(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046621
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】自動車およびその制動制御方法
(51)【国際特許分類】
B60T 8/17 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
B60T8/17 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023150661
(22)【出願日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】102022000019416
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤコポ カネストリ
(72)【発明者】
【氏名】マルティーノ カヴァナ
【テーマコード(参考)】
3D246
【Fターム(参考)】
3D246BA02
3D246CA02
3D246DA01
3D246GA29
3D246HA02A
3D246HA08A
3D246HA39A
3D246HA43A
3D246HA44A
3D246HA64A
3D246JB11
3D246JB43
3D246LA15Z
3D246LA16Z
3D246LA33B
3D246LA60B
3D246LA64Z
(57)【要約】 (修正有)
【課題】作動液の過熱のリスクを低減させる。
【解決手段】第1および第2の車輪と、制御部材と、制御部材によって動作されることができる第1および第2の制動装置と、制御部材に接続され、第1の流体ラインと制御部材ならびに第1の制動装置の第1および第2のチャンバに接続された第2の流体ラインとを備える制動制御システムと、第1および第2のチャンバの一方に流体的に接続された第3の流体ラインと、第3の流体ラインを第2の流体ラインに接続し第2の流体ラインを第2のチャンバから分離する第1の位置と、第3の流体ラインを第2の流体ラインから分離し第2の流体ラインを第2のチャンバに接続する第2の位置との間で移動されることができる制御弁と、制御部材の動作状態および自動車の複数の動作パラメータを取得し、制限された時間量の間、制御弁を第2の位置から第1の位置に移動させるようにプログラムされた制御ユニットとを有する自動車。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)であって、
-第1の車輪(FR)および第2の車輪(RL、RR)と、
-前記第1の車輪(FR)および第2の車輪(RR;RL)に制動作用を及ぼすように動作されることができる第1の制御部材(7)と、
-それぞれ前記第1の車輪(FR)に第1の制動トルクを及ぼし、前記第2の車輪(RR、RL)に第2の制動トルクを及ぼすように、前記第1の制御部材(7)によって動作されることができる第1の制動装置(11)および第2の制動装置(13、12)と、を備え、
前記第1の制動装置(11)が、
-第1の本体(20)と、
-相対的な第1の車輪(FR)と角度的に一体であり、前記第1の本体(20)の内部に収容された第1のディスク(21)と、
-前記第1の本体(20)の内部に収容され、前記第1のディスク(21)から離間された中立位置と、前記第1の制動トルクを及ぼすように前記第1のディスク(21)と接触する動作位置との間で移動可能な少なくとも1つの第1のパッド(22)と、
-前記第1の本体(21)によって画定され、前記少なくとも1つの第1のパッド(22)を内側に収容する第1のチャンバ(23)と、を備え、
前記第2の制動装置(13、12)が、
-第2の本体(20)と、
-相対的な第2の車輪(RR、RL)と角度的に一体であり、前記第2の本体(20)の内部に収容された第2のディスク(21)と、
-前記第2の本体(20)の内部に収容され、前記第2のディスク(21)から離間された第2の中立位置と、前記第2の制動トルクを及ぼすように前記第2のディスクと接触する動作位置との間で移動可能な少なくとも1つの第2のパッド(22)と、
-前記第2の本体(20)によって画定され、前記少なくとも1つの第2のパッド(22)を内側に収容する第2のチャンバ(26、24)と、を備え、
前記自動車(1)が、前記第1の制御部材(7)に動作可能に接続された制動制御システム(10、10’)を備え、
前記制動制御システム(10、10’)が、順に、
-前記第1の制御部材(7)および前記第1のチャンバ(23)に流体的に接続され、前記作動液を収容するように設計された第1の流体ライン(50)と、
-前記第1の制御部材(7)および前記第2のチャンバ(26、24)に少なくとも間接的に流体的に接続され、前記作動液を収容するように設計された第2の流体ライン(61、60)と、を備え、
前記第1の制御部材(7)が、前記第1および第2の流体ライン(50、51;61、60)内の前記作動液の圧力を増加させ、前記第1のパッド(22)を前記第1の中立位置から前記第1の動作位置に移動させ、前記第2のパッド(22)を前記第2の中立位置から前記第2の動作位置に移動させるように動作されることができ、
-前記第1のチャンバ(23)に流体的に接続された第3の流体ライン(150、150’)と、
-第1の制御弁(151、151’)であって、
前記第3の流体ライン(150、150’)を前記第2の流体ライン(61、60)に流体的に接続し、前記第2の流体ライン(61、60)を前記第2のチャンバ(26、24)から流体的に分離する第1の位置と、
前記第3の流体ライン(150、150’)を前記第2の流体ライン(61、60)から流体的に分離し、前記第2の流体ライン(61、60)を相対的な第2のチャンバ(26、24)に流体的に接続する第2の位置と、の間で選択的に移動可能な第1の制御弁と、
-前記第1の制御部材(7)の作動状態または作動停止状態と前記自動車(1)の複数の動作パラメータとを取得するようにプログラムされた制御ユニット(45、45’)と、を備え、
前記制御ユニット(45、45’)が、前記第1の制御部材(7)が作動停止状態にあり、前記パラメータがそれぞれの所定の閾値を超えるとき、制限された時間量の間、前記第1の制御弁(151、151’)を前記第2の位置から前記第1の位置に移動させるようにさらにプログラムされる、ことを特徴とする、自動車(1)。
【請求項2】
-前記第1および第2の車輪(FR;RR、RL)にそれぞれのトルクを及ぼすように設計されたエンジン(6)と、
-前記エンジン(6)を調整するように動作されることができる第2の制御部材(8)と、を備え、
前記パラメータが、少なくとも前記自動車(1)の駆動速度および前記第2の制御部材(8)の動作レベルを含み、
前記制御ユニット(45、45’)が、
-前記駆動速度が第1の閾値を超え、前記第1の制御部材(8)の前記動作レベルが第2の閾値を超える場合、前記第1の制御弁(150、150’)を前記第2の位置から前記第1の位置に移動させ、
