(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046595
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】放熱構造を有するバッテリモジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6555 20140101AFI20240327BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240327BHJP
H01M 10/643 20140101ALI20240327BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20240327BHJP
【FI】
H01M10/6555
H01M10/613
H01M10/643
H01M10/6563
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110416
(22)【出願日】2023-07-05
(31)【優先権主張番号】111135997
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】509343390
【氏名又は名称】新盛力科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】張古博
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数のセル、バッテリ固定フレーム及び放熱構造を含むバッテリモジュールを提供する。
【解決手段】バッテリモジュールにおいて、第1固定フレーム231及び第2固定フレーム232を含むバッテリ固定フレーム23は、セル22を収容及び固定するために用いられる。放熱構造24は、少なくとも1つの金属プレート241及び少なくとも1つの熱伝導体242を含む。金属プレートは、複数のセルの隙間に設置される。熱伝導体は、金属プレートの左右両側に設置され、且つ、弾性を有する部材である。金属プレートが複数のセルの隙間に設置される際に、一部の熱伝導体は金属プレートとセルに押圧されてセルに密着する。セルが充放電する際に、セルの充放電により発生した熱は熱伝導体を通じて金属プレートに伝わる。その後、セルの充放電により発生した熱は、金属プレートを通じて除去される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱構造を有するバッテリモジュールであって、
金属ハウジングと、
複数のセルと、
前記複数のセルを収容及び固定するために用いられ、前記金属ハウジング内に設置されるバッテリ固定フレームと、
放熱構造と、を含み、
前記放熱構造は、
前記複数のセルの隙間に設置されるか、前記複数のセルと前記金属ハウジングの内壁との隙間に設置される少なくとも1つの金属プレートと、
前記金属プレートの左右両側に設置される少なくとも1つの熱伝導体と、を含み、
前記熱伝導体は弾性を有する部材であり、前記金属プレートが、前記複数のセルの隙間に設置されるか、前記複数のセルと前記金属ハウジングの内壁との隙間に設置される際に、一部の前記熱伝導体は、前記金属プレートと前記複数のセルに押圧されてこれらのセルに密着するバッテリモジュール。
【請求項2】
前記金属ハウジングの内部の一方の側には給気口が設置されており、他方の側には排気口が設置されており、前記バッテリ固定フレームは前記給気口と前記排気口の間に設置される請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項3】
前記金属プレートは長尺のシート状のプレート体であり、前記金属プレートの両端は、それぞれ、前記給気口及び前記排気口に面して設置される請求項2に記載のバッテリモジュール。
【請求項4】
前記金属プレートの一端は、前記バッテリ固定フレームを貫通するとともに、放熱フィンに接続される請求項3に記載のバッテリモジュール。
【請求項5】
前記放熱フィンは、前記給気口付近又は前記排気口付近に設けられる請求項4に記載のバッテリモジュール。
【請求項6】
前記バッテリ固定フレームは第1固定フレーム及び第2固定フレームを含み、前記第1固定フレームの下面は少なくとも1つの第1位置決め溝を含み、前記第2固定フレームの上面は少なくとも1つの第2位置決め溝を含み、前記金属プレートの上側は前記第1固定フレームの前記第1位置決め溝内に嵌着され、前記金属プレートの下側は前記第2固定フレームの前記第2位置決め溝内に嵌着される請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項7】
