(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046570
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】画像読取り装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240327BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
H04N1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186899
(22)【出願日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2022151450
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】白井 雅憲
(72)【発明者】
【氏名】田中 健稔
(72)【発明者】
【氏名】下永 明男
(72)【発明者】
【氏名】武内 雅明
(72)【発明者】
【氏名】綾部 琢磨
【テーマコード(参考)】
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB22
5C062AB32
5C062AB33
5C062AC02
5C062AC09
5C062AC15
5C062AD01
5C062AD06
5C072AA01
5C072BA04
5C072CA02
5C072DA04
5C072DA12
5C072EA04
5C072NA01
5C072UA02
5C072WA02
(57)【要約】
【課題】読取り手段と校正手段とが引き出して接触離間される構成に比べて、校正手段と読取り手段との位置精度を向上させること。
【解決手段】媒体(S)の表面の画像を読み取る読取り手段(1,2)と、読取り手段(1,2)に対して媒体(S)を挟んで対向して配置され、読取り手段(1,2)の校正を行う校正手段(3,4)と、を備え、校正手段(3,4)は、回転軸(36a,46a)を中心として読取り手段(1,2)に対向する閉鎖位置と、読取り手段(1,2)に対して離間する開放位置との間で開閉可能に支持され、校正手段(3,4)が、閉鎖位置に移動した場合に読取り手段(1,2)に対して位置決めされる画像読取り装置(IS)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の表面の画像を読み取る読取り手段と、
前記読取り手段に対して媒体を挟んで対向して配置され、前記読取り手段の校正を行う校正手段と、
を備え、
前記校正手段は、回転軸を中心として前記読取り手段に対向する閉鎖位置と、前記読取り手段に対して離間する開放位置と、の間で開閉可能に支持され、
前記校正手段が、前記閉鎖位置に移動した場合に、前記読取り手段に対して位置決めされる、
ことを特徴とする画像読取り装置。
【請求項2】
前記読取り手段は、媒体の幅方向に沿って引き出し、挿入される引き出し手段に支持されていない
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取り装置。
【請求項3】
前記読取り手段に設けられた位置決め手段と、
前記校正手段に設けられ、前記位置決め手段に直接接触して位置決めされる被位置決め手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像読取り装置。
【請求項4】
前記読取り手段の筐体の一部位により構成された前記位置決め手段と、
前記校正手段の筐体の一部位により構成された前記被位置決め手段と、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の画像読取り装置。
【請求項5】
前記校正手段に支持され、前記校正手段を前記閉鎖位置に保持する保持位置と、前記閉鎖位置への保持を解除する解除位置と、の間で操作可能な操作手段と、
前記校正手段が前記閉鎖位置に移動し且つ前記操作手段が保持位置に移動した場合に、前記操作手段に接触する保持手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像読取り装置。
【請求項6】
前記操作手段を前記保持位置に向けて押す力を付与する付与手段、
を備え、
前記操作手段は、前記保持位置の前記校正手段と前記保持手段との接触面において、前記付与手段の力で前記操作手段が前記保持手段から受ける反力の方向が、前記校正手段が前記読取り手段に接近する方向の成分を有するように形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の画像読取り装置。
【請求項7】
前記媒体の重力方向上側の面に対向して配置された第1の校正手段と、前記媒体の重力方向下側の面に対向して配置された第2の校正手段と、を有する前記校正手段と、
前記第1の校正手段に設けられた第1の操作手段と、前記第2の校正手段に設けられた第2の操作手段と、を有する前記操作手段と、
前記第1の校正手段に設けられた第1の付与手段と、前記第2の校正手段に設けられ且つ前記第1の付与手段と同じ力を作用させる第2の付与手段と、を有する前記付与手段と、
を備え、
前記第2の操作手段の第2の保持手段との接触面は、重力方向下側の前記第2の校正手段の重量分、前記第1の操作手段の第1の保持手段との接触面から受ける反力よりも、受ける反力が強くなる
ことを特徴とする請求項6に記載の画像読取り装置。
【請求項8】
媒体の幅方向に延び、前記幅方向の一端部に前記操作手段を前記保持位置と前記解除位置との間で移動可能に支持する支持手段、
を備え、
前記付与手段による前記支持手段の捻じれ量に基づいて、前記操作手段の前記支持手段への取り付け位置を捻じれ量を打ち消す量だけ移動させることを特徴とする請求項6に記載の画像読取り装置。
【請求項9】
前記媒体の重力方向上側の面に対向して配置された第1の校正手段と、前記媒体の重力方向下側の面に対向して配置された第2の校正手段と、を有する前記校正手段と、
前記第1の校正手段に設けられた第1の操作手段と、前記第2の校正手段に設けられた第2の操作手段と、を有する前記操作手段と、
前記第1の校正手段に設けられた第1の付与手段と、前記第2の校正手段に設けられ且つ前記第1の付与手段と同じ力を作用させる第2の付与手段と、を有する前記付与手段と、
前記第1の校正手段に設けられた第1の支持手段と、前記第2の校正手段に設けられた第2の支持手段と、を有する前記支持手段、
