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特開2024-4667ステンレス鋼の表面を改質するための電解液
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004667
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ステンレス鋼の表面を改質するための電解液
(51)【国際特許分類】
   C25F 3/24 20060101AFI20240110BHJP
   C23G 1/26 20060101ALI20240110BHJP
   C23F 11/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C25F3/24
C23G1/26
C23F11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104390
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】516119003
【氏名又は名称】瀬川 勝規
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 勝規
【テーマコード(参考)】
4K053
4K062
【Fターム(参考)】
4K053PA03
4K053QA01
4K053RA05
4K053RA12
4K053RA17
4K053RA21
4K053RA45
4K062AA01
4K062BA05
4K062BA11
4K062FA12
(57)【要約】
【課題】ステンレス鋼の腐食を防止することができる電解液を提供する。
【解決手段】ステンレス鋼の腐食を抑制するために使用される電解液であって、
酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基剤と、リチウム化合物と、フッ素化合物とを含有する、電解液。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス鋼の腐食を抑制するために使用される電解液であって、
酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基剤と、リチウム化合物と、フッ素化合物とを含有する、電解液。
【請求項2】
交流電流法、直流電流法又は交直重畳電流法によりステンレス鋼を電解研磨処理して溶接スケールを除去するために用いられる、請求項1に記載の電解液。
【請求項3】
前記酸が、リン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、グリコール酸及びコハク酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸である、請求項1に記載の電解液。
【請求項4】
前記リチウム化合物が、水素化リチウム、酸化リチウム、水酸化リチウム及びリチウム塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の電解液。
【請求項5】
前記電解液の総量を100質量%として、前記リチウム化合物の含有量が、0.01~5.0質量%である、請求項1に記載の電解液。
【請求項6】
前記フッ素化合物が、フッ化水素及びフッ化物塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の電解液。
【請求項7】
前記電解液の総量を100質量%として、前記フッ素化合物の含有量が、0.01~5.0質量%である、請求項1に記載の電解液。
【請求項8】
さらに、ホウ素化合物を含有する、請求項1に記載の電解液。
【請求項9】
前記ホウ素化合物が、ホウ酸及び/又はその塩である、請求項8に記載の電解液。
【請求項10】
前記電解液の総量を100質量%として、前記ホウ素化合物の含有量が、0.001質量%以上0.050質量%未満である、請求項8に記載の電解液。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の電解液に浸漬する、表面改質されたステンレス鋼の製造方法。
【請求項12】
前記ステンレス鋼の表面に、防食皮膜が形成されている、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の製造方法により得られる、表面改質されたステンレス鋼。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステンレス鋼の表面を改質するための電解液に関する。
【背景技術】
【0002】
ステンレス鋼に溶接を施すと、その溶接部分に「溶接焼け」と呼ばれる酸化スケール(溶接スケール)が発生する。この溶接スケールは種々のトラブル要因となるため除去する必要がある。溶接スケールを除去する方法としては、物理的研磨法、化学的研磨法及び電解研磨法が知られているが、なかでも、溶接スケールの除去性能に優れる電解研磨法が広く採用されている。電解研磨法は、陽極としてのステンレス鋼母材を正極に接続し、陰極を負極に接続して、陽極と陰極との間に電解液を介在させて両極間に電流を通電することにより、ステンレス鋼表面に生じた溶接スケールを除去する方法である。
【0003】
