信部17を介してネットワークに接続されている状態においては所定のサーバ装置側の記憶領域を含むものであってもよい。
【0020】
バッテリ19は、電子機器1の各部位に電力を供給する。例えば、バッテリ19は、二次電池によって構成される。
【0021】
GNSS部20は、位置情報を取得するための測位情報取得部である。GNSSは、Global Navigation Satellite Systemの略称であり、GNSS部20はGPS等の衛星測位システムを利用する。GNSS部20は、アンテナを含み、複数の測位衛星から送信される測位衛星信号を受信し、受信した測位衛星信号をプロセッサ10に送信する。プロセッサ10は、GNSS部20から受信した測位衛星信号に基づいて、自身の位置を特定する。
【0022】
センサ部21は、地磁気センサ211と、ジャイロセンサ212と、温度センサ213と、圧力センサ214と、を備える。なお、センサ部21は、これらのセンサの他、電子機器1で実行される処理に必要な各種センサを適宜備えることができる。
【0023】
地磁気センサ211は、磁場(磁界)の大きさ及び向きを示す地磁気データを検出するセンサである。具体的には、地磁気センサ211は、磁気抵抗素子(MR素子)等を有し、互いに直交する3軸方向のそれぞれにおける地磁気の強さを測定することで地磁気データを検出する。地磁気センサ211は、検出した地磁気データをプロセッサ10に出力する。
【0024】
ジャイロセンサ212は、電子機器1の角速度を示す角速度データを検出するセンサである。具体的には、ジャイロセンサ212は、互いに直交する3軸方向のそれぞれにおける角速度を測定することで角速度データを検出する。ジャイロセンサ212は、検出した角速度データをプロセッサ10に出力する。
【0025】
温度センサ213は、サーミスタ等を有し、電子機器1の周囲の気温を示す気温データを検出するセンサである。温度センサ213は、検出した気温データをプロセッサ10に出力する。
【0026】
圧力センサ214は、圧電素子等を有し、大気の圧力を示す気圧データを検出するセンサである。圧力センサ214は、検出した気圧データをプロセッサ10に出力する。
【0027】
次に、電子機器1の各種の使用モードについて説明する。電子機器1には、複数の使用モードが設定される。使用モードは、主にユーザが行なう活動が関連付けられた活動モードとしてのアクティビティログモードと、ユーザが行なう活動が関連付けられていない非活動モードとしての基本時計モードと、に区分される。アクティビティログモードとは、ランニング、ウォーキング等の身体を動かしているユーザの動作に応じた処理が実行される使用モードである。基本時計モードとは、ユーザの動作に関わらずに電子機器1が動作するモードである。
【0028】
基本時計モードには、複数の非活動モードが存在する。本実施形態では、基本時計モードには、現在の時刻を表示する時刻表示モードと、気圧を計測する気圧計測モードと、気温を計測する温度計測モードと、高度を計測する高度計測モードと、方位を計測する方位計測モードと、が存在する。
【0029】
時刻表示モードは、出力部16に現在時刻を表示する非活動モードであり、電子機器1を普通の時計として用いる場合の通常の使用モードである。電子機器1は、起動すると、使用モードのデフォルト設定として時刻表示モードで動作を開始させる。
【0030】
気圧計測モードは、圧力センサ214で気圧データを検出して出力部16に表示する非活動モードである。気圧計測モードでは、電子機器1は例えば1分毎に気圧を計測及び表示し、1分経過すると時刻表示モードに戻る。
【0031】
温度計測モードは、温度センサ213で気温データを計測して出力部16に表示する非活動モードである。温度計測モードでは、例えば1分毎に気温を計測及び表示し、1分経過すると時刻表示モードに戻る。
【0032】
高度計測モードは、圧力センサ214で周囲大気の気圧を計測して、その気圧の計測値を現在地の高度に換算して、出力部16に高度を表示する非活動モードである。高度計測モードでは、例えば1分毎に気圧を計測して高度を表示し、1分経過すると時刻表示モードに戻る。
【0033】
方位計測モードは、地磁気センサ211で地磁気データを検出して出力部16にコンパスのように北方位を表示する非活動モードである。具体的には、方位計測モードでは、地磁気センサ211によって地磁気データが検出され、プロセッサ10によって該地磁気データに基づいて方位に関する方位情報が特定される。そして、プロセッサ10は、特定した方位情報を出力部16に送信し、方位が出力部16に表示される。即ち、方位計測モードは、地磁気センサ211によって検出された地磁気データを利用するモードである。方位計測モードでは、例えば1秒毎に方位計測及び北方位表示を行い、1分経過すると時刻表示モードに戻る。
【0034】
アクティビティログモードには、複数の活動モードが存在する。本実施形態では、アクティビティログモードには、例えば、RUNモード、WALKモード、BIKEモード、Trekkingモード、Treadmillモード、SWIMモード、TENNISモード等が存在する。
【0035】
RUNモードは、ユーザが行なうランニングの動作に関連付けられた活動モードである。RUNモードでは、電子機器1を装着してランニングしているユーザに適した処理が実行される。
【0036】
WALKモードは、ユーザが行なう歩行動作に関連付けられた活動モードである。WALKモードでは、電子機器1を装着してウォーキングしているユーザに適した処理が実行される。
