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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004657
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】吸着装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20240110BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20240110BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B01D53/04 ZAB
B01D53/62
B01D53/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104375
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 啓夫
【テーマコード(参考)】
4D002
4D012
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA04
4D002CA07
4D002DA41
4D002DA45
4D002DA46
4D002GA02
4D002GA04
4D002GB01
4D002GB11
4D002GB20
4D012CA08
4D012CA12
4D012CB12
4D012CE01
4D012CE02
4D012CF01
4D012CF02
4D012CF08
4D012CF10
(57)【要約】
【課題】吸着層の吸着量分布のばらつきを抑制し、吸着効率を向上する。
【解決手段】吸着装置10は、混合ガスG1を処理する吸着容器12を備える。吸着容器12は、容器本体13と、容器本体13内に収容された吸着材15からなる吸着層14と、混合ガスG1を導入する導入通路16と、混合ガスG1から特定ガスが除去されたガスを導出する導出通路17と、を備える。導入通路16から分岐された複数の分岐通路21,22が設けられる。各分岐通路21,22の混合ガスG1の各吐出口21a,22aは、吸着層14における混合ガスG1の流れ方向と直交する方向に互いに間隔を空けて配置される。各分岐通路21,22の開口面積を調整する弁装置20が設けられる。吸着層14に吸着される特定ガスの吸着量を算出する吸着量算出手段31と、吸着量算出手段31の算出値に基づいて弁装置20を制御する流量制御手段32と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定ガスを吸着する吸着材を用いて混合ガスを処理する吸着容器を備える吸着装置であって、
前記吸着容器は、容器本体と、該容器本体内に層状に収容された前記吸着材からなる吸着層と、該吸着層に前記混合ガスを導入する導入通路と、前記混合ガスから前記特定ガスが除去されたガスを前記吸着層から導出する導出通路と、を備えており、
前記導入通路から分岐された複数の分岐通路が設けられており、
前記各分岐通路の前記混合ガスの各吐出口は、前記吸着層における前記混合ガスの流れ方向と直交する方向に互いに間隔を空けて配置されており、
前記各分岐通路の開口面積を調整する弁装置が設けられており、
前記吸着層に吸着される前記特定ガスの吸着量を算出する吸着量算出手段と、
前記吸着量算出手段の算出値に基づいて前記弁装置を制御する流量制御手段と、を備えた、吸着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吸着装置であって、
前記各分岐通路の開口時間を検出する開口時間検出手段を備えており、
前記吸着量算出手段は、前記開口時間検出手段の検出値に基づいて前記吸着量を算出する、吸着装置。
【請求項3】
請求項2に記載の吸着装置であって、
前記各分岐通路の流量を検出する吐出流量検出手段と、
前記吐出流量検出手段の検出値と前記開口時間検出手段の検出値とに基づいて前記各分岐通路を流れた累積流量を算出する累積流量算出手段と、
を備えており、
前記吸着量算出手段は、前記累積流量算出手段の算出値に基づいて前記吸着量を算出する、吸着装置。
【請求項4】
請求項1に記載の吸着装置であって、
前記各吐出口の周辺部の前記吸着材の温度を検出する複数の温度検出手段を備えており、
