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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004665
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20240110BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240110BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20240110BHJP
   B41J 2/32 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J29/00 A
B41J3/36
B41J2/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104388
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】千田谷 直樹
【テーマコード(参考)】
2C055
2C061
2C065
【Fターム(参考)】
2C055AA08
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC05
2C055GG07
2C061AP10
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AS06
2C061AS07
2C061BB02
2C061BB35
2C061CD07
2C061KK24
2C061KK28
2C061KK35
2C065AA01
2C065AB03
2C065CZ17
(57)【要約】
【課題】プリンタの大型化を抑制しつつ、読取部により媒体の印刷品質を検査できるプリンタを提供する。
【解決手段】プリンタ1Aは、ラベルと台紙が重なった媒体Mに印刷を実行する。媒体供給部86は、媒体Mを供給する。ヘッド84は、媒体供給部86により供給された媒体Mに印刷を実行する。第一排出口21は、媒体Mの排出口であって、ヘッド84により印刷が実行され、ヘッド84と第一排出口21とを結ぶ第一排出経路を搬送される媒体Mを排出する。巻き取り部450は、ヘッド84よりも下方に配置され、ヘッド84により印刷が実行された媒体Mを巻き取り可能である。読取部31は、ヘッド84と巻き取り部450とを結ぶ巻取経路Q3に配置され、ヘッド84により印刷が実行され、巻取経路Q3を搬送される媒体Mを読み取る。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルと台紙が重なった媒体に印刷を実行するプリンタであって、
前記媒体を供給する媒体供給部と、
前記媒体供給部から供給された前記媒体に印刷を実行するヘッドと、
前記媒体の排出口であって、前記ヘッドにより印刷が実行され、前記ヘッドと前記排出口とを結ぶ排出経路を搬送される前記媒体を排出する前記排出口と、
前記ヘッドよりも下方に配置され、前記ヘッドにより印刷が実行された前記媒体又は前記媒体から前記ラベルが剥離された台紙を巻き取り可能な巻き取り部と、
前記ヘッドと前記巻き取り部とを結ぶ巻取経路に配置され、前記ヘッドにより印刷が実行され、前記巻取経路を搬送される前記媒体を読み取る読取部と
を備えたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記巻取経路は、前記ヘッドよりも下方において、下方に延びる第一経路を含み、
前記読取部の読み取り面は前記第一経路に対向する
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記巻き取り部は、前記ヘッドよりも下方で且つ前記排出経路における前記媒体の搬送方向において前記ヘッドに対し前記排出口の反対の位置に設けられ、
前記巻取経路は、前記ヘッドよりも下方において、下方に延びる第一経路と、前記搬送方向において前記第一経路の下端部から前記巻き取り部へ向けて延びる第二経路とを含み、
前記読取部の読み取り面は前記第二経路に対向する
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記読取部を支持すると共に、前記第二経路の下方で且つ前記第二経路に沿って搬送される前記媒体を読み取り可能な読取位置と、前記第二経路から退避する退避位置との間を移動可能に設けられるキャリッジと、
前記キャリッジを移動させるモータと
を備えたことを特徴とする請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記搬送方向において、前記巻き取り部に対して前記第一経路の反対に配置された板を備え、
前記キャリッジの前記退避位置は、前記板の下方である
ことを特徴とする請求項4に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記板は、照度補正板であり、
前記読取部は、前記キャリッジが前記退避位置にある場合に前記照度補正板を読み取る
ことを特徴とする請求項5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記読取位置と前記退避位置との間に配置されたブラシを備え、
前記読取部の前記読み取り面は、前記キャリッジが前記退避位置と前記読取位置との間を移動する場合、前記ブラシに当接する
ことを特徴とする請求項4に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記キャリッジが前記退避位置にある場合、前記読取部の前記読み取り面に向けて風を送る、又は、前記読取部の前記読み取り面の上方の空気を吸引するファンを備えた
ことを特徴とする請求項4に記載のプリンタ。
【請求項9】
本体と前記本体に対し開閉するカバーとを備え、
前記巻き取り部は、前記ヘッドよりも下方で且つ前記排出経路における前記媒体の搬送方向において前記ヘッドに対し前記排出口の反対の位置に設けられ、
前記巻取経路は、前記ヘッドよりも下方において、下方に延びる第一経路と、前記搬送方向において前記第一経路の下端部から前記巻き取り部へ向けて延びる第二経路とを含み、
