(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046298
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】検出装置及び履物
(51)【国際特許分類】
A43B 3/44 20220101AFI20240327BHJP
A43B 3/40 20220101ALI20240327BHJP
A43B 17/00 20060101ALN20240327BHJP
【FI】
A43B3/44
A43B3/40
A43B17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151604
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】馬場 一将
(72)【発明者】
【氏名】林 悟
(72)【発明者】
【氏名】上田 昂平
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050DA29
4F050EA01
4F050GA30
(57)【要約】
【課題】電子ボックスの露出孔に起因する電子基板の局所的な応力集中を抑制する。
【解決手段】検出装置は、内部に収容空間Sを有する電子ボックス35と、電子ボックス35に収容され、充電コネクタ63が実装された電子基板61と、を備える。電子ボックス35は、電子部品(充電コネクタ63)を電子ボックス35の外部に露出させるための露出孔43Bを備える。平面視において、電子ボックス35における露出孔43Bの周囲、及び露出孔43Bに重なる部分には、電子基板61に当接する突出部(上側突出部44及び下側突出部53)が設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足裏から得られる身体情報を検出する検出素子を備える検出装置であって、
内部に収容空間を有する電子ボックスと、
前記電子ボックスに収容され、電子部品が実装された電子基板と、を備え、
前記電子ボックスは、前記電子基板に実装された前記電子部品を前記電子ボックスの外部に露出させるための露出孔を備え、
前記露出孔から前記電子部品が露出している方向に前記電子ボックスを視た平面視において、前記電子ボックスにおける前記露出孔の周囲、及び前記露出孔に重なる部分の少なくとも一方には、前記電子基板及び前記電子部品の少なくとも一方に当接する突出部が設けられていることを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記電子ボックスに収容され、前記検出素子に電力を供給する充電可能な電源部を備え、
前記電子部品は、前記電源部を充電するための充電コネクタを含み、
前記充電コネクタは、前記露出孔を通じて前記電子ボックスの外部に露出している請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記電子ボックスは、前記収容空間の上方に位置する天壁を備え、
前記露出孔は、前記天壁に設けられている請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記突出部は、前記天壁から下方に向かって突出する上側突出部を含み、
前記上側突出部は、前記電子基板及び前記電子部品の少なくとも一方の上面に当接する請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記電子ボックスは、前記収容空間の下方に位置する底壁を備え、
前記突出部は、前記底壁から上方に向かって突出する下側突出部を含み、
前記下側突出部は、前記電子基板及び前記電子部品の少なくとも一方の下面に当接する請求項3に記載の検出装置。
【請求項6】
前記電子ボックスは、前記収容空間の下方に位置する底壁を備え、
前記突出部は、前記天壁から下方に向かって突出する上側突出部、及び前記底壁から上方に向かって突出する下側突出部を含み、
前記上側突出部は、前記電子基板及び前記電子部品の少なくとも一方の上面に当接し、
