(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046392
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240327BHJP
H04N 1/34 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
G06Q50/10
H04N1/34 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151755
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 健作
(72)【発明者】
【氏名】堀田 敬一
(72)【発明者】
【氏名】川野 晴子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】連係処理の実行前に、料金を考慮した連係処理の設定を行って連係処理の実行が可能な情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】ジョブフロー管理機構11が、画像形成装置12等からジョブフローの実行を受け付け、受け付けたジョブフローに含まれる処理について、それぞれ料金が異なる複数の選択肢を提示し、ジョブフローを実行する前に、選択された選択肢での料金を計算して提示する処理を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理の実行を受け付け、
受け付けた前記連係処理に含まれる処理について、それぞれ料金が異なる複数の選択肢を提示し、
前記連係処理を実行する前に、選択された前記選択肢での料金を計算して提示する処理を行う情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、処理精度、及び処理に必用な時間の少なくとも一方に応じて予め定めた料金が設定された選択肢を提示する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記連係処理の各処理の標準設定として、管理者が予め設定した選択肢を提示する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、予算残高に応じて前記選択肢を変更する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、予算残高が予め定めた制限値以下の場合、前記標準設定より安い処理を推奨、又は強制する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記連係処理の終了後に、終了したことを通知する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、ユーザに紐付いた情報処理端末に終了したことをプッシュ通知する請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理装置と、
前記連係処理の選択及び実行指示の操作を提供する画像形成装置と、
を含む情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータに、
予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理の実行を受け付け、
受け付けた前記連係処理に含まれる処理について、それぞれ料金が異なる複数の選択肢を提示し、
前記連係処理を実行する前に、選択された前記選択肢での料金を計算して提示する処理を実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ジョブフローサービス装置が指示書を作成し、投入された料金に基づいて課金情報を作成し、それらを複合機に送信し、複合機が指示書に従ってスキャン処理を実施し、課金情報の金額からスキャン処理の金額を減算し、スキャンデータ・指示書・課金情報を画像処理装置に送信し、ファイル管理装置が指示書に従ってPDFファイルを格納し、課金情報の金額からPDFファイル格納の金額を減算し、ジョブフローの完了の通知・課金情報をジョブフローサービス装置に送信し、ジョブフローサービス装置が課金情報からおつりの有無を確認し、おつりが有る場合はおつりが有る旨をPCに送信するジョブフローサービスシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用者が予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理の実行に対して課金する場合、連係処理を実行した後に、各処理内容から一義的に決定した料金を精算して請求を行うため、実行前に料金を考慮した連係処理の設定ができなかった。
【0005】
そこで、本開示は、連係処理の実行前に、料金を考慮した連係処理の設定を行って連係処理の実行が可能な情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1態様に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理の実行を受け付け、受け付けた前記連係処理に含まれる処理について、それぞれ料金が異なる複数の選択肢を提示し、前記連係処理を実行する前に、選択された前記選択肢での料金を計算して提示する処理を行う。