更に、複数の固定部材を含み、前記金属プレートの上側及び下側にはそれぞれ少なくとも1つの固定孔が設けられており、前記第1固定フレームのプレート体には少なくとも1つの第1貫通孔が設けられており、前記第2固定フレームのプレート体には少なくとも1つの第2貫通孔が設けられており、各前記固定部材は、それぞれ、前記第1固定フレームにおける対応する前記第1貫通孔、又は、前記第2固定フレームにおける対応する前記第2貫通孔を貫通して、前記金属プレートの前記固定孔内にそれぞれ固定される請求項6に記載のバッテリモジュール。
【請求項8】
前記金属プレートは第1金属プレートユニットと2つの第2金属プレートユニットを含み、前記第1金属プレートユニットは前記2つの第2金属プレートユニットの間に挟設され、前記第1金属プレートユニットは接続ベースを含んでおり、前記複数のセルは、導電接続部材のコネクタを通じて前記第1金属プレートユニットの前記接続ベースに接合されることで電気的に接続され、前記第1金属プレートユニットと前記第2金属プレートユニットは異なる金属材質の部材であり、前記第1金属プレートユニットと前記導電接続部材は同じ金属材質の部材である請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項9】
各前記セルは、それぞれ金属導電フレームを通じて別の前記セルに直列に接続され、そのうち、1つの前記セルの負極は第1導線を通じてシステム装置に接続され、1つの前記セルの正極は、前記導電接続部材の前記コネクタを通じて前記金属プレートの前記接続ベースに接続され、前記金属プレートは第2導線を通じて前記システム装置に接続され、放電電流は、前記システム装置から直列に接続される前記複数のセルに向かって流れ、且つ、前記金属プレートを通じて前記システム装置に戻る請求項8に記載のバッテリモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリモジュールに関し、特に、放熱構造を利用してセルの充放電により発生した熱を除去し、放熱するバッテリモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
慣用のバッテリモジュールの平面断面図、正面断面図及び側面断面図である
図1、
図2及び
図3を参照する。
図1、
図2及び
図3に示すように、バッテリモジュール100は、ハウジング11、複数のセル12、バッテリ固定フレーム13を含む。バッテリ固定フレーム13は、第1固定フレーム131及び第2固定フレーム132を含む。また、前記複数のセル12は、第1固定フレーム131と第2固定フレーム132の間に収容及び固定される。且つ、これらのセル12が配設される第1固定フレーム131及び第2固定フレーム132はハウジング11内に配置され、ハウジング11によってセル12及び第1固定フレーム131及び第2固定フレーム132が保護される。
【0003】
バッテリモジュール100のセル12は、充放電時に発熱して昇温する。セル12の充放電により発生した熱を放出可能とするために、通常、ハウジング11の両側には送風ファン151及び吸風ファン153がそれぞれ設置される。セル12を収容した第1固定フレーム131及び第2固定フレーム132は、送風ファン151と吸風ファン153の間に配置される。送風ファン151は、外部の冷気をハウジング11内部におけるセル12の存在位置に向かって送出し、送り込まれた冷気は、発熱したセル12を通過したあと熱気になる。続いて、吸風ファン153が熱気を吸い込むことで熱気を外部へ放出する。こうして、送風ファン151による送風と、吸風ファン153による熱気の吸い込みによって、充放電により発熱したセル12を降温可能とする。
【0004】
また、バッテリモジュール100のセル12が充放電する際には、セル12における缶体の中心がセル12全体で最も熱い箇所となる。加えて、通常、セル12は、平行に並べられる方式でバッテリ固定フレーム13内に配置される。よって、セル12のうち最も熱い箇所はバッテリ固定フレーム13の真中に位置することになる。換言すると、セル12が平行に並べられる方式でバッテリ固定フレーム13内に配置された場合、セル12のうち最も熱い箇所は、近接するセル12の最も熱い箇所にちょうど対応する。よって、セル12と、近接するセル12の温度が同じである場合、セル12は同等の断熱状態となり、セル12のうち最も熱い箇所の熱源を近接するセル12に分散させることができない。そのほか、通常、バッテリ固定フレーム13はプラスチックで製造されるが、プラスチックはそれ自体の熱伝導性に極めて劣る。そのため、バッテリ固定フレーム13自体はセル12の熱を導出することができない。
【0005】
