(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004650
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】苗移植機
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A01C11/02 303D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104361
(22)【出願日】2022-06-29
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度みどりの食料システム戦略実現技術開発・実証事業のうち農林水産研究の推進(委託プロジェクト研究)(青果用かんしょの省力機械移植栽培体系の確立)の委託、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】村並 昌実
(72)【発明者】
【氏名】山根 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】東 幸太
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】清家 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘喜
(72)【発明者】
【氏名】川崎 優太
(72)【発明者】
【氏名】周防 僚太
【テーマコード(参考)】
2B060
【Fターム(参考)】
2B060AA06
2B060AC01
2B060AD01
2B060AE01
2B060BA03
2B060CA07
2B060CC07
2B060CC14
2B060CC15
(57)【要約】
【課題】左右苗挟持植付爪は、所定のタイミングで開いて苗を土中に植付けるが、左右苗挟持植付爪の開度が十分でなかったり、開放するタイミングが合っていない場合、苗の植付が適切に行われない。そこで、左右苗挟持植付爪が適正に苗を植付ける苗移植機を提供する。
【解決手段】左右苗挟持植付爪31が挟持した苗を土中に押し出す押出部56を装備した押出ロッド55を設け、押出ロッド55の押出作動機構35を押出カム41bと互いの端部を枢支連結した2つの押出ロッドアーム58a,58bにて構成し、一方の押出ロッドアーム58aに押出カム41bに接当する押出従動部59を設けて基部を苗植付け装置6のフレーム36aに枢支し、他方の押出ロッドアーム58b他端部を押出ロッド55基部に連結し、2つの押出ロッドアーム58a,58bを閉じる方向に付勢するスプリングを設ける。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(4)と、苗を搬送する苗搬送部(5)と、苗搬送部(5)によって植付供給位置(A)へ搬送された苗を左右苗挟持植付爪(31)が挟持して圃場に植付ける苗植付け装置(6)を設けた苗移植機において、左右苗挟持植付爪(31)が挟持した苗を圃場の土中に押し出す押出部(56)を先端部に装備した押出ロッド(55)を設け、該押出ロッド(55)を進退動させる押出作動機構(35)を押出カム(41b)と互いの端部を枢支連結した2つの押出ロッドアーム(58a,58b)にて構成し、一方の押出ロッドアーム(58a)に押出カム(41b)に接当する押出従動部(59)を設けて基部を苗植付け装置(6)のフレーム(36a)に枢支し、他方の押出ロッドアーム(58b)他端部を押出ロッド(55)基部に連結し、2つの押出ロッドアーム(58a,58b)を閉じる方向に付勢するスプリング(60)を設けたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
左右苗挟持植付爪(31)を開閉させる開閉アーム(43)を開閉カム(41a)にて作動させると共に、開閉アーム(43)の作動量を変更して左右苗挟持植付爪(31)の開閉量を調節する開閉量調節機構(B)を設けたことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
搖動リンク(R1)及び駆動クランク(R2)の先端部を苗植付け装置(6)のフレーム(36a)に各々枢支して左右苗挟持植付爪(31)の先端部が植付供給位置(A)と圃場の植付位置間を周回移動する構成とし、駆動クランク(R2)のクランク駆動軸(30)にクランク側歯車(39a)を設け、該クランク側歯車(39a)に噛合するカム側歯車(39b)をフレーム(36a)基端部に設けたカム軸(40)に設けたことを特徴とする請求項2に記載の苗移植機。
【請求項4】
苗植付け装置(6)のフレーム(36a)に基部を枢支し先端部に左右苗挟持植付爪(31)を設けた左右開閉プレート(37)を開閉アーム(43)の作動にて連動機構(37b)で連動して左右開閉させると共に、該左右開閉プレート(37)先端側に左右開閉プレート(37)を閉じるスプリング(51)を設けたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の苗移植機。