前記読取部は、前記カバーが開いた状態で、前記第一経路又は前記第二経路に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項10】
前記カバーは、前記本体のうち、前記搬送方向において前記ヘッドに対し前記媒体供給部の反対の位置に設けられる
ことを特徴とする請求項9に記載のプリンタ。
【請求項11】
前記ヘッドは、複数の発熱素子を備えたサーマルヘッドである
ことを特徴とする請求項1~10の何れか一つに記載のプリンタ。
【請求項12】
媒体を供給する媒体供給部と、
前記媒体供給部から供給された前記媒体に印刷を実行するヘッドと、
前記媒体の第一排出口であって、前記ヘッドにより印刷が実行され、前記ヘッドと前記第一排出口とを結ぶ第一排出経路を搬送される前記媒体を排出可能な前記第一排出口と、
前記第一排出口とは異なる前記媒体の第二排出口であって、前記第一排出口の下方に配置され、前記ヘッドにより印刷が実行され、前記ヘッドと前記第二排出口とを結ぶ第二排出経路を搬送される前記媒体を排出可能な前記第二排出口と、
前記第二排出経路に配置され、前記ヘッドにより印刷が実行された前記媒体を読み取る読取部と
を備え、
前記第二排出経路は、前記ヘッドよりも下方において、下方に延びる第一経路を含み、
前記読取部の読み取り面は、前記第一経路に対向する
ことを特徴とするプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のプリンタでは、媒体は、媒体掛けからヘッドアッセンブリへ供給される。リボンは、リボン供給スピンドルからヘッドアッセンブリへ供給される。ヘッドアッセンブリのプリントヘッドによって、リボンのインクが媒体へ転写される。印刷済みの媒体は、開口部から排出されるか、又は、巻戻しスピンドルによって巻き取られる。リボンは、リボン巻取りスピンドルによって巻き取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-127564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記プリンタにおいて、印刷された媒体の印刷品質を検査するため、媒体に印刷されたバーコードを読み取る読取部を設ける場合が想定される。この場合、印刷済の媒体を排出する開口部近辺の位置に読取部を追加する必要がある。しかしながら、上記プリンタでは、開口部近辺の位置に読取部を設けるのに十分なスペースがない。この場合、プリンタの外側に読取部を取り付けるか、又は、ヘッドから排出口までの距離を大きくし、そのスペースに読取部を設ける等の対策が必要となる。いずれの場合にも、読取部を取り付けることでプリンタが大型化する可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、プリンタの大型化を抑制しつつ、読取部により媒体の印刷品質を検査できるプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係るプリンタは、ラベルと台紙が重なった媒体に印刷を実行するプリンタであって、前記媒体を供給する媒体供給部と、前記媒体供給部から供給された前記媒体に印刷を実行するヘッドと、前記媒体の排出口であって、前記ヘッドにより印刷が実行され、前記ヘッドと前記排出口とを結ぶ排出経路を搬送される前記媒体を排出する前記排出口と、前記ヘッドよりも下方に配置され、前記ヘッドにより印刷が実行された前記媒体又は前記媒体から前記ラベルが剥離された台紙を巻き取り可能な巻き取り部と、前記ヘッドと前記巻き取り部とを結ぶ巻取経路に配置され、前記ヘッドにより印刷が実行され、前記巻取経路を搬送される前記媒体を読み取る読取部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
上記プリンタでは、ヘッドと巻き取り部とを結ぶ巻取経路に読取部が配置される。故に、プリンタは、大型化するのを抑制しつつ、読取部により媒体の印刷品質を検査できる。
【0008】
本発明の第一態様に係るプリンタでは、前記巻取経路は、前記ヘッドよりも下方において、下方に延びる第一経路を含み、前記読取部の読み取り面は前記第一経路に対向してもよい。プリンタでは、媒体の下方に紙粉が落下する場合がある。読取部の読み取り面が第一経路に対向するので、読取部が媒体から排出される紙粉の影響を受けにくい。
【0009】
本発明の第一態様に係るプリンタでは、前記巻き取り部は、前記ヘッドよりも下方で且つ前記排出経路における前記媒体の搬送方向において前記ヘッドに対し前記排出口の反対の位置に設けられ、前記巻取経路は、前記ヘッドよりも下方において、下方に延びる第一経路と、前記搬送方向において前記第一経路の下端部から前記巻き取り部へ向けて延びる第二経路とを含み、前記読取部の読み取り面は前記第二経路に対向してもよい。プリンタでは、読取部が第二経路に設けられるので、プリンタ下方のスペースを有効に利用できる。
【0010】
本発明の第一態様に係るプリンタは、前記読取部を支持すると共に、前記第二経路の下方で且つ前記第二経路に沿って搬送される前記媒体を読み取り可能な読取位置と、前記第二経路から退避する退避位置との間を移動可能に設けられるキャリッジと、前記キャリッジを移動させるモータとを備えてもよい。プリンタでは、媒体の下方に紙粉が落下する場合がある。この場合、キャリッジが読取位置から退避位置に移動可能なので、読取部は、未使用時に紙粉の影響を受ける可能性を低減できる。
【0011】
本発明の第一態様に係るプリンタは、前記搬送方向において、前記巻き取り部に対して前記第一経路の反対に配置された板を備え、前記キャリッジの前記退避位置は、前記板の下方であってもよい。プリンタでは、キャリッジが退避位置にある場合、読取部は、板の下方に配置される。これにより、読取部は、紙粉の影響を受ける可能性を低減できる。
【0012】
本発明の第一態様に係るプリンタでは、前記板は、照度補正板であり、前記読取部は、前記キャリッジが前記退避位置にある場合に前記照度補正板を読み取ってもよい。プリンタでは、キャリッジが退避位置にあり、板の下方に読取部を配置した状態で、読取部が照度補正板を読み取れる。従って、プリンタは、紙粉の影響を低減しつつ、読取結果の補正に必要な情報を取得できる。
【0013】