前記下側突出部は、前記電子基板及び前記電子部品の少なくとも一方の下面に当接する請求項3に記載の検出装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の検出装置を備える履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置及び履物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、履物の底部又はインソールに配置した検出装置を用いて、足裏に加わる荷重を検出する技術が提案されている。検出装置により検出された荷重は、例えば、ユーザの歩行状態、健康状態、運動時のパフォーマンスなどの解析に利用される。例えば、インソールとして構成される検出装置は、インソールボディの内部に配置された検出素子と、電子モジュールとを備える。電子モジュールには、例えば、検出素子からの信号を処理する信号処理回路、検出素子に電極を供給するバッテリ等の電源、及び充電コネクタが設けられている。また、特許文献1は、電子部品が実装された電子基板を、電子ボックス内に収容した状態でインソールボディの内部に配置する構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子ボックス内に電子基板を収容する構成において、電子基板に電子部品としての充電コネクタが実装されている場合、充電コネクタの接続部分を外部に露出させるための露出孔を電子ボックスに設ける必要がある。この場合、電子ボックスに外力が加えられた際に、充電コネクタが露出孔を通じて移動できてしまうことにより、電子基板が湾曲するように変形して、電子基板における充電コネクタが実装されている部分に応力が集中してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する態様を記載する。
[態様1]
足裏から得られる身体情報を検出する検出素子を備える検出装置であって、内部に収容空間を有する電子ボックスと、前記電子ボックスに収容され、電子部品が実装された電子基板と、を備え、前記電子ボックスは、前記電子基板に実装された前記電子部品を前記電子ボックスの外部に露出させるための露出孔を備え、前記露出孔から前記電子部品が露出している方向に前記電子ボックスを視た平面視において、前記電子ボックスにおける前記露出孔の周囲、及び前記露出孔に重なる部分の少なくとも一方には、前記電子基板及び前記電子部品の少なくとも一方に当接する突出部が設けられていることを特徴とする検出装置。
【0006】
上記構成によれば、電子ボックスにおける露出孔の周囲、又は露出孔に重なる部分には、電子基板に当接する突出部が設けられている。そのため、電子ボックスに外力が加えられた場合に、電子ボックスの一部である突出部と電子基板又は電子部品とが当接することにより、露出孔から露出している電子部品が露出孔を通じて過度に移動することによる電子基板の湾曲を抑制できる。その結果、電子部品を露出させる露出孔が電子ボックスに設けられていることに起因する電子基板の局所的な応力集中を抑制できる。
【0007】
[態様2]
前記電子ボックスに収容され、前記検出素子に電力を供給する充電可能な電源部を備え、前記電子部品は、前記電源部を充電するための充電コネクタを含み、前記充電コネクタは、前記露出孔を通じて前記電子ボックスの外部に露出している態様1に記載の検出装置。
【0008】
[態様3]
前記電子ボックスは、前記収容空間の上方に位置する天壁を備え、前記露出孔は、前記天壁に設けられている態様1又は態様2に記載の検出装置。
【0009】
[態様4]
前記突出部は、前記天壁から下方に向かって突出する上側突出部を含み、前記上側突出部は、前記電子基板及び前記電子部品の少なくとも一方の上面に当接する態様3に記載の検出装置。
【0010】
[態様5]
前記電子ボックスは、前記収容空間の下方に位置する底壁を備え、前記突出部は、前記底壁から上方に向かって突出する下側突出部を含み、前記下側突出部は、前記電子基板及び前記電子部品の少なくとも一方の下面に当接する態様3に記載の検出装置。
【0011】
[態様6]
前記電子ボックスは、前記収容空間の下方に位置する底壁を備え、前記突出部は、前記天壁から下方に向かって突出する上側突出部、及び前記底壁から上方に向かって突出する下側突出部を含み、前記上側突出部は、前記電子基板及び前記電子部品の少なくとも一方の上面に当接し、前記下側突出部は、前記電子基板及び前記電子部品の少なくとも一方の下面に当接する態様3に記載の検出装置。
【0012】
