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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046374
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】電子機器、プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 33/12 20060101AFI20240327BHJP
   A61B 5/026 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
A61H33/12 P
A61B5/026 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151713
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 利彦
(72)【発明者】
【氏名】冨田 高弘
【テーマコード(参考)】
4C017
4C094
【Fターム(参考)】
4C017AA10
4C017AA11
4C017AB07
4C017AC28
4C017BB12
4C017BC11
4C017BC21
4C017BC28
4C017BD04
4C017DD14
4C094AA04
4C094DD09
4C094EE03
4C094FF18
4C094GG03
(57)【要約】
【課題】本発明の一態様の目的は、再度の施術を適切に行える電子機器、プログラム及び方法を提供することである。
【解決手段】ミスト浴装置1は、プロセッサー31を備える。プロセッサー31は、施術前の施術対象物が映った第1映像から得られた、前記施術対象物の複数の施術領域の各々の第1血流状態評価指標と、前記施術が施された前記施術対象物が映った第2映像から得られた、前記施術領域の各々の第2血流状態評価指標と、の比較結果に基づいて、前記施術領域ごとに前記施術の終了後の再施術の要否を決定することによって、前記複数の施術領域の中から前記再施術を施す再施術領域を選択する処理を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施術が施される前の施術対象物が映った映像である第1映像から得られた、前記施術対象物の互いに異なる複数の施術領域の各々の血流状態を表す指標である第1血流状態評価指標と、前記施術が施された状態の前記施術対象物が映った映像である第2映像から得られた、前記施術領域の各々の血流状態を表す指標である第2血流状態評価指標と、の比較結果に基づいて、前記施術領域ごとに前記施術の終了後の再施術の要否を決定することによって、前記複数の施術領域の中から前記再施術を施す再施術領域を選択する処理部、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記処理部は、前記施術領域のうち、前記第1血流状態評価指標に対する前記第2血流状態評価指標の比率が所定閾値以下となる領域を前記再施術領域として選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1血流状態評価指標は、前記第1映像における前記施術対象物の前記施術領域ごとに算出された前記施術領域内の所定の色の階調値の振幅または時間平均に基づく指標であり、
前記第2血流状態評価指標は、前記第2映像の前記施術対象物の前記施術領域ごとに算出された前記施術領域内の所定の色の階調値の振幅または時間平均に基づく指標である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記施術及び前記再施術は、前記施術対象物の血行を促進するためのミスト浴である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記処理部は、前記第1血流状態評価指標と前記第2血流状態評価指標との比較結果に基づいて、前記再施術におけるミストの温度と浴時間との少なくとも一方を設定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
血行促進のためのミスト浴が施される前の施術対象物が映った映像である第1映像から得られた前記施術対象物の自律神経の状態を表す第1自律神経系指標と、前記ミスト浴が施された状態の前記施術対象物が映った映像である第2映像から得られた前記施術対象物の自律神経の状態を表す第2自律神経系指標と、の比較結果に基づいて、前記ミスト浴の終了後の再ミスト浴におけるミストの温度および浴時間の少なくとも一方を設定する処理部、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
前記第1自律神経系指標は、前記第1映像における前記施術対象物の互いに異なる複数の施術領域のうち少なくとも一つの領域である特定施術領域について算出された前記特定施術領域内の所定の色の階調値の脈拍数、高低周波成分パワー比率又は脈波間隔変動係数に基づく指標であり、
前記第2自律神経系指標は、前記第2映像における前記施術対象物の前記施術領域のうち少なくとも一つの領域である特定施術領域について算出された前記特定施術領域内の所定の色の階調値の脈拍数、高低周波成分パワー比率又は脈波間隔変動係数に基づく指標である、
ことを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
施術が施される前の施術対象物が映った映像である第1映像から得られた、前記施術対象物の互いに異なる複数の施術領域の各々の血流状態を表す指標である第1血流状態評価指標と、前記施術が施された状態の前記施術対象物が映った映像である第2映像から得られた、前記施術領域の各々の血流状態を表す指標である第2血流状態評価指標と、の比較結果に基づいて、前記施術領域ごとに前記施術の終了後の再施術の要否を決定することによって、前記複数の施術領域の中から前記再施術を施す再施術領域を選択する処理
を処理部に実行させるプログラム。
【請求項9】
血行促進のためのミスト浴が施される前の施術対象物が映った映像である第1映像から得られた前記施術対象物の自律神経の状態を表す第1自律神経系指標と、前記ミスト浴が施された状態の前記施術対象物が映った映像である第2映像から得られた前記施術対象物の自律神経の状態を表す第2自律神経系指標と、の比較結果に基づいて、前記ミスト浴の終了後の再ミスト浴におけるミストの温度および浴時間の少なくとも一方を設定する処理
を処理部に実行させるプログラム。
【請求項10】
処理部が、
施術が施される前の施術対象物が映った映像である第1映像から得られた、前記施術対象物の互いに異なる複数の施術領域の各々の血流状態を表す指標である第1血流状態評価指標と、前記施術が施された状態の前記施術対象物が映った映像である第2映像から得られた、前記施術領域の各々の血流状態を表す指標である第2血流状態評価指標と、の比較結果に基づいて、前記施術領域ごとに前記施術の終了後の再施術の要否を決定することによって、前記複数の施術領域の中から前記再施術を施す再施術領域を選択する処理
を実行する方法。
【請求項11】
処理部が、
血行促進のためのミスト浴が施される前の施術対象物が映った映像である第1映像から得られた前記施術対象物の自律神経の状態を表す第1自律神経系指標と、前記ミスト浴が施された状態の前記施術対象物が映った映像である第2映像から得られた前記施術対象物の自律神経の状態を表す第2自律神経系指標と、の比較結果に基づいて、前記ミスト浴の終了後の再ミスト浴におけるミストの温度および浴時間の少なくとも一方を設定する処理
を実行する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、プログラム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、温ミストを使用者の顔面に浴びせて、使用者の皮膚の血行を促進したり使用者を精神的にリラックスさせたりするという施術効果が生じさせる美容装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-186009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の技術は、該施術効果の程度または該施術効果が得られた施術領域を客観的に把握することができないため、例えば、使用者が再度の温ミストを浴びた場合に、温ミストを適切に浴びせることができないおそれがある。
このようなおそれは、温ミスト以外の他の施術についても同様に当てはまる。
そこで、本発明の少なくとも一の態様は上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の少なくとも一の態様の目的は、再度の施術を適切に行える電子機器、プログラム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、施術が施される前の施術対象物が映った映像である第1映像から得られた、前記施術対象物の互いに異なる複数の施術領域の各々の血流状態を表す指標である第1血流状態評価指標と、前記施術が施された状態の前記施術対象物が映った映像である第2映像から得られた、前記施術領域の各々の血流状態を表す指標である第2血流状態評価指標と、の比較結果に基づいて、前記施術領域ごとに前記施術の終了後の再施術の要否を決定することによって、前記複数の施術領域の中から前記再施術を施す再施術領域を選択する処理部、
を備えることを特徴とする電子機器が提供される。
【0006】
本発明の一態様によれば、血行促進のためのミスト浴が施される前の施術対象物が映った映像である第1映像から得られた前記施術対象物の自律神経の状態を表す第1自律神経系指標と、前記ミスト浴が施された状態の前記施術対象物が映った映像である第2映像から得られた前記施術対象物の自律神経の状態を表す第2自律神経系指標と、の比較結果に基づいて、前記ミスト浴の終了後の再ミスト浴におけるミストの温度および浴時間の少なくとも一方を設定する処理部、
を備えることを特徴とする電子機器が提供される。
【0007】
本発明の一態様によれば、施術が施される前の施術対象物が映った映像である第1映像から得られた、前記施術対象物の互いに異なる複数の施術領域の各々の血流状態を表す指標である第1血流状態評価指標と、前記施術が施された状態の前記施術対象物が映った映像である第2映像から得られた、前記施術領域の各々の血流状態を表す指標である第2血流状態評価指標と、の比較結果に基づいて、前記施術領域ごとに前記施術の終了後の再施術の要否を決定することによって、前記複数の施術領域の中から前記再施術を施す再施術領域を選択する処理を処理部に実行させるプログラムが提供される。
【0008】
本発明の一態様によれば、血行促進のためのミスト浴が施される前の施術対象物が映った映像である第1映像から得られた前記施術対象物の自律神経の状態を表す第1自律神経系指標と、前記ミスト浴が施された状態の前記施術対象物が映った映像である第2映像から得られた前記施術対象物の自律神経の状態を表す第2自律神経系指標と、の比較結果に基づいて、前記ミスト浴の終了後の再ミスト浴におけるミストの温度および浴時間の少なくとも一方を設定する処理を処理部に実行させるプログラムが提供される。
【0009】
本発明の一態様によれば、処理部が、施術が施される前の施術対象物が映った映像である第1映像から得られた、前記施術対象物の互いに異なる複数の施術領域の各々の血流状態を表す指標である第1血流状態評価指標と、前記施術が施された状態の前記施術対象物が映った映像である第2映像から得られた、前記施術領域の各々の血流状態を表す指標である第2血流状態評価指標と、の比較結果に基づいて、前記施術領域ごとに前記施術の終了後の再施術の要否を決定することによって、前記複数の施術領域の中から前記再施術を施す再施術領域を選択する処理を実行する方法が提供される。
