(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046618
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】帯状の粘着性材料から成る2つのラミネート層の間に埋設された電子部品を含む個々のストリップ形状のラミネート部材を製造するための方法、及び、このようなラミネート部材を製造するための装置
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20240327BHJP
B65B 61/06 20060101ALI20240327BHJP
B29D 30/06 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
B60C19/00 B
B65B61/06
B29D30/06
【審査請求】有
【請求項の数】32
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023149919
(22)【出願日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】10 2022 124 337.0
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】506413649
【氏名又は名称】カール オイゲン フィシャー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Karl Eugen Fischer GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・リンドナー
(72)【発明者】
【氏名】フランク・シュミット
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・シュナイダー
【テーマコード(参考)】
3D131
3E056
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
3D131LA02
3E056AA02
3E056BA16
3E056CA20
3E056DA05
3E056EA05
3E056FB03
3E056FH20
4F215AH20
4F215AP06
4F215AP20
4F215AR08
4F215VQ02
4F501TQ02
4F501TR06
4F501TR20
4F501TU08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】帯状の粘着性材料、具体的にはゴム引き材料から成る2つのラミネート層の間に埋設された電子部品を含む個々のストリップ形状のラミネート部材を製造するための方法を提供する。
【解決手段】載置装置5により、個々の部品を、搬送手段4によって搬送方向に移動する帯状の下方の第1のラミネート層3の上に、所定の間隔を置いて載置し、その後、搬送方向に移動する帯状の上方の第2のラミネート層8を、第1のラミネート層3の上に、部品を埋設しながら搭載してラミネートテープを形成し、切断装置9の下流に配置された測定装置によって、ラミネート部材中の部品の搬送方向に関する現在位置を測定し、現在位置の、所定の目標位置からの偏差が測定されると、測定された前記偏差に応じて、搬送手段4及び把持装置9の同期した動きを制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の材料、具体的にはゴム引き材料から成る2つのラミネート層(3,8)の間に埋設された電子部品(37)を含む個々のストリップ形状のラミネート部材(50)を製造するための方法であって、載置装置(5)により、個々の部品(37)を、搬送手段(4)によって搬送方向(19)に移動する帯状の下方の第1のラミネート層(3)の上に、所定の間隔を置いて載置し、その後、搬送方向(19)に移動する帯状の上方の第2のラミネート層(8)を、前記第1のラミネート層(3)の上に、前記部品(37)を埋設しながら搭載してラミネートテープ(22)を形成し、少なくとも1つの可動の切刃(21)を有する切断装置(9)により、前記搬送手段(4)によって送られた前記ラミネートテープ(22)から、前記個々のストリップ形状のラミネート部材(50)を切断し、前記ラミネート部材(50)は、把持装置(10)に受け取られて搬出され、ここで、前記把持装置(10)によって、前記ラミネートテープ(22)の前端が部品(37)の領域において把持され、前記搬送手段(4)のクロック式運動に同期して所定の距離値だけ前記切断装置(9)によって動かされて、前記切刃(21)に対して位置決めされる、方法において、
前記切断装置(9)の下流に配置された測定装置(26)によって、前記ラミネート部材(50)中の前記部品(37)の前記搬送方向(19)に関する現在位置を測定し、前記現在位置の、所定の目標位置からの偏差が測定されると、測定された前記偏差に応じて、前記搬送手段(4)及び前記把持装置(9)の同期運動を制御することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記測定装置(37)による前記現在位置を測定のために、前記部品(37)に割り当てられた部品位置と、前記ラミネート部材(22)の、前記搬送方向(19)に横方向に延びる少なくとも1つの縁部(56,57)との間の少なくとも1つの間隔値(A1,A2,B1,B2)を測定し、前記間隔値を用いて、起こり得る偏差を測定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の部品位置と搬送方向(19)に存在する第1の縁部(57)との間の第1の間隔値(A1,A2)、及び、第2の部品位置と前記搬送方向の反対方向に存在する第2の縁部(56)との間の第2の間隔値(B1,B2)が測定され、両方の間隔値を用いて、起こり得る偏差を測定することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記搬送方向(19)に対して横方向にずらして配置された別々の第1の部品位置に対する2つの第1の間隔値(A1,A2)、及び、前記搬送方向(19)に対して横方向にずらして配置された別々の第2の部品位置に対する2つの第2の間隔値(B1,B2)を測定し、4つの間隔値(A1,A2,B1,B2)を全て用いて、起こり得る偏差を測定することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
1つ又は複数の前記間隔値(A1,A2,B1,B2)を用いて、前記偏差を表すずれ値を測定し、前記ずれ値は、特徴付けられる部品位置、具体的には搬送方向(19)から見た前記部品の中心と、目標位置、具体的には搬送方向(19)から見た前記ラミネート部材の中心との間の起こり得るずれを表し、前記搬送手段(4)及び前記把持装置(10)は、前記ずれ値に応じて制御される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ずれ値を、前記距離値を増大又は低減させる補正値(K)として使用し、前記搬送手段(4)及び前記把持装置(10)は、前記ラミネートテープ(22)を変更した前記距離値だけ動かすように制御されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
測定された偏差に応じた前記搬送手段(4)及び前記把持装置(10)の前記同期運動の制御は、前記測定された偏差又は測定されたずれ値若しくは補正値(K)が所定の閾値よりも大きい場合にのみ行われることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
測定された偏差に応じた前記搬送手段(4)及び前記把持装置(10)の前記同期運動の制御は、測定された偏差又は測定されたずれ値又は補正値(K)が所定の限界値よりも大きい場合に、前記所定の限界値に制限されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記搬送手段(4)及び前記把持装置(10)と一緒に、前記搬送方向(19)及び前記搬送方向(19)の反対方向に移動可能な前記載置装置(5)も、前記測定された偏差に応じて制御されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記載置装置(5)は、前記搬送手段(4)及び前記把持装置(10)の変更された距離値の移動に同期して、少なくとも前記測定されたずれ値又は補正値(K)だけ移動することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記載置装置(5)は、各載置工程の間に、前記第1のラミネート層(3)の上に載置された2つの部品(37)の実際の間隔が、搬送方向(19)への前記ラミネートテープ(22)の収縮を埋め合わせる規定値だけ、切断される前記ラミネート部材(50)の目標長さよりも大きくなるように移動することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記載置装置(5)の運動は、規定された長さの値及び前記補正値(K)に基づいていることを特徴とする、請求項10及び11に記載の方法。
【請求項13】
前記測定装置(26)は、カメラ装置又は蛍光透視装置又はプロファイルセンサであり、撮影された少なくとも1つのカメラ画像若しくは蛍光透視画像の評価によって、又は、前記プロファイルセンサによって取得されたセンサ情報から、偏差を算出することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
