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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004651
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】蓋部材及びパレットセット
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/38 20060101AFI20240110BHJP
   B65D 19/24 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B65D19/38 Z
B65D19/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104366
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】隅田 晃雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 侑也
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA03
3E063BA05
3E063BB04
3E063CA01
3E063CA10
3E063EE03
3E063FF01
3E063FF20
(57)【要約】
【課題】通信器具収容部の内側から荷重がかかっても外れにくい蓋部材の開発が望まれている。
【解決手段】本開示の蓋部材10には、第1側辺11A側にヒンジ突片20が設けられ、第2側辺11B側に係止片25が設けられている。そして、蓋部材10のヒンジ突片20を通信器具収容部60のヒンジ受容孔61Hに差し込み、ヒンジ突片20を支点として蓋部材10を回動し、蓋部材10の係止片25を通信器具収容部60の差し込み口65に挿入すると、係止片25が通信器具収容部60の上側内側壁61に外側から凹凸係合する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送具の一の表面に開口する通信器具収容部の開口を閉塞する蓋部材において、
前記通信器具収容部の前記開口に収まるベース板と、
前記ベース板の第1側辺側に設けられ、前記通信器具収容部のヒンジ受容部に差し込まれ、回動可能に係合するヒンジ突片と、
前記第1側辺と対向する第2側辺側に設けられ、前記通信器具収容部の前記開口の開口縁と前記通信器具収容部の内側壁との間の差し込み口に差し込まれ、前記内側壁に外方から係止する係止片と、を備える蓋部材。
【請求項2】
前記係止片は、
前記通信器具収容部の内側壁の被係止部と凹凸係合する係止部と、
前記ベース板側端部から前記係止部まで又は前記係止部寄り位置まで切り欠かれた切欠部と、
前記切欠部を通して前記ベース板の外方から工具を掛けることが可能な工具掛け部と、を備える請求項1に記載の蓋部材。
【請求項3】
前記切欠部は、前記係止片の横方向の中央に配され、
前記係止片は、前記切欠部を挟んで横方向で並ぶ1対の縦壁部と、前記1対の縦壁部の先端部同士を連絡しかつ前記係止部及び前記工具掛け部を有する横壁部と、を有し、
前記係止部は、前記横壁部の前記ベース板側端部に配され、
前記工具掛け部は、前記横壁部のうち前記切欠部を通して露出している面から突出し、前記1対の縦壁部の先端部同士を連絡している請求項2に記載の蓋部材。
【請求項4】
前記ベース板の外縁より内側から前記通信器具収容部の奥側へ延びた側壁部を有し、
前記ヒンジ突片は、前記側壁部から外方に延びかつ、前記ベース板の裏面と一体になっている請求項1から3の何れか1の請求項に記載の蓋部材。
【請求項5】
前記通信器具収容部が前記搬送具の上壁に開口すると共に、前記ヒンジ受容部が前記内側壁の上端部に開口し、
前記側壁部から外方に突出して前記通信器具収容部の前記内側壁に設けられた蓋支持面に当接し、前記ヒンジ突片が前記ヒンジ受容部の開口の下側開口縁に当接することを防ぐ支持突部を備える請求項4に記載の蓋部材。
【請求項6】
前記側壁部は、前記通信器具収容部の前記内側壁の内側に嵌合するように延び、
前記ベース板は、前記第2側辺から外方に延び、その先端から前記係止片が突出した外方延出部を有し、
前記外方延出部の裏面から突出し、前記側壁部と前記係止片との間を連絡する連絡部を備える請求項4に記載の蓋部材。
【請求項7】
