(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046322
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】業務支援装置、業務支援方法、及び、業務支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/03 20230101AFI20240327BHJP
【FI】
G06Q40/02 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151638
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 詠斗
(72)【発明者】
【氏名】松本 志文
(72)【発明者】
【氏名】牛山 翔太
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB15
5L055BB23
(57)【要約】
【課題】適切なタイミングで担保対象の価値を判断して融資を支援可能とする。
【解決手段】受付部が、融資又は返済の依頼を受け付ける。担保融資率算出部は、少なくとも融資又は返済の依頼を受け付けた際に、請求元金、請求利息及び請求遅延損害金の合計額と、融資の際に担保とされた担保対象の現時点における評価額の比率である担保融資率を算出する。出力制御部は、算出された担保融資率を出力制御する。また、算出された担保融資率が第1の閾値以上であるか否かを判別する判別部と、算出された担保融資率が第1の閾値以上である場合に、少なくとも追加融資を停止する情報を生成するデータ生成部とを備え、出力制御部は、追加融資を停止する情報の出力制御を行う。これにより、適切なタイミングで担保対象の価値を判断して融資を支援可能とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
融資又は返済の依頼を受け付ける受付部と、
少なくとも融資又は返済の依頼を受け付けた際に、請求元金、請求利息及び請求遅延損害金の合計額と、融資の際に担保とされた担保対象の現時点における評価額の比率である担保融資率を算出する担保融資率算出部と、
算出された担保融資率を出力制御する出力制御部と、
を有する業務支援装置。
【請求項2】
算出された前記担保融資率が第1の閾値以上であるか否かを判別する判別部と、
算出された前記担保融資率が前記第1の閾値以上である場合に、少なくとも追加融資を停止する情報を生成するデータ生成部と、をさらに備え、
前記出力制御部は、追加融資を停止する前記情報の出力制御を行うこと、
を特徴とする請求項1に記載の業務支援装置。
【請求項3】
前記判断部は、算出された前記担保融資率が前記第1の閾値以上の値の第2の閾値以上であるか否かを判別し、
前記データ生成部は、算出された前記担保融資率が前記第2の閾値以上である場合に、前記担保対象の売却を促す情報を生成し、
前記出力制御部は、前記担保対象の売却を促す前記情報の出力制御を行うこと、
を特徴とする請求項2に記載の業務支援装置。
【請求項4】
受付部が、融資又は返済の依頼を受け付ける受付ステップと、
担保融資率算出部が、少なくとも融資又は返済の依頼を受け付けた際に、請求元金、請求利息及び請求遅延損害金の合計額と、融資の際に担保とされた担保対象の現時点における評価額の比率である担保融資率を算出する担保融資率算出ステップと、
出力制御部が、算出された担保融資率を出力制御する出力制御ステップと、
を有する業務支援方法。
【請求項5】
コンピュータを、
融資又は返済の依頼を受け付ける受付部と、
少なくとも融資又は返済の依頼を受け付けた際に、請求元金、請求利息及び請求遅延損害金の合計額と、融資の際に担保とされた担保対象の現時点における評価額の比率である担保融資率を算出する担保融資率算出部と、
算出された担保融資率を出力制御する出力制御部として機能させること、
を特徴とする業務支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務支援装置、業務支援方法、及び、業務支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2022-062612号公報)に、適切に金融取引を支援可能とした金融支援装置が開示されている。この金融支援装置は、企業識別子を含む1以上の企業情報が格納される企業情報格納部と、1以上の各企業識別子に対応付けて、各企業識別子で識別される企業に対して行われた融資に関する融資情報が格納される融資情報格納部と、を備える。また、1以上の各企業識別子に対応付けて、各企業識別子で識別される企業に対する投資に関する投資情報が格納される投資情報格納部と、企業識別子に対応付けて、企業識別子で識別される企業に対する投資を募るための募集情報を送信する募集情報送信部と、を備える。さらに、企業識別子に対応付けて、企業識別子で識別される企業への投資に関する投資情報を受信する投資情報受信部と、企業識別子に対応付けて、投資情報受信部が受信した投資情報を投資情報格納部に蓄積する投資情報蓄積部とを備える。これにより、適切に金融取引を支援できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば不動産物件等を担保として融資を受けることが多々あるが、不動産物件等の担保対象は、時間の流れと共に価値が変遷する流動資産である。