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特開2024-46529X線位相イメージング装置およびX線位相イメージング装置におけるプレビュー画像の表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046529
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】X線位相イメージング装置およびX線位相イメージング装置におけるプレビュー画像の表示方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/041 20180101AFI20240327BHJP
【FI】
G01N23/041
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151966
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】小島 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】前田 祐人
(72)【発明者】
【氏名】土岐 貴弘
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001BA14
2G001CA01
2G001DA09
2G001HA07
2G001HA13
2G001SA29
(57)【要約】
【課題】複数の格子と被写体とが相対回転されて位相コントラスト画像が撮影される場合において、相対回転される被写体が撮影可能範囲の外側に配置されることを抑制することが可能なX線位相イメージング装置を提供する。
【解決手段】このX線位相イメージング装置100は、X線源1と、検出器4と、複数の格子と、複数の格子と被写体90とを相対回転させる回転機構7、11と、X線源1および検出器4により生成された検出信号から位相コントラスト画像20を生成しかつ位相コントラスト画像20の撮影前にX線源1および検出器4により生成された検出信号からプレビュー画像28を生成する画像処理部5と、画像処理部5によって生成されたプレビュー画像28を表示部12に表示させかつ複数の格子と被写体90との相対回転角度に対応付けられた位相コントラスト画像20の撮影可能範囲30を識別可能に表示部12に表示する制御を行う制御部6とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線源と、
前記X線源から照射されたX線を検出する検出器と、
前記X線源と前記検出器との間に配置された複数の格子と、
X線の光軸方向と直交する面内において、前記複数の格子と被写体とを相対回転させる回転機構と、
前記X線源および前記検出器により生成された検出信号から位相コントラスト画像を生成し、かつ、前記位相コントラスト画像の撮影前に前記X線源および前記検出器により生成された検出信号からプレビュー画像を生成する画像処理部と、
前記画像処理部によって生成された前記プレビュー画像を表示部に表示させ、かつ、前記複数の格子と前記被写体との相対回転角度に対応付けられた前記位相コントラスト画像の撮影可能範囲を識別可能に前記表示部に表示する制御を行う制御部と、を備える、X線位相イメージング装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記撮影可能範囲を識別可能に表示する制御として、前記複数の格子と前記被写体との相対回転角度に対応付けられた前記位相コントラスト画像の撮影可能範囲を示す標識を前記プレビュー画像に対して重畳する制御を行うか、または、前記プレビュー画像における前記撮影可能範囲を示す領域の外側を切り取る制御を行う、請求項1に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項3】
前記複数の格子の各々を支持し、前記複数の格子とともに相対回転される複数の格子支持部をさらに備え、
前記制御部は、前記撮影可能範囲を、前記プレビュー画像に写り込む相対回転される前記格子支持部に対応する位置に基づいて予め設定された領域とするように構成されている、請求項1に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項4】
前記回転機構により前記複数の格子と前記被写体とを相対回転させながら複数の前記位相コントラスト画像が撮像される場合に、前記制御部は、前記撮影可能範囲を、相対回転角度毎の前記撮影可能範囲が重なる範囲とするように構成されている、請求項1に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記相対回転角度が、少なくとも、0度、45度、90度および135度において前記位相コントラスト画像が撮像される場合に、前記プレビュー画像における前記撮影可能範囲を識別可能に表示する制御を行う、請求項1に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項6】
複数の撮影モードと、前記複数の撮影モード毎に異なる複数の前記撮影可能範囲とを記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、選択された前記撮影モードに基づいて前記撮影可能範囲を識別可能に表示する制御を行う、請求項1に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項7】
前記複数の撮影モードは、前記被写体と、前記X線源および前記検出器とを相対回転させながら複数の回転角度において撮像された複数の前記位相コントラスト画像を生成する第1撮影モードと、前記被写体と、前記X線源および前記検出器とを相対回転させながら複数の回転角度において撮像された複数の前記位相コントラスト画像を生成するとともに、生成された複数の前記位相コントラスト画像からCT画像を生成する第2撮影モードとを含み、
前記第1撮影モードの前記撮影可能範囲は八角形状であり、前記第2撮影モードの前記撮影可能範囲は円形状であるように構成されている、請求項6に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記撮影可能範囲を識別可能に表示する制御として、前記撮影可能範囲を線で示す制御を行う、請求項1~7のいずれか1項に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項9】
前記位相コントラスト画像は暗視野像である、請求項1~7のいずれか1項に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項10】
X線源と検出器と複数の格子とを備えるX線位相イメージング装置におけるプレビュー画像の表示方法であって、
位相コントラスト画像の撮影前に、前記X線源および前記検出器により生成された検出信号から、プレビュー画像を生成するステップと、
表示部に前記プレビュー画像を表示するステップと、
前記プレビュー画像における、前記複数の格子と被写体との相対回転角度に対応付けられた前記位相コントラスト画像の撮影可能範囲を前記表示部に識別可能に表示するステップと、を備える、表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線位相イメージング装置およびX線位相イメージング装置におけるプレビュー画像の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線源と、複数の格子と、検出器とを備えるX線位相イメージング装置が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
上記特許文献1には、X線源と、複数の格子と、検出器とを備えるX線タルボ撮影装置と、表示部と、コントローラ(制御部)と、画像処理装置(画像処理部)とを備えるX線撮影システム(X線位相イメージング装置)が開示されている。また、上記特許文献1には、画像処理装置は、タルボ効果によって生成される暗視野像(位相コントラスト画像)から、樹脂および繊維の配向を表現する配向画像を生成することが開示されている。また、上記特許文献1には、回転ステージとして機能する被写体台を光軸に沿った回転軸周りに回転させることによって、格子とサンプル(被写体)との相対的な角度を変えた配向撮影により、配向画像を生成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-89195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には開示されていないが、位相コントラスト画像の撮影前に、被写体が写るプレビュー画像が、X線位相イメージング装置の表示部に表示される場合がある。上記特許文献1には開示されていないが、プレビュー画像とは、位相コントラスト画像の撮影の前に、位相コントラスト画像の撮影条件よりも簡易な撮影条件により撮影された画像である。上記特許文献1には開示されていないが、ユーザは、表示部に表示されたプレビュー画像において、被写体の位置を確認することができる。
