(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046280
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】潅水制御システム
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20240327BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
A01G7/00 603
H04N7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151581
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】片岡 麻子
(72)【発明者】
【氏名】安井 雅彦
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CA05
5C054EA01
5C054EA05
5C054EA07
5C054FC07
5C054FC12
5C054FC15
5C054FE05
5C054FE18
5C054FE28
5C054GB01
5C054GB05
5C054HA19
(57)【要約】
【課題】栽培植物の生育状況を張り指標値に基づいて詳細に分析可能な潅水制御システムを提供する。
【解決手段】栽培植物への潅水を行う潅水装置と、栽培植物を撮像する撮像部と、撮像部により取得された撮像画像に基づいて栽培植物の葉の張り度合いを示す値である張り指標値を算出し、張り指標値に基づいて潅水装置に対する制御を可能な制御部と、張り指標値と撮像画像とを経時的に記憶する第一記憶装置と、張り指標値を時系列のグラフで表示する張り指標値グラフ61,62と、撮像画像と、を画面に表示可能な表示装置と、が備えられている。表示装置は、第一記憶装置に記憶された複数の撮像画像のうち、張り指標値グラフ61,62に表示される時系列の範囲内の時刻に撮像された撮像画像を選択表示可能に構成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培植物への潅水を行う潅水装置と、
前記栽培植物を撮像する撮像部と、
前記撮像部により取得された撮像画像に基づいて前記栽培植物の葉の張り度合いを示す値である張り指標値を算出し、前記張り指標値に基づいて前記潅水装置に対する制御を可能な制御部と、
前記張り指標値と前記撮像画像とを経時的に記憶する第一記憶装置と、
前記張り指標値を時系列のグラフで表示する張り指標値グラフと、前記撮像画像と、を画面に表示可能な表示装置と、が備えられ、
前記表示装置は、前記第一記憶装置に記憶された複数の前記撮像画像のうち、前記張り指標値グラフに表示される前記時系列の範囲内の時刻に撮像された前記撮像画像を選択表示可能に構成されている潅水制御システム。
【請求項2】
前記第一記憶装置は、前記張り指標値と前記撮像画像とを予め設定された設定間隔ごとに記憶し、
前記張り指標値グラフは、前記設定間隔ごとの前記張り指標値を示すプロット点の集合体である請求項1に記載の潅水制御システム。
【請求項3】
前記設定間隔は、60秒である請求項2に記載の潅水制御システム。
【請求項4】
人為操作に基づく前記画面に対する座標点の指定を受け付ける入力部が備えられ、
前記張り指標値グラフは、前記時系列の線グラフであって、
前記表示装置は、前記入力部に対する前記人為操作が行われ、かつ、前記人為操作に基づいて指定された前記座標点と前記張り指標値グラフにおける前記時系列の線とが重複すると、前記時系列の線のうち前記座標点と重複する部分に該当する時刻に撮像された前記撮像画像を表示する請求項1または2に記載の潅水制御システム。
【請求項5】
外部に存在する第二記憶装置と通信接続可能な通信部と、
前記第一記憶装置に記憶された前記張り指標値と前記撮像画像との少なくとも一方のデータを前記第二記憶装置へ記憶するための人為操作を受け付け可能な操作部と、が備えられ、
前記操作部は、前記通信部が前記第二記憶装置と通信接続している場合に前記人為操作を受け付け、前記通信部が前記第二記憶装置と通信接続していない場合に前記人為操作を受け付けない請求項1または2に記載の潅水制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培植物への潅水を行うための潅水制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に、撮像部によって取得された撮像画像に基づいて、栽培植物に対する潅水を制御する潅水制御システムが開示されている。撮像画像に基づいて栽培植物の葉の張り度合いを示す値である張り指標値が算出され、張り指標値に関する時系列のグラフが表示装置に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えばオペレータ等が時系列のグラフに基づいて栽培植物の葉の張り度合いを詳細な分析を行うことが考えられる。その場合、グラフの波形に加えて、グラフの波形のうちの任意のポイントにおける栽培植物の葉の様子を確認できる構成が望ましいが、特許文献1における潅水制御システムに、そのような構成の開示が無い。
【0005】
本発明の目的は、栽培植物の生育状況を張り指標値に基づいて詳細に分析可能な潅水制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における潅水制御システムでは、栽培植物への潅水を行う潅水装置と、前記栽培植物を撮像する撮像部と、前記撮像部により取得された撮像画像に基づいて前記栽培植物の葉の張り度合いを示す値である張り指標値を算出し、前記張り指標値に基づいて前記潅水装置に対する制御を可能な制御部と、前記張り指標値と前記撮像画像とを経時的に記憶する第一記憶装置と、前記張り指標値を時系列のグラフで表示する張り指標値グラフと、前記撮像画像と、を画面に表示可能な表示装置と、が備えられ、前記表示装置は、前記第一記憶装置に記憶された複数の前記撮像画像のうち、前記張り指標値グラフに表示される前記時系列の範囲内の時刻に撮像された前記撮像画像を選択表示可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、第一記憶装置に、張り指標値及び撮像画像が記憶され、張り指標値グラフに表示される時系列の範囲に対応して、撮像画像が表示装置に表示可能である。この構成であれば、オペレータ等は、グラフの波形のうちの任意のポイントにおける栽培植物の葉の様子を容易に確認できる。これにより、栽培植物の生育状況を張り指標値に基づいて詳細に分析可能な潅水制御システムが実現される。
【0008】
本発明において、前記第一記憶装置は、前記張り指標値と前記撮像画像とを予め設定された設定間隔ごとに記憶し、前記張り指標値グラフは、前記設定間隔ごとの前記張り指標値を示すプロット点の集合体であると好適である。更に、この構成を備える場合において、前記設定間隔は、60秒であると好適である。
【0009】
例えば撮像画像が連続的な動画であると、栽培植物の葉の様子を詳細に記憶できるが、このような構成であると、第一記憶装置の記憶容量を大容量にする必要があり、コストが掛かる。本構成であれば、第一記憶装置は、張り指標値と撮像画像とを予め設定された設定間隔ごとに記憶する。このため、第一記憶装置の記憶容量の大容量化を抑制しつつ、栽培植物の生育状況の分析に必要なデータの記憶が可能となる。
【0010】
