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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046401
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】光ファイバセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/00 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
G01L9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151772
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】598123138
【氏名又は名称】学校法人 創価大学
(71)【出願人】
【識別番号】515117682
【氏名又は名称】株式会社コアシステムジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山崎 大志
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 博幸
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一弘
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055CC02
2F055EE31
2F055FF11
(57)【要約】
【課題】高感度の検出を行うことが可能な光ファイバセンサを提供する。
【解決手段】光ファイバセンサ100は、チャンバ20に固定されたダイヤフラム21と、入射端から入射された光を出射端から出射する光ファイバ10と、光ファイバ10の途中に設けられ、当該光ファイバ10を伝送する光の伝送損失が屈曲に応じて変化するセンサ部SPと、ダイヤフラム21に上端部側がそれぞれ固定され、ダイヤフラム21の可撓方向に向かって延びる下端部側を有する起立させた2つの剛体を間隔を存して設けた支持部材25,26とを備え、支持部材25,26にセンサ部SPの両端をそれぞれ支持し、支持部材25,26の間のダイヤフラム21の撓みにより支持部材25,26を介して生じるセンサ部SPの支持部材25,26に支持された部分の間隔の変化に応じて、センサ部SPの屈曲が変化するように構成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
離れた2か所において前記基台に固定され、前記固定された部分の間において変形可能な可撓部材と、
入射端から入射された光を出射端から出射する光ファイバと、
前記光ファイバの途中に設けられ、当該光ファイバを伝送する光の伝送損失が屈曲に応じて変化するセンサ部と、
前記可撓部材に一端部側がそれぞれ固定され、当該可撓部材の可撓方向に向かって延びる他端部側を有する起立させた2つの剛体を間隔を存して設けた支持部材と、を備え、
前記支持部材に前記センサ部の両端をそれぞれ支持し、前記2つの支持部材の間の前記可撓部材の撓みにより当該支持部材を介して生じる前記センサ部の前記2つの支持部材に支持された部分の間隔の変化に応じて、前記センサ部の屈曲が変化するように構成されていることを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項2】
前記センサ部は、前記光ファイバを伝送する光の一部を漏洩する光透過部を有し、該光透過部は屈曲しており、前記屈曲の曲率の変化に応じて、前記漏洩の割合が変化し、前記光の伝送損失が変化することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
【請求項3】
前記可撓部材は周囲部分が全周に亘って前記基台に固定され、
前記可撓部材の一方の側の面と当該面と反対側の面とにそれぞれに作用する圧力の差により、当該可撓部材が撓むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバセンサ。
【請求項4】
前記2つの支持部材の前記可撓部材の可撓方向に向かって延びる他端部側までの長さに応じて、前記センサ部の前記2つの支持部材に支持された部分の間隔が変化することを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバセンサ。
