(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046404
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】切替インジケータ表示機能付き筆記具
(51)【国際特許分類】
B43K 24/14 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
B43K24/14 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151776
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】392005126
【氏名又は名称】ミクロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081547
【弁理士】
【氏名又は名称】亀川 義示
(72)【発明者】
【氏名】大河内 章寛
【テーマコード(参考)】
2C353
【Fターム(参考)】
2C353HA02
2C353HA09
2C353HE01
2C353HE05
2C353HE12
2C353HG01
2C353HJ07
(57)【要約】
【課題】回転により、リフィールの筆記色に対応した色表示を本体に表示できるように複式筆記具において、所望のリフィールを筆記位置に移動するための回転方向を、瞬時にわかるようにした切替インジケータ表示機能付き筆記具を提供する。
【解決手段】中本体7に、リフィール4の筆記色に対応する識別表示16を隣接して設けた連続表示部17と、副識別表示18と該副識別表示18間に位置して隣境表示19を有する副連続表示部20を設ける。リフィールが筆記位置にあるとき、本体に設けた第一窓および第二窓には該リフィールの筆記色に対応する識別表示16及び副識別表示18が表れる。該リフィールが収納位置に後退すると、第一窓34には後退したリフィールと、そのリフィールに隣接するリフィールの二つの識別表示が表れ、次にどちら方向に回転させればよいかが、わかる。すべてのリフィールが収納位置にあるとき、第二窓には隣境表示が表れる。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリフィールを収納した本体内に、中本体と、リフィールを選択的に筆記位置に前進させ若しくは収納位置に後退させるカム機構を具備し、中本体とカム機構を相対的に回転してリフィールを移動させるようにした筆記具において、上記中本体の周面に、上記複数のリフィールの筆記色に対応する識別表示を隣接して連続して有する連続表示部を設け、上記本体に第一窓を形成し、選択したリフィールを筆記位置に前進させたとき該リフィールの筆記色に対応する識別表示が第一窓に表れ、かつ該リフィールを後退させたとき該リフィールに対応する識別表示とそれに隣接する他のリフィールの筆記色に対応する識別表示が同時に第一窓に表れる大きさに上記第一窓を形成したことを特徴とする切替インジケータ表示機能付き筆記具。
【請求項2】
上記本体内には3本のリフィールが収納され、上記カム機構は上記リフィールに連結される3本のスライドカムと、該スライドカムをスライドさせるカム溝を形成する作動カム及び従動カムを有し、上記連続表示部に設けた識別表示は、上記中本体の周方向に120度の幅で連続している請求項1に記載の切替インジケータ表示機能付き筆記具。
【請求項3】
上記筆記具は、上記連続表示部に続いて、複数のリフィールの筆記色に対応する副識別表示を隣接して設けかつ該副識別表示間に位置して隣境表示を設けた副連続表示部を有し、上記本体には上記第一窓と第二窓が形成され、上記第二窓は副連続表示部に対応し、選択したリフィールが筆記位置に前進したとき該リフィールの筆記色に対応する副連続表示部の副識別表示が第二窓に表れ、かつ該リフィールが後退したときは副連続表示部の隣境表示が第二窓に表れるよう第二窓を形成したことを特徴とする請求項1に記載の切替インジケータ表示機能付き筆記具。
【請求項4】
上記本体内には3本のリフィールが収納され、上記カム機構は上記リフィールに連結される3本のスライドカムと、該スライドカムをスライドさせるカム溝を形成する作動カム及び従動カムを有し、上記連続表示部に設けた識別表示は、上記中本体の周方向に120度の幅で連続し、上記副連続表示部に設けた副識別表示と隣境表示は、中本体の周方向に60度の幅で連続して設けられている請求項3に記載の切替インジケータ表示機能付き筆記具。