【請求項5】
押出ロッド(55)の先端部に下方に延びる押出部(56)を設けると共に、押出ロッド(55)の左右両側に左右規制体(54b)を設け、左右規制体(54b)の上方に上方規制体(54c)を設けたことを特徴とする請求項1~請求項3の何れか1項に記載の苗移植機。
【請求項6】
押出ロッド(55)の先端部に下方に延びる押出部(56)を設けると共に、押出ロッド(55)の左右両側に左右規制体(54b)を設け、左右規制体(54b)の上方に上方規制体(54c)を設けたことを特徴とする請求項4記載の苗移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、甘薯苗等の苗を移植する苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
苗搬送部の植付供給位置から左右苗挟持植付爪が苗を挟持して取出し、圃場の土中にまで移送して苗を離して植付ける苗移植機がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
左右苗挟持植付爪は、所定の軌跡を周回し、所定のタイミングで開くことで苗を土中に置いて植え付けるものであるが、左右苗挟持植付爪の開度が十分でなかったり、開放するタイミングが合っていなかったりすると、苗の植付が行われないことや、植付深さが設定と異なり、作物の収穫量が低下する恐れがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、左右苗挟持植付爪が適正に苗を植付ける苗移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、走行装置4と、苗を搬送する苗搬送部5と、苗搬送部5によって植付供給位置Aへ搬送された苗を左右苗挟持植付爪31が挟持して圃場に植付ける苗植付け装置6を設けた苗移植機において、左右苗挟持植付爪31が挟持した苗を圃場の土中に押し出す押出部56を先端部に装備した押出ロッド55を設け、該押出ロッド55を進退動させる押出作動機構35を押出カム41bと互いの端部を枢支連結した2つの押出ロッドアーム58a,58bにて構成し、一方の押出ロッドアーム58aに押出カム41bに接当する押出従動部59を設けて基部を苗植付け装置6のフレーム36aに枢支し、他方の押出ロッドアーム58b他端部を押出ロッド55基部に連結し、2つの押出ロッドアーム58a,58bを閉じる方向に付勢するスプリング60を設けた苗移植機である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、左右苗挟持植付爪31が挟持した苗を圃場の土中に押し出す押出部56を先端部に装備した押出ロッド55を設け、該押出ロッド55を進退動させる押出作動機構35を押出カム41bと互いの端部を枢支連結した2つの押出ロッドアーム58a,58bにて構成し、一方の押出ロッドアーム58aに押出カム41bに接当する押出従動部59を設けて基部を苗植付け装置6のフレーム36aに枢支し、他方の押出ロッドアーム58b他端部を押出ロッド55基部に連結したので、左右苗挟持植付爪31が植付供給位置Aと圃場の植付位置間を移動することに連動して押出ロッド55が進退動することにより、押出部56が植付位置で確実に苗を土中に植付けることができ、苗を開放するタイミングが遅れて植付深さが浅くなることや、苗が開放されず欠株となることが防止される。
【0008】
また、2つの押出ロッドアーム58a,58bを閉じる方向に付勢するスプリング60を設けたので、押出ロッド55が後退方向に付勢されるので後退が早くなり、押出部56が植え付けた苗を持ち上げることや、地面と接触して破損することが防止される。
【0009】
請求項2記載の発明は、左右苗挟持植付爪31を開閉させる開閉アーム43を開閉カム41aにて作動させると共に、開閉アーム43の作動量を変更して左右苗挟持植付爪31の開閉量を調節する開閉量調節機構Bを設けた請求項1記載の苗移植機である。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の作用効果に加えて、左右苗挟持植付爪31を開閉させる開閉アーム43を開閉カム41aにて作動させると共に、開閉アーム43の作動量を変更して左右苗挟持植付爪31の開閉量を調節する開閉量調節機構Bを設けたので、左右苗挟持植付爪31の開閉量を微調節でき、植付深さに適したタイミングで苗が開放され、植付深さの適正化が図れる。
【0011】
請求項3記載の発明は、搖動リンクR1及び駆動クランクR2の先端部を苗植付け装置6のフレーム36aに各々枢支して左右苗挟持植付爪31の先端部が植付供給位置Aと圃場の植付位置間を周回移動する構成とし、駆動クランクR2のクランク駆動軸30にクランク側歯車39aを設け、該クランク側歯車39aに噛合するカム側歯車39bをフレーム36a基端部に設けたカム軸40に設けた請求項2に記載の苗移植機である。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の作用効果に加えて、駆動クランクR2のクランク駆動軸30にクランク側歯車39aを設け、該クランク側歯車39aに噛合するカム側歯車39bをフレーム36a基端部に設けたカム軸40に設けたので、開閉カム41aと押出カム41bを爪ホルダ36aの基端部寄りに配置することができ、開閉カム41aと押出カム41bを押出ロッドアーム58a,58bや開閉アーム43からの離間距離を抑えて配置することができ、コンパクトな構成となる。
