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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046527
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】門型洗車機
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
B60S3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151964
(22)【出願日】2022-09-22
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000210595
【氏名又は名称】タケウチビユーテー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 哲修
(72)【発明者】
【氏名】三浦 祐揮
【テーマコード(参考)】
3D026
【Fターム(参考)】
3D026AA03
3D026AA12
3D026AA25
3D026AA34
3D026AA40
3D026AA54
(57)【要約】
【課題】 自動車に対し前後に相対移動可能な門型フレームに設けられて自動車の側面及び前・後端面を洗浄可能な左右のサイドブラシと、門型フレーム上部に左右方向に走行可能に設けられてサイドブラシの回転軸の上部を吊持する左右の走行台車とを備えた門型洗車機において、サイドブラシによる側面洗浄範囲を側面下部まで広範囲に拡げて、高い洗浄効果を発揮可能とし、ロッカブラシが無くてもサイドブラシで自動車の、下方に向かって左右内方側に回り込む側面下部を効果的に洗浄可能とする。
【解決手段】 制御装置Cは、門型フレーム及び自動車の相対移動の一方向又は他方向の相対移動過程でサイドブラシSにより自動車側面Bsの少なくとも前後車輪間をブラシングするときに、サイドブラシの回転軸Jsが下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢S2に置かれるように姿勢制御機構SCを制御する。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(V)を跨ぎ得るよう門型に形成されて自動車(V)に対しその前後方向に相対移動可能な門型フレーム(1)と、前記門型フレーム(1)に設けられて前記相対移動に伴い自動車(V)の側面(Bs)及び前・後端面(Bf,Br)をブラシング可能な左右のサイドブラシ(S)と、その左右のサイドブラシ(S)の回転軸(Js)をそれぞれ回転自在に支持すべく前記門型フレーム(1)の上部に左右方向に走行可能に設けられた左右の走行台車(33)と、前記走行台車(33)に対し、前記回転軸(Js)が下方に向かって左右外方側に傾斜するか又は略垂直に延びた第1姿勢(S1)と前記下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢(S2)との間で姿勢変化し得るように、該回転軸(Js)を前記走行台車(33)に左右方向に傾動可能に吊持する支持機構(P)とを少なくとも備えていて、前記左右のサイドブラシ(S)が前記走行台車(33)に追従して左右方向に開閉移動できるようにした門型洗車機であって、
左右のサイドブラシ(S)の前記回転軸(Js)を前記第2姿勢(S2)に置き得る姿勢制御機構(SC)と、前記姿勢制御機構(SC)を制御可能な制御装置(C)とを備えており、
前記制御装置(C)は、前記相対移動の一方向又は他方向の相対移動過程で左右少なくとも一方のサイドブラシ(S)により自動車(V)の側面(Bs)の少なくとも前後車輪(W)間をブラシングするときに、該左右少なくとも一方のサイドブラシ(S)の前記回転軸(Js)が前記第2姿勢(S2)に置かれるように前記姿勢制御機構(SC)を制御することを特徴とする、門型洗車機。
【請求項2】
自動車(V)を跨ぎ得るよう門型に形成されて自動車(V)に対しその前後方向に相対移動可能な門型フレーム(1)と、前記門型フレーム(1)に設けられて前記相対移動に伴い自動車(V)の側面(Bs)及び前・後端面(Bf,Br)をブラシング可能な左右のサイドブラシ(S)と、その左右のサイドブラシ(S)の回転軸(Js)をそれぞれ回転自在に支持すべく前記門型フレーム(1)の上部に左右方向に走行可能に設けられた左右の走行台車(33)と、前記走行台車(33)に対し、前記回転軸(Js)が下方に向かって左右外方側に傾斜した第1姿勢(S1)と前記下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢(S2)との間で姿勢変化し得るように、該回転軸(Js)を前記走行台車(33)に左右方向に傾動可能に吊持する支持機構(P)とを少なくとも備えていて、前記左右のサイドブラシ(S)が前記走行台車(33)に追従して左右方向に開閉移動できるようにした門型洗車機であって、
左右のサイドブラシ(S)の前記回転軸(Js)を前記第1,第2姿勢(S1,S2)の何れにも置き得る姿勢制御機構(SC)と、前記姿勢制御機構(SC)を制御可能な制御装置(C)とを備え、
前記制御装置(C)は、前記走行台車(33)に対し左右少なくとも一方のサイドブラシ(S)の前記回転軸(Js)が、前記相対移動の一方向の相対移動過程で主として前記第1姿勢(S1)に置かれ、また前記相対移動の他方向の相対移動過程で主として前記第2姿勢(S2)に置かれるように前記姿勢制御機構(SC)を制御することを特徴とする門型洗車機。
【請求項3】
自動車(V)を跨ぎ得るよう門型に形成されて自動車(V)に対しその前後方向に相対移動可能な門型フレーム(1)と、前記門型フレーム(1)に設けられて前記相対移動に伴い自動車(V)の側面(Bs)及び前・後端面(Bf,Br)をブラシング可能な左右のサイドブラシ(S)と、その左右のサイドブラシ(S)の回転軸(Js)をそれぞれ回転自在に支持すべく前記門型フレーム(1)の上部に左右方向に走行可能に設けられた左右の走行台車(33)と、前記走行台車(33)に対し、前記回転軸(Js)が下方に向かって左右外方側に傾斜した第1姿勢(S1)と前記下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢(S2)との間で姿勢変化し得るように、該回転軸(Js)を前記走行台車(33)に左右方向に傾動可能に吊持する支持機構(P)とを少なくとも備えていて、前記左右のサイドブラシ(S)が前記走行台車(33)に追従して左右方向に開閉移動できるようにした門型洗車機であって、
左右のサイドブラシ(S)の前記回転軸(Js)を傾動フリーの状態及び前記第2姿勢(S2)の何れにも置き得る姿勢制御機構(SC)と、前記姿勢制御機構(SC)を制御可能な制御装置(C)とを備え、
前記制御装置(C)は、前記走行台車(33)に対し左右少なくとも一方のサイドブラシ(S)の前記回転軸(Js)が、前記相対移動の一方向の相対移動過程で主として前記傾動フリー状態に置かれ、また前記相対移動の他方向の相対移動過程で主として前記第2姿勢(S2)に置かれるように前記姿勢制御機構(SC)を制御することを特徴とする門型洗車機。
【請求項4】
自動車(V)を跨ぎ得るよう門型に形成されて自動車(V)に対しその前後方向に相対移動可能な門型フレーム(1)と、前記門型フレーム(1)に設けられて前記相対移動に伴い自動車(V)の側面(Bs)及び前・後端面(Bf,Br)をブラシング可能な左右のサイドブラシ(S)と、その左右のサイドブラシ(S)の回転軸(Js)をそれぞれ回転自在に支持すべく前記門型フレーム(1)の上部に左右方向に走行可能に設けられた左右の走行台車(33)と、前記走行台車(33)に対し、前記回転軸(Js)が下方に向かって左右外方側に傾斜した第1姿勢(S1)と前記下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢(S2)との間で姿勢変化し得るように、該回転軸(Js)を前記走行台車(33)に左右方向に傾動可能に吊持する支持機構(P)とを少なくとも備えていて、前記左右のサイドブラシ(S)が前記走行台車(33)に追従して左右方向に開閉移動できるようにした門型洗車機であって、
左右のサイドブラシ(S)の前記回転軸(Js)を傾動フリーの状態及び前記第2姿勢(S2)の何れにも置き得る姿勢制御機構(SC)と、前記姿勢制御機構(SC)を制御可能な制御装置(C)とを備え、
前記制御装置(C)は、前記走行台車(33)に対し左右少なくとも一方のサイドブラシ(S)の前記回転軸(Js)が、前記相対移動の一方向又は他方向の相対移動過程で、通常は前記第2姿勢(S2)に置かれるが、自動車(V)の外形上の所定の特徴の検出又は任意の設定操作に応じて前記傾動フリー状態に置かれるように前記姿勢制御機構(SC)を制御することを特徴とする門型洗車機。
【請求項5】
前記門型フレーム(1)には、自動車(V)の車輪(W)を検知可能な車輪センサ(SEw)が設けられ、
前記制御装置(C)は、前記左右少なくとも一方のサイドブラシ(S)が前記回転軸(Js)の前記第2姿勢(S2)で自動車(V)の側面(Bs)をブラシング中において、該サイドブラシ(S)が前記車輪(W)に対応した位置にあるときは該第2姿勢(S2)を一時中断するように、前記姿勢制御機構(SC)を前記車輪センサ(SEw)の検知結果に基づいて制御することを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の門型洗車機。
【請求項6】
前記走行台車(33)を前記サイドブラシ(S)の開・閉方向にそれぞれに付勢可能な開閉付勢機構(Dk)と、自動車(V)側部の後方視界確保用側方張出部(70)から前後方向に離れた、該自動車(V)の車体特定部位の検出に基づいて、該後方視界確保用側方張出部(70)及びその前後領域を含む所定領域を推定可能な所定領域推定手段(10,C)とを備え、
前記制御装置(C)は、前記サイドブラシ(S)が前記第2姿勢(S2)をとり続けながら自動車(V)の側面(Bs)をブラシングする過程において、該サイドブラシ(S)が自動車(V)の前記後方視界確保用側方張出部(70)側方を通過するときは側面(Bs)後部をブラシングするときよりも、前記第2姿勢(S2)にある前記回転軸(Js)の傾斜角度が大きくなるように、前記所定領域推定手段(10,C)の推定結果に基づいて前記開閉付勢機構(Dk)を制御することを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の門型洗車機。
【請求項7】
前記制御装置(C)は、前記サイドブラシ(S)が自動車(V)の前・後端面(Bf,Br)の左右中央部をブラシングする際は、該サイドブラシ(S)の前記回転軸(Js)を前記第2姿勢(S2)に置くように前記姿勢制御機構(SC)を制御することを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の門型洗車機。
【請求項8】
前記門型フレーム(1)には、前記相対移動に伴い昇降変位して自動車(V)の上面(Bt)をブラシング可能なトップブラシ(T)が、前記サイドブラシ(S)よりも後方寄りに設けられ、
前記トップブラシ(T)は、これが自動車(V)の上面(Bt)を自動車(V)の前から後に向かう方向に相対移動してブラシングする過程では、該トップブラシ(T)が自動車(V)の後端を通り抜けずに該相対移動の移動端に達することを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の門型洗車機。
【請求項9】
前記門型フレーム(1)には、前記相対移動に伴い昇降変位して自動車(V)の上面(Bt)をブラシング可能なトップブラシ(T)が、前記サイドブラシ(S)よりも前方寄りに設けられ、
