(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046699
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
A63F5/04 601B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024026328
(22)【出願日】2024-02-26
(62)【分割の表示】P 2022014293の分割
【原出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 裕司
(72)【発明者】
【氏名】田幡 悠嗣
(72)【発明者】
【氏名】菊池 潤
(72)【発明者】
【氏名】真野 賢
(57)【要約】
【課題】部品の破損が抑制された遊技機を提供する。
【解決手段】基板ユニット10は、内部に配置された基板を備え、基板には、部品が配置されており、基板ユニット10には、複数の孔10bが形成されており、孔10bは、長孔となっており、孔10bの短手方向の寸法は、ネジの頭部の直径より小さく、かつネジのねじ部の外径より大きく、ネジのねじ部が孔10bを介して基板ユニット10の内側に挿入された特定状態となることが可能であり、基板上の部品は、特定状態が発生した場合であってもネジのねじ部と接触しない位置に配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状の基板ユニット、ネジと、を備えた遊技機であって、
前記基板ユニットは、内部に配置された基板を備え、
前記基板には、部品が配置されており、
前記基板ユニットには、複数の孔が形成されており、
前記孔は、長孔となっており、
前記孔の短手方向の寸法は、前記ネジの頭部の直径より小さく、かつ前記ネジのねじ部の外径より大きく、
前記ネジのねじ部が前記孔を介して前記基板ユニットの内側に挿入された特定状態となることが可能であり、
前記基板上の前記部品は、前記特定状態が発生した場合であっても前記ネジのねじ部と接触しない位置に配置されている、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、遊技球(遊技価値)が移動する遊技領域や、遊技球を遊技領域に発射する発射装置等を備えた、パチンコ遊技機が知られている。パチンコ遊技機は、遊技領域に設けられた始動口を備え、始動口への遊技球の進入が検出されると、特別図柄抽選が行われる。特別図柄抽選の結果が大当たりである場合、遊技状態が特別遊技状態に移行し、特別遊技状態において複数回の特別遊技が実行される。各特別遊技では遊技領域に設けられている大入賞口が開状態に動作し、大入賞口への遊技球の進入に基づいて遊技球が払い出される。
【0003】
また、遊技機として、外周面に複数の図柄が配列された複数のリール、スタートレバーおよびストップボタン等を備えた、スロットマシンが知られている。スロットマシンでは、遊技開始操作に基づきリールの回転が開始するとともに、抽選テーブルを用いた内部抽選が行われる。各リールが停止したときに内部抽選に当選した当選役に対応する図柄組合せが表示され、当選役が入賞となると、入賞した当選役に対応する処理として、例えば、メダル(遊技価値)を払い出すメダル払出処理や、メダルを新たに消費することなく再度の遊技を可能とする再遊技処理等が行われる。
【0004】
このような遊技機には、各部品に電力を供給可能な電源ユニット(電源基板を備える基板ユニット)が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、遊技機では、部品の破損を抑制することが求められている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、部品の破損が抑制された遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る遊技機は、
筐体と、前記筐体に対して開閉可能に設けられた前扉と、ネジと、を備えた遊技機であって、
前記筐体は、箱状の基板ユニットを備え、
前記基板ユニットの天面には、複数の孔が形成され、
前記孔は、長孔となっており、
前記孔の長手方向の寸法は、遊技メダルの直径より小さく、
前記孔の短手方向の寸法は、遊技メダル1枚の厚さより大きく、かつ前記ネジの頭部の直径より小さい。
【0009】
