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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046579
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028404
(22)【出願日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】P 2022151864
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】杉原 勇也
(72)【発明者】
【氏名】奥島 智靖
(72)【発明者】
【氏名】野村 星也
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EB27
2C056EB58
2C056EC28
(57)【要約】
【課題】印刷媒体に印刷された印刷画像を検査する場合に、処理するデータ量を低減することができる技術を提供する。
【解決手段】印刷装置1は、印刷部20と、カメラ40と、画像データ出力部50とを備える。印刷部20は、印刷媒体9に対して複数種類のテストパターンを印刷可能である。カメラ40は、印刷媒体9に印刷されたテストパターンを撮像し、得られた画像データMD1を画像データ出力部50へ出力する。画像データ出力部50は、カメラが出力する画像データMD1についてテストパターンの種類に応じてデータ量を削減し、得られた画像データMD2を検査装置8へ出力する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置であって、
印刷媒体に対して複数種類のテストパターンを印刷可能な印刷部と、
前記テストパターンを撮像した画像データを出力するカメラと、
前記カメラが出力する前記画像データについて、前記テストパターンの種類に応じてデータ量を削減し、得られた画像データを出力することが可能な画像データ出力部と、
を備える、印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記テストパターンが各ノズルからのインクの吐出をチェックするためのテストパターンである場合、前記画像データ出力部は、前記画像データから抽出される輝度データを出力する、印刷装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
前記テストパターンが前記印刷媒体の第1面に印刷される画像の位置と、第1面と反対側の第2面に印刷される画像の位置との一致度を照合するための表裏照合用のテストパターンである場合、前記画像データ出力部は、前記画像データから抽出される、赤プレーンデータ、緑プレーンデータまたは青プレーンデータのうちから選択される少なくとも1つのプレーンデータを出力する、印刷装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
前記画像データ出力部は、画像データの解像度を低下させた低解像度画像データを出力する、印刷装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
前記印刷部を制御する印刷制御部、
をさらに備え、
前記印刷制御部は、前記テストパターンの種類を示す種別情報を、前記画像データ出力部に出力し、
前記画像データ出力部は、前記印刷部が出力する前記種別情報に基づいて、前記画像データのデータ量を削減する、印刷装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
前記印刷部は、種別情報を含むテストパターンを前記印刷媒体に印刷可能であり、
前記カメラは、前記種別情報を撮像可能であり、
前記画像データ出力部は、前記画像データに含まれる前記種別情報を読み取り、読み取った前記種別情報に基づいて前記画像データのデータ量を削減する、印刷装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
前記画像データ出力部は、前記画像データを画像認識処理することにより前記画像データに含まれるテストパターンの領域と当該テストパターンの種類とを認識し、認識したテストパターンの種類に応じて前記画像データのデータ量を削減する、印刷装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
前記画像データ出力部は、前記カメラが出力する前記画像データについて、1ピクセル当たりのビット数を削減する低ビット化回路を含む、印刷装置。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷装置であって、
前記低ビット化回路は、前記テストパターンが、表裏照合用のパターン、または、見当調整用のパターンである場合、前記カメラが出力する前記画像データについて、1ピクセル当たりのビット数を削減する、印刷装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の印刷装置であって、