本発明の第一態様に係るプリンタは、前記読取位置と前記退避位置との間に配置されたブラシを備え、前記読取部の前記読み取り面は、前記キャリッジが前記退避位置と前記読取位置との間を移動する場合、前記ブラシに当接してもよい。プリンタでは、キャリッジが退避位置と読取位置との間を移動する場合、読取部がブラシに当接する。これにより、読取部は、紙粉の影響を低減できる。
【0014】
本発明の第一態様に係るプリンタは、前記キャリッジが前記退避位置にある場合、前記読取部の前記読み取り面に向けて風を送る、又は、前記読取部の前記読み取り面の上方の空気を吸引するファンを備えてもよい。プリンタでは、キャリッジが退避位置にある場合、ファンは、読取部の読み取り面へ風を送ることで、読取部に付着した紙粉を掃除できる。また、ファンは、読取部の上方の空気を吸引することで、読取部に付着した紙粉を掃除できる。これにより、読取部は、紙粉の影響を受ける可能性を低減できる。
【0015】
本発明の第一態様に係るプリンタは、本体と前記本体に対し開閉するカバーとを備え、前記巻き取り部は、前記ヘッドよりも下方で且つ前記排出経路における前記媒体の搬送方向において前記ヘッドに対し前記排出口の反対の位置に設けられ、前記巻取経路は、前記ヘッドよりも下方において、下方に延びる第一経路と、前記搬送方向において前記第一経路の下端部から前記巻き取り部へ向けて延びる第二経路とを含み、前記読取部は、前記カバーが開いた状態で、前記第一経路又は前記第二経路に設けられてもよい。プリンタでは、ユーザは、読取部の位置を選択できる。
【0016】
本発明の第一態様に係るプリンタでは、前記カバーは、前記本体のうち、前記搬送方向において前記ヘッドに対し前記媒体供給部の反対の位置に設けられてもよい。プリンタでは、カバーは、搬送方向においてヘッドに対し媒体供給部の反対の位置に設けられる。このため、ユーザは、読取部にアクセスし易く、且つ読取部のプリンタへの着脱が容易である。故に、プリンタは、ユーザにとって利便性が高い。
【0017】
本発明の第一態様に係るプリンタでは、前記ヘッドは、複数の発熱素子を備えたサーマルヘッドであってもよい。プリンタがサーマルヘッドを備える場合でも、大型化するのを抑制しつつ、読取部により媒体の印刷品質を検査できる。
【0018】
本発明の第二態様に係るプリンタは、媒体を供給する媒体供給部と、前記媒体供給部から供給された前記媒体に印刷を実行するヘッドと、前記媒体の第一排出口であって、前記ヘッドにより印刷が実行され、前記ヘッドと前記第一排出口とを結ぶ第一排出経路を搬送される前記媒体を排出可能な前記第一排出口と、前記第一排出口とは異なる前記媒体の第二排出口であって、前記第一排出口の下方に配置され、前記ヘッドにより印刷が実行され、前記ヘッドと前記第二排出口とを結ぶ第二排出経路を搬送される前記媒体を排出可能な前記第二排出口と、前記第二排出経路に配置され、前記ヘッドにより印刷が実行された前記媒体を読み取る読取部とを備え、前記第二排出経路は、前記ヘッドよりも下方において、下方に延びる第一経路を含み、前記読取部の読み取り面は、前記第一経路に対向することを特徴とする。
【0019】
上記プリンタでは、ヘッドと第二排出口の第二排出経路に読取部が配置される。故に、プリンタは、大型化するのを抑制しつつ、読取部により媒体の印刷品質を検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第一実施形態のプリンタ1Aの斜視図である。
図2】非検査排紙モードにおけるプリンタ1Aの内部を示す右側面図である。
図3】巻き取りモードにおけるプリンタ1Aの内部を示す右側面図である。
図4】第二実施形態のプリンタ1Bの内部を示す右側面図である。
図5】第三実施形態のプリンタ1Cの内部を示す右側面図である。
図6】第四実施形態のプリンタ1Dの内部を示す右側面図である。
図7】第五実施形態のプリンタ1Eの内部を示す右側面図である。
図8】変形例のプリンタ100の内部を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第一実施形態に係るプリンタ1Aについて、図面を参照して順に説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載される装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。本実施形態の説明では、図1の左上側、右下側、右上側、左下側、上側、及び下側を各々、プリンタ1Aの前側、後側、左側、右側、上側、及び下側とする。
【0022】
図1図3を参照して、プリンタ1Aの概略構成を説明する。プリンタ1Aは、長尺状の媒体Mに印刷を行うサーマルプリンタである。媒体Mは、例えば、筒状の紙管Kにロール状に巻回される。媒体Mは、例えば、ラベルと台紙が重なっている。ユーザにより所望の印刷イメージが入力されると、プリンタ1Aは、印刷イメージをラベルに印刷する。印刷イメージは、例えば印・数字・文字・記号、及びバーコード等である。プリンタ1Aは、例えば、後述する非検査排紙モードと巻き取りモードにより、印刷後の媒体Mを搬送可能である。
【0023】
プリンタ1Aは、本体2、表示部3、及び操作部4を備える。本体2は、卓上に載置可能な大きさの直方体状である。本体2は中央支持壁74、カバー24A、24B、右パネル25、後パネル26、左パネル29、下パネル27、及び上パネル28を有する。
【0024】
中央支持壁74は、右側面視前後方向に延びる板である。中央支持壁74の上端には上パネル28が配置される。中央支持壁74の下端には下パネル27が配置される。上パネル28、下パネル27は、平面視前後方向に延びる板である。中央支持壁74の後端には、後パネル26が配置される。後パネル26は、背面視上下方向に延びる板である。左パネル29は、プリンタ1Aの中央支持壁74よりも左方に配置される。
【0025】
右パネル25は、プリンタ1Aの中央支持壁74よりも右方に配置される。右パネル25は、右側面視矩形状の板であり、上パネル28の右端部に回動可能に支持される。右パネル25は、プリンタ1Aの右側面を閉じる閉位置と、プリンタ1Aの右側面を開く開位置とに回動可能である。右パネル25が開位置の場合、ユーザは、プリンタ1Aの内部を右方から視認できる。
【0026】
カバー24Aは、正面視矩形状の板であり、上パネル28の前端に回動可能に支持される。カバー24Aは、プリンタ1Aの本体2を閉じる閉位置と、プリンタ1Aの本体2を開く開位置とに回動可能である。
【0027】
