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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046258
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】レンズ検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/958 20060101AFI20240327BHJP
   G01M 11/00 20060101ALI20240327BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
G01N21/958
G01M11/00 L
G01N21/84 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151540
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】古谷 祥雄
(72)【発明者】
【氏名】谷口 慎也
【テーマコード(参考)】
2G051
2G086
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB02
2G051BA01
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA07
2G051CB01
2G051CB02
2G051DA08
2G086FF05
(57)【要約】
【課題】保持部に保持されることによって被検レンズに撮像困難な領域が発生する場合でも、適切に検査することができる技術を提供する。
【解決手段】レンズ検査装置は、被検レンズ保持部4と、カメラ51a,51bと、持替機構131とを有する。被検レンズ保持部4は、被検レンズ9を保持する。カメラ51a,51bは、被検レンズ保持部4に保持されているワークWの被検レンズ9を撮像する。持替機構131は、被検レンズ保持部4に保持された被検レンズ9の持ち替えを行う。
【選択図】図8

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ検査装置であって、
検査対象である被検レンズを保持する第1保持部と、
前記第1保持部に保持された被検レンズを撮像するカメラと、
前記第1保持部に保持された前記被検レンズの持ち替えを行う持替機構と、
を備える、レンズ検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズ検査装置であって、
前記被検レンズを保持する第2保持部と、
前記第1保持部と前記第2保持部との間で前記被検レンズを搬送可能な搬送機構とを備え、
前記持替機構は、前記第2保持部に前記被検レンズを持ち替えさせ、
前記搬送機構は、前記第2保持部が持ち替えた前記被検レンズを前記第1保持部へ搬送する、レンズ検査装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のレンズ検査装置であって、
前記持替機構は、前記被検レンズの主面と交差する軸を中心に前記被検レンズを回転させることが可能である、レンズ検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載のレンズ検査装置であって、
前記カメラのフォーカスを調整する制御部、
をさらに備え、
前記制御部は、前記持替機構により持ち替えられる前では、前記被検レンズの表裏面のうち一方に前記フォーカスを合わせ、前記持替機構により持ち替えられた後では、前記被検レンズの表裏面のうち他方に前記フォーカスを合わせる、レンズ検査装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のレンズ検査装置であって、
前記持替機構は、前記被検レンズの表裏を反転させることが可能である、レンズ検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載のレンズ検査装置であって、
前記カメラのフォーカスを調整する制御部、
をさらに備え、
前記制御部は、前記持替機構により前記被検レンズの表裏を反転させる前は、前記被検レンズの表裏面のうち一方に前記フォーカスを合わせ、前記持替機構により前記被検レンズの表裏を反転された後では、前記被検レンズの表裏面のうち他方に前記フォーカスを合わせる、レンズ検査装置。
【請求項7】