【0010】
本発明の一態様によれば、処理部が、血行促進のためのミスト浴が施される前の施術対象物が映った映像である第1映像から得られた前記施術対象物の自律神経の状態を表す第1自律神経系指標と、前記ミスト浴が施された状態の前記施術対象物が映った映像である第2映像から得られた前記施術対象物の自律神経の状態を表す第2自律神経系指標と、の比較結果に基づいて、前記ミスト浴の終了後の再ミスト浴におけるミストの温度および浴時間の少なくとも一方を設定する処理を実行する方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
上記の各態様によれば、例えば、再度の温ミスト浴等の再施術が効率的に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第一実施形態における電子機器としてのミスト浴装置の外観を示す。
図2図2は、前記ミスト浴装置のハードウェアの構成を示す。
図3図3は、前記ミスト浴装置のプロセッサーが実行する処理の流れを示す。
図4図4は、第一実施形態において前記プロセッサーが実行する処理の流れを示す。
図5図5は、第一実施形態において前記プロセッサーが実行する処理の流れを示す。
図6図6は、第一実施形態において前記プロセッサーが実行する処理の流れを示す。
図7図7は、第一実施形態において前記プロセッサーが実行する処理の流れを示す。
図8図8は、前記ミスト浴装置の撮像装置が撮像する画像の一例を示す。
図9図9は、前記プロセッサーが映像から抽出した時系列データを示す。
図10図10は、前記時系列データがバンドパス処理されることによって得られた時系列データを示す。
図11図11は、第二実施形態において前記プロセッサーが実行する処理の流れを示す。
図12図12は、第二実施形態において前記プロセッサーが実行する処理の流れを示す。
図13図13は、第二実施形態において前記プロセッサーが実行する処理の流れを示す。
図14図14は、第二実施形態において前記プロセッサーが実行する処理の流れを示す。
図15図15は、第二実施形態において前記プロセッサーが実行する処理の流れを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。ただし、本発明の範囲は、以下に開示された実施形態に限定されない。図面は例示のみのために提供されるため、本発明の範囲は図面の例示に限定されない。
【0014】
<<第一の実施形態>>
図1は、ミスト浴装置1の斜視図である。図3は、ミスト浴装置1のブロック図である。
【0015】
ミスト浴装置1は、液体、具体的には水から温ミストを発生させて、施術対象物に温ミストを浴びせる。施術とは、温ミストを浴びせることをいう。施術対象物とは、施術が施される対象のことをいう。具体的には、施術対象物は、温ミストがミスト浴装置1によって浴びせられる対象のことをいい、例えば顔面の肌のことをいう。通常、温ミストの温度は室温よりも高温であり、人間の皮膚の温度よりも高温である。
【0016】
図1に示すように、ミスト浴装置1は、電子機器である。ミスト浴装置1は、ハウジング10、ノズル11、ノズル駆動機構12、カバー13、ディスプレイデバイス14、タッチパネル15、少なくとも1つの押しボタンスイッチ16、撮像装置17、照明器18、液体貯蔵タンク20、ポンプ21、温ミスト生成機22及びファン23を備える。図2に示すように、ミスト浴装置1は、プロセッサー31、メモリー32、記憶デバイス33、メインボード34及び無線通信機35を更に備える。
【0017】
ハウジング10は、その内側に中空を有し、ミスト浴装置1の構成部品を収容する。ハウジング10の前にいる使用者の顔面は、ハウジング10の前方斜め上にある。
【0018】
液体貯蔵タンク20は、ハウジング10の内側に取り付けられており、液体貯蔵タンク20には、ミストの原料となる液体、具体的には水が貯留される。
【0019】
ポンプ21は、配管24を介して、液体貯蔵タンク20から温ミスト生成機22へ液体を供給する。
【0020】
温ミスト生成機22は、ハウジング10内に取り付けられ、配管25を介してノズル11に接続されており、液体貯蔵タンク20から供給された液体を加熱して沸騰させて、液体から温ミストを発生させる。
【0021】
温ミスト生成機22は、チャンバー、電気ヒーター、温度センサー及び温度制御回路を有する。チャンバーは、液体貯蔵タンク20から供給された液体を滞留させる。電熱ヒーターは、チャンバーの内側に取り付けられている。電熱ヒーターは、例えばPTCヒーター及び電気抵抗器等から構成され、電力により発熱して、チャンバー内の液体を加熱して沸騰させるものであり、温度制御回路に接続されている。温度センサーは、チャンバーの内側において底から離れた位置に取り付けられ、温度センサーの計測温度に基づいた電熱ヒーターをフィードバック制御することによって、温ミストの温度を一定な設定温度に制御するものであり、温度制御回路に接続されている。設定温度の値は、後述のプロセッサー31によって設定される。
【0022】
温ミスト生成機22の温度制御回路は、メインボード34に接続されている。温度制御回路はメインボード34に組み込まれてもよく、温ミスト生成機22の温度センサー及び電熱ヒーターはメインボード34に接続されていてもよい。
【0023】
ファン23は、温ミスト生成機22のチャンバーに設けられており、温ミスト生成機22によって生成された温ミストをノズル11へ送風する。なお、液体が温ミスト生成機22で沸騰されることによる温ミスト生成機22の内圧の上昇によって温ミストが温ミスト生成機22からノズル11に送られてもよい。この場合、ファン23が省略される。
【0024】
ノズル11は、ボールジョイント等を介してハウジング10の上端に取り付けられている。ノズル11は、ファン23によって温ミスト生成機22から供給された温ミストを放出する。ノズル11は、ボールジョイント、モーター及び伝動機構によってチルト可能且つパン可能に構成されており、ノズル駆動機構12、特にそのモーターはメインボード34に接続されている。なお、ノズル11の数が2以上であってもよい。
【0025】
カバー13は、ハウジング10の上端の後部に、ヒンジユニットを介して、左右に延びた軸の回りに開閉可能に連結されている。
【0026】
ディスプレイデバイス14は、カバー13の内面に取り付けられており、メインボード34から入力した映像信号に従った映像を表示する。また、ディスプレイデバイス14の位置は一例であり、図1の態様に限られない。
【0027】
タッチパネル15は、ディスプレイデバイス14に重ねられて、カバー13の内面に取り付けられている入力デバイスである。使用者がタッチパネル15に対して行ったジェスチャーの内容に応じた信号をメインボード34に出力する。なお、ジェスチャーのことを操作ともいう。
【0028】
押しボタンスイッチ16はメインボード34に接続されハウジング10に取り付けられている。使用者が押しボタンスイッチ16を押下すると、押しボタンスイッチ16が信号をメインボード34に出力する。
【0029】
なお、タッチパネル15及び押しボタンスイッチ16以外の入力デバイスが採用されてもよい。例えば、スライド式スイッチ、キー、ボタン、タッチパッド及びスタライスのような入力デバイスが、タッチパネル15及び押しボタンスイッチ16と併せて、又はタッチパネル15及び押しボタンスイッチ16に代えて、採用されてもよい。
【0030】
撮像装置17は、カバー13に取り付けられている。カバー13が開かれて後傾すると、撮像装置17が前方に向けられる。撮像装置17は、フルカラーのイメージセンサーと、施術対象物の像をイメージセンサーに結像するレンズと、を有する。撮像装置17、特にそのイメージセンサーはメインボード34に接続されている。撮像装置17は、イメージセンサーによって施術対象物の像を所定のフレームレートで周期的に撮像し、施術対象物の像を含む画像をメインボード34に撮像のたびに出力する。撮像装置17によって順次撮像される画像が時系列で配列した映像は、フルカラーの動画であるため、ミスト浴装置1は映像脈派を取得することができる。映像脈派とは、撮像装置1によって撮影された映像から生成される平均緑色階調値の時系列データのことをいう。平均緑色階調値及び映像脈派については、後述する。
【0031】
照明器18は、LED等の光源と、光源の光を拡散させることによってその光の光度分布を均等化する光学系とを有し、カバー13に取り付けられている。照明器18は、施術対象物を照明する。
【0032】
メインボード34は、バスコントローラー、バス、電力供給線、電力変換回路、モータードライバー、撮影映像処理回路、表示映像処理回路及びインターフェース回路等を有する。メインボード34は、プロセッサー31、メモリー32、記憶デバイス33、ノズル駆動機構12、ディスプレイデバイス14、タッチパネル15、押しボタンスイッチ16、撮像装置17、照明器18、温ミスト生成機22、ファン23及び無線通信機35に接続され、信号を送受信する。
【0033】
プロセッサー31は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びキャッシュメモリを有するハードウェアである。プロセッサー31は、メインボード34を介して、メモリー32、記憶デバイス33、ノズル駆動機構12、ディスプレイデバイス14、タッチパネル15、押しボタンスイッチ16、撮像装置17、照明器18、温ミスト生成機22、ファン23及び無線通信機35を管理し、及び制御する。メモリー32は、例えば半導体メモリーを有する。メモリー32は、記憶領域又は作業領域をプロセッサー31に提供する。記憶デバイス33は、半導体メモリー若しくは磁気記憶装置又はこれらの両方を有する。記憶デバイス33は、プロセッサー31にとって実行可能なプログラム33a,33bを記憶する。
【0034】
ミスト浴装置1の動作について説明する。併せて、図3図5を参照して、プロセッサー31がプログラム33aに従って実行する処理の流れについて説明する。図3図5は、プロセッサー31がプログラム33aに従って実行する処理の流れを示す。
【0035】
使用者が複数の押しボタンスイッチ16のうち電源スイッチを押下することによってミスト浴装置1の電源を入れると、プロセッサー31が起動処理を実行する(ステップS1)。具体的には、プロセッサー31が、メモリー32を初期化し、記憶デバイス33に格納されたプログラム33aをメモリー32に展開し、ディスプレイデバイス14、タッチパネル15及び無線通信機35を起動させる。以後、プロセッサー31は、メモリー32に展開されたプログラム33aに従って処理を実行する。
【0036】
次に、プロセッサー31は、ノズル駆動機構12、撮像装置17、照明器18、ポンプ21、温ミスト生成機22及びファン23に対する各種のパラメーターを所定の初期値に設定する(ステップS2)。
【0037】
次に、プロセッサー31は、設定時間及び設定温度等のような施術条件に関する入力と、識別情報に関する入力と、施術開始のコマンドの入力を待機する(ステップS3:NO)。この際、使用者がタッチパネル15を触れることにより、又は押しボタンスイッチ16を押すことによって識別情報をプロセッサー31に与えた場合には、プロセッサー31が識別情報を記憶デバイス33に記録する。識別情報とは、使用者に個別に与えられた唯一の情報をいい、例えば名前、アカウント名、識別番号及びメールアドレス等のような情報をいう。
【0038】
