(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046574
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】マイクロ波を用いた熱処理装置及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/268 20060101AFI20240327BHJP
H05B 6/50 20060101ALI20240327BHJP
H05B 6/78 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H01L21/268 Z
H05B6/50
H05B6/78 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004344
(22)【出願日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】10-2022-0120125
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520236767
【氏名又は名称】サムス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン、ハン リム
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ユン ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ユン サン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヒョン ウ
(72)【発明者】
【氏名】リ、サン チョン
【テーマコード(参考)】
3K086
3K090
【Fターム(参考)】
3K086AA01
3K086BB02
3K086CA02
3K086CA04
3K086CB04
3K086CC02
3K086CD09
3K090AA01
3K090CA01
3K090EA04
(57)【要約】
【課題】マイクロ波を用いた熱処理工程において低コストで基板の熱分布を調節することができる熱処理装置及びその動作方法を提供する。
【解決手段】本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置は、基板の熱処理空間を形成するチャンバと、前記熱処理空間の下部に位置し、前記基板を支持する基板支持ユニットと、前記熱処理空間の上部に位置し、前記マイクロ波による電磁場を前記熱処理空間に形成するマイクロ波ユニットと、を含み、前記基板支持ユニットは、前記熱処理空間の下部に固定されるチャックと、前記基板を支持し、前記チャックに対して前記基板を上昇又は下降させるように構成された昇降駆動機構と、前記基板の領域別温度分布に基づいて前記基板の高さを調節するように前記昇降駆動機構を制御する制御器と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波を用いた熱処理装置であって、
基板の熱処理空間を形成するチャンバと、
前記熱処理空間の下部に位置し、前記基板を支持する基板支持ユニットと、
前記熱処理空間の上部に位置し、前記マイクロ波による電磁場を前記熱処理空間に形成するマイクロ波ユニットと、を含み、
前記基板支持ユニットは、
前記熱処理空間の下部に固定されるチャックと、
前記基板を支持し、前記チャックに対して基板を上昇又は下降させるように構成された昇降駆動機構と、
前記基板の領域別温度分布に基づいて前記基板の高さを調節するように前記昇降駆動機構を制御する制御器と、を含む、熱処理装置。
【請求項2】
前記マイクロ波ユニットは、
マイクロ波信号を生成するマイクロ波生成器と、
前記マイクロ波信号を伝達する導波管と、
前記導波管を介して伝達された前記マイクロ波信号から前記熱処理空間に前記マイクロ波による電磁場を形成するアンテナと、を含む、請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記昇降駆動機構は、前記基板の下部を支持する複数の昇降ピンを介して前記基板を上昇又は下降させる、請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項4】
前記昇降駆動機構は、前記基板の下部を支持するリング構造物を介して前記基板を上昇又は下降させる、請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項5】
前記制御器は、
前記基板の領域別の温度分布と目標温度分布との偏差に基づいて加熱領域を決定し、