洗車開始時における前記門型フレーム(1)と自動車(V)との前後方向相対位置は、自動車(V)の前端位置が前記トップブラシ(T)の下方に存するように設定されることを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の門型洗車機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車機、特に自動車を跨ぎ得るよう門型に形成されて自動車に対しその前後方向に相対移動可能な門型フレームと、門型フレームに設けられて前記相対移動に伴い自動車の側面及び前・後端面をブラシング可能な左右のサイドブラシと、門型フレームの上部に左右方向に走行可能にそれぞれ設けられて左右のサイドブラシの回転軸の上部をそれぞれ回転自在に吊持する左右の走行台車とを少なくとも備え、左右のサイドブラシが走行台車に追従して左右方向に開閉移動できるようにした門型洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の門型洗車機では、サイドブラシが自動車の側面を洗浄する時に、左右のサイドブラシの回転軸が正面視でハ字状に(即ち各サイドブラシが下方に向かって左右外方側に)傾斜した傾斜姿勢に置かれる関係で、自動車の側面、特に下方に向かって左右内方側に回り込む側面下部に対するサイドブラシの洗浄効果が十分ではなく、したがって、サイドブラシによる車体側面に対する洗浄範囲を、特に側面下部において十分には確保できなかった。
【0003】
そこで門型フレームには、自動車の側面下部を効率よく洗浄するためのロッカブラシが、サイドブラシとは別個に設けられていた(例えば、下記特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-30394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが従来の門型洗車機では、サイドブラシとは別個独立したロッカブラシを特設することでコスト増となっており、しかも門型フレーム内にサイドブラシとロッカブラシとを前後方向でずらした位置に配設する必要があるため、それだけ洗車機が前後方向に大型化し、それだけ広い設置スペースを必要としていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、ロッカブラシを用いなくても、サイドブラシによる車体側面に対する洗浄範囲を側面下部まで十分に拡げて高い洗浄効果が得られるようにし、従来の洗車機の上記問題を解決可能とした門型洗車機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、自動車を跨ぎ得るよう門型に形成されて自動車に対しその前後方向に相対移動可能な門型フレームと、前記門型フレームに設けられて前記相対移動に伴い自動車の側面及び前・後端面をブラシング可能な左右のサイドブラシと、その左右のサイドブラシの回転軸をそれぞれ回転自在に支持すべく前記門型フレームの上部に左右方向に走行可能に設けられた左右の走行台車と、前記走行台車に対し、前記回転軸が下方に向かって左右外方側に傾斜するか又は略垂直に延びた第1姿勢と前記下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢との間で姿勢変化し得るように、該回転軸を前記走行台車に左右方向に傾動可能に吊持する支持機構とを少なくとも備えていて、前記左右のサイドブラシが前記走行台車に追従して左右方向に開閉移動できるようにした門型洗車機であって、左右のサイドブラシの前記回転軸を前記第2姿勢に置き得る姿勢制御機構と、前記姿勢制御機構を制御可能な制御装置とを備えており、前記制御装置は、前記相対移動の一方向又は他方向の相対移動過程で左右少なくとも一方のサイドブラシにより自動車の側面の少なくとも前後車輪間をブラシングするときに、該左右少なくとも一方のサイドブラシの前記回転軸が前記第2姿勢に置かれるように前記姿勢制御機構を制御することを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、自動車を跨ぎ得るよう門型に形成されて自動車に対しその前後方向に相対移動可能な門型フレームと、前記門型フレームに設けられて前記相対移動に伴い自動車の側面及び前・後端面をブラシング可能な左右のサイドブラシと、その左右のサイドブラシの回転軸をそれぞれ回転自在に支持すべく前記門型フレームの上部に左右方向に走行可能に設けられた左右の走行台車と、前記走行台車に対し、前記回転軸が下方に向かって左右外方側に傾斜した第1姿勢と前記下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢との間で姿勢変化し得るように、該回転軸を前記走行台車に左右方向に傾動可能に吊持する支持機構とを少なくとも備えていて、前記左右のサイドブラシが前記走行台車に追従して左右方向に開閉移動できるようにした門型洗車機であって、左右のサイドブラシの前記回転軸を前記第1,第2姿勢の何れにも置き得る姿勢制御機構と、前記姿勢制御機構を制御可能な制御装置とを備え、前記制御装置は、前記走行台車に対し左右少なくとも一方のサイドブラシの前記回転軸が、前記相対移動の一方向の相対移動過程で主として前記第1姿勢に置かれ、また前記相対移動の他方向の相対移動過程で主として前記第2姿勢に置かれるように前記姿勢制御機構を制御することを第2の特徴とする。
【0009】
また本発明は、自動車を跨ぎ得るよう門型に形成されて自動車に対しその前後方向に相対移動可能な門型フレームと、前記門型フレームに設けられて前記相対移動に伴い自動車の側面及び前・後端面をブラシング可能な左右のサイドブラシと、その左右のサイドブラシの回転軸をそれぞれ回転自在に支持すべく前記門型フレームの上部に左右方向に走行可能に設けられた左右の走行台車と、前記走行台車に対し、前記回転軸が下方に向かって左右外方側に傾斜した第1姿勢と前記下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢との間で姿勢変化し得るように、該回転軸を前記走行台車に左右方向に傾動可能に吊持する支持機構とを少なくとも備えていて、前記左右のサイドブラシが前記走行台車に追従して左右方向に開閉移動できるようにした門型洗車機であって、左右のサイドブラシの前記回転軸を傾動フリーの状態及び前記第2姿勢の何れにも置き得る姿勢制御機構と、前記姿勢制御機構を制御可能な制御装置とを備え、前記制御装置は、前記走行台車に対し左右少なくとも一方のサイドブラシの前記回転軸が、前記相対移動の一方向の相対移動過程で主として前記傾動フリー状態に置かれ、また前記相対移動の他方向の相対移動過程で主として前記第2姿勢に置かれるように前記姿勢制御機構を制御することを第3の特徴とする。
【0010】
また本発明は、自動車を跨ぎ得るよう門型に形成されて自動車に対しその前後方向に相対移動可能な門型フレームと、前記門型フレームに設けられて前記相対移動に伴い自動車の側面及び前・後端面をブラシング可能な左右のサイドブラシと、その左右のサイドブラシの回転軸をそれぞれ回転自在に支持すべく前記門型フレームの上部に左右方向に走行可能に設けられた左右の走行台車と、前記走行台車に対し、前記回転軸が下方に向かって左右外方側に傾斜した第1姿勢と前記下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢との間で姿勢変化し得るように、該回転軸を前記走行台車に左右方向に傾動可能に吊持する支持機構とを少なくとも備えていて、前記左右のサイドブラシが前記走行台車に追従して左右方向に開閉移動できるようにした門型洗車機であって、左右のサイドブラシの前記回転軸を傾動フリーの状態及び前記第2姿勢の何れにも置き得る姿勢制御機構と、前記姿勢制御機構を制御可能な制御装置とを備え、前記制御装置は、前記走行台車に対し左右少なくとも一方のサイドブラシの前記回転軸が、前記相対移動の一方向の相対移動過程で、通常は前記第2姿勢に置かれるが、自動車の外形上の所定の特徴の検出又は任意の設定操作に応じて前記傾動フリー状態に置かれるように前記姿勢制御機構を制御することを第4の特徴とする。
【0011】
また本発明は、第1~第4の何れかの特徴に加えて、前記門型フレームには、自動車の車輪を検知可能な車輪センサが設けられ、前記制御装置は、前記左右少なくとも一方のサイドブラシが前記回転軸の前記第2姿勢で自動車の側面をブラシング中において、該サイドブラシが前記車に対応した位置にあるときは該第2姿勢を一時中断するように、前記姿勢制御機構を前記車輪センサの検知結果に基づいて制御することを第5の特徴とする。
【0012】
また本発明は、第1~第4の何れかの特徴に加えて、前記走行台車を前記サイドブラシの開・閉方向にそれぞれに付勢可能な開閉付勢機構と、自動車側部の後方視界確保用側方張出部から前後方向に離れた、該自動車の車体特定部位の検出に基づいて、該後方視界確保用側方張出部及びその前後領域を含む所定領域を推定可能な所定領域推定手段とを備え、前記制御装置は、前記サイドブラシが前記第2姿勢をとり続けながら自動車の側面をブラシングする過程において、該サイドブラシが自動車の前記後方視界確保用側方張出部側方を通過するときは側面後部をブラシングするときよりも、前記第2姿勢にある前記回転軸の傾斜角度が大きくなるように、前記所定領域推定手段の推定結果に基づいて前記開閉付勢機構を制御することを第6の特徴とする。
【0013】
また本発明は、第1~第4の何れかの特徴に加えて、前記制御装置は、前記サイドブラシが自動車の前・後端面の左右中央部をブラシングする際は、該サイドブラシの前記回転軸を前記第2姿勢に置くように前記姿勢制御機構を制御することを第7の特徴とする。
【0014】
また本発明は、第1~第4の何れかの特徴に加えて、前記門型フレームには、前記相対移動に伴い昇降変位して自動車の上面をブラシング可能なトップブラシが、前記サイドブラシよりも後方寄りに設けられ、前記トップブラシは、これが自動車の上面を自動車の前から後に向かう方向に相対移動してブラシングする過程では、該トップブラシが自動車の後端を通り抜けずに該相対移動の移動端に達することを第8の特徴とする。
【0015】
また本発明は、第1~第4の何れかの特徴に加えて、前記門型フレームには、前記相対移動に伴い昇降変位して自動車の上面をブラシング可能なトップブラシが、前記サイドブラシよりも前方寄りに設けられ、洗車開始時における前記門型フレームと自動車との前後方向相対位置は、自動車の前端位置が前記トップブラシの下方に存するように設定されることを第9の特徴とする。
【0016】
本発明の第2の特徴において、「・・相対移動過程で主として第1姿勢に置かれ」とは、当該相対移動過程での相対移動ストロークの半分以上に亘る領域で第1姿勢に置かれ、という意味であり、また「・・相対移動過程で主として第2姿勢に置かれ」とは、当該相対移動過程での相対移動ストロークの半分以上に亘る領域で第2姿勢に置かれ、という意味である。
【0017】
また本発明の第3の特徴において、「・・相対移動過程で主として傾動フリーの状態に置かれ」とは、当該相対移動過程での相対移動ストロークの半分以上に亘る領域で傾動フリーの状態に置かれ、という意味であり、また「・・相対移動過程で主として第2姿勢に置かれ」とは、当該相対移動過程での相対移動ストロークの半分以上に亘る領域で第2姿勢に置かれ、という意味である。
【0018】