を備え、
前記第2の付与手段による前記第2の支持手段の捻じれ量に基づいて、前記第2の操作手段の前記第2の支持手段への取り付け位置を捻じれ量を打ち消す量だけ移動させると共に、
前記第1の付与手段による前記第1の支持手段の捻じれ量に基づいて、前記第1の操作手段の前記第1の支持手段への取り付け位置を捻じれ量を打ち消す量だけ移動させない
ことを特徴とする請求項8に記載の画像読取り装置。
【請求項10】
前記画像読取り装置の手前側に配置された前記操作手段と、
前記画像読取り装置の奥側に配置された前記付与手段と、
を備えたことを特徴とする請求項8に記載の画像読取り装置。
【請求項11】
前記画像読取り装置の奥側にのみ配置された前記付与手段、
を備えたことを特徴とする請求項10に記載の画像読取り装置。
【請求項12】
第1の機能手段と、
前記第1の機能手段に対して相対的に移動可能な第2の機能手段と、
前記第2の機能手段に支持され、前記第1の機能手段と前記第2の機能手段とを予め定められた位置に保持する保持位置と、前記保持された状態を解除する解除位置との間で操作可能な操作手段と、
前記第2の機能手段の長手方向に延び、前記長手方向の一端部に前記操作手段を前記保持位置と前記解除位置との間で移動可能に支持する支持手段と、
前記支持手段の長手方向の他端部に少なくとも配置され、前記操作手段を前記保持位置に向けて押す力を付与する付与手段と、
を備え、
前記付与手段による前記支持手段の捻じれ量に基づいて、前記操作手段の前記支持手段への取り付け位置を捻じれ量を打ち消す量だけ移動させることを特徴とする画像読取り装置。
【請求項13】
媒体に画像を記録する記録手段と、
前記記録手段で媒体に記録された画像を読み取る請求項1ないし12のいずれかに記載の画像読取り装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取り装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、画像形成後に媒体表面の画像を読み取って画像欠陥を検査する画像読取り装置に関し、下記の特許文献1に記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1には、記録媒体(P)の画像を内蔵イメージセンサ(200)で読み取って異常があるか否かを検出する技術が記載されている。特許文献1に記載の構成では、内蔵イメージセンサ(200)に対して記録媒体(P)を挟んで反対側の位置に、設定部(210)が配置され、設定部(210)にはCCDセンサ(204)の補正を行うための基準ロール(226)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-009933号公報(「0070」-「0095」、
図1-
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、読取り手段と校正手段とが引き出して接触離間される構成に比べて、校正手段と読取り手段との位置精度を向上させることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の画像読取り装置は、
媒体の表面の画像を読み取る読取り手段と、
前記読取り手段に対して媒体を挟んで対向して配置され、前記読取り手段の校正を行う校正手段と、
を備え、
前記校正手段は、回転軸を中心として前記読取り手段に対向する閉鎖位置と、前記読取り手段に対して離間する開放位置と、の間で開閉可能に支持され、
前記校正手段が、前記閉鎖位置に移動した場合に、前記読取り手段に対して位置決めされる、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像読取り装置において、
前記読取り手段は、媒体の幅方向に沿って引き出し、挿入される引き出し手段に支持されていない
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像読取り装置において、
前記読取り手段に設けられた位置決め手段と、
前記校正手段に設けられ、前記位置決め手段に直接接触して位置決めされる被位置決め手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像読取り装置において、
前記読取り手段の筐体の一部位により構成された前記位置決め手段と、
前記校正手段の筐体の一部位により構成された前記被位置決め手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の画像読取り装置において、
前記校正手段に支持され、前記校正手段を前記閉鎖位置に保持する保持位置と、前記閉鎖位置への保持を解除する解除位置と、の間で操作可能な操作手段と、
前記校正手段が前記閉鎖位置に移動し且つ前記操作手段が保持位置に移動した場合に、前記操作手段に接触する保持手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像読取り装置において、
前記操作手段を前記保持位置に向けて押す力を付与する付与手段、
を備え、
前記操作手段は、前記保持位置の前記校正手段と前記保持手段との接触面において、前記付与手段の力で前記操作手段が前記保持手段から受ける反力の方向が、前記校正手段が前記読取り手段に接近する方向の成分を有するように形成されている
ことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像読取り装置において、
前記媒体の重力方向上側の面に対向して配置された第1の校正手段と、前記媒体の重力方向下側の面に対向して配置された第2の校正手段と、を有する前記校正手段と、
前記第1の校正手段に設けられた第1の操作手段と、前記第2の校正手段に設けられた第2の操作手段と、を有する前記操作手段と、
前記第1の校正手段に設けられた第1の付与手段と、前記第2の校正手段に設けられ且つ前記第1の付与手段と同じ力を作用させる第2の付与手段と、を有する前記付与手段と、
を備え、
前記第2の操作手段の第2の保持手段との接触面は、重力方向下側の前記第2の校正手段の重量分、前記第1の操作手段の第1の保持手段との接触面から受ける反力よりも、受ける反力が強くなる
ことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の画像読取り装置において、
媒体の幅方向に延び、前記幅方向の一端部に前記操作手段を前記保持位置と前記解除位置との間で移動可能に支持する支持手段、
