(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046249
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】車線内車両位置推定装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/10 20060101AFI20240327BHJP
G08G 1/0968 20060101ALI20240327BHJP
G01C 21/28 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
B60W30/10
G08G1/0968
G01C21/28
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151528
(22)【出願日】2022-09-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】吉野 恭司
【テーマコード(参考)】
2F129
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
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5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
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5H181FF04
5H181FF07
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】道路の形状によらず車両の位置を推定する。
【解決手段】車線内車両位置推定装置30は、第1座標系に対応する複数の位置を含む地図情報から、車両の進行方向前方の車線の区画線の位置を示す第1区画線位置情報を抽出する位置情報抽出部331と、第1区画線位置情報を、第2座標系に対応する区画線の位置を示す第2区画線位置情報に変換する位置情報変換部332と、カメラが進行方向前方を撮像した画像に基づいて、第2座標系に対応する区画線の形状を近似した近似関数を生成する近似関数生成部333と、区画線の車幅方向の位置を算出する算出部334と、第2区画線位置情報が示す区画線の車幅方向の位置及び算出部334が算出した区画線の車幅方向の位置を近似関数に対応する評価関数に入力し、評価関数の出力値を最小又は最大にする車両の位置を推定する推定部335と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元の第1座標系に対応する複数の位置を示す複数の位置情報を含む地図情報から、車両の進行方向前方の車線の区画線の位置を示す複数の第1区画線位置情報を抽出する位置情報抽出部と、
前記第1区画線位置情報を、前記第1座標系と異なる二次元の第2座標系に対応する前記区画線の位置を示す第2区画線位置情報に変換する位置情報変換部と、
前記車両が備えるカメラが前記進行方向前方を撮像した画像に基づいて、前記第2座標系に対応する前記区画線の形状を近似した近似関数を生成する近似関数生成部と、
前記第2区画線位置情報が示す前記車両の進行方向の位置を前記近似関数に入力することにより、前記区画線の車幅方向の位置を算出する算出部と、
前記第2区画線位置情報が示す前記区画線の車幅方向の位置、及び前記算出部が算出した前記区画線の車幅方向の位置を、前記近似関数に対応する評価関数に入力し、前記評価関数の出力値を最小又は最大にする前記車両の位置を推定する推定部と、
を有する車線内車両位置推定装置。
【請求項2】
前記位置情報変換部は、前記第1区画線位置情報を、前記車両の中心位置を原点とした前記第2座標系に対応する前記第2区画線位置情報に変換する、
請求項1に記載の車線内車両位置推定装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記区画線に含まれる複数の位置それぞれにおける、前記第2区画線位置情報が示す前記区画線の車幅方向の位置と、前記算出部が算出した前記区画線の車幅方向の位置と、の差を示す距離を特定し、前記複数の位置に対応する前記距離の合計を最小又は最大にするための前記車両の位置を推定する、
請求項1に記載の車線内車両位置推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線内車両位置推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クロソイド区間において車両が走行した際の曲率から求めた走行軌跡と道路地図にマッチングさせた車両の位置に基づく曲率から求めた走行軌跡とを比較することにより、車両の前後の位置を補正する自車位置検出装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の自車位置検出装置においては、クロソイド区間における車両の位置を検出することができる。