加えて、従来の前記複数のセル12は、長尺型のバッテリ固定フレーム13内に等しい高さで平行に並べられる。そのため、送風ファン151から送出される冷気は、大部分の風力が送風ファン151に近い前列のセル12に遮られてしまい、高い流動抵抗が発生する。これにより、わずかな風力のみが前列のセル12の間の隙間を通過して後列のセル12まで流動可能となる。結果として、送風ファンから遠い後列のセル12の熱は有効に除去することが容易でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、放熱構造を有するバッテリモジュールを提供することである。当該バッテリモジュールは、複数のセル、バッテリ固定フレーム及び放熱構造を含む。バッテリ固定フレームは、セルを収容及び固定するために用いられる。放熱構造は、少なくとも1つの金属プレート及び少なくとも1つの熱伝導体を含む。金属プレートは、複数のセルの隙間に設置される。熱伝導体は、金属プレートの左右両側に設置され、且つ弾性を有する部材である。金属プレートが複数のセルの隙間に設置される際に、熱伝導体はそれらのセルにおける缶体の中心の外側面に接触し、且つ、熱伝導体の一部構造が金属プレートとそれらのセルに押圧される。押圧された熱伝導体の一部構造は、セルに対し大面積の接触面を形成する。このように、熱伝導体を設置することで、金属プレートとセルの間に大面積の接触面が備わる。セルが充放電する際には、熱伝導体が、大面積の接触面を利用してセルの充放電により発生した熱を吸収するとともに、吸収した熱を金属プレートに伝える。これにより、金属プレートは熱を急速にセルから除去し得るため、セルが高温状態で動作するとの事態が回避され、ひいてはセルの破損のリスクが低下する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、放熱構造を有するバッテリモジュールを提供する。当該バッテリモジュールは、金属ハウジングと、複数のセルと、複数のセルを収容及び固定するために用いられ、金属ハウジング内に設置されるバッテリ固定フレームと、放熱構造、を含む。当該放熱構造は、複数のセルの隙間に設置されるか、複数のセルと金属ハウジングの内壁との隙間に設置される少なくとも1つの金属プレートと、金属プレートの左右両側に設置される少なくとも1つの熱伝導体、を含む。熱伝導体は弾性を有する部材である。金属プレートが、複数のセルの隙間に設置されるか、複数のセルと金属ハウジングの内壁との隙間に設置される際に、一部の熱伝導体は、金属プレートと複数のセルに押圧されてこれらのセルに密着する。
【0008】
本発明の一実施例において、金属ハウジングの内部の一方の側には給気口が設置されており、他方の側には排気口が設置されており、バッテリ固定フレームは給気口と排気口の間に設置される。
【0009】
本発明の一実施例において、金属プレートは長尺のシート状のプレート体であり、金属プレートの両端は、それぞれ、給気口及び排気口に面して設置される。
【0010】
本発明の一実施例において、金属プレートの一端は、バッテリ固定フレームを貫通するとともに、放熱フィンに接続される。
【0011】
本発明の一実施例において、放熱フィンは、給気口付近又は排気口付近に設けられる。
【0012】
本発明の一実施例において、熱伝導体は、熱伝導フィラー、熱伝導パッド又は熱伝導テープである。
【0013】
本発明の一実施例において、バッテリ固定フレームは第1固定フレーム及び第2固定フレームを含む。第1固定フレームの下面は少なくとも1つの第1位置決め溝を含み、第2固定フレームの上面は少なくとも1つの第2位置決め溝を含む。金属プレートの上側は第1固定フレームの第1位置決め溝内に嵌着され、金属プレートの下側は第2固定フレームの第2位置決め溝内に嵌着される。
【0014】
本発明の一実施例において、更に、複数の固定部材を含み、金属プレートの上側及び下側にはそれぞれ少なくとも1つの固定孔が設けられている。第1固定フレームのプレート体には少なくとも1つの第1貫通孔が設けられており、第2固定フレームのプレート体には少なくとも1つの第2貫通孔が設けられている。各固定部材は、それぞれ、第1固定フレームにおける対応する第1貫通孔、又は、第2固定フレームにおける対応する第2貫通孔を貫通して、金属プレートの固定孔内にそれぞれ固定される。
【0015】
本発明の一実施例において、金属プレートは第1金属プレートユニットと2つの第2金属プレートユニットを含む。第1金属プレートユニットは2つの第2金属プレートユニットの間に挟設される。第1金属プレートユニットは接続ベースを含んでおり、複数のセルは、導電接続部材のコネクタを通じて第1金属プレートユニットの接続ベースに接合されることで電気的に接続される。第1金属プレートユニットと第2金属プレートユニットは異なる金属材質の部材であり、第1金属プレートユニットと導電接続部材は同じ金属材質の部材である。
【0016】
本発明の一実施例において、各セルは、それぞれ金属導電フレームを通じて別のセルに直列に接続される。そのうち、1つのセルの負極は第1導線を通じてシステム装置に接続され、1つのセルの正極は、導電接続部材のコネクタを通じて金属プレートの接続ベースに接続される。金属プレートは第2導線を通じてシステム装置に接続される。放電電流は、システム装置から直列に接続される複数のセルに向かって流れ、且つ、金属プレートを通じてシステム装置に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、慣用のバッテリモジュールの平面断面図である。
