(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046290
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】浴室カウンター
(51)【国際特許分類】
A47K 4/00 20060101AFI20240327BHJP
A47B 96/18 20060101ALI20240327BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
A47K4/00
A47B96/18 E
E04H1/12 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151594
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100224672
【弁理士】
【氏名又は名称】深田 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】稲村 亮
(72)【発明者】
【氏名】天野 敦
【テーマコード(参考)】
2D132
2E025
【Fターム(参考)】
2D132GA04
2E025BA01
2E025BC01
(57)【要約】
【課題】本発明は、天板部及び側面部を有する上側カバー部材を透明層及び意匠層で構成した場合に、意匠性に優れた浴室カウンターを提供する。
【解決手段】本発明は、浴室2の壁面6に取り付けられる浴室カウンター18であって、棚状に形成された天板部40と、この天板部40の外周端から下方へ延びる側面部42とを有する上側カバー部材24と、壁面6に取り付けられ、上側カバー部材24を支持する支持部材30と、を備え、天板部40及び側面部42は、透明である透明層44と、この透明層44の裏側に配置され不透明である意匠層46とを有し、一体的に形成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の壁面に取り付けられる浴室カウンターであって、
棚状に形成された天板部と、この天板部の外周端から下方へ延びる側面部とを有する上側カバー部材と、
前記壁面に取り付けられ、前記上側カバー部材を支持する支持部材と、を備え、
前記天板部及び前記側面部は、透明である透明層と、この透明層の裏側に配置され不透明である意匠層とを有し、一体的に形成されている、
ことを特徴とする浴室カウンター。
【請求項2】
前記上側カバー部材は、前記天板部から前記側面部へ屈曲する部分において、前記上側カバー部材の表面に外側に向かって下方へ傾斜する傾斜面を有し、この傾斜面に対向する前記上側カバー部材の裏面に外側に向かって下方へ湾曲する湾曲面を有している、請求項1に記載の浴室カウンター。
【請求項3】
前記上側カバー部材の前記傾斜面の上端は、前記上側カバー部材の前記湾曲面の下端よりも内側に配置されている、請求項2に記載の浴室カウンター。
【請求項4】
前記上側カバー部材の前記傾斜面の上端は、前記側面部の裏面下端よりも内側に配置されている、請求項2又は3に記載の浴室カウンター。
【請求項5】
前記側面部の裏面は、外側に向かって下方へ傾斜している、請求項1に記載の浴室カウンター。
【請求項6】
前記上側カバー部材は、前記浴室の前記壁面から水平方向に離間して配置されている、請求項1に記載の浴室カウンター。
【請求項7】
前記天板部及び前記側面部の前記透明層の表面は、粗面化処理が施されている、請求項1に記載の浴室カウンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の壁面に取り付けられる浴室カウンターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴室カウンターとして、湯水を吐水する水栓が内蔵され、上面に物品を載せることができる水栓カウンターと、この水栓カウンターの下方に配置され、上面に洗面器などを載せることができる洗面カウンターとが知られている(例えば、特許文献1)。これらのカウンターは、上面に物品を載せることができる上側カバー部材を備えている。この上側カバー部材は、棚状に形成された天板部と、この天板部から下方へ延びる側面部とを有し、立体的な箱型形状で形成されている。
【0003】
一方、キッチンカウンターとして、一枚の板状で形成された天板を備え、天板が、透明層と、この透明層の裏側に配置された意匠層との二層で構成されたものが知られている(例えば、特許文献2及び3)。透明層の表面には粗面化処理が施され、意匠層には模様などが描かれている。これにより、キッチンカウンターの意匠性を向上させることができている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-120065号公報
