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特開2024-46589水検知センサユニット、及び燃料供給装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046589
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】水検知センサユニット、及び燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/32 20100101AFI20240327BHJP
【FI】
B67D7/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081311
(22)【出願日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2022151403
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 優人
(72)【発明者】
【氏名】樋口 裕治
(72)【発明者】
【氏名】仁科 孝之
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083AA03
3E083AD01
3E083AD30
3E083AE01
(57)【要約】
【課題】燃料中の水を検知するセンサの送信機33と受信機34との間の距離を正確に調整した状態で、燃料が通過する流路35bを挟んで送信機33及び受信機34を取り付けることができる。
【解決手段】燃料供給対象に供給される燃料中の水を検知する水検知センサユニット30は、燃料に信号を送信する送信機33と、燃料を通過した信号を受信する受信機34と、送信機33が収容されるセンサ収容室35c、受信機34が収容されるセンサ収容室35d、及びセンサ収容室35cとセンサ収容室35dとの間に形成され、燃料が通過する流路35b、を有する樹脂ホルダ35と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料供給対象に供給される燃料中の水を検知する水検知センサユニットであって、
電磁波を送信する送信器と、
前記送信器から送信された電磁波を受信する受信器と、
前記送信器が収容される第1のセンサ収容部と、前記受信器が収容される第2のセンサ収容部と、前記第1のセンサ収容部と前記第2のセンサ収容部との間に形成された流路と、を有する第1のホルダと、
を備えることを特徴とする水検知センサユニット。
【請求項2】
前記送信器及び前記受信器の各々が前記第1のセンサ収容部及び前記第2のセンサ収容部に収容された前記第1のホルダを格納する第2のホルダをさらに備え、
前記第2のホルダには、前記第1のホルダに形成された前記流路に前記燃料を流入させる、又は前記流路から前記燃料を流出させる開口部が形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の水検知センサユニット。
【請求項3】
前記第2のホルダは、導電性材料から形成される
ことを特徴とする請求項2に記載の水検知センサユニット。
【請求項4】
前記送信器及び前記受信器と通信可能に接続される基板をさらに備え、
前記第2のホルダには、前記基板を内部に保持する保持部が設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の水検知センサユニット。
【請求項5】
前記基板を前記第2のホルダの前記保持部に締結させる締結部材を備える
ことを特徴する請求項4に記載の水検知センサユニット。
【請求項6】
前記第2のホルダには、前記基板が挿入される挿入口が設けられ、
前記保持部および前記締結部材には、前記基板の挿入方向に開口した孔が設けられ、前記挿入口から前記孔に対するネジ留めが可能となる
ことを特徴とする請求項5に記載の水検知センサユニット。
【請求項7】
前記第1のホルダには、前記燃料が通過する複数の流路が形成されており、前記複数の流路が交差する交差部を挟むように前記第1のセンサ収容部及び前記第2のセンサ収容部が設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の水検知センサユニット。
【請求項8】
前記第1のホルダは、前記第1のセンサ収容部と前記流路とを区画する第1の仕切壁、及び前記第2のセンサ収容部と前記流路とを区画する第2の仕切壁を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の水検知センサユニット。
【請求項9】
燃料を貯留するタンクから燃料供給対象に燃料を供給する燃料供給経路上に設けられたポンプと、
請求項1~8のいずれか1項に記載の水検知センサユニットと、を備え、
前記水検知センサユニットは、前記ポンプのケーシングに着脱可能に装着される
ことを特徴とする燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料供給対象へ供給される燃料中の水を検知する水検知センサユニット、及び水検知センサユニットを備える燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料供給経路中に一対の投光部と受光部とからなる水検知センサを設け、投光部と受光部との間に存在する燃料中の含水量を検知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-121754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水検知センサは、投光部(送信機)から発信される光(電磁波)が燃料を介して受光部(受信機)で受信され、この受光部で受信された光(電磁波)の強さから投光部と受光部との間を通過する燃料中の含水量を検出するものである。このため、投光部と受光部との間隔を小さくした場合には、その間を流通する燃料中の通過幅が小さくなるため、燃料中の正確な含水量を検出することができなくなる。また、投光部と受光部との間隔を大きくした場合には、投光部から発信された光が燃料中を通過する際に大きく減衰することになり、場合によっては、受光部で光を受信できなくなるおそれがある。よって、投光部と受光部との間隔の調整は非常に重要であり、燃料供給経路に投光部と受光部とを装着する際は、投光部と受光部との間の距離を正確に調整して取り付ける必要がある。しかし、この調整作業には手間がかかる。