を備え、
前記付与手段による前記支持手段の捻じれ量に基づいて、前記操作手段の前記支持手段への取り付け位置を捻じれ量を打ち消す量だけ移動させることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の画像読取り装置において、
前記媒体の重力方向上側の面に対向して配置された第1の校正手段と、前記媒体の重力方向下側の面に対向して配置された第2の校正手段と、を有する前記校正手段と、
前記第1の校正手段に設けられた第1の操作手段と、前記第2の校正手段に設けられた第2の操作手段と、を有する前記操作手段と、
前記第1の校正手段に設けられた第1の付与手段と、前記第2の校正手段に設けられ且つ前記第1の付与手段と同じ力を作用させる第2の付与手段と、を有する前記付与手段と、
前記第1の校正手段に設けられた第1の支持手段と、前記第2の校正手段に設けられた第2の支持手段と、を有する前記支持手段、
を備え、
前記第2の付与手段による前記第2の支持手段の捻じれ量に基づいて、前記第2の操作手段の前記第2の支持手段への取り付け位置を捻じれ量を打ち消す量だけ移動させると共に、
前記第1の付与手段による前記第1の支持手段の捻じれ量に基づいて、前記第1の操作手段の前記第1の支持手段への取り付け位置を捻じれ量を打ち消す量だけ移動させない
ことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の画像読取り装置において、
前記画像読取り装置の手前側に配置された前記操作手段と、
前記画像読取り装置の奥側に配置された前記付与手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像読取り装置において、
前記画像読取り装置の奥側にのみ配置された前記付与手段、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
前記技術的課題を解決するために、請求項12に記載の発明の画像読取り装置は、
第1の機能手段と、
前記第1の機能手段に対して相対的に移動可能な第2の機能手段と、
前記第2の機能手段に支持され、前記第1の機能手段と前記第2の機能手段とを予め定められた位置に保持する保持位置と、前記保持された状態を解除する解除位置との間で操作可能な操作手段と、
前記第2の機能手段の長手方向に延び、前記長手方向の一端部に前記操作手段を前記保持位置と前記解除位置との間で移動可能に支持する支持手段と、
前記支持手段の長手方向の他端部に少なくとも配置され、前記操作手段を前記保持位置に向けて押す力を付与する付与手段と、
を備え、
前記付与手段による前記支持手段の捻じれ量に基づいて、前記操作手段の前記支持手段への取り付け位置を捻じれ量を打ち消す量だけ移動させることを特徴とする。
【0018】
前記技術的課題を解決するために、請求項13に記載の発明の画像形成装置は、
媒体に画像を記録する記録手段と、
前記記録手段で媒体に記録された画像を読み取る請求項1ないし12のいずれかに記載の画像読取り装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1,12,13に記載の発明によれば、読取り手段と校正手段とが引き出して接触離間される構成に比べて、校正手段と読取り手段との位置精度を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、引き出し手段を使用する場合に比べて、位置の誤差の累積を防止でき、位置精度を向上させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、位置決め手段と被位置決め手段とが直接接触しない場合に比べて、位置精度を向上させることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、位置決め手段や被位置決め手段が筐体の一部位で構成されていない場合に比べて、取付誤差を抑制でき、位置精度を向上させることができる。
請求項5に記載の発明によれば、操作手段を操作して、校正手段を閉鎖位置と開放位置との間で移動させることができる。
請求項6に記載の発明によれば、操作手段が保持手段から受ける反力で付与手段の力を利用して、校正手段と読取り手段と押し当てることができる。
請求項7に記載の発明によれば、重力の力で読取り手段から離間する方向の力を受ける第2の校正手段において、第1の付与手段と同じ力の第2の付与手段で押し当てる力を確保できる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、操作手段の支持手段への取り付け位置を捻じれ量を打ち消す量だけ移動させない場合に比べて、操作手段と保持手段との保持を安定させられる。
請求項9に記載の発明によれば、捻じれ量の悪影響の小さな第1の操作手段の取り付け位置を移動させる場合に比べて、取付位置を移動させる手間を省くことができる。
請求項10に記載の発明によれば、手前側の付与手段に比べて、大きくなりやすい奥側の付与手段の付与力で手前側の操作手段の位置に生じるねじれの悪影響が抑制される。
請求項11に記載の発明によれば、付与手段が手前側に設けられる場合に比べて事故の発生を抑制できると共に、付与手段が手前側と奥側の両側に設けられる場合に比べて、操作力の上昇や費用の上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【
図3】
図3は実施例1の検査装置の操作手段の説明図である。
【
図4】
図4は上流センサユニットとフレーム部との関係の説明図である。
【
図5】
図5は上流センサユニットの端部の斜視図である。
【
図6】
図6は実施例1のハンドルに作用する力の説明図であり、
図6Aは第1のハンドルに作用する力の説明図、
図6Bは第2のハンドルに作用する力の説明図である。
【
図7】
図7は実施例2の検査装置の操作手段と支持手段と付与手段の要部説明図である。
【
図8】
図8は実施例2の第2の操作手段の取付時の位相の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例としての実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向(媒体の幅方向)をX軸方向、左右方向(媒体の搬送方向)をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,-X,Y,-Y,Z,-Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例0024】
