(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004669
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】通気部材、通気部材の製造方法及び通気構造
(51)【国際特許分類】
B65D 51/16 20060101AFI20240110BHJP
B29C 33/12 20060101ALI20240110BHJP
H01M 50/30 20210101ALI20240110BHJP
B01D 46/10 20060101ALI20240110BHJP
H05K 5/06 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B65D51/16 100
B29C33/12
H01M50/30
B01D46/10 A
B01D46/10 E
H05K5/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104395
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永嶋 二朗
(72)【発明者】
【氏名】有賀 英貴
(72)【発明者】
【氏名】渡部 光雄
(72)【発明者】
【氏名】義経 修司
【テーマコード(参考)】
3E084
4D058
4E360
4F202
5H012
【Fターム(参考)】
3E084AA05
3E084AA14
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4E360GC20
4F202AA16
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4F202CB12
4F202CQ01
5H012AA07
5H012BB08
5H012DD01
5H012DD07
5H012EE01
5H012GG05
5H012JJ06
(57)【要約】
【課題】シール性を確保しつつ、筐体内の圧力を調整可能な通気部材を提供する。
【解決手段】通気部材100は、通気性を有する通気膜110と通気膜110を保持する弾性部材120との一体成型品であり、通気膜110は、面111と、面111の反対側の面112とを含み、弾性部材120は、面111に接触する環状の環状部分121と、面111に垂直な方向Z1からの平面視において環状部分121に重なり、面112に接触する環状の環状部分122と、環状部分121と環状部分122とを連結する連結部123とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性を有する通気膜と前記通気膜を保持する弾性部材との一体成型品であり、
前記通気膜は、
第1面と、
前記第1面の反対側の第2面とを含み、
前記弾性部材は、
前記第1面に接触する環状の第1部分と、
前記第1面に垂直な第1方向からの平面視において前記第1部分に重なり、前記第2面に接触する環状の第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分とを連結する連結部とを含む、
ことを特徴とする通気部材。
【請求項2】
前記第1部分は、
前記第1面に接触する面と反対側の面に、全周にわたって形成された環状の第1凹部を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の通気部材。
【請求項3】
前記第2部分は、
前記第2面に接触する面と反対側の面に、全周にわたって形成された環状の第2凹部を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の通気部材。
【請求項4】
前記第2部分の形状は、前記第1部分の形状と異なる、
ことを特徴とする請求項1に記載の通気部材。
【請求項5】
前記通気膜は、
前記第1方向からの平面視において前記弾性部材と重なる部分に設けられた1以上の貫通孔を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通気部材。
【請求項6】
前記1以上の貫通孔は、複数の貫通孔であり、
前記複数の貫通孔は、
前記弾性部材のうち、前記複数の貫通孔のうちの互いに隣接する2つの貫通孔を結ぶ部分の長さが均一になるように、配置される、
ことを特徴とする請求項5に記載の通気部材。
【請求項7】
前記第1部分のうちの前記第1凹部に、前記弾性部材の注型用の複数のゲートが位置する、
ことを特徴とする請求項2に記載の通気部材。
【請求項8】
前記通気膜は、前記第1方向からの平面視において前記第1凹部と重なる部分に設けられた複数の貫通孔を有し、
前記複数のゲートは、前記複数の貫通孔に対応し、
前記複数のゲートの各々の少なくとも一部分は、前記第1方向からの平面視において、前記複数の貫通孔のうちの対応する貫通孔と重なる部分に位置する、
ことを特徴とする請求項7に記載の通気部材。
【請求項9】
前記通気膜は、気体を通す多孔質膜である、
ことを特徴とする請求項1に記載の通気部材。
【請求項10】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面とを含み、通気性を有する通気膜を準備する第1工程と、