請求項2に記載のレンズ検査装置であって、
前記カメラによって撮像された画像に基づいて、前記レンズの良否を判定する判定部と、
前記判定部によって良品と判定された前記被検レンズをストックする良品ストック部と、
前記判定部によって不良品と判定された前記被検レンズをストックする不良品ストック部と、
前記第1保持部から前記良品ストック部または前記不良品ストック部に搬送される前記被検レンズを一次的に保持するバッファ部と、
をさらに備え、
前記搬送機構は、前記第1保持部に保持された前記被検レンズを前記バッファ部に搬送可能である、レンズ検査装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載のレンズ検査装置であって、
前記被検レンズの全周のうち、前記第1保持部が前記被検レンズを保持することによって発生する、前記カメラで正常に撮像することが不能な検査不能領域は、180°以下である、レンズ検査装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、レンズ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査対象である被検レンズを、カメラで撮影された画像に基づいて検査する場合がある。例えば、特許文献1では、検査トレイ(20)に保持された眼内レンズ(500)を、2台のCCDカメラ(50A,50B)でZ方向およびY方向から撮像し、得られた画像に基づいて、眼内レンズ(500)の寸法および光学的特性が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-71638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、被検レンズが保持部に保持されることにより、カメラで撮像することが困難な領域が発生する場合があった。例えば、特許文献1では、眼内レンズ(500)の周囲に配置された複数のピン(250,251,260,261)で眼内レンズ(500)を固定している。このため、これらのピンにより、カメラ(50B)の死角となる領域については、適切に検査することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、保持部に保持されることによって被検レンズに撮像困難な領域が発生する場合でも、適切に検査することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1態様は、レンズ検査装置であって、検査対象である被検レンズを保持する第1保持部と、前記第1保持部に保持された被検レンズを撮像するカメラと、前記第1保持部に保持された前記被検レンズの持ち替えを行う持替機構とを備える。
【0007】
第2態様は、第1態様のレンズ検査装置であって、前記被検レンズを保持する第2保持部と、前記第1保持部と前記第2保持部との間で前記被検レンズを搬送可能な搬送機構とを備え、前記持替機構は、前記第2保持部に前記被検レンズを持ち替えさせ、前記搬送機構は、前記第2保持部が持ち替えた前記被検レンズを前記第1保持部へ搬送する。
【0008】
第3態様は、第1態様または第2態様のレンズ検査装置であって、前記持替機構は、前記被検レンズの主面と交差する軸を中心に前記被検レンズを回転させることが可能である。
【0009】
第4態様は、第3態様のレンズ検査装置であって、前記カメラのフォーカスを調整する制御部、をさらに備え、前記制御部は、前記持替機構により持ち替えられる前では、前記被検レンズの表裏面のうち一方に前記フォーカスを合わせ、前記持替機構により持ち替えられた後では、前記被検レンズの表裏面のうち他方に前記フォーカスを合わせる。
【0010】
第5態様は、第1態様または第2態様のレンズ検査装置であって、前記持替機構は、前記被検レンズの表裏を反転させることが可能である。
【0011】
第6態様は、第5態様のレンズ検査装置であって、前記カメラのフォーカスを調整する制御部、をさらに備え、前記制御部は、前記持替機構により前記被検レンズの表裏を反転させる前は、前記被検レンズの表裏面のうち一方に前記フォーカスを合わせ、前記持替機構により前記被検レンズの表裏を反転された後では、前記被検レンズの表裏面のうち他方に前記フォーカスを合わせる。
【0012】