【請求項5】
上記第一窓は、隣接する識別表示が一つの窓に二つまとめて表れるよう一か所に形成されている請求項1に記載の切替インジケータ表示機能付き筆記具。
【請求項6】
上記第一窓は、隣接する識別表示ごとに対応して表れるよう分散して設けられている請求項1に記載の切替インジケータ表示機能付き筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャープペンシルやボールペン等複数のリフィールを備えた筆記具において、カム機構の回転によりリフィールを選択的に移動させて筆記具の先端から突出させたり、収納することができ、そのときの状態を表示できるようにした切替インジケータ表示機能付き筆記具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャープペンシルやボールペン等の複数の多色のリフィールを備えた筆記具において、筆記位置にあるリフィールの筆記色が分かるようリフィールの筆記色と同じ色の色表示が軸筒の窓から視認できるようにした複式筆記具が知られている (例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の筆記具では、下部軸筒に連結スリーブを固着し、この連結スリーブの周面の一部に各ボールペン体の筆記色に対応する色表示A及びBを相対立して施し、上部軸筒の下端に穿設した透孔を通じて上記色表示A又はBが目視できるように構成している。この構成によれば、上部軸筒(カムスリーブ)を回動すると、カムスリーブのスライド傾斜面に押されて、収納位置にあるボールペン体の一つが前進して筆記位置に移動し、先端が下部軸筒の下端から突出して筆記することができ、前進したボールペン体の筆記色と同じ色の色表示が透孔に表れる。
【0003】
上記色表示AとBの間には、色表示のない周面になっているので、収納位置にある他のボールペン体の色表示は隠されたままである。そして、筆記位置にあるボールペン体を収納位置に後退させると、上記透孔に表れていた色表示も隠れる。すべてのボールペン体が収納位置にあるときは、透孔は色表示のない周面に対応するので、透孔には色表示が表れていない。したがって、次に、使用したい筆記色のボールペン体を、収納位置から筆記位置に移動させるときに、上部軸筒(カムスリーブ)をどちら方向に回転させたら、所望のボールペン体を筆記位置に移動させることができるかどうかわからず、何度か回転方向を変更して確かめなければならない。
【0004】
また、すべてのボールペン体が収納位置に後退しているときの状態を示す切替インジケータ表示が設けられていないから、軸筒の外観を一瞥しただけではボールペン体の先端が完全に下部軸筒内に入り込んだかどうか確認できないこともあり、若し突出しているような事態を生じていると、手指や衣服等を汚染する可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭55-53430号公報(実用新案登録請求の範囲、第2図、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決課題は、複数のリフィールを有し、カム機構の回転により所望のリフィールを収納位置から選択的に筆記位置に移動できるようにした筆記具において、収納位置からどちら方向にカム機構を回転させたら所望のリフィールを突出できるか瞬時にわかるようにし、かつすべてのリフィールが収納位置にあることを確認できるようなインジケータ表示を備えた切替インジケータ表示機能付き筆記具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、複数のリフィールを収納した本体内に、中本体と、リフィールを選択的に筆記位置に前進させ若しくは収納位置に後退させるカム機構を具備し、中本体とカム機構を相対的に回転してリフィールを移動させるようにした筆記具において、上記中本体の周面に、上記複数のリフィールの筆記色に対応する識別表示を隣接して連続して有する連続表示部を設け、上記本体に第一窓を形成し、選択したリフィールを筆記位置に前進させたとき該リフィールの筆記色に対応する識別表示が第一窓に表れ、かつ該リフィールを後退させたとき該リフィールに対応する識別表示とそれに隣接する他のリフィールの筆記色に対応する識別表示が同時に第一窓に表れる大きさに上記第一窓を形成したことを特徴とする切替インジケータ表示機能付き筆記具が提供され、上記課題が解決される。