また本発明の第3・第4の各特徴において、「傾動フリーの状態」とは、サイドブラシの回転軸に対しこれに傾動制御力が作用せず、従って、サイドブラシ及び当該回転軸が自由状態にあるときには基本的に重力の作用で回転軸が安定した略鉛直姿勢に保たれ得るような状態をいう。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の特徴によれば、門型洗車機において、門型フレーム及び自動車の相対移動の一方向又は他方向の相対移動過程で左右少なくとも一方のサイドブラシにより自動車の側面の少なくとも前後車輪間をブラシングするときに、その左右少なくとも一方のサイドブラシの回転軸が下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢に置かれることで、サイドブラシによる側面洗浄範囲を側面下部まで広範囲に拡げて、高い洗浄効果を発揮できる。これにより、ロッカブラシが無くても、第2姿勢に置かれた左右少なくとも一方のサイドブラシで自動車の、特に下方に向かって左右内方側に回り込む側面下部を効果的に洗浄できるため、ロッカブラシが省略可能となってコスト節減に寄与することができ、しかもロッカブラシの省略により門型フレーム延いては洗車機を前後方向に小型化できるため、洗車機の設置スペースも狭くでき、洗車機を設置する上でのスペース上の制約を減らせることができる。
【0020】
また第2の特徴によれば、走行台車に対し左右少なくとも一方のサイドブラシの回転軸が、前記相対移動の一方向の相対移動過程で主として第1姿勢に置かれ、またその他方向の相対移動過程で主として第2姿勢に置かれる。これにより、サイドブラシは、これの回転軸が下方に向かって左右外方側に傾斜した第1姿勢にあるときは、自動車(例えば低車高車)の上方内向きに傾斜した側面上部をサイドブラシで効率よく洗浄でき、一方、同回転軸が下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢にあるときは、自動車の下方に向かって左右内方側に回り込む側面下部をサイドブラシで(即ちロッカブラシに依らずとも)効率よく洗浄でき、そのため、サイドブラシによる側面洗浄範囲を側面下部まで広範囲に拡げて、高い洗浄効果を発揮できる。しかもサイドブラシの回転軸は、門型フレームの往行時と復行時で第1,第2姿勢の何れか一方から他方に単に切替え制御するだけで足り、従って、姿勢制御の単純・簡素化を図りながら、自動車の側面をサイドブラシで満遍なく迅速且つ的確に洗浄可能となる。
【0021】
また第3の特徴によれば、走行台車に対し左右少なくとも一方のサイドブラシの回転軸が、前記相対移動の一方向の相対移動過程で主として傾動フリーの状態に置かれ、またその他方向の相対移動過程で主として第2姿勢に置かれる。これにより、サイドブラシは、これの回転軸が傾動フリー状態にあるときは、自動車(例えば中・高車高車)の側面上部が上方内向きに傾斜するか又は略鉛直である場合でも、その側面上部に対し傾動フリーのサイドブラシが無理なく適度に接触して的確に洗浄でき、一方、同回転軸が下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢にあるときは、自動車の下方に向かって左右内方側に回り込む側面下部をサイドブラシで(即ちロッカブラシに依らずとも)効率よく洗浄でき、そのため、サイドブラシによる側面洗浄範囲を側面下部まで広範囲に拡げて、高い洗浄効果を発揮できる。
【0022】
また第4の特徴によれば、走行台車に対し左右少なくとも一方のサイドブラシの回転軸が、前記相対移動の一方向又は他方向の相対移動過程で、通常は第2姿勢に置かれる(従って前記第1~第3の特徴における第2姿勢の効果と同様の効果が発揮される)が、自動車の外形上の所定の特徴の検出又は任意の設定操作に応じて傾動フリー状態に置かれる。これにより、例えば自動車のフロアが高くて上記第2姿勢ではサイドブラシ下部がフロア下部に深めに入って引っ掛かる虞れがある場合や、サイドドア直下にサイドステップ等の側方張出し部が在って上記第2姿勢ではサイドブラシが側方張出し部と強く当たることで早期に消耗する虞れがある場合には、当該自動車の外形上の特徴(例えばフロア高、側方張出し部等)の検出又は任意の設定操作に応じて傾動フリー状態に置くことで、上記虞れを無くすことができる。
【0023】
また第5の特徴によれば、制御装置は、サイドブラシがこれの回転軸の第2姿勢で自動車の側面を洗浄中において、サイドブラシが車輪に対応した位置にあるときは第2姿勢を一時中断するように、姿勢制御機構を車輪センサの検知結果に基づいて制御するので、サイドブラシは、これの回転軸が下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢のまま車輪やタイヤハウスを洗浄する場合にはブラシ下部が車輪やタイヤハウスとが引っ掛かり易くなるところ、その引っ掛かりリスクを、第2姿勢の上記一時中断効果によって低減可能となる。
【0024】
また第6の特徴によれば、自動車側部の後方視界確保用側方張出部から前後方向に離れた車体特定部位の検出に基づいて、該後方視界確保用側方張出部及びその前後領域を含む所定領域を推定可能な所定領域推定手段を備え、サイドブラシが、下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢をとり続けながら車体側面をブラシングする過程において、サイドブラシが自動車の後方視界確保用側方張出部側方を通過するときは側面後部をブラシングするときよりも、第2姿勢にある回転軸の傾斜角度が大きくなるように、所定領域推定手段の推定結果に基づいて走行台車の開閉付勢機構が制御される。これにより、サイドブラシが自動車の後方視界確保用側方張出部側方を通過するときは、下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢にある回転軸の傾斜角度を途中から増大変化させることで、サイドブラシが後方視界確保用側方張出部に強く当たることが回避されるため、後方視界確保用側方張出部の破損防止に有効である。
【0025】
また第7の特徴によれば、制御装置は、サイドブラシが自動車の前・後端面の左右中央部を洗浄する際は、サイドブラシの回転軸が第2姿勢をとるように姿勢制御機構を制御する。これにより、左右のサイドブラシで車体端面を洗浄する場合に、特に下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢とすることで車体端面の左右中央部を両サイドブラシで十分に洗浄できるため、その端面中央部の洗い残しを効果的に低減可能となる。
【0026】
また第8の特徴によれば、門型フレームにはトップブラシがサイドブラシよりも後方寄りに設けられ、トップブラシは、これが自動車の上面を自動車の前から後に向かう方向に相対移動してブラシングする過程では、トップブラシが自動車の後端を通り抜けずに該相対移動の移動端に達する。これにより、門型フレーム及び自動車の相対移動に要する全ストローク長を短縮できるため、前述の如くロッカブラシの省略により洗車機を前後方向に小型化できる効果と相俟って、洗車機の設置スペースの更なるコンパクト化に寄与することができる。
【0027】
また第9の特徴によれば、門型フレームには、トップブラシがサイドブラシよりも前方寄りに設けられ、洗車開始時における門型フレームと自動車との前後方向相対位置は、自動車の前端位置が前記トップブラシの下方に存するように設定される。これにより、トップブラシがサイドブラシよりも前方寄りに配置されていても、前記相対移動に要する全ストローク長を短縮できるため、第8の特徴による効果と同等の効果を達成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態に係る洗車機の概略を示す全体側面図
図2】前記洗車機をその前方から見た要部正面図(但しサイドブラシを開閉駆動するための第2エアシリンダ及びこれに連係するリンク機構は図示を省略)
図3図2の3X矢視部を、案内レールの中間部を省略して示す拡大正面図
図4図3の4X-4X線断面図
図5図3の5X矢視より見た平面図
図6】サイドブラシ用開閉駆動機構の全容を示す平面図(図2の6X矢視図)
図7】第1,第2エアシリンダへのエア供給系統の一例を示すエア配管図
図8】サイドブラシの回転軸を姿勢変化させる姿勢制御機構の要部の動きを示す要部拡大正面図であって、(a)は傾動フリー状態(鎖線示)からハ字状の第1姿勢(実線示)に姿勢変化させた状態を示し、また(b)は傾動フリー状態(鎖線示)から逆ハ字状の第2姿勢(実線示)に姿勢変化させた状態を示す
図9】サイドブラシで車体側面をブラシング洗浄中の自動車の平面図及び前面図であって、(a)はサイドブラシの回転軸がハ字状の第1姿勢にある状態を示し、また(b)は逆ハ字状の第2姿勢にある状態を示す
図10】門型フレームの第1往行・第1復行の各過程でトップブラシが自動車の上面をブラシング洗浄する際の移動軌跡の一例を示す側面図
図11】自動車が低車高車である場合(制御例1)の第1往行過程におけるサイドブラシ及び回転軸の移動軌跡の一例を示す平面図
図12】自動車が低車高車である場合(制御例1)の第1復行過程におけるサイドブラシ及び回転軸の移動軌跡の一例を示す平面図
図13】自動車が中車高車である場合(制御例2)の第1往行過程におけるサイドブラシ及び回転軸の移動軌跡の一例を示す平面図
図14】自動車が中車高車である場合(制御例2)の第1復行過程におけるサイドブラシ及び回転軸の移動軌跡の一例を示す平面図
図15】自動車が低車高車である場合であって、特に車輪等回避動作が選択されて制御例4が実行される場合の第1復行過程におけるサイドブラシ及び回転軸の移動軌跡の一例を示す平面図
図16】第2実施形態に係る門型フレームの第1往行・第1復行の各過程でトップブラシが自動車の上面をブラシング洗浄する際の移動軌跡の一例を示す側面図(図10対応図)
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の第1実施形態を、図1図15を参照して、以下に具体的に説明する。
【0030】
図1図2において、洗車機Aの洗車機本体を構成する門型フレーム1は、洗浄すべき自動車Vを跨ぐようにしてその前後方向に相対移動可能な門型形状に形成され、その門型フレーム1の前端面1f側の開口が、自動車Vが進入可能な入口となる。門型フレーム1の左右両側部の下部には、前後・左右各一対の車輪3,4がそれぞれ回転自在に軸支されており、それら車輪3,4は、洗車機Aの設置面E上に敷設した左右一対の走行レール2,2上を転動可能である。
【0031】
そして、前後一方の左右の車輪4,4には、走行モータ5(図2参照)が減速機構を介して連動連結されており、この走行モータ5を駆動することで、門型フレーム1を走行レール2,2上を往復走行させることができる。尚、図10でも明らかなように、門型フレーム1の往行端1B及び復行端1Sは、走行レール2の両端近傍に固設したストッパで規制される。
【0032】
而して、走行レール2、車輪3,4、走行モータ5及び減速機構は、互いに協働して門型フレーム1及び自動車Vを前後方向に相対移動させる相対移動手段Dmを構成する。尚、洗車機Aの前後方向と自動車Vの前後方向とは逆の関係であって、例えば洗車機Aの前方側は自動車Vの後方側となる。
【0033】
実施形態の洗車機Aは、門型フレーム1が図1に示す復行端1Sに在るときに、門型フレーム1の後端面1rが設置面Eに固定の起立壁6に対向、近接した配置となっており、従って、洗車が終了した自動車Vは、後退走行して洗車機A外に退出する。尚、起立壁6は、洗車機Aの設置場所の状況に応じて設けられる。
【0034】
ところで洗車機Aの基本的な洗車工程は、後述するように、図10において門型フレーム1が復行端1Sに待機し且つ自動車Vがその前端部を門型フレーム1内に所定量進入させた被洗車位置に停止した状態より開始され、その開始後、門型フレーム1が往行端1Bと復行端1Sとの間で少なくとも2往復走行して復行端1Sに戻ったときに終了する。而して、基本的な洗車工程では、自動車Vの車体面に対し、門型フレーム1の第1往行(前進)過程と第1復行(後退)過程でブラシング洗浄工程が実行され、次いで第2往行(再前進)過程でリンス工程が実行され、更に第2復行(再後退)過程で乾燥工程が実行される。
【0035】
尚、2往復走行は必須ではなく、例えば1往復走行での洗車工程も可能ではあるが、洗浄効果を高める上では、2往復走行が有利となる。
【0036】
