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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046342
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】開梱装置及び開梱方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
B65B69/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151664
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】521067360
【氏名又は名称】株式会社アプコス
(74)【代理人】
【識別番号】100158023
【弁理士】
【氏名又は名称】牛田 竜太
(72)【発明者】
【氏名】間 敏行
【テーマコード(参考)】
3E058
【Fターム(参考)】
3E058AA02
3E058CA01
3E058CB02
3E058CB03
3E058DA01
3E058DA10
3E058FA20
3E058GA02
3E058GA06
(57)【要約】
【課題】
フラップを有する箱体を開梱する開梱装置及び開梱方法において、段ボールの内容物の損傷を抑制することができる開梱装置及び開梱方法の提供。
【解決手段】
開梱装置1は、第1開封装置2と、第2開封装置4と、を有している。第1開封装置2は、外フラップ11によって閉じられているフラップ面10Aにおいて、フラップ面10Aと段ボール10の側面とに跨って貼付されるテープ材13を切断する。第2開封装置4は、フラップ面10Aに吸着して外フラップ11を持ち上げることにより外フラップ11と側面とを離間させて挿入空間を形成し、開封具を挿入空間に挿入し外フラップ11の内側から外フラップ11に当接させて開封する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラップを備え、前記フラップを閉じるためにテープ材が所定方向に貼付された箱体を開梱する開梱装置であって、
前記フラップによって閉じられているフラップ面において、前記フラップ面と前記箱体の側面とに跨って貼付される前記テープ材を切断する切断部と、
吸着方向に移動して前記フラップ面に吸着し、前記吸着方向と反対の離反方向に移動して前記フラップを持ち上げることにより前記フラップ面と前記側面とを離間させ、前記フラップ面と前記側面との間に挿入空間を形成する吸着部と、
前記フラップ面において、前記挿入空間に前記所定方向に挿入され前記フラップの内側に前記離反方向から当接する開封具と、を有することを特徴とする開梱装置。
【請求項2】
前記開封具は、前記所定方向に対して下方に傾斜している尖り部と、前記フラップ面と平行な底面と、を有し、
前記尖り部は、前記挿入空間に挿入されたとき、前記フラップが互いに対向している箇所において前記離反方向から前記フラップの内側に当接することを特徴とする請求項1に記載の開封装置。
【請求項3】
前記フラップは、内フラップと、前記内フラップを覆う外フラップと、から構成され、
前記挿入空間は、前記内フラップと前記外フラップとの間に規定され、
前記底面は平滑であって、前記挿入空間に前記開封具が挿入されたとき、前記内フラップと当接又は対向することを特徴とする請求項2に記載の開封装置。
【請求項4】
前記箱体を保持して搬送する搬送部と、
前記開封具を前記挿入空間に対向する位置に保持する保持部と、をさらに有し、
前記開封具は、前記保持部によって前記挿入空間に対向する位置で保持された状態で前記箱体が搬送部によって搬送されることにより、前記挿入空間に挿入されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の開封装置。
【請求項5】
前記箱体を固定する固定部をさらに有し、
前記開封具は、前記挿入空間と対向する位置に配置された後、前記所定方向に移動することにより前記挿入空間に挿入されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の開封装置。
【請求項6】
フラップを備え、前記フラップを閉じるためにテープ材が所定方向に貼付された箱体を開梱する開梱方法であって、