基板ユニットの天面に複数の孔(放熱孔)を設けることで、基板ユニット内部の熱を逃がすことができ、基板ユニット内部が高温となることによる部品の破損(故障)を抑制できる。このとき、仮に遊技メダルおよびネジが、放熱孔を介して基板ユニットの内部に完全に入り込んだ場合、内部に設けられている部品と接触して、当該部品が破損(故障)するおそれがある。本発明では、遊技メダルおよびネジが、放熱孔を通過し、基板ユニットの内部に完全に入り込むことは不可能となっている。換言すると、遊技メダル全体およびネジ全体が放熱孔を介して基板ユニットの内部に侵入することが阻止されている。このため、遊技メダルおよびネジが基板ユニットの内部に完全に侵入することによって生じる部品の破損(故障)を抑制できる。
【0010】
前記目的を達成するために、本発明に係る遊技機は、
外枠と、前記外枠に対して開閉可能に設けられた内枠と、ネジと、を備えた遊技機であって、
前記内枠は、箱状の基板ユニットを備え、
前記基板ユニットの天面には、複数の孔が形成され、
前記孔は、長孔となっており、
前記孔の長手方向の寸法は、遊技球の直径より大きく、
前記孔の短手方向の寸法は、遊技球の直径より小さく、かつ前記ネジの頭部の直径より小さい。
【0011】
基板ユニットの天面に複数の孔(放熱孔)を設けることで、基板ユニット内部の熱を逃がすことができ、基板ユニット内部が高温となることによる部品の破損(故障)を抑制できる。このとき、仮に遊技球およびネジが、放熱孔を介して基板ユニットの内部に完全に入り込んだ場合、内部に設けられている部品と接触して、当該部品が破損(故障)するおそれがある。本発明では、遊技球およびネジが、放熱孔を通過し、基板ユニットの内部に完全に入り込むことは不可能となっている。換言すると、遊技球全体およびネジ全体が放熱孔を介して基板ユニットの内部に侵入することが阻止されている。このため、遊技球およびネジが基板ユニットの内部に完全に侵入することによって生じる部品の破損(故障)を抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、部品の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、正面側から見た斜視図である。
【
図3】同、電源ユニットを前方から見た斜視図である。
【
図4】同、ネジについて説明するための図であり、(a)はワッシャーなしのネジを示し、(b)はワッシャーありのネジを示す。
【
図5】同、遊技メダルおよび遊技球のサイズについて説明するための図である。
【
図6】同、放熱孔の大きさを説明するための図である。
【
図7】同、放熱孔について説明するための図であり、(a)および(b)は遊技メダルが放熱孔に嵌まった状態を示し、(c)はネジが放熱孔に嵌まった状態を示す。
【
図8】同、電源ユニットを前方から見た斜視図であり、前面パネルを取り外した状態を示す。
【
図9】同、電源ユニットの内部を示す概略断面図である。
【
図10】本発明の第2の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、その斜視図である。
【
図12】同、内枠(遊技機本体)を前方上方側から見た斜視図であり、遊技盤を取り外した状態を示す。
【
図13】同、電源ユニットを後方側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下では遊技機の1つであるスロットマシンについて説明するが、本発明に係る遊技機は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機やメダルレス遊技機等の遊技機であってもよい。
また、以下の説明においては、基本的に「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各構成の自由な組み合わせ、あるいは各構成の任意の変形、もしくは各構成の省略が可能である。
【0015】
図1は、スロットマシンXを示す斜視図である。また、
図2は、スロットマシンXの筐体1の内部を示す斜視図である。このスロットマシンXは、筐体(遊技機筐体)1を備えている。また、筐体1は、天板2、背板3、底板4および左右の側板5,6を備え、当該筐体1の前面側に開口する前面開口部を有する箱形に形成されている。なお、背板3は、天板2、底板4および左右の側板5,6よりも板厚が薄くなっていてもよい。
【0016】
