IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENホールディングスの特許一覧

<>
  • 特開-撮像装置 図1
  • 特開-撮像装置 図2
  • 特開-撮像装置 図3
  • 特開-撮像装置 図4
  • 特開-撮像装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046288
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20240327BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20240327BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240327BHJP
【FI】
G01N21/892 A
B41J29/393 105
H04N23/60 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151591
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】杉原 勇也
(72)【発明者】
【氏名】奥島 智靖
(72)【発明者】
【氏名】野村 星也
【テーマコード(参考)】
2C061
2G051
5C122
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061HJ02
2C061HJ10
2C061HP00
2C061KK26
2C061KK28
2G051AA32
2G051AB11
2G051CA04
2G051CB01
2G051DA06
2G051EA14
2G051EA16
2G051EA25
2G051EB05
2G051ED08
5C122DA12
5C122EA37
5C122EA42
5C122EA61
5C122FC03
5C122FH11
5C122HA75
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB02
(57)【要約】
【課題】カメラが取得する撮像データを検査に必要な解像度の画像に適切に変換することができる技術を提供する。
【解決手段】撮像装置40は、カメラ41と、画像データ出力部45と、外部出力信号生成部47とを備える。カメラ41は、一定周期で発生するカメラ出力信号SCに基づき、搬送方向Xに搬送される印刷媒体9上に印刷された画像を撮像することによって得られる撮像データDを出力する。画像データ出力部45は、撮像データDに基づく画像データDMを検査装置8に出力する。外部出力信号生成部47は、画像データ出力部45が画像データDMを出力するタイミングを示す外部出力信号SRを生成する。画像データ出力部45は、バッファ51に蓄積された複数の撮像データDを、カメラ出力信号SCと外部出力信号SRの時間のずれに応じた重みで重み付けした加重平均を算出する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置であって、
一定周期で発生するカメラ出力信号に基づき、第1方向に搬送される印刷媒体上に印刷された画像を撮像することによって得られる撮像データを出力するカメラと、
前記撮像データに基づく画像データを外部装置に出力する画像データ出力部と、
前記画像データ出力部が前記画像データを出力するタイミングを示す外部出力信号を生成する外部出力信号生成部と、
を備え、
前記画像データ出力部は、
前記カメラが出力する複数の撮像データを蓄積可能なバッファと、
前記バッファに蓄積された前記複数の撮像データを、前記カメラ出力信号と外部出力信号と間の時間のずれに応じた重みで加重平均を算出する平均処理部と、
を有し、
前記画像データ出力部は、前記平均処理部によって算出された加重平均が示す画像を前記画像データとして出力する、撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記外部出力信号生成部は、前記印刷媒体の搬送量に基づいて、前記外部出力信号を発生する、撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置であって、
前記搬送量を検出する搬送量検出部、
をさらに備え、
前記外部出力信号生成部は、前記搬送量検出部が検出する前記搬送量に基づいて、前記外部出力信号を生成する、撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像装置であって、
