(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046400
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】梱包容器および梱包方法
(51)【国際特許分類】
B65D 85/68 20060101AFI20240327BHJP
B65D 81/05 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
B65D85/68 Z
B65D81/05 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151771
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】503237806
【氏名又は名称】株式会社NHVコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山下 将卓
【テーマコード(参考)】
3E037
3E066
【Fターム(参考)】
3E037AA20
3E037BA01
3E037BB03
3E037BB06
3E037BC10
3E066AA66
3E066CA11
3E066CA12
3E066HA01
3E066JA01
3E066MA09
3E066NA21
3E066NA60
(57)【要約】 (修正有)
【課題】搬送対象の装置への振動および衝撃の低減および真空チャンバの真空度の悪化を低減する梱包容器及び梱包方法を提供する。
【解決手段】梱包容器1は、内部の圧力を大気圧未満に維持でき、真空チャンバ31を備える装置3を収容し得る第1容器2と、装置を第1容器の内部かつ内壁から離れた位置に固定する固定構造4と、を備える。第1容器は、内部の圧力を100Pa以下に維持できる、梱包容器。固定構造は、装置を支持する第1固定部材41と、第1固定部材と第1容器との間に設けられる第2固定部材42と、を備えている、梱包容器。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の圧力を大気圧未満に維持でき、真空チャンバを備える装置を収容し得る第1容器と、
前記装置を、前記第1容器の内部かつ内壁から離れた位置に固定する固定構造と、を備えた梱包容器。
【請求項2】
前記第1容器は、内部の圧力を100Pa以下に維持できる、請求項1に記載の梱包容器。
【請求項3】
前記固定構造は、
前記装置を支持する第1固定部材と、
前記第1固定部材と前記第1容器との間に設けられる第2固定部材と、を備えている、請求項1または2に記載の梱包容器。
【請求項4】
前記第2固定部材は、弾性を有している、請求項3に記載の梱包容器。
【請求項5】
前記第1容器内の圧力を大気圧未満に維持するための減圧ポンプをさらに備えている、請求項1または2に記載の梱包容器。
【請求項6】
前記減圧ポンプは、前記第1容器の外側に位置しており、
前記減圧ポンプと前記第1容器との間に防振材を備えている、請求項5に記載の梱包容器。
【請求項7】
前記第1容器および前記減圧ポンプを収容する第2容器をさらに備えている、請求項5に記載の梱包容器。
【請求項8】
前記第2容器は、前記第1容器との間に防振材を備えている、請求項7に記載の梱包容器。
【請求項9】
前記装置は、電子線照射装置の少なくとも一部である、請求項1に記載の梱包容器。
【請求項10】
真空チャンバを備える装置の梱包方法であって、
前記装置を第1容器に収容するステップと、
前記装置を前記第1容器の内壁から離れた状態で前記第1容器の内部に固定するステップと、
前記第1容器内の圧力を大気圧未満に減圧するステップと、を含む、梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は梱包容器および梱包方法に関し、特に、真空チャンバを有する装置の梱包容器および梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子線照射装置のように、装置の構成要素として、内部が真空に維持されている真空チャンバを含む装置を輸送する場合がある。
【0003】
従来、真空チャンバを含む装置であっても、緩衝材または防振材を入れた梱包容器を用いて輸送を行っていた。また、特許文献1には、金属管の梱包構造が開示されている。特許文献1の金属管の梱包構造は、金属管の表面の変色または表面への埃の付着などを防止するために、複数の棒状の金造管を束ねて密閉するとともに、内部が減圧、または真空引きされた密閉袋を備えている。当該密閉袋は、緩衝材を介在させ、木箱に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来用いていた梱包容器の内部は大気圧状態であるため、輸送中に真空チャンバの真空度が悪化してしまう。特許文献1においても、密閉袋を収容する木箱は大気圧状態であるため、輸送中に密閉袋の真空度が悪化してしまう。