検査装置(27)によって、前記ラミネート部材(50)の前記部品(37)の機能性を検査することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記把持装置(10)が、前記ラミネート部材(50)を、前記測定装置(26)及び場合によっては前記検査装置(27)が割り当てられた引き渡し装置(25)に搬送することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ラミネート部材(50)であって、廃棄限界値を超えない偏差を有すると共に、偏差が測定された場合でも、その機能性に対して設定された要件を満たすラミネート部材(50)を、巻き取りベルト(11)の上に載置することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
ラミネート部材(50)であって、廃棄限界値を超える偏差を有するか、又は、その機能性に対して設定された要件を満たさないラミネート部材(50)を、取り除くことを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記巻き取りベルト(11)の上に載置すべきラミネート部材(50)を、前記引き渡し装置(25)によって前記巻き取りベルト(11)の上に載置し、取り除くべきラミネート部材(50)を、前記引き渡し装置(25)によって、直接取り除くことを特徴とする、請求項15、及び、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記載置装置(5)によって、部品(37)の載置位置は、前記搬送方向に対して横方向に変動可能であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
帯状の粘着性材料、具体的にはゴム引き材料から成る2つのラミネート層(3,8)の間に埋設された電子部品(37)を含む個々のストリップ形状のラミネート部材(50)を製造するための装置であって、
下方の帯状の第1のラミネート層(3)を供給するための第1の供給装置(2)、及び、前記第1のラミネート層(3)を受け取る搬送手段(4)と、
個々の部品(37)を、前記搬送手段(4)によって搬送方向(19)に移動する前記第1のラミネート層(3)の上に、所定の間隔を置いて載置するための載置装置(5)と、
上方の帯状の第2のラミネート層(8)を供給し、前記第2のラミネート層(8)を前記第1のラミネート層(3)の上に前記部品(37)を埋設しながら載置するための第2の供給装置(7)であって、これによってラミネートテープ(22)が形成される、第2の供給装置(7)と、
前記搬送手段(4)によって送られた前記ラミネートテープ(22)から、前記個々のストリップ形状のラミネート部材(50)を切断するための、少なくとも1つの可動の切刃(21)を有する切断装置(9)と、
前記個々のラミネート部材(50)を受け取って搬出するための把持装置(10)と、を備え、
前記把持装置(10)は、前記ラミネートテープ(22)の前端を部品(37)の領域において把持するように構成されており、クロック式に運動可能な前記搬送手段(4)に同期して、前記ラミネートテープ(22)を、前記切断装置(9)を通して移動させると共に前記切刃(21)に対して位置決めするための所定の距離値だけ、移動可能である、装置において、
前記切断装置(9)の下流に測定装置(26)が備えられており、前記測定装置(26)は、前記ラミネート部材(50)中の前記部品(37)の前記搬送方向(19)に関する現在位置を測定するように構成されており、前記現在位置の、所定の目標位置からの偏差が測定されると、測定された前記偏差に応じて、前記搬送手段(4)及び前記把持装置(9)の同期運動を、制御装置(14)によって制御可能であることを特徴とする、装置。
【請求項21】
前記測定装置(26)は、前記部品(37)に割り当てられた部品位置と、前記搬送方向(19)に横方向に延びる前記ラミネート部材(50)の少なくとも1つの縁部(56,57)との間の少なくとも1つの間隔値(A1,A2,B1,B2)を測定し、前記偏差を表すずれ値を、前記間隔値を用いて求めるように構成されており、前記ずれ値は、特徴付けられる部品位置、具体的には搬送方向から見た前記部品(37)の中心と、目標位置、具体的には搬送方向(19)から見た前記ラミネート部材(50)の中心との間に起こり得るずれを表し、前記搬送手段(4)及び前記把持装置(10)は、前記ずれ値に応じて、前記制御装置(14)によって制御可能であることを特徴とする、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記ずれ値は、前記所定の距離値を増大又は低減させる補正値(K)として機能し、前記搬送手段(4)及び前記把持装置(10)は、前記ラミネートテープ(22)が変更された前記距離値だけ移動可能なように、前記制御装置(14)によって制御可能であることを特徴とする、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記制御装置(14)は、測定された偏差に応じた前記搬送手段(4)及び前記把持装置(10)の同期運動の制御が、前記測定された偏差又は測定されたずれ値若しくは補正値(K)が所定の閾値よりも大きい場合にのみ行われるように構成されていることを特徴とする、請求項20~22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
前記制御装置(14)は、測定された偏差に応じた前記搬送手段(4)及び前記把持装置(10)の同期運動の制御が、測定された偏差又は測定されたずれ値又は補正値(K)が所定の限界値よりも大きい場合に、前記所定の限界値に制限されるように構成されていることを特徴とする、請求項20~23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
前記搬送手段(4)及び前記把持装置(10)と一緒に、前記搬送方向及び前記搬送方向の反対方向に移動可能な載置装置(5)も、前記制御装置(14)によって、前記測定された偏差に応じて制御可能であることを特徴とする、請求項20~24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
前記制御装置(14)は、前記載置装置(5)が、前記搬送手段(4)及び前記把持装置(10)の変更された距離値の移動に同期して、少なくとも前記測定された補正値(K)だけ移動可能であるように、前記載置装置(5)を制御するように構成されていることを特徴とする、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記制御装置(14)は、前記第1のラミネート層(3)の上に載置された2つの部品(37)の実際の間隔が、搬送方向(19)への前記ラミネートテープの収縮を埋め合わせる規定値だけ、切断される前記ラミネート部材(50)の目標長さよりも大きくなるように各載置工程の間の前記載置装置(5)の移動を制御するように構成されていることを特徴とする、請求項20~25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記測定装置(26)は、カメラ装置又は蛍光透視装置又はプロファイルセンサであり、撮影された少なくとも1つのカメラ画像若しくは蛍光透視画像又はセンサ情報の評価によって、偏差を算出可能であることを特徴とする、請求項20~27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記ラミネート部材(50)の前記部品(37)の機能性を検査するための検査装置(27)が備えられていることを特徴とする、請求項20~28のいずれか1項に記載の装置。
【請求項30】
前記把持装置(10)の下流に配置され、前記ラミネート部材(37)を前記把持装置(10)から受け取る引き渡し装置(25)が備えられており、前記引き渡し装置(25)には、前記測定装置(26)及び場合によっては前記検査装置(27)が割り当てられていることを特徴とする、請求項20~29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
スイング可能に実施された前記引き渡し装置(25)は、ラミネート部材(50)を巻き取りベルト(11)の上に載置すると共に、取り除くべきラミネート部材(50)を回収容器(28)に排出するように構成されていることを特徴とする、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記載置装置(5)によって、部品(37)の載置位置は、前記搬送方向に対して横方向に変動可能であることを特徴とする、請求項20~31のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の粘着性材料、具体的にはゴム引き材料から成る2つのラミネート層の間に埋設された電子部品を含む個々のストリップ形状のラミネート部材を製造するための方法に関する。この方法では、載置装置を用いて、個々の部品を、搬送手段によって搬送方向に移動する帯状の下方の第1のラミネート層の上に、所定の間隔を置いて載置し、その後、搬送方向に移動する帯状の上方の第2のラミネート層を、部品を埋設した状態で第1のラミネート層の上に搭載して、ラミネートテープを形成する。ここで、少なくとも1つの可動の切刃を含む切断装置により、搬送手段によって送られたラミネートテープから、個々のストリップ形状のラミネート部材を切断する。このラミネート部材は、把持装置に受け取られて搬出される。ここで、把持装置によって、ラミネートテープの前端が部品の領域において把持され、搬送手段のクロック式運動に同期して、所定の距離値だけ切断装置を通過し、切刃に対して位置決めされる。
【背景技術】
【0002】
様々な用途のために、対象物に材料テープの細長いストリップ片を配置又は一体化することが求められる場合がある。このストリップ片には、少なくとも1つの電子部品が埋設されている。このため、材料テープは部品のキャリアとして機能する。このような部品は、例えば特徴付けのために機能し、この部品によって、それが配置される対象物の特徴付け、すなわち識別が可能である。材料テープとは、プラスチック材料、好ましくはゴム引き材料から成る可塑性のテープ材を指し、工業的に製造されたエラストマーであると理解される。これは、材料によっては、粘着性を有していてもよい。電子部品とは、何等かの方法で外部の計測器と相互作用し得る任意の部品であり得る。特に、この部品は、所定の情報を記憶させることが可能なRFIDチップであり得る。この情報は、RFIDチップが付与された各対象物において、その識別に関し、読み出し可能である。
