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  • 特開-交換用カートリッジ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046603
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】交換用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20240327BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240327BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240327BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240327BHJP
【FI】
B01D53/04 110
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
B01D53/04 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023130087
(22)【出願日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】10 2022 210 022.0
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コッピ ペーター
【テーマコード(参考)】
4D012
5H031
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA01
4D012CA08
4D012CA10
4D012CB06
4D012CB10
4D012CE02
4D012CF05
4D012CF10
4D012CG01
4D012CK08
5H031HH06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】周囲から汚れや水の流入を防ぎ、同時に、揮発油成分の周辺環境への流入を防止できる、空気の清浄化及び乾燥用の交換用カートリッジを提供する。
【解決手段】本発明は、ハウジング(2)を有する、空気の清浄化及び乾燥用の交換用カートリッジ(1)を提供し、ハウジング(2)内には、フィルタ装置(4)及び乾燥装置(5)を有する第1流路(3)と、炭化水素吸着装置(7)を有する、第1流路(3)とは反対側に向かう第2流路(6)とが延びる。加えて、本発明は、このような交換用カートリッジ(1)を有する拡張タンク(8)を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)を有する、空気の清浄化及び乾燥用の交換用カートリッジ(1)であって、
ハウジング(2)内には、フィルタ装置(4)及び乾燥装置(5)を有する第1流路(3)と、炭化水素吸着装置(7)を有する、第1流路(3)とは反対側に向かう第2流路(6)とが延びる、交換用カートリッジ。
【請求項2】
前記第2流路(6)の入口(12)において前記交換用カートリッジ(1)は、誘電性冷却液(9)の拡張タンク(8)にネジ止めされる内側ネジ山(13)を備え、
前記炭化水素吸着装置(7)は、前記交換用カートリッジ(1)の軸(14)と同軸に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の交換用カートリッジ。
【請求項3】
前記フィルタ装置(4)は、前記炭化水素吸着装置(7)を同軸に囲む、ひだのある星形として形成され、
前記乾燥装置(5)は、前記炭化水素吸着装置(7)及び前記フィルタ装置(4)を同軸に囲むことを特徴とする、請求項1-2のいずれか1項に記載の交換用カートリッジ。
【請求項4】
前記炭化水素吸着装置(7)は、活性炭及び/又は炭化水素センサを備え、及び/又は、
前記乾燥装置(5)は、モレキュラーシーブを備えることを特徴とする、請求項1-3のいずれか1項に記載の交換用カートリッジ。
【請求項5】
前記ハウジング(2)は、第1開口(21)を持つカバー(19)と、側方の第2開口(22)及び中央に配置された第3開口(23)を持つ基部(20)と、を備えることを特徴とする、請求項1-4のいずれか1項に記載の交換用カートリッジ。