以下では、天板2の下面、背板3の前面、底板4の上面、左側の側板5の右面および右側の側板6の左面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の内側を向く板面を「内面」と呼ぶことがある。また、天板2の上面、背板3の背面、底板4の下面、左側の側板5の左面および右側の側板6の右面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の外側を向く板面を「外面」と呼ぶことがある。筐体1は、木製、合成樹脂製、または金属製等となっている。また、筐体1の材料は1種類に限らず、例えば一部(天板2)が木製であり、その他(背板3、底板4および左右の側板5,6)が樹脂製となっていてもよい。また、例えば天板2が2種類の材料(樹脂と金属)で構成されていてもよい。
【0017】
筐体1の正面側には、筐体1の前面開口部を開閉可能に閉塞する前扉20が設けられている。前扉20は、筐体1にヒンジ29を介して回動可能に連結されており、筐体1の開口部を開閉するようになっている。なお、前扉20は、上側部分と下側部分とで分かれている等、複数の扉に分かれているものであってもよい。また、スロットマシンXは、遊技場における機種の交換時に筐体1、前扉20の下側部分および筐体1内の電源ユニット10やホッパーユニット11等が遊技場の島設備に取り付けられたままで、前扉20の上側部分およびリールユニット14等が交換可能な、いわゆる分離型筐体タイプのものであってもよい。前扉20が、上扉と下扉とに分割されている場合、上扉および下扉はそれぞれ筐体1に対して開閉自在となっている。上扉は、ヒンジ29を介して回動可能に連結され、筐体1の開口上部を開閉するようになっている。また、下扉は、ヒンジ29を介して回動可能に連結され、筐体1の開口下部を開閉するようになっている。
【0018】
前扉20の上部側には、平板状のパネル21が設けられている。パネル21の背面には演出装置としての表示装置(表示手段、液晶ディスプレイ)が設けられている。液晶ディスプレイには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像(演出画像)が表示される。また、前扉20の中央部には、透明な表示窓(窓部)22が設けられている。
【0019】
表示窓22の奥には、3個のリール15a~15c(
図2参照)が横一列に設けられている。そして、表示窓22を介してリール15a~15cの一部が視認可能となっている。各リール15a~15cの外周面には、複数種類の図柄が周方向に沿って一列に配列されており、リール15a~15cが停止すると、表示窓22を介して1リール当たり3個の連続する図柄(上段図柄、中段図柄および下段図柄)が表示される。また、表示窓22には、リール15a~15cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、リール15a~15cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。本実施形態の遊技機では、第1リール15aの中段と、第2リール15bの中段と、第3リール15cの中段と、によって有効ラインが構成されている。また、本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が「3」に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化されるようになっている。3個のリール15a~15cが停止したときに、表示窓22を介して表示される図柄の組み合わせによって当選役が入賞したか否かが表示される。スロットマシンXでは、遊技開始に伴ってリール15a~15cが回転を開始するとともに、内部抽選が実行され、当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。そして、リール15a~15cが停止したときに、当選役抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
【0020】
前扉20には、演出(報知)等を行う演出装置としての照明装置(照明手段)24,25、スピーカ(音出力手段)等が設けられている。照明装置24は、前扉20のパネル21の上部側に設けられている。また、照明装置25,25は、前扉20の左右両端部に設けられている。これらの照明装置24,25を含む、発光性または非発光性の立体的形状を有する装飾部材26が前扉20の所定部分に設けられ、遊技機の前面側の外形は凹凸を有するものとなっている。すなわち装飾部材26によって、遊技機が装飾されている。
