(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046602
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】オイルモジュール
(51)【国際特許分類】
F01M 1/02 20060101AFI20240327BHJP
F01M 5/00 20060101ALI20240327BHJP
F01M 11/03 20060101ALI20240327BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240327BHJP
B60L 58/26 20190101ALI20240327BHJP
【FI】
F01M1/02 E
F01M5/00 F
F01M11/03 G
B60L50/60
B60L58/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023129812
(22)【出願日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】10 2022 210 019.0
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザウペ カイ
【テーマコード(参考)】
3G015
3G313
5H125
【Fターム(参考)】
3G015BG11
3G015BG26
3G313AB02
3G313BB14
3G313BB18
3G313BB30
3G313BB33
3G313DA16
3G313DA18
5H125AA01
5H125AC12
5H125FF24
(57)【要約】
【課題】先行技術から知られている欠点を克服することができるオイルモジュールを提供する。
【解決手段】本発明に係るオイルモジュール(1)は、フィルタハウジング(3)にフィルタエレメント(4)を収容したフィルタ装置(2)を有し、ラビリンスシール(8)を介してオイルポンプハウジング(6)に対してシールされたオイルポンプハウジング(6)内に回転可能に取り付けられた羽根車(7)を有するオイルポンプ(5)を有し、フィルタハウジング(3)の少なくとも一部とオイルポンプハウジング(6)の少なくとも一部とは、一体の樹脂射出成形部品として形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタハウジング(3)の内部に配置されたフィルタエレメント(4)を備えたフィルタ装置(2)を有し、
ラビリンスシール(8)を介してオイルポンプハウジング(6)に対してシールされた、前記オイルポンプハウジング(6)に回転可能に取り付けられた羽根車(7)を備えたオイルポンプ(5)を有し、
前記フィルタハウジング(3)の少なくとも一部とオイルポンプハウジング(6)の少なくとも一部とが、一体の樹脂射出成形部品として形成されている、
オイルモジュール(1)。
【請求項2】
前記羽根車(7)が、少なくとも1つの環状で軸方向に突出するシール輪郭(10a,10b)を備え、
前記シール輪郭(10a,10b)が、前記ラビリンスシール(8)の方式で前記オイルポンプハウジング(6)に配置された、環状に形成された凹部(11)と相互作用する
ことを特徴とする、請求項1に記載のオイルモジュール。
【請求項3】
前記羽根車(7)が、互いに半径方向に離間して配置され、かつ一緒に少なくとも1つのU字状凹部(13,13a)を形成する、少なくとも2つの環状で軸方向に突出するシール輪郭(10a,10b,10c)を含み、
前記少なくとも2つの環状で軸方向に突出するシール輪郭(10a,10b,10c)が、前記ラビリンスシール(8)の方式で前記オイルポンプハウジング(6)に配置された、少なくとも1つの環状に形成された対向シール輪郭(14,14a)と相互作用する
ことを特徴とする、請求項1に記載のオイルモジュール。
【請求項4】
前記羽根車(7)が、互いに半径方向に離間して配置され、共にU字状凹部(13)を形成する、2つの環状で軸方向に突出するシール輪郭(10a,10b)を含み、
前記U字状凹部(13)は、前記オイルポンプハウジングに配置されて環状に形成され、前記U字状凹部(13)に係合して前記ラビリンスシール(8)の様式で相互作用する、対向シール輪郭(14)と相互作用し、
