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特開2024-46636側方出口誘導ワイヤ管腔を備えた2セグメント偏向カテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046636
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】側方出口誘導ワイヤ管腔を備えた2セグメント偏向カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240327BHJP
   A61B 5/367 20210101ALI20240327BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20240327BHJP
   A61B 5/287 20210101ALI20240327BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B5/367
A61B5/33 100
A61B5/287 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】31
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023155460
(22)【出願日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】63/409,050
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/468,442
(32)【優先日】2023-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】イージャー・トー
(72)【発明者】
【氏名】エリカ・イー・ラブジョイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・ヴァン
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127HH13
4C127LL08
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK07
4C160KK13
4C160KK20
4C160KK33
4C160KK36
4C160KK37
4C160KK57
4C160KL02
4C160KL03
4C160NN02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】偏向可能なシャフトを備えたカテーテルを提供すること。
【解決手段】装置は、本体と、カテーテルと、偏向アセンブリとを含む。カテーテルは、第1の長手方向軸を画定する近位セグメントと、第2の長手方向軸を画定する中間セグメントと、遠位セグメントと、を含む。偏向アセンブリは、中間セグメントを第1の長手方向軸から離れる方向に偏向させ、遠位セグメントを第2の長手方向軸から離れる方向に偏向させる。偏向アセンブリは、本体に関連付けられた第1の入力部材及び第2の入力部材を含む。偏向アセンブリはまた、中間セグメントに結合された第1の並進アセンブリを含む。第1の入力部材は、第1の並進アセンブリを駆動して、中間セグメントを偏向させる。偏向アセンブリは、遠位セグメントに結合された第2の並進アセンブリを更に含む。第2の入力部材は、第2の並進アセンブリを駆動して、遠位セグメントを偏向させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)ハウジング本体と、
(b)前記ハウジング本体から遠位に延在するカテーテルシャフトであって、
(i)第1の長手方向軸を画定する近位セグメントと、
(ii)第2の長手方向軸を画定する中間セグメントと、
(iii)遠位セグメントと、を含む、カテーテルシャフトと、
(c)前記中間セグメントを前記第1の長手方向軸から離れる方向に偏向させ、前記遠位セグメントを前記第2の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成された偏向アセンブリであって、
(i)第1の入力部材と、
(ii)第2の入力部材と、
(iii)前記中間セグメントに連結された第1の並進アセンブリであって、前記第1の入力部材が、前記第1の並進アセンブリを駆動して、前記中間セグメントを前記第1の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成されている、第1の並進アセンブリと、
(iv)前記遠位セグメントに連結された第2の並進アセンブリであって、前記第2の入力部材が、前記第2の並進アセンブリを駆動して、前記遠位セグメントを前記第2の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成されている、第2の並進アセンブリと、を含む、偏向アセンブリと、を備える、装置。
【請求項2】
前記第1の並進アセンブリ及び前記第2の並進アセンブリは、第1のアクチュエータケーブル及び第2のアクチュエータケーブルをそれぞれ含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の入力部材及び前記第2の入力部材は、前記第1の並進アセンブリ及び前記第2の並進アセンブリをそれぞれ互いに独立して駆動するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の入力部材及び前記第2の入力部材は、駆動軸を中心として前記本体に対して回転するように構成された第1のレバーアーム及び第2のレバーアームをそれぞれ含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記駆動軸は、前記長手方向軸に対して垂直である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記カテーテルの前記遠位セグメントから遠位に延在するエンドエフェクタを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記エンドエフェクタは、アブレーション流体を標的組織に送達するように構成された少なくとも1つのアブレーション流体ポートを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記エンドエフェクタは、それぞれの非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成された一対の閉塞バルーンを含み、前記少なくとも1つのアブレーション流体ポートは、前記一対の閉塞バルーンの間に長手方向に介在する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電極は、電気エネルギーを放出するように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電極は、電気生理学的マッピングを実行するように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記エンドエフェクタは、位置センサを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項13】
前記カテーテルシャフトは、誘導ワイヤを摺動可能に受容するように構成された内側管腔を含み、前記中間セグメントは、前記誘導ワイヤを前記内側管腔から外へ方向付けるように構成された開口部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記開口部は、前記誘導ワイヤを前記第2の長手方向軸に対して横方向に前記内側管腔から外へ方向付けるように構成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記開口部は、前記誘導ワイヤを前記第2の長手方向軸に平行に前記内側管腔から外へ方向付けるように構成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記開口部は、前記カテーテルシャフトの側壁に形成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記開口部は、前記シャフトの前記中間セグメントの側壁に形成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記開口部は、前記カテーテルシャフトの側壁に構成された遠位傾斜面を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項19】
前記カテーテルシャフトは、前記開口部に配置された傾斜部を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項20】
前記傾斜部は、前記中間セグメントの前記長手方向軸に対してある角度で延在する、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記傾斜部は、Y構成を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記傾斜部は、第1の分岐プロング及び第2の分岐プロングを含む、請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記傾斜部は、第1の分岐プロング及び第2の分岐プロングを含み、前記誘導ワイヤは、前記第1の分岐プロング及び前記第2の分岐プロングに係合するように構成されたリングストップを含む、請求項19に記載の装置。
【請求項24】
前記誘導ワイヤは、前記誘導ワイヤが中立形態にあるときに所定の予め屈曲された構成を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項25】
前記誘導ワイヤは、形状記憶構造を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項26】
前記誘導ワイヤは、遠位セグメントと、近位セグメントと、それらの間の横断セグメントと、を含み、前記誘導ワイヤが中立形態にあるとき、前記遠位セグメント及び前記近位セグメントは平行であるが同軸ではない、請求項13に記載の装置。
【請求項27】
装置であって、
(a)可撓性カテーテルであって、
(i)第1の長手方向軸を画定する近位セグメントと、
(ii)第2の長手方向軸を画定する中間セグメントと、
(iii)遠位セグメントと、を含む、可撓性カテーテルと、
(b)前記カテーテルの前記遠位セグメントから遠位に延在するエンドエフェクタであって、アブレーション流体を標的組織に送達するように構成された少なくとも1つのアブレーション流体ポートを含む、エンドエフェクタと、
(c)前記中間セグメントを前記第1の長手方向軸から離れる方向に偏向させ、前記遠位セグメント及び前記エンドエフェクタを前記第2の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成された偏向アセンブリと、を備える、装置。
【請求項28】
前記エンドエフェクタは、それぞれの非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成された一対の閉塞バルーンを含み、前記少なくとも1つのアブレーション流体ポートは、前記一対の閉塞バルーンの間に長手方向に介在する、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
装置であって、
(a)可撓性カテーテルであって、
(i)第1の長手方向軸を画定する近位セグメントと、
(ii)第2の長手方向軸を画定し、開口部を含む中間セグメントと、
(iii)遠位セグメントと、
(iv)前記近位セグメント及び前記中間セグメントに沿って前記開口部まで延在する内側管腔と、を含む、可撓性カテーテルと、
(b)前記内側管腔内に摺動可能に配置された誘導ワイヤであって、前記開口部が前記誘導ワイヤを前記内側管腔から外へ方向付けるように構成されている、誘導ワイヤと、
(c)偏向アセンブリであって、前記中間セグメントを前記第1の長手方向軸から離れる方向に偏向させ、前記遠位セグメントを前記第2の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成されている、偏向アセンブリと、を備える、装置。
【請求項30】
前記誘導ワイヤが、少なくとも1つの電極を含む、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記少なくとも1つの電極は、電気生理学的マッピングを実行するように構成されている、請求項30に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年9月22日に出願された米国特許仮出願第63/409,050号の優先権及び利益を主張するものであり、その全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、偏向可能なシャフトを備えたカテーテルに関し、特に、他の細長いデバイス、例えば、プローブ、カテーテル、又は誘導ワイヤを通過させるように構成された偏向可能なシャフトを備えたカテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動などの心不整脈は、心臓組織の領域が電気信号を異常に伝導するときに発生する。不整脈を治療するための処置には、そのような信号の伝導経路を外科的に破壊することが含まれる。電気エネルギー(例えば、高周波(ACタイプ)又はパルスフィールド(DCタイプ)エネルギー)を印加することによって心臓組織を選択的にアブレーションすることにより、心臓のある部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は修正することが可能となり得る。アブレーションプロセスは、組織を横切る異常な電気信号の通信を効果的に遮断する電気絶縁性病変又は瘢痕組織を形成することにより、望ましくない電気経路に対する障壁を提供することができる。
【0004】
一部の処置では、1つ又は2つ以上の電極を有するカテーテルを使用して、心臓血管系内にアブレーションを提供することができる。カテーテルを主要な静脈又は動脈(例えば、大腿動脈)に挿入し、次いで前進させて、心臓内又は心臓に隣接する心臓血管構造(例えば、肺静脈)内に電極を位置決めすることができる。1つ又は2つ以上の電極を、心臓組織又は他の血管組織と接触させて配置し、次いで電気のエネルギーで作動させることによって、接触した組織をアブレーションすることができる。場合によっては、電極は双極であってもよい。一部の他の場合において、単極電極を、接地パッドと連携して、又は患者と接触している他の参照電極と連携して使用することができる。灌注を使用して、アブレーションカテーテルのアブレーション構成要素から熱を引き出し、アブレーション部位付近に血栓が形成されるのを防ぐことができる。
【0005】
アブレーションカテーテルの例は、2013年1月31日に公開された「Integrated Ablation System using Catheter with Multiple Irrigation Lumens」と題する米国特許出願公開第2013/0030426号(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、第2017/0312022号、発明の名称「Irrigated Balloon Catheter with Flexible Circuit Electrode Assembly」、2017年11月2日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);2018年3月15日に公開された「Ablation Catheter with a Flexible Printed Circuit Board」と題する米国特許出願公開第2018/0071017号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、第2018/0056038号、発明の名称「Catheter with Bipole Electrode Spacer and Related Methods」、2018年3月1日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);2018年11月20日に発行された「Catheter with Soft Distal Tip for Mapping and Ablating Tubular Region」と題する米国特許第10,130,422号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、2015年2月17日に発行された「Electrode Irrigation Using Micro-Jets」と題する米国特許第8,956,353号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、及び2017年10月31日に発行された「Electrocardiogram Noise Reduction」と題する米国特許第9,801,585号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0006】
