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特開2024-46614トリアリールメタン色素、該色素を含有する着色組成物、カラーフィルター用着色剤およびカラーフィルター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046614
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】トリアリールメタン色素、該色素を含有する着色組成物、カラーフィルター用着色剤およびカラーフィルター
(51)【国際特許分類】
   C09B 11/26 20060101AFI20240327BHJP
   C07D 209/08 20060101ALI20240327BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
C09B11/26 C
C07D209/08
G02B5/20 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148351
(22)【出願日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2022163539
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005315
【氏名又は名称】保土谷化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】大熊 寛史
(72)【発明者】
【氏名】朴 眞姫
【テーマコード(参考)】
2H148
【Fターム(参考)】
2H148BE15
2H148BG02
2H148BG06
2H148BH13
2H148BH20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来のトリアリールメタン色素に比べて溶解性および耐熱性に優れる色素を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるトリアリールメタン色素。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるトリアリールメタン色素。
【化1】

[式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基を表し、
およびRは、それぞれ独立に、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、または、置換基を有していてもよい環形成原子数5~20の複素環基を表し、
~R12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数0~20のアミノ基を表し、
13~R16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基を表し、
17およびR18は、それぞれ独立に、水素原子、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基を表し、
13~R18は、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基もしくはビニレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよく、
Anは、アニオンを表す。]
【請求項2】
前記一般式(1)において、RおよびRが置換基を有していてもよい炭素原子数6~12の芳香族炭化水素基である、請求項1に記載のトリアリールメタン色素。
【請求項3】
前記一般式(1)において、R13~R16が水素原子である、請求項1に記載のトリアリールメタン色素。
【請求項4】
前記一般式(1)において、Anがハロゲン化物イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、スルホニルイミドアニオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオン、またはスルホン酸アニオンである、請求項1~3のいずれか一項に記載のトリアリールメタン色素。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載のトリアリールメタン色素を含有する着色組成物。
【請求項6】
請求項4に記載のトリアリールメタン色素を含有する着色組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤。
【請求項8】
請求項7に記載のカラーフィルター用着色剤を用いるカラーフィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリアリールメタン色素、該色素を含有する着色組成物、該色素または該着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤および該着色剤を用いるカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や有機電界発光(有機EL)表示装置には、カラーフィルターが使用されており、赤色画素(R)、緑色画素(G)、青色画素(B)を有している。カラーフィルターに用いられる着色剤としては顔料や染料などがあるが、カラーフィルター製造時において、200℃以上の高温や紫外線照射などの条件下にさらされることから、染料より耐熱性や耐光性などに優れる顔料が一般に使用されてきた。例えば、青色画素部を形成するための青色顔料としては、一般に、ε型銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)が用いられており、必要に応じて調色のため、これに紫色のジオキサジンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレット23)が少量併用されている。
【0003】
近年の傾向として、画像表示装置の省電力化が求められたり、バックライトの利用効率を向上させるためにカラーフィルターの高輝度化が求められている。特に青色画素部は赤や緑色画素部に比べ相対的にバックライトの利用効率が低く、改善が望まれている。
【0004】
顔料は一般的に溶剤に不溶なため、樹脂などを含むカラーフィルター中では微粒子状で存在している。そのため、顔料を用いたカラーフィルターは、顔料粒子表面で透過光が反射・散乱することにより、輝度の低下や色純度に影響し、また、反射による消偏作用のためにカラー表示装置のコントラスト比が低下することが知られている。
【0005】
輝度やコントラスト比の低下の問題を改善するため、着色剤として染料のみを用いる方法または染料と顔料を併用する方法などが提案されている。染料は溶剤に可溶であるため、染料を使用したカラーフィルターは、顔料のみを着色剤として使用した場合に比べ消偏作用が抑えられ、分光特性に優れており、輝度やコントラストなどの向上が期待されている。このため、特に青色画素部のカラーフィルターに対しては、一般的に顔料より溶解性に優れる染料の使用が注目されている。
【0006】
特に、トリアリールメタン系染料はその分光特性から青色着色剤として良好な色素の候補であり、例えば特許文献1~3には、トリアリールメタン系染料の使用例が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-304766号公報
【特許文献2】国際公開第2012/128318号
【特許文献3】特開2015-28121号公報
【特許文献4】特開2017-83852号公報
【特許文献5】特開2012-83652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1~3に記載の染料は、カラーフィルター用着色剤に好適な有機溶剤への溶解性や耐熱性が不十分である。染料が高い耐熱性を備えることは、カラーフィルターの製造過程において要求される特性であり、高い溶解性は均一な系を形成し、高輝度なカラーフィルターを提供するために重要な特性である。このため、高い耐熱性、溶解性を備えた染料に対する需要は常に存在する。本発明は、従来のトリアリールメタン色素に比べて溶解性および耐熱性に優れる色素を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、従来のトリアリールメタン色素に比べて溶解性および耐熱性に優れるトリアリールメタン色素を見出した。すなわち本発明は、以下を要旨とする。
【0010】
1.下記一般式(1)で表されるトリアリールメタン色素。
【0011】
【化1】
【0012】
[式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基を表し、
およびRは、それぞれ独立に、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、または、置換基を有していてもよい環形成原子数5~20の複素環基を表し、
~R12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数0~20のアミノ基を表し、
13~R16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基を表し、
17およびR18は、それぞれ独立に、水素原子、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基を表し、
13~18は、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基もしくはビニレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよく、
Anはアニオンを表す。]
【0013】
2.前記一般式(1)において、RおよびRが置換基を有していてもよい炭素原子数6~12の芳香族炭化水素基であるトリアリールメタン色素。
【0014】
3.前記一般式(1)において、R13~R16が水素原子であるトリアリールメタン色素。
【0015】
4.前記一般式(1)において、Anがハロゲン化物イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、スルホニルイミドアニオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオン、またはスルホン酸アニオンであるトリアリールメタン色素。
【0016】
5.前記(1.~3.のいずれかに記載)トリアリールメタン色素を含有する着色組成物。
【0017】
6.前記(4.に記載)トリアリールメタン色素を含有する着色組成物。
【0018】
7.前記着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤。
【0019】
8.前記カラーフィルター用着色剤を用いるカラーフィルター。
【発明の効果】
【0020】
本発明のトリアリールメタン色素は、溶解性および耐熱性に優れており、該色素を含有する着色組成物はカラーフィルター用着色剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。まず、前記一般式(1)で表されるトリアリールメタン色素について説明する。
【0022】