【特許文献2】特許第6800423号公報
【特許文献3】特許第6711156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の浴室カウンターは、上側カバー部材が板状ではなく、天板部及び側面部で構成された立体的な箱型形状で形成されている。箱型形状の上側カバー部材を透明層と意匠層との二層で構成した場合、例えば天板部から側面部に屈曲する部分において意匠層に稜線が形成される。この意匠層の稜線は透明層を通して外部から見えるので意匠性に優れないという課題がある。また、箱型形状の上側カバー部材は、その厚さや形状も目立ち易くなるので意匠性に優れないという課題がある。
【0006】
したがって、本発明は、上述した従来の問題点を解決するためになされたものであり、天板部及び側面部を有する上側カバー部材を透明層及び意匠層で構成した場合に、意匠性に優れた浴室カウンターを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために本発明は、浴室の壁面に取り付けられる浴室カウンターであって、棚状に形成された天板部と、この天板部の外周端から下方へ延びる側面部とを有する上側カバー部材と、壁面に取り付けられ、上側カバー部材を支持する支持部材と、を備え、天板部及び側面部は、透明である透明層と、この透明層の裏側に配置され不透明である意匠層とを有し、一体的に形成されていることを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明においては、上側カバー部材の天板部及び側面部は、透明である透明層と、この透明層の裏側に配置され不透明である意匠層とを有するので、透明層の形状、質感、及び色味に加えて、意匠層の形状、質感、色味、及び意匠層を照らす光の大きさによって浴室カウンターの美的外観を表現することができる。また、天板部及び側面部が別々に形成されるのではなく一体的に形成されているので、意匠層の稜線を目立たないようにすることができる。よって、天板部及び側面部を有する上側カバー部材を透明層及び意匠層で構成した場合に、意匠性に優れた浴室カウンターを提供することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、上側カバー部材は、天板部から側面部へ屈曲する部分において、上側カバー部材の表面に外側に向かって下方へ傾斜する傾斜面を有し、この傾斜面に対向する上側カバー部材の裏面に外側に向かって下方へ湾曲する湾曲面を有している。このように構成された本発明によれば、傾斜面に対向する上側カバー部材の裏面に湾曲面を有しているので、天板部から側面部へ屈曲する部分における意匠層の稜線を目立たないようにすることができる。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、上側カバー部材の傾斜面の上端は、上側カバー部材の湾曲面の下端よりも内側に配置されている。このように構成された本発明によれば、傾斜面の上端が湾曲面の下端よりも内側に配置されているので、平面視において傾斜面と湾曲面との一部が重なり合って、天板部と側面部との間にある意匠層の稜線をぼかすことができる。これにより、天板部と側面部との間にある意匠層の稜線を目立たないようにすることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上側カバー部材の傾斜面の上端は、側面部の裏面下端よりも内側に配置されている。このように構成された本発明によれば、傾斜面の上端は、側面部の裏面下端よりも内側に配置されているので、平面視において意匠層が形成されていない透明層の部分と傾斜面とが重なり合って、意匠層が形成されていない透明層の部分を傾斜面でぼかすことができる。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、側面部の裏面は、外側に向かって下方へ傾斜している。このように構成された本発明によれば、平面視において意匠層が形成されていない透明層の部分の横幅を小さくすることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、上側カバー部材は、浴室の壁面から水平方向に離間して配置されている。このように構成された本発明によれば、上側カバー部材が浮いているように見えるため、使用者の視線を上側カバー部材に仕向けることができる。
【0014】