前記搬送量検出部は、前記印刷媒体を搬送する搬送ローラの回転量に応じてパルス信号を出力するロータリーエンコーダを有し、
前記外部出力信号生成部は、前記パルス信号に基づいて、前記外部出力信号を生成する、撮像装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、
前記カメラは、前記第1方向と交差する第2方向に延びるラインセンサを有する、撮像装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、
前記カメラ出力信号の周期よりも短い周期でカウント信号を生成するカウント信号生成部、
をさらに備え、
前記画像データ出力部は、前記カメラ出力信号と前記外部出力信号との間の時間のずれの間に生成される前記カウント信号の数に基づいて、前記重みを決定する、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷媒体を一方向に搬送しつつ、印刷媒体に印刷された画像をカメラで撮像し、得られた画像データに基づいて、印刷品質やノズルチェックなど、各種検査が行われている。例えば、特許文献1には、テストパターンを記録ヘッドで印刷した印刷物をインラインセンサで読み取ることで読取画像を取得し、読取画像から用いて記録ヘッドにおける各ノズルの記録特性を取得することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-187137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラインセンサなどのカメラの撮像周期を一定とした場合、カメラが出力する撮像データの解像度は、印刷媒体の搬送速度に依存する。例えば、搬送速度が小さくなると、1回の撮像中に印刷媒体が移動する距離が小さくなるため、撮像データの解像度は大きくなる。また、搬送速度が大きくなると、撮像データの解像度が小さくなる。したがって、ラインスキャンカメラが出力する撮像データを、検査に用いる画像の解像度(以下、「検査解像度」と称する。)に合わせて変換する処理が必要となる場合がある。
【0005】
本発明の目的は、カメラが取得する撮像データを検査に必要な解像度の画像に適切に変換することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1態様は、撮像装置であって、一定周期で発生するカメラ出力信号に基づき、第1方向に搬送される印刷媒体上に印刷された画像を撮像することによって得られる撮像データを出力するカメラと、前記撮像データに基づく画像データを外部装置に出力する画像データ出力部と、前記画像データ出力部が前記画像データを出力するタイミングを示す外部出力信号を生成する外部出力信号生成部と、を備え、前記画像データ出力部は、前記カメラが出力する複数の撮像データを蓄積可能なバッファと、前記バッファに蓄積された前記複数の撮像データを、前記カメラ出力信号と外部出力信号と間の時間のずれに応じた重みで加重平均を算出する平均処理部と、を有し、前記画像データ出力部は、前記平均処理部によって算出された加重平均が示す画像を前記画像データとして出力する。
【0007】
第2態様は、第1態様の撮像装置であって、前記外部出力信号生成部は、前記印刷媒体の搬送量に基づいて、前記外部出力信号を発生する。
【0008】
第3態様は、第2態様の撮像装置であって、前記搬送量を検出する搬送量検出部、をさらに備え、前記外部出力信号生成部は、前記搬送量検出部が検出する前記搬送量に基づいて、前記外部出力信号を生成する。
【0009】
第4態様は、第3態様の撮像装置であって、前記搬送量検出部は、前記印刷媒体を搬送する搬送ローラの回転量に応じてパルス信号を出力するロータリーエンコーダを有し、前記外部出力信号生成部は、前記パルス信号に基づいて、前記外部出力信号を生成する。
【0010】
第5態様は、第1態様または第2態様の撮像装置であって、前記カメラは、前記第1方向と交差する第2方向に延びるラインセンサを有する。
【0011】
第6態様は、第1態様または第2態様の撮像装置であって、前記カメラ出力信号の周期よりも短い周期でカウント信号を生成するカウント信号生成部、をさらに備え、前記画像データ出力部は、前記カメラ出力信号と前記外部出力信号との間の時間のずれの間に生成される前記カウント信号の数に基づいて、前記重みを決定する。
【発明の効果】
【0012】
第1態様から第6態様の撮像装置によれば、バッファに蓄積された撮像データについて、カメラ出力信号と外部出力信号との時間のずれに応じた重みで加重平均を取ることにより、カメラが出力する撮像データの解像度を、所望の解像度の画像データに適切に変換できる。