【0037】
BIKEモードは、自転車に乗るユーザの運転動作に関連付けられた活動モードである。BIKEモードでは、電子機器1を装着して自転車を運転しているユーザに適した処理が実行される。
【0038】
Trekkingモードは、ユーザが行なうトレッキングの動作に関連付けられた活動モードである。Trekkingモードでは、電子機器1を装着してトレッキングを行っているユーザに適した処理が実行される。
【0039】
Treadmillモードは、トレッドミルを用いてウォーキング又はランニングを行っているユーザの動作に関連付けられた活動モードである。Treadmillモードでは、トレッドミルを用いて、一定の地点に留まってウォーキング又はランニングの運動を行っているユーザに適した処理が実行される。
【0040】
SWIMモードは、ユーザが行なう水泳の動作に関連付けられた活動モードである。SWIMモードでは、電子機器1を装着して泳いでいるユーザに適した処理が実行される。
【0041】
TENNISモードは、ユーザが行なうテニスの動作に関連付けられた活動モードである。TENNISモードでは、テニスをしているユーザに適した処理が実行される。
【0042】
RUNモードやWALKモード、BIKEモード、Trekkingモードで実行される処理としては、例えば、電子機器1を装着するユーザの移動軌跡や移動速度、移動距離、ユーザが存在する位置を示す自己位置情報、その位置における方位等の情報の特定や出力部16への表示等が挙げられる。例えば自己位置情報は、GNSS部20によって検出された測位衛星信号と、地磁気センサ211によって検出された地磁気データとに基づいて特定される。また例えばユーザの移動軌跡は、連続的に取得された自己位置情報の時間変化に基づいて特定される。また例えばユーザが存在する位置における方位は、地磁気センサ211によって検出される地磁気データに基づいて特定される。
【0043】
また、出力部16に表示される情報は、ユーザ操作により選択されてもよい。例えばRUNモードにおいてランニング中のユーザは、入力部15を介して出力部16にユーザの移動軌跡や移動速度、移動距離を表示させることや自己位置情報や方位を表示させることもできる。このように、RUNモード、WALKモード、BIKEモード、Trekkingモードは、地磁気センサ211によって検出された地磁気データを利用するモードである。なお、本実施形態では、使用モードがRUNモード、WALKモード、BIKEモード、Trekkingモード等に切り替わると、GNSS部20が自動で起動する。
【0044】
一方で、Treadmillモードでは、ユーザが位置を変えずに同じ方向を向き、トレッドミルのベルトの上でウォーキングやランニングを行うことを想定しているので、方位の特定や表示の処理は実行されない。
【0045】
SWIMモードでは、基本的には水泳中のユーザによる方位の確認は行われないと考えられるため、方位を表示させる機能は設定されない。ただし、屋外の湖沼、海等で遠泳をする場合など、特定のシチュエーションにおいては、地磁気データが活用される場合もありうる。また、SWIMモードでは、通常、GNSS部20が起動している場合のみ、ユーザの移動軌跡や移動速度、移動距離等が実行される。
【0046】
TENNISモードでは、ユーザが手足を動かしているものの、移動軌跡や方位を確認する必要性が低い。このため、本実施形態に係るTENNISモードでは、地磁気センサ211によって検出された地磁気データを利用しない。
【0047】
ここで、地磁気センサ211による地磁気の計測値は、地磁気センサ211周囲部品の着磁等、電子機器1の周囲の環境によって異なる。このため、正確な地磁気データを取得するためには、地磁気センサ211を使用する前に地磁気センサ211のキャリブレーションを行う必要がある。上述したように、電子機器1には、地磁気データを利用するモードや利用しないモード等の種々の使用モードが存在する。このため、地磁気データの使用が想定されていない場合に、地磁気センサ211のキャリブレーションを行っても不要に消費電力を増加させることになる。本実施形態に係る電子機器1は、利便性を維持しつつ、地磁気センサ211のキャリブレーションに起因する電力の消費を抑制することができるキャリブレーション制御処理を実行する。
【0048】
次に、電子機器1のキャリブレーション制御処理を実行する機能的構成について説明する。図3は、電子機器1のキャリブレーション制御処理を実行する機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0049】
電子機器1の各種の制御を行う処理部30は、演算処理を実行するプロセッサ10によって実現される。本実施形態の処理部30は、地磁気データ取得部31と、角速度データ取得部32と、入力受付部33と、モード選択部34と、キャリブレーション開始判定部35と、キャリブレーション実行部36と、ジャイロセンサ制御部37と、を備える。
【0050】
地磁気データ取得部31は、地磁気センサ211によって検出され、出力された地磁気データを取得する処理を実行する。
【0051】
角速度データ取得部32は、ジャイロセンサ212によって検出され、出力された角速度データを取得する処理を実行する。
【0052】
入力受付部33は、入力部15を介した外部からの入力を受け付ける処理を実行する。入力受付部33は、例えば入力部15を介してユーザ操作により選択された使用モードに関する情報を受け付ける処理を実行する。