【0008】
また、本発明によれば、上記連続表示部に続いて、複数のリフィールの筆記色に対応する副識別表示を隣接して有し、かつ該副識別表示間に位置して隣境表示を有する副連続表示部を設け、上記本体には上記第一窓と第二窓が形成され、上記第二窓は副連続表示部に対応し、選択したリフィールが筆記位置に前進したとき該リフィールの筆記色に対応する副連続表示部の副識別表示が第二窓に表れ、かつ該リフィールが後退したときは副連続表示部の隣境表示が第二窓に表れるよう第二窓を形成したことを特徴とする上記切替インジケータ表示機能付き筆記具が提供され、上記課題が解決される。
【0009】
また、上記第一窓は、隣接する識別表示が一つの窓に二つまとめて表れるよう一か所に形成され、若しくは隣接する識別表示ごとに対応して表れるよう二か所に分散して設けられている上記切替インジケータ表示機能付き筆記具が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記のように構成され、複数のリフィールを収納した本体内に、中本体と上記リフィールを選択的に筆記位置に前進させ若しくは収納位置に後退させるカム機構を備え、上記中本体とカム機構を相対的に回転可能してリフィールを移動させるようにした筆記具において、該中本体の周面には、上記複数のリフィールの筆記色に対応する識別表示を有する連続表示部を設けてあり、本発明においては、この複数の識別表示は、一つのリフィールの筆記色に対応する識別表示に隣接して他のリフィールの筆記色に対応する識別表示が連続している。そして、上記本体に第一窓を形成し、該第一窓の大きさを、カム機構を回転して選択したリフィールを筆記位置に前進させたとき、該リフィールの筆記色に対応する識別表示が第一窓に表れ、かつカム機構を回転して該リフィールを後退させたとき該リフィールに対応する識別表示とそれに隣接する他のリフィールの筆記色に対応する識別表示が第一窓に同時に表れる大きさに第一窓を形成してある。この構成により、筆記位置にあるリフィールの筆記色が第一窓に表れる識別表示でわかるとともに、収納位置に該リフィールを後退させたときに、第一窓には隣接する他のリフィールと合わせて二つの識別表示が同時に表れるから、リフィールが収納位置に後退したことが分かる。そして、隣接する二つの識別表示の隣接方向をみて、次に使用するとき所望のリフィールを筆記位置に前進させるためには、どちらの方向にカム機構を回転させればよいか、が瞬時にわかり、使用しやすい。
【0011】
また、上記連続表示部に続いて、複数のリフィールの筆記色に対応する副識別表示を隣接して表し、該副識別表示間に位置して隣境表示を設けた副連続表示部を形成し、副連続表示部に対応して上記本体に第二窓を形成すると、カム機構の回転により、選択したリフィールが筆記位置に前進したときには、該リフィールに対応する副連続表示部の副識別表示が第二窓に表れるので、第二窓からも選択したリフィールが筆記位置にあることがわかる。また、カム機構を回転して該リフィールを後退させたときには、第二窓には副連続表示部の隣境表示が表れるから、隣境表示により複数のリフィールが収納位置に後退していることが第二窓から分かり、リフィールの筆記先端を軸筒の下端から突出したまま携行するような事態を生じないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の筆記具の一実施例を示し、(A)は正面図、(B)はカム機構を概略して示す断面図。
【
図2】中本体を示し、(A)は連続表示部や副連続表示部を省略した平面図、(B)は断面図、 (C)は連続表示部や副連続表示部を周面に設けた状態の平面図。
【
図3】スライドカムを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は断面図、(D)は底面図、(E)は左側面図。
【
図4】作動カムを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は断面図、(E)はカム面の説明図。
【