【0006】
本開示の一態様は、前記課題に鑑みてなされたものであって、輸送時における搬送対象の装置に対する振動および衝撃を低減しつつ、輸送中の真空チャンバの真空度の悪化を低減することが可能な、梱包容器および梱包方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る梱包容器は、内部の圧力を大気圧未満に維持でき、真空チャンバを備える装置を収容し得る第1容器と、前記装置を、前記第1容器の内部かつ内壁から離れた位置に固定する固定構造と、を備える。
【0008】
また、前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る梱包方法は、真空チャンバを備える装置の梱包方法であって、前記装置を第1容器に収容するステップと、前記装置を前記第1容器の内壁から離れた状態で前記第1容器の内部に固定するステップと、前記第1容器内の圧力を大気圧未満に減圧するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、輸送時における搬送対象の装置に対する振動および衝撃を低減しつつ、輸送中の真空チャンバの真空度の悪化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係る梱包容器を、XZ平面に平行な面で切断した時の断面図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る梱包容器を、YZ平面に平行な面で切断した時の断面図である。
【
図3】本発明の実施形態2に係る梱包容器を、XZ平面に平行な面で切断した時の断面図である。
【
図4】本発明の実施形態2に係る梱包容器を、YZ平面に平行な面で切断したときの断面図である。
【
図5】実施形態2に係る梱包容器の変形例を、XZ平面に平行な面で切断した時の断面図である。
【
図6】実施形態2に係る梱包容器の変形例を、YZ平面に平行な面で切断したときの断面図である。
【
図7】本発明に係る例示的な梱包方法大まかな流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、本願の梱包容器の説明に先立ち、本願の梱包容器内に梱包される装置について説明する。梱包容器に梱包される対象としての装置は、当該装置の一部として、真空チャンバを備える装置である。本実施形態では、当該装置が、電子線照射装置の主要構成部分である例について説明する。以下では、簡単のために梱包容器1に梱包される電子線照射装置の主要構成部分を、装置と称する。すなわち、本願の装置は、電子線照射装置の少なくとも一部であってよい。
【0012】
電子線照射装置とは、電子線を被照射物に照射するための装置である。電子線照射装置は、例えば、基材上の塗膜中の成分の架橋もしくは重合によるシート材の製造、または、物品の殺菌もしくは滅菌に好適に用いられる装置である。
【0013】
電子線照射装置は、例えば、電子線を発生させる電極部、電極部を支持する碍子、および碍子に支持された状態の電極部を収容する真空チャンバを備える。電子線照射装置は、さらに、真空チャンバ内を減圧するための真空ポンプ、真空チャンバおよび被照射物を収容する遮蔽体、ならびに直流電源などを備えていてもよい。
【0014】
本実施形態では、電極部を収容した状態の真空チャンバ31を、梱包容器1に梱包される装置3とする。装置3は、電子線照射装置が有する他の構成要素を備えていてもよい。
【0015】
以下の例示的な実施形態における装置3は、
図1および
図2に示すように、真空チャンバ31を備えている。真空チャンバ31は、電子線を外部に取り出すための取出し口32を備えている。
【0016】
真空チャンバ31は、周壁が導体で形成された、略円筒形状の中空の容器であってよい。導体の例としては、ステンレスが挙げられる。真空チャンバ31は、不図示の減圧のための排気口を有してよい。当該排気口を、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプなどに接続し、真空ポンプを動作させることにより、真空チャンバ31の内部を減圧することが可能である。電子線照射装置の運転時には、真空チャンバ31の内部は所定の真空度(例えば1×10-6Pa~1×10-5Pa)に維持される。