[態様7]
態様1~6のいずれか1つに記載の検出装置を備える履物。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子ボックスの露出孔に起因する電子基板の局所的な応力集中を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、荷重を検出するインソールに具体化した本発明の検出装置10の一実施形態を説明する。
図1に示すように、検出装置10は、履物のインソールとして用いられる基部20と、基部20に取り付けられる検出ユニット30とを備えている。なお、柔軟性を有するとは、歩行、跳躍、着地などの際の足裏の動きに伴って、部分的に厚さ方向に圧縮させることができる程度に柔らかいことを意味する。
【0016】
<基部>
基部20は、基部20の上部を構成する上筐体21と、基部20の下部を構成する下筐体22とを備えている。検出ユニット30は、上筐体21と下筐体22との間に挟持される態様にて基部20の内部に取り付けられている。
【0017】
上筐体21は、その下面側が平面状に形成されるとともに、その上面が足裏の形状に沿った立体形状に形成されている。上筐体21の構成材料としては、例えば、EVA(エチレンビニルアセテート,エチレン酢酸ビニル)やPU(ポリウレタン)が挙げられる。上筐体21の構成材料及び上筐体21の厚さの一方又は両方を調整することにより、インソールのクッション性及び反発性を調整できる。また、上筐体21の上面には、上筐体21を被覆する表皮23が貼り付けられている。
【0018】
下筐体22は、平板状に形成される部位であり、その上面には、検出ユニット30の構成要素を収容するセンサ収容部24及びボックス収容部25が設けられている。センサ収容部24及びボックス収容部25は、下筐体22に上面に設けられる凹部である。下筐体22は、センサ収容部24及びボックス収容部25に対応する形状の貫通孔26を有する有孔板22aの下に、孔を有さない底板22bを重ねて一体化することにより形成されている。下筐体22の構成材料としては、例えば、EVA(エチレンビニルアセテート,エチレン酢酸ビニル)やPU(ポリウレタン)が挙げられる。
【0019】
また、基部20は、上筐体21の下面と、下筐体22の上面とを接着する接着層27を備えている。接着層27は特に限定されるものではなく、両面テープなどのシート材を用いた接着層であってもよいし、接着剤を用いた接着層であってもよい。
【0020】
<検出ユニット>
図1に示すように、検出ユニット30は、4個の検出素子31を備えている。4個の検出素子31は、三つのつま先センサ31a~31cと、一つの踵センサ31dとからなる。つま先センサ31a~31cは、足裏における母指球から小指球に連なる肉が厚くなっている範囲にかかる荷重を検出するためのつま先用の検出素子である。踵センサ31dは、足裏の踵にかかる荷重を検出するための踵用の検出素子である。
【0021】
基部20の下筐体22に設けられるセンサ収容部24は、各検出素子31が配置される位置にそれぞれ設けられている。各検出素子31は、センサ収容部24内に収容されている。各検出素子31を構成する圧力センサとしては、圧電素子等を用いた公知の感圧センサを用いることができる。特に、足裏に配置されるという使用状況に鑑みると、伸縮性及び耐久性の観点から、誘電エラストマーを利用したエラストマー製の静電容量式圧力センサを用いることが好ましい。上記誘電エラストマーとしては、例えば、架橋されたポリロタキサン、シリコーンエラストマー、アクリルエラストマー、ウレタンエラストマーが挙げられる。
【0022】
検出ユニット30は更に、電子ボックス35及び配線36を備えている。電子ボックス35に収容される構成については後述する。電子ボックス35は、ボックス収容部25内に収容されるとともに、接着層27と同様の接着層35aにより上筐体21の下面に接着されている。電子ボックス35及びボックス収容部25は、足底弓蓋、所謂、土踏まずの位置に配置されている。したがって、電子ボックス35は、つま先センサ31a~31cよりも踵側に位置している。
【0023】
配線36は、各検出素子31の各接続端子と電子ボックス35とを電気的に接続する。配線36は、基部20に追従して変形可能な柔軟性を有している。柔軟性を有する配線36としては、例えば、フレキシブルプリント配線板、リード線が挙げられる。