このため、少なくとも融資及び追加融資のタイミングで担保対象の価値を判断することが必要となる。このような担保対象の価値の判断を怠ると、担保対象が延滞時の補償として機能せず、回収に支障を来す等の問題を生ずる。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、適切なタイミングで担保対象の価値を判断して融資を支援できるような業務支援装置、業務支援方法及び業務支援プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る業務支援装置は、融資又は返済の依頼を受け付ける受付部と、少なくとも融資又は返済の依頼を受け付けた際に、請求元金、請求利息及び請求遅延損害金の合計額と、融資の際に担保とされた担保対象の現時点における評価額の比率である担保融資率を算出する担保融資率算出部と、算出された担保融資率を出力制御する出力制御部と、を有する。
【0007】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る業務支援方法は、受付部が、融資又は返済の依頼を受け付ける受付ステップと、担保融資率算出部が、少なくとも融資又は返済の依頼を受け付けた際に、請求元金、請求利息及び請求遅延損害金の合計額と、融資の際に担保とされた担保対象の現時点における評価額の比率である担保融資率を算出する担保融資率算出ステップと、出力制御部が、算出された担保融資率を出力制御する出力制御ステップと、を有する。
【0008】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る業務支援プログラムは、コンピュータを、融資又は返済の依頼を受け付ける受付部と、少なくとも融資又は返済の依頼を受け付けた際に、請求元金、請求利息及び請求遅延損害金の合計額と、融資の際に担保とされた担保対象の現時点における評価額の比率である担保融資率を算出する担保融資率算出部と、算出された担保融資率を出力制御する出力制御部として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、適切なタイミングで担保対象の価値を判断して融資を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態の業務支援装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態の業務支援装置の融資支援動作の流れを示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、融資の申込時に生成される申込データ、担保情報データ、及び、担保融資率データを示す図である。
【
図4】
図4は、融資の契約時に生成される債権データ、担保情報データ、及び、担保融資率データを示す図である。
【
図5】
図5は、融資が行われることで生成される債権データ、担保情報データ、及び、担保融資率データを示す図である。
【
図6】
図6は、追加の融資が行われることで生成される債権データ、担保情報データ、及び、担保融資率データを示す図である。
【
図7】
図7は、融資残高の一部の金額が返済(入金処理)されることで生成される債権データ、担保情報データ、及び、担保融資率データを示す図である。
【
図8】
図8は、担保対象が追加された際に生成される債権データ、担保情報データ、及び、担保融資率データを示す図である。
【
図9】
図9は、担保対象が設定解除された際に生成される債権データ、担保情報データ、及び、担保融資率データを示す図である。
【
図10】
図10は、担保対象の評価額の洗替処理により生成される債権データ、担保情報データ、及び、担保融資率データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した実施の形態となる業務支援装置を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、このような実施の形態に本発明が限定されるものではない。
【0012】
(ハードウェア構成)
実施の形態の業務支援装置は、債務者により提供された不動産、宝石、又は物品等の担保対象の現在の価値に基づく融資を支援する装置である。
図1は、実施の形態の業務支援装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。この
図1に示す業務支援装置1は、記憶部2、制御部3、通信インターフェース部4及び入出力インターフェース部5を備えている。入出力インターフェース部5には、入力装置6及び出力装置7が接続されている。出力装置7としては、モニタ装置(家庭用テレビを含む)等の表示部を用いることができる。入力装置6としては、キーボード装置、マウス装置及びマイクロホン装置等の他、マウス装置と協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタ装置等を用いることができる。
【0013】
通信インターフェース部4は、例えばインターネット等の広域網又はLAN(Local Area Network)等のプライベート網であるネットワーク30を介して、債務者の携帯端末装置40の無線基地局45、及び、債務者の預金口座を管理している銀行等の預金管理装置50に接続される。債務者の携帯端末装置40としては、携帯電話機、タブレット端末装置、ノート型のパーソナルコンピュータ装置等を用いることができる。なお、債務者の携帯端末装置40の代わりに、パーソナルコンピュータ装置を用いてもよい。