前記画像データ出力部は、前記テストパターンがシェーディングチェック用のパターンである場合、前記カメラが出力する画像データについて、1ピクセル当たりのビット数を削減せずに得られた画像データを出力する、印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷ヘッドのノズルからインクの液滴を吐出して、印刷媒体にインクジェット方式で印刷を行う印刷装置が知られている。この種の印刷装置では、印刷媒体に形成された印刷画像をカメラで撮像し、得られた画像データに基づいて、印刷画像を検査することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、印刷装置から印刷媒体に出力された印刷画像を撮像することによって得られた撮像画像データに基づいて、印刷画像が不良画像(真不良の画像)であるか否かを充分な精度で判別できるようにする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-005266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、印刷速度の向上、または、検査する画像の高解像度化に伴い、単位時間あたりに処理すべきデータ量が増加する傾向にある。処理すべきデータ量が増加すると、ハードウェアの処理負担が増大するため、ハードウェアに要求されるスペックも高くなり、印刷画像の検査に必要なコストが高くなるおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、印刷媒体に印刷された印刷画像を検査する場合に、処理するデータ量を低減することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1態様は、印刷装置であって、印刷媒体に対して複数種類のテストパターンを印刷可能な印刷部と、前記テストパターンを撮像した画像データを出力するカメラと、前記カメラが出力する前記画像データについて、前記テストパターンの種類に応じてデータ量を削減し、得られた画像データを出力することが可能な画像データ出力部とを備える。
【0008】
第2態様は、第1態様の印刷装置であって、前記テストパターンが各ノズルからのインクの吐出をチェックするためのテストパターンである場合、前記画像データ出力部は、前記画像データから抽出される輝度データを出力する。
【0009】
第3態様は、第1態様または第2態様の印刷装置であって、前記テストパターンが前記印刷媒体の第1面に印刷される画像の位置と、第1面と反対側の第2面に印刷される画像の位置との一致度を照合するための表裏照合用のテストパターンである場合、前記画像データ出力部は、前記画像データから抽出される、赤プレーンデータ、緑プレーンデータまたは青プレーンデータのうちから選択される少なくとも1つのプレーンデータを出力する。
【0010】
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれかの印刷装置であって、前記画像データ出力部は、画像データの解像度を低下させた低解像度画像データを出力する。
【0011】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれかの印刷装置であって、前記印刷部を制御する印刷制御部、をさらに備え、前記印刷制御部は、前記テストパターンの種類を示す種別情報を、前記画像データ出力部に出力し、前記画像データ出力部は、前記印刷部が出力する前記種別情報に基づいて、前記画像データのデータ量を削減する。
【0012】
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれかの印刷装置であって、前記印刷部は、種別情報を含むテストパターンを前記印刷媒体に印刷可能であり、前記カメラは、前記種別情報を撮像可能であり、前記画像データ出力部は、前記画像データに含まれる前記種別情報を読み取り、読み取った前記種別情報に基づいて前記画像データのデータ量を削減する。
【0013】
第7態様は、第1態様から第6態様のいずれかの印刷装置であって、前記画像データ出力部は、前記画像データを画像認識処理することにより前記画像データに含まれるテストパターンの領域と当該テストパターンの種類とを認識し、認識したテストパターンの種類に応じて前記画像データのデータ量を削減する。
【0014】
第8態様は、第1態様から第7態様のいずれかの印刷装置であって、前記画像データ出力部は、前記カメラが出力する前記画像データについて、1ピクセル当たりのビット数を削減する低ビット化回路を含む、印刷装置。
【0015】
第9態様は、第8態様のいずれかの印刷装置であって、前記低ビット化回路は、前記テストパターンが、表裏照合用のパターン、または、見当調整用のパターンである場合、前記カメラが出力する前記画像データについて、1ピクセル当たりのビット数を削減する。
【0016】
第10態様は、第8態様または第9態様の印刷装置であって、前記画像データ出力部は、前記テストパターンがシェーディングチェック用のパターンである場合、前記カメラが出力する画像データについて、1ピクセル当たりのビット数を削減せずに得られた画像データを出力する。
【発明の効果】
【0017】
第1態様から第10態様の印刷装置によれば、テストパターンの種類に応じてデータ量を削減して出力するため、テストパターンに関わらず、画像データをそのまま出力する場合よりも、出力するデータ量を低減できる。また、画像データが入力される外部装置におけるデータの処理量を低減できる。
【0018】
第2態様の印刷装置によれば、印刷画像がノズルチェックのテストパターンである場合に、輝度データを抽出して外部装置に出力するため、出力するデータ量を削減できるとともに、輝度データに基づいてノズルチェックを適切に行うことができる。
【0019】