本発明において、人為操作に基づく前記画面に対する座標点の指定を受け付ける入力部が備えられ、前記張り指標値グラフは、前記時系列の線グラフであって、前記表示装置は、前記入力部に対する前記人為操作が行われ、かつ、前記人為操作に基づいて指定された前記座標点と前記張り指標値グラフにおける前記時系列の線とが重複すると、前記時系列の線のうち前記座標点と重複する部分に該当する時刻に撮像された前記撮像画像を表示すると好適である。なお、本発明における『線グラフ』には、プロット点の集合によって線上に表示されたグラフも含まれる。
【0011】
本構成によると、オペレータ等が入力部を介して画面の座標を指定可能である。そして、オペレータ等が時系列の線グラフ上の座標を指定すると、その座標に対応する時刻に撮像された撮像画像が画面に表示される。これにより、オペレータ等の直感的な操作に基づいて過去の撮像画像が画面に表示される。
【0012】
本発明において、外部に存在する第二記憶装置と通信接続可能な通信部と、前記第一記憶装置に記憶された前記張り指標値と前記撮像画像との少なくとも一方のデータを前記第二記憶装置へ記憶するための人為操作を受け付け可能な操作部と、が備えられ、前記操作部は、前記通信部が前記第二記憶装置と通信接続している場合に前記人為操作を受け付け、前記通信部が前記第二記憶装置と通信接続していない場合に前記人為操作を受け付けないと好適である。
【0013】
本構成によって、第一記憶装置に記憶されたデータが第二記憶装置へ転送され、過去のデータが他の記憶装置にしっかりとバックアップされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】栽培システムの構成を示すブロック図である。
【
図8】制御モードの切り替えに関するフローチャート図である。
【
図10】栽培管理作業が行われた場合の被覆率の推移の一例を示す図である。
【
図11】栽培管理作業が行われた場合の被覆率の推移の一例を示す図である。
【
図12】エラー履歴画面における表示内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。なお、以下の説明においては、特に断りがない限り、
図1及び
図2に示す矢印「N」の方向を「北」、矢印「S」の方向を「南」として、
図1に示す矢印「E」の方向を「東」、矢印「W」の方向を「西」とする。
【0016】
〔園芸施設の構成〕
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態における栽培システムSY(本発明の『潅水制御システム』に相当)は、園芸施設1を備えている。園芸施設1には、栽培植物Qを植えるための畝A1~A8が縦横に並ぶ状態で設けられている。夫々の畝Aの間は栽培植物Qの管理者(オペレータ等を含む)が通行可能な通路となっている。園芸施設1は、例えばビニールハウスであったり、太陽光利用型の植物工場であったりする。
【0017】
夫々の畝Aは、南北方向に延びている。また、畝A1~A4は、園芸施設1における南側に位置している。また、畝A5~A8は、園芸施設1における北側に位置している。
【0018】
夫々の畝Aは、例えば無孔性親水性フィルムで構成される。そして、夫々の畝Aに、栽培植物Qとして、例えばトマトが植えられる。
【0019】
また、栽培システムSYは、2つの栽培植物撮像装置3を備えている。一方の栽培植物撮像装置3は、園芸施設1の南部に位置している。他方の栽培植物撮像装置3は、園芸施設1の北部に位置している。なお、本発明はこれに限定されず、栽培システムSYが備える栽培植物撮像装置3の個数は、1つでも良いし、3つ以上でも良い。
【0020】
図1及び
図2に示されるように、南部に位置する栽培植物撮像装置3は、第一カメラCa1を有している。また、北部に位置する栽培植物撮像装置3は、第二カメラCa2を有している。
【0021】
第一カメラCa1及び第二カメラCa2は、園芸施設1の内部のうち、栽培植物Qが植えられる畝Aの上方に配置されている。これらのカメラは、何れも、定点カメラCa(本発明の『撮像部』に相当)である。
【0022】
図2に示すように、栽培植物Qは、複数の植物個体Q1の集合体である。また、栽培植物Qは、複数のグループに分けられている。より具体的には、栽培植物Qは、第一グループGR1及び第二グループGR2に分けられている。
【0023】
即ち、各グループは、夫々、一つまたは複数の植物個体Q1により構成されている。本実施形態においては、第一グループGR1及び第二グループGR2は、夫々、複数の植物個体Q1により構成されている。なお、本発明はこれに限定されず、第一グループGR1及び第二グループGR2のうちの少なくとも何れか一方が単一の植物個体Q1により構成されていても良い。
【0024】
図1及び
図2に示すように、第一グループGR1を構成する各植物個体Q1は、畝A1~A4に植えられている。また、第二グループGR2を構成する各植物個体Q1は、畝A5~A8に植えられている。
【0025】
図2に示すように、第一グループGR1は、第一基準個体QM1を含んでいる。第一基準個体QM1は、第一グループGR1に含まれる全ての植物個体Q1のうち、1日で受ける日射量が最も大きい植物個体Q1である。なお、本実施形態において、第一基準個体QM1は、畝A2における最南端に位置している。
【0026】
また、第二グループGR2は、第二基準個体QM2を含んでいる。第二基準個体QM2は、第二グループGR2に含まれる全ての植物個体Q1のうち、1日で受ける日射量が最も大きい植物個体Q1である。なお、本実施形態において、第二基準個体QM2は、畝A6における最南端に位置している。
【0027】
また、夫々の定点カメラCaは、例えばCCD素子やCMOS素子を有し、肉眼で視覚可能な可視光を撮像可能なように構成される。そして、夫々の定点カメラCaは、俯瞰で、栽培植物Qの葉を、所定の時間間隔ごと(例えば60秒間隔ごと)に撮像する。これにより、夫々の定点カメラCaは、
図3に示すように、撮像画像Vを経時的に取得する。
【0028】
即ち、栽培システムSYは、栽培植物Qの葉を撮像する定点カメラCaを備えている。また、各定点カメラCaは、栽培植物Qの葉を俯瞰で撮像するように構成されている。
【0029】
図1及び
図2に示すように、第一カメラCa1は第一グループGR1に対応する位置に配置されている。また、第二カメラCa2は、第二グループGR2に対応する位置に配置されている。
【0030】
即ち、本実施形態の栽培システムSYは、第一グループGR1及び第二グループGR2を含む複数のグループに対応する複数の定点カメラCaを備えている。また、栽培植物撮像装置3は、栽培植物Qを俯瞰で撮像する定点カメラCaを備えている。
【0031】
より具体的には、第一カメラCa1は、畝A2の上方に配置されている。そして、第一カメラCa1の撮像領域である第一撮像領域P1は、畝A2の全体と、畝A1の東部と、畝A3の西部と、に亘っている。
【0032】
また、
図1及び
図2に示すように、第二カメラCa2は、畝A6の上方に配置されている。そして、第二カメラCa2の撮像領域である第二撮像領域P2は、畝A6の全体と、畝A5の東部と、畝A7の西部と、に亘っている。
【0033】
図示はされていないが、他にも、園芸施設1に、環境センサ、側窓、遮光カーテン、ヒートポンプ式の空調設備等が備えられている。
図2に示す破線Ghは、栽培植物Qの草丈が最大高さとなる基準位置であり、破線Ghの高さ付近から、栽培植物Qの茎を誘引するための誘引紐が垂下する。
【0034】
夫々の定点カメラCaは、破線Ghよりも高い位置に設けられている。即ち、定点カメラCaは、栽培工程において栽培植物Qの草丈が最大となる時点での草丈に対応する高さ位置よりも上側に配置されている。