前記フラップによって閉じられているフラップ面において、前記フラップ面と前記箱体の側面とに跨って貼付される前記テープ材を切断するステップと、
吸着方向に移動して前記フラップ面に吸着し、前記吸着方向と反対に移動して前記フラップ面を持ち上げることにより前記フラップ面と前記側面とを離間させることにより挿入空間を形成するステップと、
前記フラップ面において、形成された前記挿入空間に前記所定方向に開封具を挿入するステップと、を有することを特徴とする開封方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は開梱装置及び開梱方法に関し、特にフラップを有する箱体を開梱する開梱装置及び開梱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、外フラップがテープ材で張り合わされた段ボールを開梱可能な段ボール箱開梱システムが知られている(特許文献1)。段ボール箱開梱システムは、コンベアによって運ばれた段ボールの底面のテープ材をカッター装置で切断し、底面オープン装置が底面外フラップを開くことにより、段ボールの内容物がトレーに落下する。
【0003】
段ボールの直下にトレーが位置しているため、段ボールの内容物を自動的にトレーに移すことができるとともに、手作業で開梱する場合と比較して効率やコスト、システムスペースについて大幅な利点を有している。
【0004】
他に、フラップを有する箱体を開梱する開梱システム及び開梱方法が知られている(特許文献2)。開梱システムは、フラップが閉じた状態でフラップが互いに近接する近接領域を切り、各フラップを90°以上に開き、フラップの基端を箱体の側面に沿って切断することにより、箱体を開梱する。フラップが90°以上開いた状態で切断されるため、確実にフラップを切断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6647369号
【特許文献2】特開2021-46228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の段ボール箱開梱システムでは、カッター装置で底面のテープ材を切断するため、切断時に切断刃で内容物を損傷してしまう恐れがあった。粉体や粘性流体、液体等を袋体で収容している段ボールは、僅かに傷が付いただけでも内容物が漏れ出てしまうとともに中身も劣化してしまうため、内容物の損傷による損害が大きかった。
【0007】
テープ材に替えてホットメルト等の接着剤によって外フラップと内フラップが固定されている場合は、テープ材のみを切断して開梱することができない。このとき、箱体の側面を上方から見て略コ字状にカッターで切断してロボットアームでフラップを吸引して持ち上げることにより開き、内容物を取り出す。この方法では、箱体の側面をカッターで切断するとき、カッターにより内容物を傷つけることがあった。
【0008】
図15及び図16に示すように、フラップ面10Aにおいて外フラップ11と内フラップ12とがテープ材13によって略I字状に固定されている段ボール10を開梱するとき、図16に示すように、段ボール10の外フラップ11及び内フラップ12を切断部103によって上から見て一点鎖線で示す切断線Cに沿って略H字状にカットする。詳細には、内フラップ12の稜線をそれぞれ全幅にカットし、テープ材13の略中央であって外フラップ11の端面部分を全幅にカットする。このとき、切断刃131の突出量が段ボール10の厚みよりも短く設定されている場合であっても、段ボール10の歪みにより部分的に潰れて薄くなっていることがある。そうすると、切断刃13の突出量が段ボール10より短いにも関わらず、拡大図の星マークで示すように、切断刃131と内容物20とが接触して袋が損傷するという問題が起こっていた。また、内容物20が段ボール10の隅々まで充填されている場合にも、同様のトラブルが起きていた。
【0009】
特許文献2に記載の開梱システムにおいても同様に、函本体が歪んでいることにより、フラップ面の中央部分をマルチカッターで切断する際に内容物を傷つける可能性があった。
【0010】