【0005】
本発明は、燃料中の水を検知するセンサの送信機と受信機との間の距離を正確に調整した状態で、燃料が通過する流路を挟んで送信機及び受信機を取り付けることが可能な水検知センサユニット、及び水検知センサユニットを備える燃料供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水検知センサユニットは、燃料供給対象に供給される燃料中の水を検知する水検知センサユニットであって、電磁波を送信する送信器と、送信器から送信された電磁波を受信する受信器と、送信器が収容される第1のセンサ収容部と、受信器が収容される第2のセンサ収容部と、第1のセンサ収容部と第2のセンサ収容部との間に形成された流路と、を有する第1のホルダと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、燃料中の水を検知するセンサの送信機と受信機との間の距離を正確に調整した状態で、燃料が通過する流路を挟んで送信機及び受信機を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る給油装置の概略構成図である。
図2】実施の形態に係るポンプユニットにおける燃料供給経路の説明図である。
図3】(a)実施の形態に係るポンプユニットのケーシングに取り付けられた水検知センサユニットの斜視図、(b)実施の形態に係る水検知センサユニットの分解斜視図である。
図4】(a)実施の形態に係るポンプユニットの側面の外観図、(b)(a)のA-A断面図である。
図5】実施の形態に係る樹脂ホルダの(a)斜視図、(b)側面図、(c)正面図、(d)背面図、(e)(d)のB-B断面図である。
図6】(a)実施の形態に係る水検知センサユニットの斜視図、(b)(a)の水検知センサユニットから金属製ホルダを省略した図である。
図7】変形例に係る金属製ホルダの断面図である。
図8】(a)実施例2に係るポンプユニットのケーシングに取り付けられた水検知センサユニットの斜視図、(b)実施例2に係る水検知センサユニットの分解斜視図である。
図9】実施例2に係る水検知センサユニットの断面図である。
図10】実施例2に係る金属製ホルダの正面図である。
図11】実施例2に係る金属製ホルダの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施の形態において、その構成要素は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0010】
本発明に係る燃料供給装置の一実施の形態について、ガソリンスタンド等の給油所に設置され、給油ノズルの筒先を車両等の給油口に挿入し、ガソリン、軽油といった燃料を車両等に補給する給油装置を例に説明する。
【0011】
図1は、実施の形態に係る給油装置の概略構成図である。
【0012】
(給油装置1)
図示の例では、給油装置1は、地上設置式の給油装置を示している。給油装置1は、給油装置本体2内に、ポンプモータ12により駆動されるポンプ11、ポンプ11から吐出された燃料の液量を計測する流量計13が収納されている。また、流量計13の流出側には、内部配管15が接続されており、内部配管15の先端には、給油ノズル17が接続された給油ホース16が接続されている。ポンプ11の吸い込み側は、地下配管21を介して、燃料油液を貯留する地下タンク22内の液中に連通接続されている。
【0013】
給油装置1において、ポンプ11により地下タンク22内から汲み上げられた燃料油液は、流量計13に供給され、その液量が計測される。流量計13には、流量発信器14が付設され、単位流量毎の燃料油液の流れに比例した流量パルスが出力される。
【0014】
給油ノズル17は、給油作業で使用されないときは、給油装置本体2に設けられたノズル収納部18に格納されている。給油ノズル17は、給油作業時、ノズル収納部18から取り出され、先端の吐出パイプを車両等の給油口に挿入し、操作レバーを操作して内蔵された開閉弁を開弁して、燃料の補給が行えるようになっている。ノズル収納部18には、給油ノズル17の取り出し及び掛け戻しを検知するためのノズルスイッチ19が設けられている。給油作業の際における給油量等の給油情報は、その表示面を給油装置本体2から外部に臨ませて設けられた表示器20に表示される。
【0015】
給油装置本体2内には、ポンプ11、流量計13等といった機器に加え、給油装置1の各部を制御する制御装置23が設けられている。制御装置23は、プロセッサ、メモリ、入出力インタフェース等を備えたマイクロコンピュータ装置を含んで構成されている。制御装置23には、ノズルスイッチ19の検出信号等が入力され、これら信号入力に基づいて、給油装置1の各部を制御する。
【0016】
具体的に、制御装置23は、ノズルスイッチ19からの検出信号に基づき、給油ノズル17のノズル収納部18からの取り出しによりポンプモータ12を駆動し、給油ノズル17のノズル収納部18への掛け戻しによりポンプモータ12の駆動を停止する。また、制御装置23は、流量発信器14からの流量パルスの入力に基づき、給油作業時の給油量を演算して表示器20に表示する。
【0017】
さらに、給油装置1では、制御装置23は、給油所内ローカルエリアネットワーク(いわゆる、給油所LAN)を介して図示せぬ給油所用POS端末機(販売時点情報管理機)と通信接続され、給油所用POS端末機から供給される給油作業許可信号や給油作業禁止信号の受信に基づいて、上述した給油ノズル17の操作に基づくポンプモータ12の駆動をはじめとする装置各部の作動を許可又は禁止し、給油作業が終了した際には給油量等の給油情報を給油所用POS端末機に伝票発行等のために送信するようになっている。