【0035】
また、
図1に示すように、園芸施設1には、噴霧装置2が設けられている。噴霧装置2は、栽培植物Qの栽培されている空間内に細霧を噴射する。即ち、栽培システムSYは、栽培植物Qの栽培されている空間内に細霧を噴射する噴霧装置2を備えている。
【0036】
詳述すると、噴霧装置2は、配管20、第一ノズル21、第二ノズル22、第三ノズル23を有している。配管20は、南北方向に延びている。また、配管20は、平面視において、畝A2と畝A3との間を通り、且つ、畝A6と畝A7との間を通っている。また、第一ノズル21、第二ノズル22、及び、第三ノズル23の夫々は、配管20から突出する状態で設けられている。
【0037】
そして、配管20を通る水が、第一ノズル21、第二ノズル22、第三ノズル23から、細霧の状態で噴射される。
【0038】
第一ノズル21は、園芸施設1における南部に位置している。そして、第一ノズル21は、東方向へ細霧を噴射する。第一ノズル21による噴射範囲は、第一噴射範囲S1である。
【0039】
第二ノズル22は、園芸施設1における南北方向中央部に位置している。そして、第二ノズル22は、西方向へ細霧を噴射する。第二ノズル22による噴射範囲は、第二噴射範囲S2である。
【0040】
第三ノズル23は、園芸施設1における北部に位置している。そして、第三ノズル23は、東方向へ細霧を噴射する。第三ノズル23による噴射範囲は、第三噴射範囲S3である。
【0041】
即ち、噴霧装置2の噴射範囲は、第一噴射範囲S1、第二噴射範囲S2、第三噴射範囲S3である。
【0042】
ここで、各定点カメラCaは、平面視において、第一噴射範囲S1、第二噴射範囲S2、第三噴射範囲S3の何れにも重複していない。即ち、定点カメラCaは、平面視において、噴霧装置2の噴射範囲に重複しない位置に配置されている。
【0043】
〔潅水制御に関する構成〕
図4に示すように、本実施形態における栽培システムSYは、管理コンピュータMCを備えている。管理コンピュータMCは、制御部4、ブザー52、ディスプレイ53、入力部54、記憶装置55、通信部56、及び、判定部57を有している。管理コンピュータMCは、本発明の『表示装置』に相当する。
【0044】
ディスプレイ53は、例えば栽培システムSYの稼働状態を表示可能である。ブザー52は、例えば栽培システムSYの稼働状態に変化があった場合等において音を出力する。入力部54は、例えばコンピュータマウスであったり、ディスプレイ53に装着されたタッチスクリーン等であったりする。入力部54は、人為操作に基づいて、ディスプレイ53に表示された画面に対する座標点の指定を受け付ける。入力部54がタッチスクリーンである場合、人為操作とはオペレータがタッチスクリーンをタッチすることを意味する。また、入力部54がコンピュータマウスである場合、人為操作とはオペレータがコンピュータマウスに対するクリック等の操作を行うことを意味する。
【0045】
記憶装置55は、例えばハードディスクであったり、フラッシュメモリであったりする。通信部56は、例えばシリアルバスポートであったり、ネットワーク通信ポートであったりする。即ち、通信部56は、外部の記憶媒体と接続可能なポートである。判定部57は、潅水装置10と定点カメラCaと制御部4とを含む栽培システムSYの稼働状態が正常であるか否かを判定する。
【0046】
制御部4は、被覆率算出部40、第一基準被覆率設定部42、第一基準算出部43、第二基準被覆率設定部46、第二基準算出部47、及び、潅水制御部49を有する。被覆率算出部40は、第一被覆率算出部41及び第二被覆率算出部45を有する。潅水制御部49は、第一潅水制御部44及び第二潅水制御部48を有する。
【0047】
また、園芸施設1に潅水装置10が備えられている。潅水装置10は、栽培植物Qへの潅水を行う。本実施形態において、潅水装置10は、第一潅水装置11及び第二潅水装置12を有している。第一潅水装置11は、第一グループGR1に属する各植物個体Q1への潅水を実行する。第二潅水装置12は、第二グループGR2に属する各植物個体Q1への潅水を実行する。潅水装置10による潅水は、グループ毎に個別に実行される。
【0048】
制御部4は、定点カメラCaによって取得された撮像画像Vに基づいて潅水装置10に対する制御を可能に構成されている。具体的には、
図6に示すように、ディスプレイ53の管理画面60における右部に、制御切替スイッチ部70が備えられている。制御切替スイッチ部70は、潅水装置10の制御元を切り替える操作を受け付ける。制御切替スイッチ部70が操作されると、潅水装置10の制御元が、第一潅水装置11及び第二潅水装置12の夫々の本体側と、制御部4側と、間で切り替わる。
【0049】
本実施形態における制御部4は、複数の制御モードを有する。複数の制御モードに、停止モードと、潅水モードと、警告モードと、異常モードと、が含まれる。制御部4の制御モードは、入力部54を人為操作することにより、停止モードと、潅水モードと、の間で切り替え可能である。
【0050】
停止モードは、栽培システムSYが稼働していないモードである。潅水モードは、制御部4が、撮像画像Vに基づいて潅水装置10に対する制御を可能なモードである。また、栽培システムSYの稼働状態が正常でないと判定部57が判定すると、制御部4の制御モードは、警告モードまたは異常モードへ切り替わる。警告モード及び異常モードに関しては後述する。
【0051】
図3及び
図4に基づいて、被覆率Brの算出に関して説明する。第一カメラCa1により所定の時間間隔ごとに取得された撮像画像Vは、第一被覆率算出部41へ送られる。第一被覆率算出部41は、受け取った撮像画像Vに基づいて、第一グループGR1の被覆率Brを経時的に算出する。
【0052】
なお、被覆率Brとは、撮像画像Vにおいて葉が写っている領域である計測領域B(
図3参照)のうち、葉の占める領域の割合である。また、被覆率Brは、葉の張り度合いを示す値である。即ち、被覆率Brは、本発明の『張り指標値』に相当する。
【0053】
被覆率Brの算出について詳述すると、
図3に示すように、第一被覆率算出部41は、撮像画像Vの色情報等に基づいて、撮像画像Vにおける枝葉や茎の領域を判定する。この領域は、栽培植物Qの繁茂領域、即ち被覆領域として判定される。
【0054】
なお、枝葉や茎の領域の判定は、RGBデータに基づいて行われるものであっても良いし、YUVデータに基づいて行われるものであっても良い。但し、本実施形態では、天候や時間帯の変化に伴う明暗の変化に対応するため、枝葉や茎の領域の判定は、YUVデータに基づいて行われるのが望ましい。
【0055】
そして、被覆領域の判定に基づいて、撮像画像Vのうち、栽培植物Qの位置する範囲が設定される。
図3に示されるように、栽培植物Qの枝葉が写っている領域として四辺で囲まれた範囲が設定され、この四辺で囲まれた範囲が計測領域Bとして設定されて、計測領域Bの面積Bsが算出される。面積Bsの算出は、撮像画像Vのうち、計測領域Bのドット(撮像画像Vにおける画素の最小単位)の数を数えることで可能である。
【0056】
また、被覆領域のドットの数を数えることによって、葉面積B1の算出が可能である。そして、下記の数式によって、面積Bsに対する葉面積B1の割合が、被覆率Brとして算出される。
【0057】
被覆率Br=葉面積B1/面積Bs
【0058】
なお、計測領域Bの面積Bsは、時間の経過に伴って葉がしおれ、枝葉の写っている領域が次第に狭まる場合であっても、葉がしおれ始める前の面積Bsで固定されるのが望ましい。つまり、面積Bsは、経時的に取得される複数の撮像画像Vのうち、最初の撮像画像Vに基づいて算出された面積Bsのまま固定されるとともに、時間の経過に伴って葉面積B1だけが変化する構成が望ましい。