【0007】
第2態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、処理精度、及び処理に必用な時間の少なくとも一方に応じて予め定めた料金が設定された選択肢を提示する。
【0008】
第3態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記連係処理の各処理の標準設定として、管理者が予め設定した選択肢を提示する。
【0009】
第4態様に係る情報処理装置は、第3態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、予算残高に応じて前記選択肢を変更する。
【0010】
第5態様に係る情報処理装置は、第3態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、予算残高が予め定めた制限値以下の場合、前記標準設定より安い処理を推奨、又は強制する。
【0011】
第6態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記連係処理の終了後に、終了したことを通知する。
【0012】
第7態様に係る情報処理装置は、第6態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、ユーザに紐付いた情報処理端末に終了したことをプッシュ通知する。
【0013】
第8態様に係る情報処理システムは、第1態様に係る情報処理装置と、前記連係処理の選択及び実行指示の操作を提供する画像形成装置と、を含む。
【0014】
第9態様に係る情報処理プログラムは、コンピュータに、予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理の実行を受け付け、受け付けた前記連係処理に含まれる処理について、それぞれ料金が異なる複数の選択肢を提示し、前記連係処理を実行する前に、選択された前記選択肢での料金を計算して提示する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
第1態様によれば、連係処理の実行前に、料金を考慮した連係処理の設定を行って連係処理の実行が可能な情報処理装置を提供できる。
【0016】
第2態様によれば、連係処理の実行前に、料金を考慮した連係処理の設定が可能となる。
【0017】
第3態様によれば、管理者が推奨する選択肢を標準設定として提示できる。
【0018】
第4態様によれば、予算残高に合せて提示する選択肢を変更できる。
【0019】
第5態様によれば、予算残高が制限値以下の場合でも標準設定を提示する場合に比べて、予算残高の減少を抑制することが可能となる。
【0020】
第6態様によれば、連係処理が直ぐに終了しない場合でもユーザが連係処理の終了を認識できる。
【0021】
第7態様によれば、連係処理の実行を指示した装置の前にいなくても連係処理の終了を認識できる。
【0022】
第8態様によれば、連係処理の実行前に、料金を考慮した連係処理の設定を行って連係処理の実行が可能な情報処理システムを提供できる。
【0023】
第9態様によれば、連係処理の実行前に、料金を考慮した連係処理の設定を行って連係処理の実行が可能な情報処理プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る情報処理システムにおける画像形成装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る情報処理システムにおけるクラウドサーバの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【
図5】ジョブフローの従来の料金の一例を示す図である。
【
図6】ジョブフローに含まれる処理について、それぞれ料金が異なる複数の選択肢を提示する場合の料金の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る情報処理システムのジョブフロー管理機構として機能するクラウドサーバで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】管理者によって予め設定されたデフォルトのジョブフローと各処理の単価の表示例と、選択可能なOCR処理と単価の表示例を示す図である。
【
図9】管理者によって予め設定された制限時のジョブフローの表示例を示す図である。
【
図10】処理精度に応じて予め定めた料金が設定された選択肢を表示する例を示す図である。
【
図11】処理精度と処理に必用な時間とに応じて予め定めた料金が設定された選択肢を表示する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
【0026】
本実施形態に係る情報処理システム10は、ジョブフローを基に、読取文書に対する処理を行い、各処理結果に応じて課金を行う。なお、ジョブフローは、予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理である。また、本開示において、ジョブとは、予め定められた機能を実現するために画像形成装置12やクラウドサービス等が実行する処理または処理の集まりをいう。
【0027】
本実施形態に係る情報処理システム10は、