そこで、本発明はフラップを有する箱体を開梱する開梱装置及び開梱方法において、段ボールの内容物の損傷を抑制することができる開梱装置及び開梱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために第1の発明は、フラップを備え、前記フラップを閉じるためにテープ材が所定方向に貼付された箱体を開梱する開梱装置であって、前記フラップによって閉じられているフラップ面において、前記フラップ面と前記箱体の側面とに跨って貼付される前記テープ材を切断する切断部と、吸着方向に移動して前記フラップ面に吸着し、前記吸着方向と反対の離反方向に移動して前記フラップを持ち上げることにより前記フラップ面と前記側面とを離間させ、前記フラップ面と前記側面との間に挿入空間を形成する吸着部と、前記フラップ面において、前記挿入空間に前記所定方向に挿入され前記フラップの内側に前記離反方向から当接する開封具と、を有することを特徴とする開梱装置を提供している。
【0012】
第2の発明は、第1の発明の開梱装置であって、前記開封具は、前記所定方向に対して下方に傾斜している尖り部と、前記フラップ面と平行な底面と、を有し、前記尖り部は、前記挿入空間に挿入されたとき、前記フラップが互いに対向している箇所において前記離反方向から前記フラップの内側に当接することを特徴としている。
【0013】
第3の発明は、第2の発明の開梱装置であって、前記フラップは、内フラップと、前記内フラップを覆う外フラップと、から構成され、前記挿入空間は、前記内フラップと前記外フラップとの間に規定され、前記底面は平滑であって、前記挿入空間に前記開封具が挿入されたとき、前記内フラップと当接又は対向することを特徴としている。
【0014】
第4の発明は、第1の発明のから第3の発明のいずれかの開梱装置であって、前記箱体を保持して搬送する搬送部と、前記開封具を前記挿入空間に対向する位置に保持する保持部と、をさらに有し、前記開封具は、前記保持部によって前記挿入空間に対向する位置で保持された状態で前記箱体が搬送部によって搬送されることにより、前記挿入空間に挿入されることを特徴としている。
【0015】
第5の発明は、第1の発明のから第3の発明のいずれかの開梱装置であって、前記箱体を固定する固定部をさらに有し、前記開封具は、前記挿入空間と対向する位置に配置された後、前記所定方向に移動することにより前記挿入空間に挿入されることを特徴としている。
【0016】
第6の発明は、フラップを備え、前記フラップを閉じるためにテープ材が所定方向に貼付された箱体を開梱する開梱方法であって、前記フラップによって閉じられているフラップ面において、前記フラップ面と前記箱体の側面とに跨って貼付される前記テープ材を切断するステップと、吸着方向に移動して前記フラップ面に吸着し、前記吸着方向と反対に移動して前記フラップ面を持ち上げることにより前記フラップ面と前記側面とを離間させることにより挿入空間を形成するステップと、前記フラップ面において、形成された前記挿入空間に前記所定方向に開封具を挿入するステップと、を有することを特徴とする開封方法を提供している。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によると、開封具が挿入空間に挿入されることにより開封具がフラップに内側から当接するため、開封具がフラップの内側から押し上げるようにテープ材を切断する。これにより、開封具が箱体の内容物と接触して内容物が漏洩することを抑制することができる。また、吸着部でフラップ面を離反方向に持ち上げフラップ面と側面との間に挿入空間を形成するため、開封具をフラップ面と内容物との間に容易に挿入することができる。
【0018】
さらに、開封具が挿入空間にテープ材が貼付されている所定方向に挿入されるため、開封具が所定方向に沿ってフラップの内側から当接しつつ移動することによりテープ材を切断することができる。これにより、刃物をフラップ面の上方から押し当ててテープ材を切断する場合と比較すると、内容物の漏洩することを抑制することができる。
【0019】
第2の発明によると、開封具は所定方向に対して下方に傾斜する尖り部を有しているため、箱体または開封具が所定方向に移動することにより開封具でテープ材を切断して箱体を開封することができる。また、先端が尖った尖り部を挿入空間に挿入するため、開封具をフラップ面と内容物との間に容易に挿入することができる。さらに、開封具はフラップ面と平行な底面を有しているため、開封具が挿入空間に挿入された際に開封具で内容物が損傷することを抑制できる。また、尖り部がフラップ内側から当接するため、箱体または開封具が所定方向に移動することにより開封具でテープ材を切断して箱体を開封することができる。