2つのシール輪郭(10,10b)のうちの1つに半径方向シールウェブ(16)が配置される
ことを特徴とする、請求項1に記載のオイルモジュール。
【請求項5】
前記樹脂射出成形部品が、ポリアミドPA66又はPA6から形成される
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のオイルモジュール。
【請求項6】
前記樹脂射出成形部品は、繊維強化され、特に、35%ガラス繊維で形成される
ことを特徴とする、請求項5に記載のオイルモジュール。
【請求項7】
前記オイルモジュール(1)が、積層型ディスク状熱交換器として形成されたオイルクーラ(18)を備え、
前記オイルクーラ(18)のハウジング部(19)が、前記フィルタハウジング(3)及び前記オイルポンプハウジング(6)と一体に形成されている
ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のオイルモジュール。
【請求項8】
前記オイルクーラ(18)が、前記フィルタ装置(2)と前記オイルポンプ(5)との間に配置されている
ことを特徴とする、請求項7に記載のオイルモジュール。
【請求項9】
バッテリ(25)と、
前記バッテリ(25)を冷却する請求項1から8のいずれか1項に記載のオイルモジュール(1)とを有する、
電動式自動車(24)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルモジュールに関する。さらに、本発明は、車両用バッテリと、そのような車両用バッテリを冷却するオイルモジュールとを有する電動式自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
オイルモジュールは広く知られており、内燃機関によって駆動される自動車に使用されるだけでなく、電動車両にも使用されており、この場合、オイルモジュールは温度制御、特に走行モータ用の車両バッテリの冷却に役立つ。オイルモジュールの特定の設計は、これらが、例えば、フィルタ装置、オイルポンプ及び/又はオイルクーラのような非常に多様性の高い組立体を組み合わせることからなり、このため、部品の多様性を低減するだけでなく、これに関連し、保管コスト及び物流コストを低減することができず、また、設置スペースを必要とする。特に、オイルポンプでは、オイルポンプの羽根車と、それを取り囲むオイルポンプハウジングとの間の望ましくないバイパス流ができるだけ低く保たれることが、それらの効率にとって決め手となる。これを達成し、それにより、望ましくないバイパスをできるだけ小さく、さらに、オイルポンプの効率をできるだけ高くするために、オイルポンプハウジング及び/又は羽根車は、特にアルミニウム製であることが多い。その理由は、このことにより、著しくより正確な隙間寸法、特に、例えば樹脂部品を使用する場合よりも、羽根車とオイルポンプハウジングとの間のより小さな隙間とすることが可能であるからである。この種の金属オイルポンプハウジングでは、明らかに前記隙間の領域で金属オイルポンプハウジングの再加工が行われなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、先行技術から知られている金属製のオイルポンプハウジングでは、羽根車とオイルポンプハウジングとの間の隙間を最適化し、バイパス流を減少させるか、又は効率を向上させるために、これらは再加工されなければならず、その結果、このようなオイルポンプハウジングの製造はより高価になる。さらに、金属材料は、例えば樹脂の射出成形によって作られる同じ部品よりも著しく高価である。
【0004】
したがって、本発明は、先行技術から知られている欠点を克服することができるオイルモジュールを提供する課題を取り扱う。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この課題は独立請求項1の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0006】