【0013】
請求項4記載の発明は、苗植付け装置6のフレーム36aに基部を枢支し先端部に左右苗挟持植付爪31を設けた左右開閉プレート37を開閉アーム43の作動にて連動機構37bで連動して左右開閉させると共に、該左右開閉プレート37先端側に左右開閉プレート37を閉じるスプリング51を設けた請求項2または請求項3に記載の苗移植機である。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、請求項2または請求項3に記載の発明の作用効果に加えて、苗植付け装置6のフレーム36aに基部を枢支し先端部に左右苗挟持植付爪31を設けた左右開閉プレート37を開閉アーム43の作動にて連動機構37bで連動して左右開閉させるので、左右苗挟持植付爪31の挟持力や苗を開放するタイミングの適正化が図られ、植付精度が向上する。
【0015】
また、左右開閉プレート37先端側に左右開閉プレート37を閉じるスプリング51を設けたので、スプリング51の着脱を下方の空間部から行うことができメンテナンス性が向上する。
【0016】
請求項5記載の発明は、押出ロッド55の先端部に下方に延びる押出部56を設けると共に、押出ロッド55の左右両側に左右規制体54bを設け、左右規制体54bの上方に上方規制体54cを設けた請求項1~請求項3の何れか1項に記載の苗移植機である。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の発明の作用効果に加えて、押出ロッド55の先端部に下方に延びる押出部56を設けたので、苗を適切な位置で押し出すことができる。
【0018】
また、押出ロッド55の左右両側に左右規制体54bを設け、左右規制体54bの上方に上方規制体54cを設けたので、押出ロッド55が進退動する際に左右方向、ならびに上方へのブレが生じることを防止でき、苗を押し出し損なうことが防止される。
【0019】
請求項6記載の発明は、押出ロッド55の先端部に下方に延びる押出部56を設けると共に、押出ロッド55の左右両側に左右規制体54bを設け、左右規制体54bの上方に上方規制体54cを設けた請求項4記載の苗移植機である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明における実施の形態の苗移植機の側面図である。
【
図2】本発明における実施の形態の苗移植機の平面図である。
【
図3】本発明における実施の形態の苗移植機の苗搬送部の背面図である。
【
図4】本発明における実施の形態の苗移植機の苗植付け装置の斜視図である。
【
図5】本発明における実施の形態の苗移植機の苗植付け装置の側面図である。
【
図6】本発明における実施の形態の苗移植機の苗植付け装置の要部拡大斜視図である。
【
図7】本発明における実施の形態の苗移植機の苗植付け装置の要部拡大斜視図である。
【
図8】本発明における実施の形態の苗移植機の苗植付け装置の要部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の実施の一形態の甘薯苗を移植する苗移植機1を以下に説明する。尚、以下の説明では、操縦ハンドル2を配置した側を後とし、その反対側、即ちエンジン3を配置した側を前とする。そして、機体前側に向かって右手側を右とし、左手側を左とする。
【0022】
図1及び
図2に示すように、苗移植機1は、走行装置4と操縦ハンドル2を備えた機体に、甘薯苗を搬送する苗搬送部5と、該苗搬送部5によって搬送されてきた苗を圃場に植付ける苗植付け装置6とを備えている。走行装置4は、エンジン3と、該エンジン3の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の後輪7と、該後輪7の前方に転動自在に支持した左右一対の前輪8とを備えたものとしている。
【0023】
エンジン3の後部には、ミッションケース9を配置し、そのミッションケース9は、その左側部からエンジン3の左側方に延びるケース部分を有し、これがエンジン3の左側部と連結している。このケース部分にエンジン3の出力軸が入り込んでミッションケース9内の伝動機構に動力が伝達する構成となっている。
【0024】
ミッションケース9の左右両側部に伝動ケース10を回動自在に取り付け、この伝動ケース10の回動中心にミッションケース9から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで伝動ケース10内の伝動機構に走行用の動力を伝達している。そして、走行用の動力は伝動ケース10内の伝動機構を介して、機体後方側に延びてその後端の内側側方に突出する後車軸11に伝動し、後輪7が駆動回転するようになっている。
【0025】