-前記時間量の終了時に前記第1の制御弁(150、150’)を前記第2の位置に戻すように移動させる、ようにプログラムされる、ことを特徴とする、請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記第1の制動装置(11)の少なくとも前記第1の本体(20)が、前記第1のチャンバ(23)に流体的に接続された第1および第2のドレン開口部(31)を備え、前記第3の流体ライン(150、150’)が、前記第1の制御弁(151、151’)から前記第2のドレン開口部(31)まで延在する、ことを特徴とする、請求項1に記載の自動車。
【請求項4】
前記第1の制御弁(151、151’)と前記第1のチャンバ(23)との間で前記第3の流体ライン(150、150’)に沿って介挿されるとともに前記作動液が前記第1のチャンバ(23)から前記第1の制御弁(151、151’)に向かって戻るのを防止するように構成された逆止弁(152、152’)を備える、ことを特徴とする、請求項1に記載の自動車。
【請求項5】
前記第1の制御部材(7)が、第1および第2の送出部(MC1、MC2)を順に備え、
前記自動車(1)が、さらに、
-第3の車輪(FL)および第4の車輪(RR)と、
-第3のチャンバ(25)を備え、前記第3の車輪(FL)に第3の制動トルクを及ぼすように前記第1の制御部材(7)によって動作されることができる第3の制動装置(14)と、
-第4のチャンバ(26)を備え、前記第4の車輪(RR)に第4の制動トルクを及ぼすように前記制御部材(7)によって動作されることができる第4の制動装置(13)と、を備え、
前記制動制御システム(10、10’)が、順に、
-前記第1の制御部材(7)および前記第3のチャンバ(25)に間接的に流体的に接続され、前記作動液を収容するように設計された第4の流体ライン(51)と、
-前記第1の制御部材(7)および前記第4のチャンバ(26)に少なくとも間接的に流体的に接続され、前記作動液を収容するように設計された第5の流体ライン(61)と、を備え、
前記第1および第4の流体ライン(50、51)のそれぞれが、順に、
-相対的な第2の制御弁(USV1、USV2)と、
-前記相対的な第2の制御弁(USV1、USV2)と前記相対的な第1のチャンバ(23)または第3のチャンバ(25)との間に流体的に介挿された位置に配置された相対的な第3の制御弁(FREV、FLEV)と、
-前記相対的な送出部(MC1、MC2)と前記相対的な第2の制御弁(USV1、USV2)との間に流体的に介挿された相対的な第1のセクション(52、53)と、
-前記相対的な第2の制御弁(USV1、USV2)と前記相対的な第3の制御弁(FREV、FLEV)との間に流体的に介挿された相対的な第2のセクション(54、55)および相対的な第3のセクション(56、57)と、
-前記相対的な第3の制御弁(FREV、FLEV)と前記相対的な第1または第3のチャンバ(23、25)との間に流体的に介挿された相対的な第4のセクション(58、59)と、
-前記相対的な第3のセクション(56、57)と対応する第4のセクション(58、59)との間に流体的に介挿された相対的なセグメント(120、121)と、を備え、
各第3のセクション(56、57)が、前記相対的な第2のセクション(55、56)と前記対応する第3の制御弁(FREV、FLEV)との間に流体的に介挿され、
前記第2の流体ライン(60)が、前記第2のチャンバ(24)と前記第1の流体ライン(50)の前記第3のセクション(56)との間に延在するか、または前記第5の流体ライン(61)を画定し、
前記第5の流体ライン(61)が、前記第4のチャンバ(26)と前記第4の流体ライン(51)の前記第3のセクション(57)との間に延在し、
前記第2および第5の流体ライン(60、61)のそれぞれが、さらに、
-相対的な第1および第5の流体ライン(50、51)の前記相対的な第3のセクション(56、57)と前記対応する第2または第4のチャンバ(24、26)との間に流体的に介挿された位置に配置された相対的な第4の制御弁(RLEV、RREV)を備え、
前記第2および第3の制御弁(USV1、USV2;FREV、FLEV)のそれぞれが、
前記作動液が前記対応する第1および第4の流体ライン(50、51)に沿って流れることを可能にする相対的な第2および第3の開放位置と、
前記作動液が前記対応する第1および第4の流体ライン(50、51)に沿って流れるのを防止する相対的な第2および第3の閉鎖位置と、の間で選択的に移動可能であり、
各第4の制御弁(RLEV、RREV)が、前記作動液が前記対応する第2または第5の流体ライン(60、61)に沿って流れることを可能にする相対的な第4の開放位置と、前記作動液が前記対応する第2または第5の流体ライン(60、61)に沿って流れることを防止する第4の閉鎖位置と、の間で選択的に移動可能であり、
前記制動制御システム(10、10’)が、さらに、
-前記作動液をそれぞれの第5の吸引セクション(71、72)から対応する第6の送出セクション(73、74)に移動させるようにそれぞれが選択的に動作されることができる一対の油圧ポンプ(sRP1、sRP2)と、
-それぞれの第1または第4の流体ライン(50、51)のそれぞれの第2のセクション(52、53)と、対応する油圧ポンプ(sRP1、sRP2)のそれぞれの第5の吸引セクション(71、72)との間にそれぞれが流体的に介挿された一対の第6の流体ライン(80、81)と、
-対応する油圧ポンプ(sRP1、sRP2)の前記相対的な第6の送出セクション(73、74)と、前記第1または第4の流体ライン(50、51)の対応する1つの前記第2のセクション(54、55)との間にそれぞれが流体的に介挿された一対の第7の流体ライン(90、91)と、
-それぞれの第6の流体ライン(80、81)に沿って介挿された一対の第5の制御弁(HSV1、HSV2)と、を備え、
各第5の制御弁(HSV1、HSV2)が、
前記作動液が前記対応する第6の流体ライン(80、81)に沿って流れることを可能にする相対的な第5の開放位置と、
前記作動液が前記対応する第6の流体ライン(80、81)に沿って流れるのを防止する相対的な第5の閉鎖位置と、の間で選択的に移動可能であり、
前記制御ユニット(45、45’)が、前記第1の制御部材(7)の作動動作状態を取得した場合に、
-前記第1の制御弁(151、151’)を前記第2の位置に、
-前記第2、第3、および第4の制御弁(USV1、USV2;FREV、FLEV;RLEV、RREV)を前記それぞれの第2、第3、および第4の開放位置に、
-前記第5の制御弁(HSV1、HSV2)を前記それぞれの第5の閉鎖位置に、
-前記油圧ポンプ(sRP1、sRP2)を作動停止に保持して配置するようにプログラムされる、ことを特徴とする、請求項1に記載の自動車。
【請求項6】
前記制動制御システム(10、10’)が、さらに、
-前記第1および第4の流体ライン(50、60)に関連付けられた第1のタンク(A1)と、
-前記第2および第5の流体ライン(51、61)に関連付けられた第2のタンク(A2)と、
