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特開2024-46594ボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせ
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  • 特開-ボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046594
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】ボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A44B 1/04 20060101AFI20240327BHJP
   A44B 1/06 20060101ALI20240327BHJP
   A44B 1/14 20060101ALI20240327BHJP
   A44B 1/28 20060101ALI20240327BHJP
   A44B 1/30 20060101ALI20240327BHJP
   A41F 1/02 20060101ALI20240327BHJP
   A41D 27/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
A44B1/04 U
A44B1/06 B
A44B1/06 C
A44B1/06 F
A44B1/14
A44B1/28 610C
A44B1/28 620B
A44B1/30
A41F1/02 A
A41D27/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109705
(22)【出願日】2023-07-04
(31)【優先権主張番号】P 2022151731
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】514311449
【氏名又は名称】有限会社しをり
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】静間 玲
【テーマコード(参考)】
3B035
【Fターム(参考)】
3B035AB07
3B035AB20
3B035AC24
3B035AD21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ボタンホールだけを備えている衣服と衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンが組み合わせられる衣服とボタンを提供する。
【解決手段】ボタンは台座部30と、台座固定リング40と、ボタン部50とを備えている。台座部30は、台座31と、台座31に突設されている心棒32とからなる。台座部30は、衣服の一方の側の前身頃である一方側前身頃23に形成されている一方側挿通孔に対して心棒32を挿通させるようにして使用される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服が人間の身体に装着された際に互いに留め合わされる関係の位置になる、衣服の一方の側の前身頃である一方側前身頃と、前記衣服の他方の側の前身頃である他方側前身頃とにおいて、前記一方側前身頃に一方側挿通孔が配備されていると共に、前記他方側前身頃に、前記一方側前身頃に前記一方側挿通孔が形成されている位置に対応する位置で、他方側挿通孔が配備されている、ボタンホールだけを備えている衣服と、
当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせであって、
前記ボタンは、
台座と、前記台座に突設されている心棒とを備えている台座部と、
前記一方側前身頃に配備されている前記一方側挿通孔を挿通してきた前記心棒に対して、前記心棒の先端側から装着され、前記台座との間で前記一方側前身頃を挟持する形態で前記心棒に取り付けられて、前記台座を前記一方側前身頃に対して固定する台座固定リングと、
前記台座との間で前記一方側前身頃を挟持する形態で前記台座固定リングが装着され前記台座が前記一方側前身頃に対して固定された後の、前記他方側前身頃に配備されている前記他方側挿通孔を挿通してきた、前記心棒に対して、前記心棒の先端側から装着され、前記心棒の先端に取り付け固定されるボタン部と
からなる、
ボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせ。
【請求項2】
前記ボタン部は、前記心棒の先端に取り付け固定されるボタン取付台部と、当該ボタン取付台部の表面側に配備されるボタン素材部とからなり、
前記台座部及び前記台座固定リングは耐洗濯性を備えている素材で形成されていて、
前記ボタン素材部は、耐洗濯性を備えている素材に限定されない種々の素材から形成されている、
請求項1記載のボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