また洗車機Aの設置面Eには、起立壁6に近接した位置に在って復行端1Sの門型フレーム1内に一部が受容されるタンク付き外部配管ユニットUが設置、固定される。この外部配管ユニットU内には、図示は省略するが例えば水タンクやエアポンプが収納され、一方、洗車用の複数の薬液タンク群90(例えば洗剤タンク、コーティング剤タンク等)と、これらタンク内の洗浄液(例えば洗剤、コーティング剤等)を門型フレーム1に固定の噴射管群に圧送する電動ポンプと、洗剤及びコーティング剤を必要に応じて泡状化する装置(例えばエゼクタ等)と、それら機器と連係する水/洗浄液/エア給排制御装置100とが門型フレーム1内に配備される。
【0037】
尚、外部配管ユニットUと門型フレーム1内とは、図示しない従来周知のポール等の接続手段を介して接続される。
【0038】
そして、この実施形態のように、復行端1Sの門型フレーム1内と起立壁6近傍とに跨がる設置面Eのデッドスペースを活用して外部配管ユニットUが配備されることで、洗車スペースのコンパクト化が図られる。
【0039】
また門型フレーム1の適所、例えば前面又は側面には、顧客又は作業員が種々の受付操作(例えば処理コースの選択操作や料金支払い操作、選択コースの実行指示等)を行うための受付操作部を外面に有する操作盤80(例えば液晶パネル、図2参照)が設けられており、この操作盤80は、門型フレーム1内に収納した制御装置Cと接続される。
【0040】
この制御装置Cは、マイクロコンピュータを含む電子制御ユニットを主要部とするものであって、これには、洗車機Aに装備した各種洗車用機器に連係するアクチュエータ類やセンサ類、走行モータ5、各種制御弁、前記受付操作部等が接続される。そして、制御装置Cは、操作盤80への受付操作入力と、センサ類の検出結果と、予め記憶した制御プログラムとに基づいて洗車機Aの上記アクチュエータ類を作動制御して、受付けた洗車処理モードを実行する。
【0041】
尚、門型フレーム1の往行端1B(図10参照)よりも前方側の設置面Eには、図示はしないが、開閉可能な遮断機と受付機が必要に応じて設置されてもよい。この受付機は、門型フレーム1に設けた操作盤80と同様の受付操作が可能な操作盤を有する。
【0042】
ところで門型フレーム1の下部と設置面Eとの間には、門型フレーム1が図1に例示した復行端1S及び往行端1Bにあることを検出可能な不図示の位置検出手段が設けられ、この位置検出手段の検出信号は制御装置Cに送られる。
【0043】
また少なくとも一方の走行モータ5の出力軸には、その出力軸の回転量(延いては門型フレーム1の走行量)を検出可能なロータリエンコーダ8(図2参照)が接続される。そして、このロータリエンコーダ8及び前記位置検出手段の各検出結果に基づいて制御装置Cは、例えば復行端1Sを基準としてそこからロータリエンコーダ8の出力パルスを前進加算したり、後進減算することで門型フレーム1の走行位置を検出可能である。尚、門型フレーム1の走行位置は、復行端1Sからの前進量と、往行端1Bからの後退量とによっても検出可能である。
【0044】
門型フレーム1の前端面1f寄りの内部には、自動車Vの車体上面形状(即ち車形)を検出可能な車形検出装置としての多軸センサ10が配備される。この多軸センサ10は、同一高さで左右に対向配置した発光器及び受光器の組より成る光電センサ11が、門型フレーム1の左右両側部に上下に等間隔で多数組、配置されて構成される。而して、この多軸センサ10の検出結果や、前記ロータリエンコーダ8の検出結果等に基づいて、制御装置Cは、自動車Vの前後端位置は元より、車形(より具体的にはボンネット面形状やルーフ面形状等)や車種、車高の高低等を検出可能である。
【0045】
また門型フレーム1の前端面1f寄りの下部には、自動車Vの車輪Wを検出可能な車輪検出装置としての車輪センサSEwが配備される。この車輪センサSEwは、同一高さで左右に対向配置した発光器及び受光器の組より成る1組の光電センサ12が、門型フレーム1の底部より下向きに突設した左右一対の支持枠13に高さ調節可能に取付、固定されて構成される。而して、光電センサ12は、これの発光器から受光器に向かう光が車輪W(例えばタイヤ)で遮光されることで車輪W(より具体的には光電センサ12の設置レベルにおける車輪前後幅)を検知可能であり、その検知信号も制御装置Cに送られる。
【0046】
そして、この光電センサ12の検出結果や、前記ロータリエンコーダ8の検出結果(即ち門型フレーム1の走行位置)等に基づいて、制御装置Cは、自動車Vの前後の車輪Wの前後方向位置(例えば、後述する制御例4においてサイドブラシSの回転軸Jsを正面視で逆ハ字状とする制御を一時中断すべき走行区間)を検出可能である。
【0047】
さらに門型フレーム1の左右側部には、門型フレーム1の前端面1f寄りで且つ多軸センサ10よりも後方側において、自動車Vの前端部を検出可能な前端検出装置としての前端センサSEfが、車両前端を検出可能な高さ位置に配備される。この前端センサSEfは、同一高さで左右に対向配置した発光器及び受光器の組より成る1組の光電センサ14が、門型フレーム1の左右側部に固定されて構成される。
【0048】
而して、光電センサ14は、これの発光器から受光器に向かう光が自動車Vの前端部で遮光されることで、洗車すべき自動車Vの前端が、復行端1Sで待機する門型フレーム1に対する被洗車位置を通り過ぎたことを検知可能(図10を参照)であり、その検知信号も制御装置Cに送られる。
【0049】
そして、洗車前の自動車Vを門型フレーム1の前面入口に向かって前進させる過程で、多軸センサ10が自動車Vの前端部を検出すると、その検出に応じて門型フレーム1の前端面1fの表示装置(実施形態では操作盤80)が報知作動して、自動車Vが被洗車位置に達したこと(第1の報知)をドライバーに知らせる。また前端センサSEfが自動車Vの前端を検出すると、その検出に応じて上記表示装置(実施形態では操作盤80)が報知作動して、自動車Vが被洗車位置を通りすぎたこと(第2の報知)をドライバーに知らせ、これにより、自動車Vの後退操作を促す。かくして、ドライバーは、上記第1の報知を認識すると、自動車Vを直ちに停車させて、自動車Vから降車する。
【0050】
尚、そのような表示装置に加えて、又は代えて、報知ブザー又はアナウンスにより、自動車Vが被洗車位置に達したことをドライバーに知らせるようにしてもよい。
【0051】
門型フレーム1内には、自動車Vの車体面をブラシング洗浄し得る洗車ブラシ群が配設される。その洗車ブラシ群には、自動車Vの上面Bt及び前・後端面Bf,Brの一部をブラシング洗浄し得るトップブラシTと、自動車Vの左右側面Bs及び前・後端面Bf,Brをそれぞれブラシング洗浄し得る左右一対のサイドブラシSとが含まれるが、自動車Vの側面Bs下部のみを専らブラシング洗浄するロッカブラシの設置は省略される。
【0052】
図1でも明らかなように、サイドブラシSは、門型フレーム1内の前後中央部或いはやや後方側の中間部に配置され、一方、トップブラシTは、門型フレーム1内の後端部(従ってサイドブラシSから見て洗車機Aの後方寄り)に配置される。サイドブラシSの回転軸Jsの門型フレーム1への支持構造は、本発明の技術的特徴と関係するため、その具体的説明は後ほど詳述する。
【0053】
一方、トップブラシTの回転軸Jtは、門型フレーム1の左右両側部に昇降駆動装置16を介して昇降駆動可能に設けられると共に、不図示の回転駆動装置により回転駆動される。それら昇降駆動装置16及び回転駆動装置は、洗車機において何れも従来周知であるので、機構の具体的な図示は省略する。
【0054】
尚、上記昇降駆動装置16は、門型フレーム1に固定されて鉛直方向に延びる左右の昇降案内支柱に沿ってトップブラシTの回転軸Jtを昇降駆動可能とした第1タイプ、或いは門型フレーム1に軸支されて上下揺動可能な揺動腕を介してトップブラシTの回転軸Jtを昇降揺動可能とした第2タイプの何れであってもよく、またその両タイプを組み合わせたタイプであってもよい。そして、その何れのタイプも、洗車機において従来周知である。
【0055】
而して、トップブラシTは、図10に例示したように、門型フレーム1の走行(特に後述する第1往行及び第1復行)に伴い昇降変位して自動車Vの上面Btをブラシング洗浄可能である。この場合、門型フレーム1が第1往行過程で往行端1Bに達して反転復行する際に、自動車Vの前後長が所定長さ以上である場合には図10で明らかなように、トップブラシTが自動車Vの後端を通り抜けずに門型フレーム1が反転復行するように、門型フレーム1の往復ストロークが設定される。ここで上記所定長さとは、例えば、門型フレーム1の前後方向ストローク長さから、ブラシ配置領域長さ(実施形態ではトップブラシT及びサイドブラシSが前後方向に連続配置される関係で、その両ブラシT,Sの回転時の大きさを合算した長さとする)を減じた長さに設定される。
【0056】
尚、車体前後長が上記所定長さよりも短い自動車Vの場合でも、トップブラシTが自動車Vの後端を通り抜けずに門型フレーム1が反転復行するように制御することも可能である。この場合は、例えば多軸センサ10で測定した車長に所定距離を加算した値に基づいて門型フレーム1の往行端1B(復行開始位置)を設定し、その設定された往行端1Bで門型フレーム1を反転走行させれば、トップブラシTを、車長の短い自動車Vの後端を通り抜けずに反転走行させることができる。
【0057】
また、門型フレーム1の上部には、トップブラシT及びサイドブラシSの近くで自動車Vの上面Btに対し液状洗剤を噴射可能な上部洗剤噴射管21と、前記上面Btに対しリンス水・コーティング剤・泡洗剤を各々噴射可能なリンス水噴射管22・上部コーティング剤噴射管23・上部泡洗剤噴射管24と、前記上面Btに対し乾燥用空気を噴射可能なトップノズルNtとが設けられる。
【0058】
一方、門型フレーム1の左右側部には、サイドブラシSの近くで自動車Vの側面Bsに対し液状洗剤を噴射可能な側部洗剤噴射管26と、サイドブラシSよりも前方側で前記側面Bsに対し泡洗剤・コーティング剤を各々噴射可能な側部泡洗剤噴射管27・側部コーティング剤噴射管28と、前記側面Bsに対し乾燥用空気を噴射可能なサイドノズルNsとが設けられる。
【0059】
またトップノズルNt及びサイドノズルNs内には、門型フレーム1内に搭載した不図示のブロアより乾燥用空気がダクトを経て圧送可能である。またリンス水噴射管22には、前記した外部配管ユニットU内の水タンクからの清水が、門型フレーム1内のポンプで圧送可能であり、また上部・側部洗剤噴射管21,26には、門型フレーム1内の薬液タンク90からの液体洗剤が門型フレーム1内のポンプで圧送可能である。また上部・側部泡洗剤噴射管24,27には、門型フレーム1内の薬液タンク90からの洗剤が、エアポンプAPからの加圧エア及びエゼクタで泡状化されてポンプ圧送可能であり、また上部・側部コーティング剤噴射管23,28には、門型フレーム1内の薬液タンク90内からのコーティング剤が、エアポンプAPからの加圧エア及びエゼクタで泡状化されてポンプ圧送可能である。
【0060】
次に図3図6を併せて参照して、サイドブラシSの回転軸Jsの門型フレーム1における支持構造の一例を説明する。
【0061】
門型フレーム1の上部には、左右方向に直線状に延びる案内レール30が配置され、この案内レール30は、前後方向に扁平で且つ左右方向に長い帯板状のレール本体31と、レール本体31の左右両端にそれぞれ一体に突設されたレール軸部32とを備える。そのレール本体31の上部には、横断面山型の上部レール31uが上向きに設けられ、またレール本体31の下部には、横断面長方形状の下部レール31bが下向きに設けられる。そして、案内レール30は、門型フレーム1の上部にそれぞれ固定の左右の軸受Beに左右のレール軸部32をそれぞれ回転自在に嵌合支持させることで、レール軸部32の軸線回りに回動可能として門型フレーム1の左右上部に軸支される。
【0062】