【請求項6】
前記第1流路(3)は、前記第1開口(21)から前記第2開口(22)まで延び、
前記第2流路(6)は、前記第3開口(23)から前記第1開口(21)まで延びることを特徴とする、請求項5に記載の交換用カートリッジ。
【請求項7】
湿度センサ(30)が、前記乾燥装置(5)の乾燥側(29)に配置されることを特徴とする、請求項1-6のいずれか1項に記載の交換用カートリッジ。
【請求項8】
前記炭化水素吸着装置(7)の領域内に、炭化水素センサ(32)が配置されることを特徴とする、請求項1-7のいずれか1項に記載の交換用カートリッジ。
【請求項9】
誘電性冷却液(9)の拡張タンク(8)であって、
請求項1-8のいずれか1項に記載の交換用カートリッジ(1)を有し、
周辺環境(17)から前記拡張タンク(8)に開く第1逆止弁(25)を有し、
前記拡張タンク(8)から前記炭化水素吸着装置(7)に開く第2逆止弁(26)を有することを特徴とする拡張タンク。
【請求項10】
前記第1逆止弁(25)及び前記第2逆止弁(26)は、前記拡張タンク(8)に配置され、
前記第1逆止弁(25)及び前記第2逆止弁(26)は、前記交換用カートリッジ(1)に配置されることを特徴とする、請求項9に記載の拡張タンク。
【請求項11】
前記拡張タンク(8)には、外側ネジ山(15)を有する接続部(16)が配置されており、前記接続部(16)内に、前記第2逆止弁(26)が配置され、
前記炭化水素吸着装置(7)は、前記交換用カートリッジ(1)の軸(14)及び前記拡張タンク(8)の前記接続部(16)と同軸に配置されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の拡張タンク。
【請求項12】
前記交換用カートリッジ(1)の前記ハウジング(2)は、リム(27)を備え、
前記リム(27)は、前記交換用カートリッジ(1)が前記拡張タンク(8)に配置された際に、前記拡張タンク(8)に対し密着して配置され、前記交換用カートリッジ(1)の前記ハウジング(2)及び前記拡張タンク(8)と共に通気空間(28)を区画し、
前記通気空間(28)は、前記交換用カートリッジ(1)の前記ハウジング(2)内の第2開口(22)を介して、前記乾燥装置(5)の乾燥側(29)に接続され、前記第1逆止弁(25)を介して、前記拡張タンク(8)の内部(24)に接続されることを特徴とする、請求項9-11のいずれか1項に記載の拡張タンク。
【請求項13】
請求項9-12のいずれか1項に記載の拡張タンクを有するバッテリ装置(33)の冷却システム(10)。
【請求項14】
バッテリ装置(33)及び前記バッテリ装置(33)を冷却する請求項13に記載の冷却システム(10)を有する電気車両(11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換用カートリッジと、そのような交換用カートリッジを有する誘電性冷却液の拡張タンクとに関する。加えて、本発明は、このような拡張タンクを有するバッテリ装置の冷却システムと、バッテリ装置及びこのような冷却システムを有する電気車両とに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の電気車両を可能な限り効率的に制御するためには、例えば車両のバッテリのようなエネルギ貯蔵装置を、適した温度範囲において制御する必要がある。この目的のために、周辺温度に応じた、車両のバッテリの冷却又は加熱が要求される。これに関しても、車両のバッテリの可能な限り効率的な冷却を達成するために、いわゆる誘電性冷却液が使用され、誘電性冷却液は、誘電性冷却液の絶縁性により、例えば冷却されるエネルギ貯蔵セルとの直接的な接触を可能にする。この冷却液の長期的な使用を可能にするために、この冷却液の水分含有量を、最小値又は所定の限界値に制限することも、加えて必要である。このことは、電気車両が、冷却液、例えば冷却油が対応する体積変化を受ける非常に多様な温度領域内を移動されるときに、非常に困難である。特に、開放しているシステムでは、周囲から汚れだけでなく水が取り入れられないことが、確実にされなければならない。しかし同時に、例えば炭化水素のような揮発しやすい冷却油の成分が周辺環境に流入しないことが、確実にされなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この目的を達成するために、乾燥装置、フィルタ装置、さらに活性炭フィルタのような吸着装置が使用される。しかし、これら装置の欠点は、これらが電気冷却液の適切な拡張タンクに個別に取り付けられ、かつ適切な弁装置を介して制御されなければならないことにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明は、特に先行技術から知られるこの欠点を克服する交換用カートリッジを提示する問題を扱う。
