(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004649
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】フォトクロミック物品および眼鏡
(51)【国際特許分類】
G02B 5/23 20060101AFI20240110BHJP
G02C 7/10 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G02B5/23
G02C7/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104359
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】509333807
【氏名又は名称】ホヤ レンズ タイランド リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HOYA Lens Thailand Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】高田 敬介
【テーマコード(参考)】
2H006
2H148
【Fターム(参考)】
2H006BE02
2H006BE05
2H148DA04
2H148DA12
2H148DA14
2H148DA24
(57)【要約】
【課題】耐候性に優れるフォトクロミック物品を提供すること。
【解決手段】ポリカーボネート基材と、重合性組成物を硬化した硬化層と、フォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層と、をこの順に有し、上記ポリカーボネート基材と上記硬化層との間に上記ポリカーボネート基材および上記硬化層と隣接する中間層を更に有し、上記硬化層および上記中間層は、無機酸化物粒子を含み、かつ上記硬化層および上記中間層の合計質量に対する、上記硬化層に含まれる無機酸化物粒子および上記中間層に含まれる無機酸化物粒子の合計含有率が40.0質量%超であるフォトクロミック物品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート基材と、
重合性組成物を硬化した硬化層と、
フォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層と、
をこの順に有し、
前記ポリカーボネート基材と前記硬化層との間に前記ポリカーボネート基材および前記硬化層と隣接する中間層を更に有し、
前記硬化層および前記中間層は、無機酸化物粒子を含み、かつ
前記硬化層および前記中間層の合計質量に対する、前記硬化層に含まれる無機酸化物粒子および前記中間層に含まれる無機酸化物粒子の合計含有率が40.0質量%超であるフォトクロミック物品。
【請求項2】
前記硬化層の無機酸化物粒子含有率は40.0質量%超である、請求項1に記載のフォトクロミック物品。
【請求項3】
前記中間層の無機酸化物粒子含有率は40.0質量%超である、請求項1に記載のフォトクロミック物品。
【請求項4】
前記中間層は、水系樹脂層である、請求項1に記載のフォトクロミック物品。
【請求項5】
前記硬化層の無機酸化物粒子含有率は40.0質量%超であり、
前記中間層の無機酸化物粒子含有率は40.0質量%超であり、かつ
前記中間層は、水系樹脂層である、請求項1に記載のフォトクロミック物品。
【請求項6】
眼鏡レンズである、請求項1~5のいずれか1項に記載のフォトクロミック物品。
【請求項7】
ゴーグル用レンズである、請求項1~5のいずれか1項に記載のフォトクロミック物品。
【請求項8】
サンバイザーのバイザー部分である、請求項1~5のいずれか1項に記載のフォトクロミック物品。
【請求項9】
ヘルメットのシールド部材である、請求項1~5のいずれか1項に記載のフォトクロミック物品。
【請求項10】
請求項6に記載の眼鏡レンズを備えた眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトクロミック物品および眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトクロミック化合物は、光応答性を有する波長域の光の照射下で発色し、非照射下では退色する性質(フォトクロミック性)を有する化合物である。例えば特許文献1には、フォトクロミック化合物を含む層(フォトクロミック層)を基材上に設けたフォトクロミック物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなフォトクロミック物品に望まれる性質としては、耐候性に優れることが挙げられる。
【0005】
本発明の一態様は、耐候性に優れるフォトクロミック物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
ポリカーボネート基材と、
重合性組成物を硬化した硬化層と、
フォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層と、
をこの順に有し、
上記ポリカーボネート基材と上記硬化層との間に上記ポリカーボネート基材および上記硬化層と隣接する中間層を更に有し、
上記硬化層および上記中間層は、無機酸化物粒子を含み、かつ
上記硬化層および上記中間層の合計質量に対する、上記硬化層に含まれる無機酸化物粒子および上記中間層に含まれる無機酸化物粒子の合計含有率が40.0質量%超であるフォトクロミック物品、
に関する。
【0007】
先に示した特許文献1(特開2010-33069号公報)には、基材としてポリカーボネート基材が挙げられている(特開2010-33069号公報の請求項3等参照)。 本発明者はフォトクロミック物品の耐候性に関して検討を重ねる中で、ポリカーボネート基材を有するフォトクロミック物品において、耐候性低下が生じ易いことを新たに見出した。この点について、本発明者は、熱可塑性樹脂であるポリカーボネートに含まれる可塑剤がポリカーボネート基材からフォトクロミック層へ移行し、フォトクロミック層中のフォトクロミック化合物の変質を引き起こすことが、上記の耐候性低下の原因と推察している。
これに対し、上記フォトクロミック物品では、ポリカーボネート基材とフォトクロミック層との間に、無機酸化物粒子を上記範囲の合計含有率で含む中間層と硬化層とが配置されている。これにより、フォトクロミック化合物の変質を引き起こし得る成分がポリカーボネート基材からフォトクロミック層へ移行することを抑制できると考えられる。その結果、上記フォトクロミック物品は、ポリカーボネート基材を含むものの、優れた耐候性を示すことができると本発明者は推察している。ただし、本明細書に記載の推察は、本発明を限定するものではない。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、耐候性に優れるフォトクロミック物品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[フォトクロミック物品]
本発明および本明細書において、「フォトクロミック物品」とは、フォトクロミック化合物を含む物品をいうものとする。以下、上記の本発明の一態様にかかるフォトクロミック物品について、更に詳細に説明する。
【0010】
<ポリカーボネート基材>
上記フォトクロミック物品に含まれる基材は、ポリカーボネート基材である。本発明および本明細書において、「ポリカーボネート基材」とは、基材を構成する樹脂がポリカーボネートである基材をいうものとする。ポリカーボネート基材は、ポリカーボネートを含み、ポリカーボネート基材に通常含まれ得る1種以上の添加剤を任意の量で含むことができる。ポリカーボネート基材としては、染色されていないものを用いてもよく、染色されているものを用いてもよい。例えば、フォトクロミック物品が眼鏡レンズの場合、レンズ基材の屈折率は、例えば、1.50~1.75程度であることができる。ただし、レンズ基材の屈折率は、上記範囲に限定されるものではなく、上記の範囲内でも、上記の範囲から上下に離れていてもよい。本発明および本明細書において、屈折率とは、波長500nmの光に対する屈折率をいうものとする。また、レンズ基材は、屈折力を有するレンズ(いわゆる度付レンズ)であってもよく、屈折力なしのレンズ(いわゆる度なしレンズ)であってもよい。
【0011】
眼鏡レンズは、単焦点レンズ、多焦点レンズ、累進屈折力レンズ等の各種レンズであることができる。レンズの種類は、レンズ基材の両面の面形状により決定される。また、レンズ基材表面は、凸面、凹面、平面のいずれであってもよい。通常のレンズ基材および眼鏡レンズでは、物体側表面は凸面、眼球側表面は凹面である。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。フォトクロミック層は、通常、レンズ基材の物体側表面上に設けることができるが、眼球側表面上に設けてもよい。
【0012】
<無機酸化物粒子の合計含有率>
上記フォトクロミック物品は、重合性組成物を硬化した硬化層と、フォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層と、をこの順に有する。更に、上記フォトクロミック物品は、上記ポリカーボネート基材と上記硬化層との間に、上記ポリカーボネート基材および上記硬化層と隣接する中間層を有する。本発明および本明細書において、「隣接」とは、他の層を介さずに直接接していることをいうものとする。そして上記フォトクロミック物品において、上記硬化層および上記中間層は、それぞれ無機酸化物粒子を含み、これらの層の合計質量に対する(即ち合計質量を100質量%として)、上記硬化層に含まれる無機酸化物粒子および上記中間層に含まれる無機酸化物粒子の合計含有率が40.0質量%超である。先に記載したように、このことが、ポリカーボネート基材を含むフォトクロミック物品の耐候性低下を抑制することに寄与すると考えられる。