また、使用者がタッチパネル15を触れることにより、又は押しボタンスイッチ16を押すことによって設定時間の値及び設定温度の値をプロセッサー31に与えた場合には、プロセッサー31が設定時間の値及び設定温度の値をメモリー32に記憶する。設定時間とは、使用者が温ミストを浴びる浴時間をいう。設定温度とは、使用者が浴びる温ミストの温度をいう。
【0039】
使用者がタッチパネル15を触れることにより、又は押しボタンスイッチ16を押すことによって施術開始のコマンドをプロセッサー31に与えたら、プロセッサー31の処理がステップS3からステップS4に移行する(ステップS3:YES)。
【0040】
なお、設定時間のデフォルト値が予め定められている。使用者が設定時間又設定温度の値をプロセッサー31に与えることなく、施術開始のコマンドをプロセッサー31に与えた場合には(ステップS3:YES)、プロセッサー31が設定時間のデフォルト値をメモリー32に記憶する。設定温度についても同様にデフォルト値が予め定められている。設定時間のデフォルト値は、例えば3分間である。設定温度のデフォルト値は、例えば37℃である。
【0041】
なお、使用者が情報携帯端末を操作することによって情報携帯端末に設定時間及び設定温度の値を与えてもよい。この場合、情報携帯端末が設定時間及び設定温度の値を取得したら、それらの値を無線により無線通信機35に転送する。プロセッサー31は、無線通信機35により受信した設定時間の値及び設定温度の値をメモリー32に記憶する。識別情報及び施術開始のコマンドについても同様である。
また、使用者の識別情報に対応付けられた設定時間または設定温度が記憶デバイス33に記憶されている場合は、その設定時間または設定温度の情報を読み出して施術条件としてもよい。
【0042】
次に、ステップS4において、プロセッサー31は、変数であるミストカウンターN1をゼロにリセットして、ミストカウンターN1をメモリー32に記憶する。ミストカウンターN1は、ミストを使用者の肌に浴びせた回数を表す。N1は、ミストカウンターの値を意味する。
【0043】
次に、プロセッサー31は、ミストカウンターN1がゼロであるか否かを判定する(ステップS5)。前述のように、ミストカウンターN1がゼロにリセットされたことから、プロセッサー31はミストカウンターN1をゼロと判定すると(ステップS5:YES)、プロセッサーの処理がステップSS6に移行する。
【0044】
図6及び図7を参照して、ステップS6におけるプロセッサー31の処理について詳細に説明する。図6及び図7は、ステップS6におけるルーチンを示すフローチャートである。
【0045】
プロセッサー31は、照明器18をオンにして、照明器18を点灯させる。これにより、照明器18は、使用者の顔面に向けて可視光、特に白色光を照射する(ステップSA1)。
【0046】
プロセッサー31は、変数であるフレームカウンターN2をゼロにリセットして、フレームカウンターN2をメモリー32又は記憶デバイス33に記録する(ステップSA2)。フレームカウンターN2は、撮像装置17から転送されたフレームの数を表す。N2は、フレームカウンターの値を意味する。
【0047】
プロセッサー31は、撮像装置17を動作させて、撮像装置17に撮影を行わせる(ステップSA3)。撮像装置17の撮影が開始されると、撮像装置17は、使用者の顔面を所定のフレームレートで周期的に撮像する。撮像装置17は、使用者の顔面を撮像するたびに、使用者の顔面の像を含むフルカラーの画像の信号を生成して、その信号をメインボード34に転送する。これにより、使用者の顔面の像を含む画像が時系列で配列された映像、つまり動画が撮像装置17からメインボード34に入力されて、メモリー32又は記憶デバイス33に記録される。プロセッサー31は、1コマの入力画像を入力するごとに、次のようなステップSA4~ステップSA11の処理を実行する。なお、入力画像はフルカラーであり、入力画像の各画素は赤色の階調値、緑色の階調値及び青色の階調値を有する。ここで、図8は、1コマの入力画像80の一例を示す。
【0048】
プロセッサー31は、入力画像80を入力したら、フレームカウンターN2に1を加算するとともに、メモリー32中のフレームカウンターを更新する(ステップSA4)。
【0049】
入力画像80の中に顔面のイメージ81が含まれていたら、プロセッサー31は、入力画像80の中から顔面のイメージ81を検出する(ステップSA5)。入力画像80の中に顔面のイメージが含まれていなければ、プロセッサー31が顔面のイメージを検出することはない。
【0050】
次に、プロセッサー31は、ステップSA5の顔検出処理において顔面のイメージ81を検出したか否か判定する(ステップSA6)。
【0051】
入力画像80の中に顔面のイメージが含まれていなければ(ステップSA6:NO)、プロセッサー31はメモリー32中のフレームカウンターN2をゼロにリセットして、プロセッサー31の処理がステップSA7からステップSA4に戻る。そのため、プロセッサー31が次のコマの入力画像を入力したら、ステップSA4~SA6の処理を再度実行する。
【0052】
入力画像80の中に顔面のイメージ81が含まれていれば(ステップSA6:YES)、プロセッサー31の処理がステップSA8に移行する。
【0053】
ステップSA8では、プロセッサー31は、入力画像80における顔面イメージ81の特徴点を抽出する。
【0054】
次に、プロセッサー31は、入力画像80の顔面イメージ81の中に複数の関心領域82~86を設定する(ステップSA9)。関心領域82は、顔面の額に相当する領域であり、関心領域83は、顔面の左頬に相当する領域であり、関心領域84は、顔面の口の下に相当する領域であり、関心領域85は、顔面の右頬に相当する領域であり、関心領域86は、顔面の両目の間に相当する領域である。関心領域82~86の形状は矩形状である。顔面の額、左頬、口の下、右頬及び両目の間は、何れも施術領域である。
【0055】
なお、入力画像80が2コマ目以降である場合、プロセッサー31は、入力画像80における顔面イメージ81の特徴点と、1つ前のコマの入力画像における顔面イメージの特徴点とを照合することによって、顔面イメージ81の中に占める各関心領域82~86の位置及び範囲を、1つ前のコマの顔面イメージの中に占める各関心領域の位置及び範囲に一致させる。そのため、使用者が顔面を動かしても、関心領域は顔面の動きに追従して設定される。
【0056】
次に、プロセッサー31は、関心領域82~86の各々における平均緑色階調値を算出して、関心領域82~86ごとの平均緑色階調値をメモリー32又は記憶デバイス33に記録する(ステップSA10)。関心領域82の平均緑色階調値とは、関心領域82内の全画素の緑色階調値の総和を全画素数で除した値である。関心領域83~86の平均緑色階調値についても同様である。
【0057】
ここで、白色光が顔面の皮膚に入射されると、皮膚下の血中ヘモグロビンは波長495~570nmの緑色可視光を他の波長帯域の光よりもよく吸収する。そのため、顔面の皮膚の反射光のうち緑色成分の輝度が低くなるほど、皮膚下の血液の量が多くなる。従って、各関心領域82~86の平均緑色階調値は、皮膚下の血液量を示す。
【0058】
次に、プロセッサー31は、フレームカウンターN2が所定のフレーム数Mよりも大きいか否かを判定する(ステップSA11)。
【0059】
ここで、映像がステップSA2又は最後のステップSA7の時から所定期間(例えば、30秒間、1分間、1分30秒間、2分間)の間に撮像装置17によって撮影されるまでは、フレームカウンターN2が所定のフレーム数M以下である。そのため、プロセッサー31の処理がステップSA11からステップSA4に戻る(ステップSA11:NO)。そのため、顔検出が途絶えることなく、フレームカウンターN2が所定のフレーム数Mに到達するまで、プロセッサー31がステップSA4~SA6及びSA8~SA10の処理を繰り返す。このような繰り返し処理によってプロセッサー31がステップSA10の処理を多数回実行すると、プロセッサー31は、各関心領域82~86の平均緑色階調値を時系列で配列した時系列データを関心領域82~86ごとにメモリー32又は記憶デバイス33に蓄積する。そのため、プロセッサー31が繰り返したステップSA4~SA6及びSA8~SA11の一連の処理が、映像から時系列データを抽出する抽出処理である。図9は、そのように抽出された時系列データの一例を示したグラフである。このグラフ中、横軸は時間を表し、縦軸は平均緑色階調値を表す。平均緑色階調値が皮膚下の血液量を示すため、平均緑色階調値の時系列データは皮膚下血液量の経時的な変動、つまり血流脈波を示す。従って、平均緑色階調値の時系列データは血流脈波データでもある。
【0060】
顔検出がステップSA2又は最後のステップSA7の時から途絶えることなく、映像がステップSA2又は最後のステップSA7の時から所定期間の間に撮像装置17によって撮影されると、フレームカウンターN2が所定のフレーム数Mに到達する(ステップSA11:YES)。そのため、プロセッサー31の処理がステップSA11からステップSA12に移行する。
【0061】
なお、プロセッサー31の処理がステップSA11からステップSA4に戻った後に、プロセッサー31の処理がステップSA6からステップSA7に移行した場合、プロセッサー31はメモリー32中の時系列データを消去する。
【0062】
ステップSA12では、プロセッサー31は、撮像装置17を停止させて、撮像装置17による撮影を終了させる。
【0063】
次に、プロセッサー31は、照明器18をオフにして、照明器18を消灯させる(ステップSA13)。
【0064】
次に、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、時系列データにおける平均緑色階調値の総和を時系列データにおける平均緑色階調値の総数で除算することによって、時系列データの時間平均を算出する(ステップSA14)。時系列データの時間平均、つまり血液量の時間平均は、血流状態評価指標であり、血液量の時間平均が大きいほど、施術対象物が良好である。従って、温ミスト浴前における顔面の皮膚の血流状態の良好性がステップSA14において算出された時間平均からわかる。血流状態評価指標とは、評価対象、つまり施術対象物の血流の状態を表す指標のことをいう。
【0065】
次に、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、時系列データに対してバンドパス処理を施して、時系列データから、所定帯域よりも低い低周波ノイズ成分及び所定帯域よりも高い高周波ノイズ成分を除去する(ステップSA15)。所定帯域の下閾値及び上閾値は、人間の取り得る脈拍数 [Hz] から決定された値である。
【0066】
図10は、バンドパス処理の後の時系列データの一例を示したグラフである。このグラフ中、横軸は時間を表し、縦軸はバンドパス処理により変換された平均緑色階調値を表す。
【0067】
次に、プロセッサー31は、バンドパス処理後の時系列データ、つまりバンドパス処理後の血流脈波データから脈波振幅を算出する(ステップSA16)。
【0068】
具体的には、プロセッサー31は、バンドパス処理後の図10に示したようなパルス信号波形を形成する時系列データの中から、隣り合う極大値と極小値の差をそれぞれ求め、それらの平均値を求める。この値が脈波振幅に相当する。脈波振幅は血流状態評価指標であり、脈波振幅が大きいほど、施術対象物が良好である。従って、温ミスト浴前における顔面の皮膚の血流状態の良好性がステップSA16において算出された脈波振幅からわかる。
【0069】
なお、ステップS6の解析処理は以下の(1)~(3)のように変更されてもよい。以下の変更例は組み合わせて適用されてもよい。
【0070】