【0005】
本発明によれば、この問題は、独立請求項1の主題を通して解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0006】
本発明は、フィルタ装置、乾燥装置さらに炭化水素吸着装置が統合された交換用カートリッジの提示する一般的なアイデアに基づかれる。本発明に係る交換用カートリッジは、空気の清浄化及び乾燥(調整)のために機能し、フィルタ装置及び乾燥装置を有する第1流路だけでなく、炭化水素吸着装置を有する、第1流路とは反対側に向けられた第2流路もが延びるハウジングを有する。このような交換用カートリッジは、ネジ閉鎖部を介して、バッテリ装置のための冷却システムの誘電性冷却液の拡張タンクに比較的簡易にねじ止めされ得て、統合されたフィルタ装置を通して、周辺環境に存在する汚染物質が冷却液中に流入することが防止される。乾燥装置を介して、例えば温度によって体積変化するので、周辺環境から拡張タンクに流入する空気の水分含有量が、所定の上限値まで抑制され又は低下され得て、結果として、水分含有量が高すぎることにより、冷却液の機能が損なわれることや、最悪の場合には短絡を生じ得る、冷却液が特定の条件下において導電性になることさえも、確実に防がれる。したがって、第1流路は、周辺環境から拡張タンクへ繋がり、一方で第2流路は、拡張タンクから周辺環境へ繋がる。第2流路において、揮発しやすい炭化水素含有物を吸着する炭化水素吸着装置が配置され、それにより、周辺環境に炭化水素含有物が流入することを防止する。交換用カートリッジと拡張タンクとの間には、明らかに、第1流路内には周辺環境から拡張タンクへの流れのみを、第2流路内には拡張タンクから周辺環境への流れのみを可能とする弁装置が、特に逆止弁が、追加的に配置される。本発明に係る交換用カートリッジによると、現在まで特定の条件下において互いに別個に形成されていた全ての構成要素を組み合わせることが比較的容易であり、それによりバッテリ装置の冷却システムの保守が大幅に簡略化する。
【0007】
本発明に係る交換用カートリッジの有利なさらなる発展形において、交換用カートリッジは、冷却液の拡張タンクにネジ止めするために、第2流路の入口に内側ネジ山を有し、炭化水素吸着装置は、交換用カートリッジの軸と同軸に配置される。このため、交換用カートリッジの拡張タンクへの簡易な取り付けと、交換用カートリッジのネジを簡易に緩めることも可能になり得て、結果として、交換が非常に簡単になる。第2流路が交換用カートリッジ内を同軸に延びているので、当該流路は、設置空間が最適化されるように配置され得る。炭化水素吸着装置は、例えば、費用効果が高いだけでなく、同時に再生もされ得る活性炭を備える。
【0008】
本発明に係る交換用カートリッジのさらに有利な実施形態において、フィルタ装置は、炭化水素吸着装置を同軸に囲む、ひだのある星形として設計される。このようなひだのある星形は、濾過目的として十分に知られており、例えば汚れ粒子の濾過のための比較的大きな表面を提供する。乾燥装置は、炭化水素吸着装置及びフィルタ装置も同軸に囲む。よって、周辺環境から拡張タンクへ第1流路を流れる空気は、最初に、例えば汚染物質が除去されるフィルタ装置を通って流れる。これに続いて、空気は、水分含有量が抑制される乾燥装置を通って流れる。フィルタ装置と乾燥装置との配置が同軸なので、従来のフィルタ装置において知られているように延びる流路が、実現され得る。
【0009】
本発明に係る交換用カートリッジのさらに有利な実施形態において、乾燥装置はモレキュラーシーブを備える。このようなモレキュラーシーブは、例えば合成ゼオライト又は他の物質を備え得て、合成ゼオライト又は他の物質は、ガス、蒸気又は規定された分子サイズの溶解物質に対して高い吸着容量を有する。
【0010】