図1に示すように、画像形成装置12、情報処理端末13、情報処理装置の一例としてのジョブフロー管理機構11、クラウドリソース管理機構14、及びプッシュプロバイダ16を含む。
【0028】
画像形成装置12は、ユーザに対してジョブフローの選択及び実行指示などの操作を提供する。画像形成装置12は、ジョブフロー管理機構11やクラウドリソース管理機構14、情報処理端末13と、インタフェースを介して接続されている。画像形成装置12は、例えば、ジョブフロー管理機構11が定義するジョブフローに従って文書を読み取って送信する処理等を行う。
【0029】
情報処理端末13は、パーソナルコンピュータや、タブレット、スマートフォン等が適用され、画像形成装置12と同様に、ユーザに対してジョブフローの選択などの操作を提供する。また、情報処理端末13は、クラウドリソース管理機構14とインタフェースを介して接続されると共に、プッシュプロバイダ16とAPI(Application Programming Interface)を介して接続されている。
【0030】
画像形成装置12及び情報処理端末13は、ユーザA及びユーザBを含むグループに所属するユーザが使用し、ジョブフローの選択や、ジョブフロー結果の受信、通知等を行う。
【0031】
ジョブフロー管理機構11は、グループテーマ共通で現れる課金や管理の機構として機能し、ジョブフローをクラウドサービスとして提供する。ジョブフロー管理機構11では、主に、ユーザに提供するジョブフローの定義、ユーザ管理、利用可能なジョブフローの一覧の提示、ジョブフローの料金計算、ジョブフローの結果の通知と最終処理等の機能を提供する。
【0032】
クラウドリソース管理機構14は、所定の企業が提供するテナントで使用するコンピューティングリソースの管理及び調整を行う。本実施形態では動的にリソースを調達し、全体としての最適リソース計画を実現するために使用している。
【0033】
処理クラウド15は、クラウドリソース管理機構14が管理するリソースであり、ジョブフローを実現するための処理ノードとして機能する。一例としては、クラウド業者内に存在するテナントである。例えば、ストレージサービス、OCRサービス、処理結果等を表計算アプリケーションやプログラミング言語等と連携するためのサービスなどがある。ストレージサービスとしては、例えば、読み取った文書画像やOCRでの認識結果等を格納する。また、OCRサービスは、例えば、画像を読み取り、認識したテキストを出力する。また、処理結果等を表計算アプリケーションやプログラミング言語等と連携するためのサービスは、例えば、認識したテキストが名刺であった場合、当該シートに自動記入する等の処理を行う。
【0034】
プッシュプロバイダ16は、スマートフォン等の携帯電話やパーソナルコンピュータの画面上に自動的にメッセージを配信するウェブプッシュサービスを提供する。
【0035】
本実施形態に係る情報処理システム10において、ジョブフロー管理機構11、クラウドリソース管理機構14、処理クラウド15、及びプッシュプロバイダ16は、例えば、クラウドサーバが提供するサービスが適用される。ジョブフロー管理機構11、クラウドリソース管理機構14、処理クラウド15、及びプッシュプロバイダ16は、それぞれ別のクラウドサーバ又は一部が別のクラウドサーバが提供するサービスとしてもよいし、単一のクラウドサーバが提供するサービスとしてもよい。
【0036】
続いて、画像形成装置12の構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る情報処理システム10における画像形成装置12の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【0037】
本実施形態に係る画像形成装置12は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、及びRAM(Random Access Memory)20Cを含むコントロール・ユニット20を備えている。CPU20Aは、画像形成装置12の全体の動作を司る。RAM20Cは、CPU20Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。ROM20Bは、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。そして、画像形成装置12は、コントロール・ユニット20の各部がシステムバス42によって電気的に接続されている。
【0038】
また、本実施形態に係る画像形成装置12は、各種データやアプリケーション・プログラム等を記憶するHDD(hard disk drive)26を備えている。また、画像形成装置12は、ユーザインタフェース22に接続され、ユーザインタフェース22のディスプレイへの各種の操作画面等の表示を制御する表示制御部28を備えている。また、画像形成装置12は、ユーザインタフェース22に接続され、ユーザインタフェース22を介して入力される操作指示を検出する操作入力検出部30を備えている。そして、画像形成装置12では、HDD26、表示制御部28、及び操作入力検出部30がシステムバス42に電気的に接続されている。なお、本実施形態に係る画像形成装置12では、記憶部としてHDD26を適用しているが、これに限らず、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部を適用してもよい。
【0039】