【0021】
スピーカ(図示せず)は、前扉20に複数設けられ、例えば上部および下部に設けられている。スピーカは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種演出用の音(音楽、BGM、効果音、音声等)を出力する。なお、演出装置として、液晶ディスプレイ、照明装置24,25およびスピーカの他に、アクチュエータ等で動作可能な可動役物等が設けられていてもよい。
【0022】
前扉20の上下方向中央部には、スロットマシンXを操作するための操作部30が設けられている。この操作部30には、メダル(遊技媒体、遊技価値)を精算する際に操作される精算ボタン60、遊技を開始させる際に操作されるスタートレバー32、3個のリール15a~15cそれぞれの回転を停止させる際に操作されるストップボタン33(3個のストップボタン33a,33b,33c)、メダルを投入するためのメダル投入口34、メダル投入口34の下方で発生したメダル詰まりを解消する際に操作されるリジェクトボタン70、クレジットされたメダルをベット(投資)する際に操作される(最大の賭数を設定する際に操作される)MAXベットボタン35(ベットボタン)等が設けられている。
なお、ベットボタンとして、3枚(規定枚数)のメダルをベットする際に操作されるMAXベットボタン35(第1ベットボタン)の他に、1枚のメダルをベットする際に操作される1ベットボタン(第2ベットボタン)が設けられていてもよい。
また、前扉20には、演出を進行させる(演出の態様を変化させる)際等に操作される演出ボタン36が設けられている。
【0023】
また、前扉20の下部には、スロットマシン内部よりメダルを排出するためのメダル払出口50と、メダル払出口50から排出されたメダルを溜めておくための受皿38と、が設けられている。また、操作部30と受皿38との間には遊技機の外観を装飾するための下パネル39が設けられている。この下パネル39の背面側には、照明用の光源(LED)が設けられており、この光源からの光によって下パネル39が背後から照らされるようになっている。なお、下パネル39は、押し込み可能に形成され、演出ボタンと同等の機能を有する演出操作部となっていてもよい。
【0024】
図2に示すように、筐体1の内部には、リールユニット14等が設けられている。リールユニット14は、周囲に複数の図柄を表示した3個のリール15a,15b,15cや、リール15a~15cを回転させるための駆動モータ(ステッピングモータ)等を備えている。なお、各リールは、各ステッピングモータの出力軸に固定されている。
【0025】
また、底板4の上面には、各部品に電力を供給する電源ユニット(電源手段)10、メダルを貯蔵するとともにメダルを払い出す払い出し装置としてのホッパーユニット(払出手段)11(メダル払出装置11)、メダル払出装置11に貯蔵されたメダルが一定量に達した際に余剰メダルが送り出されるキャッシュボックス12等が設けられている。なお、筐体1の内部(内側)に電源ユニット10等の部品が配置されたものを、裏箱ユニットと称してもよい。電源ユニット10は、電源スイッチを備えており、電源スイッチがON状態になると、電源ユニット10から各部品に電力が供給されるようになっている。なお、一部の部品には、電源ユニット10がOFF状態でも電力が供給されるようになっていてもよい。
【0026】
前扉20には、ドアキーシリンダ66が設けられており、ドアキーシリンダ66にドアキーを挿入して前扉20を解錠することができるようになっている。具体的には、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から時計回りに回転させる(捻る)ことにより、前扉20の解錠が行えるようになっている。また、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から反時計回りに回転させる(捻る)ことにより、エラーの解除操作が行えるようになっている。
【0027】
また、操作部30には、遊技の演出等を選択する際に操作される操作盤57や、遊技情報が表示される表示ユニット58等が設けられている。操作盤57は操作部30の幅方向(左右方向)の略中央部に設けられており、表示ユニット58は、メダル投入口34の右側に設けられている。なお、操作盤57は、例えば、十字キー、決定ボタンおよびキャンセルボタン等を備えている。
【0028】