【0053】
モード選択部34は、入力受付部33によって受け付けられた使用モードに関する情報に基づいて、電子機器1の使用モードをユーザ操作により選択された使用モードに切り替える処理を実行する。即ち、電子機器1の使用モードはユーザ操作によって選択される。
【0054】
キャリブレーション開始判定部35は、電子機器1の使用モードに基づいて地磁気センサ211のキャリブレーションを行うか否かを判定する処理を実行する。例えばキャリブレーション開始判定部35は、使用モードが地磁気センサ211によって検出された地磁気データを利用するモードである場合に、キャリブレーションを行うと判定する。
【0055】
図4は、電子機器1が記憶するテーブルの一例であり、アクティビティログモードの各活動モードにおける地磁気データの利用の有無及びキャリブレーションの実行の有無を示すテーブルT1である。具体的には、図4には、各使用モードにおける方位の表示処理の実施の有無、方位の表示以外で地磁気データを使用する処理の実施の有無、キャリブレーションの実施の有無等の情報が示されている。方位の表示以外で地磁気データを使用する処理としては、例えば測位衛星信号と地磁気データとに基づいてユーザの自己位置情報を特定する処理や特定した自己位置情報を表示する処理、ユーザの移動軌跡や移動速度等を特定し、表示する処理等の種々の処理が挙げられる。
【0056】
本実施形態にあっては、キャリブレーション開始判定部35は、例えば記憶部18に格納されたテーブルT1を参照して、現在設定されている電子機器1の使用モードが地磁気センサ211のキャリブレーション動作又は非動作のいずれを指定しているかに基づいて、キャリブレーション実行の要否を判定する。あるいは、キャリブレーション開始判定部35は、テーブルT1を参照して、現在設定されている電子機器1の使用モードが方位を表示するモードであるか否か、又は方位の表示以外で地磁気データを利用するモードであるか否かを判定することにより、キャリブレーション実行の要否を判定するとしてもよい(後者のキャリブレーション開始判定部35の動作については、後出の第2実施形態に関して説明する)。例えば、RUNモードは、方位の表示処理が実施されるので、キャリブレーションを行うと判定される。SWIMモードでは、方位の表示以外での地磁気データの使用がある場合にキャリブレーションを行うと判定される。なお、SWIMモードであっても本実施形態が適用される電子機器1の使用態様(遠泳のような状況で着用されることがない等)によっては地磁気データを利用しない場合も考えられるので、そのような場合は「地磁気データの使用なし、キャリブレーション非動作」と設定すればよい。一方で、方位の表示も方位の表示以外での地磁気データの使用もないTENNISでは、キャリブレーションを行わないと判定される。なお、図4には、各使用モードについて、方位の表示の有無、方位の表示以外での地磁気データ使用の有無の項目が設けられているが、本実施形態においては、各使用モードについてキャリブレーションの動作を行うかどうかが対応付けられていれば足りる。方位の表示の有無、方位の表示以外での地磁気データ使用の有無の項目は、後出の第2実施形態において利用される。
【0057】
本実施形態では、キャリブレーション開始判定部35は、使用モードが基本時計モードである場合、アクティビティログモードの場合と同様に、現在設定されている電子機器1の使用モードが地磁気センサ211のキャリブレーション動作又は非動作のいずれを指定しているかを判定することにより、キャリブレーション実行の要否を判定する。あるいは、キャリブレーション開始判定部35は、使用モードが基本時計モードである場合、ユーザが方位計測モードを選択するとキャリブレーションを行うと判定するとしてもよい。後者のキャリブレーション開始判定部35の動作については、後出の第2実施形態に関して説明する。図5に、基本時計モードの各非活動モードにおけるキャリブレーションの実行の有無を示すテーブルT2を例示している。図5に示すように、基本時計モードでは、使用モードが方位計測モードの場合のみキャリブレーションが行われる。基本時計モードの各使用モードは、ユーザによる入力部15を介した入力操作によって選択される。
【0058】
キャリブレーション実行部36は、キャリブレーション開始判定部35によって地磁気センサ211のキャリブレーションを行うと判定した場合に、キャリブレーションを開始する。キャリブレーション実行部36は、地磁気センサ211によって検出された地磁気データを利用するモードである活動モードにおいてキャリブレーションを開始した場合、該活動モードが異なる使用モードに切り替わるまでキャリブレーションを繰り返してもよい。またキャリブレーション実行部36は、活動モードにおいて地磁気データをキャリブレーション以外で利用する前に、地磁気センサ211のキャリブレーションを完了する構成としてもよい。例えばキャリブレーション実行部36は、活動モードにおいて方位や移動軌跡の特定や表示の処理が開始される前に、地磁気センサ211のキャリブレーションを完了する構成としてもよい。
【0059】
次に、地磁気センサ211のキャリブレーションの方法について説明する。本実施形態では、地磁気センサ211のキャリブレーションは、角速度データを用いる高速キャリブレーション又は角速度データを用いない通常キャリブレーションによって実施される。以下の説明において、高速キャリブレーションと通常キャリブレーションを区別することなく呼ぶ場合には、単にキャリブレーションと呼ぶ。
