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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046592
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20240327BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H01L21/306 J
H01L21/304 642A
H01L21/304 642F
H01L21/304 648G
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103476
(22)【出願日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2022150779
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 光敏
(72)【発明者】
【氏名】伊豆田 崇
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【テーマコード(参考)】
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
5F043BB02
5F043EE06
5F043EE30
5F157AB03
5F157AB13
5F157AB34
5F157AC01
5F157AC55
5F157BB04
5F157BB08
5F157BB09
5F157BB79
5F157CE07
5F157CE10
5F157CE82
5F157CE84
5F157DB37
(57)【要約】
【課題】基板の表面及びその近傍において、気泡が不足している領域を低減できる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、処理槽110と基板保持部120と気泡供給部135と複数の処理液供給部Anとを備える。基板保持部120は、処理槽110に貯留された処理液LQに基板Wを浸漬する。気泡供給部135は、基板Wの下方から処理液LQに対して、複数の気泡BBを供給する。処理槽110は、第1側壁116及び第2側壁117を含む。複数の処理液供給部Anは、少なくとも1つの第1処理液供給部Anと、少なくとも1つの第2処理液供給部Anとを含む。少なくとも1つの第1処理液供給部Anは、第1側壁116の側に配置され、気泡BBに向けて処理液LQを供給する。少なくとも1つの第2処理液供給部Anは、第2側壁117の側に配置され、気泡BBに向けて処理液LQを供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を貯留する処理槽と、
基板を保持し、前記処理槽に貯留された前記処理液に前記基板を浸漬する基板保持部と、
前記処理槽に配置され、前記基板の下方から前記処理液に対して、複数の気泡を供給する気泡供給部と、
前記処理槽に配置され、前記処理液を前記処理槽の内部に供給する複数の処理液供給部と
を備え、
前記処理槽は、互いに対向する第1側壁及び第2側壁を含み、
前記複数の処理液供給部は、
前記第1側壁の側に配置され、前記気泡に向けて前記処理液を供給する少なくとも1つの第1処理液供給部と、
前記第2側壁の側に配置され、前記気泡に向けて前記処理液を供給する少なくとも1つの第2処理液供給部と
を含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記複数の処理液供給部のうちの2以上の処理液供給部の各々は、互いに異なる複数のグループのうちの少なくとも1つのグループに属し、
前記複数のグループの各々には、少なくとも1つの前記処理液供給部が属し、
前記グループに属する前記処理液供給部は、前記グループごとに異なる期間に前記処理液を前記気泡に向けて供給する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記複数のグループは、第1グループ、第2グループ、及び、第3グループを含み、
前記第1グループは、前記複数の第1処理液供給部のうちの少なくとも1つ第1処理液供給部を含み、前記第2処理液供給部を含まず、
前記第2グループは、前記複数の第2処理液供給部のうちの少なくとも1つ第2処理液供給部を含み、前記第1処理液供給部を含まず、
前記第3グループは、前記複数の第1処理液供給部のうちの少なくとも1つ第1処理液供給部と、前記複数の第2処理液供給部のうちの少なくとも1つ第2処理液供給部とを含む、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
学習データを学習することで構築された学習済みモデルを記憶する記憶部と、
前記記憶部を制御する制御部と
を更に備え、
前記学習データは、処理量情報と、処理条件情報とを含み、
前記処理量情報は、学習用処理液による学習用基板の処理量を示す情報を含み、
前記処理条件情報は、少なくとも、各学習用グループに属する1以上の学習用処理液供給部を示す情報と、前記各学習用グループが前記学習用処理液を供給するタイミングを示す情報とを含み、
前記制御部は、入力情報を前記学習済みモデルに入力して、出力情報を前記学習済みモデルから取得し、
前記入力情報は、前記処理液による前記基板の処理量の目標値を示す情報を含み、
前記出力情報は、少なくとも、前記各グループに属する1以上の前記処理液供給部を示す情報と、前記各グループが前記処理液を供給すべきタイミングを示す情報とを含み、
前記制御部は、前記出力情報に基づいて前記複数の処理液供給部を制御する、請求項2又は請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記処理液供給部ごとに前記処理液の供給流量を調整する処理液流量調整部を更に備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記気泡供給部は、各々が気体の供給を受けて前記処理液に前記気泡を供給する複数の気泡供給管を含み、
前記気泡供給管ごとに前記気体の供給流量を調整する気泡調整部を更に備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理液は、リンス液であり、
前記基板保持部は、前記処理槽とは別の薬液槽に貯留された薬液による処理後の前記基板を、前記処理槽に貯留された前記リンス液に浸漬する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
リンス液を貯留するリンス槽と、
前記リンス槽とは別の薬液槽に貯留された薬液による処理後の基板を保持し、前記リンス槽に貯留された前記リンス液に前記基板を浸漬する基板保持部と、
前記リンス槽に配置され、前記基板の下方から前記リンス液に対して、流体を供給する流体供給部と、
前記リンス槽に配置され、前記リンス液を前記リンス槽の内部に供給する複数のリンス液供給部と
を備え、
前記リンス槽は、互いに対向する第1側壁及び第2側壁を含み、
前記複数のリンス液供給部は、
前記第1側壁の側に配置され、前記リンス槽の内部に前記リンス液を供給する少なくとも1つの第1リンス液供給部と、
前記第2側壁の側に配置され、前記リンス槽の内部に前記リンス液を供給する少なくとも1つの第2リンス液供給部と
を含む、基板処理装置。
【請求項9】
処理槽と複数の処理液供給部とを備える基板処理装置によって実行される基板処理方法であって、
前記処理槽に貯留された処理液に基板を浸漬する浸漬工程と、
前記基板の下方から前記処理液に対して、複数の気泡を供給する気泡供給工程と、
1以上の前記処理液供給部から、前記気泡に向けて前記処理液を供給することで、前記気泡の挙動を制御する気泡制御工程と
を含み、
前記処理槽は、互いに対向する第1側壁及び第2側壁を含み、
前記複数の処理液供給部は、
前記第1側壁の側に配置され、前記気泡に向けて前記処理液を供給する少なくとも1つの第1処理液供給部と、
前記第2側壁の側に配置され、前記気泡に向けて前記処理液を供給する少なくとも1つの第2処理液供給部と
を含む、基板処理方法。
【請求項10】
前記複数の処理液供給部のうちの2以上の処理液供給部の各々は、互いに異なる複数のグループのうちの少なくとも1つのグループに属し、
前記複数のグループの各々には、少なくとも1つの前記処理液供給部が属し、
前記気泡制御工程では、前記グループに属する前記処理液供給部は、前記グループごとに異なる期間に前記処理液を前記気泡に向けて供給する、請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記複数のグループは、第1グループ、第2グループ、及び、第3グループを含み、
前記第1グループは、前記複数の第1処理液供給部のうちの少なくとも1つ第1処理液供給部を含み、前記第2処理液供給部を含まず、
前記第2グループは、前記複数の第2処理液供給部のうちの少なくとも1つ第2処理液供給部を含み、前記第1処理液供給部を含まず、
前記第3グループは、前記複数の第1処理液供給部のうちの少なくとも1つ第1処理液供給部と、前記複数の第2処理液供給部のうちの少なくとも1つ第2処理液供給部とを含む、請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
学習データを学習することで構築された学習済みモデルに入力情報を入力し、前記学習済みモデルから出力情報を取得する学習済みモデル利用工程を更に含み、
前記学習データは、処理量情報と、処理条件情報とを含み、
前記処理量情報は、学習用処理液による学習用基板の処理量を示す情報を含み、
前記処理条件情報は、少なくとも、各学習用グループに属する1以上の学習用処理液供給部を示す情報と、前記各学習用グループが前記学習用処理液を供給するタイミングを示す情報とを含み、
前記入力情報は、前記処理液による前記基板の処理量の目標値を示す情報を含み、
前記出力情報は、少なくとも、前記各グループに属する1以上の前記処理液供給部を示す情報と、前記各グループが前記処理液を供給すべきタイミングを示す情報とを含み、
前記気泡制御工程では、前記出力情報に基づいて前記複数の処理液供給部を制御する、請求項10又は請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記気泡制御工程では、前記処理液供給部ごとに前記処理液の供給流量が調整される、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記基板処理装置は、各々が気体の供給を受けて前記処理液に前記気泡を供給する複数の気泡供給管を更に備え、
前記気泡供給工程では、前記気泡供給管ごとに前記気体の供給流量が調整される、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記処理液は、リンス液であり、
前記浸漬工程では、前記処理槽とは別の薬液槽に貯留された薬液による処理後の前記基板を、前記処理槽に貯留された前記リンス液に浸漬する、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項16】
リンス槽と複数のリンス液供給部とを備える基板処理装置によって実行される基板処理方法であって、
前記リンス槽とは別の薬液槽に貯留された薬液による処理後の基板を、前記リンス槽に貯留されたリンス液に浸漬する浸漬工程と、
前記基板の下方から前記リンス液に対して、流体を供給する流体供給工程と、
1以上の前記リンス液供給部から、前記リンス槽の内部に前記リンス液を供給するリンス液供給工程と
を含み、
前記リンス槽は、互いに対向する第1側壁及び第2側壁を含み、
前記複数のリンス液供給部は、
前記第1側壁の側に配置され、前記リンス槽の内部に前記リンス液を供給する少なくとも1つの第1リンス液供給部と、
前記第2側壁の側に配置され、前記リンス槽の内部に前記リンス液を供給する少なくとも1つの第2リンス液供給部と
を含む、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている基板処理装置は、基板保持部と、処理槽と、複数の気泡発生管とを備える。基板保持部は、列方向に沿って一列に並んだ基板列に配列された複数の基板を保持する。処理槽は、基板保持部に保持された基板を浸漬するための処理液を貯留する。複数の気泡供給管は、処理液に気体を供給することによって処理液中に気泡を発生させる。複数の気泡発生管のうち処理液に浸漬された基板列の端部の下方に位置する端部気泡発生管に供給される気体の流量は、基板列の中央の下方に位置する中央気泡発生管に供給される気体の流量よりも多い。このため、中央気泡発生管及び端部気泡発生管から発生する気泡の量をほぼ等しくでき、基板ごとの処理ムラを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-73307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている基板処理装置では、気泡の量を制御しているに過ぎない。従って、処理条件によっては、処理液中において、気泡の分布に偏りが生じる可能性がある。その結果、処理液に浸漬された基板の表面及びその近傍において、気泡が不足している領域が存在する可能性がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板の表面及びその近傍において、気泡が不足している領域を低減できる基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、処理槽と、基板保持部と、気泡供給部と、複数の処理液供給部とを備える。処理槽は、処理液を貯留する。基板保持部は、基板を保持し、前記処理槽に貯留された前記処理液に前記基板を浸漬する。気泡供給部は、前記処理槽に配置され、前記基板の下方から前記処理液に対して、複数の気泡を供給する。複数の処理液供給部は、前記処理槽に配置され、前記処理液を前記処理槽の内部に供給する。前記処理槽は、互いに対向する第1側壁及び第2側壁を含む。前記複数の処理液供給部は、少なくとも1つの第1処理液供給部と、少なくとも1つの第2処理液供給部とを含む。少なくとも1つの第1処理液供給部は、前記第1側壁の側に配置され、前記気泡に向けて前記処理液を供給する。少なくとも1つの第2処理液供給部は、前記第2側壁の側に配置され、前記気泡に向けて前記処理液を供給する。
【0007】
本発明の一態様においては、前記複数の処理液供給部のうちの2以上の処理液供給部の各々は、互いに異なる複数のグループのうちの少なくとも1つのグループに属することが好ましい。前記複数のグループの各々には、少なくとも1つの前記処理液供給部が属することが好ましい。前記グループに属する前記処理液供給部は、前記グループごとに異なる期間に前記処理液を前記気泡に向けて供給することが好ましい。
【0008】
本発明の一態様においては、前記複数のグループは、第1グループ、第2グループ、及び、第3グループを含むことが好ましい。前記第1グループは、前記複数の第1処理液供給部のうちの少なくとも1つ第1処理液供給部を含み、前記第2処理液供給部を含まないことが好ましい。前記第2グループは、前記複数の第2処理液供給部のうちの少なくとも1つ第2処理液供給部を含み、前記第1処理液供給部を含まないことが好ましい。前記第3グループは、前記複数の第1処理液供給部のうちの少なくとも1つ第1処理液供給部と、前記複数の第2処理液供給部のうちの少なくとも1つ第2処理液供給部とを含むことが好ましい。
【0009】
本発明の一態様においては、基板処理装置は、記憶部と、制御部とを更に備えることが好ましい。記憶部は、学習データを学習することで構築された学習済みモデルを記憶することが好ましい。制御部は、前記記憶部を制御することが好ましい。前記学習データは、処理量情報と、処理条件情報とを含むことが好ましい。前記処理量情報は、学習用処理液による学習用基板の処理量を示す情報を含むことが好ましい。前記処理条件情報は、少なくとも、各学習用グループに属する1以上の学習用処理液供給部を示す情報と、前記各学習用グループが前記学習用処理液を供給するタイミングを示す情報とを含むことが好ましい。前記制御部は、入力情報を前記学習済みモデルに入力して、出力情報を前記学習済みモデルから取得することが好ましい。前記入力情報は、前記処理液による前記基板の処理量の目標値を示す情報を含むことが好ましい。前記出力情報は、少なくとも、前記各グループに属する1以上の前記処理液供給部を示す情報と、前記各グループが前記処理液を供給すべきタイミングを示す情報とを含むことが好ましい。前記制御部は、前記出力情報に基づいて前記複数の処理液供給部を制御することが好ましい。
【0010】
本発明の一態様においては、基板処理装置は、処理液流量調整部を更に備えることが好ましい。処理液流量調整部は、前記処理液供給部ごとに前記処理液の供給流量を調整することが好ましい。
【0011】
本発明の一態様においては、前記気泡供給部は、複数の気泡供給管を含むことが好ましい。複数の気泡供給管の各々は、気体の供給を受けて前記処理液に前記気泡を供給することが好ましい。基板処理装置は、気泡調整部を更に備えることが好ましい。気泡調整部は、前記気泡供給管ごとに前記気体の供給流量を調整することが好ましい。
【0012】
本発明の一態様においては、前記処理液は、リンス液であることが好ましい。前記基板保持部は、前記処理槽とは別の薬液槽に貯留された薬液による処理後の前記基板を、前記処理槽に貯留された前記リンス液に浸漬することが好ましい。
【0013】
本発明の他の局面によれば、基板処理装置は、リンス槽と、基板保持部と、流体供給部と、複数のリンス液供給部とを備える。リンス槽は、リンス液を貯留する。基板保持部は、前記リンス槽とは別の薬液槽に貯留された薬液による処理後の基板を保持し、前記リンス槽に貯留された前記リンス液に前記基板を浸漬する。流体供給部は、前記リンス槽に配置され、前記基板の下方から前記リンス液に対して、流体を供給する。複数のリンス液供給部は、前記リンス槽に配置され、前記リンス液を前記リンス槽の内部に供給する。前記リンス槽は、互いに対向する第1側壁及び第2側壁を含む。前記複数のリンス液供給部は、少なくとも1つの第1リンス液供給部と、少なくとも1つの第2リンス液供給部とを含む。第1リンス液供給部は、前記第1側壁の側に配置され、前記リンス槽の内部に前記リンス液を供給する。第2リンス液供給部は、前記第2側壁の側に配置され、前記リンス槽の内部に前記リンス液を供給する。
【0014】
本発明の他の局面によれば、基板処理方法は、処理槽と複数の処理液供給部とを備える基板処理装置によって実行される。基板処理方法は、前記処理槽に貯留された処理液に基板を浸漬する浸漬工程と、前記基板の下方から前記処理液に対して、複数の気泡を供給する気泡供給工程と、1以上の前記処理液供給部から、前記気泡に向けて前記処理液を供給することで、前記気泡の挙動を制御する気泡制御工程とを含む。前記処理槽は、互いに対向する第1側壁及び第2側壁を含む。前記複数の処理液供給部は、少なくとも1つの第1処理液供給部と、少なくとも1つの第2処理液供給部とを含む。少なくとも1つの第1処理液供給部は、前記第1側壁の側に配置され、前記気泡に向けて前記処理液を供給する。少なくとも1つの第2処理液供給部は、前記第2側壁の側に配置され、前記気泡に向けて前記処理液を供給する。