【0003】
このようなラミネート部材を使用可能な一用途例は、タイヤ製造の分野である。このようなラミネート部材をタイヤに一体化することによって、各タイヤに個別に、このような特徴付け要素、つまり例えばRFIDチップを設けて、各タイヤを識別することが可能である。RFIDチップには、例えば対応する、製造日、製造ロット、許容充満圧等に関する情報を記録して、必要に応じて読み出すことが可能である。しかしながら、この用途例は限定されるものではなく、他の領域の用途も想定可能である。
【0004】
このようなラミネート部材のストリップ片の製造の範囲において、まず、部品が埋設された無端ラミネートテープを製造する。このために、個々の部品、すなわちRFIDチップを、既述の材料から成る帯状の下方の第1のラミネート層の上に所定の間隔を置いて、載置装置により載置する。第1のラミネート層は、搬送手段によって所定の搬送方向に移動する。その後、この部品が搭載された第1のラミネート層の上に、同じく搬送方向に移動する帯状の上方の第2のラミネート層を載せる。その結果、部品が埋設され、ラミネートテープが形成される。これによって、サンドウィッチテープ、すなわち対応する2層のゴム引きのラミネートテープが形成されるが、その個々の層は、その固着性又は粘着性により最終的には分離不可能である。
【0005】
したがって、この材料テープから、個々のストリップ片を切断し、各ストリップ片が少なくとも1つの部品を有するようにすることが求められている。しかしながら、細長いストリップ片を切断することは、特に、非常に細長いストリップ片を切断する場合、例えばストリップ片の幅が数ミリメートル、例えば約8~12mmである場合には、困難である。このようなラミネートテープを切断するために特に適した切断装置が、DE 20 2021 101 889 U1から公知である。この切断装置は、切断中に、材料テープを、切刃が当接する切断装置のテーブルに固定するように構成された把持装置を備える。切刃が下方に動くと、少なくとも1つの部品を含むラミネートストリップ片が切断される。切刃が再び上方に持ち上げられると、把持装置は、切断されたラミネートストリップ片を受け取り、これを搬出する。この際、搬送手段のクロック式の送り動作によって、ラミネートテープは、切断装置に、すなわち切断領域の中に供給される。つまり、ラミネートテープは、各切断工程のために、所望の切断長さに相当する所定の距離値又は経路だけ、搬送方向に移送される。DE 20 2021 101 889 U1の切断装置では、把持装置が参加したクロック式搬送動作が行われる。この公知の切断装置では、把持装置が、ラミネートテープの前端を部品の領域において把持し、把持装置は、搬送手段のクロック式運動に同期してちょうどその所定の距離値を移動するので、ラミネートテープが、切断装置を通過して本来の切断位置まで移動し、切刃に対して位置決めされる。
【0006】
この極めて正確に制御可能なクロック式の送りによって、常に、個々のラミネート部材を、部品がラミネートの内部でいつも同じ位置にあるように、すなわち、例えば搬送方向から見ていつも真ん中に配置されるように、切断可能であるはずである。この位置決めは、通常、限界条件として規定される。すなわち、これに関して比較的小さい許容差が規定されている。それにもかかわらず、運転時に、搬送方向から見た部品の位置が変動してしまうことがあり、すなわち、部品が搬送方向に見て正確に位置決めされていないラミネート部材が切断されることがある。その原因は、ラミネートテープが、特に、上方のラミネート層が下方のラミネート層の上に積層される位置と、切刃がラミネートテープを分離する本来の切断位置との間の領域において、その形状をわずかに変動させるからである。ラミネートテープは、大抵、搬送方向から見てわずかに縮む。これは、両方のラミネート層がもともと極めて大きなロールに巻かれており、そこからラミネート層が積層プロセスのために取り出されるからである。各ラミネート層は、一定の固有応力を有している。軽く引き伸ばされた両方のラミネート層を軽く加圧しながら積層した後、この固有応力は次第に分解され、これによって具体的にはわずかな収縮、すなわち縮みが、搬送方向に生じる。このラミネート材料の収縮によって、個々の部品の位置、すなわち、部品の互いに対する間隔が位置的に変化する。このため、実際の切断後に、各部品がラミネート部材の内部の所望の位置にあることが確保されない。このような部品により、製品の品質に対して設定される限界条件が満たされないという危険が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、これに対して改善された方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、冒頭部分で説明した種類の方法において、本発明によれば、切断装置の下流に配置された測定装置によって、ラミネート部材中の部品の、搬送方向に関する現在位置を測定し、現在位置の、所定の目標位置からの偏差が測定されると、測定された偏差に応じて、搬送手段及び把持装置の同期運動を制御することが提供される。
【0009】
本発明によれば、各ラミネート部材について、切断装置の下流に配置された測定装置によって、ラミネート部材内部の部品の位置が測定され、この位置が正しいかどうか、すなわち所定の許容区間内にあるかどうかが検査されるようになっている。したがって、測定装置によって、ラミネート部材中の部品の現在位置の、所定の目標位置からの、起こり得る偏差を測定可能である。このような製品品質に悪影響する偏差が測定されると、本発明によれば、好適な制御装置によって、歯付きベルト又はタイミングベルトといった搬送ベルト又は搬送コンベアであり得る搬送手段と把持装置との間の同期運動が、測定された偏差に応じて制御される。この制御は、不正確な位置決めが解消されるように行われる。これは、切断すべきラミネートテープの先端を切断装置つまり切断面に対して位置決めする、移動及び位置決め工程に関与し、対応して調節することによって、軽微な位置合わせを行い、後のステップにおいて切断されるラミネート部材の埋設部品が、再び正しい位置つまり位置区間内に来るように行われる。つまり、クロック式搬送動作への狙いを定めた関与が行われるが、これは、実際に測定された位置偏差であって、最終的にはラミネートテープの収縮動作に起因する位置偏差に基づいている。したがって、切断長さを一意に変化させ、これによって、後に切断されるラミネートストリップ片が、再び、ほぼ又は完全に偏差を有さないことが確保される。つまり、ラミネートストリップ片において、部品が再び要件を満たすように配置されることが確保される。
【0010】
本発明において行われるラミネート部材の測定つまり偏差検査は、各ラミネート部材について行われるので、起こり得る偏差に迅速に反応し、対応するクロック式搬送動作を対応して制御することが可能であり、これによって即座に偏差を解消可能である。
【0011】
ラミネート部材内の部品の現在位置を測定するために、本発明によれば、測定装置によって、部品に割り当てられた部品位置と、搬送方向に対して横方向に延びるラミネート部材の少なくとも1つの縁部との間の少なくとも1つの間隔値を測定することが可能である。ここで、この間隔値を用いて、起こり得る偏差が測定される。したがって測定装置は、間隔値を得るためにラミネート部材を測定する。この間隔値は、部品に割り当てられた部品位置、例えば測定装置によって測定される、ラミネート部材に現れる縁部又は同様のものと、搬送方向に対して横方向に延びるラミネート部材の縁部、つまり本来の切断縁部との間の間隔を表すものである。この間隔値は、ラミネート部材内の部品の位置のための値であり、起こり得る偏差が生じているか否かを測定するための基礎となるものである。
【0012】
ここで、本発明の発展形態では、部品の現在位置をより正確に説明可能とするために、測定装置によって、このような間隔値を複数測定することが可能である。第1の部品位置と搬送方向に存在する第1の縁部との間の第1の間隔値、及び、第2の部品位置と搬送方向の反対方向に存在する第2の縁部との間の第2の間隔値が測定され、両方の間隔値を用いて、起こり得る偏差を測定することが可能となっている。すなわち、両方の結果つまり両方の間隔値が組み合わされて偏差測定が行われる。ここで、第1の間隔値は搬送方向において測定されており、第2の間隔値は搬送方向の反対方向において測定されている。各間隔値は、特定の1つの部品位置に基づいており、この部品位置は、測定される対応する部品の縁部であり得る。部品が例えばRFIDチップである場合、これは通常、本来のチップボディと、その両側の境界を成すアンテナとを備える細長い形状をしている。つまりこれは、ラミネートストリップ片の長手軸に沿って延びる細長い部品である。必然的に、対応する第1の縁部及び第2の縁部が形成され、一方の縁部が搬送方向に存在し、他方の縁部が搬送方向の反対方向に存在する。両方の縁部は、間隔値の測定の際に基礎となる第1の部品位置と第2の部品位置を規定する。こうして、より正確な現在位置の測定が実現可能である。
【0013】
位置測定をさらに正確に行うために、搬送方向に対して横方向にずらして配置された2つの別々の第1の部品位置に対する2つの第1の間隔値、及び、搬送方向に対して横方向にずらして配置された2つの別々の第2の部品位置に対する2つの第2の間隔値を測定し、これら4つの間隔値を全て用いて、起こり得る偏差を測定することが想定可能である。つまり、搬送方向の2つの間隔値と、搬送方向の反対方向の2つの間隔値とを測定する。これらの各間隔値は、搬送方向に対して横方向にずらされている。したがって、部品の各ラミネート部材の縁部に対する位置に関し、4つの具体的な部品位置が測定される。つまり、現在位置の正確な描写を可能にする4つの間隔値が提供される。これらは、起こり得る偏差についての正確な判定可能性に関連している。