前記加熱領域に対応する高さに前記基板を位置させる、請求項4に記載の熱処理装置。
【請求項6】
前記制御器は、基板の高さによる基板の温度変化を示すマップデータを用いて、前記加熱領域に対応する高さを決定する、請求項5に記載の熱処理装置。
【請求項7】
前記基板の高さによる基板の温度変化を示すマップデータは、シミュレーション又は実験データを介して学習及び更新される、請求項6に記載の熱処理装置。
【請求項8】
前記基板の領域別温度分布は、前記基板の上部に位置した熱画像カメラによって撮影される熱分布画像データから取得される、請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項9】
前記基板の領域別温度分布は、前記昇降駆動機構に設けられる温度センサによって取得される、請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項10】
マイクロ波を用いた熱処理装置の動作方法であって、
前記マイクロ波を基板に印加する基板加熱ステップと、
前記基板の領域別温度分布を測定する温度測定ステップと、
前記基板の領域別温度分布に応じて前記基板の高さを調節する高さ調節ステップと、を含む、熱処理装置の動作方法。
【請求項11】
前記高さ調節ステップは、
前記基板の領域別温度分布と目標温度分布との偏差に基づいて加熱領域を決定するステップと、
基板の高さによる基板の温度変化を示すマップデータを用いて、前記加熱領域に対応する高さを決定するステップと、
前記加熱領域に対応する高さに前記基板を位置させるステップと、を含む、請求項10に記載の熱処理装置の動作方法。
【請求項12】
前記基板の高さによる基板の温度変化を示すマップデータは、シミュレーション又は実験データを介して学習及び更新される、請求項11に記載の熱処理装置の動作方法。
【請求項13】
前記高さ調節ステップは、
前記高さの調節による前記基板の領域別温度変化データを取得するステップと、
前記基板の領域別温度変化データを用いて前記マップデータを更新するステップと、をさらに含む、請求項11に記載の熱処理装置の動作方法。
【請求項14】
マイクロ波を用いた熱処理装置であって、
基板の熱処理空間を形成するチャンバと、
前記熱処理空間の下部に位置し、前記基板を支持する基板支持ユニットと、
前記熱処理空間の上部に位置し、マイクロ波電磁場を前記熱処理空間に形成するマイクロ波ユニットと、を含み、
前記基板支持ユニットは、
前記熱処理空間の下部に固定されるチャックと、
前記基板を支持し、前記チャックに対して前記基板を上昇又は下降させるように構成された昇降駆動機構と、
前記基板の領域別温度分布に基づいて前記基板の高さを調節するように前記昇降駆動機構を制御する制御器と、を含み、
前記制御器は、
前記基板の領域別温度分布と目標温度分布との偏差に基づいて加熱領域を決定し、
基板の高さによる基板の温度変化を示すマップデータを用いて、前記加熱領域に対応する高さを決定し、
前記加熱領域に対応する高さに前記基板を位置させ、
前記高さの調節による前記基板の温度変化の測定値を用いて前記マップデータを更新する、熱処理装置。
【請求項15】
前記マイクロ波ユニットは、
マイクロ波信号を生成するマイクロ波生成器と、
前記マイクロ波信号を伝達する導波管と、
前記導波管を介して伝達された前記マイクロ波信号から前記熱処理空間に前記マイクロ波による電磁場を形成するアンテナと、を含む、請求項14に記載の熱処理装置。
【請求項16】
前記昇降駆動機構は、前記基板の下部を支持する複数の昇降ピンを介して前記基板を上昇又は下降させる、請求項14に記載の熱処理装置。
【請求項17】
前記昇降駆動機構は、前記基板の中心部又は側部を支持するリング構造物を介して前記基板を上昇又は下降させる、請求項14に記載の熱処理装置。
【請求項18】
前記基板の領域別温度分布は、前記基板の上部に位置した熱画像カメラによって撮影される熱分布画像データから取得される、請求項14に記載の熱処理装置。
【請求項19】
前記基板の領域別温度分布は、前記昇降駆動機構に設けられる温度センサによって取得される、請求項14に記載の熱処理装置。
【請求項20】
前記制御器は、前記高さの調節による前記基板の領域別温度変化データを取得し、
前記基板の領域別温度変化データを用いて前記マップデータを更新する、請求項14に記載の熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波を用いた熱処理装置及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程は、基板(ウェーハ)上に数十~数百段階の処理工程を経て最終製品を製造する工程であって、工程ごとに当該工程を行う製造設備によって行われることができる。半導体製造工程において、基板に熱エネルギーを印加して基板処理のための化学反応を調節する熱処理工程が行われることができる。特に、マイクロ波帯域の電磁波を用いて基板に熱エネルギーを印加する基板の熱処理方法が使用できる。