前記通気膜を保持する弾性部材であって、前記第1面に接触する環状の第1部分と、前記第1面に垂直な第1方向からの平面視において前記第1部分に重なり、前記第2面に接触する環状の第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを連結する連結部とを含む前記弾性部材を、前記通気膜と一体に形成する第2工程とを有する、
ことを特徴とする通気部材の製造方法。
【請求項11】
前記第2工程においては、前記通気膜が保持された金型に1以上のゲートから樹脂材料を注型することにより前記弾性部材を形成し、
前記第1部分は、前記第1面に接触する面と反対側の面に、全周にわたって形成された環状の第1凹部を含み、
前記1以上のゲートは、前記第1凹部に対応する前記金型の凸部の頂面に位置する、
ことを特徴とする請求項10に記載の通気部材の製造方法。
【請求項12】
前記通気膜は、前記第1方向からの平面視において前記第1凹部と重なる部分に設けられた1以上の貫通孔を有し、
前記1以上のゲートのうちの一のゲートの少なくとも一部分は、前記第1方向からの平面視において、前記1以上の貫通孔のいずれかと重なる部分に位置する、
ことを特徴とする請求項11に記載の通気部材の製造方法。
【請求項13】
前記通気膜は、前記第1方向からの平面視において前記弾性部材と重なる部分に設けられた複数の貫通孔を有し、
前記1以上のゲートは、前記複数の貫通孔に対応して設けられた複数のゲートであり、
前記複数のゲートの各々の少なくとも一部分は、前記第1方向からの平面視において、前記複数の貫通孔のうちの対応する貫通孔と重なる部分に位置する、
ことを特徴とする請求項11に記載の通気部材の製造方法。
【請求項14】
所定部分を貫通する通気孔を有し、所定の物を収納する筐体と、
通気性を有する通気膜と前記通気膜を保持する弾性部材との一体成型品であり、前記筐体に取り付けられる通気部材と、
を備え、
前記通気膜は、
第1面と、
前記第1面の反対側の第2面とを含み、
前記弾性部材は、
前記第1面に接触する環状の第1部分と、
前記第1面に垂直な第1方向からの平面視において前記第1部分に重なり、前記第2面に接触する環状の第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分とを連結する連結部とを含み、
前記通気部材は、
前記通気膜が前記通気孔を塞ぐように、前記筐体の前記所定部分に取り付けられる、
ことを特徴とする通気構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気部材、通気部材の製造方法及び通気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリーケース等の筐体では、筐体内の圧力を調整するためのバルブ等の通気部材が設けられる場合がある。例えば、特許文献1には、収容ケース内のガスを排気するためのリリーフバルブが設けられた蓄電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通気部材の機能として、外部からの水、泥水及びダスト等の異物の侵入を防止するシール性と、筐体内の圧力を調整する内圧調整とが求められる。以上の事情を考慮して、本発明のひとつの態様は、シール性を確保しつつ、筐体内の圧力を調整可能な通気部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明の一形態に係る通気部材は、通気性を有する通気膜と前記通気膜を保持する弾性部材との一体成型品であり、前記通気膜は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面とを含み、前記弾性部材は、前記第1面に接触する環状の第1部分と、前記第1面に垂直な第1方向からの平面視において前記第1部分に重なり、前記第2面に接触する環状の第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを連結する連結部とを含む。
【0006】
また、本発明の一形態に係る通気部材の製造方法は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面とを含み、通気性を有する通気膜を準備する第1工程と、前記通気膜を保持する弾性部材であって、前記第1面に接触する環状の第1部分と、前記第1面に垂直な第1方向からの平面視において前記第1部分に重なり、前記第2面に接触する環状の第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを連結する連結部とを含む弾性部材を、前記通気膜と一体に形成する第2工程とを有する。
【0007】
また、本発明の一形態に係る通気構造は、所定部分を貫通する通気孔を有し、所定の物を収納する筐体と、通気性を有する通気膜と前記通気膜を保持する弾性部材との一体成型品であり、前記筐体に取り付けられる通気部材と、を備え、前記通気膜は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面とを含み、前記弾性部材は、前記第1面に接触する環状の第1部分と、前記第1面に垂直な第1方向からの平面視において前記第1部分に重なり、前記第2面に接触する環状の第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを連結する連結部とを含み、前記通気部材は、前記通気膜が前記通気孔を塞ぐように、前記筐体の前記所定部分に取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る通気構造の概要を説明するための説明図である。