【
図2】
図2は、慣用のバッテリモジュールの正面断面図である。
【
図3】
図3は、慣用のバッテリモジュールの側面断面図である。
【
図4】
図4は、本発明のバッテリモジュールの一実施例における平面透視図である。
【
図5】
図5は、本発明のバッテリモジュールの一実施例における一部構造の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明のバッテリモジュールの一実施例における一部構造の組立斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の放熱構造の一実施例における概略斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、本発明の放熱構造の一実施例における概略正面図である。
【
図8】
図8は、本発明における金属プレートとセルが熱伝導体を押圧する際の概略図である。
【
図9】
図9は、本発明のバッテリモジュールの更なる実施例における平面透視図である。
【
図10】
図10は、本発明のバッテリモジュールの更なる実施例における一部構造の組立斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明のバッテリモジュールの更なる実施例における平面透視図である。
【
図12】
図12は、本発明のバッテリモジュールの更なる実施例における平面透視図である。
【
図13】
図13は、本発明のバッテリモジュールの更なる実施例における一部構造の組立斜視図である。
【
図14】
図14は、本発明のバッテリモジュールにおける放電電流の回路の概略経路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図4、
図5、
図6、
図7A及び
図7Bを参照する。これらは、それぞれ、本発明のバッテリモジュールの一実施例における平面透視図、本発明のバッテリモジュールの一実施例における一部構造の分解斜視図、本発明のバッテリモジュールの一実施例における一部構造の組立斜視図、本発明の放熱構造の一実施例における概略斜視図及び概略正面図である。
図4、
図5及び
図6に示すように、本発明のバッテリモジュール200は、金属ハウジング21、複数のセル22、バッテリ固定フレーム23及び少なくとも1つの放熱構造24を含む。
【0019】
バッテリ固定フレーム23は、第1固定フレーム231及び第2固定フレーム232を含む。第1固定フレーム231は複数のスリーブ2310を含み、第2固定フレーム232は複数のスリーブ2320を含む。各セル22の上端は第1固定フレーム231のスリーブ2310内に嵌設され、下端は第2固定フレーム232のスリーブ2320内に嵌設される。これにより、各セル22を第1固定フレーム231と第2固定フレーム232の間に固定可能となり、且つ互いに間隔が維持される。加えて、セル22が収容及び固定されたバッテリ固定フレーム23を金属ハウジング21の内部に配設することで、金属ハウジング21によりバッテリ固定フレーム23及びそのセル22を保護する。
【0020】
金属ハウジング21の両側には、給気口211及び排気口213がそれぞれ設置される。一実施例において、給気口211には送風ファン212が設置されていてもよく、排気口213には吸風ファン214が設置されていてもよい。バッテリ固定フレーム23は給気口211と排気口213の間に設置される。給気口211における送風ファン212の送風と、排気口213における吸風ファン214の吸風によって、金属ハウジング21の内部に空気を通すことが可能となる。
【0021】
各放熱構造24は、それぞれ、金属プレート241及び少なくとも1つの熱伝導体242を含む。金属プレート241は、例えば、アルミプレート又は銅プレートのような長尺のシート状の金属プレート体であって、対応する前記複数のセル22の隙間に設置される。例えば、金属プレート241は、一列のセル22と別の列のセル22との隙間に設置される。本発明の好ましい実施例において、金属プレート241の両端は、それぞれ給気口211及び排気口213の位置に面して設置される。例えば、金属プレート241の一端(前端)は給気口211に面しており、他端(後端)は排気口213に面している。熱伝導体242は弾性を有する部材であり、例えば、熱伝導フィラー(gap filler)、熱伝導パッド又は熱伝導テープである。
図7A及び
図7Bに示すように、熱伝導体242は、粘着又は圧着方式で金属プレート241の左右両側(例えば、長手の両側面)に設置される。
【0022】