第3態様の印刷装置によれば、印刷画像が裏面照合用のテストパターンである場合に、特定色のプレーンデータを抽出して外部装置に出力するため、出力するデータ量を削減できるとともに、特定色のプレーンデータに基づいて、裏面照合を適切に行うことができる。
【0020】
第4態様の印刷装置によれば、画像データの解像度を低下させることにより、データ量を削減できる。
【0021】
第5態様の印刷装置によれば、印刷制御部が出力する種別情報に基づいて、データ量を削減できる。
【0022】
第6態様の印刷装置によれば、画像データから読み取られる種別情報に基づいて、データ量を削減できる。
【0023】
第7態様の印刷装置によれば、画像データから直接に画像データの種類を識別できる。
【0024】
第8態様の印刷装置によれば、ビット数が削減されることによって、データ量を削減できる。
【0025】
第9態様の印刷装置よれば、テストパターンがノズルチェック用のパターン、表裏照合用のパターン、または、見当調整用のパターンである場合、画像データのビット数が削減されるため、データ量を削減できる。
【0026】
第10態様の印刷装置によれば、ビット数が削減されていない高ビット数の画像データに基づいて、シェーディングチェックを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態に係る印刷装置の構成を示す図である。
図2】印刷画像の種類と出力パターンとを対応付けたテーブルの内容を示す図である。
図3】印刷中における印刷装置の動作を示す図である。
図4】第2実施形態に係る印刷装置の構成を示す図である。
図5】ノズルチェック用パターンの一例である。
図6】表裏照合用パターンの一例である。
図7】シェーディング補正用パターンの一例である。
図8】第3実施形態に係る印刷画像の種類と出力パターンとを対応づけたテーブルの内容を示す図である。
図9】第3実施形態に係る画像出力部のブロック図を示す図である。
図10】第3実施形態に係る印刷装置の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
【0029】
<1. 第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る印刷装置1の構成を示す図である。印刷装置1は、搬送部10と、印刷部20と、印刷制御部30と、カメラ40と、画像データ出力部50とを備える。
【0030】
印刷装置1は、インクジェット方式でインクの液滴(以下、「インク滴」と称する。)を印刷媒体9に吐出して、印刷媒体9の印刷面に画像を形成する。本例では、印刷媒体9は、長尺帯状(ウェブ状)である。印刷媒体9は、例えば、印刷用紙、樹脂製のフィルム、または、金属箔である。
【0031】
搬送部10は、既定の搬送経路に沿って、上流側から下流側へ印刷媒体9をロールtoロールで連続搬送する。具体的には、搬送部10は、繰出ローラ11と、複数個の搬送ローラ12と、巻取ローラ13と、を有する。繰出ローラ11、各搬送ローラ12および巻取ローラ13は、印刷媒体9の幅方向と平行な軸を中心として回転可能である。
【0032】
繰出ローラ11は、繰出ローラ11の外周面にロール状に巻かれた印刷媒体9を連続的に繰り出す。複数個の搬送ローラ12は、搬送経路上の既定位置にそれぞれ位置する。各搬送ローラ12は、繰出ローラ11から繰り出される印刷媒体9を、印刷面とは反対側の裏面側から支持する。巻取ローラ13は、複数個の搬送ローラ12に掛け渡された印刷媒体9をロール状に巻き取って回収する。
【0033】
搬送部10は、巻取ローラ13を回転させるモータなどの回転駆動部を有する。なお、搬送部10は、繰出ローラ11、または、複数個の搬送ローラ12のうち一部または全部を回転させる回転駆動部を有していてもよい。
【0034】
搬送部10は、印刷媒体9の移動を検出する移動検出部15を備える。移動検出部15は、搬送ローラ12の回転量(回転角度)を検出する、ロータリーエンコーダで構成される。移動検出部15は、搬送ローラ12が所定角度回転するたびに、パルス信号を印刷制御部30に出力する。
【0035】
印刷部20は、搬送部10によって第1方向(図1中、矢印で示される方向X)に搬送される印刷媒体9の印刷面である第1面91に画像を印刷する。印刷部20は、インク滴を吐出する複数個の印刷ヘッド21を有する。本例では、第1方向に向かって順に、ブラック(K)のインク滴を吐出する印刷ヘッド21と、シアン(C)のインク滴を吐出する印刷ヘッド21と、M(マゼンタ)のインク滴を吐出する印刷ヘッド21と、イエロー(Y)のインク滴を吐出する印刷ヘッド21が、互いに間隔を開けて配列されている。
【0036】
なお、各印刷ヘッド21が吐出するインクの色は、任意に変更し得る。また、印刷部20は、K、C、MおよびYとは異なる色のインク滴を吐出する印刷ヘッド21を有していてもよい。また、印刷部20が複数個の印刷ヘッド21を備えることは必須でなく、印刷部20が1個の印刷ヘッド21のみを備えていてもよい。
【0037】
印刷ヘッド21における印刷媒体9の第1面91と対向する面には、インク滴を吐出する複数の吐出ノズル(不図示)が第1方向Xと略直交する第2方向Y(印刷媒体9の幅方向)に配列されている。複数の吐出ノズルは、印刷媒体9の幅方向に配列されている。印刷ヘッド21がインク滴を吐出可能な範囲(印刷可能な範囲)は、印刷媒体9の幅方向全体にわたる。印刷装置1は、印刷媒体9が複数の印刷ヘッド21の下方を1回だけ通過する間に、各印刷ヘッド21がインク滴を吐出して印刷媒体9に印刷画像M1を記録する、いわゆるシングルパス(ワンパス)方式の印刷装置である。
【0038】