【
図2】
図1に示された通気部材の構成を説明するための説明図である。
【
図3】
図2に示された通気膜の一例を示す平面図である。
【
図4】通気部材の取り付け方法の一例を説明するための説明図である。
【
図5】通気部材の製造方法の一例を説明するための説明図である。
【
図6】第1変形例に係る通気構造の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0010】
[1.実施形態]
以下、本発明の実施形態を説明する。先ず、
図1を参照しながら、実施形態に係る通気構造10の概要の一例について説明する。
【0011】
図1は、実施形態に係る通気構造10の概要を説明するための説明図である。
【0012】
通気構造10は、例えば、所定の物20を収納する筐体200と、筐体200に取り付けられる通気部材100とを含む。本実施形態では、通気構造10がバッテリーケースである場合を想定する。この場合、所定の物20は、正極性の電極板及び負極性の電極板を含むバッテリー本体である。なお、通気構造10は、バッテリーケースに限定されない。
【0013】
筐体200は、開口を有する箱部220と、箱部220の開口を塞ぐ蓋部210とを含む。箱部220は、所定の物20を内部に配置可能な中空の部材である。蓋部210には、蓋部210を貫通する通気孔AHを有する。蓋部210は、「所定部分」の一例である。なお、筐体200の材料は、例えば、金属でもよいし、樹脂でもよい。
【0014】
通気部材100は、例えば、筐体200の外部からの水、泥水及びダスト等の異物の侵入を防止するシール性と、筐体200内の圧力を調整する内圧調整の機能とを有する。例えば、通気部材100は、蓋部210の通気孔AHを塞ぐように蓋部210に取り付けられる。通気部材100を蓋部210に取り付ける方法の一例は、
図4において後述される。なお、以下では、蓋部210の上面212に垂直な一方向を方向Z1と称し、方向Z1の反対方向を方向Z2と称する場合がある。次に、
図2を参照しながら、通気部材100の構成の一例について説明する。
【0015】
図2は、
図1に示された通気部材100の構成を説明するための説明図である。
図2の上段は、方向Z1から通気部材100を平面視した場合の通気部材100の平面図を示し、
図2の下段は、通気部材100の断面斜視図を模式的に示している。なお、断面斜視図により示される断面は、平面図に示したB1-CT-A2線に沿う通気部材100の断面である。
図2では、通気部材100の構成を分かり易くするために、後述する通気膜110の面111を網掛けで示している。
【0016】
通気部材100は、通気性を有する通気膜110と通気膜110を保持する弾性部材120との一体成型品である。これにより、本実施形態では、通気膜110と弾性部材120との密着性を向上させることができる。
【0017】
通気膜110は、例えば、気体を通す多孔質膜である。例えば、通気膜110の材料は、水、泥水及びダスト等の異物は通さないが、空気等の気体を通す撥水通気機能を持つ材料である。具体的には、通気膜110の材料は、多孔質膜及び緻密な繊維等の材料であってよい。より具体的には、通気膜110の材料は、PTFE(Poly Tetra Fluoro Ethylene:四フッ化エチレン樹脂)等の多孔質膜であってもよいし、バンブーレーヨン製撥水シート(例えば、株式会社中津山熱処理製)であってもよい。通気膜110は、面111と、面111の反対側の面112とを含む。面111は、例えば、通気膜110を方向Z1から平面視した場合に視認される通気膜110の表面である。面111は、「第1面」の一例であり、面112は、「第2面」の一例である。
【0018】
また、平面図に示すように、通気膜110は、方向Z1から平面視した場合、円形状として把握される。なお、方向Z1からの平面視において把握される通気膜110の形状は、円形状以外の形状(例えば、直線及び曲線を含む形状、及び、矩形状等)でもよい。以下では、通気膜110の中心を通り、面111に垂直な線は、軸線CTと称される。本実施形態では、方向Z1及びZ2は、軸線CTに沿う方向である。従って、方向Z1及びZ2は、「第1方向」の一例である。
【0019】
また、通気膜110は、方向Z1からの平面視において弾性部材120と重なる部分に設けられた複数の貫通孔THを有する。複数の貫通孔THの各々は、通気膜110を貫通し、後述する弾性部材120の連結部123を画定する。
【0020】
図2に示す例では、4つの貫通孔THが通気膜110に設けられるが、貫通孔THの数は、1以上3以下でもよいし、5以上でもよい。また、
図2に示す例では、貫通孔THは、方向Z1からの平面視において円形状として把握されるが、方向Z1からの平面視において把握される貫通孔THの形状は、円形状以外の形状(例えば、直線及び曲線を含む形状、及び、矩形状等)でもよい。
【0021】
弾性部材120は、断面斜視図に示すように、通気膜110の面111に接触する環状部分121と、通気膜110の面112に接触する環状部分122と、環状部分121と環状部分122とを連結する連結部123とを含む。環状部分121は、方向Z1から平面視した場合、環状の形状として把握され、環状部分122は、方向Z2から平面視した場合、環状の形状として把握される。また、環状部分122は、方向Z2からの平面視において環状部分121に重なる。環状部分121は、「第1部分」の一例であり、環状部分122は、「第2部分」の一例である。