第7態様は、第2態様のレンズ検査装置であって、前記カメラによって撮像された画像に基づいて、前記レンズの良否を判定する判定部と、前記判定部によって良品と判定された前記被検レンズをストックする良品ストック部と、前記判定部によって不良品と判定された前記被検レンズをストックする不良品ストック部と、前記第1保持部から前記良品ストック部または前記不良品ストック部に搬送される前記被検レンズを一次的に保持するバッファ部と、をさらに備え、前記搬送機構は、前記第1保持部に保持された前記被検レンズを前記バッファ部に搬送可能である。
【0013】
第8態様は、第1態様から第7態様のいずれか1つのレンズ検査装置であって、前記被検レンズの全周のうち、前記第1保持部が前記被検レンズを保持することによって発生する、前記カメラで正常に撮像することが不能な検査不能領域は、180°以下である、レンズ検査装置
【発明の効果】
【0014】
第1態様から第8態様のレンズ検査装置によると、第1保持部に保持された被検レンズの持ち替えを行うことによって、撮像困難な領域を撮像することが可能となる。これにより、被検レンズを適切に検査できる。
【0015】
第2態様のレンズ検査装置によると、第2保持部に被検レンズを持ち替えさせている間に、第1保持部に保持された別の被検レンズを撮像できる。このため、検査を効率的に行うことができる。
【0016】
第3態様のレンズ検査装置によると、被検レンズを回転させることによって、第1保持部に保持されている部位を変更できる。
【0017】
第4態様のレンズ検査装置によれば、持ち替え前後で同じ面を撮像できる。
【0018】
第5態様のレンズ検査装置によると、被検レンズを反転させることによって、第1保持部に保持されている部位を変更できる。
【0019】
第7態様のレンズ検査装置によると、撮像が完了し、かつ、良否が未判定の被検レンズをバッファ部に一次的に保持することができる。
【0020】
第8態様のレンズ検査装置によれば、被検レンズの1回の持ち替えで、被検レンズの全周を検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】レンズ検査装置の概略構成を示す図である。
図2】被検レンズを示す平面図である。
図3】被検レンズを支持する支持具を示す斜視図である。
図4】検査部の構成を示す図である。
図5】撮像部を示す側面図である。
図6】検査部において撮像が行われる被検レンズを示す図である。
図7】持替部の持替機構を示す斜視図である。
図8】持替機構を示す概略側面図である。
図9】持ち替えられた後の被検レンズを示す平面図である。
図10】複数の被検レンズを検査するレンズ検査装置を示す図である。
図11】複数の被検レンズを検査するレンズ検査装置を示す図である。
図12】複数の被検レンズを検査するレンズ検査装置を示す図である。
図13】複数の被検レンズを検査するレンズ検査装置を示す図である。
図14】複数の被検レンズを検査するレンズ検査装置を示す図である。
図15】複数の被検レンズを検査するレンズ検査装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
【0023】
図1およびそれ以降の各図には、互いに交差するX軸、Y軸およびZ軸をそれぞれ示す矢印が図示されている場合がある。X軸、Y軸およびZ軸は、好ましくは直交する。また、各矢印の先端が向く方を+(プラス)側とし、+側の反対側を-(マイナス)側とする。また、以下の説明では、Z軸に沿う方向を鉛直方向とし、X軸およびY軸に沿う各方向を、水平面と平行な水平方向とする。また、+Z側を「上側」とし、-Z側を「下側」として説明する。ただし、これらの各方向は、装置構成の位置関係を限定するものではない
【0024】
<1. 第1実施形態>
図1は、レンズ検査装置1の概略構成を示す図である。レンズ検査装置1は、検査対象物である被検レンズ9をカメラによって得られる画像に基づいて検査する外観検査装置である。被検レンズ9は、例えば、眼内レンズまたはコンタクトレンズなどの人体に装着されるレンズである。なお、被検レンズ9は、光学機器に用いられるレンズであってもよい。以下では、被検レンズ9が眼内レンズである場合について説明する。
【0025】
図2は、被検レンズ9を示す平面図である。図2に示されるように、被検レンズ9は、光学部91と、一対の支持部93とを有する。光学部91は、レンズ本体であって、平面視において略円形状である。一対の支持部93は、光学部91における互いに180°反対側に位置する2つの部位のそれぞれから突出するように設けられている。
【0026】