【0059】
図4に示すように、第一被覆率算出部41により経時的に算出された被覆率Brは、第一基準被覆率設定部42及び第一潅水制御部44へ送られる。第一基準被覆率設定部42は、基準時における第一グループGR1の被覆率Brを、第一グループGR1の基準被覆率ST(
図5参照)として設定する。
【0060】
詳述すると、本実施形態において、上述の基準時は、日の出直後の時間帯である。また、上述の通り、第一カメラCa1は、撮像画像Vを所定の時間間隔ごとに取得する。即ち、第一カメラCa1は、日の出直後の時間帯において、複数の時刻で撮像画像Vを取得する。これにより、第一カメラCa1によって、日の出直後の時間帯における複数の撮像画像Vが取得される。
【0061】
第一被覆率算出部41は、日の出直後の時間帯において取得された複数の撮像画像Vに基づいて、複数の被覆率Brを算出する。そして、第一基準被覆率設定部42は、この複数の被覆率Brの90パーセンタイル値を、基準被覆率STとして設定する。
【0062】
なお、本発明はこれに限定されず、第一基準被覆率設定部42は、上述の複数の被覆率Brの90パーセンタイル値以外の値を、基準被覆率STとして設定するように構成されていても良い。例えば、第一基準被覆率設定部42は、上述の複数の被覆率Brのうちの最大値を基準被覆率STとして設定するように構成されていても良い。また、第一基準被覆率設定部42は、上述の複数の被覆率Brの平均値を基準被覆率STとして設定するように構成されていても良い。
【0063】
図4に示すように、第一基準被覆率設定部42により設定された基準被覆率STは、第一基準算出部43へ送られる。
【0064】
また、オペレータは、入力部54を介して、しおれ係数を入力することができる。なお、しおれ係数とは、目標となる葉のしおれ度合いに相当する係数である。
【0065】
入力部54に入力されたしおれ係数は、制御部4に送られる。そして、第一基準算出部43は、第一基準被覆率設定部42から受け取った基準被覆率STと、入力部54に入力されたしおれ係数と、に基づいて、第一グループGR1の潅水基準値THを算出する。より具体的には、第一基準算出部43は、基準被覆率STにしおれ係数を乗ずることによって潅水基準値THを算出する。算出された潅水基準値THは、第一潅水制御部44へ送られる。
【0066】
このように、制御部4は、撮像画像Vに基づいて栽培植物Qの葉の張り度合いを示す値である被覆率Brを算出し、基準時における被覆率Brを基準被覆率STとして設定し、基準被覆率ST及びしおれ係数に基づいて潅水基準値THを算出するように構成されている。
【0067】
第一潅水装置11の制御元が制御部4側である場合、第一潅水制御部44は、第一被覆率算出部41から受け取った被覆率Brと、第一基準算出部43から受け取った潅水基準値THと、に基づいて、被覆率Brが潅水基準値THを下回っているか否かを判定する。そして、被覆率Brが潅水基準値THを下回った場合、第一潅水制御部44は、潅水指示信号を出力する。
【0068】
出力された潅水指示信号は、第一潅水装置11へ送られる。第一潅水装置11の制御元が制御部4側である場合、第一潅水装置11は、第一潅水制御部44から受け取った潅水指示信号に応じて、第一グループGR1に属する各植物個体Q1への潅水を実行する。第一潅水装置11の制御元が第一潅水装置11の本体側である場合、第一潅水装置11は、内部のコントローラの出力に基づいて、第一グループGR1に属する各植物個体Q1への潅水を実行する。
【0069】
即ち、第一潅水制御部44は、第一潅水装置11の制御元が制御部4側である場合、かつ、第一グループGR1の被覆率Brが第一グループGR1の潅水基準値THを下回った場合に、第一グループGR1への潅水を第一潅水装置11に実行させる。
【0070】
また、第二カメラCa2により所定の時間間隔ごとに取得された撮像画像Vは、第二被覆率算出部45へ送られる。そして、第二被覆率算出部45、第二基準被覆率設定部46、第二基準算出部47、及び、第二潅水制御部48は、以上で説明した第一被覆率算出部41、第一基準被覆率設定部42、第一基準算出部43、及び、第一潅水制御部44と同様の機能を有している。
【0071】
即ち、第二被覆率算出部45は、第一被覆率算出部41と同様の処理を行うことにより、第二グループGR2の被覆率Brを算出する。
【0072】
また、第二基準被覆率設定部46は、第一基準被覆率設定部42と同様の処理を行うことにより、第二グループGR2の基準被覆率STを設定する。
【0073】
また、第二基準算出部47は、第一基準算出部43と同様の処理を行うことにより、第二グループGR2の潅水基準値THを算出する。
【0074】
また、第二潅水装置12の制御元が制御部4側である場合、第二潅水制御部48は、第一潅水制御部44と同様の処理を行う。このことから、第二潅水制御部48は、第二グループGR2の被覆率Brが第二グループGR2の潅水基準値THを下回った場合に、第二グループGR2への潅水を第二潅水装置12に実行させる。第二潅水装置12の制御元が第二潅水装置12の本体側である場合、第二潅水装置12は、内部のコントローラの出力に基づいて、第二グループGR2に属する各植物個体Q1への潅水を実行する。
【0075】
ここで、
図4に示すように、第一被覆率算出部41及び第二被覆率算出部45により、被覆率算出部40が構成されている。被覆率算出部40は、定点カメラCaにより取得された撮像画像Vに基づいて、葉の張り度合いを示す値である被覆率Brをグループ毎に算出する。
【0076】
制御部4が潅水モードであるとき、潅水制御部49は、第一潅水モードと、第二潅水モードと、の何れかの制御モードで潅水装置10を制御する。第一潅水制御部44は、第一潅水モードと、第二潅水モードと、の間で制御モードを切り替え可能である。また、第二潅水制御部48は、第一潅水制御部44とは独立して、第一潅水モードと、第二潅水モードと、の間で制御モードを切り替え可能である。
【0077】
第一潅水モードにおいては、「被覆率Brが所定の潅水基準値THを下回ること」または「潅水後、被覆率Brが所定の時間に亘って連続的に所定の潅水基準値TH以上であること」の何れかが満たされた場合に、潅水制御部49が潅水装置10に潅水を実行させる。第二潅水モードでは、一日のうち潅水を行う時刻を予め設定可能であって、現在時刻が、予め設定された時刻に到達すると、潅水制御部49が潅水装置10に潅水を実行させる。
【0078】
また、入力部54は、オペレータによる手動潅水操作に応じて、潅水指示信号を潅水制御部49へ送ることができる。潅水制御部49は、この信号に応じて、即座に潅水装置10に潅水を実行させる。この構成により、オペレータは、潅水制御部49の制御モードに関係なく、入力部54に対して手動潅水操作を行うことにより、即座に潅水装置10に潅水を実行できる。
【0079】
図5に示すように、第一グループGR1及び第二グループGR2の被覆率Brは基本的に以下の通りに推移する。即ち、まず、時間の経過に伴って葉のしおれが進行する。これにより、被覆率Brは時間の経過に伴って減少する。
【0080】
潅水制御部49の制御モードが第一潅水モードであると、被覆率Brが潅水基準値THを下回り、潅水が実行される。これにより、葉の張り度合いが回復し、被覆率Brは増加する。また、潅水制御部49の制御モードが第二潅水モードであると、一日のうちの所定の設定時刻ごとに潅水が実行される。つまり、時間の経過に伴う葉のしおれの進行と、潅水による葉の張り度合いの回復と、が繰り返される。これにより、被覆率Brは、減少と増加とを交互に繰り返す。