【0022】
ここで、本実施形態において、「環状」とは、平面視した場合に、一の閉領域から、当該一の閉領域の内部に存在する他の閉領域を取り除いた形状である。また、「閉領域」とは、例えば、曲線及び線分の一方又は両方により囲まれた領域である。すなわち、「環状」は、空間を包囲するようにループする直線又は曲線により構成される形状を意味する。
【0023】
図2に示す例では、環状部分121及び122の各々の外周及び内周が方向Z1からの平面視において円形状として把握される。なお、方向Z1からの平面視において把握される環状部分121及び122の各々の外周及び内周は、円形状以外の形状(例えば、直線を含む形状)でもよい。
【0024】
また、環状部分121は、通気膜110の面111に接触する面と反対側の面に、全周にわたって形成された環状の凹部D1を含む。従って、環状部分121は、凹部D1を画定する2つの凸部C1i及びC1oを含む。凸部C1iは、凸部C1oよりも内側に位置する。本実施形態では、例えば、上述した複数の貫通孔THは、通気膜110のうち、方向Z1からの平面視において凹部D1と重なる部分に設けられる。
【0025】
また、環状部分122は、通気膜110の面112に接触する面と反対側の面に、全周にわたって形成された環状の凹部D2を含む。従って、環状部分122は、凹部D2を画定する2つの凸部C2i及びC2oを含む。凸部C2iは、凸部C2oよりも内側に位置する。なお、凹部D1は、「第1凹部」の一例であり、凹部D2は、「第2凹部」の一例である。
【0026】
連結部123は、通気膜110の貫通孔THの内部に形成される。そして、連結部123は、通気膜110よりも方向Z1に位置する環状部分121と、通気膜110よりも方向Z2に位置する環状部分122とを連結する。
図2に示す例では、4つの貫通孔THが通気膜110に設けられているため、弾性部材120は、4つの連結部123を有する。
【0027】
なお、弾性部材120の材料としては、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム(FKM)、水素化ニトリルゴム(HNBR)及びシリコーンゴム(VMQ)等のゴム材料等が挙げられる。但し、弾性部材120の材料は、弾性部材120に必要な特性(例えば、シールド性)を実現することができればよく、上述のゴム材料に限定されず、例えば、エラストマー材料等でもよい。
【0028】
本実施形態では、通気膜110の通気性が方向Z1及びZ2に依存しない場合を想定する。このため、本実施形態では、環状部分121及び122は、断面形状が通気膜110を挟んで対称になるように、形成される。すなわち、本実施形態では、通気部材100は、断面形状が通気膜110を挟んで対称になるように、形成される。この結果、本実施形態では、通気部材100の向きを気にすることなく、通気部材100を蓋部210に取り付けることができる。従って、本実施形態では、通気部材100を蓋部210に取り付ける作業を簡易にすることができる。
【0029】
ここで、本実施形態では、弾性部材120の注型用の複数のゲートは、環状部分121のうちの凹部D1に位置する。これにより、ゲートの跡であるゲート跡が弾性部材120に残る場合においても、ゲート跡は、凹部D1には形成されるが、凸部C1i及びC1oの頂面には形成されない。このため、本実施形態では、環状部分121のうちの凸部C1i及びC1oの頂面が凸凹になることを抑制し、シール性を損なわない。
【0030】
なお、弾性部材120の注型用の複数のゲートは、好ましくは、通気膜110の複数の貫通孔THに対応している。例えば、複数のゲートの各々の少なくとも一部分は、方向Z1からの平面視において、複数の貫通孔THのうちの対応する貫通孔THと重なる部分に位置する。この場合、弾性部材120の材料である樹脂材料を、貫通孔THを介して通気膜110の裏側に効率よく注入することができる。なお、通気膜110の裏側は、例えば、通気膜110よりも方向Z1の位置から樹脂材料を注入する場合、通気膜110よりも方向Z2の位置である。
【0031】
また、複数のゲートから樹脂材料が注入される場合、樹脂材料の移動量を減らすことができる。これにより、本実施形態では、樹脂材料が、到達すべき場所に到達しない不良等が発生することを抑制することができる。
【0032】
次に、
図3を参照しながら、通気膜110について説明する。
【0033】
図3は、
図2に示された通気膜110の一例を示す平面図である。なお、
図3は、方向Z1から通気膜110を平面視した場合の通気膜110の平面図である。
図3においても、通気膜110の面111を網掛けで示している。また、
図3では、弾性部材120が設けられる位置を、破線の円で示している。また、
図3では、通気膜110に設けられた複数の貫通孔THを互いに区別するために、貫通孔THの符号の末尾には、数字(1、2、3又は4)が付されている。なお、
図3以降においても、貫通孔TH1、TH2、TH3及びTH4は、特に区別することなく、貫通孔THとも称される。
【0034】
複数の貫通孔THは、弾性部材120のうち、複数の貫通孔THのうちの互いに隣接する2つの貫通孔THを結ぶ部分の長さL(L1、L2、L3及びL4)が均一になるように、配置される。例えば、長さL1は、弾性部材120のうち、貫通孔TH1内に形成された連結部123から貫通孔TH2内に形成された連結部123までの部分の長さである。長さL2は、弾性部材120のうち、貫通孔TH2内に形成された連結部123から貫通孔TH3内に形成された連結部123までの部分の長さである。長さL3は、弾性部材120のうち、貫通孔TH3内に形成された連結部123から貫通孔TH4内に形成された連結部123までの部分の長さである。そして、長さL4は、弾性部材120のうち、貫通孔TH4内に形成された連結部123から貫通孔TH1内に形成された連結部123までの部分の長さである。