【0006】
ここで、上記特許文献1には開示されていないが、たとえば、被写体と複数の格子との相対回転角度を0度から45度に変えて配向撮影が行われる際に、相対回転角度が0度において、格子支持部は位相コントラスト画像の上端および下端に沿って写り込む場合がある。また、相対回転角度が45度において、格子支持部は位相コントラスト画像の四隅において45度に傾斜して写り込む場合がある。この場合、相対回転角度が0度のプレビュー画像の四隅に対応する位置に配置された被写体は、相対回転角度が0度では撮影可能範囲にあるため位相コントラスト画像において撮影されるが、相対回転角度が45度では格子支持部と重なるため撮影可能範囲の外側となり、位相コントラスト画像において撮影されない可能性がある。そのため、複数の格子と被写体とが相対回転されて位相コントラスト画像が撮影される場合において、相対回転される被写体が撮影可能範囲の外側に配置されることを抑制できることが望まれている。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、複数の格子と被写体とが相対回転されて位相コントラスト画像が撮影される場合において、相対回転される被写体が撮影可能範囲の外側に配置されることを抑制することが可能なX線位相イメージング装置およびX線位相イメージング装置におけるプレビュー画像の表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の局面におけるX線位相イメージング装置は、X線源と、X線源から照射されたX線を検出する検出器と、X線源と検出器との間に配置された複数の格子と、X線の光軸方向と直交する面内において、複数の格子と被写体とを相対回転させる回転機構と、X線源および検出器により生成された検出信号から位相コントラスト画像を生成し、かつ、位相コントラスト画像の撮影前にX線源および検出器により生成された検出信号からプレビュー画像を生成する画像処理部と、画像処理部によって生成されたプレビュー画像を表示部に表示させ、かつ、複数の格子と被写体との相対回転角度に対応付けられた位相コントラスト画像の撮影可能範囲を識別可能に表示部に表示する制御を行う制御部と、を備える。
【0009】
この発明の第2の局面におけるX線位相イメージング装置におけるプレビュー画像の表示方法は、X線源と検出器と複数の格子とを備えるX線位相イメージング装置におけるプレビュー画像の表示方法であって、位相コントラスト画像の撮影前に、X線源および検出器により生成された検出信号から、プレビュー画像を生成するステップと、表示部にプレビュー画像を表示するステップと、プレビュー画像における、複数の格子と被写体との相対回転角度に対応付けられた位相コントラスト画像の撮影可能範囲を表示部に識別可能に表示するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
プレビュー画像には、相対回転角度に対応付けられた撮影可能な撮影可能範囲が識別可能に表示されるので、ユーザは、位相コントラスト画像の撮影前において、被写体の撮影可能範囲を一見して認識することができる。そのため、複数の格子と被写体とが相対回転されて位相コントラスト画像が撮影される場合において、相対回転される被写体が撮影可能範囲の外側に配置されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態によるX線位相イメージング装置の全体構成を示した模式図である。
図2】位相コントラスト画像の一例を示す模式図である。
図3】CT画像の一例を示す模式図である。
図4】撮影可能範囲が表示されていないプレビュー画像の一例を示す模式図である。
図5】2次元画像撮影モードにおいて撮影可能範囲が表示されたプレビュー画像の一例を示す模式図である。
図6】格子回動機構の一例を示す模式図である。
図7】格子移動機構の一例を示す模式図である。
図8】格子の並進移動を説明するための説明図である。
図9】複数の角度に配置させて撮像された複数の暗視野像および全散乱像の模式図である。
図10】複数の撮影モードを説明するための説明図である。
図11】2次元画像撮影モードにおける複数の位相コントラストを被写体の位置を固定して重ねた説明模式図である。
図12】CT画像撮影モードにおける複数の位相コントラストを被写体の位置を固定して重ねた説明模式図である。
図13】CT画像撮影モードにおいて撮影可能範囲が表示されたプレビュー画像の一例を示す模式図である。
図14】撮影可能範囲の表示制御処理を説明するためのフロー図である。
図15】変形例1の撮影可能範囲が表示されたプレビュー画像の一例を示す模式図である。
図16】変形例2の撮影可能範囲が表示されたプレビュー画像の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具現化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
(X線位相イメージング装置の全体構成)
図1を参照して、一実施形態によるX線位相イメージング装置100の全体構成について説明する。
【0014】
図1に示すように、X線位相イメージング装置100は、タルボ(Talbot)効果を利用して、被写体90の内部を画像化する装置である。
【0015】
図1は、X線位相イメージング装置100をX方向から見た図である。図1に示すように、X線位相イメージング装置100は、X線源1と、第1格子2と、第2格子3と、検出器4と、画像処理部5と、制御部6と、格子回動機構7と、格子移動機構8と、格子位置調整機構9と、被写体載置部10と、回転機構11と、表示部12と、記憶部13とを備えている。なお、本明細書において、X線源1から第1格子2に向かう方向をZ2方向、その逆方向の方向をZ1方向とする。また、Z方向と直交する面内の左右方向をX方向とし、図1の紙面の奥に向かう方向をX2方向、図1の紙面の手前側に向かう方向をX1方向とする。また、Z方向と直交する面内の上下方向をY方向とし、上方向をY1方向、下方向をY2方向とする。また、Z方向は、特許請求の範囲の「X線の光軸方向」の一例である。なお、制御部6、表示部12および記憶部13の各々の位置関係は、図示の便宜上の位置関係であり、図1の位置関係に限定されない。また、第1格子2および第2格子3は、特許請求の範囲の「複数の格子」の一例である。
【0016】
X線源1は、高電圧が印加されることにより、X線を発生させる。X線源1は、発生させたX線をZ2方向に向けて照射するように構成されている。
【0017】
第1格子2は、複数のスリット2aおよびX線位相変化部2bを有している。各スリット2aおよびX線位相変化部2bは、Y方向に所定の周期(ピッチ)d1で配列されている。各スリット2aおよびX線位相変化部2bはそれぞれ、直線状に延びるように形成されている。また、各スリット2aおよびX線位相変化部2bはそれぞれ、平行に延びるように形成されている。第1格子2は、いわゆる位相格子である。
【0018】
第1格子2は、X線源1と、第2格子3との間に配置されており、X線源1からX線が照射される。第1格子2は、タルボ効果により、第1格子2の自己像91(図8参照)を形成するために設けられている。可干渉性を有するX線が、スリット2aが形成された格子を通過すると、格子から所定の距離(タルボ距離)離れた位置に、格子の像(自己像91)が形成される。これをタルボ効果という。
【0019】
第2格子3は、複数のX線透過部3aおよびX線吸収部3bを有する。各X線透過部3aおよびX線吸収部3bは、Y方向に所定の周期(ピッチ)d2で配列されている。各X線透過部3aおよびX線吸収部3bはそれぞれ、直線状に延びるように形成されている。また、各X線透過部3aおよびX線吸収部3bはそれぞれ、平行に延びるように形成されている。第2格子3は、いわゆる、吸収格子である。第1格子2、第2格子3はそれぞれ異なる役割を持つ格子であるが、スリット2aおよびX線透過部3aはそれぞれX線を透過させる。また、X線吸収部3bはX線を遮蔽する。また、X線位相変化部2bはスリット2aとの屈折率の違いによってX線の位相を変化させる。