【0003】
マイクロ波帯域の電磁波を基板に印加する過程で、電磁場の分布によって、基板の領域別に加えられる熱エネルギーが異なる。従来技術では、基板の熱分布を調節するために、主にマイクロ波を放出するアンテナの設計変更によって、意図した熱伝達分布を調節する方式が用いられる。ところが、工程条件やチャンバの構造に応じて、電磁場の分布及び基板の熱伝達プロファイルが変更できるが、工程条件に応じて毎回アンテナを再設計しなければならないので、不要なコストが発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2004-0024791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、マイクロ波を用いた熱処理工程において低コストで基板の熱分布を調節することができる熱処理装置及びその動作方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置は、基板の熱処理空間を形成するチャンバと、前記熱処理空間の下部に位置し、前記基板を支持する基板支持ユニットと、前記熱処理空間の上部に位置し、前記マイクロ波による電磁場を前記熱処理空間に形成するマイクロ波ユニットと、を含み、前記基板支持ユニットは、前記熱処理空間の下部に固定されるチャックと、前記基板を支持し、前記チャックに対して前記基板を上昇又は下降させるように構成された昇降駆動機構と、前記基板の領域別温度分布に基づいて前記基板の高さを調節するように前記昇降駆動機構を制御する制御器と、を含む。
【0007】
本発明の実施形態によれば、前記マイクロ波ユニットは、マイクロ波信号を生成するマイクロ波生成器と、前記マイクロ波信号を伝達する導波管と、前記導波管を介して伝達された前記マイクロ波信号から前記熱処理空間に前記マイクロ波による電磁場を形成するアンテナと、を含むことができる。
【0008】
本発明の実施形態によれば、前記昇降駆動機構は、前記基板の下部を支持する複数の昇降ピンを介して前記基板を上昇又は下降させることができる。
【0009】
本発明の実施形態によれば、前記昇降駆動機構は、前記基板の下部を支持するリング構造物を介して前記基板を上昇又は下降させることができる。
【0010】
本発明の実施形態によれば、前記制御器は、前記基板の領域別温度分布と目標温度分布との偏差に基づいて加熱領域を決定し、前記加熱領域に対応する高さに前記基板を位置させることができる。
【0011】
本発明の実施形態によれば、前記制御器は、前記基板の高さによる基板温度の変化を示すマップデータを用いて、前記加熱領域に対応する高さを決定することができる。
【0012】
本発明の実施形態によれば、前記基板の高さによる基板の温度変化を示すマップデータは、シミュレーション又は実験データを介して学習及び更新される。
【0013】
本発明の実施形態によれば、前記基板の領域別温度分布は、前記基板の上部に位置した熱画像カメラによって撮影される熱分布画像データから取得される。
【0014】
本発明の実施形態によれば、前記基板の領域別温度分布は、前記昇降駆動機構に設けられる温度センサによって取得できる。
【0015】
本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置の動作方法は、前記マイクロ波を基板に印加する基板加熱ステップと、前記基板の領域別温度分布を測定する温度測定ステップと、前記基板の領域別温度分布に応じて前記基板の高さを調節する高さ調節ステップと、を含む。
【0016】
本発明の実施形態によれば、前記高さ調節ステップは、前記基板の領域別温度分布と目標温度分布との偏差に基づいて加熱領域を決定するステップと、基板の高さによる基板の温度変化を示すマップデータを用いて、前記加熱領域に対応する高さを決定するステップと、前記加熱領域に対応する高さに前記基板を位置させるステップと、を含むことができる。
【0017】
本発明の実施形態によれば、前記基板の高さによる基板の温度変化を示すマップデータは、シミュレーション又は実験データを介して学習及び更新できる。
【0018】
本発明の実施形態によれば、前記高さ調節ステップは、前記高さの調節による前記基板の領域別温度変化データを取得するステップと、前記基板の領域別温度変化データを用いて前記マップデータを更新するステップと、をさらに含むことができる。
【0019】