図3は、被検レンズ9を支持する支持具95を示す斜視図である。図3に示されるように、支持具95の上部は、3つの接触部材97を有する。3つの接触部材97は、周方向において互いに距離をあけて配置されている。接触部材97は、断面視においてL字状の切欠部971を有する。切欠部971は、被検レンズ9における光学部91の下面に接触する上面と、光学部91の外周面に接触する側面とを有する。各接触部材97の切欠部971に、被検レンズ9の光学部91が載置されることにより、被検レンズ9が支持される。すなわち、支持具95は、1つの被検レンズ9を3点で支持する。また、複数の接触部材97の切欠部971が光学部91の外周面に接触することにより、被検レンズ9が、X方向およびY方向において位置決めされる。以下の説明では、被検レンズ9と、当該被検レンズ9を支持している支持具95とを組み合わせた物を「ワークW」と称する。
【0027】
図1に示されるように、レンズ検査装置1は、投入ストック部11と、検査部12と、持替部13と、バッファ部14と、良品ストック部15と、不良品ストック部16と、搬送機構21と、制御部7とを備える。
【0028】
投入ストック部11は、検査前の被検レンズ9を保持する。投入ストック部11は、複数のワーク保持部31を有する。各ワーク保持部31は、1つのワークを保持することが可能である。
【0029】
図4は、検査部12の構成を示す図である。検査部12は、被検レンズ9を撮像するとともに、撮像によって得られた画像に基づいて被検レンズ9を検査する。図4に示されるように、検査部12は、被検レンズ保持部4と、撮像部5とを有する。被検レンズ保持部4は、支持具95を保持することによって、被検レンズ9を保持する。被検レンズ保持部4は、ステージ41と、姿勢制御機構43と、ステージ移動機構44と、旋回機構45と、昇降機構47とを有する。
【0030】
ステージ41は、支持具95を保持するためのチャック機構を有する。チャック機構は、例えば、支持具95を両側から挟持するように構成されている。なお、チャック機構は、支持具95を吸着によって保持するように構成されていてもよい。ステージ41が支持具95を保持することによって、被検レンズ9が被検レンズ保持部4に保持される。
【0031】
姿勢制御機構43は、X軸およびY軸を中心にステージ41を所定の角度範囲で回転させる。姿勢制御機構43は、ステージ41のX軸まわりの角度α、およびY軸まわりの角度βを変更することによって、支持具95および被検レンズ9を、X軸まわりおよびY軸まわりに回転させる。
【0032】
ステージ移動機構44は、姿勢制御機構43に連結されている。ステージ移動機構44は、姿勢制御機構43およびステージ41をX方向およびY方向に移動させる。ステージ移動機構44は、例えば、2軸スライドテーブルによって構成される。
【0033】
旋回機構45は、ステージ移動機構44に連結されている。旋回機構45は、ステージ41、姿勢制御機構43、ステージ移動機構44をZ軸まわりに回転させる。これにより、ステージ41のZ軸まわりの角度(旋回角度θ)が変更される。旋回機構45は、所定の基準角度から、正方向(θ方向)および負方向(-θ方向)に有限の角度の範囲でステージ41を旋回させる。これにより、旋回機構45は、有限の角度範囲で被検レンズ9を旋回させる。
【0034】
なお、旋回機構45は、ステージ41を、無限の角度範囲で旋回させるように構成されていてもよい。ただし、角度範囲を無限にする場合、配線のねじれ等に対応するため、スリップリングなどの高価な部品が必要となる場合がある。このため、旋回機構45の旋回可能な角度範囲を有限にすることによって、旋回機構45の部品コストを抑えることができる。
【0035】
昇降機構47は、旋回機構45に連結されている。昇降機構47は、ステージ41、姿勢制御機構43、ステージ移動機構44、および旋回機構45を、Z方向に沿って移動させる。なお、撮像時の被検レンズ9のZ方向位置ズレに対して、後述する撮像部5のフォーカス調整の機構で対応可能な場合は、昇降機構47を省略することもできる。
【0036】
図5は、撮像部5を示す側面図である。撮像部5は、被検レンズ9を撮像するカメラ51a,51bを有する。カメラ51a,51bは、CCDまたはCMOSなどの撮像素子で構成されるイメージセンサを備えている。カメラ51a,51bは、制御部7と電気的に接続されている。また、カメラ51a,51bは、それぞれ鏡筒511a,511bを有する。鏡筒511a,511bは、イメージセンサに結像するための、レンズなどの光学部品を収容している。
【0037】
カメラ51aは、主に、被検レンズ9の上面を撮像するように配置されている。カメラ51aの鏡筒511aは、Z方向に沿って延びており、ステージ41の直上に配置されている。