(実施例1のプリンタUの全体構成の説明)
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例としてのプリンタUは、プリンタの本体U1と、プリンタの本体U1に媒体を供給する供給装置の一例としてのフィーダーユニットU2と、利用者が操作を行う操作部UIと、プリンタの本体U1から排出された媒体の後処理を行う後処理装置の一例としてのフィニッシャーU3と、を有する。
【0025】
(実施例1のマーキングの構成の説明)
図1において、前記プリンタの本体U1は、プリンタUの制御を行う制御部(制御手段の一例)Cや、プリンタUの外部に図示しない専用のケーブルを介して接続された情報の送信装置の一例としてのプリント画像サーバCOMから送信された画像情報を受信する図示しない通信部、媒体に画像を記録する記録手段の一例としてのマーキング部U1a等を有する。前記プリント画像サーバCOMには、ケーブルまたはLAN:Local Area Network等の回線を通じて接続され、プリンタUで印刷される画像の情報が送信される画像の送信装置の一例としてのパーソナルコンピュータPCが接続されている。
マーキング部U1aは、像保持手段の一例としてY:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の各色用の感光体Py,Pm,Pc,Pkと、写真画像等を印刷する場合に画像に光沢を出すための感光体Poと、を有する。感光体Py~Poは、表面が感光性の誘電体で構成されている。
【0026】
図1において、黒色の感光体Pkの周囲には、感光体Pkの回転方向に沿って、帯電手段の一例としての帯電器CCk、潜像の形成手段の一例としての露光機LPHk、現像手段の一例としての現像器Gk、一次転写手段の一例としての一次転写ロールT1k、像保持手段用の清掃手段の一例としての感光体クリーナCLkが配置されている。
他の感光体Py,Pm,Pc,Poの周囲にも同様に、帯電器CCy,CCm,CCc,CCo、露光機LPHy,LPHm,LPHc,LPHo、現像器Gy,Gm,Gc,Go、一次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1o、感光体クリーナCLy,CLm,CLc,CLoが配置されている。
マーキング部U1aの上部には、現像剤の収容手段の一例としてのトナーカートリッジKy,Km,Kc,Kk,Koが着脱可能に支持されている。トナーカートリッジKy~Koには、現像器Gy~Goに補給される現像剤が収容されている。
【0027】
各感光体Py~Poの下方には、中間転写手段の一例であって、像保持手段の一例としての中間転写ベルトBが配置されている。中間転写ベルトBは、感光体Py~Poと一次転写ロールT1y~T1oとの間に挟まれる。中間転写ベルトBの裏面は、駆動手段の一例としてのドライブロールRdと、張力付与手段の一例としてのテンションロールRtと、蛇行防止手段の一例としてのウォーキングロールRwと、従動手段の一例としての複数のアイドラロールRfと、2次転写用の対向手段の一例としてのバックアップロールT2aと、可動手段の一例としての複数のリトラクトロールR1と、前記一次転写ロールT1y~T1oにより支持されている。
中間転写ベルトBの表面には、ドライブロールRdの近傍に、中間転写手段の清掃手段の一例としてのベルトクリーナCLBが配置されている。
【0028】
バックアップロールT2aには、中間転写ベルトBを挟んで、2次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bが対向して配置されている。また、バックアップロールT2aには、バックアップロールT2aに現像剤の帯電極性とは逆極性の電圧を印加するために、接触手段の一例としてのコンタクトロールT2cが接触している。
前記バックアップロールT2a、2次転写ロールT2b、コンタクトロールT2cにより、実施例1の二次転写手段の一例としての2次転写器T2が構成されており、一次転写ロールT1y~T1o、中間転写ベルトB、2次転写器T2等により、実施例1の転写手段の一例としての転写装置T1,B,T2が構成されている。
【0029】
2次転写器T2の下方には、収容手段の一例として給紙トレイTR1が設けられている。給紙トレイTR1には、媒体の一例としての記録用紙Sが収容される。給紙トレイTR1の右斜め上方には、取出手段の一例としてのピックアップロールRpと、捌き手段の一例としての捌きロールRsとが配置されている。捌きロールRsから、記録用紙Sが搬送される搬送路SHが延びている。搬送路SHに沿って、記録用紙Sを下流側に搬送する搬送手段の一例としての搬送ロールRaが複数配置されている。
捌きロールRsの下流側には、不要部の除去手段の一例としてのバリ取り装置Btが配置されている。バリ取り装置Btは、記録用紙Sを予め設定された圧力で挟んで下流側に搬送して、記録用紙Sの縁の不要部の除去、いわゆる、バリ取りを行う。
【0030】
バリ取り装置Btの下流側には、重送の検知装置Jkが配置されている。重送の検知装置Jkは、通過する記録用紙Sの厚みを計測して、記録用紙Sが複数枚重なっている状態、いわゆる重送を検知する。
重送の検知装置Jkの下流側には、姿勢の補正手段の一例としての補正ロールRcが配置されている。補正ロールRcは、記録用紙Sの搬送方向に対する傾斜、いわゆるスキューを補正する。
補正ロールRcの下流側には、2次転写器T2への記録用紙Sの搬送時期を調整する調整手段の一例としてのレジストレーションロールRrが配置されている。また、レジストレーションロールRrの下流側には、媒体の案内手段の一例としてのシートガイドSG1が配置されている。
なお、フィーダーユニットU2にも、給紙トレイTR1やピックアップロールRp、捌きロールRs、搬送ロールRaと同様に構成された給紙トレイTR2,TR3等が設けられており、給紙トレイTR2,TR3からの搬送路SHは、プリンタの本体U1の搬送路SHに、重送の検知装置Jkの上流側で合流する。
【0031】
2次転写ロールT2bに対して、記録用紙Sの搬送方向の下流側には、媒体の搬送手段の一例としての搬送ベルトHBが複数配置されている。
搬送ベルトHBに対して、記録用紙Sの搬送方向の下流側には、定着手段の一例としての定着装置Fが配置されている。