一部のカテーテルアブレーション処置は、電気生理学的(electrophysiology、EP)マッピングを使用してアブレーションの標的とすべき組織領域を特定した後に実行されてもよい。このようなEPマッピングは、カテーテル(例えば、アブレーションを実行するために使用される同じカテーテル、又は専用のマッピングカテーテル)上の感知電極の使用を含んでもよい。このような感知電極は、導電性心内膜組織から発する電気信号を監視して、不整脈の原因となる異常な導電性組織部位の位置を特定することができる。EPマッピングシステムの例は、1998年4月14日に発行された「Cardiac Electromechanics」と題する米国特許第5,738,096号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。EPマッピングカテーテルの例は、2018年3月6日に発行された「Catheter Spine Assembly with Closely-Spaced Bipole Microelectrodes」と題する米国特許第9,907,480号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、米国特許第10,130,422号、発明の名称「Catheter with Soft Distal Tip for Mapping and Ablating Tubular Region」、2018年11月20日発行(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);及び米国特許出願公開第2018/0056038号、発明の名称「Catheter with Bipole Electrode Spacer and Related Methods」、2018年3月1日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0007】
一部のカテーテル処置は、画像誘導手術(image guided surgery、IGS)システムを使用して実施されてもよい。IGSシステムにより、医師は、患者内の解剖学的構造の画像に関連して、患者内のカテーテルの位置をリアルタイムで視覚的に追跡することが可能になり得る。Irvine,CaliforniaのBiosense Webster,Inc.によるCARTO 3(登録商標)システムを含む一部のシステムは、EPマッピング機能とIGS機能との組み合わせを提供することができる。IGSシステムと共に使用するように構成されているカテーテルの例は、2016年11月1日に発行された「Signal Transmission Using Catheter Braid Wires」と題する米国特許第9,480,416号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、及び本明細書で引用されている様々な他の参考文献に開示されている。
【0008】
いくつかのカテーテルシステム及び方法が実施及び使用されてきたが、本発明者ら以前の誰も、本明細書に記載され、例示され、かつ特許請求される本発明を実施又は使用していないと考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリの操縦可能かつ偏向可能なカテーテルは、最初に、患者(PA)の主要静脈又は動脈(例えば、大腿静脈)の中に挿入され、次いで、静脈又は動脈に沿って遠位に前進させられ、固有の解剖学的特徴を伴う患者の心臓の標的領域内にカテーテルの内側及び遠位セグメントを位置決めすることができる。中間セグメントは、遠位セグメントも偏向させ得る第1の方向に偏向させることができる。遠位セグメントは、第2の方向に更に前進及び偏向させることができる。患者の心臓内の適所にカテーテルをしっかりと固定するために、心臓に対するカテーテルの機械的接地を効果的に提供する選択された解剖学的特徴との摩擦係合などによって、中間セグメント及び遠位セグメントの両方に対して偏向調節を行うことができる。
【0010】
カテーテルが適切に係留された後、誘導ワイヤは、係留されたカテーテルの管腔シャフトを通して遠位に前進させることができる。管腔シャフトは、側方開口部を伴って構成されてもよく、側方開口部を通って、誘導ワイヤの遠位セグメントがシャフトを出て、固定されたカテーテルが存在しない場合に生じるであろう制御よりもはるかに高い制御で心臓の追加の標的領域に到達するように、遠位に前進させることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、装置は、ハウジング本体及びカテーテルシャフトを含み、カテーテルシャフトは、第1の長手方向軸を画定する近位セグメントと、第2の長手方向軸を画定する中間セグメントと、遠位セグメントと、を含む。また、本装置には、中間セグメントを第1の長手方向軸から離れる方向に偏向させ、遠位セグメントを第2の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成された偏向アセンブリが含まれる。偏向アセンブリは、第1の入力部材と、第2の入力部材と、第1の並進アセンブリと、第2の並進アセンブリとを含む。第1の並進アセンブリは中間セグメントに連結され、第1の入力部材が、第1の並進アセンブリを駆動して、中間セグメントを第1の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成されている。第2の並進アセンブリは遠位セグメントに連結され、第2の入力部材が、第2の並進アセンブリを駆動して、遠位セグメントを第2の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の並進アセンブリ及び第2の並進アセンブリは、それぞれ、第1のアクチュエータケーブル及び第2のアクチュエータケーブルを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の入力部材及び第2の入力部材は、第1の並進アセンブリ及び第2の並進アセンブリをそれぞれ互いに独立して駆動するように構成されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1の入力部材及び第2の入力部材は、駆動軸を中心として本体に対して回転するように構成された第1のレバーアーム及び第2のレバーアームをそれぞれ含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、駆動軸は、長手方向軸と略垂直である。
【0016】
いくつかの実施形態では、装置は、カテーテルの遠位セグメントから遠位に延在するエンドエフェクタを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタは、アブレーション流体を標的組織に送達するように構成された少なくとも1つのアブレーション流体ポートを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタは、それぞれの非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成された一対の閉塞バルーンを含み、少なくとも1つのアブレーション流体ポートは、一対の閉塞バルーンの間に長手方向に介在する。
【0019】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電極は、電気エネルギーを放出するように構成されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電極は、電気生理学的マッピングを実行するように構成されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタは、位置センサを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、誘導ワイヤを摺動可能に受容するように構成された内側管腔を含み、中間セグメントは、誘導ワイヤを内側管腔から外へ方向付けるように構成された開口部を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、開口部は、誘導ワイヤを第2の長手方向軸に対して横方向に内側管腔から外へ方向付けるように構成されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、開口部は、誘導ワイヤを第2の長手方向軸に平行に内側管腔から外へ方向付けるように構成されている。
【0026】
いくつかの実施形態では、開口部は、カテーテルシャフトの側壁に形成されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、開口部は、シャフトの中間セグメントの側壁に形成されている。
【0028】
いくつかの実施形態では、開口部は、カテーテルシャフトの側壁に構成された遠位傾斜面を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、カテーテルシャフトは、開口部内に配置された傾斜部を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、傾斜部は、中間セグメントの長手方向軸に対して垂直でない角度で延在する。
【0031】
いくつかの実施形態では、傾斜部はY構成を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、傾斜部は、第1の分岐プロング及び第2の分岐プロングを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、傾斜部は、第1の分岐プロング及び第2の分岐プロングを含み、誘導ワイヤは、第1の分岐プロング及び第2の分岐プロングに係合するように構成されたリングストップを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、誘導ワイヤは、誘導ワイヤが中立形態にあるとき、所定の予め屈曲された構成を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、誘導ワイヤは、形状記憶構造を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、誘導ワイヤは、遠位セグメント、近位セグメント、及びそれらの間の横断セグメントを含み、誘導ワイヤが中立形態にあるとき、遠位セグメント及び近位セグメントは平行であるが同軸ではない。
【0037】
いくつかの実施形態では、装置は、第1の長手方向軸を画定する近位セグメントと、第2の長手方向軸を画定する中間セグメントと、遠位セグメントとを有する可撓性カテーテルを含む。この装置はまた、エンドエフェクタ及び偏向アセンブリを含む。エンドエフェクタは、カテーテルの遠位セグメントから遠位に延在し、アブレーション流体を標的組織に送達するように構成された少なくとも1つのアブレーション流体ポートを含む。偏向アセンブリは、中間セグメントを第1の長手方向軸から離れる方向に偏向させ、遠位セグメント及びエンドエフェクタを第2の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタは、それぞれの非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成された一対の閉塞バルーンを含み、少なくとも1つのアブレーション流体ポートは、一対の閉塞バルーンの間に長手方向に介在する。
【0039】
いくつかの実施形態では、装置は、可撓性カテーテルと、誘導ワイヤと、偏向アセンブリとを含む。可撓性カテーテルは、近位セグメントと、中間セグメントと、遠位セグメントと、内側管腔とを含む。近位セグメントは、第1の長手方向軸を画定する。中間セグメントは、第2の長手方向軸を画定し、中間セグメントは、開口部を含む。内側管腔は、近位セグメント及び中間セグメントに沿って開口部まで延在する。誘導ワイヤは、内側管腔内に摺動可能に配置され、開口部は、誘導ワイヤを内側管腔から外へ方向付けるように構成されている。偏向アセンブリは、中間セグメントを第1の長手方向軸から離れる方向に偏向させ、遠位セグメントを第2の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成されている。
【0040】
いくつかの実施形態では、誘導ワイヤは少なくとも1つの電極を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電極は、電気生理学的マッピングを実行するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
以下の図面及び詳細な説明は、単に例示的であることを意図しており、本発明者らによって企図される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
図1】カテーテルアセンブリのカテーテルを患者に挿入する医療処置の概略図を示す。
図2】追加の構成要素が概略形式で示されている、図1のカテーテルアセンブリの斜視図である。
図3】追加の構成要素が概略形式で示されている、図1のカテーテルの遠位部分の斜視図である。
図4A】偏向駆動アセンブリの細長い本体がハンドルに対して第1の回転位置にある、図1のカテーテルアセンブリのハンドル及び偏向駆動アセンブリの平面図である。
図4B図4Aの細長い本体がハンドルに対して第2の回転位置にある、図4Aのハンドル及び偏向駆動アセンブリの平面図である。
図4C図4Aの細長い本体がハンドルに対して第3の回転位置にある、図4Aのハンドル及び偏向駆動アセンブリの平面図である。
図5A】内部構成要素を明らかにするために外側シースの一部分が省略されている、図1のカテーテルの遠位部分の平面図であり、カテーテルの遠位部分は、図4Aの細長い本体の第1の回転位置に関連付けられた非偏向位置にある。
図5B】内部構成要素を明らかにするために外側シースの一部分が省略されている、図1のカテーテルの遠位部分の平面図であり、カテーテルの遠位部分は、図4Bの細長い本体の第2の回転位置に関連付けられた第1の偏向位置にある。
図5C】内部構成要素を明らかにするために外側シースの一部分が省略されている、図1のカテーテルの遠位部分の平面図を示しており、カテーテルの遠位部分は、図4Cの細長い本体の第3の回転位置に関連付けられた第2の偏向位置にある。
図6】追加の構成要素が概略形態で示されている、患者への挿入のためのカテーテルを有するカテーテルアセンブリの別の実施例の斜視図である。
図7A】非拡張状態のカテーテルアセンブリのエンドエフェクタの閉塞バルーンを示す、追加の構成要素が概略形態で示されている、図6のカテーテルの遠位部分の斜視図である。
図7B】拡張状態にあるカテーテルアセンブリのエンドエフェクタの閉塞バルーンを示す、追加の構成要素が概略形態で示されている、図6のカテーテルの遠位部分の斜視図である。
図8A】カテーテルの側方開口部に対して後退位置にあるカテーテルアセンブリの誘導ワイヤを示す、図6のカテーテルの中間部分の斜視図である。
図8B】カテーテルの側方開口部に対して延長位置にあるカテーテルアセンブリの誘導ワイヤを示す、図6のカテーテルの中間部分の斜視図である。
図8C】一実施形態に係る、カテーテルの側方開口部に対して延長位置にあるカテーテルアセンブリの誘導ワイヤを示す、カテーテルの中間部分の側面図であり、誘導ワイヤの近位セグメントによって画定される第3の中心長手方向軸(L3)は、中間部分と平行ではない。
図8D】一実施形態に係る、予め屈曲された及び/又は予め湾曲された構成を有する誘導ワイヤの側面図である。
図8E】一実施形態に係る、傾斜部を有する側方開口部の上面図である。
図8F】一実施形態に係る、カテーテルの側方開口部に対して延長位置にあるカテーテルアセンブリの誘導ワイヤを示す、カテーテルの中間部分の側面図であり、誘導ワイヤの近位セグメントによって画定される第3の中心長手方向軸(L3)は、中間部分と略平行である。
図8G】一実施形態に係る、予め屈曲された及び/又は予め湾曲された構成を有する誘導ワイヤの側面図である。
図9】屈曲及び/又は湾曲構成にある誘導ワイヤを示す、図8Aの誘導ワイヤの遠位部分の側面図である。
図10図6のカテーテルアセンブリのハンドル及び偏向駆動アセンブリの斜視図である。
図11A】ハンドルに対して未作動の回転位置にある偏向駆動アセンブリの一対のレバーアームを示す、図10のハンドル及び偏向駆動アセンブリの平面図である。
図11B】ハンドルに対して非作動回転位置にある偏向駆動アセンブリのレバーアームの一方と、及びハンドルに対して作動回転位置にある偏向駆動アセンブリのレバーアームの他方とを示す、図10のハンドル及び偏向駆動アセンブリの上面図である。
図11C】ハンドルに対して作動回転位置にある偏向駆動アセンブリの両レバーアームを示す、図10のハンドル及び偏向駆動アセンブリの平面図である。
図12A】ハンドルに対して非作動回転位置にある偏向駆動アセンブリの両レバーアームを示す、内部構成要素を明らかにするためにハンドルの一部分が省略されている、図10のハンドル及び偏向駆動アセンブリの平面図である。
図12B】ハンドルに対して非作動回転位置にある偏向駆動アセンブリのレバーアームの一方と、及びハンドルに対して作動回転位置にある偏向駆動アセンブリのレバーアームの他方とを示す、内部構成要素を明らかにするためにハンドルの一部分が省略されている、図10のハンドル及び偏向駆動アセンブリの上面図である。
図12C】ハンドルに対して作動回転位置にある偏向駆動アセンブリの両レバーアームを示す、内部構成要素を明らかにするためにハンドルの一部分が省略されている、図10のハンドル及び偏向駆動アセンブリの平面図である。
図13A図11Aのそれぞれのレバーアームの非作動回転位置に関連付けられた非偏向位置にあるカテーテルの中間セグメント及び遠位セグメントを示す、図6のカテーテルの遠位部分の斜視図である。
図13B図6のカテーテルの遠位部分の斜視図を示しており、図11Bのそれぞれのレバーアームの作動回転位置に関連付けられた偏向位置にあるカテーテルの中間セグメントを示す。
図13C図11Cのそれぞれのレバーアームの作動回転位置に関連付けられた偏向位置にあるカテーテルの遠位セグメントを示す、図6のカテーテルの遠位部分の斜視図である。
図13D】それぞれの偏向位置にあるカテーテルの中間セグメント及び遠位セグメントを示し、カテーテルの側方開口部に対して延長位置にある図8Aの誘導ワイヤを更に示す、図6のカテーテルの遠位部分の斜視図である。
図13E】それぞれの偏向位置にあるカテーテルの中間セグメント及び遠位セグメントと、カテーテルの側方開口部に対して延長位置にある図8Aの誘導ワイヤとを示し、面外偏向位置にあるカテーテルの遠位セグメントを更に示す、図6のカテーテルの遠位部分の斜視図である。
図13F】管腔及び管腔の選択された直径上に位置する複数の作動ケーブルを備えたカテーテルシャフトの端断面図である。
図14図6のカテーテルアセンブリと共に使用するための偏向駆動アセンブリの別の実施例の断面図である。
図15A】下大静脈内に位置決めされた図6のカテーテルの中間セグメント及び遠位セグメントを示す、患者の心臓の概略図である。
図15B】冠状静脈洞内に位置決めされた図6のカテーテルの遠位セグメントを示す、患者の心臓の概略図である。
図15C】左心房の斜静脈内に位置決めされた図6のカテーテルの遠位セグメントを示す、患者の心臓の概略図である。