印刷制御部30は、印刷部20を制御する。印刷制御部30は、例えば、CPUなどのプロセッサ、RAMなどのメモリ、ハードディスクドライブなどの補助記憶装置を備えたコンピュータである。なお、印刷制御部30は、特定用途向け半導体集積回路(ASIC)などの専用の電子回路で構成されていてもよい。
【0039】
印刷制御部30は、印刷媒体9に印刷すべき画像データと、印刷媒体9の移動量(移動検出部15が出力するパルス信号)とに基づいて、各印刷ヘッド21における各ノズルからのインク滴の吐出を制御する。
【0040】
印刷制御部30は、種別情報C1を画像データ出力部50および検査装置8に出力する。種別情報C1は、カメラ40が取得した画像データMD1に含まれる印刷画像M1の種類を示すデータである。
【0041】
カメラ40は、CCDまたはCMOSなどの撮像素子で構成されるイメージセンサを備えており、当該イメージセンサによって印刷画像M1を撮像する。イメージセンサは、複数行複数列のマトリクス状に並ぶ撮像素子で構成されるエリアセンサであってもよいし、直線状に並ぶ撮像素子で構成されるラインセンサであってもよい。カメラ40は、撮像によって得られる画像データMD1を、画像データ出力部50に出力する。
【0042】
画像データ出力部50は、受信した種別情報CIに基づき印刷画像M1の種類を認識する。次に、画像データ出力部50は、当該認識した印刷画像M1の種類を後述するテーブルT1に適用することにより、印刷画像M1の種類に対応する出力パターンを得る。そして、画像データ出力部50は、その出力パターンに従って画像データMD1のデータ量を削減するデータ処理を実行し、処理済み画像データMD2を得る。そして、画像データ出力部50は、得られた画像データMD2を検査装置8に出力する。画像データ出力部50は、例えば、回路基板により構成される。出力パターンは、印刷部20が印刷する印刷画像M1の種類(画像パターン)ごとに、あらかじめ設定される。このため、画像データ出力部50は、印刷画像M1の種類に応じて、画像データMD1のデータ量を削減する処理して得た画像データMD2を出力する。
【0043】
図2は、印刷画像M1の種類と出力パターンとを対応付けたテーブルT1の内容を示す図である。印刷部20は、印刷画像M1として、各種テストパターンを印刷することが可能である。各種テストパターンの種類は、具体的には、図2に示される、「ノズルチェック用パターン」、「シェーディングチェック用パターン」、「見当調整用パターン」または「表裏照合マーク」を含む。
【0044】
図2に示される「ノズルチェック用パターン」は、印刷ヘッド21の各ノズルからのインク滴の吐出をチェックするためのテストパターンである。図2では、ノズルチェック用パターンに対する出力パターンは、「輝度データ」に設定されている。輝度データは、画像データMD1が示す輝度値で表される画像データである。画像データMD1がノズルチェック用パターンの場合、画像データ出力部50は、画像データMD1から抽出される輝度データを、画像データMD2として検査装置8に出力する。そして検査装置8は、輝度データに基づいて、ノズルチェックの画像検査が行われる。
【0045】
図2に示される「シェーディングチェック用パターン」は、複数の印刷ヘッド21間の濃淡を調整するためのテストパターンである。図2では、シェーディングチェック用パターンに対する出力パターンは、「プレーンデータ」に設定されている。プレーンデータは、画像データMD1が示す、赤プレーンデータ、緑プレーンデータ、または青プレーンデータのいずれかである。画像データMD1がシェーディングチェック用パターンである場合、画像データ出力部50は、画像データMD1から抽出される特定色のプレーンデータを、画像データMD2として検査装置8に出力する。
【0046】
また、図2に示される「見当調整用パターン」は、見当ずれ(各色間の位置ずれ)を補正するためのテストパターンである。また、「表裏照合マーク」は、印刷媒体9の第1面91に印刷される画像の位置と、印刷媒体9における第1面91とは反対側の第2面92に印刷される画像の位置との一致度を照合するためのテストパターンである。図2では、これらのテストパターンに対する出力パターンも、「プレーンデータ」に設定されている。すなわち、画像データMD1がこれらのテストパターンである場合には、画像データMD1から抽出される特定色のプレーンデータを画像データMD2として出力する。
【0047】
このように、画像データ出力部50が輝度データまたは特定色のプレーンデータを出力することによって、画像データ出力部50が画像データMD1をそのまま出力する場合よりも、検査装置8に出力されるデータ量を大きく削減できる。
【0048】
図2に示される「GUI表示用画像」は、検査装置8が備えるディスプレイ81に表示するための画像である。図2では、GUI表示用画像に対応する出力パターンは、「低解像度データ」に設定されている。低解像度データは、画像データMD1の解像度を低下させた画像データである。画像データ出力部50が、低解像度データを画像データMD2として出力することによって、画像データMD1をそのまま出力する場合よりも、検査装置8に出力されるデータ量を大きく削減できる。
【0049】
「印刷品質検査用画像」は印刷画像M1の印刷品質をチェックするための画像である。印刷品質検査用画像の出力パターンは、「RGB画像データ」または「YCC変換画像データ」である。「RGB画像データ」は、画像データMD1が示す赤プレーンデータ、緑プレーンデータおよび青プレーンデータの全てで構成される画像である。「YCC変換画像データ」は、RGB画像をYCbCr方式に変換した画像である。このため、画像データMD1が印刷品質検査用画像である場合、画像データ出力部50は、画像データMD1からのデータ量がほとんど削減されないRGB画像またはYCC変換画像を示す画像データMD2を、検査装置8に出力する。