【0020】
第3の発明によると、開封具が挿入空間に挿入されたとき平滑な底面が内フラップと当接又は対向するため、開封具が挿入空間に挿入された際に開封具で内フラップが損傷することを抑制できる。これにより、開封具の挿入による内容物の損傷を抑制することができる。
【0021】
第4の発明によると、搬送部によって搬送された箱体の挿入空間に保持部によって保持された開封具が挿入されるため、開封具によってフラップのテープ材を内側から切断し箱体を開封することができる。また、保持部が開封具を挿入空間に対向する位置に保持した状態で搬送部が箱体を搬送するため、高い開封具の位置決め精度が要求されない。これにより、簡易な構造で開封具を挿入空間に挿入することができる。
【0022】
第5の発明によると、固定部によって固定された箱体の挿入空間に開封具が所定方向に移動して挿入されるため、開封具によってフラップのテープ材を内側から切断し箱体を開封することができる。
【0023】
第6の発明によると、開封具が挿入空間に挿入されることにより開封具がフラップに内側から当接するため、開封具がフラップの内側から押し上げるようにテープ材を切断する。これにより、開封具が内容物と接触して内容物が漏洩することを抑制することができる。また、フラップ面を離反方向に持ち上げフラップ面と側面との間に挿入空間を形成するため、開封具をフラップ面と内容物との間に容易に挿入することができる。さらに、開封具が挿入空間にテープ材が貼付されている所定方向に挿入されるため、開封具が所定方向に沿ってフラップの内側から当接しつつ移動することによりテープ材を切断することができる。これにより、刃物をフラップ面の上方から押し当ててテープ材を切断する場合と比較すると、内容物の漏洩することを抑制することができる。
【0024】
上述の発明によると、フラップを有する箱体を開梱する開梱装置及び開梱方法において、段ボールの内容物の損傷を抑制することができる開梱装置及び開梱方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1の実施の形態による開梱装置の平面図。
図2】本発明の第1の実施の形態による開梱装置で開梱される段ボールであって、図2(a)は段ボールの切断箇所を示す斜視図、図2(b)は外フラップが吸着されたときの段ボールの斜視図。
図3】本発明の第1の実施の形態による開梱装置の第2開封部に段ボールが位置した時の側面図。
図4】本発明の第1の実施の形態による開梱装置の第2開封部に段ボールが位置した時の平面図。
図5】本発明の第1の実施の形態による開梱装置の開封具であって、図7(a)は開封具の斜視図、図7(b)は開封具の側面図、図7(c)は開封具の底面図。
図6】本発明の第1の実施の形態による開梱装置の回転部の正面図。
図7】本発明の第1の実施の形態による開梱装置のフローチャート。
図8】本発明の第1の実施の形態による開梱装置の第2開封部で吸着部が外フラップを吸着したときの側面図。
図9】本発明の第1の実施の形態による開梱装置の外フラップが吸着されたときの段ボールと開封具との位置関係を示す図。
図10】本発明の第1の実施の形態による開梱装置の第2開封部において段ボールが前方に搬送されている状態を示す側面図。
図11】本発明の第1の実施の形態による開梱装置の図10の状態からさらに段ボールが搬送された状態を示す側面図。
図12】本発明の第2の実施の形態による開梱装置の平面図。
図13】本発明の第2の実施の形態による開梱装置の開封具が後方に移動した状態を示す平面図。
図14】本発明の変形例による開梱装置の開封具の斜視図。
図15】従来の開梱装置の切断部で段ボールを開梱するときの断面図及び部分拡大図。
図16】従来の開梱装置の切断部で段ボールを開梱するときの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の第1の実施の形態による開梱装置1を図1から図11に基づき説明する。図中に示すように、上下前後左右方向を定義する。開梱装置1は、図2に示す段ボール10を開梱して内容物20を取り出す。段ボール10は、外フラップ11と、内フラップ12と、を有し、上面であるフラップ面10Aがテープ材13で封止される。詳細には、テープ材13は、段ボール10のフラップ面10Aと前面及び後面とに跨るように貼付される。開梱装置1は、内容物20を梱包する段ボール10の外フラップ11及び内フラップ12が設けられたフラップ面10Aを下側からテープ材13を切断するように開け、段ボール10を回転させることによって内容物20を取り出す。段ボール10は本発明の箱体の一例であって、外フラップ11及び内フラップ12は本発明のフラップの一例である。