図15D】カテーテルを心臓に対して固定するために、左心房の斜静脈と摩擦係合された図6のカテーテルの遠位セグメントと、冠状静脈洞と摩擦係合された図6のカテーテルの中間セグメントとを示し、カテーテルの側方開口部に対して延長位置にあり、大心静脈内に位置決めされた図8Aの誘導ワイヤを更に示す、患者の心臓の概略図である。
図15E】左心房の斜静脈に封止係合して閉塞バルーン間の左心房の斜静脈の領域を流体的に隔離するように拡張状態にある、図6のカテーテルアセンブリのエンドエフェクタの閉塞バルーンを示す、左心房の斜静脈の概略図である。
図15F】左心房の斜静脈に封止係合するように拡張状態にある図6のカテーテルアセンブリのエンドエフェクタの閉塞バルーンを示し、流体隔離領域内の標的組織をアブレーションするための、左心房の斜静脈の流体隔離領域へのアブレーション流体の送達を更に示す、左心房の斜静脈の概略図である。
図15G】左心房の斜静脈に封止係合するために拡張状態にある図6のカテーテルアセンブリのエンドエフェクタの閉塞バルーンを示し、流体的に隔離された領域内の標的組織のアブレーションに続く、左心房の斜静脈の流体的に隔離された領域からの残留アブレーション流体の排出を更に示す、左心房の斜静脈の概略図である。
図15H】左心房の斜静脈を係合解除するための非拡張状態における図6のカテーテルアセンブリのエンドエフェクタの閉塞バルーンを示す、左心房の斜静脈の概略図である。
図16】右心房内に位置決めされた図6のカテーテルの中間セグメントと、右室流出路内に位置決めされた図6のカテーテルの遠位セグメントとを示し、カテーテルの側方開口部に対して延長位置にあり、右心室内に位置決めされた図8Aの誘導ワイヤを更に示す、患者の心臓の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではなく、図面を参照して読まれるべきである。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として本発明の原理を示す。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、例示として本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである以下の説明から当業者に明らかになるであろう。認識されるように、本発明は、全て本発明から逸脱することなく、他の異なる態様又は同等の態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものとしてみなされるべきである。
【0044】
本明細書に記載の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形例、実施例などは、互いに単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法は、本明細書の教示に鑑みて当業者には容易に明らかであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0045】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「ほぼ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、70%~110%の値の範囲を指してもよい。更に、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「対象」という用語は、任意のヒト又は動物対象を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。
【0046】
I.カテーテルシステムの実施例の概要
図1は、上に言及した、EPマッピング又は心臓アブレーションを行うために使用できる心臓カテーテルシステムの例示的な医療処置及び関連する構成要素を示す。具体的には、図1は、カテーテルアセンブリ(100)のハンドル(110)を把持する医師(physician、PH)を示し、カテーテルアセンブリ(100)の(図2及び図3に示されているが、図1には示されていない)カテーテル(120)のエンドエフェクタ(140)は、患者(patient、PA)の心臓(heart、H)内若しくはその近くの組織の電位をマッピングするか、及び/又は組織をアブレーションするように患者(PA)内に配設されている。図2に示されるように、カテーテルアセンブリ(100)は、ハンドル(110)と、ハンドル(110)から遠位に延在するカテーテル(120)と、カテーテル(120)の遠位端に位置するエンドエフェクタ(140)と、ハンドル(110)に関連付けられた偏向駆動アセンブリ(200)とを含む。
【0047】
以下でより詳細に説明するように、エンドエフェクタ(140)は、電気エネルギーを標的組織部位に送達し、EPマッピング機能を提供し、エンドエフェクタ(140)に付与された外力を追跡し、エンドエフェクタ(140)の位置を追跡し、及び/又は流体を分散させるように構成された様々な構成要素を含み得る。以下で更に詳細に説明するように、偏向駆動アセンブリ(200)は、エンドエフェクタ(140)及びカテーテル(120)の遠位部分を、カテーテル(120)の近位部分によって画定される中央長手方向軸(L-L)(図3図5)から離れる方向に偏向させるように構成されている。
【0048】
図3に示すように、カテーテル(120)は、細長い可撓性シャフト(122)を含み、エンドエフェクタ(140)は、シャフト(122)の遠位端に配置されている。シャフト(122)内に収容されるエンドエフェクタ(140)及び様々な構成要素について、以下でより詳細に説明する。カテーテルアセンブリ(100)は、ケーブル(30)を介して誘導駆動システム(10)と結合されている。カテーテルアセンブリ(100)はまた、流体導管(40)を介して流体源(42)と結合されている。一組の磁場発生器(20)は、患者(PA)の下方に位置決めされ、別のケーブル(22)を介して誘導駆動システム(10)と結合されている。磁場発生器(20)は、単に任意選択である。
【0049】
図1に示すように、本実施例の誘導駆動システム(10)は、コンソール(12)及びディスプレイ(18)を含む。コンソール(12)は、第1のドライバモジュール(14)及び第2のドライバモジュール(16)を含む。第1のドライバモジュール(14)は、ケーブル(30)を介してカテーテルアセンブリ(100)と結合されている。本実施例の第1のドライバモジュール(14)は、以下により詳細に説明するように、エンドエフェクタ(140)のリング状電極(138)を介して取得されたEPマッピング信号を受信するように動作可能である。コンソール(12)は、そのようなEPマッピング信号を処理し、それによって、当該技術分野において既知のEPマッピングを行うプロセッサ(図示せず)を含む。
【0050】
いくつかの変形例では、第1のドライバモジュール(14)は更に、エンドエフェクタ(140)の遠位先端部材(142)に電力を供給し、それによって、組織をアブレーションするように動作可能であり得る。第2のドライバモジュール(16)は、ケーブル(22)を介して磁場発生器(20)と結合されている。第2のドライバモジュール(16)は、磁場発生器(20)を活性化させて、患者(PA)の心臓(H)の周りに交流磁場を発生させるように動作可能である。例えば、磁場発生器(20)は、心臓(H)を含む所定の作業体積内に交流磁場を発生させるコイルを含んでもよい。
【0051】
第1のドライバモジュール(14)はまた、エンドエフェクタ(140)内のナビゲーションセンサアセンブリ(図示せず)から位置指示信号を受信するように動作可能であり得る。このような変形例では、コンソール(12)のプロセッサはまた、ナビゲーションセンサアセンブリからの位置指示信号を処理し、それによって、患者(PA)内のエンドエフェクタ(140)の位置を決定するようにも動作可能である。ナビゲーションセンサアセンブリは、それぞれのパネル上に2つ又は3つ以上のコイルを含み得、コイルは、患者(PA)内のエンドエフェクタ(140)の位置及び向きを示す信号を生成するように動作可能である。コイルは、磁場発生器(20)によって発生した交流電磁場の存在に応答して、電気信号を生成するように構成されている。エンドエフェクタ(140)に関連するリアルタイム位置データを生成するために使用され得る他の構成要素及び技術としては、無線三角測量、音響追跡、光学追跡、慣性追跡などを挙げることができる。あるいは、エンドエフェクタ(140)は、ナビゲーションセンサアセンブリを欠いていてもよい。
【0052】
ディスプレイ(18)は、コンソール(12)のプロセッサと結合されており、患者の解剖学的構造の画像をレンダリングするように動作可能である。このような画像は、手術前又は手術中に取得された一組の画像(例えば、CTスキャン又はMRIスキャン、3Dマップなど)に基づき得る。ディスプレイ(18)を介して提供される患者の解剖学的構造の図はまた、エンドエフェクタ(140)のナビゲーションセンサアセンブリからの信号に基づいて動的に変化してもよい。例えば、カテーテル(120)のエンドエフェクタ(140)が患者(PA)内で移動するにつれて、ナビゲーションセンサアセンブリからの対応する位置データにより、コンソール(12)のプロセッサは、ディスプレイ(18)内の患者の解剖学的構造のビューをリアルタイムで更新し、エンドエフェクタ(140)が患者(PA)内で移動するにつれてエンドエフェクタ(140)の周囲の患者の解剖学的構造の領域を示すことができる。更に、コンソール(12)のプロセッサは、エンドエフェクタ(140)を用いた電気生理学的(EP)マッピングによって検出されるように、又は他の方法で(例えば、専用のEPマッピングカテーテルを使用するなど)検出されるように、異常な導電性組織部位の位置を示すようにディスプレイ(18)を駆動することができる。単なる例として、コンソール(12)のプロセッサは、照明ドット、十字線、又は異常な導電性組織部位のいくつかの他の形式の視覚的指示を重ね合わせることなどによって、異常な導電性組織部位の位置を患者の解剖学的構造の画像上に重ね合わせるようにディスプレイ(18)を駆動することができる。
【0053】
コンソール(12)のプロセッサはまた、例えば、照明ドット、十字線、エンドエフェクタ(140)のグラフィック表現、又はいくつかの他の形式の視覚的指示を重ね合わせることなどによって、エンドエフェクタ(140)の現在の位置を患者の解剖学的構造の画像上に重ね合わせるようにディスプレイ(18)を駆動することができる。このような重ね合わされた視覚的表示はまた、医師が患者(PA)内でエンドエフェクタ(140)を移動させると、リアルタイムでディスプレイ(18)上の患者の解剖学的構造の画像内で移動することができ、それによって、エンドエフェクタ(140)が患者(PA)内で移動すると、患者(PA)内のエンドエフェクタ(140)の位置に関するリアルタイムの視覚的フィードバックを操作者に提供する。したがって、ディスプレイ(18)を介して提供される画像は、エンドエフェクタ(140)を観察するいかなる光学機器(すなわち、カメラ)を必ずしも有することなく、患者(PA)内のエンドエフェクタ(140)の位置を追跡するビデオを効果的に提供することができる。同じビューにおいて、ディスプレイ(18)は、EPマッピングによって検出された異常な導電性組織部位の位置を同時に視覚的に示すことができる。したがって、医師(PH)は、ディスプレイ(18)を見て、マッピングされた異常な導電性組織部位及び患者(PA)内の隣接する解剖学的構造の画像に関連して、エンドエフェクタ(140)のリアルタイムの位置を観察することができる。
【0054】
本実施例の流体源(42)は、生理食塩水又は一部の他の好適な流体を収容するバッグを含む。導管(40)は、流体源(42)からカテーテルアセンブリ(100)に流体を選択的に駆動するように動作可能なポンプ(44)に更と結合されている可撓性チューブを含む。以下でより詳細に説明するように、このような流体は、エンドエフェクタ(140)の遠位先端部材(142)の開口部(図示せず)を通して排出されてもよい。そのような流体は、本明細書の教示に照らして当業者に明らかである任意の好適な方法で提供されてもよい。
【0055】
上述したように、エンドエフェクタ(140)は、電気エネルギーを標的組織部位に送達し、EPマッピング機能を提供し、エンドエフェクタ(140)に加えられた外力を追跡し、患者(PA)内のエンドエフェクタ(140)の位置を追跡し、及び/又は流体を分散させるように構成された様々な構成要素を含むことができる。図3は、エンドエフェクタ(140)の例示的な構成要素、及びカテーテル(120)の遠位部分の他の構成要素をより詳細に示す。エンドエフェクタ(140)は、シャフト(122)の遠位端に固定された遠位先端部材(142)を含む。一対のアクチュエータケーブル(160、170)及びチューブ(180)(図5A~5C)は、カテーテル(120)の長さに沿って延在し、エンドエフェクタ(140)に到達する。前述の構成要素のそれぞれについて以下でより詳細に説明する。可撓性シャフト(122)は、遠位先端部材(142)を除いて、前述の構成要素の全てを取り囲む。
【0056】
図3及び図5A~5Cに示されるように、本実施例の遠位先端部材(142)は、ドーム状先端(158)を有する円筒形本体(156)を含む。ドーム状先端(158)のいくつかの変形例は、金属などの導電性材料を含んでもよい。いくつかのそのような変形例では、ドーム状先端(158)はまた、電気エネルギーを組織に印加し、それによって組織をアブレーションするように動作可能であってもよい。このような電気エネルギーは、ケーブル(30)を介して、第1のドライバモジュール(14)から遠位先端部材(142)に通信されてもよい。遠位先端部材(142)はまた、温度感知機能を提供するように構成された1つ又は2つ以上の熱電対を含んでもよい。追加的に又は代替的に、複数の開口部(図示せず)が、円筒状本体(156)及び/又はドーム状先端(158)に形成されてもよく、遠位先端部材(142)の中空内部と連通して、灌注流体が遠位先端部材(142)の内部から円筒状本体(156)及び/又はドーム状先端(158)を通って外へ連通することを可能にし得る。いくつかの変形例では、ドーム状先端(158)は、電気エネルギー及び/又は灌注流体を送達しない。
【0057】
また図3に示されるように、本実施例の遠位先端部材(142)はまた、円筒形本体(156)に装着された1つ又は2つ以上のEPマッピングリング状電極(138)を含む。いくつかの他の変形例では、円筒状本体(156)は、電極(138)に対して遠位に位置決めされている。EPマッピング電極(138)は、EPマッピング電極(138)と接触する組織から電位をピックアップするように構成されている。したがって、EPマッピング電極(138)を使用して、心臓血管解剖学的構造(例えば、肺静脈など)内の組織における異常な電気的活動の位置を決定することができる。EPマッピング電極(138)によってピックアップされた信号は、ビア又は他の構造を介して通信され、最終的にケーブル(30)を介してコンソール(12)の第1のドライバモジュール(14)に到達することができる。第1のドライバモジュール(14)は、EPマッピング信号を処理し、本明細書に引用されている様々な参考文献の教示に従って、異常な電気的活動の位置を示す対応するフィードバックを医師(PH)に提供することができる。
【0058】
円筒形本体(156)が組織アブレーション用の電気エネルギーを供給するために導電性材料で形成されている変形例では、円筒形本体(156)とEPマッピング電極(138)との間に電気絶縁材料を介在させて、それによって、EPマッピング電極(138)を円筒形本体(156)から電気的に絶縁することができる。EPマッピング電極(138)は、本明細書に引用されている様々な特許参考文献の教示に従って構築され、動作可能であってもよい。2つのEPマッピング電極(138)が示されているが、遠位先端部材(142)は、1つ又は3つ以上のEPマッピング電極(138)を含んでもよい。あるいは、遠位先端部材(142)は、EPマッピング電極(138)を完全に欠いている場合がある。
【0059】
上述したように、カテーテルアセンブリ(100)は、カテーテル(120)の近位部分によって画定される中央長手方向軸(L-L)から離れる方向にエンドエフェクタ(140)を偏向させるように構成された偏向駆動アセンブリ(200)を含む。本実施例の偏向駆動アセンブリ(200)は、アクチュエータケーブル(160、170)、ケーブルドライバアセンブリ(図示せず)、ロッカーアーム(230)、及び荷重制限器アセンブリ(図示せず)を含む。以下でより詳細に説明するように、医師(PA)は、ロッカーアーム(230)をハンドル(110)に対して作動させてもよく、それにより、ケーブルドライバアセンブリは、アクチュエータケーブル(160、170)を同時に作動させるようにすることができ、長手方向に対向する運動は、エンドエフェクタ(140)を長手方向軸(L-L)から離れる方向に横方向に選択的に偏向させ、それによって、医師(PH)が患者(PA)内のエンドエフェクタ(140)を能動的に操縦することを可能にする。
【0060】
偏向駆動アセンブリ(200)の選択された部分は、ハンドル(110)に動作可能に連結される。ハンドル(110)は、内部空洞(図示せず)を共に画定する第1のケーシング部分(112)及び第2のケーシング部分(114)を含む。アクチュエータケーブル(160、170)は、それぞれの中間部分(162、172)、遠位部分(図示せず)、及び近位端ブロック(図示せず)を含む。近位端ブロックは、アクチュエータケーブル(160、170)のための機械的接地として機能する。遠位端部分は、エンドエフェクタ(140)と連結されて、アクチュエータケーブル(160、170)がエンドエフェクタ(140)から近位に引き抜かれることを防止する。本明細書の教示を考慮することで、アクチュエータケーブル(160、170)がエンドエフェクタ(140)と連結され得る(又はそれに若しくはその近傍に固定され得る)好適な方法が、当業者に明らかになるであろう。中間部分(162、172)は、(図5A図5Cに最も良く示されるように)遠位部分からカテーテル(120)の細長い可撓性シャフト(122)を通って、ケーブルドライバアセンブリ内に近位に延在し、近位端ブロック内で終端する。中間部分(162、172)はそれぞれ、ケーブルドライバアセンブリの一部分の周りに、ハンドル(110)に対するケーブルドライバアセンブリの移動がアクチュエータケーブル(160、170)を反対方向に同時に作動させ得るように巻き付く。
