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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046541
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】燃料電池システムのホットモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240327BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20240327BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20240327BHJP
   H01M 8/2475 20160101ALI20240327BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/12 101
H01M8/04 J
H01M8/04746
H01M8/12 102A
H01M8/2475
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151980
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141092
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英生
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004082
【氏名又は名称】弁理士法人北大阪特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100141092
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英生
(72)【発明者】
【氏名】中島 達哉
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 俊之輔
(72)【発明者】
【氏名】藤木 広志
(72)【発明者】
【氏名】中西 志歩
(72)【発明者】
【氏名】中村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】大沢 智也
(72)【発明者】
【氏名】喜多 修士
(72)【発明者】
【氏名】加来 聡
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126AA28
5H126BB06
5H127AA07
5H127AC04
5H127AC15
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA19
5H127BA33
5H127BA57
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB27
5H127BB37
5H127CC03
5H127CC05
5H127DC73
5H127DC76
5H127EE02
5H127EE03
(57)【要約】
【課題】セルスタックの動作温度を適正範囲に維持することが容易となる燃料電池システムのホットモジュールを提供する。
【解決手段】燃料電池セルスタックと、冷却用空気が流通する冷却体と、を備え、前記冷却体を前記セルスタックの近傍に設置すると共に、前記冷却体に導入する冷却用空気の流量を調整することにより、ホットモジュール内部の熱量を制御する燃料電池システムのホットモジュールとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池セルスタックと、
冷却用空気が流通する冷却体と、を備え、
前記冷却体を前記セルスタックの近傍に設置すると共に、前記冷却体に導入する冷却用空気の流量を調整することにより、ホットモジュール内部の熱量を制御することを特徴とする燃料電池システムのホットモジュール。
【請求項2】
前記燃料電池セルスタックの複数個を集積してセルスタック集合体を構成し、
前記冷却体を前記セルスタック集合体の近傍に設置することを特徴とする請求項1に記載のホットモジュール。
【請求項3】
前記冷却体は、当該冷却体の内部を流通する冷却用空気の流れ方向と、前記セルスタックの内部を流通するアノード燃料の流れ方向とが略同じ方向になるように、前記セルスタックないし前記セルスタック集合体の近傍に設置されることを特徴とする請求項2に記載のホットモジュール。
【請求項4】
前記冷却体は、箱状または管状の形状を有することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のホットモジュール。
【請求項5】
前記冷却体は、その内部に冷却用空気の乱流を促進する構造物ないし充填物を有することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のホットモジュール。
【請求項6】
前記セルスタックは、一対の端板間に所定数の平板型発電セルを積層した構成であって、当該端板の少なくとも一方に、アノード燃料流入ポート、カソード空気流入ポート、アノードオフガス流出ポートおよびカソードオフガス流出ポートを有しており、
前記冷却体を前記端板の板面に沿って設置したことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のホットモジュール。
【請求項7】
カソード空気の導入母管となるマニホールドと、
前記カソード空気流入ポートと前記マニホールドとを接続する枝管と、を備え、
前記冷却体は、前記マニホールドおよび前記枝管とは別個の構成要素であることを特徴とする請求項6に記載のホットモジュール。
【請求項8】
前記冷却体を流通後の冷却用空気の少なくとも一部をカソード空気として前記セルスタックに供給することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のホットモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムのホットモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスタービン発電機やガスエンジン発電機に比べて環境有害物質の放出が少なく発電効率に優れる発電装置として、様々なタイプの燃料電池が開発されてきた。特に、固体酸化物形燃料電池(SOFC)は50%以上の高い発電効率が得られるため、産業用から家庭用まで広範な出力範囲の発電に利用される。
【0003】
燃料電池システムは、都市ガス等のメタン含有ガスを原燃料とする改質形と、水素を原燃料とする非改質形があるが、日本国内では水素供給インフラが整備途上であるため、前者が主流となっている。改質形燃料電池システムでは、発電のコアとなる燃料電池セルスタック(以下、単にセルスタックと称することがある)と燃料改質やガス予熱などに必要な補助機器をパッケージにして、熱的に自立可能なホットモジュールを構成している。ホットモジュールは、特許文献1~3に開示されるように、発電出力に応じた複数個のセルスタックを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2014-507759号公報
【特許文献2】特開2021-15674号公報
【特許文献3】特開2021-12806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
SOFCセルスタックの動作温度は、素材や製法の改良により、以前の700~900℃から近年は500~700℃まで低温化している。この動作温度の差は、主に発電セルの損失エネルギーに基因している。つまり、近年のセルスタックは、発電損失が改善されていると言える一方、発電セルを長期間使用していると、固体電解質および電極材料の活性低下、あるいはインターコネクタやガラスシール等の経年劣化が進み、損失エネルギーが初期状態よりも増大していく。すると、セルスタックの動作温度が徐々に上昇し、やがて適正範囲から外れることになる。セルスタックの動作温度が適正範囲から外れた状態で使用を続けると、燃料利用率を大幅に悪化させたり、ホットモジュールの熱バランスを損なったりするおそれがある。
【0006】
そこで、特許文献3では、カソード空気(酸化剤含有ガス)をホットモジュールに導入する前に冷却水で冷却し、低温のカソード空気をセルスタックに供給するように構成している。この構成によれば、セルスタックの内部の過剰な熱量がカソードオフガスに同伴して排出されることになり、セルスタックの動作温度が適正範囲に維持される。しかしながら、特許文献3の構成では、次の懸念点が存在する。
【0007】
第1の懸念点は、カソード空気の外部冷却によりセルスタックの動作温度を間接的に制御する一方で、セルスタックからの放熱量も完全に制御しなくてはならないことである。ホットモジュールの内部に蓄積した過剰な熱量を放出する手段を持たないため、セルスタック自体を断熱材で覆うなど、ホットモジュールの組立工数や材料コストを上昇させる特別な処置を必要とする。また、セルスタックからの放射伝熱を原燃料ガスの水蒸気改質反応等の熱自立に利用しないので、大量の余剰廃熱が発生することになり、モノジェネ型のSOFCシステムが成立し難い。
【0008】
第2の懸念点は、セルスタックの動作温度まで予熱されていないカソード空気の供給が、固体電解質の温度を下げる側に作用することである。そのため、セルスタックの発電性能が初期状態からあまり変化しておらず発電セルの損失エネルギーが微小であったとしても、カソード空気の低い温度が固体電解質のイオン透過能に悪影響を及ぼすことにより、発電反応量の低下を招くおそれがある。
【0009】
第3の懸念点は、冷却水を循環させるための付帯設備(循環ポンプやバッファタンク等)や冷却水の再冷却設備(冷却塔やチラー等)が必要になることである。そのため、システムのイニシャルコストが高額になるうえ、これら設備の電力消費によって発電効率が大幅に下がることもあり得る。また、大気開放型の水循環では、水中での細菌(特に、レジオネラ属菌)の繁殖を抑制するため、殺菌剤の添加やブローダウン等、適切な水質管理も必須となろう。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、セルスタックの動作温度を適正範囲に維持することが容易な燃料電池システムのホットモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る燃料電池システムのホットモジュールは、燃料電池セルスタックと、冷却用空気が流通する冷却体と、を備え、前記冷却体を前記セルスタックの近傍に設置すると共に、前記冷却体に導入する冷却用空気の流量を調整することにより、ホットモジュール内部の熱量を制御する構成とする。本構成によれば、ホットモジュールの内部に蓄積した過剰な熱量を放出する手段を有しているので、セルスタックの動作温度を適正範囲に維持することが容易となる。
【0012】
上記構成としてより具体的には、前記燃料電池セルスタックの複数個を集積してセルスタック集合体を構成し、前記冷却体を前記セルスタック集合体の近傍に設置する構成としても良い。また上記構成としてより具体的には、前記冷却体は、当該冷却体の内部を流通する冷却用空気の流れ方向と、前記セルスタックの内部を流通するアノード燃料の流れ方向とが略同じ方向になるように、前記セルスタックないし前記セルスタック集合体の近傍に設置される構成としても良い。なおここでの「略同じ方向」であるとは、一方の流体の入口基準点と出口基準点を結ぶ直線に沿った基準流れの方向と、他方の流体の基準流れの方向とが45°以内である場合のこととする。
【0013】
上記構成としてより具体的には、前記冷却体は、箱状または管状の形状を有する構成としても良い。上記構成としてより具体的には、前記冷却体は、その内部に冷却用空気の乱流を促進する構造物ないし充填物を有する構成としても良い。
【0014】
上記構成としてより具体的には、前記セルスタックは、一対の端板間に所定数の平板型発電セルを積層した構成であって、当該端板の少なくとも一方に、アノード燃料流入ポート、カソード空気流入ポート、アノードオフガス流出ポートおよびカソードオフガス流出ポートを有しており、前記冷却体を前記端板の板面に沿って設置した構成としても良い。
【0015】
上記構成としてより具体的には、カソード空気の導入母管となるマニホールドと、前記カソード空気流入ポートと前記マニホールドとを接続する枝管と、を備え、前記冷却体は、前記マニホールドおよび前記枝管とは別個の構成要素である構成としても良い。
【0016】
上記構成としてより具体的には、前記冷却体を流通後の冷却用空気の少なくとも一部をカソード空気として前記セルスタックに供給する構成としても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る燃料電池システムのホットモジュールによれば、セルスタックの動作温度を適正範囲に維持することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る燃料電池システム100の構成を示す説明図である。
図2】第1実施形態に係るホットモジュールHMの斜視図である。
図3】一部を不図示としたホットモジュールHMの斜視図である。
図4】一部を不図示としたホットモジュールHMの斜視図である。
図5】一部を不図示としたホットモジュールHMの斜視図である。
図6】一部を不図示としたホットモジュールHMの斜視図である。
図7】一部を不図示としたホットモジュールHMの側面図である。
図8】一部を不図示としたホットモジュールHMの側面図である。
図9】第1実施形態に係る改質ガス発生装置RGの側面図である。
図10】改質ガス発生装置RGの側方視断面図である。
図11】改質ガス発生装置RGにおけるバーナ近傍の構成図である。
図12】一部を不図示としたホットモジュールHMの側面図である。
図13】第1実施形態に係るセルスタック1の斜視図である。
図14】セルスタック1の平面図である。
図15】セルスタック1のフランジ付ガスポート近傍の上方視断面図である。
図16】第1実施形態に係るスタック集合体61の斜視図である。
図17】スタック集合体61の斜視図である。
図18】単位ラックにセルスタック1を搭載した状態の説明図である。
図19】第1実施形態に係るマニホールドから延びる枝管の説明図である。
図20】セルスタック1の各電力端子の接続形態に関する説明図である。
図21】一部を不図示としたホットモジュールHMの斜視図である。
図22】一部を不図示とした第2実施形態のホットモジュールの斜視図である。
図23】一部を不図示とした第3実施形態のホットモジュールの斜視図である。