【0060】
キャリブレーション実行部36は、例えば、活動モードにおいてキャリブレーション開始判定部35がキャリブレーションを行うと判定した場合に、高速キャリブレーションを開始し、高速キャリブレーションによるキャリブレーション精度が所定の精度を満足した場合、ジャイロセンサ212を停止し、通常キャリブレーションを行ってもよい。また、キャリブレーション実行部36は、活動モードにおいてキャリブレーション開始判定部35がキャリブレーションを行うと判定した場合に、高速キャリブレーションを開始し、キャリブレーション開始判定部35がキャリブレーションを行うと判定してから所定の時間経過した場合に、高速キャリブレーションを停止し、通常キャリブレーションを行ってもよい。本実施形態では、キャリブレーション開始判定部35によってキャリブレーションを行うと判定されると、高速キャリブレーションが開始され、高速キャリブレーションによるキャリブレーション精度が所定の精度を満足している場合、又は高速キャリブレーションによるキャリブレーション精度が所定の精度に満たない場合であっても、キャリブレーションを行うと判定されてから所定の時間経過した場合に、高速キャリブレーションが停止され、通常キャリブレーションが行われる。高速キャリブレーションによるキャリブレーション精度とは、例えば複数の原点のバラツキの度合いであってもよい。原点のバラツキが少ない方が、キャリブレーション精度が高いことになる。キャリブレーションを行うと判定されてから所定の時間とは、例えば60秒間であってもよく、60秒間より短くてもよく、60秒間よりも長くてもよい。なお、所定の時間は、ユーザ操作によって変更可能である。
【0061】
ジャイロセンサ制御部37は、キャリブレーション実行部36の指示に応じて、ジャイロセンサ212の起動又は停止を実行する。具体的には、ジャイロセンサ制御部37は、キャリブレーション実行部36が高速キャリブレーションを行う場合、ジャイロセンサ212の電源をオンの状態とし、通常キャリブレーションを行う場合、ジャイロセンサ212の電源をオフの状態とする。
【0062】
次に、本実施形態において電子機器1の処理部30が実行するキャリブレーションの一例について、図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、電子機器1の処理部30が実行するキャリブレーション制御処理のうちキャリブレーションを行うか否か判定する処理の一例を示すフローチャートである。処理部30は、例えば、電子機器1が起動すると、キャリブレーション制御処理を実行する。
【0063】
図6に示すようにステップS10において、処理部30のキャリブレーション開始判定部35は、現在選択されている使用モードがアクティビティログモードであるか否かを判定する。キャリブレーション開始判定部35は、電子機器1の使用モードがアクティビティログモードでない場合(ステップS10ではNO)、処理をステップS15に移行させる。一方で、キャリブレーション開始判定部35は、電子機器1の使用モードがアクティビティログモードである場合(ステップS10ではYES)、処理をステップS11に移行させる。キャリブレーション開始判定部35は、電子機器1の使用モードがアクティビティログモードでないと判定した場合(ステップS10ではNO)、処理を後出のステップS15に移行させる。
【0064】
ステップS11において、キャリブレーション開始判定部35は、現在選択されている使用モードを取得する。次いで、ステップS12において、キャリブレーション開始判定部35は、記憶部18に格納されている、アクティビティログモードに関するテーブルT1を参照する。ステップS13において、キャリブレーション開始判定部35は、取得した前記使用モードに対応してキャリブレーション動作が指定されているか否かを判定する。キャリブレーション開始判定部35は、現在選択されている使用モードに対してキャリブレーション実行が指定されていると判定した場合(ステップS13でYES)、処理をステップS14に移行させて地磁気センサ211のキャリブレーションを実行し、その後図6の処理を終了する。。一方で、キャリブレーション開始判定部35は、現在選択されている使用モードにキャリブレーション実行が指定されていないと判定した場合(ステップS13でNO)、ステップS10の処理に戻る。
【0065】
電子機器1の使用モードがアクティビティログモードでないと判定した場合(ステップS10ではNO)、ステップS15において、処理部30のキャリブレーション開始判定部35は、現在選択されている使用モードが基本時計モードであるか否かを判定する。キャリブレーション開始判定部35は、電子機器1の使用モードが基本時計モードでないと判定した場合(ステップS15ではNO)、ステップS10の処理に戻る。一方で、キャリブレーション開始判定部35は、電子機器1の使用モードが基本時計モードであると判定した場合(ステップS15ではYES)、処理をステップS16に移行させる。
【0066】