【0061】
ケーブルドライバアセンブリは、ハンドル(110)と回転可能に連結されている。具体的には、ケーブルドライバ(210)は、ハンドル(110)に対するロッカーアーム(230)の好適な回転が、駆動軸(D-A)を中心としたケーブルドライバ(210)の回転を駆動し得るように、駆動軸を中心として回転するように構成されている。
【0062】
図4A図5Cは、エンドエフェクタ(140)及びカテーテル(120)の遠位部分を中央長手方向軸(L-L)を中心に偏向させるための偏向駆動アセンブリ(200)の例示的な使用を示す。図4A及び図5Aは、エンドエフェクタ(140)が中立の非偏向位置にあるときのカテーテルアセンブリ(100)の様々なセクションを示す。図4Aは、ハンドル(110)に対して中立の回転位置にあるロッカーアーム(230)を示す。ロッカーアーム(230)が第1の回転位置にあるとき、ケーブルドライバアセンブリは、アクチュエータケーブル(160、170)が、図5Aに示すように、非偏向位置にあるエンドエフェクタ(140)と関連付けられた第1の長手方向位置にあるように、対応する第1の回転位置にある。
【0063】
医師(PH)が、中央長手方向軸(L-L)に対して第1の方向にエンドエフェクタ(140)を図5Bに示される第1の偏向位置に偏向させることを望むとき、医師(PH)は、ロッカーアーム(230)をハンドル(110)に対して図4Bに示す位置まで回転させることができる。図4Bに示される回転位置へのロッカーアーム(230)の回転は、ケーブルドライバアセンブリを対応する回転位置に駆動し、それにより、アクチュエータケーブル(170)が近位に駆動され、アクチュエータケーブル(160)が遠位に作動することによってエンドエフェクタ(140)を駆動して図5Bに示される位置に屈曲させる。
【0064】
同様に、医師(PH)が中央長手方向軸線(L-L)に対して第2の方向にエンドエフェクタ(140)を図5Cに示す第2の偏向位置に偏向させることを望むとき、医師(PH)は、ロッカーアーム(230)をハンドル(110)に対して図4Cに示す位置まで回転させることができる。図4Cに示される回転位置へのロッカーアーム(230)の回転は、ケーブルドライバアセンブリを対応する回転位置に駆動し、それにより、アクチュエータケーブル(160)が近位に駆動され、アクチュエータケーブル(170)が遠位に作動することによってエンドエフェクタ(140)を駆動して図5Cに示される位置に屈曲させる。
【0065】
同時に長手方向に対向する方式でアクチュエータケーブル(160、170)を駆動するために使用され得る様々な他の好適な機構は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。いくつかの変形例では、カテーテルアセンブリ(100)は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年12月31日に公開された「Catheter Deflection System with Deflection Load Limiter」と題する米国特許出願公開第2020/0405182号の教示の1つ又は2つ以上に従って構成され、かつ動作可能であり得る。
【0066】
II.2つの偏向可能なセグメント及び側方開口部を備えたカテーテルを有するカテーテルアセンブリの実施例
いくつかの処置では、カテーテル(120)の一部分を心臓(H)内の実質的に固定された位置に確実に安定させて、EPマッピング及び/又は組織アブレーション中などの、患者の電気的除細動又は医師(PH)によるハンドル(110)の不注意な移動から生じ得るカテーテル(120)の不注意な移動(例えば、滑り)を阻止することが望ましい場合がある。例えば、カテーテル(120)の遠位部分を、左心房の斜静脈(マーシャル静脈とも呼ばれる)などの冠状静脈洞の1つ又は2つ以上の副静脈内に固定することが望ましい場合がある。場合によっては、心臓(H)の1つの領域内のカテーテル(120)の遠位部分の安定化を利用して、(例えば、カテーテル(120)の外径及び/又は曲げ半径によって課される制限に起因して)カテーテル(120)自体を介してアクセスすることが困難又は不可能であり得る心臓(H)の1つ又は2つ以上の他の領域の別のデバイスによるアクセスを容易にすることが、例えば、そのような他の領域(複数可)のEPマッピングを可能にするために望ましい場合がある。例えば、カテーテル(120)の遠位部分が左心房の斜静脈内に固定されたままで、別のカテーテル又は誘導ワイヤを用いて大心臓静脈(左冠動脈静脈とも呼ばれる)にアクセスすることが望ましい場合がある。追加的に又は代替的に、カテーテル(120)の遠位部分がエタノール(アルコール)などのアブレーション流体を介して固定される心臓(H)の領域内の組織をアブレーションすることが望ましい場合がある。
【0067】
図6~13Eは、そのような様式で機能し得、カテーテルアセンブリ(100)の代わりに図1の心臓アブレーションカテーテルシステムに組み込まれ得る、カテーテルアセンブリ(300)の実施例を示す。カテーテルアセンブリ(300)は、以下に別途記載される場合を除いて、上述のカテーテルアセンブリ(100)と同様に構成され、動作可能であり得る。これに関連して、カテーテルアセンブリ(300)は、ハンドル(310)と、ハンドル(310)から遠位に延在するカテーテル(320)と、カテーテル(320)の遠位端に位置するエンドエフェクタ(340)と、ハンドル(310)に関連付けられた偏向駆動アセンブリ(400)とを含む。図示される実施例では、カテーテルアセンブリ(300)はまた、誘導ワイヤ(500)が後退位置(図8A)と延長位置(図8B)との間でカテーテル(320)に対して延長可能かつ後退可能であるように、カテーテル(320)内に摺動可能に収容された誘導ワイヤ(500)(図8A~9)を含む。ハンドル(310)は、カテーテル(320)に対する誘導ワイヤ(500)の並進を駆動するための任意の好適な作動機構を含んでもよく、これには、スライダ、枢動ロッカー、ダイヤルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
以下でより詳細に説明するように、エンドエフェクタ(340)は、EPマッピング機能を提供する、及び/又はアブレーション流体を標的組織部位に送達するように構成された様々な構成要素を含む。いくつかの変形例では、エンドエフェクタ(340)は、追加的に又は代替的に、電気エネルギーを標的組織部位に送達し、エンドエフェクタ(340)に付与された外力を追跡し、エンドエフェクタ(340)の位置を追跡し、及び/又は灌注流体を分散させるように構成された様々な構成要素を含むことができる。例えば、エンドエフェクタ(340)は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年12月31日に公開された「Catheter Deflection System with Deflection Load Limiter」と題する米国特許出願公開第2020/0405182号の教示の1つ又は2つ以上に従って構成され、かつ動作可能であり得る。エンドエフェクタ(340)が、電気エネルギーを組織に送達する(例えば、組織をアブレーションする)ように動作可能な1つ又は2つ以上の特徴部を含む変形例では、そのような電気エネルギー送達特徴部は、以下に説明するようなアブレーション流体送達特徴部に加えて、又はその代わりに提供されてもよい。更に、エンドエフェクタ(340)のいくつかの変形例は、電気エネルギー送達特徴部及びアブレーション流体送達特徴部を省略してもよく、いずれのタイプの特徴部も必ずしも必須ではない。
【0069】
以下でまたより詳細に説明するように、偏向駆動アセンブリ(400)は、カテーテル(320)の中間セグメント(320m)をカテーテル(320)の近位セグメント(320p)によって画定された第1の中央長手方向軸(L1)から離れる方向に偏向させ、エンドエフェクタ(340)及びカテーテル(320)の遠位セグメント(320d)をカテーテル(320)の中間セグメント(320m)によって画定される第2の中央長手方向軸(L2)から離れる方向に偏向させるように構成されている。以下でより詳細に更に説明するように、誘導ワイヤ(500)は、エンドエフェクタ(140)によって容易にアクセス可能でない場合がある心臓(H)の領域にEPマッピング機能を提供し、誘導ワイヤ(500)の遠位セグメント(500d)が、誘導ワイヤ(500)の近位セグメント(500p)によって画定される第3の中心長手方向軸(L3)から離れる方向に偏向される構成を呈するように構成されている。
【0070】
図7A及び7Bに示されるように、カテーテル(320)は、細長い可撓性シャフト(322)を含み、エンドエフェクタ(340)は、シャフト(322)の遠位端(324)に配置されている。シャフト(322)内に収容されるエンドエフェクタ(340)及び様々な構成要素について、以下でより詳細に説明する。カテーテルアセンブリ(300)は、ケーブル(30)を介して誘導駆動システム(10)に連結されている。カテーテルアセンブリ(300)はまた、流体導管(40)を介して流体源(42)とも連結されている。本実施例では、流体源(42)は、エタノール(アルコール)又は何らかの他の好適なアブレーション流体を収容するバッグを含む。当然ながら、流体源(42)は、代わりに任意の他の好適な形態をとってもよく、任意の他の好適な流体を含んでもよい。
【0071】
上述したように、エンドエフェクタ(340)は、EPマッピング機能を提供し、及び/又はアブレーション流体を標的組織部位に送達するように構成された様々な構成要素を含む。図7A及び図7Bを引き続き参照すると、エンドエフェクタ(340)は、シャフト(322)の遠位端(324)に固定された遠位先端部材(342)を含む。第1のアクチュエータケーブル(360)及びチューブ(図示せず)又は管腔を画定する他の構造は、カテーテル(320)の長さに沿って延在してエンドエフェクタ(340)に到達する。前述の構成要素のそれぞれについて以下でより詳細に説明する。可撓性シャフト(322)は、遠位先端部材(342)を除いて、前述の構成要素の全てを取り囲む。
【0072】
図7A及び7Bに示されるように、本実施例の遠位先端部材(342)は、遠位先端(357)を有する円筒形本体(356)を含む。遠位先端部(357)は、非外傷性であり、例えば、平坦又はドーム形状のいずれかを有し得る。いくつかの他の変形例では、遠位先端部(357)は、任意の他の好適な非外傷性構成を有してもよい。遠位先端部材(342)は、シャフト(322)の遠位端(324)で又はその近くでシャフト(322)にしっかりと固定される。例えば、円筒形本体(356)は、シャフト(322)の遠位端(324)を受容し、シャフト(322)にしっかりと固定される近位ソケット(図示せず)を含むことができる。あくまで一例として、遠位先端部材(342)は、シャフト(322)に溶接されるか、シャフト(322)にはんだ付けされるか、接着剤又はエポキシを使用してシャフト(322)に接着されるか、シャフト(322)に圧入されるか、及び/又は任意の他の好適な方法でシャフト(322)にしっかりと固定され得る。いくつかの変形例では、円筒状本体(356)は、単一(例えば、モノリシック)部品としてシャフト(322)の円筒状側壁と共に一体的に形成することができる。
【0073】
図示される実施例では、複数のアブレーション流体送達ポート(358)が、円筒状本体(356)を通って半径方向に延在し、カテーテル(320)の長さに沿って延在するチューブを介して流体導管(40)と流体連通している。したがって、ポート(358)は、アブレーション流体が流体源(42)から円筒状本体(356)を通って外へ連通されることを可能にする。追加的に又は代替的に、流体送達ポート(358)は、吸引源(図示せず)と流体連通してもよい。いくつかの変形例では、いくつかのポート(358)は、流体導管(40)又は吸引源のうちの一方と流体連通してもよく、他のポート(358)は、流体導管(40)又は吸引源のうちの他方と流体連通してもよい。4つのアブレーション流体送達ポート(358)が示されているが、遠位先端部材(342)は、任意の好適な数の流体送達ポート(358)を含むことができる。例えば、大量の微小流体送達ポート(358)は、円筒状本体(356)の1つ又は2つ以上の多孔性部分によって画定されてもよい。あるいは、遠位先端部材(142)は、流体送達ポート(358)を完全に欠いている場合がある。
【0074】
図7A~7Bに示されるように、本実施例の遠位先端部材(342)はまた、円筒状本体(356)に取り付けられた近位閉塞バルーン及び遠位閉塞バルーン(380、382)を含み、その結果、アブレーション流体送達ポート(358)の各々は、閉塞バルーン(380、382)の間に長手方向に介在する。閉塞バルーン(380、382)の各々は、1つ又は2つ以上の膨張流体導管(図示せず)を介して、生理食塩水又は何らかの他の好適な膨張流体を含有するバッグを含み得る膨張流体源(図示せず)と流体連通している。したがって、膨張流体は、膨張流体源から各閉塞バルーン(380、382)に伝達されて、閉塞バルーン(380、382)をそれぞれの非拡張状態(図7A)からそれぞれの拡張状態(図7B)に移行させ、各閉塞バルーン(380、382)から膨張流体源に戻されて、閉塞バルーン(380、382)をそれぞれの拡張状態(図7B)からそれぞれの非拡張状態(図7A)に移行させ得る。いくつかの変形例では、閉塞バルーン(380、382)は、単一の共有膨張流体導管を介して膨張流体源と流体連通してもよく、それにより、閉塞バルーン(380、382)は、それぞれの拡張状態と非拡張状態との間で互いに実質的に同時に移行するように構成されてもよい。いくつかの他の変形例では、閉塞バルーン(380、382)は、2つの別個の膨張流体導管を介して膨張流体源と流体連通し、それにより、閉塞バルーン(380、382)は、それぞれの拡張状態と非拡張状態との間で互いに独立して移行するように構成され得る。更に他の変形例では、遠位先端部材(142)は、閉塞バルーン(380、382)を完全に欠いていてもよい。
【0075】
それぞれの拡張状態にあるとき、閉塞バルーン(380、382)は、管腔などの解剖学的構造の内面の対応する部分に封止係合するように構成することができる。例えば、閉塞バルーン(380、382)は、それぞれの拡張状態にあるときに、心臓(H)又はその近くの血管(例えば、左心房の斜静脈)の内面の対応する部分に封止係合するように構成することができる。このようにして、閉塞バルーン(380、382)は、それぞれの拡張状態にあるときに互いに協働して、アブレーション流体送達ポート(358)が位置する閉塞バルーン(380、382)間で長手方向に延在する血管の領域を血管の他の領域から流体的に隔離し、それによって、アブレーション流体が、血管の流体的に隔離された領域の外側の非標的組織に不注意に接触することを阻止するように構成することができる。したがって、閉塞バルーン(380、382)は、血管の流体的に隔離された領域内へのアブレーション流体の制御された送達を促進し得る。
【0076】
図7A図7Bに示されるように、本実施例の遠位先端部材(342)はまた、円筒形本体(356)に装着された1つ又は2つ以上のEPマッピングリング状電極(338)を含む。EPマッピング電極(338)は、EPマッピング電極(338)と接触する組織から電位をピックアップするように構成されている。したがって、EPマッピング電極(338)を使用して、心臓血管解剖学的構造(例えば、肺静脈など)内の組織における異常な電気的活動の位置を決定することができる。EPマッピング電極(338)によってピックアップされた信号は、ビア又は他の構造を介して通信され、最終的にケーブル(30)を介してコンソール(12)の第1のドライバモジュール(14)に到達することができる。第1のドライバモジュール(14)は、EPマッピング信号を処理し、本明細書に引用されている様々な参考文献の教示に従って、異常な電気的活動の位置を示す対応するフィードバックを医師(PH)に提供することができる。EPマッピング電極(338)は、本明細書に引用されている様々な特許参考文献の教示に従って構築され、動作可能であってもよい。2つのEPマッピング電極(338)が示されているが、遠位先端部材(342)は、1つ又は3つ以上のEPマッピング電極(338)を含んでもよい。あるいは、遠位先端部材(342)は、EPマッピング電極(338)を完全に欠いていてもよい。
【0077】
いくつかの変形例では、遠位先端部材(342)は、電気エネルギーを標的組織に送達するように構成することができる。そのような電気エネルギーには、無線周波数(AC型)の電気エネルギー、パルス場(DC型)の電気エネルギー(例えば、不可逆的エレクトロポレーションなど)、又はいくつかの他の形態の電気エネルギーが含まれ得る。このようないくつかの場合、円筒状本体(356)は、金属などの導電性材料で形成されてもよい。遠位先端部材(342)が電気エネルギーを標的組織に送達するように構成されているいくつかの他の変形例では、遠位先端部材(342)は、円筒状本体(356)に固定された1つ又は2つ以上の導電性要素を含んでもよい。
【0078】
いくつかの変形例では、カテーテル(320)は、シャフト(322)及び/又は円筒状本体(356)にしっかりと固定された少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリ(図示せず)を含み、このナビゲーションセンサアセンブリは、上述したものと同様の方法などで、患者(PA)内のシャフト(322)及び/又は遠位先端部材(342)の位置及び向きを示す信号を(例えば、磁場発生器(20)によって生成される交流電磁場の存在に応答して)生成するように動作可能である。このようなナビゲーションセンサアセンブリは、単軸センサ(single-axis sensor、SAS)(例えば、単一の軸の周りに巻かれた単一の電磁コイルを有する)、二軸センサ(dual-axis sensor、DAS)(例えば、それぞれの軸の周りに巻かれた2つの電磁コイルを有する)、又は三軸センサ(triple-axis sensor、TAS)(例えば、それぞれの軸の周りに巻かれた3つの電磁コイルを有する)として構成されてもよい。追加的に又は代替的に、ナビゲーションセンサアセンブリは、フレキシブルプリント回路基板(printed circuit board、PCB)として構成されてもよい。単なる例として、このようなナビゲーションセンサアセンブリは、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2022年8月18日に公開された「Flexible Sensor Assembly for ENT Instrument」と題する米国特許出願公開第2022/0257093号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され、かつ動作可能であり得る。