【0014】
ここで、1つ又は複数の間隔値を用いて、偏差を表すずれ値を測定する。ずれ値は、特徴付けられる部品位置、具体的には搬送方向から見た前記部品の中心と、目標位置、具体的には搬送方向から見た前記ラミネート部材の中心と、の間の起こり得るずれを表し、搬送手段及び把持装置は、当該ずれ値に応じて制御されることが可能である。上述のように、測定装置によって、対応する1つ又は複数の特徴付けられる部品位置を測定することが可能である。部品位置は、例えば対応する部品縁部である。次に、この部品位置を用いて、特徴付けられる部品位置、好ましくは、搬送方向に見た部品の中心を判定し、この特徴付けられる部品位置が目標位置、つまり好ましくはラミネート部材の中心に相当するか否か、又は、これが搬送方向において又はその反対方向においてずれた状態にあるか否かを検査することが可能である。したがって、このずれ値は、伝送クロックの対応する制御の基礎となる。ここで、ずれ値を、直接、ラミネートテープを送る距離値を増加又は低下させる補正値として使用できる。ここで、搬送装置及び把持装置は、ラミネートテープを移動させるために、変更された距離値だけ操作される。すなわち、ずれ値つまり補正値は、特徴付けられる部品位置の搬送方向又はその反対方向における具体的な偏差を表すものである。したがってこれは、正の値又は負の値であり得る。そして、ラミネートテープがクロック式に本来搬送される距離値は、ちょうどこのずれ又は補正値だけ変更される、つまり増加又は低下され、制御装置及び把持装置によって、対応して制御される。例えば、ずれ値したがって補正値の測定は、以下のように行うことが可能である。
K=[(A1+A2)/2-(B1+B2)/2]/2
ここで、K=補正値、
A1=搬送方向における第1の間隔値
A2=搬送方向における第2の間隔値
B1=搬送方向の反対方向における第1の間隔値
B2=搬送方向の反対方向における第2の間隔値
【0015】
このようにして求めた補正値は、部品の中心が外側の縁部に対してずれている偏差値を表す。この値を用いて、直接、変更された制御を行うことが可能である。
【0016】
ここで、搬送手段および把持装置の同期運動の制御は、測定された偏差に基づき、測定された偏差又は測定されたずれ値若しくは補正値が所定の閾値よりも大きい場合にのみ行われることが想定可能である。すなわち、制御への関与は、微小の偏差の度に行われるのではなく、最小偏差が生じた場合にのみ行われる。このために、対応する閾値が定義されている、又は、対応する閾値区間が定義されている。測定装置又は制御装置は、偏差すなわちずれ値又は補正値が、定義された閾値よりも小さいか否か、又は、閾値区間内にあるか否かを、連続的に検査する。Yesの場合、部品の現在位置が所定の許容範囲内にあるため、補正は行われない。Noの場合、現在位置の目標位置からの偏差は十分に大きく、補正を必要とするため、すぐに補正を行う必要がある。ここで、各閾値は、ずれの方向に応じて、正の値又は負の値であることが可能であり、対応するずれ値又は補正値も同様である。また、各値だけを考慮することも想定可能である。区間が設定される場合、これは、例えば8~12mmの切断長さの場合、例えば+/-0.25mmであり得る。偏差つまりずれ値又は補正値が、+/-0.25の区間にある場合、補正は行われない。それ以外の場合、対応して測定された補正値又はずれ値だけ補正が行われる。
【0017】
ここで、本発明の発展形態では、さらに、測定された偏差に応じた搬送手段及び把持装置の同期運動の制御が、測定された偏差又は測定されたずれ値又は補正値が所定の限界値よりも大きい場合に、所定の限界値に制限されるように構成されていてもよい。すなわち、補正を行う場合の下限値が定義されているだけでなく、最大補正がどの程度の規模となり得るかを示す上限値も設定されている。例えば、最大ずれ値又は補正値として、+/-0.3mmの距離変動を設定可能である。ここで、例えば測定されたずれ値又は補正値が0.5mmである場合、0.3mmの最大補正値でのみ補正が行われることになる。異なる切断長さについて、異なる限界値を設定することが想定可能である。これによって、例えば、ラミネート部材の切断長さつまり目標長さが8mmである場合、+/-0.15mmの限界値を設定可能であり、10mmの切断長さの場合、+/-0.3mmの限界値を設定可能であり、12mmの切断長さの場合、+/-0.45mmの限界値を設定可能である。このように限界値を設定することによって、起こり得る補正オーバーシュートを回避することが可能である。すなわち、過度の補正を回避することが可能である。過度の補正が行われると、場合によっては、再補正を2つ後のステップにおいてすぐに行う必要がある。
【0018】
特に有効な一発展形態によれば、搬送装置及び把持装置と一緒に、搬送方向及び搬送方向の反対方向に移動可能な載置装置も、測定された偏差に応じて制御されるように構成されている。記載したように、個々の部品は、載置装置すなわちピックアンドプレース装置によって、対応する部品貯蔵部から取り出され、正確に位置決めされて下方の第1のラミネート層の上に載置される。次に、場合によってはクロック式搬送動作に関与する場合にも、載置された後に埋設される全ての部品を1つずつ同一の間隔でラミネートテープの中に設置することを確保するために、場合によっては、搬送装置及び把持装置の調節又は調整が、搬送方向又はその反対方向における載置装置の運動に関しても行われる。すなわち、例えば、距離値を元の10mmから10.2mmに増加させること、つまり搬送方向における0.2mmの補正をすることにより、対応する載置装置の同期運動も、同じく搬送方向において0.2mmとなる。距離値を増加させることによって、つまりクロック式搬送距離を0.2mmだけわずかに増加させることによって、載置装置の位置が同じである場合、少なくともこの位置決めの補正の後に行われる載置ステップについて、今回載置される部品と前回載置された部品との間の間隔がちょうど0.2mmだけ増加することになる。しかしながら、載置装置も対応して調節されると、距離値の変化にもかかわらず、載置された部品の間隔は同じ値で維持されることが確保される。
【0019】
ここで、載置装置は、少なくとも測定されたずれ値又は補正値だけ、搬送手段及び把持装置の運動に同期して、変更された距離値を移動する。すなわち、記載したように、元の距離値が値+/-xだけ変更されると、載置装置も同様に+/-xだけ移動する。
【0020】
上述のように、ラミネートテープは、搬送方向にある程度収縮する。すなわち、ラミネートテープは、積層されたラミネート層の本来の固有応力に起因して、わずかに縮む。これによって、部品の位置が変動し得る。この収縮は、ある程度事前に判断することが可能である。すなわち、ある程度の範囲のある程度の理論的収縮が常に設定され、これは、実際の収縮がどの程度であるかには無関係である。最初からこれに対処するために、本発明の有効な一発展形態では、載置装置は、各載置工程の間に、第1のラミネート層の上に載置された2つの部品の実際の間隔が、ラミネートテープの搬送方向における収縮を埋め合わせる規定値だけ、切断されるラミネート部材の目標長さよりも大きくなるように移動するようになっている。すなわち部品は、最初から、部材を切断する元の切断長さよりもわずかに大きな間隔で載置される。従って、載置される部品間隔を拡大させる分のこの固定値によって、所定の範囲において規則的に生じる収縮は、概ね埋め合わせされる。例えば、10mmの目標長さで切断する場合、この収縮の埋め合わせ値は、例えば0.15mmであってよく、その結果、0.15mmの収縮は、常に埋め合わせされる、つまり事前に補償されることが可能である。そして部品は、10.15mmの間隔で載置される。収縮がちょうどこの0.15mmだけ生じると、部品は、理想的には切断時点において10mmの目標間隔を有する。しかし、当然ながら実際の収縮は常に材料に依存しているため、この収縮埋め合わせ値によっては、大まかな収縮補正だけが可能である。ラミネートテープは長手方向に縮むため、収縮補正値は、搬送方向の反対方向においてのみ定義される。
【0021】
搬送装置が大きな偏差を測定しなかった場合、つまり、クロック式搬送を調整しない場合、本発明によれば、事前に設定された収縮埋め合わせを、上述のように行なうことが可能であり得る。すなわち載置装置は、常に、載置工程の度に、ちょうど収縮補正値の分だけ搬送方向の反対方向にわずかに移動する。しかしながら、対応する偏差が検出されると、収縮補正値だけでなく実際の補正値も、載置装置の運動に使用される。この場合、載置装置の運動は、所定の長さ値(つまり収縮埋め合わせ値)と、正の値又は負の値であり得る補正値とからなる。すなわち、収縮補正値が-0.15mm(搬送方向の反対方向にあるため負の値)に設定され、補正値が+0.3mmであると、載置装置は、実際には+0.15mmだけ搬送方向に進む。すなわち、ラミネートテープのクロック式搬送への補正関与にもかかわらず、正確な部品位置決めは、補正値だけでなく収縮埋め合わせ値も考慮して確保される。
【0022】
測定装置は、既述のように、起こり得る偏差を測定し、すなわち、適した制御装置を用いて評価を行ない、場合によってはずれ値又は補正値を求めるように機能する。ここで、測定装置は、カメラ装置、又は、蛍光透視装置つまりレントゲン又は超音波装置、又は、例えばプロファイルセンサといったセンサであり得る。これらの種類の測定装置は、ラミネート部材の対応するカメラ画像又は蛍光透視画像を撮影し、又は、センサ信号を受信する。次に、この画像又はセンサ信号を、適した評価ソフトウェアによって、すなわち適した評価アルゴリズムを用いて評価することによって、対応する偏差値、すなわちずれ値又は補正値の算出を行なうことが可能である。ここで、対応する評価ソフトウェアすなわち評価アルゴリズムは、これによって、対応する間隔値等の測定の際の基礎となる対応する部品位置も判定可能であるように構成されている。これが、一般的なカメラ装置である場合、カメラ装置には、例えば対応する照明装置が割り当てられている。この照明は、例えば、カメラがカメラ画像を撮影する間に、極めて高速に回転するリング照明である。カメラ画像において、このランニングライトにより、対応する偏差判定の基礎となり得る、部品端部に起因する対応する輪郭縁部が表示される。蛍光透視画像は、部品がいずれにしても正確に視認可能であるので、対応する評価アルゴリズムは、直接これに基づいて部品位置を規定することが可能である。