カバー24Aには、媒体Mの第一排出口21が形成される。第一排出口21は、正面視左右方向に長い矩形状である。第一排出口21は、印刷が実行された媒体Mを排出する。第一排出口21の内部には、切断部22(図2参照)が設けられる。切断部22は、左右方向に延びる。切断部22は、第一排出口21から排出された媒体Mを切断する。
【0028】
カバー24Aの左上部には、表示部3が設けられる。表示部3は各種画像を表示する。カバー24Aの左部且つ表示部3の下方には、操作部4が設けられる。操作部4は、ユーザによる各種指示を入力するための複数のボタンを備える。
【0029】
カバー24Bは、正面視矩形状の板であり、下パネル27の前端に回動可能に支持される。カバー24Bは、プリンタ1Aの本体2を閉じる閉位置と、プリンタ1Aの本体2を開放する開位置とに回動可能である。カバー24A、24Bが開位置の場合、ユーザは、プリンタ1Aの内部を前方から視認できる。
【0030】
図1図2に示すように、プリンタ1Aの内部には、コントローラ11、媒体供給装置5、印刷部6、リボン供給装置7、巻き取り部450、読取ユニット8、及びメンテナンス部9等が収容される。コントローラ11は、中央支持壁74の左方且つ後方に配置される。コントローラ11は、プロセッサ11A、及びメモリ11B等を備え、プリンタ1Aの動作を統括制御する。
【0031】
媒体供給装置5は、媒体供給部86、ガイドポスト430、ローラ85、87、及び搬送部88、89等を備える。媒体供給装置5は、プリンタ1Aの内部において、媒体Mを搬送させるための装置である。
【0032】
媒体供給部86は、プリンタ1Aの内部の後方、且つ、上下方向における中央部に設けられる。紙管Kに対して媒体Mがロール状に巻回される。紙管Kは、左右方向に延びる軸部51に装着される。
【0033】
駆動部は、中央支持壁74の左方に配置され、媒体供給部86の軸部51と取り外し可能に係合する。駆動部は、例えば、モータ、プーリ等で構成される。駆動部は、軸部51を回転して、媒体Mを搬送方向に搬送させる。これにより、駆動部は、媒体Mを印刷部6に向けて繰り出させる。この場合、媒体Mの搬送方向は概ね前方となる。なお、駆動部は、軸部51を逆方向に回動して、媒体Mをロール状に巻き取ることも可能である。この場合、媒体Mの搬送方向は概ね後方となる。
【0034】
ガイドポスト430は、プリンタ1Aの内部において、前後方向における中央部に設けられ、且つ媒体供給部86の前方に配置される。ガイドポスト430は、例えば、プラスチック材からなる一つの単体構造体である。ガイドポスト430の下面には、媒体Mを案内するため、滑らかな凸面が形成される。
【0035】
ローラ85は、ガイドポスト430の前方に配置される。ローラ85は、媒体Mに下方から接触して、媒体Mを搬送する。ローラ87は、ローラ85の前上方に配置される。ローラ87は、媒体Mに下方から接触して、媒体Mを搬送する。
【0036】
搬送部88は、ローラ87の前上方、且つ第一排出口21の後方に配置される。搬送部88は、搬送ローラ71とピンチローラ72とを有する。搬送ローラ71は、左右方向に延びる軸周りに回転する。ピンチローラ72は、搬送ローラ71の下方に配置され、左右方向に延びる軸周りに回転する。搬送部88は、搬送ローラ71とピンチローラ72で媒体Mを上下に挟んでニップ搬送を行う。搬送部88は、例えば搬送ローラ71をモータで駆動する。
【0037】
媒体供給部86からローラ87までの媒体Mが通過する経路を搬送経路Q1という。第一排出経路D1は、ヘッド84(ローラ87の位置)と第一排出口21とを結ぶ経路である。
【0038】
搬送部89は、搬送部88の下方に配置される。搬送部89は、搬送ローラ17とピンチローラ18とを有する。搬送ローラ17は、左右方向に延びる軸を中心に回転する。ピンチローラ18は、搬送ローラ17の下方に配置され、左右方向に延びる軸周りに回転する。搬送部89は、搬送ローラ17と、ピンチローラ18とで媒体Mを上下に挟んでニップ搬送を行う。搬送部89は、例えば搬送ローラ17をモータで駆動する。
【0039】
印刷部6は、プリンタ1A内部の前上部に設けられる。印刷部6は、例えばサーマルヘッド84(以下、「ヘッド84」という。)である。ヘッド84は、ローラ87の上方に配置され、ローラ87と上下方向に対向する。ヘッド84の下部には、複数の発熱素子が設けられる。複数の発熱素子は、左右方向に並ぶ。
【0040】
ヘッド84は、非図示の退避位置と図2に示す印刷位置との間を移動する。ヘッド84が退避位置にある場合、ヘッド84は、ローラ87から上方へ退避した位置に配置される。ヘッド84が印刷位置にある場合、ヘッド84は、ローラ87との間に媒体MとインクリボンIとを挟む。この場合、複数の発熱素子が選択的に発熱されることで、媒体供給部86により供給された媒体Mに印刷が実行される。
【0041】
リボン供給装置7は、リボン供給スピンドル92とリボン巻取りスピンドル90とローラ82とを備える。リボン供給スピンドル92は、プリンタ1A内部の上方、且つ媒体供給部86の前上方に配置される。リボン供給スピンドル92には、ロール状のインクリボンIが巻回されている。リボン巻取りスピンドル90は、リボン供給スピンドル92の前方且つ印刷部6の後上方に配置される。ローラ82は、ヘッド84の前上方且つリボン巻取りスピンドル90の前方に配置される。インクリボンIは、リボン供給スピンドル92とリボン巻取りスピンドル90との間で、印刷部6のヘッド84の下面と、ローラ82とに掛け渡される。なお、ヘッド84の外面は、滑らかにインクリボンIを搬送するため、ガイドポスト430と同様に、滑らかな凹凸が形成されているとよい。
【0042】
駆動部は、中央支持壁74の左方に配置され、リボン巻取りスピンドル90の軸部93と取り外し可能に係合する。駆動部は、例えば、モータ、プーリ等で構成される。駆動部が駆動することで、インクリボンIは、リボン供給スピンドル92から繰り出され、リボン巻取りスピンドル90に巻き取られる。
【0043】
リボン供給経路Q2は、リボン供給スピンドル92からリボン巻取りスピンドル90までにインクリボンIが通過する経路である。
【0044】