【0024】
<電子ボックスの詳細>
図2~4に示すように、電子ボックス35は、内部に収容空間Sを有する四角箱状の部材である。電子ボックス35は、上ケース40及び下ケース50を備え、上ケース40と下ケース50とを組み合わせることにより四角箱状をなしている。上ケース40及び下ケース50の各々は、例えば、樹脂材料等により一体に形成されている。
【0025】
上ケース40は、下側に開口する有蓋四角箱状の部材であり、略長方形状の天壁41と、天壁41の周縁に沿って形成されるとともに下方に延びる上周壁42とを備えている。天壁41の内面には、天壁41を補強するリブ41Aが形成されている(
図4参照)。リブ41Aは、天壁41の周縁に沿った縦方向及び横方向に延びる格子状に形成されている。
【0026】
上ケース40の天壁41には、後述する充電コネクタ63の上部を電子ボックス35から露出させるための露出部43が設けられている。露出部43は、天壁41の内面に突出する円環状の環状壁43Aと、環状壁43Aの下端に設けられる露出孔43Bとを含む。環状壁43Aは、上方から下方に向かって徐々に縮径する形状に形成されている。環状壁43Aは、天壁41の一部として形成されている。
【0027】
上周壁42の下端には、下ケース50に嵌合する上側嵌合部42Aが設けられている。上側嵌合部42Aは、上周壁42の周方向に沿って形成されている凹条である。上側嵌合部42Aは、後述する下ケース50の下周壁52に設けられる下側嵌合部52Aと嵌合する部位である。
【0028】
下ケース50は、上側に開口する有底四角箱状の部材であり、略長方形状の底壁51と、底壁51の周縁に沿って形成されるとともに上方に延びる下周壁52とを備えている。底壁51の内面には、下ケース50内を第1収容部S1と第2収容部S2とに区画する区画壁51Aが設けられている。また、底壁51の内面における第1収容部S1に位置する部分には、後述する電子基板61又は電子部品62を下方から支持して、電子基板61と底壁51との間に隙間を形成するための支持壁51Bが設けられている。
【0029】
下周壁52の上端には、上ケース40に嵌合する下側嵌合部52Aが設けられている。下側嵌合部52Aは、下周壁52の周方向に沿って形成されている凸条である。下側嵌合部52Aは、上ケース40の上周壁42に設けられる上側嵌合部42Aと嵌合する部位である。なお、上ケース40の上周壁42及び下ケース50の下周壁52は、上側嵌合部42Aと下側嵌合部52Aとを互いに嵌合させた状態にて接着等の公知の方法により一体に固定されている。
【0030】
電子ボックス35内の収容空間Sには、バッテリ等の充電可能な電源部60及び電子基板61が収容されている。電源部60は、各検出素子31に電力を供給する。電源部60は、図示しない配線によって、電子基板61及び配線36に接続されている。
【0031】
電子基板61には、電子部品62及び充電コネクタ63が実装されている。なお、充電コネクタ63は、電子部品62の一種である。電子基板61は、上面と、その反対側に位置する下面を有する平板状である。
【0032】
充電コネクタ63は、電子基板61の上面であって、電子ボックス35を上方から視た平面視において、露出孔43Bに重なる位置に実装されている。電子ボックス35を上方から視た平面視(以下、単に平面視と記載する。)は、露出孔43Bから充電コネクタ63が露出している方向に電子ボックス35を視た平面視に相当する。充電コネクタ63は、上ケース40の露出孔43Bよりも一回り小さい外周形状を有する円柱状の部材である。充電コネクタ63の下端面は、電子基板61の上面に固定されている。
【0033】
充電コネクタ63の上部は、上ケース40の露出孔43Bに挿通されるとともに、上ケース40の環状壁43Aよりも上方に突出することにより、上ケース40の上面に露出している。上ケース40の上面から露出している充電コネクタ63の上端には、充電ケーブル(図示略)の端子が挿入される差込口63Aが形成されている。なお、充電コネクタ63の外周面と、上ケース40の露出孔43Bの内周縁とは、図示しない接着剤により一体に固定されている。この接着剤は、電子ボックス35内への異物の侵入及び液体の浸入を抑制するシール部として機能する。
【0034】