【0038】
図5に示されるように、撮像部5は、反射照明551と透過照明552とを有する。反射照明551は、例えば環状(例えば、円環状)である。なお、反射照明551は、環状では無く、スポット光を照射する照明でもよい。カメラ51aの鏡筒511aは、反射照明551の内側に挿入されている。透過照明552は、被検レンズ9および支持具95よりも-Z側に配置されている。反射照明551は、被検レンズ9の上面を照明する。図5に示されるように、支持具95は、中央部に貫通穴951を有している。透過照明552から出射した光は、支持具95の貫通穴951を通過して、被検レンズ9の光学部91に入射する。カメラ51aは、光学部91を透過または反射して鏡筒511aに入る光を撮像する。また、撮像部5は、カメラ51aのフォーカスを調整するために、カメラ51aをZ方向に移動する駆動部(アクチュエータ)58を備える。カメラ51aのフォーカス制御は、制御部7が駆動部(アクチュエータ)58を駆動することによって行われる。
【0039】
カメラ51bは、主に、被検レンズ9における側面を撮像するように配置されている。51bの鏡筒511bは、鉛直方向であるZ方向に延びている。511bの直下には、ミラー57aが配置されている。ミラー57aは、被検レンズ9から+Y方向に離れて位置する。ミラー57aは、被検レンズ9の側部から+Y方向に向かう光を、+Z方向に反射する。カメラ51bは、ミラー57aで反射した後、鏡筒511bに入った光を撮像する。すなわち、カメラ51bは、ミラー57aの鏡面に映る被検レンズ9の側部を撮像する。また、撮像部5は、カメラ51bのフォーカス位置を調整するために、カメラ51bおよびミラー57aをY方向に移動する駆動部(アクチュエータ)59を備える。カメラ51bのフォーカス制御は、制御部7が駆動部(アクチュエータ)59を駆動することによって行われる。なお、カメラ51bのフォーカス位置の調整は、カメラ51bおよびミラー57aをY方向に動かす代わりに、カメラ51bをZ方向に動かすことにより行われてもよい。
【0040】
図5に示されるように、撮像部5は、側方照明553aおよび側方透過照明554aを有する。側方照明553aは、撮像位置P1の被検レンズ9から+Z方向および+Y方向に離れて位置する。側方照明553aは、被検レンズ9の側部を斜め上方から照明する。また、側方透過照明554aは、被検レンズ9の側部を斜め上方あるいは斜め下方から照明する。なお、撮像部5は、透過照明552側方照明553a、および側方透過照明554aの各位置を調整する位置調整機構を備えていてもよい。
【0041】
検査部12は、被検レンズ9をカメラ51a,51bで撮像し、取得した画像を制御部7に送信する。制御部7は、取得された画像に基づいて、被検レンズ9の検査を行う。より具体的には、制御部7は、レンズ表面上の傷、異物、縁欠け、くもり、およびレンズ内部の気泡等の有無を検査する。また、制御部7は、検査結果に基づいて、被検レンズ9の欠陥の有無を判定する。
【0042】
持替部13は、被検レンズ9の持ち替えを行う。持替部13は、1つのワーク保持部31(第2保持部)と、ワークWにおける支持具95に被検レンズ9を持ち替えさせる持替機構131とを有する。
【0043】
図6は、検査部12において撮像が行われる被検レンズ9および支持具95を示す図である。検査部12では、被検レンズ9の光学部91が3つの接触部材97に支持された状態で撮像が行われる。このため、被検レンズ9のうち、3つの接触部材97に支持されている光学部91の周縁部は、カメラ51aまたはカメラ51bによって撮像することが困難な死角となるため、検査を行うことができない検査不可領域911となる。このような検査不可領域911についても検査を行うため、持替部13の持替機構131は、支持具95に被検レンズ9を持ち替えさせる。
【0044】
図7は、持替部13の持替機構131を示す斜視図である。図8は、持替機構131を示す概略側面図である。持替機構131は、被検レンズ9を持ち上げるための一対の爪部133と、当該爪部133を移動させるとともに、回転させる駆動機構135を有する。図7に示されるように、爪部133は、平行に配置された2つの棒状部分と、当該2つの棒状部分の基部どうしを連結する連結部分とで構成されたU字状の部材である。駆動機構135は、一対の爪部133を互いに接近および離隔させる方向に移動させる。また、135は、一対の爪部133の中心を通るZ軸を中心に、一対の爪部133を回転させる。
