(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046637
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】大豆原料含有組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/48 20060101AFI20240327BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240327BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240327BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20240327BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240327BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240327BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240327BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240327BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20240327BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240327BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240327BHJP
A61K 9/28 20060101ALI20240327BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240327BHJP
A23L 33/24 20160101ALI20240327BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240327BHJP
A23L 29/262 20160101ALI20240327BHJP
A23L 29/30 20160101ALI20240327BHJP
【FI】
A61K36/48
A61P15/00
A61P13/08
A61P19/10
A61P3/06
A61P35/00
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/40
A61K47/02
A61K47/12
A61K9/28
A23L33/105
A23L33/24
A23L5/00 F
A23L29/262
A23L29/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023155485
(22)【出願日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2022151646
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000206956
【氏名又は名称】大塚製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 竜介
(72)【発明者】
【氏名】星澤 奈央子
(72)【発明者】
【氏名】栃尾 信治
(72)【発明者】
【氏名】野呂 尚人
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
4B041
4C076
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LE02
4B018MD04
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4C088CA25
4C088MA35
4C088MA52
4C088NA20
4C088ZA81
4C088ZA97
4C088ZB26
4C088ZC33
(57)【要約】
【課題】改良された大豆原料含有組成物を提供すること。
【解決手段】下記(1)から(4)の成分を含有する、組成物:
(1)大豆原料
(2)多糖類
(3)セルロース
(4)シクロデキストリン、リン酸三カルシウム、及びクエン酸カルシウムから選択される一種以上の成分。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)から(4)の成分を含有する、組成物:
(1)大豆原料
(2)多糖類
(3)セルロース
(4)シクロデキストリン、リン酸三カルシウム、及びクエン酸カルシウムから選択される一種以上の成分。
【請求項2】
前記大豆原料が、大豆胚軸発酵物、大豆胚軸抽出物発酵物、大豆胚軸、大豆粉、大豆抽出物、大豆胚軸抽出物、大豆イソフラボンから選択される1つ以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物の総質量に対して、1質量%以上20質量%以下のシクロデキストリンを含有する、請求項1又は2に前記の組成物。
【請求項4】