【0015】
本発明の一態様においては、前記複数の処理液供給部のうちの2以上の処理液供給部の各々は、互いに異なる複数のグループのうちの少なくとも1つのグループに属することが好ましい。前記複数のグループの各々には、少なくとも1つの前記処理液供給部が属することが好ましい。前記気泡制御工程では、前記グループに属する前記処理液供給部は、前記グループごとに異なる期間に前記処理液を前記気泡に向けて供給することが好ましい。
【0016】
本発明の一態様においては、前記複数のグループは、第1グループ、第2グループ、及び、第3グループを含むことが好ましい。前記第1グループは、前記複数の第1処理液供給部のうちの少なくとも1つ第1処理液供給部を含み、前記第2処理液供給部を含まないことが好ましい。前記第2グループは、前記複数の第2処理液供給部のうちの少なくとも1つ第2処理液供給部を含み、前記第1処理液供給部を含まないことが好ましい。前記第3グループは、前記複数の第1処理液供給部のうちの少なくとも1つ第1処理液供給部と、前記複数の第2処理液供給部のうちの少なくとも1つ第2処理液供給部とを含むことが好ましい。
【0017】
本発明の一態様においては、基板処理方法は、学習データを学習することで構築された学習済みモデルに入力情報を入力し、前記学習済みモデルから出力情報を取得する学習済みモデル利用工程を更に含むことが好ましい。前記学習データは、処理量情報と、処理条件情報とを含むことが好ましい。前記処理量情報は、学習用処理液による学習用基板の処理量を示す情報を含むことが好ましい。前記処理条件情報は、少なくとも、各学習用グループに属する1以上の学習用処理液供給部を示す情報と、前記各学習用グループが前記学習用処理液を供給するタイミングを示す情報とを含むことが好ましい。前記入力情報は、前記処理液による前記基板の処理量の目標値を示す情報を含むことが好ましい。前記出力情報は、少なくとも、前記各グループに属する1以上の前記処理液供給部を示す情報と、前記各グループが前記処理液を供給すべきタイミングを示す情報とを含むことが好ましい。前記気泡制御工程では、前記出力情報に基づいて前記複数の処理液供給部を制御することが好ましい。
【0018】
本発明の一態様においては、前記気泡制御工程では、前記処理液供給部ごとに前記処理液の供給流量が調整されることが好ましい。
【0019】
本発明の一態様においては、前記基板処理装置は、各々が気体の供給を受けて前記処理液に前記気泡を供給する複数の気泡供給管を更に備えることが好ましい。前記気泡供給工程では、前記気泡供給管ごとに前記気体の供給流量が調整されることが好ましい。
【0020】
本発明の一態様においては、前記処理液は、リンス液であることが好ましい。前記浸漬工程では、前記処理槽とは別の薬液槽に貯留された薬液による処理後の前記基板を、前記処理槽に貯留された前記リンス液に浸漬することが好ましい。
【0021】
本発明の他の局面によれば、基板処理方法は、リンス槽と複数のリンス液供給部とを備える基板処理装置によって実行される。基板処理方法は、前記リンス槽とは別の薬液槽に貯留された薬液による処理後の基板を、前記リンス槽に貯留されたリンス液に浸漬する浸漬工程と、前記基板の下方から前記リンス液に対して、流体を供給する流体供給工程と、1以上の前記リンス液供給部から、前記リンス槽の内部に前記リンス液を供給するリンス液供給工程とを含む。前記リンス槽は、互いに対向する第1側壁及び第2側壁を含む。前記複数のリンス液供給部は、少なくとも1つの第1リンス液供給部と、少なくとも1つの第2リンス液供給部とを含む。第1リンス液供給部は、前記第1側壁の側に配置され、前記リンス槽の内部に前記リンス液を供給する。第2リンス液供給部は、前記第2側壁の側に配置され、前記リンス槽の内部に前記リンス液を供給する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、基板の表面及びその近傍において、気泡が不足している領域を低減できる基板処理装置及び基板処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態1に係る基板処理装置を示す模式的断面図である。
図2】実施形態1に係る処理液供給部及び気泡供給部を示す模式的平面図である。
図3】実施形態1に係る処理液中の溶存酸素濃度とエッチング量との関係を示すグラフである。
図4】実施形態1に係る気泡の供給時間と処理液中の溶存酸素濃度との関係を示すグラフである。
図5】実施形態1に係る処理液供給部のグループを定義するテーブルの一例を示す図である。
図6】実施形態1に係る処理液供給部の第1グループ~第3グループを使用して気泡の挙動を制御する際の制御シーケンスを示す図である。
図7】(a)は、比較例に係る気泡の分布のシミュレーション結果を示すマップ画像を示す図である。(b)は、本発明の実施例に係る気泡の分布のシミュレーション結果を示すマップ画像を示す図である。
図8】本実施例に係る各工程における気泡の分布のシミュレーション結果を示すマップ画像を示す図である。
図9】(a)は、本実施例に係るシミュレーションを詳細に説明するための基板を示す平面図である。(b)は、本実施例に係るシミュレーションを詳細に説明するための基板及び気泡供給管を示す側面図である。
図10】実施形態1に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図11】実施形態1の第1変形例に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図12】実施形態1の第2変形例に係る処理液供給部の第1グループ~第5グループを定義するテーブルを示す図である。
図13】実施形態1の第3変形例に係る基板処理装置を示す模式的断面図である。
図14】実施形態1の第4変形例に係る制御装置を示すブロック図である。
図15】第4変形例に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図16】第4変形例に係る学習装置を示すブロック図である。
図17】第4変形例に係る学習方法を示すフローチャートである。
図18】第1参考例に係る基板処理方法を示す図である。
図19】第2参考例に係る基板処理方法を示す図である。
図20】実施形態1の第5変形例に係る基板処理方法を示す図である。
図21】本発明の実施形態2に係る基板処理装置を示す模式的平面図である。
図22】実施形態2に係る第2リンス槽を示す模式的断面図である。
図23】実施形態2に係る第2薬液槽を示す模式的断面図である。
図24】実施形態2に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図25】実施形態2に係る第2リンス槽による基板のリンス処理を示すフローチャートである。
図26】実施形態2の変形例に係る第2リンス槽による基板のリンス処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図中、理解を容易にするために、X軸、Y軸、及び、Z軸を適宜図示している。X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交し、X軸及びY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。なお、「平面視」は、鉛直上方から対象を見ることを示す。
【0025】
(実施形態1)
図1図10を参照して、本発明の実施形態1に係る基板処理装置100を説明する。まず、図1及び図2を参照して、基板処理装置100を説明する。図1は、基板処理装置100を示す模式的断面図である。図1に示す基板処理装置100は、バッチ式であり、処理液LQによって複数の基板Wを一括して処理する。具体的には、基板処理装置100は、ロットを構成する複数の基板Wを一括して処理する。1ロットは、例えば、25枚又は50枚である。なお、基板処理装置100は、1枚の基板Wを処理することもできる。
【0026】
実施形態1では、基板Wは半導体ウェハである。なお、基板Wは、例えば、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、又は、太陽電池用基板であってもよい。実施形態1では、基板Wの表面は基板Wの主面を示す。
【0027】
基板処理装置100は、処理槽110と、基板保持部120と、複数の処理液供給部Anと、処理液流量調整部130と、気泡供給部135と、気泡調整部140と、排液部150とを備える。なお、「n」は1以上の整数を示す。また、基板処理装置100は、共通配管P1と、複数の供給配管P2と、共通配管P3と、複数の供給配管P4と、排液配管P5とを更に備える。
【0028】
処理槽110は、処理液LQを貯留する。そして、処理槽110は、処理液LQに複数の基板Wを浸漬して、複数の基板Wを処理する。
【0029】
処理液LQは、薬液又は洗浄液(リンス液)である。薬液は、例えば、エッチング液である。また、薬液は、例えば、希フッ酸(DHF)、フッ酸(HF)、フッ硝酸(フッ酸と硝酸(HNO3)との混合液)、バファードフッ酸(BHF)、フッ化アンモニウム、HFEG(フッ酸とエチレングリコールとの混合液)、燐酸(H3PO4)、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(例えば、クエン酸、シュウ酸)、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)、硫酸過酸化水素水混合液(SPM)、アンモニア過酸化水素水混合液(SC1)、塩酸過酸化水素水混合液(SC2)、イソプロピルアルコール(IPA)、界面活性剤、腐食防止剤、または、疎水化剤である。
【0030】
洗浄液(リンス液)は、例えば、脱イオン水、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、または、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水である。洗浄液(リンス液)は、薬液、薬液による処理後副産物、及び/又は、異物を、基板Wから洗い流すための液体である。洗浄処理(リンス処理)は、薬液、薬液による処理後副産物、及び/又は、異物を、基板Wから洗い流す処理である。
【0031】
処理槽110は、内槽112及び外槽114を含む二重槽構造を有している。内槽112及び外槽114はそれぞれ上向きに開いた上部開口を有する。内槽112は、処理液LQを貯留し、複数の基板Wを収容可能に構成される。外槽114は、内槽112の上部開口の外側面に設けられる。外槽114の上縁の高さは、内槽112の上縁の高さよりも高い。内槽112の上縁を越えて溢れた処理液LQは、外槽114によって回収される。
【0032】
処理槽110は、互いに第1方向D10に対向する第1側壁116及び第2側壁117を含む。具体的には、内槽112が、第1側壁116及び第2側壁117を含む。第1方向D10は、水平方向及び基板Wの表面に対して略平行である。第1側壁116及び第2側壁117は、鉛直方向Dに沿って延びる。
【0033】
基板保持部120は、複数の基板Wを保持する。基板保持部120は1枚の基板Wを保持することもできる。基板保持部120は、処理槽110に貯留された処理液LQに、間隔をあけて整列した複数の基板Wを浸漬する。
【0034】
具体的には、基板保持部120は、複数の基板Wを保持した状態で鉛直方向Dに沿って上方又は下方に移動する。基板保持部120が下方に移動することにより、基板保持部120によって保持されている複数の基板Wは、内槽112に貯留されている処理液LQに浸漬される。
【0035】
基板保持部120は、本体板122と、保持棒124とを含む。本体板122は、鉛直方向D(Z方向)に延びる板である。保持棒124は、本体板122の一方の主面から水平方向(Y方向)に延びる。複数の基板Wは、間隔をあけて整列した状態で、複数の保持棒124によって各基板Wの下縁が当接されて起立姿勢(鉛直姿勢)で保持される。
【0036】
基板保持部120は、昇降ユニット126をさらに含んでもよい。昇降ユニット126は、基板保持部120に保持されている複数の基板Wが内槽112内に位置する処理位置と、基板保持部120に保持されている複数の基板Wが内槽112の上方に位置する退避位置との間で本体板122を昇降させる。したがって、昇降ユニット126によって本体板122が処理位置に移動させられることにより、保持棒124に保持されている複数の基板Wが処理液LQに浸漬される。これにより、複数の基板Wに対して処理が施される。
【0037】
複数の処理液供給部Anの各々は、処理槽110に配置される。処理液供給部Anは、処理槽110に処理液LQを供給する。例えば、処理液供給部Anは、処理槽110に処理液LQが貯留された状態において、処理槽110に処理液LQを供給する。
【0038】
図2は、処理液供給部An及び気泡供給部135を示す模式的平面図である。図2に示すように、処理液供給部Anは、第2方向D20に沿って延びる。第2方向D20は、水平方向に略平行であり、基板Wの表面に略直交する。また、第1方向D10と第2方向D20と鉛直方向Dとは、互いに略直交する。処理液供給部Anは、例えば、処理液供給管である。処理液供給管の素材は、例えば、石英、又は、PVC(ポリ塩化ビニル)である。
【0039】
図1及び図2に示すように、複数の処理液供給部Anの各々は、複数の処理液孔3を有する。各処理液供給部Anにおいて、複数の処理液孔3の各々から、処理液LQが供給される。複数の処理液孔3は、第2方向D20に沿って間隔をあけて設けられる。図1の例では、処理液孔3は、斜め下方を向いている。
【0040】
図1に戻って、複数の処理液供給部Anは、第1側壁116の側に配置される少なくとも1つの第1処理液供給部Anと、第2側壁117の側に配置される少なくとも1つの第2処理液供給部Anとを含む。
【0041】
図1の例では、複数の処理液供給部Anは、第1側壁116の側に配置される複数の第1処理液供給部A1~A3と、第2側壁117の側に配置される複数の第2処理液供給部A4~A6とを含む。
【0042】
具体的には、3つの第1処理液供給部A1~A3は、第1側壁116に配置される。第1処理液供給部A1~A3は、第1側壁116において、鉛直方向Dに間隔をあけて並んでいる。第1処理液供給部A1が最上段に配置される。第1処理液供給部A3が、最下段に配置される。第1処理液供給部A2は、中段に配置される。つまり、第1処理液供給部A2は、鉛直方向Dにおいて、第1処理液供給部A1と第1処理液供給部A3との間に配置される。
【0043】
3つの第2処理液供給部A4~A6は、第2側壁117に配置される。第2処理液供給部A4~A6は、第2側壁117において、鉛直方向Dに間隔をあけて並んでいる。第2処理液供給部A6が最上段に配置される。第2処理液供給部A4が、最下段に配置される。第2処理液供給部A5は、中段に配置される。つまり、第2処理液供給部A5は、鉛直方向Dにおいて、第2処理液供給部A6と第2処理液供給部A4との間に配置される。
【0044】
処理液流量調整部130は、処理液供給部Anごとに、処理液供給部Anに供給する処理液LQの流量を調整する。換言すれば、処理液流量調整部130は、処理液供給部Anごとに、処理液供給部Anによって処理槽110に供給される処理液LQの流量を調整する。
【0045】
処理液LQの流量の調整は、処理液LQの流量を一定にすること、処理液LQの流量を増加させること、処理液LQの流量を減少させること、及び、処理液LQの流量をゼロにすることを含む。実施形態1では、処理液流量調整部130は、処理液供給部Anごとに、処理液供給部Anへの処理液LQの供給と供給停止とを切り替える。換言すれば、処理液流量調整部130は、処理液供給部Anごとに、処理液供給部Anから処理槽110への処理液LQの供給と供給停止とを切り替える。
【0046】
具体的には、処理液流量調整部130は、複数の処理液供給部Anにそれぞれ対応して複数の処理液流量調整機構132を含む。また、複数の供給配管P2は、それぞれ、複数の処理液供給部Anに対応して設けられる。供給配管P2の一端が、対応する処理液供給部Anに接続される。供給配管P2の他端が、共通配管P1に接続される。共通配管P1は処理液供給源TKAに接続される。
【0047】
複数の処理液流量調整機構132は、それぞれ、複数の供給配管P2に配置される。処理液流量調整機構132は、処理液供給源TKA及び共通配管P1から供給される処理液LQを、対応する供給配管P2を通して、対応する処理液供給部Anに供給する。また、処理液流量調整機構132は、対応する処理液供給部Anに供給する処理液LQの流量を調整する。換言すれば、処理液流量調整機構132は、対応する処理液供給部Anによって処理槽110に供給される処理液LQの流量を調整する。実施形態1では、処理液流量調整機構132は、対応する処理液供給部Anへの処理液LQの供給と供給停止とを切り替える。換言すれば、実施形態1では、処理液流量調整機構132は、対応する処理液供給部Anから処理槽110への処理液LQの供給と供給停止とを切り替える。
【0048】
具体的には、図2に示すように、処理液流量調整機構132は、流量計a1と、調整バルブa2と、バルブa3とを含む。流量計a1、調整バルブa2、及び、バルブa3は、この順番に供給配管P2の上流から下流に向かって、供給配管P2に配置される。
【0049】
流量計a1は、供給配管P2を流れる処理液LQの流量を計測する。調整バルブa2は、供給配管P2の開度を調整することで、供給配管P2を流れる処理液LQの流量を調整して、処理液供給部Anに供給される処理液LQの流量を調整する。また、調整バルブa2は、流量計a1の計測結果に基づいて処理液LQの流量を調整する。なお、例えば、流量計a1及び調整バルブa2に代えて、マスフローコントローラーを設けてもよい。バルブa3は、供給配管P2を開閉する。つまり、バルブa3は、供給配管P2からの処理液供給部Anに対する処理液LQの供給と供給停止とを切り替える。なお、処理液流量調整機構132は、処理液LQ中の異物を除去するフィルターを含んでいてもよい。
【0050】
図1に戻って、排液部150は、外槽114に回収された処理液LQを、排液配管P5を介して排出する。具体的には、外槽114には、排液配管P5が接続される。そして、排液配管P5に排液部150が配置される。排液部150は、例えば、バルブを含み、排液配管P5の流路を閉塞又は開放する。
【0051】
気泡供給部135は、処理槽110の内部に配置される。気泡供給部135は、処理槽110の処理液LQ中に、気泡調整部140から供給される気体GAを供給する。具体的には、気泡供給部135は、処理槽110の処理液LQ中に気体GAの気泡BBを供給する。気体GAは、例えば、不活性ガスである。不活性ガスは、例えば、窒素又はアルゴンである。