【0018】
実施の形態に係る給油装置1では、上述した構成に加えて、地下タンク22から給油ノズル17に到る燃料供給経路の途中には、水検知センサユニット30が設けられている。水検知センサユニット30は、ポンプ11により地下タンク22内から汲み上げられて給油ノズル17に供給される燃料中に混入している含水量、又は水の有無を検出する。
【0019】
そして、制御装置23は、この水検知センサユニット30の検出出力に基づいて供給対象に供給される燃料中に水の異常な混入が有るか否かを検出し、車両等の燃料供給対象に水が混入した燃料が供給されるのを防止するために、ポンプモータ12の駆動の停止などを行う。
【0020】
(ポンプユニット40)
本実施の形態では、水検知センサユニット30は、ポンプユニット40に設けられている。ポンプユニット40は、ポンプ11が、ポンプ11の吸込側の燃料供給経路に設けられるストレーナや、ポンプ11の吐出側の燃料供給経路に設けられるエアセパレータ及びフィルタとともに、同一のケーシング内に配置された構成になっている。
【0021】
次に、水検知センサユニット30が設けられるポンプユニット40について、図2に基づいて説明する。図2は、実施の形態に係るポンプユニットにおける燃料供給経路の説明図である。
【0022】
なお、図2では、ポンプユニット40の全体構成を解り易く示すため、ケーシング41内における各部間の配置関係については、実際とは、上下、前後、左右に配置関係を適宜ずらして便宜的に示してある。
【0023】
図2に示されるように、ポンプユニット40は、流入口42と流出口43とが備えられたケーシング41の内部に、ストレーナ取付室44、逆止弁取付室45、ロータ室46、空気分離室47、センサユニット収容室48、フィルタ室49が、燃料供給経路の上流側から下流側へ順次配置され、加えて、気液分離室50が、空気分離室47とロータ室46の流入側との間を連通するように配置された構造になっている。
【0024】
ストレーナ取付室44には、ストレーナ51が取り付けられている。ストレーナ取付室44は、ケーシング41の底部に開口する流入口42に連通されている。
【0025】
ストレーナ51は、流入口42から流入された燃料油液に含まれる異物(水以外の固形異物)を捕獲する網部材からなり、導電性を有する金属網部材により中空の円筒形状に形成されている。ストレーナ51は、ストレーナ取付用開口部44aから室内に挿入される。ストレーナ取付用蓋52は、ストレーナ取付室44のストレーナ取付用開口部44aを液密に閉塞するようにケーシング41に締結されると共に、ストレーナ51をストレーナ取付室44に保持する。ポンプ11の駆動により流入口42から吸引された燃料油液は、ストレーナ51の筒内部にストレーナ51の軸線方向に沿って導入されるようになっている。
【0026】
ポンプ11の駆動により流入口42から吸引された燃料油液は、ストレーナ51により濾過された後、逆止弁取付室45に流入する。逆止弁取付室45は、ストレーナ取付室44の下流側に設けられ、ケーシング41内でストレーナ取付室44と隣接して形成されている。両室44,45間は、連通されている。逆止弁取付室45には、流入側逆止弁54が開閉動作可能に取り付けられている。流入側逆止弁54を通過した燃料油液は、ギヤポンプ61が設けられたロータ室46と連通する吸込側流路57に流出する。
【0027】
流入側逆止弁54は、コイルバネ55のバネ力によりストレーナ51側に付勢されており、ポンプ駆動時のポンプ吸込圧力(負圧)により連通用開口部45cを開放し、ポンプ停止時はポンプ吸込圧力がなくなると連通用開口部45cを閉止する。
【0028】
逆止弁取付室45の下流側には、吸込側流路57が連通するロータ室46が設けられている。ロータ室46には、ポンプ11としてギヤポンプ61が設けられている。ギヤポンプ61は、ポンプモータ12の回転駆動力を受けて回転するロータ62と、ロータ62により回転駆動されるピニオン63とを有する。
【0029】
ロータ62は、ロータ室46の内径に対応した外径を有する円盤形状に形成されており、盤面の周縁部には半円形状の係合部62aが回転方向(周方向)に所定のピッチ(間隔)で複数個設けられている。これに対し、ピニオン63は、回転軸64により回転可能に支持されており、外周にはロータ62の係合部62aに対応する半円形状の凹部63aが所定のピッチ(間隔)で複数個設けられている。
【0030】
また、ロータ62の回転中心とピニオン63の回転中心である回転軸64の軸芯とは、ロータ室46の内径方向に沿って偏心している。ピニオン63の外周と各係合部62aとの内接円からなるロータ62の内周との間の隙間には、回転中心の偏心量に応じた三日月形状の仕切り部65が設けられている。仕切り部65の内周面は、ピニオン63の外周が摺接し、仕切り部65の外周面は、ロータ62の係合部62aが摺接する。
【0031】
ロータ62の係合部62aがピニオン63の凹部63aと係合していることにより、ロータ62がモータにより回転駆動されると、ピニオン63も同一方向に回転駆動される。そして、このロータ62及びピニオン63の回動に基づくロータ室46の吸込口46a側での負圧発生により、流入側逆止弁54が開弁し、ストレーナ51を通過した燃料油液がロータ室46の吸込口46aに吸引される。
【0032】
ギヤポンプ61においては、図中、ロータ62及びピニオン63が反時計方向に回転駆動すると共に、吸込側流路57から吸引された燃料油液は、ピニオン63の凹部63a内及びロータ62の係合部62a間の隙間内に流入し、ロータ室46の吐出口46bに連通された吐出側流路66へ吐出される。ギヤポンプ61から吐出された燃料油液は、吐出側流路66を介して連通され、燃料供給経路のさらに下流に配置された空気分離室47に流入される。
【0033】