また、本実施形態に係る画像形成装置12は、原稿読取部44による光学的な画像の読み取り動作、及び原稿搬送部による原稿送り動作を制御する読取制御部32と、画像形成部24による画像形成処理、及び搬送部25による画像形成部24への用紙の搬送を制御する画像形成制御部34と、を備えている。また、画像形成装置12は、各種通信回線に接続され、当該通信回線に接続されたクラウドサーバ18(
図3参照)等の他の外部装置と通信データの送受信を行う通信回線I/F(インタフェース)部36と、を備えている。また、画像形成装置12は、図示しない電話回線に接続され、当該電話回線に接続されているファクシミリ装置とファクシミリデータの送受信を行うファクシミリI/F(インタフェース)部38を備えている。また、画像形成装置12は、ファクシミリI/F部38を介したファクシミリデータの送受信を制御する送受信制御部40を備えている。そして、画像形成装置12では、送受信制御部40、読取制御部32、画像形成制御部34、通信回線I/F部36、ファクシミリI/F部38、及びログ収集部46がシステムバス42に電気的に接続されている。
【0040】
以上の構成により、本実施形態に係る画像形成装置12は、CPU20Aにより、RAM20C、ROM20B、及びHDD26へのアクセスを各々実行する。また、画像形成装置12は、CPU20Aにより、表示制御部28を介したユーザインタフェース22のディスプレイへの操作画面、各種のメッセージ等の情報の表示の制御を実行する。また、画像形成装置12は、CPU20Aにより、読取制御部32を介した原稿読取部44及び原稿搬送部の作動の制御を実行する。また、画像形成装置12は、CPU20Aにより、画像形成制御部34を介した画像形成部24及び搬送部25の作動の制御と、通信回線I/F部36を介した通信データの送受信の制御と、を各々実行する。また、画像形成装置12は、CPU20Aにより、送受信制御部40によるファクシミリI/F部38を介したファクシミリデータの送受信の制御を実行する。さらに、画像形成装置12は、CPU20Aにより、操作入力検出部30によって検出された操作情報に基づくユーザインタフェース22における操作内容の把握が行われ、この操作内容に基づく各種の制御を実行する。
【0041】
続いて、ジョブフロー管理機構11、クラウドリソース管理機構14、処理クラウド15、及びプッシュプロバイダ16等のクラウドサービスを提供するクラウドサーバの構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る情報処理システム10におけるクラウドサーバ18の電気系の要部構成を示すブロック図である。なお、クラウドサーバ18は、単数でも複数でもよいが、何れも同様の構成であるため、代表的なクラウドサーバ18の構成を説明する。
【0042】
本実施形態に係るクラウドサーバ18は、
図3に示すように、CPU18A、ROM18B、RAM18C、HDD18D、操作部18E、ディスプレイ18F、及び通信回線I/F(インタフェース)部18Gを備えている。CPU18Aは、クラウドサーバ18の全体の動作を司る。ROM18Bは、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。RAM18Cは、CPU18Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。HDD18Dは、各種のデータやアプリケーション・プログラム等が記憶される。操作部18Eはキーボードやマウス等が適用され、各種の情報を入力するために用いられる。ディスプレイ18Fは、各種の情報を表示するために用いられる。通信回線I/F部18Gは、各種通信回線に接続され、当該通信回線に接続された他の装置と各種データの送受信を行う。以上のクラウドサーバ18の各部はシステムバス18Hにより電気的に相互に接続されている。なお、本実施形態に係るクラウドサーバ18では、HDD18Dを記憶部として適用しているが、これに限らず、フラッシュメモリ等の他の不揮発性の記憶部を適用してもよい。
【0043】
以上の構成により、本実施形態に係るクラウドサーバ18は、CPU18Aにより、ROM18B、RAM18C、及びHDD18Dに対するアクセス、操作部18Eを介した各種データの取得、ディスプレイ18Fに対する各種情報の表示を各々実行する。また、クラウドサーバ18は、CPU18Aにより、通信回線I/F部18Gを介した通信データの送受信の制御を実行する。
【0044】
本実施形態では、CPU18AがROM18BまたはHDD18Dに記憶された情報処理プログラムを実行することにより、ジョブフロー管理機構11として機能する。そして、ジョブフロー管理機構11は、画像形成装置12等から連係処理としてのジョブフローの実行を受け付け、受け付けたジョブフローに含まれる処理について、それぞれ料金が異なる複数の選択肢を提示し、ジョブフローを実行する前に、選択された選択肢での料金を計算して提示する処理を行う。
【0045】
ここで、基本的なジョブフローについて説明する。
図4は、ジョブフローの一例を示す図である。
【0046】
本実施形態では、基本はユーザが定義したジョブフローを実行し、その実行結果に応じて料金を請求する。
【0047】
例えば、
図4に示すジョブフローを考える。すなわち、領収書読取、読取画像を共有用ストレージへ格納、OCR処理実施、認識結果をスプレットシートへ記入、処理担当者へ連絡、終了の順に順次処理を行う。
【0048】