請求項1に記載の蓋部材と前記搬送具としてのパレットとを有するパレットセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送具の一の表面に開口する通信器具収容部の開口を閉塞する蓋部材及び、蓋部材と搬送具としてのパレットとを有するパレットセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の蓋部材として、パレットの通信器具収容部の開口に収まるベース板から外方に突出した係止部が通信器具収容部の開口の開口縁に係止するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-156445号公報(段落[0030]~[0032]、図4等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の蓋部材においては、立てかけられていたパレットが倒れる等して通信器具の荷重が蓋部材にかかると、蓋部材が撓んで係止が解除され、蓋部材が外れてしまうという事象が起こり得る。これに鑑み、通信器具収容部の内側から荷重がかかっても外れにくい蓋部材の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の蓋部材は、搬送具の一の表面に開口する通信器具収容部の開口を閉塞する蓋部材において、前記通信器具収容部の前記開口に収まるベース板と、前記ベース板の第1側辺側に設けられ、前記通信器具収容部のヒンジ受容部に差し込まれ、回動可能に係合するヒンジ突片と、前記第1側辺と対向する第2側辺側に設けられ、前記通信器具収容部の前記開口の開口縁と前記通信器具収容部の内側壁との間の差し込み口に差し込まれ、前記内側壁に外方から係止する係止片と、を備える蓋部材である。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る蓋部材によれば、蓋部材の第1側辺側のヒンジ突片を差し込んだのち回動し、第2側辺側の係止片を通信器具収容部の内側壁の外側に差し込んで係止させることで蓋部材が取り付けられる。そして、係止片が内側壁に外側から係止するので、蓋部材に通信器具収容部の内側から荷重がかかってベース板が撓んでも、係止片は内側壁側へ向かい係止を強めることとなり、外れにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示のパレットセットの斜視図
図2】通信器具収容部近傍の斜視断面図
図3】通信器具収容部近傍の斜視断面図
図4】通信器具収容部近傍の斜視断面図
図5】通信器具収容部近傍の側断面図
図6】下側内側壁近傍の側断面図
図7】蓋部材の斜視図
図8】蓋部材の裏側斜視図
図9】蓋部材の裏側斜視図
図10】蓋部材近傍の側断面図
図11】蓋部材近傍の斜視断面図
図12】蓋部材近傍の側断面図
図13】蓋部材近傍の斜視断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の蓋部材10について図1図13を参照して説明する。図1には、蓋部材10と、蓋部材10により閉塞される通信器具収容部60を有するパレット50と、を備えるパレットセット100が示されている。パレット50は、四角形状のデッキボード51の下面に複数の桁部52を備え、それら桁部52同士の間がフォーク挿入空間53になっている。桁部52は、パレット50の4隅と各側辺部の中央、及び、パレット50の中央に配されている。また、本実施形態のパレット50は、それぞれ射出成形された上側部材50Aと下側部材50Bとが溶着された溶着パレットである。
【0009】
パレット50の中央には、デッキボード51の上面に略長方形状の開口60Aを有する通信器具収容部60が形成されている。以降、この開口60Aの長手方向を第1水平方向H1とし、開口60Aの短手方向を第2水平方向H2とする。図2に示すように、通信器具収容部60は、デッキボード51の上面からパレット50中央の桁部52(以降、適宜「中央桁部52A」という)の上から2/3程の高さまでにかけて形成されている。通信器具収容部60は、中央桁部52Aのうち上側部材50A側に、開口60Aから下方に延びる角筒状の上側内側壁61を有する。
【0010】
図3に示すように、中央桁部52Aは、下側部材50B側に、開口60Aの真下の領域のうち第1水平方向H1の中央に配された下側中央壁70と、下側中央壁70を挟む両側に配された下側内側壁71と、を備える。上側内側壁61の下端と、下側内側壁71及び下側中央壁70の上端との間は、パレット50の高さの1/5~1/6程離れている。
【0011】