空気分離室47は、流入する燃料油液をその遠心力や重力を利用して気体を含んだ気体富化液と許容量以下の気体しか含まない供給燃料油液とに分離可能な構造になっている。これに伴い、分離された気体富化液が集まり易い空気分離室47内の上部の室壁には、分離された気体富化液を気液分離室50に回収するための気体富化液流出孔71が設けられている。気体富化液流出孔71は、気体富化液が集まる空気分離室47内の上部と気液分離室50との間を連通する。
【0034】
これに対し、分離された供給燃料油液は、供給燃料油液が集まる空気分離室47内の下部に連通し、水検知センサユニット30が収容されるセンサユニット収容室48及びフィルタ72が設けられたフィルタ室49に流入し、フィルタ72によって異物が濾過された後、ケーシング41の流出口43に接続されて設けられた流出路74へ流出する。
【0035】
センサユニット収容室48は、ケーシング41の側面に設けられたセンサ取付用開口部48aを有し、水検知センサユニット30は、センサ取付用開口部48aからセンサユニット収容室48内に配設される。水検知センサユニット30の詳細は、後述する。
【0036】
フィルタ室49は、ストレーナ取付室44の場合と同様に、ケーシング41の側面に設けられたフィルタ取付用開口部49aを有し、フィルタ72は、フィルタ取付用開口部49aからフィルタ室49内に配設される。フィルタ取付用蓋73は、フィルタ室49のフィルタ取付用開口部49aを閉塞するようにケーシング41に締結されると共に、フィルタ72をフィルタ室49に保持する。フィルタ室49に流入した燃料油液は、フィルタ72を介して、燃料油液導出口49bから流出路74に流出できるようになっている。
【0037】
ケーシング41の流出口43は、流量計13の流入口と連通接続され、流量計13には許容量以下の気体しか含まない供給燃料油液だけを供給可能になっている。加えて、図示の例では、流出路74には、ギヤポンプ61によって送出される燃料油液の圧力により開弁する流出側逆止弁75が設けられている。流出側逆止弁75は、流量計13側からポンプユニット40側への供給燃料油液の戻りを防止する。
【0038】
気液分離室50は、空気分離室47から気体富化液流出孔71を介して流入した気体富化液から気体を分離する。気液分離室50の底部には、燃料油液をギヤポンプ61のロータ室46の吸込口46a側に戻す戻し孔76が設けられ、気液分離室50の天井部には、分離された気体を室外に放出するための大気開放孔77が設けられている。
【0039】
気液分離室50には、気液分離室50内における気体富化液を含む燃料油液の液面高さに応動するフロート弁78が設けられている。フロート弁78は、気液分離室50内に滞溜している気体富化液を含む燃料油液の液面高さが所定高さ以上になった場合に戻し孔76を開弁する弁部を有する。気液分離室50において、気体富化液に含まれる気泡(気体)は、液面の上部空間に浮上し、大気開放孔77から大気中に放出される。また、気泡が分離された燃料油液は、液面高さが所定高さに達したときフロート弁78の開弁により戻し孔76を通過して吸込側流路57に戻される。
【0040】
また、ケーシング41には、フィルタ室49の流出側とロータ室46の吸込口46a側との間を連通するリリーフ通路81が設けられ、リリーフ通路81にはリリーフ弁82が設けられている。ポンプ11、すなわちポンプユニット40の下流側の燃料供給経路における燃料油液の液圧が必要以上に高まった場合等に、フィルタ72により新たに濾過された燃料油液の一部若しくは全部がリリーフ弁82を開弁して、ギヤポンプ61のロータ室46の吸込口46a側に戻される。リリーフ弁82は、コイルバネ83のばね力により閉弁方向に付勢されており、流出路74の液圧と、コイルバネ83のばね力にロータ室46の吸込圧力を加えた合力との差に応じて開閉する。ギヤポンプ61の駆動中は、リリーフ弁82は、コイルバネ83のばね力と吐出圧力と吸込圧力との合力のつり合いにより、開弁と閉弁を繰り返す。
【実施例0041】
(水検知センサユニット30)
次に、図3及び図4を参照して、水検知センサユニット30の詳細を説明する。図3に示すように、水検知センサユニット30は、蓋31、水検知センサ用基板32、送信機(送信器)33、受信機(受信器)34、樹脂ホルダ(第1のホルダ)35、及び金属製ホルダ(第2のホルダ)36を有する。筒状の金属製ホルダ36の内部に、水検知センサ用基板32、送信機33、受信機34、及び樹脂ホルダ35(以下、水検知センサ用基板32、送信機33、受信機34、及び樹脂ホルダ35を、「水検知センサアセンブリ」と呼ぶ)が収容される。また、以下、送信機33及び受信機34を、「センサ」と呼ぶ。水検知センサアセンブリが収容された金属製ホルダ36は、センサ取付用開口部48aからセンサユニット収容室48内に配設される。そして、蓋31を金属製ホルダ36の開口部を塞ぐように配置し、蓋31及び金属製ホルダ36をケーシング41に固定する。
【0042】
(蓋31)
蓋31は、水検知センサアセンブリを金属製ホルダ36の内部に導入するための開口部を塞ぐ。蓋31は、ケーシング41に固定される。この蓋31は、蓋31をケーシング41に固定するためのネジなどの固定部材39(図6参照)が通過する貫通孔31aが形成された鍔部31bを有する。
【0043】
(水検知センサ用基板32)
水検知センサ用基板32は、送信機33及び受信機34が通信可能に接続される基板であって、送信機33から出力される信号(電磁波)の発信タイミング(送るタイミング)や発信強度(電磁波の強度)などを制御したり、受信機34が受信した信号から燃料に含まれる含水量(含水率)又は含水の有無を算出したりする。水検知センサ用基板32は、矩形の基板であって、辺32aは、樹脂ホルダ35の溝部35aに係合する。また、水検知センサ用基板32の対向する辺32b及び32cは、金属製ホルダ36の内周面に形成された溝部36aに係合する。水検知センサ用基板32は、辺32aが樹脂ホルダ35の溝部35aに係合し、且つ対向する辺32b及び32cが金属製ホルダ36の溝部36aに係合した状態で、金属製ホルダ36の内部にスライド挿入される。
【0044】
(送信機33,受信機34)