【0020】
第2格子3は、第1格子2と検出器4との間に配置されており、第1格子2を通過したX線が照射される。また、第2格子3は、第1格子2から所定のタルボ距離だけ離れた位置に配置される。第2格子3は、第1格子2の自己像91と干渉して、検出器4の検出表面上にモアレ縞を形成する。
【0021】
検出器4は、X線を検出するとともに、検出されたX線を電気信号に変換し、変換された電気信号を画像信号として読み取るように構成されている。検出器4は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)である。検出器4は、複数の変換素子(図示せず)と複数の変換素子上に配置された画素電極(図示せず)とにより構成されている。複数の変換素子および画素電極は、所定の周期(画素ピッチ)で、X方向およびY方向にアレイ状に配列されている。また、検出器4は、取得した画像信号を、画像処理部5に出力するように構成されている。
【0022】
被写体載置部10は、X線源1と検出器4との間に配置され、被写体90を載置するように構成されている。被写体90は、被写体90を保持するための保持具(図示せず)などを介して被写体載置部10に載置されることがある。
【0023】
画像処理部5は、X線源1および検出器4により生成された検出信号から、位相コントラスト画像20(図2参照)を生成するように構成されている。位相コントラスト画像20は、吸収像21(図2参照)、微分位相像22(図2参照)および暗視野像23(図2参照)を含む。本実施形態において、画像処理部5は、少なくとも暗視野像23を生成するように構成されている。なお、吸収像21、微分位相像22および暗視野像23の各々が異なる画像であることを示すために、互いに異なるハッチングを付している。
【0024】
また、画像処理部5は、被写体90と、X線源1、検出器4および複数の格子とを第2軸線96周りに相対回転させながら撮像されて生成された複数の位相コントラスト画像20から、3次元のCT(Computed Tomography)画像24(図3参照)を生成するように構成されている。3次元のCT画像24には、吸収像のCT画像25(図3参照)、微分位相像のCT画像26(図3参照)および暗視野像のCT画像27(図3参照)が含まれる。本実施形態において、画像処理部5は、少なくとも暗視野像のCT画像27を生成するように構成されている。なお、吸収像のCT画像25、微分位相像のCT画像26および暗視野像のCT画像27の各々が異なる画像であることを示すために、互いに異なるハッチングを付している。
【0025】
暗視野像とは、物体の小角散乱に基づくVisibilityの変化に基づいて位相処理を行って得られる、Visibility像のことである。暗視野像は、小角散乱像とも呼ばれる。「Visibility」とは、自己像91の鮮明度のことである。また、吸収像とは、X線が被写体90を通過した際に生じるX線の減衰に基づいて位相処理を行い画像化した像である。また、微分位相像とは、X線が被写体90を通過した際に発生するX線の位相のずれをもとに位相処理を行い画像化した像である。
【0026】
また、画像処理部5は、位相コントラスト画像20の撮影前にX線源1および検出器4により生成された検出信号から、プレビュー画像28(図4参照)を生成するように構成されている。プレビュー画像28(図4参照)は、位相コントラスト画像20の撮影の前に、位相コントラスト画像20の撮影条件よりも露光時間を短くする、管電圧または管電流を小さくするなどの簡易な撮影条件により撮影された画像である。また、プレビュー画像28は、X線源1からX線が照射された被写体90が撮影された時間的に連続するX線画像が順次更新されることによって得られる動画像であり、透視画像ともいう。また、プレビュー画像28(図4参照)は、X線源1からX線が照射された被写体90のX線画像のコマ送りの静止画像であっても良い。なお、プレビュー画像28(図4参照)は、画像処理部5による位相処理が行われていない、モアレ縞(図示せず)が写る画像である。
【0027】
画像処理部5は、たとえば、GPU(Graphics Processing Unit)や画像処理用に構成されたFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプロセッサを含む。
【0028】
制御部6は、格子回動機構7を介して、格子を回動させることにより、格子と被写体90との角度(格子回転角度)を変更するように構成されている。また、制御部6は、格子移動機構8を介して、第1格子2を格子面内において縦方向(Y方向)または横方向(X方向)に移動可能に構成されている。また、制御部6は、回転機構11を介して、被写体90を第1軸線95および第2軸線96周りに回転させることにより、被写体90と、X線源1、検出器4および複数の格子とを相対回転させるように構成されている。
【0029】
また、制御部6は、画像処理部5により生成されたプレビュー画像28を表示部12に表示させるように構成されている。また、制御部6は、表示部12において、プレビュー画像28における、複数の格子と被写体90(被写体載置部10)との相対回転角度に対応付けられた位相コントラスト画像20の撮影可能範囲30(図5参照)を識別可能に表示する制御を行うように構成されている。制御部6がプレビュー画像28における撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御については、後述する。制御部6は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含む。
【0030】
格子回動機構7は、制御部6からの信号に基づいて、X線の光軸方向と直交する面内において、第1格子2および第2格子3を回動させるように構成されている。格子回動機構7は、第1格子2および第2格子3にそれぞれ設けられている。格子回動機構7は、格子を保持する格子支持部70と、格子支持部70を回動させる回動部71とを含む。格子支持部70は、複数の格子の各々を支持し、複数の格子とともに相対回転される。格子回動機構7は、格子を回動させることにより、格子と被写体90との角度を変更するように構成されている。なお、格子回動機構7は、特許請求の範囲の「回転機構」の一例である。格子回動機構7が格子を回動させる詳細な構成については後述する。
【0031】
格子移動機構8は、制御部6からの信号に基づいて、第1格子2を縦方向(Y方向)または横方向(X方向)に移動可能に構成されている。縦方向とは、X線の光軸方向(Z方向)と直交する水平方向(X方向)を基準とした場合、格子を配置する向きが略90度のことである。また、横方向とは、X線の光軸方向(Z方向)と直交する水平方向(X方向)を基準とした場合、格子を配置する向きが略0度のことである。格子移動機構8が格子を移動させる詳細な構成については後述する。また、格子移動機構8は、格子位置調整機構9を介して格子回動機構7を保持している。
【0032】
格子位置調整機構9は、制御部6からの信号に基づいて、第1格子2の複数の格子間における相対位置を調整するように構成されている。格子位置調整機構9による複数の格子の格子間における相対位置を調整する詳細な構成については後述する。
【0033】
回転機構11は、制御部6からの信号に基づいて、被写体90(被写体載置部10)と、X線源1、検出器4および複数の格子とを相対回転させるように構成されている。回転機構11は、第1回転機構11aと、第2回転機構11bとを含む。第1回転機構11aは、被写体90が載置される被写体載置部10を含み、X線源1と正対した状態において、X線の照射軸と同一直線状であり、かつ、被写体載置部10の中心を通る第1軸線95周りの第1回転方向に回転させるように構成されている。第2回転機構11bは、第1回転機構11aを保持し、第1軸線95と直交する方向に延びる第2軸線96周りの第2回転方向に第1回転機構11aを回転させるように構成されている。回転機構11は、モータなどを含む。なお、第1回転機構11aは、特許請求の範囲の「回転機構」の一例である。
【0034】