【0050】
図1に示される検査装置8は、印刷装置1の画像データ出力部50と通信可能に接続される。検査装置8は、例えば、CPUなどのプロセッサ、RAMなどのメモリ、ハードディスクドライブなどの補助記憶装置を備えたコンピュータである。印刷装置1は、検査装置8とともに、印刷システムを構成する。
【0051】
検査装置8は、画像データ出力部50が出力する画像データMD2に基づいて、その画像データMD2が示す印刷画像M1を検査する。検査装置8が実行すべき検査の種類は、印刷制御部30が出力する種別情報C1に基づいて判別される。このため、種別情報C1は、検査の種類を示す検査種別情報と捉えることもできる。例えば、印刷画像M1の種類がノズルチェック用パターンである場合、検査装置8は、画像データMD2(例えば、輝度データ)に基づいて、ノズルチェックの検査を行う。また、印刷画像M1の種類がシェーディングチェック用パターンである場合、画像データMD2(例えば、プレーンデータ)に基づいてシェーディングチェックを行う。また、印刷画像M1の種類が検討調整用パターンである場合、検査装置8は、画像データMD2(例えば、プレーンデータ)に基づいて見当調整を行う。また、印刷画像M1の種類が表裏照合マークである場合、画像データMD2(例えば、プレーンデータ)に基づいて表裏照合を行う。また、印刷画像M1の種類が印刷品質検査用画像である場合、画像データMD2(例えば、RGB画像データまたはYCbCr変換画像データ)に基づいて、印刷品質を検査する。さらに、印刷画像M1の種類がGUI表示用画像である場合、検査装置8は、ディスプレイ81に画像データMD2(例えば、低解像度画像データ)を表示させる。
【0052】
なお、種別情報C1が、印刷制御部30から検査装置8へ出力されることは必須ではない。例えば、画像データ出力部50が、画像データMD2とともに種別情報C1を検査装置8へ出力してもよい。
【0053】
<印刷装置の動作>
図3は、印刷中における印刷装置1の動作を示す図である。印刷装置1において、印刷が開始されると、カメラ40は、印刷部20が印刷した印刷画像M1を撮像する(ステップS1)。上述したように、カメラ40は、印刷画像M1を撮像して得られた画像データMD1を画像データ出力部50に出力する。また、画像データ出力部50は、印刷部20が印刷した印刷画像M1に対応する種別情報C1を取得する(ステップS2)。
【0054】
ステップS2の後、画像データ出力部50は、取得した種別情報C1に基づいて、出力すべき画像データMD2の出力パターンを判定する(ステップS3,S4,S5)。すなわち、出力パターンがプレーンデータである場合(ステップS3においてYes)、画像データ出力部50は画像データMD1から特定色のプレーンデータを抽出する(ステップS6)。また、出力パターンが輝度データである場合(ステップS4においてYes)、画像データ出力部50は、画像データMD1から輝度データを抽出する(ステップS7)。また、出力パターンが低解像度データである場合(ステップS5においてYes)、画像データ出力部50は、画像データMD1を低解像度の画像に変換する(ステップS8)。出力パターンがプレーンデータ、輝度データ、および、低解像度データのいずれでもない場合(ステップS3,S4,S5においてNo)、画像データ出力部50は、画像データMD1をRGB画像データ(またはYCbCr変換画像データ)に変換する(ステップS9)。
【0055】
画像データ出力部50は、ステップS6,S7,S8またはS9によって得られる画像データMD2を、検査装置8に出力する(ステップS10)。そして、すべての印刷が完了した場合(ステップS11においてYes)、印刷装置1は、印刷処理を終了する。また、印刷処理が完了していない場合には、印刷装置1は、再びステップS1を実行する。
【0056】
以上のように、本実施形態の印刷装置1によれば、画像データ出力部50は、印刷画像M1の種類が、印刷品質検査用画像以外の画像パターン(各種テストパターンおよびGUI表示用画像)の場合、画像データMD1についてデータ量が削減された画像データMD2を検査装置8に出力する。これにより、印刷画像M1の種類に関わらずに画像データMD1をそのまま出力する場合よりも、出力データ量を低減できる。これにより、画像データ出力部50と検査装置8との間のデータ通信量を減らすことができる。また、検査装置8においては、処理するデータ量を減らすことができる。このため、ハードウェアのスペックを落とすことができるとともに、装置コストを抑えることができる。
【0057】
<2. 第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。なお、以降の説明において、既に説明した要素と同様の機能を有する要素については、同じ符号又はアルファベット文字を追加した符号を付して、詳細な説明を省略する場合がある。
【0058】