衣服と衣服用の留め具に関しては従来から種々の提案がされている。本願出願人も、ボタンホールだけを備えている衣服と、当該衣服に対して取り付け、取り外し可能な衣服用留め具との組み合わせに係る発明を提案している(特許文献1)。
【0003】
特許文献1で提案されているボタンホールだけを備えている衣服と、当該衣服に対して取り付け、取り外し可能な衣服用留め具との組み合わせを図1図2を参照して説明すると以下のようになる。
【0004】
特許文献1に記載されているボタンホールだけを備えている衣服と、当該衣服に対して取り付け、取り外し可能な衣服用留め具との組み合わせに係る発明は、衣服用留め具1、1a、1bが装着される留め具装着部を留め合わせ部に備えている衣服と、前記留め具装着部に装着される衣服用留め具1、1a、1bとの組み合わせに関するものである。
【0005】
本明細書における「ボタンホールだけを備えている衣服」とは、衣服の留めあわせが行われる留め合わせ部に、ボタンが挿通する挿通孔しか形成されていない衣服である。
【0006】
例えば、図1の左側に図示されているように、衣服が人間の身体に装着された際に互いに留め合わされる関係の位置になる、衣服の一方側前身頃23の端側と、衣服の他方側前身頃24の端側とが、それぞれ、衣服の留めあわせが行われる留め合わせ部になるが、この留め合わせ部にボタンが挿通する挿通孔しか形成されていない衣服である。
前記留め具装着部は、例えば、衣服の一方側前身頃23の端側において上下方向に所定の間隔を空けて複数個配備されている一方側留め具装着部21、21a、21bと、衣服の一方側前身頃23の端側で上下方向に所定の間隔を空けて複数個備えられている一方側留め具装着部21、21a、21bに対応する上下方向の高さ位置で衣服の他方側前身頃24の端側において上下方向に所定の間隔を空けて一方側留め具装着部21、21a、21bの数に対応する数で配備されている他方側留め具装着部11、11a、11bとからなる。
一方側留め具装着部21、21a、21b及び、他方側留め具装着部11、11a、11bは、それぞれ、中央側に、衣服用留め具1、1a、1bの刺突部3、3a、3bが挿通される挿通孔であって刺突部3、3a、3bの断面形状と同一の形状を有する一方側挿通孔22、22a、22bと、他方側挿通孔12、12a、12bを備えている。
複数の一方側留め具装着部21、21a、21bのそれぞれ及び複数の一方側留め具装着部21、21a、21bのそれぞれに配備されている一方側挿通孔22、22a、22bのそれぞれ、並びに、複数の他方側留め具装着部11、11a、11bのそれぞれ及び複数の他方側留め具装着部11、11a、11bのそれぞれに配備されている他方側挿通孔12、12a、12bのそれぞれは、いずれも、図1図示のように、衣服の正面から見たときに図形、模様、装飾として視認される外観を有する。
【0007】
一方、上述したボタンホールだけを備えている衣服に対して取り付け、取り外し可能な衣服用留め具として特許文献1に記載されている衣服用留め具1、1a、1bは、図1の右側に図示されているように、表面が装飾面になっているボタン様台座部2、2a、2bと、ボタン様台座部2、2a、2bの表面の反対側の背面側から突出する刺突部3、3a、3bとから構成されている。
【0008】
両者の組み合わせにおいては、一方側留め具装着部21、21a、21bの一方側挿通孔22、22a、22bと、一方側留め具装着部21、21a、21bの上下方向高さ位置で対応する位置にある他方側留め具装着部11、11a、11bの他方側挿通孔12、12a、12bとを挿通した衣服用留め具1、1a、1bの刺突部3、3a、3bの先端側に掛止部が形成されるようになっている。
図2図示のように、衣服用留め具1、1a、1bのボタン様台座部2、2a、2bは留め具装着部の一方側挿通孔22、22a、22b及び、他方側挿通孔12、12a、12bの面積より大きな面積を有している。そして刺突部3、3a、3bの先端側に形成される掛止部は、刺突部3、3a、3bの先端に装着され、留め具装着部の一方側挿通孔22、22a、22b及び、他方側挿通孔12、12a、12bの面積より大きな面積を有する受け具31、31a、31bになっている。
【0009】
ボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせに関する発明ではないが、特許文献2には、所望に応じて装飾用の頭部を選択、切り替えて装飾性を変更することができるとする装飾用頭取り替えボタンが提案されている。特許文献2と同じく、ボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせに関する発明ではないが、特許文献3には、心棒にボタン頭部を装着する構造である点において特許文献2の発明と共通している発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第6451970号公報
【特許文献2】実用新案登録第3018879号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/0317822号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の衣服であれば、留めあわせを行う留め合わせ部に、一方では、ボタン、等の留め合わせ用部材を配備し、他方に、ボタン、等の留め合わせ用部材が挿通するための挿通孔(ボタンホール)を配備しておく必要があった。