図24】第4実施形態に係る燃料電池システム200の構成を示す説明図である。
図25】第4実施形態に係る冷却体110の斜視図である。
図26】冷却体110の断面図である。
図27】オフセットフィン117の概略的な斜視図である。
図28】第4実施形態に係るホットモジュール内の一構成例の説明図である。
図29】第4実施形態に係るホットモジュール内の別の構成例の説明図である。
図30】アノード燃料の流れ方向に関する説明図である。
図31】第5実施形態に係る冷却体110aの斜視図である。
図32】上方視による第1吸熱プレート111に関する説明図である。
図33】上方視による第2吸熱プレート112に関する説明図である。
図34】第1吸熱プレートと第2吸熱プレートを一体化したものの説明図である。
図35】第6実施形態の燃料電池システム200aの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の各実施形態について各図面を参照しながら説明する。
【0020】
1.第1実施形態
<燃料電池システムの構成概要>
まず本発明の第1実施形態に係る燃料電池システム100の構成概要について説明する。図1は、燃料電池システム100の構成を示す説明図である。図1に示すように燃料電池システム100は、複数のセルスタック(燃料電池セルスタック)1、改質器2、バーナ3、蒸発器4、空気予熱器5、アノードオフガス冷却器6、アノードオフガス凝縮器7、CO酸化器(一酸化炭素酸化器)8、凝縮水回収タンク9、第1原燃料ブロワ10、第1空気ブロワ11、水ポンプ12、第2原燃料ブロワ13、第2空気ブロワ14、パワーコンディショナ15、システムコントローラ16、および第3空気ブロワ17を備える。
【0021】
なお、本実施形態の例では、図1において図示を省略したものを含め、計8個のセルスタック1が備えられている。また以下の説明では、燃料電池システム100を単に「システム」と称することがある。
【0022】
また燃料電池システム100は、原燃料ラインLa、混合ガスラインLb、アノード燃料ラインLc、アノードオフガスラインLd、カソード空気ラインLe、カソードオフガスラインLf、燃焼ガスラインLg、バーナ冷却用空気ラインLh、改質水ラインLi、起動用空気ラインLj、冷却用空気ラインLk、および凝縮水回収ラインLwの各ライン(管路)を備える。
【0023】
アノード燃料ラインLcは、アノード燃料の導入母管となる第1分配マニホールドMaを含み、カソード空気ラインLeは、カソード空気の導入母管となる第2分配マニホールドMbを含む。これらの分配マニホールドMa,Mbは、入口と各セルスタック1に対応した複数の出口とを有しており、入口に流入した流体を各出口それぞれから流出させる。
【0024】
アノードオフガスラインLdは、アノードオフガスの導出母管となる第1収集マニホールドMcを含み、カソードオフガスラインLfは、カソードオフガスの導出母管となる第2収集マニホールドMdを含む。これらの収集マニホールドMc,Mdは、各セルスタック1に対応した複数の入口と出口を有しており、各入口それぞれに流入した流体を出口から流出させる。
【0025】
燃焼ガスラインLgは、熱放射筒Zaおよび燃焼ガス管Zbを含む。冷却用空気ラインLkは、冷却管Zcおよび収集管Lk1を含む。
【0026】
原燃料ラインLaは、燃料取入口E1とバーナ3を接続する管路であり、この管路中には第2原燃料ブロワ13が配置されている。第2原燃料ブロワ13は、燃料取入口E1から取り入れられた原燃料ガス(例えば都市ガス13A等のメタン含有ガス)Gfを昇圧して、原燃料ラインLaの下流側へ送る機器であり、典型的にはシステムのスタートアップ運転時に駆動される。
【0027】
混合ガスラインLbは、燃料取入口E2と改質器2を接続する管路であり、この管路中には上流側から順に、第1原燃料ブロワ10、蒸発器4、および第1ベローズ形伸縮管継手B1が配置されている。第1原燃料ブロワ10は、燃料取入口E2から取り入れられた原燃料ガスGaを昇圧して、混合ガスラインLbの下流側へ送る機器であり、典型的にはシステムの発電運転時に駆動される。
【0028】
アノード燃料ラインLcは、改質器2と各セルスタック1のアノードとを接続する管路である。より具体的に説明すると、アノード燃料ラインLcは上流側から順に、改質器2と第1分配マニホールドMaの入口とを接続する管路、第1分配マニホールドMa、および、第1分配マニホールドMaの各出口と各セルスタック1のアノードとを接続する8本の管路(第1分配マニホールドMaの枝管)を有する。
【0029】
アノードオフガスラインLdは、各セルスタック1のアノードとバーナ3とを接続する管路である。より具体的に説明すると、アノードオフガスラインLdは上流側から順に、各セルスタック1のアノードと第1収集マニホールドMcの各入口とを接続する8本の管路(第1収集マニホールドMcの枝管)、第1収集マニホールドMc、および、第1収集マニホールドMcの出口とバーナ3の第1ガス筒31(後述)とを接続する管路(以下、「管路Ld1」と称する。)を有する。管路Ld1の途中には、上流側から順に、第2ベローズ形伸縮管継手B2、アノードオフガス冷却器6、アノードオフガス凝縮器7、および気水分離部Saが配置されている。
【0030】
カソード空気ラインLeは、空気取入口E3と各セルスタック1のカソードとを接続する管路である。より具体的に説明すると、カソード空気ラインLeは上流側から順に、空気取入口E3と第2分配マニホールドMbの入口とを接続する管路(以下、「管路Le1」と称する。)、第2分配マニホールドMb、および、第2分配マニホールドMbの各出口と各セルスタック1のカソードとを接続する8本の管路(第2分配マニホールドMbの枝管)を有する。
【0031】
管路Le1の途中には、上流側から順に、第1空気ブロワ11、アノードオフガス冷却器6、空気予熱器5、および第3ベローズ形伸縮管継手B3が配置されている。第1空気ブロワ11は、空気取入口E3から取り入れられた空気Aaを昇圧して、カソード空気ラインLeの下流側へ送る機器であり、典型的にはシステムの発電運転時に駆動される。更に管路Le1においては、空気取入口E3とアノードオフガス冷却器6の中間点、および、空気予熱器5と第3ベローズ形伸縮管継手B3の中間点を結ぶように、アノードオフガス冷却器6と空気予熱器5を迂回するバイパス経路Le2が設けられている。
【0032】
カソードオフガスラインLfは、各セルスタック1のカソードとバーナ3とを接続する管路である。より具体的に説明すると、カソードオフガスラインLfは上流側から順に、各セルスタック1のカソードと第2収集マニホールドMdの各入口とを接続する8本の管路(第2収集マニホールドMdの枝管)、第2収集マニホールドMd、および、第2収集マニホールドMdの出口とバーナ3の第2ガス筒32(後述)とを接続する管路(以下、「管路Lf1」と称する。)を有する。
【0033】
燃焼ガスラインLgは、バーナ3とガス排出口D1とを接続する管路である。より具体的に説明すると、燃焼ガスラインLgは上流側から順に、熱放射筒Za、熱放射筒Zaと燃焼ガス管Zbとを接続する管路、燃焼ガス管Zb、および、燃焼ガス管Zbとガス排出口D1とを接続する管路(以下、「管路Lg1」と称する。)を有する。管路Lg1の途中には、上流側から順に、第4ベローズ形伸縮管継手B4、空気予熱器5、CO酸化器8、および、蒸発器4が配置されている。
【0034】
バーナ冷却用空気ラインLhは、管路Le1と起動用空気ラインLjとを接続する管路であり、この管路中には不図示の流量調整手段(オリフィス等)が設けられている。より具体的に説明すると、バーナ冷却用空気ラインLhは、第1空気ブロワ11とアノードオフガス冷却器6を接続する管路Le1の中間点で分岐し、第2空気ブロワ14の下流側で起動用空気ラインLjに合流する管路であり、第1空気ブロワ11の駆動時に微小流量の空気Abがバーナ3に向けて流通するように構成されている。なお、詳細は後述するが、バーナ3の燃焼温度によってはバーナ冷却用空気ラインLhを省略可能である。
【0035】
冷却用空気ラインLkは、空気取入口E5と管路Lg1の所定箇所(蒸発器4とガス排出口D1の間の箇所)とを接続する管路であり、この管路中には上流側から順に、第3空気ブロワ17および冷却管Zcが配置されている。第3空気ブロワ17は、空気取入口E5から取り入れられた冷却用空気Adを昇圧して、冷却用空気ラインLkの下流側へ送る機器である。
【0036】
改質水ラインLiは、凝縮水回収タンク9と蒸発器4とを接続する管路であり、この管路中には水ポンプ12が配置されている。水ポンプ12は、凝縮水回収タンク9に貯留した凝縮水Wbを改質水Waとして改質水ラインLiの下流側へ送る機器である。
【0037】
起動用空気ラインLjは、空気取入口E4と管路Lf1とを接続する管路であり、この管路中には第2空気ブロワ14が配置されている。第2空気ブロワ14は、空気取入口E4から取り入れられた空気Acを昇圧して、起動用空気ラインLjの下流側へ送る機器であり、典型的にはシステムのスタートアップ運転時に駆動される。
【0038】
凝縮水回収ラインLwは、管路Ld1の途中に配置された気水分離部Saと凝縮水回収タンク9とを接続する管路である。気水分離部Saは、アノードオフガス凝縮器7で発生した凝縮水WbをアノードオフガスGdから分離する部材であり、凝縮水回収ラインLwには分離された凝縮水Wbが流下する。凝縮水回収ラインLwの先端は、貯留された凝縮水Wbの水温の影響を受けて凝縮量が増減しないように、凝縮水回収タンク9の水相部に没入させることなく気相部に開放される。なお凝縮水回収ラインLwの先端を水相部に没入させないのは、バーナ3に送るアノードオフガスGdの流量を変化させないためである。特に、凝縮水Wbを分離後のアノードオフガスGdをセルスタックの一次側へリサイクルしたり、後段のセルスタックで発電利用したりする場合には、本構成は有効である。気水分離部Saには、例えば直管部を水平方向に配置すると共に分岐管部を下向きに配置したT字管が用いられている。また、鉛直方向に立設した小容量の円筒容器を気水分離部Saに用いることもできる。
【0039】
セルスタック1は、固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)で構成された発電体である。固体酸化物形燃料電池は、発電セルを構成する固体電解質、アノードおよびカソードが全てセラミックスである高温作動型の燃料電池であり、所定個数の発電セルを金属インターコネクタ材(セパレータ材ともいう)を介して集積した発電単位をセルスタックと呼んでいる。セルスタック1の電池出力は、パワーコンディショナ15で調整された後に給電される。
【0040】
改質器2は、水蒸気を用いて原燃料ガスGaを改質し、改質ガスGcを生成して後段側へ送出する。改質器2は水蒸気改質用の触媒を有しており、原燃料ガスGaに含まれるメタンと水蒸気を反応させ、一酸化炭素と水素を含む改質ガスGcを生成する。水蒸気改質は吸熱反応であるが、バーナ3からの熱供給により、改質器2は安定的に改質ガスGcを生成することが可能である。
【0041】
バーナ3は、流入する気体を燃焼させて熱を発生させるとともに、燃焼によって生じた燃焼ガスGgを燃焼ガスラインLgへ排出する。蒸発器4は、改質水Waと燃焼ガスGg(熱源流体)を間接熱交換させる機器であり、燃焼ガスGgとの熱交換により、改質水Waを蒸発させると同時に原燃料ガスGaを加熱する役割を果たす。
【0042】
空気予熱器5とアノードオフガス冷却器6は、何れも低温流体と高温流体を間接熱交換させる熱交換器である。空気予熱器5は、燃焼ガスGgとの熱交換によりカソード空気ラインLe内の空気Aaを予熱する役割を果たし、アノードオフガス冷却器6は、カソード空気ラインLe内の空気Aaとの熱交換によりアノードオフガスGdを冷却する役割を果たす。
【0043】
アノードオフガス凝縮器7は、アノードオフガスGdを冷却して、アノードオフガスGdに含まれる水蒸気を凝縮させる役割を果たす。なお、本実施形態のアノードオフガス凝縮器7は空冷熱交換器としているが、その代わりに水冷熱交換器を採用し、これにより熱回収が行われるコジェネ型のシステムとしても良い。
【0044】
CO酸化器8は、燃焼ガスGgに含まれる有害な一酸化炭素を触媒と接触させ、無害な二酸化炭素に変換する機器である。CO酸化器8は、バーナ3での酸化反応が完全である場合は作動せず、バーナ3での酸化反応が不完全である場合にのみ動作する。
【0045】
凝縮水回収タンク9は、気水分離部Saから排出される凝縮水Wbを回収し、これを改質水Waとして再利用可能とする役割を果たす。凝縮水回収タンク9には、貯留される改質水Waの水位を所定範囲に調整するため、水位検知器Sbおよび排水弁Scが設けられている。水位検知器Sbで上限水位を検知すると排水弁Scが開放される一方、水位検知器Sbで下限水位を検知すると排水弁Scが閉鎖される。このようにして凝縮水回収タンク9には、所要量の改質水Waが確保されるようになっている。なお改質水Waの排水動作時にアノードオフガスGdが外部に漏洩することを防止するため、排水弁Scによる排水位置は凝縮水回収タンク9の底部付近に設定される。
【0046】
パワーコンディショナ15は、セルスタック1で発電した電力を事業活動や社会生活の場で利用できる状態に変換するための機器である。パワーコンディショナ15は、セルスタック1から出力された直流電圧を昇圧するDC/DCコンバータ(昇圧回路)と、DC/DCコンバータで昇圧された直流電圧を系統電源と同期の取れた交流電圧に変換する系統連系インバータ(電圧変換回路)と、セルスタック1の出力電流(掃引電流)を制御する出力電流制御部(出力制御回路)と、補機類に駆動電力を供給するための駆動電力供給部(補助回路)を有している。
【0047】
上記の系統連系インバータは、建築物内に設置された商用電源系統の配電盤と電気的に接続される。系統連系インバータと配電盤とは、系統連系用のスイッチを介して並列・解列を切換可能である。配電盤には、商用電源および複数の分電盤が電気的に接続される。分電盤には、建築物内で使用する照明器具、動力装置、コンセント等の負荷機器が電気的に接続される。
【0048】
上記の駆動電力供給部は、各ブロワ10,11,13,14,17、水ポンプ12およびバーナ3のスパークロッド(後述する第1電極ロッド)等と接続され、これらの補機類に駆動電力を与える。駆動電力供給部は、補機類がDC駆動の場合、例えば系統連系インバータの出力をAC/DC変換した電力、商用電源からの入力をAC/DC変換した電力、またはセルスタック1の出力をDC/DC変換した電力を供給するように回路構成される。一方、駆動電力供給部は、補機類がAC駆動の場合、例えば系統連系インバータの出力電力、または商用電源からの入力電力を供給するように回路構成される。なお上述の補機類は、システムのスタートアップ運転およびシャットダウン運転時は、商用電源を利用して駆動され、システムの発電運転中は、発電電力を利用して駆動される。