案内レール30には、その長手方向に往復走行可能として左右一対の走行台車33が離脱不能に支持される。即ち、走行台車33には、これの上部において、山型をなす上部レール31uに転動可能な複数の上部転動輪33aが軸支され、また走行台車33の下部において、下部レール31bの両側面及び下端面に転動可能な複数の下部転動輪33bが軸支されている。
【0063】
ところで左右の走行台車33には、サイドブラシSの回転軸Jsを回転自在に支持する角筒状の回転軸ホルダ37が、左右方向に揺動可能に軸支される。その軸支構造を次に具体的に説明する。
【0064】
即ち、走行台車33の前側壁には、上下方向に延びる回転軸ホルダ37の一側方において、先部が前方に延びる傾動支軸36の基端部が固着(例えば螺着、溶接等)される。この傾動支軸36の中間部は、回転軸ホルダ37の中間部外面に固定(例えばネジ止め、溶接等)されて左右一側方に張出す軸受枠39に、軸受部39bを介して回動可能に嵌挿される。これにより、走行台車33には、回転軸ホルダ37(従ってサイドブラシSの回転軸Js)が、傾動支軸36、軸受部39b及び軸受枠39を介して傾動支軸36の軸線回りに左右方向に傾動可能に支持される。
【0065】
さらに走行台車33の前側壁には、軸受枠39の一部を収容する中空ボックス状の支持枠35の後壁が固着(例えばネジ止め、溶接等)される。この支持枠35の前壁及び後壁は、軸受枠39をそれの前後から摺動回転可能に挟持しており、且つ傾動支軸36の先部及び基部をそれぞれ回転自在に嵌合、支持している。尚、支持枠35の前壁には、これの外面に重なり且つ傾動支軸36の先部半周を回転不能且つ抜け出し不能に係合、支持する補強板35aが着脱可能に固定(例えばボルト止め)される。
【0066】
また回転軸ホルダ37は、サイドブラシSの回転軸Jsが縦通する中空部を有しており、回転軸ホルダ37には、そのホルダ37内に設けた軸受部37b(図3参照)を介して、サイドブラシSの回転軸Jsの上部が回転自在に且つ軸方向移動不能に支持される。そして、回転軸ホルダ37より下方に長く延出する回転軸Jsには、布材(例えば不織布、綿布等)又はブラシ材(例えば化学繊維、植物繊維、動物繊維、スポンジ等の合成樹脂フォーム材等)よりなるサイドブラシ本体34の基部がそれぞれ固定されていて、回転軸Jsと一体的に回転できるようになっている。
【0067】
而して、上記した傾動支軸36、軸受枠39、支持枠35及び回転軸ホルダ37は、互いに協働して本発明の支持機構Pを構成する。即ち、支持機構Pは、走行台車33に対しサイドブラシSの回転軸Jsを、それらが洗車機Aの正面視でハ字状をなす第1姿勢S1(図8及び図9の(a)を参照)と同正面視で逆ハ字状をなす第2姿勢S2(図8及び図9の(b)を参照)との間を、略鉛直のフリー姿勢Sv(図8の鎖線参照)を経て姿勢変化(即ち左右揺動)し得るように吊持する。
【0068】
尚、本明細書の以下の説明においては、サイドブラシSの回転軸Jsの第1,第2姿勢S1,S2に関して単に「ハ字状」「逆ハ字状」と表記する場合には、「正面視でハ字状」「正面視で逆ハ字状」という意味で使用するが、「正面視」という表記は便宜上省略する。
【0069】
また各々の回転軸ホルダ37の上部にはモータベース38が固定され、そのモータベース38上には、サイドブラシ回転用モータMsが装着される。そのモータMsの出力軸は、チェン伝動機構を介して回転軸Jsの上部に連動連結される。そのモータMsの作動によって、左右のサイドブラシSが互いに反対方向に回転駆動される。
【0070】
各走行台車33とモータベース38との間には、回転軸ホルダ37がサイドブラシSの回転軸Jsをハ字状に傾動させるときの傾動限界(即ち第1姿勢S1の最大傾斜角θ1)を規定する第1ストッパ機構41と、回転軸ホルダ37が回転軸Jsを逆ハ字状に傾動させるときの傾動限界(即ち第2姿勢S2の最大傾斜角θ2)を規定する第2ストッパ機構42と、回転軸ホルダ37を傾動支軸36回りに左右傾動させる第1エアシリンダAC1とが設けられる。第1エアシリンダAC1のピストンロッドは、モータベース38及び走行台車33のうちの何れか一方に枢支連結され、またその何れか他方に第1エアシリンダAC1のシリンダ部が枢支連結される。
【0071】
第1ストッパ機構41は、回転軸ホルダ37の傾動支軸36よりも上側部分が略鉛直のフリー姿勢Svから内方側に所定角度θ1(例えば5度)傾動した位置をハ字状の傾動限界とするものであって、実施形態では走行台車33に固定の第1係合片41aと、モータベース38に固定の第1被係合片41bとを有する。一方、第2ストッパ機構42は、回転軸ホルダ37の傾動支軸36より上側部分が前記フリー姿勢Svから外方側に所定角度θ2(例えば3度)傾動した位置を逆ハ字状の傾動限界とするものであって、実施形態では走行台車33に固定の第2係合片42aと、モータベース38に固定の第2被係合片42bとを有する。
【0072】
而して、モータベース38、第1エアシリンダAC1、並びに第1,第2ストッパ機構41,42は、互いに協働して本発明の姿勢制御機構SCを構成する。即ち、この姿勢制御機構SCは、第1エアシリンダAC1に作用するエア圧に基づいて、走行台車33に対しサイドブラシSの回転軸Jsを第1姿勢S1と第2姿勢S2との間で強制的に姿勢変化させ、且つ第1,第2姿勢S1,S2並びに鉛直姿勢の何れにも置き得るような力を発揮可能である。
【0073】
また、各走行台車33と門型フレーム1の上部との間には、各走行台車33(従って左右のサイドブラシS)を案内レール30に沿って左右方向に開閉駆動する開閉駆動装置Dkが設けられる。この開閉駆動装置Dkは、図6で明らかなように、各走行台車33と門型フレーム1の内壁上部との間を連動連結するリンク機構50(図示例は屈折リンク機構)と、そのリンク機構50の第1のリンク51と門型フレーム1間に介装される第2エアシリンダAC2とを備える。リンク機構50において、第1のリンク51に一端が枢支連結された第2のリンク52の他端部、即ち作動端部は、走行台車33に固定されて上方に延びる連結枠33tに枢軸50pを介して相対回動可能に連結される。
【0074】
第1のリンク51及び門型フレーム1のうちの何れか一方には、第2エアシリンダAC2のピストンロッドが回動可能に枢支連結55され、またその何れか他方には第2エアシリンダAC2のシリンダ部が回動可能に枢支連結56される。而して、開閉駆動機構Dkは、左右の走行台車33(従って回転軸ホルダ37及び回転軸Js)をサイドブラシSの開・閉方向にそれぞれに付勢可能な開閉付勢機構として機能する。
【0075】
尚、開閉駆動機構Dkには、走行台車33が全開位置及び全閉位置、並びに全閉直前位置に達したことを検知可能な従来周知の開閉センサ(図示せず)が設けられ、その検知信号は制御装置Cに送られる。尚また、上記した全閉位置及び全閉直前位置は、省略してもよい。
【0076】
ところで案内レール30のレール本体31には、これの長手方向と直交する方向(図示例では洗車機Aの後方)に延びる揺動腕31Aが、図3図5図6で明らかなように固定される。その各揺動腕31Aの先部には、円板状をなす上下一対の可動ばね受け部31Asが互いに逆向きに固設されており、各可動ばね受け部31Asと、これに対向して門型フレーム1にそれぞれ設けた上下一対の固定ばね受け部44との間には、一対の中立ばね45がそれぞれ縮設される。
【0077】
また図3で明らかなように、固定ばね受け部44には、門型フレーム1の内壁に固定の支持壁1wに対して固定ばね受け部44を中立ばね45の伸縮方向に位置調節可能に固定するアジャスト機構40が連設され、その位置調節により中立ばね45のセット荷重を調整可能となっている。尚、図5では、可動ばね受け部31Asの平面形態を明示すべく、固定ばね受け部44は鎖線のみで表示している。
【0078】
そして、これら中立ばね45の弾発力を以て揺動腕31Aを略水平な中立位置に弾発保持することによって、レール本体31及び走行台車33(従ってサイドブラシS)は、通常は前後方向に傾斜していない中立位置(図4参照)に弾発保持される。またサイドブラシSは、自動車Vの前・後端面Bf,Brから所定以上の接触面圧を受けると、中立ばね45を弾性変形させつつレール軸部32の軸線回りに前後方向に傾動可能である。
【0079】
また図示はしないが、揺動腕31Aと門型フレーム1との間には、揺動腕31Aが所定角以上、傾動(従ってレール軸部32が所定角以上、回動)するのを検知可能な傾動センサが設けられ、この傾動センサの検知信号も制御装置Cに送られる。尚、このような傾動センサは、洗車機においては従来周知(例えば特開2000-198425号公報を参照)である。
【0080】
さらに図7には、第1,第2エアシリンダAC1,AC2を作動制御するエア回路図の一例が示される。即ち、外部配管ユニットU内のエアポンプAPに調圧弁を介して連なる主エア配管60からは、第1,第2減圧弁Vg1,Vg2を上流部に各々有した第1,第2分岐管61,62がそれぞれ設けられ、特に第1減圧弁Vg1で減圧された第1エア圧が左右の第1エアシリンダAC1のロッド側エア室にそれぞれ第1開閉弁V1を介して導入可能であり、一方、第2減圧弁Vg2で減圧された第2エア圧が左右の第1エアシリンダAC1のシリンダ基端側エア室にそれぞれ第2開閉弁V2を介して導入可能となっている。第1,第2開閉弁V1,V2は、これらの開弁時には第1,第2分岐管61,62を導通させるが、閉弁時には、第1,第2分岐管61,62を遮断し且つ第1エアシリンダAC1の対応するロッド側又はシリンダ基端側エア室を大気に開放する。
【0081】
第1エア圧は、第1エアシリンダAC1を収縮させて回転軸ホルダ37(回転軸Js)をハ字状の第1姿勢S1側に付勢するためのエア圧であり、また第2エア圧は、第1エアシリンダAC1を伸長させて回転軸ホルダ37(回転軸Js)を逆ハ字状の第2姿勢S2側に付勢するためのエア圧である。そして、第1,第2減圧弁Vg1,Vg2は、第1エア圧が第2エア圧よりも大きくなる(即ち第1姿勢S1側への傾動付勢力が第2姿勢S2側への傾動付勢力よりも大きくなる)ような減圧機能を発揮可能となっている。
【0082】
制御装置Cは、これが第1,第2開閉弁V1,V2を作動制御することでサイドブラシS(回転軸Js)の姿勢を、左右の第1エアシリンダAC1を収縮させるハ字状の第1姿勢S1(傾動限界は第1ストッパ機構41で規制)と、同シリンダAC1を伸長させる逆ハ字状の第2姿勢S2(傾動限界は第2ストッパ機構42で規制)と、第1エアシリンダAC1の一対のエア室の何れにもエア圧を作用させない略鉛直な傾動フリー状態と、その両エア室の何れにもエア室を作用させる略鉛直な中立姿勢とに選択的に切換制御することができる。
【0083】
而して、サイドブラシS(回転軸Js)は、これが上記傾動フリー状態にある場合でも、自動車Vの側面Bsをブラシング洗浄中はその側面Bsからブラシ本体34が受ける接触反力に応じて側面Bsに略沿うように若干傾斜した姿勢になる。
【0084】
ところでサイドブラシSの回転軸Jsを吊持する走行台車33を左右に開閉駆動する開閉駆動装置Dkのアクチュエータとしてエアシリンダ(図示例では第2エアシリンダAC2)を用い、且つ該エアシリンダAC2のロッド側・シリンダ基端側の各エア室に対するエア圧の給排制御を複数の電磁制御弁からなる制御弁装置65で行う技術は、洗車機において従来周知(例えば特開2007-153177号公報参照)である。従って、図7のエア回路において、第2エアシリンダAC2 に対しエア圧を給排制御する制御弁装置65の具体的な図示は省略する。
【0085】
而して、この制御弁装置65は、圧力が異なる二系統のエア圧(実施形態では主エア配管60から分岐した第3分岐管63から供給される第3エア圧、並びに第1分岐管61から供給される前記第1エア圧)を利用して、左右の第2エアシリンダAC2が走行台車33を開き側すなわちシリンダ伸長側に付勢する開き側制御形態と、走行台車33を閉じ側すなわちシリンダ収縮側に付勢する閉じ側制御形態とを切換え可能となっている。尚、このような制御形態の切換態様に加えて、走行台車33を閉じ側・開き側の何れにも付勢しない制御形態にも切換え可能な切換態様としてもよい。