図4は、第2実施形態に係る印刷装置1Aの構成を示す図である。印刷装置1Aにおいては、印刷制御部30が画像データ出力部50に対して種別情報C1を出力する代わりに、印刷制御部30が印刷部20を制御することによって、印刷部20に印刷画像M1とともに種別情報C1を示す画像(例えば、一次元コードまたは二次元コード)を印刷させる。そして、カメラ40は、印刷画像M1とともに種別情報C1の画像を撮像する。これにより、カメラ40が撮像して得られる画像データMD1に、印刷画像M1とともに種別情報C1を示す画像を含めることができる。画像データ出力部50は、画像データMD1に含まれる種別情報C1を読み取ることにより読み取った画像データMD1の種類を認識する。次に、画像データMD1の種類に対応する出力パターンに従って画像データMD1のデータ量を削減する処理を実行する。そして、得られた画像データMD2を検査装置8へ出力する。また、画像データ出力部50は、画像データMD2とともに、読み取った種別情報C1を検査装置8へ出力する。
【0059】
検査装置8は、画像データ出力部50が出力する画像データMD2および種別情報C1に基づいて、印刷画像M1を検査する。なお、種別情報C1が、画像データ出力部50から検査装置8に出力されることは必須ではない。例えば、印刷制御部30が種別情報C1を検査装置8に出力してもよい。
【0060】
印刷装置1Aにおいても、印刷画像M1が各種テストパターンまたはGUI表示用画像である場合には、画像データ出力部50は、種別情報C1に対応する出力パターンに従って画像データMD1のデータ量を削減し、得られた画像データMD2(輝度データ、特定色のプレーンデータ、または、低解像度画像)を検査装置8へ出力する。このため、画像データMD1から読み取られる種別情報C1に基づいて、データ量を削減できる。
【0061】
なお、画像データ出力部50は読み取った画像データMD1を画像認識処理することにより画像データMD1の種類を直接認識してもよい。この場合、印刷画像M1の近傍に種別情報C1を示す画像(例えば、一次元コードまたは二次元コード)を印刷する必要が無くなるため、印刷媒体9の有効印字領域を広げることが可能になる。
【0062】
図5は、ノズルチェック用パターンの一例である。印刷媒体9には印刷ヘッド21によってノズルチェック用のテストパターンTP1が印刷されている。テストパターンTP1において、印刷ヘッド21の第2方向Yに並べられた複数のノズルN1~N60によって印刷された第1方向Xに延伸するラインをそれぞれラインL1~L60とする。テストパターンTP1は、印刷ヘッド21のノズルを順に4個ずつ1組とした15組(ノズルN1~N4、N5~N8、N9~N12、・・・、N53~N56、N57~N60の15組)に分け、それぞれの組において、1ノズル毎に吐出タイミングをずらしてインクを吐出させることで、階段状に印刷されるパターンが形成される。
【0063】
このように、ノズルチェック用のテストパターンTP1は、第1方向Xに延伸する複数本のラインL1~L60を含むパターンである。画像データ出力部50は、画像データMD1を画像認識処理することにより、画像データMD1中のこのような特徴(第1方向Xに延伸し、第2方向Yに繰り返し発生する複数本のラインを含むパターン)を有する領域をノズルチェック用パターンであると認識することができる。
【0064】
図6は、表裏照合用パターンの一例である。印刷媒体9には印刷ヘッド21によって表裏照合用のテストパターンTP2が印刷されている。テストパターンTP2は、実画像70の印刷領域よりも第2方向Y側にずれており、印刷媒体9のエッジ部近傍に印刷されている。テストパターンTP2は一定高濃度のベタパターンである。通例、テストパターンTP2のサイズは実画像70よりも小さい。画像データ出力部50は、画像データMD1を画像認識処理することにより、画像データMD1中のこのような特徴(一定高濃度のベタパターンで、印刷媒体9のエッジ部近傍に印刷されている比較的小サイズのパターン)を有する領域を表裏照合用パターンであると認識することができる。
【0065】
図7は、シェーディング補正用パターンの一例である。印刷媒体9には印刷ヘッド21によってシェーディング補正用のテストパターンTP3が印刷されている。テストパターンTP3は、第1方向Xに短尺で、第2方向Yに長尺な複数の帯状画像71~74で構成される。複数の帯状画像71~74はいずれも一定濃度のベタパターンであり、濃度の大きさは互いに異なっている。画像データ出力部50は、画像データMD1を画像認識処理することにより、画像データMD1中のこのような特徴(第1方向Xに短尺で、かつ第2方向Yに長尺な、互いに濃度が異なる複数のベタパターン)を有する領域をシェーディング補正用のパターンであると認識することができる。
【0066】
見当調整用パターン、GUI表示用画像、および印刷品質検査用画像についても画像データ出力部50が同様の手法で画像認識処理を実行することにより、画像データMD1に含まれるこれらの画像の領域と画像の種類とを自動的に認識することが可能である。
【0067】
以上のように、画像データ出力部50は、画像データMD1を画像認識処理することにより当該画像データMD1に含まれるテストパターンの領域と当該テストパターンの種類とを認識することができる。そして、認識したテストパターンの種類をテーブルT1に適用することによりテストパターンの出力パターンの種類を取得し、その出力パターンで画像データMD1のデータ量を削減する処理を行い、検査装置8に出力することができる。なお、画像データ出力部50は、画像認識処理により取得したテストパターンの領域およびテストパターンの種類も検査装置8に出力してもよい。
【0068】
<3. 第3実施形態>