-前記対応する第1および第4の流体ライン(50、51)のそれぞれの第4のセクション(58、59)と前記それぞれの第1および第2のタンク(A1、A2)との間に流体的に介挿された一対の第8の流体ライン(101、106)と、
-それぞれの第8の流体ライン(101、106)に沿って介挿され、それぞれの第8の流体ライン(101、106)に沿って前記作動液が流れるのを防止するそれぞれの第6の閉鎖位置と、それぞれの作動液の量がそれぞれの第8の流体ライン(101、106)に沿って流れることを可能にする複数のそれぞれの第6の開放位置との間で選択的に移動可能な一対の第6の制御弁(FRAV、FLAV)と、
-前記対応する第2または第5の流体ライン(61、60)のそれぞれの第6のセクション(64、65)と前記それぞれの第1および第2のタンク(A1、A2)との間に流体的に介挿された一対の第9の流体ライン(100、105)であって、各第6のセクション(64、65)が、前記第4の制御弁(RREV、RLEV)と前記相対的な第2および第4のチャンバ(24、26)との間に流体的に介挿された、一対の第9の流体ラインと、
-前記第9の流体ライン(100、105)に沿って介挿され、前記作動液が前記対応する第9の流体ライン(100、105)に沿って流れるのを防止する相対的な第7の閉鎖位置と、それぞれの作動液の量が前記対応する第9の流体ライン(105、106)に沿って流れることを可能にする複数のそれぞれの第7の開放位置と、の間でそれぞれ選択的に移動可能な一対の第10の比例制御弁(RLAV、RRAV)と、
-それぞれの第1または第2のタンク(A1、A2)と相対的な油圧ポンプ(sRP1、sRP2)のそれぞれの吸引セクション(71、72)との間に流体的に介挿された一対の第10の流体ライン(111、112)と、を備え、
前記制御ユニット(45、45’)が、前記制御部材の前記作動動作状態を取得した場合に、前記第6および第7の制御弁(FRAV、FLAV;RRAV、RLAV)を前記それぞれの第6および第7の閉鎖位置に保持するようにプログラムされ、
各第6のセクション(64、65)が、それぞれの第4の制御弁(RREV、RLEV)と前記対応する第2または第4のチャンバ(24、26)との間に流体的に介挿される、ことを特徴とする、請求項5に記載の自動車。
【請求項7】
前記制御ユニット(45)が、前記第1の制御部材(7)の作動停止状態の場合、且つ前記パラメータがそれぞれの所定の閾値を超える場合に、
-少なくとも1つの第2の制御弁および少なくとも1つの第4の制御弁(USV1、USV2;FREV、FLEV)を前記それぞれの第2および第4の閉鎖位置に移動させ、
-少なくとも1つの対応する第5の制御弁(HSV1、HSV2)を前記それぞれの第5の開放位置に移動させ、
-少なくとも1つの対応する第6の流体ライン(81)から前記作動液を吸引し、少なくとも1つのそれぞれのセグメント(121)に沿って少なくとも1つの対応する第7の流体ライン(91)に圧縮された作動液を送出するように、前記油圧ポンプ(sRP1、sRP2)の少なくとも対応する1つ(sRP1)を作動させる、ようにプログラムされ、
前記作動液が、使用時に、前記第2の流体ライン(61)、前記第3の流体ライン(150)、前記第1のチャンバ(23)、および前記第1のチャンバ(23)に関連付けられた前記第1の流体ライン(50)に沿って再循環する、ことを特徴とする、請求項5に記載の自動車。
【請求項8】
前記第1の車輪(FR)が右前輪であり、前記第2の車輪(RR)が右後輪である、ことを特徴とする、請求項7に記載の自動車。
【請求項9】
前記制御ユニット(45)が、前記第1の制御部材(7)の作動停止状態の場合、且つ前記パラメータがそれぞれの所定の閾値を超える場合に、
-少なくとも1つの第2の制御弁(USV1)を前記第2の閉鎖位置に移動させ、第4の制御弁(FREV)を前記第4の閉鎖位置に移動させ、
-少なくとも1つの第5の制御弁(HSV1)を前記それぞれの第5の閉鎖位置に保持し、少なくとも1つの第3の制御弁(RLEV)を前記第3の開放位置に保持し、
-少なくとも1つの第6の流体ライン(80)から前記作動液を吸引し、前記それぞれの第2および第3のセクション(54、56)の間に流体的に介挿された少なくとも1つの第1の流体ライン(50)の少なくとも1つのセグメント(120)に沿って、少なくとも1つの第7の流体ライン(90)に圧縮された作動液を送出するように、前記油圧ポンプ(sRP1)のうちの少なくとも1つを作動させるようにプログラムされ、
前記作動液が、使用時に、前記第1の流体ライン(50)の前記セグメント(120)、前記第8の流体ライン(101)、前記タンク(A1)、および前記第10の流体ライン(113)に沿って、相対的な油圧ポンプ(sRP1)の前記吸引セクション(71)に達するまで再循環する、ことを特徴とする、請求項6に記載の自動車。
【請求項10】
前記第1の車輪(FR)が右前輪であり、前記第2の車輪(RL)が左後輪である、ことを特徴とする、請求項9に記載の自動車。
【請求項11】
前記制御ユニット(45、45’)が、前記第1の制御部材(7)の作動動作状態を取得した場合に、
-少なくとも1つの前記第1、第2、第3、および第4の車輪(FR、RL、FL、RR)のロック状態を検出し、
-前記ロック状態が検出された場合に、前記第6の制御弁(FLAV、RRAV)のうちの少なくとも1つを前記それぞれの第6の開放位置に移動させて、前記作動液の一部を前記対応する第1、第2、第4または第5の流体ライン(50、51、60、61)から前記第1または第2のタンク(A1、A2)に向かって搬送し、前記相対的な第1、第2、第3または第4の車輪(FR、RL、FL、RR)に作用する制動トルクを減少させる、ようにプログラムされる、ことを特徴とする、請求項6に記載の自動車。
【請求項12】
前記制御ユニット(45、45’)が、
-前記自動車(1)の正しい挙動または誤った挙動の状態を表す第1の信号を入力として受信し、
-前記第1の信号が前記自動車(1)の正しい挙動を表す場合、および前記第1の制御部材(7)が作動停止されている場合、前記第2および第3の制御弁(USV1、USV2;FREV、FLEV)を前記相対的な第2および第3の閉鎖位置に移動させ、
前記第1の制御弁(RLEV、RREV)を前記第4の開放位置に保持し、
前記第5の制御弁(HSV1、HSV2)を前記第5の開放位置に移動させ、
前記作動液を前記相対的な吸引セクション(71、72)から前記対応する送出セクション(73、74)に吸引するように、前記油圧ポンプ(sRP1、sRP2)のうちの少なくとも1つを作動させ、
前記第1の制御弁(150、150’)を前記相対的な第2の位置に移動させる、ようにプログラムされる、請求項5に記載の自動車。
【請求項13】
自動車(1)についての制動制御方法であって、前記自動車(1)が、
-第1の車輪(FR)および第2の車輪(RL、RR)と、
-前記第1の車輪(FR)および第2の車輪(RR;RL)に制動作用を及ぼすように動作されることができる第1の制御部材(7)と、