ステップS16において、キャリブレーション開始判定部35は、現在選択されている使用モードを取得する。次いで、ステップS17において、キャリブレーション開始判定部35は、記憶部18に格納されている、基本時計モードに関するテーブルT2を参照する。ステップS13において、キャリブレーション開始判定部35は、取得した前記使用モードに対応してキャリブレーション動作が指定されているか否かを判定する。キャリブレーション開始判定部35は、現在選択されている使用モードに対してキャリブレーション実行が指定されていると判定した場合(ステップS13でYES)、処理をステップS14に移行させて地磁気センサ211のキャリブレーションを実行し、その後図6の処理を終了する。一方で、キャリブレーション開始判定部35は、現在選択されている使用モードにキャリブレーション実行が指定されていないと判定した場合(ステップS13でNO)、ステップS10の処理に戻る。
【0067】
次に、図6において地磁気センサ211のキャリブレーションを開始すると決定された場合に実行される処理について、図7を参照して説明する。図7は、電子機器1の処理部30が実行するキャリブレーション制御処理のうちキャリブレーションを行うと判定された後に実行されるキャリブレーションの処理の一例を示すフローチャートである。
【0068】
ステップS20において、処理部30のキャリブレーション実行部36は、ジャイロセンサ212が起動しているか否かを判定する。キャリブレーション実行部36は、ジャイロセンサ212が起動していないと判定した場合(ステップS20でNO)、処理をステップS21に移行させる。そして、ステップS21において、キャリブレーション実行部36は、ジャイロセンサ制御部37にジャイロセンサ212を起動するよう指示する。この結果、ジャイロセンサ212がジャイロセンサ制御部37の制御によって起動する。一方で、キャリブレーション実行部36は、ジャイロセンサ212が起動していると判定した場合(ステップS20でYES)、ステップS21を介さずに処理をステップS22に移行させる。
【0069】
ステップS22において、キャリブレーション実行部36は、高速キャリブレーションを実行する。このとき、補正時間カウンタによる時間の計測が行なわれていない場合、補正時間カウンタによる時間の計測を開始する。
【0070】
ステップS23において、キャリブレーション実行部36は、ステップS22でキャリブレーションが行なわれた地磁気センサ211によって地磁気データの異常値が検出されたか否かを判定する。キャリブレーション実行部36は、例えば検出された地磁気データが所定の閾値を超えた場合、地磁気データの異常値が検出されたと判定する。キャリブレーション実行部36は、地磁気データの異常値が検出されたと判定した場合(ステップS23でYES)、処理をステップS24に移行させる。そして、ステップS24において、キャリブレーション実行部36は、補正時間カウンタを0にリセットし、処理をステップS21に戻す。これにより、再び高速キャリブレーションが実行させる。一方で、キャリブレーション実行部36は、ステップS22でキャリブレーションが行なわれた地磁気センサ211によって地磁気データの異常値が検出されていないと判定した場合(ステップS23でNO)、処理をステップS25に移行させる。
【0071】
ステップS25において、キャリブレーション実行部36は、地磁気センサ211のキャリブレーション精度が所定の精度を満足しているか否かを判定する。キャリブレーション実行部36は、例えばキャリブレーション中に特定された複数の原点のバラツキの度合いによってキャリブレーション精度を特定してもよい。キャリブレーション実行部36は、地磁気センサ211のキャリブレーション精度が所定の精度に満たない場合(ステップS25でYES)、処理をステップS26に移行させる。そして、ステップS26において、キャリブレーション実行部36は、ステップS22でキャリブレーションを開始してから所定の時間経過したか否かを判定する。キャリブレーション実行部36は、所定の時間経過したと判定した場合(ステップS26でYES)、処理をステップS27に移行させ、所定の時間経過していないと判定した場合(ステップS26でNO)、処理をステップS22に戻す。一方で、キャリブレーション実行部36は、地磁気センサ211のキャリブレーション精度が所定の精度を満足している場合(ステップS25でNO)、ステップS26を介さずに処理をステップS27に移行させる。
【0072】
ステップS27において、キャリブレーション実行部36は、ジャイロセンサ制御部37にジャイロセンサ212を停止するよう指示する。この結果、ジャイロセンサ212がジャイロセンサ制御部37の制御によって停止する。
【0073】
ステップS28において、キャリブレーション実行部36は、通常キャリブレーションを実行する。
【0074】
ステップS29において、キャリブレーション実行部36は、ステップS28でキャリブレーションが行なわれた地磁気センサ211によって地磁気データの異常値が検出されたか否かを判定する。キャリブレーション実行部36は、地磁気データの異常値が検出されていないと判定した場合(ステップS29でNO)、処理をステップS28に戻す。一方で、キャリブレーション実行部36は、地磁気データの異常値が検出されたと判定した場合(ステップS29でNO)、処理をステップS30に移行させる。そして、ステップS30において、キャリブレーション実行部36は、補正時間カウンタを0にリセットし、処理をステップS21に戻す。これにより、再び角速度データを用いた地磁気センサ211のキャリブレーションが実行させる。図7に示すキャリブレーション実行部36によるキャリブレーションの処理は、キャリブレーション開始判定部35によって地磁気センサ211のキャリブレーションを実行すると判定された使用モードが完了するまで繰り返される。