定着装置Fの下流側のフィニッシャーU3には、画像読取り装置の一例としての検査装置ISが配置されている。
検査装置ISの下流側には、積載手段の一例としての排出トレイTRhに向けて搬送路SHが延びている。搬送路SHの下流端には、排出手段の一例としての排出ロールRhが配置されている。
【0032】
検査装置ISの下流側には、搬送路SHから分岐する搬送路の一例としての反転路SH2が形成されている。搬送路SHと反転路SH2との分岐部には、搬送方向の切替手段の一例としての第1のゲートGT1が配置されている。
反転路SH2には、正逆回転可能な搬送手段の一例としてのスイッチバックロールRbが複数配置されている。スイッチバックロールRbの上流側には、反転路SH2の上流部から分岐して、搬送路SHの反転路SH2との分岐部よりも下流側に合流する搬送路の一例としての接続路SH3が形成されている。反転路SH2と接続路SH3との分岐部には、搬送方向の切替手段の一例としての第2のゲートGT2が配置されている。
【0033】
前記反転路SH2の下流側には、定着装置Fの下方に、記録用紙Sの搬送方向を反転、いわゆる、スイッチバックさせるための折り返し路SH4が配置されている。折り返し路SH4には、正逆回転可能な搬送手段の一例としてのスイッチバックロールRbが配置されている。また、折り返し路SH4の入口には、搬送方向の切替手段の一例としての第3のゲートGT3が配置されている。
なお、折り返し路SH4の下流側の搬送路SHは、給紙トレイTR1の搬送路SHに合流している。
【0034】
(マーキングの動作)
前記プリンタUでは、パーソナルコンピュータPCから送信された画像情報を、プリント画像サーバCOMを介して受信すると、画像形成動作であるジョブが開始される。ジョブが開始されると、感光体Py~Poや中間転写ベルトB等が回転する。
感光体Py~Poは、図示しない駆動源により回転駆動される。
帯電器CCy~CCoは、予め設定された電圧が印加されて、感光体Py~Poの表面を帯電させる。
潜像形成装置の一例であって、発光装置の一例としての露光機LPHy~LPHoは、制御部Cからの制御信号に応じて、潜像を書き込む光を出力して、感光体Py~Poの帯電された表面に静電潜像を書き込む。
現像器Gy~Goは、感光体Py~Poの表面の静電潜像を現像する。
トナーカートリッジKy~Koは、現像器Gy~Goにおける現像に伴って消費された現像剤の補給を行う。
【0035】
一次転写ロールT1y~T1oは、現像剤の帯電極性とは逆極性の一次転写電圧が印加され、感光体Py~Poの表面の可視像を中間転写ベルトBの表面に転写する。
感光体クリーナCLy~CLoは、一次転写後に感光体Py~Poの表面に残留した現像剤を除去して清掃する。
中間転写ベルトBは、感光体Py~Poに対向する一次転写領域を通過する際に、O,Y,M,C,Kの順に、画像が転写されて積層され、2次転写器T2に対向する2次転写領域Q4を通過する。なお、単色画像の場合は、1色のみの画像が転写されて2次転写領域Q4に送られる。
【0036】
ピックアップロールRpは、受信した画像情報の大きさや記録用紙Sの指定と、収容された記録用紙Sの大きさや種類等に応じて、記録用紙Sの供給が行われる給紙トレイTR1~TR3から記録用紙Sを送り出す。
捌きロールRsは、ピックアップロールRpから送り出された記録用紙Sを1枚ずつ分離して捌く。
バリ取り装置Btは、通過する記録用紙Sに予め設定された圧力を印加してバリを除去する。
重送の検知装置Jkは、通過する記録用紙Sの厚さを検知することで、記録用紙Sの重送を検知する。
補正ロールRcは、通過する記録用紙Sを、図示しない壁面に接触させてスキューを補正する。
【0037】
レジストレーションロールRrは、中間転写ベルトBの表面の画像が2次転写領域Q4に送られる時期に合わせて、記録用紙Sを送り出す。
シートガイドSG1は、レジストレーションロールRrで送り出された記録用紙Sを2次転写領域Q4に案内する。
2次転写器T2は、コンタクトロールT2cを介してバックアップロールT2aに予め設定された現像剤の帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加され、記録用紙Sに中間転写ベルトBの画像を転写する。
ベルトクリーナCLBは、2次転写領域Q4で画像が転写された後の中間転写ベルトBの表面に残留した現像剤を除去して清掃する。
搬送ベルトHBは、2次転写器T2で画像が転写された記録用紙Sを表面に保持して下流側に搬送する。
【0038】
定着装置Fは、加熱部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧部材の一例としての加圧ロールFpとを有する。加熱ロールFhの内部には、熱源の一例としてのヒータhが収容されている。定着装置Fは、加熱ロールFhと加圧ロールFpとが接触する定着領域Q5を通過する記録用紙Sを加圧しながら加熱して、記録用紙Sの表面の未定着画像を定着する。前記加熱ロールFhおよび加圧ロールFpにより、実施例1の定着部材Fp,Fhが構成されている。
検査装置ISは、定着装置Fを通過した記録用紙Sの画像を読み取って、画像の欠陥を検査する。
【0039】
検査装置ISを通過した記録用紙Sは、両面印刷が行われる場合には、第1のゲートGT1が作動して、反転路SH2に搬送され、折り返し路SH4でスイッチバックされて、搬送路SHを通じて、レジストレーションロールRrに再送され、2面目の印刷が行われる。
排出トレイTRhに排出される記録用紙Sは、画像が記録された面が上面となる状態で排出される場合、いわゆるフェイスアップ排出の場合には、搬送路SHを搬送され、排出ロールRhにより排出トレイTRhに排出される。
【0040】
一方、画像が記録された面が下面となるように排出される場合、いわゆるフェイスダウン排出の場合には、搬送路SHから反転路SH2に一旦搬入される。そして、記録用紙Sの搬送方向の後端が第2のゲートGT2を通過後、スイッチバックロールRbの正回転が停止する。そして、第2のゲートGT2が切り替わり、スイッチバックロールRbが逆回転をして、記録用紙Sが接続路SH3を搬送されて排出トレイTRhに搬送される。
排出トレイTRhには、排出された記録用紙Sが積載される。
【0041】
(画像読取り装置の説明)
図2は実施例1の検査装置の説明図である。
図2において、実施例1の検査装置ISは、第1の読取り手段の一例としての上流センサユニット1と、第2の読取り手段の一例としての下流センサユニット2とを有する。