また、本発明において、好ましくは、天板部及び側面部の透明層の表面は、粗面化処理が施されている。このように構成された本発明によれば、天板部及び側面部の透明層の表面は、粗面化処理が施されているので意匠層の稜線を目立たないようにすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の浴室カウンターによれば、天板部及び側面部を有する上側カバー部材を透明層及び意匠層で構成した場合に、意匠性に優れた浴室カウンターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態による浴室カウンターが設けられた浴室を模式的に表す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による浴室カウンターの正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による浴室カウンターの側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による浴室カウンターの平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による浴室カウンターの分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態による浴室カウンターの上側カバー部材及びベース部材の取り付け状態を表す断面斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態による浴室カウンターの上側カバー部材を長手方向に切断した断面斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態による浴室カウンターの上側カバー部材の天板部から側面部へ屈曲する部分の拡大断面図である。
【0017】
以下、添付図面により、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)による浴室カウンターを説明する。
先ず、
図1により、本実施形態による浴室カウンターが設けられた浴室を説明する。
図1は、本実施形態による浴室カウンターが設けられた浴室を模式的に表す斜視図である。
【0018】
浴室2は、床面4と、床面4から鉛直方向に延びる複数の壁面6と、壁面6の上端から水平に延びる天井面8とを備えている。浴室空間は、複数の壁面6と、床面4と、天井面8とで囲まれて形成されている。浴槽10は、浴室空間内において床面4上に設けられている。浴室空間の床面4には、浴槽10と隣接して洗い場12が設けられている。洗い場12側の壁面6には、上方から鏡14、浴室カウンター18(水栓カウンター20、洗面カウンター22)が取り付けられている。
【0019】
浴室カウンター18は、例えば、水栓カウンター20及び洗面カウンター22であり、浴室の壁面6に取り付けられている。水栓カウンター20は、湯水を吐出する水栓を内蔵し、上面にシャンプーボトルや石鹸などの物品を載せることができるカウンターである。洗面カウンター22は、水栓カウンター20の下方に配置され、上面に洗面器などを載せることができるカウンターである。水栓カウンター20の水栓から吐水された湯水は、洗面カウンター22に置かれた洗面器によって受け止められる。なお、本実施形態では、浴室カウンター18が水栓カウンター20及び洗面カウンター22である場合を示しているが、これに限定されず、浴室カウンター18は、浴室空間に設けられるカウンターであれば他のカウンターでもよい。
【0020】
次に、
図2~
図5により、本実施形態による浴室カウンターの全体構成を説明する。
図2は、本実施形態による浴室カウンターの正面図、
図3は、本実施形態による浴室カウンターの側面図、
図4は、本実施形態による浴室カウンターの平面図、
図5は、本実施形態による浴室カウンターの分解斜視図である。
【0021】
本願明細書においては、使用者がカウンターの正面を向いている状態で、手前側を「前方」、奥側を「後方」、上側を「上方」、下側を「下方」、右側を「右方」、左側を「左方」とする。また、使用者がカウンターを見た時に、使用者が視認できる面(側)を「表面(表側)」、使用者が視認できない面(側)を「裏面(裏側)」とする。また、カウンターの外郭よりも外側を「外側」、カウンターの外郭よりも内側を「内側」とする。
【0022】
浴室カウンター18(水栓カウンター20)は、上側カバー部材24、下側カバー部材26、ベース部材28、支持部材30、補助カバー部材32、水栓本体34、及び照明本体36を備えている。浴室カウンター18は、左右方向の幅(左端から右端までの横幅)が約730mm、前後方向の幅(前端から後端までの奥行きの幅)が約160mm、鉛直方向の高さ(上端から下端までの高さ)が約90mmで形成されている。
