(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046607
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】ガス拡散電極用の炭素担持カルボキシル官能化銀ナノ粒子
(51)【国際特許分類】
C25B 11/085 20210101AFI20240327BHJP
C25B 11/032 20210101ALI20240327BHJP
C25B 11/052 20210101ALI20240327BHJP
C25B 11/054 20210101ALI20240327BHJP
C25B 11/065 20210101ALI20240327BHJP
C25B 11/075 20210101ALI20240327BHJP
C09C 1/62 20060101ALI20240327BHJP
C09C 3/06 20060101ALI20240327BHJP
C09D 11/037 20140101ALI20240327BHJP
【FI】
C25B11/085
C25B11/032
C25B11/052
C25B11/054
C25B11/065
C25B11/075
C09C1/62
C09C3/06
C09D11/037
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023140116
(22)【出願日】2023-08-30
(31)【優先権主張番号】17/934,565
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ユージエ チュー
(72)【発明者】
【氏名】ユーリン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート クラリッジ
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ジー.ズワルツ
(72)【発明者】
【氏名】カート アイ.ハーフヤード
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ロートン
【テーマコード(参考)】
4J037
4J039
4K011
【Fターム(参考)】
4J037AA04
4J037CA02
4J037EE23
4J037FF11
4J039AD23
4J039AE13
4J039BA06
4J039BC07
4J039BC08
4J039BE01
4J039BE12
4J039CA03
4J039EA24
4K011AA12
4K011AA20
4K011AA25
4K011AA68
4K011DA11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】CO2のCOへの電気化学的変換のための組成物、電極、及び膜電極アセンブリ用の電極を製造するための方法を提供する。
【解決手段】ある例では、組成物は、炭素担持カルボキシル表面官能化銀ナノ粒子を含む。ガス拡散電極は、炭素担持カルボキシル表面官能化銀ナノ粒子を用いて製造することができ、様々な用途のために膜電極アセンブリ内に配備することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素担持チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子を含む、組成物。
【請求項2】
前記チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子の炭素担持体が、多孔性炭素構造を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
単一の官能性リガンドが、前記炭素担持チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子のカルボキシル含有部分及びチオール含有部分の両方を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記単一の官能性リガンドが、メルカプトカルボン酸、メチルチオグリコレート、システイン、又はシスタミンのうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記メルカプトカルボン酸が、メルカプトコハク酸、メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトエタノール、2-メルカプトエチルアセテート、6-メルカプトヘキシオン酸、又は10メルカプトデシオン酸のうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記単一の官能性リガンドが、メルカプトコハク酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記カルボキシル含有部分及び前記チオール含有部分が、2つの別個の官能性リガンドの一部分である、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