記憶部13は、制御部6が実行するプログラムと、画像処理部5が生成した2次元の位相コントラスト画像20およびCT画像24と、複数の撮影モードA~Gと、複数の撮影モード毎に異なる、複数の格子と被写体90との相対回転角度に対応付けられた、位相コントラスト画像20の撮影可能範囲30とが記憶される。撮影可能範囲30は、相対回転されて撮影される位相コントラスト画像毎に取得され、記憶部13に記憶されている。記憶部13は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)または不揮発性のメモリなどを含む。なお、本明細書において、相対回転角度とは、X線の光軸方向と直交する面内における、第1格子2および第2格子3と被写体90との角度のことである。相対回転角度は、格子回転角度と、被写体回転角度とを含む。格子回転角度とは、後述する2次元画像撮影モードにおける、格子回動機構7により第1格子2および第2格子3を回動させることによる、格子と被写体90との角度のことである。また、被写体回転角度とは、後述するCT画像撮影モードにおける、第1回転機構11aにより被写体載置部10を回動させることによる、被写体90と格子との角度のことである。
【0035】
表示部12には、制御部6により、プレビュー画像28が表示される。表示部12は、たとえば、液晶モニタを含む。
【0036】
(格子回動機構、格子移動機構および格子位置調整機構)
図6図7を参照して、格子回動機構7、格子移動機構8および格子位置調整機構9の構成について説明する。
【0037】
図6に示すように、格子回動機構7は、格子を保持する格子支持部70と、格子支持部70を回動させる回動部71とを含む。格子支持部70は、第1格子2および第2格子3の各々と接触した状態で第1格子2および第2格子3の各々を内部に保持するように構成されている。また、格子支持部70は、円盤状に形成されている。また、格子支持部70は、外周面が歯車状に形成されている。
【0038】
回動部71は、駆動部(図示せず)と回転部71aとを含む。駆動部は、モータ、エンコーダーなどを含む。回転部71aは、円盤状に形成されている。また、回転部71aは、外周面が歯車状に形成されている。また、回転部71aは、駆動部によって回転されるように構成されている。なお、図6においては、第1格子2を回動させる格子回動機構7を図示しているが、第2格子3を回動させる格子回動機構7も、第1格子2を回動させる格子回動機構7と同様の構成である。
【0039】
図7に示すように、格子移動機構8は、光軸方向(Z方向)に直交する面内(XY面内)において、格子を縦方向(Y方向)または横方向(X方向)に移動可能に構成されている。具体的には、図7に示すように、格子移動機構8は、X方向直動機構80と、Y方向直動機構81とを含む。X方向直動機構80は、X方向に並進移動可能に構成されている。X方向直動機構80は、たとえば、ステッピングモータなどを含む。Y方向直動機構81は、Y方向に並進移動可能に構成されている。Y方向直動機構81は、たとえば、ステッピングモータなどを含む。格子移動機構8は、X方向直動機構80の動作により、格子位置調整機構9を介して格子回動機構7をX方向に並進させるように構成されている。また、格子移動機構8は、Y方向直動機構81の動作により、格子位置調整機構9を介して格子回動機構7をY方向に並進させるように構成されている。すなわち、格子移動機構8は、格子回動機構7とともに、第1格子2を移動させるように構成されている。
【0040】
また、図7に示すように、格子位置調整機構9は、格子移動機構8上に保持されている。格子位置調整機構9は、ステージ支持部99と、駆動部97と、ステージ98とを含む。ステージ支持部99は、ステージ98を下方(Y1方向)から支持している。駆動部97は、ステージ支持部99をX方向に往復移動させるように構成されている。ステージ98は、底部がステージ支持部99に向けて凸曲面状に形成されており、X方向に往復移動されることにより、Z方向の中心軸線周りに回動するように構成されている。各格子を大きく回動させることにより各格子の向きを変更する格子回動機構7とは異なり、格子位置調整機構9は、格子のXY面内における微細な角度のずれを調整する機構である。
【0041】
(格子の並進移動)
図8を参照して、制御部6が、格子移動機構8により格子を並進移動させる処理について説明する。本実施形態では、画像処理部5は、縞走査法により、位相コントラスト画像20を生成する。縞走査法とは、格子の1周期分以上、格子を並進移動させながら複数の画像を撮像することによって、検出されるX線の検出信号曲線(ステップカーブ)に基づいて画像を生成する手法である。本実施形態では、格子移動機構8は、第1格子2を第2格子3の1周期(d2)分以上並進移動させるように構成されている。図6に示す例は、格子が横向き(X方向)に配置されている場合の格子の並進移動を示した模式図である。格子が横向き(X方向)に配置されている場合、制御部6は、格子位置調整機構9を介して第1格子2をY2方向に並進移動させる。
【0042】
(複数の暗視野像の生成、合成および配向カラーマップの生成)
図9を参照して、複数の暗視野像23の生成、合成および配向カラーマップの生成を説明する。
【0043】
画像処理部5は、暗視野像23の位相コントラスト画像20を生成する場合に、X線の光軸方向と直交する面内において、格子回動機構7により格子を複数の角度に配置させて撮像された複数の暗視野像23を生成するように構成されている。複数の角度は、格子の格子回転角度(相対回転角度)と、格子回動機構7を介して第1格子2および第2格子3を所定角度回動させた格子回転角度とを含む。所定角度は、たとえば、90度である。なお、所定角度および複数の角度に配置させて撮像される暗視野像23の数は、特に限定されない。
【0044】
また、画像処理部5は、光軸方向と直交する面内において、格子を複数の角度に配置して撮像された複数の暗視野像23を合成して、被写体90によるX線の散乱の強度を表す全散乱像29を生成するように構成されている。なお、全散乱像29とは、格子角度を変えて撮像することにより取得された各方向の散乱の合計に相当する像である。
【0045】
制御部6は、格子回動機構7を介して、第1格子2および第2格子3を相対回転角度が0度(X方向)に配置する。制御部6は、格子移動機構8を介して第1格子2を並進移動させながら、被写体90を撮像する。画像処理部5は、被写体90の暗視野像23を生成する。
【0046】
図9(A)は、格子を相対回転角度が0度(X方向)に配置して撮像された暗視野像23である。図9(A)に示す例では、格子を相対回転角度が0度(X方向)に配置しているため、被写体90の内部にある傷93のうち、X方向に延びる傷93aが描出されている。なお、円形の領域94は、被写体90に打撃を与えた際の打撃痕である。
【0047】
次に、制御部6は、格子回動機構7を介して第1格子2および第2格子3を所定角度回動させることにより、第1格子2および第2格子3を相対回転角度が90度(Y方向)に配置する。制御部6は、格子移動機構8を介して第1格子2を並進移動させながら、被写体90を撮像する。画像処理部5は、被写体90の暗視野像23を生成する。
【0048】
図9(B)は、格子を相対回転角度が90度(Y方向)に配置して撮像された暗視野像23である。図9(B)に示す例では、格子を相対回転角度が90度(Y方向)に配置しているため、被写体90の内部にある傷93のうち、Y方向に延びる傷93bが描出されている。なお、円形の領域94は、被写体90に打撃を与えた際の打撃痕である。
【0049】
次に、画像処理部5は、格子をX方向に配置して撮像した暗視野像23と、格子をY方向に配置して撮像した暗視野像23とを合成した全散乱像29を生成する。合成手法としては、公知の手法を用いれば良く、特に限定されない。
【0050】
図9(C)は、格子をX方向に配置して撮像した暗視野像23と、格子をY方向に配置して撮像した暗視野像23とを合成した全散乱像29である。図9(C)に示す例では、楕円形の領域16は、被写体90の層間の剥離によって、Y方向およびX方向に散乱されたX線が検出された領域である。
【0051】
次に、画像処理部5は、全散乱像29から配向カラーマップ画像(図示せず)を生成する。配向カラーマップ画像は、たとえば、被写体90に含まれる樹脂および繊維の配向を色で表現した画像である。配向カラーマップ画像は、被写体90に含まれる樹脂および繊維の配向度および方向を、画素毎に表現することができる。また、配向カラーマップ画像は、被写体90に含まれる樹脂および繊維の量および方向を、画素毎に表現することができる。配向カラーマップ画像の生成手法としては、公知の手法を用いれば良く、特に限定されない。