送信機33は、テラヘルツ波(電磁波)の信号(又はテラヘルツ波)を樹脂ホルダ35の流路35bを通過する燃料に送信し、受信機34は、当該燃料を通過した電磁波を受信する。テラヘルツ波は、樹脂を通過しやすく且つ水に吸収されやすい特性がある。送信機33から送信されたテラヘルツ波は、樹脂ホルダ35を通過した後、流路35bを通過する燃料中の水分によって減衰され、受信機34によって受信される。水検知センサ用基板32は、受信機34が受信した電磁波の減衰率から燃料中の含水量や水の有無を算出する。送信機33及び受信機34は、樹脂ホルダ35に固定される。
【0045】
(樹脂ホルダ35)
樹脂ホルダ35は、樹脂製であって、送信機33の信号発信面と受信機34の信号受信面とが対向するように送信機33及び受信機34を固定する。送信機33及び受信機34が固定された樹脂ホルダ35は、金属製ホルダ36の内部に格納される。
【0046】
ここで、図5を参照して、樹脂ホルダ35の詳細を説明する。図5に示すように、樹脂ホルダ35は、水検知センサ用基板32の辺32aが係合する溝部35aと、燃料が通過する流路35bと、送信機33が収容されるセンサ収容室35cと、受信機34が収容されるセンサ収容室35dと、受信機34と水検知センサ用基板32とを通信可能に接続する配線を通過させる配線通過孔35eと、Oリング37(図4(b)参照)が装着されるリング溝35fと、流路35bとセンサ収容室35c及び35dとを区画する仕切壁35gと、を有する。樹脂ホルダ35は、上記した溝部35a、流路35b、センサ収容室35c、センサ収容室35d、配線通過孔35e、リング溝35f、及び仕切壁35gがユニット化又は一体成形された部材である。
【0047】
溝部35aの幅は、水検知センサ用基板32の厚みと略同一である。溝部35aに水検知センサ用基板32の辺32aが係合することによって、水検知センサ用基板32に対して樹脂ホルダ35が回転するのを防止することができる。樹脂ホルダ35を金属製ホルダ36の内部に格納する際、溝部35aに係合した水検知センサ用基板32を押し込むことによって、金属製ホルダ36の内部の奥側の所定位置に樹脂ホルダ35を設置することが可能となる。このとき、水検知センサ用基板32は、金属製ホルダ36の内周面に形成された溝部36aに沿ってスライド移動し、樹脂ホルダ35を金属製ホルダ36の奥側に押し込む。
【0048】
流路35bは、直交する十字流路である。なお、流路35bは、直交してなくてもよく、交差していればよい。また、流路35bは、入口及び出口がそれぞれ一つの単一流路であってもよいし、入口又は出口が複数の複数流路であってもよい。この流路35bが交差する位置を挟んで、送信機33及び受信機34が対向して配置される。送信機33及び受信機34が流路35bを通過する燃料と接触しないように、流路35bと送信機33及び受信機34との間には、仕切壁35gが設けられている。
【0049】
センサ収容室35cは、送信機33を収容し、送信機33の位置を固定する。また、センサ収容室35dは、受信機34を収容し、受信機34の位置を固定する。なお、センサ収容室35cに受信機34を収容し、センサ収容室35dに送信機33を収容してもよい。
【0050】
配線通過孔35eは、流路35bと交差しないように流路35bが形成されていない位置に設けられている。この配線通過孔35eは、受信機34と水検知センサ用基板32とを接続する配線を通過させる。なお、本実施の形態では、送信機33を水検知センサ用基板32側に配置しているが、送信機33を水検知センサ用基板32の反対側に配置してもよい。その場合、配線通過孔35eは、送信機33と水検知センサ用基板32とを通信可能に接続する配線が通過させる。
【0051】
リング溝35fの各々には、Oリング37(図4(b)、図6(b)参照)が装着される。このOリング37によって、金属製ホルダ36の内周面と樹脂ホルダ35の外周面との間がシールされ、水検知センサ用基板32、送信機33、受信機34などの電子部品が浸漬又は浸水するのを防止する。
【0052】
仕切壁35gは、送信機33及び受信機34が燃料に接液しないように設けられる。本実施の形態の送信機33及び受信機34は、テラヘルツ波(電磁波)を利用するものであるので、仕切壁35gの透光性は不要であるが、送信機33及び受信機34が光を利用するものである場合には、仕切壁35gは透光性を有する必要がある。
【0053】
図5(b)に示すように、樹脂ホルダ35の外径は、先端に向かって小さくなっている。樹脂ホルダ35の蓋31側の外径r1は、奥側の外径r2より大きい。樹脂ホルダ35の外径が先端に向かって小さくなっていることにより、樹脂ホルダ35を金属製ホルダ36の内部に挿入しやすくなっている。
【0054】
(金属製ホルダ36)
図3に戻り、金属製ホルダ36は、金属製(導電性材料)の部材であって、略円筒形状である。金属製ホルダ36は、内部に水検知センサアセンブリを格納する。金属製ホルダ36の内周面には、水検知センサ用基板32の対向する辺32b及び32cが係合する溝部36aが形成されている。金属製ホルダ36は、ネジなどの固定部材39(図6参照)が通過する貫通孔36bが形成された鍔部36cを有する。固定部材39は、蓋31の貫通孔31a及び金属製ホルダ36の貫通孔36bを通過し、ケーシング41のネジ穴48b(図3(b)参照)に締め付けられる。
【0055】
また、金属製ホルダ36には、樹脂ホルダ35の流路35bに対応する開口部36dが形成されている。樹脂ホルダ35の流路35bは十字流路であり、燃料の入口及び出口が合計で4か所に形成されているため、開口部36dも4か所に形成されている。図6(b)に示すように、金属製ホルダ36の開口部36dの開口面積は、樹脂ホルダ35の流路35bの入口及び出口の開口面積より大きい。これにより、金属製ホルダ36の開口部36dの中心と、樹脂ホルダ35の流路35bの入口及び出口の中心との多少の位置ずれが発生したとしても、樹脂ホルダ35の流路35bの入口及び出口が金属製ホルダ36によって塞がれるのを防止することができる。
【0056】