【0052】
気泡供給部135は、少なくとも1つの気泡供給管1を含む。実施形態1では、気泡供給部135は、複数の気泡供給管1を含む。図1の例では、気泡供給部135は、6本の気泡供給管1を含む。なお、気泡供給管1の数は、特に限定されない。気泡供給管1は、例えば、バブラー管である。
【0053】
気泡供給管1の素材は、石英又は合成樹脂である。この場合、合成樹脂は、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、又は、PFA(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)である。
【0054】
図1及び図2に示すように、複数の気泡供給管1の各々は、複数の気泡孔2を有する。図1の例では、気泡孔2は鉛直方向Dに沿って上方を向いている。気泡供給管1は、気泡調整部140から供給される気体GAを気泡孔2から吐出することで、処理液LQ中に気泡BBを供給する。つまり、気泡供給管1は、気体GAの供給を受けて処理液LQに気泡BBを供給する。
【0055】
複数の気泡供給管1は、平面視において、互いに略平行に、かつ、間隔をあけて配置される。図2の例では、複数の気泡供給管1は、仮想中心線CLに対して対称に配置される。仮想中心線CLは、各基板Wの中心を通り、第2方向D20に沿って延びる。
【0056】
具体的には、複数の気泡供給管1は、処理槽110において、互いに略平行に、かつ、第1方向D10に間隔をあけて配置される。気泡供給管1は、第2方向D20に沿って延びている。複数の気泡供給管1の各々において、複数の気泡孔2は、第2方向D20に間隔をあけて略一直線上に配置される。複数の気泡供給管1の各々において、各気泡孔2は、気泡供給管1の上面部に設けられる。
【0057】
詳細には、複数の気泡供給管1の各々は、基板Wが処理液LQに浸漬された状態において、基板Wの下方から処理液LQに対して、複数の気泡孔2の各々から気泡BBを供給する。従って、気泡BBを供給しない場合と比較して、処理液LQ中の溶存酸素濃度を低下させることができる。その結果、処理液LQに浸漬された基板Wを、処理液LQによって効果的に処理できる。この点の詳細は後述する。また、気泡BBを供給することで、基板Wの表面に接触する処理液LQを新鮮な処理液LQに効果的に置換できる。
【0058】
気泡調整部140は、気泡供給管1ごとに、気泡供給管1に供給する気体GAの流量を調整することで、処理液LQに供給する気泡BBの量を調整する。気体GAの流量の調整は、気体GAの流量を一定にすること、気体GAの流量を増加させること、気体GAの流量を減少させること、及び、気体GAの流量をゼロにすることを含む。実施形態1では、気泡調整部140は、気泡供給管1ごとに、気泡供給管1への気体GAの供給と供給停止とを切り替える。換言すれば、気泡調整部140は、気泡供給管1ごとに、気泡供給管1から処理槽110の処理液LQへの気泡BBの供給と供給停止とを切り替える。
【0059】
具体的には、気泡調整部140は、複数の気泡供給管1にそれぞれ対応して複数の気泡調整機構142を含む。また、複数の供給配管P4は、それぞれ、複数の気泡調整機構142に対応して設けられる。供給配管P4の一端が、対応する気泡供給管1に接続される。供給配管P4の他端が、共通配管P3に接続される。共通配管P3は気体供給源TKBに接続される。
【0060】
複数の気泡調整機構142は、それぞれ、複数の供給配管P4に配置される。気泡調整機構142は、気体供給源TKB及び共通配管P3から供給される気体GAを、対応する供給配管P4を通して、対応する気泡供給管1に供給する。また、気泡調整機構142は、対応する気泡供給管1に供給する気体GAの流量を調整する。その結果、気泡供給管1ごとに、処理液LQに供給される気泡BBの量が調整される。実施形態1では、気泡調整機構142は、対応する気泡供給管1への気体GAの供給と供給停止とを切り替える。換言すれば、実施形態1では、気泡調整機構142は、対応する気泡供給管1から処理槽110の処理液LQへの気泡BBの供給と供給停止とを切り替える。
【0061】
具体的には、図2に示すように、気泡調整機構142は、調整バルブb1と、流量計b2と、フィルターb3と、バルブb4とを含む。調整バルブb1、流量計b2、フィルターb3、及び、バルブb4は、この順番に供給配管P4の上流から下流に向かって、供給配管P4に配置される。
【0062】
調整バルブb1は、供給配管P4の開度を調整することで、供給配管P4を流れる気体GAの流量を調整して、気泡供給管1に供給される気体GAの流量を調整する。流量計b2は、供給配管P4を流れる気体GAの流量を計測する。調整バルブb1は、流量計b2の計測結果に基づいて気体GAの流量を調整する。なお、例えば、調整バルブb1及び流量計b2に代えて、マスフローコントローラーを設けてもよい。
【0063】
フィルターb3は、供給配管P4を流れる気体GAから異物を除去する。バルブb4は、供給配管P4を開閉する。つまり、バルブb4は、供給配管P4からの気泡供給管1に対する気体GAの供給と供給停止とを切り替える。
【0064】
次に、図3を参照して、溶存酸素濃度とエッチング量との関係を説明する。図3は、処理液LQ中の溶存酸素濃度とエッチング量との関係を示すグラフである。横軸は、処理液LQ中の溶存酸素濃度(ppm)を示し、縦軸は、基板Wのエッチング量を示す。
【0065】
図3は、処理液LQとしてTMAHを使用した場合の実施例を示している。TMAHの濃度は、0.31%であった。気体GAは窒素であった。従って、気泡BBは、窒素の気泡だった。基板Wには、ポリシリコン膜(ポリシリコン層)が形成されていた。図3は、TMAHに基板Wを浸漬した場合のポリシリコン膜のエッチング量を示している。エッチング量は、TMAHへの浸漬前のポリシリコン膜の厚みから浸漬後のポリシリコン膜の厚みを差し引いた値である。エッチング量を「基板Wのエッチング量」と記載する場合がある。本明細書において、「基板Wの浸漬後」は、「基板Wが浸漬されて処理が完了し、処理液LQから引き上げられた後」を示す。
【0066】
図3に示すように、溶存酸素濃度が低い程、基板Wのエッチング量(処理量)が多くなった。エッチング量(処理量)は、溶存酸素濃度に略正比例した。比例定数は「負」であった。
【0067】
次に、図4を参照して、気泡BBの供給時間と溶存酸素濃度との関係を説明する。図4は、気泡BBの供給時間と処理液LQ中の溶存酸素濃度との関係を示すグラフである。横軸は、気泡BBの供給時間(hour)を示し、縦軸は、処理液LQ中の溶存酸素濃度(ppm)を示す。
【0068】
図4は、処理液LQとしてTMAHを使用した場合の実施例を示している。TMAHの濃度は、0.31%であった。気泡BBを生成するための気体GAは窒素であった。従って、気泡BBは、窒素の気泡だった。プロットg1は、気体GAの流量が10L/minの場合の溶存酸素濃度を示す。プロットg2は、気体GAの流量が20L/minの場合の溶存酸素濃度を示す。プロットg3は、気体GAの流量が30L/minの場合の溶存酸素濃度を示す。この場合、気体GAの流量は、1本の気泡供給管1に供給される気体GAの流量を示す。
【0069】
プロットg1~g3から理解できるように、約1時間で、処理液LQ中の溶存酸素濃度が略一定になった。また、溶存酸素濃度が略一定になった状態において、気体GAの流量が多い程、処理液LQ中の溶存酸素濃度が低下した。換言すれば、溶存酸素濃度が略一定になった状態において、処理液LQに供給する気泡BBが多い程、処理液LQ中の溶存酸素濃度が低下した。なぜなら、気体GAの流量が多い程、処理液LQ中に供給される気泡BBが多くなるからである。
【0070】
プロットg1~g3から次のことが推測できた。すなわち、処理槽110において処理液LQ中に気泡BBの分布が存在する場合は、処理液LQにおいて気泡BBが多い領域ほど、溶存酸素濃度が低く、処理液LQにおいて気泡BBが少ない領域ほど、溶存酸素濃度が高くなることが推測できた。このような推測が正しいことを、本願の発明者は、実験によって確認済みである。
【0071】
以上、図3及び図4を参照して説明したように、処理液LQに供給する気泡BBが多い程、処理液LQ中の溶存酸素濃度が低下する。そして、処理液LQ中の溶存酸素濃度が低い程、基板Wのエッチング量(処理量)が多くなった。
【0072】
すなわち、処理液LQに供給する気泡BBが多い程、基板Wのエッチング量(処理量)が多くなった。換言すれば、気泡BBを生成するための気体GAの流量が多い程、基板Wのエッチング量(処理量)が多くなった。一方、処理液LQに供給する気泡BBが少ない程、基板Wのエッチング量(処理量)が少なくなった。換言すれば、気泡BBを生成するための気体GAの流量が少ない程、基板Wのエッチング量(処理量)が少なくなった。
【0073】
また、図3及び図4のグラフから、処理槽110において処理液LQ中に気泡BBの分布が存在する場合は、処理液LQにおいて気泡BBが多い領域ほど、基板Wのエッチング量(処理量)が多く、処理液LQにおいて気泡BBが少ない領域ほど、基板Wのエッチング量(処理量)が少なくなることが推測できた。同様に、処理槽110において処理液LQ中に気泡BBの分布が存在する場合は、処理液LQにおいて気泡BBが多い領域ほど、基板Wのエッチングレート(処理量)が高く、処理液LQにおいて気泡BBが少ない領域ほど、基板Wのエッチングレート(処理量)が少なくなることが推測できた。このような推測が正しいことを、本願の発明者は、実験によって確認済みである。
【0074】
図1に戻って、制御装置160は、基板処理装置100の各構成を制御する。例えば、制御装置160は、基板保持部120、処理液流量調整部130、気泡調整部140、及び、排液部150を制御する。
【0075】
制御装置160は、制御部161と、記憶部162とを含む。制御部161は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサーを備える。記憶部162は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。制御部161のプロセッサーは、記憶部162の記憶装置が記憶しているコンピュータープログラムを実行して、基板処理装置100の各構成を制御する。例えば、記憶部162は、半導体メモリー等の主記憶装置と、半導体メモリー及びハードディスクドライブ等の補助記憶装置とを備える。記憶部162は、光ディスク等のリムーバブルメディアを備えていてもよい。記憶部162は、例えば、非一時的コンピューター読取可能記憶媒体であってもよい。制御装置160は、入力装置及び表示装置を備えていてもよい。
【0076】
引き続き図1を参照して、処理液供給部Anの詳細を説明する。第1処理液供給部A1~A3のうち、少なくとも1つの第1処理液供給部Anは、上昇中の気泡BBに向けて処理液LQを供給する。第2処理液供給部A4~A6のうち、少なくとも1つの第2処理液供給部Anは、上昇中の気泡BBに向けて処理液LQを供給する。従って、実施形態1によれば、制御部161が、処理液流量調整部130を介して、第1処理液供給部Anからの処理液LQの供給・停止と、第2処理液供給部Anからの処理液LQの供給・停止とを個別に制御することで、処理液LQ中を上昇する多数の気泡BBの挙動を制御できる。その結果、基板Wの表面及びその近傍において、気泡BBが不足している領域を低減できる。よって、基板Wの表面全体にわたって処理液LQ中の溶存酸素濃度を低下できるため、基板Wの面内において処理液LQによる処理ムラを抑制できる。
【0077】
具体的には、少なくとも1つの第1処理液供給部Anは、第1側壁116の側から、鉛直方向Dに交差する方向に向かって処理液LQを吐出することで、上昇中の気泡BBに向かって処理液LQの流動を発生させる。その結果、気泡Bの挙動を制御できる。図1の例では、第1処理液供給部Anは、第1側壁116の側から、斜め下方に向かって処理液LQを吐出する。また、少なくとも1つの第2処理液供給部Anは、第2側壁117の側から、鉛直方向Dに交差する方向に向かって処理液LQを吐出することで、上昇中の気泡BBに向かって処理液LQの流動を発生させる。その結果、気泡Bの挙動を制御できる。図1の例では、第2処理液供給部Anは、第2側壁117の側から、斜め下方に向かって処理液LQを吐出する。
【0078】
引き続き図1を参照して、1又は複数の処理液供給部Anによって構成されるグループを説明する。複数の処理液供給部Anのうちの2以上の処理液供給部Anの各々は、互いに異なるグループのうちの少なくとも1つのグループに属する。グループは、処理液供給部Anの制御単位である。従って、制御部161は、処理液流量調整部130を介して、グループ単位で処理液供給部Anを制御する。
【0079】
1つの処理液供給部Anが1つのグループに属することもあるし、1つの処理液供給部Anが複数のグループに属することもある。また、複数のグループの各々には、少なくとも1つの処理液供給部Anが属する。従って、1つのグループに1つの処理液供給部Anが属することもあるし、1つのグループに複数の処理液供給部Anが属することもある。また、複数の処理液供給部Anのうちの一部の処理液供給部Anが、いずれのグループにも属しない場合もある。この場合、いずれのグループにも属しない処理液供給部Anは、気泡の挙動を制御する際に使用されない。換言すれば、各グループに属する処理液供給部Anだけが、気泡の挙動を制御する際に使用される。
【0080】
制御部161は、処理液流量調整部130を介して、各グループを順次切り替えながら、各グループの処理液供給部Anに対して、処理槽110の処理液LQ中の気泡BBに向けて処理液LQを供給させる。
【0081】
グループに属する処理液供給部Anは、グループごとに異なる期間に処理液LQを気泡BBに向けて供給する。従って、実施形態1によれば、処理槽110においてグループごとに処理液LQの流動が異なるため、異なる期間に異なる流動を、処理液LQ中を上昇する多数の気泡BBに作用させることができる。その結果、基板Wの表面及びその近傍において、気泡BBが不足している領域をより効果的に低減できる。よって、基板Wの表面全体にわたって処理液LQ中の溶存酸素濃度をより効果的に低下できるため、基板Wの面内において処理液LQによる処理ムラをより効果的に抑制できる。
【0082】
以下、一例として、実施形態1では、複数のグループは、第1グループG1、第2グループG2、及び、第3グループG3を含む。
【0083】
次に、図5及び図6を参照して、第1グループG1~第3グループG3の処理液供給部Anによる気泡BBの挙動の制御を説明する。
【0084】
図5は、処理液供給部Anの第1グループG1~第3グループG3を定義するテーブルTB1を示す図である。図5のテーブルTB1に示すように、基板処理装置100に対して、第1グループG1、第2グループG2、及び、第3グループG3が設定される。
【0085】
第1グループG1は、図1に示す複数の第1処理液供給部A1~A3のうちの少なくとも1つ第1処理液供給部A3を含み、第2処理液供給部A4~A6を含まない。つまり、第1グループG1は第1処理液供給部A3だけを含む。
【0086】
第2グループG2は、複数の第2処理液供給部A4~A6のうちの少なくとも1つ第2処理液供給部A4を含み、第1処理液供給部A1~A3を含まない。つまり、第2グループG2は第2処理液供給部A4だけを含む。
【0087】
第3グループG3は、複数の第1処理液供給部A1~A3のうちの少なくとも1つ第1処理液供給部A2と、複数の第2処理液供給部A4~A6のうちの少なくとも1つ第2処理液供給部A5とを含む。つまり、第3グループG3は第1処理液供給部A2及び第2処理液供給部A5を含む。
【0088】
図6は、処理液供給部Anの第1グループG1~第3グループG3を使用して気泡BBの挙動を制御する際の制御シーケンスを示す図である。
【0089】
図6に示すように、まず、工程ST1では、第1所定期間T1において、第1グループG1に属する第1処理液供給部A3が処理液LQを気泡BBに向けて供給する。
【0090】
次に、工程ST2では、第1所定期間T1の経過後の第2所定期間T2において、第2グループG2に属する第2処理液供給部A4が処理液LQを気泡BBに向けて供給する。
【0091】
次に、工程ST3では、第2所定期間T2の経過後の第3所定期間T3において、第3グループG3に属する第1処理液供給部A2及び第2処理液供給部A5が処理液LQを気泡BBに向けて供給する。
【0092】
以上、図6を参照して説明したように、実施形態1によれば、第1グループG1~第3グループG3を異なるタイミングで使用して気泡BBの挙動を制御する。その結果、基板Wの表面及びその近傍において、気泡BBが不足している領域をより効果的に低減できる。この点は、図7図9を参照して説明する実施例によって実証されている。なお、実施形態1では、第1所定期間T1と第2所定期間T2と第3所定期間T3とは、タイミングの異なる連続した期間であって、同じ長さの期間である。
【0093】
図7(a)は、比較例に係る気泡BBの分布のシミュレーション結果を示すマップ画像MP1を示す図である。図7(b)は、本発明の実施例に係る気泡BBの分布のシミュレーション結果を示すマップ画像MP2を示す図である。マップ画像MP1、MP2は、基板Wの表面を上方向に通過する気泡BBの量を示す。この点の詳細は後述する。マップ画像MP1、MP2において、ドットが密であるほど、気泡BBが多く通過したことを示している。ドットのない白色領域は、通過した気泡BBが最も少ない領域を示している。なお、実際には、マップ画像MP1、MP2には、気泡BBの量を示すグラデーションが存在するが、簡略化して4段階で気泡BBの量を示している。
【0094】
図7(b)に示す実施例では、図1に示す基板処理装置100を使用することを想定してシミュレーションを行った。以下、シミュレーションを「気泡挙動シミュレーション」と記載する場合がある。シミュレーションは、シミュレーション装置(不図示)によって実行された。シミュレーション装置は、プロセッサー及び記憶装置を有するコンピューターである。
【0095】
また、実施例では、図6に示す工程ST1~ST3をシミュレーションによって再現した。実施例におけるシミュレーション条件は次の通りであった。すなわち、工程ST1での第1処理液供給部A3からの処理液LQの供給量は、30L/分に設定した。工程ST2での第2処理液供給部A4からの処理液LQの供給量は、30L/分に設定した。工程ST3での第1処理液供給部A2からの処理液LQの供給量は、20L/分に設定し、工程ST3での第2処理液供給部A5からの処理液LQの供給量は、20L/分に設定した。工程ST1~ST3の各々は、8秒間実施した。つまり、工程ST1~ST3のトータル実施時間は24秒であった。また、気泡供給管1に供給する気体GAの流量は、1本当たり、5L/分に設定した。更に、1本の気泡供給管1に設ける気泡孔2の直径は0.2mm、1本の気泡供給管1に設ける気泡孔2の数は60個、1本の気泡供給管1に設ける気泡孔2の間隔は5mmに設定した。更に、1本の処理液供給部Anに設ける処理液孔3の直径は1mm、1本の処理液供給部Anに設ける処理液孔3の数は70個、1本の処理液供給部Anに設ける処理液孔3の間隔は5mmに設定した。