前記吸着量算出手段は、前記各温度検出手段の検出値に基づいて前記吸着量を算出する、吸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は吸着装置に関する。詳しくは、特定ガスを吸着する吸着材を用いて混合ガスを処理する吸着容器を備える吸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された蒸発燃料排出防止用キャニスタは、蒸発燃料を吸着する吸着材を用いて蒸発燃料含有ガスを処理する。キャニスタは、キャニスタケースと、キャニスタケース内に層状に収容された吸着材からなる吸着層と、吸着層に蒸発燃料含有ガスを導入する導入通路と、蒸発燃料含有ガスから蒸発燃料が除去されたガスを吸着層から導出する導出通路と、を備える。吸着層に、蒸発燃料含有ガスを導入する蒸発燃料導入室が形成されている。導入通路は、吸着容器に同心状に設けられている。導入通路の下流端には、複数の分岐通路を放射状に有する拡散部材が接続されている。蒸発燃料含有ガスは、拡散部材の各分岐通路から蒸発燃料導入室内に放射状に流出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-128364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のキャニスタによると、蒸発燃料含有ガスが拡散部材の各分岐通路から放射状に流出されるものの、拡散部材により吸着層の中央部に対する蒸発燃料含有ガスの流れが妨げられる。このため、吸着層の中央部に淀みが生じることにより、吸着層の特定ガスの吸着量(以下、「吸着層の吸着量」ともいう)にばらつきが生じやすく、吸着効率が低下するおそれがある。また、各分岐通路の流量を調整する機能を備えていないため、吸着層の吸着量分布に偏りが生じやすく、吸着効率が低下するおそれがある。
【0005】
本明細書に開示の技術が解決しようとする課題は、吸着層の吸着量分布のばらつきを抑制し、吸着効率を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本明細書が開示する技術は次の手段をとる。
【0007】
第1の手段は、特定ガスを吸着する吸着材を用いて混合ガスを処理する吸着容器を備える吸着装置であって、前記吸着容器は、容器本体と、該容器本体内に層状に収容された前記吸着材からなる吸着層と、該吸着層に前記混合ガスを導入する導入通路と、前記混合ガスから前記特定ガスが除去されたガスを前記吸着層から導出する導出通路と、を備えており、前記導入通路から分岐された複数の分岐通路が設けられており、前記各分岐通路の前記混合ガスの各吐出口は、前記吸着層における前記混合ガスの流れ方向と直交する方向に互いに間隔を空けて配置されており、前記各分岐通路の開口面積を調整する弁装置が設けられており、前記吸着層に吸着される前記特定ガスの吸着量を算出する吸着量算出手段と、前記吸着量算出手段の算出値に基づいて前記弁装置を制御する流量制御手段と、を備えた、吸着装置である。
【0008】
第1の手段によると、吸着層に吸着される特定ガスの吸着量を算出する吸着量算出手段の算出値に基づいて、流量制御手段が弁装置を制御する。したがって、吸着層の吸着量分布に応じて各分岐通路の流量を調整することにより、吸着層の吸着量分布のばらつきを抑制し、吸着効率を向上することができる。
【0009】
第2の手段は、第1の手段の吸着装置であって、前記各分岐通路の開口時間を検出する開口時間検出手段を備えており、前記吸着量算出手段は、前記開口時間検出手段の検出値に基づいて前記吸着量を算出する、吸着装置である。
【0010】
第2の手段によると、各分岐通路の開口時間を検出する開口時間検出手段の検出値に基づいて、吸着量算出手段が吸着層の吸着量を算出することができる。
【0011】
第3の手段は、第2の手段の吸着装置であって、前記各分岐通路の流量を検出する吐出流量検出手段と、前記吐出流量検出手段の検出値と前記開口時間検出手段の検出値とに基づいて前記各分岐通路を流れた累積流量を算出する累積流量算出手段と、を備えており、前記吸着量算出手段は、前記累積流量算出手段の算出値に基づいて前記吸着量を算出する、吸着装置である。
【0012】
第3の手段によると、開口時間検出手段の検出値と吐出流量検出手段の検出値とに基づいて、累積流量算出手段が各分岐通路を流れた累積流量を算出する。累積流量算出手段の算出値に基づいて、吸着量算出手段が吸着層の吸着量を算出することができる。これにより、吸着層の吸着量分布のばらつきの抑制効果を向上することができる。
【0013】
第4の手段は、第1の手段の吸着装置であって、前記各吐出口の周辺部の前記吸着材の温度を検出する複数の温度検出手段を備えており、前記吸着量算出手段は、前記各温度検出手段の検出値に基づいて前記吸着量を算出する、吸着装置である。
【0014】
第4の手段によると、各吐出口の周辺部の吸着材の温度を検出する各温度検出手段の検出値に基づいて、吸着量算出手段が吸着層の吸着量を算出することができる。
【発明の効果】
【0015】
本明細書に開示の技術によると、吸着層の吸着量分布のばらつきを抑制し、吸着効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1にかかる吸着装置を模式的に示す断面図である。
図2】実施形態2にかかる吸着装置を模式的に示す断面図である。
図3】実施形態3にかかる吸着装置を模式的に示す断面図である。
図4】実施形態4にかかる吸着装置を模式的に示す断面図である。
図5】実施形態5にかかる吸着容器を模式的に示す断面図である。