インク組成物であって、
炭素担持チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子と、
水と、
溶媒と、を含む、インク組成物。
【請求項9】
前記溶媒が、極性溶媒又は非極性溶媒を含む、請求項8に記載のインク組成物。
【請求項10】
前記極性溶媒が、エタノール、イソプロパノール、又はブタノールのうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載のインク組成物。
【請求項11】
前記非極性溶媒が、トルエン、デカリン、ベンゼン、又はヘキサンのうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載のインク組成物。
【請求項12】
前記水及び溶媒中の前記チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子の固形分濃度が、約0.1重量パーセント~5重量パーセントを含む、請求項8に記載のインク組成物。
【請求項13】
前記カルボキシル表面官能化銀ナノ粒子の前記固形分濃度が、約0.34重量パーセントを含む、請求項12に記載のインク組成物。
【請求項14】
アイオノマー溶液を更に含む、請求項8に記載のインク組成物。
【請求項15】
前記炭素担持チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子が、銀ナノ粒子に結合したカルボキシル含有部分及びチオール含有部分を含む、請求項8に記載のインク組成物。
【請求項16】
前記カルボキシル含有部分及び前記チオール含有部分が、メルカプトカルボン酸、メチルチオグリコレート、又はシステイン、シスタミンのうちの少なくとも1つを含む単一の官能性リガンドから提供される、請求項15に記載のインク組成物。
【請求項17】
導電性表面と、
前記導電性表面上の炭素担持チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子と、を含む、電極。
【請求項18】
ガス拡散層を更に含む、請求項17に記載の電極。
【請求項19】
前記炭素担持チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子が、チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子を含浸させた微孔性炭素構造を構成する、請求項17に記載の電極。
【請求項20】
前記カルボキシル表面官能化銀ナノ粒子が、カルボキシル含有部分及びチオール部分で官能化されている銀ナノ粒子を含む、請求項19に記載の電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、膜電極アセンブリに関し、より具体的には、様々な変換システムにおいて使用される炭素担持カルボキシル官能化銀ナノ粒子を有するガス拡散電極に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素(CO2)のような温室効果ガス(greenhouse gas、GHG)の排出は、地球のオゾン層の破壊及び地球温暖化を引き起こし、人間の健康、農業、及び水資源に対して悪影響をもたらしている。地球規模の気候変動を緩和するために、世界的な関心が、CO2捕捉及び利用(CO2 capture and utilization、CCU)の分野に集中しており、CO2から付加価値の高い化学物質及び合成燃料への電気触媒変換は、魅力的な手法のうちの1つである。適切な電気触媒、並びに過電圧、反応温度、及び電解質などを含む反応条件を用いて、CO2は、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)、エチレン(C2H4)、ギ酸(HCOOH)、メタノール(CH3OH)、及びエタノール(C2H5OH)などの様々な生成物に電気化学的に変換され得る。
【0003】
現在の段階では、CO2のCOへの電気化学的変換は、その高い技術的及び経済的実現可能性に起因して、最も有望な反応のうちの1つである。この反応において、合成ガス(CO及びH2)は、エネルギー効率の高い方法で生成され得、次いで、フィッシャー-トロプシュ合成プロセスを介して合成炭化水素を生成するための供給原料として使用され得る。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に例示する態様によれば、組成物、電極、及び膜電極アセンブリ用の電極を製造するための方法が提供される。実施形態の1つの開示される特徴は、炭素担持カルボキシル表面官能化銀ナノ粒子を含む、組成物である。
【0005】
実施形態の別の開示される特徴は、炭素担持カルボキシル表面官能化銀ナノ粒子を含むインクを調製することと、導電性表面上にインクを堆積させることと、を含む、方法である。
【0006】
実施形態の別の開示される特徴は、電極である。電極は、導電性表面と、導電性表面上の炭素担持カルボキシル表面官能化銀ナノ粒子と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の教示は、以下の添付図面と併せて以下の発明を実施するための形態を考慮することによって容易に理解することができる。