【0079】
ここで図8A及び8Bを参照すると、カテーテル(320)は、カテーテル(320)の中間セグメント(320m)の遠位端又はその近くでシャフト(322)の円筒形側壁を通って半径方向に延在する側方開口部(側方アパーチャとも呼ばれる)(390)を含む。側方開口部(390)は、エンドエフェクタ(340)に近接している。側方開口部(390)は、誘導ワイヤ(500)が摺動可能に受容されるシャフト(322)の内側管腔(392)の遠位端を画定し、それにより、側方開口部(390)は、誘導ワイヤ(500)をシャフト(322)の内側管腔(392)からシャフト(322)の外部へと方向付けるように構成することができる。したがって、側方開口部(390)は、シャフト(322)の内側管腔(392)を通って遠位に前進して、カテーテル(320)の中間セグメント(320m)の遠位端から横方向に突出するか、又は中間セグメント(320m)の遠位端に対して露出する誘導ワイヤ(500)のための経路を提供する。換言すれば、側方開口部(390)は、誘導ワイヤ(500)を後退位置(図8A)と少なくとも1つの延長位置(図8B)との間で移行させるために誘導ワイヤ(500)を側方開口部(390)に対して延長及び後退させることができるように、中間セグメント(320m)によって画定される長手方向軸(L2)を横断する方向にカテーテル(320)の内側管腔(392)から誘導ワイヤ(500)が側方に出ることを容易にすることができる。以下でより詳細に説明するように、これは、誘導ワイヤ(500)が、カテーテル(320)によって容易にアクセス可能でない場合がある心臓(H)の1つ又は2つ以上の領域、例えば大心臓静脈に到達することを可能にし得る。第2のアクチュエータケーブル(370)は、以下でより詳細に説明するように、カテーテル(320)の近位及び中間セグメント(320p、320m)の長さに沿って延在して、側方開口部(390)で又はその近くで中間セグメント(320m)の遠位端に到達する。
【0080】
図示される実施例では、カテーテル(320)の中間セグメント及び遠位セグメント(320m、320d)は、互いに同じ断面寸法(例えば、直径)を有する。あるいは、遠位セグメント(320d)は、中間セグメント(320m)の断面寸法よりも小さい断面寸法を有してもよい。いくつかのそのような場合、シャフト(322)の円筒形側壁は、中間セグメント(320m)の遠位端において略環状の遠位向き表面を画定することができ、開口部(390)は、環状表面を通って延在することができる。このようにして、開口部(390)は、中間セグメント(320m)によって画定される長手方向軸(L2)に平行な方向にカテーテル(320)の内側管腔(392)から誘導ワイヤ(500)が出ることを容易にすることができる。
【0081】
図9に最も良く示されるように、この実施例の誘導ワイヤ(500)は、遠位端(504)まで延在する細長い部材(502)を含む。細長い部材(502)は、例えば、シャフト又はコイルを含んでもよい。細長い部材(502)がコイルを含む場合、コイルは、遠位端(504)に対して固定され、コイルが引張応力下に置かれたときにコイルが伸長するのを防止し得るコアワイヤ(図示せず)の周りに巻き付けられてもよい。細長い部材(502)は、カテーテル(320)の内側管腔(392)を通って挿入されるようにサイズ決定される。したがって、カテーテル(320)は、心臓(H)の標的領域に対して誘導ワイヤ(500)の先端部材(512)を位置決めするのを補助するために使用することができる。この点に関して、誘導ワイヤ(500)は、誘導ワイヤ(500)が少なくとも1つの伸長位置(図8B)にあるときに誘導ワイヤ(500)の選択部分を側方開口部(390)に対して延長された状態に維持するなど、誘導ワイヤ(500)をカテーテル(320)に対して選択的に固定するように構成された係止部材(図示せず)を含むことができる。
【0082】
図示される実施例では、誘導ワイヤ(500)の遠位セグメント(500d)は可撓性であり、それにより、誘導ワイヤ(500)は、遠位セグメント(500d)が誘導ワイヤ(500)の近位セグメント(500p)と同軸である直線構成(図8A)と、遠位セグメント(500d)及び誘導ワイヤ先端部材(512)が近位セグメント(500p)によって画定される第3の中心長手方向軸(L3)から離れる方向に偏向される屈曲及び/又は湾曲構成(図8B及び9)との間で移行することができる。第3の長手方向軸(L3)は、第2の長手方向軸(L2)と平行であってもよく、又は同一線上にあってもよいことが理解されよう。いくつかの変形例では、遠位セグメント(500d)は、予め屈曲させられる、及び/又は予め湾曲させられる。換言すれば、遠位セグメント(500d)は、屈曲部及び/又は湾曲部を画定するように予め形成することができる、あるいは、誘導ワイヤ(500)が弾性的に付勢されて屈曲及び/又は湾曲構成をとることができるように、誘導ワイヤ(500)に作用する外力が存在しない場合に屈曲部及び/又は湾曲部を画定するように予め配置することができる。図8A及び図8Bに示すように、誘導ワイヤ(500)は、カテーテル(320)の内側管腔(392)によって拘束されて、遠位セグメント(500d)がカテーテル(320)の内側管腔(392)内に摺動可能に受容されている間(例えば、誘導ワイヤ(500)が後退位置にあるとき)直線構成をとり、遠位セグメント(500d)がカテーテル(320)の内側管腔(392)から出ることに応じて(例えば、誘導ワイヤ(500)が少なくとも1つの延長位置にあるとき)屈曲及び/又は湾曲構成を弾性的にとるように構成されてもよい。
【0083】
遠位セグメント(500d)がカテーテル(320)から露出されるときに遠位セグメント(500d)を屈曲及び/又は湾曲構成に付勢する弾性付勢を有する誘導ワイヤ(500)に加えて、又はその代わりに、内側管腔(392)は、遠位セグメント(500d)が側方開口部(390)を介してカテーテル(320)から出るときに遠位セグメント(500d)を長手方向軸(L2)から離れる方向に横方向に付勢するのを支援する傾斜部及び/又は他の構造的特徴部を含むことができる。
【0084】
誘導ワイヤ(500)が屈曲及び/又は湾曲構成にあるとき、誘導ワイヤ(500)の遠位セグメント(500d)は、管腔などの解剖学的構造によって画定された湾曲経路に沿った誘導ワイヤ(500)の前進を促進するように構成することができる。例えば、遠位セグメント(500d)は、屈曲及び/又は湾曲構成にあるときに、心臓(H)(例えば、冠状静脈洞及び/又は大心臓静脈)における又はその近くの1つ又は2つ以上の血管によって画定される湾曲経路に沿った誘導ワイヤ(500)の前進を促進するように構成することができる。追加的に又は代替的に、遠位セグメント(500d)は、屈曲及び/又は湾曲構成にあるときに、遠位先端部材(512)がそのような血管(複数可)を穿刺する、又は別様に望ましくない外傷を与えるリスクを低減するように構成することができる。
【0085】
いくつかの他の変形例では、遠位セグメント(500d)は、中間セグメント(320m)によって画定される長手方向軸(L2)に平行な方向にカテーテル(320)の内側管腔(392)から外へ誘導ワイヤ(500)が出るのを容易にするように開口部(390)が構成されている場合など、近位セグメント(500p)に対して真っ直ぐになるように予め配置することができる。換言すれば、内側管腔(392)は、遠位セグメント(500d)が側方開口部(390)を介してカテーテル(320)から出る際に遠位セグメント(500d)を長手方向軸(L2)から離れる方向に側方に付勢するのを支援する傾斜部及び/又は他の構造的特徴部を含むことができ、遠位セグメント(500d)は、傾斜部及び/又は内側管腔の他の構造的特徴部によって付勢されると、その経路に沿って単純に真っ直ぐに延在することができる。
【0086】
図8Cに示すように、カテーテルシャフト(322)の側壁に構成された側方開口部(390)は、シャフトの外面(395)に対してそれぞれ90度より小さい角度及び90度より大きい角度を形成する近位傾斜面(391d)及び遠位傾斜面(391d)を含む、側方開口部を取り囲む表面の少なくとも傾斜部分によって画定される。傾斜面、特に遠位傾斜面(391d)は、誘導ワイヤ(500)の遠位セグメント(500d)がシャフト(322)の管腔(392)から出るのを容易にする。図8Cに示される実施形態では、傾斜部(393)は、概して、遠位傾斜表面(391d)から管腔(392)の中へ延在する。傾斜部(393)は、傾斜しており、遠位傾斜面(391d)の角度と同様の角度をとり、それにより、誘導ワイヤ(500)は、直線構成を有するか、又は予め屈曲された及び/又は予め湾曲された構成を有するかにかかわらず、管腔(392)から出る際に傾斜部に寄りかかり、傾斜部によって案内され得る。傾斜部は、鋤又はシャベルとして成形されてもよい。図8Dに示されるように、誘導ワイヤは形状記憶特性を有することができ、それにより、誘導ワイヤは、中立形態にあるときに(実線を参照)遠位セグメント500dが近位セグメント500pに対してある角度で延在する予め屈曲された又は予め湾曲された構成を有し、外力又は拘束に曝されたときに(破線を参照)、例えば、管腔を通過するときに弾性的に真っ直ぐにすることができる。
【0087】
他の実施形態では、図8Eに示すように、傾斜部(393)は「Y」字形であり、2つの分岐プロング(393a、393b)と、それらの間の切欠き(393c)とが、側方開口部(390)内で誘導ワイヤ(500)を支持し、安定化させるのを助けることができるようなサイズ及び形状にされる。これに関して、誘導ワイヤ(500)は、誘導ワイヤ(500)の一部分を側方開口部(390)に対して延長した状態に維持するなど、カテーテル(320)に対して誘導ワイヤ(500)を概ね固定する際に、傾斜部のプロング(393a、393b)に当接するように構成されたリングストップ397(図8D参照)を含んでもよい。
【0088】
傾斜部(393)又はそのプロング(393a、393b)の長さは、長さが内径の約20%~約60%の範囲であり得るように、管腔(392)の内径に応じるか、又は関連してもよく、その結果、傾斜部は、誘導ワイヤが側方開口部(390)に向かって遠位に前進するときに、誘導ワイヤの遠位端をより良好に「捕捉」し、遠位セグメント(500d)を側方開口部(390)に向かって方向付け、供給するのを助けるように構成されている。
【0089】
図8Cに示されるように、遠位セグメント(500d)は、遠位に更に前進させられ、側方開口部(390)を出るとき、シャフト(322)の中間セグメント(320m)によって画定される第2の中心長手方向軸(L2)に対してある角度で延在する第3の中心長手方向軸(L3)を画定する。例えば、その可撓性又は形状記憶を含む、誘導ワイヤの構造及び構成に応じて、遠位セグメント(500d)及びそれによって画定される第3の中心長手方向軸(L3)は、第2の長手方向軸(L2)に対する角度に沿って延在し続けてもよく、又は第2の長手方向軸(L2)と平行に延在してもよい。
【0090】
図8F及び図8Gの実施形態に示されるように、誘導ワイヤは、形状記憶特性を有し、遠位セグメント500d及び近位セグメント500pがオフアングル横断セグメント500tによって接続される、「キンク」などの予め屈曲された又は予め湾曲された構成を伴って構成されてもよい。セグメント500d及び500pは、誘導ワイヤがその中立形態にあるとき(実線を参照)、平行だが同軸ではなく、外力又は制約を受けるとき(破線を参照)、例えば、管腔を通過するとき、弾性的に真っ直ぐにすることができる。したがって、誘導ワイヤは、管腔(392)を通して遠位に前進させられるとき、弾性的に直線構成をとることができ、遠位セグメント(500d)が傾斜部(393)に遭遇するとき、必要に応じて屈曲及び撓曲することができる。誘導ワイヤが遠位に前進し続けると、傾斜部は、側方開口部(390)を通って遠位セグメント(500d)を誘導する。横断セグメント500tが側方開口部(390)に進入した後、遠位セグメント(500d)及び第3の中心長手方向軸(L3)は、第2の中心長手方向軸(L2)と略平行に延在する。横断セグメント500tの位置は、誘導ワイヤの長さに沿った任意の適切な位置であってもよい。横断セグメント500tが側方開口部(390)内に留まる場合、遠位セグメント(500d)は、誘導ワイヤの遠位端が標的組織部位に達することができるように十分な長さを有する。
【0091】
図9に示されるように、本実施例の誘導ワイヤ先端部材(512)は、遠位先端(517)を有する円筒形本体(516)を含む。本実施例の遠位先端部(517)は、遠位先端部(517)が非外傷性であるように、ドーム形状を有する。いくつかの他の変形例では、遠位先端部(517)は、任意の他の好適な非外傷性構成を有してもよい。誘導ワイヤ先端部材(512)は、細長い部材(502)の遠位端(504)で、又はその近くで細長い部材(502)にしっかりと固定される。例えば、円筒形本体(516)は、細長い部材(502)の遠位端(504)を受容し、細長い部材(502)にしっかりと固定される近位ソケット(図示せず)を含んでもよい。単なる例として、誘導ワイヤ先端部材(512)は、細長い部材(502)に溶接され、細長い部材(502)にはんだ付けされ、接着剤又はエポキシを使用して細長い部材(502)に接着され、細長い部材(502)に圧入され、及び/又は任意の他の適切な方法で細長い部材(502)に固定されてもよい。
【0092】
また図9に最も良く示されるように、本実施例の誘導ワイヤ先端部材(512)はまた、円筒形本体(516)に装着された1つ又は2つ以上のEPマッピングリング状電極(518)を含む。EPマッピング電極(518)は、EPマッピング電極(518)と接触する組織から電位をピックアップするように構成されている。したがって、EPマッピング電極(518)を使用して、心臓血管解剖学的構造(例えば、肺静脈など)内の組織における異常な電気的活動の位置を決定することができる。EPマッピング電極(518)によってピックアップされた信号は、ビア又は他の構造を介して通信され、最終的にケーブル(30)を介してコンソール(12)の第1のドライバモジュール(14)に到達することができる。第1のドライバモジュール(14)は、EPマッピング信号を処理し、本明細書に引用されている様々な参考文献の教示に従って、異常な電気的活動の位置を示す対応するフィードバックを医師(PH)に提供することができる。EPマッピング電極(518)は、本明細書に引用されている様々な特許参考文献の教示に従って構築され、動作可能であってもよい。2つのEPマッピング電極(518)が示されているが、誘導ワイヤ先端部材(512)は、1つ又は3つ以上のEPマッピング電極(518)を含んでもよい。あるいは、誘導ワイヤ先端部材(512)は、EPマッピング電極(518)を完全に欠いていてもよい。
【0093】
いくつかの変形例では、誘導ワイヤ先端部材(512)は、電気エネルギーを標的組織に送達するように構成することができる。そのような電気エネルギーには、無線周波数(AC型)の電気エネルギー、パルス場(DC型)の電気エネルギー(例えば、不可逆的エレクトロポレーションなど)、又はいくつかの他の形態の電気エネルギーが含まれ得る。このようないくつかの場合、円筒状本体(516)は、金属などの導電性材料で形成されてもよい。誘導ワイヤ先端部材(512)が電気エネルギーを標的組織に送達するように構成されているいくつかの他の変形例では、誘導ワイヤ先端部材(512)は、円筒状本体(516)に固定された1つ又は2つ以上の導電性要素を含んでもよい。
【0094】
単に一例として、誘導ワイヤ(500)は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2022年1月4日に発行された「Guidewire with Ablation and Coagulation Functionality」と題する米国特許第11,213,344号、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年3月31日に発行された「Guidewires Having Improved Mechanical Strength and Electromagnetic Shielding」と題する米国特許第10,603,472号、及び/又は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年7月1日に公開された「Neurosurgery Guidewire with Integral Connector for Sensing and Applying Therapeutic Electrical Energy」と題する米国特許出願公開第2021/0196370号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され、かつ動作可能であり得る。
【0095】