この点に関して、本発明者は、無機酸化物粒子の合計含有率を40.0質量%超とすることは、上記中間層と上記硬化層との積層構造を緻密にすることに寄与すると推察している。このことが、ポリカーボネート基材からフォトクロミック層への成分の移行を抑制することにつながると本発明者は考えている。耐候性低下をより一層抑制する観点からは、上記合計含有率は、41.0質量%以上であることが好ましく、42.0質量%以上であることが更に好ましく、43.0質量%以上であることが一層好ましい。また、上記合計含有率は、例えば60.0質量%以下、55.0質量%以下または50.0質量%以下であることができる。ただし、上記合計含有率が高いことは、耐候性低下抑制の観点から好ましいため、上記合計含有率は、ここに例示した値を上回ることもできる。
【0013】
<無機酸化物粒子>
無機酸化物粒子としては、例えば、酸化タングステン(WO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタニウム(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化アンチモン(Sb2O5)等の金属酸化物粒子が挙げられる。なお、本発明および本明細書において、「金属」には、半金属も包含されるものとする。また、上記のカッコ内には化学量論組成の酸化物の組成式を示したが、無機酸化物粒子を構成する酸化物は、化学量論組成の酸化物に限定されるものではない。上記中間層および上記硬化層は、無機酸化物粒子を1種のみ含んでもよく、2種以上の無機酸化物粒子を任意の混合比で含んでもよい。無機酸化物粒子は、上記中間層および上記硬化層における分散性の観点からは、コロイド粒子であることが好ましい。
【0014】
<中間層>
上記フォトクロミック物品において、上記中間層は、上記ポリカーボネート基材および上記硬化層と隣接する層である。即ち、上記中間層は、ポリカーボネート基材と直接接し、かつ上記硬化層とも直接接する層である。かかる中間層は、例えば、いわゆるプライマー層として、ポリカーボネート基材と上記硬化層との密着性を高めることに寄与し得る。
【0015】
上記中間層は、無機酸化物粒子を含む。上記中間層の無機酸化物粒子含有率は、上記中間層の全質量を100質量%として、40.0質量%超であることが好ましく、41.0質量%以上であることが好ましく、42.0質量%以上であることが更に好ましく、43.0質量%以上であることが一層好ましい。また、上記合計含有率は、例えば60.0質量%以下、55.0質量%以下または50.0質量%以下であることができる。ただし、上記含有率が高いことは、耐候性低下抑制の観点から好ましいため、上記含有率は、ここに例示した値を上回ることもできる。
【0016】
中間層は、少なくとも樹脂を含む層であることができる。樹脂としては、ポリカーボネート基材と上記硬化層との密着性向上の観点からは、水系樹脂が好ましい。本発明および本明細書において、「水系樹脂」とは、この樹脂と水系溶媒とを少なくとも含む組成物(水系樹脂組成物)が乾燥すると固化する性質を有する樹脂をいうものとする。水系樹脂層とは、水系樹脂を含む層であり、水系樹脂層は、水系樹脂組成物が乾燥して固化することによって形成され得る。また、「水系溶媒」とは、少なくとも水を含む溶媒をいうものとする。
【0017】
水系樹脂組成物に含まれる水系溶媒は、例えば、水、水と極性溶媒等との混合溶媒等であり、好ましくは水である。また、水系樹脂組成物の固形分濃度は、液安定性および製膜性の観点からは、1~62質量%であることが好ましく、5~38質量%であることがより好ましい。中間層を水系樹脂組成物から形成する場合、水系樹脂組成物は、水系樹脂および無機酸化物粒子を含み、更に必要に応じて、酸化防止剤、分散剤、可塑剤等の添加剤を含むこともできる。また、市販されている水系樹脂組成物に無機酸化物粒子を添加し、必要に応じて、水、アルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶媒で希釈して使用してもよい。
【0018】
水系樹脂としては、水系ポリウレタン樹脂、水系アクリル樹脂、水系エポキシ樹脂等が挙げられる。水系樹脂組成物およびその調製方法については、例えば、特許第3588375号明細書の段落0009~0013、特開平8-34897号公報の段落0012~0021、特開平11-92653号公報の段落0010~0033、特開平11-92655号公報の段落0010~0033等を参照できる。
【0019】
以上説明した水系樹脂組成物を、ポリカーボネート基材の表面に直接塗布して乾燥させることにより、ポリカーボネート基材に隣接する中間層として、水系樹脂層を形成することができる。塗布方法としては、ディップコート法、スピンコート法等の公知の塗布法を用いることができる。塗布条件は、所望の厚さの中間層を形成できるように適宜設定すればよい。以上の点は、以下に記載の重合性組成物の塗布についても同様である。
【0020】