実際には、交換用カートリッジのハウジングは、カバーと基部とを備える。ハウジングのカバーにおいて、第1開口が配置され、一方で基部において、側方に配置された第2開口及び中央に配置された第3開口が設けられる。第1流路は、第1開口から第2開口へ延び、一方第2流路は、第3開口から第1開口へ延びる。これによって、第3開口、よって第2流路の入口を交換用カートリッジのネジ軸に配置することが可能となり、結果として、特に炭化水素の周辺環境への望ましくない漏れが回避され得る。
【0011】
本発明に係る交換用カートリッジのさらに好ましい実施形態において、湿度センサが、乾燥装置の乾燥側に配置される。これによって、例えば誘電性冷却液の拡張タンクに流入する空気の湿度を検出することが可能となり、超過したとき、交換用カートリッジの交換を要求する対応する警告信号を生成することが可能となる。追加として又は代替として、炭化水素センサが、炭化水素吸着装置の領域内に配置され得て、炭化水素センサは、特に第2流路及び炭化水素吸着装置の出口側に配置される。これによって、炭化水素吸着装置の吸着容量を監視することが可能となり、炭化水素吸着装置の出口における炭化水素の所定の上限値が超過されたとき、同様に交換用カートリッジの交換を要求する対応する警告信号を生成することが可能となる。
【0012】
さらに、本発明は、前述の段落に記載の交換用カートリッジを有する、誘電性冷却液の拡張タンクの提示する一般的なアイデアに基づかれる。拡張タンクと交換用カートリッジとの間において、周辺環境から拡張タンクに開く第1逆止弁が配置され、拡張タンクから炭化水素吸着装置に開く第2逆止弁が配置される。第1逆止弁は、特に拡張タンクの内部と周辺環境との間の所定の圧力差が存在するときにのみ、開く。これは、例えば、より低温な場合に誘電性冷却液の体積が減少し、これにより拡張タンク内に負圧が生じ、最終的に、空気が、第1流路よってフィルタ装置及び乾燥装置を介して、周辺環境から拡張タンクへ引き込まれるように、第1逆止弁が開くような場合にあり得る。対照的に温度が上昇したとき、誘電性冷却液の体積は増加し、拡張タンク内における所定の過圧から第2逆止弁を開き、よって空気を、拡張タンクから第2流路と炭化水素吸着装置とを介して周辺環境へ排出する。拡張タンクから流出する空気が炭化水素吸着装置を通って流れたとき、空気中にまだ存在する炭化水素が、炭化水素吸着装置の活性炭に堆積され、結果として、炭化水素の環境汚染が、防止され得て、少なくとも低減される。
【0013】
実質的に、第1逆止弁及び第2逆止弁は、拡張タンクに配置される。このことは、例えば、炭化水素吸着装置の負荷により交換用カートリッジを交換する際に、交換用カートリッジのみを廃棄しさえすればよく、2つの逆止弁がそのまま再利用され続け得るという大きな利点を提供する。代替として、純粋に理論的には、第1逆止弁及び第2逆止弁が、交換用カートリッジに配置されることも考えられる。
【0014】
本発明に係る拡張タンクの特に好ましい実施形態において、外側ネジ山を持つ接続部が拡張タンクに配置され、第2逆止弁が接続部内に配置される。この場合、交換用カートリッジは、接続部に配置された外側ネジ山と相補的に形成された内側ネジ山を有し、交換用カートリッジは、これを介して拡張タンクとネジ止めされ得る。炭化水素吸着装置は、交換用カートリッジの軸と拡張タンクの接続部と同軸に配置される。このような拡張タンクは、交換用カートリッジがネジを緩められた場合においてさえ、第2逆止弁が拡張タンクにそのまま残るという大きな利点を提供する。代替として、内側ネジ山を持つ接続部も、本発明に係る拡張タンクに配置され得て、第2逆止弁が接続部内に配置される。この場合、交換用カートリッジは、接続部に配置された内側ネジ山と相補的に形成された外側ネジ山を有し、交換用カートリッジは、これを介して拡張タンクとネジ止めされ得る。
【0015】
また、ネジ接続の代替として、バヨネット接続又はクリップ留接続が、拡張タンクに交換用カートリッジを固定するために設けられ得る。
【0016】