本発明は、オイルモジュールのオイルポンプハウジングの少なくとも一部を、前記オイルモジュールのフィルタ装置のフィルタハウジングの少なくとも一部と共に、一体の樹脂射出成形部品として形成し、前記オイルポンプハウジングと羽根車、すなわち前記オイルポンプの羽根車との間に設ける、という一般的な考えに基づいている。ラビリンスシールは、一方では、少なくとも望ましくない、したがって効率を低下させるバイパス流を減少させ、他方では、同時に、より大きな許容可能な寸法偏差を有するオイルポンプハウジングのコスト効率の良い製造を可能にする。本発明によるオイルモジュールは、フィルタハウジング内に収容されたフィルタエレメント、例えば環状フィルタエレメントを備えたフィルタ装置を有する。同様に、オイルポンプハウジング内に回転可能に取り付けられた羽根車を有するオイルポンプが提供され、羽根車はラビリンスシールを介してオイルポンプハウジングに対してシールされている。さらに、フィルタハウジングの少なくとも一部とオイルポンプハウジングの少なくとも一部とが、一体の樹脂射出成形部品として形成される。このことは、羽根車とオイルポンプハウジングとの間のラビリンスシールもバイパス流なしで効率を大きく低下させることなく、より大きな寸法許容差を許容するので、コスト効率の良い製造を可能にする。また、オイルポンプハウジング内のフィルタハウジングの少なくとも一部、又はその逆もまた同様に、樹脂射出成形部品としての2つのハウジングの少なくとも一部の一体設計により、フィルタハウジングを比較的コスト効率よく製造することもできる。
【0007】
本発明によるオイルモジュールの有利なさらなる変形例では、羽根車は、環状に突出し軸方向に延びる少なくとも1つのシール輪郭を含み、これは、ラビリンスシールの方法で、オイルポンプハウジング上に配置された環状に形成された凹部と相互作用する。環状で軸方向に突出するシール輪郭は、羽根車と共に、すなわち、樹脂部品として形成されるか金属部品として形成されるかにかかわらず、比較的容易に製造することができる。オイルポンプハウジングを樹脂射出成形部品として具現化することにより、そこに配置された環状に形成された凹部に、羽根車の軸方向に突出するシール輪郭が設置状態で係合するものを、比較的容易に製造することもできる。凹部に係合するシール輪郭により、比較的容易な方法でラビリンスシールを製造することができ、これにより、本実施形態では、羽根車がバイパスするバイパス流を減少させ、したがって、オイルポンプの効率を高めることができる。軸方向に突出する環状のシール輪郭は、その自由端が羽根車から吸気ダクトの方向に突出する。
【0008】
本発明によるオイルモジュールのさらなる有利かつ別の実施形態では、羽根車は、互いに半径方向に離間した少なくとも2つの環状で軸方向に突出するシール輪郭を含み、これらが一緒になって少なくとも1つのU字状凹部を形成し、少なくとも1つの環状に形成された対向シール輪郭がオイルポンプハウジング上に配置され、羽根車上の少なくとも1つのU字状凹部に係合して、一種のラビリンスシールを形成する。ラビリンスシールの、このような実施形態では、バイパス流が生じる決め手となるラビリンスが著しく長くなり得るので、より一層増大される効率を達成することができる。
【0009】
本発明の別の実施形態では、2つの環状で軸方向に突出するシール輪郭を有する羽根車が実際上設けられ、これらの羽根車は、互いに半径方向に離間し、互いにU字状凹部を形成し、このU字状凹部は、オイルポンプハウジング上に配置された環状に形成された対向シール輪郭を有し、少なくとも1つのU字状凹部内で係合し、ラビリンスシールの様式で相互作用する。羽根車の2つのシール輪郭の一方には、半径方向シールウェブが配置されている。かくして、このような半径方向シールウェブは、例えば、半径方向にシール輪郭から外側に突出するシールウェブを形成し、これによりラビリンス経路の長さが増大し、したがってこのようなラビリンスシールの気密性が増大する。この場合、ラビリンスシールを通る経路を延ばし、それによってラビリンスシールのシール効果を増大させるために、個々のシール輪郭及び対向シール輪郭の、さらなる実施形態があることは明らかである。
【0010】
本発明によるオイルモジュールの特に好ましい実施形態では、樹脂射出成形部品は、ポリアミドPA66又はPA6から形成される。このような樹脂は、高い耐油性を有し、さらに、特にオイルポンプハウジング内で使用可能な硬さと耐摩耗性を有する。一般に、ポリアミドは強度と靭性に優れた合成樹脂である。
【0011】