充電コネクタ63は、電子ボックス35に収容されている電源部60を充電する際に、充電装置から延びる充電ケーブル(図示略)の充電端子が着脱可能に接続される部位である。充電装置は、電源を充電する際に別途用意される。
【0035】
電子部品62としては、例えば、各検出素子31からの信号を処理する信号処理回路を構成する素子、各検出素子31からの信号やその信号を処理して得られる情報等の各種情報を記憶する記憶部を構成する素子、外部と通信を行う通信部を構成する素子が挙げられる。一例として、電子部品62は、電子基板61の上面及び下面の両方に実装されている。この場合、電子基板61は、上面及び下面の両面に電子部品62が実装されている両面実装基板である。
【0036】
図3に示すように、電子基板61の上面における、充電コネクタ63が実装されている部分の周囲には、電子部品62が実装されていない平面状の部分である第1被当接部61Aが設けられている。電子基板61の下面における、充電コネクタ63が実装されている部分の反対側に位置する部分には、電子部品62が実装されていない平面状の部分である第2被当接部61Bが設けられている。
【0037】
<上側突出部及び下側突出部>
図2~7に示すように、上ケース40は、天壁41の一部である環状壁43Aから下方に向かって突出する2つの上側突出部44を備えている。上側突出部44は、円柱状をなすとともに、その先端には、平面状の支持面44Aが形成されている。支持面44Aは、電子基板61の上面の第1被当接部61Aに対して、面接触にて当接している。上側突出部44の突出高さは、リブ41Aよりも高い。
【0038】
図2に示すように、上側突出部44は、平面視において、露出孔43Bの周囲に配置されている。平面視において、上側突出部44は、露出孔43Bの周縁により位置に配置することが好ましい。例えば、上側突出部44は、少なくとも一部が環状壁43Aの外周よりも露出孔43Bの周縁側に位置するように配置されていることが好ましく、その外周が露出孔43Bの周縁と接する位置に配置されていることがより好ましい。2つの上側突出部44は、露出孔43Bを間に挟んで露出孔43Bの径方向の反対側に位置するように設けられている。
【0039】
図2~7に示すように、下ケース50は、底壁51の内面における第2収容部S2に位置する部分から上方に向かって突出する2つの下側突出部53を備えている。下側突出部53は、円柱状をなすとともに、その先端には、平面状の支持面53Aが形成されている。支持面53Aは、電子基板61の下面の第2被当接部61Bに対して、面接触にて当接している。下側突出部53の突出高さは、区画壁51A及び支持壁51Bよりも高い。
【0040】
図2に示すように、下側突出部53は、平面視において、露出孔43Bの近傍に配置されている。平面視において、下側突出部53は、充電コネクタ63の中心により近い位置に配置することが好ましい。例えば、下側突出部53は、平面視において、充電コネクタ63の外周と重なる位置又は当該位置よりも中心に近い位置に配置することが好ましく、充電コネクタ63の中心と重なる位置に配置することがより好ましく、充電コネクタ63の中心に配置することが更に好ましい。また、
図2に示すように、平面視において、露出孔43Bに重なる位置に下側突出部53が位置していることが好ましい。
【0041】
ここで、平面視における、2つの上側突出部44の配置例及び2つの下側突出部53の配置例について説明する。
図2に示すように、平面視において、2つの上側突出部44の中心を通る仮想線L1、及び2つの下側突出部53の中心を通る仮想線L2を仮定する。
【0042】
2つの上側突出部44及び2つの下側突出部53の一例は、仮想線L1及び仮想線L2の少なくとも一方が、足の前後方向に対して交差するように配置されている(
図2に示す配置)。
【0043】
2つの上側突出部44及び2つの下側突出部53の一例は、仮想線L1及び仮想線L2の少なくとも一方が、足の前後方向に平行となるように配置されている(
図2に示す配置)。
【0044】
2つの上側突出部44及び2つの下側突出部53の一例は、2つの上側突出部44及び2つの下側突出部53は、仮想線L1と仮想線L2の交点が露出孔43B内に位置するように配置されている(
図2に示す配置)。
【0045】