ジョブフローのそれぞれの処理には料金が設定されており、一例として
図5に示すようになっていたとする。
図5は、ジョブフローの従来の料金の一例を示す図である。
図5の例では、読取りの単価が10円、ストレージへ格納は料金なし、OCRのリアルタイム処理で手書き文字の単価が50円、スプレットシートへ記載の単価が1円、担当者へ連絡の単価が0.1円に設定されている。
【0049】
課金先は、ユーザが所属する組織のウォレットに紐づいており、グループで共有されるものとする。また、ウォレットには上限額が設定可能で必要に応じて使用料制限なども実施可能とされている。
【0050】
また、ウォレットの残量に応じて安い機能への誘導を行い、総量規制を回避しつつサービスを継続利用可能としている。
【0051】
ところで、従来のジョブフローの課金では、ジョブフローを実行した後に、各処理の内容から一義的に決定した料金精算して請求を行うため、実行前に料金を考慮したジョブフローの設定ができなかった。
【0052】
そこで、本実施形態では、ジョブフローの実行前に、料金を考慮したジョブフローの設定を行う。
【0053】
例えば、OCRのようなコストが高い処理に関して、より安いコストで提供できる以下のような運用を行えばより低コストで提供可能となる。
・オークション式のリソースを使用する等により、需要が少ない時間帯に処理する。
・処理能力が小さいリソースを使用する等のように、時間がかかるが、必要リソースが少ない実装を使用する。
【0054】
しかしながら、リアルタイムな処理には向かない、処理に時間がかかっていつ処理されるか特定できない、一定以上の処理量が確保されないとリソースの割り当てが行い難い、といった問題が発生する。
【0055】
これらの問題を解決するために本実施形態では、以下の機能を追加して問題を解決する。
1.画像形成装置12の前で処理が終了するという前提をなくし、代わりに処理が終了すると携帯端末等の情報処理端末13に結果を必要に応じて通知する。
2.処理を提供するスパンを、リアルタイム、数時間以内、一日以内、一週間程度の何れかに設定可能とする。
【0056】
これにより、
図6に示すようなジョブフローサービスの提供が可能となる。
図6は、ジョブフローに含まれる処理について、それぞれ料金が異なる複数の選択肢を提示する場合の料金の一例を示す図である。
【0057】
図6の例では、読取りの単価が10円、ストレージへ格納は料金なし、OCRのリアルタイム処理で手書き文字の単価が50円、OCRの数時間以内で手書き文字の単価が30円、OCRの数日以内で手書き文字の単価が10円、文書のダウンロード高速の単価が5円、文書のダウンロード速度制限有りが料金なし、スプレットシートへ記載の単価が1円、担当者へ連絡の単価が0.1円に設定されている。
【0058】
また、これらを組み合わせて使用することにより以下のサービスが安価に提供され得る。
1.社外で書類を読み取って、帰社後に処理結果を受け取る。
2.領収書など、今すぐ必要ではない処理結果を期日までに受け取る。
3.大量のアンケート用紙などを後日まとめて処理する。
4.ウォレットの残高に合わせてより安いサービスへ誘導する。
5.文書を取り出す場合、ウォレットの状態に合わせて転送速度に制限がかかる。
6.カラーコピーや大判コピー紙が使用できない、又は制限される。大判コピーが制限される場合、縮小なども同時に指定される。
7. OCR又はフォーム認識等が使用できなくなった場合、スプレットシートには読み取った文書が添付されるのみになる。
8.制限によるが、文書の読取りや印刷が出来なくなる。
9.他の組織と処理負荷を共有することにより、より高価なサービスが選択されやすくする。なお、政治的理由により専用の処理負荷だけで対処する場合、リソースの適用制限そのままで処理される。例えば、名刺を読み取った場合、処理上はA3一杯に名刺データが並んだ状態で処理される。
【0059】
上述のサービスを使用する際には、管理者は、組織がサービス利用するにあたって、予め定めた与信枠内でいくらまで使用できるかを事前に設定する。また、サービスが提供するジョブフローのテンプレートから、自組織で使用するものを選択する。または、新規に作成する。なお、必要に応じてデフォルトのサービスレベルも指定可能とする。
【0060】
また、管理者は、ウォレット内の残高に合わせて性能レベルをどうするかポリシーを設定する。例えば、ウォレット内の残高が、50%を切ったらサービスのレベルを1ランク下げ、25%を切ったら2ランク下げ、0%で利用禁止することが可能とする。或いは、例えば、ウォレット内の残高が、70%を切ったらサービスのレベルを1ランク下げ、50%を切ったら2ランク下げ、10%で最安値のみ使用可能とし、上限なしとする。
【0061】
また、管理者は、情報処理端末13やユーザを管理するクラウドサービスに組織のメンバーを登録する。例えば、残高の上限がある通常メンバーとマネージャ等の無制限メンバーなどのグループを作成する。
【0062】
続いて、ユーザがジョブフローサービスを使用する場面について説明する。
ユーザは画像形成装置12などの前で操作を開始し、所望のジョブフローを選択する。この時、ジョブフローによってはサービスレベルの選択が可能になっており、サービスレベルは低いがより安価なものを選択可能になっている。デフォルトは、組織管理者が選択又は作成したジョブフローの通りとなる。
【0063】