【0052】
(撮影モード)
図10を参照して、複数の撮影モードA~Gについて説明する。本実施形態において、複数の撮影モードA~Gは、2次元の位相コントラスト画像20を生成する2次元画像撮影モードと、2次元の位相コントラスト画像20を生成するとともに、生成した位相コントラスト画像20から3次元のCT画像24を生成するCT画像撮影モードとを含む。2次元の位相コントラスト画像20には、少なくとも暗視野像23が含まれる。3次元のCT画像には、少なくとも暗視野像のCT画像27が含まれる。ユーザにより、位相コントラスト画像20の撮影前に、複数の撮影モードA~Gのうちから1の撮影モードが選択されうる。
【0053】
2次元画像撮影モードは、撮影モードAと、撮影モードBと、撮影モードCとを含む。撮影モードAは、複数の格子と被写体90(被写体載置部10)との相対回転角度(格子回転角度)として1の相対回転角度において撮影される。一例として、撮影モードAの相対回転角度は、0度である。撮影モードBは、複数の格子と被写体90との相対回転角度(格子回転角度)として2の相対回転角度において撮影される。一例として、撮影モードBの相対回転角度は、0度および180度である。撮影モードCは、複数の格子と被写体90との相対回転角度(格子回転角度)として4の相対回転角度おいて撮影される。一例として、撮影モードCの相対回転角度は、0度、45度、90度および135度である。撮影モードCは、特許請求の範囲における「第1撮影モード」の一例である。なお、撮影モードCにおいて暗視野像23を生成する場合に、画像処理部5は、複数の暗視野像23に基づいて、配向カラーマップ画像を生成しうる。
【0054】
2次元画像撮影モードでは、制御部6は、格子回動機構7により第1格子2および第2格子3を回動させることにより、X線の光軸方向と直交する面内において格子と被写体90との角度を変更するように構成されている。
【0055】
CT画像撮影モードは、撮影モードDと、撮影モードEと、撮影モードFと、撮影モードGとを含む。撮影モードDは、複数の格子と被写体90(被写体載置部10)との相対回転角度(被写体回転角度)として1の相対回転角度において撮影される。一例として、撮影モードDの相対回転角度は、0度である。撮影モードEは、複数の格子と被写体90との相対回転角度(被写体回転角度)として2の相対回転角度において撮影される。一例として、撮影モードEの相対回転角度は、0度および180度である。撮影モードFは、複数の格子と被写体90との相対回転角度(被写体回転角度)として4の相対回転角度において撮影される。一例として、撮影モードFの相対回転角度は、0度、45度、90度および135度である。撮影モードGは、複数の格子と被写体90との相対回転角度(被写体回転角度)として8の相対回転角度において撮影される。一例として、撮影モードGの相対回転角度は、0度、22.5度、45度、67.5度、90度、112.5度、135度、および、157.5度である。撮影モードFおよび撮影モードGは、特許請求の範囲における「第2撮影モード」の一例である。なお、撮影モードFおよび撮影モードGにおいて暗視野像のCT画像27を生成する場合に、画像処理部5は、複数の暗視野像23に基づいて配向カラーマップ画像を生成しうる。
【0056】
CT画像撮影モードでは、制御部6は、第1回転機構11aにより被写体載置部10を回動させることにより、X線の光軸方向と直交する面内において被写体90と格子との角度を変更するように構成されている。
【0057】
(制御部による撮影可能範囲を識別可能に表示する制御)
図4、5、図11図13を参照して、制御部6による撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御について説明する。制御部6による撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御は、2次元画像撮影モードの撮影モードCと、CT画像撮影モードの撮影モードFおよび撮影モードGにおいて実行される。制御部6は、ユーザにより選択された撮影モードに基づいて撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御を行うように構成されている。
【0058】
制御部6は、撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御として、複数の格子と被写体90(被写体載置部10)との相対回転角度に対応付けられた位相コントラスト画像20の撮影可能範囲30を示す標識32をプレビュー画像28に対して重畳する制御を行う。
【0059】
(2次元画像撮影モードの撮影モードCにおける制御)
図4は、撮影モードCにおける、相対回転角度(格子回転角度)が0度のプレビュー画像28を示す模式図である。相対回転角度が0度のプレビュー画像28では、格子支持部70がプレビュー画像28の上端および下端に沿って、プレビュー画像28に写り込んでいる。プレビュー画像28には、格子サイズと画角との関係上、格子支持部70が写り込む。格子支持部70に対応する位置と重ならない範囲が、撮影可能範囲30である。なお、撮影モードCでは、被写体90と複数の格子との相対回転角度が0度、45度、90度および135度において撮影が行われる。
【0060】
図11は、説明の便宜上、相対回転角度が0度の位相コントラスト画像20aに対して、相対回転角度が45度の位相コントラスト画像20b、相対回転角度が90度の位相コントラスト画像20cおよび相対回転角度が135度の位相コントラスト画像20dを被写体90の位置を固定して重ねた説明模式図である。説明の便宜上、被写体90は図示していない。また、説明の便宜上、位相コントラスト画像毎に異なるハッチングを付した格子支持部70を図示している。格子支持部70に対応する位置は、複数の格子と被写体90との相対回転角度に応じて、被写体に対して4つの相対回転角度から撮影された複数の位相コントラスト画像毎に異なりうる。すなわち、撮影可能範囲30も、複数の位相コントラスト画像毎に異なりうる。
【0061】
記憶部13(図1参照)には、複数の格子と被写体90(被写体載置部10)との相対回転角度(格子回転角度)に対応付けられた位相コントラスト画像20の撮影可能範囲30が予め記憶されている。記憶部13には、相対回転角度が0度におけるプレビュー画像28に写り込む格子支持部70の位置を基準として、複数の相対回転角度毎における位相コントラスト画像20に写り込む格子支持部70に対応する位置が予め算出され、複数の撮影可能範囲30として記憶されている。記憶部13には、複数の撮影可能範囲30は、複数の格子と被写体90との相対回転角度に対応付けられて記憶されている。記憶部13には、撮影モードCにおける4つの撮影可能範囲30が記憶されている。
【0062】
制御部6(図1参照)は、撮影モードCにおける撮影可能範囲30を、4つの相対回転角度(格子回転角度)の各々のプレビュー画像28に写り込む格子支持部70に対応する位置に基づいて、予め設定された領域とするように構成されている。また、制御部6は、撮影モードCにおける撮影可能範囲30を、相対回転角度毎の撮影可能範囲30が重なる範囲とするように構成されている。
【0063】
図5は、撮影モードCにおける、制御部6による撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御がなされたプレビュー画像28を示す模式図である。具体的には、図5(A)に示すように、制御部6は、撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御として、撮影可能範囲30を線31で示す制御を行う。撮影モードCにおける撮影可能範囲30は、八角形状を有している。制御部6は、撮影可能範囲30として八角形状の枠線画像をプレビュー画像28に表示させる。なお、図5(B)は、説明の便宜上、プレビュー画像28における撮影可能範囲30をハッチングにて示した図である。
【0064】
ユーザにより撮影モードCが選択された場合に、記憶部13に記憶された撮影可能範囲30に基づいて、制御部6は八角形状の枠線画像をプレビュー画像28に表示させる。
【0065】
(CT画像撮影モードの撮影モードFおよび撮影モードGにおける制御)