-それぞれ前記第1の車輪(FR)に第1の制動トルクを及ぼし、前記第2の車輪(RR、RL)に第2の制動トルクを及ぼすように、前記第1の制御部材(7)によって動作されることができる第1の制動装置(11)および第2の制動装置(13、12)と、を備え、
前記第1の制動装置(11)が、
-第1の本体(20)と、
-相対的な第1の車輪(FR)と角度的に一体であり、前記第1の本体(20)の内部に収容された第1のディスク(21)と、
-前記第1の本体(20)の内部に収容され、前記第1のディスク(21)から離間された中立位置と、前記第1の制動トルクを及ぼすように前記第1のディスク(21)と接触する動作位置との間で移動可能な少なくとも1つの第1のパッド(22)と、
-前記第1の本体(21)によって画定され、前記少なくとも1つの第1のパッド(22)を内側に収容する第1のチャンバ(23)と、を備え、
前記第2の制動装置(13、12)が、
-第2の本体(20)と、
-相対的な第2の車輪(RR、RL)と角度的に一体であり、前記第2の本体(20)の内部に収容された第2のディスク(21)と、
-前記第2の本体(20)の内部に収容され、前記第2のディスク(21)から離間された第2の中立位置と、前記第2の制動トルクを及ぼすように前記第2のディスクと接触する動作位置との間で移動可能な少なくとも1つの第2のパッド(22)と、
-前記第2の本体(20)によって画定され、前記少なくとも1つの第2のパッド(22)を内側に収容する第2のチャンバ(26、24)と、を備え、
前記自動車(1)が、前記第1の制御部材(7)に動作可能に接続された制動制御システム(10、10’)を備え、
前記制動制御システム(10、10’)が、順に、
-前記第1の制御部材(7)および前記第1のチャンバ(23)に流体的に接続され、前記作動液を収容するように設計された第1の流体ライン(50)と、
-前記第1の制御部材(7)および前記第2のチャンバ(26、24)に少なくとも間接的に流体的に接続され、前記作動液を収容するように設計された第2の流体ライン(61、60)と、を備え、
前記方法が、
i)前記第1および第2の流体ライン(50、51;61、60)内の前記作動液の圧力を増加させ、前記第1のパッド(22)を前記第1の中立位置から前記第1の動作位置に移動させ、前記第2のパッド(22)を前記第2の中立位置から前記第2の動作位置に移動させるように前記第1の制御部材を動作させるステップを含み、
以下のさらなるステップ、すなわち、
ii)前記第1の制御部材(7)の動作状態および前記自動車(1)の複数の動作パラメータを取得するステップと、
iii)第1の制御弁を、
第3の流体ライン(150、150’)を前記第2の流体ライン(61、60)に流体的に接続し、前記第2の流体ライン(61、60)を相対的な第2のチャンバ(26、24)から流体的に分離する第1の位置と、
前記第3の流体ライン(150、150’)を前記第2の流体ライン(61、60)から流体的に分離し、前記第2の流体ライン(61、60)を相対的な第2のチャンバ(26、24)に流体的に接続する第2の位置と、の間で移動させるステップと、
iv)前記第1の制御部材(7)が作動停止状態にあり、前記パラメータがそれぞれの所定の閾値を超えるとき、制限された時間量の間、前記第1の制御弁(151、151’)を前記第2の位置から前記第1の位置に移動させるステップと、を含む、ことを特徴とする、制動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本特許出願は、2022年9月22日に出願されたイタリア特許出願第102022000019416号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、自動車および自動車についての制動制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
車輪用のエンジンと、それぞれの車輪に制動トルクを及ぼして自動車の速度を低下させるために動作されることができる制動システムとを備える自動車が知られている。
【0004】
既知の自動車は、制動システムを制御するように設計され、運転者によって作動されることができる制御部材、例えばブレーキペダルをさらに備える。
【0005】
より詳細には、制動システムは、各車輪について、
-ブレーキキャリパと、
-車輪と一体的に回転することができるディスクと、
-作動液、例えば油が流れ、制御部材に流体的に接続された流体ラインと、を備え、
各ブレーキキャリパは、順に、
-相対的なブレーキディスクを収容する支持体と、
-相対的なブレーキディスクから離間されたそれぞれの休止位置と、相対的なブレーキディスクと接触して相対的な車輪に制動トルクを及ぼすそれぞれの動作位置との間で移動可能な一対のパッドと、
-相対的な流体ラインに流体的に接続され、対応する休止位置と動作位置との間を移動することができるように、それぞれのパッドを内側に収容する一対のチャンバと、を備える。
【0006】
制御部材の作動は、流体ライン内の作動液の圧力の増加、およびその結果としてのブレーキキャリパを収容するチャンバの圧力の増加を決定する。これは、作動液が実質的に非圧縮性であり、したがって効果的に且つ実質的に損失なく圧力を伝達することができる場合に起こる。
【0007】
前記圧力増加は、相対的な休止位置から相対的な動作位置へのパッドの移動を決定する。
【0008】
最高級自動車は、さらに、
-車両安定性制御システムであって、制動システムに動作可能に接続され、自動車の所与の動作状況において、制動システムに、必要に応じて異なるものであっても、それぞれの車輪に制動トルクを及ぼして、自動車の所望の安定度を確保させるように動作されることができる、車両安定性制御システムと、
-制動システムに同様に動作可能に接続され、車輪に作用する制動トルクを制限し、車輪がロックするのを防止するように動作されることができる、ABSとして一般に知られているアンチロックシステムと、
-自動車の動作状況を表し、所与の動作状況において安定性制御システムおよび/またはアンチロックシステムを動作させるようにプログラムされた複数の信号を入力として受信する制御ユニットと、を備える。
【0009】
より詳細には、自動車の安定性制御システムは、自動車を安定させるために、制御部材が作動停止されている場合であっても、制動システムが1つ以上の車輪に適切な程度まで制動トルクを及ぼすように構成される。
【0010】
逆に、アンチロックシステムは、自動車をロックするリスクを回避するために、制御部材が作動しているとき、すなわち運転者によって要求される自動車制動段階中に、前述の制動トルクを制限するように構成される。
【0011】
より詳細には、自動車の安定性制御システムは、制御ユニットによって動作されることができる油圧ポンプと、それぞれの流体ラインに沿って介挿されるそれぞれの第1の制御弁と、を備える。
【0012】
制御ユニットは、1つまたは複数の第1の制御弁をそれぞれの第1の動作位置に移動させるようにプログラムされており、それらは、車輪にそれぞれの制動トルクを及ぼすように、油圧ポンプによって加圧された作動液がそれぞれの流体ラインを通って相対的なチャンバに達することを可能にする。