【0008】
【
図1】本開示のガス拡散電極を有する例示的な膜電極アセンブリの分解ブロック図を図示する。
【
図2】表面官能化銀ナノ粒子炭素粒子を炭素基材上に噴霧して、本開示のガス拡散電極を製造するために使用される例示的なプリンタのブロック図を示す。
【
図3】本開示のガス拡散電極を製造するための例示的な方法のフローチャートを図示する。
【
図4】有機官能化銀ナノ粒子を含浸させた官能化微孔性炭素構造及び非官能化微孔性炭素構造の両方のSEM及びTEM画像を図示する。
【
図5】様々な表面官能化銀ナノ粒子炭素粒子についてのファラデー効率対セル電位のグラフを図示する。
【
図6】様々な表面官能化銀ナノ粒子炭素粒子についてのエネルギー効率対セル電位を図示する。
【
図7】様々な表面官能化銀ナノ粒子炭素粒子についての電流密度対セル電位を図示する。
【
図8】様々な表面官能化銀ナノ粒子炭素粒子についてのシングルパス変換率対セル電位を図示する。
【0009】
理解を容易にするために、可能な限り、同一の参照番号は、図面に共通している同一の要素を示すために使用されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、炭素担持チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子を広く開示する。本開示はまた、ex-situプロセスを介して含浸させた炭素担持表面官能化銀ナノ粒子を有する例示的なガス拡散電極と、それを製造するための方法と、を広く開示する。上で考察されるように、CO2から付加価値化学物質及び合成燃料への電気触媒変換を使用するCCUへの世界的な関心が存在する。
【0011】
電気化学変換プロセスの鍵は、高い効率及び選択性、並びに長期安定性を有する電気触媒である。近年、Au、Ag、Zn、Pd、及びGaなどを含む、CO2をCOに選択的に還元することができる電気触媒の開発において著しい進歩が見られる。全ての候補の中で、銀は、その手頃なコストとCOの生成における高い触媒選択性により、大規模用途において最も高い可能性を示す。Ag系電気触媒に関する広範な研究にもかかわらず、低減された過電圧で触媒選択性が向上した材料を、単純で、拡張可能で、かつ費用効率の高い方式で開発することに課題が残っている。
【0012】
本開示は、炭素担持体又は構造の表面上にex-situで形成された表面官能化銀ナノ粒子を堆積させることによって形成される炭素担持表面官能化銀ナノ粒子を使用する。例えば、銀ナノ粒子は、炭素構造の表面上に添加される前に、炭素構造から離隔して表面官能化してもよい。換言すれば、完全に合成された銀ナノ粒子は、表面官能化銀ナノ粒子が形成された液体含有組成物から除去され、次いで炭素構造に添加される。いくつかの実施形態では、炭素構造は、微孔性又は非多孔性であってもよい。微孔性炭素構造は、CO2の電気触媒変換のためのガス拡散電極における電気触媒としてex-situで形成される表面官能化銀ナノ粒子で含浸されてもよい。炭素担持表面官能化銀ナノ粒子は、含浸法によってex-situで形成されてもよい。
【0013】
「炭素担持」は、炭素構造の表面上にある表面官能化銀ナノ粒子として定義することができる。炭素構造は、表面官能化銀ナノ粒子よりも大きくてもよい。例えば、炭素構造は、直径約50ナノメートル(nm)~約100nmであり得るのに対して、表面官能化銀ナノ粒子は、直径約5nm~約20nmであり得る。したがって、より小さい銀ナノ粒子を炭素構造の表面上に形成することができる。
【0014】
ナノ構造化銀触媒は、質量輸送の利点並びにナノ材料の縁部及び角部のより高い活性な部位を提供するため、それらのバルク対応物と比較して改善された性能を示す。ナノ材料の組成、サイズ、形態、多孔性、及び表面修飾を調整することによって、ナノ構造化触媒の挙動を特定の用途に合わせて調節することができる。
【0015】
表面改質は、触媒性能を改善するための有効な手法のうちの1つである。研究が示唆するように、機能性分子は過電圧を減少させるか、又はCO選択性を改善することができ、例えば、アミンでキャップされたAgナノ粒子は、COOH*中間体を安定化させることによって、より良好な触媒性能を示す。
【0016】
そのような電気触媒の膜電極アセンブリ(Membrane Electrode Assembly、MEA)への統合は、望ましい生成物を得るための別の重要な工程である。典型的なMEAは、2つのガス拡散層(gas diffusion layer、GDL)と、界面に分散された触媒粒子を有するイオン交換膜と、を含み、その製造は、印刷において利用される様々なロールツーロール製造方法と同様である。CO2変換システムのためのMEAの開発における多大な努力にもかかわらず、低コスト、高標準性能、及び調整可能な特性を有するMEAを製造することは依然として困難である。
【0017】
