(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046235
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】水洗式便器
(51)【国際特許分類】
E03D 11/02 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
E03D11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151496
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 彩音
(72)【発明者】
【氏名】上田 卓臣
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039AD00
2D039AD01
2D039DB00
(57)【要約】
【課題】取付部材を便器本体に容易に取り付けることが可能な水洗式便器を提供する。
【解決手段】便鉢部21を有する便器本体20と、前記便器本体20に取り付けられる取付部材50と、を備え、前記便器本体20は、前記取付部材50を配置する配置空間40を形成する壁部23を有し、前記便鉢部21を洗浄する洗浄水は、前記配置空間40を通って前記便鉢部21に流入するものであり、前記壁部23は、前記洗浄水の流路方向に沿った面28Sに、前記取付部材50を固定する固定部35を具備している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便鉢部を有する便器本体と、前記便器本体に取り付けられる取付部材と、を備え、
前記便器本体は、前記取付部材を配置する配置空間を形成する壁部を有し、
前記便鉢部を洗浄する洗浄水は、前記配置空間を通って前記便鉢部に流入するものであり、
前記壁部は、前記洗浄水の流路方向に沿った面に、前記取付部材を固定する固定部を具備している、水洗式便器。
【請求項2】
前記固定部は、前記壁部を貫通する貫通孔である、請求項1に記載の水洗式便器。
【請求項3】
前記取付部材は、前記固定部に挿入されるリブを有している、請求項2に記載の水洗式便器。
【請求項4】
前記取付部材は、洗浄水を通す通水部材であり、
前記固定部は、前記通水部材の下流端の流出口よりも上流側に設けられている、請求項1に記載の水洗式便器。
【請求項5】
前記壁部は、前記便器本体の外面の一部を形成する外面壁部を有し、
前記固定部は、前記外面壁部を内外方向に貫通している、請求項1に記載の水洗式便器。
【請求項6】
前記外面壁部の外側に配置され、前記固定部を外側から覆う部材を備えている、請求項5に記載の水洗式便器。
【請求項7】
前記外面壁部は、前記便器本体の上面を形成する上面部である、請求項5から請求項6までの何れか一項に記載の水洗式便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水洗式便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水洗式便器の後端部には、各種の部品が取り付けられる。例えば下記特許文献1には、取付部品の一例として、ディストリビュータと称されるホース状部材を便器本体の後端部に取り付けることが記載されている。ホース状部材は、水洗式便器の施工時に、例えば両面テープ等によって便器本体に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような水洗式便器において、取付部材を便器本体に容易に取り付けたい、という要望があった。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、取付部材を便器本体に容易に取り付けることが可能な水洗式便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の水洗式便器は、便鉢部を有する便器本体と、前記便器本体に取り付けられる取付部材と、を備え、前記便器本体は、前記取付部材を配置する配置空間を形成する壁部を有し、前記便鉢部を洗浄する洗浄水は、前記配置空間を通って前記便鉢部に流入するものであり、前記壁部は、前記洗浄水の流路方向に沿った面に、前記取付部材を固定する固定部を具備しているものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】水洗式便器を示す断面図であって、
