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特開2024-46438降圧DC/DCコンバータおよびそのコントローラ回路
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  • 特開-降圧DC/DCコンバータおよびそのコントローラ回路 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046438
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】降圧DC/DCコンバータおよびそのコントローラ回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
H02M3/155 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151832
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】宮長 晃一
(72)【発明者】
【氏名】浅野 隼
(72)【発明者】
【氏名】横山 伸之
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
5H730EE59
5H730FD01
5H730FG05
5H730XX03
5H730XX14
5H730XX23
5H730XX33
5H730XX43
(57)【要約】
【課題】過電圧状態を抑制する。
【解決手段】コントローラIC200のフィードバックピンFBは、降圧コンバータ100の出力ライン104と接続される。分圧回路210は、フィードバックピンFBと接地の間に直列に接続される第1抵抗R11および第2抵抗R12を含む。フィードバック回路220は、分圧回路210の出力であるフィードバック電圧VFBが基準電圧VREFに近づくようにパルス変調信号を生成する。電流源290は、フィードバックピンFBと接続され、定電流Icをソースする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
降圧DC/DCコンバータのコントローラ回路であって、
前記降圧DC/DCコンバータの出力ラインと接続されるべきフィードバックピンと、
前記フィードバックピンと接地の間に直列に接続される第1抵抗および第2抵抗を含む分圧回路と、
前記分圧回路の出力であるフィードバック電圧が基準電圧に近づくようにパルス変調信号を生成するフィードバック回路と、
前記フィードバックピンと接続され、定電流をソースする電流源と、
を備える、コントローラ回路。
【請求項2】
前記電流源は、前記降圧DC/DCコンバータが軽負荷モードで動作しているときにオフとなる、請求項1に記載のコントローラ回路。
【請求項3】
前記電流源は、前記降圧DC/DCコンバータが軽負荷モードで動作しているときに、前記電流を減少させる、請求項1に記載のコントローラ回路。
【請求項4】
前記フィードバック回路は、
前記フィードバック電圧と前記基準電圧の誤差を増幅するエラーアンプと、
前記エラーアンプの出力信号に応じたデューティサイクルを有するパルス信号を生成するパルス幅変調器と、
を含む、請求項1から3のいずれかに記載のコントローラ回路。
【請求項5】
ひとつの半導体基板に一体集積化される請求項1から3のいずれかに記載のコントローラ回路。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかに記載のコントローラ回路を備える、降圧DC/DCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、降圧DC/DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
入力電圧よりも低い電圧を生成するために、降圧(Buck)DC/DCコンバータが使用される。
【0003】
降圧DC/DCコンバータのコントローラ回路は、降圧DC/DCコンバータの電気的状態、具体的には出力電圧や出力電流を示すフィードバック信号が、目標状態に近づくように、降圧DC/DCコンバータのスイッチングトランジスタをフィードバック制御する。
【0004】
コントローラ回路が集積化された半導体チップ(ダイ)は、半導体パッケージに収容される。半導体パッケージ内、半導体チップの電極パッドは、ボンディングワイヤを介して、半導体パッケージのピンと接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第7102307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、降圧DC/DCコンバータのコントローラ回路について検討した結果、以下の課題を認識するに至った。
【0007】
フィードバック信号が伝わるフィードバック経路が遮断する異常が発生する可能性がある。このような異常は、半導体パッケージのピンとプリント基板のはんだの外れ、ボンディングワイヤの外れなどに起因して生じうる。フィードバック経路が遮断すると、コントローラ回路に入力されるフィードバック信号は0Vとなる。そうすると、コントローラ回路は、フィードバック信号が目標値に近づくように、スイッチングのデューティサイクルを増大させ、その結果、出力電圧(あるいは出力電流)が増加する。ところが、出力電圧(出力電流)が増大しても、フィードバック信号は0Vのままであるため、コントローラ回路はさらにデューティサイクルを増大させこととなり、降圧DC/DCコンバータの出力は増加し続け、やがて過電圧状態となる。