【0081】
図5の上部に示す例では、第一潅水制御部44により潅水指示信号が出力されたタイミングが、上向き矢印によって示されている。この例では、時刻t1、時刻t2、時刻t4、時刻t6の夫々において、被覆率Brが潅水基準値THを下回ったため、第一潅水制御部44により潅水指示信号が出力されている。これにより第一グループGR1への潅水が実行された結果、被覆率Brは、潅水基準値THを上回っている。
【0082】
また、
図5の下部に示す例では、第二潅水制御部48により潅水指示信号が出力されたタイミングが、上向き矢印によって示されている。この例では、時刻t3、時刻t5の夫々において、被覆率Brが潅水基準値THを下回ったため、第二潅水制御部48により潅水指示信号が出力されている。これにより第二グループGR2への潅水が実行された結果、被覆率Brは、潅水基準値THを上回っている。
【0083】
なお、
図5に示す例では、オペレータの人為操作によって、第二グループGR2のしおれ係数は第一グループGR1のしおれ係数よりも小さい値に設定されている。そのため、第二グループGR2の潅水基準値THは、第一グループGR1の潅水基準値THよりも低い。その結果、第二グループGR2への潅水の回数は、第一グループGR1への潅水の回数よりも少なくなっている。
【0084】
定点カメラCaは、栽培植物Qの葉を、予め設定された時間間隔ごとに撮像する。
図4に示す記憶装置55は、定点カメラCaによって取得された撮像画像Vと、被覆率算出部40によって算出された被覆率Brと、を当該時間間隔に設定された設定間隔ごと(例えば60秒間隔ごと)に経時的に記憶する。このことから、記憶装置55に、被覆率Brの集合データが記憶される。記憶装置55に記憶された被覆率Brの集合データは、
図6に示す管理画面60のグラフ表示に用いられる。また、記憶装置55は、基準被覆率STと潅水基準値THとの夫々も記憶する。なお、記憶装置55は、管理コンピュータMCの一部である構成に限定されず、例えばデータセンタに配置されたクラウドサーバであっても良い。撮像画像Vは、記憶装置55において、例えばJPEGフォーマットやPNGフォーマットで保存されても良いし、動画として保存されても良い。記憶装置55は、本発明の『第一記憶装置』に相当する。
【0085】
〔管理コンピュータでの表示内容〕
図6に示すように、管理コンピュータMCのディスプレイ53は、管理画面60を表示可能である。管理画面60は、第一グラフ表示領域61及び第二グラフ表示領域62を有している。第一グラフ表示領域61及び第二グラフ表示領域62は、互いに上下に隣接している。第一グラフ表示領域61及び第二グラフ表示領域62は本発明の『張り指標値グラフ』に相当する。
【0086】
第一グラフ表示領域61は、第一グループGR1における被覆率Brの推移を示す時系列の情報をグラフで表示する領域である。また、第二グラフ表示領域62は、第二グループGR2における被覆率Brの推移を示す時系列の情報をグラフで表示する領域である。即ち、第一グラフ表示領域61及び第二グラフ表示領域62は、時刻と被覆率Brとの対応関係をグラフで示す領域である。第一グラフ表示領域61及び第二グラフ表示領域62に示されるグラフは、設定間隔ごと(例えば60秒間隔ごと)の被覆率Brを示すプロット点の集合体である。このプロット点の集合体によって、第一グラフ表示領域61及び第二グラフ表示領域62においてグラフは線状に表示される。換言すると、第一グラフ表示領域61及び第二グラフ表示領域62に、被覆率Brの推移を示す線グラフが表示される。
【0087】
第一グラフ表示領域61の下端部にモード推移領域61Aが表示される。第二グラフ表示領域62の下端部にモード推移領域62Aが表示される。モード推移領域61A,62Aの夫々は、潅水制御部49の制御モードの推移を表示する領域である。
【0088】
モード推移領域61A,62Aの夫々は、画面左右方向に延びる帯状に表示される。そして、モード推移領域61A,62Aの夫々において、潅水制御部49の制御モードが第一潅水モードであった時間帯に対応する部分の色と、潅水制御部49の制御モードが第二潅水モードであった時間帯に対応する部分の色と、が異なっている。即ち、モード推移領域61A,62Aの夫々は、色によって、潅水制御部49の制御モードの推移を示している。
【0089】
図6に示す例では、第一潅水制御部44及び第二潅水制御部48の夫々の制御モードは、午前6時30分から午前8時30分まで第二潅水モードであり、午前8時30分から午後4時まで第一潅水モードであり、午後4時から午後6時まで第二潅水モードである。
【0090】
また、
図6に示すように、管理画面60は、第一現在状況表示領域63及び第二現在状況表示領域64を有している。第一現在状況表示領域63及び第二現在状況表示領域64は、互いに上下に隣接している。また、第一グラフ表示領域61及び第一現在状況表示領域63は、互いに左右に隣接している。更に、第二グラフ表示領域62及び第二現在状況表示領域64は、互いに左右に隣接している。
【0091】
第一現在状況表示領域63は、第一グループGR1に関する現在の情報を表示する領域である。また、第二現在状況表示領域64は、第二グループGR2に関する現在の情報を表示する領域である。
【0092】
第一現在状況表示領域63は、現在モード領域63A、潅水基準値領域63B、現在値領域63C、及び、画像領域63Dを含んでいる。また、第二現在状況表示領域64は、現在モード領域64A、潅水基準値領域64B、現在値領域64C、及び、画像領域64Dを含んでいる。
【0093】
現在モード領域63A,64Aの夫々は、現在の潅水制御部49の制御モードを表示する。即ち、第一現在状況表示領域63の現在モード領域63Aは、第一潅水制御部44の制御モードを表示する。具体的には、第一現在状況表示領域63の現在モード領域63Aには、「自動潅水未制御」と表示されている。これにより、第一潅水制御部44の現在の制御モードが第二潅水モードであることが示されている。なお、第一潅水制御部44の現在の制御モードが第一潅水モードである場合、第一現在状況表示領域63の現在モード領域63Aには、「自動潅水制御中」と表示される。
【0094】
また、第二現在状況表示領域64の現在モード領域64Aは、第二潅水制御部48の制御モードを表示する。具体的には、第二現在状況表示領域64の現在モード領域64Aには、「自動潅水未制御」と表示されている。これにより、第二潅水制御部48の現在の制御モードが第二潅水モードであることが示されている。なお、第二潅水制御部48の現在の制御モードが第一潅水モードである場合、第二現在状況表示領域64の現在モード領域64Aには、「自動潅水制御中」と表示される。
【0095】
潅水基準値領域63B,64Bは、潅水基準値THを表示する。即ち、第一現在状況表示領域63の潅水基準値領域63Bは、第一グループGR1の潅水基準値THを表示する。また、第二現在状況表示領域64の潅水基準値領域64Bは、第二グループGR2の潅水基準値THを表示する。
【0096】
現在値領域63C,64Cは、現在の被覆率Brを表示する。即ち、第一現在状況表示領域63の現在値領域63Cは、第一グループGR1の現在の被覆率Brを表示する。また、第二現在状況表示領域64の現在値領域64Cは、第二グループGR2の現在の被覆率Brを表示する。
【0097】