図1のA-A位置における断面に相当する断面図
【
図3】水洗式便器を示す一部拡大断面図であって、
図1のB-B位置における断面に相当する断面図
【
図4】水洗式便器を示す一部拡大断面図であって、
図2のC-C位置における断面に相当する断面図
【
図5】水洗式便器を示す一部拡大断面図であって、
図4のD-D位置における断面に相当する断面図
【
図6】水洗式便器を示す一部拡大断面図であって、
図4のE-E位置における断面に相当する断面図
【
図7】水洗式便器を示す一部拡大断面図であって、
図4のF-F位置における断面に相当する断面図
【
図8】水洗式便器を示す一部拡大断面図であって、
図4のG-G位置における断面に相当する断面図
【
図9】他の実施形態(1)に係る水洗式便器を示す一部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態>
水洗式便器10は、
図1及び
図2に示すように、便器本体20及び便器本体20に取り付けられる通水部材50を備えている。水洗式便器10は、トイレルームの床面に設置される。便器本体20は、便鉢部21、トラップ部22及び壁部23を有している。便鉢部21、トラップ部22及び壁部23は、陶器原料を用いて一体に成形されている。
【0009】
以下、各構成部材において、便鉢部21が設けられている側を前側、通水部材50が取り付けられている側を後側、トイレルームの床面に設置した状態における床面側を下側、その反対側を上側、水洗式便器10を前側から見て右側を右側、左側を左側とする。各図においてX軸の正方向側は右側、X軸の負方向側は左側、Y軸の正方向側は上側、Y軸の負方向側は下側、Z軸の正方向側は前側、Z軸の負方向側は後側を示す。Y軸は、鉛直方向に延びている。
【0010】
便鉢部21は、上方に開口している。便鉢部21は、便器本体20の前部に設けられている。便鉢部21は、立面部24、鉢面部25及び溜水部26を備えている。立面部24及び鉢面部25は、環状に連続している。立面部24は、便鉢部21の上端部に設けられている。立面部24は、鉛直に近い角度で立っている。鉢面部25は、立面部24の下側に繋がっている。鉢面部25は、溜水部26に向けて下り勾配で傾斜している。溜水部26は、鉢面部25の下側に繋がっている。溜水部26の底部の後方領域には、トラップ部22の入口が形成されている。トラップ部22は、便鉢部21の下流側に形成されている。トラップ部22は、便鉢部21から汚物を排出するための排水路を構成する。
【0011】
便器本体20は、
図3に示すように、便鉢部21に向けて洗浄水を吐水する吐水口27A,27Bを有している。吐水口27A,27Bは、立面部24の後側領域に形成されている。吐水口27A,27Bは、便器本体20の左右方向中心を基準に左側と右側とに一ずつ設けられている。吐水口27A,27Bから便鉢部21に吐水された洗浄水は、平面視において反時計回りで旋回する。
【0012】
左側の吐水口27Aは、Z軸に平行な前側からみると、横長の形状である。左側の吐水口27Aは、上下方向よりも左右方向に長いスリット形状である。左側の吐水口27Aの上面と下面とは互いに平行である。左側の吐水口27Aの上下方向の寸法は、立面部24の高さ寸法の半分以下である。右側の吐水口27Bは、Z軸に平行な前側から見ると縦長の形状である。右側の吐水口27Bは、左側を向いている。右側の吐水口27Bの上下方向の寸法は、左側の吐水口27Bの上下方向の寸法と同等である。
【0013】
壁部23は、
図1及び
図4に示すように、通水部材50を配置する配置空間40を形成している。壁部23は、上面部28、前壁部29、下壁部31、左右の側壁部32、左右の内壁部45及び後壁部33を有している。上面部28は、便器本体20の上面の一部を形成している。左右の側壁部32は、便器本体20の左右側面の後部を形成している。後壁部33は、便器本体20の後面の上端部を形成している。上面部28、左右の側壁部32及び後壁部33は、便器本体20の外面の一部を形成する外面壁部である。
【0014】
配置空間40の上側には、図示しない機能部が取り付けられる。機能部は、洗浄タンク、便座、局部洗浄機能を有する装置等、各種機能部品を備えている。便鉢部21を洗浄する洗浄水は、配置空間40の通水部材50を通って吐水口27A,27Bから便鉢部21に流入する。
【0015】
配置空間40は、