前記組成物の総質量に対して、0.1質量%以上5.0質量%以下の前記リン酸三カルシウム又はクエン酸カルシウムを含有する、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の組成物をコアとして含み、更にHPMC及び還元水飴を含有するコーティング層を含む、コーティング組成物。
【請求項6】
前記還元水飴とHPMCとの割合が質量換算で1:10~2:1である、請求項5に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
(A)下記(1)から(4)の成分を混合して混合物を調製する工程、
(1)大豆原料
(2)多糖類
(3)セルロース
(4)シクロデキストリン、リン酸三カルシウム、及びクエン酸カルシウムから選択される一種以上の成分
(B)前記混合物を圧縮成形する工程、及び
(C)HPMC及び還元水飴を含む組成物で、圧縮成形した混合物をコーティングする工程
を含む、コーティング組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
大豆原料を含む組成物及びその製造方法に関する技術が開示される。
【背景技術】
【0002】
大豆に含まれるイソフラボン(例えば、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン)はエストラジオールと構造が類似しており、エストロゲンレセプター(ER)への結合に伴う抗エストロゲン作用及びエストロゲン様作用を有する。これまでの大豆イソフラボンの疫学研究から、抗エストロゲン作用による乳癌及び前立腺癌等のホルモン依存性の癌の予防効果、並びに、エストロゲン様作用による更年期障害、閉経後の骨粗鬆症、及び高脂血症等の改善効果が示唆されている。
【0003】
近年、大豆イソフラボンの生理作用の活性がダイゼインの代謝物のエクオール(4’,7-イソフラバンジオール)である可能性が指摘されている。エクオールは大豆イソフラボンと比較してERとの結合能(特に、ERβとの結合)が強く、乳房や前立腺組織などの標的臓器への移行性が顕著に高いことが報告されている。
【0004】
エクオールは、ダイゼインから腸内細菌の代謝を経て産生されるが、エクオール産生能には個人差がある。例えば、日本人のエクオール産生能保持者の割合は、約50%と報告されている。つまり、日本人の約50%がエクオールを産生できず、このようなヒトにおいては、大豆や大豆加工食品を摂取しても、エクオールの作用に基づく有用生理効果を享受できない。エクオール産生能保持者であっても、エクオールは体内で蓄積されず、1~2日でほぼ体外に排出されてしまうため、大豆のようなダイゼインの供給源を食べ続けなくてはならない。しかも、腸内環境の変化によって、エクオールが作れなくなってしまうこともある。エクオールの作用に基づく有用生理効果を継続的に享受するには、エクオール自体を摂取することが有効であると考えられる。
【0005】
大豆イソフラボン及び/又はエクオールを含有する、大豆原料を含む種々の食品及び製剤が提案され、上市されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2008/153158
【特許文献2】特開2022-100407
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
大豆原料含有組成物には、大豆臭、原材料の安全性、消費者に受け入れやすい外観、又は摂取し易さに関する課題が存在する。改良された大豆原料含有組成物を提供することが一つの課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
下記に代表される発明が提供される。
項1
下記(1)から(4)の成分を含有する、組成物:
(1)大豆原料
(2)多糖類
(3)セルロース
(4)シクロデキストリン、リン酸三カルシウム、及びクエン酸カルシウムから選択される一種以上の成分。
項2
前記大豆原料が、大豆胚軸発酵物、大豆胚軸、大豆粉、大豆抽出物、大豆胚軸抽出物、大豆イソフラボンから選択される1つ以上である、項1に記載の組成物。
項3
前記組成物の総質量に対して、1質量%以上20質量%以下のシクロデキストリンを含有する、項1又は2に記載の組成物。
項4
前記組成物の総質量に対して、0.1質量%以上5.0質量%以下のリン酸三カルシウム又はクエン酸カルシウムを含有する、項1又は2に記載の組成物。
項5
項1~4のいずれかに記載の組成物をコアとして含み、更にHPMC及び還元水飴を含有するコーティング層を含む、コーティング組成物。
項6
前記還元水飴とHPMCとの割合が質量換算で1:10~2:1である、項5に記載のコーティング組成物。
項7
(A)下記(1)から(4)の成分を混合して混合物を調製する工程、
(1)大豆原料
(2)多糖類
(3)セルロース
(4)シクロデキストリン、リン酸三カルシウム、及びクエン酸カルシウムから選択される一種以上の成分
(B)前記混合物を圧縮成形する工程、及び
(C)HPMC及び還元水飴を含む組成物で、圧縮成形した混合物をコーティングする工程
を含む、コーティング組成物の製造方法。
項8.
HPMC及び還元水飴を含有するコーティング用組成物。
項9.
還元水飴とHPMCとの割合が質量換算で1:10~2:1である、項8に記載のコーティング用組成物。
項10.