図5】従動カムを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は断面図、(E)はカム面の説明図。
【
図6】尾栓を示し、(A)は平面図、(B)断面図、(C)は縦断面図。
【
図8】本体上を示し、(A)は正面図、(B)側面図、(C)は縦断面図。
【
図9】カム機構の作動状態を示し、一つのリフィールが筆記位置に移動したときの説明図。
【
図10】一つリフィールが筆記位置に移動し、第一窓及び第二窓に、該リフィールに対応する識別表示が表れている状態の説明図。
【
図11】カム機構の作動状態を示し、すべてのリフィールが収納位置に移動したときの説明図。
【
図12】使用状態を示し、(A)は、すべてのリフィールが収納位置に移動し、第一窓に二つのリフィールに対応する識別表示が表れ、かつ第二窓に隣境表示が表れている状態を示す説明図、(B)は(A)の状態から第一窓に表れている隣接する識別表示の方向にカム機構を回転して隣接するリフィールを筆記位置に移動させたときの説明図。
【
図13】第一窓を分散して設けた実施例を示し、(A)は、一つのリフィールが筆記位置に移動し、第一窓のそれぞれに同じ識別表示が表れている状態の説明図、(B)はすべてのリフィールが収納位置に移動し、二つの第一窓にそれぞれ二つのリフィールに対応する識別表示が表れ、かつ第二窓に隣境表示が表れている状態を示す説明図、(C)は(B)の状態から第一窓の一つに表れている隣接する識別表示の方向にカム機構を回転して隣接するリフィールを筆記位置に移動させたときの説明図。
【
図14】他の実施例を示し、(A)は正面図、(B)はカム機構部分を概略した断面図、(C)は中本体の一部を示す説明。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、シャープペンシルやボールペン等の各種の複式筆記具に適応することもできるが、
図1は、3本のボールペンリフィールを有する筆記具1に適応した実施例を示し、基本的な構成は、特許第4814901に示す複式筆記具と同じ構成である。概略を説明すると、本体は、相対的に回転可能に組み合わされた本体下2と本体上3で構成され、本体下2の先端側にはリフィール4の筆記先端5が突出する先端孔6が設けられ、本体下2の後部側には、
図2に示すような、中本体7が固定されている。本体上3内には、回転操作によりリフィール4を選択的に繰り出すカム機構が設けられている。カム機構は、種々に構成することができるが、実施例では、
図3に示すように、リフィール4の後端に連結され上記中本体7内に挿通される3本のスライドカム8と、該スライドカム8を作動させるカム溝9(
図9、
図11参照)を形成するよう組み合わされる作動カム10と従動カム11(
図4、
図5参照)を有し、スライドカム8は作動カム10と従動カム11の組み合わせ体を囲んだ状態で位置し、作動カム10は、
図6に示すような、尾栓12を介して本体上3に回転止め状態で固定される。
【0014】
上記中本体7は、
図2に示すように、本体下2の後端に当接するフランジ13を略中間部に有し、フランジ13よりも先端側には固定用のねじ部14が設けられ、内部には上記スライドカム8を長手方向に作動させるため長手方向に延びるガイドリブ15が設けられている。上記フランジ13よりも後方の中本体7の周面には、複数の、実施例では3本のリフィール4の筆記色に対応する3色の色表示を示す識別表示16を隣接して連続して有する合計3色の連続表示部17を設けてある。さらに、連続表示部17に続いて、上記連続表示部17の識別表示16に連続して隣接するリフィール4の筆記色に対応する3色の色表示を示す副識別表示18を幅狭に設け、該副識別表示18間に位置して隣境表示19を設けた合計4色の副連続表示部20を設けてある。これらの表示部は、多色成形で成形したり、転写や印刷、フィルムやテープ等により適宜に形成することができる。
【0015】
図7は、連続表示部17と副連続表示部20を展開して示す説明図である。実施例では3本のリフィール4A、4B、4Cを設けてあるので、連続表示部17には、筆記色A色、B色、C色に対応して16A、16B、16Cの識別表示16が中本体7の周方向に120度の幅で連続して隣接して設けられている。また、副連続表示部20には、上記識別表示16に続いて該識別表示16よりも幅狭の18A、18B、18Cの副識別表示18と、該副識別表示18間に位置する隣境表示19がD色として設けられている。これにより、副連続表示部20では上記A色、B色、C色及びD色が周方向に60度の幅で連続していることになる。リフィールの数がさらに増えた場合には、筆記色に応じて識別表示や副識別表示の数を増やせばよい。