巻き取り部450は、プリンタ1A内部に着脱可能に設けられる。巻き取り部450は、ユーザの要求に応じて装着されるオプション品である。巻き取り部450は、搬送経路Q1よりも下方、且つ前後方向における中央部に配置される。巻き取り部450は、ヘッド84よりも下方に配置される。巻き取り部450は、前後方向においてヘッド84に対し第一排出口21の反対の位置に設けられる。つまり、巻き取り部450は、ヘッド84よりも下方で且つ第一排出口21から離れた位置に設けられる。巻き取り部450は、左右方向に延びる軸452を中心に回転可能である。
【0045】
駆動部は、中央支持壁74の左方に配置され、軸452に着脱可能に装着される。駆動部は、例えば、モータ、プーリ等で構成される。駆動部が駆動され、巻き取り部450が回動されると、媒体Mは、巻き重なってスピンドル上に巻き取られる。なお、巻き取られた媒体Mは、軸452と共に駆動部から取り外し可能である。
【0046】
搬送部88から巻き取り部450までの経路を巻取経路Q3という(図3参照)。巻取経路Q3は、第一経路W1と第二経路W2とを含む。第一経路W1は、搬送部88から搬送部89までの媒体Mが通過する経路である。第一経路W1は、ヘッド84の左方且つ下方において、下方に延びる。なお、第一経路W1は、上下方向のみならず、例えば搬送部88から下方やや後方に斜めに延びてもよい。
【0047】
第二経路W2は、搬送部89から巻き取り部450までの媒体Mの経路である。第二経路W2は、搬送方向において第一経路W1の下端部から巻き取り部450へ向けて延びる。第二経路W2は、ヘッド84の下方において、概ね前後方向に延びる。なお、第二経路W2は、巻き取り部450が巻き取った媒体Mの量に基づき変化するので、前後方向に交差する斜め方向も含む。
【0048】
読取ユニット8は、上下方向において、第二経路W2の下方、且つ下パネル27の上方に設けられる。読取ユニット8は、搬送部15、読取部31、及び照度補正板32を備える。
【0049】
搬送部15は、一対のガイド37、キャリッジ35、及びモータ39を備える。一対のガイド37は、下パネル27の上面に固定される。一対のガイド37は、左右に互いに離間して配置され、且つ前後方向に延びる。キャリッジ35は、左右方向に延び、且つ上方に開口する箱状である。キャリッジ35の左端部と右端部の下面は、一対のガイド37の上面に摺動可能に配置される。
【0050】
モータ39は、プリンタ1A内部の後下方、且つ中央支持壁74の左方に配置される。モータ39の回転軸には、プーリ39Aが取り付けられる。プーリ39Bは、プーリ39Aの前方、且つプリンタ1A内部の前下方に固定される。ベルト38は、プーリ39Aと、プーリ39Bとの間に掛け渡される。ベルト38は、キャリッジ35の前端と後端とに固定される。モータ39が駆動することで、ベルト38が搬送される。これにより、キャリッジ35は、ベルト38と共に左右方向に移動する(矢印A参照)。
【0051】
キャリッジ35は、読取位置P1と、退避位置P2との間を移動可能である。読取位置P1は、第二経路W2の下方で且つ第二経路W2に沿って搬送される媒体Mを読み取り可能な位置である。退避位置P2は、媒体供給部86の下方、且つ第二経路W2から後方に退避する位置である。
【0052】
読取部31は、キャリッジ35に装着され、キャリッジ35に下方から支持される。より詳細には、読取部31は、巻取経路Q3のうち第二経路W2の下方に配置される。このような読取部31の配置を、巻取経路Q3又は第二経路W2に配置されるともいう。読取部31は、左右方向に長い箱状である。読取部31は、キャリッジ35と共に前後方向に移動可能である(矢印A参照)。
【0053】
読取部31は、ヘッド84により印刷が実行され、巻取経路Q3を搬送される媒体Mを読み取る。読取部31は、例えばラインセンサ等であり、具体的には、左右方向に長いCIS(Contact Image Sensor)等である。以下、ラインセンサの受光面を、読み取り面31Aという。読取部31の読み取り面31Aは第二経路W2に対向する。
【0054】
照度補正板32は、プリンタ1A内部の右下部、且つベルト38の上方に配置される。照度補正板32は、前後方向において、巻き取り部450に対して第一経路W1の反対に配置される。照度補正板32は、左右方向に長い矩形状である。例えば、照度補正板32は、白色である。
【0055】
照度補正板32は、キャリッジ35が退避位置P2にある場合の読取部31と上下方向に対向する。この場合、読取部31は、照度補正板32の下方に配置される。照度補正板32は、キャリッジ35が退避位置P2にある場合に読取部31によって読み取られる。照度補正板32の読取結果は、シェーディング補正に使用される。
【0056】
メンテナンス部9は、プリンタ1A内部の後下部、且つモータ39の後方に設けられる。メンテナンス部9は、読取部31の読み取り面31Aをメンテナンスする。メンテナンス部9は、モータ47、ベルト48、及びファン41等を備える。
【0057】
モータ47は、プリンタ1Aの後下方、且つ中央支持壁74の左方に配置される。モータ47の駆動軸には、プーリ47Aが取り付けられる。プーリ47Bは、プーリ47Aの右方で本体2に固定される。ベルト48は、プーリ47Aとプーリ47Bとに掛け渡される。ファン41は、照度補正板32の後方に配置される。ファン41の上面は、ベルト48に下方から固定される。
【0058】
モータ47が駆動することで、ファン41は、左右方向に沿って移動する。ここで、キャリッジ35が退避位置P2にある場合、ファン41は、左右方向に移動しながら、読取部31の読み取り面31Aに向けて風を送る、又は、読取部31の読み取り面31Aの上方の空気を吸引する。ファン41が左右方向に移動しながら風を送った場合、読み取り面31Aの紙屑を払う。また、ファン41が左右方向に移動しながら空気を吸引した場合、読み取り面31Aの紙屑が吸引される。このように、読み取り面31Aのメンテナンスが実行される。
【0059】
図2を参照してプリンタ1Aの非検査排紙モードを説明する。非検査排紙モードでは、読取部31による媒体Mの読取は実行されない。ユーザは、右パネル25を開位置として、搬送経路Q1、第一排出経路D1に媒体Mをセットする。その後、ユーザは、右パネル25を閉位置とする。プリンタ1Aは、ヘッド84を印刷位置へ移動させる。
【0060】