【0096】
一方、図7(a)に示す比較例では、図1に示す基板処理装置100から処理液供給部Anを除いた構成を有する基板処理装置を使用することを想定してシミュレーションを行った。比較例におけるシミュレーション条件は次の通りであった。すなわち、比較例では、気泡供給管の下方に配置されたパンチングプレートの複数の孔から、処理液LQを上方に向かって供給することを再現した。処理液LQの供給流量は、トータルで、20L/分であった。気泡供給管の条件は、実施例と同じであった。また、処理時間は、24秒であった。
【0097】
図7(a)に示すように、比較例では、基板Wの中央部分において鉛直方向Dに延びる領域10(白色領域)では、通過する気泡BBの量が少なかった。また、基板Wの下部の領域11(白色領域)においても、通過する気泡BBの量が少なかった。従って、領域10、11では、エッチングレートが他の領域と比べて小さくなることが推測できた。つまり、比較例では、基板Wの面内において、処理液LQによる処理ムラが発生することを推測できた。
【0098】
一方、図7(b)に示すように、実施例では、マップ画像MP2において、白色領域が存在しなかった。つまり、実施例では、比較例と比べて、基板Wの表面全体にわたって、通過する気泡BBの量が多かった。従って、実施例では、比較例と比べて、基板Wの表面における各位置でのエッチングレートの差が小さいことを推測できた。つまり、実施例では、基板Wの面内において、比較例と比べて、処理液LQによる処理ムラを低減できることを推測できた。
【0099】
次に、図6図9を参照して、上記実施例におけるシミュレーションについて詳細に説明する。図8は、本発明の実施例に係る各工程ST1~ST3(図6)における気泡BBの分布のシミュレーション結果を示すマップ画像MP21~MP23を示す図である。マップ画像MP21~MP23における気泡BBの量の表記方法は、図7のマップ画像MP1、MP2における気泡BBの量の表記方法と同じである。
【0100】
図6及び図8に示すように、マップ画像MP21は、工程ST1において、基板Wの表面を上方向に通過する気泡BBの量を示す。マップ画像MP22は、工程ST2において、基板Wの表面を上方向に通過する気泡BBの量を示す。マップ画像MP23は、工程ST3において、基板Wの表面を上方向に通過する気泡BBの量を示す。マップ画像MP21とマップ画像MP22とマップ画像MP23とを重ね合わせた画像が、図7(b)に示す実施例に係るマップ画像MP2である。
【0101】
図7及び図8に示すように、各工程ST1~ST3で異なる気泡BBの分布を発生させることで、工程ST1~ST3のトータルで、基板Wの表面及びその近傍において、気泡BBが不足している領域を低減できた。
【0102】
図9(a)は、上記実施例に係るシミュレーションを詳細に説明するための基板Wを示す平面図である。
【0103】
図9(a)に示すように、シミュレーションでは、基板Wの表面において、気泡BBを監視するための多数の監視ポイント12が設定された。そして、シミュレーションにおいて、監視ポイント12ごとに、監視ポイント12を上方向に通過する気泡BBの数を計数した。例えば、図8のマップ画像MP21は、工程ST1(図6)を実施した8秒間において各監視ポイント12を通過した気泡BBの数の累積値を、監視ポイント12ごとにプロットすることで作成された。マップ画像MP22、MP23についても同様であった。従って、図7(b)のマップ画像MP2は、工程ST1~ST3のトータルでの各監視ポイント12での気泡BBの通過数の累積値を示した。なお、図7(a)に示す比較例のマップ画像MP1についても、実施例と同様に、各監視ポイント12での気泡BBの通過数の累積値を示した。
【0104】
なお、基板Wには、4個の監視ポイント12を頂点とする領域15が設定される。その結果、基板Wには複数の領域15が設定される。図9(a)の例では、領域15は正方形である。
【0105】
図9(b)は、上記実施例に係るシミュレーションを詳細に説明するための基板W及び気泡供給管1を示す側面図である。図9(b)に示すように、シミュレーションでは、気泡供給管1には、複数の気泡孔2が等間隔dで配置されることを想定した。間隔dは、5mmであった。また、各監視ポイント12において、領域13を通過する気泡BBの数が計数された。領域13の幅Lは、10mmであった。つまり、基板Wの表面から幅Lの範囲を通過する気泡BBが、各監視ポイント12において計数された。この点は、比較例でも同じであった。
【0106】
次に、図1及び図10を参照して、実施形態1に係る基板処理方法を説明する。基板処理方法は、基板処理装置100によって実行される。図10は、実施形態1に係る基板処理方法を示すフローチャートである。図10に示すように、基板処理方法は、工程S1~工程S6を含む。工程S1~工程S6は、制御部161の制御の下で実行される。基板処理方法の説明においては、基板処理装置100に対して、第1グループG1~第MグループGMが設定される。「M」は、2以上の整数である。
【0107】
図1及び図10に示すように、まず、工程S1において、気泡供給部135の各気泡供給管1は、基板Wの下方から、処理槽110に貯留された処理液LQに対して、複数の気泡BBの供給を開始する。工程S1は、本発明の「気泡供給工程」の一例に相当する。
【0108】
次に、工程S2において、全ての処理液供給部Anから、処理槽110に貯留された処理液LQに向けて、処理液LQの供給を開始する。
【0109】
次に、工程S3において、基板保持部120は、処理槽110に貯留された処理液LQに基板Wを浸漬する。工程S3は、本発明の「浸漬工程」の一例に相当する。
【0110】
次に、工程S4において、処理液供給部Anを切り替えながら、1以上の処理液供給部Anから、気泡BBに向けて処理液LQを供給することで、気泡BBの挙動を制御する。従って、実施形態1に係る基板処理方法によれば、基板Wの表面及びその近傍において、気泡BBの量に偏りが生じることを抑制できる。つまり、基板Wの表面及びその近傍において、気泡BBが不足している領域を低減できる。その結果、基板Wの表面全体にわたって処理液LQ中の溶存酸素濃度を低下できるため、基板Wの面内において処理液LQによる処理ムラを抑制できる。工程S4は、本発明の「気泡制御工程」の一例に相当する。
【0111】
具体的には、工程S4は、工程S41、S42、S43、S44、…、S4Mを含む。まず、工程S41において、第1グループG1に属する処理液供給部Anから、気泡BBに向けて処理液LQを供給する。次に、工程S42において、第2グループG2に属する処理液供給部Anから、気泡BBに向けて処理液LQを供給する。以下、順次、工程S43、S44、…、S4Mが実行される。工程S4Mにおいて、第MグループGMに属する処理液供給部Anから、気泡BBに向けて処理液LQを供給する。このように、工程S4では、グループに属する処理液供給部Anは、グループごとに異なる期間に処理液LQを気泡BBに向けて供給する。
【0112】
次に、工程S5において、全ての処理液供給部Anから、処理槽110に貯留された処理液LQに向けて、処理液LQの供給を開始する。
【0113】
次に、工程S6において、基板保持部120は、処理液LQから基板Wを引き上げる。そして、基板処理方法は終了する。
【0114】
以上、図10を参照して説明したように、実施形態1によれば、基板Wを処理液LQに浸漬する前においては、全ての処理液供給部Anから処理液LQを供給する(工程S2)。加えて、基板Wを処理液LQから引き上げる前においては、全ての処理液供給部Anから処理液LQを供給する(工程S5)。その結果、処理槽110に貯留された処理液LQが滞留することを抑制できる。また、基板Wの位置ずれを防止できる。なお、同様の理由により、待機中においても、全ての処理液供給部Anから処理液LQを供給することが好ましい。
【0115】
(第1変形例)
図1及び図11を参照して、実施形態1の第1変形例を説明する。第1変形例では、処理液LQの供給流量の調整と、気泡BBを生成するための気体GAの供給流量の調整とを細かく実行する点で、処理液LQの供給の開始・停止と、気体GAの供給の開始・停止とを実行する上記実施形態1と主に異なる。以下、第1変形例が上記実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0116】
第1変形例では、図1に示す基板処理装置100の処理液流量調整部130は、処理液供給部Anごとに処理液LQの供給流量を調整する。従って、第1変形例によれば、処理槽110における処理液LQの流動をより精度良く制御できる。その結果、処理液LQ中を上昇する多数の気泡BBの挙動をより精度良く制御できる。よって、基板Wの表面及びその近傍において、気泡BBが不足している領域をより低減できるため、基板Wの表面全体にわたって処理液LQ中の溶存酸素濃度をより低下できる。溶存酸素濃度の低下により、基板Wの面内において処理液LQによる処理ムラをより抑制できる。
【0117】
第1変形例では、処理液LQの供給流量の調整は、処理液LQの供給の開始・停止に加えて、1グループ内の処理液供給部Anからの処理液LQの供給流量を変更すること、又は、複数のグループ間で処理液供給部Anからの処理液LQの供給流量を変更することを含む。処理液LQの供給流量の変更は、供給流量を段階的に変更すること、又は、供給流量を連続的に変更することを含む。
【0118】
また、第1変形例では、気泡調整部140は、気泡供給管1ごとに、気泡BBを生成するための気体GAの供給流量を調整する。従って、第1変形例によれば、処理液LQ中を上昇する多数の気泡BBの挙動をより精度良く制御できる。その結果、基板Wの表面全体にわたって気泡BBを分布させることができるため、基板Wの表面全体にわたって処理液LQ中の溶存酸素濃度をより低下できる。よって、基板Wの面内において処理液LQによる処理ムラをより抑制できる。
【0119】
第1変形例では、気体GAの供給流量の調整は、気体GAの供給の開始・停止に加えて、気体GAの供給流量を変更することを含む。気体GAの供給流量の変更は、供給流量を段階的に変更すること、又は、供給流量を連続的に変更することを含む。
【0120】
次に、図11を参照して、第1変形例に係る基板処理方法を説明する。基板処理方法は、基板処理装置100によって実行される。図11は、実施形態1の第1変形例に係る基板処理方法を示すフローチャートである。図11に示すように、基板処理方法は、工程S11~工程S17を含む。工程S11~工程S17は、制御部161の制御の下で実行される。
【0121】
図11に示す工程S11~工程S13は、それぞれ、図10に示す工程S1~工程S3と同様である。
【0122】
図1及び図11に示すように、工程S13の次において、工程S14と工程S15とが並行して実行される。
【0123】
工程S14では、第1グループG1~第MグループGMにおいて、処理液流量調整部130によって、処理液供給部Anごとに処理液LQの供給流量が調整される。
【0124】
具体的には、工程S14は、工程S141、S142、S143、S144、…、S14Mを含む。まず、工程S141において、処理液流量調整部130は、第1グループG1に属する処理液供給部Anからの処理液LQの供給流量を調整することで、気泡BBの挙動を制御する。次に、工程S142において、処理液流量調整部130は、第2グループG2に属する処理液供給部Anからの処理液LQの供給流量を調整することで、気泡BBの挙動を制御する。以下、順次、工程S143、S144、…、S14Mが実行される。工程S14Mにおいて、処理液流量調整部130は、第MグループGMに属する処理液供給部Anからの処理液LQの供給流量を調整することで、気泡BBの挙動を制御する。このように、工程S14では、グループに属する処理液供給部Anの供給流量が、グループごとに異なる期間においてグループごとに調整される。
【0125】
一方、工程S15では、第1グループG1~第MグループGMによる処理液LQの供給に対応して、気泡調整部140によって、気泡供給管1ごとに、気泡BBを生成するための気体GAの供給流量が調整される。
【0126】
具体的には、工程S15は、工程S151、S152、S153、S154、…、S15Mを含む。まず、工程S151において、気泡調整部140は、第1グループG1に属する処理液供給部Anからの処理液LQの供給に対応して、気体GAの供給流量を調整する。次に、工程S152において、気泡調整部140は、第2グループG2に属する処理液供給部Anからの処理液LQの供給に対応して、気体GAの供給流量を調整する。以下、順次、工程S153、S154、…、S15Mが実行される。工程S15Mにおいて、気泡調整部140は、第MグループGMに属する処理液供給部Anからの処理液LQの供給に対応して、気体GAの供給流量を調整する。このように、工程S15では、気体GAの供給流量が、各グループによる処理液LQの供給に対応して調整される。
【0127】
次に、工程S16において、全ての処理液供給部Anから、処理槽110に貯留された処理液LQに向けて、処理液LQの供給を開始する。
【0128】
次に、工程S17において、基板保持部120は、処理液LQから基板Wを引き上げる。そして、基板処理方法は終了する。
【0129】
(第2変形例)
図1及び図12を参照して、実施形態1の第2変形例を説明する。第2変形例では、複数のグループに共通する処理液供給部Anが存在する点で、上記実施形態1と主に異なる。以下、第2変形例が上記実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0130】
第2変形例では、一例として、基板処理装置100に対して、第1グループG10、第2グループG20、第3グループG30、第4グループG40、及び、第5グループG50が設定される。
【0131】
図12は、処理液供給部Anの第1グループG10~第5グループG50を定義するテーブルTB2を示す図である。図12のテーブルTB2に示すように、第1グループG10は、第1処理液供給部A3だけを含む。第2グループG20は、第1処理液供給部A3と、第2処理液供給部A4とを含む。第3グループG30は、第2処理液供給部A4だけを含む。
【0132】
第2グループG20には、第1グループG10にも属している第1処理液供給部A3と、第3グループG30にも属している第2処理液供給部A4とが属している。従って、第2変形例によれば、第1グループG10から第3グループG30に移行する際に、処理液LQの供給が停止することを防止できる。その結果、第1グループG10から第3グループG30に円滑に移行できる。
【0133】
第4グループG40は、第1処理液供給部A2と、第2処理液供給部A4と、第2処理液供給部A5とを含む。
【0134】
第5グループG50は、第1処理液供給部A2及び第2処理液供給部A5を含む。
【0135】
第4グループG40には、第3グループG30にも属している第2処理液供給部A4と、第5グループG50にも属している第1処理液供給部A2及び第2処理液供給部A5とが属している。従って、第2変形例によれば、第3グループG30から第5グループG50に移行する際に、処理液LQの供給が停止することを防止できる。その結果、第3グループG30から第5グループG50に円滑に移行できる。
【0136】
(第3変形例)
図1及び図13を参照して、実施形態1の第3変形例を説明する。第3変形例では、8本の気泡供給管1を備える点で、上記実施形態1と主に異なる。以下、第3変形例が上記実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0137】
図13は、第3変形例に係る基板処理装置100Aを示す模式的断面図である。図13に示すように、基板処理装置100Aにおいて、気泡供給部135は、8本の気泡供給管1を含む。従って、第3変形例によれば、気泡供給部135が8本未満の気泡供給管1を含む場合と比較して、より多くの気泡BBを処理液LQに供給できる。その結果、基板Wの表面及びその近傍において、気泡BBが不足している領域をより低減できる。よって、基板Wの表面全体にわたって処理液LQ中の溶存酸素濃度をより低下できるため、基板Wの面内において処理液LQによる処理ムラをより抑制できる。
【0138】
(第4変形例)
図14図17を参照して、実施形態1の第4変形例を説明する。第4変形例では、機械学習によって生成される学習済みモデルLMを利用して基板処理を実行する点で、上記実施形態1と主に異なる。以下、第4変形例が上記実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0139】
図14は、実施形態1の第4変形例に係る基板処理装置100Bの制御装置160を示すブロック図である。図14に示すように、制御装置160は、制御部161及び記憶部162に加えて、通信部163と、入力部164と、表示部165とを備える。通信部163は、ネットワークに接続され、外部装置と通信する。ネットワークは、例えば、インターネット、LAN、公衆電話網、及び、近距離無線ネットワークを含む。通信部163は、通信機であり、例えば、ネットワークインターフェースコントローラーである。通信部163は、有線通信モジュール又は無線通信モジュールを有していてもよい。入力部164は、制御部161に対して各種情報を入力するための入力機器である。例えば、入力部164は、キーボード及びポインティングデバイス、又は、タッチパネルである。表示部165は画像を表示する。表示部165は、例えば、液晶ディスプレイ、又は、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。
【0140】
記憶部162は、制御プログラムPG1と、レシピ情報RCと、学習済みモデルLMとを記憶している。制御部161は、制御プログラムPG1を実行することで、レシピ情報RCに従って、基板Wを処理液LQによって処理する。レシピ情報RCは、基板Wの処理内容及び処理手順を規定する。具体的には、制御部161は、制御プログラムPG1を実行することで、記憶部162、通信部163、入力部164、表示部165、図1に示す基板保持部120、処理液流量調整部130、気泡調整部140、及び、排液部150を制御する。また、制御部161は、制御プログラムPG1を実行することで、学習済みモデルLMを起動する。
【0141】
学習済みモデルLMは、学習データ(以下、「学習データDT」)を学習することで構築される。
【0142】
学習データDTは、処理量情報IF1と、処理条件情報IF2とを含む。処理量情報IF1は説明変数である。つまり、処理量情報IF1は特徴量である。処理条件情報IF2は、目的変数である。