図4(b)に示すように、金属製ホルダ36の内周面の内径は、先端に向かって小さくなっている。金属製ホルダ36の内周面の蓋31側の内径R1は、奥側の内径R2より大きい。そして、金属製ホルダ36の内周面の蓋31側の内径R1と樹脂ホルダ35の蓋31側の外径r1とは略同じであり、且つ金属製ホルダ36の内周面の奥側の内径R2と樹脂ホルダ35の奥側の外径r2とは略同じである。このように、樹脂ホルダ35の外径R1及びR2と、金属製ホルダ36の内径r1及びr2とを略同じに設計し、且つ金属製ホルダ36の外周面にOリング37を装着することによって、金属製ホルダ36の内部に格納される水検知センサ用基板32、送信機33、及び受信機34などの電子部品が浸漬又は浸水するのを防止することができる。
【0057】
また、図4(b)に示すように、金属製ホルダ36の蓋31側には、Oリング38を収容するためのOリング収容部36eが形成されている。Oリング38は、金属製ホルダ36とケーシング41との間に配置され、金属製ホルダ36とケーシング41との間から浸漬又は浸水するのを防止する。
【0058】
(本実施形態の効果)
送信機33が収容されるセンサ収容室35c、受信機34が収容されるセンサ収容室35d、及びセンサ収容室35cとセンサ収容室35dとの間に形成された流路35bがユニット化された樹脂ホルダ35を利用することによって、送信機33と受信機34との間の距離を正確に調整した状態で、流路35bを挟んで送信機33及び受信機34を取り付けることができる。これにより、燃料中の水を正確に検知するために必要な送信機33と受信機34との間の距離の調整を容易に行うことができる。その結果、燃料中の水を正確に検知することが可能となる。
【0059】
金属製ホルダ36に、樹脂ホルダ35に流路35bに対応する開口部36dを形成することによって、浸漬や浸水、電磁気シールドのために樹脂ホルダ35や水検知センサ用基板32を金属製ホルダ36で覆ったとしても、金属製ホルダ36の開口部36dを介して樹脂ホルダ35の流路35bに燃料を流入させたり、流路35bから燃料を流出させたりすることができる。
【0060】
金属製ホルダ36が導電性材料から形成されることによって、電磁気シールド効果により、金属製ホルダ36の内部に格納される送信機33、受信機34、及び水検知センサ用基板32等の電子機器に対する電波、電磁波、静電場による影響を低減することができる。
【0061】
樹脂ホルダ35に水検知センサ用基板32の辺32aが係合する溝部35aを形成し、金属製ホルダ36に水検知センサ用基板32の対向する辺32b及び32cが係合する溝部36aを形成することによって、水検知センサ用基板32で樹脂ホルダ35を押し込みながら、金属製ホルダ36の内部に樹脂ホルダ35をスライド挿入することができる。これにより、樹脂ホルダ35を金属製ホルダ36の内部の奥側の所定位置まで容易に移動させることができる。また、このとき、金属製ホルダ36の溝部36aに水検知センサ用基板32が係合することによって金属製ホルダ36に対する水検知センサ用基板32の回転が規制され、且つ樹脂ホルダ35の溝部35aに水検知センサ用基板32が係合することによって水検知センサ用基板32に対する樹脂ホルダ35の回転が規制される。これにより、水検知センサ用基板32を使って樹脂ホルダ35を金属製ホルダ36の内部にスライド挿入するだけで、樹脂ホルダ35の流路35bと金属製ホルダ36の開口部36dとの位置合わせが可能となる。
【0062】
樹脂ホルダ35に燃料が通過する複数の流路35bを形成し、複数の流路35bが交差する交差部を挟むようにセンサ収容室35c及びセンサ収容室35dを設けることによって、複数の流路35b内を流通する燃料内の水を検出することができるので、水の検出精度が向上する。
【0063】
樹脂ホルダ35にセンサ収容室35cと流路35bとを区画する仕切壁35g、及びセンサ収容室35cと流路35bとを区画する仕切壁35gを設けることによって、送信機33及び受信機34が接液しないため、送信機33及び受信機34の接液による劣化を防止することができる。
【0064】
水検知センサユニット30がポンプユニット40のケーシング41に着脱可能に構成されることによって、水検知センサユニット30のメンテナンス性が向上する。
【0065】
また、樹脂ホルダ35は奥側に向かって細くなっているので、樹脂ホルダ35を金属製ホルダ36の内部の奥側へ移動させる際の抵抗が少なくなり、作業性が向上する。
【0066】
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上記実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0067】
上記した実施の形態では、送信機33及び受信機34がテラヘルツ波(電磁波)を利用するものであったが、燃料中の含水率や水の有無を検知できるものであれば、テラヘルツ波(電磁波)を利用するものに限らない。例えば、送信機33及び受信機34が光を利用するものであってもよいし、音を利用するものであってもよい。
【0068】
また、上記した実施の形態では、水検知センサユニット30を空気分離室47とフィルタ室49との間のセンサユニット収容室48に設置したが、水検知センサユニット30の設置位置はセンサユニット収容室48に限らない。例えば、水検知センサユニット30は、ポンプユニット40内の燃料供給経路上のストレーナ取付室44、逆止弁取付室45、フィルタ室49に設置してもよいし、ポンプユニット40外の燃料供給経路上に設置してもよい。
【0069】
上記した実施の形態では、樹脂ホルダ35の挿入方向に長い金属製ホルダ36の内部に樹脂ホルダ35を配置するため、樹脂ホルダ35の取り付け作業が手間であった。そこで、図7に示すように、変形例の金属製ホルダ136は、2つの部材136aと136bとに分割して構成される。部材136aの外周面にはネジ山136cが形成され、部材136bの内周面にはネジ溝136dが形成される。なお、部材136aの外周面にネジ溝を形成し、部材136bの内周面にネジ山を形成してもよいし、部材136aの内周面にネジ山又はネジ溝を形成し、部材136bの外周面にネジ溝又はネジ山を形成してもよい。まず、先端側の部材136bの内部に送信機33や受信機34が取り付けられた樹脂ホルダ35を収容する。部材136bの樹脂ホルダ35の挿入方向の長さは、金属製ホルダ36より短いので、樹脂ホルダ35の取り付け作業が容易である。そして、ネジ山136cをネジ溝136dに回転させ締め付けることにより、部材136aと部材136bとが締結される。また、2つの部材136aと136bとの間には、Oリング137が設けられ、ケース内部に水が侵入しないよう構成されている。