【0008】
本開示はかかる状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、過電圧状態を抑制可能なコントローラ回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のある態様は、降圧DC/DCコンバータのコントローラ回路に関する。コントローラ回路は、降圧DC/DCコンバータの出力ラインと接続されるべきフィードバックピンと、フィードバックピンと接地の間に直列に接続される第1抵抗および第2抵抗を含む分圧回路と、分圧回路の出力であるフィードバック電圧が基準電圧に近づくようにパルス変調信号を生成するフィードバック回路と、フィードバックピンと接続され、定電流をソースする電流源と、を備える。
【0010】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明あるいは本開示の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0011】
本開示のある態様によれば、出力の過電圧を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1に係る降圧DC/DCコンバータの回路図である。
図2図2は、フィードバック回路の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、正常状態における降圧コンバータの等価回路図である。
図4図4は、異常状態における降圧コンバータの等価回路図である。
図5図5は、実施形態2に係る降圧コンバータのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0014】
一実施形態に係る降圧DC/DCコンバータのコントローラ回路は、降圧DC/DCコンバータの出力ラインと接続されるべきフィードバックピンと、フィードバックピンと接地の間に直列に接続される第1抵抗および第2抵抗を含む分圧回路と、分圧回路の出力であるフィードバック電圧が基準電圧に近づくようにパルス変調信号を生成するフィードバック回路と、フィードバックピンと接続され、定電流をソースする電流源と、を備える。
【0015】
この構成によると、フィードバックピンがハイインピーダンスとなった場合に、電流源が生成する定電流は、分圧回路に流れ込む。これにより、分圧回路には、非ゼロの電圧降下が発生し、非ゼロのフィードバック電圧が、フィードバック回路に入力される。これにより、過電圧を抑制できる。フィードバックピンが正常に接続されているときには、フィードバックピンの電圧は、降圧DC/DCコンバータの主回路によって安定化されているため、電流源が生成する電流は、フィードバックループに影響を与えない。
【0016】
軽負荷モードでは、降圧DC/DCコンバータの主回路の出力インピーダンスが高くなるため、電流源が生成する電流が、フィードバックループに影響を与える可能性がある。そこで一実施形態において、電流源は、降圧DC/DCコンバータが軽負荷モードで動作しているときにオフとなってもよい。あるいは一実施形態において、電流源が生成する電流量は、降圧DC/DCコンバータが軽負荷モードで動作しているときに、小さくなってもよい。これらにより、軽負荷モード中に、電流源が生成する電流が、フィードバックループに影響を与えるのを抑制できる。
【0017】
一実施形態において、フィードバック回路は、フィードバック電圧と基準電圧の誤差を増幅するエラーアンプと、エラーアンプの出力信号に応じたデューティサイクルを有するパルス信号を生成するパルス幅変調器と、を含んでもよい。
【0018】
一実施形態において、コントローラ回路は、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0019】
一実施形態に係る降圧DC/DCコンバータは、上述のいずれかのコントローラ回路を備えてもよい。
【0020】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0021】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0022】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に接続された(設けられた)状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0023】
また本明細書において、電圧信号、電流信号などの電気信号、あるいは抵抗、キャパシタ、インダクタなどの回路素子に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは回路定数(抵抗値、容量値、インダクタンス)を表すものとする。
【0024】
本明細書において参照する波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化され、あるいは誇張もしくは強調されている。
【0025】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る降圧DC/DCコンバータ(以下、降圧コンバータという)100の回路図である。降圧コンバータ100は、入力ライン102に供給された入力電圧VINを降圧し、降圧後の出力電圧VOUTを出力ライン104に発生する。
【0026】