【0014】
記憶部2としては、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を用いることができる。記憶部2には、債務者に対する融資業務及び返済業務を支援する業務支援プログラムが記憶されている。実施の形態の業務支援装置1は、この業務支援プログラムにより、融資時又は追加融資時等のリアルタイムで担保対象の価値を算出して業務オペレータに提供する。これにより、担保対象の現在の価値に基づいて、融資及び追加融資等が可能となる。
【0015】
また、記憶部2には、融資の申込時に生成される申込データ、担保対象の現在の価値を示す担保情報データ、及び、融資が行われることで生成される債権データが記憶されている。また、記憶部2には、請求元金、請求利息及び請求遅延損害金の合計額と、融資の際に担保とされた担保対象の現時点における評価額の比率である担保融資率が記憶されている。
【0016】
(業務支援装置の機能構成)
次に、制御部3は、記憶部2に記憶されている業務支援プログラムを実行することで、
図1に示すように、受付部21、担保融資率算出部22、表示制御部23、判断部24、データ生成部25、及び、出力制御部26として機能する。
【0017】
受付部21は、一例として債務者の携帯端末装置40を介して行われる融資又は返済の依頼を受け付ける。担保融資率算出部22は、少なくとも融資又は返済の依頼を受け付けた際に、請求元金、請求利息及び請求遅延損害金の合計額と、融資の際に担保とされた担保対象の現時点における評価額の比率である担保融資率を算出する。出力制御部26は、算出された担保融資率を出力制御する。
【0018】
なお、業務支援装置1は、融資時となると、債務者の預金管理装置50に対して、債務者の預金口座に融資金額を振り込むように指示を行う。これにより、債務者に対する融資が行われ、申込データ及び債権データ等が生成される。また、業務支援装置1は、所定の約定日(返済日)に預金管理装置50にアクセスし、債務者の預金口座から約定金額の引落を試みる。約定金額及び利息の引落が行えた場合、業務支援装置1は、融資残高から引落した約定金額及び利息を減算処理した金額に、債権データの融資残高を更新する。業務支援装置1は、融資残高から約定金額及び利息の引落が行えなかった場合、次回の約定日に、約定金額、利息及び延滞金の引落を試みる。
【0019】
判別部24は、算出された担保融資率が第1の閾値以上であるか否かを判別する。データ生成部25は、算出された担保融資率が前記第1の閾値以上である場合に、少なくとも追加融資を停止する情報を生成する。この場合、出力制御部26は、追加融資を停止する情報の出力制御を行う。
【0020】
具体的には、第1の閾値は例えば「50%」である。出力制御部26は、表示部の一例である出力装置7を介して、追加融資を停止する情報の一例として、追加融資を停止する旨のメッセージを表示する。
【0021】
これにより、現在価値が低い担保対象に基づいて、担保対象の現在価値以上の金額の融資が行われる不都合を防止することができる。なお、追加融資を停止する情報としては、メッセージとして出力する他、音声メッセージ、電子音等で出力してもよい。
【0022】
また、判断部24は、算出された担保融資率が第1の閾値以上の値の第2の閾値以上であるか否かを判別する。データ生成部25は、算出された担保融資率が第2の閾値以上である場合に、担保対象の売却を促す情報を生成する。出力制御部26は、担保対象の売却を促す情報の出力制御を行う。
【0023】
具体的には、第1の閾値は、例えば「50%」であり、第2の閾値は「80%」である。出力制御部26は、表示部の一例である出力装置7を介して、担保対象の売却を促す情報として、担保対象の売却を促すメッセージを表示する。
【0024】
これにより、現在価値が無価値となる前に担保対象を売却して、融資金額の回収を図ることができる。なお、担保対象の売却を促す情報としては、メッセージとして出力する他、音声メッセージ、電子音等で出力してもよい。
【0025】
(業務支援装置における融資支援動作)
次に、
図2は、実施の形態の業務支援装置1における融資支援動作の流れを示すフローチャートである。業務支援装置1の制御部3は、記憶部2に記憶されている業務支援プログラムに基づいて、この
図2のフローチャートに示す、
ステップS1:申込登録、
ステップS2:融資実行、
ステップS3:極度内融資実行、
ステップS4:入金処理、
ステップS5:担保情報登録、
ステップS6:担保評価洗替、
の各融資業務の支援動作を実行する。
【0026】
(ステップS1:申込登録)
まず、債務者は、携帯端末装置40を介して業務支援装置1にアクセスし、担保対象の指定及び融資の申込登録を行う。受付部21は、指定された担保対象、及び、融資の申込登録の受付を行う。これにより、包括契約の登録として、データ生成部25が、
図3(a)に示す申込データを生成する。申込データは、自動製番される顧客番号、枝番、及び、融資残高を含んで構成される。
【0027】
また、記憶部2に記憶されている担保情報データは、毎日又は毎週等のように所定のタイミングで更新され、各担保の現在の価値を示す情報となっている。データ生成部25は、この担保情報データを参照することで、債務者から指定された担保対象の現在の価値を検出する。そして、
図3(b)に示すように、債務者から指定された担保の現在の価値を入力した担保情報データを生成する。なお、この