図6】実施形態6にかかる吸着容器を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本明細書に開示の技術を実施するための実施形態について図面を用いて説明する。
【0018】
[実施形態1]
図1は吸着装置を模式的に示す断面図である。図1に示すように、吸着装置10は、二酸化炭素(CO2)等の特定ガスを吸着する吸着材15を用いて混合ガスG1を処理する吸着容器12を備える。混合ガスG1は、例えば燃焼機関の排ガス等であり、二酸化炭素が含まれている。
【0019】
吸着材15は、特定ガス(二酸化炭素)を吸着及び脱離可能である。吸着材15は、例えば、ゼオライト、シリカゲル、活性炭等からなる。吸着材15の形状は、例えば、粒状、ペレット状、粉末状、ハニカム状等である。
【0020】
(吸着容器12)
吸着容器12は、容器本体13と吸着層14と導入通路16と導出通路17とを備えている。説明の都合上、図1を基に吸着容器12の上下左右の方位を定めるが、吸着容器12の配置方向を特定するものではない。
【0021】
容器本体13は、縦型中空円筒状の筒壁部13aと、筒壁部13aの上面開口部を閉鎖する上板部13bと、筒壁部13aの下面開口部を閉鎖する下板部13cと、を有する。
【0022】
吸着層14は、容器本体13内に充填されて層状に収容された吸着材15からなる。吸着層14の下面は、容器本体13の下板部13cに接触している。容器本体13の上板部13bと吸着層14との対向面間には上部空間層18が形成されている。吸着層14の上面には、フィルタ、多孔板等の通気性を有する上部仕切部材19が設けられている。
【0023】
導入通路16は、混合ガス供給源から供給される混合ガスG1を吸着層14の一端側(下端部)に導入する配管である。導入通路16は、上板部13bの左端部付近を鉛直方向に貫通している。導入通路16の下流端には、弁装置20を介して、複数(本実施形態では2つ)の分岐通路すなわち第1分岐通路21及び第2分岐通路22が分岐されている。第1分岐通路21は、弁装置20から下方に延びている。第1分岐通路21の混合ガスの吐出口21aは、吸着層14の下端部において下向きに開口されている。第2分岐通路22は、弁装置20から右方に延びた後、吸着層14の右端部付近において下方に向けて折り曲げられている。第2分岐通路22の混合ガスの吐出口22aは、吸着層14の下端部において下向きに開口されている。各分岐通路21,22は、導入通路16の一部とみなすことができる。
【0024】
導出通路17は、混合ガスG1から特定ガスが除去されたガス(以下、「精製ガス」という)G2を吸着層14の他端側(上端側)から導出する配管である。導出通路17は、上板部13bの右端部付近から上方へ延びている。導出通路17は、上部空間層18と連通されている。
【0025】
本実施形態において、混合ガスG1は、吸着層14を容器本体13の筒壁部13aの軸方向(上下方向)の一端側(下端側)から他端側(上端側)へ向けて流れる。第1分岐通路21の吐出口21a及び第2分岐通路22の吐出口22aは、吸着層14における混合ガスG1の流れ方向と直交する方向すなわち水平方向(本実施形態では左右方向)に互いに間隔を空けて配置されている。また、各吐出口21a,22aは、フィルタ、多孔板等の通気性を有する端板部材23(同一符号を付す)により閉鎖されている。
【0026】
(弁装置20)
弁装置20は、導入通路16の分岐部に設けられている。弁装置20の上側に導入通路16が接続され、その下側に第1分岐通路21が接続され、その右側に第2分岐通路22が接続されている。弁装置20は、各分岐通路21,22の開口面積を調整可能である。弁装置20には、導入通路16からの混合ガスG1を第1分岐通路21に流す状態と、導入通路16からの混合ガスG1を第2分岐通路22に流す状態と、に切替え可能な三方弁が用いられている。また、弁装置20には、各分岐通路21,22の開口面積すなわち各分岐通路21,22を流れる流量を調整可能な三方弁を用いてもよい。
【0027】
導入通路16の入口には導入流量検出手段24が設けられている。導入流量検出手段24は、導入通路16の流量を検出し、その検出信号を制御装置30に入力する。
【0028】
(制御装置)
制御装置30は電子制御装置いわゆるECUからなる。制御装置30は、吸着量算出手段31及び流量制御手段32を備えている。吸着量算出手段31は、導入流量検出手段24の検出値に基づいて吸着層14に吸着された特定ガスの吸着量を算出する。具体的には、吸着量算出手段31は、混合ガスの流量と混合ガス中の特定ガスの濃度との関係式やマップ等を用いて、吸着層14の吸着量を算出する。また、流量制御手段32は、吸着量算出手段31の算出値に基づいて弁装置20を制御する。
【0029】
(吸着装置10の作用)
混合ガスG1が導入通路16及び各分岐通路21,22を介して吸着層14に導入(供給)される。混合ガスG1が吸着層14を鉛直方向下方から上方へ向かって流れることで、特定ガスが吸着材15に吸着される。その後、特定ガスが除去された精製ガスG2は、上部空間層18から導出通路17を介して供給先へ供給される。