【0086】
しかも制御弁装置65は、上記閉じ側制御形態の実行中において、第2エアシリンダAC2のロッド側エア室内のエア圧を抜くか下げることで、及び/又はシリンダ基端側エア室内のエア圧を強めることで、走行台車33の閉じ側付勢力を一時的に弱める付勢力可変制御も可能である。
【0087】
そして、エアポンプAP、第1,第2開閉弁V1,V2及び制御弁装置65の各電磁制御弁は、制御装置Cから出力される制御信号で作動制御される。
【0088】
次に前記実施形態の作用を説明する。
【0089】
洗車機Aの待機状態においては、図1及び図10に実線で示すように門型フレーム1が処理開始位置、即ち復行端1Sに停止、待機している。この状態から、先ず、自動車Vを図10に示す被洗車位置まで前進、停止させ、しかる後に自動車Vを降りたドライバー又は作業員が操作盤80で洗車受付操作を行うことにより洗車が開始する。
【0090】
ここで基本的な洗車コースが受付選択された場合を説明すると、制御装置Cは、先ず、門型フレーム1の第1往行(前進)過程と第1復行(後退)過程で、自動車Vの車体面に対し上部・側部洗剤噴射管21、26及び/又は上部・側部泡洗剤噴射管24、27から洗剤及び/又は泡洗剤を噴射させながらトップブラシT及びサイドブラシSを作動させるブラシング洗浄工程を実行し、次いで第2往行(再前進)過程でリンス水噴射管22から車体面に噴射させて車体面上の洗剤等を洗い流すリンス工程を実行し、更に第2復行(再後退)過程でトップノズルNt及びサイドノズルNsを作動させて車体面上の水分を吹き飛ばし乾燥させる乾燥工程を実行する。
【0091】
特に第1往行過程及び第1復行過程では、門型フレーム1の走行に伴い高さ変化する自動車Vの上面Btを多軸センサ10が検知すると共に、その検知結果に基づき制御装置Cが自動車Vの車体上面形状(車形)を検出し、その検出した車体上面形状に応じてトップブラシTを回転させつつ昇降変位(図10を参照)させ、これにより、車体上面Btが適切な接触面圧でブラシング洗浄される。また門型フレーム1の走行中、車輪センサSEwが前後車輪Wを検知して、その検知信号を制御装置Cに出力する。
【0092】
次に第1往行過程及び第1復行過程における左右のサイドブラシS(より具体的には回転軸Jsを左右傾動可能に吊持する走行台車33)の作動態様の一例について、図11図15を併せて参照して、具体的に説明する。
【0093】
特に図11及び図12は、洗浄すべき自動車Vが第1車高H1(例えば1700ミリ)以下の車高、即ちセダン等の低車高車である場合の制御例1を示し、また図13及び図14は、自動車Vが第1車高H1(例えば1700ミリ)よりは高く且つ第2車高H2(例えば1800ミリ)以下の車高、即ちミニバン等の中車高車である場合の制御例2を示し、更に図15は、制御例1の第1復行過程において、逆ハ字状の第2姿勢を車輪対応位置で一時中断する任意選択的な制御例4を示す。
【0094】
尚、図11図15において、小円及びこれを通る実線は、サイドブラシSの、傾動支軸36の高さでの回転軸Jsの位置及びその移動軌跡をそれぞれ示し、また大円及びこれを通る鎖線は、サイドブラシSの、車体面と接触可能な所定高さ(例えば地上 600ミリ)からのブラシ本体位置及びその移動軌跡をそれぞれ示す。而して、小円が大円よりも左右内方側(即ち車体寄り)のときは、左右のサイドブラシSの回転軸Jsがハ字状の第1姿勢S1にあり、またそれとは反対に、大円が小円よりも左右内方側(即ち車体寄り)のときは、左右のサイドブラシSの回転軸Jsが逆ハ字状の第2姿勢S2にある。そして、小円と大円との左右方向の位置ずれ量の大・小が、回転軸Jsの傾斜の程度(即ち傾斜角の大・小)を表している。
【0095】
尚また、第1,第2車高H1,H2の設定は、上記数値例に限定されず、適宜に設定可能である。
【0096】
[低車高車の場合の制御例1]
[制御例1の第1往行過程]
図11で明らかなように、門型フレーム1の第1往行が始まる前の洗車開始時点で走行台車33と共に開き端に存する左右のサイドブラシS(回転軸Js)は、洗車開始に応じて正転すると共に第1エアシリンダAC1でハ字状の第1姿勢S1になり、且つ第2エアシリンダAC2で走行台車33と共に閉じ端まで閉じられる。その閉じ端への到達直前で左右のサイドブラシS(回転軸Js)は、第1エアシリンダAC1で逆ハ字状の第2姿勢S2に姿勢変化し、次いで閉じ端への到達に応じて門型フレーム1が往行を開始させる。
【0097】
この往行に伴い各サイドブラシSが自動車Vの前端面Bfに接触して回転軸Jsが車両前方へ所定角度以上傾動すると、これを検知した不図示の傾動センサからの出力信号に応じて制御装置Cは、門型フレーム1を所定量t1だけ後戻り(一時的に復行)させ、次いで左右の走行台車33を左右一方(図示例では自動車Vの右方)へ所定量t2走行させるが、その間、左右のサイドブラシSは、逆ハ字状の第2姿勢S2を保ちつつ自動車Vの前端面Bfの左右中央部及びその近傍部をブラシング洗浄し続ける。この場合、左右の走行台車33を左右一方へ所定量t2走行させて前端面Bfの左右中央部付近をブラシング洗浄する理由は、その左右一方への所定量t2の走行によって、逆ハ字状の第2姿勢S2でもなお左右のサイドブラシSの下端部間に生じる可能性のある洗い残しをより確実に無くすためである。
【0098】
次いで、制御装置Cは、左右の走行台車33を第2エアシリンダAC2により開き側に走行させ、その途中で第1エアシリンダAC1の一対のエア室に第1,第2エア圧を作用させてサイドブラシS(回転軸Js)を前述の中立姿勢に切り替える。そして、左右の走行台車33、従ってサイドブラシSが開き端に達したら、サイドブラシSの回転を停止させると共に、第1エアシリンダAC1の一対のエア室からエア圧を抜いてサイドブラシS(回転軸Js)を傾動フリー状態に切替えて、門型フレーム1を再往行させる。
【0099】
そして、門型フレーム1の再往行量が所定量t3(即ちサイドブラシSが車体側面Bsの前部に対応する位置)に達したら、その往行を一旦停止させ且つサイドブラシSを再び正転させると共に、開き端の走行台車33及びサイドブラシSを第2エアシリンダAC2により閉じ側に移動させる。次いでサイドブラシSが車体側面Bsに接触すると、門型フレーム1を再び往行させ、これにより、サイドブラシSで車体側面Bsをブラシング洗浄する。
【0100】
このとき、走行台車33に対しては、サイドブラシSの車体側面Bsに対する接触面圧が適切な大きさとなるよう第2エアシリンダACで閉じ側の付勢力を付与されるが、回転状態のサイドブラシS(回転軸Js)は、車体側面Bsからの接触反力で略鉛直の傾動フリー状態よりややハ字状に傾斜した姿勢となる。尚、サイドブラシSの車体側面Bsへの上記接触は、回転モータMsの負荷電流変化を検知可能なセンサの検知結果を制御装置Cが受けることで判断可能であり、或いは走行台車33が開き端から閉じ始める時点からの経過時間をタイマーで経時することで判断してもよい。或いはまた、サイドブラシSの回転軸Jsが傾斜することを傾斜センサで検知して上記接触(従って車幅)を検出したり、或いは超音波センサ等で車幅を検出したりして、サイドブラシSの位置制御を行うようにしてもよい。
【0101】
次いで、サイドブラシSが自動車Vのルーフ範囲に入るまで門型フレーム1が往行すると、制御装置Cは、サイドブラシSの回転を一時的(例えば1秒以内)に減速(例えば停止)させると共に、第1エアシリンダAC1によりサイドブラシS(回転軸Js)をハ字状の第1姿勢S1に姿勢変化させ、この第1姿勢S1は、サイドブラシSが自動車Vの後端近くになるまで継続する。尚、サイドブラシSが自動車Vのルーフ範囲に入ったことや、ルーフ中央を通過したことは、例えば多軸センサ10で検出した車体上面形状に基づいて制御装置Cが判断可能である。
【0102】
かくして、第1姿勢S1となったサイドブラシSは、セダン等の低車高車の、上方内向きに傾斜した側面Bs上部に沿う傾斜となって、側面Bs上部を効率よく洗浄可能となる。尚、上記したようにブラシング洗浄途中でサイドブラシSの回転を一時的に減速(停止)させる理由は、その減速効果により、図11では図示していないがサイドブラシSの車体側面Bsへの接触深さが多少深くなり、減速解除(回転再開)後も洗浄効果が向上するためである。
【0103】
そして、制御装置Cは、サイドブラシSがルーフ中央を通過した辺りでサイドブラシSを逆転させ、更にサイドブラシSが自動車Vの後端近く(例えば後端面Brから所定量t4手前)に達したときに、サイドブラシS(回転軸Js)が傾動フリー状態となるよう第1エアシリンダACの作動を切替える。その傾動フリー状態への切替え後は、門型フレーム1の更なる往行に伴いサイドブラシSが自動車Vの後端コーナを経て後端面Brに回り込むようにして閉じ端まで閉じ動作し、これにより、後端近くの車体側面Bsと後端面Brとを略鉛直姿勢のサイドブラシSでブラシング洗浄可能である。
【0104】
この場合、特にサイドブラシSが後端コーナを過ぎて後端面Brをブラシング洗浄する際には、制御装置Cは、第1エアシリンダAC1の作動切替えによってサイドブラシSの前述の中立姿勢と傾動フリー状態とを適時切替えると共に、第2エアシリンダAC2の作動切替えによって走行台車33の閉じ動作と一時停止とを適時切替えることで、サイドブラシSが後端面Brを適切且つスムーズにブラシングしつつ移動できるようになる。例えば、回転軸Jsが第1姿勢S1から傾動フリー状態に切替わる時、又はその傾動フリーの切替え直後からサイドブラシSが後端面Brに至るまでの間に、開閉駆動装置Dkによる走行台車33の閉じ側付勢力を一時的に弱めるようにしてもよく、これにより、サイドブラシSの回転による影響を低減しつつ後端面Brへの回り込みをスムーズ化することができる。
【0105】
尚、後端面Brの位置は、多軸センサ10で検出した車体上面形状に基づいて制御装置Cが判断可能である。
【0106】
次いで、制御装置Cは、サイドブラシSが自動車Vの後端面Brを離れて門型フレーム1が所定量t5往行したら、サイドブラシSの回転を停止させ、更に門型フレーム1が所定量t6往行したときに往行を停止させ、その位置が門型フレーム1の往行1B(即ち前進限)に達したら第1往行が終了となる。
【0107】
[制御例1の第1復行過程]
ところで制御装置Cは、門型フレーム1が往行端1Bに達したら、図12で明らかなように、左右のサイドブラシS(回転軸Js)を第1エアシリンダAC1により逆ハ字状の第2姿勢S2に姿勢変化させてから門型フレーム1の復行を開始させ、門型フレーム1が所定量t7復行したらサイドブラシSを回転(逆転方向)させる。
【0108】
そして、各サイドブラシSが自動車Vの後端面Brに接触して回転軸Jsが車両後方へ所定角度以上傾動すると、これを検知した不図示の傾動センサの出力信号を受けて制御装置Cは、門型フレーム1を所定量t8だけ後戻り(一時的に往行)させ、次いで左右の走行台車33を左右一方(図示例では自動車Vの右方)へ所定量t9走行させるが、その間、左右のサイドブラシSは、逆ハ字状の第2姿勢S2を保ちつつ自動車Vの後端面Brの左右中央部及びその近傍部をブラシング洗浄し続ける。この場合、左右の走行台車33を左右一方へ所定量t9走行させて後端面Brの左右中央部付近をブラシング洗浄する理由は、往行時の前端面Bf中央部に対する洗浄の場合と同様であり、即ち、その左右一方への所定量t9の走行によって、逆ハ字状の第2姿勢S2でもなお左右のサイドブラシSの下端部間に生じる可能性のある洗い残しをより確実に無くすためである。
【0109】
次いで、制御装置Cは、第1エアシリンダAC1の一対のエア室に第1,第2エア圧を作用させてサイドブラシS(回転軸Js)を前述の中立姿勢に切替えた上で、第2エアシリンダAC2により走行台車33を開き側に走行させ、開き端に達したらサイドブラシSの回転を停止させて、門型フレーム1を再復行させる。
【0110】