降圧コンバータ100は、主回路110およびコントローラIC(Integrated Circuit)200を備える。コントローラIC200は、ひとつの半導体基板に集積化されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。
【0027】
主回路110は、ハイサイドトランジスタM1、ローサイドトランジスタM2、インダクタL1、出力キャパシタC1を備える。ハイサイドトランジスタM1およびローサイドトランジスタM2は、入力ライン102と接地の間に直列に接続される。インダクタL1の一端は、ハイサイドトランジスタM1およびローサイドトランジスタM2の接続ノード(スイッチングピンという)SWと、出力ライン104の間に接続される。出力キャパシタC1は、出力ライン104と接地の間に接続される。ハイサイドトランジスタM1およびローサイドトランジスタM2は、コントローラIC200に集積化されてもよいし、外付けのディスクリート部品であってもよい。
【0028】
コントローラIC200は、分圧回路210、フィードバック回路220、ドライバ280、電流源290を備える。
【0029】
コントローラIC200のフィードバックピンFBは、出力ライン104と接続され、出力電圧VOUTが入力される。コントローラIC200の入力ピンVINは、入力ライン102と接続される。GNDピンは接地される。
【0030】
分圧回路210は、フィードバックピンと接地の間に直列に接続される第1抵抗R11および第2抵抗R12を含む。分圧回路210は、フィードバックピンFBに入力される出力電圧VOUTを分圧し、フィードバック電圧VFBを生成する。
FB=VOUT×R12/(R11+R12)
【0031】
フィードバック回路220は、分圧回路210の出力であるフィードバック電圧VFBが所定の基準電圧VREFに近づくようにパルス変調信号Spを生成する。たとえばフィードバック回路220は、パルス幅変調器を含み、フィードバック電圧VFBと基準電圧VREFの誤差がゼロに近づくように、パルス変調信号Spのデューティサイクル(パルス幅)を調節する。フィードバック回路220は、パルス変調信号SpにもとづくハイサイドパルスSHおよびローサイドパルスSLを生成する。
【0032】
ドライバ280は、ハイサイドパルスSHにもとづいてハイサイドトランジスタM1を駆動し、ローサイドパルスSLにもとづいてローサイドトランジスタM2を駆動する。
【0033】
電流源290は、フィードバックピンFBと接続される。電流源290は、定電流Icをソースする。この定電流Icは、以下の式を満たすように定めることができる。
Ic×R12<VREF
Ic>VREF/R12
【0034】
図2は、フィードバック回路220の構成例を示すブロック図である。この例ではフィードバック回路220は、パルス幅変調器230と、ロジック回路240を備える。パルス幅変調器230は、フィードバック電圧VFBが基準電圧VREFに近づくように、パルス幅変調信号SPWMのデューティサイクルを調節する。パルス幅変調器230は、エラーアンプ232、オシレータ234、PWMコンパレータ236を含む。エラーアンプ232は、フィードバック電圧VFBと基準電圧VREFの誤差を増幅し、誤差電圧VERRを生成する。オシレータ234は、三角波またはのこぎり波(ランプ波)である周期電圧VOSCを生成する。PWMコンパレータ236は、誤差電圧VERRと周期電圧VOSCを比較し、PWM信号SPWMを生成する。ロジック回路240は、PWM信号SPWMにもとづいて、ハイサイドパルスSHおよびローサイドパルスSLを生成する。なおパルス幅変調器230の構成は、図2のそれに限定されず、公知技術を用いて構成することができる。
【0035】
以上がコントローラIC200の構成である。続いてその動作を説明する。
【0036】
・正常状態
図3は、正常状態における降圧コンバータ100の等価回路図である。正常状態では、フィードバックピンFBと出力ライン104が電気的に正しく接続されており、フィードバックピンFBには、出力電圧VOUTがフィードバック入力されている。分圧回路210のインピーダンスと、主回路110のインピーダンスを比較すると、主回路110のインピーダンスの方が十分に低いため、電流源290が生成する定電流Icは、分圧回路210ではなく、主回路110の方に流れる。したがって、電流源290はフィードバックループには影響を及ぼさず、
FB=VOUT×R12/(R11+R12)
となる。フィードバック回路220によって、VFB=VREFとなるようにフィードバック制御がかかり、その結果、出力電圧VOUTは、以下の目標電圧VOUT(REF)に安定化される。
OUT(REF)=VREF×(R11+R12)/R12
【0037】
・異常状態
図4は、異常状態における降圧コンバータ100の等価回路図である。異常状態では、フィードバックピンFBと出力ライン104の間が断線している。この状態では、電流源290が生成する定電流Icは、分圧回路210に流れ込む。このときのフィードバック電圧VFBは、以下の式で表される。これは、出力電圧VOUTに依存しない定電圧である。
FB(ERR)=Ic×R12
【0038】
FB(ERR)>VREFを満たすとき、フィードバック回路220が生成するパルス変調信号のデューティサイクルは0%に近づく方向にフィードバックがかかる。その結果、出力電圧VOUTは低下していき、過電圧状態の発生を抑制できる。
【0039】
以上が降圧コンバータ100の動作である。この降圧コンバータ100によれば、フィードバックピンFBのはんだ外れやボンディングワイヤの外れが生じた場合に、出力電圧VOUTが過電圧状態となるのを防止することができる。