【0030】
吸着層14への混合ガスG1の導入に際し、まず、弁装置20が、第2分岐通路22を閉じる一方、第1分岐通路21を開く。この状態では、混合ガスG1が第1分岐通路21の吐出口21aから吸着層14の左側半部に供給される。これにより、混合ガスG1が吸着層14の主に左側半部を通ることで、吸着層14の左側半部の吸着材15に特定ガスが吸着される。
【0031】
制御装置30の吸着量算出手段31が算出した特定ガスの吸着量が、吸着層14の左側半部の吸着量相当分に達したときには、流量制御手段32が弁装置20を制御する。すなわち、弁装置20が、第1分岐通路21を閉じる一方、第2分岐通路22を開く。この状態では、混合ガスG1が第2分岐通路22の吐出口22aから吸着層14の右側半部に供給される。これにより、いままで混合ガスG1が供給されていなかった吸着層14の右側半部を混合ガスG1が通ることで、吸着層14の右側半部の吸着材15に特定ガスが吸着される。これにより、混合ガスG1が吸着層14全体に満遍なく導入(供給)される。
【0032】
(実施形態1の作用・効果)
本実施形態によると、吸着層14に吸着される特定ガスの吸着量を算出する吸着量算出手段31の算出値に基づいて、流量制御手段32が弁装置20を制御する。したがって、吸着層14の吸着量分布に応じて各分岐通路21,22の流量を調整することにより、吸着層14の吸着量分布のばらつきを抑制し、吸着効率を向上することができる。
【0033】
[実施形態2]
本実施形態は、実施形態1(図1参照)に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、実施形態1と同一部位については同一符号を付して重複する説明を省略する。図2は吸着装置を模式的に示す断面図である。
【0034】
図2に示すように、本実施形態では、弁装置20に開口時間検出手段25が設けられている。開口時間検出手段25は、各分岐通路21,22の開口時間を検出し、その検出信号を制御装置30に入力する。吸着量算出手段31は、開口時間検出手段25の検出値に基づいて吸着量を算出する。なお、本実施形態では、実施形態1(図1参照)における導入流量検出手段24は省略されている。
【0035】
本実施形態によると、各分岐通路21,22の開口時間を検出する開口時間検出手段25の検出値に基づいて、吸着量算出手段31が吸着層14の吸着量を算出することができる。
【0036】
[実施形態3]
本実施形態は、実施形態2(図2参照)に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、実施形態1と同一部位については同一符号を付して重複する説明を省略する。図3は吸着装置を模式的に示す断面図である。
【0037】
図3に示すように、本実施形態は、実施形態2(図2参照)の吸着装置10の第1分岐通路21に第1吐出流量検出手段26が設けられている。第1吐出流量検出手段26は、第1分岐通路21を流れる混合ガスG1の流量すなわち吐出口21aから吐出する流量を検出し、その検出信号を制御装置30に入力する。
【0038】
第2分岐通路22に第2吐出流量検出手段27が設けられている。第2吐出流量検出手段27は、第2分岐通路22を流れる混合ガスG1の流量すなわち吐出口22aから吐出する流量を検出し、その検出信号を制御装置30に入力する。
【0039】
制御装置30には累積流量算出手段33が設けられている。累積流量算出手段33は、開口時間検出手段25の検出値と各吐出流量検出手段26,27の検出値とに基づいて、第1分岐通路21及び第2分岐通路22を流れた累積流量を算出する。
【0040】
本実施形態によると、開口時間検出手段25の検出値と各吐出流量検出手段26,27の検出値とに基づいて、累積流量算出手段33が各分岐通路21,22を流れた累積流量を算出する。累積流量算出手段33の算出値に基づいて、吸着量算出手段31が吸着層14の吸着量を算出することができる。これにより、吸着層14の吸着量分布のばらつきの抑制効果を向上することができる。
【0041】
[実施形態4]
本実施形態は、実施形態1(図1参照)に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、実施形態1と同一部位については同一符号を付して重複する説明を省略する。図4は吸着装置を模式的に示す断面図である。
【0042】
図4に示すように、本実施形態では、容器本体13内に複数(本実施形態では2個)の検出手段すなわち第1温度検出手段28及び第2温度検出手段29が設けられている。第1温度検出手段28は、容器本体13の左側内壁面の中央下部に取り付けられている。第1温度検出手段28は、第1分岐通路21の吐出口21aの周辺部の吸着材15の温度を検出し、その検出信号を制御装置30に入力する。
【0043】