CT画像撮影モードの撮影モードFおよび撮影モードGにおける制御は、2次元画像撮影モードの撮影モードCにおける制御と、複数の格子と被写体載置部10との相対回転角度に対応付けられた位相コントラスト画像20の撮影可能範囲30が異なる。以下、この点を説明し、2次元画像撮影モードの撮影モードCにおける制御と同様の制御については説明を省略する。
【0066】
CT画像撮影モードの撮影モードGにおける位相コントラスト画像20の撮影可能範囲30について説明する。図12は、説明の便宜上、撮影モードGにおける、相対回転角度(被写体回転角度)が0度の位相コントラスト画像20eに対して、相対回転角度が22.5度の位相コントラスト画像20f、相対回転角度が45度の位相コントラスト画像20g、相対回転角度が67.5度の位相コントラスト画像20h、相対回転角度が90度の位相コントラスト画像20i、相対回転角度が112.5度の位相コントラスト画像20j、相対回転角度が135度の位相コントラスト画像20kおよび相対回転角度が157.5度の位相コントラスト画像20lを被写体90の位置を固定して重ねた説明模式図である。説明の便宜上、被写体90は図示していない。また、説明の便宜上、位相コントラスト画像毎に異なるハッチングを付した格子支持部70を図示している。格子支持部70に対応する位置は、複数の格子と被写体90との相対回転角度に応じて、被写体に対して8つの相対回転角度から撮影された複数の位相コントラスト画像毎に異なりうる。すなわち、撮影可能範囲30も、複数の位相コントラスト画像毎に異なりうる。
【0067】
記憶部13(図1参照)には、複数の格子と被写体90との相対回転角度(被写体回転角度)に対応付けられた位相コントラスト画像20の撮影可能範囲30が予め記憶されている。記憶部13には、撮影モードFにおける4つの撮影可能範囲30、および、撮影モードGにおける8つの撮影可能範囲30が記憶されている。
【0068】
制御部6は、撮影モードGにおける撮影可能範囲30を、8つの相対回転角度(被写体回転角度)の各々のプレビュー画像28に写り込む格子支持部70に対応する位置に基づいて、予め設定された領域とするように構成されている。また、制御部6は、撮影モードGにおける撮影可能範囲30を、相対回転角度毎の撮影可能範囲30が重なる範囲に基づく範囲とするように構成されている。
【0069】
図13は、撮影モードGにおける、制御部6による撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御がなされたプレビュー画像28を示す模式図である。具体的には、図13に示すように、制御部6は、撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御として、撮影可能範囲30を線31で示す制御を行う。撮影モードGにおいて、相対回転角度毎の撮影可能範囲30が重なる範囲は、十六角形状を有している。しかしながら、撮影可能範囲30の視認性を十六角形状よりも向上させるため、位相コントラスト画像20の撮影における撮影可能範囲30としての相対回転角度毎の撮影可能範囲30が重なる範囲として、十六角形状に内接する円形状としている。制御部は、撮影可能範囲30として円形状の枠線をプレビュー画像28に表示させる。なお、図13は、説明の便宜上、プレビュー画像28における撮影可能範囲30をハッチングにて示した図である。
【0070】
なお、撮影モードFにおいて、相対回転角度毎の撮影可能範囲30が重なる範囲は、八角形状を有している。しかしながら、位相コントラスト画像20の撮影における撮影可能範囲30としての相対回転角度毎の撮影可能範囲30が重なる範囲として、撮影モードGと同様に、八角形状に内接する円形状の枠線をプレビュー画像28に表示させる。
【0071】
ユーザにより撮影モードFまたは撮影モードGが選択された場合に、記憶部13に記憶された撮影可能範囲30に基づいて、制御部6は円形状の枠線画像をプレビュー画像28に表示させる。
【0072】
なお、2次元画像撮影モードの撮影モードA、および、CT画像撮影モードの撮影モードDでは、被写体90に対して1の相対回転角度から撮影される撮影であるため、撮影可能範囲30は変化しない。また、2次元画像撮影モードの撮影モードB、および、CT画像撮影モードの撮影モードEでは、複数の位相コントラスト画像20は上下を反対にして撮影された画像であるため、撮影可能範囲30は複数の位相コントラスト画像毎に異ならない。そのため、本実施形態では、制御部6による撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御は、2次元画像撮影モードの撮影モードA、および、CT画像撮影モードの撮影モードDでは実行されないように構成されている。
【0073】
(撮影可能範囲の表示制御処理)
図14を参照して、本実施形態による、撮影可能範囲30の表示制御処理を説明する。
【0074】
ステップS1において、画像処理部5は、位相コントラスト画像20の撮影前に、X線源1および検出器4により生成された検出信号から、プレビュー画像28を生成する。その後、処理はステップS2に進む。
【0075】
ステップS2において、制御部6は、画像処理部5により生成されたプレビュー画像28を表示部12に表示させる。その後、処理はステップS3に進む。
【0076】
ステップS3において、制御部6は、撮影モードの選択の入力操作がなされたか否かを判定する。制御部6は、撮影モードの選択の入力操作がなされたと判定した場合(ステップS3においてYes)、処理はステップS4に進み、制御部6は、撮影モードの選択の入力操作がなされていないと判定した場合(ステップS3においてNo)、処理はステップS3に進む。
【0077】
ステップS4において、制御部6は、選択された撮影モードとして、2次元画像撮影モードの撮影モードC、CT画像撮影モードの撮影モードFおよび撮影モードGのいずれかの入力操作がなされたか否かを判定する。制御部6は、撮影モードC、撮影モードFおよび撮影モードGのいずれかの入力操作がなされたと判定した場合(ステップS4においてYes)、処理はステップS5に進み、制御部6は、撮影モードC、撮影モードFおよび撮影モードGのいずれかの入力操作がなされていないと判定した場合(ステップS4においてNo)、処理は終了する。
【0078】
ステップS5において、制御部6は、選択された撮影モードに基づいて、プレビュー画像28に撮影可能範囲30を識別可能に表示させる。その後、処理は終了する。
【0079】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0080】
本実施形態では、上記のように、X線位相イメージング装置100は、X線源1と、X線源1から照射されたX線を検出する検出器4と、X線源1と検出器4との間に配置された複数の格子と、X線の光軸方向と直交する面内において、複数の格子と被写体90とを相対回転させる回転機構7、11aと、X線源1および検出器4により生成された検出信号から位相コントラスト画像20を生成し、かつ、位相コントラスト画像20の撮影前にX線源1および検出器4により生成された検出信号からプレビュー画像28を生成する画像処理部5と、画像処理部5によって生成されたプレビュー画像28を表示部12に表示させ、かつ、複数の格子と被写体90との相対回転角度に対応付けられた位相コントラスト画像20の撮影可能範囲を識別可能に表示部12に表示する制御を行う制御部6と、を備える。制御部6は、表示部12において、プレビュー画像28における、複数の格子と被写体90との相対回転角度に対応付けられた位相コントラスト画像20の撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御を行う。これにより、プレビュー画像28には、相対回転角度に対応付けられた撮影可能な撮影可能範囲30が識別可能に表示されるので、ユーザは、位相コントラスト画像20の撮影前において、被写体90の撮影可能範囲30を一見して認識することができる。そのため、複数の格子と被写体90とが相対回転されて位相コントラスト画像20が撮影される場合において、相対回転される被写体90が撮影可能範囲30の外側に配置されることを抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、X線位相イメージング装置100におけるプレビュー画像28の表示方法は、X線源1と検出器4と複数の格子とを備えるX線位相イメージング装置100におけるプレビュー画像28の表示方法であって、位相コントラスト画像20の撮影前に、X線源1および検出器4により生成された検出信号から、プレビュー画像28を生成するステップと、表示部12にプレビュー画像28を表示するステップと、プレビュー画像28における、複数の格子と被写体90との相対回転角度に対応付けられた位相コントラスト画像20の撮影可能範囲を表示部12に識別可能に表示するステップと、を備える。これにより、プレビュー画像28には、相対回転角度に対応付けられた撮影可能な撮影可能範囲30が識別可能に表示されるので、ユーザは、位相コントラスト画像20の撮影前において、被写体90の撮影可能範囲30を一見して認識することができる。そのため、複数の格子と被写体90とが相対回転されて位相コントラスト画像20が撮影される場合において、相対回転される被写体90が撮影可能範囲30の外側に配置されることを抑制することができる。