なお、ジョブフローの終了に関する通知は使用したデバイス上に表示されるか、ユーザに紐づいた情報処理端末13等にプッシュ通知される。プッシュ通知の内容は、最終的に選択されたサービスレベルに依存する。
【0064】
ジョブフローを選択する際に、ウォレットの残高が十分にある場合は、管理者が設定した標準設定のジョブフローが実施される。但し、ユーザの判断で安価なサービスを選択してもよい。
【0065】
ウォレットの残高が予め定めた制限値以下の場合には、管理者が設定したポリシーに基づき、高価な処理が利用できない旨が通知され、より安い処理を使用するよう促される、または強制される。例えば、リアルタイムに処理されるOCRを使用するジョブフローの場合、数時間以内または1日以内に処理されるなどの料金が安い処理が推奨されるなどとなる。
【0066】
ウォレットが枯渇している場合には、管理者に連絡してウォレットを拡大してもらう。若しくは、利用が出来なくなり、制限を超えていることの警告が行われる。
【0067】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る情報処理システム10のジョブフロー管理機構11として機能するクラウドサーバ18で行われる具体的な処理の一例について説明する。
図7は、本実施形態に係る情報処理システム10のジョブフロー管理機構11として機能するクラウドサーバ18で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図7の処理は、ユーザ認証後に、ジョブフローの選択が行われた場合に開始するものとして説明する。
【0068】
ステップ100では、CPU18Aが、ウォレットの残高を確認してステップ102へ移行する。
【0069】
ステップ102では、CPU18Aが、ウォレット残高が予め定めた制限値以下であるか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ104へ移行し、肯定された場合にはステップ124へ移行する。
【0070】
ステップ104では、CPU18Aが、処理単価を含めてジョブフローを表示してステップ106へ移行する。例えば、
図8左側に示すように、管理者によって予め設定されたデフォルトのジョブフローを表示し、各処理の単価も表示する。
【0071】
ステップ106では、CPU18Aが、処理選択が指示されたか否かを判定する。該判定は、例えば、
図8の例では、「OCR選択」が指示されたか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ108へ移行し、否定された場合にはステップ116へ移行する。
【0072】
ステップ108では、CPU18Aが、選択可能な処理を表示してステップ110へ移行する。例えば、
図8の例では、
図8右側に示すように、選択可能なOCR処理を単価と共に表示する。なお、
図8では、ジョブフローを表示する画面と、処理を選択する画面を別画面として示すが、これに限るものではなく、例えば、同一画面上に、ジョブフローと処理の選択を表示する画面としてもよい。
【0073】
ステップ110では、CPU18Aが、選択が終了したか否かを判定する。該判定は、例えば、
図8の「決定」が指示されたか否かを判定する。該判定が肯定されるまで待機してステップ112へ移行する。
【0074】
ステップ112では、CPU18Aが、選択結果に応じて変更したジョブフローを表示してステップ114へ移行する。例えば、
図8左側に示す表示に対して、変更したジョブフローを表示し、各処理の単価も変更して表示する。
【0075】
ステップ114では、CPU18Aが、処理選択が指示されたか否かを判定する。該判定は、ステップ106と同様に、例えば、
図8の例では、「OCR選択」が指示されたか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ108へ移行し、否定された場合にはステップ116へ移行する。
【0076】
ステップ116では、CPU18Aが、開始が指示されたか否かを判定する。該判定は、
図8の「開始」が指示されたか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ118へ移行し、「キャンセル」が指示されて判定が否定された場合には一連の処理を修了する。
【0077】
ステップ118では、CPU18Aが、ジョブフローを実行してステップ120へ移行する。
【0078】
ステップ120では、CPU18Aが、ジョブフローが完了したか否かを判定する。該判定が肯定されるまで待機してステップ122へ移行する。
【0079】
ステップ122では、CPU18Aが、結果を通知して一連の処理を終了する。例えば、予め登録されたユーザの情報処理端末13等にジョブフローが終了したことを電子メール等で通知する。
【0080】
一方、ステップ124では、CPU18Aが、ウォレット残高が枯渇しているか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ126へ移行し、否定された場合にはステップ128へ移行する。
【0081】
ステップ126では、CPU18Aが、ウォレット残高なしを表示して一連の処理を終了する。表示を確認したユーザは管理者にウォレットの補充等を依頼する。
【0082】
ステップ128では、CPU18Aが、ジョブフローの制限時の処理を表示してステップ110へ移行する。例えば、