コアが項8又は9に記載のコーティング用組成物でコーティングされている、コーティング組成物。
項11.
コアが、項1~4のずれかに記載の組成物である、項10に記載のコーティング組成物。
【発明の効果】
【0009】
本書に開示される発明は、次の一つ以上を効果として有する。
・優れた安全性
・抑制された大豆臭
・消費者に受け入れやすい外観
・優れた安定性
【発明を実施するための形態】
【0010】
組成物は、以下の成分(1)~(4)を含むことが好ましい。
(1)大豆原料
(2)多糖類
(3)セルロース
(4)シクロデキストリン、リン酸三カルシウム、及びクエン酸カルシウムから選択される一種以上の成分
本書において、上記(1)~(4)の成分を含む組成物を「コア組成物」とも称する。
【0011】
組成物は、大豆原料を含むことが好ましい。大豆原料は、大豆又はその一部を原料とするものであればよく、その形態、大豆の産地、加工の有無等については制限されない。例えば、大豆原料は、粉末状であっても、粉砕又は破砕された粒状又は塊状であってもよい。一実施形態において、大豆原料は、粉末状であることが好ましい。大豆原料は、生の状態の大豆若しくはその一部;加熱処理、乾燥処理、及び/又は蒸煮処理等に供された大豆若しくはそれから分離したもの;未加工の大豆(又はその一部)を加熱処理、乾燥処理、蒸煮処理、脱脂処理、脱タンパク処理、発酵処理及び抽出処理のいずれか一つ以上の処理等に供したもの等のいずれであってもよい。例えば、大豆原料には、大豆胚軸発酵物、大豆胚軸、大豆粉、大豆抽出物、大豆胚軸抽出物、及び大豆イソフラボン等が含まれる。このような大豆原料は公知である。一実施形態において、大豆原料は、エクオール及び/又は大豆イソフラボンを含有することが好ましい。一実施形態において、大豆原料は、大豆胚軸発酵物であることが好ましい。一実施形態において、大豆原料は、水分含量が10質量%以下であることが好ましい。
【0012】
大豆胚軸発酵物には、大豆胚軸をそのまま発酵させたものに限らず、発酵原料が大豆胚軸由来である発酵物が広く包含される。大豆胚軸とは、大豆の発芽時に幼芽及び幼根となる部分であり、ダイゼイン配糖体やダイゼイン等のダイゼイン類が多く含まれていることが知られている。大豆胚軸は、加熱処理、乾燥処理、蒸煮処理、脱脂処理、脱タンパク処理、抽出処理、及び精製処理のいずれか一つ以上の処理等に供したものであってもよい。発酵原料として大豆胚軸をそのまま発酵させてもよく、大豆胚軸を前記何らかの処理を行ったものを用いてもよく、大豆胚軸と大豆胚軸を前記のいずれかの処理を行ったものを混合したものを用いても良い。大豆胚軸抽出物を大豆イソフラボンと呼ぶこともある。
【0013】
また、発酵原料には、さらに、前記ダイゼイン類を含むイソフラボンを添加しておいてもよい。このようにイソフラボンを発酵原料に別途添加しておくことにより、得られる大豆胚軸発酵物中のエクオール含量をより高めることが可能になり、その有用性を一層向上させることができる。
【0014】
一実施形態において、大豆胚軸等の大豆原料を発酵させるための微生物は、ダイゼイン類からエクオールを産生する能力を有する微生物であることが好ましい。このような微生物で大豆胚軸等を発酵することにより得られる大豆胚軸発酵物はエクオールを含有する。一実施形態において、大豆胚軸発酵物はエクオールを含有することが好ましい。
【0015】
エクオール産生能を有する微生物としては、食品衛生上許容され、エクオール産生能力を有する限り特に制限されず、公知のもの、又は通常の方法でスクリーニングしたものを使用できる。例えば、ラクトコッカス・ガルビエ(Lactococcus garvieae)等のラクトコッカス属に属する微生物;ストレプトコッカス・インターメディアス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)等のストレプトコッカス属に属する微生物;バクテロイデス・オバタス(Bacteroides ovatus)等のバクテロイデス属に属する微生物;アサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)等のアサッカロバクター属に属する微生物;アドレクラウチア・エクオーリファシエンス等のアドレクラウチア属に属する微生物;スラッキア・イソフラボニコンバーテンス(Slackia isoflavoniconvertens)等のスラッキア属に属する微生物の中にエクオール産生能を有する微生物が存在していることが知られている。一実施形態において、エクオール産生能を有する微生物は、ラクトコッカス属、及びストレプトコッカス属等の乳酸菌であることが好ましく、ラクトコッカス属に属する乳酸菌であることが好ましく、ラクトコッカス・ガルビエが好ましい。具体的なエクオール産生能を有する微生物としては、ラクトコッカス20-92(FERM BP-10036号)、ストレプトコッカスE-23-17(FERM BP-6436号)、ストレプトコッカスA6G225(FERM BP-6437号)、バクテロイデスE-23-15(FERM BP-6435号)、及びアドレクロウチア・エクオリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)DSM 19450株を挙げることができる。一実施形態において、ラクトコッカス20-92が好ましい。エクオール産生能を有する微生物は、例えば、ヒト糞便中からエクオールの産生能の有無を指標として単離することができる。