【0045】
持替機構131は、まず、被検レンズ9を持ち上げるため、図7に示されるように、一対の爪部133の先端を、3つの接触部材97に支持されている被検レンズ9と、支持具95の上面との間に進入させる。図7に示される例では、一対の爪部133のうち一方は、2つの棒状部分の内側に接触部材97が入り込むように配置される。被検レンズ9の下に配置されると、一対の爪部133が上昇することにより、被検レンズ9が上方に持ち上げられる。被検レンズ9が持ち上げられた後、一対の爪部133がZ軸まわりに所定の角度(例えば、180°)だけ回転する。回転した後、一対の爪部133が下降することにより、被検レンズ9が再び3つの接触部材97上に載置される。その後、一対の爪部133が被検レンズ9の下方から待避する。
【0046】
図9は、持ち替えられた後の被検レンズ9を示す平面図である。図9に示す例では、持ち替え後の被検レンズ9は、持ち替え前からZ軸を中心に180°回転した状態で、支持具95に支持されている。このような持ち替えによって、3つの検査不可領域911は、持ち替え前の位置(図6参照)から、180°回転した位置に再配置される。そうすると、3つの検査不可領域911(死角領域)が3つの接触部材97と重複しないように、被検レンズ9が支持具95に載置される。
【0047】
図8に示されるように、レンズ検査装置1においては、検査部12における1回目の撮像処理の後、ワークWが後述する搬送部212によって持替部13に搬送される。そして、持替部13の持替機構131がワークWにおける被検レンズ9の持ち替えを行った後、後述する搬送部213がワークWを再び検査部12に搬送し、2回目の撮像処理が行われる。すなわち、持替機構131は、1回目の撮像処理で被検レンズ保持部4(第1保持部)に保持されていた被検レンズ9の持ち替えを行うように構成されている。2回目の撮像処理では、被検レンズ9の持ち替えによって、被検レンズ9の検査不可領域911が3つの接触部材97の死角とならないように配置されるこのため、検査不可領域911を正常に撮像できる。すなわち、被検レンズ9の持ち替えによって、検査不可領域911を検査することが可能となる。
【0048】
図6に示されるように、被検レンズ9の全周360°のうち、被検レンズ9が支持具95に保持されることによって生じる3つの検査不可領域911の角度範囲(=3・γ)は、180°以下である。このため、少なくとも1回の持ち替えを行えば、被検レンズ9の全周を検査することが可能である。
【0049】
図1に戻って、バッファ部14は、検査部12における検査が完了した被検レンズ9であって、良品ストック部15または不良品ストック部16に搬送する前の被検レンズ9を一時的に保持する。バッファ部14は、1つのワーク保持部31を有する。なお、バッファ部14は、複数のワーク保持部31を備えていてもよい。
【0050】
良品ストック部15は、制御部7によって良品と判定された被検レンズ9をストックする。不良品ストック部16は、制御部7によって不良品と判定された被検レンズ9をストックする。良品ストック部15および不良品ストック部16は、複数のワーク保持部31をそれぞれ備えている。
【0051】
図1に示されるように、搬送機構21は、ワークWを搬送する複数(6つ)の搬送部211~216を有する。搬送部211は、投入ストック部11のワーク保持部31に保持されているワークWを、検査部12の被検レンズ保持部4に搬送する。搬送部212は、検査部12の被検レンズ保持部4に保持されているワークWを、持替部13のワーク保持部31に搬送する。搬送部213は、持替部13のワーク保持部31に保持されているワークWを、検査部12の被検レンズ保持部4に搬送する。
【0052】
搬送部214は、検査部12の被検レンズ保持部4に保持されているワークWを、バッファ部14のワーク保持部31に搬送する。搬送部215は、バッファ部14のワーク保持部31に保持されているワークWを、良品ストック部15のワーク保持部31に搬送する。搬送部216は、バッファ部14のワーク保持部31に保持されているワークWを、不良品ストック部16のワーク保持部31に搬送する。
【0053】
制御部7は、レンズ検査装置1の各部と電気的接続されており、各部の動作を制御する。制御部7は、CPUなどのプロセッサ、および、RAMまたはハードディスクなどの記憶部などを有する、コンピュータで構成されている。なお、制御部7は、ASIC(特定用途向け集積回路)などの専用回路を備えていてもよい。
【0054】