一般式(1)において、R~R18で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基」における「炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基」としては、具体的に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などの直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1-エチル-1-メチルプロピル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基などの分岐状のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基などの環状のアルキル基(シクロアルキル基)、ノルボルニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基などがあげられる。ここで、「分岐状または環状のアルキル基」については、その炭素数の下限は、分岐状または環状の構造をとることが可能な炭素数(すなわち、炭素数3)であることが当業者には理解される。
【0023】
一般式(1)において、R~R18で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基」における「炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基」としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、ナフチル基、アズレニル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基があげられる(本発明における「芳香族炭化水素基」とは、アリール基または縮合多環芳香族基も含む)。
【0024】
一般式(1)において、RおよびRで表される「置換基を有していてもよい環形成原子数5~20の複素環基」における「環形成原子数5~20の複素環基」としては、具体的に、ピリジル基、ピリミジニル基、キノリル基、イソキノリル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ナフチリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、カルボリニル基、プリニル基、ナフチリジニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、フェナントリジニル基、ペリミジニル基、アンチリジニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ジヒドロピロロピロリル基、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、カルバゾリル基、アザインドリル基、アザインダゾリル基、ピラゾロピリミジニル基、アデニル基、グアニジニル基、フェナジニル基、フリル基、チエニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、フロピロリル基、チエノピロリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、フェノキサチイニル基、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェニル基、ビピリジニル基などの複素環基(または複素芳香族炭化水素基)があげられる。
【0025】
一般式(1)において、R~R16で表される「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などがあげられる。「ハロゲン原子」としては、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
【0026】
一般式(1)において、R~R16で表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基」における「炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基」としては、具体的に、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基などの直鎖状のアルコキシ基;イソプロポキシ基、イソブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、イソオクチルオキシ基などの分岐状のアルコキシ基;シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロデシルオキシ基などの環状のアルコキシ基(シクロアルコキシ基);1-アダマンチルオキシ基、2-アダマンチルオキシ基などがあげられる。
【0027】
一般式(1)において、R~R12で表される「置換基を有していてもよい炭素原子数0~20のアミノ基」における「炭素原子数0~20のアミノ基」は、置換基を有していても有していなくてもよく、置換基を有する場合は「―NR100101」と表される「置換基R100およびR101を有するアミノ基」を含み、無置換アミノ基(―NH)、一置換アミノ基(―NHR100)、二置換アミノ基(―NR100101)などがあげられる。したがって、基R100およびR101は、各々独立して、水素原子および後述する「置換基」から選択される。一置換アミノ基または二置換アミノ基における炭素原子数は、例えば、1~20であり、1~10であってよい。「置換基を有していてもよい炭素原子数0~20のアミノ基」は、―NH―、―N<または―N=CH―を介して、前述の「炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基」、「炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基」、「環形成原子数5~20の複素環基」が結合した基であってもよい。一置換アミノ基としては、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、アセチルアミノ基、フェニルアミノ基などがあげられる。二置換アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジへキシルアミノ基などの炭素原子数2~20のジアルキルアミノ基;ジアリルアミノ基などの炭素原子数4~20のジアルケニルアミノ基;ジフェニルアミノ基、N-アセチル-N-フェニルアミノ基、N-ブチル-N-フェニルアミノ基などがあげられる。
【0028】
一般式(1)において、R~R18のいずれかで表される
「置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基」、
「置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基」、
「置換基を有していてもよい環形成原子数5~20の複素環基」、
「置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基」、または、
「置換基を有していてもよい炭素原子数0~20のアミノ基」における「置換基」としては、具体的に
重水素原子、水酸基、チオール基、シアノ基、ニトロ基;
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;
炭素原子数0~20のアミノ基;
炭素原子数0~20のスルホニル基;
炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基;
炭素原子数2~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルケニル基;
炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基;
炭素原子数1~20のアシル基;
炭素原子数1~20のエーテル基;
炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;
環形成原子数5~20の複素環基;などがあげられる。なお「置換基」が炭素原子を含む場合、その炭素原子は上記の「炭素原子数0~20」、「炭素原子数1~20」、「炭素原子数6~20」に算入されない。これらの「置換基」は1つのみ含まれてもよく、複数含まれてもよく、複数含まれる場合は互いに同一でも異なっていてもよい。また、これら「置換基」を有する基において、「置換基」が結合する位置が、例えばn-ブチル基における4つの炭素のいずれか、フェニル基におけるパラ位、メタ位、オルト位のように複数考えられる場合、そのいずれの位置で置換されていてもよく、「置換基」がピリジル基やナフチル基のように結合手となる位置が複数考えられる場合、そのいずれの位置で結合していてもよい。また、これら「置換基」はさらに、前記例示した置換基を有していてもよい。また、これらの置換基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基もしくはビニレン基、酸素原子(―O―)または硫黄原子(―S―)を介して互いに結合して環を形成していてもよい。置換基同士が環を形成する場合、例えばRとRの組、R13とR14の組のように、隣接する置換基同士で環を形成することもでき、例えばRとRの組、RとRの組、R13とR17の組のように、異なる環または窒素上の置換基を連結することで環を形成することもできる。分子設計の観点からは、RとRの組、RとRの組のように隣接する置換基同士、または、R13とR17の組、並びに/もしくは、R16とR18の組で環を形成していることが好ましい。ただし、上記のR~R18で表される各基における「置換基」の数は最大10個とし、各基における最大の炭素原子数は100とする。
【0029】
なお、一般式(1)において、R~R18のいずれかで表される「置換基」を有する上記の各基において、「置換基」としてあげられている、
「炭素原子数0~20のアミノ基」、
「炭素原子数0~20のスルホニル基」、
「炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基」、
「炭素原子数2~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルケニル基」、
「炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基」、
「炭素原子数1~20のアシル基」、
「炭素原子数1~20のエーテル基」、
「炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基」、または
「環形成原子数5~20の複素環基」としては、具体的に、
アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジ-t-ブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの、炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基を有する一置換もしくは二置換アミノ基;
スルホンアミド基(―S(=O)―NH)、メシル基、トシル基などの炭素原子数0~20のスルホニル基(―S(=O)―)を有する基;―SO 、―SOH、―SOM(Mはアルカリ金属原子);
メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基などの炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基などの炭素原子数3~20の環状のアルキル基(シクロアルキル基);ノルボルニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基;
ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、1-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、またはこれらのアルケニル基が複数結合した炭素原子数2~20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基;シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基などの炭素原子数2~20の環状のアルケニル基(シクロアルケニル基);