第1固定フレーム231の下面は少なくとも1つの第1位置決め溝2311を含み、第2固定フレーム232の上面は少なくとも1つの第2位置決め溝2321を含む。金属プレート241と第1固定フレーム231及び第2固定フレーム232を組み付ける際には、金属プレート241の上側が第1固定フレーム231の第1位置決め溝2311内に嵌着され、金属プレート241の下側が第2固定フレーム232の第2位置決め溝2321内に嵌着される。金属プレート241は、固定フレーム231,232の位置決め溝2311,2321を通じてバッテリ固定フレーム23に位置決めされる。
【0023】
更に、バッテリモジュール200は、例えばネジのような複数の固定部材25も含む。また、金属プレート241の上側及び下側には、それぞれ、例えばネジ孔のような固定孔2410が少なくとも1つ設けられている。第1固定フレーム231のプレート体には少なくとも1つの第1貫通孔2312が設けられており、第2固定フレーム232のプレート体には少なくとも1つの第2貫通孔2322が設けられている。各固定部材25は、それぞれ、第1固定フレーム231における対応する前記第1貫通孔2312、又は、第2固定フレーム232における対応する第2貫通孔2322を貫通して、金属プレート241の固定孔2410内にそれぞれ締結される。これにより、金属プレート241は、固定部材25と固定孔2410との結合により、しっかりとバッテリ固定フレーム23に位置決めされる。
【0024】
金属プレート241が対応する前記複数のセル22の隙間に設置される際に、熱伝導体242の一部構造はセル22における缶体の中心の外側面に接触するとともに、金属プレート241とセル22に押圧されてセル22に密着する。
図8を用いて更に説明すると、熱伝導体242の厚さを2mmとし、セル22と金属プレート241との間隔を1mmとしてもよい。金属プレート241が対応する前記複数のセル22の隙間に設置される際に、熱伝導体242はセル22における缶体の中心の外側面に接触し、且つ、熱伝導体242の一部構造が金属プレート241とセル22に押圧されて1mmの厚さとなる。押圧された熱伝導体242の一部構造は、セル22に対し大面積の接触面2421を形成する。この大面積の接触面2421は、セル22のうち放熱が容易でない領域(例えば、セル22における缶体の中心の外側面領域)に密着する。
【0025】
このように、熱伝導体242を設置することで、金属プレート241とセル22の間に大面積の接触面2421が備わる。セル22が充放電する際には、熱伝導体242が、大面積の接触面2421を利用してセル22の充放電により発生した熱を吸収するとともに、吸収した熱を金属プレート241に伝える。金属プレート241は、セル22の充放電により発生した熱を受け取ったあと、熱を給気口211に近接する比較的低温の一端に伝える。これにより、給気口211部分の送風ファン212から送り込まれた風によって熱を放出可能となる。こうして、給気口211の後方に並ぶセル22の充放電により発生した熱を放熱構造24によって急速に除去可能となるため、給気口211の後方に並ぶセル22が高温状態で動作するとの事態が回避され、ひいてはセル22の破損のリスクが低下する。
【0026】
図9及び
図10に示すように、本発明の更なる実施例において、金属プレート241の一端(例えば前端)は、バッテリ固定フレーム23を貫通するとともに、放熱フィン26に接続されている。放熱フィン26は、選択的に締結方式で金属プレート241の一端に固定されるとともに、給気口211付近に設けられてもよい。当然ながら、本発明の更なる実施例では、金属プレート241の他端(例えば後端)がバッテリ固定フレーム23を貫通するとともに、別の放熱フィン26に接続され、且つ、放熱フィン26が、金属プレート241の他端に締結されるとともに、排気口213付近に設けられてもよい。放熱フィン26を設置することで、金属プレート241上を伝わる熱は、放熱フィン26に集束して、急速に給気口211の送風ファン212による送風で放出可能となるか、排気口213の吸風ファン214による吸風で放出可能となる。
【0027】
本発明のバッテリモジュールの更なる実施例における平面透視図である
図11を参照する。
図11に示すように、本実施例の金属プレート241は、前記複数のセル22の隙間に設置されるだけでなく、これらのセル241と金属ハウジング21との隙間にも設置可能である。これにより、金属ハウジング21に接触する金属プレート241上を伝わる熱は、金属ハウジング21に収容可能となるか、金属ハウジング21を通して放出可能となる。
【0028】
図12、
図13及び
図14を参照する。これらは、それぞれ、本発明のバッテリモジュールの更なる実施例における平面透視図、本発明のバッテリモジュールの更なる実施例における一部構造の組立斜視図、及び本発明のバッテリモジュールにおける放電電流の回路の概略経路図である。
図12、
図13及び