プリンタ1Aは、媒体供給部86と搬送部88を駆動して、媒体供給部86からヘッド84に向けて、媒体Mを供給する。この場合、プリンタ1Aは、リボン巻取りスピンドル90を駆動して、リボン供給スピンドル92からインクリボンIをヘッド84に向けて供給する。媒体MとインクリボンIは、ヘッド84の加熱素子とローラ87との間で、互いに重なり合って搬送される。この状態で、プリンタ1Aは、ヘッド84の加熱素子を選択的に加熱して、印刷イメージを媒体Mに印刷する。
【0061】
印刷が実行された媒体Mは、第一排出経路D1に沿って搬送され、第一排出口21から本体2の外部に排出される。印刷後のインクリボンIは、印刷部6を介してリボン巻取りスピンドル90により巻き取られる。
【0062】
印刷が完了した場合、ユーザは、切断部22を使用して、印刷が完了した媒体Mを切り離す。その後、ユーザは、切り取った媒体Mの台紙からラベルを剥がして、ラベルの貼り付け作業を行う。
【0063】
図3を参照して、プリンタ1Aの巻き取りモードを説明する。巻き取りモードでは、読取部31による媒体Mの読取が実行される。ユーザは、右パネル25を開位置として、媒体Mを搬送経路Q1、巻取経路Q3に配置する。その後、ユーザは、右パネル25を閉位置とする。
【0064】
プリンタ1Aは、キャリッジ35を退避位置P2に移動させる。この場合、プリンタ1Aは、ファン41を駆動して、読取部31の読み取り面31Aをメンテナンスする。次いで、読取部31は、照度補正板32を読み取る。その後、プリンタ1Aは、読取部31と共に、キャリッジ35を読取位置P1に移動させる。
【0065】
プリンタ1Aは、媒体供給部86、搬送部88、89、巻き取り部450を駆動して、媒体供給部86からヘッド84に向けて、媒体Mを供給する。この場合、プリンタ1Aは、リボン巻取りスピンドル90を駆動して、リボン供給スピンドル92からインクリボンIをヘッド84に向けて供給する。
【0066】
媒体MとインクリボンIは、ヘッド84の加熱素子とローラ87との間で、互いに重なり合って搬送される。この状態で、プリンタ1Aは、ヘッド84の加熱素子を選択的に加熱して、印刷イメージを媒体Mに印刷する。
【0067】
印刷が完了した媒体Mは、搬送部88に向けて搬送される。使用後のインクリボンIは、リボン巻取りスピンドル90により巻き取られる。
【0068】
搬送部88を通過した媒体Mは、第一経路W1、第二経路W2を搬送される。第二経路W2を通過する時、読取部31は、印刷が実行された媒体Mを読み取る。読み取られた読取結果は、例えばコントローラ11に送信される。コントローラ11は、読取結果から、ラベルに印刷された印刷イメージが正常に印刷されたかを判定する。正常に印刷されなかったと判定された場合、コントローラ11は、エラーを表示部3に表示する、正常に印刷されなかったと判定された印刷イメージに対してVОID印刷を行う、又は正常に印刷されなかったと判定された印刷イメージの再印刷を実行するなどの制御を行ってもよい。
【0069】
印刷が完了した場合、ユーザは、右パネル25を開位置に移動させ、巻き取り部450と共に媒体Mを取り出す。その後、ユーザは、巻き取られた媒体Mの台紙からラベルを剥がして、ラベルの貼り付け作業を行う。
【0070】
以上説明したように、ヘッド84は、媒体供給部86から供給された媒体Mに印刷を実行する。巻き取り部450は、ヘッド84よりも下方に配置され、ヘッド84により印刷が実行された媒体Mを巻き取り可能である。読取部31は、ヘッド84と巻き取り部450とを結ぶ巻取経路Q3に配置される。読取部31は、ヘッド84により印刷が実行され、巻取経路Q3を搬送される媒体Mを読み取る。
【0071】
上記プリンタ1Aでは、ヘッド84と巻き取り部450とを結ぶ巻取経路Q3に読取部31が配置される。故に、プリンタ1Aは、大型化するのを抑制しつつ、読取部31により媒体Mの印刷品質を検査できる。
【0072】
巻き取り部450は、ヘッド84よりも下方で且つ第一排出経路D1における媒体Mの搬送方向においてヘッド84に対し第一排出口21の反対の位置に設けられる。巻取経路Q3は、第一経路W1と第二経路W2とを含む。第一経路W1は、ヘッド84よりも下方において、下方に延びる。第二経路W2は、搬送方向において第一経路W1の下端部から巻き取り部450へ向けて延びる。読取部31の読み取り面31Aは第二経路W2に対向する。プリンタ1Aでは、読取部31が第二経路W2に設けられるので、プリンタ1A下方のスペースを有効に利用できる。
【0073】
キャリッジ35は、読取部31を支持する。キャリッジ35は、読取位置P1と退避位置P2との間を移動可能に設けられる。読取位置P1は、第二経路W2の下方で且つ第二経路W2に沿って搬送される媒体Mを読み取り可能な位置である。退避位置P2は、第二経路W2から退避する位置である。モータ39は、キャリッジ35を移動させる。プリンタ1Aでは、媒体Mの下方に紙粉が落下する場合がある。この場合、キャリッジ35が読取位置P1から退避位置P2に移動可能なので、読取部31は、未使用時に紙粉の影響を受ける可能性を低減できる。
【0074】
照度補正板32は、搬送方向において、巻き取り部450に対して第一経路W1の反対に配置される。キャリッジ35の退避位置P2は、照度補正板32の下方である。プリンタ1Aでは、キャリッジ35が退避位置P2にある場合、読取部31は、照度補正板32の下方に配置される。これにより、読取部31は、紙粉の影響を受ける可能性を低減できる。
【0075】
読取部31は、キャリッジ35が退避位置P2にある場合に照度補正板32を読み取る。プリンタ1Aでは、キャリッジ35が退避位置P2にあり、照度補正板32の下方に読取部31を配置した状態で、読取部31が照度補正板32を読み取れる。従って、プリンタ1Aは、紙粉の影響を低減しつつ、読取結果の補正に必要な情報を取得できる。
【0076】
ファン41は、キャリッジ35が退避位置P2にある場合、読取部31の読み取り面31Aに向けて風を送る、又は、読取部31の読み取り面31Aの上方の空気を吸引する。プリンタ1Aでは、キャリッジ35が退避位置P2にある場合、ファン41は、読取部31の読み取り面31Aへ風を送ることで、読取部31に付着した紙粉を掃除できる。また、ファン41は、読取部31の上方の空気を吸引することで、読取部31に付着した紙粉を掃除できる。これにより、読取部31は、紙粉の影響を受ける可能性を低減できる。
【0077】
ヘッド84は、複数の発熱素子を備えたヘッド84である。プリンタ1Aがヘッド84を備える場合でも、大型化するのを抑制しつつ、読取部31により媒体Mの印刷品質を検査できる。