【0143】
処理量情報IF1は、学習用処理液による学習用基板(以下、「学習用基板Wa」と記載)の処理量を示す情報を含む。第4変形例では、学習用処理液は、気泡挙動シミュレーションにおける仮想の処理液であり、学習用として利用される。また、学習用基板Waは、気泡挙動シミュレーションにおける仮想の基板であり、学習用として利用される。学習用基板Waの処理量は、例えば、学習用基板Waのエッチングレート、学習用基板Waのエッチング量、又は、学習用基板Waの厚みである。
【0144】
処理条件情報IF2は、少なくとも、各学習用グループに属する1以上の学習用処理液供給部を示す情報と、各学習用グループが学習用処理液を供給するタイミングを示す情報とを含む。学習用グループは、気泡挙動シミュレーションにおいて、上記実施形態1で定めたグループに対応する仮想のグループであり、学習用として利用される。学習用処理液供給部は、気泡挙動シミュレーションにおいて、上記実施形態1の処理液供給部Anに対応する仮想の処理液供給部であり、学習用として利用される。また、学習用処理液供給部は、気泡挙動シミュレーションにおいて、学習用処理液を供給する。
【0145】
複数の学習用処理液供給部のうちの2以上の学習用処理液供給部の各々は、互いに異なる学習用グループのうちの少なくとも1つの学習用グループに属する。学習用グループは、学習用処理液供給部の制御単位である。従って、気泡挙動シミュレーションにおいて、学習用グループ単位で学習用処理液供給部が制御される。
【0146】
1つの学習用処理液供給部が1つの学習用グループに属することもあるし、1つの学習用処理液供給部が複数の学習用グループに属することもある。また、複数の学習用グループの各々には、少なくとも1つの学習用処理液供給部が属する。従って、1つの学習用グループに1つの学習用処理液供給部が属することもあるし、1つの学習用グループに複数の学習用処理液供給部が属することもある。また、複数の学習用処理液供給部のうちの一部の学習用処理液供給部が、いずれの学習用グループにも属しない場合もある。この場合、いずれの学習用グループにも属しない学習用処理液供給部は、気泡挙動シミュレーションにおいて使用されない。換言すれば、各学習用グループに属する学習用処理液供給部だけが、気泡挙動シミュレーションで使用される。
【0147】
気泡挙動シミュレーションでは、学習用グループに属する学習用処理液供給部は、学習用グループごとに異なる期間に学習用処理液を気泡に向けて供給する。
【0148】
制御部161は、入力情報IF3を学習済みモデルLMに入力して、出力情報IF4を学習済みモデルLMから取得する。入力情報IF3は、処理液LQによる基板Wの処理量の目標値を示す情報を含む。基板Wの処理量は、例えば、基板Wのエッチングレート、基板Wのエッチング量、又は、基板Wの厚みを示す。
【0149】
出力情報IF4は、少なくとも、各グループに属する1以上の処理液供給部Anを示す情報と、各グループが処理液LQを供給すべきタイミングを示す情報とを含む。この場合、「タイミング」は、グループの順番、及び、各グループの実施期間を含む。
【0150】
第4変形例では、制御部161は、出力情報IF4に基づいて複数の処理液供給部Anを制御する。具体的には、制御部161は、出力情報IF4によって示される設定になるように、各処理液供給部Anを制御することで、処理液LQによって気泡BBの挙動を制御する。その結果、基板Wの表面及びその近傍において、気泡BBが不足している領域を低減できる。よって、基板Wの表面全体にわたって処理液LQ中の溶存酸素濃度を低下できるため、基板Wの面内において処理液LQによる処理ムラを抑制できる。
【0151】
次に、図14及び図15を参照して、第4変形例に係る基板処理方法を説明する。図15は、第4変形例に係る基板処理方法を示すフローチャートである。基板処理方法は、基板処理装置100Bによって実行される。図15に示すように、基板処理方法は、工程S21~工程S27を含む。工程S21~工程S27は、制御部161の制御の下で実行される。
【0152】
図14及び図15に示すように、まず、工程S21において、制御部161は、学習済みモデルLMに入力情報IF3を入力し、学習済みモデルLMから出力情報IF4を取得する。工程S21は、本発明の「学習済みモデル利用工程」の一例に相当する。
【0153】
工程S22~工程S24は、それぞれ、図10に示す工程S1~工程S3と同様であり、説明を省略する。工程S24の後、処理は工程S25に進む。
【0154】
次に、工程S25において、制御部161は、工程S21で取得した出力情報IF4によって示される処理条件(各グループに属する1以上の処理液供給部Anを示す情報、各グループが処理液LQを供給すべきタイミングを示す情報)に基づいて複数の処理液供給部Anを制御する。
【0155】
具体的には、工程S25は、工程S251、S252、S253、S254、…、S25Mを含む。まず、工程S251において、出力情報IF4によって示される処理条件に基づいて第1グループG1に属する処理液供給部Anから、気泡BBに向けて処理液LQを供給する。次に、工程S252において、出力情報IF4によって示される処理条件に基づいて第2グループG2に属する処理液供給部Anから、気泡BBに向けて処理液LQを供給する。以下、順次、工程S253、S254、…、S25Mが実行される。工程S25Mにおいて、出力情報IF4によって示される処理条件に基づいて第MグループGMに属する処理液供給部Anから、気泡BBに向けて処理液LQを供給する。このように、工程S25では、グループに属する処理液供給部Anは、出力情報IF4によって示される処理条件に基づいて、グループごとに異なる期間に処理液LQを気泡BBに向けて供給する。
【0156】
次に、工程S26において、全ての処理液供給部Anから、処理槽110に貯留された処理液LQに向けて、処理液LQの供給を開始する。
【0157】
次に、工程S27において、基板保持部120は、処理液LQから基板Wを引き上げる。そして、基板処理方法は終了する。
【0158】
次に、図16を参照して、第4変形例に係る学習装置170を説明する。学習装置170は、例えば、コンピューターである。図16は、学習装置170を示すブロック図である。図16に示すように、学習装置170は、処理部171と、記憶部172と、通信部173と、入力部174と、表示部175とを備える。
【0159】
処理部171は、CPU及びGPU等のプロセッサーを備える。記憶部172は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。処理部171のプロセッサーは、記憶部172の記憶装置が記憶しているコンピュータープログラムを実行して、各種処理を実行する。記憶部172のハードウェア構成は、図14の記憶部162のハードウェア構成と同様である。
【0160】
通信部173は、ネットワークに接続され、外部装置と通信する。通信部173のハードウェア構成は、図14の通信部163のハードウェア構成と同様である。入力部174は、処理部171に対して各種情報を入力するための入力機器である。入力部174のハードウェア構成は、図14の入力部164のハードウェア構成と同様である。表示部175は画像を表示する。表示部175のハードウェア構成は、図14の表示部165のハードウェア構成と同様である。
【0161】
引き続き図16を参照して、処理部171を説明する。処理部171は、外部から複数の学習データDTを取得する。例えば、処理部171は、ネットワーク及び通信部173を介して、シミュレーション装置又は学習データ作成装置から複数の学習データDTを取得する。学習データ作成装置は、シミュレーション装置から取得したデータに基づいて学習データDTを作成する。
【0162】
処理部171は、各学習データDTを記憶するように、記憶部172を制御する。その結果、記憶部172は、各学習データDTを記憶する。
【0163】
記憶部172は学習プログラムPG2を記憶している。学習プログラムPG2は、複数の学習データDTの中から一定の規則を見出し、見出した規則を表現する学習済みモデルLMを生成するための機械学習アルゴリズムを実行するためのプログラムである。
【0164】
機械学習アルゴリズムは、特に限定されず、例えば、決定木、最近傍法、単純ベイズ分類器、サポートベクターマシン、又は、ニューラルネットワークである。従って、学習済みモデルLMは、決定木、最近傍法、単純ベイズ分類器、サポートベクターマシン、又は、ニューラルネットワークを含む。学習済みモデルLMを生成する機械学習において、誤差逆伝搬法を利用してもよい。
【0165】
例えば、ニューラルネットワークは、入力層、単数又は複数の中間層、及び、出力層を含む。具体的には、ニューラルネットワークは、ディープニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)、又は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)であり、ディープラーニングを行う。例えば、ディープニューラルネットワークは、入力層、複数の中間層、及び、出力層を含む。
【0166】
処理部171は、学習プログラムPG2に基づいて複数の学習データDTを機械学習する。その結果、複数の学習データDTの中から一定の規則が見出されて、学習済みモデルLMが生成される。つまり、学習済みモデルLMは、学習データDTを機械学習することで構築される。記憶部172は、学習済みモデルLMを記憶する。
【0167】
具体的には、処理部171は、学習プログラムPG2を実行することで、学習データDTに含まれる説明変数と目的変数との間における一定の規則を見出して、学習済みモデルLMを生成する。
【0168】
更に具体的には、処理部171は、学習プログラムPG2に基づいて複数の学習データDTを機械学習することによって、複数の学習済みパラメータを算出し、複数の学習済みパラメータが適用された1以上の関数を含む学習済みモデルLMを生成する。学習済みパラメータは、複数の学習データDTを用いた機械学習の結果に基づいて取得されるパラメータ(係数)である。
【0169】
学習済みモデルLMは、入力情報IF3を入力して、出力情報IF4を出力するように、コンピューターを機能させる。換言すれば、学習済みモデルLMは、入力情報IF3を入力して、出力情報IF4を出力する。具体的には、学習済みモデルLMは、基板Wの面内において処理液LQによる処理量が均一になるような処理条件を推定する。処理条件は、少なくとも、各グループに属する1以上の処理液供給部Anを示す情報、及び、各グループが処理液LQを供給すべきタイミングを示す情報を含む。
【0170】
次に、図16及び図17を参照して、第4変形例に係る学習方法を説明する。図17は、第4変形例に係る学習方法を示すフローチャートである。図17に示すように、学習方法は、工程S31~工程S34を含む。学習方法は、学習装置170によって実行される。
【0171】
図16及び図17に示すように、工程S31において、学習装置170の処理部171は、シミュレーション装置又は学習データ作成装置から複数の学習データDTを取得する。
【0172】
次に、工程S32において、処理部171は、学習プログラムPG2に基づいて複数の学習データDTを機械学習する。
【0173】
次に、工程S33において、処理部171は、学習終了条件を満たすか否かを判定する。学習終了条件は、機械学習を終了するために予め定められた条件である。学習終了条件は、例えば、反復回数が規定回数に到達したことである。
【0174】
工程S33で否定判定された場合は、処理は工程S31に進む。その結果、機械学習が繰り返される。
【0175】
一方、工程S33で肯定判定された場合は、処理は工程S34に進む。
【0176】
工程S34において、処理部171は、最新の複数のパラメータ(係数)つまり、複数の学習済みパラメータ(係数)を適用したモデル(1以上の関数)を、学習済みモデルLMとして出力する。そして、記憶部172は学習済みモデルLMを記憶する。
【0177】
以上、学習装置170が工程S31~工程S34を実行することで、学習済みモデルLMが生成される。
【0178】
すなわち、第4変形例によれば、学習装置170は、機械学習を行う。従って、非常に複雑かつ解析対象が膨大な学習データDTから規則性を見出して、精度の高い学習済みモデルLMを作成できる。そして、図14に示す制御装置160の制御部161は、学習済みモデルLMに対して、処理量の目標値を含む入力情報IF3を入力して、学習済みモデルLMから、処理条件の情報を含む出力情報IF4を出力させる。従って、各処理液供給部Anの設定を高速に実行できて、基板Wを処理する際のスループットを向上できる。
【0179】
なお、図14の制御装置160が、図16の学習装置170として動作してもよい。
【0180】
次に、図9(a)を参照して、学習データDTの生成方法について詳細に説明する。以下、気泡挙動シミュレーションを実行するシミュレーション装置が学習データDTを生成する例を説明する。また、以下の説明では、図9(a)に示す基板Wを「学習用基板Wa」とみなす。
【0181】
まず、シミュレーション装置に、処理条件情報Q2が入力される。処理条件情報Q2は、少なくとも、各学習用グループに属する1以上の学習用処理液供給部を示す情報と、各学習用グループが学習用処理液を供給するタイミングを示す情報とを含む。
【0182】
次に、シミュレーション装置は、処理条件情報Q2に基づいて、気泡の挙動をシミュレーションする。その結果、シミュレーション装置は、気泡の分布を示すシミュレーション結果を出力する。
【0183】
具体的には、次のようなシミュレーション結果が出力される。すなわち、図9(a)に示す学習用基板Waには、4個の監視ポイント12を頂点とする領域16が設定される。その結果、学習用基板Waには複数の領域16が設定される。図9(a)の例では、領域16は正方形である。また、1つの領域16に対して、1つの監視ポイント12が関連付けられる。例えば、領域16を示す正方形の右下角に位置する監視ポイント12が、領域16に関連付けられる。そして、監視ポイント12での気泡の通過数の累積値を、監視ポイント12に関連付けられた領域16における気泡の通過数の累積値として扱う。つまり、各領域16に対して、気泡の通過数の累積値が割り当てられる。よって、シミュレーション装置は、領域16ごとの気泡の通過数の累積値を、シミュレーション結果として出力する。
【0184】
次に、シミュレーション装置は、変換関数又は変換テーブルを利用して、領域16ごとに、気泡の通過数の累積値を、学習用処理液による学習用基板Waの処理量に変換する。その結果、学習用基板Waの領域16ごとに、処理量が得られる。つまり、学習用基板Waの面内における処理量の分布を示す処理量情報Q1が得られる。つまり、処理量情報Q1は、学習用処理液による学習用基板Waの領域16ごとの処理量を示す情報である。処理量は、例えば、学習用基板Waの領域16ごとのエッチングレート、学習用基板Waの領域16ごとのエッチング量、又は、学習用基板Waの領域16ごとの厚みを示す。
【0185】
なお、気泡の量と処理量との間には、正の相関(例えば、正比例の関係)があるため(図3図4参照)、予め、実験的に変換関数又は変換テーブルを導出しておく。
【0186】
ここで、様々な処理条件情報Q2をシミュレーション装置に入力することで、多数のシミュレーション結果が得られる。そして、多数のシミュレーション結果から、多数の処理量情報Q1が得られる。
【0187】
そして、シミュレーション装置は、多数の処理量情報Q1のうち、領域16ごとの処理量のバラツキが所定範囲内である処理量情報Q1と、当該処理量情報Q1に対応する処理条件情報Q2とを、学習データDTの処理量情報IF1及び処理条件情報IF2として取得する。例えば、シミュレーション装置は、多数の処理量情報Q1のうち、領域16ごとの処理量の標準偏差又は分散が閾値以下である処理量情報Q1と、当該処理量情報Q1に対応する処理条件情報Q2とを、学習データDTの処理量情報IF1及び処理条件情報IF2として取得する。
【0188】
そして、図16に示す学習装置170は、シミュレーション装置から、多数の学習データDTを取得し、多数の学習データDTを学習する。なお、学習データ作成装置が、シミュレーション装置からシミュレーション結果を取得して、シミュレーション結果に基づいて学習データDTを作成してもよい。
【0189】
以上、図9(a)及び図16を参照して説明したように、第4変形例では、学習用基板Waの面内における処理量のバラツキが小さい処理量情報IF1を含む学習データDTを学習することで、学習済みモデルLMが生成される。従って、学習済みモデルLMに入力情報IF3を入力して得られる出力情報IF4に基づいて、各処理液供給部Anを制御することで、基板Wの面内における処理量のバラツキを効果的に抑制できる。
【0190】
ここで、詳細には、入力情報IF3は、処理液LQによる基板Wの領域15ごとの処理量の目標値を示す情報を含む。基板Wの複数の領域15は、それぞれ、学習用基板Waの複数の領域16に対応する。処理量は、例えば、基板Wの領域15ごとのエッチングレート、基板Wの領域15ごとのエッチング量、又は、基板Wの領域15ごとの厚みを示す。
【0191】
入力情報IF3において、基板Wの複数の領域15における処理量の目標値は、同じ値に設定される。基板Wの面内における処理量のバラツキを抑制するためである。また、入力情報IF3における処理量の目標値は、上限値及び下限値によって規定される幅を有していてもよい。
【0192】
また、出力情報IF4は、少なくとも、各グループに属する1以上の処理液供給部Anを示す情報と、各グループが処理液LQを供給すべきタイミングを示す情報とを含む。この場合、「タイミング」は、グループの順番、及び、各グループの実施期間を含む。
【0193】
なお、処理量情報IF1及び処理量情報Q1は、学習用基板Waの領域16ごとの気泡の通過数の累積値であってもよい。この場合、入力情報IF3は、基板Wの領域15ごとの気泡BBの通過数の累積値の目標値である。
【0194】
また、処理条件情報IF2及び処理条件情報Q2は、学習用処理液供給部からの学習用処理液の流量の情報を含んでいてもよい。この場合、出力情報IF4は、処理液供給部Anからの処理液LQの流量の情報を含む。
【0195】
更に、処理条件情報IF2及び処理条件情報Q2は、学習用処理液の種類、濃度、及び、温度のうちの1以上の情報を含んでいてもよい。この場合、出力情報IF4は、処理液LQの種類、濃度、及び、温度のうちの1以上の情報を含む。
【0196】
更に、処理条件情報IF2及び処理条件情報Q2は、学習用基板Waの直径、厚み、及び、接触角のうちの1以上の情報を含んでいてもよい。この場合、出力情報IF4は、基板Wの直径、厚み、及び、接触角のうちの1以上の情報を含む。
【0197】