【0012】
これに対して、上述したボタンホールだけを備えている衣服は、留めあわせを行う留め合わせ部に、ボタンが挿通する挿通孔(上述した例では、一方側挿通孔22、22a、22bと、他方側挿通孔12、12a、12b)が配備されているだけである。
そこで、留め合わせ部に、ボタン、等の留め合わせ用部材が配備されていない、従来になかった、新しい概念、新しいデザインの衣服を提供することが可能になる。例えば、リバーシブルな衣服にしたり、男女どちらでも着ることができる衣服、いわゆるユニセックスな衣服にできるという、用途の多様性を提供できる。
【0013】
また、ボタン無し、ボタンを配置する位置、ボタンの数、ボタンの取替え等、服飾メーカーにとってのデザインの自由度が増し、ユーザにとっては着こなしの楽しみが広がるという効果を発揮できる。
【0014】
このようなボタンホールだけを備えている衣服に対して、簡単な操作で取り付け取り外しできるボタンを提供できるようになれば、上述したボタンホールだけを備えている衣服の実用性をより高めることができる。
【0015】
そこで、本発明は、衣服を身に着けてボタン留めする際に、簡単に、効率よくボタン留めすることができる、ボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせを提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明は、衣服が人間の身体に装着された際に互いに留め合わされる関係の位置になる、衣服の一方の側の前身頃である一方側前身頃と、衣服の他方の側の前身頃である他方側前身頃とにおいて、一方側前身頃に一方側挿通孔が配備されていると共に、一方側前身頃に一方側挿通孔が形成されている位置に対応する位置で、他方側前身頃に他方側挿通孔が配備されている、ボタンホールだけを備えている衣服と、当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせを提案するものである。
【0017】
本願発明では、台座部と、台座固定リングと、ボタン部とを備えているボタンが、上述したボタンホールだけを備えている衣服に対して組み合わされる。
【0018】
前記の台座部は、台座と、台座に突設されている心棒とを備えている。また、前記の台座固定リングは、一方側前身頃に配備されている一方側挿通孔を挿通してきた心棒に対して、心棒の先端側から装着され、台座との間で一方側前身頃を挟持する形態で心棒に取り付けられて、台座を一方側前身頃に対して固定するものである。
【0019】
更に、前記のボタン部は、台座との間で一方側前身頃を挟持する形態で台座固定リングが装着され台座が一方側前身頃に対して固定された後の他方側前身頃に配備されている他方側挿通孔を挿通してきた心棒に対して心棒の先端側から装着され心棒の先端に取り付け固定されるものである。
【0020】
このような本願発明は以下のように例示することができる。
[1]
衣服が人間の身体に装着された際に互いに留め合わされる関係の位置になる、衣服の一方の側の前身頃である一方側前身頃と、前記衣服の他方の側の前身頃である他方側前身頃とにおいて、前記一方側前身頃に一方側挿通孔が配備されていると共に、前記他方側前身頃に、前記一方側前身頃に前記一方側挿通孔が形成されている位置に対応する位置で、他方側挿通孔が配備されている、ボタンホールだけを備えている衣服と、
当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせであって、
前記ボタンは、
台座と、前記台座に突設されている心棒とを備えている台座部と、
前記一方側前身頃に配備されている前記一方側挿通孔を挿通してきた前記心棒に対して、前記心棒の先端側から装着され、前記台座との間で前記一方側前身頃を挟持する形態で前記心棒に取り付けられて、前記台座を前記一方側前身頃に対して固定する台座固定リングと、
前記台座との間で前記一方側前身頃を挟持する形態で前記台座固定リングが装着され前記台座が前記一方側前身頃に対して固定された後の、前記他方側前身頃に配備されている前記他方側挿通孔を挿通してきた、前記心棒に対して、前記心棒の先端側から装着され、前記心棒の先端に取り付け固定されるボタン部と
からなる、
ボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせ。
【0021】
[2]
前記ボタン部は、前記心棒の先端に取り付け固定されるボタン取付台部と、当該ボタン取付台部の表面側に配備されるボタン素材部とからなり、
前記台座部及び前記台座固定リングは耐洗濯性を備えている素材で形成されていて、
前記ボタン素材部は、耐洗濯性を備えている素材に限定されない種々の素材から形成されている、
[1]のボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせ。
【0022】