【0016】
上記スライドカム8は、
図3に示すように、約120度に湾曲する壁面を有する略弧状のスライドカム本体21を有し、先端にはリフィール4を連結するための取付片22が突設されており、内面にはカム機構のカム溝9内にスライド可能に挿入される係合突起23が設けられている。
【0017】
上記作動カム10は、
図4に示すように、展開図でみて略山形状に突出するカム面24を有し、内部には長手方向に延びる半割状筒状片25と、従動カム11を固定するための係止突起26が形成され、後部には尾栓12のリブ33に係合する係合溝27が設けられている。従動カム11は、
図5に示すように、上記作動カム10のカム面24と合わせて略山形状のカム溝9を形成するための略山形状に凹んだカム面28を有し、内部には長手方向に延びる半割状筒状片29があり、該半割状筒状片29の外周には上記作動カム10の係合突起26に係合させるための係止凹部30が設けられている。この構成により作動カム10と従動カム11を組み合わせると、半割状筒状片25、29が係合して連結され、カム面24、28によってカム面間にカム溝9が形成される。上記スライドカム8は、上記中本体8の内面と作動カム10及び従動カム11の組み合わせ体の外面の間に位置し、スライドカム8の係合突起23は上記カム溝9に挿入され、カム溝9が回転すると、カム面24、28に押され該カム面に沿って長手方向に前後にスライドする。実施例においては、3本のリフィール4を有するから、カム溝9に挿入された係合突起23は周方向に120度間隔で分散配置されることになる。さらに複数のリフィールを有する筆記具の場合にはそれに対応した間隔で分散配置される。
【0018】
図1に示すように、本体上3には、後方から挿入した尾栓12の抜け止めリブ31が設けられ、尾栓12には、
図6に示すように、該抜け止めリブ31に係合する回転止めリブ32と、上記作動カム10の後端の係止溝27に回転止め状態で係合するリブ33が設けられている。上記本体上3には、連続表示部17に対応する第一窓34と、副連続表示部20に対応する第二窓35が設けられている。それぞれの窓は、本体上の壁部を切り欠いて透孔に形成してあるが、本体の一部を透視可能な透明性材料で成形した窓であってもよい。上記第一窓34は、隣接する上記識別表示16の二つが表れる大きさに形成されているが、この際一つの窓に二つの識別表示16が一緒に並んで同時に同時に表れるようにしたり、二つの識別表示16が隣接した状態でそれぞれの窓に表れるよう第一窓を複数に、例えば二つの小窓に分散して設けてもよい。第二窓は、図に示す実施例では、文字形に形成した複数の窓で形成しているが、数や形状等は適宜に設けることができる。
【0019】
上記構成により、スライドカム8の係合突起23は、作動カム10、従動カム11の周方向に所定間隔で、図に示す実施例では120度間隔に分散した状態で、カム溝9に係合している。本体上3と本体下2(中本体7)を相対的に回転させるとカム溝9が回転するので、スライドカム8は係合突起23がカム面24、28に押されて前進したり後退したりする。
図9は、A色のリフィール4Aをカム機構により筆記位置に移動させた状態を示し、A色のリフィール4Aに接続したスライドカム8Aは、係合突起23がカム溝9の先端まで移動してリフィール4Aを筆記位置に移動している。このとき、B色、C色のリフィール4B、4Cに接続したスライドカム8B、8Cはカム溝9の後端側付近に後退して、各リフィール4B、4Cを収納位置に移動させている。リフィール4Aが筆記位置に移動したことにより、
図10に示すように、本体上3に設けた第一窓34は、A色に対応する識別表示16Aに対応するので、識別表示16AからA色のリフィール4Aが筆記位置に移動したことが分かる。また、第二窓35には、A色のリフィール4Aに対応する副識別表示18Aがあらわれてくるので、この点からもA色のリフィール4Aが筆記位置に移動したことが分かる。
【0020】
カム機構と中本体7を相対的に回転して上記リフィール4Aを収納位置に移動させると、