画像データ出力部50は、カメラ40によって出力された画像データMD1について、1ピクセル当たりのビット数(以下、単に「ビット数」と称する。)を削減することによってデータ量が削減された画像データMD2を、検査装置8に出力してもよい。画像のビット数は、画像の色の深さ(色深度)または色彩の度合いを表現するために1ピクセルあたりに使用されるビット数である。ビット数が多いほど、画像の色彩または濃淡の情報をより詳細に表現することができるが、ファイルサイズも大きくなる。以下の説明では、カメラ40は、10ビットの画像データMD1、すなわち、RGBの各色が10ビットで表現された画像データMD1を画像データ出力部50に出力するものとする。
【0069】
図8は、第3実施形態に係る印刷画像M1の種類と出力パターンとを対応づけたテーブルT2の内容を示す図である。「出力ビット数」は、画像データ出力部50が出力する画像データMD2の1ピクセル当たりのビット数(bits per pixel)である。
【0070】
図8に示されるテーブルT2では、印刷画像M1の種類がノズルチェック用パターンである場合、出力パターンは輝度データに設定されている。印刷画像M1の種類がシェーディングチェック用パターンである場合、出力パターンは10ビットのRGBデータに設定されている。印刷画像M1の種類が見当調整用パターンである場合、出力パターンは8ビットのRGBデータに設定されている。印刷画像M1の種類が表裏照合マークである場合、出力パターンは8ビットのGプレーンデータに設定されている。印刷画像M1の種類がGUI表示用画像である場合、出力パターンは8ビットのRGBデータ(低解像度)に設定されている。印刷画像M1の種類が印刷品質検査用画像である場合、8ビットのRGBデータに設定されている。すなわち、印刷画像M1の種類が、見当調整用パターン、表裏照合マーク、GUI表示用画像、または印刷品質検査用画像である場合、画像データ出力部50は、カメラ40によって出力された10ビットの画像データMD1から8ビットの画像データMD2に変換する。ビット数削減は、例えば、10ビットのうち下位の2ビットを削って8ビットを得てもよい。
【0071】
また、テーブルT2では、印刷画像M1がシェーディング用パターンである場合、出力ビット数が10ビットに設定されている。すなわち、印刷画像M1の種類がシェーディングチェック用パターンである場合、画像データ出力部50は、10ビットの画像データMD1について、10ビットの画像データMD2を出力する。このように、印刷画像M1の種類がシェーディングチェック用パターンである場合、ビット数を削減する処理は行われない。
【0072】
図9は、第3実施形態に係る画像データ出力部50の詳細を示すブロック図である。画像データ出力部50は、切替回路51と、低ビット化回路52と、画像データ処理回路53とを有している。
【0073】
切替回路51にはカメラ40が出力する画像データMD1が入力され、種別情報CIの指示に応じて、画像データMD1を低ビット化回路52または画像データ処理回路53に選択的に出力する。すなわち、種別情報CIがノズルチェック用パターンおよびシェーディングチェック用パターンのいずれかを示している場合は、画像データMD1を画像データ処理回路53に出力する。一方、種別情報CIが見当調整用パターン、表裏照合パターンおよびGUI表示用画像のいずれかを示している場合は、画像データMD1を低ビット化回路52に送信する。低ビット化回路52は受信した画像データMD1(10ビット)を8ビットに縮退し、8ビットのRGBデータを画像データMD11として出力する。
【0074】
画像データ処理回路53には上述の10ビットの画像データMD1および8ビットの画像データMD11が入力される。そして、種別情報CIの指示に応じて、これらを適宜、処理して、処理済み画像データMD2として検査装置8に出力する。すなわち、種別情報CIがノズルチェック用パターンを示している場合は、画像データMD1を輝度データに変換する処理を実行する。また、種別情報CIがシェーディングチェック用パターンを示している場合は、画像データMD1に特段の処理を行わない。種別情報CIが見当調整用パターンを示している場合は、画像データMD11に特段の処理を行わない。種別情報CIが表裏照合マークパターンを示している場合は、画像データMD11(RGBデータ)からGのプレーンだけを抽出する処理を行う。種別情報CIがGUI表示用画像を示している場合は、画像データMD11を低解像度化する処理を行う。種別情報CIが印刷品質検査用画像を示している場合は、画像データMD11に特段の処理を行わないか、YCC変換処理を実行する。
【0075】
図10は、第3実施形態に係る印刷装置1の動作を示す図である。図10に示されるステップS1およびS2は、それぞれ、図3に示される、第1実施形態のステップS1およびステップS2と共通している。ただし、本実施形態は、ステップS2の後の処理が第1実施形態とは異なる。以下では、共通する部分の説明は省略し、異なる部分を詳細に説明する。
【0076】
画像データ出力部50は、ステップS2によって印刷画像M1に対応する種別情報C1を取得した後、取得された種別情報C1が示す印刷画像M1の種類と、テーブルT2の定義とに基づいて、画像データMD1のビット数を削減する必要があるか判定する(ステップS21)。例えば、種別情報C1によって示される印刷画像M1の種類が、見当調整用パターン、表裏照合マーク、GUI表示用画像、または印刷品質検査画像である場合、ステップS21において、画像データ出力部50は、ビット数の削減が必要と判定する。種別情報C1によって示される印刷画像M1の種類が、シェーディングチェック用パターンである場合、ステップS21において、画像データ出力部50は、ビット数の削減は不要と判定する。
【0077】