更に、処理条件情報IF2及び処理条件情報Q2は、学習用気泡供給管に供給する学習用気体の流量、学習用気泡供給管における学習用気泡孔の間隔、及び、学習用気泡供給管の使用態様のうちの1以上の情報を含んでいてもよい。この場合、出力情報IF4は、気泡供給管1に供給する気体GAの流量、気泡供給管1における気泡孔2の間隔、及び、気泡供給管1の使用態様のうちの1以上の情報を含む。
【0198】
なお、学習用気泡供給管は、気泡挙動シミュレーションにおいて、上記実施形態1の気泡供給管1に対応する仮想の気泡供給管であり、学習用として利用される。学習用気体及び学習用気泡孔は、気泡挙動シミュレーションにおいて、上記実施形態1の気体GA及び気泡孔2に対応する仮想の気体及び気泡孔であり、学習用として利用される。
【0199】
(第5変形例)
図18図20を参照して、実施形態1の第5変形例を説明する。第5変形例では、処理液LQとしてリンス液を使用する。以下、第5変形例が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0200】
まず、図18の第1参考例及び図19の第2参考例を参照して、基板W上の薬液をリンス液に置換する際の傾向を説明する。第5変形例、第1参考例及び第2参考例では、基板Wは、シリコン基板とパターンとを有する。シリコン基板は略円板形状を有する。パターンはシリコン基板上に形成される。パターンは積層膜を含む。積層膜は、複数のポリシリコン膜と、複数の酸化シリコン膜とを含む。複数のポリシリコン膜及び複数の酸化シリコン膜は、ポリシリコン膜と酸化シリコン膜とが交互に入れ替わるように、基板Wの厚み方向に沿って積層されている。厚み方向は、シリコン基板の表面に略直交する方向を示す。また、第1薬液201としてBHFを使用し、第2薬液211としてTMAHを使用する。なお、第2薬液211は、TMAH及びIPAを含んでいてもよい。第2薬液211がIPAを含むことにより、基板Wのパターンの凹部が微細であっても、凹部内に、第2薬液211が浸透し易くなる。
【0201】
まず、図18を参照して第1参考例を説明する。図18は、第2薬液211をリンス液221に置換する際の第1参考例に係る基板処理方法を示す図である。第1参考例では、同一槽(第2薬液槽210)で第2薬液211による薬液処理とリンス液221によるリンス処理とを実行する。
【0202】
図18に示すように、第1参考例に係る基板処理方法は、工程S201~工程S203を含む。
【0203】
まず、工程S201において、第1薬液槽200の第1薬液201に基板Wを浸漬して、第1薬液201によって基板Wをエッチングする。具体的には、第1薬液201によって基板Wの積層膜に単数又は複数の凹部を形成する。凹部は、例えば、トレンチ又はホールである。凹部において、ポリシリコン膜及び酸化シリコン膜が露出する。第1薬液槽200によるエッチング後に、基板Wは、第1薬液槽200から引き上げられ、第2薬液槽210に搬送される。
【0204】
次に、工程S202において、第2薬液槽210の第2薬液211に基板Wを浸漬して、第2薬液211によって基板Wをエッチングする。具体的には、第2薬液211によって、基板Wの積層膜に形成された凹部においてポリシリコン膜をエッチングする。更に具体的には、基板Wの凹部において、第2薬液211によって、基板Wの厚み方向に略垂直な方向にポリシリコン膜をエッチングする。
【0205】
詳細には、第2薬液槽210による工程S202は、工程S2021~工程S2023を含む。
【0206】
まず、工程S2021では、第2薬液槽210にリンス液221が貯留される。そして、基板Wが、第2薬液槽210のリンス液221に浸漬され、リンス液221によってリンスされる。
【0207】
次に、工程S2022では、リンス液221が貯留された第2薬液槽210に第2薬液211が供給される。図18の例では、時刻t1において、リンス液221が貯留された第2薬液槽210に対して第2薬液211の供給を開始する。その結果、第2薬液槽210のリンス液221が第2薬液211に徐々に入れ替わる。よって、基板Wが第2薬液211によってエッチングされる。
【0208】
この場合、基板W上において、リンス液221から第2薬液211への置換は、基板Wの外周縁から基板Wの中心に向かって進行する。従って、基板Wの面内において、基板Wの内側領域AR2よりも外側領域AR1のほうが、第2薬液211への置換の進行が速い。その結果、外側領域AR1のエッチング量が内側領域AR2のエッチング量よりも多い場合がある。つまり、内側領域AR2のエッチング量が外側領域AR1のエッチング量よりも少ない場合がある。
【0209】
その後、内側領域AR2においても、リンス液221が第2薬液211に置換される。その結果、基板Wの面内全域が、第2薬液211によってエッチングされる。
【0210】
次に、工程S2023では、第2薬液211が貯留された第2薬液槽210にリンス液221が供給される。図18の例では、時刻t2において、第2薬液211が貯留された第2薬液槽210に対してリンス液221の供給を開始する。その結果、第2薬液槽210の第2薬液211がリンス液221に徐々に入れ替わる。よって、基板Wがリンス液221によってリンスされる。
【0211】
この場合、基板W上において、第2薬液211からリンス液221への置換は、基板Wの外周縁から基板Wの中心に向かって進行する。従って、基板Wの面内において、内側領域AR2よりも外側領域AR1のほうが、第2薬液211からリンス液221への置換の進行が速い。その結果、内側領域AR2に残留した第2薬液211によって、内側領域AR2がエッチングされる場合がある。
【0212】
その後、内側領域AR2においても、第2薬液211がリンス液221に置換される。その結果、基板Wの面内全域が、リンス液221によってリンスされる。
【0213】
以上、工程S2022の薬液処理では、基板Wの内側領域AR2のエッチング量が外側領域AR1のエッチング量よりも少ない場合がある。一方、工程S2023のリンス処理では、内側領域AR2がエッチングされる場合がある。その結果、工程S2022におけるエッチングと、工程S2023におけるエッチングとが、相補の関係になる。つまり、工程S2022でエッチング量の少ない内側領域AR2が、工程S2023において残留した第2薬液211によってエッチングされる。よって、工程S202においては、基板Wの面内全域にわたってエッチング量が均一になる。
【0214】
第2薬液211によってエッチングされた基板Wは、第2薬液槽210によるリンス後に、第2薬液槽210から引き上げられ、乾燥槽220に搬送される。
【0215】
次に、工程S203において、基板Wは乾燥槽220において乾燥される。そして、第1参考例に係る基板処理方法は終了する。
【0216】
以上、図18を参照して説明したように、第1参考例では、同一槽(第2薬液槽210)において、リンス処理と薬液処理とを実行する。従って、1ロット(例えば、25枚又は50枚)の基板Wに対する処理が終了するたびに、リンス液221及び第2薬液211を廃棄する必要がある。そこで、リンス液221及び第2薬液211を複数のロットで再利用するために、リンス処理と薬液処理とを異なる槽で実行する。
【0217】
次に、図19を参照して第2参考例を説明する。図19は、第2薬液211をリンス液241に置換する際の第2参考例に係る基板処理方法を示す図である。第2参考例では、異なる槽(第2薬液槽210及び第2リンス槽240)で第2薬液211による薬液処理とリンス液241によるリンス処理とを実行する。
【0218】
図19に示すように、第2参考例に係る基板処理方法は、工程S211~工程S215を含む。
【0219】
まず、工程S211において、第1薬液槽200の第1薬液201に基板Wを浸漬して、第1薬液201によって基板Wをエッチングする。この点は、図18の工程S201と同様である。第1薬液槽200によるエッチング後に、基板Wは、第1薬液槽200から引き上げられ、第1リンス槽230に搬送される。
【0220】
次に、工程S212において、第1リンス槽230のリンス液231に基板Wを浸漬して、リンス液231によって基板Wをリンスする。第1リンス槽230によるリンス後に、基板Wは、第1リンス槽230から引き上げられ、第2薬液槽210に搬送される。
【0221】
次に、工程S213において、第2薬液槽210の第2薬液211に基板Wを浸漬して、第2薬液211によって基板Wをエッチングする。この点は、図18の工程S202と同様である。ただし、工程S213では、第2薬液槽210においてリンス処理は実行されない。つまり、第2薬液槽210には、リンス液が貯留されることはなく、第2薬液211だけが貯留される。従って、工程S213においては、基板Wの面内全域にわたってエッチング量が均一になる。第2薬液槽210の第2薬液211によるエッチング後に、基板Wは、第2薬液槽210から引き上げられ、第2リンス槽240に搬送される。
【0222】
次に、工程S214において、第2リンス槽240のリンス液241に基板Wを浸漬して、リンス液241によって基板Wをリンスする。
【0223】
具体的には、リンス液241に浸漬された基板W上において、第2薬液211からリンス液241への置換は、基板Wの外周縁から基板Wの中心に向かって進行する。従って、基板Wの面内において、内側領域AR2よりも外側領域AR1のほうが、第2薬液211からリンス液241への置換の進行が速い。その結果、内側領域AR2に残留した第2薬液211によって、内側領域AR2がエッチングされる場合がある。
【0224】
その後、内側領域AR2においても、第2薬液211がリンス液241に置換される。その結果、基板Wの面内全域が、リンス液241によってリンスされる。
【0225】
第2リンス槽240のリンス液241によるリンス後に、基板Wは、第2リンス槽240から引き上げられ、乾燥槽220に搬送される。
【0226】
次に、工程S215において、基板Wは乾燥槽220において乾燥される。そして、第2参考例に係る基板処理方法は終了する。
【0227】
以上、図19を参照して説明したように、工程S214では、基板Wの内側領域AR2は、残留した第2薬液211によってエッチングされる場合があるため、基板Wの面内においてエッチング量が均一にならない場合がある。つまり、基板Wの面内においてエッチング量にムラが発生する可能性がある。
【0228】
特に、第2薬液211によるエッチング時間が短いほど、第2リンス槽240における第2薬液211の残留の影響が大きくなる。なぜなら、エッチング時間が短いことは、エッチングレートが高いことを示しているため、第2リンス槽240における基板W上の第2薬液211の残留によって、エッチングが進行してしまうからである。
【0229】
そこで、基板Wの面内全域にわたってエッチング量を均一にするために、実施形態1の第5変形例に係る基板処理装置300(図20)は、図19の第2リンス槽240に代えて、図1の処理槽110及び周辺部材を備える。
【0230】
図20は、実施形態1の第5変形例に係る基板処理装置300による基板処理方法を示す図である。図20に示すように、基板処理装置300は、第1薬液槽200と、第1リンス槽230と、第2薬液槽210と、図1の処理槽110及び周辺部材と、乾燥槽220とを備える。処理槽110の周辺部材は、処理液供給部An及び気泡供給部135を含む。気泡供給部135は複数の気泡供給管1を含む。
【0231】
第5変形例では、処理槽110には、処理液LQとしてリンス液が貯留されている。つまり、処理液LQはリンス液である。以下、第5変形例において、リンス液を「リンス液111」と記載する。第1薬液槽200、第1リンス槽230、第2薬液槽210、及び、乾燥槽220は、それぞれ、図19の第2参考例に係る第1薬液槽200、第1リンス槽230、第2薬液槽210、及び、乾燥槽220と同様であり、説明を省略する。
【0232】
基板処理装置300による基板処理方法は、工程S301~工程S305を含む。工程S301、S302、S303、及び、工程S305は、それぞれ、図19の第2参考例に係る工程S211、S212、S213、及び、工程S215と同様であり、説明を省略する。
【0233】
工程S303において第2薬液槽210の第2薬液211によるエッチング後に(つまり、第2薬液211による処理後に)、基板Wは、第2薬液槽210から引き上げられ、処理槽110に搬送される。
【0234】
次に、工程S304において、処理槽110のリンス液111に基板Wを浸漬して、リンス液111によって基板Wをリンスする。
【0235】
具体的には、図1及び図20に示すように、基板保持部120は、処理槽110とは別の第2薬液槽210に貯留された第2薬液211による処理後の基板Wを、処理槽110に貯留されたリンス液111に浸漬する。第5変形例では、第2薬液211による処理は、第2薬液211によるエッチングを示す。第2薬液槽210は、本発明の「薬液槽」の一例に相当する。第2薬液211は、本発明の「薬液」の一例に相当する。
【0236】
気泡供給部135(気泡供給管1)は、基板Wの下方からリンス液111に対して、複数の気泡BBを供給する。1以上の処理液供給部Anから、気泡BBに向けてリンス液111を供給することで、気泡BBの挙動を制御する。その結果、基板Wの表面及びその近傍において、気泡BBの量に偏りが生じることを抑制できる。つまり、基板Wの表面及びその近傍において、気泡BBが不足している領域を低減できる。
【0237】
複数の気泡BB(多数の気泡BB)は、基板W上において、第2薬液211からリンス液111への置換を促進する。従って、第5変形例によれば、基板Wの外側領域AR1よりも第2薬液211が残留し易い内側領域AR2においても、第2薬液211がリンス液111に速やかに置換される。その結果、気泡BBを供給しない場合(例えば、図19に示す第2参考例)と比較して、基板Wの面内全域にわたって処理量(例えば、エッチング量)を略均一にすることができる。つまり、基板Wの面内において処理量(例えば、エッチング量)にムラが発生することを抑制できる。特に、気泡BBを供給しない場合と比較して、複数の気泡BB(多数の気泡BB)によって、基板Wの面内全域において、第2薬液211からリンス液111への置換速度を速くすることができる。つまり、リンス処理のスループットを向上できる。
【0238】
気泡BBが基板W上(基板W表面)において第2薬液211からリンス液111への置換を促進する理由として、例えば、気泡BBの上昇流によって、基板Wの表面に乱流が発生し、基板Wの表面の第2薬液211がリンス液111に置換され易くなることが考えられる。換言すれば、気泡BBの上昇流によって、基板Wの表面に乱流が発生し、基板Wの表面において、第2薬液211及びリンス液111が滞留することを抑制できる。更に換言すれば、気泡BBの上昇流によって、基板Wの表面に新鮮なリンス液111を効果的に送り込むことができる。
【0239】
また、第5変形例において、基板Wの面内において処理量(例えば、エッチング量)にムラが発生することを抑制できる理由として、次のことが考えられる。すなわち、処理液供給部Anから供給されるリンス液111による処理槽110内の不均一な流れが複数の気泡BBの上昇流によって整流される。その結果、基板Wの外側領域AR1と内側領域AR2とで、第2薬液211からリンス液111への置換効率が同等になると考えられる。よって、基板Wの面内において処理量にムラが発生することを抑制できる。
【0240】
なお、例えば、気泡BBを供給しない場合、処理液供給部Anから供給されるリンス液111に起因する処理槽110内の流れによって、リンス液111は、基板Wの内側領域AR2よりも外側領域AR1に流れ易い場合がある。従って、気泡BBを供給しない場合、基板Wの内側領域AR2に第2薬液211及びリンス液111が滞留し易い場合がある。そこで、第5変形例では、気泡BBを供給することで、処理液供給部Anから供給されるリンス液111による処理槽110内の不均一な流れが複数の気泡BBの上昇流によって整流される。その結果、基板Wの外側領域AR1と内側領域AR2とで、第2薬液211からリンス液111への置換効率が同等になると考えられる。
【0241】
更に、第5変形例によれば、第1リンス槽230でリンス液231によるリンス処理を行い、第2薬液槽210で第2薬液211による薬液処理を行い、処理槽110でリンス液111によるリンス処理を行っている。つまり、リンス処理と薬液処理とが異なる槽で実行される。従って、ロットごとにリンス液231、111及び第2薬液211を交換することが要求されない。その結果、第1参考例(図18)と比較して、リンス液231、111及び第2薬液211の使用量を低減できる。つまり、リンス液231、111及び第2薬液211を再利用できる。従って、リンス液231、111及び第2薬液211の廃棄量を低減できる。
【0242】
(実施形態2)
図21図25を参照して、本発明の実施形態2に係る基板処理装置300を説明する。実施形態2に係る基板処理装置300は、図1の気泡供給部135及び気泡調整部140に代えて、流体供給部155及び流体調整部145を備える。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0243】
図21は、実施形態2に係る基板処理装置300を示す模式的平面図である。基板処理装置300は、複数のロットを処理する。複数のロットの各々は複数の基板Wからなる。図21に示すように、基板処理装置300は、複数の収納部21と、投入部23と、払出部27と、受け渡し機構31と、バッファユニットBUと、搬送機構CVと、処理部SP1と、制御装置160とを備える。制御装置160(制御部161)は、収納部21、投入部23、払出部27、受け渡し機構31、バッファユニットBU、搬送機構CV、及び、処理部SP1を制御する。処理部SP1は複数の槽TAを含む。搬送機構CVは、第1搬送機構CTCと、第2搬送機構WTRと、副搬送機構LF1と、副搬送機構LF2と、副搬送機構LF3とを含む。
【0244】
処理部SP1は、乾燥処理部37と、第1処理部39と、第2処理部40と、第3処理部41とを含む。乾燥処理部37は、複数の槽TAのうちの槽LPD1及び槽LPD2を含む。第1処理部39は、複数の槽TAのうちの槽ONB1及び槽CHB1を含む。第2処理部40は、複数の槽TAのうちの槽ONB2及び槽CHB2を含む。第3処理部41は、複数の槽TAのうちの槽ONB3及び槽CHB3を含む。
【0245】
複数の収納部21の各々は、複数の基板Wを収容する。各基板Wは水平姿勢で収納部21に収容される。収納部21は、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)である。
【0246】
未処理の基板Wを収納する収納部21は、投入部23に載置される。具体的には、投入部23は複数の載置台25を含む。そして、2つの収納部21が、それぞれ、2つの載置台25に載置される。投入部23は、基板処理装置300の長手方向の一方端に配置される。
【0247】