【0016】
大豆胚軸発酵物等の大豆原料は、例えば、特許文献1及び2に記載されるような、公知の手法により製造することができる。
【0017】
大豆胚軸発酵物中のエクオール含量は、使用するエクオール産生微生物及び発酵条件等によって異なるが、通常、大豆胚軸発酵物の乾燥重量当たり(大豆胚軸発酵物の乾燥重量を1gとした場合)、エクオールが好ましくは1mg~100mg、より好ましくは1mg~80mg、さらに好ましくは2mg~70mg、またさらに好ましくは2mg~40mg含まれている。
【0018】
大豆胚軸発酵物は、エクオール以外のイソフラボンの組成についても、大豆胚軸とは異なる組成を有する。例えば、大豆胚軸発酵物として、イソフラボンとしてエクオールのみを実質的に含有するもの、あるいは以下のイソフラボンの組成のものが例示される(以下の単位「mg」は、大豆胚軸発酵物1g(乾燥重量)当たりの各イソフラボンの総量を示す):
エクオール:1mg~100mg、1mg~80mg、2mg~70mg、又は2mg~40mg
ダイジン、マロニルダイジン、アセチルダイジン、ダイゼイン、ジハイドロダイゼイン等のダイゼイン類:30mg以下、0.01~20mg、0.05mg~15mg、0.1~10mg、0.2~5mg、又は不含
ゲニスチン、マロニルゲニスチン、アセチルゲニスチン、ゲニステイン、ジハイドロゲニステイン等のゲニステイン類:8mg以下、0.01~7mg、0.05~6mg、0.05~5mg、又は不含
グリシチン、マロニルグリシチン、アセチルグリシチン、グリシテイン、ジハイドログリシテイン等のグリシテイン類:20mg以下、0.01~18mg、0.05~15mg、0.1mg~10mg、又は不含。
【0019】
また、豆胚軸発酵物に含まれる各イソフラボンの組成比率としては、以下に示す範囲が例示される(以下の単位「重量%」は、エクオール含有大豆胚軸発酵物に含まれる全イソフラボンの合計量に対する割合を示す):
エクオール:30重量%以上、好ましくは30~95重量%、より好ましくは30~75重量%、さらに好ましくは35~70重量%、またさらに好ましくは40~70重量%ダイゼイン類:20重量%以下、好ましくは0.01~20重量%、より好ましくは0.1~15重量%、さらに好ましくは1~15重量%、またさらに好ましくは4~12重量%、あるいは不含であってもよい
ゲニステイン類:20重量%以下、好ましくは0.01~20重量%、より好ましくは0.1~15重量%、さらに好ましくは1~15重量%、またさらに好ましくは4~12重量%、あるいは不含であってもよい
グリシテイン類:40重量%以下、好ましくは0.01~40重量%、より好ましくは0.1~35重量%、さらに好ましくは1~35重量%、またさらに25~35重量%、あるいは不含であってもよい。
【0020】
大豆胚軸発酵物は、大豆胚軸に由来するサポニンを有し得る。大豆胚軸発酵物中のサポニン含量は、大豆胚軸発酵物の乾燥重量1g当たり、10~80mg、20~50mg、又は30~40mgであり得る。
【0021】
オルニチン・エクオール産生微生物を使用し、且つアルギニンを大豆胚軸に添加して発酵させることにより得られる大豆胚軸発酵物には、オルニチンが含有されている。大豆胚軸発酵物に含まれるオルニチンの含有量は、例えば、大豆胚軸発酵物の乾燥重量1g当たり2~30mg、5~28mg、10~25mg、又は15~23mgであり得る。
【0022】
大豆胚軸には、Gym4、Gm30K、Gm28K、7Sグロブリンmix(β-コングリシン)、オレオシン、及びトリプシンインヒビター等のアレルゲンが含まれている。一方、大豆胚軸発酵物においては、これらのアレルゲンの存在量が発酵前と比較して有意に低減されている。
【0023】
組成物は、多糖類(又はゲル化剤)を含有することが好ましい。多糖類の種類は限定されず、ゲル化剤として機能し、食品への添加に適したものであれば制限されない。そのような多糖類としては、例えば、寒天、ゼラチン、カラギーナン、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム、大豆多糖類、ローカストビンガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、穀粉類、及び澱粉類から成る群から選択される一種以上を使用することができる。穀粉類としては、例えば、小麦粉、米粉、そば粉、大麦粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、ひえ粉、あわ粉、ホワイトソルガム粉、アップルファイバー、小麦ファイバー、オーツ麦ファイバー等を挙げることができる。澱粉類としては、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉等の澱粉(地上系澱粉)、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉等のような地下茎または根由来の澱粉(地下系澱粉)あるいはこれら澱粉に物理的、化学的な加工を単独または複数組み合せて施した加工澱粉等を挙げることができる。一実施形態において、多糖類(ゲル化剤)は、寒天及び/又はオーツ麦ファイバーを含むことが好ましく、寒天及びオーツ麦ファイバーを含むことが好ましい。これにより、組成物に優れた崩壊性を付与することができる。