上記中間層の厚さは、水系樹脂層であるか否かを問わず、例えば0.050μm以上もしくは0.060μm以上であることができ、また、例えば0.500μm以下、0.300μm以下もしくは0.100μm以下であることができる。なお、水系樹脂組成物の塗布前には、被塗布面であるポリカーボネート基材の表面に対し、酸、アルカリ、各種有機溶媒等による化学的処理、プラズマ、紫外線、オゾン等による物理的処理、各種洗剤を用いる洗剤処理等の公知の表面処理の1つ以上を行うこともできる。
【0021】
水系樹脂組成物の塗布後、この組成物を乾燥させることにより、中間層として水系樹脂層を形成することができる。上記乾燥は、例えば室温~100℃の雰囲気中に5分~24時間、水系樹脂組成物を塗布したポリカーボネート基材を配置することにより行うことができる。なお、「室温」とは、加熱、冷却等の温度制御なしの雰囲気温度をいうものとし、一般に、15~25℃程度であるが、天候や季節によって変わり得るため、上記範囲に限定されるものではない。
【0022】
<硬化層>
上記フォトクロミック物品は、上記中間層と隣接する層として、上記硬化層を有する。上記硬化層は、無機酸化物粒子を含む。上記硬化層の無機酸化物粒子含有率は、上記硬化層の全質量を100質量%として、40.0質量%超であることが好ましく、41.0質量%以上であることが好ましく、42.0質量%以上であることが更に好ましく、43.0質量%以上であることが一層好ましい。また、上記合計含有率は、例えば60.0質量%以下、55.0質量%以下または50.0質量%以下であることができる。ただし、上記含有率が高いことは、耐候性低下抑制の観点から好ましいため、上記含有率は、ここに例示した値を上回ることもできる。
【0023】
上記硬化層は、重合性組成物を硬化した層である。本発明および本明細書において、「重合性組成物」とは、重合性化合物を含む組成物であり、「重合性化合物」とは、重合性基を有する化合物である。重合性組成物は、重合性化合物の重合が進行することによって硬化し、これにより硬化層を形成することができる。かかる硬化層は、例えば、いわゆるハードコート層として機能することができる。そのような硬化層としては、有機ケイ素系硬化層が好ましい。
【0024】
有機ケイ素系硬化層とは、有機ケイ素化合物を含む重合性組成物を硬化した硬化層である。有機ケイ素化合物としては、重合処理が施されることによりシラノール基を生成可能な有機ケイ素化合物、シラノール基と縮合反応するハロゲン原子、アミノ基等の反応性基を有するオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。また、有機ケイ素化合物としては、エポキシ基、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性基とアルコキシ基等の加水分解性基とを有するシランカップリング剤を挙げることもできる。有機ケイ素化合物を含む重合性組成物の詳細については、ハードコート層として機能し得る有機ケイ素系硬化層に関する公知技術を適用できる。
【0025】
上記硬化層は、無機酸化物粒子、重合性化合物等を含む重合性組成物を硬化させて形成することができる。詳しくは、上記重合性組成物を上記中間層の表面に直接塗布し、組成物に含まれる成分の種類に応じて光照射および/または加熱処理を行うことによって、重合反応を進行させて上記重合性組成物を硬化させることができる。こうして、上記中間層に隣接する層として、上記硬化層を形成することができる。
【0026】
上記硬化層の厚さは、例えば1.0μm以上もしくは2.0μm以上であることができ、また、例えば10.0μm以下、8.0μm以下もしくは5.0μm以下であることができる。
【0027】
<フォトクロミック層>
(フォトクロミック化合物)
フォトクロミック化合物としては、フォトクロミック性を示す公知の化合物を使用することができる。フォトクロミック化合物は、例えば紫外線に対してフォトクロミック性を示すことができる。例えば、フォトクロミック化合物としては、フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、クロメン化合物、インデノ縮合ナフトピラン化合物等のフォトクロミック性を示す公知の骨格を有する化合物を例示できる。フォトクロミック化合物は、1種単独で使用することができ、2種以上を混合して使用することもできる。フォトクロミック化合物の含有率は、フォトクロミック層の全質量を100質量%として、例えば0.1~15質量%程度とすることができるが、この範囲に限定されるものではない。
【0028】
(フォトクロミック層を形成するための成分)