図2及び図3に示すように、下側中央壁70には、上端部のうち開口60Aの下方に位置する部分に四角形状の切り欠き70Kが形成されていて、この切り欠き70Kの底部70Sが通信器具収容部60の下端部となっている。各下側内側壁71は、その内側面が上側内側壁61の内側面と同一平面上かそれよりも僅かに外側に位置し、断面「コ」の字状になっている。下側内側壁71の上端には、下がるにつれて内側に向かうテーパ71Aが設けられている。また、各下側内側壁71の下側中央壁70側の両側辺部には、互いに近づくように突出した寄せリブ71Bが設けられている。
【0012】
通信器具収容部60には、直方体状の通信器具110が収納される。本実施形態では、通信器具110は、例えば、電池が内蔵されていて常時信号を発信するアクティブRFIDタグである。図4図6に示されているように、通信器具110が開口60Aを通して通信器具収容部60に収納されると、通信器具110は、上側内側壁61との間には僅かに隙間が生じ、下側内側壁71の複数の寄せリブ71Bの内側に圧入された状態になる。また、通信器具110の下端は、下側中央壁70の切り欠き70Kの底部70Sより僅かに上方に位置している。なお、通信器具110を通信器具収容部60に挿入する際、途中で下側内側壁71の上端に当接しても、テーパ71Aにより内側へ案内されるので、通信器具110の挿入がスムーズになる。
【0013】
さて、上述したように、通信器具収容部60は、蓋部材10により閉塞可能となっている。以下、蓋部材10について、蓋部材10を取り付けるための通信器具収容部60の構造と併せて説明する。
【0014】
図7及び図8に示すように、蓋部材10は、通信器具収容部60の開口60A(図1参照)に対応するベース板11と、ベース板11の外縁より一回り内側から垂下する環状側壁12と、を有している。ベース板11の下面からは、環状側壁12から外方に延びた支持突部13が突出している。支持突部13は、ベース板11の4隅と、各辺(後述する第2側辺11Bを除く)の中央と、にそれぞれ配されている。支持突部13の外端面は、ベース板11の外端面と面一になっている。また、図9に示すように、支持突部13のうち、第2水平方向H2で対向する一方の側辺(以降、適宜「第1側辺11A」といい、他方の側辺を「第2側辺11B」という)の中央の支持突部13には、下方に延長された延長部13Aが設けられている。延長部13Aの環状側壁12からの突出量は、支持突部13の環状側壁12からの突出量よりもかなり小さくなっていて、延長部13Aの下端には傾斜面13Bが設けられている。
【0015】
一方、図2及び図10に示すように、通信器具収容部60の上側内側壁61には、開口60Aから段付き状に断面が小さくなり、蓋部材10の支持突部13の下面が当接する上側段差部62と、そこからさらに段付き状に断面が小さくなり、蓋部材10の環状側壁12の下端面が当接する下側段差部63と、が形成されている。
【0016】
また、図8及び図10に示すように、蓋部材10は、環状側壁12の内側に、環状側壁12より下方まで延びた器具抑え部14を備えている。器具抑え部14は、円筒状をなし、環状側壁12との間を4つの連絡壁15により連絡されている。通信器具収容部60に通信器具110が収納されて蓋部材10が取り付けられた状態では、蓋部材10の器具抑え部14が通信器具110に当接し、通信器具110が上下方向でがたつくことが防がれる。
【0017】
次に、蓋部材10と通信器具収容部60との係止について説明する。図9に示すように、蓋部材10における第1側辺11A側には、中央の支持突部13を挟んだ2位置に、環状側壁12から外方へ延びたヒンジ突片20が設けられている。ヒンジ突片20は、平板状をなしてベース板11の下面に一体に成形され、ベース板11の第1側辺11Aより外方に板厚分程突出している。また、ヒンジ突片20の下面は、支持突部13の下端よりも上方に位置している。
【0018】
これらヒンジ突片20に対応して、通信器具収容部60の上側内側壁61には、ヒンジ受容孔61H(図2及び図10参照)が2つ形成されている。ヒンジ受容孔61Hの上端縁は、ベース板11の下面と同一平面上に配されていて、ヒンジ受容孔61Hの下端縁は、上側段差部62の段差面と同一平面上に配されている。これにより、支持突部13の下端が上側段差部62に当接している状態では、ヒンジ突片20は、上側段差部62及びヒンジ受容孔61Hの下端縁に当接しないようになっている。
【0019】
図7に示すように、蓋部材10のベース板11は、第2側辺11Bから外方に延長された1対の外方延出部11Eを有している。なお、ベース板11のうち1対の外方延出部11E同士の間は環状側壁12の外側面と面一になるように切り欠かれている。
【0020】