図9に示すように、管理者によって予め設定された制限時のジョブフローを表示する。また、ウォレット残高が少なくなっていることを表示してもよい。
図10の例ではOCRの単価が安い処理に強制的に制限した例を示す。
【0083】
なお、上記の実施形態では、処理に必要な時間に応じて予め定めた料金が設定された選択肢を表示する例を説明したが、これに限るものではない。例えば、
図10に示すように、処理精度に応じて予め定めた料金が設定された選択肢を表示してもよい。或いは、
図11に示すように、処理精度と処理に必用な時間とに応じて予め定めた料金が設定された選択肢を表示してもよい。なお、
図10は、処理精度に応じて予め定めた料金が設定された選択肢を表示する例を示す図である。また、
図11は、処理精度と処理に必用な時間とに応じて予め定めた料金が設定された選択肢を表示する例を示す図である。
【0084】
また、上記の実施形態において、CPUをプロセッサの一例として説明したが、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0085】
また、上記の実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0086】
また、上記の実施形態に係る情報処理システム10の各部で行われる処理は、ソフトウエアで行われる処理としてもよいし、ハードウエアで行われる処理としてもよいし、双方を組み合わせた処理としてもよい。また、情報処理システム10の各部で行われる処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0087】
また、本開示は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0088】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(((1)))
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理の実行を受け付け、
受け付けた前記連係処理に含まれる処理について、それぞれ料金が異なる複数の選択肢を提示し、
前記連係処理を実行する前に、選択された前記選択肢での料金を計算して提示する処理を行う情報処理装置。
【0089】
(((2)))
前記プロセッサは、処理精度、及び処理に必用な時間の少なくとも一方に応じて予め定めた料金が設定された選択肢を提示する(((1)))に記載の情報処理装置。
【0090】
(((3)))
前記プロセッサは、前記連係処理の各処理の標準設定として、管理者が予め設定した選択肢を提示す(((1)))又は(((2)))に記載の情報処理装置。
【0091】
(((4)))
前記プロセッサは、予算残高に応じて前記選択肢を変更する(((3)))に記載の情報処理装置。
【0092】
(((5)))
前記プロセッサは、予算残高が予め定めた制限値以下の場合、前記標準設定より安い処理を推奨、又は強制する(((3)))に記載の情報処理装置。
【0093】
(((6)))
前記プロセッサは、前記連係処理の終了後に、終了したことを通知する(((1)))に記載の情報処理装置。
【0094】
(((7)))
前記プロセッサは、ユーザに紐付いた情報処理端末に終了したことをプッシュ通知する(((6)))に記載の情報処理装置。
【0095】
(((8)))
(((1)))~(((7)))の何れか1つに記載の情報処理装置と、
前記連係処理の選択及び実行指示の操作を提供する画像形成装置と、
を含む情報処理システム。
【0096】
(((9)))
コンピュータに、
予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理の実行を受け付け、
受け付けた前記連係処理に含まれる処理について、それぞれ料金が異なる複数の選択肢を提示し、
前記連係処理を実行する前に、選択された前記選択肢での料金を計算して提示する処理を実行させるための情報処理プログラム。
【0097】
(((1)))によれば、連係処理の実行前に、料金を考慮した連係処理の設定を行って連係処理の実行が可能な情報処理装置を提供できる。
【0098】
(((2)))によれば、連係処理の実行前に、料金を考慮した連係処理の設定が可能となる。
【0099】
(((3)))によれば、管理者が推奨する選択肢を標準設定として提示できる。
【0100】
(((4)))によれば、予算残高に合せて提示する選択肢を変更できる。
【0101】
(((5)))によれば、予算残高が制限値以下の場合でも標準設定を提示する場合に比べて、予算残高の減少を抑制することが可能となる。
【0102】
(((6)))によれば、連係処理が直ぐに終了しない場合でもユーザが連係処理の終了を認識できる。
【0103】
(((7)))によれば、連係処理の実行を指示した装置の前にいなくても連係処理の終了を認識できる。
【0104】
(((8)))によれば、連係処理の実行前に、料金を考慮した連係処理の設定を行って連係処理の実行が可能な情報処理システムを提供できる。
【0105】
(((9)))によれば、連係処理の実行前に、料金を考慮した連係処理の設定を行って連係処理の実行が可能な情報処理プログラムを提供できる。
【符号の説明】
【0106】
10 情報処理システム
11 ジョブフロー管理機構
12 画像形成装置
13 情報処理端末
14 クラウドリソース管理機構
15 処理クラウド
16 プッシュプロバイダ
18 クラウドサーバ
18A CPU