【0023】
上側カバー部材24は、棚状に形成された天板部40と、この天板部40を囲むように天板部40の前後及び左右の外周端から下方へ延びる側面部42とを有している。上側カバー部材24は、左右方向に延びる偏平の箱型形状で形成されている。箱型形状の上側カバー部材24の下方側は開放されている。上側カバー部材24の天板部40は、上面が水平方向に延びる略平坦な面で形成され、この上面に物品を載置させることができるようになっている。上側カバー部材24の側面部42は、下側カバー部材26の側面部26bに対して嵌合可能に構成されている。また、前方側の側面部42には、水栓本体34の操作部34bが挿入される切り欠き24cが設けられている。
【0024】
下側カバー部材26は、平面状に形成された底面部26aと、底面部26aを囲んで底面部26aの前方、左方及び右方の外周端から上方へ延びる側面部26bとを有している。下側カバー部材26は、上側カバー部材24と同じ長さで左右方向に延びる偏平の箱型形状で形成されている。箱型形状の下側カバー部材26は上方側及び後方側が開放されている。下側カバー部材26の側面部26bは、上側カバー部材24の側面部42に対して嵌合可能に構成されている。また、前方側の側面部26bには、水栓本体34の操作部34bが挿入される切り欠き26cが設けられている。
【0025】
上側カバー部材24及び下側カバー部材26は、互いが嵌合すると、左右方向に延びる偏平の直方体を構成し、その内部空間に水栓本体34及び照明本体36が収納されるようになっている。また、上側カバー部材24及び下側カバー部材26は、ネジ等でベース部材28及び支持部材30に固定されている。上側カバー部材24は、その後端が壁面6から水平方向に所定距離(約45mm)離間した状態で配置されている。これにより、上側カバー部材24が浮いているように見えるようになっている。
【0026】
ベース部材28は、上側カバー部材24よりも短い長さで左右方向に延びる略平坦な板で形成されている。ベース部材28は、支持部材30の各板状プレート30bの間を架橋するように支持部材30上にネジ等で固定されるようになっている。また、ベース部材28の上面は、両面テープ48により天板部40の裏面に接着されるようになっている(
図6を参照)。ベース部材28は、面全体で、上側カバー部材24を支持するようになっている。
【0027】
支持部材30は、上側カバー部材24よりも短い長さで左右方向に延びる金属製のフレーム30a、及び、平面を有する板状プレート30bにより構成されている。支持部材30は、平面視において凹部が左右方向中央付近に形成されている。支持部材30の凹部には、水栓本体34が挿入されて固定されるようになっている。支持部材30の後端は、ネジ等で壁面6に固定されるようになっている。支持部材30の上面には、上側カバー部材24及びベース部材28がネジ等で固定され、支持部材30の下面には、下側カバー部材26がネジ等で固定されるようになっている。
【0028】
補助カバー部材32は、上側カバー部材24よりも短い長さで左右方向に延びる上面部32aと、この上面部32aの両端から下方へ延びる側面部32bとを有している。補助カバー部材32は、正面視においてコの字形状で形成されている。補助カバー部材32は、上側カバー部材24と壁面6との間で、支持部材30の上面及び側面を覆うように配置されている。
【0029】
水栓本体34は、吐水部34a、操作部34b、及び機能部(図示せず)を有している。
図2及び
図3を参照して、吐水部34aは、上下方向に延びる円筒形のスパウトであり、下側カバー部材26から下方に向けて突出し、浴室カウンター18の下方領域に向けて湯水を吐水することができるようになっている。吐水部34aは、浴室カウンター18の左右方向及び前後方向中央付近に設けられている。吐水部34aは、機能部を介して、壁面6内に設けられた給水源(図示せず)と流体連通している。
【0030】
操作部34bは、左から、ハンドシャワー吐水スイッチ、スパウト吐水スイッチ、流量調節スイッチ、及び温度調節スイッチを有している。ハンドシャワー吐水スイッチは、ハンドシャワー(図示せず)からの湯水を吐水又は止水させるための押しボタン式のスイッチである。スパウト吐水スイッチは、吐水部34aからの湯水を吐水又は止水をさせるための押しボタン式のスイッチである。流量調節スイッチは、吐水部34a又はハンドシャワーから吐水される湯水の流量を調節させるための回転式のスイッチである。温度調節スイッチは、吐水部34a又はハンドシャワーから吐水される湯水の温度を調節させるための回動式のスイッチである。操作部34bは、外部に露出するように、上側カバー部材24の切り欠き24c及び下側カバー部材26の切り欠き26cに挿入されて固定されている。操作部34bは、機能部に電気的に接続されている。