本開示は、新規の炭素担持表面官能化銀ナノ粒子と、効率的かつ選択的な電気触媒として炭素担持表面官能化銀ナノ粒子を使用して電気化学還元のためのMEAを調製するための拡張可能な手法と、を提供する。炭素構造は非多孔性であり得るが、微孔性炭素構造は、MEAの性能を改善する。表面官能化銀ナノ粒子を含浸させた微孔性炭素構造を合成し、連続印刷/コーティング法によってGDL上に堆積される触媒インクに配合する。表面官能化銀ナノ粒子炭素粒子は、担持されていない銀ナノ粒子の銀負荷量と比較して、銀負荷量を最大20倍低減することができる。高いファラデー効率及びCOに対する選択性を有するMEAの製造は、比較的低い過電圧下で実証される。
【0018】
図1は、本開示のガス拡散電極104を含む例示的な膜電極アセンブリ100を図示する。膜電極アセンブリ100は、化合物を異なる望ましい化合物に変換するために使用されるフローセル電気触媒変換器の一部分であり得る。本開示のガス拡散電極104は、より低いセル電位で非常に効率的である(例えば、変換を行うためにより少ない電力を使用する)拡張可能な電極を提供することができる。
【0019】
膜電極アセンブリ100によって実行され得る1つの例示的な変換は、二酸化炭素(CO2)から一酸化炭素(CO)及び水素ガス(H2)への変換である。しかしながら、ガス拡散電極104は、フローセル電気触媒変換器の文脈内で、他の種類の化合物の電気触媒変換のために使用され得ることに留意されたい。
【0020】
一実施形態では、膜電極アセンブリ100は、ガス拡散電極104を有するカソード102と、アニオン交換膜106と、イリジウム酸化物電極110を有するアノード108と、を含む。一実施形態では、入口112は、カソード104を通してCO2を供給することができ、出口114は、カソード104からCO及びH2を運び去ることができる。入口116は、アノード110を通して水を供給することができ、出口は、アノード108から水及び酸素を運び去ることができる。
【0021】
一実施形態では、基準電圧114を印加して、CO2からCO及びH2への変換を支援することができる。例えば、セル電位は、電気触媒変換を実行するために、基準電圧を介して膜電極アセンブリ100に印加され得る。本明細書で考察される例は、2.80ボルト(V)~3.80(V)のセル電位又は過電圧を印加した。
【0022】
一実施形態では、ガス拡散電極104は、本明細書に記載されているように、表面官能化銀ナノ粒子を含浸させた微孔性炭素構造を用いて製造してもよい。ガス拡散電極104を製造する方法の詳細は、以下で更に詳細に考察される。ガス拡散電極104は、表面官能化銀ナノ粒子炭素粒子を配合した触媒インクで炭素基材をコーティングし、次いで触媒インクを乾燥させることによって製造してもよい。一実施形態では、ガス拡散電極104は、ガスが拡散するためのガス拡散層を含み得る。
【0023】
一実施形態では、本開示のガス拡散電極104は、過電圧又は3.50V未満のセル電位において、40%超であるファラデー効率を有し得る。ガス拡散電極104は、3.50V未満のセル電位で10%超の、CO
2からCOへのシングルパス変換率を有し得る。ガス拡散電極104は、3.00V~3.50Vのセル電位で40ミリアンペア/平方センチメートル(mA/cm
2)超の電流密度を有し得る。ガス拡散電極104は、3.00Vのセル電位で30%超のエネルギー効率を有し得る。含浸させた微孔性炭素構造を有するガス拡散電極104及び含浸させた微孔性炭素構造を有しないガス拡散電極104の様々な性能パラメータの比較を、
図5~
図8に図示し、本明細書で提供される例を参照して以下で更に詳細に考察する。
【0024】
一実施形態では、イオン交換部材106は、水酸化カリウム(KOH)で活性化され、かつ純水で洗浄されたDioxide Materials Sustainion X37-50-RTであり得る。アノード110は、酸化イリジウム(IrO2)でコーティングされた炭素基材であり得、触媒は、上、又はイオン交換部材106に向かって面している。
【0025】
一実施形態では、アノード液は、重炭酸カリウム(KHCO3)であり得る。カソード液フローチャンバは、二酸化炭素フローチャンバ102によって提供されるCO2から変換されたCO及びH2を捕捉することができる。上に述べられるように、膜電極アセンブリは、フローセル電気触媒変換器システムにおいて使用され得る。アノード液、アノード110、及びイオン交換膜106について様々な例が提供されたが、他の材料が配備されてもよいことに留意されたい。
【0026】
図2は、ガス拡散電極104の製造のために調製される炭素担持表面官能化銀ナノ粒子208を噴霧するために使用することができる例示的なプリンタ200のブロック図を示す。
【0027】
一実施形態では、炭素担持表面官能化銀ナノ粒子208は、硝酸銀を、カルボキシル含有部分及びチオール部分を含む単一の官能性リガンド、又はカルボキシル含有部分を有する第1の官能性リガンド及びチオール含有部分を有する第2の官能性リガンドを含む2つの別個の官能性リガンドと混合することによって調製され得る。カルボキシル部分は、チオール部分の助けによって銀粒子の表面に付着することができる。
【0028】
一実施形態では、リガンドは、中心金属原子に結合して配位錯体を形成する分子として定義され得る。リガンドは、静電的及び/又は立体的相互作用を介してナノ粒子のコロイド安定性を可能にし得る。