左右の伝動ケース10のミッションケース9への取付部には、上方に延びるアーム12を左右各々一体的に取り付けていて、左右のアーム12と、ミッションケース9に固定された昇降用油圧シリンダ13のピストンロッド先端に上下軸心周りに回動自在に取り付けた天秤杆14の左右両側部とを連結部を介して連結している。右側の連結部はロッドで構成され、左側の連結部は伸縮可能な左右水平制御用油圧シリンダ16で構成されている。
【0026】
昇降用油圧シリンダ13が作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右のアーム12は後方に回動し、これに伴い伝動ケース10が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダ13のピストンロッドが機体前方に引っ込むと、左右のアーム12は前方に回動し、これに伴い伝動ケース10が上方に回動して、機体が下降する。
【0027】
この昇降用油圧シリンダ13は、機体に対する畝上面高さを検出するセンサ17の検出結果に基づいて機体を畝上面高さに対して設定高さになるよう作動するよう構成しており、また、操縦ハンドル2近傍に配置した植付昇降レバー18の人為操作によって、機体を上昇或は下降させるよう作動する構成でもある。尚、前記植付昇降レバー18は、苗植付け装置6及び苗搬送部5の駆動の入切の操作が行える。また、植付昇降レバー18の側方には、ミッションケース9内の主クラッチを操作して走行装置4の走行の入切操作が可能な主クラッチレバー19を設けている。
【0028】
また、左右水平制御用油圧シリンダ16が伸縮作動すると、左側の伝動ケース10が上下に回動して左側の後輪7を上下動させ、機体を左右に傾斜させる。左右水平制御用油圧シリンダ16は、左右水平に対する機体の左右傾斜を検出する振り子式の左右傾斜センサの検出結果に基づいて機体を左右水平になるように作動するよう構成している。
【0029】
左右の前輪8は、エンジン3下方の左右中央位置で前後方向の軸心周りに回動自在に取り付けた前輪支持フレーム20の左右両側部の下方に延びるアーム部分21の下端部に固定した前車軸22に回転自在に取り付けられている。
【0030】
従って、左右の前輪8は、機体の左右中央の前後方向の軸心周りにローリング動自在となっている。
【0031】
前輪支持フレーム20の前側には、該前輪支持フレーム20から畝案内用支持プレートを介して左右方向に延びる畝案内支持軸62を回動可能に支持している。この畝案内支持軸62から前方に延びる左右各々の畝案内支持フレーム63を介して左右の畝案内輪64を支持している。畝案内輪64は、遊転輪であり、畝の側面に接触して機体を畝に倣って走行させるべく案内する周知の構成である。
【0032】
昇降用油圧シリンダ13のピストンロッドと畝案内支持軸62との間には、連動ケーブルを連結している。機体の旋回時等において、左右の後輪7を下動させて機体を最上昇位置へ上昇させるとき、昇降用油圧シリンダ13のピストンロッドが後側へ移動するのに伴って連動ケーブルが連動して引かれ、畝案内支持軸62が回動して左右の畝案内支持フレーム63が上動し、機体を基準にして左右の畝案内輪64が上昇する。
【0033】
操縦ハンドル2は、ミッションケース9に前端部を固定したハンドルフレーム23の後端部に取り付けられている。ハンドルフレーム23は、機体の左右中央から右側に偏った位置に配置されて後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル2は、ハンドルフレーム23の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル2のグリップ部2a,2aとしている。
【0034】
操縦ハンドル2の左右のグリップ部2a,2aは、作業者がそのグリップ部2a,2aを楽に手で握れるように適宜高さに設定する。尚、図例ではグリップ部2a,2aを左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル2の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
【0035】
図3に示すように、苗搬送部5は、甘薯苗を蔓が前後方向に向く姿勢で収容する苗収容部となる苗収容体26を苗搬送方向Cに複数備えるとともに、該苗収容体26を機体上部側で右方向に搬送する上部横送り部5aと、該上部横送り部5aにより搬送されてきた苗収容体26を機体下方に搬送する下降送り部5bと、該下降送り部5bにより搬送されてきた苗収容体26を機体上方に搬送し前記上部横送り部5aの搬送始端側に戻す上昇送り部5cとを備える苗搬送ベルトから構成されており、苗収容体26を単一のループ状の搬送経路に沿って搬送するようになっている。
【0036】
また、上部横送り部5aは、左側の前輪8及び後輪7より左側にまで突出するように構成され、左端が機体の左側の最外端となっている。尚、上昇送り部5cの中間部で苗搬送ベルトを左右方向内側に撓ませるテンションローラ111を設けており、これにより上昇送り部5cが左側の後輪7と干渉しない構成となっている。