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、イソオクチルオキシ基などの炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロデシルオキシ基などの炭素原子数3~20の環状のアルコキシ基(シクロアルコキシ基);1-アダマンチルオキシ基、2-アダマンチルオキシ基;
ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、アクリリル基、ベンゾイル基などの炭素原子数1~20のアシル基;
エーテル基(―O―)、アミノオキシ基、「―O―(C=O)―R」で表されるエステル基(Rは任意のアルキル基または芳香族炭化水素基など)、リン酸基、リン酸エステル基などの炭素原子数0~20のエーテル基(―O―)を含有する基;
フェニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;
ピリジル基、ピリミジリニル基、トリアジニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、ナフチリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、オキサゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基などの炭素原子数2~20の複素環基;
フェニルオキシ基、トリルオキシ基、ビフェニリルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、フェナントレニルオキシ基などの炭素原子数6~19のアリールオキシ基;などがあげられる。
【0030】
一般式(1)において、RおよびRは、置換基を有していてもよい炭素原子数1~8の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基が好ましい。好ましいRおよびRの例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基があげられる。なお、RおよびRにおいて「置換基」が炭素原子を含む場合、前記「炭素原子数1~8」および「炭素原子数6~10」に算入されず「置換基」の数は最大5個が好ましく、各基における最大の炭素原子数は「20」が好ましく、「12」がより好ましい。RおよびRは、各々同じであっても異なっていてもよい。分子設計の観点からは、RおよびRは同じ基であることが好ましい。
【0031】
一般式(1)において、RおよびRは、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、または、置換基を有していてもよい環形成原子数5~10の複素環基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基がより好ましい。好ましいRおよびRの例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、フルオロフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、チエニル基、チアゾリル基があげられる。なお、RおよびRにおいて「置換基」が炭素原子を含む場合、前記「炭素原子数1~20」、「炭素原子数1~6」、「炭素原子数6~20」および「炭素原子数6~10」に算入されず、「置換基」の数は最大5個が好ましく、各基における最大の炭素原子数は「20」が好ましく、「12」がより好ましい。RおよびRは、各々同じであっても異なっていてもよい。分子設計の観点からは、RおよびRは同じ基であることが好ましい。
【0032】
一般式(1)において、R~R12は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数0~20のアミノ基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基がより好ましい。水素原子以外で好ましいR~R12の例としては、フッ素原子、塩素原子、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチル基、エチル基、フェニル基があげられる。なお、R~R12において「置換基」が炭素原子を含む場合、前記「炭素原子数1~20」、「炭素原子数1~10」、「炭素原子数6~20」および「炭素原子数6~10」に算入されず、「置換基」の数は最大5個が好ましく、各基における最大の炭素原子数は「20」が好ましく、「12」がより好ましい。R~R12のうちどの基が水素原子以外の基であるかは特に制限されず、R~R12は各々同じであっても異なっていてもよい。分子設計の観点からは、分子が対称形となるような位置関係にある基どうし、すなわち、RとRの組、RとR10の組、RとR11の組、RとR12の組が同じ基であることが好ましい。
【0033】
一般式(1)において、R13~R16は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基が好ましく、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基がより好ましい。なお、R13~R16において「置換基」が炭素原子を含む場合、前記「炭素原子数1~20」、「炭素原子数1~6」、「炭素原子数6~20」および「炭素原子数6~10」に算入されず、「置換基」の数は最大5個が好ましく、各基における最大の炭素原子数は「20」が好ましく、「12」がより好ましい。また、R13~R16は、隣接する基または後記R17もしくはR18と環を形成していてもよい。
【0034】
一般式(1)において、R17およびR18は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1~8、より好ましくは炭素原子数1~6の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基が好ましい。好ましいR17およびR18の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基があげられる。また、R13およびR17の組ならびに/またはR16およびR18の組は、互いに結合して、キノリンまたはテトラヒドロキノリンのような環を形成してもよいが、R17およびR18は、互いに結合して環を形成しないことが好ましい。なお、R17およびR18において「置換基」が炭素原子を含む場合、前記「炭素原子数1~8」および「炭素原子数6~10」に算入されず、「置換基」の数は最大5個が好ましく、各基における最大の炭素原子数は「20」が好ましく、「12」がより好ましい。
【0035】
一般式(1)において、「An」は特に限定されず、例えば、ハロゲン化物イオンなどの無機アニオン、または有機アニオンがあげられる。具体的には、
Cl、Br、I;(CFSO(またはNTf)、
(CFSO(またはCTf)、
(CSO、(CSO、(CSO
(CN)、(CN)、NC―S-、(C
(CSO )O(C(C1225)(SO ))、
(C1225)(SO )、PF 、BF 、(PW1240
または、下記式(Z-1)~(Z-16)の構造式で示すアニオンなどがあげられる。
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
【0038】
【化4】
【0039】
【化5】
【0040】
一般式(1)において、Anは単一でも異なる2以上の組み合わせでもよく、前記例示したアニオンから選ばれる単一または2もしくは3の任意の組み合わせであることが好ましく、ハロゲン化物イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、スルホニルイミドアニオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオン、または、スルホン酸アニオンのいずれかから選ばれる単一または2もしくは3の任意の組み合わせであることがより好ましい。
【0041】
一般式(1)で表されるトリアリールメタン色素である化合物の製造方法は、公知の方法を応用し、一般式(1)の各種の相当する基を有する試薬やその他の適当な試薬を用いて製造することができる。以下、本発明の化合物の製造方法の一態様を記載するが、本発明の製造方法はこれらに限定されない。
【0042】
一般式(1)で表されるトリアリールメタン色素は、相当する置換基を有する芳香族アルデヒドと、相当する置換基を有するインドールを酸触媒存在下で縮合した後、酸化剤を用いて酸化することにより得られる。さらに、必要に応じて相当する構造を有する塩と塩交換することで、一般式(1)で表されるトリアリールメタン色素を製造することができる。この製造における化学反応は、有機溶媒の存在下で行ってもよいし、無溶媒で行ってもよい。
【0043】
本発明のトリアリールメタン色素の製造方法において、縮合反応で使用されるインドール化合物は、芳香族アルデヒド1molに対して、1mol以上、5mol以下が好ましく、1.5mol以上、3mol以下がより好ましい。また、本発明のトリアリールメタン色素の製造方法において、縮合反応で用いる酸触媒としては、例えば、塩酸、リン酸、硫酸などの無機酸や酢酸、トリフルオロ酢酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機酸をあげることができる。酸触媒の使用量は芳香族アルデヒド1モルに対して、0.01mol以上、10mol以下が好ましく、0.1mol以上、5mol以下がより好ましい。
【0044】
本発明のトリアリールメタン色素の製造方法において、酸化反応で使用する酸化剤としては、例えば、過酸化水素、三塩化鉄、二酸化マンガン、二酸化鉛、三酸化クロム、過硫酸アンモニウム、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、クロラニル(2,3,5,6-テトラクロロ-p-ベンゾキノン)、DDQ(2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン)などをあげることができる。酸化剤の使用量は前工程で得られた縮合体1molに対して、0.5mol以上、20mol以下が好ましく、1mol以上、10mol以下がより好ましい。
【0045】
本発明の製造方法における各生成物の単離や精製は、通常の有機合成で用いられる方法、例えば、カラムクロマトグラフィーによる精製;シリカゲル、活性炭、活性白土などによる吸着精製;溶媒による再結晶や晶析法などの公知の方法を適宜組み合わせて行うことができる。また、これらの化合物の同定、分析、光学特性、熱物性、その他物性の評価には、核磁気共鳴分析(NMR)、分光光度計による吸光度測定や紫外可視吸収スペクトル(UV-Vis)測定、熱重量測定-示差熱分析(TG-DTA)などを行うことができる。これらの分析方法は、得られた化合物の溶解性、色彩評価や耐熱性評価にも用いることができる。
【0046】
一般式(1)で表される本発明のトリアリールメタン色素として好ましい化合物の具体例を下記式(B-1)~(B-38)に示すが、本発明は、これらの化合物に限定されない。なお、前記一般式(1)中、トリアリールメタン色素の部分を示しており、Anで表されるアニオン部は省略している。下記構造式では、水素原子を一部省略しており、生じ得るすべての立体異性体、互変異性体を包含しており、平面構造式を記載している。
【0047】
【化6】
【0048】
【化7】
【0049】
【化8】
【0050】
【化9】
【0051】
【化10】
【0052】
【化11】
【0053】
【化12】
【0054】
【化13】
【0055】
【化14】
【0056】
【化15】
【0057】