【0049】
システムコントローラ16は、予め作成・記憶された制御プログラムに従って、ブロワ等の補機類およびパワーコンディショナ15の動作(すなわち、システム動作)を制御する機器である。
【0050】
また図1に破線枠で示すように、各セルスタック1、改質器2、バーナ3、各マニホールドMa~Md、熱放射筒Za、燃焼ガス管Zb、および冷却管Zcは、後述するホットモジュールHMにおける第1ボックスX1(図3を参照)の内側である第1領域R1に配置されている。一方、蒸発器4、空気予熱器5、アノードオフガス冷却器6、およびCO酸化器8は、第1ボックスX1の外側であって後述する第2ボックスX2(図3を参照)の内側である第2領域R2に配置されている。なお、アノードオフガス凝縮器7、凝縮水回収タンク9、各ブロワ10,11,13,14,17、水ポンプ12、パワーコンディショナ15、およびシステムコントローラ16は、ホットモジュールHMの外部(常温の領域)に配置される。
【0051】
<燃料電池システムの動作概要>
次に、燃料電池システム100の動作概要について、図1を参照しながら説明する。燃料取入口E2から混合ガスラインLb内に供給された原燃料ガスGaは、第1原燃料ブロワ10の作用により後段側へ送られる。原燃料ガスGaの供給に並行して、凝縮水回収タンク9から改質水ラインLi内に供給された改質水Waは、水ポンプ12によって水量が調節され、混合ガスラインLbへ流入する。
【0052】
改質水Waは、混合ガスラインLb内の原燃料ガスGaとともに蒸発器4に流入し、蒸発器4において熱交換により加熱されて水蒸気(過熱蒸気)となる。当該水蒸気は加熱された原燃料ガスGaと混合し、混合ガスGbとして改質器2へ流入する。
【0053】
改質器2は、混合ガスGb中の水蒸気を用いて原燃料ガスGaを改質し、改質ガスGcを生成して後段側へ送出する。改質器2から送出された改質ガスGcは、アノード燃料ラインLcを通って各セルスタック1のアノードへ分配される。
【0054】
一方、上述した原燃料ガスGaの供給に並行して、空気取入口E3からカソード空気ラインLe内に空気Aaが供給される。カソード空気ラインLe内の空気Aaは、第1空気ブロワ11の作用により後段側へ送られる。この空気Aaは、アノードオフガス冷却器6での熱交換によって加熱され、更に空気予熱器5での熱交換によって加熱された後、各セルスタック1のカソードへ分配される。なお空気Aaの温度調節等のため、空気Aaの一部である空気Aa1を、バイパス経路Le2を介して各セルスタック1のカソードへ流入させることも可能である。
【0055】
更には、カソードへの空気Aaの供給に同期して、バーナ冷却用空気ラインLh内に空気Abが供給される。バーナ冷却用空気ラインLh内の空気Abは、第1空気ブロワ11の作用によりバーナ3へ送られる。この空気Abは、バーナ3の燃焼温度を低下させる冷却剤として作用し、保炎器33(後述)の過熱および焼損を防止する。なお空気Abを供給しない状態で、保炎器33の過熱や焼損が起こらない程度に火炎温度が保たれている場合には、バーナ冷却用空気ラインLhを省略してもよい。
【0056】
各セルスタック1は、アノードに流入した改質ガスGcとカソードに流入した空気Aaを用いて発電するとともに、アノードからアノードオフガスラインLdへアノードオフガスGdを排出し、カソードからカソードオフガスラインLfへカソードオフガスGeを排出する。アノードオフガスGdには、アノードにおいて未反応であった燃料成分が含まれており、カソードオフガスGeには、カソードにおいて未反応であった酸素が含まれている。
【0057】
各セルスタック1からアノードオフガスラインLdへ排出されたアノードオフガスGdは、第1収集マニホールドMcに収集された後、アノードオフガス冷却器6での熱交換によって冷却され、アノードオフガス凝縮器7へ流入する。アノードオフガス凝縮器7では、アノードオフガスGdは露点温度以下まで冷却され、アノードオフガスGdに含まれる水蒸気が凝縮する。
【0058】
アノードオフガス凝縮器7を通過したアノードオフガスGdは、気水分離部Saに送られて気水分離され、凝縮水Wbが凝縮水回収タンク9に回収される。凝縮水回収タンク9に回収された凝縮水Wbは、先述のとおり改質水Waとして再利用される。なお、アノードオフガスGdにおける凝縮しなかった部分(気水分離後のアノードオフガスGd)は、バーナ3へ送られる。
【0059】
各セルスタック1からカソードオフガスラインLfへ排出されたカソードオフガスGeは、第2収集マニホールドMdに収集された後、管路Lf1でバーナ冷却用空気ラインLhを介して流入した空気Abと混合し、バーナ3へ送られる。またバーナ3には、システムの運転状態に応じて、燃料取入口E1から供給された原燃料ガスGfが、原燃料ラインLaを介して送られると共に、空気取入口E4から供給された空気Acが、起動用空気ラインLjを介して送られる。
【0060】
バーナ3は、原燃料ガスGfおよび/またはアノードオフガスGdである第1バーナ用ガスGxと、空気Acおよび/またはカソードオフガスGeである第2バーナ用ガスGyが流入し、これらを燃焼させて熱を発生させる。すなわち第1バーナ用ガスGxは、原燃料ガスGfとアノードオフガスGdの混合気体、或いは、原燃料ガスGfとアノードオフガスGdの何れか一方の状態であり、どの状態となるかはシステムの動作状態等によって変化し得る。また第2バーナ用ガスGyは、空気AcとカソードオフガスGeの混合気体、或いは、空気AcとカソードオフガスGeの何れか一方の状態であり、どの状態となるかはシステムの動作状態等によって変化し得る。すなわち、システムのスタートアップ運転、発電運転(全負荷運転または部分負荷運転)、シャットダウン運転等に応じて、バーナ3への供給ガスは適宜状態変化する。
【0061】
なお、原燃料ガスGfは炭化水素含有ガスの一種である。一方、空気Acは酸化剤含有ガスの一種である。バーナ3の燃焼動作中、バーナ冷却用空気ラインLhからは空気Abが連続的に供給され、燃焼温度の調整が行われる。
【0062】
バーナ3での燃焼により生じる燃焼ガスGgは、燃焼ガスラインLgへ送られ、熱放射筒Za、燃焼ガス管Zb、空気予熱器5、CO酸化器8、および蒸発器4を順に通過して、ガス排出口D1からホットモジュールHMの外部へ排出される。なお詳しくは後述するが、熱放射筒Zaおよび燃焼ガス管Zbは、燃焼ガスGgを用いて改質器2を効果的に加熱できるよう配置されている。また、燃焼ガスラインLg内の燃焼ガスGgは、空気予熱器5および蒸発器4を通る際に熱交換に利用され、一酸化炭素が含まれる場合には、CO酸化器8を通る際に当該一酸化炭素が二酸化炭素に変換される。
【0063】
また、空気取入口E5から冷却用空気ラインLkに供給された冷却用空気Adは、冷却管Zcを通過する際にホットモジュールHMの内部を冷却する役割を果たす。後述するように、冷却管Zcはセルスタック1の近傍に設置されており、冷却用空気Adによって、セルスタック1および後述するメインバスバー78aとサブバスバー78bを効果的に冷却することが可能である。そして冷却用空気Adは、最終的には収集管Lk1を通って、燃焼ガスGgとともにガス排出口D1からホットモジュールHMの外部へ排出される。
【0064】
また燃料電池システム100では、冷却管Zcに導入する冷却用空気Adの流量を調整することにより、ホットモジュールHMの内部の熱量(温度)を制御するようになっている。一例として燃料電池システム100は、ホットモジュールHMの内部の温度(例えば、各セルスタック1のエンドプレートの表面温度の最大値)が上限温度を超えると第3空気ブロワ17を駆動し、ホットモジュールHMの内部の温度が目標温度(当該上限温度よりも所定温度だけ低い温度)となるように第3空気ブロワ17の回転数を制御する。また燃料電池システム100は、下限値未満の回転数が所定時間継続すると、第3空気ブロワ17を停止させる。なお第3空気ブロワ17の回転数が増大するほど、冷却管Zcに導入される冷却用空気Adの流量が増大される。このような制御の動作は、システムコントローラ16が行うようにしても良い。
【0065】
なお、セルスタック1の近傍に設置されている冷却管Zcは、システムのスタートアップ運転時に、セルスタック1の昇温に利用することもできる。具体的には、システムのスタートアップ運転では、まず、第2原燃料ブロワ13および第2空気ブロワ14を駆動してバーナ3を燃焼させる。この燃焼により生じた燃焼ガスGgは、熱放射筒Zaおよび燃焼ガス管Zbを流通しつつ、冷態の改質器2を放射伝熱により外側から加熱して昇温する。さらに燃焼ガスGgは、蒸発器4の熱源となり、改質水Waから水蒸気を発生させる。この水蒸気は、冷態の改質器2およびセルスタック1を順に流れて、これらの機器を熱伝導により内部から加熱して昇温する。蒸発器4から排出される燃焼ガスGgに余熱がある場合、管路Lg1から収集管Lk1に燃焼ガスGgを流入させる。これにより、冷却管Zcに燃焼ガスGgが流通するので、冷態のセルスタック1を外側からも放射伝熱により加熱して昇温することができる。
【0066】
<ホットモジュール>
次に、ホットモジュールHMの構成等について、より詳細に説明する。図2は、ホットモジュールHMの斜視図である。図3は、ホットモジュールHMの内部構造が理解容易となるように、第1ボックスX1、第2ボックスX2、および板状断熱材53の一部を不図示としたホットモジュールHMの斜視図である。なお以下の説明における前後、左右、および上下の各方向(互いに直交する方向)は、図2等に示すように便宜的に定めたものに過ぎない。本実施形態の例では、上下方向が鉛直方向に一致する。
【0067】
図2および図3に示すようにホットモジュールHMは、第1台座X1a、第2台座X2a、第1台座X1a上に形成される第1ボックスX1、第2台座X2a上に形成される第2ボックスX2、第1台座X1aを支持する複数本(本実施形態の例では4本)の第1支柱51、および、第2台座X2aを支持する複数本(本実施形態の例では4本)の第2支柱52を備える。
【0068】
第1ボックスX1は第2ボックスX2の内部に収容されており、この状態で複数本の第1支柱51は、第2台座X2aから所定高さに第1台座X1aを支持する。第1ボックスX1は、内部の領域が高温動作領域となる第1領域R1(図1を参照)に設定されており、システムの発電動作時に内部で化学反応を伴う第1機器グループGP1が収容される。この第1機器グループGP1には、セルスタック1、改質器2、およびバーナ3が含まれる。
【0069】
第2ボックスX2の内部であって第1ボックスX1の外部(第1台座X1aの下側)の領域は、低温動作領域となる第2領域R2(図1を参照)に設定されており、システムの発電動作時に内部で化学反応を伴わない第2機器グループGP2が収容される。第2機器グループGP2には、蒸発器4および熱交換器(空気予熱器5とアノードオフガス冷却器6)が含まれる。
【0070】
また第2領域R2には、システムの発電動作時に所定の条件を満足した場合にのみ内部で化学反応を伴う第3機器グループGP3も収容される。第3機器グループGP3には、バーナ3での酸化反応が完全である場合は動作せず、バーナ3での酸化反応が不完全である場合にのみ動作するCO酸化器8が含まれる。CO酸化器8は触媒反応に伴う発熱が僅かであるので、CO酸化器8を第2領域R2(低温動作領域)に配置しても殆ど問題は無く、これにより、第1ボックスX1の容量を抑制することができる。
【0071】
第1ボックスX1の前後左右の各側部および頂部(上側)には、板状断熱材53が装着されている。板状断熱材53は、第1ボックスX1の前後左右および上側の各外面をほぼ全て覆っている。これにより強力な断熱効果を得ることができ、第1ボックスX1内を高温状態に保つことが容易となっている。
【0072】
第2領域R2の空間(第2機器グループGP2の配置空間)には、不図示の粒状断熱材が充填される。高温動作領域である第1ボックスX1から第1台座X1aを通じて第2領域R2への熱伝導が起こるが、当該粒状断熱材を充填することにより十分な断熱効果が得られる。そのため、第2機器グループGP2およびその接続配管を、高価な高温耐性の材料を使用せずに構成することができる。
【0073】
また、第1台座X1aには管挿入孔(貫通孔)が設けられており、第1領域R1と第2領域R2の境界を跨いで延びる各ライン(管路)は、この貫通孔を通るように配置される。これにより、第1機器グループGP1と第2機器グループGP2との間での流体の受け渡しは、第1台座X1aを上下方向に貫通する管路を通じて行われる。このように本実施形態では、各機器グループGP1,GP2間での流体の受け渡し用の配管は、第1台座X1aに穿設した管挿入孔に管路を取り付けるだけの構造なので、特別なシール等を必要としない。
【0074】
更に、第2機器グループGP2を通る流体の管路には、ベローズ形伸縮管継手を設けるようにしても良い。第1台座X1aを貫通する管路と熱交換器を接続するパイプや、熱交換器どうしを接続するパイプは、システムの冷態時と運転時の温度変化により伸縮する。この伸縮により発生する熱応力は、パイプ本体および接合部の割れや破断の原因となるため、場合によっては可燃性ガスのリーク等、深刻な不具合を引き起こすことになる。第2機器グループGP2の流体接続に使用する配管機材がベローズ形伸縮管継手を含むようにすることで、熱応力の発生が極力抑えられ、このような不具合を回避することが可能となる。
【0075】
本実施形態では図1に示すように、少なくとも、第2機器グループGP2を通る流体の管路のうち第1領域R1と第2領域R2の境界を跨いで延びる各ラインにおいて、第2領域R2の当該境界近傍に上下に伸縮可能なベローズ形伸縮管継手が設置されている。より具体的に説明すると、混合ガスラインLbの当該境界近傍には第1ベローズ形伸縮管継手B1が設置され、アノードオフガスラインLdの当該境界近傍には第2ベローズ形伸縮管継手B2が設置され、カソード空気ラインLeの当該境界近傍には第3ベローズ形伸縮管継手B3が設置され、燃焼ガスラインLgの当該境界近傍には第4ベローズ形伸縮管継手B4が設置されている。また、第2領域R2内の熱交換器どうしを接続する各パイプに、ベローズ形伸縮管継手を設置しても良い。
【0076】
ホットモジュールHMは、例えば次のような工程で組み立てられる。まず第2台座X2aの上に第2機器グループGP2を配置し、所要の配管機材を用いて機器間の配管を施工する。次に、第2台座X2aの上に複数の第1支柱51を取付け、第1支柱51の先端部に第1台座X1aを載置して固定する。次に、第1台座X1aに穿設した管挿入孔に管路を取り付け、この管路と第2機器グループGP2との間で配管を施工する。次に、第2台座X2aの上に第2機器グループGP2を包囲するケーシングを取り付けて半開放の第2ボックスX2を形成し、第2ボックスX2内に粒状断熱材を充填する。
【0077】