さらなる有利な実施形態では、樹脂射出成形部品は、特に35%のガラス繊維で繊維強化される。明らかに、例えばアラミド繊維、天然繊維又は炭素繊維のような樹脂射出成形部品の繊維強化のために他の繊維を使用することも考えられる。樹脂射出成形部品の、このような繊維強化のため、樹脂射出成形部品の靭性及び強度を、再度、特に重要な領域においても局所的に改善することができ、このような繊維強化樹脂を使用することによって、より高い強度のために、必要とされる可能性がある壁厚を減らすことができ、その結果、設置スペースを節約することができるだけでなく、資源及び重量を節約することができ、このことは、特に自動車の構造において、大きな利点である。
【0012】
実際上、オイルモジュールは、積層型ディスク熱交換器として設計されたオイルクーラを備え、オイルクーラのハウジング部は、フィルタハウジング及びオイルポンプハウジングと一体に形成されている。この場合、オイルモジュールは、したがって、オイルポンプ及びフィルタ装置を含むだけでなく、さらに、積層型ディスク熱交換器として設計されたオイルクーラも含み、ここで、再び、アセンブリをオイルモジュール内に一体化することができる。フィルタハウジング、積層型ディスク熱交換器のハウジング部、及びオイルポンプハウジングを一体の樹脂射出成形部品として形成することにより、個別成分の、間に位置するラインを有する個別のハウジングを設けたり製造したりすることが必要なくなるので、製造コストのさらなる低減を達成することができる。加えて、そのような共通ハウジングの特定の利点は、個々の部品を互いに接続する必要がないことであるが、そのようなことは、共通ハウジングへの取り付けによって既に達成される。
【0013】
さらに、本発明は、電気駆動式モータ車両、例えば、電気自動車又はハイブリッド自動車に、前記段落の1つによる車両バッテリ及びオイルモジュールを装備するという一般的な概念に基づいており、このようなオイルモジュールは、次に、一時的な制御回路、特に車両バッテリのためのプーリング回路において優先的に配置される。これにより、オイルモジュールについて個別に上述した利点を組み合わせて、電動車両に適用することができる。
【0014】
本発明のさらなる重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面、及び図面による関連する図面の説明から得られる。
【0015】
上述され以下に説明される特徴は、記載されたそれぞれの組み合わせにおいてのみ使用されるのではなく、本発明の範囲を離れることなく他の組み合わせにおいて又は単独で使用されることも理解されるべきである。先に述べた上位ユニットの部品であって、別途に指定できる装置又は配置など、以下ではなお名称が付される部品は、たとえそれが図面に他に示されているとしても、前記ユニットの別個の構成要素を形成することができるか、又は前記ユニットの一体的な領域又は部分であることができる。
【0016】
本発明の好ましい例示的な実施形態は、図面に示され、以下の説明においてより詳細に説明され、ここで、同じ参照番号は、同じ、又は類似の、又は機能的に同じ構成要素に関連する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
それぞれの場合において、概略的に示す。
【
図1】オイルポンプの羽根車の領域における、本発明によるオイルモジュールを示す断面図である。
【
図3】羽根車の可能な実施形態を示す斜視図である。
【
図4】異なるように具現化された羽根車を示す、
図1相当断面図である。
【
図5】さらに異なるように具現化された羽根車を示す、
図4相当断面図である。
【
図6】異なる構成のオイルポンプハウジングを示す、
図4相当断面図である。
【
図7】本発明によるオイルモジュールの全体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図7に示すように、本発明によるオイルモジュール1は、フィルタハウジング3内に受け入れられたフィルタエレメント4を備えたフィルタ装置2を備える。さらに、ラビリンスシール8を介してオイルポンプハウジング6に対してシールされた、オイルポンプハウジング6(
図1~