【請求項5】
前記基台にその厚み方向に穿った空間を設け、該空間の底部を撓み可能な厚さとして前記可撓部材を構成し、該底部に前記2つの支持部材を一体に設けたことを特徴する請求項1又は2に記載の光ファイバセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを用いて変形部材の変位を検出することにより、様々な検出値を検出する光ファイバセンサが知られている。例えば、水圧に伴うダイヤフラムの変形を光ファイバを用いて検知することにより、水位を検出する水位センサが知られている。
【0003】
特許文献1には、水圧に伴って変形するダイヤフラムを支持する支持体の変位に沿って移動する第1の滑車と、筐体に対して移動が規制された第2の滑車とに、それぞれ固定されたファイバ・ブラッグ・グレーディング(FBG)を固定しておき、ダイヤフラムの変形に伴うFBGの伸び量に基づき、水圧(水位)を検出する水圧計が記載されている。
【0004】
特許文献2には、ヘテロコア部が中央に位置するように光ファイバを弾性部材の両側にそれぞれ固定しておき、ヘテロコア部を含むセンサ部の曲率半径の変化による光ファイバを伝送する光の漏れ量により、弾性部材の変形量を検出する変位センサが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6060237号公報
【特許文献2】特開2021-43052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1,2に記載された技術などの従来の光ファイバセンサにおいては、ダイヤフラムや弾性部材などの変形部材の変形に対応する光ファイバの変形に応じて検出量を検出している。しかし、変形部材の変位が微小のときには、光ファイバの変形も同様に微小であり、高感度の検出を行うことが困難であった。
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、高感度の検出を行うことが可能な光ファイバセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光ファイバセンサは、基台と、離れた2か所において前記基台に固定され、前記固定された部分の間において変形可能な可撓部材と、入射端から入射された光を出射端から出射する光ファイバと、前記光ファイバの途中に設けられ、当該光ファイバを伝送する光の伝送損失が屈曲に応じて変化するセンサ部と、前記可撓部材に一端部側がそれぞれ固定され、当該可撓部材の可撓方向に向かって延びる他端部側を有する起立させた2つの剛体を間隔を存して設けた支持部材と、を備え、前記支持部材に前記センサ部の両端をそれぞれ支持し、前記2つの支持部材の間の前記可撓部材の撓みにより当該支持部材を介して生じる前記センサ部の前記2つの支持部材に支持された部分の間隔の変化に応じて、前記センサ部の屈曲が変化するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の光ファイバセンサによれば、可撓部材に一端部側がそれぞれ固定された2つの支持部材の、可撓部材の可撓方向に向かって延びる他端部側において、センサ部の両端をそれぞれ支持している。これにより、支持部材の可撓部材の可撓方向に向かって延びる長さの分だけ、2つの支持部材の他端部側における間隔の変化は可撓部材の変形が拡大されたものとなる。よって、上記特許文献1,2のように可撓部材の変形に応じて直接的に変形するようにセンサ部が支持されている場合と比較して、2つの支持部材に支持されたセンサ部の間隔が大きく変化するので、センサ部の屈曲が大きく変化し、光ファイバを伝送する光の伝送損失に大きな変化が生じるため、可撓部材の微小な変形も高感度で検出することが可能となる。
【0010】
また、支持部材は剛体からなるので、可撓部材の変形に応じて支持部材の他端部側における間隔の変化は時間経過によって変化せずに一意的に定まる。
【0011】
本発明の光ファイバセンサにおいて、前記センサ部は、前記光ファイバを伝送する光の一部を漏洩する光透過部を有し、該光透過部は屈曲しており、前記屈曲の曲率の変化に応じて、前記漏洩の割合が変化し、前記光の伝送損失が変化することが好ましい。
【0012】