上述の[1]、[2]における、ボタンホールだけを備えている衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンが取り付け、取り外しされる上述の衣服は、留めあわせを行う留め合わせ部に、ボタンが挿通する挿通孔(一方の側の前身頃である一方側前身頃に形成されている一方側挿通孔と、他方の側の前身頃である他方側前身頃に形成されている他方側挿通孔)しか形成されていないものである。
【0023】
本願発明は、このようなボタンホールだけしか備えていない衣服と、当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせであって、衣服を身に着けてボタン留めする際に、簡単に、効率よくボタン留めすることができる、ボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせを提供するものである。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、衣服を身に着けてボタン留めする際に、簡単に、効率よくボタン留めすることができる、ボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせを提供することができる。
【0025】
これによって、従来になかった、新しい概念、新しいデザインの衣服を提供することが可能になり、リバーシブルな衣服にしたり、男女どちらでも着ることができる衣服、いわゆるユニセックスな衣服にすることができるという用途の多様性を提供可能なボタンホールだけを備えている衣服の実用性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】ボタンホールだけを備えている衣服と、当該衣服に対して取り付け、取り外し可能な衣服用留め具との組み合わせに係る従来公知の実施形態についての一例の概略構成を説明する図。
図2図1に例示されている従来公知の実施形態において、衣服の留め合わせが行われる一形態を説明する一部を省略して表す斜視図。
図3】ボタンホールだけを備えている衣服と、当該衣服に対して取り付け、取り外し可能な衣服用留め具との組み合わせに係る実施形態で、身体への衣服の装着が行われて、衣服の留め合わせが行われている状態の一例を説明する斜視図。
図4】この発明の一実施形態に係るボタンホールだけを備えている衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンの一例を表す分解斜視図。
図5】この発明の一実施形態に係るボタンホールだけを備えている衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンの他の例を表す分解斜視図。
図6】(a)この発明の一実施形態に係るボタンホールだけを備えている衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンにおける、台座に突設されている心棒が、衣服の一方側前身頃に形成されている一方側挿通孔に挿通される状態を説明する一部を省略した斜視図、(b)図6(a)に引き続いて、台座に突設されている心棒が一方側挿通孔に挿通された状態を説明する一部を省略した側面図。
図7】(a)図6(b)図示の状態に引き続いて、台座に突設されていて一方側前身頃の一方側挿通孔を挿通している心棒に対して、心棒の先端側から台座固定リングが装着されようとしている状態を説明する一部を省略した斜視図、(b)図7(a)に引き続いて、心棒の先端側から装着された台座固定リングが、台座との間で一方側前身頃を挟持する形態で心棒に取り付けられて、台座を一方側前身頃に対して固定している状態を説明する一部を省略した側面図。
図8】(a)図7(b)図示の状態に引き続いて、衣服の一方側前身頃に一方側挿通孔が形成されている位置に対応する位置で衣服の他方側前身頃に形成されている他方側挿通孔を心棒が挿通しようとしている状態を説明する一部を省略した斜視図、(b)図8(a)に引き続いて、他方側挿通孔を挿通した後の心棒に対して心棒の先端側からボタン部が装着されようとしている状態を説明する一部を省略した側面図。
図9】この発明の一実施形態に係る、ボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせにおいて、ボタンホールだけを備えている衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンが、ボタンホールだけを備えている衣服に対して取り付けられた状態を説明する一部を省略した側面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<ボタンホールだけを備えている衣服>
この実施形態の「ボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせ」におけるボタンホールだけを備えている衣服としては、上述した図1図2の説明で例示したものを採用することができる。すなわち、衣服の留めあわせが行われる留め合わせ部に、ボタンが挿通する挿通孔(衣服の一方の側の前身頃である一方側前身頃に形成されている一方側挿通孔と、他方の側の前身頃である他方側前身頃に形成されている他方側挿通孔)しか形成されていない衣服を採用することができる。