続いて、第1台座X1aの上に第1機器グループGP1を配置し、第1台座X1aに取り付けられた管路と第1機器グループGP1との間で配管を施工すると共に、所要の配管機材を用いて機器間の配管を施工する。次に、第1台座X1aの上に第1機器グループGP1を包囲するケーシングを取り付けて密閉型の第1ボックスX1を形成し、第1ボックスX1の側部および頂部に板状断熱材53を装着する。半開放の第2ボックスX2に対し、第1ボックスX1に装着した板状断熱材53を包囲するケーシングを取り付けて密閉型の第2ボックスX2を形成する。以上のような工程を経由することで、容易にホットモジュールHMを組み立てることができる。
【0078】
図4図6は、それぞれ異なる視点によるホットモジュールHMの斜視図である。また図7および図8は、それぞれ異なる視点によるホットモジュールHMの側面図である。なおこれらの図においては、ホットモジュールHMの内部構造が理解容易となるように、第1ボックスX1、第2ボックスX2、および板状断熱材53を不図示としている。また、図5図8に示す白抜き矢印は、各流体の流れ方向を模式的に表している。
【0079】
これらの図に示すように、第1台座X1aの上側における上方視略中央位置には、上下(鉛直方向)に立設された筒状の改質器2が配置され、改質器2の上側にはバーナ3が配置されている。なお詳しくは後述するが、改質器2、バーナ3、および熱放射筒Zaは、改質ガス発生装置として一体的に構成されている。
【0080】
改質器2の左右それぞれには、複数個(本実施形態の例では4個)のセルスタック1を上下に集積したセルスタック集合体61が配置されている。改質器2の前側における左右のセルスタック集合体61に挟まれた領域には、図4に示すように、第1分配マニホールドMaおよび第2分配マニホールドMbのそれぞれが、上下に延びるように配置されている。第1分配マニホールドMaおよび第2分配マニホールドMbは隣接配置されるとともに、セルスタック集合体61の近傍に配置されている。
【0081】
第1分配マニホールドMaと第2分配マニホールドMbを隣接配置することで、これら2つの分配マニホールドの表面間において放射伝熱や対流伝熱により熱交換が行われる。また、各分配マニホールドMa,Mbをセルスタック集合体61の近傍に配置することで、機器の表面間において放射伝熱や対流伝熱により熱交換が行われる。これにより、セルスタック1に供給するアノード燃料(改質ガスGc)とカソード空気(空気Aa)の温度が均一化されると共に、当該温度をセルスタック1の動作温度近くまで高められるので、発電セルの全体で効率のよい発電反応を行わせることができる。
【0082】
改質器2の後側における左右のセルスタック集合体61に挟まれた領域には、図6に示すように、第1収集マニホールドMcおよび第2収集マニホールドMdのそれぞれが、上下に延びるように配置されている。すなわち、セルスタック集合体61、第1収集マニホールドMcおよび第2収集マニホールドMdのそれぞれは、改質器2の外筒21を取り囲むように配置されている。
【0083】
このように、各セルスタック1、第1収集マニホールドMcおよび第2収集マニホールドMdは改質器2の近傍に配置されており、改質器2へ発電反応に伴う廃熱を効率良く与えることが可能である。特に第1収集マニホールドMcは、アノードオフガスGdに含まれる廃熱を積極的に改質器2に与える役割を持つ。また第2収集マニホールドMdは、カソードオフガスGeに含まれる廃熱を積極的に改質器2に与える役割を持つ。これにより、改質器2における触媒層での吸熱量が大幅に増加するため、水蒸気改質反応の効率がアップし、触媒使用量が低減されて改質器2の小型化を実現できる。
【0084】
<改質器、バーナ、熱放射筒>
次に、改質器2、バーナ3、および熱放射筒Zaの構成等について、より詳細に説明する。なお本実施形態の例では、改質器2、バーナ3、および熱放射筒Zaは、改質ガス発生装置RGとして一体的に構成されている。
【0085】
図9は、改質ガス発生装置RGの側面図を示し、図10は、改質ガス発生装置RGの側方視による断面図を示す。また図11は、改質ガス発生装置RGにおけるバーナ3近傍の詳細構成を示す。なお図11においては、点火/火炎検知回路40の回路の構成例が模式的に示されている。
【0086】
改質ガス発生装置RGにおいて、改質器2は、外筒21、内筒22、触媒充填層23、基端側蓋板24、および末端側蓋板25を有する。
【0087】
外筒21と内筒22は、上下に延びる軸を共通とした円筒状に形成されており、上下方向の長さは概ね同じであるが、外筒21の直径は内筒22の直径よりも大きい。外筒21と内筒22は、内筒22が外筒21の内側に配置された二重筒構造の反応容器2aを形成している。外筒21と内筒22の間、すなわち反応容器2aの内部には、水蒸気改質用の触媒を充填した触媒充填層23が設けられている。
【0088】
基端側蓋板24は、外筒21と内筒22の基端部(上端部)どうしを繋いで反応容器2aの上側を封鎖し、末端側蓋板25は、外筒21と内筒22の末端部(下端部)どうしを繋いで反応容器2aの下側を封鎖している。
【0089】
なお、基端側蓋板24および末端側蓋板25は円環状鏡板であり、当該円環状鏡板は、円環の断面形状が皿形、正半楕円形または近似半楕円形となっている。反応容器2aの蓋板に円環状鏡板を使用することにより、温度変化による径方向の膨張や収縮が吸収される。そのため、熱応力による反応容器2aの損傷や破損をより効果的に回避することができる。なお、上記の鏡板の断面形状は、JIS B 8247「圧力容器用鏡板」に規定されたもののうち、平鏡板を除くものである。
【0090】
また、外筒21における取入口21aよりも少し上側の部分には、ベローズ構造の伸縮吸収部21cが形成されている。伸縮吸収部21cを設けたことにより、外筒21の時間的な温度変化や位置的な温度分布による伸縮が吸収される。そのため、触媒を収容している反応容器2aの熱応力による損傷や破損を回避しつつ、反応容器2aを長期間使用することができる。なお、伸縮吸収部21cとしては、市販のベローズ形伸縮管継手を使用するのが好適であり、この管継手とストレート管を接合して外筒21を安価に製作することができる。
【0091】
また改質ガス発生装置RGにおいて、バーナ3は、第1ガス筒31、第2ガス筒32、保炎器33、および熱放射筒Zaを有する。
【0092】
第1ガス筒31と第2ガス筒32は、上下に延びる軸を共通とした円筒状に形成されており、第2ガス筒32の直径は第1ガス筒31の直径よりも大きい。第1ガス筒31の上側寄りの部分は、第2ガス筒32の上端よりも上方へ突出しており、第1ガス筒31の下側寄りの部分は、第2ガス筒32の内側に配置されている。第1ガス筒31の上端は封鎖されており、第1ガス筒31と第2ガス筒32との隙間は、第2ガス筒32の上端において封鎖されている。
【0093】
第2ガス筒32と熱放射筒Zaは1本の管体により形成されており、第2ガス筒32の下端は熱放射筒Zaの上端に連接している。このように第2ガス筒32と熱放射筒Zaを1本の管体で形成することにより、両部材の芯合わせや接合等の作業が不要となり、バーナ3を低コストで製作できる。また図10に示すように、第1ガス筒31の上部には先述した第1バーナ用ガスGxが流入し、第2ガス筒32の上部には先述した第2バーナ用ガスGyが流入する。
【0094】
保炎器33は、第1ガス筒31の下端に接続されるとともに、先端部が下方(燃焼させるガスの流れの下流側)に向かって拡開する円錐台状に形成されている。また保炎器33は、拡開方向に間隔をおいた多列の貫通孔33aを有している。また、保炎器33の外径と第2ガス筒32の内径は略同径に形成されており、これによりバーナ3は、第1バーナ用ガスGxと第2バーナ用ガスGyを燃焼させ、第2ガス筒32の内径の径方向断面の全体に亘って、安定した火炎を形成することが可能である。
【0095】
また図11に示すように、バーナ3には、第1電極ロッド41および第2電極ロッド42からなる電極対40xが備えられており、電極対40xの先端部が保炎器33の内部に配置されている。第1電極ロッド41は、第1ガス筒31と電気的に絶縁されており、第2電極ロッド42は、第1ガス筒31と電気的に導通している。
【0096】
電極対40xは、ガス点火の動作制御と火炎検知を行う点火/火炎検知回路40に接続されており、ガス点火と火炎検知の両方に利用することが可能である。点火/火炎検知回路40は、ガス点火部40a、電流検知部40b、第1スイッチ40c1、および第2スイッチ40c2を有している。点火/火炎検知回路40は、ガス点火時には、第1スイッチ40c1を閉じて第2スイッチ40c2を開くことで電極対40xをガス点火部40aに接続させ、ガス点火部40aからの高電流を電極間に流して火花を発生させて、ガス点火を実現させる。
【0097】
一方で点火/火炎検知回路40は、火炎検知時には、第1スイッチ40c1を開いて第2スイッチ40c2を閉じることで電極対40xを電流検知部40bに接続させ、電極間に電圧を印加して生じる電流を電流検知部40bに検知させて、火炎の有無を判断する。これにより、電極間に電圧を印加したときの火炎の導電現象を利用して、火炎の有無を検知することが可能である。
【0098】
このようにバーナ3は、ガス点火時においては、第1電極ロッド41をスパークロッドとして機能させるとともに、第2電極ロッド42をアースロッドとして機能させる。一方でバーナ3は、火炎検知時においては、第1電極ロッド41をフレームロッドとして機能させるとともに、第2電極ロッド42をアースロッドとして機能させる。そのためバーナ3によれば、第1電極ロッド41および第2電極ロッド42からなる電極対40xを用いて、ガス点火機構と火炎検知機構を切替可能に構成することにより、確実かつ安全な燃焼動作を行うことができる。
【0099】
熱放射筒Zaは、内筒22と軸を共通とした円筒状に形成されており、熱放射筒Zaの外径は内筒22の内径よりも小さい。また、熱放射筒Zaの上端は、内筒22の内側において第2ガス筒32の下端に連接しており、熱放射筒Zaの下端は、内筒22の下端よりも下方へ突出している。なお熱放射筒Zaは、バーナ3の一要素と見ることもできる。
【0100】
熱放射筒Zaは、バーナ3における燃焼室および燃焼ガスの流通路として機能し、表面が燃焼熱の放射部としての役割を果たす。バーナ3の燃焼炎は熱放射筒Zaの内側に位置するため、この燃焼炎による熱エネルギーを熱放射筒Zaの外面から効率良く放射させることが可能である。本実施形態では熱放射筒Zaを燃焼室筒として機能させるため、触媒を収容している反応容器2aに内側から燃焼熱を与え続けても、熱放射筒Zaの熱応力による損傷や破損を回避することができる。
【0101】
熱放射筒Zaは、周方向全体において内筒22と表面どうしが離れるように、内筒22に挿通されている。このように、熱放射筒Zaの外面と内筒22の内面の間に隙間が設けられている。そのため、水蒸気改質反応のために内筒22側から触媒充填層23へ熱エネルギーを与える際の熱伝達は、熱放射筒Zaからの放射伝熱によって行われ、熱伝導を伴わない。これにより、触媒を収容している反応容器2aの熱応力による損傷や破損を回避しつつ、反応容器2aを長期間使用することが可能である。
【0102】
また改質器2において、外筒21の下端部近傍には混合ガスGb(原燃料ガスGaと水蒸気の混合ガス)の取入口21aが設けられ、外筒21の上端部近傍には改質ガスGcの取出口21bが設けられている。取入口21aから外筒21と内筒22の間に取り入れられた混合ガスGbは、触媒充填層23を通る際に改質され、改質ガスGcとして取出口21bから取り出される。このように本実施形態では、取入口21aは熱放射筒Zaの先端側に対応する側に設けられ、取出口21bは熱放射筒Zaの基端側に対応する側に設けられている。
【0103】
ここで、燃焼ガスGgの熱エネルギーは、水蒸気改質反応に伴う吸熱に利用されるので、燃焼ガスGgの温度は、熱放射筒Zaの基端側から先端側に向かって低下していくことになる。この点を考慮し、本実施形態では取入口21aと取出口21bの配置を上記のとおりとしたため、取入口21aから流入した混合ガスGbは、温度低下した燃焼ガスGgによって予熱された後、より高温の燃焼ガスGgの熱エネルギーを使って改質される。
【0104】
そして生成した改質ガスGc(水素および一酸化炭素含有ガス)は、取出口21bから連続的に排出され、各セルスタック1のアノード燃料ガスとして使用される。このように本実施形態では、混合ガスGbおよび改質ガスGcの流れと、燃焼ガスの流れを対向流としているので、効率の良い水蒸気改質反応を行わせることができる。
【0105】
但し、取入口21aと取出口21bの配置を本実施形態とは逆にし、取入口21aを熱放射筒Zaの基端側に対応する側に設け、取出口21bを熱放射筒Zaの先端側に対応する側に設けるようにしても良い。この場合は、取入口21aから流入した混合ガスGbは、高温の燃焼ガスGgによって瞬時に予熱された後、やや温度低下した燃焼ガスGgの熱エネルギーを使って改質される。このように、混合ガスGbおよび改質ガスGcの流れと、燃焼ガスGgの流れを並行流とすることで、混合ガスGbの予熱効果が高く、混合ガスGbを調製する蒸発器4の加熱能力(熱交換能力)を抑えた設計が可能となり、蒸発器4のコストダウンが期待できる。
【0106】
<燃焼ガス管>
次に、燃焼ガス管Zbの構成等について、より詳細に説明する。図12は、燃焼ガス管Zbの配置形態がより理解容易となるように、各ボックスX1,X2、板状断熱材53、および各マニホールドMa~Md等を不図示としたホットモジュールHMの側面図である。
【0107】
本図に示すように燃焼ガス管Zbは、上下に延びるストレート管が左右に(つまり平行に)並ぶように上側でUターンした折り返し管路からなり、改質器2の後側に配置されている。上側で繋がる左右の当該ストレート管は、改質器2の下端近傍から上端近傍まで延びており、改質器2の外筒21の近傍に正対配置されている。なお図12に破線矢印で示すように、燃焼ガスGgは右側の当該ストレート管を上昇して、左側の当該ストレート管を下降するように流れる。
【0108】
これにより、バーナ3の作動時に発生する燃焼ガスGgは、熱放射筒Zaおよび燃焼ガス管Zbを順に流通し、改質器2の内側と外側から同時に燃焼熱を与えることができる。そのため、触媒層での吸熱量が増加して燃焼ガスGgの温度が大幅に低下する結果、予熱用の熱交換器に温度低下した燃焼ガスGgを供給することが可能となり、熱交換器を安価な材料(例えばSUS321、SUS316L、SUS310S等)で製作することができる。
【0109】
また、触媒層での吸熱量が大幅に増加することから、水蒸気改質反応の効率がアップし、その分、触媒使用量を低減することができ、改質器2の小型化が可能となっている。なお本実施形態では、改質器2での水蒸気改質反応に必要なエネルギーは、その大部分が燃焼熱によって賄われる。そのため改質器2では、セルスタック1の動作温度に依存することなく、安定した改質ガスGcの生成を行うことができる。