2つの上側突出部44及び2つの下側突出部53の一例は、仮想線L1と仮想線L2が同一直線となるように配置されている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0046】
検出装置10としてインソールが差し込まれた履物を装着した状態で、歩行や運動を行う際に、検出装置10の電子ボックス35に局所的な外力が加えられる場合がある。このような場合としては、例えば、階段の角部を土踏まずの部分で踏み込みながら階段を上る場合、及び電子ボックス35よりも小さい小石等の硬い物体を土踏まずの部分で踏んだ場合が挙げられる。
【0047】
このような場合、電子ボックス35に対して、電子ボックス35を曲げようとする外力が加えられる。そして、電子ボックス35の内部に収容されている電子基板61にも、電子ボックス35を通じて同様の方向に曲げようとする外力が加えられる。
【0048】
このとき、従来構成の電子ボックスの場合、電子ボックスに充電コネクタ63を露出させる露出孔43Bが設けられていると、露出孔43Bに充電コネクタ63が過度に入り込むことができてしまう。また、逆に、露出孔43Bを通じて充電コネクタ63を過度に電子ボックスの収容空間S側へ押し込むことができてしまう。これにより、電子基板61は、充電コネクタ63が実装されている部分で大きく湾曲した状態となり、当該部分に応力が集中してしまう。
【0049】
一方、本実施形態の電子ボックス35の場合、平面視において、電子ボックス35における露出孔43Bの周囲、及び露出孔43Bに重なる部分には、電子基板61に当接する上側突出部44及び下側突出部53が設けられている。そのため、電子ボックス35の一部である上側突出部44と電子基板61とが当接していることにより、露出孔43Bへ入り込む方向(上方)への充電コネクタ63の過度な移動を抑制できる。同様に、電子ボックス35の一部である下側突出部53と電子基板61とが当接していることにより、電子ボックス35の収容空間S側に押し込まれる方向(下方)への過度な充電コネクタ63の移動を抑制できる。
【0050】
これにより、電子ボックス35に局所的な外力が加えられた場合に、充電コネクタ63が実装されている部分にて電子基板61が上に凸となるように大きく湾曲すること、又は下に凸となるように大きく湾曲することを抑制できる。その結果、充電コネクタ63が実装されている部分における電子基板61の局所的な応力集中、即ち、電子ボックス35に露出孔43Bが設けられていることに起因する電子基板61の局所的な応力集中を抑制できる。なお、詳細は省略するが、上側突出部44及び下側突出部53を設けた場合に、電子基板61の局所的な応力集中が抑制される、というシミュレーション結果も得られている。
【0051】
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)検出装置10は、内部に収容空間Sを有する電子ボックス35と、電子ボックス35に収容され、充電コネクタ63が実装された電子基板61と、を備える。電子ボックス35は、電子部品(充電コネクタ63)を電子ボックス35の外部に露出させるための露出孔43Bを備える。平面視において、電子ボックス35における露出孔43Bの周囲、及び露出孔43Bに重なる部分には、電子基板61に当接する突出部(上側突出部44及び下側突出部53)が設けられている。
【0052】
上記構成によれば、露出孔43Bが設けられていることに起因する電子基板61の局所的な応力集中を抑制できる。
(2)検出装置10は、電子ボックス35に収容され、検出素子31に電力を供給する充電可能な電源部60を備える。電子部品は、電源部60を充電するための充電コネクタ63を含む。充電コネクタ63は、露出孔43Bを通じて電子ボックス35の外部に露出している。
【0053】
充電コネクタ63は、電子ボックス35の外部に露出させることが必須な構成である。そのため、上記(1)の構成によって、電子基板61の局所的な応力集中を抑制することが特に有効である。
【0054】
(3)突出部は、天壁41から下方に向かって突出する上側突出部44を含む。上側突出部44は、電子基板61の上面に当接する。
上記構成によれば、露出孔43Bへ入り込む方向(上方)への充電コネクタ63の過度な移動を抑制できる。これにより、充電コネクタ63が実装されている部分にて電子基板61が上に凸となるように大きく湾曲することを抑制できる。
【0055】