(1) ステップSA15の後にステップSA16の処理が実行されるのであれば、ステップSA12~ステップSA16の処理の順番を変更してもよい。例えば、プロセッサー31が、順にステップSA14、ステップSA15、ステップSA16、ステップSA12及びステップSA13を実行してもよい。
【0071】
(2) 上述の説明では、プロセッサー31は、映像の撮影中にその映像から時系列データを算出する。それに対して、プロセッサー31は、映像の撮影終了後にその映像から時系列データを算出してもよい。その場合、プロセッサー31は、撮像装置17から順次入力される画像を時系列で記憶デバイス33に記録する。それら画像が時系列で配列した映像が記憶デバイス33に格納される。
【0072】
(3) プロセッサー31が、撮像装置17によって撮像される映像を、解析処理の指令とともに、無線通信機35により他のコンピューターに送信してもよく、その場合には、他のコンピューターがステップS6の処理と同様の処理を実行することによって、血液量の時間平均及び脈波振幅が算出され、算出された血液量の時間平均及び脈波振幅は、他のコンピューターから無線通信機35に送信され、さらに、プロセッサー31或いはメモリー32に転送される。
【0073】
図3に示すように、1回目の解析処理(ステップS6)の終了後、プロセッサー31は、ステップSA14において算出した関心領域82~86ごとの時間平均および脈波振幅を識別情報に対応づけて、これら時間平均および脈波振幅を記憶デバイス33に記録する(ステップS7)。以下では、ステップS7において記憶デバイス33に記録された時間平均のことを施術前血行度合いともいい、その値をBa0と表し、ステップS7において記憶デバイス33に記録された脈波振幅のことを施術前脈波振幅といい、その値をBb0と表す。なお、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとの血行度合い(Ba0)及び脈波振幅(Bb0)を数値でディスプレイデバイス14に表示させてもよい。
【0074】
次に、プロセッサー31が撮像装置17を動作させると、撮像装置17が使用者の顔面を所定のフレームレートで周期的に撮像する。プロセッサー31は、撮像装置17によって撮像された画像の中に、顔面のイメージが含まれていたら画像の中から顔面イメージを検出する一方、顔面イメージが含まれていなければ顔面イメージを検出することはない(ステップS8)。
【0075】
次に、プロセッサー31は、ステップS8の顔検出処理において顔面イメージを検出したか否か判定する(ステップS9)。
【0076】
画像の中に顔面イメージが含まれていなければ(ステップS9:NO)、プロセッサー31の処理がステップS9からステップS8に戻る。そのため、プロセッサー31が次のコマの画像を入力したら、ステップS8の顔検出処理を再度実行する。
【0077】
画像の中に顔面イメージが含まれていれば(ステップS9:YES)、プロセッサー31の処理がステップS9からステップS10に移行する。
【0078】
次に、プロセッサー31は、撮像装置17によって撮影される映像の鏡像にガイドを合成して、その合成映像をディスプレイデバイス14に表示する(ステップS10)。ガイドの形状は円又は楕円である。使用者が顔面を動かして、ディスプレイデバイス14に表示された顔面の輪郭をガイドに合わせれば、使用者の顔面がノズル11に向けられる。プロセッサー31は、ガイド及び顔面の表示を後述のステップS13まで継続する。
【0079】
次に、プロセッサー31はポンプ21を動作させると(ステップS11)、液体貯蔵タンク20内の液体が所定量だけ温ミスト生成機22にポンプ21によって供給される。
その後、プロセッサー31が温ミスト生成機22及びファン23を動作させるととともに、メモリー32中の設定温度の値を温ミスト生成機22の温度制御回路に設定する(ステップS11)。そうすると、温ミスト生成機22の電熱ヒーターが温ミスト生成機22の温度センサーの計測温度に基づいて温ミスト生成機22の温度制御回路によってフィードバック制御される。これにより、温ミスト生成機22は、一定の設定温度の温ミストを生成する。なお、設定温度の値は前述のステップS3においてメモリー32又は記憶デバイス33に記憶されており、プロセッサー31がメモリー32中の設定温度の値を参照する。
【0080】
プロセッサー31は、上述のような温ミスト生成機22の動作の開始時に計時を開始する。プロセッサー31は、計時時間が設定時間に至ったか否か判断する(ステップS12)。計時時間が設定時間に至っていなければ(ステップS12:NO)、プロセッサー31は温ミスト生成機22及びファン23の動作を継続させる(ステップS11)。計時時間が設定時間に至ったら、プロセッサー31の処理がステップS12からステップS13に移行する(ステップS12:YES)。
【0081】
なお、設定時間の値は前述のステップS3においてメモリー32又は記憶デバイス33に記憶されており、プロセッサー31がメモリー32中の設定時間の値を参照する。
【0082】
ステップS13においてプロセッサー31が温ミスト生成機22、ファン23及びノズル駆動機構12を停止することによって、ノズル11から温ミストの噴射が停止される。
【0083】
温ミスト生成機22及びノズル駆動機構12が停止されたら、プロセッサー31がミストカウンターN1に1を加算するとともに、メモリー32中のミストカウンターN1を更新する。その後、プロセッサー31の処理がステップS5に戻る。
【0084】
前述のように、ミストカウンターがステップS14においてインクリメントされることによってミストカウンターN1が0でなくなった場合には(ステップS5:NO)、プロセッサー31は、ミストカウンターN1が1であるか否かを判定する(ステップS15)。
【0085】
ミストカウンターN1が1である場合には(ステップS15:YES)、プロセッサー31は、前記ステップS6の解析処理と同様の解析処理を実行する(ステップS16)。温ミスト浴後における顔面の皮膚の脈波振幅及び時間平均は、このステップS16による解析処理のステップSA16及びSA14の算出処理において、それぞれ算出される。
【0086】
次いで、プロセッサー31は、ステップS7と同様にして、2回目の解析処理(ステップS16)中のステップSA14において算出した関心領域82~86ごとの時間平均および脈波振幅を識別情報に対応づけて、時間平均および脈波振幅を記憶デバイス33に記録する(ステップS17)。以下では、ステップS17において記憶デバイス33に記録された時間平均のことを1回施術後血行度合いともいい、その値をBa1と表し、ステップS17において記憶デバイス33に記憶された脈波振幅のことを1回施術後脈波振幅ともいい、その値をBb1と表す。なお、プロセッサー31は、記憶デバイス33中の施術前血行度合い(Ba0)に続けて、1回施術後血行度合い(Ba1)を記憶デバイス33に記録して、これら血行度合いのデータ列(Ba0,Ba1)を生成してもよい。また、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとの血行度合いのデータ列(Ba0,Ba1)を数値又はグラフでディスプレイデバイス14に表示させてもよい。
【0087】
次に、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、施術前の脈波振幅(Ba0)に対する1回目の施術後の脈波振幅(Ba1)の比率(Ba1/Ba0)を算出する(ステップS18)。以下では、この比率のことを脈波振幅比率という。温ミスト浴による顔面の皮膚の血流状態の変化は、脈波振幅比率(Ba1/Ba0)からわかる。
【0088】
また、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、施術前の血行度合い(Bb0)に対する1回目の施術後の血行度合い(Bb1)の比率(Bb1/Bb0)を算出する(ステップS18)。以下では、この比率のことを血行度合い比率という。温ミスト浴による顔面の皮膚の血流状態の変化は、血行度合い比率からわかる。
【0089】
また、プロセッサー31は、脈波振幅比率(Ba1/Ba0)、血行度合い比率(Bb1/Bb0)、設定時間及び設定温度を識別情報に対応付けて記憶デバイス33に記録する。
【0090】
また、プロセッサー31は、ステップS18における血流状態の変化の判断を、施術前の脈波振幅(Ba0)と1回目の施術後の脈波振幅(Ba1)の差(Ba1-Ba0)に基づいて行ってもよく、あるいは、(Ba1-Ba0)/Ba0を算出し、その算出値に基づいて行ってもよい。
【0091】
次に、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、脈波振幅比率(Ba1/Ba0)が第1所定閾値よりも大きいか否かを判別する(ステップS19)。第1所定閾値は、例えば1.1又は1.01である。何れの関心領域82~86においても、脈波振幅比率(Ba1/Ba0)が第1所定閾値を超えれば(ステップS19:YES)、プロセッサー31の処理がステップS20に移行し、関心領域82~86の何れか1つでも、脈波振幅比率(Ba1/Ba0)が第1所定閾値以下であれば(ステップS19:NO)、プロセッサー31の処理がステップS21に移行する。
【0092】
なお、第1所定閾値が1であれば、脈波振幅比率(Ba1/Ba0)が第1所定閾値を超えることは、施術後の脈波振幅(Ba1)が施術前の脈波振幅(Ba0)を超えることを意味する。つまり、脈波振幅比率(Ba1/Ba0)が第1所定閾値を超えることは、使用者が自身の顔面に温ミストを浴びることによって使用者の顔面全体の血行が良くなったことを意味する。
【0093】
ステップS19では、第1所定閾値と比較されるパラメーターとして、脈波振幅比率(Ba1/Ba0)を用いているが、これに代えて、又は、これとともに、血行度合い比率(Bb1/Bb0)を用いてもよい。脈波振幅比率(Ba1/Ba0)及び血行度合い比率(Bb1/Bb0)の両者を用いる場合には、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、脈波振幅比率(Ba1/Ba0)を第1所定閾値と比較するとともに、関心領域82~86ごとに、血行度合い比率(Bb1/Bb0)を第1所定閾値と比較する。比較の結果、何れの関心領域82~86においても、脈波振幅比率(Ba1/Ba0)が第1所定閾値を超え、且つ、何れの関心領域82~86においても、血行度合い比率(Bb1/Bb0)が第1所定閾値を超えれば、プロセッサー31の処理がステップS20に移行する一方、関心領域82~86の何れか1つでも、脈波振幅比率(Ba1/Ba0)が第1所定閾値以下であり、或いは、関心領域82~86の何れか1つでも、血行度合い比率(Bb1/Bb0)が第1所定閾値以下であれば、プロセッサー31の処理がステップS21に移行する。
【0094】
ステップS20において、プロセッサー31は、施術終了の旨を表した映像をディスプレイデバイス14に表示した後、ステップS2の処理に戻る。なお、プロセッサー31の処理がステップS2に戻る前に、プロセッサー31が記憶デバイス33から識別情報、血行度合い及び脈波振幅を読み取って、識別情報、血行度合い及び脈波振幅を無線通信機35に転送し、無線通信機35により他の機器に送信してもよい。これにより、他の機器において血行度合い及び脈波振幅が、識別情報に対応づけられた例えば年齢及び性別等のような個人情報に対応づけられてデータベースに登録される。他の機器は、例えば情報携帯端末、サーバー、データーロガー又はクラウドコンピューティングシステムである。
【0095】