本実施形態では、メダル投入口34にメダルが投入されると、規定枚数(規定投入数)を限度として、投入されたメダルが投入状態(ベット状態)に設定される。また、本実施形態では、最大で50枚分のメダルをクレジット記憶(貯留記憶)することが可能となっており、遊技機にメダルがクレジット記憶された状態でMAXベットボタン35が操作されると、規定枚数を限度して、クレジット記憶されたメダルが投入状態に設定される。
【0029】
スロットマシンXでは、メダル投入口34を介してメダルが投入され、またはMAXベットボタン35が操作されて規定枚数のメダルがベットされると、スタートレバー32の操作が有効化され、遊技を開始することが可能な状態となる。また、有効化されたスタートレバー32が操作されると遊技が開始される。遊技が開始されると、各リールが回転を開始し、各リールの回転速度が一定速度に到達して定常回転となるとストップボタン33の操作が有効化される。また、有効化されたストップボタン33が操作されると、操作されたストップボタン33に対応するリールの回転が停止する。すべてのリールが停止すると、遊技の結果に応じてメダルを払い出す処理やメダルを新たに消費することなく再度遊技を開始可能な状態とする処理等が行なわれ、1回の遊技が終了する。
【0030】
スロットマシンXの内部には、主制御基板(主制御手段)と、副制御基板(副制御手段)と、が設けられている。副制御基板は、前扉20の背面側に設けられていてもよい。主制御基板は、MAXベットボタン35、スタートレバー32、ストップボタン33等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種演算を行い、演算結果に基づいてリールユニットや、ホッパーユニット等の出力手段の制御を行う。また、副制御基板は、主制御基板から送られてくる信号(情報)を受けて、演出を実行するための各種演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイおよびスピーカ等の各種演出装置の制御を行う。
【0031】
また、主制御基板と副制御基板とは電気的に接続されており、主制御基板から副制御基板へは遊技状態を示す情報など各種情報(信号)の送信が可能となっているが、副制御基板から主制御基板へは情報を送信できないようになっている。また、主制御基板や副制御基板等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0032】
主制御基板には、設定変更キーシリンダ(図示せず)や設定変更ボタン(図示せず)等が設けられている。なお、設定変更キーシリンダや設定変更ボタンは、例えば、電源ユニット10に設けられていてもよい。
【0033】
図2に示すように、筐体1の内部には基板ユニットとしての電源ユニット10(電源ボックス)が設けられている。
図3は、電源ユニット10の斜視図である。電源ユニット10は、略直方体の箱状となっている。電源ユニット10は、複数の部品が配置された電源基板(図示せず)、電源基板を覆う電源ケース91、電源(電源基板)のONまたはOFFを切り替え可能な電源スイッチ(図示せず)、電源スイッチを覆い、開閉可能に設けられた電源スイッチカバー92、前面パネル93、背面側に設けられた電源コネクタ(図示せず)等を備えている。
【0034】
電源コネクタには、商用電源(AC100V)を供給するコンセントに接続される電源ケーブル(図示せず)が接続される。具体的には、電源ケーブルの一端部に設けられたコネクタが電源コネクタに接続され、電源ケーブルの他端部に設けられたプラグがコンセントに接続される。電源基板は、遊技機の外部から電源ケーブルを介して送られる電力から直流電源(例えば、5V、12V、24V等)を作り、遊技機の各部品に電力を供給する。
【0035】
金属製の電源ケース91の天面10aには、複数の放熱孔10b(開口)(孔)が設けられている。放熱孔10bは、左右方向に長尺(横長)な長孔(長穴)となっている。なお、放熱孔10bは、略長方形状の孔であってもよく、略楕円形状の孔であってもよい。放熱孔10bは、前後方向に所定の間隔ごとに設けられている。また、放熱孔10bは、前後方向に沿って2列に並ぶように設けられている。放熱孔10bは、電源ユニット10の内部で発生した熱を逃がすため(放熱効果を実現するため)に設けられている。放熱孔10bを多く設けるほど、放熱効果を高くすることができる。
【0036】
なお、本実施形態では、放熱孔10bが左右方向に長尺となっているものとするが、これに限らず、放熱孔10bが前後方向に長尺となるように設けられていてもよい(