【0110】
また図12に示すとおり、左側の燃焼ガス管Zbは左側のセルスタック集合体61の右側近傍に正対配置されており、右側の燃焼ガス管Zbは右側のセルスタック集合体61の左側近傍に正対配置されている。これにより、燃料電池システム100はスタートアップ運転時間の短縮が可能となっている。
【0111】
つまり、水蒸気改質を利用する改質形燃料電池システムでは、当該燃料電池システムのスタートアップ運転において、改質器およびセルスタックの昇温に水蒸気(過熱蒸気)を用いることがある。この場合、バーナの燃焼により発生させた燃焼ガスを蒸発器の熱源とし、蒸発器の内部で水を加熱することにより、水蒸気の生成が行われる。しかし水蒸気のみを使った昇温では、一般的に8時間以上もの非常に長いスタートアップ運転時間を有する。この点、本実施形態では、燃焼ガス管Zbを改質器2およびセルスタック集合体61の近傍に配置しているので、バーナ燃焼時の熱放射により、冷態の改質器2およびセルスタック集合体61が間接的に加熱される。そのため、スタートアップ運転時間を例えば4時間前後まで短縮することができる。
【0112】
なお、本実施形態では改質器2がセルスタック集合体61の近傍に配置されており、セルスタック1の発電反応に伴う廃熱も、改質器2での水蒸気改質反応に補助的に利用される。そのため、発電セルの劣化等により損失エネルギーが増加した場合でも、セルスタック1の冷却が行えることになり、セルスタック1を適切な動作温度に維持することができる。
【0113】
また本実施形態では、燃焼ガス管Zbを折り返し管路としたことにより、改質器2の外側から繰り返し燃焼熱を与えることができ、触媒層での吸熱量が更に増加する。そのため、触媒使用量の低減と改質器2の小型化により、ホットモジュールHMの材料コストを効果的に削減できる。なお当該折り返し管路は、管路のストレート部が改質器2の軸方向に沿って敷設されても良いし、改質器2の軸方向と直交して敷設されても良い。また、本実施形態では当該折り返し管路のターン数を1としているが、当該折り返し管路のターン数を複数としても良い。
【0114】
<セルスタック>
次に、セルスタック1の構成等について、より詳細に説明する。図13および図14はセルスタック1の斜視図であり、図14はセルスタック1の平面図である。
【0115】
図13図15に示すようにセルスタック1は、所定数の平板型発電セルが左右に積層された積層部75、積層部75の左端に設けた第1端板76a、および、積層部75の右端に設けた第2端板76bを備える。第1端板76aと第2端板76bは、積層部75を挟んで左右に対向する一対の端板として設けられており、左方視で略矩形状である。
【0116】
第1端板76aにおける四隅それぞれの近傍には、フランジ付ガスポート72が配置されている。具体的には図14に示すように、アノード燃料流入ポート72a、カソード空気流入ポート72b、アノードオフガス流出ポート72c、およびカソードオフガス流出ポート72dからなる計4個のフランジ付ガスポート72が設けられている。各フランジ付ガスポート72は、左側(外側)の縁の全周から径方向へ張り出すフランジ部72xを有する。
【0117】
またセルスタック1には、各フランジ付ガスポート72のフランジ部72xの縁部に固定される支持板71が設けられる。支持板71は、各フランジ付ガスポート72のフランジ部72xそれぞれの位置とサイズに合わせた貫通孔が形成されており、当該貫通孔それぞれの内周面に各フランジ部72xの外周面が密着する。
【0118】
積層部75の前側には、積層部75の発電セルによって発電された電力を出力する端子として、上下を幅方向とした板状の第1電力端子74aおよび第2電力端子74bが配置されている。なお、第1電力端子74aと第2電力端子74bは、互いに極性が異なる電力端子である。第1電力端子74aは、積層部75の前側から前方へ突出して、端部74a1が左側に折り曲げられている。第2電力端子74bは、積層部75の前側における第1電力端子74aよりも左下寄りの位置から前方へ突出して、端部74b1が右側に折り曲げられている。
【0119】
このように、第1電力端子74aおよび第2電力端子74bは、積層部75における平板型発電セルの積層面(左右方向と直交する平面)に略平行かつ同一方向(本実施形態の例では前方)に突出している。各電力端子の端部74a1,74b1は、何れも前方を向いた平面を構成しており、前後方向および左右方向の位置が同じである。
【0120】
<セルスタック集合体>
次に、セルスタック集合体61の構成等について、より詳細に説明する。図16および図17は、それぞれ異なる視点から見た左側のセルスタック集合体61の斜視図である。なお本実施形態の例では、右側のセルスタック集合体61におけるセルスタック1は、左側のセルスタック集合体61におけるセルスタック1とは上下逆向きに配置される。これにより改質器2を挟んで左右に設けられる各セルスタック集合体61は、各電力端子74a,74bが前方に位置しながら、フランジ付ガスポート72が左右方向内側に位置するように構成される。
【0121】
セルスタック集合体61は、オープンラック62を用いて複数のセルスタック1を上下方向に積み上げた構成となっている。これにより、セルスタック集合体61の設置面積、ひいてはホットモジュールHMの設置面積を極力小さくすることが可能である。そのため本実施形態によれば、既設設備の空きスペース等、狭い場所に設置しやすい燃料電池システム100を構築することができる。また、複数基のセルスタック集合体61をホットモジュールHMに搭載することにより、燃料電池システム100の発電出力の大容量化も容易である。
【0122】
オープンラック62は、上下に延びる柱部64が上方視四隅それぞれに設けられ、この4本の柱部64に固定支持されるようにして、複数のステージ盤63が上下方向へ略等間隔に配置されている。ステージ盤63に挟まれるスペースのサイズは、セルスタック1のサイズに合うように設定されている。
【0123】
個々のセルスタック1は、ステージ盤63の上に載置されるとともに、例えばネジ止めによって支持板71が右側の柱部64に固定されて、オープンラック62に収容される。そのためセルスタック集合体61の組み立ては、セルスタック1をステージ盤63に載置し、支持板71を柱部64に固定する作業を繰り返すだけでよい。これにより、セルスタック集合体61を容易に組み立てることができる。また、個々のセルスタック1は、ステージ盤63により安定的に自重が支えられ、上下方向の適正位置に保持されるとともに運転中の脱落が防止される。
【0124】
また、上述したオープンラック62は、規定数量(本実施形態の例では4個)のセルスタック1を搭載可能に設計されているが、当該オープンラックの代わりに、1個のセルスタック1に対応する単位ラックの複数個を組み立てたオープンラックを採用しても良い。図18は、このようなオープンラックを形成し得る単位ラック62aにセルスタック1を搭載した状態を例示している。
【0125】
単位ラック61aは、オープンラック62におけるステージ盤63の1段分と同等の構成であるステージ盤63aと、オープンラック62における4本の柱部64の1段分と同等の構成である4本の柱部64aと、を備え、単位ラック61aどうしを上下方向に段積みして固定することが可能となっている。これにより、オープンラック62の場合と同様にして、所要数量のセルスタック1それぞれを各単位ラック61aに収容しておき、収容済みの単位ラック61a(スタック保持体)それぞれを段積みして固定することにより、先述したセルスタック集合体61と同等のものを得ることができる。
【0126】
この場合のオープンラックは、セルスタック1ごとに分割された単位ラック61aによって形成されることになる。このように単位ラック61aを利用する場合は、例えばホットモジュールHMの発電出力に応じて、セルスタック1の搭載数を容易に調節することができる。また、オープンラックにセルスタック1を搭載しない空き部分が生じないので、ラックの材料コストを削減することもできる。
【0127】
<マニホールドの枝管>
全てのセルスタック1における各フランジ付ガスポート72は、対応するマニホールドから延びる枝管に接続されている。具体的には、アノード燃料流入ポート72aは第1分配マニホールドMaから延びる枝管に接続され、カソード空気流入ポート72bは第2分配マニホールドMbから延びる枝管に接続され、アノードオフガス流出ポート72cは第1収集マニホールドMcから延びる枝管に接続され、カソードオフガス流出ポート72dは第2収集マニホールドMdから延びる枝管に接続されている。本実施形態では8個のセルスタック1を有しているため、それぞれのマニホールドから各々8本の枝管が延びる構成である。
【0128】
各マニホールドMa~Mdから延びる枝管は、対応するフランジ付ガスポート72と当該マニホールドを結ぶ最短距離よりも長い管長を有し、かつ湾曲部を含んで構成されている。また、何れの枝管にも先端にフランジが設けられており、当該フランジを、対応するフランジ付ガスポート72のフランジ部72xに連結させることが可能である。
【0129】
ここで図19に、各マニホールドMa~Md(便宜的に「マニホールドMx」と総称する。)から延びる枝管の構成例を示す。本図に示す何れの枝管BPも、マニホールドMxから延びて先端にフランジFgが設けられている。
【0130】
図19(A)に示す例では、マニホールドMxから2個のセルスタック1に対して2本の枝管BPが延びている状態を部分的に示しており、一方の枝管BPには湾曲部CV1が含まれ、他方の枝管BPには湾曲部CV2が含まれている。これらの湾曲部CV1,CV2は何れも、平面的な(つまり二次元的な)パイプ構造となっている。すなわち、湾曲部CV1の全領域で枝管BPの断面視中心(枝管BPの延びる方向に直交する平面で切断した場合の断面視中心)は同一の平面(マニホールドMxの軸方向と直交する平面)に含まれており、湾曲部CV2の全領域でも枝管BPの断面視中心は同一の平面(マニホールドMxの軸方向と直交する平面)に含まれている。
【0131】
図19(B)に示す例では、マニホールドMxから1個のセルスタック1に対して1本の枝管BPが延びている状態を部分的に示しており、この枝管BPには湾曲部CV3が含まれている。この湾曲部CV3も、平面的なパイプ構造となっている。すなわち、湾曲部CV3の全領域で枝管BPの断面視中心は同一の平面(マニホールドMxの軸方向と直交する平面)に含まれている。また当該枝管BPには途中にベローズ形伸縮管継手Bp1が設けられており、枝管BPの伸縮を吸収させることが可能となっている。
【0132】
図19(C)に示す例では、マニホールドMxから2個のセルスタック1に対して2本の枝管BPが延びている状態を部分的に示しており、一方の枝管BPには湾曲部CV4が含まれ、他方の枝管BPには湾曲部CV5が含まれている。これらの湾曲部CV4,CV5は何れも、立体的な(つまり三次元的な)パイプ構造となっている。すなわち、湾曲部CV4,CV5の何れにおいても、全領域で枝管BPの断面視中心が同一の平面に含まれるようにはなっていない。
【0133】
図19(D)に示す例では、マニホールドMxから2個のセルスタック1に対して2本の枝管BPが延びている状態を部分的に示しており、一方の枝管BPには湾曲部CV6が含まれ、他方の枝管BPには湾曲部CV7が含まれている。これらの湾曲部CV6,CV7は何れも、立体的なパイプ構造となっている。すなわち、湾曲部CV6,CV7の何れにおいても、全領域で枝管BPの断面視中心が同一の平面に含まれるようにはなっていない。
【0134】
図19(A)或いは(B)に示す例のように、マニホールドMxの枝管BPに平面的なパイプ構造を有する湾曲部を設けるようにすると、主に枝管BPの水平方向(ホットモジュールHMの上下方向と直交する方向)に生じるパイプの伸縮を、効果的に吸収することができる。これにより、フランジ付ガスポート72との接合部に作用するストレスに基因するガスリークの問題が解消される。
【0135】
一方で図19(C)或いは(D)に示す例のように、マニホールドMxの枝管BPに立体的なパイプ構造を有する湾曲部を設けるようにすると、枝管BPの水平方向に加えて高さ方向(ホットモジュールHMの上下方向)に生じるパイプの伸縮も、効果的に吸収することができる。これにより、フランジ付ガスポート72との接合部に作用するストレスに基因するガスリークの問題が解消される。各マニホールドMa~Mdの枝管にどのパイプ構造の湾曲部を設けるかは、例えばホットモジュールHMの仕様等に応じて決めることができる。
【0136】
<電力端子およびその接続形態>
また左右両方のセルスタック集合体61において、各セルスタック1における各電力端子74a,74bは何れも前方に突出しており、これらの電力端子の端部74a1,74b1は、前後方向および左右方向の位置が同じとなるように揃えられている。また、同じセルスタック集合体61におけるセルスタック1どうしでは、第1電力端子74aおよび第2電力端子74bの上下の位置関係が揃えられている。すなわち、右側のセルスタック集合体61では、何れのセルスタック1においても第1電力端子74aが第2電力端子74bよりも上側にあり、左側のセルスタック集合体61では、何れのセルスタック1においても第1電力端子74aが第2電力端子74bよりも下側にある。
【0137】
そして近接するセルスタック1どうしの各電力端子74a,74bは、図5図7等に示すように、メインバスバー78aおよびサブバスバー78bを用いて電気的に接続されるようにし、各セルスタック1の発電電力を纏めて外部へ出力させることが可能となっている。なお各バスバー78a,78bは、例えば、各電力端子の端部74a1,74b1にネジ止め等によって接続固定される。
【0138】
ここで図20は、各電力端子74a,74bの接続形態を模式的に示している。本図に示すように、右側のセルスタック集合体61の各セルスタック1においては、第1電力端子74aが第2電力端子74bより上側に設けられており、左側のセルスタック集合体61の各セルスタック1においては、第1電力端子74aが第2電力端子74bより下側に設けられている。
【0139】
右側のセルスタック集合体61では、最上段のセルスタック1の第2電力端子74bと上から2段目のセルスタック1の第1電力端子74aとの接続、上から2段目のセルスタック1の第2電力端子74bと上から3段目のセルスタック1の第1電力端子74aとの接続、および、上から3段目のセルスタック1の第2電力端子74bと最下段のセルスタック1の第1電力端子74aとの接続のそれぞれが、メインバスバー78aにより実現されている。
【0140】