【0078】
図4を参照して、第二実施形態に係るプリンタ1Bについて説明する。第二実施形態では、上記実施形態と同様の機能を有する構成には同じ符号を付して説明を省略又は簡略化する。プリンタ1Bでは、上記実施形態とは、読取部31と照度補正板32の配置位置が異なる。また、プリンタ1Bでは、巻き取りモードが実行される。
【0079】
装着部351は、巻取経路Q3のうち第一経路W1の前方に設けられる。読取部31は、装着部351に装着されている。このような読取部31の配置を、第一経路W1に配置されるともいう。この場合、読取部31の読み取り面31Aは第一経路W1に対向する。照度補正板32は、第一経路W1の後方に設けられる。照度補正板32は、第一経路W1を介して、読取部31の読み取り面31Aに対向する。
【0080】
印刷が実行される前に、プリンタ1Bは、読取部31に照度補正板32を読み取る。その後、プリンタ1Bは、媒体供給装置5により媒体Mを搬送させる。この場合、媒体供給部86、搬送部88、89、巻き取り部450が駆動されてもよいし、巻き取り部450のみ駆動されてもよい。
【0081】
媒体Mは、搬送経路Q1を搬送され、ヘッド84により印刷が実行される。印刷が実行された後、媒体Mは、第一経路W1を搬送される。この場合、読取部31は、ヘッド84により印刷が実行された媒体Mを読み取る。その後、媒体Mは、第二経路W2を通過して巻き取り部450に巻き取られる。なお、読取部31及び照度補正板32は、第一経路W1のうち搬送部89の近傍に設けられてもよい。また、読取部31と照度補正板32の位置は、互いに入れ替わってもよい。
【0082】
プリンタ1Bでは、媒体Mの下方に紙粉が落下する場合がある。読取部31の読み取り面31Aが第一経路W1に対向するので、読取部31が媒体Mから排出される紙粉の影響を受けにくい。
【0083】
図5を参照して、第三実施形態に係るプリンタ1Cについて説明する。第三実施形態でも、上記実施形態と同様の機能を有する構成には同じ符号を付して説明を省略又は簡略化する。プリンタ1Cは、上記実施形態とは、読取部31と照度補正板32の配置位置、搬送部89の配置位置、及び媒体Mが排出される位置が異なる。読取部31と照度補正板32は、第二実施形態のプリンタ1Bと同じ位置に設けられる。搬送部89は、第一実施形態のプリンタ1Aの場合に比して、更に前方に配置される。
【0084】
第二排出口221は、カバー24Bに設けられる。第二排出口221は、第一排出口21の下方に配置される。第二排出口221の形状は、第一排出口21と同様である。第二排出口221の内部には、切断部222が設けられる。切断部222の構成は、第一実施形態の切断部22と同様である。
【0085】
第二排出経路D2は、ローラ87から第二排出口221までを媒体Mが通過する経路である。より詳細には、第二排出口221は、ヘッド84により印刷が実行され、ヘッド84と第二排出口221とを結ぶ第二排出経路D2を搬送される媒体Mを排出可能である。
【0086】
第二排出経路D2は、第一経路D21と第二経路D22とを含む。第一経路D21は、搬送部88から搬送部89に向けて下方へ延びる。第二経路D22は、搬送部89から第二排出口221に向けて前方へ延びる。読取部31は、第二排出経路D2に設けられる。読取部31の読み取り面31Aは、第一経路D21に対向する。
【0087】
印刷が実行される前に、プリンタ1Cは、読取部31に照度補正板32を読み取らせる。その後、プリンタ1Cは、印刷を実行する。この場合、プリンタ1Cは、媒体供給装置5により媒体Mを搬送させる。なお、媒体供給部86、搬送部88、89が駆動されてもよいし、搬送部89のみ駆動されてもよい。
【0088】
媒体Mは、搬送経路Q1を搬送され、ヘッド84により印刷が実行される。印刷が実行された後、媒体Mは、第二排出経路D2を搬送される。読取部31は、ヘッド84により印刷が実行された媒体Mを読み取る。その後、媒体Mは、搬送部89を通過して、第二排出経路D2から排出される。なお、読取部31及び照度補正板32は、搬送部89と第二排出口221との間にスペースがある場合には、第二排出経路D2のうち搬送部89と第二排出口221との間の経路に設けられてもよい。
【0089】
上記プリンタ1Cでは、ヘッド84と第二排出口221の第二排出経路D2に読取部31が配置される。故に、プリンタ1Cは、大型化するのを抑制しつつ、読取部31により媒体Mの印刷品質を検査できる。
【0090】
図6を参照して、第四実施形態に係るプリンタ1Dについて説明する。第四実施形態でも、上記実施形態と同様の機能を有する構成には同じ符号を付して説明を省略又は簡略化する。プリンタ1Dは、上記実施形態とは、読取部31の配置位置をユーザにより変更可能な点で異なる。プリンタ1Dでは、上記第一実施形態の構成に加えて、第三実施形態のプリンタ1Cと同じ位置に読取部31の装着部351が配置される。
【0091】
ユーザは、カバー24A、24Bを開位置として、例えば、読取部31を第二経路W2の下方に配置する。この場合、キャリッジ35に対して上方から読取部31が装着される。ユーザは、カバー24A、24Bを閉位置とする。ユーザは、巻き取りモードに設定して、プリンタ1Aに媒体Mへの印刷を実行させる。この場合、読取部31は、巻取経路Q3のうち第二経路W2を通過する媒体Mを読取可能である。
【0092】
一方、ユーザは、カバー24A、24Bを開位置として、例えば、読取部31を第一経路W1の前方に配置する。この場合、装着部351に対して上方から読取部31を装着する。その後、ユーザは、カバー24A、24Bを閉位置とする。ユーザは、巻き取りモードに設定して、プリンタ1Aに媒体Mへの印刷を実行させる。この場合、読取部31は、巻取経路Q3のうち第一経路W1を通過する媒体Mを読取可能である。
【0093】
プリンタ1Dでは、読取部31は、カバー24A、24Bが開いた状態で、第一経路W1又は第二経路W2に設けられる。プリンタ1Dでは、ユーザは、読取部31の位置を選択できる。なお、プリンタ1Dは、右パネル25を開いた状態で、読取部31を装着してもよい。
【0094】
また、プリンタ1Dでは、カバー24A、24Bは、前後方向においてヘッド84に対し媒体供給部86の反対の位置に設けられる。このため、ユーザは、読取部31にアクセスし易く、且つ読取部31のプリンタ1Dへの着脱が容易である。故に、プリンタ1Dは、ユーザにとって利便性が高い。