【0037】
また、前記上部横送り部5aの後端は、左側の前輪8及び後輪7より後側の位置に配置されている。従って、作業者は、左側の後輪7及び上部横送り部5aの後側で該上部横送り部5aへ苗を供給する。前記搬送経路は側面視で上部横送り部5aが後側に位置するように傾斜しており、苗搬送部5の後側にいる作業者の近い位置に上部横送り部5aの苗収容体26が配置され、作業者が上部横送り部5aの苗収容体26への苗供給作業を容易に行えるようにしている。尚、前記下降送り部5bには、苗が落下しないように苗収容部となる苗収容体26内に苗を案内する苗落下防止板27をその上部で支持部材28から支持して設けている。
【0038】
苗植付け装置6は、前記下降送り部5bにより苗搬送部5の搬送軌跡の最下位置の植付供給位置Aへ搬送された苗収容部となる苗収容体26の苗を取り出して圃場に植付けるようになっている。
【0039】
苗収容体26の表面(外周面)の後端部には、苗の蔓の後端部を挟持して保持する苗保持具となるクリップ26aを備えている。クリップ26aは、苗搬送ベルトの受け板部26bから上に突出する左右一対の挟持体で構成されている。尚、前記左右一対の挟持体は、一方が弾性のあるスポンジ状の樹脂で構成され、他方が柔軟性の有るブラシで構成され、挟持する苗の蔓を傷めないようにしている。作業者が苗を下方に押し込むことにより、苗が左右一対の挟持体で挟持されて固定される。
【0040】
苗搬送ベルトは、上部右側に設けた前後の駆動ローラ113と、下部に設けた左右の第一従動ローラ114と、上部左側に設けた第二従動ローラ115とに巻き掛けられ、植付け伝動ケース32から間欠回転動力が伝達される駆動ローラ113の駆動により間欠回転する。尚、左右の第一従動ローラ114の間で苗搬送ベルトは若干左右略水平方向に苗を搬送するが、この搬送部分に苗を苗植付け装置6が挟持して取り出す植付供給位置Aが設定されている。
【0041】
苗搬送ベルトの間欠的な回転駆動は、苗植付け装置6の苗挟持植付爪31が苗を挟持するときに停止して、それ以外のときに駆動する構成となっている。よって、苗植付け装置6の苗挟持植付爪31が苗を挟持して下降し土壌中に植付けるときには苗収容体26が停止しているので、苗が円滑に苗収容体26から取り出されて適確に苗を圃場に植付けることができる。
【0042】
苗搬送部5の前側には、植付け伝動ケース32の第一ケース部32aから苗載台支持フレーム81を介して苗載台82を設けている。この苗載台82上に収容箱等に収容した状態で甘薯苗を載置するようになっており、作業者は苗載台82上の苗を苗搬送部5の上部横送り部5aへ供給する。苗載台82の後端部は上部横送り部5aの前端部に近づけて配置され、上部横送り部5aへの苗補給の容易化を図っている。
【0043】
また、上部横送り部5aの左側方には、予備の苗を収容する籠状の予備苗収容部118を設けている。予備苗収容部118は、第二従動ローラ115の中心軸回りに回動可能な前後の予備苗収容部支持フレーム119で支持されている。予備苗収容部支持フレーム119を機体の左右方向内側(右側)へ回動させて、予備苗収容部118を上部横送り部5aの上方に位置する収納位置へ移動させると、機体幅を縮小できる。予備苗収容部118は、右側への回動で死点越えし、機体に設けた収納用ストッパ120に予備苗収容部支持フレーム119が当たって収納位置に保持される。この収納位置でも、予備苗収容部118が苗搬送部5の苗搬送ベルトやクリップ26aに干渉せず、苗搬送部5を駆動することができる。
【0044】
図4~
図8に示すように、苗植付け装置6は、苗挟持植付爪31とその開閉機構33及び苗押出体34とその押出作動機構35を有する苗移植部36と、苗移植部36を動作させるリンク機構Rから構成される。
【0045】
リンク機構Rは、基部が機枠に枢支されて前後搖動する搖動リンクR1と植付け伝動ケース32に設けた回転駆動するクランク駆動軸30にて間欠回転駆動される駆動クランクR2にて構成され、搖動リンクR1及び駆動クランクR2の先端部が苗移植部36のフレームを構成する爪ホルダ36aの先端側及び基端側に各々枢支されている。
【0046】
苗植付け装置6の駆動クランクR2を駆動するクランク駆動軸30は、ミッションケース9内からの動力を受けて伝動する伝動機構を内装する植付け伝動ケース32に設けている。植付け伝動ケース32は、その前部がミッションケース9の後部に連結しそこから後斜め上方に延びる第一ケース部32aと、この第一ケース部32aの上部左側部に固定され左側方に延びる第二ケース部32bと、その第二ケース部32bの左端部に固定され後斜め下方に延びる第三ケース部32cとを有する。
【0047】
先ず、苗挟持植付爪31とその開閉機構33について説明する。
【0048】
一対の苗挟持植付爪31は、開閉機構33にてその先端部が左右方向に開閉して蔓状の苗を挟持する。
【0049】
開閉機構33は、一対の苗挟持植付爪31の基部を各々取り付けた左右開閉プレート37と開閉作動機構38から構成される。
【0050】
左右開閉プレート37は、爪ホルダ36aに基端部が左右枢支軸50にて回動自在に枢支され、先端部に一対の苗挟持植付爪31基部が各々溶接固定された左右固定板31aをボルトナットにて固定している。