この場合、光透過部はヘテロコア部であり、かつ屈曲しているので、センサ部の屈曲の曲率に応じて高感度で光の伝送損失が変化するため、可撓部材の微小な変形もさらに高感度で検出することが可能となる。
【0013】
また、本発明の光ファイバセンサにおいて、前記可撓部材は周囲部分が全周に亘って前記基台に固定され、前記可撓部材の一方の側の面と当該面と反対側の面とにそれぞれに作用する圧力の差により、当該可撓部材が撓むことが好ましい。
【0014】
この場合、圧力差が微小であって可撓部材が僅かしか変形しない場合であっても、2つの支持部材で支持するセンサ部の間隔が大きくなるので、光ファイバを伝送する光の漏洩の割合に大きな変化が生じる。そのため、可撓部材のそれぞれの面に作用する微小な圧力差を検出可能な水圧計などとして用いることができる。
【0015】
また、前記2つの支持部材の前記可撓部材の可撓方向に向かって延びる他端部側までの長さに応じて、前記センサ部の前記2つの支持部材に支持された部分の間隔が変化することが好ましい。
【0016】
この場合、2つの支持部材の可撓部材の可撓方向に向かって延びる他端部側までの長さが長いほど、センサ部の2つの支持部材に支持された部分の間隔の変化が大きくなる。そこで、必要な検出感度に応じて、前記長さを定めればよい。
【0017】
また、本発明の光ファイバセンサにおいて、前記基台にその厚み方向に穿った空間を設け、該空間の底部を撓み可能な厚さとして前記可撓部材を構成し、該底部に前記2つの支持部材を一体に設けることが好ましい。
【0018】
この場合、光ファイバセンサの厚みが基台の厚さと同じとなり、薄厚の光ファイバセンサを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る光ファイバセンサの模式図。
図2A】ヘテロコア部を有する光ファイバを説明する図。
図2B】ヘテロコア部を有する光ファイバの模式断面斜視図。
図3図1のIII-III線模式断面図。
図4図3のIV-IV線模式断面図。
図5図3のダイヤフラムが撓んだ状態を示す図。
図6】本発明の他の実施形態に係る光ファイバセンサのチャンバを示す模式平面図。
図7図6に係るチャンバを示す模式縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係る光ファイバセンサ100について図面を参照して説明する。なお、図面は、光ファイバセンサ100及びその構成要素などを明確化するためにデフォルメされており、実際の比率を表すものではない。
【0021】
光ファイバセンサ100は、図1を参照して、ヘテロコア部HPを有する光ファイバ10と、ヘテロコア部HPが内部に配置され、ダイヤフラム21を有するチャンバ20とを備えている。なお、以下の説明及び図面において、上下などの方向はチャンバ20単体における方向であり、チャンバ20の取付方向などに応じて変化し得る。
【0022】
光ファイバセンサ100は、ダイヤフラム21に作用する圧力を検出することができる。例えば、チャンバ20を水中に配置することにより、ダイヤフラム21に作用する水圧を検出することができ、この水圧から水位も求まるので、光ファイバセンサ100は水圧計又は水位計として機能する。なお、光ファイバセンサ100は、水の代わりにアルコールなどの他の流体による圧力や、空気などの気体による圧力を検出するものであってもよい。また、光ファイバセンサ100は、ダイヤフラム21に作用する静圧だけではなく、動圧を検出するものであってもよい。
【0023】
光ファイバ10は、図2A及び図2Bを参照して、入射端側の光ファイバ素線11と、出射端側の光ファイバ素線12と、光ファイバ素線11,12の間に挿入されたヘテロコア部HPとから構成されている。
【0024】
ヘテロコア部HPは、光ファイバ素線11,12の間に設けられ、伝送される光の一部を漏洩(リーク)する。ヘテロコア部HPは、本発明の光透過部に相当する。
【0025】
ヘテロコア部HPは、ここでは、コア13と、その外周部に設けられたクラッド14とを有する短いシングルモード光ファイバである。例えば、コア13の径は5μmであり、クラッド14の径は125μmであり、長さは1.6mmである。一方、光ファイバ素線11,12はともに、コア15と、その外周部に設けられたクラッド16とを有する長いシングルモード光ファイバである。例えば、コア15の径は9μmであり、クラッド16の径は125μmである。このように、ヘテロコア部HPのコア径は、光ファイバ素線11,12のコア径よりも小さくなるように構成されている。