図2参照)。
【0037】
筐体1の内部では、所定の部品の固定(取り付け)等に固定部材としてのネジが用いられる。ここで、ネジを用いたねじ締めの一例について説明する。
図2に示すように、天板2には複数の取付穴201が設けられている。取付穴201は、遊技機を遊技場の島設備に取り付ける際に用いられる穴(島固定穴)となっている。作業者は、筐体1の内側からネジを、下から上に向かって取付穴201にねじ込み、さらに当該ネジを取付相手部材(島側の部材)にねじ込み、遊技機を島設備に固定する。
【0038】
ネジとしては、例えば、
図4(a)に示すネジが用いられる。呼び径d(ねじ部の外径)や長さL(首下長さ)が異なるネジが用いられるが、本実施形態では、呼び径dが2.3mmで、長さLが8mmのものが最もサイズが小さいものとなっている。
また、ネジとして、
図4(b)に示すように、ワッシャー(抜け止めワッシャー)が設けられたネジ(座金組込みネジ)が用いられる場合がある。ワッシャーの直径は、ネジの頭部の直径Dと同等であるか、直径Dよりも大きくなっている(ネジの頭部の直径D以上となっている)。
【0039】
ここで、
図5に示すように、スロットマシンXでの遊技に用いられる遊技メダルM(以下、メダルと称する)の直径を寸法L1とし、遊技メダルMの厚さを寸法L2とすると、寸法L1はφ25(直径約25mm)となっており、寸法L2は約1.6mmとなっている。なお、遊技メダルMは、寸法L1がφ30(直径約30mm)となっており、寸法L2が約1.7mm(約1.8mm)となっているものでもよい。
また、パチンコ遊技機での遊技に用いられる遊技球Bの直径を寸法L3とすると、寸法L3は約11mmとなっている。
【0040】
図6は放熱孔10bを上方から見た図である。
図6に示すように、放熱孔10bの長手方向の長さ(寸法)を第1長さとする。また、放熱孔10bの短手方向の長さ(寸法)を第2長さとする。
第1長さは、メダルの直径(約25mmまたは約30mm)よりも小さく(短く)なっている。具体的には、第1長さは約21.5mmとなっている。なお、第1長さは、メダルの半径よりは大きくなっている。
第2長さは、メダル1枚の厚さ(約1.6mm~約1.8mm)よりも大きく(長く)、メダル2枚の厚さ(約3.2mm~約3.6mm)よりも小さく(短く)なっている。具体的には、第2長さは約2.5mmとなっている。なお、メダル2枚の厚さとは、メダルを2枚重ねた状態した場合における厚さ(合計)である。
【0041】
筐体1の内部では、電源ユニット10の天面10aへのメダルの落下が起こり得るが、放熱孔10bの寸法(開口寸法)が上記のように設定されているため、電源ユニット10の天面10aにメダルが落下した場合であっても、メダルが放熱孔10bを通過して、電源ユニット10の内部に完全に入り込むことは不可能となっている。換言すると、メダル全体が放熱孔10bを介して電源ユニット10の内部に侵入しないようになっている(侵入が阻止されるようになっている)。
【0042】
また、放熱孔10bの第1長さ(約21.5mm)とメダル(φ25とする)の直径とは、約3.5mmの差があるため、メダルを放熱孔10bに強引に押し込んだ場合であっても、メダル全体が(メダルが完全に)電源ユニット10の内部に侵入しないようになっている。
また、第2長さ(約2.5mm)が、メダル2枚の厚さよりも小さくなっているため、メダルの一部(端部)を放熱孔10bに差し込んだ状態で、メダルを斜めにした場合(上下方向に沿う直線を回転軸として、メダルを時計回りまたは反時計回りに回転させた場合)であっても、メダルが電源ユニット10の内部に侵入しないようになっている。
【0043】
また、第2長さ(約2.5mm)は、ネジの頭部の直径D(約4mm)よりも小さく(短く)なっている。なお、ネジが座金組込みネジ(ワッシャー付きのネジ)の場合、第2長さは、ワッシャーの直径よりも小さく(短く)なっている。
【0044】
例えば、遊技機を島設備に固定する際などに誤ってネジを電源ユニット10の天面10aに落下させてしまうことが起こり得るが、放熱孔10bの寸法(開口寸法)が上記のように設定されているため、電源ユニット10の天面10aにネジが落下した場合であっても、ネジが放熱孔10bを通過して、電源ユニット10の内部に完全に入り込むことは不可能となっている。換言すると、ネジ全体が放熱孔10bを介して電源ユニット10の内部に侵入しないようになっている(侵入が阻止されるようになっている)。