【0040】
(実施形態2)
図5は、実施形態2に係る降圧コンバータ100Aのブロック図である。コントローラIC200Aのフィードバック回路220Aは、パルス幅変調器230、パルス周波数変調器250、ロジック回路240を備える。パルス幅変調器230は、重負荷モードにおいてアクティブとなり、パルス周波数変調器250は、軽負荷モードにおいてアクティブとなる。
【0041】
フィードバック回路220Aは、出力ライン104に接続される負荷に流れる電流がゼロに近い状態で軽負荷モードとなり、負荷に流れる電流がある程度大きい状態で重負荷モードとなる。
【0042】
具体的には、パルス周波数変調器250は、フィードバック電圧VFBを監視し、フィードバック電圧VFBが基準電圧VREFまで低下すると、所定のオン時間の間TON、パルス信号Spをアサート(たとえばハイレベル)する(固定オン時間制御方式)。ロジック回路240は、パルス信号Spがアサートされるオン時間TONの間、ハイサイドパルスSHをオンレベル、ローサイドパルスSLをオフレベルとする。オン時間TONの間、ハイサイドトランジスタM1がオン、ローサイドトランジスタM2がオフとなる。
【0043】
そして、オン時間TONにつづくオフ時間TOFFの間、ハイサイドパルスSHをオフレベル、ローサイドパルスSLをオンレベルとする。オフ時間TOFFの間、ハイサイドトランジスタM1がオフ、ローサイドトランジスタM2がオンとなる。たとえば、パルス周波数変調器250は、インダクタL1に流れるコイル電流Iを監視し、コイル電流Iがゼロになると、オフ時間TOFFを終了し、ハイインピーダンス区間THZに移行する。
【0044】
ハイインピーダンス区間THZの間、ロジック回路240は、ハイサイドパルスSHとローサイドパルスSLは両方、オフレベルとする。ハイインピーダンス区間THZの間、ハイサイドトランジスタM1とローサイドトランジスタM2は両方オフとなる。そして、次にパルス信号Spがアサートされると、ハイインピーダンス区間THZからオン時間TONに戻る。
【0045】
電流源290は、定電流Icを生成するイネーブル状態(オン状態)と、定電流Icを停止するディセーブル状態(オフ状態)が切りかえ可能である。ロジック回路240は、パルス周波数変調器250がアクティブである軽負荷モードにおいて、電流源290をディセーブル状態とし、パルス幅変調器230がアクティブである重負荷モードにおいて、電流源290をイネーブル状態とする。
【0046】
以上が降圧コンバータ100Aの構成である。
【0047】
軽負荷モードでは、降圧コンバータ100Aの主回路110の出力インピーダンスが高くなるため、電流源290が生成する定電流Icが、フィードバックループに影響を与える可能性がある。そこで降圧コンバータ100Aが軽負荷モードで動作しているときには、電流源290をオフすることで、電流源290が、フィードバックループに影響を与えるのを抑制できる。
【0048】
なお、電流源290は、定電流Icを2段階で調節可能であってもよい。そして電流源290は、ディセーブル状態において、定電流Icを減少させてもよい。
【0049】
実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにさまざまな変形例が存在すること、またそうした変形例も本開示に含まれ、また本発明の範囲を構成しうることは当業者に理解されるところである。
【0050】
(付記)
本開示には以下の技術が開示される。
【0051】
(項目1)
降圧DC/DCコンバータのコントローラ回路であって、
前記降圧DC/DCコンバータの出力ラインと接続されるべきフィードバックピンと、
前記フィードバックピンと接地の間に直列に接続される第1抵抗および第2抵抗を含む分圧回路と、
前記分圧回路の出力であるフィードバック電圧が基準電圧に近づくようにパルス変調信号を生成するフィードバック回路と、
前記フィードバックピンと接続され、定電流をソースする電流源と、
を備える、コントローラ回路。
【0052】
(項目2)
前記電流源は、前記降圧DC/DCコンバータが軽負荷モードで動作しているときにオフとなる、項目1に記載のコントローラ回路。
【0053】
(項目3)
前記電流源は、前記降圧DC/DCコンバータが軽負荷モードで動作しているときに、前記電流を減少させる、項目1に記載のコントローラ回路。
【0054】
(項目4)
前記フィードバック回路は、
前記フィードバック電圧と前記基準電圧の誤差を増幅するエラーアンプと、
前記エラーアンプの出力信号に応じたデューティサイクルを有するパルス信号を生成するパルス幅変調器と、
を含む、項目1から3のいずれかに記載のコントローラ回路。
【0055】
(項目5)
ひとつの半導体基板に一体集積化される項目1から4のいずれかに記載のコントローラ回路。
【0056】
(項目6)
項目1から5のいずれかに記載のコントローラ回路を備える、降圧DC/DCコンバータ。
【符号の説明】
【0057】
100 降圧コンバータ
102 入力ライン
104 出力ライン
110 主回路
M1 ハイサイドトランジスタ
M2 ローサイドトランジスタ
SW スイッチングピン
L1 インダクタ
C1 出力キャパシタ
200 コントローラIC
210 分圧回路
R11 第1抵抗
R12 第2抵抗
220 フィードバック回路
230 パルス幅変調器
232 エラーアンプ
234 オシレータ
236 PWMコンパレータ
240 ロジック回路
250 パルス周波数変調器
280 ドライバ
290 電流源
図1
図2
図3
図4
図5