また、ステップS21では、プロセッサー31は、関心領域82~86の中から、上述のステップS19において脈波振幅比率(Ba1/Ba0)又は血行度合い比率(Bb1/Bb0)が第1所定閾値以下と判定された1又は複数の関心領域を選択する。以下、選択された関心領域を選択関心領域という。使用者の顔面の額、左頬、口の下、右頬、及び両目の間のうち、選択関心領域に相当する部位を再施術領域という。選択関心領域が関心領域82であれば、顔面の額が再施術領域であり、選択関心領域が関心領域83であれば、左頬が再施術領域であり、選択関心領域が関心領域84であれば、口の下が再施術領域であり、選択関心領域が関心領域85であれば、右頬が再施術領域であり、選択関心領域が関心領域86であれば、両目の間が再施術領域である。
【0096】
次いで、プロセッサー31は、設定時間及び設定温度の更新を行う(ステップS22)。このステップS22では、プロセッサー31は、まず、選択関心領域の脈波振幅比率(Ba1/Ba0)又は血行度合い比率(Bb1/Bb0)に基づいて時間倍率及び温度倍率を算出する。例えば、プロセッサー31は、次の表Iのようなルックアップテーブルを参照して、選択関心領域の脈波振幅比率(Ba1/Ba0)又は血行度合い比率(Bb1/Bb0)に対応づけられた時間倍率及び温度倍率を算出する。ルックアップテーブルでは、脈波振幅比率又は血行度合い比率の値ごとに、時間倍率及び温度倍率の値が対応づけられている。なお、選択関心領域の数が複数ある場合、例えば、プロセッサー31は、表Iを参照して、各選択関心領域の脈波振幅比率(Ba1/Ba0)又は血行度合い比率(Bb1/Bb0)に対応づけられた時間倍率の平均値若しくは総和及び温度倍率の平均値を算出したり、時間倍率及び温度倍率のうち最大な時間倍率及び温度倍率を算出したりしてもよいし、選択関心領域ごとに時間倍率及び温度倍率を算出してもよい。
【0097】
【表1】
【0098】
そして、プロセッサー31は、算出した時間倍率をメモリー32中の設定時間の値に乗ずることによって、設定時間の値を更新する。また、プロセッサー31は、算出した温度倍率をメモリー32中の設定温度の値に乗ずることによって、設定温度の値を更新する。
【0099】
ステップS22の後、プロセッサー31の処理がステップS8に戻る。そのため、プロセッサー31は、前述のようなステップS8~ステップS14の一連の処理を再度実行する。
なお、再度のステップS10では、プロセッサー31が、撮像装置17によって撮影される映像の鏡像にガイドに加えて第2ガイドを合成して、その合成映像をディスプレイデバイス14に表示させてもよい。ガイドに対する第2ガイドの位置、大きさ及び範囲は、映像中の顔面イメージに対する選択関心領域の位置、大きさ及び範囲と同じである。従って、第2ガイドは、選択関心領域、つまり再施術が行われる領域を表す。このような第2ガイドがディスプレイデバイス14に表示されることによって、使用者は再施術領域を視覚的に認識できる。
【0100】
また、再度のステップS11では、プロセッサー31は、ステップS22における更新後の設定温度の値を温ミスト生成機22の温度制御回路に設定する。これにより、温ミスト生成機22は、更新後の一定の設定温度の温ミストを生成する。
また、再度のステップS11後の温ミストの噴射中、プロセッサー31がノズル駆動機構12を制御することによって、ノズル駆動機構12がノズル11を傾動させて、選択関心領域に相当する再施術領域にノズル11を向ける。再施術領域の数が複数の場合には、ノズル駆動機構12がこれらの再施術領域に順に向ける。
また、再度のステップS12の判定処理に用いられる設定時間の値は、ステップS22における更新処理後の設定時間の値である。
【0101】
また、再度のステップS14によるインクリメントによりミストカウンターN1が1よりも大きくなるため(ステップS5:NO、ステップS15:NO)、その後のプロセッサー31の処理がステップS30に移行する。ステップS30では、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、メモリー32中の設定時間の値が第2所定閾値よりも小さいか否かを判別する。第2所定閾値は、例えば設定時間のデフォルト値の2倍である。2倍という倍率は、上記の表Iにおいて、0.8未満の脈波振幅比率に対応づけられた時間倍率に等しい。
【0102】
関心領域82~86の何れか1つでも、メモリー32中の設定時間の値が第2所定閾値以上であれば(ステップS30:NO)、プロセッサー31の処理がステップS31に移行する一方、何れの関心領域82~86においても、メモリー32中の設定時間の値が第2所定閾値未満であれば(ステップS30:YES)、プロセッサー31の処理がステップS32に移行する。
【0103】
なお、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、メモリー32中の設定温度の値を第2所定閾値と比較してもよい。この場合、第2所定閾値は、例えば設定温度のデフォルト値の1.03倍である。1.03倍という倍率は、上記の表Iにおいて、0.8未満の脈波振幅比率に対応づけられた温度倍率に等しい。
【0104】
ステップS31では、プロセッサー31は、施術終了の旨を表した映像をディスプレイデバイス14に表示させる。その映像には、施術時間又はミスト浴時間が規定値に達した旨が表されてもよい。その映像には、ミストの温度が規定値に達した旨が表されてもよい。その後、プロセッサー31の処理は、ステップS2に戻る。なお、プロセッサー31の処理がステップS2に戻る前に、プロセッサー31が記憶デバイス33から識別情報、血行度合い及び脈波振幅を読み取って、識別情報、血行度合い及び脈波振幅を無線通信機35に転送し、無線通信機35により他の機器に送信してもよい。
【0105】
ステップS32では、プロセッサー31は前記ステップS6の解析処理と同様の解析処理を実行する。
【0106】
3回目の解析処理(ステップS32)の終了後、プロセッサー31は、3回目の解析処理中のステップSA14において算出した関心領域82~86ごとの時間平均と、3回目の解析処理中のステップSA14において算出した関心領域82~86ごとの脈波振幅とを識別情報に対応づけて、これら時間平均および脈波振幅を記憶デバイス33に記録する(ステップS33)。
【0107】
以下では、ステップS33において記憶デバイス33に記録された時間平均のことを今回施術後血行度合いともいい、その値をBa2と表す。また、ステップS33において記憶デバイス33に記憶された脈波振幅のことを今回施術後脈波振幅ともいい、その値をBb2と表す。なお、プロセッサー31は、前回施術後までの血行度合いのデータ列(Ba0,Ba1)に続けて、今回施術後血行度合い(Ba2)を記憶デバイス33に記録して、これら血行度合いのデータ列(Ba0,Ba1,Ba2)を生成してもよい。また、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとの血行度合いのデータ列(Ba0,Ba1,Ba2)を数値又はグラフでディスプレイデバイス14に表示させてもよい。また、プロセッサー31は、前回施術後の脈波振幅のデータ列(Bb0,Bb1)に続けて、今回施術後脈波振幅(Bb2)を記憶デバイス33に記録して、これら脈波振幅のデータ列(Bb0,Bb1,Bb2)を生成してもよい。また、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとの脈波振幅のデータ列(Bb0,Bb1,Ba2)を数値又はグラフでディスプレイデバイス14に表示させてもよい。
【0108】
次に、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、前回の施術後の脈波振幅(Ba1)に対する今回の施術後の脈波振幅(Ba2)の比率(Ba2/Ba1)を算出、または、前回の施術後の血行度合い(Bb1)に対する今回の施術後の血行度合い(Bb2)の比率(Bb2/Bb1)を算出する(ステップS34)。
【0109】
次に、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、脈波振幅比率(Ba2/Ba1)を第1所定閾値と比較する(ステップS35)。比較の結果、何れの関心領域82~86においても、脈波振幅比率(Ba2/Ba1)が第1所定閾値を超えれば、プロセッサー31の処理がステップS35からステップS36に移行する。比較の結果、関心領域82~86の何れか1つでも、脈波振幅比率(Ba2/Ba1)が第1所定閾値以下であれば、プロセッサー31の処理がステップS35からステップS37に移行する。
【0110】
ステップS35の比較処理は以下の(1)又は(2)のように変更されてもよい。
【0111】
(1) プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、血行度合い比率(Bb2/Bb1)を第1所定閾値と比較する。比較の結果、何れの関心領域82~86においても、血行度合い比率(Bb2/Bb1)が第1所定閾値を超えれば(ステップS35:YES)、プロセッサー31の処理がステップS35からステップS36に移行する。比較の結果、関心領域82~86の何れか1つでも、血行度合い比率(Bb2/Bb1)が第1所定閾値以下であれば(ステップS35:NO)、プロセッサー31の処理がステップS35からステップS37に移行する。
【0112】
(2) プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、脈波振幅比率(Ba2/Ba1)を第1所定閾値と比較するとともに、関心領域82~86ごとに、血行度合い比率(Bb2/Bb1)を第1所定閾値と比較する。比較の結果、何れの関心領域82~86においても、脈波振幅比率(Ba2/Ba1)が第1所定閾値を超え、且つ、何れの関心領域82~86においても、血行度合い比率(Bb2/Bb1)が第1所定閾値を超えれば(ステップS35:YES)、プロセッサー31の処理がステップS35からステップS36に移行する。関心領域82~86の何れか1つでも、脈波振幅比率(Ba1/Ba0)が第1所定閾値以下であり、或いは、関心領域82~86の何れか1つでも、血行度合い比率(Bb1/Bb0)が第1所定閾値以下であれば(ステップS35:NO)、プロセッサー31の処理がステップS35からステップS37に移行する。
【0113】
ステップS36では、プロセッサー31は、施術終了の旨を表した映像をディスプレイデバイス14に表示させる。その後、プロセッサー31の処理は、ステップS2に戻る。なお、プロセッサー31の処理がステップS2に戻る前に、プロセッサー31が記憶デバイス33から識別情報、血行度合い及び脈波振幅を読み取って、識別情報、血行度合い及び脈波振幅を無線通信機35に転送し、無線通信機35により他の機器に送信してもよい。
【0114】
ステップS37では、プロセッサー31は、再施術を実行するか否かの問い合わせの旨を表した映像をディスプレイデバイス14に表示させる。
【0115】
ステップS37において問い合わせの旨の映像がディスプレイデバイス14に表示されると、プロセッサー31は、再施術実行又は終了のコマンドの入力を待機する(ステップS38)。
この際、使用者がタッチパネル15を触れることにより、又は押しボタンスイッチ16を押すことによって終了のコマンドをプロセッサー31に与えた場合には(ステップS38:NO)、プロセッサー31の処理がステップS2に戻る。なお、プロセッサー31の処理がステップS2に戻る前に、プロセッサー31が記憶デバイス33から識別情報、血行度合い及び脈波振幅を読み取って、識別情報、血行度合い及び脈波振幅を無線通信機35に転送し、無線通信機35により他の機器に送信してもよい。
【0116】