【0031】
機能部は、湯水を吐水又は止水するための電磁開閉弁(図示せず)と、吐水部34a又はハンドシャワーへ湯水の供給を切り替える切替ユニット(図示せず)と、吐水される湯水の流量を調節する流量調節ユニット(図示せず)と、吐水される湯水の温度を調節する温度調節ユニット(図示せず)と、使用者による操作部の操作に基づいて電磁開閉弁、切替ユニット、流量調節ユニット、及び温度調節ユニットを制御する水栓制御部(図示せず)とを有している。機能部は、吐水部34a、ハンドシャワー、及び給水源と流体連通している。また、機能部は、操作部及び電源と電気的に接続されている。なお、本実施形態では、機能部を電気的に駆動するように構成したが、機械的に駆動するように構成しても良い。
【0032】
照明本体36は、光を照射するLED発光部(図示せず)と、左右方向に延びて内部に発光部を収納する収納ケース36aと、一端が収納ケース36aに接続され他端がネジ等で壁面6に固定される接続部材36bとを有している。照明本体36は、浴室カウンター18の内部空間の下方位置に配置されている。LED発光部は、例えば壁面6の裏側に設けられた照明制御部(図示せず)と電気的に接続されている。
【0033】
照明本体36は、他の照明器具(例えば、天井面8に配置されたダウンライト、洗面カウンター22の照明本体など)と連動して点灯又は消灯、それぞれの照射する光の照度及び色温度(発光色)を増減させることができるようになっている。照明本体36は、下側カバー部材26の下方領域(洗面カウンター22の上面)に向かって光を照射するようになっている。これにより、浴室カウンター18の下方領域(洗面カウンター22の上面)を明るくすることができるようになっている。
【0034】
なお、浴室カウンター18において、水栓本体34及び照明本体36は、必要に応じて省略可能であり、例えば浴室カウンター18が洗面カウンター22である場合、水栓本体は省略されて、照明本体のみが設けられるようにしてもよい。
【0035】
次に、
図6~
図8により、本実施形態による浴室カウンターの上側カバー部材を詳細に説明する。
図6は、本実施形態による浴室カウンターの上側カバー部材及びベース部材の取り付け状態を表す断面斜視図、
図7は、本実施形態による浴室カウンターの上側カバー部材を長手方向に切断した断面斜視図、
図8は、本実施形態による浴室カウンターの上側カバー部材の天板部から側面部へ屈曲する部分の拡大断面図である。
【0036】
図6及び
図7に示されるように、上側カバー部材24は、天板部40及び側面部42からなる箱型形状で形成されて、立体的に構成されている。上側カバー部材24は、樹脂材料で形成されている。上側カバー部材24は、射出成形により成形されて、天板部40及び側面部42が別々に形成されるのではなく一体的に形成されている。天板部40及び側面部42は、継ぎ目がなく、連続して形成されている。これにより、天板部40と側面部42との間の意匠層の稜線が目立たないようになっている。
【0037】
天板部40及び側面部42は、無色透明である透明層44と、着色されて不透明である意匠層46との二層により構成されている。本発明において、「透明」とは、完全に透明であるものに限定されず、透明層の裏側に配置される意匠層の意匠(形状、模様若しくは色彩、又はこれらの結合)を透明層の表側から目視可能な程度に透明であればよく、例えば透過率が85%以上であればよい。これに対して、「不透明」とは、完全に不透明であるものに限定されず、意匠層の意匠を認識可能な程度に着色されていればよい。
【0038】
図6を参照して、透明層44は、所定の厚さで、天板部40及び側面部42の表側に、全体的に設けられている。透明層44の所定の厚さは、例えば3~10mm、より好ましくは4~5mmの均一な厚さで形成される。
図7を参照して、意匠層46は、透明層44よりも小さな所定の厚さで、天板部40及び側面部42の裏側に、全体的に設けられている。意匠層46は、透明層44の裏側に隣接して設けられ、透明層44の裏面と同じ形状で形成されている。意匠層46は、模様や色彩などが施されており着色されている。透明層44を通して、透明層44の裏面に配置された意匠層46に施された模様や色彩などを視認することができるようになっている。
【0039】
透明層44及び意匠層46は、2色成形(ダブルモールド)で成形され、一体的に形成されている。本実施形態では、透明層44及び意匠層46を2色成形で成形したが、これに限定されず、例えば、透明層の裏面を塗装することにより意匠層を形成してもよい。また、透明層の裏面にフィルムを貼ることにより意匠層を形成してもよい。また、透明層44及び意匠層46は、2色成形で成形する場合、裏面側の意匠層46に、ベース部材28又は支持部材30などを取り付けるための取り付け部(図示せず)を設けてもよい。