【0051】
クランク駆動軸30には、クランク側歯車39aを設け、該クランク側歯車39aに噛合するカム側歯車39bを爪ホルダ36a基端部に設けたカム軸40に設け、該カム軸40に設けた開閉カム41a及び押出カム41bが回転駆動する構成とする。
【0052】
また、爪ホルダ36aには、カム軸40の近くにアーム枢支軸42を設け、該アーム枢支軸42に開閉アーム43及び押出アーム44基部を枢支している。
【0053】
開閉アーム43は、アーム枢支軸42に枢支された左右アーム43a,43bにて構成される。
【0054】
左アーム43aは、基部がアーム枢支軸42に枢支され、先端部に開閉ワイヤ45の基部が取り付けられている。
【0055】
右アーム43bは、L字状で一片43b1が左アーム43aと平行に延び他片43b2が一片43b1に対して90度折れ曲がった方向に延び、該折れ曲がり部がアーム枢支軸42に枢支されている。
【0056】
左アーム43aの中途部には長孔が設けられ、右アーム43bの一片43b1の中途部に固着されたボルト46aが該左アーム43a中途部の長孔を挿通してナット46bにて固定されている。
【0057】
また、右アーム43bの一片43b1先端部に固定されたナットに調節ボルト47が螺号され、該調節ボルト47先端が左アーム43aに接当する構成で、調節ボルト47を回して左アーム43aを押すことにより左アーム43aと右アーム43bの位置を変更し、前記ナット46bを締めつけることにより調節した位置で左アーム43aと右アーム43bの位置を固定できる。
【0058】
また、右アーム43bの他片43b2先端部には開閉カム41aに接当する開閉従動ベアリング48が回転自在に設けられている。
【0059】
一方、左右開閉プレート37間には、左右開閉プレート37をその基端部を枢支する左右枢支軸50回りに外向きに開き回動させる開閉駆動ベアリング49が爪ホルダ36aに設けた枢支軸49aに基部が枢支された回動アーム49b先端に回転自在に枢支されている。
【0060】
左開閉プレート37の内側には、開閉駆動ベアリング49に接当するカム部37aが設けられ、左右開閉プレート37基部に各々一体に設けた連動機構としての左右ギヤ37bが噛合している。
【0061】
そして、回動アーム49b先端は、開閉ワイヤ45先端に連結している。
【0062】
開閉作動機構38は、植付け伝動ケース32からの間欠回転駆動にて間欠回転するクランク駆動軸30、クランク側歯車39a、カム側歯車39b、開閉カム41a、開閉従動ベアリング48、開閉アーム43、開閉ワイヤ45、回動アーム49b、開閉駆動ベアリング49、左開閉プレート37内側のカム部37a、左右ギヤ37bからなる。
【0063】
従って、クランク駆動軸30の間欠回転により、クランク側歯車39a及びカム側歯車39bにより開閉カム41aが回転し、該開閉カム41aにて開閉従動ベアリング48が押されて開閉アーム43が回動して開閉ワイヤ45を引き、回動アーム49bが回動して開閉駆動ベアリング49が左開閉プレート37内側のカム部37aを外向きに押して左開閉プレート37が外向きに開き回動し、左右ギヤ37bにて右開閉プレート37も外向きに開き回動する。
【0064】
よって、左右開閉プレート37先端部に固定されている左右苗挟持植付爪31先端の苗を挟持する左右苗挟持部31bが開く。
【0065】
また、左右開閉プレート37先端部間には、閉じ用引張スプリング51が掛け渡され、該閉じ用引張スプリング51にて左右開閉プレート37が閉じる方向に付勢されている。
【0066】
従って、開閉カム41aが開閉従動ベアリング48を押さない時、左右開閉プレート37先端部は閉じており、左右苗挟持植付爪31先端の左右苗挟持部31bは苗を挟持する挟持力をもって閉じている。
【0067】
そして、左右開閉プレート37の一方である左開閉プレート37のカム部37aを開閉作動機構38の開閉駆動ベアリング49が外向きに押して左開閉プレート37が外向きに開き回動し、連動機構としての左右ギヤ37bにて右開閉プレート37も外向きに開き回動するので、左右苗挟持植付爪31の挟持力や苗を開放するタイミングの適正化が図られ、植付精度が向上する。
【0068】
また、左右開閉プレート37先端部間に閉じ用引張スプリング51を設けているので、閉じ用引張スプリング51の着脱を下方の空間部から行うことができメンテナンス性が向上する。
【0069】
また、開閉アーム43の右アーム43bの調節ボルト47にて左アーム43aと右アーム43bの相対位置を変更することにより、開閉カム41aが開閉従動ベアリング48を押した時の開閉アーム43の回動量を変更でき、左右苗挟持植付爪31先端の左右苗挟持部31bの開閉量を微調節できるので、植付深さに適したタイミングで苗が開放され、植付深さの適正化が図れる。なお、開閉アーム43の右アーム43bの調節ボルト47にて左アーム43aと右アーム43bの相対位置を変更する機構を開閉量調節機構Bと謂う。
【0070】
次に、苗押出体34とその押出作動機構35について説明する。
【0071】