そして、蓋部材10は、1対の外方延出部11Eの先端から垂下した1対の縦壁部26と、1対の縦壁部26の下端同士を連絡する横壁部27と、を備える。図7図9及び図10に示すように、横壁部27のうち縦壁部26同士の間に位置する部分には、内側に突出した係止部28が設けられている。係止部28の上面28Aは、水平方向に平坦に延びていて、係止部28の内側面28Bは、上面28Aの内端部と横壁部27の下端とを傾斜して連絡している。また、横壁部27のうち縦壁部26同士の間に露出している上面には、縦壁部26の下端部同士の間を連絡する工具掛け部29が突出形成されている。工具掛け部29の外側面は、縦壁部26及び横壁部27の外側面と面一になっていて、工具掛け部29の内側面は、縦壁部26の内側面よりも外側に位置している。
【0021】
これら1対の縦壁部26、横壁部27、係止部28及び工具掛け部29から「係止片25」が構成されている。換言すれば、係止片25は、水平方向の中央部に切欠部25Kを備え、その切欠部25Kから工具掛け部29が露出した構造になっている。
【0022】
図8に示すように、外方延出部11Eの第1水平方向H1の両端には、下方に突出し、係止片25と環状側壁12との間を連絡する連絡部30が形成されている。また、環状側壁12には、外側の連絡部30の内側端部から下方に延びた突条部31が形成されている。図10に示すように、突条部31の環状側壁12からの突出量は、延長部13Aの環状側壁12からの突出量と略同一になっていて、延長部13Aと同様に、突条部31の下端にも傾斜面31Bが形成されている。
【0023】
図2及び図3に示すように、パレット50における通信器具収容部60の開口60Aには、1対の外方延出部11Eに対応して拡張部60Kが備えられている。この拡張部60Kが設けられた部分では、上側内側壁61のうち上側段差部62より上方部分が形成されておらず、拡張部60Kの外側縁と上側内側壁61の上端との間が差し込み口65となっている。そして、上側内側壁61の上端には、外方に突出した被係止部66が備えられている。図10に示すように、被係止部66は、下面66Aが水平方向に平坦に延びていて、上端部に、下がるにつれて外側へ向かう外側傾斜部66Bを有している。また、上側内側壁61の内縁部にも、下がるにつれて内側へ向かう内側傾斜部61Bが設けられている。
【0024】
次に、通信器具収容部60への蓋部材10の取付けについて説明する。まず、図2に示すように、蓋部材10を、係止片25が通信器具収容部60の開口60Aの拡張部60Kに対応する向きにする。次いで、図11及び図12に示すように、蓋部材10のヒンジ突片20を通信器具収容部60のヒンジ受容孔61Hに斜め上方から差し込む。そして、ヒンジ突片20を支点として係止片25が差し込み口65に挿入されるように蓋部材10を回動する。
【0025】
このとき、被係止部66に外側傾斜部66Bが配されているので、蓋部材10の係止部28(内側面28B)が上側内側壁61の外側上端に当接しても、係止片25が差し込み口65へ案内される。また、上側内側壁61の内縁部に内側傾斜部61Bが配されているので、蓋部材10の第2側辺11B側の環状側壁12が上側内側壁61の内側端部に当接しても、環状側壁12が上側内側壁61の内側へ案内され、係止片25が差し込み口65へ到達しやすくなる。
【0026】
そのまま蓋部材10の第2側辺11B側を下方へ押し込むと、係止部28の内側面28Bと被係止部66の外側傾斜部66Bとが押され合い係止片25が外方へ弾性変形する。そして、係止部28が被係止部66を通過すると係止片25が弾性復帰して、係止部28の上面28Aと被係止部66の下面66Aとが対向して係止し、係止片25が上側内側壁61に外側から凹凸係合する(図10及び図13参照)。これにより、蓋部材10の取付けが完了する。
【0027】
蓋部材10を取り外す際は、以下のように作業が行われる。即ち、マイナスドライバー等の工具(図示せず)を1対の縦壁部26同士の間を通して工具掛け部29の内側に差し込む。このとき、横壁部27の上面のうち工具掛け部29より内側部分に工具を突き当てるようにすることで、工具を作業に適した位置に差し込むことができる。そして、工具掛け部29を外方へ押すように工具を操作して、係止部28と被係止部66との係止を解除し、蓋部材10の第2側辺11B側を上方へ回動させることで係止片25を差し込み口65から抜き出し、その後、ヒンジ突片20をヒンジ受容孔61Hから抜くことで蓋部材10が取り外される。
【0028】
このように、本実施形態の蓋部材10は、工具掛け部29に工具を掛けることで容易に取り外すことができる。また、蓋部材10の第1側辺11A側にヒンジ突片20を設け、第2側辺11B側のみに係止部28を設けているので、対向辺の一方側のみを操作すればよく、対向辺の両方に係止部28を設ける構成よりも取り外しが容易になる。また、工具掛け部29が1対の縦壁部26の先端部同士を連絡しているので、係止片25が強化される。また、工具掛け部29に工具を掛けたときの負荷が分散され、工具掛け部29が破損しにくくなる。また、係止片25がコの字状をなしているので、工具を落としたとしても工具が横壁部27に当接し、内部へ落下しにくくなる。