この電解研磨法に用いられる電解液は、酸性電解液及び中性電解液に大別される。原子力プラントに使用される配管、石油精製プラント等化学プラントの反応塔や配管等には各種ステンレス鋼が使用されているが、これら耐食性に優れているステンレス鋼も、塩素イオンや水素イオン等の雰囲気下で、腐食作用の弱い中性電解液を使用した場合でさえも、経年劣化等により、外部応力や残留応力が引張り応力としてかかる等の悪条件が重なれば、応力腐食割れが発生し易く、これに基づいた腐食事故も起こっている。
【0004】
このような腐食事故を防止するため、例えば、特許文献1には、基剤である特定の酸の塩に対して、リチウム化合物のみを添加することにより、腐食や発錆を防止する、酸素の効用による不動態化とは全く異なる防食皮膜を形成させることができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-185256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、リチウム化合物のみを添加しているため、防食皮膜の形成効果は十分とは言えず、腐食や発錆を十分に防止できるものではなかった。本発明は、このような課題を解決しようとするものであり、ステンレス鋼の腐食を防止することができる電解液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、基剤に対して、リチウム化合物のみならず、フッ素化合物も添加することで、ステンレス鋼の腐食を抑制し、経年劣化を抑制できることを見出した。この効果は、さらにホウ素化合物をごく少量添加した場合にはより顕著である。本発明者は、この知見に基づいて更に研究を重ね本発明を完成した。即ち、本発明は、以下の構成を包含する。
【0008】
項1.ステンレス鋼の腐食を抑制するために使用される電解液であって、
酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基剤と、リチウム化合物と、フッ素化合物とを含有する、電解液。
【0009】
項2.交流電流法、直流電流法又は交直重畳電流法によりステンレス鋼を電解研磨処理して溶接スケールを除去するために用いられる、項1に記載の電解液。
【0010】
項3.前記酸が、リン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、グリコール酸及びコハク酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸である、項1に記載の電解液。
【0011】
項4.前記リチウム化合物が、水素化リチウム、酸化リチウム、水酸化リチウム及びリチウム塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1に記載の電解液。
【0012】
項5.前記電解液の総量を100質量%として、前記リチウム化合物の含有量が、0.01~5.0質量%である、項1に記載の電解液。
【0013】
項6.前記フッ素化合物が、フッ化水素及びフッ化物塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1に記載の電解液。
【0014】
項7.前記電解液の総量を100質量%として、前記フッ素化合物の含有量が、0.01~5.0質量%である、項1に記載の電解液。
【0015】
項8.さらに、ホウ素化合物を含有する、項1に記載の電解液。
【0016】
項9.前記ホウ素化合物が、ホウ酸及び/又はその塩である、項8に記載の電解液。
【0017】
項10.前記電解液の総量を100質量%として、前記ホウ素化合物の含有量が、0.001質量%以上0.050質量%未満である、項8に記載の電解液。
【0018】
項11.項1~10のいずれか1項に記載の電解液に浸漬する、表面改質されたステンレス鋼の製造方法。
【0019】
項12.前記ステンレス鋼の表面に、防食皮膜が形成されている、項11に記載の製造方法。
【0020】
項13.項11又は12に記載の製造方法により得られる、表面改質されたステンレス鋼。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ステンレス鋼の腐食を防止することができる電解液を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。
【0023】
本明細書において、数値範囲をA~Bで表記する場合、A以上B以下を示す。
【0024】
本発明の電解液は、ステンレス鋼の腐食を抑制するために使用される電解液であって、酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基剤と、リチウム化合物と、フッ素化合物とを含有する。
【0025】
1.基剤
基剤としては、特に制限されるわけではないが、酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩等を使用することができる。ただし、後述のリチウム化合物と同じ化合物は、基剤には含まれない。
【0026】