第2温度検出手段29は、容器本体13の右側内壁面の中央下部に取り付けられている。第2温度検出手段29は、第2分岐通路22の吐出口22aの周辺部の吸着材15の温度を検出し、その検出信号を制御装置30に入力する。なお、本実施形態では、実施形態1(図1参照)における導入流量検出手段24は省略されている。
【0044】
本実施形態によると、各吐出口21a,22aの周辺部の吸着材15の温度を検出する各温度検出手段28,29の検出値に基づいて、吸着量算出手段31が吸着層14の吸着量を算出することができる。
【0045】
[実施形態5]
本実施形態は、実施形態1(図1参照)の吸着容器12に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、実施形態1と同一部位については同一符号を付して重複する説明を省略する。図5は吸着容器を模式的に示す断面図である。
【0046】
図5に示すように、本実施形態では、容器本体13の下板部13cと吸着層14との対向面間には下部空間層35が形成されている。下部空間層35に、各分岐通路21,22及び弁装置20等が配置されている。吸着層14の下面には、フィルタ、多孔板等の通気性を有する下部仕切部材36が設けられている。
【0047】
本実施形態によると、混合ガスG1が第1分岐通路21の吐出口21a及び第2分岐通路22の吐出口22aから下部空間層35に吐出されることにより、吸着層14に流れる混合ガスG1の偏りを抑制することができる。また、本実施形態の吸着容器12は、実施形態1~4の吸着装置10に適用してもよい。
【0048】
[実施形態6]
本実施形態は、実施形態1(図1参照)の吸着容器12に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、実施形態1と同一部位については同一符号を付して重複する説明を省略する。図6は吸着容器を模式的に示す断面図である。
【0049】
図6に示すように、本実施形態では、実施形態1(図1参照)の弁装置20を弁装置40に変更したものである。弁装置40は四方弁である。実施形態体1と同様、弁装置40の上側に導入通路16が接続され、その下側に第1分岐通路21が接続され、その右側に第2分岐通路22が接続されている。
【0050】
弁装置40の左側に第3分岐通路41が接続されている。第3分岐通路41は、第2分岐通路22に対して弁装置40を間にして左右対称状に配置されている。これにより、各分岐通路21,22,41の混合ガスの各吐出口21a,22a,41aは、水平方向(本実施形態では左右方向)に互いに間隔を空けて配置されている。
【0051】
弁装置40は、各分岐通路21,22,41の開口面積を調整可能である。弁装置40には、導入通路16からの混合ガスG1を第1分岐通路21に流す状態と、導入通路16からの混合ガスG1を第2分岐通路22に流す状態と、導入通路16からの混合ガスG1を第3分岐通路41に流す状態と、に切替え可能な四方弁が用いられる。また、弁装置40には、各分岐通路21,22,41の開口面積すなわち各分岐通路21,22,41を流れる流量を調整可能な四方弁を用いてもよい。また、本実施形態の吸着容器12は、実施形態1~5の吸着装置10に適用してもよい。
【0052】
[他の実施形態]
本明細書に開示の技術は、前記した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の形態で実施可能である。例えば、実施形態では、混合ガスG1を排ガスとし、特定ガスを二酸化炭素としたが、混合ガスG1を蒸発燃料含有ガスとし、特定ガスを蒸発燃料としてもよく、混合ガスG1及び特定ガスは限定されない。
【0053】
また、実施形態では、複数の吐出口を下向きに配置したが、複数の吐出口を上向きに配置してもよい。また、複数の吐出口は、同一方向に向けた状態で、混合ガスの流れ方向と直交する方向に互いに間隔を空けて配置するとともに、互いに混合ガスの流れ方向にずらして配置してもよい。また、実施形態において、混合ガスの流れ方向と直交する方向には、左右方向に限らず、前後方向が含まれる。このため、複数の吐出口は、左右方向及び/又は前後方向に互いに間隔を空けて配置してもよい。
【0054】
また、弁装置は、複数の分岐通路にそれぞれ設けた制御弁に変更してもよい。制御弁は、デューティ制御されるものでもよいし、比例制御されるものでもよい。また、分岐通路の数は4以上でもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 吸着装置
12 吸着容器
13 容器本体
14 吸着層
15 吸着材
16 導入通路
17 導出通路
20 弁装置
21 第1分岐通路
21a 吐出口
22 第2分岐通路
22a 吐出口
25 開口時間検出手段
26 第1吐出流量検出手段
27 第2吐出流量検出手段
28 第1温度検出手段
29 第2温度検出手段
30 制御装置
31 吸着量算出手段
32 流量制御手段
33 累積流量算出手段
40 弁装置
G1 混合ガス
G2 精製ガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6