【0013】
第2態様の撮像装置によれば、搬送量に基づいて、外部出力信号を発生させることができる。
【0014】
第3態様の撮像装置によれば、印刷媒体の搬送速度が変化することによって撮像データの解像度が変動しても、撮像データを必要な解像度の画像データに変換できる。
【0015】
第5態様の撮像装置によれば、一方向に搬送される印刷媒体上の画像をラインセンサで読み取ることができる。
【0016】
第6態様の撮像装置によれば、カウント信号の数に基づいて重みを決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る印刷装置を示す図である。
図2】実施形態に係るカメラおよび画像データ出力部がカメラ出力信号を受信した際に実行する処理の流れを示す図である。
図3】実施形態に係る撮像装置の第1の動作例を示すタイミングチャートである。
図4】実施形態に係る撮像装置の第2の動作例を示すタイムチャートである。
図5】実施形態に係る撮像装置の第3の動作例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
【0019】
<1. 第1実施形態>
図1は、実施形態に係る印刷装置1を示す図である。印刷装置1は、インクジェット方式でインクの液滴(以下、「インク滴」と称する。)を印刷媒体9に吐出して、印刷媒体9の印刷面91に画像を形成する。本例では、印刷媒体9は、長尺帯状(ウェブ状)である。印刷媒体9は、例えば、印刷用紙、樹脂製のフィルムまたは金属箔である。図1に示されるように、印刷装置1は、搬送部10と、印刷部20と、印刷制御部30と、撮像装置40とを備える。
【0020】
搬送部10は、規定の搬送経路に沿って、上流側から下流側へ印刷媒体9をロールtoロールで連続搬送する。具体的には、搬送部10は、繰出ローラ11と、複数個の搬送ローラ12と、巻取ローラ13とを有する。繰出ローラ11、各搬送ローラ12および巻取ローラ13は、印刷媒体9の幅方向Yと平行な軸を中心として回転可能である。
【0021】
繰出ローラ11は、繰出ローラ11の外周面にロール状に巻かれた印刷媒体9を連続的に繰り出す。複数個の搬送ローラ12は、搬送経路上の規定位置にそれぞれ位置する。各搬送ローラ12は、繰出ローラ11から繰り出される印刷媒体9を、印刷面91とは反対側の裏面92側から支持する。巻取ローラ13は、各搬送ローラ12に掛け渡された印刷媒体9をロール状に巻き取って回収する。
【0022】
搬送部10は、巻取ローラ13を回転させるモータなどの回転駆動部を有する。なお、搬送部10は、繰出ローラ11、または、複数個の搬送ローラ12の一部または全部を回転させる回転駆動部を備えていてもよい。
【0023】
搬送部10は、搬送量検出部15を備える。搬送量検出部15は、印刷媒体9の一定時間あたりの搬送量(搬送距離)を検出する。搬送量検出部15は、具体的には、ロータリーエンコーダを有する。ロータリーエンコーダは、搬送ローラ12の回転量(回転角度)を検出する。搬送量検出部15のロータリーエンコーダは、搬送ローラ12が所定角度回転する度に、パルス状のエンコーダ信号SEを出力する。
【0024】
なお、印刷媒体9の搬送量を検出する方法は、ロータリーエンコーダを用いたものに限定されない。例えば、印刷媒体9上に所定間隔で記録されたマークをカメラなどで読み取り、読み取った時間に基づいて、印刷媒体9の一定時間あたりの搬送量が算出されてもよい。
【0025】
印刷部20は、搬送部10によって一方向(図1中、矢印で示される搬送方向X)に搬送される印刷媒体9の印刷面91に画像を印刷する。印刷部20は、インク滴を吐出する複数個の印刷ヘッド21を有する。本例では、搬送方向Xに向かって順に、ブラック(K)のインク滴を吐出する印刷ヘッド21と、シアン(C)のインク滴を吐出する印刷ヘッド21と、M(マゼンタ)のインク滴を吐出する印刷ヘッド21と、イエロー(Y)のインク滴を吐出する印刷ヘッド21が、互いに間隔を開けて配列される。
【0026】
なお、各印刷ヘッド21が吐出するインクの色は、任意に変更し得る。また、印刷部20は、K、C、MおよびYとは異なる色のインク滴を吐出する印刷ヘッド21を有していてもよい。また、印刷部20が有する印刷ヘッド21の数は、1個であってもよい。
【0027】
印刷ヘッド21における印刷媒体9の印刷面91と対向する面には、インク滴を吐出する複数の吐出ノズル(不図示)が配置される。複数の吐出ノズルは、搬送方向Xと直交する幅方向Yに配列される。印刷ヘッド21がインク滴を吐出可能な範囲(印刷可能な範囲)は、印刷媒体9の幅方向Y全体にわたる。印刷装置1は、印刷媒体9が複数の印刷ヘッド21の下方を1回だけ通過する間に、各印刷ヘッド21からインク滴を吐出して印刷媒体9に画像M1を印刷する、いわゆるシングルパス(ワンパス)方式の印刷装置である。