処理済みの基板Wを収納する収納部21は、払出部27に載置される。具体的には、払出部27は複数の載置台29を含む。そして、2つの収納部21が、それぞれ、2つの載置台29に載置される。払出部27は、処理済みの基板Wを収納部21に収納して収納部21ごと払い出す。払出部27は、基板処理装置300の長手方向の一方端に配置される。払出部27は、投入部23に対して、基板処理装置300の長手方向に直交する方向に対向している。
【0248】
バッファユニットBUは、投入部23及び払出部27に隣接して配置される。バッファユニットBUは、投入部23に載置された収納部21を基板Wごと内部に取り込むとともに、棚(不図示)に収納部21を載置する。また、バッファユニットBUは、処理済みの基板Wを受け取って収納部21に収納するとともに、棚に収納部21を載置する。バッファユニットBU内には、受け渡し機構31が配置されている。
【0249】
受け渡し機構31は、投入部23及び払出部27と棚との間で収納部21を受け渡す。また、受け渡し機構31は、受け渡し機構31と搬送機構CVとの間で基板Wのみの受け渡しを行う。具体的には、受け渡し機構31は、受け渡し機構31と搬送機構CVとの間でロットの受け渡しを行う。搬送機構CVは、処理部SP1に対してロットを搬入及び搬出する。具体的には、搬送機構CVは、処理部SP1の槽TAの各々に対してロットを搬入及び搬出する。処理部SP1は、ロットの各基板Wを処理する。
【0250】
具体的には、受け渡し機構31は、受け渡し機構31と搬送機構CVの第1搬送機構CTCとの間でロットの受け渡しを行う。第1搬送機構CTCは、受け渡し機構31から受け取ったロットの複数の基板Wの姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変換した後、第2搬送機構WTRにロットを受け渡す。また、第1搬送機構CTCは、第2搬送機構WTRから処理済みのロットを受け取った後、ロットの複数の基板Wの姿勢を垂直姿勢から水平姿勢へと変換して、ロットを受け渡し機構31に受け渡す。
【0251】
第2搬送機構WTRは、基板処理装置300の長手方向に沿って、処理部SP1の乾燥処理部37から第3処理部41まで移動可能である。従って、第2搬送機構WTRは、乾燥処理部37、第1処理部39、第2処理部40、及び第3処理部41に対して、ロットを搬入及び搬出する。
【0252】
乾燥処理部37はロットに対して乾燥処理を行う。具体的には、乾燥処理部37の槽LPD1及び槽LPD2の各々が、ロットを収納してロットの複数の基板Wに対して乾燥処理を行う。第2搬送機構WTRは、槽LPD1及び槽LPD2の各々に対してロットを搬入及び搬出する。
【0253】
乾燥処理部37に隣接して第1処理部39が配置されている。第1処理部39の槽ONB1は、例えば、ロットの複数の基板Wに対してリンス液によるリンス処理を行う。槽CHB1は、例えば、ロットの複数の基板Wに対して薬液による処理(例えば、エッチング処理)を行う。
【0254】
搬送機構CVの副搬送機構LF1は、第1処理部39内でのロットの搬送の他に、第2搬送機構WTRとの間でロットの受け渡しを行う。また、副搬送機構LF1は、ロットを槽ONB1又は槽CHB1に浸漬したり、ロットを槽ONB1又は槽CHB1から引き上げたりする。
【0255】
第1処理部39に隣接して第2処理部40が配置されている。第2処理部40の槽ONB2は、槽ONB1と同様の構成を有しており、槽ONB1と同様の処理を行う。槽CHB2は、槽CHB1と同様の構成を有しており、槽CHB1と同様の処理を行う。搬送機構CVの副搬送機構LF2は、第2処理部40内でのロットの搬送の他に、第2搬送機構WTRとの間でロットの受け渡しを行う。また、副搬送機構LF2は、ロットを槽ONB2又は槽CHB2に浸漬したり、ロットを槽ONB2又は槽CHB2から引き上げたりする。
【0256】
第2処理部40に隣接して第3処理部41が配置されている。第3処理部41の槽ONB3は、槽ONB1と同様の構成を有しており、槽ONB1と同様の処理を行う。槽CHB3は、槽CHB1と同様の構成を有しており、槽CHB1と同様の処理を行う。搬送機構CVの副搬送機構LF3は、第3処理部41内でのロットの搬送の他に、第2搬送機構WTRとの間でロットの受け渡しを行う。また、副搬送機構LF3は、ロットを槽ONB3又は槽CHB3に浸漬したり、ロットを槽ONB3又は槽CHB3から引き上げたりする。
【0257】
以下、実施形態2では、槽LPD1、LPD2を乾燥槽LPD1、LPD2と記載する。槽ONB1を第1リンス槽ONB1と記載し、槽ONB2を第2リンス槽ONB2と記載し、槽ONB3を第3リンス槽ONB3と記載する。槽CHB1を第1薬液槽CHB1と記載し、槽CHB2を第2薬液槽CHB2と記載し、槽CHB3を第3薬液槽CHB3と記載する。
【0258】
第1薬液槽CHB1には、第1薬液が貯留される。第1薬液は、例えば、BHFである。第2薬液槽CHB2には、第2薬液が貯留される。第2薬液は、例えば、TMAHである。なお、第2薬液は、TMAH及びIPAを含んでいてもよい。第2薬液槽CHB2は、本発明の「薬液槽」の一例に相当する。第2薬液は、本発明の「薬液」の一例に相当する。第2リンス槽ONB2は、本発明の「リンス槽」の一例に相当する。
【0259】
次に、図22を参照して、第2リンス槽ONB2を説明する。図22は、第2リンス槽ONB2を示す模式的断面図である。図22に示すように、基板処理装置300の第2処理部40の構成は、図1の基板処理装置100の構成と同様である。ただし、第2処理部40は、図1の気泡供給部135に代えて、流体供給部155を備える。また、第2処理部40は、図1の気泡調整部140に代えて、流体調整部145を備える。また、第2処理部40は、図1の処理槽110に代えて、第2リンス槽ONB2を備える。第2リンス槽ONB2の構成は、図1の処理槽110の構成と同様である。
【0260】
実施形態2では、処理液LQはリンス液である。以下、処理液LQとしてのリンス液を「リンス液111」と記載する。第2リンス槽ONB2はリンス液111を貯留する。第2リンス槽ONB2は、互いに対向する第1側壁116及び第2側壁117を含む。
【0261】
処理液供給部Anは、リンス液111を第2リンス槽ONB2(具体的には内槽112)の内部に供給する。従って、実施形態2では、処理液流量調整部130は、処理液供給部Anごとに、処理液供給部Anに供給するリンス液111の流量を調整する。処理液供給部Anは第2リンス槽ONB2に配置される。その他、実施形態2に係る処理液供給部An及び処理液流量調整部130の動作は、実施形態1に係る処理液供給部An及び処理液流量調整部130の動作と同様である。
【0262】
処理液供給部Anは、本発明の「リンス液供給部」の一例に相当する。また、実施形態2では、処理液流量調整部130は、「リンス液流量調整部」と捉えることができる。
【0263】
具体的には、複数の処理液供給部Anは、少なくとも1つの第1処理液供給部Anを含む。実施形態2では、複数の処理液供給部Anは、2以上の第1処理液供給部An(A1~A3)を含む。第1処理液供給部An(A1~A3)は、第1側壁116の側に配置され、第2リンス槽ONB2の内部にリンス液111を供給する。複数の処理液供給部Anは、少なくとも1つの第2処理液供給部Anを含む。実施形態2では、複数の処理液供給部Anは、2以上の第2処理液供給部An(A4~A6)を含む。第2処理液供給部An(A4~A6)は、第2側壁117の側に配置され、第2リンス槽ONB2の内部にリンス液111を供給する。第1処理液供給部An(A1~A3)は、本発明の「第1リンス液供給部」の一例に相当する。第2処理液供給部An(A4~A6)は、本発明の「第2リンス液供給部」の一例に相当する。
【0264】
基板保持部120は、基板Wを保持し、第2リンス槽ONB2に貯留されたリンス液111に基板Wを浸漬する。なお、副搬送機構LF2は、基板保持部120及び昇降ユニット126を含む。また、副搬送機構LF1、LF3の構成は、副搬送機構LF2の構成と同様である。
【0265】
流体供給部155は、第2薬液槽CHB2の内部に配置される。流体供給部155は、第2薬液槽CHB2のリンス液111中に、流体調整部145から供給される流体FLを供給する。流体FLは、液体又は気体である。流体FLが液体である場合、流体FLは、例えば、リンス液である。流体FLが気体である場合、気体は、例えば、不活性ガスである。不活性ガスは、例えば、窒素又はアルゴンである。なお、流体FLが気体である場合は、流体供給部155は図1の気泡供給部135と同様である。
【0266】
流体供給部155は、少なくとも1つの流体供給管1Aを含む。実施形態2では、流体供給部155は、複数の流体供給管1Aを含む。図22の例では、流体供給部155は、6本の流体供給管1Aを含む。なお、流体供給管1Aの数は、特に限定されない。流体供給管1Aの素材は、図1の気泡供給管1の素材と同様である。
【0267】
流体供給管1Aの構成は、図1の気泡供給管1の構成と同様である。具体的には、複数の流体供給管1Aの各々は、複数の流体孔2Aを有する。図22の例では、流体孔2Aは鉛直方向Dに沿って上方を向いている。流体供給管1Aは、流体調整部145から供給される流体FLを流体孔2Aから吐出することで、リンス液111中に流体FLを供給する。
【0268】
複数の流体供給管1Aは、平面視において、互いに略平行に、かつ、間隔をあけて配置される。その他、複数の流体供給管1Aの配置は、図1及び図2の複数の気泡供給管1の配置と同様である。また、複数の流体供給管1Aの各々において、複数の流体孔2Aが、流体供給管1Aの延びる方向に間隔をあけて略一直線上に配置される。その他、流体孔2Aの構成及び配置は、図1及び図2の気泡孔2の構成及び配置と同様である。
【0269】
詳細には、複数の流体供給管1Aの各々は、基板Wがリンス液111に浸漬された状態において、基板Wの下方からリンス液111に対して、複数の流体孔2Aの各々から流体FLを供給する。
【0270】
流体調整部145は、流体供給管1Aごとに、流体供給管1Aに供給する流体FLの流量を調整することで、リンス液111に供給する流体FLの量を調整する。流体FLの流量の調整は、流体FLの流量を一定にすること、流体FLの流量を増加させること、流体FLの流量を減少させること、及び、流体FLの流量をゼロにすることを含む。実施形態2では、流体調整部145は、流体供給管1Aごとに、流体供給管1Aへの流体FLの供給と供給停止とを切り替える。なお、流体FLが気体である場合は、流体調整部145は図1の気泡調整部140と同様である。
【0271】
流体調整部145は、複数の流体供給管1Aにそれぞれ対応して複数の流体調整機構147を含む。また、複数の供給配管P4は、それぞれ、複数の流体調整機構147に対応して設けられる。供給配管P4の一端が、対応する流体供給管1Aに接続される。供給配管P4の他端が、共通配管P3に接続される。共通配管P3は流体供給源TKCに接続される。
【0272】
複数の流体調整機構147は、それぞれ、複数の供給配管P4に配置される。流体調整機構147は、流体供給源TKC及び共通配管P3から供給される流体FLを、対応する供給配管P4を通して、対応する流体供給管1Aに供給する。また、流体調整機構147は、対応する流体供給管1Aに供給する流体FLの流量を調整する。その結果、流体供給管1Aごとに、リンス液111に供給される流体FLの量が調整される。実施形態2では、流体調整機構147は、対応する流体供給管1Aへの流体FLの供給と供給停止とを切り替える。
【0273】
流体調整機構147は、図2の気泡調整機構142と同様の構成を有する。例えば、流体調整機構147は、流量調整バルブと、流量計と、フィルターと、バルブとを含む。なお、例えば、流体調整機構147は、流量調整バルブ及び流量計に代えて、マスフローコントローラーを備えてもよい。
【0274】
制御装置160(制御部161)は、第2処理部40の各構成及び副搬送機構LF2の各構成を制御する。
【0275】
次に、図23を参照して、第2薬液槽CHB2を説明する。図23は、第2薬液槽CHB2を示す模式的断面図である。図23に示すように、第2処理部40は、第2薬液槽CHB2と、薬液導入部425と、排液部470と、気泡調整部480と、気泡供給部400とを備える。第2薬液槽CHB2は、内槽405と、外槽410とを含む。
【0276】
第2薬液槽CHB2は第2薬液LQBを貯留する。具体的には、内槽405が、複数の基板Wが浸漬される第2薬液LQBを貯留する。外槽410は、内槽405の外側に配置され、内槽405を囲む。外槽410には、内槽405に貯留された第2薬液LQBのうち内槽405から溢れた第2薬液LQBが流入する。
【0277】
副搬送機構LF2は、基板保持部120及び昇降ユニット126を含む。基板保持部120は、内槽405に貯留された第2薬液LQBに、間隔をあけて整列した複数の基板Wを浸漬する。その結果、基板Wは第2薬液LQBによって処理される。
【0278】
気泡供給部400は、内槽405に貯留された第2薬液LQBに気体GA1を供給する。気体GA1は、例えば、不活性ガスである。不活性ガスは、例えば、窒素又はアルゴンである。具体的には、気泡供給部400は、内槽405に貯留された第2薬液LQBに気体GA1の気泡BB1を供給する。
【0279】
詳細には、気泡供給部400は、内槽405の内部に配置される。気泡供給部400は少なくとも1つの気泡供給管51を含む。実施形態2では、気泡供給部400は、複数の気泡供給管51を含む。複数の気泡供給管51は内槽405の底部側に配置される。複数の気泡供給管51の各々は複数の気泡孔H1を有する。
【0280】
複数の気泡供給管51の各々は、複数の気泡孔H1の各々から気体GA1を吐出することで、各気泡孔H1から第2薬液LQBに気泡BB1を供給する。気泡供給管51は、例えば、バブラー管である。
【0281】
気泡調整部480は、気泡供給部400に供給する気体GA1の流量を調節することが可能である。具体的には、気泡調整部480は、気泡供給部400に供給する気体GA1の流量を調節することで、気泡供給部400が第2薬液LQBに供給する気泡BB1の量を調節することが可能である。
【0282】
具体的には、気泡調整部480は、気体供給源TKDから供給される気体GA1を、複数の供給配管481から、それぞれ、複数の気泡供給管51に供給する。更に具体的には、気泡調整部480は、複数の気泡調整機構482を含む。気泡調整機構482は、気体GA1を、対応する供給配管481を介して、対応する気泡供給管51に供給する。また、気泡調整機構482は、対応する気泡供給管51に供給する気体GA1の流量を調節することが可能である。
【0283】
その他、気泡調整部480の構成及び動作は、図1の気泡調整部140の構成及び動作と同様である。気泡調整機構482の構成及び動作は、図1の気泡調整機構142の構成及び動作と同様である。また、気泡供給部400の構成及び動作は、図1の気泡供給部135の構成及び動作と同様である。気泡供給管51の構成及び動作は、図1の気泡供給管1の構成及び動作と同様である。
【0284】
薬液導入部425は、外槽410に貯留された第2薬液LQBを内槽405に導入する。その結果、内槽405と外槽410との間で第2薬液LQBが循環される。
【0285】
薬液導入部425は、導入部430と、循環部440とを含む。
【0286】
導入部430は、内槽405に第2薬液LQBを導入する。導入部430は、内槽405の内部において気泡供給部400(具体的には気泡供給管51)の下方に配置される。
【0287】
具体的には、導入部430はプレート42を含む。プレート42は、内槽405の内部を分割して、処理室413と導入室415とを形成する。処理室413は、内槽405の内部において、プレート42よりも上方の室である。導入室415は、内槽405の内部において、プレート42よりも下方の室である。
【0288】
プレート42は複数の薬液孔Pを有する。薬液孔Pはプレート42の全面に配置される。複数の気泡供給管51は、内槽405の内部において、プレート42の上方、かつ、基板Wの下方に配置される。
【0289】
導入部430は、第2薬液LQBが内槽405に貯留された状態において、複数の薬液孔Pから上方に向けて、内槽405に第2薬液LQBを導入する。従って、導入部430は、循環部440から供給される第2薬液LQBの層流を発生できる。第2薬液LQBの層流は、複数の薬液孔Pから略鉛直方向Dに沿って上方に流れる。
【0290】
具体的には、導入部430は、少なくとも1つの吐出部431と、少なくとも1つの分散板432とを含む。吐出部431は、例えば、ノズル又は管である。分散板432は、例えば、略平板状である。吐出部431及び分散板432は導入室415に配置される。
【0291】
吐出部431は、循環部440から供給された第2薬液LQBを分散板432に向けて吐出する。従って、第2薬液LQBは、分散板432に突き当たり、第2薬液LQBの圧力が分散板432によって分散される。そして、分散板432によって圧力の分散された第2薬液LQBは、導入室415において略水平方向に拡がる。更に、第2薬液LQBは、プレート42の各薬液孔Pから上方に向かって層流として処理室413に供給される。
【0292】
循環部440は、内槽405から溢れて外槽410に流入した第2薬液LQBを導入部430に供給することで、内槽405内の第2薬液LQBを循環させる。
【0293】
具体的には、循環部440は、循環配管441、ポンプ442、ヒーター443、フィルター444、調整バルブ445、及び、バルブ446を含む。
【0294】
循環配管441は、外槽410と内槽405とを接続する。そして、循環配管441は、内槽405から溢れて外槽410に流入した第2薬液LQBを再び内槽405に導く。循環配管441の下流端に、導入部430(具体的には吐出部431)が接続される。
【0295】
ポンプ442は、循環配管441を介して外槽410から内槽405に向けて第2薬液LQBを送出する。吐出部431は、循環配管441から供給された第2薬液LQBを吐出する。フィルター444は、循環配管441を流れる第2薬液LQBをろ過する。
【0296】
ヒーター443は、循環配管441を流れる第2薬液LQBを加熱する。調整バルブ445は、調整バルブ445の開度が制御されることで、吐出部431に供給される第2薬液LQBの流量を調整する。バルブ446は循環配管441を開閉する。排液部470は、内槽405の第2薬液LQBを排出する。排液部470は、排液配管170aと、バルブ170bとを含む。制御装置160(制御部161)は、第2処理部40の各構成及び副搬送機構LF2の各構成を制御する。
【0297】
次に、図21図25を参照して、基板処理装置300が実行する基板処理方法を説明する。図24は、実施形態2に係る基板処理方法を示すフローチャートである。図24に示すように、基板処理方法は、工程S100~工程S500を含む。工程S100~工程S500は、制御部161の制御の下で実行される。
【0298】