記憶部は、プロセッサが実行可能なプログラムを記憶している。プログラムは、制御対象の駆動部を制御するための制御プログラムと、カメラ51a,51bによって取得される画像に基づいて被検レンズ9を検査するための検査プログラムとを含む。
【0055】
制御部7は、制御プログラムを実行することによって、例えば、姿勢制御機構43、ステージ移動機構44、旋回機構45、昇降機構47、搬送機構21、持替機構131等を制御する。また、制御部7は、検査プログラムを実行することによって、画像を解析し、その解析結果から得られる情報に基づいて、被検レンズ9の検査(良否判定)を行う。
【0056】
<検査の流れ>
図10図15は、複数の被検レンズ9を検査するレンズ検査装置1を示す図である。図10は、検査が開始直後の段階を示す図である。図10に示されるように、検査開始直後は、全てのワークWは、投入ストック部11に保持されている。なお、以下の説明では、1番目~4番目に検査されるワークWを、順に「ワークW1」、「ワークW2」、「ワークW3」、「ワークW4」と称する。
【0057】
図11に示されるように、まず、ワークW1が投入ストック部11から検査部12に搬送される。そして、検査部12において、ワークW1の1回目の撮像処理が行われる。ワークW1の1回目の撮像処理では、カメラ51aはフォーカス位置をワークW1の被検レンズ9の表面(上側の面)の位置に合わせた状態で撮像を行う。撮像処理では、Z軸を中心に被検レンズ保持部4がワークWを所定の角度刻みで旋回させる。そして、カメラ51a,51bは、被検レンズ9が所定の角度だけ回転するたびに、被検レンズ9を撮像する。なお、カメラ51aは、1回だけ撮像を行うようにしてもよい。カメラ51a,51bが撮像した画像は、制御部7へ送信される。
【0058】
ワークW1の1回目の撮像処理が完了すると、図12に示されるように、ワークW1が検査部12から持替部13に搬送される。そして、持替部13において、ワークW1の被検レンズ9の持ち替えが行われる。また、図12に示されるように、ワークW1が持替部13に搬送されると、空いた検査部12にワークW2が搬送される。そして、ワークW2の1回目の撮像処理が行われる。
【0059】
持替部13においてワークW1の被検レンズ9の持ち替えが行われている間、制御部7は、ワークW1の1回目の撮像処理で得られた画像に基づいて、ワークW1の検査を行う。
【0060】
ワークW1の被検レンズ9の持ち替え、および、ワークW2の1回目の撮像処理が完了すると、図13に示されるように、ワークW1が検査部12に搬送されるとともに、ワークW2が持替部13に搬送される。そして、検査部12では、ワークW1の2回目の撮像処理が行われる。ワークW1の2回目の撮像処理において、カメラ51aはフォーカス位置をワークW1の被検レンズ9の裏面(下側の面)の位置に合わせた状態で撮像を行う。また、持替部13では、ワークW2の被検レンズ9の持ち替えが行われる。
【0061】
ワークW1の2回目の撮像処理が完了すると、図14に示されるように、ワークW1は検査部12からバッファ部14に搬送される。ワークW1がバッファ部14に保持されている間、制御部7は、2回目の撮像処理によって得られた画像を解析する。また、制御部7は、1回目の画像解析の結果および2回目の画像解析の結果に基づいて、ワークW1の良否判定を行う。また、持替部13において、ワークW2の被検レンズ9の持ち替えが完了すると、ワークW2が持替部13から検査部12に搬送される。そして、ワークW2の2回目の撮像処理が行われる。
【0062】
なお、2回目の撮像処理では、1回目の撮像処理で生じた3つの検査不可領域911のみを撮像するようにしてもよい。これにより、撮像時間および解析時間を短縮することができる。
【0063】
ワークW1についての良否の判定結果がでると、図15に示されるように、ワークW1が、良否判定の結果に応じて、バッファ部14から良品ストック部15または不良品ストック部16に搬送される。図15では、ワークW1は良品と判定されたため、良品ストック部15に搬送されている。また、図15に示されるように、ワークW2の2回目の撮像処理が完了すると、ワークW2が検査部12からバッファ部14へ搬送される。ワークW2は、ワークW1と同様に、判定結果がでるまでバッファ部14に保持される。さらに、図15に示されるように、ワークW2がバッファ部14に搬送されると、空いた検査部12にワークW3が搬送される。そして、ワークW3の1回目の撮像処理が行われる。レンズ検査装置1は、ワークW4およびそれ以降のワークWについても、図11図15で説明した流れで順に検査する。