左側のセルスタック集合体61では、最上段のセルスタック1の第1電力端子74aと上から2段目のセルスタック1の第2電力端子74bとの接続、上から2段目のセルスタック1の第1電力端子74aと上から3段目のセルスタック1の第2電力端子74bとの接続、および、上から3段目のセルスタック1の第1電力端子74aと最下段のセルスタック1の第2電力端子74bとの接続のそれぞれが、メインバスバー78aにより実現されている。
【0141】
更に、右側のセルスタック集合体61における最下段のセルスタック1の第2電力端子74bと、左側のセルスタック集合体61における最下段のセルスタック1の第1電力端子74aとが、サブバスバー78bにより実現されている。また、右側のセルスタック集合体61における最上段のセルスタック1の第1電力端子74a、および、左側のセルスタック集合体61における最上段のセルスタック1の第2電力端子74bは、それぞれ別の電力線79に接続されている。これらの電力線79は、それぞれ別の電力線保護管79aに保護されており、ホットモジュールHMの外部に延出する。
【0142】
メインバスバー78aは、ホットモジュールHMの冷態時と発電動作時の温度差による鉛直方向の伸縮に伴う不具合を防ぐため、伸縮吸収部78a1を有する金属板で構成されている。伸縮吸収部78a1は、本実施形態の例では、図8等に示すように左右方向視でU字状の湾曲部としているが、V字状の折曲部等としても良い。伸縮吸収部78a1を有するメインバスバー78aを採用することで、熱応力が緩和され、安定した発電動作が実現可能であるとともに、各段のセルスタック1に過剰な力が作用するのを防止することもできる。
【0143】
サブバスバー78bは、ホットモジュールHMの冷態時と発電動作時の温度差による水平方向の伸縮に伴う不具合を防ぐため、伸縮吸収部78b1を有する金属板で構成されている。伸縮吸収部78b1は、本実施形態の例では、図5等に示すように上下方向視でU字状の湾曲部としているが、V字状の折曲部等としても良い。伸縮吸収部78b1を有するサブバスバー78bを採用することで、熱応力が緩和され、安定した発電動作が実現可能であるとともに、最上段のセルスタック1に過剰な力が作用するのを防止することもできる。
【0144】
<冷却体>
次に、冷却管Zcを含む冷却用空気ラインLkの構成について詳細に説明する。図21は、冷却用空気ラインLkの設置例を示すホットモジュールHMの斜視図である。なお図21においては、図5と同様に、第1ボックスX1、第2ボックスX2、および板状断熱材53を不図示としており、さらに、冷却用空気ラインLkの主要部以外の部分を薄く表示し、冷却用空気Adの出入り方向を着色矢印で概略的に示している。
【0145】
図21に示すように、改質器2および左右のセルスタック集合体61の前側には、冷却用空気ラインLkにおける冷却管Zcと収集管Lk1が配置されている。より具体的に説明すると、左右のセルスタック集合体61それぞれの前側には、上下に延びる冷却管Zcがメインバスバー78aの近傍に配置されている。これら左右2本の冷却管Zcの下端部どうしは、左右に延びる連結管Lkxにより連結されており、この連結管Lkxはサブバスバー78bの近傍に配置されている。そして連結管Lkxの略中央部には、上方へ延びる延出管Lkyが延出しており、連結管Lkxと延出管Lkyが一体となって収集管Lk1が構成されている。
【0146】
2本の冷却管Zcおよび収集管Lk1(連結管Lkx,延出管Lky)は、例えば、「コ」の字状(或いはU字状)に折り曲げ加工された大径管体の略中央部に小径管体(大径管体よりも径方向サイズが小さい管体)を溶接して形成することが可能であり、この場合、大径管体の両端それぞれの部分が冷却管Zcとなり、その他の部分が収集管Lk1となる。このように、折り返すように曲げられている大径管体の両端側部分それぞれを冷却管Zcとし、当該大径管体における冷却管Zcどうしの間の部分である連結管Lkx、および、連結管Lkxから延出するように配置された小径管体(延出管Lky)を、収集管Lk1とすることができる。収集管Lk1は、2本の冷却管Zcを流通した後の冷却用空気Adを合流させて導出する役割を果たす。
【0147】
更に、冷却管Zcを流れる冷却用空気Adは、メインバスバー78aの冷却にも利用されると共に、連結管Lkxを流れる冷却用空気Adは、サブバスバー78bの冷却にも利用される。これにより、メインバスバー78aおよびサブバスバー78bの電気抵抗が減少し、発電電力の送電損失が抑制される。
【0148】
第1実施形態ではセルスタック1の積重方向へ伸びるようにセルスタック集合体61の近傍に冷却管Zcが設置されており、冷却用空気Adを下降流で流すことで、ホットモジュールHMが上層部から下層部に向かって冷却されるようにしている。なお冷却能力を増強する場合は、背面側(セルスタック集合体61の後側)にも冷却管を設置するようにしても良い。
【0149】
この場合、ホットモジュールHMの内部温度に応じて、前後の一方もしくは両方の冷却管を作動させるようにしても良い。一例としては、ホットモジュールHMの内部温度が所定の閾値以下であるときは、前側の冷却管Zcにだけ冷却用空気Adを流すようにし、所定の閾値を超えたときは、前後両方の冷却管Zcに冷却用空気Adを流すようにしても良い。
【0150】
以上に説明したとおり、本実施形態のホットモジュールHMは、セルスタック1と、冷却用空気Adが流通する冷却管Zcと、を備え、冷却管Zcをセルスタック1の近傍に設置すると共に、冷却管Zcに導入する冷却用空気Adの流量を調整することにより、ホットモジュールHM内部の熱量を制御するようになっている。そのためホットモジュールHMは、セルスタック1の動作温度を適正範囲に維持することが容易となっている。なお冷却管Zcは、本発明に係る冷却体(管状の形状を有する冷却体)の一形態に相当する。
【0151】
なお、冷却管Zcの配置形態は、第1実施形態のものに限定されるものではなく、種々の目的等に応じて他の配置形態を採用することも可能である。冷却管Zcの配置形態を別の形態とした場合のホットモジュールHMの具体例について、以下、第2実施形態および第3実施形態として説明する。
【0152】
2.第2実施形態
次に本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、冷却用空気ラインLkの形態(特に冷却管Zcの配置形態)を除いて、基本的に第1実施形態と同様である。以下の説明では、第1実施形態と異なる点の説明に重点をおき、第1実施形態と共通する点については説明を省略することがある。
【0153】
図22は、第2実施形態に係るホットモジュールHMの斜視図であり、冷却用空気ラインLkの主要部を着色して模式的に表したものである。なお図22においては、図21と同様に、第1ボックスX1、第2ボックスX2、および板状断熱材53を不図示としており、冷却用空気ラインLkの主要部以外の部分を薄く表示し、冷却用空気Adの出入り方向を着色矢印で概略的に示している。
【0154】
図22に示すように第2実施形態では、上方視で複数のセルスタック集合体61の全体を囲むように、冷却管Zcが上下方向を軸方向とする螺旋状に設置されている。また、前後左右の各方向から見て、当該螺旋状は最上段のセルスタック1から最下段のセルスタック1まで及んでいる。
【0155】
更に冷却管Zcは、全てのセルスタック1の第2端板76b(エンドプレート)それぞれに対応して前後に伸びる対応部それぞれを有している。当該対応部それぞれは対応する第2端板76bに近接しており、これにより冷却管Zcは各セルスタック1を効率良く冷却することが可能となっている。なお第2実施形態においても、冷却用空気Adを下降流で流すことで、ホットモジュールHMが上層部から下層部に向かって冷却されるようにしている。
【0156】
3.第3実施形態
次に本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、冷却用空気ラインLkの形態(特に冷却管Zcの配置形態)を除いて、基本的に第1実施形態と同様である。以下の説明では、第1実施形態と異なる点の説明に重点をおき、第1実施形態と共通する点については説明を省略することがある。
【0157】
図23は、第3実施形態に係るホットモジュールHMの斜視図であり、冷却用空気ラインLkの主要部を着色して模式的に表したものである。なお図23においては、図21と同様に、第1ボックスX1、第2ボックスX2、および板状断熱材53を不図示としており、冷却用空気ラインLkの主要部以外の部分を薄く表示し、冷却用空気Adの出入り方向を着色矢印で概略的に示している。
【0158】
図23に示すように第3実施形態では、上方視で複数のセルスタック集合体61の全体を囲むように、冷却管Zcが上下方向を軸方向とする螺旋状に設置されている。但し第3実施形態では、前後左右の各方向から見て、当該螺旋状は最上段のセルスタック1の周囲に留まっており、最上段のセルスタック1の第2端板76b(エンドプレート)が重点的に冷却されるようになっている。
【0159】
なお冷却管Zcは、最上段の左右のセルスタック1の第2端板76bそれぞれに対応して前後に伸びる対応部それぞれを有しており、当該対応部それぞれは対応する第2端板76bに近接している。これにより冷却管Zcは最上段のセルスタック1を効率良く冷却することが可能となっている。
【0160】
第3実施形態によれば、ホットモジュールHMの上層部を重点的に冷却することで、ホットモジュールHMの内部に温度差が生まれる。これにより、断熱材で閉じ込められているホットモジュールHM内部の空気の対流を促すことで、温度の均一化を図ることが可能となっている。また、上層部の温度が高い場合は、空気の対流により上層部に位置するセルスタック1が積極的に冷やされる。これにより、積層されたセルスタック1の上下方向の温度分布を解消することが可能となっている。なお第1~第3実施形態の各冷却管Zcは、その内部に冷却用空気Adの乱流を促進する構造物ないし充填物を有する構成としても良い。これにより、冷却用空気Adの乱流が促進され、吸熱効果の向上が期待できる。
【0161】
また、セルスタック1のアノードでは水素濃度が高い上流側ほど発電反応が進むので、発熱量が多くなる。そこで第1~第3実施形態の各冷却管Zcは、冷却管Zcの内部を流通する冷却用空気Adの流れ方向と、セルスタック1の内部を流通するアノード燃料の流れ方向とが略同じ方向になるように、セルスタック1ないしセルスタック集合体61の近傍に設置しても良い。これにより、アノードでの発熱量が多い側に対してより低温の冷却用空気Adを流すことができ、冷却用空気Adの吸熱量を増やして冷却効率の向上が期待できる。
【0162】
なお、第1~第3実施形態のセルスタック1は、一対の端板(第1端板76aと第2端板76b)の間に所定数の平板型発電セルを積層した構成(積層部75を有した構成)であって、第1端板76aに、アノード燃料流入ポート72a、カソード空気流入ポート72b、アノードオフガス流出ポート72c、およびカソードオフガス流出ポート72dを有している。そして第2および第3実施形態の冷却管Zcは、一部が第2端板76bの板面に沿うように設置されている。これにより、セルスタック1を効果的に冷却することが可能となっている。
【0163】
また第1~第3実施形態の冷却管Zcは、第2分配マニホールドMbを含む各マニホールド、および、カソード空気流入ポート72bと第2分配マニホールドMbとを接続する枝管を含む各枝管とは、別個の構成要素として設けられている。そのため、例えば各マニホールドや各枝管において仕様変更等が生じても、冷却管Zcへの影響は極力抑えられ、ホットモジュールHMの内部を安定的に冷却することが可能である。
【0164】
4.第4実施形態
次に本発明の第4実施形態について説明する。以下の説明では、第1実施形態と異なる点の説明に重点をおき、第1実施形態と共通する点については説明を省略することがある。
【0165】
図24は、第4実施形態に係る燃料電池システム200の構成を示す説明図である。図24に示すように燃料電池システム200は、6個の前段側セルスタック1a、2個の後段側セルスタック1b、改質器2、バーナ3、蒸発器4、空気予熱器5、アノードオフガス冷却器6、アノードオフガス凝縮器7、凝縮水回収タンク9、第1原燃料ブロワ10、第1空気ブロワ11、水ポンプ12、第3空気ブロワ17、再熱器18、および2個の冷却体110を備える。なお以下の説明では、前段側セルスタック1aおよび後段側セルスタック1bを、セルスタック1と総称することがある。
【0166】
また燃料電池システム200は、混合ガスラインLb、アノード燃料ラインLc、第1アノードオフガスラインLda、第2アノードオフガスラインLdb、カソード空気ラインLe、カソードオフガスラインLf、燃焼ガスラインLg、冷却用空気ラインLk、および改質水ラインLiの各ライン(管路)を備える。
【0167】
混合ガスラインLbは、燃料取入口E2と改質器2を接続する管路であり、この管路中には上流側から順に、第1原燃料ブロワ10、および蒸発器4が配置されている。第1原燃料ブロワ10は、燃料取入口E2から取り入れられた原燃料ガス(例えば都市ガス13A等のメタン含有ガス)Gaを昇圧して、混合ガスラインLbの下流側へ送る機器である。
【0168】
アノード燃料ラインLcは、改質器2と各前段側セルスタック1aのアノードとを接続する管路である。第1アノードオフガスラインLdaは、各前段側セルスタック1aのアノードと各後段側セルスタック1bのアノードとを接続する管路である。第1アノードオフガスラインLdaは、上流側から順に、再熱器18、アノードオフガス冷却器6、アノードオフガス凝縮器7、凝縮水回収タンク9、および再熱器18を通るように配置されている。
【0169】
第2アノードオフガスラインLdbは、各後段側セルスタック1bのアノードとバーナ3とを接続する管路である。カソード空気ラインLeは、空気取入口E3と各セルスタック1のカソードとを接続する管路である。カソード空気ラインLeは、上流側から順に、アノードオフガス冷却器6および空気予熱器5を通るように配置されている。
【0170】
カソードオフガスラインLfは、各セルスタック1のカソードとバーナ3とを接続する管路である。燃焼ガスラインLgは、バーナ3とガス排出口(燃焼ガスの排出口)とを接続する管路である。燃焼ガスラインLgは、上流側から順に、空気予熱器5および蒸発器4を通るように配置されている。
【0171】
冷却用空気ラインLkは、空気取入口E5と各冷却体110とを接続する管路である。冷却用空気ラインLkは途中に第3空気ブロワ17が配置されており、その後段側の所定位置αにおいて、第1冷却用空気ラインLkaと第2冷却用空気ラインLkbに分岐して伸びている。第3空気ブロワ17は、空気取入口E5から取り入れられた冷却用空気Adを昇圧して、冷却用空気ラインLkの下流側へ送る機器である。
【0172】
第1冷却用空気ラインLkaは、2個の冷却体110の一方の入口側(後述する冷却用空気導入管115)に繋がり、第2冷却用空気ラインLkbは、2個の冷却体110の他方の入口側に繋がっている。各冷却体110の出口側(後述する冷却用空気導出管116)から伸びる管路は、所定位置βにおいて合流して一本化され、空気排出口に繋がっている。