一方、使用者がタッチパネル15を触れることにより、又は押しボタンスイッチ16を押すことによって再施術実行のコマンドをプロセッサー31に与えた場合には(ステップS38:YES)、プロセッサー31の処理がステップS21に戻る。そのため、プロセッサー31はステップS21~S22及びステップS8~S14の一連の処理を行った後、プロセッサー31の処理がステップS14からステップS5に戻る。その後は、メモリー32中の設定時間又は設定温度の値が第2所定閾値以上になるまで、又は、使用者がタッチパネル15又は押しボタンスイッチ16により終了のコマンドをプロセッサー31に与えるまで、ステップS5、ステップS15、ステップS30、ステップS32~S35、ステップS37~S38、ステップS21~S22及びステップS8~S14の一連の処理が繰り返される。
【0117】
なお、使用者がミスト浴装置1を多数回利用すると、プロセッサー31がステップS18の処理を多数回実行するため、多数の脈波振幅比率(Ba1/Ba0)及び血行度合い比率(Bb1/Bb0)が記憶デバイス33に蓄積される。プロセッサー31は、多数の脈波振幅比率(Ba1/Ba0)及び血行度合い比率(Bb1/Bb0)の中から最大なものに対応づけられた設定時間及び設定温度の値を取り出して、それらをステップS3の処理においてデフォルト値として設定してもよい。多数の脈波振幅比率(Ba1/Ba0)及び血行度合い比率(Bb1/Bb0)の中で最大なものに対応づけられた設定時間及び設定温度の値は、使用者の顔面全体の血行が最も良くなるための条件である。なお、プロセッサー31は、1日の中の時間帯ごとに又は季節ごとに、最大な脈波振幅比率(Ba1/Ba0)又は血行度合い比率(Bb1/Bb0)に対応づけられた設定時間及び設定温度の値を記憶デバイス33に記憶してもよい。
【0118】
以上の第一の実施形態によれば、処理部としてのプロセッサー31は、温ミスト浴のような施術前の第1映像から得られた第1血流状態評価指標(つまり、脈波振幅(Ba0)又は血行度合い(Bb0))と、施術後の第2映像から得られた第2血流状態評価指標(つまり、脈波振幅(Ba1)又は血行度合い(Bb1))との比較結果(つまり、脈波振幅比率(Ba1/Ba0)又は血行度合い比率(Bb1/Bb0))に基づいて、関心領域82~86ごとに再施術の要否を決定することによって、再施術の必要な再施術領域に相当する選択関心領域を関心領域82~86の中から選択する。そのような再施術領域は、施術によって血流状態がそれほど良くならなかった領域であり、そのような再施術領域が再度施術されることによって、再度の施術が効率的に行われる。また、再施術前には使用者の顔面は血行の向上にムラがあったのに対して、再施術後には使用者の顔面全体が血行向上効果を得ている。
【0119】
また、プロセッサー31は、ステップS19において脈波振幅比率(Ba1/Ba0)又は血行度合い比率(Bb1/Bb0)が第1所定閾値と判定された選択関心領域を選択して、選択関心領域に相当する部位を再施術領域として選択する(ステップS21)。そのような再施術領域が再度施術されることによって、再度の施術が効率的に行われる。
【0120】
また、第1血流状態評価指標が、施術前の第1映像における関心領域82~86ごとに算出された緑色階調値の時系列データにおける振幅また時間平均に基づく指標である。第2血流状態評価指標が、施術後の第2映像における関心領域82~86ごとに算出された緑色階調値の時系列データにおける脈波振幅(Ba0)または時間平均(Bb0)に基づく指標である。よって、関心領域82~86ごとに、施術による血流状態の変化が第1及び第2の血流状態評価指標からわかる。
【0121】
また、施術及び再施術がミスト浴であるため、使用者の顔に美容効果及び血流上昇効果を与えることができる。
【0122】
また、プロセッサー31は、第1血流状態評価指標と第2血流状態評価指標との比較結果に基づいて、再施術におけるミストの温度と浴時間との少なくとも一方を設定する(ステップS22)。そのため、再施術領域の血流状態に合わせて適切な温度の温ミストが、再施術領域の血流状態に合わせて適切な時間の間中、再施術領域に浴びせられる。そのため、効率的な再度の温ミスト浴が行われる。
【0123】
また、ステップS17において脈波振幅のデータ列(Bb0,Bb1)及び血行度合いのデータ列(Ba0,Ba1)が数値又はグラフでディスプレイデバイス14に表示されるため、使用者は1回目の温ミスト浴による血行向上効果を視覚的に実感できる。ステップS33において脈波振幅のデータ列及び血行度合いのデータ列が数値又はグラフでディスプレイデバイス14に表示されるため、使用者は2回目以降の温ミスト浴による血行向上効果を視覚的に実感できる。
【0124】
<<第二の実施形態>>
次に、図11図15を参照しながら、本発明の第二実施形態におけるプロセッサー31がプログラム33bに従って実行する処理の流れについて説明する。この第二実施形態における処理では、第一実施形態における処理(図3図7)と比較して、図4のステップS21における関心領域の選択が行われないことと、図3のステップS6及びS5にそれぞれ代えて図11のステップS56及びS57を実行すること、図4のステップS16~S19及びステップS22に代えて図12のステップS66~S69及びステップS72をそれぞれ実行すること、図5のステップS30及びS32~S35に代えて、図13のステップS80及びS82~S85をそれぞれ実行すること、図6及び図7に示すフローチャートに代えて図14及び図15に示すフローチャートを実行することが、異なっている。それ以外については、図11図15におけるステップは、それらのステップにそれぞれ相当する図3図7におけるステップと、同一の実行内容である。図11図15におけるステップと図3図7におけるステップが同一実行内容である場合には、これらのステップには同一の符号が付される。以下、これらの異なる実行内容について説明し、第一実施形態と同じ実行内容の部分については、その説明を省略する。
【0125】
使用者の顔に1回目のミスト浴が行われる前、ミストカウンターN1がゼロである。そのため、プロセッサー31は、ミストカウンターN1がゼロであると判別するとともに(ステップS5:YES)、解析処理を実行する(ステップS56)。図14及び図15は、ステップS56の解析処理のルーチンを示すフローチャートである。図14及び図15に示すように、ステップS56の解析処理におけるステップSB1~SB13の実行内容は、それぞれステップSA1~SA14の実行内容と同じである。そのため、プロセッサー31が、ステップSB1~SB13の処理を実行することによって、各関心領域82~86の平均緑色階調値を時系列で配列した時系列データを関心領域82~86ごとにメモリー32又は記憶デバイス33に蓄積する。なお、プロセッサー31が繰り返したステップSB4~SB6及びSB8~SB11の一連の処理が、映像から時系列データを抽出する抽出処理である。
その後、プロセッサー31は、ステップSB14~SB16の一連の処理を実行する。なお、上述のようなステップS6の解析処理の変形例のような変更は、ステップS56の解析処理に適用されてもよい。
【0126】
次に、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、時系列データに対してバンドパス処理を施して、時系列データから低周波ノイズ及び高周波ノイズを除去する(ステップSB14)。ステップSB14のバンドパス処理は、前述のステップSA15のバンドパス処理と同じ実行内容である。
【0127】
次に、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、バンドパス処理後の時系列データ、つまりバンドパス処理後の血流脈波データを周波数解析することによって、血流脈波データから脈拍数[bpm]、血流脈波データのうち低周波成分のパワーの総計である低周波成分パワー総計、血流脈波データのうち高周波成分のパワーの総計である高周波成分パワー総計及び高周波成分パワー総計に対する低周波成分パワー総計の比率である高低周波数成分パワー比率を算出する(ステップSB15)。低周波成分の帯域は、例えば0.04~0.15 [Hz]、高周波成分の帯域は、例えば0.15~0.4 [Hz]である。以下では、低周波成分パワー総計がLF(Low Frequency)、高周波成分パワー総計がHF(High Frequency)、高低周波数成分パワー比率がLF/HFと略記される。
【0128】
脈拍数及びLF/HFは、自律神経系指標である。自律神経系指標とは、評価対象、つまり施術対象物の自律神経系の活動状態を表す指標である。交感神経が活発になると、脈拍数及びLF/HFが高くなる。副交感神経が活発になると、脈拍数及びLF/HFが低くなる。つまり、脈波数又はLF/HFが低いほど、施術対象物が良好である。従って、温ミスト前の使用者の精神的なリラックス状態は、ステップSB15において算出された脈拍数又はLF/HFからわかる。
【0129】
次に、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、バンドパス処理後の時系列データ、つまりバンドパス処理後の血流脈波データに基づいて脈波間隔変動係数を算出する(ステップSB16)。以下、脈波間隔変動係数はCVRR(Coefficient of Variation of R-R interval)と略記される。
【0130】
CVRRは、自律神経系指標である。交感神経が活発になると、CVRRが低くなる。つまり、CVRRが高いほど、施術対象物が良好である。従って、温ミスト前の使用者の精神的なリラックス状態は、ステップSB16において算出されたCVRRからわかる。
【0131】
図11に示すように、1回目の解析処理(ステップS56)の終了後、プロセッサー31は、ステップS56の解析処理中のステップSB15において算出した関心領域82~86ごとの脈拍数及びLF/HFを識別情報に対応づけて、脈拍数およびLF/HFを記憶デバイス33に記録する(ステップS57)。以下では、ステップS57において記憶デバイス33に記録された脈拍数のことを施術前脈拍数ともいい、その値をANa0と表す。ステップS57において記憶デバイス33に記録されたLF/HFのことを施術前LF/HFともいい、その値をANb0と表す。
【0132】
プロセッサー31は、ステップS56の解析処理中のステップSB16において算出した関心領域82~86ごとのCVRRを識別情報に対応づけて、CVRRを記憶デバイス33に記録する(ステップS57)。以下では、ステップS57において記憶デバイス33に記録されたCVRRのことを施術前CVRRともいい、その値をANc0と表す。
【0133】
なお、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとの脈拍数(ANa0)、LF/HF(ANb0)及びCVRR(ANc0)を数値でディスプレイデバイス14に表示させてもよい。
【0134】
使用者の顔に1回目のミスト浴が行われると、ミストカウンターN1が1である。そのため、プロセッサー31は、ミストカウンターN1が1であると判別するととともに(ステップS5:NO、ステップS15:YES)、ステップS56と同様にして、解析処理を実行する(ステップS66)。ミスト浴後における使用者の精神的なリラックス状態は、2回目の解析処理(ステップS66)のステップSB15において脈拍数又はLF/HFからわかるうえ、2回目の解析処理(ステップS66)のステップSB16において算出されたCVRRからわかる。
【0135】