【0029】
一実施形態では、カルボキシル部分及びチオール部分は、単一の官能性リガンドとして提供され得る。単一の官能性リガンドの例としては、任意のメルカプトカルボン酸(例えば、メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトエタノール、2-メルカプトエチルアセテート、6-メルカプトヘキシオン酸(hexionicacid)、10メルカプトデシオン酸(decionic acid)など)、メチルチオグリコレート、システイン、シスタミンなどが挙げられ得る。一実施形態では、カルボキシル部分及びチオール部分を含む単一の官能性リガンドは、メルカプトコハク酸であり得る。
【0030】
一実施形態では、カルボキシル含有部分及びチオール含有部分は、2つの別個の官能性リガンドに由来し得る。例えば、第1の官能性リガンドは、カルボキシル部分を含む任意の種類のリガンドであり得、第2の官能性リガンドは、チオール部分を含む任意の種類のリガンドであり得る。
【0031】
例示的なプロセスでは、チオール含有部分及びカルボキシル含有部分は、エタノール、又は別の低級アルコール/相溶性溶媒に溶解され得る。還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム、タンニン酸、アスコルビン酸など)を添加し得る。反応混合物を撹拌し、発熱反応のために容器を冷却しながら、銀塩(例えば、酢酸銀又は硝酸銀)をゆっくり添加し得る。
【0032】
別個のカルボキシル含有部分の例としては、カルボン酸、ジカルボン酸(例えば、コハク酸、グルタル酸など)、トリカルボン酸(例えば、クエン酸(citrate acid)、クエン酸(citric acid)など)、アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニンなど)、アミノ酪酸、アラニンなどが挙げられ得る。別個のチオール含有部分の例としては、アルキルチオール(例えば、1-ブタンチオール、1-ヘキサンチオール、1-オクタンチオール、シクロヘキサンチオールなど)、3-(トリメトキシシリル)-1-プロペアン(propeane)チオール、tert-ドデシルメルカプタン、1-アダマンタンチオール、トリフェニルメタンチオール、ベンジルメルカプタン、2-メルカプトベンゾチアゾールなどが挙げられ得る。
【0033】
ある例では、チオール含有部分は、1-ブタンチオール(0.5当量)であり得、カルボキシル含有部分は、クエン酸(0.5当量)であり得、還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム(最大10当量)であり得、銀塩は、硝酸銀(1当量)であり得る。ある例では、チオール含有部分は、1-ブタンチオール(0.2当量)であり得、カルボキシル含有部分は、クエン酸(0.8当量)であり得、還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム(最大10当量)であり得、銀塩は、硝酸銀(1当量)であり得る。より大きな粒子の例では、チオール含有部分は、1-ブタンチオール(0.2当量)であり得、カルボキシル含有部分は、クエン酸(0.8当量)であり得、還元剤は、タンニン酸(最大2当量)であり得、銀塩は、硝酸銀(1当量)であり得る。上記の例の濃度は、約0.01~0.1モル/リットルであり得る。
【0034】
一実施形態では、銀ナノ粒子を官能化することは、異なるカルボキシル含有材料を集合させることによって特定の官能性を付加するように、ナノ材料特性を変化させることを指し得る。一実施形態では、チオール部分は、「連結部分」とも称される場合があり、銀ナノ粒子へのカルボキシル部分の付着を確実にするために使用され得る。換言すれば、チオール部分は、カルボキシル部分と銀ナノ粒子の表面との間の共有結合を促進し得る。
【0035】
一実施形態では、チオール部分は、硫黄を含み得る。硫黄は、リガンドの単純な配位とは対照的に、共有結合が存在する点まで銀に対して高い親和性を有し得る。
【0036】
銀の表面へのカルボキシル部分の結合強度を改善することに加えて、銀-硫黄相互作用は、CO2の還元のための過電圧を低下させることができる。銀-硫黄相互作用は、銀ナノ粒子がCO2還元においてより効率的であるように、銀ナノ粒子の電子特性を変化させることができる。例えば、銀-硫黄相互作用は、CO2還元中の電子移動を改善又は促進することができる。
【0037】
一実施形態では、チオール部分は、上述のように、単一の官能性リガンド中のカルボキシル含有部分の一部分であり得る。カルボキシル部分及びチオール部分を含む例示的な化合物は、メルカプトコハク酸であり得る。一実施形態では、カルボキシル部分及びチオール部分は、2つの別個の又は異なる官能性リガンドとして提供され得る。
【0038】
一実施形態では、炭素担持表面官能化銀ナノ粒子208は、メルカプトコハク酸で調製され得る。したがって、銀ナノ粒子は、チオールリガンドの助けによってメルカプトコハク酸を銀ナノ粒子に付着させることによって、炭素基材と結合するように官能化することができる。以下の実施例1は、ドデシルアミンを有する炭素担持表面官能化銀ナノ粒子208の例を記載している。