いくつかの変形例では、誘導ワイヤ(500)は、細長い部材(502)にしっかりと固定された少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリ(図示せず)を含み、このナビゲーションセンサアセンブリは、上述したものと同様の方法などで、患者(PA)内の細長い部材(502)及び/又は先端部材(512)の位置及び向きを示す信号を(例えば、磁場発生器(20)によって生成される交流電磁場の存在に応答して)生成するように動作可能である。このようなナビゲーションセンサアセンブリは、単軸センサ(single-axis sensor、SAS)(例えば、単一の軸の周りに巻かれた単一の電磁コイルを有する)、二軸センサ(dual-axis sensor、DAS)(例えば、それぞれの軸の周りに巻かれた2つの電磁コイルを有する)、又は三軸センサ(triple-axis sensor、TAS)(例えば、それぞれの軸の周りに巻かれた3つの電磁コイルを有する)として構成されてもよい。追加的に又は代替的に、ナビゲーションセンサアセンブリは、フレキシブルプリント回路基板(printed circuit board、PCB)として構成されてもよい。単なる例として、このようなナビゲーションセンサアセンブリは、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2022年8月18日に公開された「Flexible Sensor Assembly for ENT Instrument」と題する米国特許出願公開第2022/0257093号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され、かつ動作可能であり得る。
【0096】
誘導ワイヤ(500)は、カテーテル(320)自体によって容易にアクセスされ得ない心臓(H)の領域にアクセスし、EPマッピング機能を提供するために、カテーテル(320)の内側管腔(392)内に摺動可能に受容されるものとして説明されているが、任意の他の好適な目的のために、任意の他の好適な種類の装置がカテーテル(320)の内側管腔(392)内に摺動可能に受容されてもよいことが理解されよう。例えば、第2のカテーテル(図示せず)が、誘導ワイヤ(500)の代わりにカテーテルアセンブリ(300)に組み込まれてもよい。このような第2のカテーテルは、誘導ワイヤ(500)に関して上述した特徴のうちの任意の1つ又は2つ以上を含んでもよい。
【0097】
ここで図10を参照すると、上記のように、カテーテルアセンブリ(300)は、カテーテル(320)の中間セグメント(320m)をカテーテル(320)の近位セグメント(320p)によって画定される第1の中心長手方向軸(L1)から離れる方向に偏向させ、エンドエフェクタ(340)及びカテーテル(320)の遠位セグメント(320d)をカテーテル(320)の中間セグメント(320m)によって画定された第2の中心長手方向軸(L2)から離れる方向に偏向させるように構成された偏向駆動アセンブリ(400)を含む。第1の長手方向軸及び第2の長手方向軸(L1、L2)は、中間セグメント(320m)が第1の長手方向軸(L1)から離れる方向に偏向されていないとき、互いに同一直線上にあり得ることが理解されよう。本実施例の偏向駆動アセンブリ(400)は、アクチュエータケーブル(360、370)と、一対のレバーアーム(420a、420b)を含むケーブルドライバアセンブリ(410)とを含む。図11A図13Eに関連して以下でより詳細に説明するように、医師(PA)は、レバーアーム(420a、420b)をハンドル(310)に対して互いに独立して作動させて、ケーブルドライバアセンブリ(410)が対応するアクチュエータケーブル(360、370)を作動させて、中間セグメント(320m)を第1の中心長手方向軸(L1)から離れる方向に選択的に偏向させ、及び/又はエンドエフェクタ(340)及び遠位セグメント(320d)を第2の中心長手方向軸(L2)から離れる方向に選択的に偏向させ、それによって医師(PH)が患者(PA)内でエンドエフェクタ(340)を能動的に操縦すること、及び/又はカテーテル(320)の遠位部分を患者(PA)の1つ又は2つ以上の解剖学的構造に対してしっかりと固定することを可能にすることができる。
【0098】
偏向駆動アセンブリ(400)の選択された部分は、ハンドル(310)に動作可能に連結される。ハンドル(310)は、内部空洞(302)を共に画定する第1のケーシング部分(312)と第2のケーシング部分(314)とを含むハウジング本体を含む。第1のケーシング部分(312)は、ケーブルドライバアセンブリ(410)の中央本体(412)を回転可能に収容するように寸法決めされた貫通孔(図示せず)を画定する。レバーアーム(420a、420b)の各々は、本明細書の説明に従って、中央本体(412)と好適に連結することができる。加えて、第1のケーシング部分(312)は、貫通孔の両側に位置し、ハンドル(310)に対するレバーアーム(420a、420b)の回転を制限するように構成された一対のストップ(図示せず)を含んでもよい。
【0099】
図12A及び12Bに最も良く示されるように、第2のケーシング部分(314)の内部は、隔壁(304)と、隔壁(304)の両側に位置する一対の張力調節チャネル(308)とを含む。隔壁(304)及びそれぞれの張力調節チャネル(308)は、摺動チャネル(306)を共に画定する。各摺動チャネル(306)は、それぞれの摺動本体(365、375)を摺動可能に収容する。摺動本体(365、375)は、それぞれのアクチュエータケーブル(360、370)に取り付けられる。摺動本体(365、375)及び摺動チャネル(306)は共に、本明細書の説明に従って摺動本体(365、375)から遠位に延在するアクチュエータケーブル(360、370)の部分の同時の対向する並進を誘導するのを補助することができる。
【0100】
張力調節チャネル(308)は、横方向に延在する矩形突起部の線形アレイを含む。張力調節チャネル(308)は、各々がまた横方向に延在する矩形突起部の相補的な線形アレイを有するそれぞれの張力ブロック(368、378)を受容するように構成される。張力ブロック(368、378)及び張力調節チャネル(308)の相補的な矩形突起部は、第2のケーシング部分(314)に対して張力ブロック(368、378)を長手方向に固定するように構成される。換言すれば、張力調節チャネル(308)は、張力ブロック(368、378)をハンドル(310)に対して固定するために、張力ブロック(368、378)をさね継ぎ方式で受容するように構成されている。張力ブロック(368、378)は、アクチュエータケーブル(360、370)の機械的接地として機能するために、調節チャネル(308)内の様々な好適な位置に沿って選択的に挿入することができる。張力ブロック(368、378)は、アクチュエータケーブル(360、370)内の張力を調節し、それによって、製造公差の変動、アクチュエータケーブル(360、370)の変形などの様々な要因によるアクチュエータケーブル(360、370)の長さの変動に適応するために、調節チャネル(308)内の様々な位置に沿って挿入することができる。
【0101】
アクチュエータケーブル(360、370)は、それぞれの中間部分(362、372)、遠位部分(364、374)(図7A~8Bに最も良く見られる)、及び近位端ブロック(366、376)(図12A図12Cに最も良く見られる)を含む。図12A図12Cに最も良く示されるように、近位端ブロック(366、376)は、張力ブロック(368、378)のすぐ遠位の張力調節チャネル(308)内に収容される。したがって、張力ブロック(368、378)は、近位端ブロック(366、376)が調節チャネル(308)内で近位に作動することを防止し、それによってアクチュエータケーブル(360、370)のための機械的接地として機能する。近位端ブロック(366、376)は、それぞれの中間部分(362、372)に固定される。張力ブロック(368、378)は、中間部分(362、372)が、ケーブルドライバアセンブリ(410)と好適に連結するために、調節チャネル(308)を通って近位端ブロック(366、376)から延在し得るように、中間部分(362、372)が延在する貫通孔を画定する。あるいは、張力ブロック(368、378)及びそれぞれの近位端ブロック(366、376)は、単一の部品から形成されてもよい。
【0102】
図7A~8Bに最もよく示されるように、それぞれの遠位部分(364、374)は、それぞれの中間部分(362、372)の外径よりも大きい外径(例えば、幅、厚さ、直径など)を有する。第1の遠位端部分(364)は、エンドエフェクタ(340)と連結されて、アクチュエータケーブル(360)がエンドエフェクタ(340)から外へ近位に引き出されるのを防止する一方、第2の遠位端部分(374)は、カテーテル(320)の中間セグメント(320m)の遠位端と連結されて、アクチュエータケーブル(370)が中間セグメント(320m)から近位に引き出されるのを防止する。本明細書の教示を考慮することで、アクチュエータケーブル(360、370)がエンドエフェクタ(340)及び中間セグメント(320m)と連結され得る(又はそれらに若しくはそれらの近傍に固定され得る)好適な方法が、当業者に明らかになるであろう。
【0103】
各アクチュエータケーブル(360、370)の遠位端部分(364、374)がカテーテル(320)の長さに沿った異なる位置でカテーテル(320)に固定された状態で、カテーテルは、有利には、それぞれのアクチュエータケーブルが延在するカテーテルの側部に沿って異なるそれぞれの偏向曲線を呈する。それぞれの偏向曲線はそれぞれの固定位置の位置で終わるため、カテーテルの異なる/対向する側の異なるそれぞれの固定位置は、必要に応じて又は所望に応じて非対称の偏向を提供する。
【0104】
中間部分(362、372)は、遠位部分(364、374)から、(図7A図8Bに最も良く示されるように)カテーテル(320)の細長い可撓性シャフト(322)を通って、(図410に最も良く示されるように)ケーブルドライバアセンブリ内へと近位に延在し、(図12A図12Cに最も良く示されるように)近位端ブロック(366、376)内に終端する。中間部分(362、372)は、遠位部分(364、374)と近位端ブロック(366、376)との間に延在するために、互いに連結された様々なセグメントを含み得る。中間部分(362、372)の様々なセグメントは、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかであるように、任意の好適な手段を介して連結されてもよい。中間部分(362、372)の各々は、対応するレバーアーム(420a、420b)のハンドル(310)に対する移動がそれぞれのアクチュエータケーブル(360、370)を作動させることができるように、ケーブルドライバアセンブリ(410)の対応する部分の周りに巻き付く。
【0105】
図12A及び図12Bで最も良く示されるように、ケーブルドライバアセンブリ(410)は、中央本体(412)を含み、レバーアーム(420a、420b)が中央本体(412)から横方向に延在する。中央本体(412)はハンドル(310)と固定的に連結され、ケーブルドライバアセンブリ(410)のレバーアーム(420a、420b)はそれぞれ、中央本体(412)を介してハンドル(110)と回転可能に連結される。具体的には、レバーアーム(420a、420b)はそれぞれ、互いに独立して駆動軸(D-A)を中心に回転するように構成されている。いくつかの変形例では、中央本体(412)は、レバーアーム(420a、420b)のそれぞれの部分を受容するように構成された一対の側方スロット(図示せず)を画定し得る。
【0106】
ケーブルドライバアセンブリ(410)のレバーアーム(420a、420b)は、駆動軸(D-A)を中心とした各レバーアーム(420a、420b)の回転が、対応するアクチュエータケーブル(360、370)を本明細書の説明に従って作動させるように、それぞれのアクチュエータケーブル(360、370)と連結するように構成される。各レバーアーム(420a、420b)は、ケーブル凹部(422)と、ケーブル凹部(422)内に延在するプラグ開口部(424)とを画定する。ケーブル凹部(422)は、対応するアクチュエータケーブル(360、370)の中間部分(362、372)を受容するように寸法決めされる一方、プラグ開口部(424)は、ケーブルプラグ(426)がそれぞれのレバーアーム(420a、420b)と共に作動するように、対応するケーブルプラグ(426)を受容するように寸法決めされる。各ケーブル凹部(422)は、中間部分(362、372)が対応するケーブルプラグ(426)の周囲に巻き付き得るように、対応するケーブルプラグ(426)を収容するように寸法決めされ、それによって、アクチュエータケーブル(360、370)の中間部分(362、372)をケーブルドライバアセンブリ(410)と好適に連結することができる。ケーブルプラグ(426)の各々は、ケーブルプラグ(426)の近位移動が中間部分(362、372)を近位に引くように、それぞれの中間部分(362、372)と相互作用する。
【0107】
図11A図13Cは、カテーテル(320)の中間セグメント(320m)をカテーテル(320)の近位セグメント(320p)によって画定される第1の中心長手方向軸(L1)から離れる方向に偏向させ、カテーテル(320)の中間セグメント(320m)によって画定される第2の中心長手方向軸(L2)から離れる方向にカテーテル(320)のエンドエフェクタ(340)及び遠位セグメント(320d)を偏向させるための偏向駆動アセンブリ(400)の例示的な使用を示す。図11A図12A、及び図13Aは、エンドエフェクタ(340)が中立の非偏向位置にあるときのカテーテルアセンブリ(300)の様々なセクションを示す。図11Aは、ハンドル(110)に対して中立の回転位置にあるレバーアーム(420a、420b)を示す。図12Aに最も良く示されるように、両方のレバーアーム(420a、420b)が中立回転位置にあるとき、摺動本体(365、375)、したがってアクチュエータケーブル(360、370)の各々は、図13Aに示されるような非偏向位置にあるエンドエフェクタ(340)に関連付けられた第1の長手方向位置にある。
【0108】
医師(PH)が、第1の中央長手方向軸(L1)に対して第1の方向にカテーテル(320)の中間セグメント(320m)を図13Bに示される偏向位置に偏向させることを望むとき、医師(PH)は、第2のレバーアーム(420b)をハンドル(310)に対して図11Bに示す位置まで回転させることができる。図12Bに最も良く示されるように、図11Bに示される回転位置への第2のレバーアーム(420b)の回転は、アクチュエータケーブル(370)に関連付けられたプラグ(426)を作動させて、アクチュエータケーブル(370)を近位に駆動する。アクチュエータケーブル(360)と関連付けられたプラグ(426)は、未作動のままであってもよい。
【0109】
アクチュエータケーブル(370)の近位並進は、摺動本体(375)をそれぞれの摺動チャネル(306)内で近位に駆動するが、摺動本体(365)は、図12Aのその位置に対して摺動チャネル(306)内で実質的に静止したままであってもよい。摺動本体(375)の近位並進は、摺動本体(375)から遠位に延在する中間部分(372)のセクション、及び遠位部分(374)を近位に駆動する。遠位部分(374)は、上述したように中間セグメント(320m)の遠位端から外へ近位に作動しない場合があるため、遠位部分(374)の近位並進により、中間セグメント(320m)を駆動して、図13Bに示す位置まで屈曲させる。中間セグメント(320m)のそのような偏向は、エンドエフェクタ(340)及び遠位セグメント(320d)の第1の方向への偏向をもたらし得ることが理解されよう。
【0110】
同様に、医師(PH)が、第1の長手方向軸及び/又は第2の長手方向軸(L1、L2)に対する第2の方向にエンドエフェクタ(340)及びカテーテル(320)の遠位セグメント(320d)を図13Cに示す偏向位置に偏向させることを望むとき、医師(PH)は、第1のレバーアーム(420a)をハンドル(310)に対して図11Cに示す位置まで回転させることができる。図12Cに最も良く示されるように、図11Cに示される回転位置への第1のレバーアーム(420a)の回転は、アクチュエータケーブル(360)に関連付けられたプラグ(426)を作動させて、アクチュエータケーブル(360)を近位に駆動する。アクチュエータケーブル(370)と関連付けられたプラグ(426)は、作動されたままであってもよい。
【0111】
アクチュエータケーブル(360)の近位並進は、摺動本体(365)を摺動チャネル(306)内で近位に駆動するが、摺動本体(375)は、図12Bのその位置に対して摺動チャネル(106)内で実質的に静止したままであってもよい。摺動本体(365)の近位並進は、摺動本体(365)から遠位に延在する中間部分(362)のセクション、及び遠位部分(364)を近位に駆動する。遠位部分(364)は、上述したようにエンドエフェクタ(340)から外へ近位に作動しない場合があるため、遠位部分(364)の近位並進により、遠位セグメント(320d)と共にエンドエフェクタ(340)を駆動して、図13Cに示す位置まで屈曲させる。
【0112】
図13Cに示すように、両方のアクチュエータケーブル(360、370)が近位に駆動されるように、両方のレバーアーム(420a、420b)がそれぞれの中立回転位置から離れる方向に回転するとき、カテーテル(320)の中間セグメント(320m)及び遠位セグメント(320d)は両方ともそれぞれの偏向状態にある。より具体的には、中間セグメント(320m)は、第1の平面内のカテーテル(320)の第1の側で第1の中心長手方向軸(L1)から離れる方向に偏向され、遠位セグメント(320d)は、第1の平面内のカテーテル(320)の第2の側で第2の中心長手方向軸(L2)から離れる方向に偏向され、その結果、カテーテル(320)は、第1の平面内で非対称の偏向、例えば、「S」形状などの蛇行形状を呈し得る。
【0113】