フォトクロミック層は、フォトクロミック化合物を1種以上含む重合性組成物を硬化した硬化層であることができる。フォトクロミック層を形成するための重合性組成物に含まれる重合性化合物等の各種成分については、フォトクロミック物品に関する公知技術を適用できる。一形態では、フォトクロミック層は、重合性化合物として(メタ)アクリレートを含む重合性組成物を硬化した硬化層であることができる。本発明および明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートとを包含する意味で用いられる。「アクリレート」とは、1分子中にアクリロイル基を1つ以上有する化合物である。「メタクリレート」とは、1分子中にメタクリロイル基を1つ以上有する化合物である。本発明および本明細書では、「メタクリレート」とは、(メタ)アクリロイル基としてメタクリロイル基のみを含むものをいうものとし、(メタ)アクリロイル基としてアクリロイル基とメタクリロイル基の両方を含むものはアクリレートと呼ぶ。アクリロイル基はアクリロイルオキシ基の形態で含まれていてもよく、メタクリロイル基はメタクリロイルオキシ基の形態で含まれていてもよい。「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基とメタクリロイル基とを包含する意味で用いられ、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基とメタクリロイルオキシ基とを包含する意味で用いられる。また、特記しない限り、記載されている基は置換基を有してもよく無置換であってもよい。ある基が置換基を有する場合、置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1~6のアルキル基)、水酸基、アルコキシ基(例えば炭素数1~6のアルコキシ基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシル基等を挙げることができる。置換基を有する基について「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味するものとする。(メタ)アクリレートを含む重合性組成物については、例えば特開2020-164692号公報の段落0010~0022および同公報の実施例の記載を参照できる。
【0029】
フォトクロミック層形成用重合性組成物は、上記硬化層の表面に直接塗布することができ、または上記硬化層の上に形成された他の層の表面に塗布することもできる。かかる他の層としては、例えば、密着性向上のプライマー層を挙げることができる。そのようなプライマー層は公知である。上記硬化層の上の直接または他の層を介して塗布された重合性組成物に対して、組成物に含まれる成分の種類に応じて光照射および/または加熱処理を施すことによって、重合反応を進行させて上記重合性組成物を硬化させることができる。こうして、上記硬化層上にフォトクロミック層を形成することができる。フォトクロミック層の厚さは、例えば5μm以上、10μm以上もしくは20μm以上であることができ、また、例えば80μm以下もしくは60μm以下であることができる。
【0030】
上記フォトクロミック物品は、以上説明した各種の層に加えて一層以上の機能性層を更に有してもよく、有さなくてもよい。機能性層としては、耐久性向上のための保護層、ハードコート層、反射防止層、撥水性または親水性の防汚層、防曇層、密着性向上のためのプライマー層等の光学物品の機能性層として公知の層を挙げることができる。
【0031】
例えば、保護層は、(メタ)アクリレートを含む重合性組成物を硬化した硬化層であることができる。かかる保護層については、特開2021-107909号公報の段落0009~0021、0026および同公報の実施例の記載等を参照できる。保護層の厚さは、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることが更に好ましく、25μm以上であることが一層好ましい。また、保護層の厚さは、45μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。保護層は、フォトクロミック物品の耐久性向上に寄与することができる。また、更なる処理(例えば保護層上への他の層の形成)が行われるまでの間、フォトクロミック層を保護してフォトクロミック層に傷が発生することを抑制することもできる。
【0032】
ハードコート層は、例えば、保護層の表面に直接設けることができ、または他の層(例えばプライマー層)を介して保護層上に設けることができる。保護層に加えてハードコート層を設けることにより、フォトクロミック物品の耐久性をより一層高めることができる。ハードコート層の一例としては、有機ケイ素系硬化層を挙げることができる。有機ケイ素系硬化層は、一般に耐衝撃性に優れるため好ましい。また、例えば反射防止層を更に設ける場合、有機ケイ素系硬化層は、一般に反射防止層との密着性に優れる点からも好ましい。ハードコート層については、特開2021-107909号公報の段落0030~0032および同公報の実施例の記載等を参照できる。ハードコート層の厚さは、例えば1.0~10.0μmの範囲であることができ、1.0~8.0μmの範囲であることが好ましく、1.0~5.0μmの範囲であることがより好ましい。一形態では、ハードコート層は、上記保護層より薄い層であることができる。