【0026】
なお、ヘテロコア部HP、光ファイバ素線11,12の双方、あるいは一方が、マルチモード光ファイバであってもよい。ただし、ヘテロコア部HP及び光ファイバ素線11,12がシングルモード光ファイバであれば、外部からの影響がより受け難いので好ましい。また、ヘテロコア部HPのコア径が、光ファイバ素線11,12のコア径よりも大きくなるように構成されていてもよい。また、ヘテロコア部HPが、光ファイバ素線11,12のコア15の屈折率あるいはクラッド16の屈折率と同等の屈折率を有する素材からなるものであってもよい。この場合も、コア15の径が、0あるいはクラッド16の径と同じである一種のヘテロコア構造であると考えることが可能である。
【0027】
ヘテロコア部HPと光ファイバ素線11,12とは、長手方向に直交する界面17でコア13,15が接合するように、同軸又は略同軸に、放電による融着などによって接合されている。なお、溶融延伸することによって、ヘテロコア部HPを形成してもよい。また、コア13,15の径が漸次変化するものであってもよい。
【0028】
このように、光ファイバ素線11,12の中途部にヘテロコア部HPが存在しているので、界面17におけるコア径の相違によって、光の一部がヘテロコア部HPのクラッド14に漏洩し、伝送される光が損失される。ヘテロコア部HP及びその近傍の光ファイバ素線11,12の曲率半径Rが小さいほど、光の損失量(リーク量)が大きくなる。
【0029】
図3及び図4も参照して、チャンバ20は、上側フレーム22と下側フレーム23とが水密に固定されることにより、全体の外観が略直方体状となるように構成されている。これらフレーム22,23は、例えば、樹脂、金属、セラミックスなどの硬質の材料から形成されている。
【0030】
上側フレーム22と下側フレーム23とは、ヘテロコア部HPから両側に離間した部分における光ファイバ素線11,12を間に挟んだ状態で固定されている。なお、この固定は、固定が解除可能なボルトや嵌合などによる固定でも、固定が解除不可能又は困難な接着剤などを用いた固定であってもよい。
【0031】
2つのフレーム22,23が固定されたチャンバ20において、内部に密閉空間Sが形成されている。この密閉空間Sは、通気パイプ24を介して外気に連通されているが、それ以外は密閉されている。通気パイプ24は、2つのフレーム22,23の何れか一方又は両方に形成された溝(不図示)に挿入され、接着剤やパッキン等のシール材などを用いて隙間が生じないように固定されている。
【0032】
上側フレーム22の上側の壁部には、他の部分よりも薄厚のダイヤフラム21が形成されている。換言すれば、上側フレーム22にその厚み方向に穿った空間(密閉空間Sの一部を構成する空間)を設け、この空間の底部を撓み可能な厚さとしてダイヤフラム21を構成している。このように構成されたダイヤフラム21は、その周囲部分が全周に亘って上側フレーム22の肉厚の部分22aに固定された状態とみなすこともできる。上側フレーム22の肉厚の部分22aが本発明の基台に相当する。
【0033】
ダイヤフラム21は、ダイヤフラム21の上面に作用する圧力(チャンバ20外方に存在する水から受ける水圧)と密閉空間S内の内圧を受圧する受圧部であり、内圧と外圧との差圧に応じて撓む。ダイヤフラム21は、本発明の可撓部材に相当する。差圧が大きいほど、ダイヤフラム21は大きく撓む。ダイヤフラム21は、所望の精度で差圧を検出することができるよう、差圧に応じて適度な撓み量が生じるように厚さを設定すればよい。
【0034】
なお、通気パイプ24が存在せず、密閉空間Sは完全に密閉されていてもよい。この場合、光ファイバセンサ100は、ダイヤフラム21の下面に作用する密閉空間Sの所定の初期内圧(例えば、大気圧に近い内圧や真空に近い内圧)と、ダイヤフラム21の上面に作用する外圧との差圧を検出することになる。
【0035】
ここでは、ダイヤフラム21は、上側フレーム22の他の部分と同じ材質で形成され、上側フレーム22と一体化されている。ただし、ダイヤフラム21を上側フレーム22とは相違する材質別の部材として構成し、ダイヤフラム21を構成する部材を接着剤やパッキン等のシール材などを用いて、上側フレーム22の上側の壁部に形成した貫通孔を覆うように上側フレーム22に固定してもよい。
【0036】
ダイヤフラム21の下面の略中央部には、2つの支持部材25,26が間隔L0を存してその一端部側(上端部側)が固定されている。ここでは、これら支持部材25,26は、上側フレーム22の他の部分と同じ材質で形成されており、ダイヤフラム21と一体化している。