【0075】
第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、電子機器1の使用モードに応じて地磁気センサ211のキャリブレーションを実施するか否かを判定するためにキャリブレーション開始判定部35が実行する処理が、第1実施形態と異なる。そこで、第1実施形態における図6の処理に対応する処理について図8を参照して説明し、他の同一の構成要素、処理についての説明は省略する。図8は、第2実施形態において、電子機器1の処理部30が実行するキャリブレーション制御処理のうちキャリブレーションを行うか否か判定する処理の一例を示すフローチャートである。
【0076】
図8に示すようにステップS40において、処理部30のキャリブレーション開始判定部35は、現在選択されている使用モードがアクティビティログモードであるか否かを判定する。キャリブレーション開始判定部35は、電子機器1の使用モードがアクティビティログモードでないと判定した場合(ステップS40ではNO)、処理をステップS44に移行させる。一方で、キャリブレーション開始判定部35は、電子機器1の使用モードがアクティビティログモードであると判定した場合(ステップS40ではYES)、処理をステップS41に移行させる。
【0077】
ステップS41において、キャリブレーション開始判定部35は、現在選択されている活動モードに方位の表示を行う処理があるか否かを判定する。例えばキャリブレーション開始判定部35は、記憶部18に格納され、各活動モードにおいて方位の表示処理を実行させるか否かが示されたテーブルT1を参照し、現在選択されている活動モードに方位の表示を行う処理があるかを判定する。キャリブレーション開始判定部35は、現在選択されている活動モードに方位の表示を行う処理があると判定した場合(ステップS41でYES)、処理をステップS43に移行させる。一方で、キャリブレーション開始判定部35は、現在選択されている活動モードに方位の表示を行う処理がないと判定した場合(ステップS41でNO)、処理をステップS42に移行させる。
【0078】
ステップS42において、キャリブレーション開始判定部35は、方位の表示を行う処理以外で地磁気データを利用するか否かを判定する。キャリブレーション開始判定部35は、地磁気データを利用すると判定した場合(ステップS42でYES)、処理をステップS43に移行させる。一方で、キャリブレーション開始判定部35は、地磁気データを利用しないと判定した場合(ステップS42でNO)、処理をステップS40に戻す。
【0079】
アクティビティログモードでないと判定された場合のステップS44において、キャリブレーション開始判定部35は、現在の電子機器1の使用モードが基本時計モードであるか否かを判定する。キャリブレーション開始判定部35は、使用モードが基本時計モードであると判定した場合(ステップS44でYES)、処理をステップS45に移行させる。一方で、キャリブレーション開始判定部35は、使用モードが基本時計モードでないと判定した場合(ステップS44でNO)、処理をステップS40に戻す。このとき、電子機器1の使用モードが基本時計モードやアクティビティログモードでもないモードに設定されている。例えば、電子機器1の使用モードは、外部と通信を行う通信モードに設定されている。
【0080】
ステップS45において、キャリブレーション開始判定部35は、現在の電子機器1の非活動モードが方位計測モードであるか否かを判定する。キャリブレーション開始判定部35は、非活動モードが方位計測モードであると判定した場合(ステップS45でYES)、処理をステップS43に移行させる。一方で、キャリブレーション開始判定部35は、非活動モードが方位計測モードでないと判定した場合(ステップS45でNO)、処理をステップS40に戻す。
【0081】
ステップS43において、キャリブレーション実行部36は、地磁気センサ211のキャリブレーションを開始する。
【0082】
以上説明したように、上記の実施形態に記載された電子機器1は、地磁気データを検出する地磁気センサ211を備える電子機器であって、前記電子機器は、所定の活動に関連付けられた所定の活動モードを含む複数種類の使用モードが設定可能であり、前記使用モードが前記所定の活動に関連付けられた前記所定の活動モードであると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始する処理部30を備える。
【0083】
これにより、地磁気センサのキャリブレーションを開始するための処理を簡素化することができる。
【0084】
前記使用モードは、複数種類の活動に関連付けられた複数種類の活動モードを含み、前記複数種類の活動モードの各々は、各活動モードにおける方位の表示の有無を示す情報が少なくとも関連付けられていて、処理部30は、前記活動モードが、前記方位の表示があるとの情報が関連付けられた活動モードである場合に、前記キャリブレーションを開始するとしてもよい。
【0085】
これにより、方位の表示があるとの情報が関連付けられた活動モードである場合に、地磁気センサ211のキャリブレーションを開始させることができるので、キャリブレーション後のより正確な地磁気データを利用して方位を表示することができる。
【0086】