図11に示すように、A色とB色のスライドカム8A、8Bがカム溝9の中間部に移動し、C色のスライドカム8Cはカム溝9の後端側付近に移動する。このとき、相対的にみて第一窓34と中本体7は、60度回転したことになるから、第一窓には、
図12に示すようにA色、B色の識別表示16A、16Bが表れ、上記A色のリフィール4Aとそれに隣接するB色のリフィール4Bが収納位置に後退したことが分かる。したがって、次にA色、若しくはB色のリフィールを筆記位置に移動させたいときは、A色側若しくはB色側にカム機構若しくは中本体を回転されればよいので、回転方向が瞬時に分かり、操作しやすい。
【0021】
具体的な色、例えば赤色、黒色、青色のリフィールを順に隣接して設けた筆記具について説明すると、赤リフィールが筆記位置に移動したとき、第一窓には赤表示が表れ、この赤リフィールを収納位置に移動すると、第一窓には赤表示と黒表示が表れる。そこで、黒表示の方向にカム機構を回転すると、黒リフィールが筆記位置に移動し、第一窓に黒表示が表れる。次に黒リフィールを収納位置に移動させると、第一窓には黒表示と青表示が表れる。青表示の方向にカム機構を回転すると、青リフィールが筆記位置に移動し、その位置から収納位置に青リフィールを移動させると、第一窓には青表示と赤表示が表れる。以下同様にして第一窓の色表示の隣接方向をみて瞬時に回転方向が分かるので、所望のリフィールを簡単に移動することができる。
【0022】
図13には、上記第一窓34を、二つの小窓36に分散して設けた実施例をしている。この場合、
図13(A)に示すように、一つのリフィールが筆記位置に移動したときには、小窓36のそれぞれには、対応する同じ識別表示16が表れる。すべてのリフィール4が収納位置に移動すると、
図13(B)に示すように、隣接する二つのリフィール4に対応する識別表示16が、二つの小窓36にそれぞれ表れ、かつ第二窓35には、隣境表示19が表れてくるので、すべてのリフィール4が収納位置にあることがわかる。そして、小窓36の一つに表れている隣接する識別表示16のいづれか一方の方向、例えば
図13(B)の矢印方向にカム機構を回転させると、隣接するリフィール4が筆記位置に移動し、そのときの状態が、上述の実施例と同様に、
図13(C)に示すように、小窓36にあらわれるから、筆記位置にあることが分かる。
【0023】
上記実施例では、中本体7を本体下2に固定したが、
図14には筆記具の他の実施例が示されている。
図14において、カム機構を内部に有する本体37は、前方に向かって長く延び、該本体37内には長い中本体38が収納され、周面には第一窓34と第二窓35が設けられている。該中本体38の先端には上記本体37の下端から露出するグリップ部39が形成され、グリップ部39の内面には、ねじ部40が設けられ、筆記先端5を突出させる先端孔41を有するテーパー42にねじ着されている。上記カム機構は上記実施例のカム機構と同様であり、中本体38に設ける連続表示部17及び副連続表示部20も上記実施例をほぼ同様である。しなわち、複数の色表示を連続して表した識別表示16を有する連続表示部17と、該連続表示部17に続いて複数の連続した副識別表示18と副識別表示18間に隣境表示19を設けた副連続表示部20であるので、詳述を省略する。上記グリップ部39を把持して本体37と中本体38を相対的に回転させると、上記実施例と同様に、選択したリフィール4が筆記位置に移動したとき、該リフィール4の筆記色に対応する識別表示16が第一窓34と第二窓35に表れる。該リフィール4を収納位置に後退させると、第一窓34には後退したリフィールの筆記色に対応する識別表示16と、それに隣接する他のリフィール4の筆記色に対応する識別表示16が第一窓に表れ、隣境表示19が第二窓35に表れる。
【0024】
上記実施例では、リフィールの筆記色に応じて識別表示の色表示を変えるようにしたが、リフィールの種類や芯の太さや幅等を切替できるようにした筆記具の場合も、適宜本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 筆記具
2 本体下
3 本体上
4 リフィール
7 中本体
8 スライドカム
9 カム溝
10 作動カム
11 従動カム
12 尾栓
16 識別表示
17 連続表示部
18 副識別表示
19 隣境表示
20 副連続表示部
34 第一窓
35 第二窓
36 小窓
37 本体
38 中本体