図1に示すように、便器本体20の後部に設けられている。配置空間40は、開口部41と閉塞部42A,42Bとを有している。開口部41の上面は、開放されている。開口部41は、便器本体20の後端部において左右方向に広がっている。開口部41の左右方向の寸法は、開口部41の前後方向の寸法よりも大きい。開口部41は、前壁部29と後壁部33と左右の側壁部32とによって囲まれている(
図4参照)。
【0016】
閉塞部42A,42Bは、開口部41よりも前側に形成されている。閉塞部42A,42Bは、左右に一対設けられている。左右の閉塞部42A,42Bはそれぞれ、開口部41の左右両端部から前方に延びている。閉塞部42A,42Bは、前後方向に細長い空間である。各閉塞部42A,42Bは、吐水口27A,27Bに連通している。閉塞部42A,42Bの上面は、上面部28によって閉塞されている。
【0017】
上面部28は、
図2に示すように、便鉢部21の上端から開口部41の前端まで広がっている。上面部28には、便座の取付穴34が左右に間隔をあけて設けられている(
図1参照)。左右の取付穴34は、左右の閉塞部42A,42Bの間に形成されている。取付穴34は、上面部28を上下方向に貫通している。各取付穴34は、円筒状をなしている。各取付穴34には、機能部を固定するボルト等の固定具が挿通される。
【0018】
上面部28には、
図1に示すように、通水部材50を固定する固定部35が設けられている。固定部35は左右に一対設けられている。左右の固定部35はそれぞれ、左右の閉塞部42A,42Bの真上に位置している。左右の固定部35はいずれも、前後方向において吐水口27A,27Bよりも開口部41に近い位置に配置されている。固定部35は、上側から見ると、円形状をなしている。各固定部35の径寸法は、取付穴34の径寸法よりも小さい。
【0019】
固定部35は、
図5及び
図6に示すように、上面部28の下面28Sから上面部28の上面28Uまで上面部28を上下方向に貫通する貫通孔である。上面部28の下面28Sは、洗浄水の流路方向に沿った面である。洗浄水の流路方向とは、通水部材50を流れる洗浄水の流れの方向である。洗浄水の流路方向は、後述する第2管部54A,54Bの延び方向と同じである。洗浄水の流路方向に沿った面は、上面部28の下面28S、下壁部31の上面、左右の側壁部32の内面、左右の内壁部45のうち側壁部32との対向面、及び後壁部33の前面である。
【0020】
前壁部29は、
図4に示すように、開口部41の前面を形成している。前壁部29は、左右の閉塞部42A,42Bの後端位置において、左右方向に延びている。前壁部29の左右両端と左右の側壁部32との間には、開口部41から閉塞部42A,42Bへの入り口36が形成されている。
【0021】
左右の側壁部32は、上面部28の左右両端から略鉛直に垂下している。左右の側壁部32は、開口部41から閉塞部42A,42Bまで延びている。左右の内壁部45は、閉塞部42A,42Bを形成している。左右の内壁部45は、前壁部29の左右両端部から前方に延びている。
【0022】
下壁部31は、
図7に示すように、配置空間40の下面を形成している。下壁部31は、左右方向の中央部44から左右方向の両端に向けて下がる第1傾斜部37を有している。中央部44の左右方向の寸法は、前方に向かって小さくなっている。
図3に示すように、第1管部53より前側では、中央部44において左右の第1傾斜部37の上端同士が交差している。
【0023】
下壁部31は、
図5及び
図6に示すように、後側から前側に向けて下がる第2傾斜部38を有している。第2傾斜部38は、開口部41から左右の吐水口27A,27Bまで形成されている。
【0024】
下壁部31には、
図3に示すように、2つの突部39が設けられている。2つの突部39は、便器本体20の左右方向中心を基準に右側と左側とに一ずつ配置されている。各突部39を正面側から見ると三角形状をなしている。各突部39の左右の側面は、上端に向かって互いに接近している。
【0025】
通水部材50は、
図3及び
図4に示すように、洗浄水の流入口51と洗浄水の流出口52とを有している。流入口51は、第1管部53の上端に形成されている。流入口51は、上下方向に開口している。第1管部53は、機能部の洗浄タンクに接続される。第1管部53は、上下方向に延びている。第1管部53は、開口部41に配置されている。第1管部53は、中央部44の上面に配置されている(
図7参照)。
【0026】