【0037】
各支持部材25,26は、それぞれが独立した部材であり、上面が接触するダイヤフラム21の下面から下方に向かって延びるように起立している。各支持部材25,26は、ここでは、それぞれ角柱状であるが、円柱など、他の柱状であってもよく、さらに、その断面形状は一定でなくともよい。ただし、各支持部材25,26は、ダイヤフラム21の撓みに応じて移動するが、この移動により自身に撓みが生じない程度の剛体であることが好ましい。
【0038】
各支持部材25,26の他端部側(下端部側)である下面に光ファイバ素線11,12の所定部分A,Bが間隔L1を隔てて固定されている。これら固定部分A,Bの間にヘテロコア部HPが位置している。ここでは、支持部材25,26の下面に溝(不図示)が形成されており、この溝に光ファイバ素線11,12が収容され、この収容状態にて光ファイバ素線11,12の固定部分A,Bが図示しない接着剤などによって固定されている。ここでは、光ファイバ素線11,12の固定部分A,Bとの上下方向の位置(高さ)は同じ又は略同じとなっているが、これに限定されない。
【0039】
光ファイバ10は、上述したように、ヘテロコア部HPを中心として光ファイバ10が2か所の固定部分A,Bにて支持部材25,26の下面に固定されている。そして、固定部分A,B間のヘテロコア部HPを含む部分の光ファイバ10であるセンサ部SPは、予め屈曲するように固定されていることが好ましい。
【0040】
このセンサ部SPの屈曲に応じて、光ファイバ10の光の伝送損失が変化する。センサ部SPの曲率が変化することにより光ファイバ10を伝送する光に生じる損失の変化を良好に測定するために、固定部分A,Bの間隔L1は、10mm以下であることが好ましい。
【0041】
また、センサ部SPのヘテロコア部HPを含む曲線部分の最小曲率半径は3mm以上8mm以下であることが好ましい。そして、この曲線部分は、曲率半径が連続して変化する略円弧状の部分であり、この円弧状の円弧のなす角度は180度以下、好ましくは150度以下、さらに好ましくは120度以下である。ヘテロコア部HPは、曲線部分の中間又は少なくともその近傍に位置している。
【0042】
また、フレーム22,23の間に挟まれた光ファイバ素線11,12は、これらフレーム22,23の何れか一方又は両方の側壁部に形成された溝(不図示)に挿入されることにより、フレーム22,23間に水密に固定されている。なお、光ファイバ素線11,12は、フレーム22,23に対して接着剤などで固定されており、この光ファイバ素線11,12と溝との間には隙間が存在しないように構成されている。
【0043】
図1を参照して、光ファイバ10の入射端である光ファイバ素線11の入射端には、半導体発光ダイオード(LED)や半導体レーザなどの発光素子を有する光源30が接続されている。光ファイバ10の出射端である光ファイバ素線12の端部には、フォトダイドード(PD)や電荷結合素子(CCD)などの受光素子を有する光パワーメータなどの受光部40が接続されている。さらに、受光部40には、CPUやメモリ等を備えた検出部50が接続されている。なお、受光部40から検出部50に無線で受光信号を送信してもよい。
【0044】
以上のように構成された光ファイバセンサ100において、図5に示すように、外圧が内圧より大きい場合、その差圧に応じてダイヤフラム21は下向きに凸となるように湾曲して撓む。この撓みは、上記の間隔L1は支持部材25,26の上下方向の長さに比例して拡大され、固定部分A,Bの間隔L2は初期の間隔L1(図3参照)よりも大きくなる。よって、ダイヤフラム21に直接的にセンサ部が固定されている場合と比較して、2つの支持部材25,26に支持されたセンサ部SPの間隔Lが大きく変化するので、センサ部SPの曲率が大きく変化し、光ファイバ10を伝送する光の漏洩の割合に大きな変化が生じるため、差圧を高感度で検出することが可能となる。
【0045】
差圧によるダイヤフラム21の撓み量を大きくすれば、従来のようにダイヤフラム21の変形に応じて直接的に変形するようにセンサ部が支持されていても、高感度で差圧を検出することはできる。ただし、この場合、ダイヤフラム21を薄くするか大面積化する必要がある。しかし、ダイヤフラム21を薄くすると強度不足で破損するおそれがあり、大面積化するとチャンバ20が大型化するという問題が生じる。