【0028】
印刷制御部30は、印刷部20を制御する。印刷制御部30は、例えば、CPUなどのプロセッサ、RAMなどのメモリ、ハードディスクドライブなどの補助記憶装置を備えたコンピュータである。なお、印刷制御部30は、特定用途向け半導体集積回路(ASIC)などの専用の電子回路で構成されていてもよい。
【0029】
印刷制御部30は、印刷媒体9に印刷するべき画像を示す印刷データと、印刷媒体9の搬送量(搬送量検出部15が出力するエンコーダ信号SE)とに基づいて、各印刷ヘッド21の各ノズルからのインク滴の吐出を制御する。
【0030】
撮像装置40は、印刷媒体9に印刷された画像M1を撮像して、外部装置である検査装置8に画像データDMを出力する。検査装置8は撮像装置40から出力される画像データDMを基準画像と比較するなどして、画像M1が正しく印刷されているか検査する装置である。また、検査装置8は画像M1の濃度ムラの有無や色見を確認する装置であってもよい。撮像装置40は、カメラ41と、カメラ出力信号発生部43と、画像データ出力部45と、外部出力信号生成部47とを備える。画像データ出力部45は、バッファ51と、平均処理部53と、レート設定部55とを有する。
【0031】
カメラ41は、幅方向Yに延びるラインセンサを有する、ラインスキャンカメラである。ラインセンサは、幅方向Yに一列に配列された複数の撮像素子で構成される。撮像素子は、CCDまたはCMOSである。カメラ41は、ラインセンサによって印刷媒体9上の画像の色を光学的に読み取り、読み取った色をRGB色空間で表現した画像を示す撮像データDを、バッファ51に出力する。撮像データDは、例えば、1ライン分のRGB各色の輝度値を示すデータである。
【0032】
カメラ出力信号発生部43は、一定の周期T1でパルス状のカメラ出力信号SCを生成する。図1に示されるように、カメラ出力信号SCは、カメラ41、カウント信号生成部44、および、画像データ出力部45のレート設定部55にそれぞれ入力される。
【0033】
カウント信号生成部44は、カウント信号SCCを生成する。カウント信号SCCは、で生成されるパルス状の信号である。カウント信号SCCの周期は、好ましくは、カメラ出力信号SCの周期T1の半分よりも小さい。
【0034】
本例では、カウント信号生成部44は、カメラ出力信号SCに基づいて、カウント信号SCCを生成する。カウント信号生成部44は、カメラ出力信号SCを逓倍(本例では、8倍)することによってカウント信号SCCを生成する。カウント信号SCCは、画像データ出力部45のレート設定部55に入力される。
【0035】
なお、カウント信号SCCがカメラ出力信号SCに基づいて生成されることは、必須ではない。すなわち、カウント信号SCCは、カメラ出力信号SCから独立して生成される信号であってもよい。
【0036】
カメラ41は、カメラ出力信号SCに基づいて撮像を行い、得られる撮像データDをバッファ51に出力する。このため、カメラ41は、周期T1で撮像および出力を行う。カメラ41が撮像する際の露光時間は、例えば、周期T1と一致する。
【0037】
画像データ出力部45は、撮像データDに基づく画像データDMを、外部装置である検査装置8に出力する。画像データDMは、後述するように、複数の撮像データDについて、加重平均をとることによって得られるデータである。
【0038】
外部出力信号生成部47は、画像データ出力部45が画像データDMを出力するべきタイミングを規定するパルス状の外部出力信号SRを生成する。外部出力信号生成部47は、搬送量検出部15が出力するエンコーダ信号SEをベースとして、外部出力信号SRを生成する。外部出力信号SRは、レート設定部55に入力される。
【0039】
外部出力信号SRは、検査装置8における検査に必要な解像度(検査解像度)に対応するタイミングで生成される。より詳細には、印刷媒体9が、検査解像度が示す1ピクセル相当の距離だけ進むごとに、外部出力信号SRが生成される。例えば、検査解像度を600dpiとする場合、1ピクセル相当の距離は、42.3μm(=25.4mm/600)である。このため、外部出力信号生成部47は、印刷媒体9が42.3μm進むごとに、外部出力信号SRを生成する。なお、搬送量検出部15が出力するエンコーダ信号SEを、外部出力信号SRと一致させてもよい。この場合、エンコーダ信号SEをそのまま外部出力信号SRとして利用できる。
【0040】