【0027】
開梱装置1は、図1に示すように、第1開封装置2と、位置決め装置3と、第2開封装置4と、回転装置5と、取出装置6と、から構成される。段ボール10は、第1開封装置2で側面のテープ材13を切断し、位置決め装置3で左右方向の位置を調整し、第2開封装置4でフラップ面10Aのテープ材13を開き、回転装置5で段ボール10を180°回転させ、取出装置6で段ボール10から内容物20を取り出す。
【0028】
段ボール10は、図2(a)に示すように、固定されているテープ材13が略I字状に貼付されていてもよく、テープ材13が前後の稜線に全幅に亘って貼付されていてもよく、テープ材13に替えて外フラップ11の突合せ箇所がホッチキス等の金具で係止されていてもよい。開梱装置1は、フラップ面10Aが側面又は底面に位置している段ボール10であっても、前処理でフラップ面10Aが上側に向くよう回転させる等の前処理を行うことで開梱可能である。
【0029】
段ボール10は本発明の箱体の一例であるが、これに限定されず、樹脂製、木材、セラミック等の他の素材で形成された箱体にも適用することができる。本実施の形態では、段ボール10に梱包された内容物20は、内袋に入れられた流体、粉体、粒状体、粘性体状の食品、飼料、材料であるが、これに限定されず他の任意の内容物であってもよい。
【0030】
第1開封装置2は、ロボットアーム21と、挟持部22と、制御盤23と、から構成される。ロボットアーム21は6軸の垂直多関節ロボットであって、ロボットハンド部24に設けられた回転式のカッター21Aでテープ材13を切断する。挟持部22は、左右方向に移動する一対の押圧部25で段ボール10を挟持して固定する。制御盤23はロボットアーム21に接続され、図示せぬ3Dカメラによって段ボール10が撮影され、AIの画像解析によって段ボール10の形状、テープ材13の有無、テープ材13の位置、材質等を特定する。これらの情報は制御盤23からロボットアーム21に入力され、当該情報に基づいてカッター21Aで段ボール10の前後の側面とフラップ面10Aとに跨って貼付されたテープ材13の切断を行う。本実施の形態では、段ボール10の側面のテープ材13を切断するためにロボットアーム21を用いたが、これに限定されず、シリンダ及びピストン等の機構を組み合わせることにより構成してもよい。カッター21Aは、本発明の切断部の一例である。
【0031】
位置決め装置3は、図4に示すように、左右方向に移動可能な移動ベルト31と、移動ベルト31の位置調整を行う移動ユニット32と、を有している。移動ユニット32の稼働によって、移動ベルト31上に位置する段ボール10の左右方向の位置が微調整される。
【0032】
第2開封装置4は外フラップ11の内側から上方に向けてテープ材13を切断する装置であって、搬送部41と、吸着部42と、開封具43と、補助シリンダ44と、移動ユニット45と、を有している。搬送部41は、図4に示すように、間隔を隔てて設置された一対の回転ローラ46と、一対の回転ローラ46に跨って張架されたベルト47と、を有している。搬送部41は左右方向に移動可能であって、段ボール10を左右方向から挟持する。回転ローラ46が時計回りに回転することによって内側のベルト47が前方に移動し、挟持された段ボール10が前方に搬送される。
【0033】
図3に示すように、吸着部42は、伸縮部48と、吸着パッド49と、を有しており、図示せぬブロワーに接続されている。伸縮部48は上下方向に伸縮可能であって、下端に吸着パッド49が設けられている。吸着パッド49は図示せぬブロワーと接続されていて、段ボール10に吸着し上方に移動することにより、図2(b)の矢印に示すように外フラップ11を上方に持ち上げることができる。これにより、斜線で示す挿入空間10aが、外フラップ11と内フラップ12との間に形成される。換言すると、挿入空間10aは、段ボール10の側面である前面とフラップ面10Aとが離間することにより、側面とフラップ面10Aとの間に形成される。下方向は本発明の吸着方向の一例であって、上方向は本発明の離反方向の一例である。
【0034】