本発明のトリアリールメタン色素は、1種または分子構造の異なる2種以上を組み合わせて使用(例えば混合)してもよい。当該2種以上を使用する際は、トリアリールメタン色素全体に占める質量濃度比において、最も少ない方の1種のトリアリールメタン色素の質量濃度比は0.1~50質量%である。トリアリールメタン色素の種類は1種または2種であるのが好ましい。
【0058】
本発明のトリアリールメタン色素、該色素を含有する着色組成物、該色素または該着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤は、着色剤およびカラーフィルターの製造工程において、樹脂などを含有する有機溶媒に良好に溶解または分散させる必要があるため、有機溶媒に対する溶解度や分散性が高いことが好ましい。有機溶媒としては、特に限定されないが、具体的には、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)などのエーテル類;メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノンなどのケトン類;メタノール、エタノール、2-プロパノールなどのアルコール類;3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類;ジアセトンアルコール(DAA)など;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)などのアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO);エーテルルム(トリクロロメタン)、などがあげられ、PGME、PGMEA、シクロヘキサノンまたはDAAが好ましく、樹脂の溶解性とトリアリールメタン色素の溶解性の両立の観点からはPGMEまたはPGMEAが特に好ましい。これらの溶剤は、単独で用いても2種類以上混合して用いてもよい。
【0059】
本発明のトリアリールメタン色素の有機溶媒への溶解度は、例えば次のように測定することができる。トリアリールメタン色素と有機溶媒を適当な比率で混合し、超音波処理した後、室温(25℃)下、不溶分の有無を目視で確認することにより、溶解度を評価することができる。溶解度の測定に用いる有機溶媒としては、特に限定されず、前記有機溶媒を用いることができるが、PGME、PGMEA、シクロヘキサノンまたはDAAが好ましく、PGMEまたはPGMEAがより好ましい。
【0060】
本発明のトリアリールメタン色素は、有機溶媒への溶解性、特にPGMEAへの溶解性に優れ、PGMEAに対する溶解度は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが特に好ましい。高コントラスト比のカラーフィルターへの応用を考えた場合、溶解度は高いほど好ましい。
【0061】
本発明のトリアリールメタン色素は、有機溶媒に溶解して調製した溶液を用いて、室温付近(例えば23~27℃)で測定する紫外可視吸収スペクトルの可視光領域(例えば、350~800nmの波長範囲)において最大の吸光度を示す、極大吸収波長が観測される。本発明においては、PGME溶液における極大吸収波長が、550~650nmの波長範囲にあることが好ましい。なお、色素濃度は、0.005~0.02mmol/Lが好ましい。溶媒は、色素を溶解するものであれば限定されないが、溶解条件により紫外可視吸収スペクトルの吸収波長が大きくシフトしないものが好ましく、PGMEが好ましい。
【0062】
本発明のトリアリールメタン色素を各種樹脂溶液と混合し、ガラス基板上に塗布することにより塗膜を作製できる。得られた塗膜について、分光測色計を用いて測色し、塗膜の色彩値を得ることで色彩評価を行うことができる。色彩値はCIE L表色系などが一般的に用いられる。具体的には、膜試料の色彩値L、a、bを測定し、適当な温度での加熱前後の色彩値の色差(ΔE ab)より、耐熱性を判断することができる。カラーフィルターに応用する場合、230℃前後の温度での色差を耐熱性の指標として用いることができる。ΔE abは、その値が小さいほど、熱分解による色の変色が少なく、耐熱性が高いことを意味し、10以下が好ましく、5以下がより好ましい。
【0063】
本発明のカラーフィルター用着色剤は、一般式(1)で表されるトリアリールメタン色素、または該トリアリールメタン色素を少なくとも1種含有する着色組成物と、カラーフィルターの製造に一般的に使用される成分とを含む。一般的なカラーフィルターは、例えば、フォトリソグラフィー工程を利用した方法の場合、染料や顔料などの色素を樹脂成分(モノマー、オリゴマーを含む)や溶媒と混合して調製した液体を、ガラスや樹脂などの基板の上に塗布し、フォトマスクを用いて光重合させ、溶媒に可溶/不溶な色素-樹脂複合膜の着色パターンを作製し、洗浄後、加熱することにより得られる。また電着法や印刷法においても、色素を樹脂やその他の成分と混合したものを用いて着色パターンを作製する。よって、本発明のカラーフィルター用着色剤における具体的な成分としては、少なくとも1種の一般式(1)で表されるトリアリールメタン色素、その他の染料や顔料などの色素、樹脂成分、有機溶媒、および光重合開始剤などその他の添加剤があげられる。また、これらの成分から取捨選択してもよく、必要に応じて他の成分を追加してもよい。
【0064】
本発明のトリアリールメタン色素または該トリアリールメタン色素を含有する着色組成物をカラーフィルター用着色剤として用いる場合、各色用カラーフィルターに用いてもよいが、青色または、緑色カラーフィルター用着色剤として用いるのが好ましい。
【0065】
本発明のカラーフィルター用着色剤は、1種または2種以上のトリアリールメタン色素を単独で使用してもよく、色調の調整のために、すなわち分光特性を調整するために、さらに下記のような他の染料または顔料などの公知の色素を混合してもよい。
【0066】
青色カラーフィルター用着色剤に用いる場合、特に限定されないが、C.I.ベーシックブルー3、7、9、54、65、75、77、99、129、C.I.ベーシックバイオレット10などの塩基性染料;C.I.アシッドブルー9、74、C.I.アシッドレッド52、289などの酸性染料;ディスパースブルー3、7、377などの分散染料;スピロン染料;シアニン系、インディゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、メチン系、本発明に属さないトリアリールメタン系、インダンスレン系、オキサジン系、ジオキサジン系、アゾ系、キサンテン系色素;その他の青色系レーキ顔料、などの青色系または赤色系の染料または顔料があげられる。
緑色カラーフィルター用着色剤に用いる場合、特に限定されないが、C.I.ピグメントグリーン7、10、36、47、58、59,62、63などの緑色顔料;C.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180、185などの黄色顔料;スピロン染料;シアニン系、インディゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、メチン系、本発明に属さないトリアリールメタン系、インダンスレン系、オキサジン系、ジオキサジン系、アゾ系、キサンテン系、イソインドリン系、キノフタロン系色素;その他のレーキ顔料、などの青色系、黄色系または緑色系の染料または顔料があげられる。
【0067】
本発明において、色調の調整のために混合する色素としては、青色カラーフィルター用着色剤に用いる場合、C.I.ベーシックブルー7などの本発明に属さないトリアリールメタン系色素、または、C.I.ベーシックバイオレット10、C.I.アシッドレッド52、289などのキサンテン系色素が好ましい。緑色カラーフィルター用着色剤に用いる場合、C.I.ピグメントイエロー138などのキノフタロン系色素、C.I.ピグメントイエロー139などのイソインドリン系色素、またはアゾ色素が好ましい。これらの色素と本発明に属するトリアリールメタン色素を用いることにより、明度やコントラスト比に優れた青色または緑色カラーフィルターを得ることができる。
【0068】
本発明のカラーフィルター用着色剤における他の色素の混合比は、トリアリールメタン色素(2種以上の場合にはそれらの合計)に対して5~2000質量%であるのが好ましく、10~1000質量%がより好ましい。液状のカラーフィルター用着色剤中における染料などの色素成分の混合比は、着色剤全体に対して0.5~70質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましい。
【0069】
本発明のカラーフィルター用着色剤における樹脂成分としては、これらを使用して形成されるカラーフィルター樹脂膜の製造方式や使用時に必要な性質を有するものであれば、公知のもの(例えば特許文献4(特開2017-83852号公報)、段落[0229]合成例23に記載の「バインダー樹脂(B1)」など)を使用することができる。具体的には、例えば、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、スチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエーテル樹脂、フェノール(ノボラック)樹脂、その他の透明樹脂、光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂があげられ、これらのモノマーまたはオリゴマー成分とを適宜組み合わせて使用することができる。また、これらの樹脂の共重合体を組み合わせて使用することもできる。これらのカラーフィルター用着色剤における樹脂の含有量は、液状の着色剤の場合、5~95質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましい。
【0070】
本発明の着色組成物は、カラーフィルター用着色剤としての性能を高めるために、化合物の他の成分として、界面活性剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、その他のカラーフィルター用着色剤の製造時に混合する添加剤、などの物質を添加することができる。ただし、着色組成物におけるこれらの添加剤の含有率は適量であることが好ましく、本発明の着色組成物の溶媒中の溶解性を低下させたり、もしくは必要以上に向上させたり、また、カラーフィルター製造時に用いる他の同種の添加剤の効果に影響を及ぼすことのない範囲の含有率であることが好ましい。これらの添加物は、着色組成物の調製の任意のタイミングで投入することができる。
【0071】
本発明のカラーフィルター用着色剤におけるその他の添加剤としては、光重合開始剤や架橋剤などの樹脂の重合や硬化に必要な成分があげられ、また、液状のカラーフィルター用着色剤中の成分の性質を安定させるために必要な界面活性剤や分散剤などがあげられる。これらはいずれも、カラーフィルター製造用の公知のものを使用することができ、特に限定されない。カラーフィルター用着色剤の固形分全体におけるこれらの添加剤の総量の混合比は、5~60質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。
【実施例0072】
以下、本発明の実施の形態について、実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。合成実施例で記載した試薬は東京化成工業株式会社製、シグマアルドリッチ社製、Alfa Aesar社製等のものを使用した。また、合成実施例における反応はすべて、冷却管、撹拌装置、温度計を備えた反応容器を用いて行った。なお、下記合成実施例における化合物の同定は、H-NMR分析(ブルカー社製核磁気共鳴装置、型式:AscendTM 400MHz)により行った。
【0073】