本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置は、基板の熱処理空間を形成するチャンバと、前記熱処理空間の下部に位置し、前記基板を支持する基板支持ユニットと、前記熱処理空間の上部に位置し、マイクロ波電磁場を前記熱処理空間に形成するマイクロ波ユニットと、を含む。前記基板支持ユニットは、前記熱処理空間の下部に固定されるチャックと、前記基板を支持し、前記チャックに対して前記基板を上昇又は下降させるように構成された昇降駆動機構と、前記基板の領域別温度分布に基づいて前記基板の高さを調節するように前記昇降駆動機構を制御する制御器と、を含む。前記制御器は、前記基板の領域別温度分布と目標温度分布との偏差に基づいて加熱領域を決定し、基板の高さによる基板の温度変化を示すマップデータを用いて、前記加熱領域に対応する高さを決定し、前記加熱領域に対応する高さに前記基板を位置させ、前記高さの調節による前記基板の温度変化の測定値を用いて前記マップデータを更新する。
【0020】
本発明の実施形態によれば、前記制御器は、前記高さの調節による前記基板の領域別温度変化データを取得し、前記基板の領域別温度変化データを用いて前記マップデータを更新することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、基板の領域別温度分布に応じて基板の高さを調節することにより、低コストで基板の熱分布を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置の概略構造を示す。
【
図2】本発明による熱処理のための区画された基板領域の一例を示す。
【
図3】本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置において基板の昇降のために昇降ピンが適用された場合を示す。
【
図4】本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置において昇降ピンを用いて基板を昇降させる際に基板が支持される部分の例を示す。
【
図5】本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置において基板の昇降のためにリング構造物が適用された場合の例を示す。
【
図6】本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置において基板を昇降させるためのリング構造物の例を示す。
【
図7】本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置において基板の領域別温度調節のために基板の高さを制御する過程を説明するための図である。
【
図8】本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置において基板の領域別温度調節のために基板の高さを制御する過程を説明するための図である。
【
図9】本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置において基板の領域別温度調節のために基板の高さを制御する過程を説明するための図である。
【
図10】本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置において基板の温度を測定するために熱画像カメラが取り付けられたチャンバの構造を示す。
【
図11】本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置において基板の領域別温度を測定のための温度センサが昇降ピンに取り付けられた場合を示す。
【
図12】本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置において基板の領域別温度を測定のための温度センサがリング構造物に取り付けられた場合を示す。
【
図13】マイクロ波を用いた熱処理装置の動作方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施し得るように詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態で実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0024】
本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたって同一又は類似の構成要素に対しては同一の参照符号を付す。
【0025】
また、幾つかの実施形態において、同一の構成を有する構成要素については、同一の符号を用いて代表的な実施形態でのみ説明し、それ以外の他の実施形態では代表的な実施形態とは異なる構成についてのみ説明する。