図21及び図24に示すように、まず、工程S100において、副搬送機構LF1(基板保持部)は、複数の基板Wを、第1薬液槽CHB1に貯留された第1薬液に浸漬する。その結果、第1薬液によって基板Wが処理される。つまり、第1処理部39は、第1薬液槽CHB1に貯留された第1薬液によって基板Wを処理する。そして、第1薬液槽CHB1による処理が完了すると、副搬送機構LF1(基板保持部)は、複数の基板Wを第1薬液槽CHB1の第1薬液から引き上げる。
【0299】
次に、工程S200において、副搬送機構LF1(基板保持部)は、複数の基板Wを、第1リンス槽ONB1に貯留されたリンス液に浸漬する。その結果、リンス液によって基板Wがリンスされる。つまり、第1処理部39は、第1リンス槽ONB1に貯留されたリンス液によって基板Wをリンスする。そして、第1リンス槽ONB1によるリンス処理が完了すると、副搬送機構LF1(基板保持部)は、複数の基板Wを第1リンス槽ONB1のリンス液から引き上げる。更に、第2搬送機構WTRは、基板Wを第1処理部39から第2処理部40に搬送し、基板Wを副搬送機構LF2に引き渡す。
【0300】
次に、工程S300において、副搬送機構LF2(基板保持部120)は、複数の基板Wを、第2薬液槽CHB2に貯留された第2薬液LQBに浸漬する。その結果、第2薬液LQBによって基板Wが処理される。つまり、第2処理部40は、第2薬液槽CHB2に貯留された第2薬液LQBによって基板Wを処理する。そして、第2薬液槽CHB2による処理が完了すると、副搬送機構LF2(基板保持部120)は、複数の基板Wを第2薬液槽CHB2の第2薬液LQBから引き上げる。
【0301】
次に、工程S400において、副搬送機構LF2(基板保持部120)は、複数の基板Wを、第2リンス槽ONB2に貯留されたリンス液111に浸漬する。その結果、リンス液111によって基板Wがリンスされる。つまり、第2処理部40は、第2リンス槽ONB2に貯留されたリンス液111によって基板Wをリンスする。そして、第2リンス槽ONB2によるリンス処理が完了すると、副搬送機構LF2(基板保持部120)は、複数の基板Wを第2リンス槽ONB2のリンス液111から引き上げる。更に、第2搬送機構WTRは、基板Wを、第2処理部40から乾燥槽LPD2に搬送する。
【0302】
次に、工程S500において、乾燥槽LPD2は、複数の基板Wを乾燥する。乾燥槽LPD2による乾燥が完了すると、第2搬送機構WTRは、複数の基板Wを乾燥槽LPD2から取り出す。そして、基板処理方法が終了する。
【0303】
図25は、図24の工程S400の詳細を示すフローチャートである。つまり、図25は、第2リンス槽ONB2による基板Wのリンス処理を示す。図25に示すように、第2リンス槽ONB2による基板Wのリンス処理(図24の工程S400)は、工程S1A~工程S6Aを含む。工程S1A~工程S6Aは、制御部161の制御の下で実行される。基板処理方法の説明においては、第2リンス槽ONB2に対して、第1グループG1~第MグループGMが設定される。「M」は、2以上の整数である。
【0304】
図22及び図25に示すように、まず、工程S1Aにおいて、流体供給部155の各流体供給管1Aは、基板Wの下方から、第2リンス槽ONB2に貯留されたリンス液111に対して、流体FLの供給を開始する。工程S1Aは、本発明の「流体供給工程」の一例に相当する。
【0305】
次に、工程S2Aにおいて、全ての処理液供給部Anから、第2リンス槽ONB2に貯留されたリンス液111に向けて、リンス液111の供給を開始する。
【0306】
次に、工程S3Aにおいて、基板保持部120は、第2リンス槽ONB2とは別の第2薬液槽CHB2に貯留された第2薬液LQBによる処理後の基板Wを、第2リンス槽ONB2に貯留されたリンス液111に浸漬する。工程S3Aは、本発明の「浸漬工程」の一例に相当する。
【0307】
次に、工程S4Aにおいて、処理液供給部Anを切り替えながら、1以上の処理液供給部Anから、第2リンス槽ONB2の内部にリンス液111を供給する。工程S4Aは、本発明の「リンス液供給工程」の一例に相当する。
【0308】
具体的には、工程S4Aは、工程S41、S42、S43、S44、…、S4Mを含む。まず、工程S41において、第1グループG1に属する処理液供給部Anから、第2リンス槽ONB2の内部に向けてリンス液111を供給する。次に、工程S42において、第2グループG2に属する処理液供給部Anから、第2リンス槽ONB2の内部に向けてリンス液111を供給する。以下、順次、工程S43、S44、…、S4Mが実行される。工程S4Mにおいて、第MグループGMに属する処理液供給部Anから、第2リンス槽ONB2の内部に向けてリンス液111を供給する。このように、工程S4Aでは、グループに属する処理液供給部Anは、グループごとに異なる期間にリンス液111を供給する。
【0309】
次に、工程S5Aにおいて、全ての処理液供給部Anから、第2リンス槽ONB2に貯留されたリンス液111に向けて、リンス液111の供給を開始する。
【0310】
次に、工程S6Aにおいて、基板保持部120は、リンス液111から基板Wを引き上げる。そして、基板処理方法は終了する。
【0311】
以上、図25を参照して説明したように、実施形態2によれば、1以上の処理液供給部Anから、第2リンス槽ONB2の内部にリンス液111を供給する(工程S4A)。また、流体供給部155は、基板Wの下方からリンス液111に対して、流体FLを供給する(工程S1A)。具体的には、複数の流体供給管1Aの各々は、第2リンス槽ONB2のリンス液111に対して流体FLを供給する。また、複数の流体供給管1Aの各々において、複数の流体孔2Aの各々は、第2リンス槽ONB2のリンス液111に対して流体FLを供給する。このように、第2リンス槽ONB2の底部側の異なる位置から、リンス液111に向けて流体FLが供給される。
【0312】
流体FLは、基板Wに残留した第2薬液LQBからリンス液111への置換を促進する。従って、実施形態2によれば、基板Wの外側領域AR1(図20)よりも第2薬液LQBが残留し易い内側領域AR2においても、第2薬液LQBがリンス液111に速やかに置換される。その結果、流体FLを供給しない場合(例えば、図19に示す第2参考例)と比較して、基板Wの面内全域にわたって処理量(例えば、エッチング量)を略均一にすることができる。つまり、基板Wの面内において処理量(例えば、エッチング量)にムラが発生することを抑制できる。特に、流体FLを供給しない場合と比較して、第2リンス槽ONB2の底部側の異なる位置から供給される流体FLによって、基板Wの面内全域において、第2薬液LQBからリンス液111への置換速度を速くすることができる。つまり、リンス処理のスループットを向上できる。
【0313】
流体FLが基板W上(基板W表面)において第2薬液LQBからリンス液111への置換を促進する理由として、例えば、流体FLの上昇流によって、基板Wの表面に乱流が発生し、基板Wの表面の第2薬液LQBがリンス液111に置換され易くなることが考えられる。換言すれば、流体FLの上昇流によって、基板Wの表面に乱流が発生し、基板Wの表面において、第2薬液LQB及びリンス液111が滞留することを抑制できる。
【0314】
特に、流体FLがリンス液の場合は、リンス液への置換がより効果的に実行される。すなわち、リンス液である流体FLの上昇流によって、基板Wの表面にリンス液の乱流が発生し、基板Wの表面の第2薬液LQBが、リンス液に、より置換され易くなると考えられる。換言すれば、リンス液である流体FLの上昇流によって、基板Wの表面にリンス液の乱流が発生し、基板Wの表面において、第2薬液LQB及びリンス液が滞留することを更に抑制できる。また、リンス液である流体FLの上昇流によって、基板Wの表面に新鮮なリンス液を効果的に送り込むことができる。
【0315】
なお、流体FLが気体である場合が、流体FLが液体である場合よりも、より効果的に、第2薬液LQBからリンス液111への置換を促進できる。なぜなら、流体FLが気体である場合が、流体FLが液体である場合よりも、流体FLの上昇速度が速く、効果的に乱流を発生できるからである。
【0316】
また、実施形態2において、基板Wの面内において処理量(例えば、エッチング量)にムラが発生することを抑制できる理由として、次のことが考えられる。すなわち、処理液供給部Anから供給されるリンス液111による処理槽110内の不均一な流れが、第2リンス槽ONB2の底部側の異なる位置から供給される流体FLの上昇流によって整流される。その結果、基板Wの外側領域AR1(図20)と内側領域AR2(図20)とで、第2薬液LQBからリンス液111への置換効率が同等になると考えられる。よって、基板Wの面内において処理量にムラが発生することを抑制できる。
【0317】
なお、例えば、流体FLを供給しない場合、処理液供給部Anから供給されるリンス液111に起因する処理槽110内の流れによって、リンス液111は、基板Wの内側領域AR2(図20)よりも外側領域AR1(図20)に流れ易い場合がある。従って、流体FLを供給しない場合、基板Wの内側領域AR2に第2薬液LQB及びリンス液111が滞留し易い場合がある。そこで、実施形態2では、第2リンス槽ONB2の底部側の異なる位置から流体FLを供給することで、処理液供給部Anから供給されるリンス液111による処理槽110内の不均一な流れが流体FLの上昇流によって整流される。その結果、基板Wの外側領域AR1と内側領域AR2とで、第2薬液LQBからリンス液111への置換効率が同等になると考えられる。
【0318】
また、実施形態2によれば、第1リンス槽ONB1でリンス液(以下、「リンス液RN」と記載)によるリンス処理を行い、第2薬液槽CHB2で第2薬液LQBによる薬液処理を行い、第2リンス槽ONB2でリンス液111によるリンス処理を行っている。つまり、リンス処理と薬液処理とが異なる槽で実行される。従って、ロットごとに、リンス液RN、リンス液111及び第2薬液LQBを交換することが要求されない。その結果、第1参考例(図18)と比較して、リンス液RN、リンス液111及び第2薬液LQBの使用量を低減できる。つまり、リンス液RN、リンス液111及び第2薬液LQBを再利用できる。従って、リンス液RN、リンス液111及び第2薬液LQBの廃棄量を低減できる。
【0319】
(変形例)
図22及び図26を参照して、実施形態2の変形例を説明する。変形例では、リンス液111の供給流量の調整と、流体FLの供給流量の調整とを細かく実行する点で、リンス液111の供給の開始・停止と、流体FLの供給の開始・停止とを実行する実施形態2と主に異なる。以下、変形例が実施形態2と異なる点を主に説明する。
【0320】
変形例では、図22に示す処理液流量調整部130は、処理液供給部Anごとにリンス液111の供給流量を調整する。
【0321】
変形例では、リンス液111の供給流量の調整は、リンス液111の供給の開始・停止に加えて、1グループ内の処理液供給部Anからのリンス液111の供給流量を変更すること、又は、複数のグループ間で処理液供給部Anからのリンス液111の供給流量を変更することを含む。リンス液111の供給流量の変更は、供給流量を段階的に変更すること、又は、供給流量を連続的に変更することを含む。
【0322】
また、変形例では、流体調整部145は、流体供給管1Aごとに、流体FLの供給流量を調整する。
【0323】
変形例では、流体FLの供給流量の調整は、流体FLの供給の開始・停止に加えて、流体FLの供給流量を変更することを含む。流体FLの供給流量の変更は、供給流量を段階的に変更すること、又は、供給流量を連続的に変更することを含む。
【0324】
次に、図24及び図26を参照して、変形例に係る基板処理方法を説明する。基板処理方法は、基板処理装置300によって実行される。図24に示すように、変形例に係る基板処理方法は、工程S100~工程S500を含む。図26は、実施形態2の変形例に係る図24の工程S400を示すフローチャートである。つまり、図26は、変形例に係る第2リンス槽ONB2による基板Wのリンス処理を示す。図26に示すように、第2リンス槽ONB2による基板Wのリンス処理(図24の工程S400)は、工程S11A~工程S17Aを含む。工程S11A~工程S17Aは、制御部161の制御の下で実行される。
【0325】
図26に示す工程S11A~工程S13Aは、それぞれ、図25に示す工程S1A~工程S3Aと同様である。
【0326】
図26に示すように、工程S13Aの次において、工程S14Aと工程S15Aとが並行して実行される。
【0327】
工程S14Aでは、第1グループG1~第MグループGMにおいて、処理液流量調整部130によって、処理液供給部Anごとにリンス液111の供給流量が調整される。
【0328】
具体的には、工程S14Aは、工程S141、S142、S143、S144、…、S14Mを含む。まず、工程S141において、処理液流量調整部130は、第1グループG1に属する処理液供給部Anからのリンス液111の供給流量を調整する。次に、工程S142において、処理液流量調整部130は、第2グループG2に属する処理液供給部Anからのリンス液111の供給流量を調整する。以下、順次、工程S143、S144、…、S14Mが実行される。工程S14Mにおいて、処理液流量調整部130は、第MグループGMに属する処理液供給部Anからのリンス液111の供給流量を調整する。このように、工程S14Aでは、グループに属する処理液供給部Anの供給流量が、グループごとに異なる期間においてグループごとに調整される。
【0329】
一方、工程S15Aでは、第1グループG1~第MグループGMによるリンス液111の供給に対応して、流体調整部145によって、流体供給管1Aごとに、流体FLの供給流量が調整される。
【0330】
具体的には、工程S15Aは、工程S151、S152、S153、S154、…、S15Mを含む。まず、工程S151において、流体調整部145は、第1グループG1に属する処理液供給部Anからのリンス液111の供給に対応して、流体FLの供給流量を調整する。次に、工程S152において、流体調整部145は、第2グループG2に属する処理液供給部Anからのリンス液111の供給に対応して、流体FLの供給流量を調整する。以下、順次、工程S153、S154、…、S15Mが実行される。工程S15Mにおいて、流体調整部145は、第MグループGMに属する処理液供給部Anからのリンス液111の供給に対応して、流体FLの供給流量を調整する。このように、工程S15Aでは、流体FLの供給流量が、各グループによるリンス液111の供給に対応して調整される。
【0331】
次に、工程S16Aにおいて、全ての処理液供給部Anから、第2リンス槽ONB2に貯留されたリンス液111に向けて、リンス液111の供給を開始する。
【0332】
次に、工程S17Aにおいて、基板保持部120は、リンス液111から基板Wを引き上げる。そして、基板処理方法は終了する。
【0333】
以上、図面を参照して本発明の実施形態(変形例を含む。)について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0334】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0335】
(1)図1において、処理液供給部Anの処理液孔3の向きは特に限定されない。例えば、処理液孔3は、水平方向を向いていてもよいし、斜め上方を向いていてもよい。また、気泡供給管1の気泡孔2の向きは特に限定されない。例えば、気泡孔2は、斜め上方を向いていてもよい。
【0336】
(2)図1において、第1処理液供給部Anの数は、特に限定されず、1つでもよいし、2つでもよいし、4以上でもよい。同様に、第2処理液供給部Anの数は、特に限定されず、1つでもよいし、2つでもよいし、4以上でもよい。また、気泡供給管1の数も特に限定されない。
【0337】
(3)図2において、処理液流量調整機構132は、流量計a1及び調整バルブa2を有していなくてもよい。また、気泡調整機構142は、調整バルブb1、流量計b2、及び、フィルターb3を有していなくてもよい。
【0338】
(4)図1において、気泡BBを供給する機構は、気泡供給管1に限定されない。例えば、処理槽110の底部に配置されたパンチングプレートに設けられた複数の孔から気泡BBを供給してもよい。
【0339】
(5)図1において、各グループを構成する処理液供給部Anは、任意に定めることができ、特に限定されない。また、各グループを構成する処理液供給部Anの数も、任意に定めることができ、特に限定されない。更に、処理液供給部Anのグループの数は、2以上であればよく、特に限定されない。更に、グループ間で、処理液供給部Anの数が、異なっていてもよいし、同じであってもよい。更に、グループを構成する処理液供給部Anは、鉛直方向Dに延びる中心線に対して、対称であってもよいし、非対称であってもよい。
【0340】
(6)図11を参照して説明した第2変形例において、基板処理方法は、工程S15において気体GAの流量を調整しなくてもよい。また、基板処理方法は、工程S14において、処理液LQの供給流量を調整しなくてもよい。つまり、工程S14に換えて、図10の工程S4を実行してもよい。
【0341】
(7)あるグループにおいて処理液LQの流量を減少させた後に、次のグループに切り替えてもよい。
【0342】
(8)第4変形例において、領域15、16の形状は、特に限定されず、例えば、三角形でもよいし、長方形でもよい。
【0343】
(9)第4変形例において、1ロット(例えば、25枚又は50枚)の学習用基板Waを利用して機械学習を実行してもよい。この場合、ロット内において複数の基板W間で、処理液LQによる処理ムラを抑制できる。また、例えば、1ロットを構成する複数枚の学習用基板Waのうち、第2方向D20における中央の学習用基板Waと、第2方向D20における一方端の学習用基板Waと、第2方向D20における他方端の学習用基板Waとを利用して、機械学習を実行してもよい。この場合も、ロット内において複数の基板W間で、処理液LQによる処理ムラを抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0344】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0345】
100、100A、100B、300 基板処理装置
110 処理槽(リンス槽)
116 第1側壁
117 第2側壁
120 基板保持部
130 処理液流量調整部
135 気泡供給部
140 気泡調整部
145 流体調整部
155 流体供給部
161 制御部
162 記憶部
210 第2薬液槽(薬液槽)
An 処理液供給部(リンス液供給部)
A1~A3 第1処理液供給部(第1リンス液供給部)
A4~A6 第2処理液供給部(第2リンス液供給部)
ONB2 第2リンス槽(リンス槽)
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図11
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図26