【0024】
組成物は、セルロースを含むことが好ましい。セルロースの種類は食品への配合に適しているものであれば特に制限されない。セルロースとしては、例えば、結晶セルロース、微結晶セルロース、発酵セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロース等を挙げることができる。セルロースとしては、これらの一種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。一実施形態において、セルロースは結晶セルロースであることが好ましい。セルロースを所定量配合することにより、組成物に優れた成形特性を付与することができる。一実施形態において、セルロースは、公定書に準じて測定したpHが5.0~7.5を示し、水可溶分が0.26%以下であり、及び/又は乾燥減量が7.0%以下であることが好ましい。
【0025】
組成物は、シクロデキストリン、リン酸三カルシウム、及びクエン酸カルシウムから選択される一種以上の成分を含むことが好ましい。一実施形態において、組成物は、シクロデキストリンを含むことが好ましい。シクロデキストリンは、食品への添加に適しているものであればその種類は制限されない。シクロデキストリンとしては、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、及びγ-シクロデキストリンから選択される一種以上を使用することができる。一実施形態において、シクロデキストリンは、β-シクロデキストリン及び/又はγ-シクロデキストリンを含むことが好ましく、γ-シクロデキストリンを含むことが好ましい。一実施形態において、シクロデキストリンは乾燥減量14%以下であることが好ましい。リン酸三カルシウム及びクエン酸カルシウムは食品への配合に適しているものであれば特に制限されない。一実施形態において、リン酸三カルシウムは乾燥減量10.0%以下であることが好ましい。一実施形態において、クエン酸カルシウムは、乾燥減量10.0~14.0%であり、pH5.5~8.0の液性(食品添加物公定書に規定された方法で測定)を有することが好ましい。クロデキストリン、リン酸三カルシウム、及びクエン酸カルシウムは、市販されているものをそのまま使用することができる。
【0026】
組成物中の大豆原料の配合割合は、特に制限されないが、後述するコーティング層を含まない組成物の質量を基準として、例えば、20質量%以上90質量%以下の範囲で設定することができる。前記配合割合の下限値は、30質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、又は65質量%以上とし得る。前記配合割合の上限値は、例えば、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、又は60質量%以下とし得る。
【0027】
組成物中の多糖類(又はゲル化剤)の配合割合は、特に制限されないが、後述するコーティング層を含まない組成物の質量を基準として、例えば、5質量%以上30質量%以下の範囲で設定することができる。前記配合割合の下限値は、6質量%以上、7質量%以上、8質量%以上、9質量%以上、又は10質量%以上、とし得る。前記配合割合の上限値は、例えば、25質量%以下、24質量%以下、23質量%以下、22質量%以下、21質量%以下、又は20質量%以下とし得る。
【0028】
組成物中のセルロースの配合割合は、特に制限されないが、後述するコーティング層を含まない組成物の質量を基準として、例えば、5質量%以上50質量%以下の範囲で設定することができる。前記配合割合の下限値は、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、又は30質量%以上とし得る。前記配合割合の上限値は、例えば、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、又は20質量%以下とし得る。
【0029】
組成物中のシクロデキストリン、リン酸三カルシウム、及びクエン酸カルシウムから選択される一種以上の成分の配合割合は、特に制限されないが、後述するコーティング層を含まない組成物の質量を基準として、例えば、0.1質量%以上20質量%以下の範囲で設定することができる。前記配合割合の下限値は、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.4質量%以上、0.5質量%以上、又は0.6質量%以上、0.7質量%以上、0.8質量%以上、0.9質量%以上、1.0質量%以上、1.5質量%以上、2.0質量%以上、2.5質量%以上、3.0質量%以上、3.5質量%以上、4.0質量%以上、5.0質量%以上、5.5質量%以上、6.0質量%以上、6.5質量%以上、又は7.0質量%以上とし得る。前記配合割合の上限値は、例えば、15質量%以下、14質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、11質量%以下、10質量%以下、9.0質量%以下、8.0質量%以下、7.0質量%以下、6.0質量%以下、5.0質量%以下、4.0質量%以下、3.0質量%以下、2.0質量%以下、又は1.0質量%以下とし得る。
【0030】