使用できる酸としては、無機酸及び有機酸のいずれも採用することができ、例えば、硫酸、チオ硫酸、リン酸等の無機酸;グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸;酢酸、シュウ酸、コハク酸等のカルボン酸等を使用することができる。これらの酸は、1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。なかでも、ステンレス鋼の腐食を防止しやすい観点から、無機酸が好ましく、硫酸がより好ましい。
【0027】
基剤としては、上記した酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等を使用する。アルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。これらの塩は、1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
【0028】
これらの基剤は、1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
【0029】
基剤の含有量は、特に制限されるわけではないが、ステンレス鋼の腐食を防止しやすい観点から、電解液の総量を100質量%として、0.1~50質量%が好ましく、0.5~40.0質量%がより好ましく、1.0~30.0質量%がさらに好ましい。なお、基剤を複数用いる場合は、合計含有量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。
【0030】
2.リチウム化合物
リチウム化合物としては、特に制限されるわけではないが、水素化リチウム、酸化リチウム、水酸化リチウム、リチウム塩(クエン酸リチウム等の有機酸リチウム;硫酸リチウム、チオ硫酸リチウム等の無機酸リチウム)等を使用することができる。
【0031】
これらのリチウム化合物は、1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
【0032】
リチウム化合物の含有量は、特に制限されるわけではないが、ステンレス鋼の腐食を防止しやすい観点から、電解液の総量を100質量%として、0.01~5.0質量%が好ましく、0.05~3.0質量%がより好ましく、0.1~1.0質量%がさらに好ましい。なお、リチウム化合物を複数用いる場合は、合計含有量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。
【0033】
3.フッ素化合物
フッ素化合物としては、特に制限されるわけではないが、フッ化水素、フッ化物塩(フッ化カリウム、フッ化ナトリウム等のアルカリ金属フッ化物塩;フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等のアルカリ土類金属フッ化物塩;フッ化アンモニウム)等を使用することができる。
【0034】
これらのフッ素化合物は、1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。なかでも、ステンレス鋼の腐食を防止しやすい観点から、フッ化物塩が好ましく、アルカリ金属フッ化物塩がより好ましく、フッ化カリウムがさらに好ましい。
【0035】
フッ素化合物の含有量は、特に制限されるわけではないが、ステンレス鋼の腐食を防止しやすい観点から、電解液の総量を100質量%として、0.01~5.0質量%が好ましく、0.05~4.0質量%がより好ましく、0.1~3.0質量%がさらに好ましい。なお、フッ素化合物を複数用いる場合は、合計含有量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。
【0036】
4.ホウ素化合物
本発明の電解液には、さらに、ホウ素化合物を含ませることもできる。ホウ素化合物を含ませることにより、ステンレス鋼の腐食をさらに防止しやすい。
【0037】
ホウ素化合物としては、特に制限されるわけではないが、ホウ酸及び/又はその塩(ホウ酸;ホウ酸カリウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸アルカリ金属塩;ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩;ホウ酸アンモニウム)等を使用することができる。
【0038】
これらのホウ素化合物は、1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。なかでも、ステンレス鋼の腐食を防止しやすい観点から、ホウ酸塩が好ましく、ホウ酸アルカリ金属塩がより好ましく、ホウ酸カリウムがさらに好ましい。
【0039】
ホウ素化合物の含有量は、特に制限されるわけではないが、ステンレス鋼の腐食を防止しやすい観点から、電解液の総量を100質量%として、0.001質量%以上0.050質量%未満が好ましく、0.005~0.048質量%がより好ましく、0.010~0.045質量%がさらに好ましい。なお、ホウ素化合物を複数用いる場合は、合計含有量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。
【0040】
5.電解液
本発明の電解液には、上記した基剤と、リチウム化合物と、フッ素化合物と、必要に応じてホウ素化合物以外にも、様々な成分を含ませることもできる。
【0041】