本発明に係る拡張タンクのさらに有利な実施形態において、交換用カートリッジのハウジングは、リムを備え、リムは、交換用カートリッジが拡張タンクに配置された際に、拡張タンクに対し密着して配置され、交換用カートリッジのハウジング及び拡張タンクと共に通気空間を区画し、通気空間は、交換用カートリッジのハウジング内の第2開口を介して、乾燥装置の乾燥側に接続され、第1逆止弁を介して、拡張タンクの内部に接続される。交換用カートリッジを拡張タンクに取り付けるとき、よって、交換用カートリッジの縁部は、拡張タンク状に配置され、結果として、外側に対して閉鎖された通気空間が現れる。このことは、交換用カートリッジが、交換用カートリッジの最終的な回転位置に関わらずに、第1流路を介して拡張タンクの内部と接続することを可能にする、大きな利点を提供する。特に、交換用カートリッジの第2開口と拡張タンクの関連される開口との位置合わせをする必要がない。
【0017】
さらに、本発明は、前述の段落に記載の拡張タンクを持つバッテリ装置の冷却システムを装備することの一般的なアイデアに基づかれる。このような冷却システムは、例えば電気車両に搭載され得る。このため、拡張タンクから周辺環境への、望ましくない炭化水素の排出と同様に、周辺環境から拡張タンクへの、望ましくない水及び汚れの侵入を防ぐことが可能となる。フィルタ装置、乾燥装置、及び炭化水素吸着装置を交換用カートリッジに統合することによって、比較的簡易な保守が、交換用カートリッジの簡易な交換を通して、追加的に行われ得る。このことは、第1及び第2逆止弁が拡張タンクに配置されているならば、特に費用効果が高く実現され得る。
【0018】
交換用カートリッジ及び拡張タンク他に、冷却システム又は電気車両における、同様の交換用カートリッジ及び拡張タンクの対応する使用の保護が請求される。
【0019】
本発明のさらに重要な特徴及び利点が、従属請求項、図面、及び図面による関連図の説明から得られる。
【0020】
上述される特徴及び以下に説明される特徴は、それぞれの記述された組合せにおいてのみ使用され得るだけでなく、本発明の範囲から外れることなく、他の組合せ又は単独でも使用され得ることを理解されたい。例えば、別個に設計される設備、装置、配置のような上述される、又はさらに以下にて名付けられる、より上位レベルのユニットのパーツは、図面において別の形として示されるときでさえ、このユニットの別個の要素を形成し得る、又はこのユニットの不可欠な領域又は部分になり得る。
【0021】
本発明の好ましい例示的な実施形態が、図面において示され、以下の記述においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明に係る拡張タンクに配置された本発明に係る交換用カートリッジの可能な実施形態を通る断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1によれば、空気の清浄化及び乾燥のための本発明に係る交換用カートリッジ1は、フィルタ装置4、特にリングフィルタと、乾燥装置5とを有する第1流路3が配置されたハウジング2を備える。同様に、炭化水素吸着装置7を有する、第1流路3とは反対側に延びる第2流路6が設けられる。図1に係る交換用カートリッジ1は、明確化のために、その左側半分が示される。
【0024】
交換用カートリッジ1は、特にネジ止めされて、例えば誘電性冷却液9の拡張タンク8に配置され得て、拡張タンク8にネジ止めされる交換用カートリッジ1を持つこのような拡張タンク8が、例えば、電気車両11におけるバッテリ装置33の冷却システム10において利用され又は使用され得る。
【0025】
第2流路6の入口12において、交換用カートリッジ1は、拡張タンク8にネジ止めするための内側ネジ山13を有し、炭化水素吸着装置7は、交換用カートリッジ1の軸14と同軸に配置される。この軸14は、同時にネジの軸も表す。拡張タンク8は、接続部16の内側ネジ山13と相補的な外側ネジ山15を有しており、結果として、交換用カートリッジ1を簡易なネジ止めによって拡張タンク8に比較的に簡易に取り付けることが可能となる。
【0026】
これの代替として、内側ネジ山を持つ接続部16も、本発明に係る拡張タンク8に配置され得て、第2逆止弁26は、接続部16内に配置される。この場合において、交換用カートリッジ1は、接続部16に配置された内側ネジ山と相補的に形成された外側ネジ山を有しており、交換用カートリッジ1は、接続部16を介して拡張タンク8にネジ止めされ得る。また、ネジ接続の代替として、不図示のバヨネット接続又はクリップ留接続が、拡張タンク8に交換用カートリッジ1を固定するために設けられ得る。それぞれの接続機構とは無関係に、交換用カートリッジ1の迅速かつ簡易な交換と、炭化水素の望ましくない漏れの確実な防止とが、可能になる。