前記使用モードは、複数種類の活動に関連付けられた複数種類の活動モードを含み、前記複数種類の活動モードの各々は、各活動モードにおける方位の表示以外での地磁気データの利用の有無を示す情報が少なくとも関連付けられていて、処理部30は、前記活動モードが、前記方位の表示以外での地磁気データの利用があるとの情報が関連付けられた活動モードである場合に、前記キャリブレーションを開始するとしてもよい。
【0087】
これにより、方位の表示以外での地磁気データの利用があるとの情報が関連付けられた活動モードである場合に、地磁気センサ211のキャリブレーションを開始させることができるので、キャリブレーション後のより正確な地磁気データを利用でき、利便性を向上できる。
【0088】
前記使用モードは、所定の活動に関連付けられていない所定の非活動モードを含み、処理部30は、前記所定の非活動モードが、方位計測モードであると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始するとしてもよい。
【0089】
これにより、前記所定の非活動モードが、方位計測モードであると判定した場合に、地磁気センサ211のキャリブレーションを開始させることができるので、キャリブレーション後のより正確な地磁気データを利用して方位計測を行うことができる。
【0090】
処理部30は、前記使用モードが前記所定の活動に関連付けられていない活動モードであると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始しないとしてもよい。
【0091】
これにより、前記使用モードが前記所定の活動に関連付けられていない活動モードである場合に、キャリブレーションを行わないので、消費電力をより確実に抑制できる。
【0092】
また、上記の実施形態による電子機器1は、地磁気データを検出する地磁気センサ211を備えた電子機器であって、前記電子機器は、複数種類の使用モードが設定可能であり、電子機器1に設定された前記複数種類の使用モードのうちの何れかの使用モードが、地磁気センサ211によって検出された地磁気データを利用するモードである場合に、地磁気センサ211のキャリブレーションを開始する処理部30を備える。
【0093】
これにより、電子機器1の使い方に応じて自動的にキャリブレーションを行うか判定するので、電子機器1の高い利便性を維持しつつ、キャリブレーションによる電力の消費をより抑制できる。
【0094】
処理部30は、電子機器1に設定された前記複数種類の使用モードのうちの何れかの使用モードが、地磁気センサ211によって検出された地磁気データを利用しないモードである場合に、前記キャリブレーションを行わないとしてもよい。
【0095】
これにより、地磁気データを利用しないモードである場合に、キャリブレーションを行わないので、消費電力をより確実に抑制できる。
【0096】
処理部30は、電子機器1に設定された前記複数種類の使用モードのうちの何れかの使用モードにおいて、方位の表示があると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始するとしてもよい。
【0097】
これにより、キャリブレーション後の地磁気センサ211によって検出された地磁気データに基づいた方位を表示できる。
【0098】
処理部30は、電子機器1に設定された前記複数種類の使用モードのうちの何れかの使用モードにおいて、方位の表示以外での地磁気データの利用があると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始するとしてもよい。
【0099】
これにより、方位の表示以外での地磁気データの利用があると判定した場合に、地磁気センサ211のキャリブレーションを開始させることができるので、キャリブレーション後のより正確な地磁気データを利用でき、利便性を向上できる。
【0100】
前記使用モードは、所定の活動に関連付けられた所定の活動モードを含み、処理部30は、前記所定の活動モードにおいて方位の表示があると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始するとしてもよい。
【0101】
これにより、キャリブレーション後の地磁気センサ211によって検出された地磁気データに基づいた方位を表示できる。
【0102】
前記使用モードは、所定の活動に関連付けられた所定の活動モードを含み、処理部30は、前記所定の活動モードにおいて方位の表示以外での地磁気データの利用があると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始するとしてもよい。
【0103】
これにより、所定の活動モードにおいて方位の表示以外での地磁気データの利用があると判定した場合に、地磁気センサ211のキャリブレーションを開始させることができるので、キャリブレーション後のより正確な地磁気データを利用でき、利便性を向上できる。
【0104】
前記使用モードは、所定の活動に関連付けられていない所定の非活動モードを含み、処理部30は、前記所定の非活動モードが方位計測モードであると判定した場合に、前記キャリブレーションを開始するとしてもよい。
【0105】
これにより、前記所定の非活動モードが、方位計測モードであると判定した場合に、地磁気センサ211のキャリブレーションを開始させることができるので、キャリブレーション後のより正確な地磁気データを利用して方位計測を実施できる。
【0106】
前記使用モードは、ユーザ操作によって選択されるとしてもよい。