【0029】
ここで、ベース板の1対の対向辺に、通信器具収容部の被係止部に内側から係止する係止部を備える従来の蓋部材では、立てかけられていたパレットが倒れる等して通信器具の荷重が蓋部材にかかると、蓋部材の中央部が押し上げられて係止が解除される方向に蓋部材が撓んで、蓋部材が外れてしまうという事象が起こり得る。
【0030】
これに対して、本実施形態のパレットセット100では、蓋部材10をヒンジ突片20を支点として回動させないと通信器具収容部60から外せないようになっており、さらに、係止片25が上側内側壁61に外側から係合するので、通信器具110の荷重により蓋部材10の中央部が押し上げられるように蓋部材10が撓んでも、係止片25が上側内側壁61側へ向かい、係止片25と上側内側壁61との係合(係止部28と被係止部66との係止)が強められる。これにより、従来よりも蓋部材10が外れにくくなる。
【0031】
また、ヒンジ突片20をヒンジ受容孔61Hに挿入して蓋部材10を回動させるときや、蓋部材10が取り付けられた状態では、支持突部13の下端が上側段差部62に当接し、ヒンジ突片20が、上側段差部62及びヒンジ受容孔61Hの下端縁に当接しないようになっているので、蓋部材10を回動させるときや蓋部材10上に荷物が載置されたときに、ヒンジ突片20が上側段差部62又はヒンジ受容孔61Hに押し付けられて過度な負荷がかかり、ヒンジ突片20が破損することが防がれる。さらに、ヒンジ突片20は、ベース板11の下面に一体に成形されているので、ヒンジ突片20が強化され、破損しにくくなっている。
【0032】
また、外方延出部11Eに、係止片25と環状側壁12との間を連絡する連絡部30が形成されているので、外方延出部11E及び係止片25が強化され、破損が防がれる。
【0033】
また、本実施形態では、器具抑え部14が環状側壁12より下方へ突出し、この器具抑え部14が通信器具110に当接する構成になっているので、器具抑え部14の長さが異なる蓋部材10を用いることで、パレット50を変えずに、長さが異なる通信器具110に対応することが可能となる。
【0034】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、蓋部材10がパレット50の通信器具収容部60に取り付けられるものであったが、台車やロールの端部に取り付けられる保護具等、他の搬送具の通信器具収容部に取り付けられるものであってもよい。
【0035】
(2)上記実施形態では、パレット50が溶着パレットであったが、全て一体に成形された一体成形パレットであってもよい。
【0036】
(3)上記実施形態では、通信器具収容部60がパレット50の上面(デッキボード51)に開口していたが、桁部52の側面等に開口していてもよい。
【0037】
(4)上記実施形態の通信器具110は、アクティブタグであったが、パッシブタグであってもよい。なお、パッシブタグの場合、パッシブタグを取り付けたホルダーが通信器具収容部60に収容されることが考えられる。
【0038】
(5)蓋部材10に、通信器具110を保持する保持部を備える構成であってもよい。例えば、器具抑え部14を断面四角形状にして、その内側に通信器具110を嵌合させる構成であってもよい。この場合、蓋部材10に通信器具110を保持させたのち、通信器具収容部60に取り付けられることが考えられる。
【0039】
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、これら特徴群は、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0040】
[特徴1]
搬送具(50)の一の表面(51)に開口する通信器具収容部(60)の開口(60A)を閉塞する蓋部材(10)において、
前記通信器具収容部(60)の前記開口(60A)に収まるベース板(11)と、
前記ベース板(11)の第1側辺(11A)側に設けられ、前記通信器具収容部(60)のヒンジ受容部(61H)に差し込まれ、回動可能に係合するヒンジ突片(20)と、
前記第1側辺(11A)と対向する第2側辺(11B)側に設けられ、前記通信器具収容部(60)の前記開口(60A)の開口縁と前記通信器具収容部(60)の内側壁(61)との間の差し込み口(65)に差し込まれ、前記内側壁(61)に外方から係止する係止片(25)と、を備える蓋部材。
【0041】