図14に示すように、各セル22は、それぞれ、金属導電フレーム223を通じて別のセル22に直列に接続される。また、バッテリモジュール200における1つのセル22の負極が第1導線221を通じてシステム装置300に接続され、第1金属プレートユニット2411が第2導線222を通じてシステム装置300に接続される。また、バッテリモジュール200における1つのセル22の正極が、導電接続部材224を通じて金属プレート241に接続される。
【0029】
一般的に、銅はアルミニウムよりも遥かに単価が高いため、放熱構造のコストを下げるために、本発明の金属プレート241にはアルミプレートを優先的に選択する。また、銅の導電性はアルミニウムの導電性よりも優れているため、通常、接続端子(例えば、導電接続部材224、金属導電フレーム223)は銅を主体とする。しかし、アルミニウムの化学的性質は銅の化学的性質よりも活発なため、銅材質の導電接続部材224をアルミニウム材質の金属プレート241の接続部材に直接接合した場合には、導電接続部材224と金属プレート241の接続部材との接合箇所に電気化学反応が発生する結果、金属プレート241の接続部材に腐食が生じる。金属プレート241の接続部材が腐食すると、導電接続部材224と金属プレート241の接続部材との接合箇所の接触抵抗(contact resistance)が増大することで、電気抵抗が増大して発熱する。そして、長期間を経ることで、導電接続部材224と金属プレート241の接続部材との接合箇所に危険な状況が発生しやすくなり、ひいては断線が招来される。
【0030】
銅製の接続部材とアルミニウム製の接続部材との直接的な接合を回避するために、本発明の金属プレート241は、第1金属プレートユニット2411と2つの第2金属プレートユニット2412を含む3層プレート構造に設計されている。第1金属プレートユニット2411は、2つの第2金属プレートユニット2412の間に挟設される。第1金属プレートユニット2411と第2金属プレートユニット2412は異なる金属材質の部材である。例えば、第1金属プレートユニット2411は銅製のプレート体であり、第2金属プレートユニット2412はアルミニウム製のプレート体である。加えて、導電接続部材224及び第1金属プレートユニット2411は、例えば銅といった同じ金属材質の部材である。更に、導電接続部材224はコネクタ2241を含み、第1金属プレートユニット2411は接続ベース2413を含む。導電接続部材224と第1金属プレートユニット2411は、コネクタ2241と接続ベース2413との結合によって一体的に接合される。こうすることで、銅材質の導電接続部材224のコネクタ2241と銅材質の第1金属プレートユニット2411の接続ベース2413とが接合されるため、コネクタ2241と接続ベース2413との接合箇所に腐食が発生するとの事態を回避し得る。
【0031】
本発明における第1金属プレートユニット2411は、電源導体として用いられる。システム装置300が放電電流IDを供給すると、放電電流IDは、第1導線221を経由してバッテリモジュール200のセル22に向かって流れる。放電電流IDは、金属導電フレーム223を経由して、直列に接続されるセル22上を流れる。そして、直列に接続されるセル22を通過したあと、放電電流IDは、導電接続部材224を経由して第1金属プレートユニット2411に向かって流れる。第1金属プレートユニット2411を通過したあと、放電電流IDは、第2導線222からシステム装置300に戻る。こうして、大面積の第1金属プレートユニット2411を電源導体とすることで、バッテリモジュール200の給電回路上の安定性を強化可能となる。
【0032】
以上の記載は本発明の一実施例にすぎず、本発明の実施範囲を限定するものではない。即ち、本発明の特許請求の範囲に記載する形状、構造、特徴及び精神に基づきなされる等価の変形及び改変は、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0033】
100 バッテリモジュール
11 ハウジング
12 セル
13 バッテリ固定フレーム
131 第1固定フレーム
132 第2固定フレーム
151 送風ファン
153 吸風ファン
200 バッテリモジュール
21 金属ハウジング
211 給気口
212 送風ファン
213 排気口
214 吸風ファン
22 セル
221 第1導線
222 第2導線
223 金属導電フレーム
224 導電接続部材
2241 コネクタ
23 バッテリ固定フレーム
231 第1固定フレーム
2310 スリーブ
2311 第1位置決め溝
2312 第1貫通孔
232 第2固定フレーム
2320 スリーブ
2321 第2位置決め溝
2322 第2貫通孔
24 放熱構造
241 金属プレート
2410 固定孔
2411 第1金属プレートユニット
2412 第2金属プレートユニット
2413 接続ベース
242 熱伝導体
2421 接触面
25 固定部材
26 放熱フィン
300 システム装置