図3の例は、債務者から指定された「A担保」が「100万円」の担保評価額とされた例である。
【0028】
また、データ生成部25は、
図3(c)に例示する、上述の担保評価額を入力した担保融資率データを生成する。担保融資率データは、請求元金、請求利息、請求遅延損害金、担保評価額、及び、担保融資率を含んで構成される。融資の申込の時点では、担保情報データに基づいて検出された担保対象の価値の変動はないため、担保融資率は算出されず、「0.0%」となっている。
【0029】
(ステップS2:融資実行)
次に、上述のように生成された、
図4(a)に示す債権データ、
図4(b)に示す担保情報データ、及び、
図4(c)に示す担保融資率データに基づいて包括契約が締結される。
【0030】
(ステップS3:極度内融資実行)
次に、債務者に対して包括契約の極度限度内で融資が実行される。この場合、業務支援装置1の制御部3は、債務者の預金管理装置50に対して、債務者の預金口座に融資金額を振り込むように指示を行う。これにより、債務者に対する融資が行われ、データ生成部25により、
図5(a)に示す債権データ、及び、
図5(c)に示す担保融資率データが更新される。なお、この時点では、担保対象の価値の変動はないため、
図5(b)に示す担保情報データの更新は行われない。
【0031】
具体的には、融資が実行されると、データ生成部25は、債権データの融資残高に、融資を行った金額を入力する。
図5(a)の例は、融資残高として「30万円」が入力された例である。また、融資が実行されると、データ生成部25は、
図5(c)に示すように、担保融資率データの請求元金に、融資金額の「30万円」を入力し、請求利息として所定の利率に基づく例えば「1000円」を入力する。
【0032】
また、融資が実行されると、担保融資率算出部22は以下の演算を行い、担保融資率を算出する。
【0033】
担保融資率=((請求元金30万円+請求利息1000円+請求遅延損額金0円)×100)/担保評価額100万円=30.1%
【0034】
データ生成部25は、このように算出された担保融資率を担保融資率データに入力する。担保融資率が算出されると、判断部24は、担保融資率が第1の閾値である「50%」以上であるか否か、及び、第2の閾値である「80%」以上であるか否かを判別する。この時点では、担保融資率は「30.1%」であり、第1の閾値以下であり、また、第2の閾値以下であるため、後述するメッセージの出力は行われない。
【0035】
出力制御部26は、このような担保融資率データを、出力装置7を介して表示する。これにより、業務オペレータは、担保対象が、融資残高を補う価値があることを認識することができる。
【0036】
(ステップS3:極度内融資実行(追加融資登録))
次に、債務者より、「20万円」の追加の融資が要求され、融資が実行されたとする。この場合、データ生成部25は、
図6(a)に示すように、債権データの融資残高を「50万円(元の融資額の30万円+追加融資分の20万円)」に更新する。この時点では、
図6(b)に示す担保情報データの担保評価額は変わらない。
【0037】
また、追加の融資が実行されると、担保融資率算出部22は以下の演算を行い、担保融資率を算出する。
【0038】
担保融資率=((請求元金50万円+請求利息3000円+請求遅延損額金0円)×100)/担保評価額100万円=50.3%
【0039】
データ生成部25は、
図6(c)に示すように、算出された担保融資率を担保融資率データに入力する。担保融資率が算出されると、判断部24は、担保融資率が第1の閾値である「50%」以上であるか否か、及び、第2の閾値である「80%」以上であるか否かを判別する。この時点で担保融資率は「50.3%」であり、第1の閾値以上である。このため、判断部24は、担保融資率が第1の閾値以上となったことを示す判断結果をデータ生成部25に供給する。データ生成部25は、担保融資率が第1の閾値以上となったことを示す判断結果が供給されると、追加の融資を停止するメッセージを生成する。
【0040】
出力制御部26は、この追加の融資を停止するメッセージを、
図6(c)に示す担保融資率データと共に出力装置7に表示する。これにより、業務オペレータは、担保対象の価値が、融資残高を補うことができない価値であることを認識する。このため、追加の融資は、停止されることとなる(債務者に対して追加の融資は行われない)。
【0041】
(ステップS4:入金処理)
次に、債務者により融資残高の一部の金額である、例えば「15万円」の返済(入金)が行われたとする。この場合、データ生成部25は、
図7(a)に示すように、債権データの融資残高を50万円から15万円の入金金額を減算処理した「35万円」に更新処理する。なお、この時点では、
図7(b)に示す担保情報データの担保評価額は変わらない。
【0042】
また、返済が行われると、担保融資率算出部22は以下の演算を行い、担保融資率を算出する。
【0043】
担保融資率=((請求元金35万円+請求利息2000円+請求遅延損額金0円)×100)/担保評価額100万円=35.2%
【0044】
データ生成部25は、
図7(c)に示すように、算出された担保融資率を担保融資率データに入力する。担保融資率が算出されると、判断部24は、担保融資率が第1の閾値である「50%」以上であるか否か、及び、第2の閾値である「80%」以上であるか否かを判別する。この時点で担保融資率は「35.2%」であり、第1の閾値以下である。これは、担保対象により融資残高が担保されていることを意味するため、データ生成部25は、上述のメッセージを生成は行わない。