【0040】
天板部40及び側面部42の透明層44の表面は、粗面化処理が施されて、マットな質感(マット調)で形成されている。これにより、天板部40及び側面部42の透明層44内に入射する光を乱反射させて意匠層46の稜線が目立たないようになっている。また、光の陰影を柔らかく見せることできるようになっている。
【0041】
粗面化処理方法としては、型転写などのシボ加工による方法、ショットブラストやサンドペーパー研削などの研磨加工処理による方法、フロスト加工(ショットブラスト及びフッ酸処理)やエッチング処理などの化学的処理による方法、プラズマ処理やレーザー処理などの物理的処理による方法、マット塗装などのコーティング処理による方法が採用される。
【0042】
図8を参照して、上側カバー部材24は、天板部40から側面部42へ屈曲する部分において、上側カバー部材24の表面に、外側に向かって下方へ傾斜する平坦な面の傾斜面50を有している。傾斜面50は、天板部40と側面部42との間の角部分に形成されている。また、傾斜面50は、水平方向に対する傾斜角度が約45度、傾斜方向の幅が約1cmで形成されている。傾斜面50は、平面視において天板部40の外周に沿って形成されている。
【0043】
また、上側カバー部材24は、天板部40から側面部42へ屈曲する部分において、傾斜面50に対向する上側カバー部材24の裏面に、外側に向かって下方へ湾曲する湾曲面52を有している。湾曲面52は、天板部40と側面部42との間の角部分に形成されている。また、湾曲面52は、所定の曲率半径で円弧を描きながら湾曲している。湾曲面52は、平面視において天板部40の外周に沿って形成されている。また、湾曲面52は、傾斜面50を垂直方向に向かって投影した領域内に配置されている。これにより、傾斜面50の上方から見た場合、天板部40から側面部42へ屈曲する部分における意匠層46の稜線が目立たないようになっている。
【0044】
傾斜面50の上端50a(又は、上端50aを通る鉛直方向の線)は、湾曲面52の下端52a(又は、下端52aを通る鉛直方向の線)よりも内側に配置されている。また、傾斜面50の上端50aは、湾曲面52の上端52bよりも外側に配置されている。傾斜面50の下端50bは、湾曲面52の上端52b及び下端52aよりも外側に配置されている。
【0045】
傾斜面50及び湾曲面52は、平面視において、傾斜面50の上端50aと湾曲面52の下端52aとの間で重なり合っている。これにより、上側カバー部材24を上方から見た場合、天板部40と側面部42との間の稜線が目立たないようになっている。
【0046】
また、傾斜面50の上端50a(又は、上端50aを通る鉛直方向の線)は、側面部42の裏面下端42a(又は、裏面下端42aを通る鉛直方向の線)よりも内側に配置されている。また、傾斜面50の下端50bは、側面部42の裏面下端42aよりも外側に配置されている。
【0047】
傾斜面50は、平面視において、意匠層46が下面に形成されていない側面部42の透明層44の部分と重なり合っている。これにより、上側カバー部材24を上方から見た場合、傾斜面50によって意匠層46が形成されていない側面部42の透明層44の部分をぼかすことができるようになっている。
【0048】
側面部42の裏面下端42a(又は、裏面下端42aを通る鉛直方向の線)は、湾曲面52の下端52a(又は、下端52aを通る鉛直方向の線)よりも外側に配置されている。側面部42の裏面42bは、鉛直方向に対して所定の傾斜角度α(約1.5度)で、外側に向かって下方へ傾斜している。これにより、上側カバー部材24を上方から見た場合、意匠層46が形成されていない側面部42の透明層44の部分を小さくすることができるようになっている。また、側面部42の表面42cは、傾斜面50の下端50bから外側に向かって下方へ傾斜した後に、内側に向かって下方へ傾斜している。
【0049】
本実施形態では、傾斜面を平坦に形成したが、これに限定されるものでなく、傾斜面を湾曲させて形成してもよく、平坦な面と湾曲する面とを組み合わせて形成してもよい。傾斜面を湾曲する面で形成する場合、この傾斜面の所定の曲率半径は、上側カバー部材24の裏側の湾曲面52の所定の曲率半径よりも大きく形成するとよい。また、湾曲する傾斜面の上端は、湾曲面52の下端52aよりも内側に配置され、湾曲面52の上端52bよりも外側に配置される。また、湾曲する傾斜面の下端は、湾曲面52の上端52b及び下端52aよりも外側に配置される。