流出口52は、2本の第2管部54A,54Bの前端部にそれぞれ設けられている。第2管部54A,54Bは、第1管部53の下流側に連通している。第2管部54A,54Bは、第1管部53の左右に設けられている。第2管部54A,54Bは、前後方向に延びている。第1管部53と左右の第2管部54A,54Bとは、樹脂材料によって一体に形成されている。
【0027】
第2管部54A,54Bは、
図4に示すように、屈曲管部55と直管部56A,56Bとを有している。屈曲管部55は、直管部56A,56Bの上流側に設けられている。屈曲管部55は、蛇腹形状をなし、屈曲しやすい。屈曲管部55は、
図4に示すように、開口部41に配置されている。屈曲管部55は、左右の突部39の後側から左右の突部39の左右両外側に屈曲している。
【0028】
直管部56A,56Bは、屈曲管部55の下流側に設けられている。直管部56A,56Bは、直線に近い形状で前後方向に延びている。直管部56A,56Bは、閉塞部42A,42Bに挿入されている。直管部56A,56Bの下流側は、吐水口27A,27Bの形状にあわせて異なる形状をなしている(
図3参照)。左側の直管部56Aは、正面側から見ると横長の長方形状をなしている。左側の直管部56Aの上面は、前端に向かって下側に傾斜している(
図5参照)。左側の直管部56Aの下面は水平に近い。左側の流出口52は、前後方向に開口している。右側の直管部56Bは、正面側から見ると縦長の長方形状をなしている(
図3参照)。右側の流出口52は、左側に開口している。左右の流出口52はそれぞれ、吐水口27A,27Bの近傍に位置している。流出口52は、固定部35よりも下流側に配置されている(
図1参照)。
【0029】
直管部56A,56Bの上面には、
図4、
図5及び
図6に示すように、第1リブ57及び第2リブ58が設けられている。第1リブ57及び第2リブ58は、直管部56A,56Bの左右方向の中心に設けられている。第1リブ57は、第2リブ58よりも前側に設けられている。第1リブ57及び第2リブ58は、前後方向に延びた板状をなしている。第1リブ57及び第2リブ58の左右の板面は、前後方向に平行である。
【0030】
第1リブ57及び第2リブ58を左右方向から見ると、
図5及び
図6に示すように、方形状をなしている。第1リブ57の前後方向の寸法は、第2リブ58の前後方向の寸法よりも小さい。第1リブ57及び第2リブ58は、連結リブ59を介して繋がっている。第1リブ57は、閉塞部42A,42Bに配置され、固定部35に挿入される。第1リブ57の上下方向の寸法は、固定部35に挿入された状態において上面部28の上面28Uから上側に突出しない寸法である。仮に第1リブが上面部の上面から上側に突出している場合、機能部の下面に第1リブとの接触を避けるべく凹部を設ける必要がある。しかしながら、第1リブ57は、上面部28の上面28Uよりも下側に収まっているから、機能部の下面に凹部を設けなくてもよい。第2リブ58は、開口部41に配置される。第2リブ58は、入り口36の上面部28に当たることによって、通水部材50の前方への移動を制限する。
【0031】
左側の直管部56Aの上面には、
図5に示すように、上面リブ61が設けられている。上面リブ61は、第1リブ57の前側に配置されている。上面リブ61は、第1リブ57及び第2リブ58と直線状に並んでいる。上面リブ61の前後方向の寸法は、第1リブ57及び第2リブ58の前後方向の寸法よりも大きい。上面リブ61の上端は、第1リブ57及び第2リブ58の上端より下側に位置している。
【0032】
左右の直管部56A,56Bの下面には、
図5及び
図6に示すように、下面リブ62が設けられている。下面リブ62は、各直管部56A,56Bの左右方向の中心に形成されている。下面リブ62は、前後方向に直線状に延びている。上面リブ61及び下面リブ62は、閉塞部42A,42Bに挿入される。上面リブ61及び下面リブ62は、閉塞部42A,42Bにおいて直管部56A,56Bの上下方向のガタつきを抑制する。
【0033】
便器本体20に通水部材50を固定する作業の一例を説明する。最初に、通水部材50を開口部41から閉塞部42A,42Bに差し入れる。具体的には、左右の第2管部54A,54Bを左右の入り口36から前方へ挿入する。第2管部54A,54Bが所定の位置まで挿入されると、左右の第1リブ57は固定部35に下側から挿入される。これによって、通水部材50は所定の位置に固定される。ここで、通水部材50をさらに前方に押し込もうとした場合、第2リブ58は入り口36の上面部28に当たる。これによって、通水部材50の過度の差し込みは防止される。以上により、通水部材50は便器本体20に固定される。