苗押出体34は、爪ホルダ36aの上面に設けた案内部54に案内されて進退移動自在に設けられた押出ロッド55の先端部に押出部56を設けた構成である。
【0072】
案内部54は、爪ホルダ36a上面を貫通して設けた左右ボルト54a各々に左右規制体としての左右ブッシュ54bを挿通し、各ブッシュ54bの上に上方規制体としてのプレート54cを左右ボルト54aに挿通して設け、上からナット54dにて締付けている。
【0073】
従って、押出ロッド55は、左右ブッシュ54b間を挿通し上下をプレート54cと爪ホルダ36a上面にて案内されて、適切に進退移動する。
【0074】
押出部56は、押出プレート57a上面に設けたV字状の切り欠き部を押出ロッド55の先端部に溶接固定し、該押出プレート57aに弾性押出体であるゴム板57bをボルトにて固定している。該ゴム板57bが苗を土中に押し出して植付ける。
【0075】
押出作動機構35は、前記のカム軸40に設けた押出カム41bと押出ロッドアーム58にて構成される。
【0076】
押出カム41bは、前述のとおり、クランク駆動軸30の間欠回転によりクランク側歯車39a及びカム側歯車39bにより回転する。
【0077】
押出ロッドアーム58は、爪ホルダ36aに基部が枢支された前部押出ロッドアーム58aと該前部押出ロッドアーム58a先端と押出ロッド55前端に枢支された後部押出ロッドアーム58bにて構成される。
【0078】
前部押出ロッドアーム58aには、押出カム41bに接当して前部押出ロッドアーム58aを後方に向けて回動させる押出従動部としての押出従動ベアリング59が回転自在に設けられている。
【0079】
前部押出ロッドアーム58aと後部押出ロッドアーム58b間には、両者を折り畳む方向に付勢する引張スプリング60が設けられている。
【0080】
従って、クランク駆動軸30の間欠回転により、クランク側歯車39a及びカム側歯車39bにより押出カム41bが回転し、該押出カム41bにて押出従動ベアリング59が押されて前部押出ロッドアーム58aが後方に向けて回動し、該前部押出ロッドアーム58aの後方に向けた回動に連携して引張スプリング60の付勢力に抗して後部押出ロッドアーム58bが前部押出ロッドアーム58aから開くように後方に移動し、押出ロッド55が進出方向にスライド移動する。該押出ロッド55の進出方向へのスライド移動にて、押出部56のゴム板57bが進出方向に突出移動して苗を土中に押し出して植付ける。
【0081】
そして、苗搬送部5の搬送軌跡の最下位置の植付供給位置Aへ搬送された苗収容部となる苗収容体26の苗を左右苗挟持植付爪31先端の左右苗挟持部31bが挟持して取り出して圃場中に突入して植付位置にて左右苗挟持部31bが左右に開いた時に、押出部56のゴム板57bが進出方向に突出移動して苗を土中に押し出して植付ける。
【0082】
なお、左右苗挟持植付爪31先端の左右苗挟持部31bが苗搬送部5の搬送軌跡の最下位置の植付供給位置Aで苗を挟持する直前で、駆動クランクR2は回転軌跡の最上部位置(上死点)にあり、左右苗挟持部31bは最大に開いた状態で、その後、植付供給位置Aにくると左右苗挟持部31bは完全に閉じた状態となって苗を挟持する。
【0083】
また、押出部56のゴム板57bが進出方向に突出移動して苗を土中に押し出して植付ける際に、ゴム板57bが進出方向に最大限突出移動した状態で所要時間停止した後に急速に後退動し、適確に苗を土中に押し込んで植付ける。
【0084】
そして、押出部56のゴム板57bが進出方向に突出移動して苗を土中に押し出して植付けた直後に、押出カム41bが押出従動ベアリング59から離れて前部押出ロッドアーム58aが前方に向けて回動し、該前部押出ロッドアーム58aの前方に向けた回動に連携して引張スプリング60に付勢されて後部押出ロッドアーム58bが前部押出ロッドアーム58a側に閉じるように前方に移動するので、押出ロッド55が後退方向に急速度でスライド移動する。
【0085】
従って、押出部56のゴム板57bが進出方向に突出移動して苗を土中に押し出して植付けた後は、該押出ロッド55の後退方向への急速度でのスライド移動にて押出部56のゴム板57bが急速度で後退するので、押出部56のゴム板57bが苗を持ち帰るような事態を回避して良好に適切な深さで苗を植付けることができる。
【0086】
なお、前部押出ロッドアーム58aは、前方回動した時にカム軸40等に干渉しないように湾曲した形状としている。
【0087】
以上のように、左右苗挟持植付爪31が植付供給位置Aと植付位置間を移動することに連動して押出ロッド55が進退動することにより、押出部56のゴム板57bが植付位置で確実に苗を土中に植付けることができるので、苗を開放するタイミングが遅れて植付深さが浅くなることや、苗が開放されず欠株となることが防止される。
【0088】
また、前部押出ロッドアーム58aと後部押出ロッドアーム58bを引張スプリング60で両者が閉じる方向に付勢することにより、押出ロッド55が後退方向に付勢されるので後退が早くなり、押出部56のゴム板57bが植え付けた苗を持ち上げることや、地面と接触して破損することが防止される。
【0089】