図6も参照)内に回転可能に取り付けられた羽根車7を備えたオイルポンプ5が提供される。フィルタハウジング3及びオイルポンプハウジング6の少なくとも一部は、一体の樹脂射出成形部品として形成されている。すなわち、少なくとも一部領域に共同して形成された、このようなハウジングは、オイルポンプハウジング6又はフィルタハウジング3の少なくとも一部を形成する一体形成領域を含んでいる。
【0019】
本発明によるオイルモジュール1は、例えば、温度制御することができ、特にオイルモジュール1で冷却することができる、車両バッテリ25用の電気駆動式又は作動式の自動車に採用することができる。羽根車7とオイルポンプハウジング6との間に配置されたラビリンスシール8によって、ハウジングの、ここではオイルポンプハウジング6の少なくとも一部を、樹脂射出成形部品として形成することができ、その結果、樹脂射出成形部品は、より費用対効果が良いだけでなく、より許容可能な寸法偏差を大きくして使用することもできる。
【0020】
先行技術から知られているオイルポンプでは、オイルポンプハウジング及びオイルポンプハウジングに回転可能に配置された羽根車は、通常、金属で形成されており、その結果、羽根車とオイルポンプハウジングとの間の極めて狭い隙間を全ての動作温度において確保することができる。しかしながら、金属製の、このようなオイルポンプハウジングは、材料の点で高価であり、さらに、羽根車とオイルポンプハウジングとの間の小さな隙間を実現し、したがって高効率を実現するために、精巧な再加工を必要とする。ラビリンスシール8は微細な公差隙間寸法を必要とせず、PPS/PPAの使用は、より小さな公差誤差のみ必要とするので、高品質の樹脂は必要とされず、ラビリンスシール8に使用される樹脂、例えばPA6GF40/PA66GF30は、より高い公差誤差が可能である。
【0021】
本発明によるラビリンスシール8のため、これとは対照的に、オイルポンプハウジング6の少なくとも一部を樹脂射出成形部品として形成することが可能であり、これは、隙間9に対する所要の寸法公差を実際には満たさないであろう。しかしながら、ラビリンスシール8は、オイルポンプハウジング6が単に樹脂から形成されているにもかかわらず、オイルポンプ5の高効率を達成できるように、隙間9を介して意図せず流れるバイパス流12を低く保つことができることを保証する。
【0022】
ラビリンスシール8を実現できるようにするために、羽根車7及びオイルポンプハウジング6の両方とも非常に異なる変形例を有することができ、これについては以下でより詳細に説明する。
【0023】
図1及び
図2によれば、羽根車7は、少なくとも1つ、ここでは、2つの環状で軸方向に突出するシール輪郭10a,10bを備えており、これらはラビリンスシール8の様式で、オイルポンプハウジング6に配置された環状に設計された凹部11と相互作用する。
図2を見ると、バイパス流12が、羽根車7をバイパスするためにラビリンスシール8の2つの蛇行状巻線を通過しなければならないことが注目される。このためには、バイパス流12を許容できる低いレベルに保つことに寄与する、比較的大きな流動抵抗を克服することが必要とされる。
【0024】
図1~
図3及び
図7に係る羽根車7は、互いに半径方向に離間して配置され、かつ、少なくとも1つの前記ラビリンスシール8の様式において、少なくとも1つのU字状凹部13内に係合する、オイルポンプハウジング6上に配置された、少なくとも1つの環状に形成された対向シール輪郭14と相互作用する、少なくとも1つの、ここでは正確に1つのU字状凹部13を形成する、上述された2つの環状に形成されて軸方向に突出するシール輪郭10a,10bを備える。
【0025】
対照的に、
図4による羽根車7は、環状に配置されるか形成され、互いに半径方向に離隔して配置され、軸方向15に突出する3つのシール輪郭10a,10b及び10cを全て備えており、これらは同様に、オイルポンプハウジング6上に配置される、環状に形成された対向シール輪郭14と相互作用する。対向シール輪郭14は、U字状凹部13内で2つのシール輪郭10a及び10bの間に係合する。2つのシール輪郭10b及び10cは、オイルポンプハウジング6上の凹部11に係合し、その結果、ラビリンスシール8を通る比較的長い蛇行路が形成され、したがって同じように高いシール効果が得られる。
【0026】