実施例1の上流センサユニット1の第1の筐体11の上端部には、搬送路SHに対向して、窓状の第1の読取面12が形成されている。したがって、第1の読取面12の内部には、照明手段の一例としての第1のライト13や、読取り素子の一例としての第1のイメージセンサ14とが配置されている。実施例1の上流センサユニット1は、第1のイメージセンサ14により、搬送路SHを通過する記録用紙Sの下面が読み取り可能である。
実施例1では、上流センサユニット1と下流センサユニット2は、搬送路SHを中心として、上下逆に配置されているだけで、同様に構成されている。したがって、下流センサユニット2は、搬送路SHを通過する記録用紙Sの上面を読み取り可能である。
【0042】
上流センサユニット1に対して搬送路SHを挟んだ位置に、第1の校正手段の一例としての上流キャリブレーションユニット3が配置されている。上流キャリブレーションユニット3は、回転手段の一例としての第1の回転ドラム31を有する。第1の回転ドラム31の外表面には、校正部材の一例としての第1のキャリブレーションプレート32が支持されている。第1のキャリブレーションプレート32は、第1のイメージセンサ14が読み取る際の基準となる色が表面に付与された板状の部材であり、実施例1では、基準となる色の一例として白色の板により構成されている。第1の回転ドラム31は、記録用紙Sの搬送前の第1のイメージセンサ14の校正を行う時に、第1のキャリブレーションプレート32を第1の読取面12に対向させると共に、記録用紙Sの搬送、読取時には、第1のキャリブレーションプレート32の汚れや損傷を抑制するために、第1のキャリブレーションプレート32が第1の読取面12と対向しない位置まで回転する。
下流センサユニット2に対して搬送路SHを挟んだ位置に、第2の校正手段の一例としての下流キャリブレーションユニット4が配置されている。実施例1では、上流キャリブレーションユニット3と下流キャリブレーションユニット4とは、搬送路SHを中心として上下逆に配置されているだけで、同様に構成されている。
【0043】
図3は実施例1の検査装置の操作手段の説明図である。
図4は上流センサユニットとフレーム部との関係の説明図である。
図5は上流センサユニットの端部の斜視図である。
図3-
図5において、上流キャリブレーションユニット3は、筐体の一例としての第1のハウジング36を有する。第1のハウジング36の前方には、フィニッシャーU3の枠体の一例としてのフレームプレート51が配置されている。上流キャリブレーションユニット3の第1のハウジング36は、右下端部の第1の回転軸36aによりフレームプレート51に回転可能に支持されている。
したがって、実施例1の上流キャリブレーションユニット3は、搬送路SHが閉鎖されて第1の回転ドラム31が第1の読取面12に対向する閉鎖位置(
図3の実線参照)と、上流キャリブレーションユニット3が第1の読取面12から離間して搬送路SHが開放される開放位置(
図3の破線参照)と、の間で移動可能に支持されている。
【0044】
第1のハウジング36の右下部には、第1の被位置決め手段の一例としての第1の位置決め凸部36bが形成されている。第1の位置決め凸部36bは、第1のハウジング36よりも下方の上流センサユニット1に向けて延びている。実施例1の第1の位置決め凸部36bは、下端部が曲面状に形成されている。第1の位置決め凸部36bの先端(下端)は、第1の回転ドラム31の下端よりも下方に配置されている。
第1のハウジング36の左下端部には、操作手段の支持手段の一例であって、第1の支持手段の一例としての第1のハンドル軸36cが支持されている。第1のハンドル軸36cには、第1の操作手段の一例としての第1のハンドル37が支持される。
【0045】
図6は実施例1のハンドルに作用する力の説明図であり、
図6Aは第1のハンドルに作用する力の説明図、
図6Bは第2のハンドルに作用する力の説明図である。
図3-
図6において、実施例1の第1のハンドル37は、作業者が把持して操作可能な第1の把持部38と、引掛け部の一例としての第1のラッチ部39とを有する。
第1のラッチ部39は、フレームプレート51に支持された第1の保持手段の一例としての第1の保持突起52に引っ掛かることで、上流センサユニット1を閉鎖位置に保持することが可能である。実施例1の第1のラッチ部39は、閉鎖位置において第1の保持突起52が接触する第1の保持部39aを有する。実施例1の第1の保持部39aは、閉鎖位置において第1のハンドル軸36cと第1の保持突起52とを結ぶ第1の仮想線61に対して、第1の保持部39aの表面が延びる方向が平行となるように、第1の保持部39aが形成されている。
【0046】
第1の保持部39aよりも外側には、第1の保持部39aの表面に対して上方に屈曲して形成された第1の抜け止め部39bが形成されている。第1の抜け止め部39bは、作業者が誤って第1のハンドル37に触れて第1のハンドル37が少し動いても、第1のラッチ部39から第1の保持突起52が抜けないようにする。第1の保持部39aや第1の抜け止め部39bに対して、第1の保持突起52の反対側には、第1の保持部39aに向けて第1の保持突起52を誘導する第1の誘い込み部39cが形成されている。
第1のハンドル軸36cには、第1の付与手段の一例としての第1のねじりバネ63が配置されている。第1のねじりバネ63は、
図3、
図6Aにおける反時計回り方向に第1のハンドル37を押す力を作用させる。
【0047】
図3-
図5において、上流センサユニット1の第1の筐体11の前後両端部には、位置決め手段の一例としての第1の位置決め部16が形成されている。第1の位置決め部16の上面は、第1の読取面12よりも上方に配置されている。第1の位置決め部16には、閉鎖位置に移動した上流キャリブレーションユニット3の第1の位置決め凸部36bが接触可能に構成されている。
なお、実施例1では、第1の位置決め部16は、第1の筐体11の一部により構成することが望ましいが、これに限定されない。例えば、第1の位置決め部16に相当する別部材を第1の筐体11にネジ止めや溶接等で固定する構成とすることも可能である。
【0048】
実施例1では、前述のように、下流センサユニット2は、上流センサユニット1と上下逆に配置されているだけで同様に構成されている。したがって、下流センサユニット2は、第1の筐体11や第1の読取面12、第1の位置決め部16等と同様に構成された第2の筐体21、第2の読取面22、第2の位置決め部26等を有する。