【0045】
出力制御部26は、
図7(c)に示す担保融資率データを出力装置7に表示する。これにより、業務オペレータは、担保対象により、現在の融資残高が担保されていることを認識することができる。
【0046】
(ステップS5:担保情報登録(新たな担保対象の登録))
次に、債務者は、
図8(a)に示すように融資残高が「50万円」の状態において、
図8(b)に示すように、「B担保」を新たな担保対象として登録したとする。新たな担保対象が登録されると、データ生成部25は、記憶部2に記憶されている担保情報データを参照することで、債務者から指定された「B担保」の現在の価値を検出する。そして、
図8(b)に示すように、債務者から指定された「B担保」の、例えば「200万円」の現在の価値を入力した担保情報データを生成する。
【0047】
また、このように新たな担保が登録されると、担保融資率算出部22は以下の演算を行い、担保融資率を算出する。
【0048】
担保融資率=((請求元金50万円+請求利息3000円+請求遅延損額金0円)×100)/担保評価額300万円=16.8%
【0049】
データ生成部25は、
図8(c)に示すように、算出された担保融資率を担保融資率データに入力する。担保融資率が算出されると、判断部24は、担保融資率が第1の閾値である「50%」以上であるか否か、及び、第2の閾値である「80%」以上であるか否かを判別する。この場合、担保融資率は「16.8%」であり、第1の閾値以下である。これは、担保対象により融資残高が担保されていることを意味するため、データ生成部25は、上述のメッセージを生成は行わない。
【0050】
出力制御部26は、
図8(c)に示す担保融資率データを出力装置7に表示する。これにより、業務オペレータは、新たな担保対象の登録により、現在の融資残高が十分に担保されていることを認識することができる。このため、債務者に対する追加の融資も検討できる。
【0051】
(ステップS5:担保情報登録(担保対象の削除))
次に、債務者により、
図9(a)に示すように融資残高が「50万円」の状態において、
図9(b)に示すように、「B担保」の登録が削除されたとする(担保設定解除)。担保対象が削除されると、データ生成部25は、
図9(b)に示すように、債務者から指定された「B担保」を、担保情報データから削除する。
【0052】
このように担保が削除されると、担保融資率算出部22は以下の演算を行い、担保融資率を算出する。
【0053】
担保融資率=((請求元金50万円+請求利息3000円+請求遅延損額金0円)×100)/担保評価額100万円=50.3%
【0054】
データ生成部25は、
図9(c)に示すように、算出された担保融資率を担保融資率データに入力する。担保融資率が算出されると、判断部24は、担保融資率が第1の閾値である「50%」以上であるか否か、及び、第2の閾値である「80%」以上であるか否かを判別する。この場合、担保融資率は「50.3%」であり、第1の閾値以上である。このため、判断部24は、担保融資率が第1の閾値以上となったことを示す判断結果をデータ生成部25に供給する。データ生成部25は、担保融資率が第1の閾値以上となったことを示す判断結果が供給されると、追加の融資を停止するメッセージを生成する。
【0055】
出力制御部26は、この追加の融資を停止するメッセージを、
図9(c)に示す担保融資率データと共に出力装置7に表示する。これにより、業務オペレータは、担保対象の価値が、融資残高を補うことができない価値であることを認識する。このため、これ以上の新たな融資は、停止されることとなる(債務者に対してこれ以上の融資は行われない)。
【0056】
(ステップS6:担保評価額洗替)
次に、業務オペレータは、融資を行った以降、例えば毎日、毎週、毎月等のように所定のタイミングで、担保評価額の洗替を指定する。記憶部2に記憶されている担保情報データは、ネットワーク30に接続された、担保対象の最新の評価額を提供しているサーバ装置により、又は、業務オペレータにより、毎日、毎週、毎月等のように所定のタイミングで更新される。データ生成部23は、業務オペレータにより、担保評価額の洗替が指定される毎に、債務者の担保対象の最新の評価額を、記憶部2の担保情報データから取得する。担保融資率算出部22は、取得された最新の評価額に基づいて、債務者の担保対象の担保融資率データを算出する。
【0057】
具体的には、例えば
図10(a)に示すように融資残高が「50万円」の状態において、
図9(b)に示すように、債務者の「A担保」評価額が、「100万円」から「60万円」に下がったとする。この場合、担保融資率算出部22は、以下の演算を行い、最新の担保融資率を算出する。
【0058】
担保融資率=((請求元金50万円+請求利息3000円+請求遅延損額金0円)×100)/担保評価額60万円=83.3%
【0059】
データ生成部25は、
図10(c)に示すように、算出された担保融資率を担保融資率データに入力する。担保融資率が算出されると、判断部24は、担保融資率が第1の閾値である「50%」以上であるか否か、及び、第2の閾値である「80%」以上であるか否かを判別する。算出された最新の担保融資率は「83.3%」であり、第3の閾値以上である。このため、判断部24は、担保融資率が第2の閾値以上となったことを示す判断結果をデータ生成部25に供給する。データ生成部25は、担保融資率が第2の閾値以上となったことを示す判断結果が供給されると、担保対象を売却し返済を促すメッセージを生成する。