【0039】
実施例1:
AgNO3の5%水溶液(50グラム(g)の水中2.52g(15ミリモル(mmol))を、アルゴン(Ar)でパージした2リットル(L)の丸底フラスコ中の1200ミリリットル(mL)のメタノール(MeOH)に添加した。これに2.25g(15mmol)のメルカプトコハク酸を添加した。フラスコを室温の水浴中に置き、10分間撹拌した。300mLの新たに調製した0.5モル(M)の水素化ホウ素ナトリウム水溶液を5分間かけてゆっくりとフラスコに添加したところ、フラスコが著しく温まった。溶液をAr下で50分間撹拌した。ガラスファイバーフィルターの上にwhatman#4を有するブフナー漏斗上に粒子を収集し、50mLのMeOHで洗浄した。この材料を室温及び-30インチ水銀(Hg)の真空オーブンに入れて過剰なMeOHを除去し、黒色AgNP-チオール-COOH粉末(2.25g)を得た。一次粒径は、SEM画像分析によって約10ナノメートル(nm)であることが見出された。溶液中の凝集に起因して、電気泳動光散乱(Electrophoretic Light Scattering、ELS)による粒径を測定したところ、より大きく、Zave:82.7nm、Zave(一次分布):116.5nm、D(1,0):28.4nmであった。
【0040】
次いで、炭素担持表面官能化銀ナノ粒子を使用して、以下の実施例2によって記載されるように、微孔性炭素構造に含浸させた。
【0041】
実施例2:
105ミリグラム(mg)のVulcan XC-72Rカーボンブラック(Cabot)を、3.5gのエタノール中に分散させ、次いで、カーボンブラックに、3.5gのヘキサン中に分散させた72mgのAg-チオール-COOH粉末を48時間かけて含浸させた。濾過し、エタノールで洗浄し、一晩真空乾燥した後、40重量%のAg-チオール-COOH/C触媒を得た。
【0042】
次いで、炭素担持表面官能化銀ナノ粒子208は、中央処理装置(central processing unit、CPU)206(プロセッサ又は制御装置とも称される)の制御下にあるスプレーノズル204を有するプリントヘッド202によって分注することができるインク形態に調製され得る。炭素担持表面官能化銀ナノ粒子208は、極性又は非極性溶媒と混合されて、インクを調製し得る。極性溶媒の例としては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、水などが挙げられ得る。非極性溶媒の例としては、トルエン、デカリン、ベンゼン、ヘキサンなどが挙げられ得る。一実施形態では、いくつかの極性溶媒、いくつかの非極性溶媒、又は極性溶媒及び非極性溶媒の両方の組み合わせを使用して、インクを調製し得る。例えば、溶媒は、90:10~10:90の比を有する水及びイソプロピルアルコールであり得る。別の例では、溶媒は、純粋なイソプロピルアルコールであり得る。表面官能化銀ナノ粒子208の固形分濃度は、約0.1重量%~約5重量%の範囲であり得る。
【0043】
プリントヘッド202は、x-y座標系214に沿って移動して、炭素担持表面官能化銀ナノ粒子208を基材210の表面にわたって分布させ得る。実施例3は、炭素担持表面官能化銀ナノ粒子208がインク形態に調製される方法の例を記載する。
【0044】
実施例3:
130mgの上記40重量%のAg-チオール-COOH/C触媒を、4.3mlの脱イオン水、13mlのイソプロピルアルコール、及び700マイクロリットル(ul)の5重量パーセント(重量%)のSustainionアイオノマー溶液(Dioxide Materials Company)と混合することによって、カソード触媒インクを調製した。インクを30分間超音波処理して、完全に混合した。銀負荷量の質量比は、約0.34%であった。
【0045】
次いで、インク形態の炭素担持表面官能化銀ナノ粒子208を基材210上に印刷してもよい。基材210は、炭素基材であり得る。炭素担持表面官能化銀ナノ粒子208は、インク形態の炭素担持表面官能化銀ナノ粒子208を基材210に噴霧することによって印刷してもよい。
【0046】
一実施例では、インク形態の炭素担持表面官能化銀ナノ粒子208を、超音波スプレーコーターを用いて、音波ヘッドガス拡散層基材から30ミリメートル(mm)のスタンドオフ距離で、0.17立方メートル(m3)/時間の送達で34キロパスカル(kPa)の窒素流ガスでスプレーコーティングした。超音波処理電力は、1.5ワット(W)であり、シリンジポンプを介して0.3ミリリットル/分(mL/分)のインク送達を伴う円錐渦送達パターンであった。固定超音波(例えば、Sonotek-Vortex)プリントヘッドを有するX-Yボールスクリューステージを介して印刷を行った。プリントヘッドは、25mm/秒(mm/sec)の線速度で、間に5mmの間隔ギャップを有する12本の線の蛇行経路からなる60mm×60mmのゾーンであった。シリンジ内のストリングバーを使用して、インクを撹拌した。
【0047】
炭素担持表面官能化銀ナノ粒子208をインク形態で調製し、基材210上に印刷した後、基材210上の炭素担持表面官能化銀ナノ粒子208を、室温で24時間乾燥してもよい。