【0107】
これにより、確実にユーザの意図に沿った使用モードを選択できる。
【0108】
前記地磁気センサによって検出された地磁気データを利用するモードである前記活動モードでは、選択により地磁気センサ211によって検出された地磁気データに基づいた方位が表示されるとしてもよい。
【0109】
これにより、キャリブレーション後の地磁気センサ211によって検出された地磁気データに基づいた方位を表示できる。
【0110】
地磁気センサ211によって検出された地磁気データを利用するモードである前記活動モードでは、方位の表示を伴わずに地磁気センサ211によって検出された地磁気データが利用されるとしてもよい。
【0111】
これにより、キャリブレーションが実行された地磁気センサ211によって検出された高い精度の地磁気データに基づく種々の情報を提供できる。
【0112】
地磁気センサ211によって検出された地磁気データを利用するモードである前記活動モードでは、地磁気センサ211によって検出された地磁気データをその活動モードにおける利用態様によって利用する前に、前記キャリブレーションを完了するとしてもよい。
【0113】
これにより、キャリブレーション後の地磁気センサ211によって検出された地磁気データを利用したサービスをより確実にユーザに提供できる。
【0114】
処理部30は、地磁気センサ211によって検出された地磁気データを利用するモードである前記活動モードにおいて、前記キャリブレーションを開始した場合、該活動モードが異なる前記使用モードに切り替わるまで前記キャリブレーションを繰り返すとしてもよい。
【0115】
これにより、活動モード中に繰り返し地磁気センサ211のキャリブレーションが実施されるので、ユーザが移動しており、ユーザの周囲の磁場環境が変化する場合であっても、継続して精度の高い地磁気データを利用したサービスを提供することができる。
【0116】
電子機器1は、角速度データを検出するジャイロセンサ212を更に備え、処理部30は、前記キャリブレーションを行うと判定した場合に、ジャイロセンサ212によって検出された前記角速度データを用いた前記キャリブレーションを開始し、前記角速度データを用いた前記キャリブレーションによるキャリブレーション精度が所定の精度を満足する場合、又は前記角速度データを用いた前記キャリブレーションによるキャリブレーション精度が所定の精度を満足せず、かつ前記キャリブレーションを行うと判定してから所定の時間経過した場合に、前記角速度データを用いずに前記キャリブレーションを行うとしてもよい。
【0117】
これにより、初めにジャイロセンサ212を用いてより高速で精度が高いキャリブレーションを行い、ある程度精度の高いキャリブレーションが実施された後又は所定の時間経過後にジャイロセンサ212を用いずにキャリブレーションを行う。よって、消費電力を抑制しつつ、より確実に地磁気センサ211のキャリブレーションを行うことができる。、
【0118】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0119】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、図3の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が電子機器1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図3の例に限定されない。
【0120】
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成しても良いし、ソフトウェア単体で構成しても良いし、それらの組み合わせで構成しても良い。本実施形態における機能的構成は、演算処理を実行するプロセッサによって実現され、本実施形態に用いることが可能なプロセッサには、シングルプロセッサ、マルチプロセッサ及びマルチコアプロセッサ等の各種処理装置単体によって構成されるものの他、これら各種処理装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の処理回路が組み合わせられたものを含む。
【0121】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0122】
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0123】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディアは、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu-ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図3の記憶部18に含まれるハードディスク等で構成される。
【0124】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0125】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0126】
1 電子機器
10 プロセッサ
11 ROM
12 RAM
18 記憶部
30 処理部
211 地磁気センサ
212 ジャイロセンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8