【0026】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結(又は結合)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(又は結合)」されている場合だけでなく、別の部材を挟んで「間接的に連結又は結合」」されているものも含まれる。また、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0027】
他に定義されない限り、技術的又は科学的用語を含めてここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されるのと同じ意味を持っている。一般的に使用される辞典に定義されているなどの用語は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明確に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0028】
以下、本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置1及びその動作方法について説明する。本文書では、基板に対する熱処理工程を行うための装置としてマイクロ波の電磁波を用いる場合を中心に説明するが、本発明の範囲は、これに限定されず、基板に対する熱処理を行うための様々な方式に適用可能である。マイクロ波とは、ラジオ波より短く且つ赤外線より長い電磁波であって、1mm~1mの波長を有する電磁波をいう。
【0029】
図1は、本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置1の概略構造を示す。本発明による熱処理装置1は、基板Wの熱処理空間を形成するチャンバ10、熱処理空間の下部に位置し、基板Wを支持する基板支持ユニット20と、熱処理空間の上部に位置し、マイクロ波を基板Wに印加するマイクロ波ユニット30と、を含む。
【0030】
チャンバ10は、基板Wの熱処理工程が行われる空間を形成し、基板Wの熱処理空間と外部空間を分離する。チャンバ10の下部に基板W支持のための基板支持ユニット20が設置され、チャンバ10の上部にマイクロ波ユニット30が設置され得る。
【0031】
基板支持ユニット20は、熱処理空間の下部に固定されるチャック210と、基板Wを支持し、チャック210に対して基板Wを上昇又は下降するように構成された昇降駆動機構220と、基板Wの領域別温度分布に基づいて基板Wの高さを調節するように昇降駆動機構220を制御する制御器230と、を含む。本発明によれば、昇降駆動機構220によって基板Wの高さが調節され、基板Wの高さによって基板Wに加わる熱エネルギーの分布が異なるため、基板Wの高さ調節によって基板Wの各領域の温度を調節することができる。
【0032】
基板Wの領域区分は、必要に応じて様々に構成でき、本文書では、
図2のように基板Wを3つの領域に区分して熱処理を行う場合を例として説明する。
図2を参照すると、基板Wは、中心点を基準として第1領域A、第2領域B、第3領域Cに分けられ、各領域の温度を制御するために基板(W)の昇降高さを調節する方法について説明する。
【0033】
マイクロ波ユニット30は、マイクロ波信号を生成するマイクロ波生成器310と、マイクロ波信号を伝達する導波管320と、導波管320を介して伝達されたマイクロ波信号から熱処理空間にマイクロ波電磁場を形成するアンテナ330と、を含む。マイクロ波生成器310は、数十GHz(例えば、23GHz~26GHz)の周波数を有するマイクロ波信号を生成し、マイクロ波信号は、導波管320を介してアンテナ330へ伝達される。ここで、導波管320は、多角形の管状を有することができ、内側面が導体(例えば金、銀)で構成できる。アンテナ330は、マイクロ波信号を熱処理空間に放出し、マイクロ波信号は、アンテナ330に設けられたスロット及び透過板を介して熱処理空間へ伝達されることができる。マイクロ波信号によって熱処理空間に電磁場が形成され、電磁場のエネルギーによって基板Wに対する熱処理が行われることができる。
【0034】
本発明の実施形態によれば、昇降駆動機構220は、基板Wの下部を支持する複数の昇降ピン222を介して基板Wを上昇又は下降させることができる。昇降駆動機構220は、基板Wの下部に接触して基板Wを支持しながら昇降駆動可能な昇降ピン222で構成できる。
図3及び
図4を参照すると、基板Wの第1領域Aを支持する第1昇降ピン222A、基板Wの第2領域Bを支持する第2昇降ピン222B、基板Wの第3領域Cを支持する第3昇降ピン222Cがそれぞれ基板Wを支持することができる。各昇降ピン222は、個別に又は一体に昇降駆動することができ、昇降駆動は、リニアモータ、シリンダ、ボールねじなどの駆動装置によって行われることができる。