【0033】
上記フォトクロミック物品は光学物品であることができ、光学物品の一形態は眼鏡レンズである。また、光学物品の一形態としては、ゴーグル用レンズ、サンバイザーのバイザー(ひさし)部分、ヘルメットのシールド部材等を挙げることもできる。これら光学物品用の基材上に上記の各種の層を介してフォトクロミック層を形成することによって、防眩機能を有する光学物品を得ることがでる。
【0034】
[眼鏡]
本発明の一態様は、上記フォトクロミック物品の一形態である眼鏡レンズを備えた眼鏡に関する。この眼鏡に含まれる眼鏡レンズの詳細については、先に記載した通りである。上記眼鏡は、かかる眼鏡レンズを備えることにより、例えば屋外ではフォトクロミック層に含まれるフォトクロミック化合物が太陽光の照射を受けて発色することでサングラスのように防眩効果を発揮することができ、屋内に戻るとフォトクロミック化合物が退色することで透過性を回復することができる。上記眼鏡について、フレーム等の構成については、公知技術を適用することができる。
【実施例0035】
以下、本発明を実施例により更に説明する。ただし、本発明は実施例に示す実施形態に限定されるものではない。
【0036】
[実施例1]
<中間層形成用水系樹脂組成物の調製>
市販の水性ウレタン(日華化学社製HA50C)および市販の無機酸化物粒子(コロイド粒子)分散液(日産化学社製HZ407MH)を使用し、以下のように中間層形成用水系樹脂組成物を調製した。上記の日華化学社製HA50Cは、溶媒として水を含む水系ウレタン樹脂組成物(水溶液)である。上記の日産化学社製HZ407MHは、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化ケイ素および酸化タングステンを含む無機酸化物粒子(コロイド粒子)の分散液であり、無機酸化物粒子に加えて、水、メタノールおよびジイソブチルアミンを含む(無機酸化物粒子濃度:40質量%)。
マグネティックスターラーを備えたガラス製の容器に水を23質量部、エタノールを72質量部、HZ407MHを1.5質量部、HA50Cを3.5質量部およびシリコ-ン系界面活性剤を0.05質量部加え十分に混合し、室温で24時間撹拌を行った後、ろ過を行って中間層形成用重合性組成物を調製した。
上記中間層形成用水系樹脂組成物において、溶媒を除く成分(即ち固形分)全量を100質量%として、無機酸化物粒子含有率は46.2質量%である。したがって、上記中間層形成用水系樹脂組成物から形成される中間層の無機酸化物粒子含有率は46.2質量%である。
【0037】
<硬化層形成用重合性組成物の調製>
市販のシランカップリング剤(信越シリコーン社製KBM-403、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)および市販の無機酸化物粒子(コロイド粒子)分散液(日揮触媒化成社製SL-50A)を使用し、以下のように中間層形成用水系樹脂組成物を調製した。
マグネティックスターラーを備えたガラス製の容器にKBM-403を16質量部、メタノールを20質量部、およびSL-50A(固形分30質量%)を43質量部加え十分に混合し、室温で24時間撹拌を行った。次に、プロピレングリコールモノメチルエーテルを14質量部、ジアセトンアルコールを5質量部、硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネ-トを0.6質量部、およびシリコ-ン系界面活性剤を0.1質量部加え、十分に撹拌した後、ろ過を行って硬化層形成用重合性組成物を調製した。
上記硬化層形成用重合性組成物において、溶媒を除く成分(即ち固形分)全量を100質量%として、無機酸化物粒子含有率は44.1質量%である。したがって、上記硬化層形成用重合性組成物から形成される硬化層の無機酸化物粒子含有率は44.1質量%である。
【0038】
<プライマー層形成用重合性組成物1の調製>
プラスチック製容器内で、ポリイソシアネート(東ソー社製コロネート2715)15質量部、アクリル酸エステルとエポキシエステルの混合物85質量部、光重合開始剤(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド)0.02質量部、およびシリコ-ン系界面活性剤0.05質量部を混合し、その後自転公転方式撹拌脱泡装置で撹拌脱泡した。こうして、プライマー層形成用重合性組成物1を調製した。
【0039】
<フォトクロミック層形成用重合性組成物の調製>