【0017】
装置3は、輸送時に真空チャンバ31の内部を大気圧にした状態で輸送することも可能である。しかしながら装置の特性上、真空(減圧)状態を維持したままの輸送の方が好ましい。また、内部を大気圧にして輸送する場合、搬送後に再度真空ポンプにより減圧する作業が必要となるため、作業効率の点からも、内部を真空にして搬送することが好ましい。しかしながら、内部を真空にして搬送する場合には、通常、真空ポンプを取り外し、真空封じ切りの状態で搬送する。そのため、輸送中に真空度が少しずつ悪化してしまう。
【0018】
また、真空チャンバ31の周壁の一部に設けられた取出し口32は、約1mm以下の金属箔により形成されている。金属箔の例として、チタンまたはアルミニウムの箔が挙げられる。当該金属箔は、非常に薄いため、破損しやすい。
【0019】
本願発明は、装置3の真空チャンバ31内の真空度が悪化する可能性を低減することができる梱包容器および梱包方法を提供する。また、本願発明は、装置3が有する破損しやすい部位が、輸送中に破損する可能性を低減することのできる梱包容器および梱包方法を提供する。
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る梱包容器および梱包方法について、図面を用いて説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、実施形態を説明する上で必要な構成要素のみを簡略化して示したものである。従って、実施形態に係る梱包容器および当該梱包容器に収容される装置は、参照する各図に示されていない任意の構成要素を備え得る。また、各図中の構成要素の寸法は、実際の構成要素の寸法および各部材の寸法比率等と異なる場合がある。以下の説明は本発明に係る梱包容器の一例であり、本発明の技術範囲は図示例に限定されるものではない。
【0021】
本明細書において、図面に記載のZ軸正方向を上方向とする。Z軸負方向は、下方向、換言すると重力方向である。Y方向は、装置3の長手方向であり、X軸は、Y軸およびZ軸と垂直に交わる軸である。
【0022】
〔実施形態1〕
<梱包容器1の構成>
実施形態1に係る梱包容器1の概略構成について、
図1および
図2を用いて説明する。
図1は、実施形態1に係る梱包容器1をXZ平面に平行な面で切断した時の断面図である。具体的には、梱包容器1を、
図2に示すI-I線の位置で切断したときの矢視断面図である。
図2は、実施形態1に係る梱包容器1をYZ平面に平行な面で切断したときの断面図である。具体的には、
図1に示すII-II線の位置で切断したときの矢視断面図である。
【0023】
梱包容器1は、
図1および
図2に示すように、装置3を収容する第1容器2と、装置3を、第1容器2の内部かつ内壁から離れた位置に固定する固定構造4と、を備えている。梱包容器1はさらに、梱包完了後の第1容器2内の圧力を大気圧未満に維持するための減圧ポンプ5と、第1容器2および減圧ポンプ5を収容する第2容器6を備えている。梱包容器1はまた、第1容器2と第2容器6と間に、防振材7を有している。
【0024】
(第1容器2)
第1容器2は、内部の圧力を大気圧未満に維持でき、装置3を内部に収容し得る容器である。第1容器2は、装置3を収容した後、密閉される。その後、第1容器2の内部の圧力は、減圧ポンプ5によって大気圧未満に減圧される。つまり、梱包完了後の第1容器内の圧力は、大気圧未満である。梱包完了とは、具体的には、第1容器2が閉じられ、減圧ポンプ5によって内部の圧力が減圧され、梱包容器1が輸送可能な状態となったことを意味する。あるいは、梱包完了とは、第1容器2および減圧ポンプ5を第2容器6に収容し、第2容器6が閉じられ、梱包容器1が輸送可能な状態となったことを意味する。また、梱包容器1の輸送中、第1容器2内の減圧状態は、減圧ポンプ5によって維持され得る。
【0025】
第1容器2は、装置3を収容可能であり、密閉後の減圧に耐え得るものであれば特に限定されない。
図1および
図2に示すように、第1容器2の形状は、立方体または直方体形状であってよい。立方体形状または直方体形状の容器は、製造が容易であるため、梱包容器の製造コストを低減することができる。また、第1容器2が立方体形状または直方体形状であることにより、装置3の梱包開梱作業が容易となる。これにより、作業性を向上させることができる。さらに、立方体形状または直方体形状の容器は安定性に優れるため、容器自体を積み重ねて保管することが可能であり、高い収納性を実現できる。第1容器2の材質は、例えば、ステンレスまたはジュラルミンであってよい。第1容器2の材質がジュラルミンである場合、軽量化を実現できる。また、第1容器2を構成する各壁の厚さは、例えば3mm以上10mm以下であってよい。各壁を6mm以上とすることにより、例えば、内部圧力が100Pa以下となる減圧状態に耐えることができる。第1容器2は、減圧に対する強度を補強するための補強構造を有していてもよい。