【0035】
本発明によれば、昇降駆動機構220は、基板Wの下部を支持するリング構造物224を介して基板Wを上昇又は下降させることができる。昇降駆動機構220は、基板Wの下部を支持するリング構造物224と、リング構造物224を上昇又は下降させる複数の昇降ピン222と、を含むことができる。
図5及び
図6を参照すると、リング構造物224は、基板Wの各領域を支持する複数の部分構造物から構成できる。リング構造物224は、基板Wの第1領域Aを支持する第1リング構造物224Aと、基板Wの第2領域Bを支持する第2リング構造物224Bと、基板Wの第3領域Cを支持する第3リング構造物224Cと、を含むことができる。第1リング構造物224Aは第1昇降ピン222Aによって支持され、第2リング構造物224Bは第2昇降ピン222Bによって支持され、第3リング構造物224Cは第3昇降ピン222Cによって支持され得る。各昇降ピン222は、個別に又は一体に上昇又は下降するように構成できる。
【0036】
本発明によれば、制御器230は、基板Wの領域別温度分布と目標温度分布との偏差に基づいて加熱領域を決定し、加熱領域に対応する高さに基板Wを位置させることができる。例えば、基板Wの熱処理工程のための目標温度がある場合、電磁場分布によって基板Wの領域別温度が異なり得る。このとき、特定の領域に対して集中的に加熱が必要である場合、基板Wの高さを調節することにより、基板Wに対する精密な熱処理が行われることができる。
【0037】
例えば、
図7に示すように、基板Wの第1領域Aに対する集中加熱が必要な場合、制御器230は、基板Wを第1高さz1に位置させることができ、
図8に示すように、基板Wの第2領域Bに対する集中加熱が必要な場合、制御器230は、基板Wを第2高さz2に位置させることができ、
図9に示すように、基板Wの第3領域Cに対する集中加熱が必要な場合、制御器230は、基板Wを第3高さz3に位置させることができる。制御器230は、目標とする基板Wの高さに合わせて昇降駆動機構220の昇降駆動を制御することができる。
【0038】
本発明によれば、制御器230は、基板の高さによる基板の温度変化を示すマップデータを用いて、加熱領域に対応する高さを決定することができる。マップデータは、基板Wの目標領域及び目標温度の変化量に応じる昇降高さを保存したデータであり得る。基板の高さによる基板の温度変化を示すマップデータは、シミュレーション又は実験データを介して学習及び更新できる。
【0039】
また、制御器230によって熱処理が完了すると、基板Wの高さ調節による基板Wの温度変化の測定値を用いてマップデータを更新することができる。制御器230は、高さの調節による基板Wの領域別温度変化データを取得し、基板Wの領域別温度変化データを用いてマップデータを更新することができる。このような基板Wの高さ調節による基板Wの領域別温度の変化量を測定してマップデータを更新することにより、より正確なマップデータが構成できる。
【0040】
本発明によれば、基板Wの領域別温度分布は、基板Wの上部に位置した熱画像カメラ410によって撮影される熱分布画像データから取得できる。
図10を参照すると、チャンバ10の上部領域に熱画像カメラ410が設置でき、熱画像カメラ410は、赤外線波長の信号を基板Wへ発散し、反射された信号を測定して、基板Wの温度分布を示す画像を生成することができる。熱画像カメラだけでなく、様々な非接触方式の温度測定装置を介して基板Wの温度が測定されることもできる。
【0041】
本発明によれば、基板Wの領域別温度分布は、昇降駆動機構220に設けられる温度センサ420によって取得できる。温度センサ420は、基板Wの下部を支持する昇降ピン222又はリング構造物224に設置できる。
【0042】
例えば、
図11に示すように、昇降ピン222の端部に温度センサ420が設置できる。第1昇降ピン222Aには、基板Wの第1領域Aの温度を測定する第1温度センサ420Aが設けられ、第2昇降ピン222Bには、基板Wの第2領域Bの温度を測定する第2温度センサ420Bが設けられ、第3昇降ピン222Cには、基板Wの第3領域Cの温度を測定する第3温度センサ420Cが設けられることができる。各温度センサ420は、昇降ピン222の内部配線を介して制御器230に連結されることができ、制御器230は、各温度センサ420によって測定された温度データを用いて基板Wの領域別温度分布を確認することができる。
【0043】
また、