【0048】
ある例では、3つの異なるガス拡散電極104を調製した。第1の電極(
図5~
図8の電極1)は、本開示の炭素担持表面官能化銀ナノ粒子208の15回の通過を受けた。第2の電極(
図5~
図8の電極2)は、カルボキシル部分を有しない、以前に使用された市販の炭素担持銀粒子の15回の通過を受けた。第3の電極(
図5~
図8の電極3)は、炭素担持体を有しない、チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子の15回の通過を受けた。
図5~
図8は、上に記載される炭素含浸を使用せずに表面官能化銀ナノ粒子を用いて製造されたガス拡散電極と比較した、製造された異なる電極の画像比較及び各電極の比較性能を図示する。
【0049】
図4は、異なる種類の電極の走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)画像を図示する。例えば、SEM画像402は、市販の炭素担持銀粒子を含むインクで調製されたガス拡散電極を図示する。SEM画像404は、炭素担持銀ナノ粒子を含むインクで調製されたガス拡散電極を図示する。SEM画像406は、本開示の炭素担持表面官能化銀ナノ粒子を含むインクで調製されたガス拡散電極を図示する。SEM画像406は、SEM画像402及び404と比較して、より均一な分布及び被覆率を示すように見える。
【0050】
図5は、上に記載される3つの例示的な電極についてのファラデー効率対セル電位のグラフ500を図示する。上述のように、微孔性炭素担持体構造を有しない電極の銀負荷量は、微孔性炭素担持体構造を有する電極(例えば、0.1mg/cm
2未満又は約0.08mg/cm
2)と比較してはるかに高い(例えば、約1.6mg/cm
2)。
【0051】
ファラデー効率は、所望の電気化学反応に関与する特定の電子効率の尺度である。グラフ500に示されるように、電極1についての一酸化炭素に対するファラデー選択性は、2.8V~3.5Vの電圧領域における試験を通して、電極2及び3よりもはるかに高いことが見出された。電極1は、40%超のファラデー効率を示した。
【0052】
図6は、上に記載される3つの例示的な電極についてのエネルギー効率対セル電位のグラフ600を図示する。エネルギー効率は、電気化学変換プロセスの真のエネルギー効率の尺度である。これは、ファラデー効率をセル過電圧と乗算することによって行われ、実際のエネルギー入力をもたらす。
【0053】
グラフ600は、電極1のエネルギー効率が電極2及び3のエネルギー効率よりも高かったことを図示する。電極1は、3.0Vのセル電位で30%超のエネルギー効率を示した。
【0054】
図7は、上に記載される3つの例示的な電極についてのmA/cm
2単位の電流密度対セル電位のグラフ700を図示する。電流密度は、セルに印加することができる電荷量の尺度であり、最大スループット又は変換率に直接関連する。これは、CO
2電気分解のスケールアップ経済性を考慮するとき、電流密度を重要な因子にする。
【0055】
グラフ700は、3.00Vで電極1が最も高い電流密度を有することを図示した。グラフ700は、電極1について電圧が増加するにつれて電流密度が改善することを図示する。電極2及び3は、電極1ほど良好な性能を呈さなかった。電極1は、3.00V~3.50Vのセル電位で40mA/cm2超の電流密度を示した。
【0056】
図8は、上に記載される3つの例示的な電極についてのシングルパス変換率対セル電位のグラフ800を図示する。シングルパス変換率は、変換システムのスケールアップ経済性にしばしば関連する性能測定基準である。この場合、出口CO流量が測定され、入力CO
2のモル変換率を計算するために使用される。
【0057】
グラフ800は、電極1が3.00V~3.30Vの電圧で最も高いシングルパス変換率を有したことを図示する。電極1は、2.9V~3.5Vのセル電位で10%超のシングルパス変換率を示した。
【0058】
様々な電極の触媒性能特性の評価に基づいて、微孔性炭素構造を有する電極が、含浸させた微孔性炭素構造を有しない電極に匹敵する目標触媒性能を提供することができることが見出された。例えば、本開示の炭素担持カルボキシル表面官能化銀ナノ粒子を有する電極は、炭素担持されていない表面官能化銀ナノ粒子を有する別の電極と比較して、同じ目標触媒性能レベルを提供することができる。加えて、電極の銀負荷量は、炭素担持されていない表面官能化銀ナノ粒子を有する別の電極と比較して2倍以上低い。
【0059】
より望ましい触媒挙動は、銀と炭素担持体との間の相互作用の強化によって説明することができる。より具体的には、HNO3などの強酸は、炭素表面を活性化し、場合によっては、炭素表面に-COOH基を形成することが報告されている。他の方法もまた、炭素表面を活性化して、銀と炭素担持体との間の相互作用を増加させるために使用され得る。例えば、他の処理は、プラズマ処理、塩基、又は他のタイプの化学処理を含むことができる。銀ナノ粒子は、活性化された炭素表面上に存在するカルボン酸基及びカルボニル基と強い相互作用を有し、より良好な電子移動特性、したがってより良好な触媒性能をもたらす。