【0026】
(固定構造4:同上)
固定構造4は、装置3を、第1容器2の内部かつ内壁から離れた位置に固定するための構造である。固定構造4は、減圧下または真空中で用いることができ、装置3を第1容器2の内壁から離れた位置に固定できれば特に限定されず、例えば、金属製のスプリングやウレタンなどの従来用いられていたような梱包材であってもよい。当該梱包材は、アウトガスを抑えるため金属材料または無機材料であることが好ましい。
あるいは、固定構造4は、
図1および
図2に示すように、装置3を支持する第1固定部材41と、第1固定部材41と第1容器2との間に設けられる第2固定部材42と、を備えていてもよい。第2固定部材42は、第1固定部材41および第1容器2の内壁に固定されていてもよい。固定構造4を用いることにより、装置3を第1容器2内の壁面から離れた位置に固定することが可能になり、輸送中の装置3への振動および衝撃を和らげ、装置3が破損する可能性を低減することができる。
【0027】
第1固定部材41は、装置3の形状に合わせて形成されており、装置3に当接することにより、装置3を直接支持する部材である。例えば、第1固定部材41は、
図1および
図2に示すように、真空チャンバ31の側面に沿って設けられていてもよい。
【0028】
第2固定部材42は第1固定部材41と第1容器2の内壁との間に設けられている。梱包容器1において、第2固定部材42は、
図1および
図2の例に示すように、弾性を有する金属製のバネを含む固定部材である。また、第2固定部材42は、第1固定部材41と第1容器2の底面との間、および第1固定部材41と第1容器2の4つの側面との間に設けられていてもよい。なお、第2固定部材42の少なくとも一部は、
図2に示す第2固定部材42Aのように、装置3と第1容器2との間に設けられていてもよい。
【0029】
第2固定部材42の個数および配置位置は、図面に示される例に限定されず、装置3および第1容器2の大きさ、第2固定部材42の耐荷重などにより、適宜選択され得る。第2固定部材42が弾性を有する部材であることにより、搬送時における搬送対象である装置3への振動および衝撃をさらに和らげることができる。
【0030】
第2固定部材42は、弾性を有する部材であれば、特に限定されず、金属バネ、ゴムまたはジェルなどの弾性体を含む固定部材であってよい。第1容器2の内部は減圧状態に保たれるため、第2固定部材42は、アウトガスが少ない材料から構成されることがより好ましい。弾性を有し、かつアウトガスが少ない物体としては、例えば金属バネを含む固定部材が挙げられる。第2固定部材42は、異なる弾性体を含む固定部材を併用してもよい。ただし、併用する場合には、前後、左右、上下のように対向する固定部材同士は、同じ材質の弾性体が用いられていることが好ましい。
【0031】
(減圧ポンプ5:同上)
減圧ポンプ5は、第1容器2内の圧力を減圧するためのポンプである。本願の梱包容器における第1容器2内の圧力は、減圧ポンプ5によって減圧されることにより、大気圧未満に減圧される。本願の梱包容器では、第1容器2内の圧力を減圧後、減圧ポンプ5を取り外し、第1容器2を真空封じ切りの状態としてもよい。梱包完了後、または輸送時の第1容器2内の圧力が大気圧未満に減圧されていることにより、装置3の真空チャンバ31からのリークの速度、つまり真空チャンバ31の真空悪化の速度を低減することができる。
【0032】
あるいは、実施形態1に係る梱包容器1のように、減圧ポンプ5を第1容器2の上面に固定し、輸送中、減圧ポンプ5を作動させながら第1容器2内の圧力を大気圧未満に維持してもよい。換言すると、梱包容器1は、梱包完了後の第1容器2内の圧力を大気圧未満に維持するための減圧ポンプ5を、さらに備えていてもよい。減圧ポンプ5は、
図2に示すようにポンプ本体51と、ポンプ本体51に電力を供給するバッテリ52と、ポンプ本体51と第1容器2の内部とを接続するパイプ53を含む。減圧ポンプ5は、真空ポンプであってもよい。梱包容器1が減圧ポンプを備えていることにより、装置3の真空チャンバ31の真空悪化の速度をさらに低減することができる。梱包完了後、または輸送時の第1容器2内の真空度が高いほど、真空チャンバ31の真空悪化の速度を低減することができる。そのため、梱包完了後、または輸送時の第1容器2内の圧力は、例えば100Pa以下であってよい。第1容器2内の圧力が100Pa以下であることにより、真空チャンバ31の真空悪化の速度を、真空チャンバ31の周囲が大気圧である場合に比べて1000分の1以下にまで緩和することができる。