図12に示すように、リング構造物224に温度センサ420が設置できる。第1リング構造物224Aには、基板Wの第1領域Aの温度を測定する第1温度センサ420Aが設けられ、第2リング構造物224Bには、基板Wの第2領域Bの温度を測定する第2温度センサ420Bが設けられ、第3リング構造物224Cには、基板Wの第3領域Cの温度を測定する第3温度センサ420Cが設けられることができる。各温度センサ420は、リング構造物224及び昇降ピン222の内部配線を介して制御器230に連結されることができ、制御器230は、各温度センサ420によって測定された温度データを用いて基板Wの領域別温度分布を確認することができる。
【0044】
図13は、マイクロ波を用いた熱処理装置1の動作方法を示すフローチャートである。熱処理装置1の構成は、
図1~
図12を参照して説明したのと同一であり得る。熱処理装置1の動作は、制御器230を含めて、各構成要素を制御する制御器と電気的に接続されるプロセッサによって行われることができる。プロセッサは、各制御器が、意図した動作を行うように命令を伝送し、制御器からデータを受信することができる。
【0045】
本発明によるマイクロ波を用いた熱処理装置1の動作方法は、マイクロ波を基板Wに印加する基板加熱ステップ(S1010)と、基板Wの領域別温度分布を測定する温度測定ステップ(S1020)と、基板Wの領域別温度分布に応じて基板Wの高さを調節する高さ調節ステップ(S1030)と、を含む。
【0046】
基板加熱ステップ(S1010)は、マイクロ波ユニット30によって実行でき、マイクロ波生成器310によって生成されたマイクロ波信号は、導波管320を介してアンテナ330へ伝達され、アンテナ330に設けられたスロット及び透過板を介して熱処理空間へ伝達されることができる。マイクロ波信号によって熱処理空間に電磁場が形成され、電磁場のエネルギーによって基板Wに対する熱処理が行われることができる。
【0047】
温度測定ステップ(S1020)は、基板Wの領域別温度分布を測定するステップであって、非接触又は接触式で温度を測定するステップである。例えば、
図10に示すように、基板Wの領域別温度分布は、基板Wの上部に位置した熱画像カメラ410によって撮影される熱分布画像データから取得できる。また、
図11又は
図12に示すように、基板Wの領域別温度分布は、昇降駆動機構220に設けられる温度センサ420によって取得できる。温度センサ420は、基板Wの下部を支持する昇降ピン222又はリング構造物224に設置できる。
【0048】
本発明の実施形態によれば、高さ調節ステップ(S1030)は、基板Wの領域別温度分布と目標温度分布との偏差に基づいて加熱領域を決定するステップと、基板の高さによる基板の温度変化を示すマップデータを用いて、加熱領域に対応する高さを決定するステップと、加熱領域に対応する高さに基板Wを位置させるステップと、を含む。
【0049】
例えば、基板Wの熱処理工程のための目標温度がある場合、電磁場分布によって基板Wの領域別温度が異なり、特定の領域に対して集中的に加熱が必要な場合、基板Wの高さを調節することにより基板Wに対する精密な熱処理が行われることができる。
図7~
図9に示すように、基板Wに対する精密な熱処理のために基板Wの高さが調節できる。このとき、基板Wの高さ調節のために基板の温度変化を示すマップデータが使用できる。マップデータは、基板Wの目標領域及び目標温度の変化量に応じる昇降高さを保存したデータである。マップデータは、シミュレーション又は実験データを介して学習及び更新できる。
【0050】
本発明によれば、高さ調節ステップ(S1330)は、高さの調節による基板Wの領域別温度変化データを取得するステップと、基板Wの領域別温度変化データを用いてマップデータを更新するステップと、をさらに含むことができる。基板Wの高さ調節による基板Wの領域別温度の変化量を測定してマップデータを更新することにより、より正確なマップデータが構成できる。
【0051】
本実施形態及び本明細書に添付された図面は、本発明に含まれる技術的思想の一部を明確に示しているのに過ぎず、本発明の明細書及び図面に含まれている技術的思想の範囲内で当業者が容易に類推することができる変形例及び具体的な実施形態はいずれも、本発明の権利範囲に含まれることが自明であると言える。
【0052】
したがって、本発明の思想は、説明された実施形態に局限されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等又は等価的な変形がある全てのものは、本発明の思想の範疇に属するというべきである。
【符号の説明】
【0053】
1 熱処理装置
10 チャンバ
20 基板支持ユニット
210 チャック
220 昇降駆動機構
222 昇降ピン
224 リング構造物
230 制御器
30 マイクロ波ユニット
310 マイクロ波生成器
320 導波管
330 アンテナ
410 熱画像カメラ
420 温度センサ