画像領域63D,64Dは、最新の撮像画像Vを表示する。即ち、第一現在状況表示領域63の画像領域63Dは、第一カメラCa1により取得された最新の撮像画像Vを表示する。また、第二現在状況表示領域64の画像領域64Dは、第二カメラCa2により取得された最新の撮像画像Vを表示する。
【0098】
このように、本実施形態の管理コンピュータMCは、被覆率Brを時系列で示すグラフと、撮像画像Vと、を画面に表示可能に構成されている。
【0099】
図6に示すように、管理画面60の下部に、アラーム欄65と、ダウンロード操作部66と、が存在する。アラーム欄65と、ダウンロード操作部66と、の夫々は第二グラフ表示領域62の下方に位置している。
【0100】
アラーム欄65は、各種警告や各種異常をテキストメッセージで表示する領域である。例えば、定点カメラCaに異常が生じた場合、その旨がアラーム欄65に表示される。
【0101】
ダウンロード操作部66は、記憶装置55に記憶された被覆率Brの集合データを、通信部56と通信接続された記憶媒体へ記憶するための人為操作を受け付け可能に構成されている。通信部56と通信接続された記憶媒体は、記憶装置55とは別の記憶媒体であって、例えば、フラッシュメモリ等である。通信部56と通信接続された記憶媒体は、本発明の『第二記憶装置』に相当する。つまり、通信部56は、外部に存在する第二記憶装置と通信接続可能である。ダウンロード操作部66は、本発明の『操作部』に相当する。
【0102】
ダウンロード操作部66は、通信部56が記憶媒体と通信接続していない場合に、いわゆる『グレーアウト』と呼ばれる灰色表示になって、人為操作を受け付けない。換言すると、記憶媒体が通信部56のポートから取り外されている場合、ダウンロード操作部66は機能しない。
【0103】
ダウンロード操作部66は、通信部56が記憶媒体と通信接続している場合に人為操作を受け付ける。つまり、入力部54に対する人為操作が行われ、かつ、人為操作に基づいて指定された座標点と、ディスプレイ53の画面においてダウンロード操作部66の位置する座標と、が重複すると、ダウンロード操作部66は人為操作を受け付ける。ダウンロード操作部66が人為操作を受け付けると、記憶装置55に記憶された被覆率Brの集合データが、通信部56と通信接続された記憶媒体へ複写される。
【0104】
図6に示すように、管理画面60の右部に、積層表示灯部68と、異常表示部69と、制御切替スイッチ部70と、ブザー停止操作部71と、が表示される。
【0105】
積層表示灯部68は、オペレータに対して注意を促すための視覚情報を複数の表示パターンにパターン分けして表示可能である。積層表示灯部68において、下部分68Aと、中間部分68Bと、上部分68Cと、が上下に並ぶ。制御部4が潅水モードである場合、下部分68Aが緑色で表示され、中間部分68B及び上部分68Cが灰色で表示される。制御部4が警告モードである場合、中間部分68Bが黄色で表示され、下部分68A及び上部分68Cが灰色で表示される。制御部4が異常モードである場合、上部分68Cが赤色で表示され、下部分68A及び中間部分68Bが灰色で表示される。このように、積層表示灯部68は、制御部4の制御モードに応じて、表示パターンを切り替え可能に構成されている。
【0106】
制御部4が警告モードまたは異常モードである場合において、異常表示部69は、栽培システムSYにおいて異常に該当する部分を表示する。
図6に示す例において、異常表示部69に、『カメラ異常』と表示される部分と、『記憶装置異常』と表示される部分と、『潅水異常』と表示される部分と、が存在する。
【0107】
上述した通り、制御切替スイッチ部70は、潅水装置10の制御元を切り替える操作を受け付ける。つまり、入力部54に対する人為操作が行われ、かつ、人為操作に基づいて指定された座標点と、ディスプレイ53の画面において制御切替スイッチ部70の位置する座標と、が重複すると、制御切替スイッチ部70は人為操作を受け付ける。制御切替スイッチ部70が人為操作を受け付けると、潅水装置10の制御元が、第一潅水装置11及び第二潅水装置12の夫々の本体側と、制御部4側と、間で切り替わる。
【0108】
ブザー停止操作部71は、ブザー52の出力を停止するための操作を受け付ける。つまり、入力部54に対する人為操作が行われ、かつ、人為操作に基づいて指定された座標点と、ディスプレイ53の画面においてブザー停止操作部71の位置する座標と、が重複すると、ブザー停止操作部71は人為操作を受け付ける。ブザー停止操作部71が人為操作を受け付けると、制御部4はブザー52へ停止信号を出力し、ブザー52の音出力は停止する。
【0109】
本実施形態では、制御部4は、画像領域63D,64Dに表示された最新の撮像画像Vに加えて、過去に撮像された撮像画像Vを管理画面60に表示可能に構成されている。換言すると、本実施形態の管理コンピュータMCは、記憶装置55に記憶された複数の撮像画像Vのうち、第一グラフ表示領域61及び第二グラフ表示領域62に表示される時系列の範囲内の時刻に撮像された撮像画像Vを管理画面60に選択表示可能に構成されている。
【0110】
図7に基づいて具体的に説明すると、オペレータが、入力部54(タッチスクリーンやコンピュータマウス)を用いて、第一グラフ表示領域61また第二グラフ表示領域62におけるグラフ線における任意のプロット点に対して操作すると、管理画面60に別ウィジェット部分72がポップアップ表示される。そして、別ウィジェット部分72に、当該プロット点に対応する時間に撮像された撮像画像Vが表示される。
【0111】
例えば入力部54がタッチスクリーンである場合、オペレータが第一グラフ表示領域61また第二グラフ表示領域62におけるグラフ線における任意のプロット点をタッチ操作すると、そのプロット点の近傍に管理画面60に別ウィジェット部分72がポップアップ表示される。そして、そのプロット点に対応する時間に撮像された撮像画像Vが別ウィジェット部分72に表示される。
【0112】
また、例えば入力部54がコンピュータマウスである場合、オペレータが第一グラフ表示領域61また第二グラフ表示領域62におけるグラフ線における任意のプロット点にマウスカーソルを重ねてクリック操作すると、そのプロット点の近傍に管理画面60に別ウィジェット部分72がポップアップ表示される。そして、そのプロット点に対応する時間に撮像された撮像画像Vが別ウィジェット部分72に表示される。
【0113】
つまり、入力部54に対する人為操作が行われ、かつ、人為操作に基づいて指定された座標点と、第一グラフ表示領域61また第二グラフ表示領域62における時系列の線(時系列に並べたプロット点の集合が線状になっているもの)と、が重複すると、制御部4は、時系列の線のうち当該座標点と重複する部分に該当する時刻に撮像された撮像画像Vを表示する。
【0114】
〔判定部の判定に基づく制御部のモード切り替え処理に関して〕
判定部57の判定に基づく制御部4の処理は、
図8に示すフローチャートに基づいて実行される。
図8に示すフローチャートにおけるスタートとエンドとに亘る処理は、周期的に繰り返し実行される。栽培システムSYにエラーが発生しておらず(ステップ#01:No)、かつ、制御部4の制御モードが潅水モードである場合(ステップ#06:Yes)には、フローチャートは終了し、次の周期処理の開始を待つことになる。
【0115】
まず、ステップ#01において判定部57は、栽培システムSYにエラーが発生しているか否かを判定する。具体的には、判定部57は、
図9に列挙するエラー項目に栽培システムSYの稼働状態が該当するか否かを判定する。
【0116】
図9に列挙するエラー項目に栽培システムSYの稼働状態が該当する場合(ステップ#01:Yes)、判定部57は、当該エラーの種類が警告と異常との何れであるかを判定する。