【0013】
アンチロックシステムは、各車輪に対して、相対的な第2の比例弁を備え、これは、制御ユニットによって相対的な動作位置まで選択的に移動可能であり、相対的な流体ラインに沿って介挿され、制御ユニットによって与えられる指令に比例して、作動液の圧力を減少させて、それに応じて制動トルクを減少させる。
【0014】
制動システムの長時間の作動は、作動液の温度の上昇を決定する。
【0015】
より正確には、キャリパのチャンバに収容された作動液の量は、パッドによって相対的なディスクに及ぼされる制動作用によって発生する熱によって加熱される。
【0016】
本出願人は、特に厳しい長期制動状態下では、前記作動液の量が対応する沸点に達し、その結果、作動液中に気泡が形成されるリスクがあることを見出した。
【0017】
これらの状態下では、流体ライン内に存在する作動液と気泡との混合物はもはや完全に非圧縮性ではなく、したがって、制御部材の作動後に車輪に及ぼされる制動トルク、したがって自動車の全体的な安全性を明らかに危険にさらす。
【0018】
このリスクは、制動中に車両の重量の大部分を支えなければならない前輪に特に当てはまる。
【0019】
したがって、作動液の過熱のリスクが低減される必要がある。
【0020】
さらにまた、前記リスクは、運転者による能動的な介入なしに低減されなければならない。
【0021】
最後に、前記リスクは、自動車に通常存在する安定性制御システムおよびアンチロックシステムの構成を変更することなく低減されなければならない。
【発明の概要】
【0022】
本発明の目的は、上述した必要性のうちの少なくとも1つを満たすことができる自動車を提供することである。
【0023】
前述の目的は、請求項1に記載の自動車に関するものとして、本発明によって達成される。
【0024】
さらにまた、本発明はまた、請求項13に記載の自動車についての制動制御方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明は、添付の図面を参照して、非限定的な実施例として提供される、2つの好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を検討することによって、最もよく理解されるであろう。
【
図1】本発明の第1の実施形態にかかる自動車の斜視図である。
【
図3】第1の動作状態における
図1および
図2の自動車の制動制御システムを概略的に示している。
【
図4】第2の動作状態における
図3の自動車の制動制御システムを概略的に示している。
【
図5】
図3および
図4の制動制御システムのいくつかの詳細を大規模に概略的に示している。
【
図6】
図3から
図5の制動制御システムのさらなる詳細を大規模に示している。
【
図7】
図3から
図5の制動制御システムのさらなる詳細を大規模に示している。
【
図8】
図3から
図5の制動制御システムのさらなる詳細を大規模に示している。
【
図9】本発明の第2の実施形態にかかる第1の動作状態における自動車の制動制御システムを概略的に示している。
【
図10】第2の動作位置における
図9の制動制御システムを概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書に添付の
図1から
図8を参照すると、符号1は、乗員室を画定する本体2と、複数の車輪FL、RL、FR、RRとを備える自動車を示している。
【0027】
以下、「上部に」、「下部に」、「前部に」、「後部に」、「左」、「右」およびそれらに類似する表現は、自動車1の通常の移動方向を基準として使用される。
【0028】
さらにまた以下を定義することが可能である:
-使用時に水平であり、自動車1の通常の移動方向に平行である、自動車1と一体の長手方向軸X、
-使用時に水平であり、軸Xに直交する、車両1に一体化された横方向軸Y、および
-使用時に軸X、Yに垂直であり且つ直交する、車両1に一体化された軸Z。
【0029】
特に、車輪FLおよびFRは、それぞれ、自動車1の左右の前輪である。
【0030】
車輪RLおよびRRは、それぞれ、自動車1の左右の後輪である。
【0031】
自動車1は、さらに、添付の図面に概略的にのみ示されている既知の方法で、
-車輪FL、RL、FR、RRに及ぼされるトルクを発生させるように設計されたエンジン6と、
-各車輪FL、RL、FR、RRに制動トルクを及ぼすために運転者によって操作されることができるブレーキペダル7と、
-エンジン6によって発生されたトルクを調整するために運転者によって操作されることができるアクセルペダル8と、を備える。
【0032】
特に、ペダル7は、通常、作動停止状態にあり、運転者によって作動動作状態に切り替えられることができる。
【0033】
自動車1は、さらに、
-ペダル7および車輪FL、FR、RR、RLに動作可能に接続された制動制御システム10と、
-各車輪FR、RL、RR、FLに関連付けられた複数の制動装置11、12、13、14と、を備える。
【0034】
各装置11、12、13、14は、順に(
図3)、
-本体20と、
-相対的な車輪FR、RL、RR、FLに対して角度を付けて回転することができ、本体20内に収容されたディスク21と、
-本体20の内部に収容され、ペダル7の作動後に、相対的なディスク21から離間されたそれぞれの中立位置と、相対的な車輪FR、RL、RR、FLにそれぞれの制動トルクを及ぼすようにディスク21に押し付けられたそれぞれの動作位置との間で移動可能な一対のパッド22と、を備える。
【0035】
各装置11、12、13、14の本体20は、順に、
-非圧縮性の作動液、例えば油が供給される入口27と、
-相対的なパッド22を流体密に収容し、それぞれの入口27に流体的に接続された一対のチャンバ23、24、26、25と、
-それぞれのキャップ35、36、37、38によって閉鎖され、相対的なチャンバ23、24、25、26に流体的に接続された一対のドレン31、32、33、34と、を備える。
【0036】
各装置11、12、13、14のチャンバ23、24、26、25は、互いに流体的に接続されている。
【0037】
特に、チャンバ23、24、25、26は、相対的なディスク21に対して互いに対向する相対的なパッド22の対向する両側に延在する。
【0038】
このようにして、チャンバ23、24、25、26内に存在する圧力は、相対的なディスク21に向けられた相対的なパッド22に一対の等しい推力を及ぼす。
【0039】
システム10は、制動装置11を動作させて、
-ブレーキペダル7の作動動作状態への移動に続いて、車輪FL、FR、RL、RRにそれぞれの制動トルクを及ぼし、
-ブレーキペダル7の作動に続いて車輪FL、FR、RL、RRに及ぼされる制動トルクを制限して、車輪FL、FR、RL、RRがロックするのを防止し、したがっていわゆるABSの機能を実行し、
-ペダル7が作動停止状態にあるとき、および自動車1の横滑りの場合に、1つまたは複数の車輪FL、FR、RL、RRに適切な制動トルクを及ぼして、自動車1の姿勢を安定させ、したがっていわゆるESPまたはVDCの機能を実行するように設計されている。