しかしながら、直線路を走行する車両の位置を検出する場合は、従来の自車位置検出装置の動作と異なる動作で検出しなければならないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、道路の形状によらず車両の位置を推定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る車線内車両位置推定装置は、三次元の第1座標系に対応する複数の位置を示す複数の位置情報を含む地図情報から、車両の進行方向前方の車線の区画線の位置を示す複数の第1区画線位置情報を抽出する位置情報抽出部と、前記第1区画線位置情報を、前記第1座標系と異なる二次元の第2座標系に対応する前記区画線の位置を示す第2区画線位置情報に変換する位置情報変換部と、前記車両が備えるカメラが前記進行方向前方を撮像した画像に基づいて、前記第2座標系に対応する前記区画線の形状を近似した近似関数を生成する近似関数生成部と、前記第2区画線位置情報が示す前記車両の進行方向の位置を前記近似関数に入力することにより、前記区画線の車幅方向の位置を算出する算出部と、前記第2区画線位置情報が示す前記区画線の車幅方向の位置、及び前記算出部が算出した前記区画線の車幅方向の位置を、前記近似関数に対応する評価関数に入力し、前記評価関数の出力値を最小又は最大にする前記車両の位置を推定する推定部と、を有する。
【0007】
前記位置情報変換部は、前記第1区画線位置情報を、前記車両の中心位置を原点とした前記第2座標系に対応する前記第2区画線位置情報に変換してもよい。
【0008】
前記推定部は、前記区画線に含まれる複数の位置それぞれにおける、前記第2区画線位置情報が示す前記区画線の車幅方向の位置と、前記算出部が算出した前記区画線の車幅方向の位置と、の差を示す距離を特定し、前記複数の位置に対応する前記距離の合計を最小又は最大にするための前記車両の位置を推定してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、道路の形状によらず車両の位置を推定するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】車線内車両位置推定システム1の概要を説明するための図である。
【
図2】車線内車両位置推定装置30の構成を示す図である。
【
図3】車両座標系における白線の位置を説明するための図である。
【
図4】車線内車両位置推定装置30における処理シーケンスの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<車線内車両位置推定システム1の概要>
図1は、車線内車両位置推定システム1の概要を説明するための図である。
図1に示す車線内車両位置推定システム1は、受信装置10と、カメラ20と、車線内車両位置推定装置30と、を備える。受信装置10と車線内車両位置推定装置30及びカメラ20と車線内車両位置推定装置30は、CAN(Controller Area Network)、LAN(Local Area Network)等のネットワーク、又はUSB(Universal Serial Bus)(登録商標)等のデジタル信号伝送バスを介して通信可能に接続されている。
【0012】
車線内車両位置推定システム1は、自身が備えられた車両Sの位置を推定するためのシステムである。車線内車両位置推定システム1は、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の外部の測位システムGから受信した電波と、カメラ20が撮像して生成した撮像画像データと、に基づいて車両Sの位置を推定する。
【0013】
受信装置10は、測位システムGから受信した電波に基づいて車両Sの位置を特定し、車両Sの位置を示す車両位置情報を車線内車両位置推定装置30に送信する。カメラ20は、車両の進行方向前方を撮像して生成した撮像画像データを車線内車両位置推定装置30に送信する。
【0014】
測位システムGが、車両Sが備えるカーナビゲーション又は運転者が有するスマートフォンに含まれる場合、受信装置10が特定する車両Sの位置の測定誤差は、数メートルであることが一般的である。これに対して、車両Sが車線内車両位置推定システム1を自律走行のために用いる場合、車両Sの位置の測定誤差は、数センチメートルであることが求められる。そこで、車線内車両位置推定装置30は、車両Sの位置を高い精度で推定するために、カメラ20から取得した撮像画像データと前の時刻に取得した車両位置情報とに基づいて車両Sの位置を高い精度で推定するための装置である。車線内車両位置推定装置30は、車両Sが走行する車線の白線等の区画線の位置を示す地図情報を記憶している。本実施例においては、区画線が白線である場合の動作を説明する。
以下、車線内車両位置推定装置30の構成及び動作を詳細に説明する。
【0015】
<車線内車両位置推定装置30の構成>
図2は、車線内車両位置推定装置30の構成を示す図である。車線内車両位置推定装置30は、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、を有する。
【0016】
通信部31は、ネットワーク又はデジタル信号伝送バスを介して情報を送受信するための通信デバイスを含む。通信デバイスは、例えば、LANコントローラ、CANコントローラ又はUSBコントローラである。
【0017】
記憶部32は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部32は、制御部33が実行するプログラムを記憶している。記憶部32は、車両Sの位置を推定するために用いる各種の情報(一例として、地図情報)を記憶している。
【0018】
制御部33は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はECU(Electronic Control Unit)である。制御部33は、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、位置情報抽出部331、位置情報変換部332、近似関数生成部333、算出部334、推定部335、表示制御部336及び走行制御部337として機能する。