【0060】
出力制御部26は、この担保対象を売却し返済を促すメッセージを、
図10(c)に示す担保融資率データと共に出力装置7に表示する。これにより、業務オペレータは、担保対象の現在の価値が大幅に下がっており、融資残高を補うことが困難な値であることを認識する。このため、担保対象が売却され、融資残高の返済に充てられる。
【0061】
(実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、実施の形態の業務支援装置1は、債権金額の増減、流動債権の増減のタイミングで、その都度、流動資産における請求金額の比率を算出する。また、流動資産における請求金額の比率のデータを業務オペレータに提供する。また、担保融資率データを業務オペレータに公開し、債権者への担保売却の指示又は強制売却等の業務判断を促す。
【0062】
これにより、担保対象となっている流動資産における請求金額の比率をリアルタイムに捉え、債務者の評価を行うことができ、延滞の未然防止など、リスクに対応することができる。具体的には、担保融資率が所定以上となった場合に、即時に担保を強制売却する等の対応を可能とすることができる。
【0063】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び目標9に貢献することが可能となる。
【0064】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、目標13及び目標15に貢献することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0066】
[他の実施の形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0067】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、或いは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0068】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0069】
また、業務支援装置1に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも図示の如く物理的に構成されていることを要しない。
【0070】
例えば、業務支援装置1が備える処理機能、特に制御部3及び制御部3にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて業務支援装置1に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDD等の記憶部等には、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部3を構成する。
【0071】
また、この業務支援装置1の業務支援プログラムは、業務支援装置1に対して任意のネットワークを介して接続された他のサーバ装置に記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
【0072】
また、本実施形態で説明した処理を実行するための業務支援プログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0073】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコード又はバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した業務支援装置1において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0074】
記憶部2は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0075】
また、業務支援装置1は、既知のパーソナルコンピュータ装置又はワークステーション等の情報処理装置で構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された情報処理装置で構成してもよい。また、情報処理装置は、本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラム又はデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0076】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて又は機能付加に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、例えばノンバンク又はネットバンク等の金融業における融資業務に用いて好適である。
【符号の説明】
【0078】
1 業務支援装置
2 記憶部
3 制御部
4 通信インターフェース部
5 入出力インターフェース部
6 入力装置
7 出力装置
21 受付部
22 担保融資率算出部
23 表示制御部
24 判断部
25 データ生成部
30 ネットワーク
40 携帯端末装置
45 無線基地局
50 預金管理装置