【0040】
図2から
図4を参照すると、システム10は、
-制御ユニット45(
図2に概略的に示される)と、
-ペダル7に動作可能に接続され、一対の送出部MC1、MC2が設けられた、非圧縮性作動液、例えば油によって充填されたタンクと、
-装置11、14の本体20のそれぞれの送出部MC1、MC2とそれぞれの入口27との間に延在する一対の流体ライン50、51と、
-流体ライン50、51に沿って介挿された一対の制御弁USV1、USV2と、
-それぞれの制御弁USV1、USV2とそれぞれの装置11、14の本体20の入口27との間に流体的に介挿される位置において流体ライン50、51に沿って介挿された一対の制御弁FREV、FLEVと、を備える。
【0041】
相対的な送出部MC1、MC2から装置11、14の相対的な入口27に向かって移動する各流体ライン50、51は、さらに、
-相対的な送出部MC1、MC2と相対的な制御弁USV1、USV2との間に流体的に介挿されたセクション(52、53)と、
-セクション54、55と、
-セクション56、57と、
-相対的な制御弁FREV、FLEVと装置11、12の相対的な入口27との間に流体的に介挿されたセクション58、59と、を備える。
【0042】
特に、セクション56、57は、それぞれのセクション54、55と相対的な制御弁FREV、FLEVとの間に流体的に介挿される。
【0043】
各流体ライン50;51は、相対的なセクション54、56;55、57の間に介挿されたセグメント120、121をさらに備える。
【0044】
各制御弁USV1、USV2、FREV、FLEVは、制御ユニット45によって、
-作動液が相対的な流体ライン50、51に沿って流れることを可能にする相対的な開放位置と、
-相対的な流体ライン50、51に沿って作動液が流れるのを防止する相対的な閉鎖位置と、の間で移動されることができる。
【0045】
システム10は、さらに、
-それぞれが流体ライン50、51の相対的なセクション56、57と装置13、12の相対的な入口27との間に延在する一対の流体ライン60、61と、
-それぞれの流体ライン60、61に沿って介挿された一対の制御弁RLEV、RREVと、を備える。
【0046】
各流体ライン60、61は、相対的な制御弁RLEV、RREVと相対的な制動装置12、13の入口27との間に介挿された相対的なセクション64、65をさらに備える。
【0047】
各制御弁RLEV、RREVは、制御ユニット45によって、
-作動液が相対的な流体ライン60、61に沿って流れることを可能にする相対的な開放位置と、
-相対的な流体ライン60、61に沿って作動液が流れるのを防止する相対的な閉鎖位置と、の間で移動されることができる。
【0048】
システム10は、さらに、
-制御ユニット45によって制御されるモータMと、
-モータMによって動作されることができ、それぞれの吸引セクション71、72およびそれぞれの送出セクション73、74を有する一対の油圧ポンプ群sRP1、sRP2と、
-それぞれが相対的な送出部MC1、MC2から油圧ポンプ群sRP1、sRP2の対応する吸引セクション71、72まで延在する一対の流体ライン80、81と、
-それぞれの流体ライン80、81に沿って介挿された一対の制御弁HSV1、HSV2と、
-それぞれが対応する流体ライン50、51の相対的な送出セクション73、74と相対的なセクション54、55との間に延在する一対の流体ライン90、91と、を備える。
【0049】
各制御弁HSV1、HSV2は、制御ユニット45によって、
-作動液が相対的な流体ライン80、81に沿って流れることを可能にする相対的な開放位置と、
-相対的な流体ライン80、81に沿って作動液が流れるのを防止する相対的な閉鎖位置と、の間で移動されることができる。
【0050】
システム10は、さらに、
-タンクA1と、
-流体ライン60のセクション64とタンクA1との間に延在する流体ライン100と、
-流体ライン50のセクション58とタンクA1との間に延在する流体ライン101と、
-それぞれの流体ライン100、101に沿って介挿され、制御ユニット45によって制御される一対の制御弁RLAV、FRAVと、を備える。
【0051】
システム10は、最終的に、
-タンクA2と、
-流体ライン60のセクション65とタンクA2との間に延在する流体ライン105と、
-流体ライン50のセクション59とタンクA2との間に延在する流体ライン106と、
-それぞれの流体ライン105、106に沿って介挿され、制御ユニット45によって制御される一対の制御弁RRAV、FLAVと、を備える。
【0052】
システム10は、さらに、
-それぞれのタンクA1、A2と対応するポンプsRP1、sRP2のそれぞれの吸引セクション71、72との間に延在する一対の流体ライン111、112と、
-流体ライン111、112に沿って介挿され、作動液が相対的なタンクA1、A2から対応する吸引セクション71、72に向かって流れ、反対方向には流れないことを可能にするように構成された一対の逆止弁113、114と、を備える。
【0053】
流体ライン50、51は、それぞれが相対的な流体ライン100、101と相対的なチャンバ24、26との間に延在する一対のセグメント130、131をさらに画定する。
【0054】
各制御RLAV、FRAV;RRAV、FLAVは、制御ユニット45によって、
-対応する作動液流量が相対的な流体ライン100、101;105、106に沿って流れることを可能にする複数の相対的な開放位置と、
-作動液が相対的な流体ライン100、101;105、106に沿って流れるのを防止する相対的な閉鎖位置と、の間で移動されることができる。
【0055】
本明細書に示す特定の場合では、制御弁HSV1、HSV2、RLEV、RREV、FLEV、FREVは、オン-オフ弁であり、すなわち、それらは、相対的な開放位置と相対的な閉鎖位置との間でのみ移動可能である。
【0056】
制御弁RLAV、FRAV;RRAV、FLAVは、相対的な開度に関連付けられた作動液流量の流れを可能にする。
【0057】
システム10は、さらに、
-送出部MC1の領域内に存在する圧力を検出するように配置された圧力センサ185と、
-それぞれの流体ライン101、106に沿って存在する圧力を検出するように配置された一対の圧力センサ190、191と、を備える。
【0058】
自動車1は、さらに、
-相対的な車輪FR、FL、RR、RLの角速度に関連付けられたそれぞれの第1の信号を生成するように設計された複数のセンサ140(
図2に概略的にのみ示される)と、
-アクセルペダル8の作動の程度に関連付けられた第2の信号を生成するように設計されたセンサ145(
図2に概略的にのみ示される)と、を備える。
【0059】
システム10は、有利には、
-チャンバ23に接続された流体ライン150と、
-制御弁151であって、
流体ライン150を流体ライン61に流体的に接続し、流体ライン61をチャンバ23から流体的に分離する第1の位置(
図4)と、