【0035】
すなわち、複数の貫通孔THは、弾性部材120のうち、互いに隣接する2つの連結部123を結ぶ部分の長さL1、L2、L3及びL4が均一になるように、配置される。この場合、環状部分121及び122の一方の移動が他方に与える影響が、場所によってばらつくことを抑制することができる。この結果、本実施形態では、弾性部材120の移動の影響を均等にできる。
【0036】
また、本実施形態では、長さL1、L2、L3及びL4が均一になるように、複数の貫通孔THが配置されるため、通気膜110の変形(例えば、うねり及びずれ等)を抑制することができる。
【0037】
なお、複数の貫通孔THは、複数の貫通孔THのうちの互いに隣接する2つの貫通孔THの一方の中心及び軸線CTを通る線と2つの貫通孔THの他方の中心及び軸線CTを通る線とのなす角θ(θ1、θ2、θ3及びθ4)が均一になるように配置されてもよい。例えば、複数の貫通孔THの各々の中心を通る線が真円である場合、角θ1、θ2、θ3及びθ4を均一にすることにより、長さL1、L2、L3及びL4が均一になる。
【0038】
次に、
図4を参照しながら、通気部材100を蓋部210に取り付ける方法の一例について説明する。
【0039】
図4は、通気部材100の取り付け方法の一例を説明するための説明図である。なお、
図4は、
図1等に示したA1-A2線に沿う通気構造10の要部(通気部材100の周辺)の断面を示している。
【0040】
図4に示す例では、通気部材100は、通気膜110が通気孔AHを塞ぐように、取り付け部材300により蓋部210に取り付けられている。取り付け部材300は、通気部材100を保持する取り付けホルダー310と、取り付けホルダー310を蓋部210に固定する複数のボルト320とを有する。取り付けホルダー310は、方向Z1からの平面視において通気部材100を囲むように配置される環状の本体部312と、本体部312から軸線CTに向かって突出する環状の保持部314とを含む。保持部314は、通気部材100よりも方向Z1に位置し、方向Z1からの平面視において弾性部材120と重なる。すなわち、弾性部材120は、保持部314の面315と蓋部210の上面212との間に配置される。保持部314の面315は、保持部314の面のうち、蓋部210の上面212に対向する面である。本実施形態では、保持部314と蓋部210とで弾性部材120を挟むことにより、弾性部材120を保持する。
【0041】
取り付けホルダー310の本体部312には、複数のボルト320に対応する複数のねじ穴SHbが設けられている。複数のねじ穴SHbは、例えば、軸線CTまわりに沿う周方向の間隔が均一になるように配置され、本体部312を貫通する。また、蓋部210には、複数のねじ穴SHbに対応する位置に、複数のねじ穴SHeが設けられている。例えば、複数のねじ穴SHeの各々は、蓋部210を貫通することなく、ボルト320の先端と結合するように設けられる。なお、取り付けホルダー310の材料は、例えば、金属でもよいし、樹脂でもよい。
【0042】
本実施形態では、弾性部材120の方向Z1に沿う長さを、保持部314の面315と蓋部210の上面212との距離よりも大きくすることにより、締め代を設定する。このため、通気部材100が蓋部210に取り付けられた状態では、環状部分121の凸部C1i及びC1oと、環状部分122の凸部C2i及びC2oとが潰れる。すなわち、通気部材100が蓋部210に取り付けられた状態では、弾性部材120は、方向Z1及びZ2に圧縮され、弾性変形する。このため、弾性部材120は、弾性変形により生じる弾性力によって、取り付けホルダー310の保持部314を方向Z1に押圧するとともに、蓋部210を方向Z2に押圧する。この結果、通気部材100のシール性が向上する。
【0043】
また、本実施形態では、
図3において説明したように、ゲート跡が凸部C1i及びC1oの頂面に形成されないため、凸部C1i及びC1oの頂面が凸凹になることを抑制することができる。この結果、本実施形態では、ゲート跡が凸部C1i及びC1oの頂面に形成さる場合に比べて、通気部材100のシール性を向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、
図3において説明したように、通気膜110が、水、泥水及びダスト等の異物は通さないが、空気等の気体を通すPTFE等の多孔質膜質により形成されるため、筐体200内の圧力を調整することができる。例えば、本実施形態では、筐体200内の圧力が上昇した場合に、破線の矢印で示されるように、筐体200内のガスを通気膜110から排気することができる。
【0045】
なお、通気膜110を保持する弾性部材120が省かれた通気部材(以下、第1対比例の通気部材とも称する)では、シール等により蓋部210に張り付けられた通気膜110により、筐体200内の圧力が調整される。但し、第1対比例の通気部材では、通気膜110と蓋部210との接着性が悪いため、通気膜110と蓋部210との密着性が低下し、通気部材のシール性が低下する。これに対し、本実施形態では、通気部材100が通気膜110と弾性部材120との一体成型品であるため、通気膜110と弾性部材120との密着性を向上させることができる。この結果、本実施形態では、第1対比例の通気部材に比べて、通気部材100のシール性を向上させることができる。すなわち、本実施形態では、シール性を確保しつつ、筐体200内の圧力を調整することができる。