図9に示すエラー項目におけるエラーの種類に、『警告』、及び、『異常』が存在する。
【0117】
該当するエラーの種類が『警告』に該当する場合(ステップ#02:警告)、制御部4の制御モードが警告モードへ切り替わる(ステップ#03)。このとき、栽培システムSYの稼働は継続する。このとき、積層表示灯部68における中間部分68Bが黄色で点滅表示され、アラーム欄65にエラーの内容が表示される。制御部4は、警告モードのときに積層表示灯部68が黄色で点滅するように表示パターンを切り替える。
【0118】
該当するエラーの種類が『異常』に該当する場合(ステップ#02:異常)、制御部4の制御モードが警告モードへ切り替わる(ステップ#04)。このとき、栽培システムSYの稼働は中断する(ステップ#05)。このとき、積層表示灯部68における上部分68Cが赤色で点滅表示され、アラーム欄65にエラーの内容が表示される。制御部4は、異常モードのときに積層表示灯部68が赤色で点滅するように表示パターンを切り替える。
【0119】
このように、栽培システムSYにエラーが発生している場合(ステップ#01:Yes)、ステップ#02及びステップ#03の処理、または、ステップ#02、ステップ#04、及び、ステップ#05の処理が周期的に繰り返される。つまり、制御部4は、判定部57の判定結果に応じて制御モードの切り替えが可能である。また、制御部4は、制御モードの切り替えに応じて、積層表示灯部68の表示パターンを切り替えるとともに、アラーム欄65における表示態様を切り替える。
【0120】
栽培システムSYの稼働状態が、
図9に示すエラー項目の何れにも該当しなくなると、ステップ#01における判定はNoとなる。栽培システムSYにエラーが発生しておらず(ステップ#01:No)、かつ、制御部4の制御モードが潅水モードではない場合(ステップ#06:No)には、栽培システムSYにおけるエラーが解消し、制御部4の制御モードが潅水モードへ復帰していないことを示している。本実施形態では、
図9に示すエラー履歴画面80がディスプレイ53に表示可能に構成され、エラー履歴画面80に確認部82が表示される。
【0121】
ステップ#07において、確認部82は人為操作を受け付けたか否かが判定される。入力部54に対する人為操作が行われ、かつ、人為操作に基づいて指定された座標点と、ディスプレイ53の画面において確認部82の位置する座標と、が重複すると、確認部82は人為操作を受け付ける。確認部82が人為操作を受け付けていない場合(ステップ#07:No)、フローチャートは終了し、次の周期処理の開始を待つことになる。
【0122】
確認部82が人為操作を受け付けると(ステップ#07:Yes)、制御部4の制御モードが潅水モードへ切り替わる(ステップ#08)。このとき、積層表示灯部68における下部分68Aが緑色で点滅表示され、アラーム欄65は空欄となる。制御部4は、潅水モードのときに積層表示灯部68が緑色で点滅するように表示パターンを切り替える。また、以前の周期処理において、ステップ#05に基づいて栽培システムSYの稼働が中断していた場合、栽培システムSYの稼働は再開する(ステップ#09)。
【0123】
このように、制御部4は、栽培システムSYの稼働状態が正常な状態から正常でない状態へ切り替わる場合に警告モードまたは異常モードへ移行し、栽培システムSYの稼働状態が正常でない状態から正常な状態へ切り替わった状態で確認部82が操作される場合に潅水モードへ移行する。
【0124】
図9に、エラーの項目を列挙している。エラーの内容はアラーム欄65に表示される。エラーの項目に、共通エラー項目と、カメラエラー項目と、潅水装置エラー項目と、が含まれる。
【0125】
共通エラー項目に、記憶装置55における残容量の減少と、例えば通信部56における予期せぬ通信異常と、各種設定ファイル異常と、が含まれる。記憶装置55における残容量が予め設定された第一の閾値以下になると、制御部4の制御モードは警告モードに切り替わる。また、当該残量が更に減少し、第一の閾値よりも更に少ない残量に設定された第二の閾値以下になると、制御部4の制御モードは異常モードに切り替わる。
【0126】
カメラエラー項目に、定点カメラCaの撮像異常と、定点カメラCaの画像処理異常と、潅水基準値THの下方修正の頻繁な発生と、繰返し潅水制限の発生と、葉面積B1の低下と、葉面積B1の密集と、が含まれる。
【0127】
定点カメラCaの撮像異常と、定点カメラCaの画像処理異常と、が発生すると、撮像画像Vの取得が不能となる。撮像画像Vの取得が不能になると、被覆率算出部40は被覆率Brの算出を継続できなくなる。このため、制御部4は制御モードを異常モードへ切り替える。つまり、栽培システムSYの稼働状態が異常な場合に、制御部4が撮像画像Vを取得不能な場合が含まれる。
【0128】
園芸施設1においては、管理者によって、つる下ろし、誘引、摘葉、収穫等の栽培管理作業が行われる。そして、栽培管理作業が行われた場合、栽培植物Qの姿勢や葉の位置等が変化する。これにより、定点カメラCaによって取得される撮像画像Vにおける葉面積B1が急激に変化しやすい。撮像画像Vにおける葉面積B1が急激に変化すると、被覆率Brが急激に変化する。
【0129】
葉面積B1の低下とは、撮像画像Vにおける葉面積B1が予め設定された閾値よりも小さくなったことを意味する。つまり、稼働状態が正常でない場合に、撮像画像Vにおいて栽培植物Qの葉の面積が予め設定された下閾値よりも小さいことが含まれる。
【0130】
葉面積B1の密集とは、撮像画像Vにおける葉面積B1が予め設定された閾値よりも大きくなったことを意味する。つまり、稼働状態が正常でない場合に、撮像画像Vにおいて栽培植物Qの葉の面積が予め設定された上閾値よりも大きいことが含まれる。なお、上閾値は、上述の下閾値よりも大きく設定される。
【0131】
また、本実施形態では、被覆率Brが急激に変化した場合、基準被覆率ST及び潅水基準値THが再算出されるように構成されている。例えば、
図10に示す例では、潅水制御部49により潅水指示信号が出力されたタイミングが、上向き矢印によって示されている。この例では、時刻t11で潅水が実行された後、時刻t12で栽培管理作業が行われることによって被覆率Brが急増している。
【0132】
そして、時刻t11の潅水の実行時点から設定時間Ti1に亘って、潅水が行われず、かつ、被覆率Brが基準被覆率STを下回っていない。この設定時間Ti1内における被覆率Brの最大値は、時刻t13における値である。この場合、制御部4(第一基準被覆率設定部42及び第二基準被覆率設定部46)は、設定時間Ti1内における被覆率Brの最大値で基準被覆率STを置き換えることにより、時刻t14に、基準被覆率STを修正する。これにより、基準被覆率STは上昇する。また、制御部4(第一基準算出部43及び第二基準算出部47)は、修正後の基準被覆率STに基づいて潅水基準値THを再算出する。これにより、潅水基準値THは上昇する。
【0133】
また、
図11に示す例では、潅水制御部49により潅水指示信号が出力されたタイミングが、上向き矢印によって示されている。この例では、時刻t21で潅水が実行された後、時刻t22で栽培管理作業が行われることによって、被覆率Brが潅水基準値THを下回るまで急減している。
【0134】