流体ライン150を流体ライン61から流体的に分離し、流体ライン61をチャンバ23に流体的に接続する第2の位置(
図3)との間で選択的に移動可能な制御弁と、を備え、
制御ユニット45は、
-ペダル7の作動状態または作動停止状態と、自動車1の複数の動作パラメータとを取得し、
-ペダル7が作動停止状態にあり、前記第1および第2の信号がそれぞれの所定の閾値を超えるとき、制御弁151を第2の位置に保持し、制限された時間量の間、制御弁151を第1の位置に移動させる、ようにプログラムされる。
【0060】
より正確には、流体ライン150は、作動液のための貯蔵タンクおよび/または膨張タンクを介挿させることなく、チャンバ23と流体ライン61との間に直接延在する。
【0061】
システム10は、制御弁151とチャンバ23との間に流体的に介挿された逆止弁152をさらに備え、その結果、作動液は、流体ライン61からチャンバ23にのみ流れることができ、その逆は不可能である。
【0062】
特に、流体ライン61は、ドレン31のうちの1つの領域において終端する。
【0063】
本明細書に示す特定の場合では、制御弁151は、三方弁である。
【0064】
制御ユニット45は、以下により詳細に説明するように、ABS、ESCシステムが有効になっていない場合にのみ、制御弁151を第1の位置に移動させるようにさらにプログラムされる。
【0065】
システム10は、さらに(
図5)、
-制御弁151とチャンバ23との間に流体的に介挿された位置において流体ライン61に沿って配置された圧力センサ160と、
-制御弁151と逆止弁152との間に流体的に介挿された位置において流体ライン150に沿って配置された圧力センサ161と、
-チャンバ23と弁FREVとの間に流体的に介挿された位置において流体ライン50に沿って配置された圧力センサ162と、を備える。
【0066】
システム10は、最終的に、
-逆止弁152とチャンバ23のドレン31のうちの1つとの間に流体的に介挿された位置において流体ライン150に沿って配置された温度センサ170と、
-チャンバ23のドレン31のうちの他方の領域において流体ライン150に沿って配置された温度センサ171と、を備える。
【0067】
ここで、システム10の動作を、運転者によって設定された車両制動状態、すなわち、
図3に示すペダル7が作動動作状態に動かされる状態を参照して説明する。
【0068】
制御ユニット45は、運転者によって設定された制動状態において、制御弁USV1、USV2、FREV、RLEV、FLEV、RREVをそれぞれの開放位置に保持する。
【0069】
制御ユニット45は、さらに、制御弁HSV1、HSV2、FRAV、FLAV、RLAV、RRAVをそれぞれの開放位置に保持し、モータMを作動停止状態に維持する。
【0070】
最後に、制御ユニット45は、制御弁151を第2の位置に保持し、作動液が流体ライン150を流れるのを防止する。
【0071】
その結果、運転者によって与えられるコマンドは、送出部MC1、MC2によって、流体ライン50、51、60、61およびそれぞれのチャンバ23、25、24、26内の作動液の圧力の増加を決定する。チャンバ23、25、24、26内にいきわたる圧力は、対応するパッド22が対応する車輪FR、FL、RL、RRのディスク21に制動トルクを及ぼすそれぞれの動作位置への対応するパッド22の移動を決定する。
【0072】
ブレーキペダル7が解放されて作動停止状態に動かされると、流体ライン50、51、60、61およびそれぞれのチャンバ23、25、24、26内の作動液の圧力が低下する。その結果、パッド22は、対応する車輪FR、FL、RL、RRのディスク21にそれぞれの制動トルクを及ぼさない相対的な中立位置に戻る。
【0073】
ここで、システム10の動作を、ペダル7が作動しており、システム10が、車輪FR、FL、RL、RRがロックするのを防止するために車輪FR、FL、RL、RRに及ぼされる制動トルクを制限し、したがっていわゆるABSの機能を実行する状態を参照して説明する。
【0074】
より詳細には、制御ユニット45は、センサ140から、車輪FR、FL、RL、RRのうちの1つまたは複数がロックされていることを表す第1の信号を入力として受信し、前述の1つまたは複数の車輪FR、FL、RL、RRのグリップ限界を超える制動トルク値を処理する。
【0075】
さらにまた、制御ユニット45は、運転者によって設定された制動状態を参照して上述した構成から開始して、対応する弁FLAV、FRAV、RLAV、RRAVを、制動トルクの量に関連付けられた開度がグリップ制限を超えるそれぞれの開放位置のうちの1つに移動させる。
【0076】
その結果、弁FLAV、FRAV、RLAV、RRAVの開度に応じて、流体ライン51、50、60、61からの作動液のそれぞれの量がそれぞれの流体ライン100、101、105、106に流れ、対応するタンクA1、A2に集まる。
【0077】
これは、チャンバ23、24、25、26のうちの1つまたは複数内の圧力、ならびに車輪FL、FR、RL、RRがロックされなくなるまでそれぞれの車輪FL、FR、RL、RRに及ぼされる結果として生じる制動トルクを低減させる。
【0078】
制御ユニット45は、対応する車輪FL、FR、RL、RRがロックされなくなると、弁FLAV、FRAV、RLAV、RRAVをそれぞれの閉鎖位置に戻すようにさらにプログラムされる。
【0079】
ここで、システム10の動作を、ペダル7が作動停止状態にあり、システム10が、車輪FR、FL、RL、RRに及ぼされるべき適切な制動トルクを発生させて、例えばスキッドの場合に自動車1の姿勢を安定化させる状態を参照して説明し、これは、いわゆるESPまたはVDCの機能を実行する。
【0080】
より詳細には、制御ユニット45は、自動車1の誤った姿勢を表す信号を入力として受信し、自動車1の安定状態を回復するために各車輪FL、FR、RR、RLに及ぼされるべき制動トルクの適切な値を生成する。
【0081】
制御ユニット45は、特に、制御弁USV1、USV2、FREV、FLEVをそれぞれの閉鎖位置に移動させ、制御弁HSV1、HSV2を相対的な開放位置に移動させ、ポンプsRP1、sRP2を作動させるモータMを動作させる。
【0082】
制御ユニット45は、さらに、弁151を第2の位置に、弁RLEV、RREVをそれぞれの開放位置に、弁FRAV、FLAV、RRAV、RLAVをそれぞれの閉鎖位置に保持する。
【0083】
このようにして、作動液は、ポンプsRP1、sRP2の吸引セクション71、72に達するまで流体ライン80、81を流れる。ポンプsRP1、sRP2は、それぞれの送出セクション73、74の領域における作動液の圧力を増加させる。
【0084】
圧力が増加した作動液は、チャンバ24、26内に侵入していきわたる圧力を増加させ、それぞれの車輪RL、RRに制動トルクを及ぼすまで、流体ライン90、91、それぞれのセグメント120、121および流体ライン60、61を占有する。
【0085】
前記制動トルクは、自動車1を安定させる。
【0086】