以下、制御部33により実現される各部の構成を説明する。
【0019】
位置情報抽出部331は、三次元の第1座標系に対応する複数の位置を示す複数の位置情報を含む地図情報から、車両Sの進行方向前方の車線の白線の位置を示す複数の第1白線位置情報を抽出する。三次元の第1座標系は、例えば、世界座標系である。以下の説明においては、第1座標系が世界座標系である場合の動作を説明する。
【0020】
位置情報抽出部331は、例えば、記憶部32に記憶された地図情報に含まれる複数の位置から、車両位置情報が示す車両Sの位置の近傍にある複数の第1白線位置情報を抽出する。近傍は、例えば、車両Sの位置から車両Sの進行方向に対して100メートル以内である。複数の第1白線位置情報は、白線を構成する複数の点の位置を世界座標系に対応する座標で示す情報である。
【0021】
位置情報変換部332は、第1白線位置情報を、世界座標系と異なる二次元の車両座標系に対応する白線の位置を示す第2白線位置情報に変換する。位置情報変換部332は、例えば、第1白線位置情報を、車両Sの中心位置を原点とした車両座標系に対応する第2白線位置情報に変換する。一例として、車両座標系は、車両Sの後輪軸の中心位置を原点座標として、車両Sの進行方向における座標と車両Sの車幅方向における座標とを示す二次元の座標系である。
【0022】
図3は、車両座標系における白線の位置を説明するための図である。
図3においては、車両S、複数の白線位置P(P1~P4)及び複数の白線D(D1、D2)を示す。白線位置Pは、車両座標系に対応する第2白線位置情報が示す白線の位置である。白線D1は、地図情報に含まれる白線であり、複数の白線位置P(P1~P4)に対応する点列データである。白線D2は、地図情報に含まれる白線であり、過去に取得した第2白線位置情報が示す白線の位置に対応する点列データである。白線D2は、実際は白線D1と同じ実線であるが、便宜上、破線を示す。位置情報変換部332は、例えば、複数の第1白線位置情報が示す複数の位置を複数の白線位置Pに変換する。
【0023】
近似関数生成部333は、車両Sが備えるカメラ20が進行方向前方を撮像した画像に基づいて、車両座標系に対応する白線の形状を近似した近似関数を生成する。近似関数は、例えば、以下の式(1)である。
【数1】
【0024】
近似関数生成部333は、例えば、カメラ20が撮像した撮像画像に含まれる白線D1を抽出し、車両座標系に対応する白線D1の位置(x,y)を特定する。位置xは、車両Sの進行方向における白線D1の位置を示し、位置yは、車両Sの車幅方向における白線D1の位置を示す。そして、近似関数生成部333は、特定した複数の白線D1の位置を式(1)に入力することにより、近似関数に含まれる複数の係数c(c0~c2)を特定する。
【0025】
なお、近似関数生成部333は、カメラ20から白線の形状を近似した近似関数を取得してもよい。また、近似関数生成部333は、式(1)に示す複数の係数c(c0~c2)をカメラ20から取得してもよい。
【0026】
算出部334は、第2白線位置情報が示す車両Sの進行方向の位置を近似関数に入力することにより、白線の車幅方向の位置を算出する。算出部334は、例えば、
図3に示す白線位置Pに含まれる車両Sの進行方向の位置を変数xとして式(1)に入力し、白線の車幅方向の位置(すなわち、式(1)における変数y)を算出する。
【0027】
推定部335は、第2白線位置情報が示す白線の車幅方向の位置、及び算出部334が算出した白線の車幅方向の位置を、近似関数に対応する評価関数に入力し、評価関数の出力値を最小又は最大にする車両Sの位置を推定する。評価関数は、例えば、以下の式(2)に示す関数である。式(2)に示す変数xi及び変数yiは、それぞれ第2白線位置情報Pi(P1、P2、P3、P4、…)が示す白線の進行方向の位置及び白線の車幅方向の位置である。式(2)は、式(1)の右辺(すなわち、算出部334が算出した白線の車幅方向の位置)を含む。
【数2】
【0028】
推定部335は、例えば式(2)に示すように、白線に含まれる複数の位置それぞれにおける、第2白線位置情報が示す白線の車幅方向の位置と、算出部334が算出した白線の車幅方向の位置と、の差を示す距離を特定し、複数の位置に対応する距離の合計を特定する。そして、推定部335は、距離の合計を最小又は最大にするための車両Sの位置を推定する。
【0029】
推定部335は、例えば、距離の合計を最小又は最大にする(すなわち最適化する)ために、以下の式(3)を収束するまで計算する。
【数3】
【0030】
推定部335がこのように動作することで、地図情報に含まれる白線の位置を示す点列データと、車両座標系に対応する第2白線位置情報が示す点列データとを用いて車両Sの位置を推定できる。その結果、道路の形状が直線路であってもクロソイド区間であっても、道路の形状によらず同じ動作で車両Sの位置を推定できる。さらに、推定部335は、車両Sが走行する軌跡の曲率又は車線の方位角と車両Sの進行方向の方位角との差などの物理値を用いずに車両Sの位置を推定できる。曲率及び方位角等の物理値においては、算出における誤差を含む蓋然性が高いため、推定部335がこのように動作することで、車両Sの位置を高い精度で推定できる。
【0031】