[合成実施例1]化合物(C-1)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、4-ジエチルアミノベンズアルデヒド5.00g(28.2mmol)、2-フェニルインドール12.5g(64.9mmol)、メタノール55mL、テトラヒドロフラン(THF)5.5mL、濃塩酸5.0mLを入れ、室温(23~28℃)で5時間撹拌した。反応液を水150mLに加え、減圧ろ過した。得られた固体に5%炭酸水素ナトリウム水溶液150mLと酢酸エチル100mLを加え、室温(23~28℃)で撹拌後、ろ過した。ろ液の有機層を抽出し、水200mLで2回洗浄後、再度有機層を抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧ろ過し、ろ液の溶媒を減圧留去した。残渣にメタノール150mLを加え、室温(23~28℃)で1時間撹拌後、ろ過した。得られた固体を60℃で減圧乾燥することで、下記(中間体100)を得た(14.9g、収率97%)。
【0074】
【化16】
【0075】
続いて、以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。反応容器に、前記(中間体100)5.00g(9.16mmol)と水酸化カリウム2.57g(27.5mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)25mLを入れ、室温(23~28℃)で30分撹拌した。この溶液に1-ブロモブタン3.77g(27.5mmol)を滴下した後、同温で4時間撹拌した。反応液に酢酸エチル100mLおよびヘプタン50mLを加え、減圧ろ過し、ろ液を水100mLで3回洗浄した。有機層を抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧ろ過し、ろ液の溶媒を減圧留去した。残渣をジクロロメタン100mLに溶解した後、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン(DDQ)2.50g(11.0mmol)を加え、室温(23~28℃)で1時間撹拌した。この溶液に濃塩酸2mLを加え、室温(23~28℃)で1時間撹拌した後、減圧ろ過した。ろ液を水100mL、飽和食塩水100mLで順次洗浄し、有機層を抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧ろ過し、ろ液の溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ジクロロメタン/メタノール=100/1~10/1(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣を60℃で減圧乾燥し、下記(中間体101)を得た(3.12g,収率52%)。
【0076】
【化17】
【0077】
続いて、反応容器に、前記(中間体101)3.00g(4.33mmol)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(SOCF)1.24g(4.33mmol)、メタノール30mLを入れ、50℃で1時間撹拌した。反応液の溶媒を20mL減圧留去した後、減圧ろ過した。得られた固体に水30mLを加え60℃で1時間撹拌した後、減圧ろ過した。得られた固体を80℃で減圧乾燥し、目的の化合物(C-1)を茶色固体として得た(3.3g,収率82%)。
【0078】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の50個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-1)で表される化合物の構造と同定した。
【0079】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=8.30-6.14(22H)、4.16(4H)、3.54(4H)、1.61(4H)、1.16(10H)、0.74(6H)。
【0080】
【化18】
【0081】
[合成実施例2]化合物(C-2)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、2-フェニルインドール20.0g(104mmol)、水酸化カリウム19.4g(207mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)100mLを入れ、室温(23~28℃)で30分撹拌した。この溶液に1-ブロモブタン15.6g(114mmol)を滴下した後、同温で4時間撹拌した。反応液に酢酸エチル100mLとヘプタン100mLを加え、減圧ろ過し、ろ液を水200mLで3回洗浄した。有機層を抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧ろ過し、ろ液の溶媒を減圧留去した。残渣をヘプタンに溶解し、シリカゲル50gを加え、室温で30分撹拌した。この溶液を減圧ろ過し、ろ液の溶媒を減圧留去することで下記(中間体102)を得た(17.3g、収率67%)。
【0082】
【化19】
【0083】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。反応容器に、4-メチルジフェニルアミン9.16g(50.0mmol)、水酸化カリウム8.42g(150.0mmol)、ジメチルスルホキシド(DMSO)50mLを入れ、室温(23~28℃)で30分撹拌した。この溶液にヨードエタン23.4g(150mmol)を滴下した後、同温で24時間撹拌した。反応液に酢酸エチル150mLおよびヘプタン50mLを加え、減圧ろ過し、ろ液を水100mLで3回洗浄した。有機層を抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧ろ過し、ろ液の溶媒を減圧留去した。残渣をヘプタンに溶解し、シリカゲル20gを加え室温で30分撹拌した。この溶液を減圧ろ過し、ろ液の溶媒を減圧留去することで下記(中間体103)を得た(3.10g、収率29%)。
【0084】
【化20】
【0085】
続いて、以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。反応容器に、DMF10mLを入れ、室温(23~28℃)で撹拌しながらオキシ塩化リン3.33g(21.8mmol)を滴下した。この溶液に、前記(中間体103)3.06g(14.5mmol)とDMF4.5mLの溶液を滴下した。同室温で3時間撹拌した後、反応液に水100mLを加えた。この溶液に水酸化ナトリウムを加え中和した後、酢酸エチル75mLおよびヘプタン25mLを加えた。有機層を抽出し、水100mLで3回洗浄し、再度有機層を抽出し、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥した。この溶液を減圧ろ過し、溶媒を減圧留去した後、80℃で減圧乾燥することで下記(中間体104)を得た(3.20g、収率92%)。
【0086】
【化21】
【0087】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体104)3.20g(13.4mmol)、前記(中間体102)8.35g(33.5mmol)、メタノール27mL、濃塩酸6.70g(67.0mmol)を入れ、室温(23~28℃)で16時間撹拌した。反応液にジクロロメタン100mLおよび水100mLを加え、有機層を抽出した。水100mLで2回洗浄した後、有機層を再度抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧ろ過し、ろ液の溶媒を減圧留去した。残渣にクロロホルム54mLを加え溶解した後、2,3,5,6-テトラクロロ-p-ベンゾキノン(p-クロラニル)6.59g(26.8mmol)を加え、60℃で3時間撹拌した。反応液を冷却後、減圧ろ過し、ろ液の溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ジクロロメタン/メタノール=100/1~10/1(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣を60℃で減圧乾燥し、下記(中間体105)を得た(7.29g,収率72%)。
【0088】
【化22】
【0089】
続いて、反応容器に、前記(中間体105)7.20g(9.54mmol)、LiN(SOCF 2.74g(9.54mmol)、メタノール72mLを入れ、室温(23~28℃)で1時間撹拌した。反応液の溶媒を35mL減圧留去した後、水300mLを加え、室温(23~28℃)で1時間撹拌した後、減圧ろ過した。得られた固体を80℃で減圧乾燥し、目的の化合物(C-2)を紫色固体として得た(8.71g,収率91%)。
【0090】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の52個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-2)で表される化合物の構造と同定した。
【0091】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=8.24-5.86(26H)、4.68-3.99(4H)、3.98-3.42(2H)、2.35(3H)、1.87-1.37(4H)、1.37-0.95(7H)、0.74(6H)。
【0092】
【化23】
【0093】
[合成実施例3]化合物(C-3)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、4-フルオロベンズアルデヒド4.96g(40.0mmol)、1-エチル-2-フェニルインドール19.5g(88.0mmol)、メタノール80mL、THF80mL、濃塩酸20.0g(200mmol)を入れ、室温(23~28℃)で16時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧留去した後、残渣をジクロロメタン20mLに溶解した。この溶液にメタノール200mLを加え、減圧ろ過した。得られた固体にメタノール100mLを加え、室温(23~28℃)で1時間撹拌した後、減圧ろ過した。得られた固体を60℃減圧乾燥することで、下記(中間体106)を得た(21.5g、収率98%)。
【0094】
【化24】
【0095】
続いて、反応容器に、前記中間体(106)21.5g(39.2mmol)、クロロホルム128mL、DDQ 14.2g(62.7mmol)を加え、室温(23~28℃)で1時間撹拌した後、減圧ろ過した。ろ液に1%アスコルビン酸水溶液100mLを加え、室温(23~28℃)で30分撹拌した後、有機層を抽出した。水100mLで2回洗浄した後、有機層を再度抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧ろ過し、ろ液の溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ジクロロメタン/メタノール=100/1~10/1(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣を60℃で減圧乾燥し、下記(中間体107)を得た(6.58g,収率29%)。
【0096】
【化25】
【0097】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体107)1.98g(3.40mmol)、1-ブタノール30mLを入れ、室温(23~28℃)で撹拌した。この溶液にp-フェネチジン0.93g(6.80mmol)を滴下した後、105℃で3時間撹拌した。反応液を冷却後、酢酸エチル100mLおよび1M塩酸水溶液100mLを加え、有機層を抽出した。さらに1M塩酸水溶液100mL、飽和食塩水100mLで順次洗浄した後、有機層を再度抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧ろ過し、ろ液の溶媒を減圧留去した。残渣をメタノール100mLに溶解した後、1M塩酸水溶液300mLを加え、室温(23~28℃)で1時間撹拌した後、減圧ろ過した。得られた固体をジエチルエーテル30mLに溶解した後、ヘプタン30mLを加え、室温(23~28℃)で1時間撹拌した後、上澄み液を除去した。残渣を60℃で減圧乾燥し、下記(中間体108)を得た(1.63g,収率68%)。