<ボタンホールだけを備えている衣服に対して取付け取外し可能なボタン>
以下の本発明の実施形態に係る、「ボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせ」における「ボタンホールだけを備えている衣服に対して取付け取外し可能なボタン」の説明で、図1~2を用いて説明したボタンホールだけを備えている衣服と共通する部分については共通する符号を使用してその説明を省略する。
【0028】
この実施形態に係るボタンは、図4図5に例示されているように、台座部30と、台座固定リング40と、ボタン部50とを備えている。
【0029】
台座部30は、台座31と、台座31に突設されている心棒32とからなる。台座部30は、図6図示のように、衣服の一方の側の前身頃である一方側前身頃23に形成されている一方側挿通孔22aに対して心棒32を挿通させるようにして使用される。
【0030】
図3に一実施形態が図示されているように、衣服の一方側前身頃23に対して衣服の他方側前身頃24が上側になるように身体に装着される場合には、一方側前身頃23の裏側(衣服が装着される身体の側、図6(a)における左側)から、台座部30が一方側前身頃23に取り付けられ、心棒32が、一方側前身頃23の裏側から一方側挿通孔22aを挿通して、一方側前身頃23の表側に突出するようになる(図6(b))。
【0031】
台座固定リング40は、図7(a)、(b)図示のように、衣服の一方の側の前身頃である一方側前身頃23に形成されている一方側挿通孔22aを挿通してきた心棒32に対して、心棒32の先端側から装着され、台座部30の台座31との間で一方側前身頃23を挟持する形態で心棒32に取り付けられて、台座31を一方側前身頃23に対して固定するものである(図7(b))。
【0032】
このような機能を有する台座固定リング40としては、例えば、心棒32を螺糸の形態とし、台座固定リング40の中央に形成されている嵌合孔42の内周に、対応する螺条を形成しておいて、両者の間でネジ嵌合を行う形態を採用することができる。また、バネ機構などを採用することでワンタッチで取り付け、取り外しが可能な、従来公知の、ワンタッチ式脱着構造を採用して、一方側挿通孔22aを挿通してきた心棒32に対して、心棒32の先端側から装着し、台座部30の台座31との間で一方側前身頃23を挟持する形態で心棒32にワンタッチで取り付けられて、台座31を一方側前身頃23に対して固定するワンタッチ脱着式の台座固定リング40とすることもできる。
【0033】
ボタン部50は、図8(a)、(b)図示のように、衣服の一方側前身頃23に一方側挿通孔22aが形成されている位置に対応する位置で、衣服の他方の側の前身頃である他方側前身頃24に形成されている他方側挿通孔12aを挿通してきた、図7(b)図示のように、台座固定リング40が装着された後の心棒32に対して、心棒32の先端側から装着され、心棒32の先端に取り付け固定される。
【0034】
心棒32の先端へのボタン部50の取り付け、取り外しも、台座固定リング40と、心棒32との間の装着、固定について上記で説明したのと同様に、ネジ嵌合を行う形態や、ワンタッチ式脱着構造を採用することができる。
【0035】
図3に一実施形態が図示されているように、衣服の一方側前身頃23に対して衣服の他方側前身頃24が上側になるように、ボタンホールだけを備えている衣服を、身体に装着する際に、この実施形態のボタンを使用する場合、例えば、次のようにして衣服の留め合わせが行われる。
【0036】
まず、ボタンホールである一方側挿通孔12、12a、12b、他方側挿通孔22、22a、22bのどの箇所で、この実施形態のボタンによる留め合わせを行うかを決める。
【0037】
次に、留め合わせを行う位置を決めたボタンホールに対して、上述した要領で、まず、台座部30、台座固定リング40による固定を行ってから衣服を身に着け、あるいは、衣服を身に着けた上で、留め合わせを行う位置を決めたボタンホールに対して、上述した要領で、台座部30、台座固定リング40による固定を行う。
【0038】
こうして、例えば、一方側前身頃23の一方側挿通孔12を挿通してきた心棒32に対して、心棒32の先端側から台座固定リング40が装着され、台座部30の台座31と台座固定リング40との間で一方側前身頃23が挟持され、台座31が一方側前身頃23に対して固定されている状態(図7(b))になった後、図8(a)、(b)図示のように、他方側前身頃24の他方側挿通孔12aに心棒32を挿通させ、この心棒32に対して、心棒32の先端側からボタン部50を装着し、心棒32の先端に取り付け固定を行って衣服の装着を行うようになる。
【0039】
本実施形態に係る、ボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせにおいては、図7(b)図示のように、一方側前身頃23の一方側挿通孔12を挿通してきた心棒32に対して、心棒32の先端側から台座固定リング40が装着され、台座部30の台座31と台座固定リング40との間で一方側前身頃23が挟持され、台座31が一方側前身頃23に対して固定されている状態になることが、特徴の一つとなる。