カテーテル(320)の中間セグメント(320m)及び遠位セグメント(320d)が両方とも偏向されるときにカテーテル(320)によって示される特定の形状は、図13Cに示される「S」形状とは異なってもよいことが理解されよう。図示される実施例では、中間セグメント及び遠位セグメント(320m、320d)はそれぞれ、それぞれの長手方向軸(L1、L2)に対して略直角に偏向される。いくつかの変形例では、中間セグメント及び遠位セグメント(320m、320d)の各々は、部分的にのみ偏向されてもよく、その結果、中間セグメント及び遠位セグメント(320m、320d)の各々は、それぞれの長手方向軸(L1、L2)に対して略鈍角に偏向させて、カテーテル(320)に図13Cに示されるものよりも鋭くない「S」形状を付与してもよい。追加的に又は代替的に、カテーテル(320)の中間セグメント(320m)及び遠位セグメント(320d)が両方とも完全に偏向したときにカテーテル(320)によって示される特定の形状は、調節チャネル(308)内の張力ブロック(368、378)の位置、中間セグメント及び遠位セグメント(320m、320d)の剛性、及び/又はレバーアーム(420a、420b)の回転範囲を調節することによって変更することができる。例えば、このような調節は、中間セグメント及び遠位セグメント(320m、320d)の偏向の範囲を制限することができ、それにより、中間セグメント及び遠位セグメント(320m、320d)の各々は、それぞれの長手方向軸(L1、L2)に対して概して鈍角で偏向されて、カテーテル(320)に図13Cに示されるものよりも鋭くない「S」形状を付与することができる、又は中間セグメント及び遠位セグメント(320m、320d)の偏向の範囲を拡張することができ、それにより、中間セグメント及び遠位セグメント(320m、320d)はそれぞれ、それぞれの長手方向軸(L1、L2)に対して概して鋭角で偏向されて、カテーテル(320)に図13Cに示されるものよりも鋭くない「S」形状を付与することができる。
【0114】
中間セグメント(320m)及び遠位セグメント(320d)がそれぞれの偏向状態にあるとき、カテーテル(320)は、管腔などの1つ又は2つ以上の解剖学的構造の内面の様々な部分に摩擦係合するように構成されてもよい。例えば、遠位セグメント(320d)は、それぞれの偏向状態にあるとき、心臓(H)又はその近くの少なくとも1つの第1の血管(例えば、左心房の斜静脈)の内面の対応する部分に摩擦係合するように構成されてもよく、中間セグメント(320m)は、心臓(H)又はその近くの少なくとも1つの第2の血管(例えば、冠状静脈洞)の内面の対応する部分に摩擦係合するように構成されてもよい。このようにして、中間セグメント及び遠位セグメント(320m、320d)は、それぞれの偏向状態にあるときに互いに協働して、カテーテル(320)をそのような血管(複数可)の内面(複数可)に対して留める(例えば、くさび留めする)か又は別様に固定し、それによって、心臓(H)内でのカテーテル(320)(エンドエフェクタ(340)を含む)の不注意な滑り又は他の望ましくない移動を阻止し、したがって、EPマッピング又は組織アブレーションなどのカテーテル(320)を使用して実施される他の動作の精度を改善するように構成することができる。ハンドル(310)は、アクチュエータケーブル(360、370)に選択的に張力をかけてカテーテル(320)を適所にしっかりと固定するための任意の好適な張力機構を含んでもよく、張力ノブなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
互いに独立してアクチュエータケーブル(360、370)を駆動するために使用され得る様々な他の好適な機構は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0116】
いくつかの処置では、誘導ワイヤ(500)は、図13Dに示すように、中間セグメント(320m)及び遠位セグメント(320d)がそれぞれの偏向状態にある間に、側方開口部(390)を通ってカテーテル(320)の内側管腔(392)から外へ遠位に前進させることができる。中間セグメント(320m)の遠位端又はその近くに側方開口部(390)を位置決めすることにより、誘導ワイヤ(500)は、中間セグメント(320m)と共に偏向させることができるが、遠位セグメント(320d)と共に偏向されなくてもよい。結果として、誘導ワイヤ(500)は、遠位セグメント(320d)が延在する経路から逸脱した経路に沿って前進させられ、それによって、カテーテル(320)が適所に固定されたままで、カテーテル(320)が配置される領域とは異なる心臓(H)の領域において、誘導ワイヤ(500)がアクセスし、EPマッピング又は他の操作を実行することを可能にし得る。例えば、誘導ワイヤ(500)は、中間セグメント及び遠位セグメント(320m、320d)がそれぞれの偏向状態にある間に側方開口部(390)を通って遠位に前進するときに、中間セグメント及び遠位セグメント(320m、320d)によって係合される血管(例えば、左心房の斜静脈及び冠状静脈洞)とは異なる心臓(H)の少なくとも1つの血管(例えば、大心静脈)にアクセスするように構成することができる。
【0117】
いくつかの処置では、遠位セグメント(320d)の少なくとも一部分は、カテーテル(320)の遠位セグメント(320d)が図13Eに示されるように第2の平面において「J」形状などのフック形状を呈し得るように、第1の平面を横切る(例えば、垂直な)第2の平面において更に偏向され得る。例えば、偏向駆動アセンブリ(400)は、カテーテル(320)の長さに沿って延在してエンドエフェクタ(340)に到達する第3のアクチュエータケーブル(図示せず)を含むことができ、第3のアクチュエータケーブルは、選択的に近位に作動されて、エンドエフェクタ(340)を遠位セグメント(320d)と共に駆動して、図13Eに示す位置に屈曲させることができる。ハンドル(310)は、スライダ、枢動ロッカー、ダイヤルなどを含むがこれらに限定されない、第3のアクチュエータケーブルのそのような作動を駆動するための任意の好適な作動特徴部を含んでもよい。そのような第3のアクチュエータケーブルを駆動するために使用され得る様々な他の好適な機構は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。いくつかの実施形態では、第1のアクチュエータケーブル及び第2のアクチュエータケーブル(360、370)は、図13Fに示されるように、シャフト(322)の管腔(392)の第1の直径(D1)上で互いに正反対に位置する。第3のアクチュエータケーブル373は、第1の直径(D1)に略垂直である異なる直径(D2)上に位置してもよい。別の第3又は第4のアクチュエータケーブル377は、第1の直径(D1)に垂直ではない異なる直径(D3)上に位置してもよい。アクチュエータケーブル373の作動は、第1の直径(D1)によって画定される平面に略垂直な直径(D2)によって画定される平面内でのシャフト(322)の偏向を可能にする。アクチュエータケーブル377の作動は、第1の直径(D1)によって画定される平面から角度オフセットされた直径(D3)によって画定される平面内でのシャフト(322)の偏向を可能にする。
【0118】
上述のように、他の好適な機構を使用して、カテーテル(320)の中間セグメント(320m)及び遠位セグメント(320d)を偏向させるために第1のアクチュエータケーブル及び第2のアクチュエータケーブル(360、370)を駆動してもよい。図14は、第1のアクチュエータケーブル及び第2のアクチュエータケーブル(360a、370a)を含む偏向駆動アセンブリ(400a)の別の例の一部分を示す。図示される実施例では、第1のアクチュエータケーブル及び第2のアクチュエータケーブル(360a、370a)は、それぞれの遠位部分(図示せず)から(例えば、カテーテル(320)の細長い可撓性シャフト(322)を通って)近位に延在し、それぞれの近位端ブロック(366a、376a)内で終端するそれぞれの中間部分(362a、372a)を含む。第1のアクチュエータケーブル(360a)の遠位部分は、エンドエフェクタ(340)と連結されて、アクチュエータケーブル(360a)がエンドエフェクタ(340)から外へ近位に引き出されるのを防止することができる一方、第2のアクチュエータケーブル(370a)の遠位部分は、カテーテル(320)の中間セグメント(320m)の遠位端と連結されて、アクチュエータケーブル(370a)が中間セグメント(320m)から外へ近位に引き出されるのを、上記と同様の方法で防止することができる。図示される実施例では、第2のアクチュエータケーブル(370a)は、アクチュエータケーブル(360a、360a)が互いに独立して駆動されることを可能にしつつ、アクチュエータケーブル(360a、370a)が互いに対して同軸に配置され得るように、第1のアクチュエータケーブル(370a)を摺動可能に受容するように構成された管腔(371)を含む。いくつかの変形例では、図14に示されるものと同様の一対の同軸に配置されたアクチュエータケーブルが、アクチュエータケーブル(360、370)の代わりに偏向駆動アセンブリ(400)に組み込まれてもよく、例えば、カテーテル(320)が第1の平面において逆「S」字形状(例えば、第1の中心長手方向軸(L1)に対して図13Cに示される「S」字形状の鏡像)を呈し得るように、第1の平面においてカテーテル(320)の第2の側で第1の中心長手方向軸(L1)から離れる方向の中間セグメント(320m)の偏向、及び第1の平面においてカテーテル(320)の第1の側で第2の中心長手方向軸(L2)から離れる方向の遠位セグメント(320d)の偏向を可能にする。
【0119】
ここで図15A~15Hを参照すると、カテーテルアセンブリ(300)の使用例において、カテーテル(320)は、最初に、患者(PA)の主要な静脈又は動脈(例えば、大腿静脈)に挿入され(例えば、患者(PA)の脚又は鼠径部を介して)、次いで、図15Aに示されるように、患者(PA)の下大静脈(IVC)内にカテーテル(320)の中間セグメント及び遠位セグメント(320m、320d)を位置決めするために、静脈又は動脈に沿って遠位に前進させることができる。次いで、医師(PH)は、例えば、図15Bに示すように、上述した方法で中間セグメント(320m)を偏向させることによって、及び/又はカテーテル(320)を遠位に前進させ続けることによって、遠位セグメント(320d)を患者(PA)の冠状静脈洞(CS)内へと操縦することができる。例えば、医師(PH)は、ハンドル(310)に対して第2のレバーアーム(420b)を図11Bに示される位置まで回転させて、それによって中間セグメント(320m)を第1の方向に偏向させることができ、これにより、遠位セグメント(320d)を第1の方向に偏向させて、遠位セグメント(320d)を冠状静脈洞(CS)とほぼ整列させることができる。いくつかの処置では、遠位セグメント(320d)を冠状静脈洞(CS)内に操縦することは、開口部(390)を患者(PA)の大心臓静脈(GCV)とほぼ位置合わせさせることを含むことができる。
【0120】
次に、医師(PH)は、図15Cに示すように、上述した方法で遠位セグメント(320d)を偏向させること、及び/又はカテーテル(320)を遠位に前進させ続けることなどによって、遠位セグメント(320d)を患者(PA)の左心房(OV)の斜静脈内に操縦することができる。例えば、医師(PH)は、ハンドル(310)に対して第1のレバーアーム(420a)を図11Cに示す位置まで回転させ、それによって遠位セグメント(320d)を第2の方向に偏向させて、遠位セグメント(320d)を左心房(OV)の斜静脈とほぼ位置合わせさせることができる。いくつかの処置では、遠位セグメント(320d)を左心房(OV)の斜静脈内に操縦することは、開口部(390)を大心静脈(GCV)とほぼ位置合わせさせることを含むことができる。遠位セグメント(320d)が左心房(OV)の斜静脈内に適切に位置決めされると、医師(PH)は、図15Dに示されるように、カテーテル(320)を定位置にしっかりと固定するために、アクチュエータケーブル(360、370)に張力をかけることなどによって、一方又は両方のセグメント(320m、320d)の偏向を調節することができる。遠位セグメント(320d)は、左心房(OV)の斜静脈に摩擦係合し、中間セグメント(320m)は、冠状静脈洞(CS)に摩擦係合して、それぞれの偏向状態にあることによってカテーテル(320)を心臓(H)内にしっかりと固定することができることが理解されよう。換言すれば、図15Dに示され、上述されたようなセグメント(320d、320m)の位置決めは、心臓(H)に対するカテーテル(320)の機械的接地を効果的に提供することができる。
【0121】
いくつかの処置では、いったんカテーテル(320)が適切に固定されると、医師(PH)は、図15Dに示すように、誘導ワイヤ(500)を開口部(390)を通って大心臓静脈(GCV)内に遠位に前進させることができる。カテーテル(320)が上記のように心臓(H)に対して固定/接地されると、このような固定/接地は、誘導ワイヤ(500)が大心臓静脈(GCV)内に前進するときに生じ得るカテーテル(320)の滑りを防止することができる。したがって、誘導ワイヤ(500)は、上述のようにカテーテル(320)が心臓(H)に対して固定/接地されていない場合に生じるよりもはるかに制御された様式で、大心臓静脈(GDV)に沿って移動することができる。誘導ワイヤ(500)が大心臓静脈(GCV)内に好適に配置された状態で、医師(PH)は次に誘導ワイヤ(500)を操作して、EPマッピング、アブレーション、又は大心臓静脈(GCV)内の任意の他の種類の操作を提供することができる。
【0122】
追加的に又は代替的に、医師(PH)は、カテーテル(320)を操作して、左心房(OV)の斜静脈におけるEPマッピング、アブレーション、又は任意の他の種類の操作を提供することができる。例えば、カテーテル(320)が適切に固定されると、医師(PH)は次に、閉塞バルーン(380、382)をそれぞれの拡張状態に移行させることができ、それにより、図15Eに示すように、閉塞バルーン(380、382)は左心房(OV)の斜静脈の内面の対応する部分に封止係合して、閉塞バルーン(380、382)間の左心房(OV)の斜静脈の領域を閉塞バルーン(380、382)を越えた左心房(OV)の斜静脈の領域から流体的に隔離する。いったん閉塞バルーン(380、382)間の左心房(OV)の斜静脈の領域が好適に流体的に隔離されると、次いで、医師(PH)は、図15Fに示されるように、アブレーション流体送達ポート(358)を介して、左心房(OV)の斜静脈の流体的に隔離された領域にアブレーション流体を送達し、それによって、流体的に隔離された領域内の標的組織をアブレーションすることができる。
【0123】
標的組織が適切にアブレーションされた後、医師(PH)は、図15Gに示されるように、アブレーション流体送達ポート(358)などを介して、左心房(OV)の斜静脈の流体的に隔離された領域に吸引を適用し、任意の残留アブレーション流体を流体的に隔離された領域から排出することができる。残りのアブレーション流体が左心房(OV)の斜静脈の流体的に隔離された領域から適切に排出されると、医師(PH)は次に、図15Hに示すように、閉塞バルーン(380、382)が左心房(OV)の斜静脈の内面の対応する部分から係合解除されるように、閉塞バルーン(380、382)をそれぞれの非拡張状態に移行させることができる。次いで、医師(PH)は、患者(PA)からカテーテル(320)を引き抜くことができる。
【0124】
上述したように、流体アブレーションは単に任意選択的なものであり、エンドエフェクタ(340)の他の変形例は、1つ又は2つ以上の電極を介して左心房(OV)の斜静脈内に電気アブレーションを提供することができる。それにもかかわらず、そのような変形例は、図15Cを参照して上述したように位置決めすることができる。更に別の変形例として、エンドエフェクタ(340)は、左心房(OV)の斜静脈内にアブレーションを提供することに加えて、又はその代わりに、左心房(OV)の斜静脈内にEPマッピングを提供することができる。更に別の変形例として、カテーテル(320)は、アブレーション及び/又はEPマッピング特徴及び能力を欠いてもよい。いくつかのそのような変形例では、カテーテル(320)は、心臓(H)内の誘導ワイヤ(500)のための機械的接地/アンカーを単に提供するだけである。アブレーション及び/又はEPマッピング特徴及び能力を含むカテーテル(320)のいくつかの変形例は、側方開口部(390)及び誘導ワイヤ(500)を省略してもよい。それにもかかわらず、いくつかのそのような変形例は、依然として、上述のような「S」字形曲線を達成する能力を有し得る。
【0125】
前述の実施例は、左心房(OV)の斜静脈におけるカテーテル(320)の使用、及び大心臓静脈(GCV)における誘導ワイヤ(500)の使用を説明しているが、カテーテル(320)及び誘導ワイヤ(500)は、代替的に、様々な他の解剖学的構造において使用されてもよい。例えば、図16に示されるように、カテーテル(320)は、最初に、(例えば、患者(PA)の脚又は鼠径部を介して)患者(PA)の主要な静脈又は動脈(例えば、大腿静脈)に挿入され、次いで、静脈又は動脈に沿って遠位に前進させられ、及び/又は上記と同様の様式で操縦され、カテーテル(320)の中間セグメント(320m)を患者(PA)の右心房(RA)内に位置決めし、カテーテル(320)の遠位セグメント(320d)を患者(PA)の右室流出路(RVOT)内に位置決めすることができる。図示されるように、医師(PH)は、誘導ワイヤ(500)を開口部(390)を通って患者(PA)の右心室(RV)内に遠位に前進させることができる。次に、医師(PH)は、誘導ワイヤ(500)を操作して右心室(RV)におけるEPマッピング、アブレーション、又は任意の他の種類の操作を提供することができる、及び/又はカテーテル(320)を操作して右室流出路(RVOT)におけるEPマッピング、アブレーション、又は任意の他の種類の操作を提供することができる。
【0126】
カテーテル(320)の「S」形状は、図16に示されるように、右室流出路(RVOT)にアクセスするために使用されるとき、図15A~15Hに示されるように、左心房(OV)の斜静脈にアクセスするために使用されるときのカテーテル(320)の「S」形状よりも実質的により鋭く湾曲され得ることが理解されるであろう。例えば、中間セグメント及び遠位セグメント(320m、320d)の各々は、左心房(OV)の斜静脈にアクセスするために使用されるとき、それぞれの長手方向軸(L1、L2)に対して概して直角又は鈍角に偏向させることができ、右室流出路(RVOT)にアクセスするために使用されるとき、それぞれの長手方向軸(L1、L2)に対して概して鋭角に偏向させることができる。場合によっては、単一のカテーテル(320)が、いずれかの動作を実行するのに適した偏向範囲を有し得る。
【0127】
III.組み合わせの例