【0034】
通水部材50を便器本体20に固定した後、便器本体20に機能部を取り付ける。このとき、通水部材50の第1管部53に機能部の洗浄タンクを接続する。通水部材50には、組み付けのための力が作用する。しかしながら、第1リブ57が固定部35に挿入されていることによって、通水部材50の位置ずれや配置空間40からの離脱を防止できる。
【0035】
上記のように構成された実施形態によれば、以下の効果を奏する。水洗式便器10は、便器本体20と、通水部材50と、を備えている。便器本体20は、便鉢部21を有している。通水部材50は、便器本体20に取り付けられている。便器本体20は、壁部23を有している。壁部23は、通水部材50を配置する配置空間40を形成している。便鉢部21を洗浄する洗浄水は、配置空間40を通って便鉢部21に流入する。壁部23は、上面部28の下面28Sに、通水部材50を固定する固定部35を具備している。この構成によれば、通水部材50を固定部35に固定することによって、便器本体20に容易に取り付けることができる。
【0036】
固定部35は、上面部28を貫通する貫通孔である。この構成によれば、便器本体20の上面部28に固定部35を容易に形成できる。
【0037】
通水部材50は、固定部35に挿入される第1リブ57を有している。この構成によれば、第1リブ57を固定部35に挿入するだけで通水部材50を固定できるから、通水部材50の固定作業を容易に行うことができる。
【0038】
固定部35は、通水部材50の下流端の流出口52よりも上流側に設けられている。この構成によれば、固定部35から洗浄水が流出しにくいから、固定部35において止水部材を不要にできる。
【0039】
上面部28は、便器本体20の上面の一部を形成している。固定部35は、上面部28を内外方向に貫通している。この構成によれば、固定部35は、便器本体20の上面に開口しているから、固定部35を便器本体20の上側からメンテナンスできる。上面部28に機能部を配置することによって、固定部35をカバーできるから、固定部35をカバーするための専用品を不要にできる。
【0040】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、取付部材が通水部材50である場合を例示した。これに限らず、取付部材は、ノズルや水の溢れを検知する水位センサ等であってもよい。この場合、
図9に示すように、取付部材70を固定部35に固定してもよい。取付部材70は、固定部35に挿入されるリブ71を有していてもよい。リブ71は、固定用部品72を用いて固定部35から抜け止めしてもよい。固定部35の上側に、固定部35を外側から覆う部材として機能部74を配置してもよい。この場合、機能部74の下面に固定用部品72との接触を避けるべく凹部75が設けられる。
(2)上記実施形態において固定部35は、上面部28を上下方向に貫通する貫通孔である。これに限らず、固定部は、上面部の下面に凹み形成された凹部であってもよい。言い換えると、固定部の上面側は塞がっていてもよい。
(3)上記実施形態において固定部35は、上面部28に設けられている。これに限らず、固定部は、下壁部の上面、左右の側壁部の内面、左右の内壁部のうち側壁部との対向面、及び後壁部の前面のいずれかに設けてもよい。
(4)上記実施形態において吐水口27A,27Bは、便器本体20の左右方向中心を基準に左側と右側とに一ずつ設けられている。これに限らず、吐水口の位置や、数、形状等は適宜変更しても良い。
(5)上記実施形態では、配置空間40に通水部材50を配置する場合を例示した。これに限らず、配置空間に通水部材を配置しなくてもよい。言い換えると、洗浄水は、配置空間を直接流れてもよい。この場合、洗浄水の流路方向は、洗浄タンクから吐水口へ向かう洗浄水の流れの方向であってよい。
(6)上記実施形態において固定部35を外側から覆う部材は機能部である。これに限らず、固定部を外側から覆う部材はカバー等であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…水洗式便器、20…便器本体、21…便鉢部、23…壁部、27A,27B…吐水口、28…上面部(外面壁部)、28S…上壁部の下面(洗浄水の流路方向に沿った面)、28U…上壁部の上面(便器本体の外面)、35…固定部、40…配置空間、50…通水部材(取付部材)、52…流出口、57,71…リブ、70…取付部材