【0023】
本発明の有効な一発展形態は、ラミネート部材の部品の機能性を検査する検査装置の構成を提供する。すなわち、起こり得る偏差を測定することに加えて、機能検査も行なわれる。部品が例えばRFIDチップである場合、検査装置によって、RFIDチップの通信可能性が検査可能であると共に、例えばチップの識別番号を検査及び測定可能であり、識別番号はその後、例えば機能検査の測定値と共に、制御装置に記憶させることが可能である。この機能検査は、測定装置を用いた測定、つまり、例えば評価対象の画像の撮影と同時に行なうことが好ましい。
【0024】
把持装置は、このために、測定装置及び場合によっては(備えられている場合は)検査装置が割り当てられている引き渡し装置に、部品を搬送可能である。既述のように、把持装置は、切断されたラミネート部材を受け取って搬出する。この搬出は、ラミネート部材を引き渡し装置に引き渡す時に終了し、その後すぐ、偏差の測定及び場合によっては機能検査が行なわれる。このために使用可能な把持装置は、既に説明したように、DE 20 2021 101 889 U1に記載されている。この把持装置は、分離された2つの把持部を備える。2つの把持部は、反対方向に向けられており、互いに平行に配置されている。これらは、垂直軸を中心に回転可能な共通のキャリア上に配置されているので、把持装置は、垂直軸を中心に回転可能である。各把持部は別々に、キャリアに対して、水平軸に沿って直線移動可能であると共に、垂直に、つまり把持装置全体の回転軸に対して平行に、上昇及び降下することも可能である。すなわち、各把持部に対して対応する自由度が設定されていると共に、把持装置全体としても回転可能である。これによって、一方の把持部を、ラミネートテープの先端を受け取ることができる位置にもたらすことが可能となり、他方の把持部が、受け取ったラミネート部材を、ラミネート部材を引き渡し装置に搬送するための引き渡し位置に配置されることが可能になる。各工程が終了し、第1の把持部が、新たに切断されたラミネート部材を受け取り、第2の把持部がラミネート部材を引き渡す時には、把持装置全体が180度回転することによって、新たに切断されたラミネート部材が、引き渡し装置に引き渡されることが可能であり、同時に、空の把持部が、再びラミネートテープの先端を把持することが可能である。具体的な機能については、DE 20 2021 101 889 U1に明示されている。その開示内容の全体は、本発明の開示に参照することにより組み込まれる。
【0025】
測定装置及びこれによる偏差測定によって、並びに、場合によっては検査装置によっても、完成品検査が行われる。この検査の範囲において、最終的に、検査されたラミネート部材が、全ての要件を満たす合格品であるか、又は、さらなる処理を行なってはならない不良品であるかが検査される。ここで、廃棄限界値を超えない偏差を有するラミネート部材、及び、偏差が測定された場合でも、その機能性に対して設定された要件を満たすラミネート部材を、巻き取りベルトの上に載値するように構成されていることが可能である。この場合、部品が合格品であると、対応する巻き取りベルトの上に載置され、ラミネート部材も、加圧スタンピング又は同様のものによって、巻き取りベルトに対してわずかに加圧され、そこで軽く接着する。しかしながら、ラミネート部材が廃棄限界値を超える偏差を有している場合、又は、その機能性に対して設定された要件を満たさない場合、このラミネート部材は、不良品として取り除かれ、つまり巻き取りベルトの上には載置されない。
【0026】
対応する偏差測定つまり機能検査は、上述のように、好ましくは引き渡し装置上で行なわれるので、本発明の有効な一発展形態では、巻き取りベルトに載置される予定のラミネート部材は、引き渡し装置によって巻き取りベルトに載置されるように構成されている。つまり、引き渡し装置は、合格品を巻き取りベルトの上に搬送する。しかしながら、部品が取り除かれるべき不良品である場合、取り除かれるべきラミネート部材は、引き渡し装置によって直接取り除かれることが可能である。このために、引き渡し装置自体は、スイング装置として構成されていることが、都合が良い。これは、ラミネート部材が把持装置から引き渡される引き渡し位置において、水平に配置されている。このため、引き渡し装置は、例えば測定装置つまりカメラ装置の下方に垂直に設けられており、ラミネート部材はその測定領域に配置される。同様に、この位置に隣接して、検査装置が備えられているので、測定と検査とを同時に行なうことが可能である。直接、対応する値つまり情報を測定することによって、これが合格品であるか又は不良品であるかが分かる。引き渡し装置は、搬送方向に180度旋回し、引き渡し装置にその粘着性により軽く接着されているか、又は、引き渡し装置に備えられた磁石若しくは同様のものに固定されているラミネート部材を持って、直接巻き取りベルトの上に旋回する。そこでは、ラミネート部材は接着された状態で維持される。その後、引き渡し装置は、再び水平方向の引き渡し位置に戻る。しかしながら、これが不良品である場合、引き渡し装置は、単に下方にスイングすることによって、不良のラミネート部材は引き渡し装置から落下し又は投棄され、その下方に配置された不良品容器に達する。
【0027】
本方法自体に加えて、本発明はさらに、帯状の粘着性材料、具体的にはゴム引き材料から成る2つのラミネート層の間に埋設された電子部品を含む個々のストリップ形状のラミネート部材を製造するための装置に関する。この装置は、
下方の帯状の第1のラミネート層を供給するための第1の供給装置、及び、第1のラミネート層を受け取る搬送手段と、
個々の部品を、搬送手段によって搬送方向に移動する第1のラミネート層の上に、所定の間隔を置いて載置するための載置装置と、
上方の帯状の第2のラミネート層を供給し、第2のラミネート層を第1のラミネート層の上に部品を埋設しながら載置するための第2の供給装置であって、これによってラミネートテープが形成される、第2の供給装置と、
搬送手段によって送られたラミネートテープから、個々のストリップ形状のラミネート部材を切断するための、少なくとも1つの可動の切刃を有する切断装置と、
個々のラミネート部材を受け取って搬出するための把持装置と、を備え
把持装置は、ラミネートテープの前端を部品の領域において把持するように構成されており、クロック式に運動可能な搬送手段に同期して、ラミネートテープを、切断装置を通して移動させると共に切刃に対して位置決めするための所定の距離値だけ、移動可能である。
【0028】
本発明によれば、この装置は、切断装置の下流に測定装置が備えられており、前記測定装置は、ラミネート部材中の部品の搬送方向に関する現在位置を測定するように構成されており、現在位置の、所定の目標位置からの偏差が測定されると、測定された偏差に応じて、搬送手段及び把持装置の同期運動を、制御装置によって制御可能であることを特徴とする。
【0029】
本発明に係る方法に関して記載した全ての特性、特徴、及び、利点は、本発明に係る装置にも同様に当てはまる。
【0030】
本発明に係る装置は、切断装置の下流に配置された測定装置、及び、対応する制御装置によって特徴付けられる。この制御装置は、測定装置によって測定された偏差に応じて、搬送手段及び把持装置の同期運動を制御可能であり、起こり得る偏差を補償することが可能である。
【0031】
ここで、測定装置は、部品に割り当てられた部品位置と、搬送方向に横方向に延びるラミネート部材の少なくとも1つの縁部との間の少なくとも1つの間隔値を測定し、偏差を表すずれ値を、間隔値を用いて求めるように構成されていてもよく、ずれ値は、特徴付けられる部品位置、具体的には搬送方向から見た部品の中心と、目標位置、具体的には搬送方向から見たラミネート部材の中心との間に起こり得るずれを表し、搬送手段及び把持装置は、ずれ値に応じて、制御装置によって制御可能である。対応するずれ値の測定は、本発明に係る方法について先に説明したような様々な態様で行うことが可能である。測定装置は、対応する値の測定を行なうために適した評価ソフトウェアつまりソフトウェアアルゴリズムを利用可能な対応する制御装置を有している。制御装置は、測定装置に割り当てられた制御装置であり得るが、中央制御装置であってもよい。中央制御装置は、設備動作を制御するが、少なくとも搬送装置及び把持装置の運転を制御し、必然的に測定装置にも割り当てられている。
【0032】
ここで、ずれ値は、直接、所定の距離値を増加または低下させる補正値として機能し得る。搬送装置及び把持装置は、制御装置によって、ラミネートテープが変更させた距離値だけ移動可能であるように制御可能である。つまり補正値は、制御装置側で直接、制御のための基礎となる。
【0033】
さらに、制御装置は、測定された偏差に応じた搬送手段及び把持装置の同期運動の制御が、測定された偏差又は測定されたずれ値若しくは補正値が所定の閾値よりも大きい場合、すなわち、所定の閾値区間の外にある場合にのみ行われるように構成されている。これによって、制御装置が、位置偏差が対応する許容範囲内に無い場合にのみ、補正を行なうことが確保される。
【0034】
さらに、制御装置は、測定された偏差に応じた搬送手段及び把持装置の同期運動の制御が、測定された偏差又は測定されたずれ値又は補正値が所定の限界値よりも大きい場合に、所定の限界値に制限されるように構成されていてもよい。すなわち、より大きな補正値が測定された場合であっても、搬送方向及びその反対方向における最大補正は、いずれにしても限界値に制限される。
【0035】