【0098】
【化26】
【0099】
続いて、反応容器に、前記(中間体108)1.60g(2.28mmol)、LiN(SOCF 0.66g(2.28mmol)、メタノール16mLを入れ、室温(23~28℃)で1時間撹拌した。反応液に水200mLを加え、室温(23~28℃)で1時間撹拌した後、減圧ろ過した。得られた固体を80℃で減圧乾燥し、目的の化合物(C-3)を茶色固体として得た(2.01g,収率93%)。
【0100】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の42個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-3)で表される化合物の構造と同定した。
【0101】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=8.34-6.11(27H)、4.59-3.80(6H)、1.64-1.02(9H)。
【0102】
【化27】
【0103】
[合成実施例4]化合物(C-4)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、2-フェニルインドール19.3g(100mmol)、4-ブロモトルエン20.5g(120mmol)、リン酸三カリウム42.5g(200mmol)、ヨウ化銅(I)1.90g(10.0mmol)、trans-1,2-ジアミノシクロヘキサン2.28g(20.0mmol)、トルエン100mLを入れ、110℃で40時間撹拌した。反応液に0.5M塩酸水溶液100mLおよび酢酸エチル100mLを加え、有機層を抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣にジクロロメタン165mLとヘプタン335mLの混合溶液を加え、室温(23~28℃)で30分撹拌した後、減圧ろ過した。ろ液の溶媒を減圧留去した後、80℃で減圧乾燥することで下記(中間体109)を得た(22.7g、収率80%)。
【0104】
【化28】
【0105】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、4-フルオロベンズアルデヒド0.62g(5.00mmol)、前記(中間体109)2.83g(10.0mmol)、メタノール6.7mL、テトラヒドロフラン(THF)3.3mL、濃塩酸2.00g(20.0mmol)を入れ、室温(23~28℃)で2時間撹拌した。反応液を減圧ろ過後、得られた固体をメタノール100mLで分散洗浄した。この溶液を減圧ろ過し、得られた固体を60℃で減圧乾燥することで、下記(中間体110)を得た(2.89g,収率86%)。
【0106】
【化29】
【0107】
続いて、反応容器に、前記(中間体110)2.89g(4.30mmol)、クロロホルム10.3mLを入れ溶解後、DDQ 1.17g(5.16mmol)を加え、室温(23~28℃)で1時間撹拌した。反応液を減圧ろ過し、ろ液に水100mLを加え、室温(23~28℃)で30分撹拌した。有機層を抽出した後、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥し、減圧ろ過した。ろ液の溶媒を減圧留去した後、60℃で減圧乾燥することで、下記(中間体111)を得た(3.50g,収率99%)。
【0108】
【化30】
【0109】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体111)3.54g(5.00mmol)、p-フェネチジン1.37g(10.0mmol)、1-ブタノール50.0mLを入れ、105℃で16時間撹拌した。反応液を室温(23~28℃)まで冷却後、酢酸エチル100mLおよびLiN(SOCF 2.87g(10.0mmol)を加え20分撹拌した。この溶液に水100mLを加え、有機層を抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧ろ過し、ろ液の溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ジクロロメタン/メタノール=100/0~99/1(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣を60℃で減圧乾燥し、目的の化合物(C-4)を茶色固体として得た(1.64g,収率31%)。
【0110】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の46個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-4)で表される化合物の構造と同定した。
【0111】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=10.57(1H)、7.67-6.10(34H)、4.08(2H)、2.35(6H)、1.35(3H)。
【0112】
【化31】
【0113】
[合成実施例5]化合物(C-5)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、4-ジエチルアミノベンズアルデヒド1.17g(10.0mmol)、前記(中間体109)5.67g(20.0mmol)、尿素0.30g(5.00mmol)、エチルセロソルブ20.0mLを入れ、撹拌した。この溶液に濃塩酸5.00g(50.0mmol)を加え、この溶液を105℃で16時間撹拌した。反応液を室温(23~28℃)まで冷却後、酢酸エチル100mLを加え、水100mLで2回、飽和食塩水100mLで1回洗浄した。有機層を抽出し、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した後、60℃で減圧乾燥することで下記(中間体112)を得た(7.20g,収率100%)。
【0114】
【化32】
【0115】
続いて以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体112)7.20g(10.0mmol)、クロロホルム20.0mLを入れ溶解し、DDQ2.27g(10.0mmol)を加え、60℃で3時間撹拌した。反応液を室温(23~28℃)まで冷却後、反応液を減圧ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をメタノール100mLに溶解し、減圧ろ過した。ろ液にLiN(SOCF 5.74g(20.0mmol)を加え、室温(23~28℃)で20分撹拌した。この溶液に水200mLを加え、減圧ろ過した。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ジクロロメタン/ヘプタン=50/50~100/0(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣を60℃で減圧乾燥し、目的の化合物(C-5)を青紫色固体として得た(3.60g,収率35.8%)。
【0116】
得られた青紫色固体のNMR測定を行い、以下の46個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-5)で表される化合物の構造と同定した。
【0117】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=8.25-6.62(30H)、4.04-3.37(4H)、2.34(6H)、1.57-0.65(6H)。
【0118】
【化33】
【0119】
[合成実施例6]化合物(C-6)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体111)10.6g(15.0mmol)、4-アミノベンゾトリフルオリド4.83g(30.0mmol)、1-ブタノール150mLを入れ、105℃で16時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣にジクロロメタン200mLおよび水200mLを加え有機層を抽出した。有機層を減圧濃縮した後、残渣をメタノール100mLに溶解し、LiN(SOCF 8.61g(30.0mmol)を加え、室温(23~28℃)で20分撹拌した。この溶液を減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ヘプタン/ジクロロメタン=25/75~100/0(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣を60℃で減圧乾燥し、目的の化合物(C-6)を茶色固体として得た(3.60g,収率22%)。
【0120】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の41個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-6)で表される化合物の構造と同定した。
【0121】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=10.14(1H)、8.60-5.96(34H)、2.36(6H)。
【0122】
【化34】
【0123】
[合成実施例7]化合物(C-7)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体111)10.6g(15.0mmol)、N-メチルアニリン3.54g(33.0mmol)、1-ブタノール150mLを入れ、105℃で16時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣にジクロロメタン200mLおよび水200mLを加え有機層を抽出した。有機層を減圧濃縮した後、残渣をメタノール100mLに溶解し、LiN(SOCF 8.61g(30.0mmol)を加え、室温(23~28℃)で20分撹拌した。この溶液を減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ヘプタン/ジクロロメタン=50/50~100/0(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣を60℃で減圧乾燥し、目的の化合物(C-7)を茶色固体として得た(6.00g,収率38%)。
【0124】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の44個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-7)で表される化合物の構造と同定した。
【0125】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=8.29-5.77(35H)、3.69(3H)、2.35(6H)。
【0126】
【化35】
【0127】