【0045】
なお、第1長さ(約21.5mm)は、ネジの長さ(ネジの全長S:約9.2mm)よりも大きく(長く)なっている。ただし、仮にネジが横向きの姿勢(ネジの軸方向が放熱孔10bの長手方向と略平行となる姿勢)で落下した場合であっても、第2長さがネジの頭部の直径よりも小さいため(ネジの頭部の直径が第2長さよりも大きいため)、ネジが放熱孔10bを通過し、電源ユニット10の内部に入り込むことは不可能となっている。
【0046】
図7(a)は、メダルの一部(端部)を放熱孔10bに挿入した状態を示している。放熱孔10bは、メダルの一部(端部)は挿入(侵入)可能であるが、メダル全体は挿入(侵入)不可能な大きさとなっている。
【0047】
本実施形態では、メダルの一部(端部)が放熱孔10b(電源ユニット10)の内側に入り込み(嵌まり)、メダルが上下方向(鉛直方向)に対して(前方側または後方側に)傾いた状態(姿勢)が、維持されるようになっている。放熱孔10bの寸法(開口寸法)は、メダルの一部(端部)を侵入させ、メダルが嵌まった状態(メダルが斜めに起立した状態)を維持可能となっている、と言うことができる。ここで当該状態を、メダル嵌まり状態とする。メダル嵌まり状態は、メダルが放熱孔10bに引っ掛かった状態と言うこともでき、メダルを取りやすい状態となっている。
なお、メダル嵌まり状態で電源ユニット10に衝撃を加えると、メダルが倒れる(メダルが放熱孔10bから抜け出す)ようになっている。
【0048】
図7(b)に示すように、φ25のメダルの端部を放熱孔10bに挿入した場合(メダル嵌まり状態)における、電源ユニット10の内部への侵入量は、約6mm(約6.1mm)となっている。
【0049】
既述のとおり、放熱孔10bの第2長さは約2.5mmとなっている。このため、メダル2枚(重なった状態)が1つの放熱孔10bにおいてメダル嵌まり状態となることはない。
【0050】
放熱孔10bの第2長さが約2.5mmとなっているため、呼び径dが2.3mmのネジの場合、
図7(c)に示すように、ネジのねじ部が放熱孔10bに入り得る。しかし、その場合であっても、ネジの頭部の直径が第2長さよりも大きくなっているため、ネジ全体が放熱孔10bを通過して、電源ユニット10の内部に入り込むことは不可能となっている。換言すると、放熱孔10bの寸法(開口寸法)は、少なくともネジの頭部が放熱孔10bを通過しない大きさに設定されている。
【0051】
なお、
図7(c)に示すように、ネジの一部(ねじ部)が放熱孔10bの内側に入り込んでいる状態をネジ嵌まり状態と称してもよい。ネジ嵌まり状態における、電源ユニット10の内部へのネジ侵入量は約8mm(
図4の寸法L)となっている。
【0052】
図8は、前面パネル93(電源スイッチカバー92)を取り外した状態の電源ユニット10を示している。電源基板210は、電源ケース91の内側の空間(内部空間)における右側に、基板面法線方向(板厚方向)が左右方向となるように配置されている。この電源基板210には、各種部品が設けられている(接続されている、配置(実装)されている)。当該各種部品には、導電部品が含まれる。導電部品としては、電子部品(リード部品やチップ部品等)や放熱板220等がある。
【0053】
図9は、電源ユニット10の内部を示す概略断面図である。なお、
図9では断面であることを示すハッチングは省略している。
図9に示すように、左側の列の放熱孔10b群のうちの所定の放熱孔10bを放熱孔10b1とし、右側の列の放熱孔10b群のうちの所定の放熱孔10bを放熱孔10b2とする。
【0054】
図9に示すように、メダル(φ25)の端部を放熱孔10b1に挿入した状態(メダル嵌まり状態)では、メダルの端部が電源ユニット10の内側に侵入するが、メダルの端部は電源基板210に接触しないようになっている。また、メダルの端部は、電源基板210に設けられている部品(導電部品)に接触しないようになっている。このため、メダルの端部が電源ユニット10の内側に設けられている部品に接触し、当該部品が破損するのを防止できる。
【0055】
また、
図9に示すように、メダル(φ25)の端部を放熱孔10b2に挿入した状態(メダル嵌まり状態)では、メダルの端部が電源ユニット10の内側に侵入し、メダルの端部が電源基板210の端面に接触し得るが、電源基板210に設けられている部品(導電部品)には接触しないようになっている。メダルの端部が電源ユニット10の内側に配置されている電源基板210の端面に接触し得るが、導電部品には接触しないようになっており、導電部品の破損を防止できる。