【0064】
<効果>
以上のように、レンズ検査装置1によれば、持替機構131によって被検レンズ9の持ち替えさせることによって、1回目の撮像処理で生じた検査不可領域911を、2回目の撮像処理で撮像することができる。したがって、被検レンズ9を適切に検査できる。
【0065】
また、レンズ検査装置1によれば、図12において説明したように、検査部12において1回目の撮像処理を完了したワークW1は、検査部12から持替部13に搬送され、空いた検査部12に次のワークW2が搬送される。これにより、ワークW1の被検レンズ9の持ち替えを行う間にワークW2の1回目の撮像処理を開始できるため、検査効率を向上できる。
【0066】
また、レンズ検査装置1によれば、図14において説明したように、2回目の撮像処理が完了したワークW1は、検査部12からバッファ部14に搬送され、空いた検査部12にワークW2が搬入される。これにより、ワークW1の判定結果がでるまでの間に、ワークW2の2回目の撮像処理を開始できるため、検査効率を向上できる。
【0067】
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0068】
上記実施形態では、持替機構131は、被検レンズ9の表裏を反転させずに、Z軸を中心に被検レンズ9を回転させている。しかしながら、持替機構131は、被検レンズ9の表裏を反転させるように構成されていてもよい。
【0069】
持替機構131が表裏を反転させた場合、1回目の撮像処理を行ったときの上面は、持ち替えによって下面に移動することとなる。このため、例えば、1回目の撮像処理において、カメラ51aのフォーカスが、被検レンズ9の表面(上面)に合わせられる場合、2回目の撮像処理では、カメラ51aのフォーカスを被検レンズ9の裏面(反転前の下面)にフォーカスを合わせて撮像してもよい。持ち替え機構131が被検レンズの表裏を反転させるため、1回目の撮像処理における被検レンズの下面は、2回目の撮像処理において、1回目の撮像処理における被検レンズの上面と略同じ位置に位置する。そのため、1回目の撮像処理と2回目の撮像処理とでカメラ51aのフォーカス位置を移動することなく、もしくはわずかのフォーカス位置の移動量で、被検レンズ9の表裏両面を撮像できる。
【0070】
また、上記実施形態では、カメラ51a,51bを固定して、被検レンズ9を回転させて撮像を行うようにしている。しかしながら、被検レンズ9を固定して、カメラ51bを回転させてもよい。これによい、被検レンズ9の保持を安定化させることができる。また、被検レンズ9のまわりに、カメラ51bを複数台配置してもよい。これにより、被検レンズ9の回転角度を減らして、あるいは、被検レンズ9を回転させずに、撮像処理を行うことができる。
【0071】
上記実施形態では、持替機構131は、被検レンズ9の上方から被検レンズ9を各接触部材97からすくい上げるように構成されている。しかしながら、持替機構131は、例えば被検レンズ9の下方から被検レンズ9を各接触部材97から持ち上げるように構成されていてもよい。
【0072】
上記実施形態では、被検レンズ9の持ち替えにおいて、持替機構131が、被検レンズ9を各接触部材97から持ち上げた後、一対の爪部133がZ軸まわりに所定の角度(例えば、180°)だけ回転することによって被検レンズ9を回転させたが、一対の爪部133の代わりに、支持具95が回転する構成としてもよい。このようにすると、一対の爪部133を回転させる必要が無いため、一対の爪部133が被検レンズ9を落とす恐れを低減することが出来る。
【0073】
上記実施形態では、被検レンズ9だけでなく、被検レンズ9を支持する支持具95を含むワークW単位で、被検レンズ9の搬送が行われている。しかしながら被検レンズ9のみが搬送されてもよい。この場合、ワーク保持部31が、支持具95のように複数点で被検レンズ9を支持する支持具を備えていてもよい。
【0074】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 レンズ検査装置
4 被検レンズ保持部(第1保持部)
5 撮像部
7 制御部
9 被検レンズ
14 バッファ部
15 良品ストック部
16 不良品ストック部
21 搬送機構
31 ワーク保持部(第2保持部)
51a,51b カメラ
131 持替機構

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15