画像データ出力部45は、バッファ51と、平均処理部53と、レート設定部55とを有する。バッファ51は、例えば、半導体メモリであって、カメラ41が出力する複数の撮像データDを一時的に蓄積することが可能である。平均処理部53は、バッファ51に蓄積された複数の撮像データDを、カメラ出力信号SCと外部出力信号SRの時間的なずれに応じた重みで加重平均することにより、画像データDMを生成する。レート設定部55は、平均処理部53が加重平均を行う際の重みを決定する。
【0041】
カメラ出力信号発生部43,カウント信号生成部44、外部出力信号生成部47、平均処理部53およびレート設定部55の各部は、専用回路などの論理回路で構成されるハードウェアによって構成される。なお、CPUなどの汎用プロセッサがプログラムを実行することによって、上記各部の機能がソフトウェア的に実現されてもよい。
【0042】
図2は、実施形態に係るカメラ41および画像データ出力部45がカメラ出力信号SCを受信した際に実行する処理の流れを示す図である。まず、カメラ41はカメラ出力信号SCを受信すると撮像を開始し、得られた撮像データDをバッファ51に出力する(撮影・バッファ出力工程S10)。また、画像データ出力部45のレート設定部55は、カメラ出力信号SCを受信した時刻と同時刻に新たな外部出力信号SRを受信し、またはカメラ出力信号SCを受信した時刻よりも以前に新たな外部出力信号SRを受信済みであるかを判定する(判定処理S11)。
【0043】
判定処理S11によってYesと判定された場合、レート設定部55は、バッファ51に蓄積されている1つ以上の撮像データDに対する重みを決定する(重み決定処理S12)。レート設定部55は、カメラ出力信号SCの受信時刻と外部出力信号SRの受信時刻との間の時間的なずれに基づいて、重みを決定する。カメラ出力信号SCの受信時刻と外部出力信号SRの受信時刻との間に時間的なずれが無い場合には重みを1に決定する。
【0044】
重み決定処理S12の後、平均処理部53は、各撮像データDについて、加重平均を算出する(加重平均処理S13)。すなわち、平均処理部53は、重み決定処理S12にて設定された重みを、対象の複数の撮像データD(具体的には、RGB各色の輝度値)に掛けて和を求め、その和を重みの和で割る。これにより、平均処理部53は、複数の撮像データDの加重平均である画像データDMを取得する。
【0045】
平均処理部53は、加重平均処理S13によって得られた1ライン分の画像データDMを、検査装置8に出力する(外部出力処理S14)。そして、画像データ出力部45は、処理を終了する。
【0046】
<第1の動作例>
図3は、実施形態に係る撮像装置40の第1の動作例を示すタイミングチャートである。図3の例では、外部出力信号SRは、エンコーダ信号SEと同じタイミングで生成される。また、カメラ出力信号SCは、時刻t,t,t,t,t、tに発生する。カメラ41は、時刻t,t,t,t,tのカメラ出力信号SCをトリガーにして、撮像によって得た撮像データD,D,D,D,Dを、バッファ51に出力する(図2の撮影・バッファ蓄積処理S10)。
【0047】
画像データ出力部45は、時刻t,tにおいて、カメラ出力信号SCと同一時刻に外部出力信号SRを受信する。このため、図2の判定処理S11の判定結果がYesとなる。カメラ出力信号SCの受信時刻と外部出力信号SRの時刻との間にずれがない。したがって、図2の重み決定処理S12により、重みは1に決定される(重み決定処理S12)。続いて、画像データ出力部45は、バッファ51の撮像データD,Dを、時刻t,tの外部出力信号SRに対応する画像データDMとして、重み=1で加重平均した後(図2の加重平均処理S13)、それぞれ外部に出力する(図2の外部出力処理S14)。バッファ51から外部に出力された撮像データD,Dは、適宜のタイミングでバッファ51から削除される。
【0048】
時刻tにおいて、画像データ出力部45は、新たな外部出力信号SRを受信しない。すなわち、画像データ出力部45は、画像データDM(画像データD)のバッファ51から外部への出力を開始させた外部出力信号SRを時刻t以降、時刻tまでの間に新たな外部出力信号SRを受信していない。このため、時刻tにおいて、図2の判定処理S11の判定結果がNoとなり、図2の重み決定処理S12から外部出力処理S14が実行さない。したがって、バッファ51に蓄積されていた撮像データDは外部に出力されない。
【0049】
画像データ出力部45は、時刻tにカメラ出力信号SCを受信した時点より前の時刻t11に新たな外部出力信号SRを既に受信している。このため、画像データ出力部45は、時刻t11の外部出力信号SRに対応する画像データDMとして、撮像データD,Dの加重平均を算出する。
【0050】