ここで、ペダル7が作動停止状態にあり、制御ユニット45が流体ライン150を通る作動液の再循環を決定するように弁151を制御する状態を参照して、システム10の動作を説明する。
【0087】
ペダル7が作動停止状態における
図4に示す状態を参照すると、制御ユニット45は、入力として、
-センサ140から、車輪FR、FL、RR、RLの角速度に関連付けられた第1の信号と、
-センサ145から、ペダル8の作動度に関連付けられた第2の信号と、を取得する。
【0088】
制御ユニット45は、弁FRAV、FLAV、RRAV、RLAVがそれぞれの閉鎖位置にあり、モータMが停止されていること、すなわちABSおよびESP機能が無効にされていることを表す第3の信号をさらに生成する。
【0089】
制御ユニット45は、第1および第2の信号が閾値を超え、好ましくは第3の信号が生成されたときに、所定の時間量の間、弁151を第1の位置(
図4)に移動させるようにプログラムされる。
【0090】
制御ユニット45は、運転者によって設定された制動状態を参照して上述した構成から開始して、弁USV2、FLEVをそれぞれの閉鎖位置に移動させ、弁HSV2を開放位置に移動させ、ポンプsRP2を動作させるモータMを作動させるようにさらにプログラムされる。
【0091】
このようにして、作動液は、ポンプsRP2の吸引セクション72に達するまで流体ライン81に沿って流れる。ポンプsRP2は、送出セクション74の領域内の作動液の圧力を増加させる。圧力が増加した作動液は、流体ライン91、セグメント121および流体ライン61を占める。
【0092】
続いて、作動液は、流体ライン150に沿って流体ライン61からチャンバ23に流れ、チャンバ23に関連付けられたドレン31を通って流れる。
【0093】
逆止弁152は、チャンバ23から弁151への作動液の戻りを防止する。
【0094】
作動液は、入口27を通って流れ、チャンバ23から流体ライン50に沿って送出部MC1まで逆流する。
【0095】
このようにして、作動液は、チャンバ23から流出することによって流体ライン150に沿って冷却されることができ、ここで、温度は、以前に車輪RRに及ぼされた制動トルクに起因して特に高い。
【0096】
制御ユニット45は、所定の時間量の終了時に弁151を第2の位置に戻すようにプログラムされる。
【0097】
図9を参照すると、符号10’は、本発明の第2の実施形態にかかる制動制御システムを示している。
【0098】
システム10’は、システム10と同様であり、前者を後者と区別する態様においてのみ以下に説明される。システム10、10’の類似または同等の部分は、可能な場合、同じ参照符号によって示される。
【0099】
システム10’とシステム10との相違は、流体ライン150’が流体ライン60とチャンバ23のドレン31との間に延在するという事実にある。
【0100】
より正確には、流体ライン150’は、作動液のための貯蔵タンクおよび/または膨張タンクを介挿させることなく、チャンバ23と流体ライン60との間に直接延在する。
【0101】
逆止弁152’は、制御弁151’とチャンバ23との間に流体的に介挿された位置において流体ライン150’上に配置され、作動液が制御弁151’からチャンバ23に流れることのみを可能にし、反対方向には流れないように配置される。
【0102】
システム10’の動作は、システム10の動作と区別する態様でのみ説明される。
【0103】
特に、制御ユニット45’は、第1および第2の信号が閾値を超え、好ましくは第3の信号が生成されたときに、
-弁USV1、FREVを閉鎖位置に移動させ、
-弁FRAVを相対的な開放位置のうちの1つに移動させ、
-ポンプsRP1を作動させるようにモータMを作動させる、ようにプログラムされる点で、制御ユニット45とは異なる。
【0104】
このようにして、制御弁151’が第1の位置にあるとき、作動液は、流体ライン150、150’、流体ライン50のセグメント130、流体ライン101を通って再循環し、タンクA1を満たし、相対的な流体ライン111を通ってポンプsRP1の吸引セクション71に達する。
【0105】
ポンプsRP1は、送出セクション73の領域における作動液の圧力を増加させる。
【0106】
圧力が増加した作動液は、第1の位置に配置された弁151’に達するまで、流体ライン90、流体ライン50のセグメント120、および流体ライン60を占有する。
【0107】
上記の開示は、本発明によって得ることができる明らかな利点を明らかにする。
【0108】
より詳細には、システム10、10’は、チャンバ23に流体的に接続され、ペダル7が作動停止状態にあり、パラメータがそれぞれの閾値を超える場合に、制御弁151、151’の作動によって流体ライン60、60’に選択的に接続されることができる流体ライン150、150’を備える。
【0109】
このようにして、作動液は、流体ライン150’に沿って再循環し、したがって高温チャンバ23から、冷却するのに十分な時間量にわたって流出する。
【0110】
これは、車輪FL、RL、FR、RRに強力な制動トルクが及ぼされた後であっても非圧縮性のままである作動液の過熱および蒸発のリスクを大幅に低減または排除する。
【0111】
これは、特に厳しい使用状態下であっても、制動装置11、12、13、14の理想的な動作を保証する。
【0112】
制御ユニット45、45’は、制御弁151、151’の第1の位置への移動、したがって結果としての所定の時間量にわたる作動液の冷却を、自動で、必要な場合にはペダル7が作動停止状態にあり、所定の時間量の終了時に制御弁151、151’を第2の位置に戻す状態で保証する。
【0113】
逆止弁152、152’は、作動液が流体ライン150、150’に沿ってチャンバ23に戻らないことを保証する。
【0114】
装置11、12、13、14の本体20に通常設けられたドレン31、32、33、34は、流体ライン150、150’をチャンバ23に流体的に接続するために使用され、したがってさらなる追加の部品の必要性を低減する。
【0115】
ABSおよびESPまたはVDCとして知られる機能を実行するためにシステム10、10’内に通常存在する油圧ポンプsRP1、sRP2および弁HSV1、HSV2、USV1、USV2、FLEV、FREV、RLEV、RREV、FRAV、FLAV、RLAV、RRAVは、制御弁151、151’が第1の位置に配置されているときに流体ライン150、150’を通る作動液の再循環を可能にするように制御ユニット45、45’によって制御され、したがって、制御システム10、10’の既に利用可能なレイアウトを使用して作動液が冷却されることを可能にする。
【0116】
最後に、本発明にかかる自動車1および方法には、添付の特許請求の範囲に記載された保護の範囲を超えることなく、変形および変更を施すことができる。
【0117】
特に、流体ライン150は、車輪FLに関連付けられたチャンバ24と流体ライン60との間に延在することができる。
【0118】
流体ライン150’は、車輪FLに関連付けられたチャンバ24から流体ライン61まで延在することができる。
【外国語明細書】