【0033】
減圧ポンプ5を設置する場所は、第1容器2の上面に限定されず、第1容器2の外側に位置していればよい。例えば、第2容器6の内面(例えば、底面または内側面)に減圧ポンプ5が取り付けられてもよい。減圧ポンプ5を第1容器2の外面に固定する場合、減圧ポンプ5と第1容器2との間に、ゴム板などの防振材を備えていてもよい。減圧ポンプ5を第2容器6の内面に固定する場合、減圧ポンプ5と第2容器6との間に、ゴム板などの防振材を備えていてもよい。当該防振材を備えることにより、稼働しているポンプの振動が抑制され、ポンプが故障する可能性が低減する。また、ポンプの振動が第1容器2に伝わる程度が低減され、第1容器2内の装置3が破損する可能性をより低減することができる。
【0034】
(第2容器6)
第2容器6は、第1容器2および減圧ポンプ5を収容する容器である。
【0035】
第2容器6は、例えば、
図1および
図2に示すように直方体形状の容器であってよい。第2容器6は、第1容器2および第1容器2の外側に設置される減圧ポンプ5を収容できる大きさであればよい。
【0036】
第2容器6を備えることにより、減圧ポンプ5の稼働音が外部へ漏れることを抑制できる。また、第2容器6によって第1容器2を保護することができるため、第1容器2が損傷し、第1容器2内の減圧状態が悪化する可能性を低減することができる。
【0037】
(防振材7)
梱包容器1は、第2容器6と、第1容器2との間に防振材7を備えている。第2容器6に衝撃が加わった場合においても、防振材7による緩衝作用によって第1容器の外側に設置されている稼働中の減圧ポンプ5に衝撃が伝わる程度が低減され、減圧ポンプ5の故障の可能性が低減される。また、第1容器2および装置3への振動および衝撃を和らげることができるため、装置3の損傷する可能性を低減できる。さらに第2容器6および防振材7が第1容器2を振動および衝撃から保護するので、第1容器2に求められる強度を抑えることができ、第1容器2を簡略化することができる。
【0038】
図1および
図2の例において、防振材7は、第1容器2の底面と第2容器の底面との間、および第1容器2の外側面と第2容器6の内側面との間に設けられている。防振材7の個数および配置位置は、図面に示される例に限定されず、第1容器2および第2容器6の大きさ、防振材7の大きさおよび耐荷重などにより、適宜選択され得る。
【0039】
防振材7は、例えば金属バネ、ゴムおよび/またはジェルなどであってもよく、またはそれらが混在する形で用いられてもよい。ただし、混在する形で用いる場合でも、前後、左右、上下のように対向する部材同士は、同じ材質のものが用いられていることが好ましい。
【0040】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。実施形態2では、梱包容器1Aについて、
図3および
図4を用いて説明する。
【0041】
図3は、梱包容器1Aを、XZ平面に平行な面で切断した時の断面図である。具体的には、
図3は、梱包容器1Aを、
図4に示すIII-III線の位置で切断したときの矢視断面図である。
図4は、梱包容器1AをYZ平面に平行な面で切断したときの断面図である。具体的には、
図4は、梱包容器1Aを、
図3に示すIV-IV線の位置で切断したときの矢視断面図である。
【0042】
梱包容器1Aでは、梱包容器1Aが円筒形の第1容器2Aを有している点が実施形態1と異なっている。また、第1容器2Aが円筒形であるため、減圧ポンプ5は、台座54の上に設置されている。それ以外の点については、実施形態1と同様である。
【0043】
台座54は、下部が第1容器2の曲面に沿う形状であり、かつ上部が平面になっているため、円筒形状の第1容器2Aの曲面上に減圧ポンプ5を設置することができる。
【0044】
第1容器2Aは、減圧への耐性に優れた円筒形を有しているため、第1容器2が減圧により変形する可能性を低減することができる。また、実施形態1に係る第1容器2と比較して、第1容器2Aの壁面の厚さを低減できるため、梱包容器を軽量化することができる。
【0045】
<変形例>
以下では、実施形態2の変形例としての梱包容器1Bについて、
図5および
図6を用いて説明する。
【0046】
図5は、梱包容器1BをXZ平面に平行な面で切断した時の断面図である。具体的には、
図5は、梱包容器1Bを、
図6に示すV-V線の位置で切断したときの矢視断面図である。