[合成実施例8]化合物(C-8)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体111)17.0g(24.0mmol)、N-メチル-p-アニシジン4.94g(36.0mmol)、1-ブタノール240mLを入れ、105℃で16時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣にジクロロメタン200mLおよび水200mLを加え有機層を抽出した。有機層を減圧濃縮した後、残渣をメタノール100mLに溶解し、LiN(SOCF 10.3g(36.0mmol)を加え、室温(23~28℃)で20分撹拌した。この溶液を減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ヘプタン/ジクロロメタン=50/50~100/0(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣を60℃で減圧乾燥し、目的の化合物(C-8)を茶色固体として得た(7.00g,収率27%)。
【0128】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の46個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-8)で表される化合物の構造と同定した。
【0129】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=8.36-5.73(34H)、3.85(3H)、3.51(3H)、2.35(6H)。
【0130】
【化36】
【0131】
[合成実施例9]化合物(C-9)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、フェノール12.8g(136mmol)、炭酸カリウム46.9g(339mmol)、DMF113mLを入れ、室温(23~28℃)で10分間、撹拌した。反応液に2-クロロ-4-フルオロベンジルブロミド25.3g(113mmol)を加え、室温(23~28℃)で18時間撹拌した。反応液に酢酸エチル150mLを加えた後、この溶液を水200mL、0.5M炭酸カリウム水溶液200mL、飽和食塩水200mLで順次洗浄した。有機層を抽出した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、残渣にジクロロメタン100mL、ヘプタン100mL、活性白土30gを加え、室温(23~28℃)で20分撹拌した後、ろ過した。ろ液の溶媒を減圧留去することで下記(中間体113)を得た(25.8g、収率96%)。
【0132】
【化37】
【0133】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体113)25.8g(109mmol)、ベンジリデンアニリン24.6g(136mmol)、カリウムt-ブトキシド30.4g(271mmol)、DMF110mLを入れ、60℃で16時間撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル200mLを加え、この溶液を水200mL、0.5M炭酸カリウム水溶液200mL、1M塩酸水溶液200mL、飽和食塩水200mLで順次洗浄した。有機層を抽出した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ヘプタン/ジクロロメタン=85/15(体積比))で精製した。溶媒を減圧留去することで下記(中間体114)を得た(16.8g,収率54%)。
【0134】
【化38】
【0135】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体114)16.8g(58.5mmol)、4-フルオロベンズアルデヒド3.63g(29.3mmol)、尿素0.88g(14.6mmol)、エチルセロソルブ292mL、濃塩酸5.85g(58.5mmol)を入れ、135℃で16時間撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル200mLを加え、この溶液を水400mL、1M塩酸水溶液400mL、飽和食塩水100mLで順次洗浄した。有機層を抽出した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、残渣にジクロロメタン100mLとメタノール100mLを加え溶解した。この溶液を減圧濃縮し、ジクロロメタンを留去した後、析出した固体をろ取した。得られた固体をメタノール100mLで分散洗浄した。この溶液をろ過し、得られた固体を60℃で減圧乾燥することで下記(中間体115)を得た(15.0g,収率75%)。
【0136】
【化39】
【0137】
続いて、反応容器に、前記(中間体115)15.0g(22.0mmol)、ジクロロメタン80mL、DDQ8.99g(39.6mmol)を加え、室温(23~28℃)で18時間撹拌した後、ろ過した。ろ液に0.5M炭酸カリウム水溶液100mLを加え、室温(23~28℃)で30分間撹拌した。この溶液に1M塩酸水溶液を加え、pHを1にした後、有機層を抽出した。有機層を1M塩酸水溶液100mLで2回洗浄した後、有機層を再度抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液をろ過し、ろ液にヘプタン200mLを加え、析出した固体をろ取した。得られた固体にヘプタン180mLとジクロロメタン20mLの混合溶媒を加え、室温(23~28℃)で分散洗浄した後、ろ過した。得られた固体を60℃で減圧乾燥し、下記(中間体116)を得た(9.60g,収率61%)。
【0138】
【化40】
【0139】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体116)1.43g(2.00mmol)、N-メチルアニリン1.71g(16.0mmol)、1-ブタノール20mLを入れ、105℃で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣にジクロロメタン50mLを加え、溶解した。この溶液にヘプタン200mLを加え、減圧濃縮によりジクロロメタンを留去した。上澄み液を廃棄した後、残渣にジクロロメタン50mLとメタノール50mLを加え、溶解した後にLiN(SOCF 0.86g(3.00mmol)を加え30分撹拌した。この溶液を減圧濃縮した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ジクロロメタン)で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣を60℃で減圧乾燥し、目的の化合物(C-9)を茶色固体として得た(0.50g,収率24%)。
【0140】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の38個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-9)で表される化合物の構造と同定した。
【0141】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=8.00-6.48(35H)、3.58(3H)。
【0142】
【化41】
【0143】
[合成実施例10]化合物(C-10)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、フェノール23.7g(252mmol)、炭酸カリウム87.1g(630mmol)、DMF210mLを入れ、室温(23~28℃)で10分間、撹拌した。反応液に2,5-ジクロロベンジルブロミド50.4g(210mmol)を加え、室温(23~28℃)で18時間撹拌した。反応液にジクロロメタン500mLを加えた後、この溶液を水500mLで3回洗浄した。有機層を抽出した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、残渣を反応容器に移し、ベンジリデンアニリン45.7g(252mmol)、カリウムt-ブトキシド56.6g(504mmol)、DMF210mLを入れ、80℃で16時間撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、ジクロロメタン600mLを加え、この溶液を水500mL、1M塩酸水溶液500mL、飽和食塩水500mLで順次洗浄した。有機層を抽出した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ヘプタン/ジクロロメタン=90/10(体積比))で精製した。溶媒を減圧留去することで下記(中間体117)を得た(14.3g,収率22%)。
【0144】
【化42】
【0145】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体117)12.2g(40.0mmol)、4-フルオロベンズアルデヒド2.48g(20.0mmol)、尿素0.60g(10.0mmol)、エチルセロソルブ200mL、濃塩酸4.00g(40.0mmol)を入れ、135℃で16時間撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル200mLを加え、この溶液を水300mLで洗浄し、有機層を抽出した。無水硫酸マグネシウムを加え乾燥後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した後、残渣を反応容器に移し、ジクロロメタン56mL、DDQ6.36g(28.0mmol)を加え、室温(23~28℃)で18時間撹拌した後、ろ過した。ろ液に0.5M炭酸カリウム水溶液50mLを加え、室温(23~28℃)で30分間撹拌した。有機層を抽出した後、有機層を1M塩酸水溶液250mLで洗浄した。有機層を再度抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液をろ過し、ろ液にジクロロメタン200mLとヘプタン200mLを加えた後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮によりジクロロメタンを留去した後、上澄み液を除去した。残渣をジクロロメタン80mLに溶解させた後、ジエチルエーテル400mLを加え、析出した固体をろ取した。得られた固体を60℃で減圧乾燥し、下記(中間体118)を得た(6.60g,収率44%)。
【0146】
【化43】
【0147】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体118)4.94g(6.60mmol)、N-メチル-p-アニシジン1.81g(13.2mmol)、1-ブタノール66mLを入れ、105℃で2時間撹拌した。反応液を冷却後、ジクロロメタン200mLを加え、さらにヘプタン400mLを加えた。析出した固体をろ取した。得られた固体にジクロロメタン100mLとメタノール100mLを加え、溶解した後にLiN(SOCF 2.84g(9.90mmol)を加え30分撹拌した。この溶液を減圧濃縮した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ジクロロメタン/メタノール=0/100~85/15(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣を60℃で減圧乾燥し、目的の化合物(C-10)を茶色固体として得た(0.80g,収率11%)。
【0148】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の40個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-10)で表される化合物の構造と同定した。
【0149】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=7.62-6.47(34H)、3.85(3H)、3.49(3H)。
【0150】
【化44】
【0151】