2回目の解析処理(ステップS66)の終了後、プロセッサー31は、2回目の解析処理中のステップSB14において算出した関心領域82~86ごとのの脈拍数及びLF/HFを識別情報に対応づけて、脈波数及びLF/HFを記憶デバイス33に記録する。以下では、ステップS67において記憶デバイス33に記録された脈拍数のことを1回施術後脈拍数ともいい、その値をANa1と表す。ステップS67において記憶デバイス33に記録されたLF/HFのことを1回施術後LF/HFともいい、その値をANb1と表す。なお、プロセッサー31は、記憶デバイス33中の施術前脈拍数(ANa0)に続けて、1回施術後脈拍数(ANa1)を記憶デバイス33に記録して、これら脈拍数のデータ列(ANa0,ANa1)を生成してもよい。また、プロセッサー31は、記憶デバイス33中の施術前LF/HF(ANa0)に続けて、1回施術後LF/HF(ANb1)を記憶デバイス33に記録して、これらLF/HFのデータ列(ANa0,ANa1)を生成してもよい。また、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとの脈拍数のデータ列(ANa0,ANa1)及びLF/HFのデータ列(ANa0,ANa1)を数値又はグラフでディスプレイデバイス14に表示させてもよい。
【0136】
また、プロセッサー31は、2回目の解析処理(ステップS66)中のステップSB16において算出した関心領域82~86ごとのCVRRを識別情報に対応づけて、CVRRを記憶デバイス33に記録する(ステップS67)。以下では、ステップS67において記憶デバイス33に記憶されたCVRRのことを1回施術後CVRRともいい、その値をANc1と表す。なお、プロセッサー31は、記憶デバイス33中の施術前CVRR(ANc0)に続けて、1回施術後CVRR(ANc1)を記憶デバイス33に記録して、これらCVRRのデータ列(ANc0,ANc1)を生成してもよい。また、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとのCVRRのデータ列(ANc0,ANc1)をディスプレイデバイス14に表示させてもよい。
【0137】
次に、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、1回目の施術後の脈拍数(ANa1)に対する施術前の脈拍数(ANa0)の比率(ANa0/ANa1)を算出する(ステップS68)。以下では、この比率のことを脈拍数比率という。温ミスト浴による使用者の精神的なリラックス状態の変化は、脈拍数比率(ANa0/ANa1)からわかる。
【0138】
また、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、1回目の施術後のLF/HF(ANb1)に対する施術前のLH/HF(ANb0)の比率(ANb0/ANb1)を算出する(ステップS68)。以下では、この比率のことをLF/HF比率という。温ミスト浴による使用者の精神的なリラックス状態の変化は、LF/HF比率(ANb0/ANb1)からわかる。
【0139】
また、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、施術前のCVRR(ANc0)に対する1回目の施術前のCVRR(ANc1)の比率(ANc1/ANc0)を算出する(ステップS68)。以下では、この比率のことをCVRR比率という。温ミスト浴による使用者の精神的なリラックス状態の変化は、CVRR比率(ANc1/ANc0)からわかる。
【0140】
また、プロセッサー31は、脈拍数比率(ANa0/ANa1)、LF/HF比率(ANb0/ANb1)、CVRR比率(ANc1/ANc0)、設定時間及び設定温度を識別情報に対応付けて記憶デバイス33に記録する(ステップS68)。
【0141】
ステップS68後のステップS69では、プロセッサー31は、関心領域82~86のうち1つの特定関心領域の脈拍数比率(ANa0/ANa1)が第1所定閾値よりも大きいか否かを判別する(ステップS69)。第1所定閾値は、例えば1、1.1又は1.01である。その判別の結果、特定関心領域の脈拍数比率(ANa0/ANa1)が第1所定閾値よりも大きい場合には(ステップS69:YES)、プロセッサー31が前記ステップS20の処理と同様の処理を実行し、その後、プロセッサー31の処理がステップS2に戻る。なお、プロセッサー31の処理がステップS20からステップS2に戻る前に、プロセッサー31が記憶デバイス33から識別情報、脈拍数、LF/HF及びCVRRを読み取って、識別情報、脈拍数、LF/HF及びCVRRを無線通信機35に転送し、無線通信機35により他の機器に送信してもよい。
一方、ステップS69の判別の結果、特定関心領域の脈拍数比率(ANa0/ANa1)が第1所定閾値以下の場合には、更新設定処理を実行する(ステップS72)。
【0142】
なお、第1所定閾値が1であれば、脈拍数比率(ANa0/ANa1)が第1所定閾値を超えることは、施術前の脈拍数(Ba0)が施術後の脈拍数(Ba1)を超えることを意味する。つまり、脈拍数比率(ANa0/ANa1)が第1所定閾値を超えることは、使用者が顔面に温ミストを浴びることによって使用者の副交感神経が優位になって、使用者がリラックスしたことを意味する。
【0143】
なお、ステップS69における比較処理は以下の(1)~(5)のように変更されてもよい。
【0144】
(1) プロセッサー31は、関心領域82~86の脈拍数比率(ANa0/ANa1)の平均を第1所定閾値と比較する。比較の結果、関心領域82~86の脈拍数比率(ANa0/ANa1)の平均が第1所定閾値を超えれば(ステップS69:YES)、プロセッサー31の処理がステップS69からステップS20に移行する。比較の結果、関心領域82~86の脈拍数比率(ANa0/ANa1)の平均が第1所定閾値以下であれば、プロセッサー31の処理がステップS69からステップS72に移行する(ステップS69:NO)。
【0145】
(2) プロセッサー31は、関心領域82~86のうち1つの特定関心領域のLF/HF比率(ANb0/ANb1)を第1所定閾値と比較する。比較の結果、特定関心領域のLF/HF比率(ANb0/ANb1)が第1所定閾値を超えれば(ステップS69:YES)、プロセッサー31の処理がステップS69からステップS20に移行する。比較の結果、特定関心領域のLF/HF比率(ANb0/ANb1)が第1所定閾値以下であれば(ステップS69:NO)、プロセッサー31の処理がステップS69からステップS72に移行する。なお、LF/HF比率(ANb0/ANb1)が第1所定閾値を超えることは、使用者が顔面に温ミストを浴びることによって使用者の副交感神経が優位になって、使用者がリラックスしたことを意味する。
【0146】
(3) プロセッサー31は、関心領域82~86のLF/HF比率(ANb0/ANb1)の平均を第1所定閾値と比較する。比較の結果、関心領域82~86のLF/HF比率(ANb0/ANb1)の平均が第1所定閾値を超えれば(ステップS69:YES)、プロセッサー31の処理がステップS69からステップS20に移行する。比較の結果、関心領域82~86のLF/HF比率(ANb0/ANb1)の平均が第1所定閾値以下であれば、プロセッサー31の処理がステップS69からステップS72に移行する。
【0147】
(4) プロセッサー31は、関心領域82~86のうち1つの特定関心領域のCVRR比率(ANc1/ANb0)を第1所定閾値と比較する。比較の結果、特定関心領域のCVRR比率(ANc1/ANc0)が第1所定閾値を超えれば(ステップS69:YES)、プロセッサー31の処理がステップS69からステップS20に移行する。比較の結果、特定関心領域のCVRR比率(ANc1/ANc0)が第1所定閾値以下であれば、プロセッサー31の処理がステップS69からステップS72に移行する。なお、CVRR比率(ANc1/ANc0)が第1所定閾値を超えることは、使用者が顔面に温ミストを浴びることによって使用者の副交感神経が優位になって、使用者がリラックスしたことを意味する。
【0148】
(5) プロセッサー31は、関心領域82~86のCVRR比率(ANc1/ANc0)の平均を第1所定閾値と比較する。比較の結果、関心領域82~86のCVRR比率(ANc1/ANc0)の平均が第1所定閾値を超えれば、プロセッサー31の処理がステップS69からステップS20に移行する。比較の結果、関心領域82~86のCVRR比率(ANc1/ANc0)の平均が第1所定閾値以下であれば、プロセッサー31の処理がステップS69からステップS72に移行する。
【0149】
ステップS72の更新設定処理では、プロセッサー31は、特定関心領域の脈拍数比率(ANa0/ANa1)、LF/HF比率(ANb0/ANb1)又はCVRR比率(ANc1/ANc0)に基づいて時間倍率及び温度倍率を算出する。例えば、プロセッサー31は、次の表IIのようなルックアップテーブルを参照して、特定関心領域の脈拍数比率(ANa0/ANa1)、LF/HF比率(ANb0/ANb1)又はCVRR比率(ANc1/ANc0)に対応づけられた時間倍率及び温度倍率を算出する。ルックアップテーブルでは、脈拍数比率、LF/HF比率又はCVRR比率の値ごとに、時間倍率及び温度倍率の値が対応づけられている。
【0150】
なお、プロセッサー31は、関心領域82~86の脈拍数比率(ANa0/ANa1)、LF/HF比率(ANb0/ANb1)又はCVRR比率(ANc1/ANc0)の平均に基づいて時間倍率及び温度倍率を算出してもよい。例えば、プロセッサー31は、次の表IIのようなルックアップテーブルを参照して、関心領域82~86の脈拍数比率(ANa0/ANa1)、LF/HF比率(ANb0/ANb1)又はCVRR比率(ANc1/ANc0)の平均に対応づけられた時間倍率及び温度倍率を算出してもよい。
【0151】
【表2】
【0152】
そして、プロセッサー31は、算出した時間倍率をメモリー32中の設定時間の値に乗ずることによって、設定時間の値を更新する。また、プロセッサー31は、算出した温度倍率をメモリー32中の設定温度の値に乗ずることによって、設定温度の値を更新する。
【0153】
なお、2回目のミスト噴射処理(ステップS11)においては、プロセッサー31は、更新設定処理(ステップS71)における更新後の設定温度の値を温ミスト生成機22の温度制御回路に設定する。そうすると、温ミスト生成機22の電熱ヒーターが温ミスト生成機22の温度センサーの計測温度に基づいて温ミスト生成機22の温度制御回路によってフィードバック制御される。これにより、温ミスト生成機22は、一定の設定温度の温ミストを生成する。なお、3回目以降のミスト噴射処理についても同様である。
【0154】
また、2回目のミスト噴射処理(ステップS11)、時間判定処理(ステップS12)及び噴射終了処理(ステップS13)においては、更新設定処理(ステップS72)による更新後の設定時間の値に時間が温ミスト生成機22の動作の開始時から設定時間が経過したら、プロセッサー31が温ミスト生成機22、ファン23及びノズル駆動機構12を停止する。
【0155】
使用者の顔に2回目又はそれ以上のミスト浴が行われると、ミストカウンターN1が2以上である。そのため、プロセッサー31は、ミストカウンターN1がゼロ及び1でない(すなわち2以上)と判別するとともに(ステップS5:NO、ステップS15:NO)、メモリー32中の設定時間の値を第2所定閾値よりも小さいか否かを判別する(ステップS80)。第2所定閾値は、例えば設定時間のデフォルト値の2倍である。2倍という倍率は、上記の表IIにおいて、0.8未満の脈拍数比率に対応づけられた時間倍率に等しい。
【0156】
メモリー32中の設定時間の値が第2所定閾値よりも小さくない場合には(ステップS80:NO)、プロセッサー31がステップS31の処理を実行する一方、メモリー32中の設定時間の値が第2所定閾値よりも小さい場合には(ステップS80:YES)、プロセッサー31がステップS56と同様の解析処理を実行する(ステップS82)。