【0095】
図7を参照して、第五実施形態に係るプリンタ1Eについて説明する。第五実施形態でも、上記実施形態と同様の機能を有する構成には同じ符号を付して説明を省略又は簡略化する。プリンタ1Eは、上記実施形態とは、メンテナンス部9の代わりにブラシ45を備える点で異なる。
【0096】
ブラシ45は、読取位置P1と退避位置P2との間に配置される。ブラシ45は、左右方向に延びる。ここで、キャリッジ35が退避位置P2と読取位置P1との間を移動する場合、読取部31の読み取り面31Aは、ブラシ45に当接する。印刷が開始された場合、キャリッジ35は、退避位置P2から読取位置P1へ移動するので、ブラシ45により読み取り面31Aの紙粉等を除去できる。また、印刷が完了した場合、キャリッジ35は、読取位置P1から退避位置P2へ移動するので、ブラシ45により読み取り面31Aの紙粉等を除去できる。
【0097】
プリンタ1Eでは、キャリッジ35が退避位置P2と読取位置P1との間を移動する場合、読取部31がブラシ45に当接する。これにより、読取部31は、紙粉の影響を低減できる。なお、ブラシ45は、左右方向ではなく、前後方向に延びてもよい。この場合、ブラシ45は、読み取り面31Aの上を左右方向に移動しながら紙粉等を除去してもよい。
【0098】
図8を参照して、変形例に係るプリンタ100について説明する。変形例でも、上記実施形態と同様の機能を有する構成には同じ符号を付して説明を省略又は簡略化する。プリンタ100は、上記実施形態とは、搬送部88、読取部31、及び照度補正板32の配置位置が異なり、剥離ユニット52を備える点で異なる。媒体Mを下方に搬送する為、搬送部88は、第一実施形態のプリンタ1Aの場合に比して後下方に配置される。読取部31、及び照度補正板32は、第二実施形態のプリンタ1Bの場合に比して、後方に配置される。
【0099】
剥離ユニット52は、搬送部89の前方且つ第二排出口221の後方に設けられる。剥離ユニット52は、媒体Mの台紙EからラベルLを剥離する。剥離ユニット52は、第三排出経路D3を搬送される媒体Mを、剥離部55、58により、台紙EからラベルLを剥離する。第三排出経路D3は、ローラ87から第二排出口221までの経路である。剥離されたラベルLは、第三排出経路D3を通過して、第二排出口221から取り出される。一方、媒体MのうちラベルLが剥離された台紙Eは、巻取経路Q4を通過して、巻き取り部450に巻き取られる。巻取経路Q4は、剥離ユニット52から巻き取り部450までの経路である。なお、このような場合でも、プリンタ100は、読取部31によって媒体Mを読み取ることが可能である。
【0100】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更可能である。なお、上記実施形態、上記変形例、及び下記変形例に開示された技術は、矛盾しない範囲で組み合わせてよい。
【0101】
上記実施形態では、プリンタ1Aは、コントローラ11によって制御したがこれに限らない。例えば、PC、タブレット等の外部機器によって、プリンタ1Aが制御されてもよい。
【0102】
上記実施形態では、サーマルヘッドタイプのプリンタについて説明したがこれに限らない。例えば、プリンタ1Aは、インジェットヘッドにより印刷を実行可能なプリンタであってもよい。
【0103】
上記実施形態では、媒体Mはロール状であったがこれに限らない。例えば、媒体Mは、ファンフォールドタイプであってもよい。この場合、プリンタ1Aは、プリンタ1Aの外部から媒体Mを供給可能な構成であってもよい。
【0104】
上記実施形態の媒体供給部86、搬送部88、89、巻き取り部450は、図1図3に示す位置に配置されたが、これらの配置位置は、適宜変更されてよい。これにともない、各経路Q1~Q3、D1、D2の方向は、適宜変更されてよい。
【0105】
上記実施形態のリボン供給装置7は、ヘッド84に接触させてインクリボンIを搬送したがこれに限らない。例えば、1又は複数のローラを別途配置して、そのローラを介してインクリボンIを搬送してもよい。
【0106】
上記実施形態の非検査排紙モードでは、媒体供給部86、搬送部88を駆動して媒体Mが搬送されたがこれに限らない。例えば、媒体供給部86は駆動されず、搬送部88のみが駆動されることで、媒体Mが搬送されてもよい。媒体供給装置5は、駆動部、搬送部88を適宜駆動すればよい。
【0107】
上記実施形態の巻き取りモードでは、媒体供給部86、搬送部88、89、巻き取り部450を駆動して媒体Mが搬送されたがこれに限らない。例えば、媒体供給部86、搬送部88、89は駆動されず、巻き取り部450のみが駆動されることで、媒体Mが搬送されてもよい。媒体供給装置5は、駆動部、搬送部88、89を適宜駆動すればよい。
【0108】
上記実施形態では、読取部31は、CISであったがこれに限らない。例えば、読取部31はCCDであってもよい。この場合、照度補正板32は、白色の板ではなく、単なる板でよい。また、照度補正板32又は板は、設けられなくてもよい。読取部31の搬送態様は適宜変更してよい。
【0109】
上記実施形態では、キャリッジ35は、図1図3に示す読取位置P1と退避位置P2との間を移動可能であったがこれに限らない。例えば、読取位置P1及び退避位置P2の位置は、適宜変更してよい。
【0110】
上記実施形態では、ファン41は、左右方向に移動しながら風を送る、又は、空気を吸引したがこれに限らない。例えば、ファン41は、首振り可能であり、風を送る方向、又は、空気を吸引可能な方向を変更可能であってもよい。
【0111】
上記説明において、第一排出口21は、本発明の「排出口」の一例である。照度補正板32は、本発明の「板」の一例である。カバー24A、24B、右パネル25は、本発明の「カバー」の一例である。
【符号の説明】
【0112】
1 プリンタ
21 第一排出口
24A、24B カバー
25 右パネル
31 読取部
31A 読み取り面
32 照度補正板
35 キャリッジ
39 モータ
41 ファン
45 ブラシ
84 サーマルヘッド
86 媒体供給部
221 第二排出口
450 巻き取り部
M 媒体
Q1、Q2、Q3、W1、W2、D1、D2、D21、D22 経路
P1 読取位置
P2 退避位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8