【0060】
図3は、本開示のガス拡散電極を製造するための例示的な方法300のフローチャートを図示する。一実施形態では、方法300の1つ以上のブロックは、中央制御装置若しくはプロセッサ(例えば、プリンタ200)の制御下で、又は手動で実行する工程と組み合わせて、様々なツール又は機器によって実行され、本明細書に記載される様々な化合物を調製し得る。
【0061】
ブロック302において、方法300が開始する。ブロック304において、方法300は、炭素担持チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子を含むインクを調製する。例えば、炭素担持チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子は、合成中に炭素構造から単離されて表面官能化銀ナノ粒子炭素粒子を形成する表面官能化銀ナノ粒子を微孔性炭素構造に含浸させることによって調製することができる。
【0062】
一実施形態では、銀ナノ粒子は、チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子であり得る。一実施形態では、チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子は、硝酸銀をチオール含有部分及びカルボキシル含有部分と混合することによって調製され得る。
【0063】
一実施形態では、チオール部分及びカルボキシル部分は、単一の官能性リガンドとして提示され得る。単一の官能性リガンドとしては、任意のメルカプトカルボン酸(例えば、メルカプトコハク酸、メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトエタノール、2-メルカプトエチルアセテート、6-メルカプトヘキシオン酸、10メルカプトデシオン酸など)、メチルチオグリコレート、システイン、シスタミンなどが挙げられ得、これらの全ては、上記で本開示内に記載される。
【0064】
一実施形態では、チオール含有部分及びカルボキシル含有部分は、別個の官能性リガンドとして提示され得る。例えば、第1の官能性リガンドは、チオール部分を含み得、第2の官能性リガンドは、カルボキシル部分を含み得る。
【0065】
一実施形態では、チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子は、実施例1で上に記載されるように、硝酸銀をメルカプトコハク酸と混合することによって調製され得る。
【0066】
一実施形態では、チオール及びカルボキシル表面官能化ナノ粒子は、炭素構造上に堆積され得る。炭素構造は、多孔性又は非多孔性の炭素構造であってもよい。微孔性炭素構造の場合、微孔性炭素構造は、実施例2によって記載されるように、チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子を含浸させ得る。微孔性カーボン構造は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェンなどを含み得る。
【0067】
次いで、炭素担持チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子で、インクを調製し得る。一実施形態では、チオール及びカルボキシル表面官能化銀ナノ粒子を含浸させた微孔性炭素構造は、プリントヘッドによって制御されるスプレーノズルを介して印刷することができる触媒インクとして調製され得る。例えば、触媒インクは、可動プリントヘッドを用いて炭素基材上に噴霧することができる。触媒インクは、実施例3で上に記載されるように、トルエンを用いて配合することができる。
【0068】
ブロック306において、方法300は、インクを導電性表面上に堆積させる。例えば、インクは、触媒インクであり得る。触媒インクは、炭素基材上に噴霧又は印刷することができる。触媒インクは、基材を均一にコーティングするために蛇行パターンで印刷することができる。いくつかの実施形態では、インクは、ガスがガス拡散電極を通って拡散することを可能にするガス拡散層上に堆積され得る。
【0069】
触媒インクは、乾燥されて、ガス拡散電極を形成し得る。一実施形態では、触媒インクを室温で24時間乾燥させて、ガス拡散電極を形成することができる。ガス拡散電極は、フローセル電気触媒変換器内に配備される膜アセンブリ電極の一部分として組み立てられ得る。ガス拡散電極は、上に記載されるように、CO2からCO及びH2への変換を行うことができる。ブロック308において、方法300は、終了する。
【0070】
上記で開示されたものの変形、並びに他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又は用途に組み合わされ得ることは、理解されるであろう。様々な現在予期されていない、又は先行例のない代替物、修正、変形、又は改善が、その後に当業者によってなされてもよく、それらも以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。
【外国語明細書】