さらに、搬送手段及び把持装置と一緒に、搬送方向及び搬送方向の反対方向に移動可能な載置装置も、制御装置によって、測定された偏差に応じて制御可能であってもよい。載置装置が対応する補正値だけ同期して移動することによって、先に方法に関して説明したように、部品が常に同一の間隔で載置されることが確保される。
【0036】
さらに、制御装置は、載置装置が、搬送手段及び把持装置の変更された距離値の移動に同期して、少なくとも測定された補正値だけ移動可能であるように、載置装置を制御するように構成されていてもよい。載置装置の運動制御は、測定された補正値にも基づく。
【0037】
最後に、制御装置は、第1のラミネート層の上に載置された2つの部品の実際の間隔が、搬送方向へのラミネートテープの収縮を埋め合わせる規定値だけ、切断されるラミネート部材の目標長さよりも大きくなるように、各載置工程の間の載置装置の移動を制御するように構成されていてもよい。これによって、事前に、ある程度の収縮の埋め合わせを考慮することが可能であり、通常、ある程度の最小収縮が設定されるので、部品を少し大きな間隔で載置することが可能である。これに関連して、制御装置の全ての機能には、先に説明した方法に関する実施例が参照される。
【0038】
測定装置は、カメラ装置、又は、蛍光透視装置、又は、例えばプロファイルセンサといったセンサであり、撮影された少なくとも1つのカメラ画像若しくは蛍光透視画像又はセンサ情報の評価によって、偏差を算出可能である。さらに、ラミネート部材の部品の機能性を検査するための検査装置が備えられていてもよい。この機能性に関しても、先に説明した方法に関する実施例が参照される。
【0039】
さらに、把持装置の下流に配置され、ラミネート部材を把持装置から受け取る引き渡し装置が備えられており、引き渡し装置には、測定装置及び場合によっては検査装置が割り当てられている。この引き渡し装置は、適した引き渡し板であり得る。有効な一発展形態によれば、スイング可能であり、ラミネート部材を巻き取りベルトに載置すると共に、取り除くべきラミネート部材を回収容器に排出するように構成されている。つまり、引き渡し板は、対向し合う方向においてスイング可能であり、一方の方向において、良好であると見なされるラミネート部材を巻き取りベルト上に引き渡し、他方の方向において、取り除くべきラミネート部材を不良品容器の中に廃棄する。対応する駆動モータによってスイングされるスイング可能な引き渡し装置の制御も、当然、好適な制御装置又は中央制御装置によって行なわれることが、都合がよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明に係る方法を実施するための本発明に係る装置を概略的に示す側面図である。
【
図3】当該装置の部分斜視図であり、載置装置、並びに、これに割り当てられた搬送手段及び第2の供給装置を示している。
【
図4】
図1の装置の部分図であり、切断装置及び把持装置を示している。
【
図5】逆方向に向けられて別々に動くことが可能な分離された2つの把持部を含む、把持装置の斜視図である。
【
図6】個々の把持部の動きを説明するための概略的な側面図である。
【
図8】
図1の装置の部分図であり、引き渡し装置、並びに、これに割り当てられたカメラ装置の形をした測定装置及びその下流に接続された巻き取りベルト又は回収容器を示している。
【
図9】引き渡し装置及び回収容器を備える測定装置を示す斜視図である。
【
図11】埋設された部品を示す、ラミネートテープの上面図である。
【
図12】真ん中に配置された部品を備える、理想的なストリップ状部品を示す概略図である。
【
図13】修正工程を説明するための、偏心して配置された部品を備える、ストリップ状ラミネート部材を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明のさらなる利点及び詳細を、以下に記載の実施形態に基づき、かつ、添付の図面を参照することにより説明する。
【0042】
図1は、本発明に係る、個々のストリップ形状のラミネート部材を製造するための装置1を示している。ストリップ形状のラミネート部材は、粘着性材料から成る上下に積層された2つのラミネート層により構成されており、これら2つのラミネート層の間に、電子部品、ここではRFIDチップが埋設される。装置1は、下方の帯状の第1のラミネート層3を供給するための第1の供給装置2と、下方の第1のラミネート層3が載せられる搬送手段4、例えば、搬送ベルト又は搬送コンベアとを備える。
図2に示されるように、第1の供給装置2は、搬送手段4に対して側方に配置されており、すなわち、第1のラミネート層3は90度の角度で供給され、最終的に方向転換して搬送手段4の上に載せられる。
【0043】
さらに、埋設されることになる個々の部品を第1のラミネート層3の上に載置するための載置装置5が備えられている。個々の部品、ここではつまりRFIDチップは、貯蔵ロール6から供給ベルトを介して供給され、最終的に載置装置5、すなわちピックアンドプレース装置によって把持され、規定通りに載置される。
【0044】
さらに、上方の帯状の第2のラミネート層8を供給するための第2の供給装置7が備えられている。
図2を参照すると、第2の供給装置7も搬送手段4に対して側方にずらして配置されており、第2のラミネート層8も90度の角度で供給されて、最終的に方向転換する。第2のラミネート層8は、予め部品が装備されている第1のラミネート層3の上に載置されるので、堅固に接着されたラミネート層3、8と埋設された部品とから成るラミネートテープが形成される。
【0045】
さらに、搬送手段4によって供給されたラミネートテープから個々のストリップ形状のラミネート部材を切断するための、少なくとも1つの可動の切刃を有する切断装置9が備えられている。切断装置9の下流には、個々のラミネート部材を受け取ると共に搬出するための把持装置10が設けられている。個々のラミネート部材は、最終的に、巻き取り装置12の巻き取りベルト11の上に載せられ、巻き取りベルト11は、その後、ロール13の上に巻き付けられる。
【0046】
さらに、装置1の主な構成要素を制御する基本的な制御装置14が示されている。これについて、以下に詳細に説明する。
【0047】
図3は、斜視図において、装置1の載置及び積層領域を示している。下方の第1のラミネート層3が載せられる搬送手段4が示されている。同様に、好適な把持部15を有する載置装置5が示されている。把持部15は、一方では、矢印16によって示されるように垂直に移動可能であり、他方で、矢印17によって示されるように水平に移動可能である。これは、部品の供給が搬送手段4の側方から行われ、部品が、把持部15によって把持されて持ち上げられ、搬送手段4上を移動しそこから再び降ろされる必要があるからである。載置装置5又は把持部15が矢印17の方向、つまり搬送方向に対して横方向に移動可能であることにより、部品を下方の第1のラミネート層3の上に載置する位置を横方向又は側方において補正することが可能である。矢印18によって示されるように、把持部15、すなわち載置装置5自体は、矢印19によって示される搬送手段4の搬送方向にも移動可能であり、これによって、搬送方向における載置間隔の修正を行うことが可能である。載置間隔の修正については後で詳細に説明する。
【0048】
また、特に、搬送手段4の上方に配置された本来のラミネートロール20が示されている。ラミネートロール20の下方には、上方の第2のラミネート層も供給され、上方の第2のラミネート層は、その後、ラミネートロール20によって下方の第1のラミネート層3の上に積層される。
【0049】
図4は、詳細図において、装置1のさらなる領域、すなわち個別化領域を示している。ここでも、搬送手段4が示されており、その上に配置される、部品が搭載された第1のラミネート層3が示されている。また、ラミネートロール20によって積層される、上方の第2のラミネート層8が示されている。
【0050】
搬送手段4の下流には、上述のように、直線運動可能な切刃21を有する切断装置9が配置されている。切刃21は、搬送方向19に対して横方向に延びており、ラミネートテープ22を切断して個々のラミネート部材を形成する。切刃21を持ち上げる動作は、空気圧シリンダ又は電気モータといった好適なリフト装置23によって制御され、リフト装置23によって、切刃21は、求められる時点で正確に運動を開始して、切断を行う。
【0051】
上述のように、切断装置9の下流には、後で詳細に説明する2つの別々の把持部24を含む把持装置10が配置されている。両方の把持部24は、互いに180度ずらして配置されており、これらは、少なくとも直線状に水平方向を移動可能であり、この集合体全体も180度回転可能であり得る。これについては後で詳細に説明する。各把持部24は、切断されたラミネート部材を受け取り、持ち上げ、搬出するように、及び、引き渡し装置25に引き渡すように構成されている。これについては後で詳細に説明する。この引き渡し装置25から、事前に測定及び検査されたラミネート部材が、巻き取り装置12に引き渡される、又は、取り除かれる。これについても、さらに説明する。
【0052】
ラミネート部材を把持部24から引き渡し装置25まで引き渡す領域には、測定装置26が割り当てられている。測定装置26は、両方のラミネート層3、8の間に埋設された部品の位置を正確に測定し、この測定に基づいて、場合によっては位置補正が必要かどうかを判定するように構成されている。その目的は、ラミネートに埋め込まれた部品が、所定の位置で、好ましくは搬送方向から見てラミネート部材の中央に位置決めされるようにすることである。測定装置26によって、起こり得るずれを測定可能であり、その後、対応するずれの解消が、制御装置14によって制御される。このために、把持装置10の移動動作に関与する。搬送手段4のクロック式搬送動作に関与するのと同様に、これによって、特に、切断装置10によってラミネートテープ22のクロック式搬送が行われ、これによって、ラミネートテープ22を送る運動が補正のために影響を受け得る。測定装置26は、後で詳細に説明するが、好ましくはカメラ装置である。