そして、被覆率Brが潅水基準値THを下回ったため、時刻t23~t26において、潅水制御部49により潅水指示信号が繰り返し出力されている。しかし、その後、被覆率Brが潅水基準値THを上回らない。このため、制御部4(第一基準被覆率設定部42、第二基準被覆率設定部46、第一基準算出部43、及び、第二基準算出部47)は、基準被覆率ST及び潅水基準値THを下方へ再設定している。つまり、制御部4は、被覆率Brが潅水基準値THを下回った後、予め設定された回数の潅水が実行されても被覆率Brが潅水基準値THを上回らなかった場合に、基準被覆率ST及び潅水基準値THを変更する。
【0135】
このように、制御部4は、潅水が実行されていない状態が予め設定された設定時間Ti1に亘って続いても被覆率Brが基準被覆率STを下回らない場合、または、予め設定された回数の潅水が実行されても被覆率Brが潅水基準値THを上回らない場合に基準被覆率ST及び潅水基準値THを変更する基準値再設定処理を実行するように構成されている。
【0136】
潅水基準値THの下方修正の頻繁な発生とは、基準被覆率ST及び潅水基準値THを変更する基準値再設定処理が頻繁に行われたことを意味する。つまり、栽培システムSYの稼働状態が正常でない場合に、予め設定された制限時間内に当該基準値再設定処理が予め設定された回数以上実行されたことが含まれる。回数は二回以上の値を適宜設定可能である。
【0137】
また、本実施形態では、予め設定された制限時間Ti2内における潅水の回数に制限を設定可能である。例えば
図11に示すように、制御部4は、予め設定された制限時間Ti2内に潅水装置10によって実行される潅水の回数が予め設定された制限回数以内(
図11に示す例では3回以内)となるように潅水装置10を制御する。繰返し潅水制限の発生とは、予め設定された制限時間Ti2内における潅水の回数が上限に到達し、当該制限時間Ti2内において更なる潅水が不能であることを意味する。つまり、栽培システムSYの稼働状態が正常でない場合に、当該制限時間Ti2内に潅水の回数が制限回数に達して潅水装置10が潅水をできない場合が含まれる。
【0138】
潅水装置10のエラー項目に、潅水装置通信異常と、ウォッチドッグタイマ異常と、潅水装置10の異常と、潅水装置10における潅水バルブの異常と、が含まれる。潅水制御部49は、潅水装置10へ制御信号を出力した際に、潅水装置10からレスポンス信号を受信する。潅水装置通信異常とは、潅水制御部49が潅水装置10からレスポンス信号を予め設定された時間内に受け取らなかったことを意味する。ウォッチドッグタイマ異常とは、潅水装置10の状態を監視するためのウォッチドッグタイマが異常になったことを意味する。潅水装置10の異常とは、例えば潅水装置10に故障等の異常が発生したことを意味する。潅水バルブの異常とは、例えば潅水バルブに故障等の異常が発生したことを意味する。
【0139】
栽培システムSYのエラーが潅水装置10のエラー項目に該当する場合、制御部4の制御モードは異常モードになる。つまり、栽培システムSYの稼働状態が異常な場合に、制御部4が潅水装置10を制御不能な場合が含まれる。
【0140】
〔エラー履歴画面〕
図12に示すように、管理コンピュータMCのディスプレイ53は、エラー履歴画面80を表示可能である。エラー履歴画面80は、エラー履歴一覧領域81と、確認部82と、表示切替部83と、を有している。
【0141】
エラー履歴一覧領域81は、エラーの発生日時と、エラーの内容と、エラーの解消日時(復旧日時)と、を併せてエラーの発生履歴を一覧表示する。エラーの発生履歴は、上から下へ発生日時の新しい順に表示されるが、上から下へ発生日時の古い順に表示されても良い。なお、エラー履歴一覧領域81は、縦スクロール可能な構成となっている。例えば、オペレータがタッチスクリーン(入力部54)を指でなぞりながらスクロール操作しても良いし、オペレータがコンピュータマウス(入力部54)を操作しながらスクロール操作しても良い。
【0142】
上述したように、確認部82は、栽培システムSYのエラーが解消した後に制御部4の制御モードを潅水モードへ戻すための人為操作を受け付け可能である。入力部54に対する人為操作が行われ、かつ、人為操作に基づいて指定された座標点と、ディスプレイ53の画面において確認部82の位置する座標と、が重複すると、確認部82は人為操作を受け付ける。
【0143】
表示切替部83は、エラー履歴一覧領域81における表示態様を切り替えるための人為操作を受け付け可能である。入力部54に対する人為操作が行われ、かつ、人為操作に基づいて指定された座標点と、ディスプレイ53の画面において表示切替部83の位置する座標と、が重複すると、表示切替部83は人為操作を受け付ける。表示切替部83が人為操作を受け付けると、エラー履歴一覧領域81における表示態様が、全エラーを表示する態様と、現在発生中のエラーのみを表示する態様と、に交互に切り替わる。
【0144】
図6に示す管理画面60と同様に、
図12に示すエラー履歴画面80に、積層表示灯部68と、異常表示部69と、制御切替スイッチ部70と、ブザー停止操作部71と、が表示される。エラー履歴画面80において、積層表示灯部68と、異常表示部69と、制御切替スイッチ部70と、ブザー停止操作部71と、の夫々に関しては、
図6に基づいて上述した通りである。
【0145】
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0146】
(1)本発明の『撮像部』は、例えば赤外線カメラであっても良いし、三次元レーザースキャナーであっても良い。
【0147】
(2)上述の実施形態において、オペレータが、入力部54を用いて、第一グラフ表示領域61また第二グラフ表示領域62におけるグラフ線における任意のプロット点に対して操作すると、管理画面60に別ウィジェット部分72がポップアップ表示される。そして、別ウィジェット部分72に、当該プロット点に対応する時間に撮像された撮像画像Vが表示される。この実施形態に限定されず、例えば、オペレータが、入力部54を用いて、第一グラフ表示領域61また第二グラフ表示領域62におけるグラフ線における任意のプロット点に対して操作すると、画像領域63D,64Dに、当該プロット点に対応する時間に撮像された撮像画像Vが表示される構成であっても良い。
【0148】
(3)上述の実施形態において、別ウィジェット部分72に、当該プロット点に対応する時間に撮像された撮像画像Vが、静止画として表示されるが、短時間の動画として表示されても良い。
【0149】
(4)上述の実施形態において、記憶装置55は、第一カメラCa1及び第二カメラCa2によって取得された撮像画像Vと、被覆率算出部40によって算出された被覆率Brと、を当該時間間隔に設定された設定間隔ごとに経時的に記憶する。第一グラフ表示領域61及び第二グラフ表示領域62に示されるグラフは、設定間隔ごとの被覆率Brを示す。この設定間隔は、例えば60秒間隔ごとであっても良いし、30秒間隔であっても良いし、60秒以上の間隔であっても良い。
【0150】
(5)上述の実施形態において、入力部54はタッチスクリーンやコンピュータマウスを例示したが、例えば上下左右の方向ボタンであっても良い。
【0151】
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明は、栽培植物への潅水を行うための潅水制御システムに適用できる。
【符号の説明】
【0153】
4 :制御部
10 :潅水装置
54 :入力部
55 :記憶装置(第一記憶装置)
56 :通信部
61 :第一グラフ表示領域(張り指標値グラフ)
62 :第二グラフ表示領域(張り指標値グラフ)
66 :ダウンロード操作部(操作部)
Br :被覆率(張り指標値)
Ca :定点カメラ(撮像部)
MC :管理コンピュータ(表示装置)
Q :栽培植物
V :撮像画像
SY :栽培システム(潅水制御システム)