組成物中のシクロデキストリン、リン酸三カルシウム、及びクエン酸カルシウムから選択される一種以上の成分がシクロデキストリンである場合、その配合割合は、コーティング層を含まない組成物の質量を基準として、例えば、1質量%以上20質量%以下の範囲で設定することができる。前記配合割合の下限値は、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、又は5質量%以上とし得る。前記配合割合の上限値は、例えば、15質量%以下、14質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、11質量%以下、10質量%以下、9.0質量%以下、8質量%以下、又は7質量%以下とし得る。一実施形態において、シクロデキストリンの配合割合は、約6質量%であることが、組成物の錠圧CV値、充填深さ、錠剤硬度、及び崩壊時間の観点で好ましい。
【0031】
組成物中のシクロデキストリン、リン酸三カルシウム、及びクエン酸カルシウムから選択される一種以上の成分がリン酸三カルシウム又はクエン酸カルシウムである場合、その配合割合は、コーティング層を含まない組成物の質量を基準として、例えば、0.1質量%以上10.0質量%以下の範囲で設定することができる。前記配合割合の下限値は、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.4質量%以上、又は0.5質量%以上とし得る。前記配合割合の上限値は、例えば、4.5質量%以下、4.0質量%以下、3.5質量%以下、3.0質量%以下、2.5質量%以下、又は2.0質量%以下とし得る。
【0032】
組成物中の多糖類(又はゲル化剤)とシクロデキストリン、リン酸三カルシウム、及びクエン酸カルシウムから選択される一種以上の成分(好ましくはシクロデキストリン)との配合割合は、特に制限されないが、質量換算で、多糖類:シクロデキストリン=15:1~3:5であることが、組成物の錠圧CV値、充填深さ、錠剤硬度、及び崩壊時間の観点で好ましい。
【0033】
組成物は、上記(1)~(4)の成分以外に、目的に応じて食品、医薬品、又は医薬部外品に許容される他の成分を含み得る。他の成分としては、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、乳化剤、界面活性剤、基剤、溶解補助剤、懸濁化剤、着色料、香料、甘味料、苦味料、酸味料、保存料、防カビ剤、酸化防止剤、乳化剤、pH調整剤、増粘安定剤等が挙げられる。一実施形態において、組成物は、これら他の成分の一種以上を含まないことが好ましい。一実施形態において、組成物は、(1)~(4)の成分以外の成分を含まないこと((1)~(4)の成分だけで構成されていること)が好ましい。二酸化ケイ素を含まないことが好ましい。一実施形態において、組成物は、平均粒子径が100nm未満の一次粒子又は平均粒子径が100μmの凝集体を含まないことが好ましい。このような観点で、組成物は、リン酸三カルシウムではなく、シクロデキストリン及び/又はクエン酸カルシウムを含むことが好ましい。ここで、「含まない」とは、含有量が検出限界値未満であることを意味する。
【0034】
組成物の形状は特に制限されないが、固体であることが好ましく、後述するコーティング層で被覆されるのに適した錠剤(核錠子)の形態であることが好ましい。錠剤の形態の組成物は、常法にしたがって得ることができる。例えば、(1)~(4)の成分、及び必要に応じて他の成分を混合し、それを打錠することによって得ることができる。混合順序は特に限定されず、任意の順序で添加しても、全成分を同時に添加してもよい。混合方法は任意であり、混合装置を使用しても構わない。湿式打錠及び乾式打錠のいずれでもよく、公知の圧縮成形機を使用することができる。一実施形態において、(1)~(4)の成分(及び必要に応じて他の成分)を混合するのに先立って、大豆原料を造立することが好ましい。造粒で得られる粒子の大きさは制限されないが、例えば、50μm以上500μm以下、好ましくは100μm以上400μm以下であることが好ましい。造粒することにより、圧縮成形がし易くなる。
【0035】
上記(1)~(4)の成分を含むコア組成物は、コーティング層で被覆されていることが好ましい。コーティング層は、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)及び還元水飴を含むことが好ましい。これにより、コーティング層に優れた強度とひび割れ防止特性を付与することができる。ここで、コーティング層がHPMC及び還元水飴を含むとは、コーティング層を形成するための原料(例えば、コーティング用液)がHPMC及び還元水飴を含むことを意味する。一実施形態において、コーテイング層は、上述組成物とは異なるコアをコーティングしてもよい。
【0036】
HPMC及び還元水飴は、食品の用途に適したものであれば特に制限されない。一実施形態において、HPMCは次の物性を満たすことが好ましい:4.8~7.2cPの粘度(20℃、2%水溶液);7~12%のヒドロキシプロピル基置換率;28~30%メトキシ基置換率、10%以下の乾燥減量;公定書に準じて測定したpHは5.0~8.0。
【0037】