また、下流キャリブレーションユニット4は、上流キャリブレーションユニット3と上下逆に配置されているだけで同様に構成されている。したがって、下流キャリブレーションユニット4は、上流キャリブレーションユニット3の第1のハウジング36や第1の回転軸36a、第1の位置決め凸部36b、第1のハンドル軸36c、第1のハンドル37と同様に構成された第2のハウジング46や、第2の支持手段の一例としての第2の回転軸46a、第2の被位置決め手段の一例としての第2の位置決め凸部46b、第2のハンドル軸46c、第2のハンドル47を有する。
【0049】
図6Bにおいて、実施例1では、第2の操作手段の一例としての第2のハンドル47は、第1のハンドル37と同様に、閉鎖位置において第2のハンドル軸46cと第2の保持突起57とを結ぶ第2の仮想線66に対して、第2の保持部49aの表面が延びる方向67とが平行となるように、第2の保持部49aが形成されている。なお、実施例1では、第2の仮想線66の方が、第1の仮想線61よりも水平に近い、すなわち、水平との傾斜角が、第2の仮想線66の方が小さく設定されている。
したがって、第1の保持突起52と第1の保持部39aとの接触面に第1のねじりバネ63で作用する第1の力71の第1の重力方向成分71aに比べて、第2の保持突起57と第2の保持部49aとの接触面に第2のねじりバネ(第2の付与手段の一例)68で作用する第2の力72の第2の重力方向成分72aの方が大きくなる。実施例1では、第2の重力方向成分72aは、第1の重力方向成分71aに対して、下流キャリブレーションユニット4の重量分強くなるように設定されている。
【0050】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の検査装置ISでは、各キャリブレーションユニット3,4が各センサユニット1,2に対して、開放位置と閉鎖位置との間で回転移動する。そして、閉鎖位置では、各キャリブレーションユニット3,4の位置決め凸部36b,46bが、センサユニット1,2の位置決め部16,26に接触して位置決めされている。
特許文献1に記載の構成では、内蔵イメージセンサ(200)や設定部(210)は、内蔵イメージセンサ(200)または設定部(210)のいずれかが、画像形成装置に対して前後方向に引き出し可能なドロワーと呼ばれる引き出し手段に支持されていた。特許文献1に記載の構成では、構造物として大きさが小さい設定部(210)の側がドロワーで引き出される構成が採用されている。したがって、特許文献1に記載の従来技術では、内蔵イメージセンサ(200)と設定部(210)との間で紙詰まりが発生すると、ドロワーで設定部(210)が引き出されて、詰まった紙が除去されていた。
【0051】
しかしながら、特許文献1のようなドロワーを使用する従来の構成では、内蔵イメージセンサ(200)が支持された画像形成装置のフレームに対して、ドロワーが位置決めされ、ドロワーに対して設定部(210)が位置決めされる構成となっていた。したがって、設定部(210)の内蔵イメージセンサ(200)に対する位置の誤差が、ドロワー分累積し、誤差を小さくするのに限界がある構成となっていた。特許文献1では、設定部(210)の基準ロール(226)の白色基準面(232)等で、キャリブレーション、校正を行っているが、位置の誤差があると、校正の精度が低下し、画像欠陥の検査の精度が低下する問題があった。
これに対して、実施例1の検査装置ISでは、キャリブレーションユニット3,4の位置決め凸部36b,46bがセンサユニット1,2の位置決め部16,26に接触して位置決めされている。したがって、ドロワーを使用する従来構成に比べて、累積の誤差が発生しにくく、校正手段であるキャリブレーションユニット3,4と、光学系であるセンサユニット1,2との位置精度が向上する。したがって、ドロワーを使用する従来構成に比べて、画像欠陥の検査の精度も向上する。
【0052】
特に、実施例1では、キャリブレーションユニット3,4の位置決め凸部36b,46bがハウジング36,46の一部位で構成されると共に、センサユニット1,2の位置決め部16,26も筐体11,21の一部位で構成されている。別体の位置決め用の部品を取り付ける場合は、取付誤差が発生しやすいが、実施例1では取付誤差の発生が防止されている。すなわち、実施例1では、位置決め凸部36b,46bと位置決め部16,26が直接接触しており、取付部品を介して間接的に接触する場合に比べて、精度が向上しやすい。
さらに、実施例1では、ハンドル37,47の回転操作でキャリブレーションユニット3,4を開放位置に移動させることが可能である。したがって、ドライバー等の工具を使用する場合に比べて、操作性が向上しており、紙詰まりの除去作業等の作業性が向上している。
【0053】
また、実施例1では、ねじりバネ63,68の力で、ラッチ部39,49が保持突起52,57を押す第1の力71と第2の力72が作用する。したがって、ラッチ部39,49は第1の反力73や第2の反力74が作用する。第1の反力73の重力方向成分73aは、第1のラッチ部39を下方に押す力、すなわち、上流キャリブレーションユニット3を上流センサユニット1に向けて押す力を作用させる。また、第2の反力74の重力方向成分74aは、第2のラッチ部49を上方に押す力、すなわち、下流キャリブレーションユニット4を下流センサユニット2に向けて押す力を作用させる。
したがって、各反力73,74の重力方向成分73a,74aは、位置決め凸部36b,46bと位置決め部16,26とが接近する方向の力を作用させており、反力73,74の向きが逆方向の場合に比べて、安定して位置決めされる。したがって、位置決め用に専用のバネ等を設置する必要もなくなり、製造費用の上昇も抑制される。
【0054】
さらに、実施例1では、第1の仮想線61よりも第2の仮想線66の方が水平に近く設定されており、第2の保持部49aで下流キャリブレーションユニット4の重量分、第2の反力74の重力方向成分74aが大きくなる。したがって、重力で下流センサユニット2から離間する方向の力を受ける下流キャリブレーションユニット4でも、上流キャリブレーションユニット3と同じ力の第2のねじりバネ68を使用して、第2の位置決め凸部46bと第2の位置決め部26とを接触させる力を確保可能である。よって、重力方向で下流センサユニット2よりも下方の下流キャリブレーションユニット4でも、位置の精度を確保できる。
【0055】