【0173】
改質水ラインLiは、凝縮水回収タンク9と混合ガスラインLbの所定位置(第1原燃料ブロワ10と蒸発器4の間の位置)とを接続する管路であり、この管路中には水ポンプ12が配置されている。水ポンプ12は、凝縮水回収タンク9に貯留した水を改質水Waとして改質水ラインLiの下流側へ送る機器である。
【0174】
次に、燃料電池システム200の動作概要について、図24を参照しながら説明する。燃料取入口E2から混合ガスラインLb内に供給された原燃料ガスGaは、第1原燃料ブロワ10の作用により後段側へ送られる。原燃料ガスGaの供給に並行して、凝縮水回収タンク9から改質水ラインLi内に供給された改質水Waは、水ポンプ12によって水量が調節され、混合ガスラインLbへ流入する。
【0175】
改質水Waは、混合ガスラインLb内の原燃料ガスGaとともに蒸発器4に流入し、蒸発器4において熱交換により加熱されて水蒸気(過熱蒸気)となる。当該水蒸気は加熱された原燃料ガスGaと混合し、混合ガスGbとして改質器2へ流入する。
【0176】
改質器2は、混合ガスGb中の水蒸気を用いて原燃料ガスGaを改質し、改質ガスGcを生成して後段側へ送出する。改質器2から送出された改質ガスGcは、アノード燃料ラインLcを通って各前段側セルスタック1aのアノードへ分配される。
【0177】
一方、上述した原燃料ガスGaの供給に並行して、空気取入口E3からカソード空気ラインLe内に空気Aaが供給される。カソード空気ラインLe内の空気Aaは、第1空気ブロワ11の作用により後段側へ送られる。この空気Aaは、アノードオフガス冷却器6での熱交換によって加熱され、更に空気予熱器5での熱交換によって加熱された後、各セルスタック1のカソードへ分配される。
【0178】
前段側セルスタック1aは、アノードに流入した改質ガスGcとカソードに流入した空気Aaを用いて発電するとともに、アノードから第1アノードオフガスラインLdaへ第1アノードオフガスGd1を排出し、カソードからカソードオフガスラインLfへカソードオフガスGeを排出する。第1アノードオフガスGd1には、アノードにおいて未反応であった燃料成分が含まれており、カソードオフガスGeには、カソードにおいて未反応であった酸素が含まれている。
【0179】
第1アノードオフガスラインLdaへ排出された第1アノードオフガスGd1は、アノードオフガス冷却器6での熱交換によって冷却され、アノードオフガス凝縮器7へ流入する。アノードオフガス凝縮器7では、第1アノードオフガスGd1は露点温度以下まで冷却され、第1アノードオフガスGd1に含まれる水蒸気が凝縮する。
【0180】
アノードオフガス凝縮器7を通過した第1アノードオフガスGd1は気水分離され、凝縮水が凝縮水回収タンク9に回収される。凝縮水回収タンク9に回収された凝縮水は、改質水Waとして再利用される。なお、気水分離後の第1アノードオフガスGd1は、再熱器18で加熱された後、各後段側セルスタック1bのアノードへ送られる。
【0181】
後段側セルスタック1bは、アノードに流入した第1アノードオフガスGd1とカソードに流入した空気Aaを用いて発電するとともに、アノードから第2アノードオフガスラインLdbへ第2アノードオフガスGd2を排出し、カソードからカソードオフガスラインLfへカソードオフガスGeを排出する。第2アノードオフガスGd2には、アノードにおいて未反応であった燃料成分が含まれており、カソードオフガスGeには、カソードにおいて未反応であった酸素が含まれている。
【0182】
バーナ3は、第2アノードオフガスGd2とカソードオフガスGeが流入し、これらを燃焼させて熱を発生させる。バーナ3での燃焼により生じる燃焼ガスGgは、燃焼ガスラインLgへ送られ、空気予熱器5、および蒸発器4を順に通過して、ガス排出口からホットモジュールの外部へ排出される。
【0183】
また、空気取入口E5から冷却用空気ラインLkに供給された冷却用空気Adは、一部が第1冷却用空気ラインLkaを介して一方の冷却体110に流入し、残りが第2冷却用空気ラインLkbを介して他方の冷却体110に流入する。これらの冷却体110に流入した冷却用空気Adは、冷却体110を流れる際にホットモジュール内部の冷却に利用された後、空気排出口からホットモジュールHMの外部へ排出される。
【0184】
次に冷却体110の構成等について説明する。図25は冷却体110の斜視図を示し、図26は冷却体110の断面図(冷却体110を幅方向に二分する平面で切断した場合の断面図)を示している。なお説明の便宜上、冷却体110についての長さ方向、幅方向、および高さ方向は図25に示すとおりとする。また、燃料電池システム200に設けられた2個の冷却体110それぞれの構成や機能は同等である。
【0185】
これらの図に示す冷却体110は、第1吸熱プレート111、第2吸熱プレート112、2本の第1サイドバー113、2本の第2サイドバー114、冷却用空気導入管115、および冷却用空気導出管116の各部材をロウ付けにより接合して形成した箱状体の内部に、オフセットフィン117を封入した形態となっている。なおこれらの部材の材料としては、一例として、Alを2%以上含むフェライト系ステンレス鋼(例えば、NCA-1等の高温耐酸化ステンレス鋼)を使用することが可能である。
【0186】
より詳細に説明すると、冷却体110は、外面が高さ方向の一方を向いた略板状の第1吸熱プレート111、外面が高さ方向の他方を向いた略板状の第2吸熱プレート112、外面が幅方向両側それぞれを向いた2本の略板状の第1サイドバー113、および、外面が長さ方向両側それぞれを向いた2本の略板状の第2サイドバー114によって形成された内部が空洞である略直方体の構造部を有し、この空洞にオフセットフィン117が配置されている。
【0187】
なお、各吸熱プレート111,112の厚さは1~2mm程度、各サイドバー113,114の高さ方向寸法は8~12mm程度であることが好ましい。また、第2サイドバー114の幅方向寸法は、各サイドバー113,114の高さ方向寸法に対して2~8倍程度であることが好ましい。第1サイドバー113の長さ方向寸法は、発熱源であるセルスタック1の数や配置を考慮して設定される。本実施形態の例では、冷却体110の長さ方向寸法は、その幅方向寸法に比べて十分に大きくなっている。
【0188】
第1吸熱プレート111の外面には、長さ方向の一端近傍において筒状の冷却用空気導入管115の端部が固定されており、長さ方向の他端近傍において筒状の冷却用空気導出管116の端部が固定されている。第1吸熱プレート111におけるこれらの管115,116の内部に対応する箇所には貫通孔が設けられており、冷却用空気導入管115および冷却用空気導出管116の内部は、上記構造部の内部と連通している。
【0189】
第1冷却用空気ラインLkaおよび第2冷却用空気ラインLkbを流れる冷却用空気Adは、冷却用空気導入管115から冷却体110の内部に流入し、オフセットフィン117が配置されている当該内部をその長さ方向へ流れた後、冷却用空気導出管116から冷却体110の外部へ流出する。この際、冷却用空気Adが冷却体110の熱を奪いながら流れることにより、冷却体110が冷却されることになる。
【0190】
ここで図27に、冷却体110内部に配置されたオフセットフィン117の概略的な斜視図を例示する。なお図27に示す太線矢印は、冷却用空気Adの概略的な流れ方向を示している。本図に示すオフセットフィン117は、長さ方向に伸びる4列のフィン部材117a~117dが幅方向に並べられた形態となっている。各フィン部材117a~117dは、高さ方向へ一定周期で蛇行しながら長さ方向へ延びるように、帯状の板材が折り曲げられた形態となっている。なお、オフセットフィンは周知のように薄板金属加工により製作され、典型的には第1曲げ加工、切断加工、および第2曲げ加工からなる3つの工程を経て製作される。
【0191】
各フィン部材117a~117dは、基本的な形状およびサイズは同等であるが、隣合うフィン部材どうしにおいて、蛇行の位置が長さ方向にずれるよう配置されている。図27に示す例では、フィン部材117aおよびフィン部材117cと、フィン部材117bおよびフィン部材117dとの間には、蛇行の1周期分の概ね1/4に相当する長さ方向の位置ずれがある。
【0192】
このようにオフセットフィン117を配置したことにより、冷却体110内部を流れる冷却用空気Adの乱流が促進され、冷却体110の吸熱効率が高められるようになっている。本実施形態の例では、冷却用空気Adの流れを幅方向および高さ方向に蛇行させるためフィンの立ち上げ面に空気流が当たるように、オフセットフィン117の形状や配置等が工夫されている。
【0193】
なお冷却体110の内部にオフセットフィン117を封入する代わりに、ラシヒリングやボール等を、冷却用空気Adの乱流を促進させる充填物として冷却体110の内部に充填するようにしても良い。これらの充填物としては、例えばステンレス製またはセラミックス製のものを使用することができる。また、冷却体110の幅が小さく、オフセットフィン、ラシヒリング、或いはボール等の封入が困難である場合は、ステンレス製のウール(繊維状金属)を、冷却用空気Adの乱流を促進させる充填物として冷却体110の内部に充填しても良い。
【0194】
なお、本実施形態に係る燃料電池システム200もホットモジュールを有しており、当該ホットモジュールは第1実施例と同様に第1領域と第2領域に区画され、それぞれ断熱材で包囲されている。当該第1領域には、セルスタック1、改質器2、バーナ3、および冷却体110が設置され、当該第2領域には、蒸発器4、空気予熱器5、アノードオフガス冷却器6、および再熱器18が設置される。
【0195】
なおバーナ3の燃焼熱を改質反応(吸熱)に利用できるように、改質器2とバーナ3は熱的に統合されていることが望ましい。また、ホットモジュール外部(断熱領域の外部)には、アノードオフガス凝縮器7(空冷ラジエータ)、凝縮水回収タンク9、水ポンプ12、および各種ブロワ10,11,17が設置される。本実施形態に係るホットモジュールの他の基本的な構成等については、以下に説明する事項を除き、第1実施形態に係るホットモジュールHMと同等またはこれに準じたものとすることができる。
【0196】
次に、本実施形態のホットモジュールにおける冷却体110等の配置例について説明する。図28(a)は、セルスタック1を水平方向に集積する場合のホットモジュール内の一構成例を示す平面図であり、図28(b)は、ホットモジュール内の当該構成例を示す側面図である。
【0197】
図28に示す例では、ホットモジュール内部の第1領域を囲うように断熱材120が配置されており、断熱材120の内部(断熱領域)の前後方向中央領域において、少なくとも左右に伸びるように改質器2が配置され、その右側にバーナ3が配置されている。断熱領域における改質器2の前後両側それぞれの領域には、平板型の4個のセルスタック1が左右に並ぶように配置されている。
【0198】
各セルスタック1は、一対の端板(第1端板76aと第2端板76b)の間に所定数の平板型発電セルを積層した構成であって、当該端板の一方である第1端板76aには、第1実施形態の第1端板76aと同様に、アノード燃料流入ポート、カソード空気流入ポート、アノードオフガス流出ポートおよびカソードオフガス流出ポートが設けられている。なお各セルスタック1において、第1端板76aは、これらの各ガスポートの形成面であるエンドプレートに相当し、第2端板76bは、これらの各ガスポートの非形成面であるエンドプレートに相当する。各セルスタック1は、第1端板76aが上側を向くように配置されている。
【0199】
2個の冷却体110は、何れも長さ方向が左右方向に一致するように配置されている。2個の冷却体110の一方は、改質器2の前側に配置された4個のセルスタック1全ての上側をカバーするように配置され、第2吸熱プレート112の下面がこれらのセルスタック1の第1端板76aの上面と平行になっており、当該下面と当該上面は近接している。
【0200】
2個の冷却体110の他方は、改質器2の後側に配置された4個のセルスタック1全ての上側をカバーするように配置され、第2吸熱プレート112の下面がこれらのセルスタック1の第1端板76aの上面と平行になっており、当該下面と当該上面は近接している。なお、各冷却体110の上側の領域SPは、ガスの分配マニホールドおよび収集マニホールドの両方または一方の配置領域である。また図28に示す例では、冷却体110を各セルスタック1の第1端板76aの板面に沿って設置しており、各セルスタック1を効果的に冷却することができる。
【0201】
ホットモジュール内部において、セルスタック1(放熱源)の動作温度が高温になるほど、内部空気の対流により断熱領域の上層部に向かって高温になる。この点、図28に示す配置例によれば、冷却体110をセルスタック1の上方に配置しており、断熱領域内の上層部から中層部を効果的に冷却することが可能である。
【0202】
なお、図28に示す冷却体110は、上述のように4個のセルスタック1全ての上側をカバーするように配置する以外に、前段側セルスタック1aのみ、あるいは後段側セルスタック1bのみの上側をカバーするように配置することもできる。
【0203】
また図29(a)は、セルスタック1を鉛直方向に集積する場合のホットモジュール内の一構成例を示す平面図であり、図29(b)は、ホットモジュール内の当該構成例を示す側面図である。
【0204】
図29に示す例では、ホットモジュール内部の第1領域を囲うように断熱材120が配置されており、断熱材120内部(断熱領域)の左右方向中央領域において、少なくとも上下に伸びるように改質器2が配置され、その上側にバーナ3が配置されている。断熱領域における改質器2の左右両側それぞれの領域には、平板型の4個のセルスタック1が上下に並ぶように配置されている。なお各セルスタック1は、第1端板76aが左右方向内側を向くように配置されている。
【0205】
2個の冷却体110は何れも、冷却用空気導入管115が冷却用空気導出管116よりも上側に位置するように、長さ方向を上下方向に一致させて配置されている。これにより、冷却体110内部の冷却用空気Adは下方へ流れることになる。2個の冷却体110の一方は、改質器2の左側に配置された4個のセルスタック1全ての左側をカバーするように配置され、第2吸熱プレート112の右面がこれらのセルスタック1の第2端板76bの左面と近接するとともに平行になっている。
【0206】
2個の冷却体110の他方は、改質器2の右側に配置された4個のセルスタック1全ての右側をカバーするように配置され、第2吸熱プレート112の左面がこれらのセルスタック1の第2端板76bの右面と近接するとともに平行になっている。なお、断熱領域内の前後両側それぞれの領域SPは、ガスの分配マニホールドおよび収集マニホールドの両方または一方の配置領域である。