【実施例0070】
(水検知センサユニット230)
次に、図8図11を参照して、実施例2の水検知センサユニット230の詳細を説明する。実施例1と同様の説明は適宜省略する。図8に示すように、実施例2の水検知センサユニット230は、蓋231、水検知センサ用基板232、送信機233、受信機234、樹脂ホルダ235、金属製ホルダ236、水検知センサ用基板固定板237(以下、固定板237と略する)、および蓋238を有する。筒状の金属製ホルダ236の内部に、水検知センサ用基板232、送信機233、受信機234、樹脂ホルダ235、固定板237(以下、水検知センサ用基板232、送信機233、受信機234、樹脂ホルダ235、及び固定板237を、「水検知センサアセンブリ」と呼ぶ)が収容される。また、以下、送信機233及び受信機234を、「センサ」と呼ぶ。金属製ホルダ236は、両側が開口している。水検知センサ用基板232及び固定板237は、蓋231側の挿入口236aから金属製ホルダ236の内部に挿入される。また、送信機233、受信機234、及び樹脂ホルダ235は、ケーシング41側の挿入口236bから金属製ホルダ236の内部に挿入される。そして、蓋231を金属製ホルダ236の挿入口236aを塞ぐように配置し、且つ、蓋238を金属製ホルダ236の挿入口236bを塞ぐように取り付ける。このように一体構成された水検知センサアセンブリ、蓋231及び蓋238は、ケーシング41に固定される(図8(a)参照)。
【0071】
(蓋231)
図8に示すように、蓋231は、水検知センサ用基板232及び固定板237を金属製ホルダ236の内部に導入するための挿入口236aを塞ぐ。蓋231は、金属製ホルダ236及びケーシング41に固定される。蓋231は、蓋231を金属製ホルダ236に固定するためのネジなどの固定部材240が通過する貫通孔231a、及び蓋231及び金属製ホルダ236をケーシング41に固定するためのネジなどの固定部材241が通過する貫通孔231bが形成された鍔部231cを有する。
【0072】
(水検知センサ用基板232)
水検知センサ用基板232は、送信機233及び受信機234が通信可能に接続される基板であって、送信機233から出力される信号の発信タイミングや発信強度などを制御したり、受信機234が受信した信号から燃料に含まれる含水量(含水率)又は含水の有無を算出したりする。水検知センサ用基板232は、矩形の基板であるが、その形状は、矩形に限らない。また、水検知センサ用基板232は、複数の基板が積層された積層基板であってもよいし、単層基板であってもよい。
【0073】
水検知センサ用基板232は、固定板237に固定される。そして、固定板237に固定された水検知センサ用基板232は、金属製ホルダ236に固定される。図8(b)に示すように、水検知センサ用基板232には、水検知センサ用基板232を固定板237に固定するためのネジなどの固定部材242(図9参照)が通過する複数の貫通孔232aが形成されている。
【0074】
(固定板237)
固定板237は、水検知センサ用基板232を金属製ホルダ236の内部に固定するための部材である。固定板237は、水検知センサ用基板232を金属製ホルダ236の載置台236fに締結させる締結部材の一例である。図8(b)に示すように、固定板237には、上記した貫通孔232aに対応する位置にネジ穴237aが形成されている。水検知センサ用基板232の貫通孔232aを通過した固定部材242(図9参照)をネジ穴237aに締め付けることによって、水検知センサ用基板232を固定板237に固定することができる。また、固定板237には、水検知センサ用基板232の挿入方向(図中のX方向)に開口した2つの貫通孔237bが形成されている。この貫通孔237bには、金属製ホルダ236に固定板237を固定するためのネジなどの固定部材243(図9参照)が通過する。
【0075】
(送信機233,受信機234)
送信機233は、テラヘルツ波(電磁波)の信号を樹脂ホルダ235の流路235bを通過する燃料に送信し、受信機234は、当該燃料を通過した電磁波を受信する。テラヘルツ波は、樹脂を通過しやすく且つ水に吸収されやすい特性がある。送信機233から送信されたテラヘルツ波は、樹脂ホルダ235を通過した後、流路235bを通過する燃料中の水分によって減衰され、受信機234によって受信される。水検知センサ用基板232は、受信機234が受信した電磁波の減衰率から燃料中の含水量や水の有無を算出する。送信機233及び受信機234は、樹脂ホルダ235に接着剤にて固定される。
【0076】
(樹脂ホルダ235)
図8(b)及び図9に示すように、樹脂ホルダ235は、金属製ホルダ236と係合する上下の突起部235aと、燃料が通過する流路235bと、送信機233が収容されるセンサ収容室235cと、受信機234が収容されるセンサ収容室235dと、受信機234と水検知センサ用基板232とを通信可能に接続する配線を通過させる配線通過孔235eと、Oリング251(図9参照)が装着されるリング溝235fと、流路235bとセンサ収容室(センサ収容部)235c及び235dとを区画する仕切壁235gと、を有する。また、樹脂ホルダ235の樹脂ホルダ235は、上記した突起部235a、流路235b、センサ収容室235c、センサ収容室235d、配線通過孔235e、リング溝235f、及び仕切壁235gがユニット化又は一体成形された部材である。
【0077】