【0053】
同じく、ラミネート部材を把持部24から引き渡し装置25に引き渡す領域に配置される検査装置27が、さらに示されている。この検査装置によって、ラミネートに埋め込まれた部品、つまりRFIDチップの機能の適正度を検査可能である。このようなラミネート部材を巻き取り装置12に引き渡すことは、当該部品が適切に動作する場合にのみ行われる。それ以外は、ラミネート部材の除去が、回収容器28への引き渡しによって行われる。検査装置27は、対応する読取又は送信装置であってもよく、例えばRFIDチップと非接触の通信を行って、その応答信号又はその識別コード等を読み出す。対応する情報は、制御装置14に与えられてそこで保存され得る。
【0054】
図5は、把持装置10を詳細に示す図である。把持装置10は、説明されているように、分離された2つの把持部24を含む。2つの把持部24は、互いに180度ずらした状態で共通のキャリア29に配置されていることが分かる。基板30上に、分離された2つの線形ガイド31が配置されている。把持部24は、それぞれ、このような線形ガイド31に、直線運動可能に配置されている。すなわち、各把持部24は別々に、搬送方向19及び搬送方向19の反対方向に直線状に動くことが可能である。このために、当然ながら、対応する駆動部が配置されている。さらに、各把持部24は、リフトシリンダ32によって、垂直方向にも上昇及び降下可能である。最終的に、両方の把持部24全体の基板30は、駆動モータ33によって垂直回転軸34を中心に回転可能であるので、両方の把持部24の向きを180度回転させることが可能である。これによって、一方の把持部24が、切断装置9を通してラミネートテープ22を把持して引っ張るための、ラミネートテープの任意の位置に位置決めされることが可能になり、同時に他方の把持部24が、その前に受け取ったラミネート部材を持って、ラミネート部材を引き渡し装置25に引き渡すための引き渡し位置に移動することが可能になる。
【0055】
各把持部は、好適な把持手段35を備えている。これによって、一方ではラミネートテープの先端を把持して固定することが可能になり、これによって、ラミネートテープを搬送手段4のクロック式の送りと同期させて、対応する把持部24のその線形ガイド31に沿った直線運動によって、切断装置9を通って、つまり切刃21の下を通過して、所定の距離だけ移動可能になる。この把持手段35は、切断されたラミネート部材を固定することも可能であり、その後行われる直線的なリフト運動、及び、引き渡し位置までの旋回運動の間にも固定可能であり、その後、引き渡し位置において、ラミネート部材は取り外される。このような把持装置の一例が、DE 20 2021 101 889 U1に示されている。本発明に係る装置は、このような、そこに記載される把持装置の使用に限定されない。
【0056】
図6及び
図7は、側面図及び上面図において、本発明に係る装置1の断面を示す図である。ここで、2つの把持部24を備える把持装置10の機能をより詳細に説明する。ここで、2つの把持部24の区別可能な特性を説明するために、これらにはA及びBが付与されている。
【0057】
二重矢印36が示すように直線運動可能な切刃21を有する切断装置9が示されている。また、搬送手段4と、その上に載置されたラミネートテープ22とが示されている。ラミネートテープ22には、ラミネートに埋め込まれた部品37が示されている。ラミネートテープ22は、ここでは降下して切断位置に着いていることが示されている切刃21の下を通って位置決めされる。その後、切刃21は移動を開始して、ラミネートテープ22が載置された切断台38に当接し、そこで切断が行われる。搬送手段4の端部と切断台38との間の狭い空間は、ラミネートテープ22が載置された引き渡し台39によって橋渡しされている。
【0058】
記載したように、2つの把持部A及びBが示されている。これらの把持部は、ここでは単に、
図5に関して説明されるような対応する直線方向の調節、上昇方向の調節、及び、回転方向の調節を可能にする典型的な運動装置40を介して接続されており、そのため把持部A、Bは、上述した自由度に移動可能である。これらはいずれも、矢印41によって示されるように別々に垂直方向に引き上げ可能であり、これらはいずれも別々に、矢印42によって示されるように直線運動可能であり、そしてこれらは、矢印43に示されるように、共に垂直軸34を中心に回転することが可能である。これによって、把持装置A、Bの位置を入れ替えることが可能になる。
【0059】
把持装置10の機能は、以下のように構成されている。すなわち、切刃21が持ち上げられた時に、把持部Aが、ラミネートテープの先端を把持可能な位置に移動すると仮定する。すなわち、把持部Aの把持手段35が、最終的にこの縁部領域の上方に配置される。把持のために、把持部Aは対応するラミネートテープ22に接触する。その後、これに同期して、搬送手段4及び把持部Aが作動する。搬送手段4は、搬送方向19に規定の経路だけ前進し、同時に把持部Aは、ラミネートテープ22の先端をわずかに持ち上げ、搬送方向19に直線状に同じく規定の経路だけ、最終切断位置に達するまで進む。最終切断位置において、搬送手段4が停止し、それを受けてラミネートテープ22を切断台38の上に載置する把持部Aも停止する。
【0060】
これと平行して、その前に把持部Aの位置にあり、この位置でラミネート部材を取り上げた把持部Bが、対応した動きを行う。ここで、把持部Bは、受け渡し位置に着き、ラミネート部材を引き渡し装置25に引き渡すことが可能である。
【0061】
切刃21による切断が行われた後に、切刃21が再び上昇すると、把持部Aは、その時に把持手段35にある分離されたラミネート部材を持ち上げ、場合によっては、再び、ある程度の距離値を搬送方向に移動する。同時に、把持部Bは、ラミネート部材を引き渡し装置25に引き渡す。次に、把持装置全体が垂直軸34を中心に回転し、ラミネート部材が搭載されている把持部Aが回転して引き渡し領域に入り、他方で、空の把持部Bは旋回して切断装置9の領域に入る。ここで、上述のプロセスが最初から始まる、すなわち、次のステップのために、把持部Bが、ラミネートテープ22の先端をつかむための把持領域に達する。そして、この先端は、把持されて、搬送手段とクロック式に同期して、把持部Bにより、対応する直線運動によって切断装置9を通って引っ張られる。同時に把持部Aも、対応する引き渡し位置にもたらされる。切断が行われた後、切断されたラミネートストリップ片が新たに把持部Bによって持ち上げられ、同時に、把持部Aはそれが把持するラミネートストリップ片を、引き渡し装置25に引き渡す。
【0062】
図8は、引き渡し領域を、割り当てられた測定装置と共に、概略図に示すものである。引き渡し装置25へのほぼ引き渡し位置にある把持部24が、断面図で示されている。引き渡し装置25は、把持部24がラミネート部材を載置する引き渡し板44を含む。載置した後、把持部24は、再び、測定装置26によるラミネート部材の測定が可能なように少しの距離だけ後退する。後で詳細に説明するこの測定により、ラミネートストリップ片におけるラミネートに埋め込まれた部品が、正確に、すなわち許容差の範囲内で位置決めされていると分かった場合、補正は必要ないが、そうでない場合、後で説明する対応する補正が行われる。同時に、ここでは詳細に説明しない検査装置27によっても、記載するような部品の対応する機能検査が行われる。
【0063】
機能検査の結果がポジティブであり、測定により部品が正確に位置決めされていることが分かると、引き渡し板44が、二重矢印45に示されるように右側にスイングし、ラミネート部材を巻き取り装置12の巻き取りベルト11の上に載置する。引き渡し板44が再び戻る方向にスイングした後、矢印47に示されるように垂直に上下運動可能な加圧器46によって、載置されたラミネート部材は、巻き取りベルト11に対して軽く押し付けられ、そこで、ラミネート部材は、粘着性材料から成るため、軽く接着する。その後、巻き取りベルト11は、ロール状に巻き取られる。
【0064】
機能検査により(場合によっては測定によっても)、部品が正確に機能していないこと、又は、部品が位置決め許容差の範囲以外に配置されていることが分かった場合、引き渡し板44は左側にスイングし、すなわち下方に傾斜することによって、正常でないラミネート部材は回収容器28の中に投棄される。
【0065】
ラミネート部材を引き渡し板44に固定するために、例えば、位置調節可能な磁石48の形の固定装置が設けられていることが可能である。これによって、ラミネート部材が、磁石48と埋設された部品との磁気結合によって磁気的に固定される固定位置と、巻き取りベルト11又は回収容器28への引き渡しが可能な解除位置との間で、位置調節されることが可能である。可動部品の全ての運動のように、この運動も、制御装置14によって制御される。
【0066】
図9は、詳細図において、測定装置26を示すものである。測定装置26は、カメラ49を含む。カメラ49は、図示される例ではラミネート部材50が配置される引き渡し板44の上方に配置される。カメラ49には、照明装置51、例えば回転するリング照明が割り当てられている。照明装置51は、カメラの露光中にラミネート部材50を照明して、カメラ画像において対応する先端又は輪郭を視認可能とし、この先端又は輪郭を用いて、位置判定を行うことが可能である。
【0067】
さらに、検査装置27も示されている。検査装置27も、ラミネート部材50に極めて近接して配置されているので、機能検査を行うことが可能であることが分かる。
【0068】
図10は、概略図の形で積層工程を示すものである。事前に所定の間隔Xを置いて載置装置5によって載置された部品37、つまりRFIDチップが配置された下方の第1のラミネートストリップ片3が示されている。上方の第2の帯状のラミネート層8が上から供給される。上方の第2の帯状のラミネート層8は、ラミネートロール20によって下方のラミネート層3の上に押し付けられて、その結果、部品37がこれらの間でサンドイッチ状にラミネートに埋め込まれる。また、切断線52に沿って切断を行う切刃21を有する切断装置9も、例示的に示されている。