図6は、梱包容器1BをYZ平面に平行な面で切断したときの断面図である。具体的には、
図6は、梱包容器1Bを、
図5に示すVI-VI線の位置で切断したときの矢視断面図である。
【0047】
梱包容器1Bは、減圧ポンプ5が、第1容器2Aが有する平面、換言すると第1容器2Aの端面に配置されている点が実施形態2の梱包容器1Aと異なっている。梱包容器1Bのように、第1容器2Aが円筒形状である場合、減圧ポンプ5を第1容器2Aが有する平面に固定することにより、減圧ポンプ5を第1容器2Aに容易に固定することができる。
【0048】
<梱包方法>
以下では、本願の梱包容器を用いた梱包方法の一例として、実施形態1に係る梱包容器1を用いて装置3を梱包する梱包方法を、
図7を用いて説明する。
図7は、例示的な梱包方法の大まかな流れを示すフローチャートである。
【0049】
実施形態1に係る梱包容器1を用いた梱包方法は、例えば
図7に示すフローチャートに従って実行される。なお、
図7に示すフローチャートは一例であり、これに限定されない。
【0050】
図7に示すように、本願発明の例示的な梱包方法は、装置収容ステップS1と、固定ステップS2と、減圧ステップS3と、防振材設置ステップS4と、第1容器収容ステップS5と、を含む。以下に当該梱包方法における各工程について、詳細に説明する。
【0051】
(装置収容ステップS1)
装置収容ステップS1は、装置3を第1容器2の内部に収容するステップである。
【0052】
(固定ステップS2)
固定ステップS2は、装置収容ステップS1で収容された装置3を、固定構造4を用いて、第1容器2の内壁から離れた状態で第1容器2の内部に固定するステップである。第1容器2内に装置3を支持および固定する固定構造4は、装置3の収容前に第1容器2に予め設置および固定されていてもよい。この場合、固定ステップS2において、装置3を固定構造4に固定することにより、装置3が第1容器2の内壁から離れた状態で第1容器2の内部に固定される。
【0053】
あるいは、予め第1容器2の外部で、装置3に対して予め固定構造4を固定した状態とし、その後、装置3および固定構造4を第1容器2に収容し、固定構造4を第1容器2に対して固定してもよい。固定ステップS2において上述したように装置3が第1容器2内に固定されることにより、輸送時における装置3に対する振動および衝撃を低減することができる。
【0054】
(減圧ステップS3)
減圧ステップS3は、第1容器2内の圧力を大気圧未満に減圧するステップである。装置3を第1容器2の内部に固定し、第1容器2を密閉した後、減圧ポンプ5を作動させ、第1容器2の内部の圧力を減圧する。
【0055】
輸送時に減圧ポンプ5を取り外して輸送する場合、第1容器2内を大気圧未満の圧力、好ましくは100Pa以下に減圧した後、減圧ポンプ5を取り外し、第1容器2を密封封じ切りの状態とする。第1容器2内の圧力が減圧されることにより、輸送中の真空チャンバの真空度の悪化を低減することができる。
【0056】
実施形態1の梱包容器1のように、輸送時においても減圧ポンプ5を備える梱包容器の場合、減圧ポンプ5は、梱包容器1を用いた装置3の輸送が完了するまで稼働し続けてもよい。これにより、第1容器2内の減圧状態の悪化がより低減される。
【0057】
(防振材設置ステップS4)
防振材設置ステップS4は、防振材7を、第1容器2をさらに収容する容器である第2容器6の内部に設置するステップである。防振材設置ステップS4は、以下の第1容器収容ステップS5と同時に行われてもよい。
【0058】
(第1容器収容ステップS5)
第1容器収容ステップS5は、第1容器2を第2容器6の内部に収容するステップである。上述した防振材設置ステップS4において、内部に防振材7が設置された第2容器6内に、第1容器2を収容する。防振材7の少なくとも一部は、第2容器6内に第1容器2を収容した後に、第1容器2と第2容器6との間に配置されてもよい。第2容器6内に第1容器2を収容した後、第2容器6を閉じる。
【0059】
上述した梱包方法により、搬送対象の装置3の真空チャンバ31からのリークを防ぎつつ、搬送対象の装置3を搬送時の振動および衝撃から守ることが可能な梱包方法を提供することができる。
【0060】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1、1A、1B:梱包容器
2:第1容器
3:装置
4:固定構造
5:減圧ポンプ
6:第2容器
7:防振材
31:真空チャンバ
32:取出し口
41:第1固定部材
42:第2固定部材
51:ポンプ本体
52:バッテリ
53:パイプ
54:台座