プラスチック製容器内で、(メタ)アクリレートの合計100質量%に対して、85質量%のポリエチレングリコールジメタクリレート(非環状の2官能(メタ)アクリレート)、15質量%のトリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(脂環式の2官能(メタ)アクリレート)を混合し、(メタ)アクリレート混合物を調製した。この(メタ)アクリレート混合物に、フォトクロミック化合物(米国特許第5645767号明細書に記載の構造式で示されるインデノ縮合ナフトピラン化合物)、光重合開始剤(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、光安定化剤(セバシン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル))、酸化防止剤(ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)])を混合し、その後自転公転方式撹拌脱泡装置で撹拌脱泡した。
以上の方法により、下記表1に示す組成を有する重合性組成物を調製した。
【0040】
【0041】
<保護層形成用重合性組成物の調製>
プラスチック製容器内で、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(脂環式の2官能(メタ)アクリレート)95質量部、光重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)4.7質量部、紫外線吸収剤(ヒドロキシフェニルトリアジン)0.3質量部、およびシリコ-ン系界面活性剤0.1質量部を混合し、その後自転公転方式撹拌脱泡装置で撹拌脱泡した。こうして、保護層形成用重合性組成物を調製した。
【0042】
<プライマー層形成用重合性組成物2の調製>
マグネティックスターラーを備えたガラス製の容器に水系ウレタン樹脂(ADEKA社製HUX232)67質量部、水4.2質量部、メタノール13質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル13質量部、およびシリコ-ン系界面活性剤0.4質量部を加え十分に混合し、室温で24時間撹拌を行った。その後、ろ過を行ってプライマー層形成用重合性組成物2を調製した。
【0043】
<ハードコート層形成用重合性組成物の調製>
マグネティックスターラーを備えたガラス製の容器にγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを16質量部、メタノールを20質量部および水分散コロイダルシリカ(固形分30質量%)を43質量部加え十分に混合し、室温で24時間撹拌を行った。次に、プロピレングリコールモノメチルエーテルを14質量部、ジアセトンアルコールを5質量部、硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネ-トを0.6質量部、およびシリコ-ン系界面活性剤を0.1質量部加え、十分に撹拌した後、ろ過を行ってハードコート層形成用重合性組成物を調製した。
【0044】
<眼鏡レンズの作製>
(中間層の形成)
プラスチックレンズ基材(ポリカーボネート基材)を10質量%水酸化ナトリウム水溶液(液温60℃)に5分間浸漬処理した後に純水で洗浄し乾燥させた。その後、このプラスチックレンズ基材の両面に中間層を形成した。詳しくは、上記中間層形成用水系樹脂組成物(液温15℃)を温度23℃相対湿度30%の環境においてプラスチックレンズ基材の両面にディップコート法により塗布した後、炉内温度90℃の熱処理炉内で20分加熱硬化することにより、プラスチックレンズ基材の両面にそれぞれ厚さ0.085μmの中間層を形成した。
【0045】
(硬化層の形成)
上記中間層の表面に、上記硬化層形成用重合性組成物をディップコート法により塗布した。その後、炉内温度100℃の熱処理炉内で60分加熱硬化することにより、厚さ3.3μmの硬化層を形成した。
【0046】
(フォトクロミック層の形成)
上記硬化層の表面に、上記プライマー層形成用重合性組成物1をスピンコート法により塗布して塗布層を形成した。この塗布層の表面に向かって窒素雰囲気中(酸素濃度500ppm以下)で紫外線(波長405nm)を照射し、この塗布層を硬化させてプライマー層1を形成した。形成されたプライマー層1の厚さは7.5μmであった。
上記プライマー層1の表面に、上記フォトクロミック層形成用重合性組成物をスピンコート法により塗布して塗布層を形成した。スピンコートは、特開2005-218994号公報に記載の方法により行った。その後、上記塗布層に対して窒素雰囲気中(酸素濃度500ppm以下)で紫外線(波長405nm)を照射し、この塗布層を硬化させてフォトクロミック層を形成した。形成されたフォトクロミック層の厚さは40μmであった。
【0047】
(保護層の形成)
上記フォトクロミック層の表面に、上記保護層形成用重合性組成物をスピンコート法により塗布して塗布層を形成した。この塗布層の表面に向かって窒素雰囲気中(酸素濃度500ppm以下)で紫外線(波長405nm)を照射し、この塗布層を硬化させて保護層を形成した。形成された保護層の厚さは38μmであった。
【0048】
(ハードコート層の形成)
上記保護層の表面に、上記プライマー層形成用重合性組成物2をディップコート法により塗布した。その後、炉内温度90℃の熱処理炉内で20分加熱硬化することにより、厚さ0.9μmのプライマー層2を形成した。