撮像データD,Dの各重みは、先の外部出力信号SRの受信時刻tから対象の外部出力信号SRの受信時刻t11までのうち、各撮像データD,Dの撮像時間(露光時間)に応じて設定される。本例では、各撮像時間の間に発生するカウント信号SCCの数が、重みとして使用される。
【0051】
例えば、撮像データDの撮像時間は、時刻tと時刻tの時間差、すなわち、周期T1である。周期T1は、8個のカウント信号SCCに相当する。このため、撮像データDの重みは、「8」とされる。また、撮像データDの撮像時間は、時刻tから時刻t11までの期間(時刻tとt11の時間差、すなわち、カメラ出力信号SCと外部出力信号SRと間の時間のずれ)に相当し、ここでは3個のカウント信号SCCに相当する。このため、撮像データDの重みは、「3」とされる。したがって、時刻t11の外部出力信号SRに対応する画像データDMは、次式で表される。
【0052】
DM=(D*8+D*3)/11
【0053】
画像データ出力部45は、時刻tにおいて、カメラ出力信号SCとともに外部出力信号SRを受信する。画像データ出力部45は、時刻tの外部出力信号SRに対応する画像データDMとして、バッファ51に蓄積されている撮像データD4,の加重平均を求める。ここで、出力すべき撮像データDの撮像時間は、時刻t11~tに相当するため、重みは「5」とされる。また、撮像データDの撮像時間は、周期T1に等しいため、撮像データDに対する重みは「8」である。したがって、時刻tの外部出力信号SRに対応する画像データDMは、次式で表される。
【0054】
DM=(D*5+D*8)/(5+8)
【0055】
印刷媒体9の搬送速度が低下した場合、図3に示されるように、外部出力信号SRの時間間隔が長くなる。搬送速度が低下すると、カメラ41が取得する撮像データDの解像度は、相対的に高くなる。これに対して、本実施形態では、複数の撮像データDをカメラ出力信号SCと外部出力信号SRの時間的なずれに応じて重み付けすることによって、撮像データDの解像度を、検査用解像度に合わせて低下させることができる。したがって、検査装置8において、適切に検査を行うことができる。例えば、検査装置8が撮影画像Dを基準画像と比較することにより画像が適正に印刷されているか否かを判断する場合、本実施形態によれば、印刷媒体9の搬送速度に拘わらず、常に同一の解像度で撮影画像Dと基準画像と比較することができるので、印刷画像の適否を安定して判断することが可能になる。検査装置8が印刷画像の濃度ムラや色見を判断する場合であっても同様である。
【0056】
また、カウント信号SCCの数に基づいて重みを決定するため、加重平均の計算処理を迅速に行うことができる。また、カウント信号SCCの周期を、カメラ出力信号SCの周期T1の1/2よりも小さくすることによって(本例では、周期T1の1/8)、外部出力信号SRのカメラ出力信号SCからのずれを精度よく反映した重みを決定できる。これにより、実際の印刷画像M1と、加重平均した画像データDMとの間の誤差を小さくすることができる。
【0057】
<第2の動作例>
図4は、実施形態に係る撮像装置40の第2の動作例を示すタイムチャートである。図4の例でも、外部出力信号SRは、エンコーダ信号SEと同じタイミングで生成される。また、カメラ出力信号SCは、時刻t,t,t,t,t、tに発生する。図4の例では、画像データ出力部45は、時刻t,t12およびtに外部出力信号SRを受信する。時刻t12は、時刻tよりも後、かつ、時刻tよりも先の時刻である。
【0058】
時刻t,t,tでは、画像データ出力部45は、新たな外部出力信号SRを受信しない。このため、各時刻t,t,tでは、図2の判定処理S11の判定結果がNoとなり、図2の重み決定処理S12から外部出力処理S14が実行されない。このため、バッファ51に蓄積されていた撮像データD,D,Dは、外部に出力されない。
【0059】
画像データ出力部45は、時刻tにカメラ出力信号SCを受信した時点で、時刻tより後の時刻t12に新たな外部出力信号SRを既に受信している。このため、画像データ出力部45は、時刻t~tまでにバッファ51に蓄積される複数の撮像データD~Dの加重平均を、時刻t12の外部出力信号SRに対応する画像データMDとして算出する。
【0060】
具体的には、撮像データD,D,Dの重みは「8」とされる。また、撮像データDの重みは、撮像データDの撮像時間(時刻tから時刻t12の期間)に基づいて、重み「5」となる。すなわち、時刻t12の外部出力信号SRに対応する画像データDMは、次式で表される。
【0061】
DM=((D+D+D)*8+D*5)/(24+5)
【0062】