【0050】
次に、上述した本実施形態による浴室カウンターの作用効果について説明する。
【0051】
本実施形態による浴室カウンターにおいては、浴室2の壁面6に取り付けられる浴室カウンター18であって、棚状に形成された天板部40と、この天板部40の外周端から下方へ延びる側面部42とを有する上側カバー部材24と、壁面6に取り付けられ、上側カバー部材24を支持する支持部材30と、を備え、天板部40及び側面部42は、透明である透明層44と、この透明層44の裏側に配置され不透明である意匠層46とを有し、一体的に形成されている。
【0052】
このような本実施形態によれば、上側カバー部材24の天板部40及び側面部42は、透明である透明層44と、この透明層44の裏側に配置され不透明である意匠層46とを有するので、透明層44の形状、質感、及び色味に加えて、意匠層46の形状、質感、色味、及び意匠層46を照らす光の大きさによって、浴室カウンター18の美的外観を表現することができる。また、天板部40及び側面部42が別々に形成されるのではなく一体的に形成されているので、意匠層46の稜線を目立たないようにすることができる。よって、天板部40及び側面部42を有する上側カバー部材24を透明層44及び意匠層46で構成した場合に、意匠性に優れた浴室カウンター18を提供することができる。
【0053】
また、本実施形態による浴室カウンターにおいては、好ましくは、上側カバー部材24は、天板部40から側面部42へ屈曲する部分において、上側カバー部材24の表面に外側に向かって下方へ傾斜する傾斜面50を有し、この傾斜面50の対向する上側カバー部材24の裏面に外側に向かって下方へ湾曲する湾曲面52を有している。このような本実施形態によれば、傾斜面50に対向する上側カバー部材24の裏面に湾曲面52を有しているので、天板部40から側面部42へ屈曲する部分における意匠層46の稜線を目立たないようにすることができる。また、天板部40から側面部42へ屈曲する部分における意匠層46の稜線が目立たなくなるので天板部40の厚さを目立たないようにすることができる。
【0054】
本実施形態による浴室カウンターにおいては、好ましくは、上側カバー部材24の傾斜面50の上端50aは、上側カバー部材24の湾曲面52の下端52aよりも内側に配置されている。このような本実施形態によれば、傾斜面50の上端50aが湾曲面52の下端52aよりも内側に配置されているので、平面視において傾斜面50と湾曲面52との一部が重なり合って、天板部40と側面部42との間にある意匠層46の稜線をぼかすことができる。これにより、天板部40と側面部42と間にある意匠層の稜線を目立たないようにすることができる。
【0055】
また、本実施形態による浴室カウンターにおいては、好ましくは、上側カバー部材24の傾斜面50の上端50aは、側面部42の裏面下端42aよりも内側に配置されている。このような本実施形態によれば、平面視において意匠層46が形成されていない透明層44の部分と傾斜面50とが重なり合って、意匠層46が形成されていない透明層44の部分を傾斜面50でぼかすことができる。
【0056】
本実施形態による浴室カウンターにおいては、好ましくは、側面部42の裏面は、外側に向かって下方へ傾斜している。このような本実施形態によれば、平面視において意匠層46が形成されていない透明層44の部分の横幅を小さくすることができる。
【0057】
また、本実施形態による浴室カウンターにおいては、好ましくは、上側カバー部材24は、浴室2の壁面6から水平方向に離間して配置されている。このような本実施形態によれば、上側カバー部材24が浮いているように見えるため、使用者の視線を上側カバー部材24に仕向けることができる。
【0058】
本実施形態による浴室カウンターにおいては、好ましくは、天板部40及び側面部42の透明層44の表面は、粗面化処理が施されている。このような本実施形態によれば、天板部40及び側面部42の表面が粗面化処理が施されているので意匠層46の稜線を目立たないようにすることができる。
【0059】
なお、本実施形態による浴室カウンターにおいては、上側カバー部材を透明層及び意匠層を一体的に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば透明層及び意匠層を別部材で構成し、部材同士を接着させて上側カバー部材を構成してもよい。
【符号の説明】
【0060】
2 浴室
6 壁面
18 浴室カウンター
24 上側カバー部材
40 天板部
42 側面部
44 透明層
46 意匠層
50 傾斜面
50a 傾斜面の上端
50b 傾斜面の下端
52 湾曲面
52a 湾曲面の下端
52b 湾曲面の上端