【0082】
また、上記実施形態では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0083】
すなわち、本実施形態では、上記のように、制御部6は、撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御として、複数の格子と被写体90との相対回転角度に対応付けられた位相コントラスト画像20の撮影可能範囲30を示す標識32をプレビュー画像28に対して重畳する制御を行う。複数の格子と被写体90との相対回転角度に対応付けられた位相コントラスト画像20の撮影可能範囲30を示す標識32をプレビュー画像28に対して重畳することにより、プレビュー画像28における撮影可能範囲30をユーザが容易に認識可能なように適切に表示させることができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、複数の格子の各々を支持し、複数の格子とともに相対回転される複数の格子支持部70をさらに備え、制御部6は、撮影可能範囲30を、プレビュー画像28に写り込む相対回転される格子支持部70に対応する位置に基づいて予め設定された領域とするように構成されている。これにより、プレビュー画像28に写り込む相対回転される格子支持部70に対応した撮影可能範囲30を予め設定することができるため、プレビュー画像28における撮影可能範囲30を容易に表示させることができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、第1回転機構11aにより複数の格子と被写体90とを相対回転させながら複数の位相コントラスト画像20が撮像される場合に、制御部6は、撮影可能範囲30を、相対回転角度毎の撮影可能範囲30が重なる範囲とするように構成されている。これにより、複数の格子と被写体90とを相対回転させながら複数の位相コントラスト画像20が撮像される場合に、複数の位相コントラスト画像20に対応した撮影可能範囲30を、プレビュー画像28における撮影可能範囲30として適切に表示させることができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、制御部6は、相対回転角度が、少なくとも、0度、45度、90度および135度において位相コントラスト画像20が撮像される場合に、プレビュー画像28における撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御を行う。これにより、相対回転角度が、少なくとも、0度、45度、90度および135度において位相コントラスト画像20が撮像される場合に、4種類の位相コントラスト画像20に対応した撮影可能範囲30を、プレビュー画像28における撮影可能範囲30として確実に表示させることができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、複数の撮影モードと、複数の撮影モード毎に異なる複数の撮影可能範囲30とを記憶する記憶部13をさらに備え、制御部6は、選択された撮影モードに基づいて撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御を行う。これにより、撮影可能範囲30が複数の位相コントラスト画像毎に異なりうる撮影モードが選択された場合に、プレビュー画像28における撮影可能範囲30を適切に表示させることができる。
【0088】
また、本実施形態では、上記のように、複数の撮影モードは、被写体90と、X線源1および検出器4とを相対回転させながら複数の回転角度において撮像された複数の位相コントラスト画像20を生成する撮影モードCと、被写体載置部10と、X線源1および検出器4とを相対回転させながら複数の回転角度において撮像された複数の位相コントラスト画像20を生成するとともに、生成された複数の位相コントラスト画像20からCT画像24を生成する撮影モードFおよび撮影モードGとを含み、撮影モードCの撮影可能範囲30は八角形状であり、撮影モードFおよび撮影モードGの撮影可能範囲30は円形状であるように構成されている。これにより、プレビュー画像28において、ユーザに対して、八角形状または円形状として構成された撮影可能範囲30を容易に認識させることができる。
【0089】
また、本実施形態では、上記のように、制御部6は、撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御として、撮影可能範囲30を線31で示す制御を行う。これにより、プレビュー画像28において、ユーザに対して、線31で示された撮影可能範囲30をより容易に認識させることができる。
【0090】
また、本実施形態では、上記のように、位相コントラスト画像20は暗視野像23である。これにより、複数の格子と被写体90とが相対回転されて暗視野像23が撮影される場合においても、相対回転される被写体90が撮影可能範囲30の外側に配置されることを適切に抑制することができる。
【0091】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0092】
たとえば、上記実施形態では、複数の格子と被写体90との相対回転角度に対応付けられた位相コントラスト画像20の撮影可能範囲30を示す標識32をプレビュー画像28に対して重畳する制御として、撮影可能範囲30を線31で示す制御を行う例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、複数の格子と被写体90との相対回転角度に対応付けられた位相コントラスト画像20の撮影可能範囲30を示す標識32を重畳する制御として、図15に示す変形例1のように、撮影可能範囲以外の領域が黒色で塗りつぶされた、複数の相対回転角度毎に対応付けられた位相コントラスト画像20の撮影可能範囲30を重ね合わせることにより、プレビュー画像28に位相コントラスト画像20の撮影可能範囲30を表示させても良い。
【0093】
また、上記実施形態では、複数の格子と被写体90との相対回転角度に対応付けられた位相コントラスト画像20の撮影可能範囲30を示す標識32をプレビュー画像28に対して重畳する制御を行う例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、プレビュー画像28における撮影可能範囲30を示す領域の外側を切り取る制御を行っても良い。
【0094】
すなわち、図16(A)に示す変形例2のように、プレビュー画像28において八角形状の撮影可能範囲30が形成される撮影モードCにおいて、撮影可能範囲30を示す八角形状の領域の外側を切り取ったプレビュー画像28を表示部12に表示させても良い。また、図16(B)に示すように、プレビュー画像28において円形状の撮影可能範囲30が形成される撮影モードFおよび撮影モードGにおいて、撮影可能範囲30を示す円形状の領域の外側を切り取ったプレビュー画像28を表示部12に表示させても良い。これらによっても、プレビュー画像28における撮影可能範囲30を適切に表示させることができる。
【0095】
また、本発明では、制御部6は、撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御として、撮影可能範囲30を線31で示す制御を行う例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、プレビュー画像28における撮影可能範囲30が識別可能に表示部12に表示されるのであれば、プレビュー画像28における撮影可能範囲30の表示方法は特に限定されない。
【0096】