還元水飴は、糖化の程度等により高糖化還元水飴(糖の総重量を100%とした場合に単糖アルコールが40~50質量%、二糖アルコールが40~55質量%、三糖アルコールが1~5質量%、四糖アルコールが3質量%以下、五糖アルコールが3質量%以下)、中糖化還元水飴(糖の総重量を100%とした場合に単糖アルコールが2~6質量%、二糖アルコールが45~55質量%、三糖アルコールが25~35質量%、四糖アルコールが1~4質量%、五糖アルコールが1~15質量%)及び低糖化還元水飴(糖の総重量を100%とした場合に単糖アルコールが2~6質量%、二糖アルコールが10~20質量%、三糖アルコールが13~23質量%、四糖アルコールが5~13質量%、五糖アルコールが50~65質量%)に分けられる。コーティング層に配合する還元水飴は、高糖化還元水飴、中糖化還元水飴、及び高糖化還元水飴のいずれでもよい。一実施形態において、還元水飴は中糖化還元水飴であることが好ましい。
【0038】
コーティング層における還元水飴とHPMCの配合割合は、特に制限されなが、例えば、質量比で、還元水飴:HPMC=1:10~2:1の範囲で設定することができる。一実施形態において、前記配合割合は、還元水飴:HPMC=1:8~3:2であることが好ましい。
【0039】
コーティング層中の還元水飴(固形分)の配合割合は、質量換算で、5質量%以上45質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましく、約15~35質量%が更に好ましい。
【0040】
コーティング層は、還元水飴及びHPMC以外に、食品、医薬品、又は医薬部外品に許容されるその他成分任意の成分を含み得る。他の成分としては、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、乳化剤、界面活性剤、基剤、溶解補助剤、懸濁化剤、着色料、香料、甘味料、苦味料、酸味料、保存料、防カビ剤、酸化防止剤、乳化剤、pH調整剤、増粘安定剤等が挙げられる。一実施形態において、組成物は、これら他の成分の一種以上を含まないことが好ましい。一実施形態において、コーティング層は、還元水飴及びHPMC以外の成分を含まないこと(還元水飴及びHPMCだけで構成されていること)が好ましい。一実施形態において、コーティング層は、酸化チタン、タルク、カラメル、及び炭酸カルシウムから成る群から選択される一種以上、2種以上、3種以上、又は全てを含まないことが錠剤のひび割れを防止する観点で好ましい。一実施形態において、コーティング層は、炭酸カルシウム、酸化チタンを含まないことがコーティング液の噴霧速度を高める観点ではより好ましい。一実施形態において、コーティング層は、平均粒子径が100nm未満の一次粒子又は平均粒子径が100μmの凝集体を含まないことが好ましい。一実施形態において、組成物又はコーティング層は、二酸化ケイ素、リン酸三カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、及びケイ酸カルシウムから成る群から選択される一種以上、二種以上、三種以上、四種以上、五種以上、又は全てを含まないことがより安全性を高める観点で好ましい。一実施形態において、組成物又はコーティング層は、二酸化ケイ素、酸化チタンを含まないことがさらなる安全性を高める観点でより好ましい。
【0041】
コーティング層で被覆された組成物におけるコア組成物とコーティング層との比率は、質量換算で、例えば、コア組成物:コーティング層=50:1~1:10、好ましくは40:1~1:6である。
【0042】
コーティング層で被覆された組成物は、常法にしたがって製造することができる。例えば、還元水飴及びHPMC、並びに必要に応じて他の成分を、必要に応じて水またはエタノールなどの適切な溶媒で混合し、それを用いて核錠子の形態のコア組成物を被覆し、溶媒を揮発させることによって、コーティング層で被覆された組成物を得ることができる。
【0043】
コーティング層を有する組成物の用途としては、例えば、健康食品(栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助食品、健康補助食品、サプリメント等)、医薬品、又は医薬部外品とすることができる。
【0044】
コーティング層を有する組成物(及びコーティング層を有さない組成物)の重量は、任意であり、目的などに応じて適宜設定することができる。例えば、重量は、100mg以上1500mg以下、200mg以上1000mg以下、又は300mg以上800mg以下に設計することができる。
【実施例0045】
以下、実施例により本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0046】
実施例1
下記表1の記載にしたがって各原料を秤量し、造粒乾燥機を用いて造粒、乾燥し、整粒機を用いて整粒し、それらを混合して打錠末を得た。これを打錠機にて打錠し、核錠子を得た。次いで、下記表2の記載にしたがってコーティング液を調製し、A2、A15及びA16の核錠子には、B1のコーティング液でコーティングし、核錠子がコーティング層で被覆された錠剤を得た。また、A3の核錠子にはB2のコーティング液を用いた。得られた錠剤又は核錠子について、打錠圧CV値、充填深さ、錠剤硬度、及び崩壊時間を測定した。結果を表1に示す。なお、表1に示す原材料のうち、「大豆胚軸発酵物」については、特許文献1の参考例1-1~1-3に準じて調製した。その他は、市販されるものを購入して使用した。
【0047】