【0046】
また、例えば、別々に形成された環状部分121と環状部分122とで、単に、通気膜110を挟む通気部材(以下、第2対比例の通気部材とも称する)では、通気部材を蓋部210に取り付ける場合に、通気膜110が所望の位置からずれるおそれがある。また、第2対比例の通気部材では、通気部材を蓋部210に取り付ける場合に、環状部分121が環状部分122対して相対的に移動し、通気膜110が変形するおそれがある。これに対し、本実施形態では、通気膜110が弾性部材120により保持されているため、通気部材100を蓋部210に取り付ける場合に、通気膜110が変形すること等を抑制することができる。従って、本実施形態では、第1対比例の通気部材及び第2対比例の通気部材に比べて、通気部材100を蓋部210に容易に取り付けることができる。
【0047】
また、本実施形態では、弾性部材120の外周面124と取り付けホルダー310の本体部312の内周面313との間に隙間が確保されるように、通気部材100が蓋部210に取り付けられる。すなわち、通気部材100には、取り付けホルダー310の本体部312の内周面313に対する締め代は設けられない。例えば、取り付けホルダー310の本体部312の内周面313に対する締め代が設けられた通気部材では、通気部材が蓋部210に取り付けられた場合、弾性部材120の形状変化により、通気膜110が変形するおそれがある。
【0048】
これに対し、本実施形態では、上述したように、取り付けホルダー310の本体部312の内周面313に対する締め代が設けられない。このため、本実施形態では、通気部材100が蓋部210に取り付けられた場合に、通気膜110が変形することを抑制することができる。
【0049】
なお、弾性部材120の外周面124は、取り付けホルダー310の本体部312の内周面313に対する締め代が設けられなければ、取り付けホルダー310の本体部312の内周面313に接してもよい。
【0050】
また、本実施形態では、通気膜110の外周は弾性部材120の外周よりも外側に位置するが、通気膜110の外周は、弾性部材120の外周よりも内側に位置してもよい。あるいは、通気膜110の外周は、方向Z1からの平面視において、弾性部材120の外周と一致してもよい。なお、通気膜110の外周が弾性部材120の外周よりも外側に位置する場合、通気膜110と弾性部材120とを容易に一体成型することができる。例えば、弾性部材120を通気膜110と一体に形成する工程(後述する
図5の工程S200)では、弾性部材120の外径よりも大きい多孔質膜(通気膜110の材料)を金型で挟み込み、多孔質膜と弾性部材120とを一体成型する。そして、弾性部材120と一体成型された多孔質膜をカッター等で切り落とすことにより、通気膜110の外周が弾性部材120の外周よりも外側に位置する通気部材100が形成される。
【0051】
次に、
図5を参照しながら、通気部材100の製造方法の一例について説明する。
【0052】
図5は、通気部材100の製造方法の一例を説明するための説明図である。
【0053】
工程S100では、通気性を有する通気膜110を準備する。そして、工程S200では、通気膜110を保持する弾性部材120を通気膜110と一体に形成する。なお、工程S100は、「第1工程」の一例であり、工程S200は、「第2工程」の一例である。
【0054】
工程S200においては、通気膜110が保持された金型に1以上のゲートから樹脂材料を注型することにより弾性部材120を形成する。なお、1以上のゲートは、環状部分121のうちの凹部D1に対応する金型の凸部の頂面に位置する。すなわち、弾性部材120の注型用の1以上のゲートは、環状部分121のうちの凹部D1に位置する。また、1以上のゲートのうちの一のゲートの少なくとも一部分は、方向Z1からの平面視において、1以上の貫通孔THのいずれかと重なる部分に位置する。例えば、複数の貫通孔THに対応する複数のゲートが金型に設けられる場合、複数のゲートの各々の少なくとも一部分が、方向Z1からの平面視において、複数の貫通孔THのうちの対応する貫通孔THと重なる部分に位置してもよい。
【0055】
このように、本実施形態では、通気部材100は、通気性を有する通気膜110と通気膜110を保持する弾性部材120との一体成型品として、形成される。
【0056】
以上、本実施形態では、通気構造10は、蓋部210を貫通する通気孔AHを有し、所定の物20を収納する筐体200と、通気性を有する通気膜110と通気膜110を保持する弾性部材120との一体成型品であり、筐体200に取り付けられる通気部材100とを有する。通気膜110は、面111と、面111の反対側の面112とを含む。弾性部材120は、面111に接触する環状の環状部分121と、面111に垂直な方向Z1からの平面視において環状部分121に重なり、面112に接触する環状の環状部分122と、環状部分121と環状部分122とを連結する連結部123とを含む。通気部材100は、通気膜110が通気孔AHを塞ぐように、筐体200の蓋部210に取り付けられる。
【0057】