また、上記実施形態では、制御部6は、撮影可能範囲30を、プレビュー画像28に写り込む格子支持部70に対応する位置に基づいて予め設定された領域とするように構成されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、制御部6は、撮影可能範囲30を、予め設定された座標値に基づいて設定されるように構成されていても良い。
【0097】
また、上記実施形態では、撮影モードCでは、被写体90と複数の格子との相対回転角度が0度、45度、90度および135度において撮影が行われ、撮影モードFでは、被写体90と複数の格子との相対回転角度が0度、45度、90度および135度において撮影が行われ、撮影モードGでは、被写体90と複数の格子との相対回転角度が0度、22.5度、45度、67.5度、90度、112.5度、135度、および、157.5度において撮影が行われる例を示したが、本発明はこれに限定されない。撮影モードC、撮影モードFおよび撮影モードGの複数の相対回転角度は3種類以上であれば良く、また、相対回転角度も上記角度に限定されない。
【0098】
また、上記実施形態では、制御部6は、撮影モードC、撮影モードFおよび撮影モードGが選択された場合に、プレビュー画像28における撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御を行う例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、制御部6は、選択された撮影モードのいずれにおいても、プレビュー画像28における撮影可能範囲30を識別可能に表示する制御を行っても良い。
【0099】
また、上記実施形態では、撮影モードCにおける撮影可能範囲30は八角形状であるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、撮影モードCにおける相対回転角度の数に応じた多角形状であっても良いし、円形状であっても良い。また、撮影モードFおよび撮影モードGの撮影可能範囲30は円形状であるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、撮影モードFおよび撮影モードG相対回転角度の数に応じた多角形状であっても良い。
【0100】
また、上記実施形態では、複数の格子は、第1格子2と第2格子3とを含む例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、複数の格子は、X線源1と第1格子2との間に配置された第3格子をさらに含んでいても良い。これにより、第3格子によってX線源1から照射されるX線の可干渉性を高めることができる。
【0101】
また、上記実施形態では、格子移動機構8が、第1格子2を並進移動させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、並進移動させる格子はいずれの格子であっても良い。
【0102】
また、上記実施形態では、画像処理部5は、少なくとも暗視野像23を生成するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、画像処理部5は、暗視野像23を生成せず、吸収像21および/または微分位相像22を生成しても良い。
【0103】
また、上記実施形態では、画像処理部5は、少なくとも暗視野像のCT画像27を生成するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、画像処理部5は、暗視野像のCT画像27を生成せず、吸収像のCT画像25および/または微分位相像のCT画像26を生成しても良い。
【0104】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0105】
(項目1)
X線源と、
前記X線源から照射されたX線を検出する検出器と、
前記X線源と前記検出器との間に配置された複数の格子と、
X線の光軸方向と直交する面内において、前記複数の格子と被写体とを相対回転させる回転機構と、
前記X線源および前記検出器により生成された検出信号から位相コントラスト画像を生成し、かつ、前記位相コントラスト画像の撮影前に前記X線源および前記検出器により生成された検出信号からプレビュー画像を生成する画像処理部と、
前記画像処理部によって生成された前記プレビュー画像を表示部に表示させ、かつ、前記複数の格子と前記被写体との相対回転角度に対応付けられた前記位相コントラスト画像の撮影可能範囲を識別可能に前記表示部に表示する制御を行う制御部と、を備える、X線位相イメージング装置。
【0106】
(項目2)
前記制御部は、前記撮影可能範囲を識別可能に表示する制御として、前記複数の格子と前記被写体との相対回転角度に対応付けられた前記位相コントラスト画像の撮影可能範囲を示す標識を前記プレビュー画像に対して重畳する制御を行うか、または、前記プレビュー画像における前記撮影可能範囲を示す領域の外側を切り取る制御を行う、項目1に記載のX線位相イメージング装置。
【0107】
(項目3)
前記複数の格子の各々を支持し、前記複数の格子とともに相対回転される複数の格子支持部をさらに備え、
前記制御部は、前記撮影可能範囲を、前記プレビュー画像に写り込む前記格子支持部に対応する位置に基づいて予め設定された領域とするように構成されている、項目1に記載のX線位相イメージング装置。
【0108】
(項目4)
前記回転機構により前記複数の格子と前記被写体とを相対回転させながら複数の前記位相コントラスト画像が撮像される場合に、前記制御部は、前記撮影可能範囲を、相対回転角度毎の前記撮影可能範囲が重なる範囲とするように構成されている、項目1に記載のX線位相イメージング装置。
【0109】
(項目5)
前記制御部は、前記相対回転角度が、少なくとも、0度、45度、90度および135度において前記位相コントラスト画像が撮像される場合に、前記プレビュー画像における前記撮影可能範囲を識別可能に表示する制御を行う、項目1に記載のX線位相イメージング装置。
【0110】
(項目6)
複数の撮影モードと、前記複数の撮影モード毎に異なる複数の前記撮影可能範囲とを記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、選択された前記撮影モードに基づいて前記撮影可能範囲を識別可能に表示する制御を行う、項目1に記載のX線位相イメージング装置。
【0111】
(項目7)
前記複数の撮影モードは、前記被写体部と、前記X線源および前記検出器とを相対回転させながら複数の回転角度において撮像された複数の前記位相コントラスト画像を生成する第1撮影モードと、前記被写体と、前記X線源および前記検出器とを相対回転させながら複数の回転角度において撮像された複数の前記位相コントラスト画像を生成するとともに、生成された複数の前記位相コントラスト画像からCT画像を生成する第2撮影モードとを含み、
前記第1撮影モードの前記撮影可能範囲は八角形状であり、前記第2撮影モードの前記撮影可能範囲は円形状であるように構成されている、項目6に記載のX線位相イメージング装置。
【0112】
(項目8)
前記制御部は、前記撮影可能範囲を識別可能に表示する制御として、前記撮影可能範囲を線で示す制御を行う、項目1~7のいずれか1項に記載のX線位相イメージング装置。
【0113】
(項目9)
前記位相コントラスト画像は暗視野像である、項目1~7のいずれかに1項に記載のX線位相イメージング装置。
【0114】
(項目10)
X線源と検出器と複数の格子とを備えるX線位相イメージング装置におけるプレビュー画像の表示方法であって、
位相コントラスト画像の撮影前に、前記X線源および前記検出器により生成された検出信号から、プレビュー画像を生成するステップと、
表示部に前記プレビュー画像を表示するステップと、
前記プレビュー画像における、前記複数の格子と被写体との相対回転角度に対応付けられた前記位相コントラスト画像の撮影可能範囲を前記表示部に識別可能に表示するステップと、を備える、表示方法。
【符号の説明】
【0115】
1 X線源
4 検出器
5 画像処理部
6 制御部
7 格子回動機構
11 回転機構
12 表示部
13 記憶部
20 位相コントラスト画像
23 暗視野像
24 CT画像
27 暗視野像のCT画像
28 プレビュー画像
30 撮影可能範囲
31 線
32 標識
90 被写体
100 X線位相イメージング装置
図1
図2
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