(4)電子ボックス35は、収容空間Sの下方に位置する底壁51を備える。突出部は、底壁51から上方に向かって突出する下側突出部53を含む。下側突出部53は、電子基板61の下面に当接する。
【0056】
上記構成によれば、電子ボックス35の収容空間S側に押し込まれる方向(下方)への過度な充電コネクタ63の移動を抑制できる。これにより、充電コネクタ63が実装されている部分にて電子基板61が下に凸となるように大きく湾曲することを抑制できる。
【0057】
(5)電子ボックス35は、ポッティング処理が行われていない。即ち、収容空間Sに封入樹脂が充填されていない。
この場合、電子基板61は、封入樹脂による電子ボックス35との固定構造がけいせいされないため、電子ボックス35に外力が加えられた場合に電子基板61が変形しやすい。そのため、上記(1)の構成によって、電子基板61の局所的な応力集中を抑制することが特に有効である。また、上記構成によれば、ポッティング処理により性能が低下する電子部品62を用いることもできる。
【0058】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・露出孔43Bを通じて電子ボックス35の外部に露出させる電子部品62は、充電コネクタ63に限定されない。例えば、充電コネクタ63に代えて、有線通信を行うための通信用コネクタを電子ボックス35の外部に露出させてもよい。
【0059】
・電源部60を省略してもよい。
・露出孔43Bは、電子ボックス35の天壁41以外の壁部、例えば、底壁51に設けられていてもよい。
【0060】
・上側突出部44及び下側突出部53は、電子基板61が僅かに変形したときに電子基板61に当接するように構成されていてもよい。
・上側突出部44の数は、1であってもよいし、3以上であってもよい。また、上側突出部44の配置も変更することができる。
【0061】
・電子基板61に対する上側突出部44の当接状態は、面接触に限定されるものでなく、点接触であってもよいし、線接触であってもよい。また、上側突出部44に関して、電子基板61に当接する構成に代えて、電子部品62に当接する構成としてもよい。
【0062】
・下側突出部53の数は、1であってもよいし、3以上であってもよい。また、下側突出部53の配置も変更することができる。
・電子基板61に対する下側突出部53の当接状態は、面接触に限定されるものでなく、点接触であってもよいし、線接触であってもよい。また、下側突出部53に関して、下側突出部53に当接する構成に代えて、電子部品62に当接する構成としてもよい。
【0063】
・上側突出部44及び下側突出部53のいずれか一方を省略してもよい。
・上側突出部44及び下側突出部53の形状は、円柱状に限定されるものでなく、その他の形状、例えば、多角柱状であってもよいし、角錐状又は円錐状であってもよい。
【0064】
・充電コネクタ63と電子ボックス35との間をシールするための構成は、環状壁43Aと充電コネクタ63とを接着する構成に限定されない。例えば、環状壁43Aに代えて、環状のシール部材を電子ボックス35に固定し、シール部材の内周面を充電コネクタ63に圧接させることによりシールしてもよい。
【0065】
・天壁41における上側突出部44を設ける位置は、環状壁43Aに限定されない。例えば、天壁41における平面状の部分に上側突出部44を設けてもよいし、上記シール部材に上側突出部44を設けてもよい。
【0066】
・上記実施形態では、各検出素子31を、形状が同じである共通の圧力センサとしていたが、一部又は全部を非共通の圧力センサとしてもよい。
・検出装置10に設けられる検出素子31の数及び配置は、上記実施形態の構成に限定されない。
【0067】
・検出装置10に設けられる電子ボックス35の数及び配置は、上記実施形態の構成に限定されない。例えば、電子ボックス35を複数、設けてもよい。
・足裏から得られる身体情報を検出する検出素子31は圧力センサに限定されない。圧力センサ以外の検出素子31としては、例えば、温度センサ、臭いセンサ、慣性センサが挙げられる。
【0068】
・検出装置10を履物に適用してもよい。
【符号の説明】
【0069】
S…収容空間
10…検出装置
31…検出素子
35…電子ボックス
43…露出部
43B…露出孔
61…電子基板
62…電子部品
63…充電コネクタ