このように、本実施形態では、通気膜110と弾性部材120とが一体に形成される。本実施形態では、通気部材100が取り付けられる筐体200内の圧力を通気膜110により調整することができ、筐体200内への異物の侵入を防止するシール性を弾性部材120により確保することができる。また、本実施形態では、通気膜110と弾性部材120とが一体に形成されるため、通気膜110と弾性部材120との密着性を向上させることができる。これにより、本実施形態では、通気部材100のシール性が低下することを抑制することができる。従って、本実施形態では、シール性を確保しつつ、筐体200内の圧力を調整することができる。
【0058】
また、本実施形態では、環状部分121は、面111に接触する面と反対側の面に、全周にわたって形成された環状の凹部D1を含む。これにより、本実施形態では、凹部D1を画定する2つの凸部C1i及びC1oの先端部分を、面111に垂直な方向(方向Z1、方向Z1の反対方向である方向Z2)の締め代にすることができる。例えば、取り付けホルダー310の保持部314と筐体200の蓋部210との間に弾性部材120が配置され、方向Z1の締め代が設定された場合、弾性部材120は、保持部314を方向Z1に押圧するとともに、蓋部210を方向Z2に押圧する。この結果、本実施形態では、通気部材100のシール性を向上させることができる。
【0059】
また、本実施形態では、環状部分122は、面112に接触する面と反対側の面に、全周にわたって形成された環状の凹部D2を含む。これにより、本実施形態では、凹部D2を画定する2つの凸部C2i及びC2oの先端部分を、面111に垂直な方向の締め代にすることができる。この結果、本実施形態では、通気部材100のシール性を向上させることができる。また、本実施形態では、環状部分121及び122に凹部D1及びD2がそれぞれ設けられるため、通気部材100の向きを気にすることなく、通気部材100を蓋部210に取り付けることができる。従って、本実施形態では、通気部材100を蓋部210に取り付ける作業を簡易にすることができる。
【0060】
また、本実施形態では、通気膜110は、方向Z1からの平面視において弾性部材120と重なる部分に設けられた1以上の貫通孔THを有する。これにより、本実施形態では、通気膜110が弾性部材120に対して相対的に移動することを抑制することができるため、通気膜110が変形することを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、1以上の貫通孔THは、複数の貫通孔THである。複数の貫通孔THは、弾性部材120のうち、複数の貫通孔THのうちの互いに隣接する2つの貫通孔THを結ぶ部分の長さLが均一になるように、配置される。これにより、本実施形態では、弾性部材120の移動の影響を均等にすること、及び、通気膜110の変形を抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態では、環状部分121のうちの凹部D1に、弾性部材120の注型用の複数のゲートが位置する。これにより、本実施形態では、ゲート跡が弾性部材120に残る場合においても、ゲート跡は、凹部D1には形成されるが、取り付けホルダー310の保持部314と接する凸部C1i及びC1oの頂面には形成されない。このため、本実施形態では、環状部分121のうちの凸部C1i及びC1oの頂面においてシール性が低下することを抑制することができる。この結果、本実施形態では、通気部材100のシール性を向上させることができる。また、本実施形態では、弾性部材120の材料である樹脂材料を複数のゲートから注入することができるため、樹脂材料の移動量を減らすことができる。これにより、本実施形態では、樹脂材料が、到達すべき場所に到達しない不良等が発生することを抑制することができる。また、本実施形態では、樹脂材料の移動量を減らすことができるため、弾性部材120を通気膜110と一体に形成する際に、通気膜110が変形することを抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態では、通気膜110は、方向Z1からの平面視において凹部D1と重なる部分に設けられた複数の貫通孔THを有する。複数のゲートは、複数の貫通孔THに対応し、複数のゲートの各々の少なくとも一部分は、方向Z1からの平面視において、複数の貫通孔THのうちの対応する貫通孔THと重なる部分に位置する。これにより、本実施形態では、弾性部材120の材料である樹脂材料を、貫通孔THを介して通気膜110の裏側に効率よく注入することができる。また、本実施形態では、環状部分121と環状部分122とを連結する連結部123が複数の貫通孔THの各々の内部に形成されるため、通気膜110が変形することを抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態では、通気膜110は、気体を通す多孔質膜である。これにより、本実施形態では、簡易な構成で、通気部材100が取り付けられる筐体200内の圧力を調整することができる。
【0065】
また、本実施形態に係る通気部材100の製造方法は、面111と、面111の反対側の面112とを含み、通気性を有する通気膜110を準備する工程S100と、通気膜110を保持する弾性部材120を、通気膜110と一体に形成する工程S200とを有する。弾性部材120は、面111に接触する環状の環状部分121と、面111に垂直な方向Z1からの平面視において環状部分121に重なり、面112に接触する環状の環状部分122と、環状部分121と環状部分122とを連結する連結部123とを含む。これにより、本実施形態では、シール性を確保しつつ、筐体200内の圧力を調整可能な通気部材100を製造することができる。