[合成実施例11]化合物(C-11)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、2-フェニルインドール70.5g(365mmol)、4-ブロモアニソール81.9g(438mmol)、リン酸三カリウム155g(730mmol)、ヨウ化銅(I)6.95g(36.5mmol)、trans-1,2-ジアミノシクロヘキサン8.34g(73.0mmol)、トルエン365mLを入れ、110℃で24時間撹拌した。反応液を室温(23~28℃)まで冷却後、酢酸エチル300mLを加え、0.5M塩酸水溶液300mLで3回洗浄した。有機層を抽出し、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥した後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した。残渣をジクロロメタン300mLで溶解した後、メタノール400mLを加えた。この溶液を減圧濃縮によりジクロロメタンを留去し、析出した固体をろ取した。得られた固体にメタノール300mLを加え室温(23~28℃)で分散洗浄した。この溶液をろ過し、得られた固体を60℃で減圧乾燥することで下記(中間体119)を得た(63.0g、収率58%)。
【0152】
【化45】
【0153】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、4-フルオロベンズアルデヒド3.72g(30.0mmol)、前記(中間体119)18.0g(60.0mmol)、尿素0.90g(15.0mmol)、エチルセロソルブ60mL、濃塩酸6.00g(60.0mmol)を入れ、室温(23~28℃)で3時間撹拌した。反応液にメタノール100mLを加え30分撹拌後、ろ過した。得られた固体をメタノール100mLで分散洗浄した。この溶液をろ過し、得られた固体を60℃で減圧乾燥することで、下記(中間体120)を得た(20.8g,収率98%)。
【0154】
【化46】
【0155】
続いて、反応容器に、前記(中間体120)20.8g(29.5mmol)、ジクロロメタン80mL、DDQ8.71g(38.4mmol)を加え、室温(23~28℃)で16時間撹拌した後、ろ過した。ろ液を0.5M炭酸カリウム水溶液100mLで4回洗浄した後、1M塩酸水溶液100mLで洗浄した。有機層を抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液をろ過し、ろ液を減圧濃縮した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=50/50~0/100(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。得られた固体を60℃で減圧乾燥し、下記(中間体121)を得た(4.80g,収率22%)。
【0156】
【化47】
【0157】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体121)1.48g(2.00mmol)、ジブチルアニリン1.29g(10.0mmol)、1-ブタノール20mLを入れ、105℃で24時間撹拌した。反応液を冷却後、酢酸エチル50mLを加えた。この溶液を1M塩酸水溶液100mLで3回洗浄し、有機層を抽出した。有機層を減圧濃縮した後、残渣をメタノール60mLで溶解し、この溶液にLiN(SOCF 0.86g(3.00mmol)を加え30分撹拌した。この溶液に水40mLを加え室温(23~28℃)で撹拌し、析出した固体をろ取した。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=70/30~50/50(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。得られた固体を60℃で減圧乾燥し、目的の化合物(C-11)を茶色固体として得た(0.58g,収率27%)。
【0158】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の54個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-11)で表される化合物の構造と同定した。
【0159】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=7.67-6.35(34H)、3.71(6H)、1.82(4H)、1.52(4H)、1.02(6H)。
【0160】
【化48】
【0161】
[合成実施例12]化合物(C-12)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体121)1.48g(2.00mmol)、N-メチルアニリン0.43g(4.00mmol)、1-ブタノール20mLを入れ、105℃で16時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣をメタノール50mLで溶解し、この溶液にLiN(SOCF 0.86g(3.00mmol)を加え、室温(23~28℃)で30分撹拌した。この溶液を減圧濃縮した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ヘプタン/ジクロロメタン=50/50(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。得られた固体を60℃で減圧乾燥し、目的の化合物(C-12)を茶色固体として得た(0.30g,収率18%)。
【0162】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の44個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-12)で表される化合物の構造と同定した。
【0163】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=7.61-6.30(35H)、3.80(6H)、3.72(3H)。
【0164】
【化49】
【0165】
[比較例化合物(D-1)の合成]
特許文献4(特開2012-83652号公報)の段落[0058]合成例1に記載された方法により、下記式で表される比較例化合物(D-1)を茶色固体として得た。
【0166】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の39個の水素のシグナルを検出し、下記式(D-1)で表される化合物の構造と同定した。
【0167】
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=8.01(1H)、7.54-7.18(7H)、6.90-6.62(5H)、6.18(1H)、3.62-3.51(10H)、1.47(3H)、1.30(12H)。
【0168】
【化50】
【0169】
[比較例化合物(D-2)の合成]
特許文献2の段落[0320]~[0322]に記載された方法により、下記式で表される比較例化合物(D-2)を茶色固体として得た。
【0170】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の40個の水素のシグナルを検出し、下記式(D-2)で表される化合物の構造と同定した。
【0171】
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=7.80(1H)、7.48-7.17(11H)、6.93(1H)、6.90-6.66(4H)、3.85(3H)、3.55(8H)、1.15(12H)。
【0172】
【化51】
【0173】
[比較例化合物(D-3)の合成]
特許文献3の段落[0208]~[0209]実施例1)に記載された方法により、下記式で表される比較例化合物(D-3)を青紫色固体として得た。
【0174】
得られた青紫色固体のNMR測定を行い、以下の45個の水素のシグナルを検出し、下記式(D-3)で表される化合物の構造と同定した。
【0175】
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=7.56-7.41(4H)、7.40-7.23(6H)、7.21-7.11(3H)、6.84-6.72(4H)、4.31(1H)、3.91(1H)、3.50(8H)、2.31(3H)、1.29(3H)、1.11(12H)。
【0176】
【化52】
【0177】
[実施例1]
(極大吸収波長の測定)
合成実施例1で得られた化合物(C-1)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶解し、濃度0.01mmol/Lの溶液を調製し、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、型式:V-650)を用いて、分光特性として紫外可視吸収スペクトル(350~800nmの波長範囲)を室温(25℃)で測定し、測定波長範囲における極大吸収波長を測定した。測定結果を表1に示す。
【0178】
(溶解性の評価)
合成実施例1で得られた化合物(C-1)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)への溶解度を次のように測定した。サンプル瓶に、色素として化合物(C-1)20mg、および、PGMEAを、色素濃度が1~10質量%となるように秤量して入れ、混合液を調製した。サンプル瓶を密栓し、20分間超音波処理した後、室温(25℃)で24時間放置した。室温(25℃)における各濃度の色素溶液を目視で観察し、不溶分の見られない最高の色素濃度(質量%)を溶解度とした。また、同様な方法で、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)への溶解度も測定した。測定結果を表1に示す。
【0179】
(耐熱性の評価)
サンプル瓶に合成実施例1で得られた化合物(C-1)20mg、メタクリル酸、アクリル酸エステルおよびスチレンの共重合体の25質量%DMF-PGMEA混合溶液5gを入れ、30分間撹拌して混合した。得られた着色樹脂溶液をシリンジフィルターでろ過し、ろ液1gをガラス基板上に塗布(スピンコート法、1000rpm-6秒)し、100℃で2分間加熱乾燥して薄膜を作製した。得られた膜について、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製、CM-5)を用いて色彩値を測定した。その後、230℃で20分間加熱を行い、同様に色彩値を測定した。230℃での加熱前後の色彩値の色差(ΔE ab)を耐熱性の指標とし、結果を表1に示す。
【0180】
[実施例2~実施例12]
実施例1において、化合物(C-1)の代わりに、合成実施例2~12で得られた化合物(C-2)~(C-12)を使用した以外は、実施例1と同様に、極大吸収波長の測定、溶解性の評価、耐熱性の評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0181】
[比較例1~比較例3]
比較のために、実施例の化合物(C-1)の代わりに、本発明に属さないトリアリールメタン色素であり、前記比較例化合物(D-1)~(D-3)を用いた以外は、実施例1と同様に、溶解性の評価、耐熱性の評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0182】
【表1】
【0183】
表1に示すように、本発明の実施例の化合物は、PGMEAやPGMEへの高い溶解性および製膜時における高い耐熱性を示しており、本発明の化合物を含有する着色組成物は、カラーフィルター用着色剤として実用上問題ない。また、成膜時において比較例よりも高い耐熱性を有しており、カラーフィルター用着色剤として優れている。
【産業上の利用可能性】
【0184】
本発明に係るトリアリールメタン色素を含有する着色組成物は、有機溶媒(PGMEAやPGMEなど)への溶解性に優れており、かつ、製膜時の耐熱性に優れているため、カラーフィルター用着色剤などの種々の用途の色素材料として有用である。