図5による羽根車7を見ると、同様に、軸方向15に突出する2つの環状に形成されたシール輪郭10a,10bを含み、ここで、2つのシール輪郭10a及び10bは、再びそれらの間に形成され、オイルポンプハウジング側の対向シール輪郭14が係合するU字状凹部13を形成することが注目される。さらに、シール輪郭10bは、回転軸17に基づいて、外側へ放射状に突出する半径方向シールウェブ16を有する。この半径方向シールウェブ16は、オイルポンプハウジング6内の凹部11のほぼ全幅にわたって延在し、したがって、例えば
図2に示す実施形態と比較して、バイパス流12に対する流れ断面が減少し、その結果、羽根車7とオイルポンプハウジング6との間の隙間9で流れ抵抗が増加し、全体としてバイパス流12が減少するので、オイルポンプ5の効率を高めることができる。一般に、このような半径方向シールウェブ16の別の配置、又はこのような多数の半径方向シールウェブ16も考えられる。
【0027】
ここで
図6を見ると、羽根車7に関して、
図4で表されているものと同じように形成されていることが分かる。すなわち、この場合、羽根車7は、互いに半径方向に離れて配置され、環状に形成されている3つのシール輪郭10a,10b及び10cを同様に備えている。オイルポンプハウジング6の対向シール輪郭14は、U字状凹部13内の2つのシール輪郭10a,10bの間で係合し、これによってラビリンスシール8内のバイパス流12の第1の偏向をもたらす。これにより形成されたU字状の凹部13a内の2つのシール輪郭10b及び10cの間に係合する、軸方向15に向けられたさらに環状に形成されたシール輪郭14aがここで提供される。このため、ラビリンスシール8内のバイパス流12の偏向を再び強制することができ、流量抵抗が増大し、バイパス流12が体積の点で減少する。
【0028】
シール輪郭10a,10b,10c及び対向シール輪郭14,14aの全ての実施形態において、これらは、厚さ及び長さの点で、純粋に図に示されていると言わざるを得ない。その結果、明らかにシール輪郭又は異なる形の対向シール輪郭も、これらがバイパス流12を減少させるように設けられる。
【0029】
図7によるオイルモジュール1を見ると、積層型ディスク状熱交換器として形成されたオイルクーラ18をさらに備え、積層型ディスク状熱交換器として形成されたオイルクーラ18のハウジング部19が、フィルタハウジング3及びオイルポンプハウジング6と一体に形成されていることが注目される。積層型ディスク状熱交換器として形成されたオイルクーラ18は、フィルタ装置2とオイルポンプ5との間に配置されており、ハウジング部19及び/又はフィルタハウジング3内及び/又はオイルポンプハウジング6内において、オイルモジュール1を通ってハウジング部19内及び冷却剤用のダクト21を流れるオイル用のダクト20を追加的に成形することができる。フィルタハウジング3の一部、オイルクーラ18のハウジング部19及びオイルポンプハウジング6の一部、ここでは吸気ダクト22及び螺旋状ダクト23は、オイルポンプハウジング6とオイルポンプ5の羽根車7との間に、本発明によるラビリンスシール8を使用することによって、独占的に可能な一体の樹脂射出成形部品として形成することができる。
【0030】
例えば、ポリアミドPA66又はPA6を、この樹脂射出成形部品の好ましい樹脂として採用することができ、この樹脂射出成形部品は、耐摩耗性及び耐熱性のみならず、さらに耐油性も有し、その結果、オイルモジュール1の、損傷のない長期間の使用が保証される。さらに強度及び耐摩耗性を増大させることができるように、樹脂射出成形部品は、例えばガラス繊維含有量35%で追加的に繊維強化することができ、この場合、アラミド繊維、炭素繊維又は天然繊維のような他の繊維も使用できる。特に、このような繊維は、特に高い荷重を受ける領域を特に補強し、さらに、強度を高めることができるため、構造部品を全体として薄肉化し、したがって、省資源化し、重量も軽くなるように形成することができる。
【0031】
本発明によるオイルモジュール1と、羽根車7とオイルポンプハウジング6との間のラビリンスシール8とにより、オイルポンプハウジング6は、樹脂射出成形部品における、より高い寸法公差を補償することができるように、ラビリンスシール8を備えた樹脂射出成形部品として初めて形成することができる。金属から形成されたオイルポンプハウジングと比較して、これは、特に、材料及び再加工の費用に関して、著しいコスト上の利点をもたらす。
【外国語明細書】