なお、実施例1では、開放位置から閉鎖位置に移動させる際には、ラッチ部39,49を作業者が持たずに、キャリブレーションユニット3,4を手で閉鎖位置に向けて操作すると、ラッチ部39,49の誘い込み部39c,49cが保持突起52,57に接触して、ラッチ部39,49がねじりバネ63,68の力に抗して回転する。そして、保持突起52,57が保持部39a,49a側にガイドされると、ねじりバネ63,68の力でラッチ部39,49が元に戻り、保持部39a,49aが保持突起52,57に接触して、ラッチ部39,49で保持突起52,57が保持された状態となる。よって、閉鎖位置に移動させる際にラッチ部39,49を操作しなくても閉鎖位置に戻すことが可能であり、操作性が向上する。
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例2は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
特に、実施例2では、上流キャリブレーションユニット3が上流センサユニット1に対して重力方向で上方に配置されているのに対して、第2の機能手段の一例としての下流キャリブレーションユニット4が第1の機能手段の一例としての下流センサユニット2に対して重力方向で下方に配置されている。したがって、第2のねじりバネ68は、下流キャリブレーションユニット4を下流センサユニット2に対して押し当てるだけでなく、第2のハンドル47で下流キャリブレーションユニット4の自重を支える際に脱落しないように力を付与している。よって、第2のねじりバネ68の付与する力(弾性力)は、第1のねじりバネ63の付与する力よりも大きな力に設定されている。これに伴い、捻じれ量θは、第2のハンドル47の方が、第1のハンドル37に比べて大きくなりやすい。裏を返せば、第1のハンドル37では、捻じれ量θ′が問題にならない場合がある。実施例2では、第2のハンドル47では捻じれ量θに対する位置の調整を行っているが、捻じれ量θが問題になりにくい第1のハンドル37では捻じれ量θに対する位置の調整は行っていない。なお、第1のハンドル37において、第1のねじりバネ63の付与力に基づく捻じれ量θ′に応じて捻じれ量θ′を打ち消すように位置を調整することも可能である。
また、各ねじりバネ63,68が軸方向の両側に配置された構成では、ユーザがハンドル37,47を操作する際の操作力が強くなりすぎたり、製造費用が上昇したり、ねじりバネ63,68の設置スペースを確保する必要があったりする問題がある。実施例2では、各ねじりバネ63,68が軸方向の奥側にのみ設置されており、操作力の上昇や製造費用の上昇、設置スペースの増大による大型化が抑制される。
(H02)前記実施例において、プリンタUとして、5色の現像剤が使用される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、単色の画像形成装置や、4色以下または6色以上の多色の画像形成装置にも適用可能である。
(H03)前記実施例において、像保持手段の一例として、無端帯状の中間転写ベルトBを例示したが、これに限定されない。例えば、円筒状の中間転写ドラムや、感光体ドラム、感光体ベルトにも適用可能である。また、中間転写体を有せず、感光体から記録用紙Sに直接画像を記録する構成にも適用可能である。
(H04)前記実施例において、ラッチ部39,49をキャリブレーションユニット3,4側に設け、保持突起52,57をフレームプレート51に設ける場合を例示したが、これに限定されない。キャリブレーションユニット3,4側に保持突起52,57を設け、フレームプレート51側にラッチ部39,49を設けることも可能である。
(H05)前記実施例において、両面の画像を読み取るために上流センサユニット1と下流センサユニット2とを設ける構成を例示したが、これに限定されない。印刷面だけを読み取る場合は、下流センサユニット2のみの構成とすることも可能である。
(H06)前記実施例において、第1の仮想線61よりも第2の仮想線66の方が水平に近く設定することが望ましいが、これに限定されない。第1の仮想線61と第2の仮想線66を平行にしたり、第1の仮想線61の方を水平に近くすることも可能である。
(((1)))に係る画像読取り装置によれば、読取り手段と校正手段とが引き出して接触離間される構成に比べて、校正手段と読取り手段との位置精度を向上させることができる。
(((2)))に係る画像読取り装置によれば、引き出し手段を使用する場合に比べて、位置の誤差の累積を防止でき、位置精度を向上させることができる。
(((3)))に係る画像読取り装置によれば、位置決め手段と被位置決め手段とが直接接触しない場合に比べて、位置精度を向上させることができる。
(((4)))に係る画像読取り装置によれば、位置決め手段や被位置決め手段が筐体の一部位で構成されていない場合に比べて、取付誤差を抑制でき、位置精度を向上させることができる。
(((5)))に係る画像読取り装置によれば、操作手段を操作して、校正手段を閉鎖位置と開放位置との間で移動させることができる。
(((6)))に係る画像読取り装置によれば、操作手段が保持手段から受ける反力で付与手段の力を利用して、校正手段と読取り手段と押し当てることができる。
(((7)))に係る画像読取り装置によれば、重力の力で読取り手段から離間する方向の力を受ける第2の校正手段において、第1の付与手段と同じ力の第2の付与手段で押し当てる力を確保できる。
(((8)))に係る画像読取り装置によれば、操作手段の支持手段への取り付け位置を捻じれ量を打ち消す量だけ移動させない場合に比べて、操作手段と保持手段との保持を安定させられる。
(((9)))に係る画像読取り装置によれば、捻じれ量の悪影響の小さな第1の操作手段の取り付け位置を移動させる場合に比べて、取付位置を移動させる手間を省くことができる。
(((10)))に係る画像読取り装置によれば、手前側の付与手段に比べて、大きくなりやすい奥側の付与手段の付与力で手前側の操作手段の位置に生じるねじれの悪影響が抑制される。
(((11)))に係る画像読取り装置によれば、付与手段が手前側に設けられる場合に比べて事故の発生を抑制できると共に、付与手段が手前側と奥側の両側に設けられる場合に比べて、操作力の上昇や費用の上昇を抑制できる。
(((12)))に係る画像読取り装置によれば、読取り手段と校正手段とが引き出して接触離間される構成に比べて、校正手段と読取り手段との位置精度を向上させることができる。
(((13)))に係る画像形成装置によれば、読取り手段と校正手段とが引き出して接触離間される構成に比べて、校正手段と読取り手段との位置精度を向上させることができる。