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせる又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願又は本出願のその後の出願において任意の時点で提示され得る特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。一切の権利放棄が意図されていない。以下の実施例は、単に例示的な目的で提供されているに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用され得ることが企図される。また、いくつかの変形例では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略し得ることも企図される。したがって、以下に言及される態様又は特徴のいずれも、本発明者ら又は本発明者らの権利相続人によって後にそのように明示的に示されていない限り、重要であるとみなされるべきではない。本出願又は本出願に関連する後続の出願において提示される特許請求の範囲が、以下に言及されるもの以外の追加の特徴を含む場合、それらの追加の特徴は、特許性に関するいかなる理由で追加されたものとみなされるべきではない。
【実施例0128】
装置であって、(a)本体と、(b)本体から遠位に延在するカテーテルであって、(i)第1の長手方向軸を画定する近位セグメントと、(ii)第2の長手方向軸を画定する中間セグメントと、(iii)遠位セグメントと、を含む、カテーテルと、(c)偏向アセンブリであって、中間セグメントを第1の長手方向軸から離れる方向に偏向させ、遠位セグメントを第2の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成され、(i)本体に関連付けられた第1の入力部材と、(ii)本体に関連付けられた第2の入力部材と、(iii)中間セグメントに結合された第1の並進アセンブリであって、第1の入力部材が第1の並進アセンブリを駆動して中間セグメントを第1の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成されている、第1の並進アセンブリと、(iv)遠位セグメントに結合された第2の並進アセンブリであって、第2の入力部材が第2の並進アセンブリを駆動して遠位セグメントを第2の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成されている、第2の並進アセンブリとを含む、偏向アセンブリと、を備える、装置。
【実施例0129】
第1の並進アセンブリ及び第2の並進アセンブリは、第1のアクチュエータケーブル及び第2のアクチュエータケーブルをそれぞれ含む、実施例1に記載の装置。
【実施例0130】
第1の入力部材及び第2の入力部材は、第1の並進アセンブリ及び第2の並進アセンブリをそれぞれ互いに独立して駆動するように構成されている、実施例1又は2に記載の装置。
【実施例0131】
第1の入力部材及び第2の入力部材は、駆動軸を中心として本体に対して回転するように構成された第1のレバーアーム及び第2のレバーアームをそれぞれ含む、実施例1~3のいずれか1つに記載の装置。
【実施例0132】
駆動軸は、長手方向軸に対して垂直である、実施例4に記載の装置。
【実施例0133】
カテーテルの遠位セグメントから遠位に延在するエンドエフェクタを更に備える、実施例1~5のいずれか1つに記載の装置。
【実施例0134】
エンドエフェクタは、アブレーション流体を標的組織に送達するように構成された少なくとも1つのアブレーション流体ポートを含む、実施例6に記載の装置。
【実施例0135】
エンドエフェクタは、それぞれの非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成された一対の閉塞バルーンを含み、少なくとも1つのアブレーション流体ポートは、一対の閉塞バルーンの間に長手方向に介在する、実施例7の装置。
【実施例0136】
エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極を含む、実施例6~8のいずれか1つに記載の装置。
【実施例0137】
少なくとも1つの電極は、電気エネルギーを放出するように構成されている、実施例9に記載の装置。
【実施例0138】
少なくとも1つの電極は、電気生理学的マッピングを実行するように構成されている、実施例9~10のいずれか1つに記載の装置。
【実施例0139】
エンドエフェクタは、位置センサを含む、実施例6~11のいずれか1つに記載の装置。
【実施例0140】
カテーテルは、誘導ワイヤを摺動可能に受容するように構成された内側管腔を含み、中間セグメントは、誘導ワイヤを内側管腔から外へ方向付けるように構成された開口部を含む、実施例1~12のいずれか1つに記載の装置。
【実施例0141】
開口部は、誘導ワイヤを内側管腔から外へ第2の長手方向軸に対して横方向に方向付けるように構成されている、実施例13に記載の装置。
【実施例0142】
開口部は、誘導ワイヤを第2の長手方向軸に平行に内側管腔から外へ方向付けるように構成されている、実施例13に記載の装置。
【実施例0143】
装置であって、(a)可撓性カテーテルであって、(i)第1の長手方向軸を画定する近位セグメントと、(ii)第2の長手方向軸を画定する中間セグメントと、(iii)遠位セグメントと、を含む、可撓性カテーテルと、(b)カテーテルの遠位セグメントから遠位に延在するエンドエフェクタであって、アブレーション流体を標的組織に送達するように構成された少なくとも1つのアブレーション流体ポートを含む、エンドエフェクタと、(c)中間セグメントを第1の長手方向軸から離れる方向に偏向させ、かつ遠位セグメント及びエンドエフェクタを第2の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成された偏向アセンブリと、を備える、装置。
【実施例0144】
エンドエフェクタは、それぞれの非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成された一対の閉塞バルーンを含み、少なくとも1つのアブレーション流体ポートは、一対の閉塞バルーンの間に長手方向に介在する、実施例16の装置。
【実施例0145】
装置であって、(a)可撓性カテーテルであって、(i)第1の長手方向軸を画定する近位セグメントと、(ii)第2の長手方向軸を画定し、開口部を含む中間セグメントと、(iii)遠位セグメントと、(iv)近位セグメント及び中間セグメントに沿って開口部まで延在する内側管腔と、を含む、可撓性カテーテルと、(b)内側管腔内に摺動可能に配置された誘導ワイヤであって、開口部は、誘導ワイヤを内側管腔から外へ方向付けるように構成されている、誘導ワイヤと、(c)中間セグメントを第1の長手方向軸から離れる方向に偏向させ、遠位セグメントを第2の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成されている、偏向アセンブリと、を備える、装置。
【実施例0146】
誘導ワイヤは、少なくとも1つの電極を含む、実施例18に記載の装置。
【実施例0147】
少なくとも1つの電極は、電気生理学的マッピングを実行するように構成されている、実施例19に記載の装置。
【0148】
IV.その他
本明細書に記載の器具のいずれも、処置前及び/又は処置後に洗浄及び滅菌することができる。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックのような密閉及び封止された容器に入れる。次に、容器及びデバイスは、ガンマ線、X線、又は高エネルギー電子線など、容器を透過することができる放射線場に置かれ得る。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌されたデバイスは、後の使用のために、滅菌容器内に保管され得る。デバイスはまた、限定されないが、ベータ線又はガンマ線、エチレンオキシド、過酸化水素、過酢酸、及びガスプラズマ又は水蒸気を伴う又は伴わない気相滅菌を含む当技術分野で既知の任意の他の技術を使用して滅菌されてもよい。
【0149】
本明細書に記載の実施例のいずれも、上述のものに加えて又はそれらに代わって、様々な他の特徴を含み得ることを理解されたい。単なる例として、本明細書に記載の実施例のいずれも、参照により本明細書に組み込まれている様々な参考文献のいずれかに開示されている様々な特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【0150】
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができることを理解されたい。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法は、本明細書の教示に鑑みて当業者には容易に明らかであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0151】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、刊行物、又は他の開示内容の全部又は一部は、組み込まれる内容が本開示に記載されている既存の定義、見解、又は他の開示内容と矛盾しない範囲でのみ、本明細書に組み込まれることを理解されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾するあらゆる内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0152】
本発明の様々な変形例について図示し説明してきたが、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適応は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な修正によって達成することができる。そのような可能な修正のいくつかについて述べたが、その他の修正は当業者には明らかであろう。例えば、上述の実施例、変形例、幾何学的形状、材料、寸法、比率、ステップなどは例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に関して考慮されるべきであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び操作の詳細に限定されないことが理解される。
【0153】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)ハウジング本体と、
(b)前記ハウジング本体から遠位に延在するカテーテルシャフトであって、
(i)第1の長手方向軸を画定する近位セグメントと、
(ii)第2の長手方向軸を画定する中間セグメントと、
(iii)遠位セグメントと、を含む、カテーテルシャフトと、
(c)前記中間セグメントを前記第1の長手方向軸から離れる方向に偏向させ、前記遠位セグメントを前記第2の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成された偏向アセンブリであって、
(i)第1の入力部材と、
(ii)第2の入力部材と、
(iii)前記中間セグメントに連結された第1の並進アセンブリであって、前記第1の入力部材が、前記第1の並進アセンブリを駆動して、前記中間セグメントを前記第1の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成されている、第1の並進アセンブリと、
(iv)前記遠位セグメントに連結された第2の並進アセンブリであって、前記第2の入力部材が、前記第2の並進アセンブリを駆動して、前記遠位セグメントを前記第2の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成されている、第2の並進アセンブリと、を含む、偏向アセンブリと、を備える、装置。
(2) 前記第1の並進アセンブリ及び前記第2の並進アセンブリは、第1のアクチュエータケーブル及び第2のアクチュエータケーブルをそれぞれ含む、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記第1の入力部材及び前記第2の入力部材は、前記第1の並進アセンブリ及び前記第2の並進アセンブリをそれぞれ互いに独立して駆動するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記第1の入力部材及び前記第2の入力部材は、駆動軸を中心として前記本体に対して回転するように構成された第1のレバーアーム及び第2のレバーアームをそれぞれ含む、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記駆動軸は、前記長手方向軸に対して垂直である、実施態様4に記載の装置。
【0154】
(6) 前記カテーテルの前記遠位セグメントから遠位に延在するエンドエフェクタを更に備える、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記エンドエフェクタは、アブレーション流体を標的組織に送達するように構成された少なくとも1つのアブレーション流体ポートを含む、実施態様6に記載の装置。
(8) 前記エンドエフェクタは、それぞれの非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成された一対の閉塞バルーンを含み、前記少なくとも1つのアブレーション流体ポートは、前記一対の閉塞バルーンの間に長手方向に介在する、実施態様7に記載の装置。
(9) 前記エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極を含む、実施態様6に記載の装置。
(10) 前記少なくとも1つの電極は、電気エネルギーを放出するように構成されている、実施態様9に記載の装置。
【0155】
(11) 前記少なくとも1つの電極は、電気生理学的マッピングを実行するように構成されている、実施態様9に記載の装置。
(12) 前記エンドエフェクタは、位置センサを含む、実施態様6に記載の装置。
(13) 前記カテーテルシャフトは、誘導ワイヤを摺動可能に受容するように構成された内側管腔を含み、前記中間セグメントは、前記誘導ワイヤを前記内側管腔から外へ方向付けるように構成された開口部を含む、実施態様1に記載の装置。
(14) 前記開口部は、前記誘導ワイヤを前記第2の長手方向軸に対して横方向に前記内側管腔から外へ方向付けるように構成されている、実施態様13に記載の装置。
(15) 前記開口部は、前記誘導ワイヤを前記第2の長手方向軸に平行に前記内側管腔から外へ方向付けるように構成されている、実施態様13に記載の装置。
【0156】
(16) 前記開口部は、前記カテーテルシャフトの側壁に形成されている、実施態様13に記載の装置。
(17) 前記開口部は、前記シャフトの前記中間セグメントの側壁に形成されている、実施態様13に記載の装置。
(18) 前記開口部は、前記カテーテルシャフトの側壁に構成された遠位傾斜面を含む、実施態様13に記載の装置。
(19) 前記カテーテルシャフトは、前記開口部に配置された傾斜部を含む、実施態様13に記載の装置。
(20) 前記傾斜部は、前記中間セグメントの前記長手方向軸に対してある角度で延在する、実施態様19に記載の装置。
【0157】
(21) 前記傾斜部は、Y構成を含む、実施態様19に記載の装置。
(22) 前記傾斜部は、第1の分岐プロング及び第2の分岐プロングを含む、実施態様19に記載の装置。
(23) 前記傾斜部は、第1の分岐プロング及び第2の分岐プロングを含み、前記誘導ワイヤは、前記第1の分岐プロング及び前記第2の分岐プロングに係合するように構成されたリングストップを含む、実施態様19に記載の装置。
(24) 前記誘導ワイヤは、前記誘導ワイヤが中立形態にあるときに所定の予め屈曲された構成を含む、実施態様13に記載の装置。
(25) 前記誘導ワイヤは、形状記憶構造を含む、実施態様13に記載の装置。
【0158】
(26) 前記誘導ワイヤは、遠位セグメントと、近位セグメントと、それらの間の横断セグメントと、を含み、前記誘導ワイヤが中立形態にあるとき、前記遠位セグメント及び前記近位セグメントは平行であるが同軸ではない、実施態様13に記載の装置。
(27) 装置であって、
(a)可撓性カテーテルであって、
(i)第1の長手方向軸を画定する近位セグメントと、
(ii)第2の長手方向軸を画定する中間セグメントと、
(iii)遠位セグメントと、を含む、可撓性カテーテルと、
(b)前記カテーテルの前記遠位セグメントから遠位に延在するエンドエフェクタであって、アブレーション流体を標的組織に送達するように構成された少なくとも1つのアブレーション流体ポートを含む、エンドエフェクタと、
(c)前記中間セグメントを前記第1の長手方向軸から離れる方向に偏向させ、前記遠位セグメント及び前記エンドエフェクタを前記第2の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成された偏向アセンブリと、を備える、装置。
(28) 前記エンドエフェクタは、それぞれの非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成された一対の閉塞バルーンを含み、前記少なくとも1つのアブレーション流体ポートは、前記一対の閉塞バルーンの間に長手方向に介在する、実施態様27に記載の装置。
(29) 装置であって、
(a)可撓性カテーテルであって、
(i)第1の長手方向軸を画定する近位セグメントと、
(ii)第2の長手方向軸を画定し、開口部を含む中間セグメントと、
(iii)遠位セグメントと、
(iv)前記近位セグメント及び前記中間セグメントに沿って前記開口部まで延在する内側管腔と、を含む、可撓性カテーテルと、
(b)前記内側管腔内に摺動可能に配置された誘導ワイヤであって、前記開口部が前記誘導ワイヤを前記内側管腔から外へ方向付けるように構成されている、誘導ワイヤと、
(c)偏向アセンブリであって、前記中間セグメントを前記第1の長手方向軸から離れる方向に偏向させ、前記遠位セグメントを前記第2の長手方向軸から離れる方向に偏向させるように構成されている、偏向アセンブリと、を備える、装置。
(30) 前記誘導ワイヤが、少なくとも1つの電極を含む、実施態様29に記載の装置。
【0159】
(31) 前記少なくとも1つの電極は、電気生理学的マッピングを実行するように構成されている、実施態様30に記載の装置。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図15G
図15H
図16
【外国語明細書】