【0027】
フィルタ装置4は、炭化水素吸着装置7を同軸に囲む、ひだのある星形として形成され得て、結果として、比較的小さな設置空間において比較的大きな濾過面積が実現する。このため、特に、流れ抵抗が低く、かつ濾過能力が大きく保たれ得る。交換用カートリッジ1を通る第1流路3を介して周辺環境17から流入する空気18が、最初にフィルタ装置4を通って流れ、続いて乾燥装置5を通って流れるように、乾燥装置5は、炭化水素吸着装置7と、この場合においてフィルタ装置4も同軸に囲んでおり、結果として、空気18は、最初にフィルタ装置4において汚染物質が除去され、続いて乾燥装置5において含有する水分が除去される。この目的のため、乾燥装置5は、例えばモレキュラーシーブ、特にゼオライトを備え得る。
【0028】
交換用カートリッジ1のハウジング2はカバー19と基部20とを有し、カバー19と基部20とは、別個にかつ互いに接続可能なように形成され得る、あるいは代替として一体形成もされ得る。カバー19に、第1開口21が配置され、一方で基部20に、第2開口22が配置される。加えて、基部20の中央に、第3開口23が設けられる。第1流路3は、第1開口21から第2開口22まで延び、一方で第2流路6は、第3開口23から第1開口21まで延びる。
【0029】
拡張タンク8の内部24と周辺環境17との間の行き来は、通常、特に、例えば温度変化による誘電性冷却液9の体積変化によって、それが要求されたときにのみ生じる。しかし、制御されない交換を防ぐために、第1逆止弁25及び第2逆止弁26が設けられており、第1逆止弁は、周辺環境17から拡張タンク8の内部24に開いており、一方で第2逆止弁26は、反対方向に開いている。第1逆止弁25及び/又は第2逆止弁26を開くために、対応する過圧又は負圧が要求される。
【0030】
より詳細に図1を見れば、第1逆止弁25と第2逆止弁26との両方が拡張タンク8に配置されていることは明らかであり、結果として、交換用カートリッジ1の交換が簡易に可能であり、加えて交換用カートリッジ1は、費用効果が高く製造され得る。純粋に理論的には、第1逆止弁25及び第2逆止弁26が交換用カートリッジ1に配置される代替としての実施形態も、明らかに想定される。
【0031】
図示された例示的な実施形態において、第2逆止弁26は接続部16に配置される。
【0032】
交換用カートリッジ1のハウジング2はリム27を有しており、リム27は、拡張タンク8に交換用カートリッジ1が配置された際に拡張タンク8に密着して配置され、交換用カートリッジ1のハウジング2及び拡張タンク8又は拡張タンク8のハウジングと共に、通気空間28を区画する。通気空間28は、交換用カートリッジ1のハウジング2内の第2開口22を介して乾燥装置5の乾燥側29に接続され、第1逆止弁25を介して拡張タンク8の内部24に接続される。よって、縁部27は、回転の角度に関係なく、通気空間28を区画することと、第2開口22と第1逆止弁25とを接続することとを可能にする。
【0033】
交換用カートリッジ1内の乾燥側29には、拡張タンク8に供給される空気の水分含有量を検出する湿度センサ30が、追加的に配置され得る。同時に又は代替として、炭化水素センサ32が、炭化水素吸着装置7の領域に、特に炭化水素吸着装置7の出口31に配置され得て、炭化水素センサ32は、周辺環境17から供給される空気の炭化水素含有量を検出する。例えば、湿度センサ30によって、水分含有量が高すぎることを示す信号が出力されたとき、交換用カートリッジ1を交換するための警告信号が生成され得る。類似例として、このような警告信号が、炭化水素センサ32によって炭化水素が検出された場合にも、検出された炭化水素含有量が所定の限界値を越えているならば、生成され得る。
【0034】
本発明に係る交換用カートリッジ1及び本発明に係る拡張タンク8を用いると、誘電性冷却液9が、汚れ及び過剰な水分から効果的に保護され得て、同時に周辺環境17が、例えば炭化水素のような、拡張タンク8からの揮発性しやすい含有物の望ましくない漏れから、効果的に保護され得る。特に、拡張タンク8に2つの逆止弁25,26を配置することによって、交換用カートリッジ1が取り外されても、拡張タンク8は、確実に閉じられる。このシステムの特に優れた点は、特に、交換用カートリッジ1の交換に際し、逆止弁25,26が、引き続き使用され得ることにある。
図1
【外国語明細書】