開封具43は、吸着部42の前方であって補助シリンダ44と略同一の高さに配置される。開封具43は、図5(a)から図5(c)に示すように略三角錐形状であって、尖り部43Aと、底面43Bと、尖り部に接続される支持部43Cと、を有している。尖り部43Aは、後方に向かうにつれて尖る三角錐形状をなし、底面43Bの反対側の三角錐の辺である当接部43Dを有している。当接部43Dは鋭角であって、後方に向かうにつれて下方に傾斜している。尖り部43A及び当接部43Dが内側から外フラップ11又はテープ材13と接触して外フラップ11を押し上げることにより、テープ材13を破断させる。図5(b)及び図5(c)に示すように、底面43Bは平滑な面であって尖り部43Aと支持部43Cとが段差無く接続される。支持部43Cが移動ユニット45のフレーム45Aに支持されることで、開封具43が移動ユニット45に保持される。前後方向は、本発明の所定方向の一例である。
【0035】
補助シリンダ44は、搬送部41に挟持された段ボール10の後方に配置され、後述のフレーム45Aに支持されている。補助シリンダ44は、後方から段ボール10を押圧することにより、搬送部41の段ボール10の前方への搬送を補助する。
【0036】
移動ユニット45は、吸着部42と、開封具43と、補助シリンダ44と、を一体的に保持するフレーム45Aと、LMガイド45Bを有している。フレーム45Aは、図示せぬモータによってLMガイド45Bで案内されることで、上下方向に移動する。これにより、吸着部42、開封具43、及び補助シリンダ44が適正に位置決めされる。移動ユニット45及びフレーム45Aは、本発明の保持部の一例である。
【0037】
回転装置5は、図6に示すように、挟持ユニット51と、駆動部52と、回転フレーム53と、支持フレーム54と、ガイド55と、を有している。挟持ユニット51は上下方向から段ボール10を挟むように構成され、支え部56と、可動部57と、を有している。回転装置5では、支え部56上に載置された段ボール10を、下降してきた可動部57が上から挟み固定する。駆動部52は、支持フレーム54に回動可能に支持された回転フレーム53を時計回り方向に180°回転させる。このとき、ガイド55が回転フレーム53の回転を案内する。
【0038】
取出装置6は、回転装置5によって180°回転されて開封されたフラップ面10Aが底面の状態で搬送されてきた段ボール10を左右方向から挟持して持ち上げることにより、内容物20を取り出す。内容物20はコンベヤによって次工程に運搬され、段ボール10は廃棄処理のプロセスに進む。
【0039】
次に、開梱装置1が段ボール10を開梱するプロセスについて説明する。
【0040】
上流工程からコンベヤによって搬送された段ボール10は、第1開封装置2に位置し、挟持部22で挟持されることにより所定の位置で固定され、3Dカメラによって形状が認識される。制御盤23の信号に基づいて、ロボットアーム21は、図2(a)に一点鎖線で示す切断線Lに沿って左右方向に延びる前後の稜線を全幅で切断することにより、前後の側面とフラップ面10Aとに跨ったテープ材13を切断する(図7のS1)。このとき、カッター21Aの突出量が段ボール10の厚さより短いため、カッター刃での内容物20の損傷を抑制できる。ロボットアーム21が全幅でテープ材13を切断することにより、テープ材13が略H字状に貼付されていた場合であっても切断することができる。
【0041】
側面のテープ材13が切断された段ボール10は、コンベヤによって位置決め装置3に運ばれて移動ベルト31上に位置し、移動ユニット32によって左右方向の位置が調整される(図7のS2)。
【0042】
位置が調整された段ボール10は、コンベヤによって第2開封装置4に運ばれ、図4に示すように、搬送部41によって左右方向から挟持される。このときの搬送部41の左右方向の移動量は、制御盤23からの信号に基づき決定される。この状態で、移動ユニット45がフレーム45Aを下方に移動させ、図8に示すように、開封具43を段ボール10の上端近傍に配置する(図7のS3)。吸着部42は、ブロワーが稼働した状態で、伸縮部48を伸ばして吸着パッド49をフラップ面10Aに吸着させ、伸縮部48を縮ませる(図7のS4)。これにより、図2(b)及び図9に示すように、外フラップ11と内フラップ12との間に斜線で示す正面視略三角形状の挿入空間10aが規定される。このとき、前方から見て尖り部43Aの先端が挿入空間10aと重複する位置となる。換言すると、移動ユニット45は、尖り部43Aの先端が側面視において挿入空間10aと間隔を空けて対向するようにフレーム45Aを位置決めする。