【0046】
なお、外圧が内圧より高い場合、図5に示すように、差圧に応じてダイヤフラム21は下向きに凸となるように湾曲し、間隔L2は初期の間隔L1より大きくなる。一方、外圧が内圧より低い場合、図示しないが、ダイヤフラム21は上向きに凸となるように湾曲し、間隔L2は初期の間隔L1より小さくなる。
【0047】
なお、初期の間隔L1は、ここでは、支持部材25,26間の間隔L0と等しいが、これには限定されない。例えば、ダイヤフラム21に撓みが存在しない場合、各支持部材25,26が下方に向かって直線状に延びるものについて説明したが、これに限定されない。支持部材25,26は、概ね下方に向かって延びるものであればよい。これは、下方に向かう長さに比例して間隔L2が変化するのであり、既知である初期の間隔L1からの変化に応じてダイヤフラム21の撓み量を検出することが可能であるからである。
【0048】
また、光ファイバセンサ100は、光ファイバ素線11,12として通信用シングルモード光ファイバを用いることができる。そのため、伝送路上での曲げや温度などの外乱に強く、伝送路における温度補償を必要しない。さらに、ブラッグ格子などを有し、光ファイバに発生した歪みに基づいて検出するものではないので、光ファイバ10に初期張力を与える必要がないため、センサ設置時に煩雑なプリテンション作業を行う必要がない。
【0049】
なお、本発明は実施形態に限定されるものではない。例えば、光ファイバ素線11の中途部に光カプラを設け、光カプラで別の光ファイバを分岐させるとともに、光ファイバ素線11の端部に銀蒸着などによって鏡を形成した反射部を設けてもよい。この場合、前記分岐された光ファイバの端部が出射端となり、この出射端に受光部40を接続すればよい。このような反射部を設けることにより、チャンバ20から光ファイバ素線11が延び出ることが回避され、光ファイバ10の取り回しが簡易となる。
【0050】
また、光ファイバ素線12の端部にOTDR(Optical time-domain reflectometer)装置を接続して、OTDR装置から入射されたセンサ光の後方へのレイリー散乱光をOTDR装置自身が計測するものであってもよい。
【0051】
また、ヘテロコア部HPを有する光ファイバ10以外の光ファイバとして、長周期光ファイバグレーティングを用いてもよい。この場合、光ファイバの屈曲度合に応じて共鳴波長のシフトを生じるので、光ファイバにおける伝送光のスペクトルに基づいて、差圧を検出することが可能となる。
【0052】
さらに、本発明は、上述したようにダイヤフラム21を用いて差圧を検出するセンサに適用されることに限定されない。例えば、図6に示す光ファイバセンサ200に適用してもよい。
【0053】
この光ファイバセンサ200においては、基台61の上面に水平方向に離間して固定された2つの固定部材62,63の上面にそれぞれ可撓部材64の両端部が固定されている。
【0054】
そして、この可撓部材64の略中央部に水平方向に間隔L0を開けて2つの支持部材65,66の下面が固定されている。これら支持部材65,66は上方に向かって起立しており、その上面の固定部分A,Bに光ファイバ10の光ファイバ素線11,12がそれぞれ間隔Lを開けて固定されている。
【0055】
このように構成された光ファイバセンサ200においても、上述した光ファイバセンサ100と同様に、可撓部材64の撓み量が、支持部材65,66の高さに応じて、間隔L0から間隔Lに拡大される。これにより、可撓部材64の撓み量を高感度で検出でき、この可撓部材64に作用する力を高感度で求めることが可能となる。
【符号の説明】
【0056】
10…光ファイバ、 11…出射端側の光ファイバ素線、 12…入射端側の光ファイバ素線、 13,15…コア、 14,16…クラッド、 17…界面、 20…チャンバ、 21…ダイヤフラム(可撓部材)、 22…上側フレーム、 22a…上側フレームの肉厚の部分(基台)、 23…下側フレーム、 24…通気パイプ、 25,26,65,66…支持部材、 30…光源、 40…受光部、 50…検出部、 61…基台、 62,63…固定部材、 64…可撓部材、 100,200…光ファイバセンサ、 A,B…固定部分(部分)、 HP…ヘテロコア部(光透過部)、 S…密閉空間(空間)、 SP…センサ部。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7