ステップS21によってビット数の削減が必要と判定された場合(ステップS21においてYes)、画像データ出力部50は、カメラ40によって出力された画像データMD1のビット数を削減する(ステップS22)。すなわち、画像データ出力部50は、画像データMD1のビット数を、10ビットから8ビットに削減して、画像データMD11とする。そして、画像データ出力部50は、ステップS23以降の処理を実行する。すなわち、出力パターンがプレーンデータであれば、ステップS24に進み、画像データMD11からGプレーンデータを抽出する処理が実行される。このGプレーンデータは次のステップS25において、表裏照合マーク用に処理された画像データMD2として検査装置8に出力される。
【0078】
ステップS23においてNoと判断された場合、次のステップS26において出力パターンが輝度データか判断される。ステップS26でYesと判断された場合、次のステップS27において画像データMD11がRGB-YCC変換されて輝度データが生成される。なお、この輝度データは、ステップS25において、印刷品質検査用に処理された画像データMD2として検査装置8に出力されてもよい。
【0079】
ステップS26においてNoと判断された場合、次のステップS28において出力パターンが低解像度データか判断される。ステップS28においてYesと判断されると、次のステップS29において画像データMD11が低解像度変換されて低解像度のRGBデータ(8ビット)が生成される。このデータはステップS25において、GUI表示用に処理された画像データMD2として検査装置8に出力される。
【0080】
ステップS28においてNoと判断された場合、ステップS25に進み、画像データMD11(8ビットのRGBデータ)が見当調整用パターンとして処理された画像データMD2あるいは印刷品質検査用に処理された画像データMD2として検査装置8に出力される。
【0081】
ステップS21のビット数削減要否の判定処理に戻る。このステップS21においてNoと判断された場合、ステップS30に進む。ステップS30では、出力パターンが輝度データか判断される。ステップS30でYesと判断されると、次のステップS31において画像データMD1がRGB-YCC変換されて輝度データが生成される。この輝度データはステップS25において、ノズルチェックパターン用に処理された画像データMD2として検査装置8に出力される。
【0082】
ステップS30においてNoと判断された場合、ステップS25に進み、10ビットのRGBデータがシェーディングチェック用パターンとして処理された画像データMD2として検査装置8に出力される。10ビットのRGBデータは印刷品質検査用の画像データとして検査装置8に出力されてもよい。
【0083】
検査装置8は、シェーディングチェックを行う場合、画像データ出力部50によって出力された画像データMD2が示す濃淡に基づいて、印刷ヘッド21が有する複数の吐出ノズル間のインク吐出量のばらつきを検査する。シェーディングチェックは、ビット数が削減されていない、高ビット数、すなわち、濃淡が詳細に表現された画像データMD2に基づいて行われる。これにより、濃淡のばらつきを、精度良く検査できるため、吐出ノズル間のインク吐出量のばらつきを精度良く検査できる。
【0084】
シェーディングチェックにより、ばらつき量が規定値以上の場合、検査装置8は、アラームをディスプレイ81に表示してもよい。また、検査装置8は、吐出量のばらつきを補正するための補正信号を吐出ノズルごとに生成し、当該補正信号を印刷制御部30に送信する。印刷制御部30は、検査装置8によって送信された補正信号に基づいて、各吐出ノズルを駆動する。これにより、印刷ヘッド21が均一な濃度の画像を印刷媒体9に形成できる。
【0085】
また、印刷画像M1の種類が見当調整用パターン、表裏照合マーク、GUI表示用画像または印刷品質検査用画像である場合、ステップS21によりビット数の削減が必要と判断され、ステップS22によりカメラ40によって出力された画像データMD1のビット数が10ビットから8ビットに削減される。そして、ステップS24,S27またはS29において目的に応じた画像データ変換が行われた後、画像データMD2が検査装置8に出力される。この場合、10ビットの画像データMD2が検査装置8に出力される場合よりも、出力データ量を低減できる。これにより、画像データ出力部50と検査装置8との間のデータ通信量を減らすことができる。また、検査装置8においては、処理するデータ量を減らすことができる。このため、ハードウェアのスペックを落とすことができるとともに、装置コストを抑えることができる。
【0086】
また、第3実施形態において、図10に示されるステップS23、S24、およびステップS26~S31が実行されることは必須ではない。すなわち、画像データ出力部50は、ステップS21およびステップS22により、印刷画像M1の種類に応じて、画像データMD1のビット数を削減し、その後、そのビット数が削減された画像データMD1を画像データMD2として検査装置8に出力してもよい。
【0087】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0088】
1,1A 印刷装置
9 印刷媒体
20 印刷部
21 印刷ヘッド
30 印刷制御部
40 カメラ
50 画像データ出力部
52 低ビット化回路
91 第1面
92 第2面
C1 種別情報
M1 印刷画像(テストパターン)
MD1,MD2 画像データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10