図10に示すように、突起部235aが金属製ホルダ236の内部の載置台236f及び規制部236hと係合することによって、金属製ホルダ236や水検知センサ用基板232に対して樹脂ホルダ235が回転するのを防止することができる。樹脂ホルダ235を金属製ホルダ236の内部に格納する際、金属製ホルダ236のネジ部236k(図9図11参照)に蓋238をねじ込み、樹脂ホルダ235を押し込むことによって、金属製ホルダ236の内部の奥側の所定位置に樹脂ホルダ235を設置することが可能となる。
【0078】
(金属製ホルダ236)
図8図10及び図11に示すように、金属製ホルダ236は、金属製(導電性材料)の部材であって、略円筒形状である。金属製ホルダ236は、内部に水検知センサアセンブリを格納する。金属製ホルダ236は、蓋231を金属製ホルダ236に固定するためのネジなどの固定部材240が締め付けられるネジ穴236c、及び蓋231及び金属製ホルダ236をケーシング41に固定するためのネジなどの固定部材241が通過する貫通孔236dが形成された鍔部236eを有する。蓋231の貫通孔231aを通過した固定部材240を当該ネジ穴236cに締め付けることによって、蓋231が金属製ホルダ236に固定される。また、蓋231の貫通孔231b及び金属製ホルダ236の貫通孔236dを通過した固定部材241を、ケーシング41のネジ穴48b(図8(b)参照)に締め付けることによって、蓋231及び金属製ホルダ236がケーシング41に固定される。
【0079】
また、実施例2の金属製ホルダ236には、固定板237に固定された水検知センサ用基板232を載置するための載置台236fが設けられる。載置台236fには、水検知センサ用基板232の挿入方向(図中のX方向)に開口した2つのネジ穴236gが形成されており、固定板237の貫通孔237bを通過したネジなどの固定部材243は、当該ネジ穴236gに締め付けられる。図10に示すように、載置台236fは、図中のY方向に所定の間隔を隔てて設けられている。また、金属製ホルダ236には、上記した載置台236fと対応するように、規制部236hが図中のY方向に所定の間隔を隔てて設けられている。2つの規制部236hの間の空間、及び2つの載置台236fの間の空間のそれぞれには、樹脂ホルダ235の上下の突起部235aが配置される。これにより、樹脂ホルダ235が金属製ホルダ236の内部で周方向に沿って回転するのを防止することができる。樹脂ホルダ235が上記構造によって位置決めされる位置は、樹脂ホルダ235の流路235bと金属製ホルダ236の開口部236jとが互いに開放する位置である。
【0080】
また、図11に示すように、金属製ホルダ236の内周面には、面取り236iが形成されている。これによって、樹脂ホルダ235を金属製ホルダ236に挿入する際に、樹脂ホルダ235の流路235bに対応する開口部236jのエッジ部で樹脂ホルダ235のOリング251が傷付くのを防止することができる。
【0081】
また、金属製ホルダ236の内周面には、ネジ部236kが形成されている。蓋238の外周面にもネジ部が形成されており、蓋238を金属製ホルダ236にねじ込むことによって、樹脂ホルダ235を押し込むことができると共に、蓋238を金属製ホルダ236に固定することができる。
【0082】
なお、図9に示すように、蓋231と金属製ホルダ236との間に、Oリング252を配置してもよいし、金属製ホルダ236とケーシング41との間に、Oリング253を配置してもよい。また、金属製ホルダ236の内周面と蓋238の外周面との間に、Oリング254を配置してもよい。
【0083】
水検知センサ用基板232を固定板237にネジ止めし、さらに固定板237を金属製ホルダ236の内部の載置台236fに固定することで、水検知センサ用基板232の位置決めが容易に行える。また、ネジ(固定部材243)で固定することでポンプ駆動時の振動に対する対策を兼ねるため、水検知センサ用基板232に対して樹脂モールド等の振動対策を施す必要がなくなり、モールド剤と各部材の線膨張係数差によるクラックなどのリスクを回避することができる。
【0084】
水検知センサ用基板32や232を保持する構造である、実施例1の金属製ホルダ36の溝部36a及び実施例2の金属製ホルダ236の載置台236fは、本発明の保持部の一例である。
【0085】
なお、本実施例では、ガソリン、軽油等の液体燃料中の水分を検出するもので説明したが、液体燃料の種類はこれに限らず、疎水性を有する液体燃料であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
1:給油装置、 2:給油装置本体、 11:ポンプ、 12:ポンプモータ、 13:流量計、 14:流量発信器、 15:内部配管、 16:給油ホース、 17:給油ノズル、 18:ノズル収納部、 19:ノズルスイッチ、 20:表示器、 21:地下配管、 22:地下タンク、 23:制御装置、 30:水検知センサユニット、 31:蓋、 31a:貫通孔、 31b:鍔部、 32:水検知センサ用基板、 32a~32c:辺、 33:送信機(送信器)、 34:受信機(受信器)、 35:樹脂ホルダ(第1のホルダ)、 35a:溝部(保持部)、 35b:流路、 35c,35d:センサ収容室(センサ収容部)、 35e:配線通過孔、 35f:リング溝、 35g:仕切壁、 36,136:金属製ホルダ(第2のホルダ)、 36a:溝部(保持部)、 36b:貫通孔、 36c:鍔部、 36d:開口部、 36e:Oリング収容部、 37,38:Oリング、 39:固定部材、 40:ポンプユニット、 41:ケーシング、 136a,136b:部材、 230:水検知センサユニット、 231:蓋、 232:水検知センサ用基板、 233:送信機(送信器)、 234:受信機(受信器)、 235:樹脂ホルダ、 235g:仕切壁、 236:金属製ホルダ、 236a:挿入口、 236f:載置台(保持部)、 236g:ネジ穴、 236j:開口部、 237:水検知センサ用基板固定板(締結部材)、 237b:貫通孔、 238:蓋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11