【0043】
補助シリンダ44が伸びて段ボール10を後方から押圧するとともに、回転ローラ46の回転によりベルト47が段ボール10を前方に搬送する(図7のS5)。図10に示すように、開封具43の尖り部43Aが前方に向かうにつれて斜め上方に傾斜しているため、段ボール10が前方に進むにつれて開封具43が挿入空間10aに侵入し、当接部43Dが外フラップ11を止めるテープ材13を下側から突き上げるようにして破る。このとき、当接部43Dの少なくとも一部が外フラップ11又はテープ材13の粘着面の少なくとも一方に当接し、底面43Bは内フラップ12と対向又は当接している。段ボール10の前方への搬送を開始してから所定時間経過後、吸着部42のブロワーが停止して伸縮部48が縮み吸着パッド49と段ボール10とが離間する。当該所定時間は、尖り部43Aが挿入空間10aに完全に侵入した程度に設定されることが望ましい。
【0044】
図11に示すように、側面視において開封具43が段ボール10の略中央に位置すると、外フラップ11を固定していたテープ材13が完全に破れ、外フラップ11が開く。搬送部41が完全に段ボール10を送り出した後、補助シリンダ44が初期位置に戻るとともに移動ユニット45が上昇して図3に示す状態となる。
【0045】
外フラップ11が開いた段ボール10は、コンベヤによって回転装置5に運ばれる。支え部56が下降して可動部57と共に段ボール10を挟持し、駆動部52によって回転フレーム53が回転し、段ボール10が180°回転する(図7のS6)。図示せぬ調整機構によって、支え部56の高さがコンベヤと一致するように調整される。反転した段ボール10は、コンベヤによって取出装置6に運ばれ、段ボール10が保持されて上方に持ち上げられ、段ボール10と内容物20とが分離する。内容物20はコンベヤによって次工程に搬送され、段ボール10は廃棄処分のプロセスに進む。
【0046】
このような構成によると、開封具43が挿入空間10aに挿入されることにより開封具43が外フラップ11に内側から当接するため、開封具43が外フラップ11の内側から押し上げるようにテープ材13を切断する。これにより、開封具43が内容物20と接触して内容物20が漏洩することを抑制することができる。また、吸着部42で外フラップ11を上方向に持ち上げフラップ面10Aと段ボール10の側面との間に挿入空間10aを形成するため、開封具43をフラップ面10Aと内容物20との間に容易に挿入することができる。
【0047】
さらに、開封具43が挿入空間10aにテープ材13が貼付されている前後方向に挿入されるため、開封具43が前後方向に沿って外フラップ11の内側から当接しつつ移動することによりテープ材13を切断することができる。これにより、刃物をフラップ面10Aの上方から押し当ててテープ材13を切断する場合と比較すると、内容物20の漏洩することを抑制することができる。
【0048】
このような構成によると、開封具43は前後方向に対して下方に傾斜する尖り部43Dを有しているため、段ボール10または開封具43が前後方向に移動することにより開封具43でテープ材13を切断して段ボール10を開封することができる。また、先端が尖った尖り部43Dを挿入空間10aに挿入するため、開封具43をフラップ面10Aと内容物20との間に容易に挿入することができる。さらに、開封具43はフラップ面10Aと平行な底面43Bを有しているため、開封具43が挿入空間10aに挿入された際に開封具43で内容物20が損傷することを抑制できる。また、尖り部43Dが外フラップ11内側から当接するため、段ボール10または開封具43が前後方向に移動することにより開封具43でテープ材13を切断して段ボール10を開封することができる。
【0049】
このような構成によると、開封具43が挿入空間10aに挿入されたとき平滑な底面43Bが内フラップ12と当接又は対向するため、開封具43が挿入空間10aに挿入された際に開封具43で内フラップ12が損傷することを抑制できる。これにより、開封具43の挿入による内容物20の損傷を抑制することができる。
【0050】