【0066】
また、工程S200においては、通気膜110が保持された金型に1以上のゲートから樹脂材料を注型することにより弾性部材120を形成する。環状部分121は、面111に接触する面と反対側の面に、全周にわたって形成された環状の凹部D1を含む。1以上のゲートは、凹部D1に対応する金型の凸部の頂面に位置する。これにより、本実施形態では、ゲート跡が弾性部材120に残る場合においても、通気部材100のシール性に対するゲート跡の影響が小さい凹部D1に、ゲート跡が形成される。この結果、本実施形態では、通気部材100のシール性が低下することを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る通気部材100の製造方法では、通気膜110は、方向Z1からの平面視において凹部D1と重なる部分に設けられた1以上の貫通孔THを有する。1以上のゲートのうちの一のゲートの少なくとも一部分は、方向Z1からの平面視において、1以上の貫通孔THのいずれかと重なる部分に位置する。これにより、本実施形態では、工程S200において、弾性部材120の材料である樹脂材料を貫通孔THを介して通気膜110の裏側に効率よく注入することができる。
【0068】
[2.変形例]
以上に例示した実施形態は多様に変形され得る。前述の実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で併合してもよい。
【0069】
[第1変形例]
上述した実施形態では、環状部分121及び122が、断面形状が通気膜110を挟んで対称になるように形成される態様を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、環状部分121の形状は、環状部分122の形状と異なってもよい。
【0070】
図6は、第1変形例に係る通気構造10の一例を説明するための説明図である。なお、
図6は、
図4に示した断面図に対応する通気構造10の断面を示している。すなわち、
図6は、
図1等に示したA1-A2線に沿う通気構造10の要部(通気部材100Aの周辺)の断面を示している。
図1から
図5において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図6に示す通気構造10は、
図4等に示した通気部材100の代わりに通気部材100Aを有することを除いて、
図4等に示した通気構造10と同様である。
【0071】
通気部材100Aは、
図4等に示した弾性部材120の代わりに弾性部材120Aを有することを除いて、通気部材100と同様である。弾性部材120Aは、
図4等に示した環状部分122の代わりに環状部分122Aを有することを除いて、弾性部材120と同様である。環状部分122Aは、
図4等に示した凹部D2が形成されないことを除いて、環状部分122と同様である。このように、本変形例では、環状部分121及び122Aは、断面形状が通気膜110を挟んで非対称になるように、形成される。すなわち、本変形例では、環状部分121の形状は、環状部分122の形状と異なる。このため、本変形例では、例えば、通気膜110に表と裏との区別がある場合、通気膜110の表と裏とを容易に識別することができる。なお、通気膜110に表と裏との区別がある場合としては、例えば、気体が通気膜110を通る際の通り易さに方向性がある場合等が該当する。
【0072】
以上、本変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本変形例では、環状部分121の形状が環状部分122の形状と異なるため、通気膜110に表と裏との区別がある場合、通気部材100Aの向きを誤って通気部材100Aが蓋部210に取り付けられることを抑制することができる。
【0073】
[第2変形例]
上述した実施形態では、環状部分121が、面111に接触する面と反対側の面に、全周にわたって形成された環状の凹部D1を含む態様を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、環状部分121は、面111に接触する面と反対側の面に形成された複数の凹部を有してもよい。この場合、環状部分121に形成された複数の凹部は、例えば、軸線CTまわりに沿う周方向に沿って間隔を空けて配置される。同様に、環状部分122は、面112に接触する面と反対側の面に形成された複数の凹部を有してもよい。この場合においても、例えば、環状部分122に形成された複数の凹部は、軸線CTまわりに沿う周方向に沿って間隔を空けて配置される。本変形例においても、上述した実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0074】
10…通気構造、
20…物、
100、100A…通気部材、
110…通気膜、
111、112…面、
121、122、122A…環状部分、
123…連結部、
124…外周面、
200…筐体、
210…蓋部、
220…箱部、
300…取り付け部材、
310…取り付けホルダー、
312…本体部、
313…内周面、
314…保持部、
315…面、
320…ボルト、
AH…通気孔、
C1i、C1o、C2i、C2o…凸部、
CT…軸線、
D1、D2…凹部、
TH…貫通孔、
Z1、Z2…方向。