【0207】
ホットモジュール内部において、セルスタック1(放熱源)の動作温度が高温になるほど、内部空気の対流により断熱領域の上層部に向かって高温になる。この点、図29に示す配置例によれば、冷却体110の内部において冷却用空気Adを上方から下方に向かって流し、断熱領域内の上層部から中層部を効果的に冷却することが可能である。また、上層部の温度が高い場合は、空気の対流により上層部に位置するセルスタック1が積極的に冷やされる。これにより、積層されたセルスタック1の上下方向の温度分布を解消することが可能となっている。特に図29に示す例では、冷却体110を各セルスタック1の第2端板76bの板面に沿って設置しており、各セルスタック1を効果的に冷却することができる。
【0208】
なお、図29に示す冷却体110は、上述のように4個のセルスタック1全ての右側をカバーするように配置する以外に、前段側セルスタック1aのみ、あるいは後段側セルスタック1bのみの右側をカバーするように配置することもできる。
【0209】
また、冷却体110による冷却効率をより向上させるため、冷却体110の内部を流通する冷却用空気Adの流れ方向と、セルスタック1の内部を流通するアノード燃料の流れ方向とが、略同じ方向となるようにすることが望ましい。そのため冷却体110は、冷却体110の内部を流通する冷却用空気Adの流れ方向と、各セルスタック1の内部を流通するアノード燃料の流れ方向とが略同じ方向になるように、各セルスタック1の近傍に設置される。なおここでの「略同じ方向」であるとは、一方の流体の入口基準点と出口基準点を結ぶ直線に沿った基準流れの方向と、他方の流体の基準流れの方向とが45°以内である場合のこととする。
【0210】
図30は、このように冷却用空気Adの流れ方向とアノード燃料の流れ方向とを略同じ方向とした3パターンの具体例を模式的に示している。なお図30において、一点鎖線の矢印は冷却体110の内部を流通する冷却用空気Adの流れ方向を示し、実線矢印はセルスタック1の内部を流通するアノード燃料の流れ方向を示し、破線矢印はセルスタック1の内部を流通するカソード空気の流れ方向の流れ方向を示している。
【0211】
図30(a)は、並行流(コフロー)型のセルスタック1を適用した場合の一例を示している。この例では、冷却用空気Adの流れ方向が左方であるのに対し、アノード燃料の流れ方向は斜め左前方(左方とのなす角度は45°以内)であり、カソード空気の流れ方向は斜め左後方となっている。
【0212】
図30(b)は、対向流(カウンターフロー)型のセルスタック1を適用した場合の一例を示している。この例では、冷却用空気Adの流れ方向が左方であるのに対し、アノード燃料の流れ方向は斜め左前方(左方とのなす角度は45°以内)であり、カソード空気の流れ方向は斜め右前方となっている。
【0213】
図30(c)は、直交流(クロスフロー)型のセルスタック1を適用した場合の一例を示している。この例では、冷却用空気Adの流れ方向が左方であるのに対し、アノード燃料の流れ方向は冷却用空気Adと同じ左方であり、カソード空気の流れ方向は後方となっている。
【0214】
アノード燃料においては、水素濃度が高い上流側ほど発電反応が進むので発熱量が多くなる。そこで図30に示した各例のように、冷却用空気Adの流れ方向とアノード燃料の流れ方向とを略同じ方向とすることにより、発熱量が多い側に対してより低温の冷却用空気Adを流すことができ、その結果、吸熱量を増やして冷却体110による冷却効率をより向上させることができる。
【0215】
また燃料電池システム200では、冷却体110に導入する冷却用空気Adの流量を調整することにより、ホットモジュールの内部の熱量(温度)を制御するようになっている。一例として燃料電池システム200は、ホットモジュールの内部の温度(例えば、各セルスタック1のエンドプレートの表面温度の最大値)が上限温度を超えると第3空気ブロワ17を駆動し、ホットモジュールの内部の温度が目標温度(当該上限温度よりも所定温度だけ低い温度)となるように第3空気ブロワ17の回転数を制御する。また燃料電池システム200は、下限値未満の回転数が所定時間継続すると、第3空気ブロワ17を停止させる。なお第3空気ブロワ17の回転数が増大するほど、冷却体110に導入される冷却用空気Adの流量が増大される。
【0216】
5.第5実施形態
次に本発明の第5実施形態について説明する。なお第5実施形態は、冷却体の構成に関する点を除き、基本的に第4実施形態と同様である。以下の説明では、第4実施形態と異なる点の説明に重点をおき、第4実施形態と共通する点については説明を省略することがある。
【0217】
図31は第5実施形態に係る冷却体110aの斜視図を示している。なお説明の便宜上、冷却体110aについての長さ方向、幅方向、および高さ方向は図31に示すとおりとし、更に本図に示すように、高さ方向の一方側を上側とし、他方側を下側とする。本実施形態の燃料電池システム200では、第4実施形態の2個の冷却体110の代わりに2個の冷却体110aが設けられ、2個の冷却体110aそれぞれの構成や機能は同等である。
【0218】
本図に示すように冷却体110aは、第1吸熱プレート111、第2吸熱プレート112、冷却用空気導入管115、および冷却用空気導出管116の各部材をロウ付けにより接合して形成されている。なおこれら部材の材料としては、一例として、Alを2%以上含むフェライト系ステンレス鋼(例えば、NCA-1等の高温耐酸化ステンレス鋼)を使用することが可能である。
【0219】
また、図32は上方視による第1吸熱プレート111を概略的に示し、図33は上方視による第2吸熱プレート112を概略的に示している。なお、図32では、各凸部111bの位置(ヘリンボーンの模様)が実線で示されており、図33では、各凸部112bの位置(ヘリンボーンの模様)が点線で示されている。
【0220】
第1吸熱プレート111は、複数の凸部111bを形成した外縁が矩形状のプレート部111aと、プレス加工によってプレート部111aの外縁全体から下方へ延出するように形成されたフランジ部111cを有する。複数の凸部111bは、プレート部111aへのプレス加工によって下方へ突出するように形成されており、上方視でヘリンボーンの模様となるように(複数の「く」の字が長さ方向へ等間隔に並ぶように)設けられている。また、フランジ部111cの下方への延出量(フランジ部111cの高さ)と各凸部111bの下方への突出量は同じであり、例えば4~6mm程度とするのが好ましい。
【0221】
第2吸熱プレート112は、複数の凸部112bを形成した外縁が矩形状のプレート部112aと、プレス加工によってプレート部112aの外縁全体から下方へ延出するように形成されたフランジ部112cを有する。複数の凸部112bは、プレート部111aへのプレス加工によって上方へ突出するように形成されており、下方視でヘリンボーンの模様となるように設けられている。また、フランジ部112cの上方への延出量(フランジ部112cの高さ)と各凸部112bの上方への突出量は同じであり、例えば4~6mm程度とするのが好ましい。
【0222】
第1吸熱プレート111と第2吸熱プレート112は、フランジ部111cの下面とフランジ部112cの上面をロウ付けにより接合して一体化される。また、このように一体化された状態では、第1吸熱プレート111側の各凸部111bと第2吸熱プレート112側の各凸部112bとが、上方視で重なる位置において点接触することになる。
【0223】
この一体化されたものは、長さ方向のサイズが幅方向のサイズに比べて十分に大きく、高さ方向のサイズは幅方向のサイズよりも小さい。第1吸熱プレート111の外面には、長さ方向の一端近傍において筒状の冷却用空気導入管115の端部が固定されており、長さ方向の他端近傍において筒状の冷却用空気導出管116の端部が固定されている。
第1吸熱プレート111におけるこれらの管115,116の内部に対応する箇所には貫通孔111d,111eが設けられており(図32を参照)、冷却用空気導入管115および冷却用空気導出管116の内部は、第1吸熱プレート111と第2吸熱プレート112の間に形成された冷却体110aの内部と連通している。
【0224】
図34は、第1吸熱プレート111と第2吸熱プレート112を一体化したものを、上方視により概略的に示している。なお図34では、各吸熱プレートの凸部の位置関係を理解容易とするため、第2吸熱プレート112側の各凸部112bの位置を点線で示している。本図に示すように、第2吸熱プレート112におけるヘリンボーンの模様は、第1吸熱プレート111におけるヘリンボーンの模様をそのまま長さ方向に反転させたものとなっている。また、第1吸熱プレート111側の各凸部111bは、計5か所の位置(上方視での中央位置、両端位置の2か所、および中央位置と両端位置それぞれの中間位置の2か所)において、第2吸熱プレート112側の凸部112bと上方視で重なっており点接触している。
【0225】
本実施形態の冷却体110aによれば、各吸熱プレート111,112に凸部111b,112bを形成したことにより、各吸熱プレート111,112の表面の吸熱面積が増えるとともに、冷却体110a内部の乱流促進効果も高まるため、冷却効果を向上させることができる。なお第4実施形態に係る冷却体110および第5実施形態に係る冷却体110aは、本発明に係る冷却体(箱状の形状を有する冷却体)の一形態に相当する。
【0226】
6.第6実施形態
次に本発明の第6実施形態について説明する。なお第6実施形態は、主に、冷却体から流出する冷却用空気をカソード空気として利用するようにした点、およびこれに関する点において第4実施形態と異なる。以下の説明では、第4実施形態と異なる点の説明に重点をおき、第4実施形態と共通する点については説明を省略することがある。
【0227】
図35は、第6実施形態に係る燃料電池システム200aの構成を示す説明図である。図35に示すように燃料電池システム200aにおいては、各冷却体110の出口側から伸びる管路は所定位置βで一本化されて、カソード空気ラインLeとして伸びている。カソード空気ラインLeは空気予熱器5を通って、各セルスタック1のカソードに繋がっている。なお第6実施形態においては、空気Aaを各セルスタック1のカソードに供給する必要が無いため、第4実施形態で設置されていた空気取入口E3、第1空気ブロワ11、およびアノードオフガス冷却器6は省略されている。
【0228】
燃料電池システム200aでは、冷却用空気ラインLkを介して各冷却体110に供給された冷却用空気Adは、各冷却体110を通った後にカソード空気ラインLeを介して各セルスタック1のカソードに供給され、カソード空気として利用される。これにより第6実施形態の冷却体110は、ホットモジュール内部の冷却とカソード空気の予熱の両方の役割を果たすことが可能となっている。
【0229】
なお、第3空気ブロワ17は、カソード空気の必要流量に応じて回転数を調整するよう設定される。そのため図35に破線で示すように、各冷却体110に対するバイパス路BYを設けておき、各冷却体110を流通する冷却用空気Adの流量を調整可能とすることが好ましい。なおバイパス路BYは、冷却体110の入口近傍の管路と出口近傍の管路を繋ぐように設置される。
【0230】
バイパス路BYを設ける場合、ホットモジュール内部の温度が高くなるほど、バイパス路BYを通る冷却用空気Adの流量(バイパス流量)を減少させ、冷却体110への冷却用空気Adの供給流量を増加させるようにすれば良い。具体的には、例えば、ホットモジュール内部の温度が所定の目標温度(上限温度よりも所定温度だけ低い温度)になるように、バイパス流量を調整すれば良い。
【0231】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の構成は上記実施形態に限られず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0232】
本発明は、燃料電池システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0233】
1 セルスタック
2 改質器
2a 反応容器
3 バーナ
4 蒸発器
5 空気予熱器
6 アノードオフガス冷却器
7 アノードオフガス凝縮器
8 CO酸化器
9 凝縮水回収タンク
10 第1原燃料ブロワ
11 第1空気ブロワ
12 水ポンプ
13 第2原燃料ブロワ
14 第2空気ブロワ
15 パワーコンディショナ
16 システムコントローラ
17 第3空気ブロワ
51 第1支柱
52 第2支柱
53 板状断熱材
61 セルスタック集合体
62 オープンラック
63 ステージ盤
64 柱部
71 支持板
72 フランジ付ガスポート
72a アノード燃料流入ポート
72b カソード空気流入ポート
72c アノードオフガス流出ポート
72d カソードオフガス流出ポート
74a 第1電力端子
74b 第2電力端子
75 積層部
76a 第1端板
76b 第2端板
78a メインバスバー
78a1 伸縮吸収部
78b サブバスバー
78b1 伸縮吸収部
79 電力線
79a 電力線保護管
100、200、200a 燃料電池システム
110、110a 冷却体
111 第1吸熱プレート
111a プレート部
111b 凸部
111c フランジ部
111d、111e 貫通孔
112 第2吸熱プレート
112a プレート部
112b 凸部
112c フランジ部
113 第1サイドバー
114 第2サイドバー
115 冷却用空気導入管
116 冷却用空気導出管
120 断熱材
Aa~Ac 空気
Ad 冷却用空気
B1 第1ベローズ形伸縮管継手
B2 第2ベローズ形伸縮管継手
B3 第3ベローズ形伸縮管継手
B4 第4ベローズ形伸縮管継手
D1 ガス排出口
E1、E2 燃料取入口
E3、E4、E5 空気取入口
Ga 原燃料ガス
Gb 混合ガス
Gc 改質ガス
Gd アノードオフガス
Ge カソードオフガス
Gf 原燃料ガス
Gg 燃焼ガス
La 原燃料ライン
Lb 混合ガスライン
Lc アノード燃料ライン
Ld アノードオフガスライン
Le カソード空気ライン
Lf カソードオフガスライン
Lg 燃焼ガスライン
Lh バーナ冷却用空気ライン
Li スタック冷却用空気ライン
Lj 改質水ライン
Lk 冷却用空気ライン
Lka 第1冷却用空気ライン
Lkb 第2冷却用空気ライン
Ma 第1分配マニホールド
Mb 第2分配マニホールド
Mc 第1収集マニホールド
Md 第2収集マニホールド
RG 改質ガス発生装置
Wa 改質水
X1 第1ボックス
X1a 第1台座
X2 第2ボックス
X2a 第2台座
Za 熱放射筒
Zb 燃焼ガス管
Zc 冷却管
図1
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