そして、制御装置Cは、門型フレーム1の再復行量が所定量t10に達したら、その復行を停止させ且つサイドブラシSを回転(正転方向)させると共に、第1エアシリンダAC1によりサイドブラシS(回転軸Js)を逆ハ字状の第2姿勢S2に姿勢変化させてから、走行台車33及びサイドブラシSを第2エアシリンダAC2により閉じ側に移動させる。これにより、サイドブラシSが車体側面Bsに接触すると、門型フレーム1の復行を再開させてサイドブラシSで車体側面Bsをブラシング洗浄する。
【0111】
このとき、走行台車33に対しては第2エアシリンダACで閉じ側の付勢力が付与される関係で、第2姿勢S2にあるサイドブラシS(回転軸Js)の逆ハ字の傾斜角度が比較的小さく(即ちサイドブラシSが車体側面Bsに非接触の場合よりも小さく)なるものの、このサイドブラシSで車体側面Bsの下部を効率よく洗浄可能である。
【0112】
次いで、サイドブラシSが自動車Vのルーフ前端近く(即ち車体特定部位としてのルーフ前端から所定量txだけ手前側、換言すれば、ルーフ前端から推定されるドアミラー70よりも所定量t11手前)に到達すると、制御装置Cは、門型フレーム1の復行を一時停止させた上で、第2エアシリンダAC2による走行台車33の閉じ方向付勢力を一時的に(例えば1秒)弱めるか又は停止させる。これにより、第2姿勢S2にあるサイドブラシSの逆ハ字の傾斜角度が少し大きくなり、その傾斜角度が大きくなった状態が維持されたまま門型フレーム1の復行が再開されるため、サイドブラシSがドアミラー70側方を通過する際には、逆ハ字の傾斜角度が大きくなったサイドブラシSがドアミラー70を強く圧接する虞れはなくなる。
【0113】
この場合、ドアミラー70は、自動車V側部の後方視界確保用側方張出部の一例であり、このドアミラー70から前後方向に離れた車体特定部位(実施例ではルーフ前端)の検出は、多軸センサ10で検出した車体上面形状(特にルーフ前端位置)に基づき制御装置Cが推定演算可能である。尚、上記車体特定部位としては、ルーフ前端以外の部位、例えばフロントウインドの適所(例えば前端、後端等)であってもよい。而して、多軸センサ10及び制御装置Cは互いに協働して、上記車体特定部位の検出に基づいてドアミラー70及びその前後領域を含む所定領域を推定可能な所定領域推定手段を構成する。
【0114】
そして、制御装置Cは、サイドブラシSが車両前端より所定量t12手前に達した辺りでサイドブラシSの回転を一時的(例えば1秒)に減速、例えば停止させる。このようにブラシング洗浄途中でサイドブラシSの回転を一時的に減速(停止)させる理由は、往行過程での一時的減速と同様である。即ち、その減速効果により、図12では図示していないがサイドブラシSの車体側面Bsへの接触深さが多少深くなり、減速解除(回転再開)後も洗浄効果が向上するためである。
【0115】
その減速解除後も門型フレーム1の更なる復行に伴い、サイドブラシSが自動車Vの前端コーナを経て前端面Bfに回り込むようにして閉じ端まで閉じ動作し、これにより、前端近くの車体側面Bsと前端面BfとをサイドブラシSでブラシング洗浄する。
【0116】
次いで、制御装置Cは、サイドブラシSが自動車Vの前端面Bfを離れて門型フレーム1が所定量t13復行したら、サイドブラシSの回転を停止させて、第2エアシリンダAC2で走行台車33(従ってサイドブラシS)を開き端まで開き移動させると共に、門型フレーム1を復行端1Sまで復行させて第1復行が終了する。
【0117】
尚、制御例1では、サイドブラシS(回転軸Js)を、門型フレーム1の往行過程で主としてハ字状の第1姿勢S1とし、また復行過程で主として逆ハ字状の第2姿勢S2としたものを示したが、上記とは逆に、サイドブラシS(回転軸Js)を、門型フレーム1の往行過程で主として逆ハ字状の第2姿勢S2とし、また復行過程で主としてハ字状の第1姿勢S1としたバリエーションの制御例も実施可能である。
【0118】
[中車高車の場合の制御例2]
この制御例2に基づくサイドブラシSの動作説明図が図13及び図14に示される。低車高車の制御例1では、第1往行過程(特に後半過程)でサイドブラシS(回転軸Js)をハ字状の第1姿勢S1に保持したのに対し、中車高車の制御例2における第1往行過程では、図13で明らかなように、サイドブラシSで車体側面Bsをブラシング洗浄する際に終始、略鉛直の傾動フリー状態に保持する点で異なっている。一方、制御例2での第1復行過程は、図14でも明らかなように、制御例1での第1復行過程と基本的に同様である。
【0119】
尚、洗浄すべき自動車Vが低車高車又は中車高車かの選択は、操作盤80の受付部への受付操作で作業員又はドライバーが任意に行うようにしてもよいし、これに代えて或いは加えて、多軸センサ10で検知した車形に基づいて制御装置Cが低車高車又は中車高車であると判断した場合に制御装置Cで自動選択してもよく、その選択結果に応じて前述の低車高車である場合の制御例1と、中車高車である場合の制御例2が選択される。
【0120】
尚また、制御例2では、サイドブラシS(回転軸Js)を、門型フレーム1の第1往行過程で主として傾動フリー状態とし、また第1復行過程で主として逆ハ字状の第2姿勢S2としたものを示したが、上記とは逆に、サイドブラシS(回転軸Js)を、第1往行過程で主として逆ハ字状の第2姿勢S2とし、また第2復行過程で主として傾動フリー状態としたバリエーションの制御例も実施可能である。
【0121】
[高車高車の場合の制御例3]
洗浄すべき自動車Vが第2車高(例えば1800ミリ)より高い高車高車である場合の制御例3(図示せず)では、門型フレーム1の第1往行過程では中車高車の制御例2の第1往行過程と同様の制御態様であるが、第1復行過程では、次に説明する如く制御例2の第1復行過程とは若干異なる制御態様となっている。
【0122】
即ち、自動車Vが例えば高車高車において、サイドブラシSが逆ハ字状の第2姿勢S2のまま車体側面Bsをブラシングすると、例えば、[1]車体のフロアが高い高車高車では、サイドブラシS下部がフロア下部に深めに入って引っ掛かる虞れがあり、また[2]サイドドア直下にサイドステップ等の側方張出し部が張出す高車高車では、サイドブラシSが側方張出し部と強く当たることで早期に消耗する虞れがある。
【0123】
そこで制御例3では、自動車Vが高車高車の場合、走行台車33に対しサイドブラシSの回転軸Jsが、門型フレーム1の第1復行過程で逆ハ字状の第2姿勢S2又は傾動フリー状態の何れかに選択可能としている。より具体的に説明すると、その第1復行過程で、サイドブラシSの回転軸Jsは通常は第2姿勢S2に置かれるが、上記虞れがある場合には、自動車Vの外形上の特徴(例えば、上記したフロア高、側方張出し部等)の検出、又は任意の設定操作に応じて傾動フリー状態に置かれ、これにより上記虞れを無くすことができる。
【0124】
この傾動フリー状態を選択するための任意の設定操作は、操作盤80の受付部への受付操作で作業員又はドライバーが任意に行える。一方、上記した自動車Vの外形上の特徴(例えばフロア高や側方張出し部)の検出は、例えば多軸センサ10で検知した車形に基づいて、或いは不図示のカメラの撮影画像に基づいて制御装置Cが行い、即ち、制御装置Cは、上記自動車Vの外形上の特徴の検出結果に基づき上記虞れのある高車高車であると判断した場合に、傾動フリー状態を自動選択する。
【0125】
而して、制御装置Cで上記虞れが無い自動車であると判断され、且つ上記任意の設定操作も行われない場合には、第1復行過程において、制御例1,2と同様に逆ハ字状の第2姿勢S2が選択されることで、側面Bs下部の洗浄効果を高めることができる。
【0126】
尚、制御例3では、サイドブラシS(回転軸Js)を、門型フレーム1の第1往行過程で主として傾動フリー状態とし、また第1復行過程で主として逆ハ字状の第2姿勢S2又は略鉛直の傾動フリー状態としたものを示したが、上記とは逆に、サイドブラシS(回転軸Js)を、門型フレーム1の第1往行過程で主として逆ハ字状の第2姿勢S2又は傾動フリー状態とし、また第1復行過程で主として傾動フリー状態としたバリエーションの制御例も実施可能である。
【0127】
以上説明した実施形態の門型洗車機Aは、走行台車33に対しサイドブラシSの回転軸Jsが洗車機Aのハ字状をなす第1姿勢S1と逆ハ字状をなす第2姿勢S2との間で姿勢変化し得るように、回転軸Jsを走行台車33に回転自在に且つ左右方向に傾動可能に吊持する支持機構Pとを備え、サイドブラシSにより自動車Vの側面の少なくとも前後車輪間をブラシングするときに、姿勢制御機構SCにより、サイドブラシSの回転軸Jsが下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢S2に置かれる。これにより、その第2姿勢S2に置かれたサイドブラシSがこれの側面洗浄範囲を側面下部まで広範囲に拡げて、高い洗浄効果を発揮できる。これにより、ロッカブラシが無くても、第2姿勢に置かれた左右少なくとも一方のサイドブラシで自動車の、特に下方に向かって左右内方側に回り込む側面下部を効果的に洗浄できるため、ロッカブラシが省略可能となってコスト節減に寄与することができる。しかもロッカブラシの省略により、門型フレーム1延いては洗車機Aを前後方向に小型化できるため、洗車機Aの設置スペースも狭くでき、洗車機Aを設置する上でのスペース上の制約を減らせることができる。
【0128】
また実施形態では、自動車Vが例えば第1車高H1以下の低車高車の場合には、前記制御例1に例示した如く、走行台車33に対しサイドブラシSの回転軸Jsが門型フレーム1の往行又は復行の何れか一方の走行過程(実施形態では第1往行過程)で主として第1姿勢S1に、またその何れか他方の走行過程(実施形態では第1復行過程)で主として第2姿勢S2にそれぞれ置かれるように、制御装置Cが姿勢制御機構SCの第1エアシリンダAC1を制御する。
【0129】
これにより、サイドブラシSは、これの回転軸Jsがハ字状の第1姿勢S1にあるときは、低車高車の、上方内向きに傾斜した側面Bs上部をサイドブラシSで効率よく洗浄でき、一方、同回転軸Jsが逆ハ字状の第2姿勢S2にあるときは、低車高車の側面Bs下部を第2姿勢S2のサイドブラシSで(即ちロッカブラシに依らずとも)効率よく洗浄でき、そのため、サイドブラシによる側面洗浄範囲を側面下部まで広範囲に拡げて、高い洗浄効果を発揮できる。しかも、サイドブラシSの回転軸Jsは、門型フレーム1の往行時と復行時で第1,第2姿勢S1,S2の何れか一方から他方に単に切替え制御するだけで済むため、姿勢制御の単純・簡素化を図りながら、自動車Vの側面BsをサイドブラシSで満遍なく迅速且つ的確に洗浄可能となる。
【0130】
ところで自動車Vが第1車高H1(例えば1700ミリ)より高い中・高車高車であるときは、これの側面Bs上部が高位である関係から、サイドブラシSの回転軸Jsを特にハ字状の第1姿勢S1として側面Bsを洗浄する場合には、サイドブラシSが側面Bs上部に強く当たる一方で側面Bs下部からは浮き上がり易くなって、側面Bs下部の洗浄効果が低下する虞れがある。これに対し、実施形態の制御例2,3では、自動車Vが中・高車高車の場合、走行台車33に対しサイドブラシSの回転軸Jsが、門型フレーム1の往行又は復行の何れか一方の走行過程(実施形態では第1往行過程)で第1姿勢S1とせずに略鉛直の傾動フリー状態となるので、自動車Vの側面上部が上方内向きに傾斜するか又は略鉛直である場合でも、その側面上部に対し傾動フリーのサイドブラシSが無理なく適度に接触して的確に洗浄でき、一方、門型フレーム1の往行又は復行の何れか他方の走行過程(実施形態では第1復行過程)では回転軸JSが下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢S2に置かれるため、自動車Vの下方に向かって左右内方側に回り込む側面下部をサイドブラシSで(即ちロッカブラシに依らずとも)効率よく洗浄でき、そのため、サイドブラシによる側面洗浄範囲を側面下部まで広範囲に拡げて、高い洗浄効果を発揮可能となる。
【0131】