打錠圧CV値(%)は、錠剤ごとの質量のバラツキを示す指標であり、打錠機によって測定されるものである。バラツキは小さい程好ましく、5%以上を「×」、4%以上5%未満を「△」、4%未満を「〇」として評価した。
【0048】
充填深さ(mm)は、打錠時の設定値のうちの一つで、既定の錠剤質量が得られる場合の数値である。16mm以上を「×」、15mm以上16mm未満を「△」、14mm以上15mm未満を「〇」、14mm未満を「◎」として評価した。充填深さの値が大きいと、既定どおりの質量の錠剤が得られない場合が生じやすくなる。
【0049】
錠剤硬度は、錠剤硬度計(例えば、Model TBF1000、Copley Scientific Ltd製)にて、10錠の硬度を測定した平均値である。8kp未満を「×」、8kp以上10kp未満を「△」、10kp以上を「〇」として評価した。錠剤硬度が一定以上であることにより、割れや欠けが生じ難くなる。
【0050】
崩壊時間は、日本薬局法一般試験法の崩壊試験法の即放性製剤に準じて、崩壊試験器(NT-400、富山産業)を用いて測定した6錠の崩壊時間の平均値である。 90分以上100分以下を「×」、80分以上90分未満を「△」、50分以上80分未満を「〇」、50分未満を「◎」として評価した。
【0051】
【0052】
【0053】
コーティング層を設けた錠剤とコーティング層を設ける前の核錠子について、大豆特有の臭いの有無を4名の専門家パネルで評価したところ、下記の結果が得られた。
【0054】
【0055】
実施例2
下記表4の記載にしたがって各原料を秤量、造粒、乾燥、整粒し、それらを混合して打錠末を得た。これをロータリー打錠機にて打錠し、核錠子を得た。次いで、下記表4の記載にしたがってコーティング液を調製し、これで各核錠子をコーティングし、核錠子がコーティング層で被覆された錠剤を得た。得られた各錠剤について、FC速度、FC色調、及びひび割れについて評価し、その結果を表5に示す。
【0056】
FC速度は、コーティング時のスプレー速度(ml/min)である。300ml/min以上350ml/min未満を「△」、350ml/min以上400ml/min未満を「〇」、400ml/min以上500ml/min未満を「◎」と評価した。FC速度は、速い方がコーティング時間を短縮できるため望ましい。
【0057】
FC色調は、錠剤を目視で観察し、自然なベージュ色に近いものを「〇」と評価し、白っぽいもの及び茶色っぽいものを「△」として評価した。
【0058】
ひび割れは、錠剤20個をシャーレにとり、開放状態で40℃/75%RH下に置き、24時間後に錠剤側面を目視で観察し、ひび割れが発生している錠剤数を調べて評価した。ひび割れが5錠以上に見られた場合に「×」、ひび割れが2錠以上4錠以下で見られた場合に△、ひび割れが1錠で見られた場合に「〇」、ひび割れが全く見れらなかった場合に「◎」と評価した。
【0059】
【0060】
【0061】
実施例3
下記表6の記載にしたがって各原料を秤量、造粒、乾燥、整粒し、それらを混合して打錠末を得た。これをロータリー打錠機にて打錠し、核錠子を得た。次いで、下記表7の記載にしたがってコーティング液を調製し、E1の核錠子をF2のコーティング液でコーティングし、核錠子がコーティング層で被覆された錠剤を得た。E4及びE6の核錠子にはF1のコーティング液を使用した。得られた各錠剤又は核錠子について、実施例1と同様に、打錠圧CV値、充填深さ、錠剤硬度、及び崩壊時間を測定した。これらの評価基準は下記のとおりである。結果を表6に示す。
【0062】
打錠圧CV値(%)について、5%以上を「×」、4%以上5%未満を「△」、4%未満を「〇」として評価した。
【0063】
充填深さ(mm)について、14mm以上を「×」、13.5mm以上14mm未満を「△」、13mm以上13.5mm未満を「〇」、13mm未満を「◎」として評価した。
【0064】
錠剤硬度について、8kp未満を「×」、8kp以上12kp未満を「△」、12kp以上を「〇」として評価した。
【0065】
崩壊時間について、20分以上50分未満を「〇」、20分未満を「◎」として評価した。
【0066】
【0067】
【0068】
実施例4
下記表8の記載にしたがって各原料を秤量、造粒、乾燥、整粒し、それらを混合して打錠末を得た。これをロータリー打錠機にて打錠し、核錠子を得た。次いで、下記表9の記載にしたがってコーティング液を調製し、これで各核錠子をコーティングし、核錠子がコーティング層で被覆された錠剤を得た。得られた各錠剤について、実施例2と同様に、FC速度、FC色調、及びひび割れについて測定し、その結果を表9に示す。FC速度、FC色調、及びひび割れの評価基準は下記のとおりである。
【0069】
FC速度については、300ml/min以上350ml/min未満を「△」、350ml/min以上400ml/min未満を「〇」、400ml/min以上500ml/min未満を「◎」と評価した。
【0070】
FC色調については、錠剤を目視で観察し、自然なベージュ色に近いものを「〇」と評価し、白っぽいもの及び茶色っぽいものを「△」として評価した。
【0071】
ひび割れについては、20錠中に、ひび割れが10錠以上に見られた場合に「×」、ひび割れが5錠以上9錠以下で見られた場合に△、ひび割れが1錠以上4錠以下で見られた場合に「〇」、ひび割れが全く見れらなかった場合に「◎」と評価した。
【0072】
【0073】