例えば、本発明の電解液には、ゲル化剤を含ませることもできる。ゲル化剤を含有させることにより、本発明の電解液により適切な粘性を付与し、ペースト状の電解液を得ることも可能である。電解処理の際の液だれを避けたい場合、例えば、ステンレス鋼母材が垂直方向に設置された現場で溶接され、その溶接焼けを除去したい場合等に有用である。このような観点から、本発明の電解液にゲル化剤を含ませる場合、その含有量は、0.01~1質量%が好ましく、0.02~0.5質量%がより好ましい。このようなゲル化剤としては、特に限定されないが、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の化学修飾されたセルロース誘導体、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、タマリンドガム、ローカストビーンガム、ペクチン等の多糖類等の1種又は2種以上を挙げることができる。
【0042】
このような本発明の電解液は、塩素イオンや水素イオン等の雰囲気下であっても、ステンレス鋼の腐食を抑制しやすいことから、水溶液が好ましい。水の使用量は、本発明の電解液中の各成分の含有量を上記範囲となるように調整することが好ましい。この結果、本発明の電解研磨液を中性、例えば、pHを6~8とすることができ、ステンレス鋼の腐食を効果的に抑制することができる。
【0043】
6.電解処理
本発明の電解液は、ステンレス鋼の表面を改質し、腐食を抑制するために使用される。この際、ステンレス鋼の表面に、防食皮膜を形成することができる。
【0044】
この本発明の電解液を用いてステンレス鋼表面を改質し、防食皮膜を形成する際には、ステンレス鋼を本発明の電解液に浸漬することができる。
【0045】
そのうえで、交流電流法、直流電流法又は交直重畳電流法により、本発明の電解液を使用すること以外は従来と同様の条件で電解研磨処理を行うこともできる。例えば、交直重畳電流法を採用する場合は、ステンレス鋼母材を、交流電流や、直流に交流を重ねた交直重畳電流の陽極側に接続し、本発明の電解液を使用して電解処理することができる。この際、電解液の保持性が良好な布又はフェルトに本発明の電解液を含浸させて陽極であるステンレス鋼母材に押し当てることにより、本発明の電解液を電気分解における電解質とすることもできる。これにより、陽極で溶解が起こり、陽極であるステンレス鋼母材表面から溶接スケールが溶出することにより、溶接スケールが除去されるとともに、防食皮膜を形成し、ステンレス鋼の腐食を特に効果的に抑制することができる。これらの電流方式や条件は、ステンレス鋼の表面処理の用途、電解処理液の仕様、表面処理を行う母材の材質、母材の表面処理加工の種類等によって、最適な方式を選択することが好ましい。なお、交流電流法、直流電流法又は交直重畳電流法による電解研磨処理時の電流、電圧等の各種条件は常法にしたがい調整することができる。例えば、出力電圧は10~70Vの範囲で調節し、5~90Aの電流を流すことが好ましい。
【0046】
また、このようにして得られるステンレス鋼は、表面に本発明の電解液に起因する防食皮膜が形成され、腐食を特に効果的に抑制することができる。このようにして得られる防食皮膜が形成されたステンレス鋼は、従来にはない耐腐食性を有しており、従来にはないステンレス鋼であるが、その表面状態を特定することはおよそ現実的ではないため、本発明においては、本発明の製造方法により得られることで特定している。
【実施例0047】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらのみに限定されないことは言うまでもない。
【0048】
なお、実施例において、各種試薬は、市販品を使用した。
【0049】
腐食試験用ステンレス鋼板には、SUS304(20mm×20mm×1.6mm;鏡面材;ビード無し)を使用した。
【0050】
比較例1
基剤(無機酸アルカリ金属塩)のみを水に溶解させ、基剤の含有量が5.0質量%である水溶液を得た。
【0051】
比較例2
基剤(無機酸アルカリ金属塩)及びリチウム塩のみを水に溶解させ、基剤の含有量が5.0質量%、リチウム塩の含有量が0.30質量%である水溶液を得た。
【0052】
実施例1
基剤(無機酸アルカリ金属塩)、リチウム塩及びフッ化カリウムを水に溶解させ、基剤の含有量が5.0質量%、リチウム塩の含有量が0.30質量%、フッ化カリウムの含有量が1.00質量%である水溶液を得た。
【0053】
実施例2
基剤(無機酸アルカリ金属塩)、リチウム塩、フッ化カリウム及びホウ酸カリウムを水に溶解させ、基剤の含有量が5.0質量%、リチウム塩の含有量が0.30質量%、フッ化カリウムの含有量が1.00質量%、ホウ酸カリウムの含有量が0.040質量%である水溶液を得た。
【0054】
上記したステンレス鋼板に対して、実施例1~2及び比較例1~2の電解液を用いて、JIS G0578:2013「ステンレス鋼の塩化第二鉄腐食試験方法」に準拠して腐食試験を行い、平均水温19℃において24時間経過後の重量減少を測定することにより、耐腐食性を評価した。
【0055】
この結果、比較例1ではステンレス鋼の重量が14.502gから14.473gに減少し(減少率0.20%)、比較例2ではステンレス鋼の重量が14.501gから14.486gに減少し(減少率0.10%)、実施例1ではステンレス鋼の重量が14.503gから14.497gに減少し(減少率0.04%)、実施例2ではステンレス鋼の重量が14.502gから14.499gに減少した(減少率0.02%)。