また、クランク駆動軸30にクランク側歯車39aを設け、該クランク側歯車39aに噛合するカム側歯車39bを爪ホルダ36a基端部に設けたカム軸40に設けたので、開閉カム41aと押出カム41bを爪ホルダ36aの基端部寄りに配置することができ、開閉カム41aと押出カム41bを押出ロッドアーム58の押出従動ベアリング59が設けられた前部押出ロッドアーム58aや開閉アーム43の開閉従動ベアリング48が設けられた右アーム43bからの離間距離を抑えて配置することができ、コンパクトな構成となる。
【0090】
また、押出ロッド55の先端部に設けた押出プレート57aに下方に延びる弾性押出体であるゴム板57bを設けることにより、苗を適切な位置で押し出すことができる。
【0091】
また、押出ロッド55の左右両側に左右規制体である左右ブッシュ54bを設け、左右ブッシュ54bの上方を上方規制体であるプレート54cで連結したことにより、押出ロッド55が進退動する際に左右方向、ならびに上方へのブレが生じることを防止でき、苗を押し出し損なうことが防止される。
【0092】
苗植付け装置6の後方には、左右一対の覆土具となる覆土輪92を設けている。この覆土輪92は、遊転輪であり、土壌面に接地して植え付けた苗の左右側方の土壌を苗に覆土しながら鎮圧するようになっており、ハンドルフレーム23に前部が固定された支持フレーム93の後端部から覆土輪支持フレーム94を介して設けられている。
【0093】
左右の覆土輪92の間に下動して植付けた苗の上方の土壌を鎮圧する鎮圧具となる鎮圧輪100を設けている。鎮圧輪100は、覆土輪92よりも径が小さく、下動した鎮圧状態において機体側面視で左右の覆土輪92内に収まり且つ覆土具となる覆土輪92の回転軸心を基準に後側に偏位した位置に配置される。
【0094】
鎮圧輪100は、支持フレーム93に設けた支点軸を中心に上下に回動する鎮圧フレーム101に設けられ、駆動機構にて上下動する。
【0095】
また、支持フレーム93の下側に設けたスクレーパアーム107の下端部に弾性体であるゴム製の板で構成されたスクレーパ108を設けている。
【0096】
スクレーパ108は、左右2箇所に前側から入れられた切込み部を備えており、左右の切込み部に左右各々の苗挟持植付爪31が入ることにより、左右の苗挟持植付爪31の左右各々の左右両面に付着する土を除去する。
【0097】
一方、苗搬送部5よりも前側で且つ左右方向外側(右側)の位置には、潅水用の水を貯留する水タンク124を配置している。尚、水タンク124は、苗載台82の右側方の位置に配置される。
【0098】
水タンク124から供給管128を介して機体に設けたポンプ127が吸水し、苗挟持植付爪31先端の左右苗挟持部31bが圃場に突入して苗を植付ける際にその内面部に水を吐出して圃場に潅水する。
【0099】
ところで、左右苗挟持植付爪31は、パイプ材で構成され、基部側に供給管128が連結され、先端部に設けた吐出孔から左右苗挟持部31b内側に向けて水を吐出して潅水する。
【0100】
即ち、水タンク124からポンプ127が水を吸水し、供給管128を介して左右苗挟持部31b内部空間を通して先端部に設けた吐出孔から苗挟持部31b内側に向けて水を吐出して潅水する。
【0101】
なお、左右苗挟持植付爪31先端部は、パイプを平らに潰した形状として左右苗挟持部31b基部を溶接固定している。従って、パイプを平らに潰した形状としているので、苗挟持部31bの溶接が容易に行える。また、左右苗挟持植付爪31先端部はパイプを平らに潰した形状なので、左右苗挟持部31bが閉じた時に左右苗挟持植付爪31先端部が干渉することが防止される。
【0102】
また、苗移植機1に座席を設けて乗用型に構成する場合について説明する。
【0103】
座席は、樹脂のブロー成型で中空に構成し、前記水タンク124に換えて座席兼水タンクとする。
【0104】
座席は、前輪8と後輪7間の機体中央部で重心位置に配置して、水の増減が機体バランスに影響を及ぼさないようにする。
【0105】
座席は、背もたれ部上部に注水口及び蓋を設け、座面下部に供給管128を連結してポンプ127にて吸水する構成とする。全体を半透明とし、水の量が外部から分かるようにする。
【0106】
座席を水タンクと兼用したので、座席に着座した作業者は涼しく快適な作業が行える。
【符号の説明】
【0107】
4 走行装置
5 苗搬送部
6 苗植付け装置
30 クランク駆動軸
31 左右苗挟持植付爪
35 押出作動機構
36a フレーム(爪ホルダ)
37 左右開閉プレート
37b 連動機構(左右ギヤ)
39a クランク側歯車
39b カム側歯車
40 カム軸
41a 開閉カム
41b 押出カム
43 開閉アーム
51 スプリング(閉じ用引張スプリング)
54b 左右規制体(左右ブッシュ)
54c 上方規制体(プレート)
55 押出ロッド
56 押出部
58a 押出ロッドアーム(前部押出ロッドアーム)
58b 押出ロッドアーム(後部押出ロッドアーム)
59 押出従動部(押出従動ベアリング)
60 スプリング(引張スプリング)
A 植付供給位置
B 開閉量調節機構
R1 搖動リンク
R2 駆動クランク