【0157】
なお、プロセッサー31は、メモリー32中の設定温度の値を第2所定閾値と比較してもよい。この場合、第2所定閾値は、例えば設定温度のデフォルト値の1.03倍である。1.03倍という倍率は、上記の表IIにおいて、0.8未満の脈拍数比率に対応づけられた温度倍率に等しい。
【0158】
3回目又はそれ以上の解析処理(ステップS82)の終了後、プロセッサー31は、ステップS82中のステップSB15において算出した関心領域82~86ごとの脈拍数及びLF/HFを識別情報に対応づけて、脈拍数およびLF/HFを記憶デバイス33に記録する(ステップS83)。以下では、この脈拍数のことを今回施術後脈拍数ともいい、その値をANa2と表す。このLF/HFのことを今回施術後LF/HFともいい、その値をANb2と表す。
【0159】
また、プロセッサー31は、ステップS82中のステップSB16において算出した関心領域82~86ごとのCVRRを識別情報に対応づけて、CVRRを記憶デバイス33に記録する(ステップS83)。以下では、このCVRRのことを今回施術後CVRRともいい、その値をANc2と表す。なお、プロセッサー31は、前回施術後のCVRRのデータ列(ANc0,ANc1)に続けて、今回施術後CVRR(ANc2)を記憶デバイス33に記録して、これら脈波振幅のデータ列(ANc0,ANc1,ANc2)を生成してもよい。また、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとのこれら脈波振幅のデータ列(ANc0,ANc1,ANc2)を数値又はグラフでディスプレイデバイス14に表示させてもよい。
【0160】
ステップS83の記録後、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、今回の施術後の脈拍数(ANa0)に対する前回の施術後の脈拍数(ANa1)の比率(ANa1/ANa0)を算出する(ステップS84)。
【0161】
また、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、今回の施術後のLF/HF(ANb2)に対する前回の施術後のLF/HF(ANb1)の比率(ANb1/ANb2)を算出する(ステップS84)。
【0162】
また、プロセッサー31は、関心領域82~86ごとに、前回の施術後のCVRR(ANc1)に対する今回の施術後のCVRR(ANb2)の比率(ANc2/ANc1)を算出する(ステップS84)。
【0163】
ステップS84の算出後、プロセッサー31は、関心領域82~86のうち1つの特定関心領域の脈拍数比率(ANa1/ANa2)を第1所定閾値と比較する(ステップS85)。比較の結果、特定関心領域の脈拍数比率(ANa1/ANa2)が第1所定閾値を超えれば、プロセッサー31の処理がステップS85からステップS36に移行し、その後ステップS2に戻る。比較の結果、特定関心領域の脈拍数比率(ANa1/ANa2)が第1所定閾値以下であれば、プロセッサー31の処理がステップS85から順にステップS37及びステップS38に移行する。なお、プロセッサー31の処理がステップS36又はステップS38からステップS2に戻る前に、プロセッサー31が記憶デバイス33から識別情報、脈拍数、LF/HF及びCVRRを読み取って、識別情報、脈拍数、LF/HF及びCVRRを無線通信機35に転送し、無線通信機35により他の機器に送信してもよい。
【0164】
ステップS38の以後は、メモリー32中の設定時間又は設定温度の値が第2所定閾値以上になるまで(ステップS80:NO)、又は、使用者がタッチパネル15又は押しボタンスイッチ16により終了のコマンドをプロセッサー31に与えるまで(ステップS38:NO)、ステップS38,S72,S8~S14,S5,S15,S80,S82~85及びS37の一連の処理が繰り返される。
【0165】
なお、ステップS85は以下の(1)~(5)のように変更されてもよい。
【0166】
(1) プロセッサー31は、関心領域82~86の脈拍数比率(ANa1/ANa2)の平均を第1所定閾値と比較する。比較の結果、関心領域82~86の脈拍数比率(ANa1/ANa2)の平均が第1所定閾値を超えれば、プロセッサー31の処理がステップS85からステップS36に移行する。比較の結果、関心領域82~86の脈拍数比率(ANa1/ANa2)の平均が第1所定閾値以下であれば、プロセッサー31の処理がステップS85からステップS37に移行する。
【0167】
(2) プロセッサー31は、関心領域82~86のうち1つの特定関心領域のLF/HF比率(ANb1/ANb2)を第1所定閾値と比較する。比較の結果、特定関心領域のLF/HF比率(ANb1/ANb2)が第1所定閾値を超えれば、プロセッサー31の処理がステップS85からステップS36に移行する。比較の結果、特定関心領域のLF/HF比率(ANb1/ANb2)が第1所定閾値以下であれば、プロセッサー31の処理がステップS85からステップS37に移行する。
【0168】
(3) プロセッサー31は、関心領域82~86のLF/HF比率(ANb1/ANb2)の平均を第1所定閾値と比較する。比較の結果、関心領域82~86のLF/HF比率(ANb1/ANb2)の平均が第1所定閾値を超えれば、プロセッサー31の処理がステップS85からステップS36に移行する。比較の結果、関心領域82~86のLF/HF比率(ANb1/ANb2)の平均が第1所定閾値以下であれば、プロセッサー31の処理がステップS85からステップS37に移行する。
【0169】
(4) プロセッサー31は、関心領域82~86のうち1つの特定関心領域のCVRR比率(ANc2/ANb1)を第1所定閾値と比較する。比較の結果、特定関心領域のCVRR比率(ANc2/ANc1)が第1所定閾値を超えれば、プロセッサー31の処理がステップS85からステップS36に移行する。比較の結果、特定関心領域のCVRR比率(ANc2/ANc1)が第1所定閾値以下であれば、プロセッサー31の処理がステップS85からステップS37に移行する。
【0170】
(5) プロセッサー31は、関心領域82~86のCVRR比率(ANc2/ANc1)の平均を第1所定閾値と比較する。比較の結果、関心領域82~86のCVRR比率(ANc2/ANc1)の平均が第1所定閾値を超えれば、プロセッサー31の処理がステップS85からステップS36に移行する。比較の結果、関心領域82~86のCVRR比率(ANc2/ANc1)の平均が第1所定閾値以下であれば、プロセッサー31の処理がステップS85からステップS37に移行する。
【0171】
なお、使用者がミスト浴装置1を多数回利用すると、プロセッサー31がステップS68を多数回実行するため、多数の脈拍数比率(ANa0/ANa1)、LF/HF比率(ANb0/ANb1)及びCVRR比率(ANc1/ANc0)が記憶デバイス33に蓄積される。プロセッサー31は、多数の多数の脈拍数比率(ANa0/ANa1)、LF/HF比率(ANb0/ANb1)及びCVRR比率(ANc1/ANc0)の中から最大なものに対応づけられた設定時間及び設定温度の値を取り出して、それらをステップS3においてデフォルト値として設定する。多数の多数の脈拍数比率(ANa0/ANa1)、LF/HF比率(ANb0/ANb1)及びCVRR比率(ANc1/ANc0)の中で最大なものに対応づけられた設定時間及び設定温度の値は、使用者の顔面全体の血行が最も良くなるための条件である。なお、プロセッサー31は、1日の中の時間帯ごとに又は季節ごとに、最大な多数の脈拍数比率(ANa0/ANa1)、LF/HF比率(ANb0/ANb1)又はCVRR比率(ANc1/ANc0)に対応づけられた設定時間及び設定温度の値を記憶デバイス33に記憶してもよい。
【0172】
以上の第二の実施形態によれば、プロセッサー31は、温ミスト浴の前の第1映像から得られた第1自律神経系指標(つまり、脈拍数(ANa0)、LF/HF(ANb0)又はCVRR(ANc0))と、温ミスト浴の後の第2映像から得られた第2自律神経系指標(つまり、脈拍数(ANa1)、LF/HF(ANb1)又はCVRR(ANc1))との比較結果(つまり、脈拍数比率(ANa0/ANa1)、LF/HF比率(ANb0/ANb1)及びCVRR比率(ANc1/ANc0))に基づいて、再度のミスト浴のミストの温度と浴時間との少なくとも一方を設定する(ステップS72)。よって、使用者の精神的なリラックス状態に合わせた適切な温度の温ミストが、リラックス状態に合わせた適切な時間の間中、使用者の顔面に浴びせられる。そのため、効率的な再度の温ミスト浴が行われる。
【0173】
また、第1自律神経系指標は、温ミスト浴の前の第1映像における関心領域82~86のうち少なくとも一つの特定関心領域について算出された緑色階調値の時系列データから求まる脈拍数(ANa0)、高低周波成分パワー比率(ANb0)又はCVRR(ANc0)に基づく指標である。第2自律神経系指標は、温ミスト浴の後の第2映像における関心領域82~86のうち少なくとも一つの特定関心領域について算出された緑色階調値の時系列データから求まる脈拍数(ANa1)、高低周波成分パワー比率(ANb1)又はCVRR(ANc1)に基づく指標である。よって、温ミスト浴による使用者の精神的なリラックス状態の変化が第1及び第2の自律神経系指標からわかる。
【0174】
また、ステップS69の比較処理において特定関心領域の脈拍数比率(ANa0/ANa1)が第1所定閾値以下であれば、プロセッサー31がミスト噴射処理(ステップS61)を再度実行することによって、温ミストが使用者の顔面に浴びせられる。1回目の温ミスト浴でも使用者が精神的にリラックスしなくても、再度の温ミスト浴で使用者が精神的にリラックスする。
【0175】
また、記録処理(ステップS67)において脈拍数のデータ列(ANa0,ANa1)、LF/HFのデータ列(ANb0,ANb1)又はCVRRのデータ列(ANc0,ANc1)が数値又はグラフでディスプレイデバイス14に表示されるため、使用者は1回目の温ミスト浴によるリラックス効果を視覚的に実感できる。記録処理(ステップS83)において脈拍数のデータ列、LF/HFのデータ列又はCVRRのデータ列が数値又はグラフでディスプレイデバイス14に表示されるため、使用者は2回目以降の温ミスト浴によるリラックス効果を視覚的に実感できる。
【0176】
<<変形例>>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態及び図示例に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。上記実施形態で示した構成、構造、位置関係および形状などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0177】
例えば、上記実施形態では、施術がミスト浴であり、電子機器がミスト浴装置1であったが、電子機器は、使用者に対して施術を行う機器であれば、ミスト浴装置1に限るものではない。例えば、電子機器は、按摩を行うマッサージ装置、又は、筋肉に電気的刺激を与えるEMS(Electrical Muscle Stimulation)装置であってもよい。
【0178】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0179】
1 ミスト浴装置
11 ノズル
17 撮像装置
18 照明器
31 プロセッサー(処理部)
32 メモリー
33 記憶デバイス
82~86 関心領域
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