このような構成によると、搬送部41によって搬送された段ボール10の挿入空間10aに移動ユニット45によって保持された開封具43が挿入されるため、開封具43によって外フラップ11のテープ材13を内側から切断し段ボール10を開封することができる。また、移動ユニット45が開封具43を挿入空間10aに対向する位置に保持した状態で搬送部41が段ボール10を搬送するため、高い開封具43の位置決め精度が要求されない。これにより、簡易な構造で開封具43を挿入空間10aに挿入することができる。
【0051】
次に、第2の実施の形態について、図12及び図13を参照して説明する。上述の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
第2の実施の形態の開梱装置101の第2開封装置104は、左右方向から段ボール10を挟んで保持する固定部105を有している。第2開封装置104に搬送された段ボール10は、固定部105によって左右方向から固定され、図示せぬストッパが段ボール10の後方に当接することにより、後退できなくなる。吸着部42は、ブロワーが稼働した状態で、伸縮部48を伸ばして吸着パッド49をフラップ面10Aに吸着させ、伸縮部48を縮ませることにより、外フラップ11と内フラップ12との間に挿入空間10aを形成する。このとき、前方から見て開封具43の先端が挿入空間10aと重複する位置となる。
【0053】
図13に示すように、段ボール10が固定された状態で開封具43が後方に移動して挿入空間10aに侵入する。開封具43の尖り部43Aが前方に向かうにつれて斜め上方に傾斜しているため、段ボール10が進むにつれて開封具43が挿入空間10aに侵入し、当接部43Dが外フラップ11を止めるテープ材13を下側から突き上げるようにして破る。このとき、当接部43Dの少なくとも一部が外フラップ11又はテープ材13の粘着面の少なくとも一方に当接し、底面43Bは内フラップ12と対向又は当接している。段ボール10の前方への搬送を開始してから所定時間経過後、吸着部42のブロワーが停止して伸縮部48が縮み吸着パッド49と段ボール10とが離間する。当該所定時間は、尖り部43Aが挿入空間10aに完全に侵入している程度に設定されることが望ましい。開封具43が段ボール10の略中央に位置すると、外フラップ11を固定していたテープ材13が完全に破れ、外フラップ11が開く。固定部105が幅方向外方に移動して段ボール10の固定を解除し、段ボール10は回転装置5に搬送される。
【0054】
このような構成によると、固定部105によって固定された段ボール10の挿入空間10aに開封具43が挿入されるため、開封具43によって外フラップ11のテープ材13を内側から切断し段ボール10を開封することができる。
【0055】
本発明による開梱装置及び開梱方法は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0056】
上述の実施の形態では、回転装置5で段ボール10を反転させて内容物20を段ボール10から取り出したが、これに限定されない。例えば、段ボール10を90°回転させて底面から押圧することにより内容物20を段ボール10から取り出してもよい。
【0057】
上述の実施の形態では、開封具43に鋭角の当接部43Dが設けられていたが、これに限定されない。例えば、図14に示すように、尖り部43Aの上側の辺にカッター刃143Aが設けられていてもよい。これにより、効果的にテープ材13を下側から切断して外フラップ11を開封することができる。
【0058】
上述の実施の形態では、ロボットアーム21にカッター21Aが設けられていたが、これに限定されない。例えば、エアシリンダや油圧シリンダ等のアクチュエータを組み合わせることにより、実施の形態の動作をすることによってロボットアームと同様の動きを実現し、段ボールを開梱する開梱装置であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1、101 開梱装置
2 第1開封装置
3 位置決め装置
4 第2開封装置
5 回転装置
6 取出装置
10 段ボール
11 外フラップ
12 内フラップ
13 テープ材
41 搬送部
42 吸着部
43 開封具
43A 尖り部
43B 底面
43D 当接部
46 回転ローラ
47 ベルト
105 固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16