【0040】
これによって、衣服を身に着けてボタン留めする際に、簡単に、効率よくボタン留めすることができる、ボタンホールだけを備えている衣服と当該衣服に対して取り付け取り外し可能なボタンとの組み合わせを提供することができ、従来になかった、新しい概念、新しいデザインの衣服を提供することが可能になり、リバーシブルな衣服にしたり、男女どちらでも着ることができる衣服、いわゆるユニセックスな衣服にすることができるという用途の多様性を提供可能なボタンホールだけを備えている衣服の実用性をより高めることができるものである。
【0041】
衣服の一方側前身頃に形成されているボタンホールと、これに対応する位置の他方側前身頃に形成されているボタンホールとの間で留め合わせを行うことを決めた後、例えば、一方側前身頃に形成されているボタンホールの位置で、台座部30の台座31と台座固定リング40との間で一方側前身頃23を挟持する形態で心棒32に対して台座固定リング40が装着されている状態にし、留め合わせを行う他方側前身頃の対応するボタンホールに心棒32を挿通させ、挿通してきた心棒32の先端に、他方側前身頃の表側から、ボタン部50を装着し、心棒32の先端に取り付け固定を行うだけで、留め合わせ、衣服の装着を行うことができる。
【0042】
このようにすれば、衣服を身に着けてから、台座31の心棒32を差し込んで、その後、心棒32の先端側からボタン部50を装着し、心棒32の先端に取り付け固定するよりも容易に、効率よくボタン留めを行うことができる。
【0043】
すなわち、図7(b)図示の状態では、台座31と台座固定リング40との間で一方側前身頃23が挟持され、台座31、心棒32、台座固定リング40は、一方側前身頃23における一方側挿通孔12の位置に固定されている。この状態での心棒32の先端を図8(a)、(b)図示のように、他方側前身頃24に配備されている他方側挿通孔12aに挿通させ、このようにして他方側挿通孔12aを挿通してきた、心棒32に対して、心棒32の先端側からボタン部50を装着することで、図9図示のようにボタン留めすることができる。
【0044】
例えば、服を一時的に脱いで、また着る場合、上述したように、台座固定リング40によって、台座31との間で一方側前身頃23を挟持する形態で台座31を一方側前身頃23に対して固定したままの図7(b)図示の状態にしておけば、次に着る際には、留め合わせを行う他方側前身頃の対応するボタンホールに、台座固定リング40が装着されている心棒32を挿通させ、挿通してきた心棒32の先端に、他方側前身頃の表側から、ボタン部50を装着し、心棒32の先端に取り付け固定を行うだけで、留め合わせ、衣服の装着を行うことができるので有利である。
【0045】
上述した実施形態において、ボタン部50は、心棒32の先端に取り付け固定されるボタン取付台部51と、ボタン取付台部51の表面側(図8(b)の右側、図9の右側)に配備されるボタン素材部53とからなる構成にすることができる。
【0046】
図7(b)図示のように、台座31と台座固定リング40との間で一方側前身頃23が挟持され、台座31、心棒32、台座固定リング40が、一方側前身頃23における一方側挿通孔12の位置に固定されている状態の衣服については、そのままの状態で洗濯されることがある。そこで、台座31と心棒32とからなる台座部30及び、台座固定リング40は、水や洗剤などを使用した洗濯に耐え得る素材、すなわち、耐洗濯性を備えている素材で形成しておくことが望ましい。
【0047】
一方、図7(b)図示のように、台座31と台座固定リング40との間で一方側前身頃23が挟持され、台座31、心棒32、台座固定リング40が、一方側前身頃23における一方側挿通孔12の位置に固定されている状態の衣服であっても、当該衣服が洗濯される場合には、ボタン取付台部51とボタン素材部53とからなるボタン部50は衣服から取り外して洗濯することができる。
【0048】
このようにすれば、ボタン取付台部51、ボタン素材部53は洗濯にさらされるリスクが無い。そこで、ボタン素材部53は、耐洗濯性を備えている素材で形成する必要が無い。このため、心棒32の先端に取り付け固定されるボタン取付台部51と、ボタン取付台部51の表面側(図8(b)の右側、図9の右側)に配備されるボタン素材部53とから構成されているボタン部50におけるボタン素材部53を、耐洗濯性を備えている素材に限定されることなく、種々の素材製にできる。そこで、ボタン素材部53の選択肢を格段に広げることができる。また、ボタン素材部53や、その表面側(図9の右側)に施すデザインの自由度を拡大させることができる。
【0049】
なお図5に例示したように、台座固定リング40と、ボタン部50とが鎖60などの連結手段で連結されている構造にすることもできる。このようにすれば、ボタン部50だけが紛失してしまうリスクを低減させることができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。
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図9