表示制御部336は、記憶部32に記憶された地図情報を参照することにより、推定部335が推定した車両Sの位置の周囲の位置に対応する地図と、車両Sの位置を示す画像とを外部の表示装置(不図示)に表示させる。走行制御部337は、推定部335が推定した世界座標系に対応する車両Sの位置に基づいて車両Sを走行させる(すなわち、車両Sを自律走行させる)。
【0032】
<車線内車両位置推定装置30における処理シーケンス>
図4は、車線内車両位置推定装置30における処理シーケンスの例を示す図である。
図4に示す処理シーケンスは、位置情報抽出部331が受信装置10から車両Sの位置を示す位置情報を取得する時点から開始している(S11)。位置情報抽出部331は、記憶部32に記憶された地図情報から、車両Sの位置から車両Sの進行方向に100メートルまでの範囲にある白線の点の位置を抽出する(S12)。
【0033】
位置情報変換部332は、位置情報抽出部331が抽出した、世界座標系に対応する複数の白線の点の位置を、車両座標系に対応する位置に変換する(S13)。近似関数生成部333は、カメラ20から車両Sの進行方向前方を撮像して生成した撮像画像データを取得する(S14)。近似関数生成部333は、撮像画像データが示す画像に含まれる白線を抽出し、車両座標系における白線の位置を特定する。近似関数生成部333は、特定した白線の位置を用いて白線の形状を示す近似関数(例えば、前述した式(1))を生成する(S15)。
【0034】
算出部334は、位置情報変換部332が変換した車両座標系の白線の位置のうち車両Sの進行方向の白線の位置を近似関数生成部333が生成した近似関数に入力し(S16)、車両座標系における車両Sの車幅方向の白線の位置を算出する(S17)。算出部334は、全ての白線の点において車両Sの車幅方向の白線の位置を算出していない場合(S18のNO)、車幅方向の白線の位置を算出していない白線の点を選択して、S16からS17までの処理を繰り返す。
【0035】
全ての白線の点において車両Sの車幅方向の白線の位置を算出した場合(S18のYES)、推定部335は、位置情報変換部332が車両座標系に変換した車幅方向の白線の位置と、算出部334が算出した車幅方向の白線の位置とを評価関数(例えば、前述した式(2))に入力する(S19)。推定部335は、評価関数の出力値が最小になる車両Sの位置を推定する(S20)。
【0036】
車線内車両位置推定装置30は、処理を終了する操作が行われていない場合(S21のNO)、次の時刻における車両Sの位置を推定するために、S11からS20までの処理を繰り返す。処理を終了する操作が行われた場合(S21のYES)、車線内車両位置推定装置30は、処理を終了する。
【0037】
<第1変形例>
以上の説明においては、車線内車両位置推定装置30が車両Sの左側の白線を用いて車両Sの位置を推定する動作を例示したが、これに限らない。車線内車両位置推定装置30は、車両Sの右側の車線を用いて車両Sの位置を推定してもよい。このように、車両Sの左右にある白線のうち片側の白線を用いて車両Sの位置を推定することで、車線内車両位置推定装置30は、車両Sの左右の白線のうち片側の白線が特定できない場合であっても車両Sの位置を推定できる。
【0038】
<第2変形例>
以上の説明においては、車両Sが走行する車線の白線を用いて車両Sの位置を推定する動作を例示したが、これに限らない。車線内車両位置推定装置30は、車両Sが走行する車線の隣の車線の白線を用いて車両Sの位置を推定してもよい。
【0039】
例えば、車線内車両位置推定装置30は、車両Sがウィンカを点灯させた方向にある、車両Sが走行する車線の隣の車線を特定する。車線内車両位置推定装置30は、特定した車線の白線を撮像した画像と、地図情報に含まれる、特定した車線の白線の点の位置とに基づいて車線Sの位置を推定する。車線内車両位置推定装置30がこのように動作することで、車両Sが車線変更をする場合であっても、車線変更中の車両Sの位置を特定できる。
【0040】
<車線内車両位置推定装置30による効果>
以上説明したように、車線内車両位置推定装置30は、世界座標系に対応する位置を示す位置情報を含む地図情報から、車両Sの進行方向前方の車線の白線の位置を示す第1白線位置情報を抽出する位置情報抽出部331と、第1白線位置情報を車両座標系に対応する第2白線位置情報に変換する位置情報変換部332と、カメラ20が撮像した画像に基づいて白線の近似関数を生成する近似関数生成部333と、第2白線位置情報が示す車両Sの進行方向の位置を近似関数に入力して白線の車幅方向の位置を算出する算出部334と、第2白線位置情報が示す車幅方向の位置と算出部334が算出した車幅方向の位置とを評価関数に入力し、評価関数の出力を最小又は最大にする車両Sの位置を推定する推定部335と、を有する。
【0041】
車線内車両位置推定装置30がこのように構成されることで、車線内車両位置推定装置30は、地図情報に含まれる複数の位置のうち白線の位置を用いて車両Sの位置を推定できる。その結果、道路の形状によらず、同じ動作で車両Sの位置を推定できる。さらに、車両Sの走行軌跡の曲率等の物理値を用いずに車両Sの位置を推定できるため、車両Sの位置を高い精度で推定できる。
【0042】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0043】
1 車線内車両位置推定システム
10 受信装置
20 カメラ
30 車線内車両位置推定装置
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
331 位置情報抽出部
332 位置情報変換部
333 近似関数生成部
334 算出部
335 推定部
336 表示制御部
337 走行制御部