【0069】
図11に係る概略図は、積層後に、特に搬送方向19において材料がわずかに収縮し得ることを示している。このため、隣り合う各部品37が有する本来の載置間隔Xは、少しずつ連続的に減少しており、その結果、対応する部品37の本来の切断線52に対する位置ずれが生じている。
【0070】
図11の左側には、部品37が載置装置5によって所定の間隔X、例えば10mmで正確に搭載されている下方のラミネート層3だけが示されている。この位置は、ラミネート又は加圧ロール20によって上方のラミネート層8が積層される本来のラミネート位置53まで維持される。しかしながら、下方のラミネート層3も上方のラミネート層8も、それがもともと巻き取られていたロールに対する上下巻き上げ工程によってある程度内部応力を有しており、ラミネートロール20によって、場合によってはさらなる応力がラミネートテープ22に加えられるので、搬送方向19においてわずかな収縮が生じる。このため、部品37の間隔は、ラミネート位置53から切断線52までわずかに変動していることが分かる。変動した間隔は、
図11においてX’が付与されており、誇張されているが図示されている。ラミネート位置53のすぐ背後に示されるラミネート部材37はまだ、切断幅、つまり搬送方向19の長さYを有する想定されるラミネート部材の中央にあるが、切断線52の方向に近づくにつれて、想定されるラミネート部材の縁部の方向に移動する。これについては、
図11にはっきりと明示される通りである。すなわち、ラミネート位置53と切断線52との間の比較的短い搬送経路によって、わずかなずれが生じ得る。
【0071】
このずれを、もう一度、
図12及び
図13に示す。
図12には、理想的な形状を有するラミネート部材50が示されている。部品37、すなわちRFIDチップは、幅B及び長さLを有するラミネート部材50、すなわち両方のラミネート層3、8内の正確に真ん中に配置されている。これは、既述のように図示される例ではカメラ画像を提供する測定装置26によって測定される。カメラ画像内で、部品37の輪郭を視認可能であり、これを評価することが可能である。この輪郭は、例えば、ラミネート部材の幅Bの方向に延びる、RFIDチップの対応するアンテナ54を示す。ここで、制御装置14又は画像処理装置が、両方のアンテナ54、55からラミネート部材の各縁部56、57までの間隔を測定することが可能である。各アンテナ54、55について、縁部56及び端部57までの間隔がそれぞれ測定される。これらは、アンテナ54では、端部57への間隔A1及び縁部56への間隔B1であり、アンテナ55では、端部57への間隔A2及び縁部56への間隔B2である。次に、これらの測定値を用いて、ラミネート部材50中の部品37の位置を正確に測定可能であり、これらの間隔を用いて、対応する中央からのずれも測定可能である。位置が不正確である場合、中央からのずれは、直接、切断幅、つまり切断すべき位置のための対応する補正値を示すものである。この計算は、以下のように行われる。
K=[(A1+A2)/2-(B1+B2)/2]/2
【0072】
図13は、ある程度の収縮が起こったラミネート部材50を示している。部品37は、長手方向に見て、中央には配置されておらず、縁部56の方に少しずれていることが分かる。ここでも、測定装置26及び対応するカメラ画像の評価によって、対応する間隔値A1、A2、B1、及び、B2が測定される。そして、上記の式を用いて、対応する中央からのずれ、すなわち、このずれを正確に表す補正値Kを求める。次に、伝送クロックに対応した制御を行う制御装置14によって、本来の補正をこの補正値Kだけ行う。ここで、制御装置14は、搬送手段4と、対応するラミネートテープ22の先端を把持する把持部24又はA,Bの動きとを制御することが可能である。この制御は、搬送手段及び把持部が同期して搬送方向に移動した距離値であって、その後ラミネートテープ22も移動した所定の距離値を、補正値に応じて、増加又は低下させるように行なわれる。すなわち、搬送手段4も把持部24、A、Bも、ラミネートテープ22を、変動された距離値だけ移動させるように制御する。つまり求められた補正値は、搬送方向19又はその反対方向(図示される例では、搬送方向19の反対方向)における、特徴付けられる部品位置の具体的な偏差を提示するものである。次に、ラミネートテープ22がクロック式に本来搬送される距離値を、この補正値だけ変化させる。図示される例では、距離値は、補正値Kだけ増加させた、すなわち、例えば以前に制御された10mmの距離値及びその直後の搬送ステップにおける0.2mmの補正値Kの代わりに、10.2mmの距離値に切り替えられる。すなわち、搬送手段4及び把持部24が一緒にかつ同期して、ラミネートテープを10.2mmだけ切断装置9を通過させる。これによって、その直後のステップにおいて、理想的にも、事前に求められたずれが解消され、後で切断されたラミネート部材は、再び
図12に示される理想的な状態に近づくことになる。つまり部品37が、長さにおける真ん中に位置することになる。
【0073】
ここで、起こり得るずれは、例示されるように、搬送方向の反対方向において生じ得るだけではなく、搬送方向においても生じることが可能である。すなわち、本来の補正値は、正の値であっても負の値であってもよい。しかしながら、内部応力の分解に起因する収縮が起こる場合が多いので、主に、正の補正値、つまり距離値を増加させることが行われると想定される。
【0074】
既述のように、補正値Kの測定は、対応する伝送クロック運転を制御する制御装置14側で行われることが好ましい。この場合、制御装置14は、微小の偏差、つまり極めて小さい補正値Kの場合には、補正を行わないように構成されていてもよい。本来の中央位置を中心に一種の許容範囲が設定されており、算出された補正値Kがこの許容範囲内にある場合、補正は停止されることが想定可能である。例えば、ラミネート部材の目標幅が規定されている場合、
図12によれば10mmの長さLが規定されている場合、補正のウィンドウは、例えば+/-0.2mmに設定され得る。算出された補正値が、中央値から+/-0.2mmのウィンドウ内にある場合、補正は行われない。補正値が例えば0.3mmである場合、ちょうど0.3mmの補正が行われることになる。
【0075】
同時に、最大許容補正に関する上限も設定され得る。例えば10mmの切断幅の場合、この上限は、例えば+/-0.35mmに設定され得る。ここで、補正値が例えば0.4mmである場合、いずれにしても、最大0.35mmの補正だけが行われる。これによって、場合によっては生じるオーバーシュート、すなわち過補正を回避することになる。むしろ、各ステップについて対応する監視が行われ、行われた補正の成果を直接検査することができるため、最終的には段階的に理想の状況に近づくことが可能である。
【0076】
上述のように、載置装置5、すなわち把持部構成体15も、矢印18で示されるように搬送方向19に移動可能である。すなわち、これによって、載置位置を変化させることが可能である。このようにして、ラミネートテープ22内部の部品位置に場合によっては生じる公知の位置変化を、多少なりとも打ち消すこと、すなわち、これを事前に補償することが可能である。例えば、処理対象の材料が常に収縮すること、及び、この収縮がラミネート位置53と切断位置52との間の領域においては少なくとも0.15mmであることが分かっていれば、載置位置を変動させることによって、この分かっている収縮ずれを、最初から部分補償することが可能である。例えば、切断長さ、つまりラミネート部材の長さLが10mmの場合に、収縮が無い10mmの載置間隔の代わりに、10.15mmの載置間隔に切り替えることが可能である。たとえ搬送手段4及び把持装置10が、(未補正であるため、理想的には)10mmのラミネートテープを搬送しても、載置装置5は、それにもかかわらず10.15mmで載置する。補正対象の0.15mmはラミネート位置53と切断線52との間の収縮の間に消滅する。この収縮は、場合によっては少々大きい場合もあるが、その場合は、少なくとも部分補償が行われる。
【0077】
所定の送りが10mmであるが、搬送手段4及び把持装置10によって多少大きな間隔での載置を可能にするためには、載置装置5すなわち把持部構成体15が、各載置工程について、補正値だけ、記載される例では0.15mmだけ、同様にクロック式に移動する必要がある、すなわち、全体として10.15mmで載置される必要がある場合には、搬送方向19の反対方向に移動する必要がある。
【0078】
この場合、補正値Kが算出され、搬送手段4及び把持装置10のクロック式搬送動作が、制御装置14によって関与される場合、この補正値を、載置装置5の運動の際に、つまり基本収縮補償の際に考慮する必要がある。クロック式の送りが距離値を増加させる分の補正値が、例えば0.3mmである場合、この0.3mmの増加が、載置装置5の運動時に考慮されることになる。この場合、載置装置は、その直後に距離値変更に同期して行われる載置工程の範囲で、0.15mmだけ搬送方向に移動することになる。これは、一方ではクロック式の送りの距離値補正を考慮し、他方では、再び基本収縮補償を行うためである。すなわち、これによって、最終的に、基本補正と測定された実際の補正値とを累積的に考慮することが行われる。
【0079】
既述のように、載置装置5又は把持部15によって、載置位置の横方向補正を、
図3の矢印17の方向に行うことも基本的には可能である。すなわち、部品の位置を、第1のラミネート層3の側方の両縁部に正確に合わせることが可能である。場合によっては生じる位置決めエラーを、カメラ画像の評価によって判定可能であり、その後、対応する位置補正を、搬送方向に対して横方向に行うことが可能である。
【0080】
本明細書では、部品37の例としてRFIDチップを説明した。当然ながら、別の種類の電子部品をラミネートに埋め込むことも想定可能である。この場合も、ラミネート部材内の部品の位置正確性について対応する要件が存在する。
【外国語明細書】