特徴1の蓋部材によれば、蓋部材の第1側辺側のヒンジ突片を差し込んだのち回動し、第2側辺側の係止片を通信器具収容部の内側壁の外側に差し込んで係止させることで蓋部材が取り付けられる。そして、係止片が内側壁に外側から係止するので、蓋部材に通信器具収容部の内側から荷重がかかってベース板が撓んでも、係止片は内側壁側へ向かい係止を強めることとなり、外れにくくなる。
【0042】
[特徴2]
前記係止片(25)は、
前記通信器具収容部(60)の内側壁(61)の被係止部(66)と凹凸係合する係止部(28)と、
前記ベース板(11)側端部から前記係止部(28)まで又は前記係止部(28)寄り位置まで切り欠かれた切欠部(25K)と、
前記切欠部(25K)を通して前記ベース板(11)の外方から工具を掛けることが可能な工具掛け部(29)と、を備える特徴1に記載の蓋部材。
【0043】
特徴2の蓋部材によれば、切欠部を通してベース板の外方から工具掛け部に工具を掛けることで係止を解除できる。また、ベース板の対向辺両方に係止部を設けるのではなく、一方に係止部、他方にヒンジ突片と配置することで、その係止部のみを操作すればよく、取り外しが容易になる。
【0044】
[特徴3]
前記切欠部(25K)は、前記係止片(25)の横方向の中央に配され、
前記係止片(25)は、前記切欠部(25K)を挟んで横方向で並ぶ1対の縦壁部(26)と、前記1対の縦壁部(26)の先端部同士を連絡しかつ前記係止部(28)及び前記工具掛け部(29)を有する横壁部(27)と、を有し、
前記係止部(28)は、前記横壁部(27)の前記ベース板(11)側端部に配され、
前記工具掛け部(29)は、前記横壁部(27)のうち前記切欠部(25K)を通して露出している面から突出し、前記1対の縦壁部(26)の先端部同士を連絡している特徴2に記載の蓋部材。
【0045】
特徴3の蓋部材によれば、工具掛け部が1対の縦壁部の先端部同士を連絡しているので、係止片が強化される。また、工具掛け部に工具を掛けたときの負荷が分散され、工具掛け部が破損しにくくなる。
【0046】
[特徴4]
前記ベース板(11)の外縁より内側から前記通信器具収容部(60)の奥側へ延びた側壁部(12)を有し、
前記ヒンジ突片(20)は、前記側壁部(12)から外方に延びかつ、前記ベース板(11)の裏面と一体になっている特徴1から3の何れか1の特徴に記載の蓋部材。
【0047】
特徴4の蓋部材によれば、ヒンジ突片がベース板の裏面と一体になっているので、ヒンジ突片が強化され、破損しにくくなる。
【0048】
[特徴5]
前記通信器具収容部(60)が前記搬送具(50)の上壁に開口すると共に、前記ヒンジ受容部(61H)が前記内側壁(61)の上端部に開口し、
前記側壁部(12)から外方に突出して前記通信器具収容部(60)の前記内側壁(61)に設けられた蓋支持面(62)に当接し、前記ヒンジ突片(20)が前記ヒンジ受容部(61H)の開口の下側開口縁に当接することを防ぐ支持突部(13)を備える特徴4に記載の蓋部材。
【0049】
特徴5の蓋部材によれば、支持突部が蓋支持面に当接することにより、ヒンジ突片がヒンジ受容部の開口の下側開口縁に当接することが防がれるので、蓋部材を装着するときや、蓋部材上に荷重がかかったとき等に、ヒンジ突片に力がかかりにくくなり、破損することが防がれる。
【0050】
[特徴6]
前記側壁部(12)は、前記通信器具収容部(60)の前記内側壁(61)の内側に嵌合するように延び、
前記ベース板(11)は、前記第2側辺(11B)から外方に延び、その先端から前記係止片(25)が突出した外方延出部(11E)を有し、
前記外方延出部(11E)の裏面から突出し、前記側壁部(12)と前記係止片(25)との間を連絡する連絡部(30)を備える特徴4に記載の蓋部材。
【0051】
特徴6の蓋部材によれば、外方延出部の裏面から側壁部と係止片との間を連絡する連絡部が突出しているので、外方延出部及び係止片が強化され、破損が防がれる。
【0052】
[特徴7]
特徴1に記載の蓋部材(10)と前記搬送具(50)としてのパレット(50)とを有するパレットセット(100)。
【0053】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0054】
10 蓋部材
13 支持突部
20 ヒンジ突片
25 係止片
25K 切欠部
28 係止部
29 工具掛け部
50 パレット
60 通信器具収容部
60A 開口
61 上側内側壁
61H ヒンジ受容孔
65 差し込み口
66 被係止部
100 パレットセット
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図13