さらに実施形態の制御装置Cは、制御例1~3でも明らかなように、自動車Vの、後方視界確保用側方張出部としてのドアミラー70から前後方向に離れた車体特定部位(実施例ではルーフ前端)の検出に基づいて、ドアミラー70及びその前後領域を含む所定領域を推定可能な所定領域推定手段(実施例では多軸センサ10及び制御装置C)とを備え、サイドブラシSが、第2姿勢S2をとり続けながら自動車Vの側面をブラシングする過程において、サイドブラシSが自動車Vのドアミラー70側方を通過するときは側面後部をブラシングするときよりも、第2姿勢S2にある回転軸Jsの傾斜角度が大きくなるように、上記所定領域推定手段の推定結果に基づいて走行台車33の開閉付勢機構Dkが制御(具体的には第2エアシリンダAC2の閉じ方向付勢力を弱める側に制御)される。
【0132】
これにより、サイドブラシSが自動車Vの後方視界確保用側方張出部としてのドアミラー70側方を通過するときは、下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢S2にある回転軸Jsの傾斜角度を途中から増大変化させることで、サイドブラシSがドアミラー70に強く当たることが回避され、ドアミラー70の破損防止に有効である。
【0133】
さらにまた実施形態の制御装置Cは、サイドブラシSが自動車Vの前・後端面Bf,Brの左右中央部を洗浄する際は、サイドブラシSの回転軸Jsが逆ハ字状の第2姿勢S2をとるように姿勢制御機構SCの第1エアシリンダAC1を制御する。これにより、左右のサイドブラシSで自動車Vの前・後端面Bf,Brを洗浄する場合に、特に逆ハ字状の第2姿勢S2として左右のサイドブラシSの下部相互を近づけることで、前・後端面Bf,Brの左右中央部を両サイドブラシSで十分に洗浄でき、その端面中央部の洗い残しを効果的に低減可能となる。
【0134】
ところで実施形態の制御装置Cは、門型フレーム1と自動車Vとの前後方向相対移動(実施形態では門型フレーム1の走行)を制御可能であるが、特に自動車Vの前後長が所定長さ以上である場合には図10で明らかなように、トップブラシTが自動車Vの後端を通り抜けずに前記相対移動の方向を反転(実施形態では門型フレーム1を往行から復行へリターン)制御する。これにより、前記相対移動に要する全ストローク長(実施形態では門型フレーム1の走行ストローク長)を短縮できるため、前述の如くロッカブラシの省略により洗車機Aを前後方向に小型化できた効果と相俟って、洗車機Aの設置スペースの更なるコンパクト化が達成可能となる。
【0135】
[車輪対応位置で逆ハ字状の第2姿勢を中断する制御例4]
この制御例4は、前述の制御例1~3の何れかを実行するに当たり、任意選択的に付加される制御態様であり、この制御例4に基づくサイドブラシSの特徴的な動作態様が図15に示される。即ち、制御例4は、制御例1~3によりサイドブラシSが特に逆ハ字状の第2姿勢S2で車体側面Bsをブラシングする際に、次に説明する「車輪等回避動作」が任意選択された場合に実行されるものであって、その選択は、例えば洗車開始前に作業員又はドライバーが操作盤80へ操作入力することで行われる。
【0136】
而して、図15は、自動車Vが低車高車である場合の制御例1を実行するに当たり、予め「車輪等回避動作」が選択された場合の第1復行過程での制御態様を示しており、サイドブラシS(回転軸Js)が逆ハ字状の第2姿勢S2にある過程で、サイドブラシSの車輪W又はタイヤハウスThに対する回避動作を実行する。即ち、制御例4では、サイドブラシS(回転軸Js)が第2姿勢S2で自動車Vの側面Bsをブラシング洗浄する過程で、サイドブラシSが車輪Wに対応した位置にあるときは第2姿勢S2を一時中断するように、姿勢制御機構SC(第1エアシリンダAC1)を車輪センサSEwの検知結果に基づいて制御する。
【0137】
より具体的に説明すると、制御例4においても、門型フレーム1の第1往行過程では図11に示した制御例1の第1往行過程と同じ制御態様が実行され、その第1往行過程中に車輪センサSEwで前後車輪Wの所定高さでの前後幅を検出し、制御装置Cに記憶させておく。次いで、第1復行過程では、図12に示した制御例1と基本的に同様の制御態様が実行されるが、特にサイドブラシSが車輪WやタイヤハウスThと対応する位置(この位置は車輪センサSEwの上記した車輪検出幅に基づき制御装置Cが演算)では、制御例1とは異なり、制御装置Cが逆ハ字状の第2姿勢S2を一時的に中断させ、且つその中断期間ではサイドブラシS(回転軸Js)を前記傾動フリー状態又はハ字状の第1姿勢S1となるよう第1エアシリンダAC1を切替え制御しており、この点が制御例4に固有の制御となる。
【0138】
而して、サイドブラシS(回転軸Js)が逆ハ字状の第2姿勢S2のまま車輪WやタイヤハウスThを洗浄する場合には、サイドブラシSの下部が車輪WやタイヤハウスThと引っ掛かり易くなるが、その引っ掛かりリスクは、制御例4に基づく第2姿勢S2の上記した一時中断の効果によって低減可能となる。
【0139】
尚、図15の制御例4では、自動車Vが低車高車である場合の制御例1を実行するに当たり車輪等回避動作が選択された場合において、サイドブラシSが第2姿勢S2にある途中で車輪等回避動作が実行されるが、自動車Vが中車高車で車輪等回避動作が選択された場合には、制御例2の実行に際して、低車高車の場合と同様の車輪等回避動作が実行される。また自動車Vが高車高車で車輪等回避動作が選択された場合には、制御例3の実行に際して、特に第2姿勢S2が選択される場合に限り低車高車の場合と同様の車輪等回避動作が実行される。
【0140】
ところで図16には、第2実施形態が示される。即ち、第1実施形態の門型フレーム1では、トップブラシTがサイドブラシSよりも後方寄りに配設され、自動車Vの前後長が所定長さ以上である場合には図10で明らかなように、制御装置Cが門型フレーム1を、トップブラシTが自動車Vの後端を通り抜けずに門型フレーム1と自動車Vとの相対移動の方向を反転(実施形態では門型フレーム1を往行から復行へリターン)制御する。これに対し、第2実施形態の門型フレーム1では、トップブラシTがサイドブラシSよりも前方寄りに設けられ、洗車開始時における門型フレーム1と自動車Vとの前後方向相対位置は、自動車Vの前端位置がトップブラシTの下方に存するように設定される。
【0141】
これにより、トップブラシTがサイドブラシSより前方側に配置されていても、第1実施形態と同様、前記相対移動に要する全ストローク長(即ち門型フレーム1の往復ストローク)を短縮できるため、前述の如くロッカブラシの省略により洗車機Aを前後方向に小型化できた効果と相俟って、洗車機Aの設置スペースの更なるコンパクト化が達成可能となる。
【0142】
而して、第2実施形態の洗車機Aは、門型フレーム1におけるトップブラシTとサイドブラシSの取付位置が、前後方向で相違するだけであり、サイドブラシSの開閉・傾動に係る制御態様については、第1実施形態と同様であり、従って、第1実施形態と同様の作用効果を達成可能である。
【0143】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態を実施可能である。
【0144】
例えば、前記実施形態では、洗浄すべき自動車Vを静止させ且つ門型フレーム1を自動車Vに対し前後移動させて洗車を行う移動式洗車機に本発明を適用したものを示したが、洗浄すべき自動車Vを固定の門型フレーム1に対し前後移動させて洗車を行う固定式洗車機に本発明(特に第1の特徴に係る発明)を適用してもよい。
【0145】
また前記実施形態では、車輪センサSEwして、非接触式の車輪センサを用いたものを示したが、接触式の車輪センサを用いてもよい。
【0146】
また前記実施形態では、洗車終了後に自動車が後退走行して退出する非ドライブスルー式の洗車機を例示したが、洗車終了後に自動車が前進走行して(即ち門型フレーム1を潜り抜けるようにして)退出するドライブスルー式洗車機に本発明を適用してもよい。
【0147】
また前記実施形態では、サイドブラシSの回転軸Jsをハ字状をなす第1姿勢S1と逆ハ字状をなす第2姿勢S2との間で姿勢変化させる姿勢制御機構SCのアクチュエータとしてエアシリンダ(即ち第1エアシリンダAC1)を用い、また走行台車33(従って回転軸ホルダ37)の開閉付勢機構としての開閉駆動装置Dkのアクチュエータとしてエアシリンダ(即ち第2エアシリンダAC2)を用いたものを示したが、姿勢制御機構SC及び開閉駆動装置Dkの各アクチュエータのうち、その何れか一方のアクチュエータ又は両方のアクチュエータをエアシリンダに代えて、電動アクチュエータ(例えば電動モータ)を用いてもよい。
【0148】
また前記実施形態では、門型フレーム1の第1往行・第1復行過程で車体面に向けて洗剤及び/又は泡洗剤を噴射させながらトップブラシT及びサイドブラシSを作動させてのブラシング洗浄工程(即ちシャンプー工程)を行う洗車例を示したが、この洗車例に代えて、門型フレーム1の第1往行・第1復行過程で車体面に向けて上部・側部コーティング剤噴射管23、28からコーティング剤を噴射させながらトップブラシT及びサイドブラシSを作動させてのブラシング工程(即ちコーティング処理工程)を行うようにしてもよい。
【0149】
また前記実施形態では、自動車側部の後方視界確保用側方張出部としてドアミラー70を例示したが、本発明の後方視界確保用側方張出部は、実施形態に限定されない。例えば、自動車のフロント側部ドア又はその周辺の車体側部より外側方に張出すように配設されて、後方視界を撮影し且つその撮影データに基づき車内モニターに後方視界を表示するためのアウタカメラも後方視界確保用側方張出部に含まれる。
【0150】
また前記実施形態では、門型フレーム1の第1往行過程で左右のサイドブラシSの回転軸Jsを両方とも(即ち左右対称的に)下方に向かって左右外方側に傾斜した第1姿勢S1または傾動フリー状態に置き、また第1復行過程で左右のサイドブラシSの回転軸Jsを両方とも(即ち左右対称的に)下方に向かって左右内方側に傾斜した第2姿勢S2に置くものを示したが、本発明の制御態様は、実施形態に限定されず、種々のバリエーションを実行可能である。
【0151】
例えば、第1のバリエーションでは、左右のサイドブラシSの回転軸Jsを実施形態のように左右対称的な姿勢変化をさせる代わりに、例えば第1往行過程では右側のサイドブラシSの回転軸Jsを第1姿勢S1又は傾動フリー状態に置くと共に、左側のサイドブラシSの回転軸Jsを第2姿勢S2に置き、また第2復行過程では、右側のサイドブラシSの回転軸Jsを第2姿勢S2に置くと共に左側のサイドブラシSの回転軸Jsを第1姿勢S1に置くような左右非対称の姿勢変化動作も実行可能である。
【0152】
また例えば、第2のバリエーションでは、門型フレーム1の第1往行過程で左右のサイドブラシSの回転軸Jsを主として(即ち全往復ストロークの半分以上の走行区間で)第1姿勢S1又は傾動フリー状態に置くが、一部の比較的短い走行区間では第2姿勢S2に置き、また第1復行過程で左右のサイドブラシSの回転軸Jsを主として第2姿勢S2に置くが、一部の比較的短い走行区間では第1姿勢S1又は傾動フリー状態に置くような制御態様も実行可能である。
【符号の説明】
【0153】
A・・・・・・洗車機
Bs,Bt・・自動車の側面,上面
Bf,Br・・自動車の前端面,後端面
C・・・・・・制御装置
Dk・・・・・開閉付勢機構としての開閉駆動装置
H1,H2・・第1,第2車高
Js・・・・・回転軸
P・・・・・・支持機構
S・・・・・・サイドブラシ
S1,S2・・第1,第2姿勢
SC・・・・・姿勢制御機構
SEw・・・・車輪センサ
V・・・・・・自動車
1・・・・・・門型フレーム
10・・・・・制御装置Cと協働して所定領域推定手段を構成する多軸センサ
33・・・・・走行台車
70・・・・・後方視界確保用側方張出部としてのドアミラー
図1
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