また、画像データ出力部45は、時刻tに、カメラ出力信号SCとともに外部出力信号SRを受信する。このため、画像データ出力部45は、1つ前の外部出力信号SRの受信時刻t12から時刻tにバッファ51に蓄積される撮像データD,Dの加重平均を算出する。具体的には、撮像データDの重みは「3」であり、撮像データDの重みは「8」とされる。このため、時刻tの外部出力信号SRに対する画像データDMは、次式で表される。
【0063】
DM=(D*3+D*8)/(3+8)
【0064】
<第3の動作例>
図5は、実施形態に係る撮像装置40の第3の動作例を示すタイムチャートである。図5の例では、外部出力信号SRは、一定の周期T2で生成される信号である。すなわち、外部出力信号SRは、エンコーダ信号SEに基づいて生成される信号ではない。周期T2は、周期T1よりも大きい。また、図5の例では、画像データ出力部45は、時刻t,t21,t22,t23に外部出力信号SRをそれぞれ受信する。
【0065】
時刻tでは、画像データ出力部45は、新たな外部出力信号SRを受信しない。このため、時刻tでは、図2の判定処理S11の判定結果がNoとなり、図2の重み決定処理S12から外部出力処理S14が実行されない。このため、バッファ51に蓄積されていた撮像データDは外部に出力されない。
【0066】
画像データ出力部45は、時刻tのカメラ出力信号SCを受信した時点で、時刻tよりも後の時刻t21に新たな外部出力信号SRを既に受信している。このため、画像データ出力部45は、バッファ51に蓄積されている撮像データD,Dの加重平均を算出する。
【0067】
重みの求め方は、図3において説明した方法と同様である。すなわち、1つ前の外部出力信号SRの受信時刻tから対象の外部出力信号SRの受信時刻t21のうち、撮像データDの撮像時間(時刻t~t)、および撮像データDの撮像時間(時刻t~t21)に応じて、重みが設定される。図5の例では、撮像データDの重みは「8」とされ、撮像データDの重みは「2」とされる。したがって、時刻t21の外部出力信号SRに対応する画像データDM(加重平均)は、次式で表される。
【0068】
DM=(D*8+D*2)/(8+2)
【0069】
また、画像データ出力部45は、時刻tのカメラ出力信号SCを受信した時点で、時刻tよりも後の時刻t22に新たな外部出力信号SRを既に受信している。このため、画像データ出力部45は、時刻tにバッファ51に蓄積されている撮像データD,Dの加重平均を算出する。図5の例では、撮像データDの重みは「6」とされ、撮像データDの重みは「4」とされる。したがって、時刻t22の外部出力信号SRに対応する画像データDM(加重平均)は、次式で表される。
【0070】
DM=(D*6+D*4)/(6+4)
【0071】
また、画像データ出力部45は、時刻tのカメラ出力信号SCを受信した時点で、時刻tより後の時刻t23に新たな外部出力信号SRを受信している。このため、画像データ出力部45は、バッファ51に蓄積されている撮像データDおよび撮像データDの加重平均を算出する。図5の例では、撮像データDの重みは「4」とされ、撮像データDの重みは「6」とされる。したがって、時刻t23の外部出力信号SRに対応する画像データDM(加重平均)は、次式で表される。
【0072】
DM=(D*4+D*6)/(4+6)
【0073】
以上のように、エンコーダ信号SEがない場合であっても、検査解像度に対応する周期で外部出力信号SRを発生させることにより、撮像データDを検査解像度である画像データDMに適切に変換できる。
【0074】
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0075】
例えば、上記実施形態では、撮像データDの撮像時間に相当するカウント信号SCCの数を、撮像データDに対する重みとしているが、実際の撮像時間を算出し、算出された撮像時間を重みとして使用されてもよい。例えば、図3の例では、時刻t11の外部出力信号SRに対応する画像データDMを算出する場合に、撮像データDの重みを周期T1(=t-t)とし、撮像データDの重みを時刻t~t11の期間(t11-t)としてもよい。
【0076】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0077】
9 印刷媒体
15 搬送量検出部
40 撮像装置
41 カメラ
43 カメラ出力信号発生部
44 カウント信号生成部
45 画像データ出力部
47 外部出力信号生成部
51 バッファ
53 平均処理部
D 撮像データ
DM 画像データ
SC カメラ出力信号
SCC カウント信号
SE エンコーダ信号
SR 外部出力信号


図1
図2
図3
図4
図5