上記プライマー層2の形成後、上記ハードコート層形成用重合性組成物をディップコート法で塗布した。その後、炉内温度100℃の熱処理炉内で60分加熱硬化することにより、厚さ3.2μmのハードコート層(有機ケイ素系硬化層)を形成した。
【0049】
こうして作製された眼鏡レンズにおいて、上記硬化層および上記中間層の合計質量に対する、上記硬化層に含まれる無機酸化物粒子および上記中間層に含まれる無機酸化物粒子の合計含有率は、44.2質量%である。
【0050】
[比較例1]
中間層形成用組成物を無機酸化物粒子を添加せずに調製した点、中間層の厚さを0.9μmとした点および中間層と隣接する硬化層の厚さを3.2μmとした点以外、実施例1について記載した方法によって眼鏡レンズを作製した。こうして作製された眼鏡レンズにおいて、上記硬化層および上記中間層の合計質量に対する、上記硬化層に含まれる無機酸化物粒子および上記中間層に含まれる無機酸化物粒子(比較例1では中間層は無機酸化物粒子を含まない)の合計含有率は、34.4質量%である。
【0051】
[耐候性の評価]
実施例1および比較例1の各眼鏡レンズについて、ISO 8980-3:2013に記載の耐候性試験法によって耐候性を評価した。耐候性の評価結果は、発色時透過率の変化量(以下、ΔDarknessと記載する。)として求められ、ΔDarknessの値が小さいほど、耐候性に優れるということができる。評価の結果、比較例1のΔDarknessを100%とする相対値で表すと、実施例1のΔDarknessは92.8%であった。この結果から、実施例1の眼鏡レンズは、比較例1の眼鏡レンズと比べて耐候性に優れることが確認できる。
【0052】
実施例1、比較例1で使用したプラスチックレンズ基材と同じポリカーボネート基材に紫外線照射と熱処理とを施した後、TOF-SIMS(Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)による分析を行った。分析の結果、ポリカーボネート基材の表面から、イソデシルジ(フェニル)ホスフェート(Isodecyl di(phenyl)phosphate)が検出された。イソデシルジ(フェニル)ホスフェートは、ポリカーボネート基材を射出成型する際に熱可塑剤として使われる化合物である。化学構造としては、活性の高いリン酸基とフェニル基を有しており、紫外線の照射によって活性化してラジカルを発生する等、反応性が高い化合物である。この反応性の高い化合物がポリカーボネート基材上にブリードアウトし、フォトクロミック層まで移行し、フォトクロミック層においてフォトクロミック化合物を変質させることが、ポリカーボネート基材を含むフォトクロミック物品の耐候性低下を引き起こすと考えられる。これに対し、実施例1では、ポリカーボネート基材とフォトクロミック層との間に上記中間層および上記硬化層を設けることによって、耐候性の低下を抑制することができた。
【0053】
最後に、前述の各態様を総括する。
【0054】
[1]ポリカーボネート基材と、
重合性組成物を硬化した硬化層と、
フォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層と、
をこの順に有し、
上記ポリカーボネート基材と上記硬化層との間に上記ポリカーボネート基材および上記硬化層と隣接する中間層を更に有し、
上記硬化層および上記中間層は、無機酸化物粒子を含み、かつ
上記硬化層および上記中間層の合計質量に対する、上記硬化層に含まれる無機酸化物粒子および上記中間層に含まれる無機酸化物粒子の合計含有率が40.0質量%超であるフォトクロミック物品。
[2]上記硬化層の無機酸化物粒子含有率は40.0質量%超である、[1]に記載のフォトクロミック物品。
[3]上記中間層の無機酸化物粒子含有率は40.0質量%超である、[1]または[2]に記載のフォトクロミック物品。
[4]上記中間層は、水系樹脂層である、[1]~[3]のいずれかに記載のフォトクロミック物品。
[5]上記硬化層の無機酸化物粒子含有率は40.0質量%超であり、
上記中間層の無機酸化物粒子含有率は40.0質量%超であり、かつ
上記中間層は、水系樹脂層である、[1]に記載のフォトクロミック物品。
[6]眼鏡レンズである、[1]~[5]のいずれかに記載のフォトクロミック物品。
[7]ゴーグル用レンズである、[1]~[5]のいずれかに記載のフォトクロミック物品。
[8]サンバイザーのバイザー部分である、[1]~[5]のいずれかに記載のフォトクロミック物品。
[9]ヘルメットのシールド部材である、[1]~[5]のいずれかに記載のフォトクロミック物品。
[10][6]に記載の眼鏡レンズを備えた眼鏡。
【0055】
本明細書に記載の各種態様および各種形態は、任意の組み合わせで2つ以上を組み合わせることができる。
【0056】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。