【0056】
なお、上記では、φ25のメダルの端部を放熱孔10b1および放熱孔10b2に挿入した場合について説明したが、φ30のメダルの端部を放熱孔10b1および放熱孔10b2に挿入した場合に、上記と同様の関係となるように構成されていてもよい。また、ネジの一部(ねじ部)を放熱孔10b1および放熱孔10b2に挿入した場合に、上記と同様の関係となるように構成されていてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、基板ユニットとして電源ユニット10を用いて説明したが、電源ユニット10に限らず、他の基板ユニットであってもよい。その場合、当該他の基板ユニットは、基板と、基板を内側に収容可能な基板ケースとを主に備え、基板ケースの天面に複数の放熱孔10bが形成されている。
【0058】
本実施形態の遊技機は、
筐体(1)と、前記筐体に対して開閉可能に設けられた前扉(20)と、ネジと、を備えた遊技機であって、
前記筐体は、箱状の基板ユニット(10)を備え、
前記基板ユニットの天面(10a)には、複数の孔(10b)が形成され、
前記孔は、長孔となっており、
前記孔の長手方向の寸法は、遊技メダルの直径より小さく、
前記孔の短手方向の寸法は、遊技メダル1枚の厚さより大きく、かつ前記ネジの頭部の直径より小さい。
【0059】
基板ユニットの天面に複数の孔(放熱孔)を設けることで、基板ユニット内部の熱を逃がすことができ、基板ユニット内部が高温となることによる部品の破損(故障)を抑制できる。このとき、仮に遊技メダルおよびネジが、放熱孔を介して基板ユニットの内部に完全に入り込んだ場合、内部に設けられている部品と接触して、当該部品が破損(故障)するおそれがある。
本実施形態では、遊技メダルおよびネジが、放熱孔を通過し、基板ユニットの内部に完全に入り込むことは不可能となっている。換言すると、遊技メダル全体およびネジ全体が放熱孔を介して基板ユニットの内部に侵入することが阻止されている。このため、遊技メダルおよびネジが基板ユニットの内部に完全に侵入することによって生じる部品の破損(故障)を抑制できる。
【0060】
放熱孔は小さく設定すると放熱効果が低くなり、大きく設定すると遊技メダルやネジが内部に侵入するおそれが生じるが、本実施形態は、放熱孔の大きさ(サイズ)を好適な大きさ(サイズ)としたものであり、放熱効果を向上させつつ(確保しつつ)、遊技メダルやネジの侵入を防ぐことができる。
【0061】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では遊技機の一つであるパチンコ遊技機について説明するが、その他の遊技機であってもよい。
図10は、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の外観構成を示す斜視図である。本実施形態の遊技機は、遊技場から貸し出された遊技球(遊技価値)を用いて遊技を行うものである。パチンコ遊技機1は、遊技機の外側面を形成する縦長の矩形枠状の外枠2と、左側(左端側)を軸とし、外枠2に対してヒンジ部により開閉自在(開閉可能)に支持された開閉部材80(遊技機本体81および前扉82)を備えている。開閉部材80は、遊技機本体81(内枠)と前扉82とを備えている。遊技機本体81(内枠)は、本体枠と、遊技球が移動する遊技領域4を形成する遊技盤6と、を備えている。前扉82は、前枠10と、遊技盤6を遊技者が視認可能かつ接触不可能にするガラスユニット8(透明板8)と、を備えている。
【0062】
前扉82におけるガラスユニット8を取り囲む部分は、光を透過する半透明の素材により構成されており、半透明の素材により構成されている部分の内部には、遊技を盛り上げるための演出光などを出力する複数の前枠ランプ(照明装置)12が設けられている。また、前扉82の上部の左右および下部の左右には、遊技を盛り上げるための演出音などを出力するスピーカ14が設けられている。
【0063】
また、前扉82の下部中央には、遊技球を貯留するための上皿16が設けられており、上皿16の内側側面の左部には、遊技機から遊技者に遊技球を払い出すための払出口18が設けられている。また、遊技機の下部右側には、グリップユニット(ハンドル)20が設けられており、遊技者がグリップユニット20を遊技機に向かって右回りに回転させる操作を行うと、遊技機の内部に設けられた図示しない発射装置が作動して、遊技領域4内に遊技球が発射されるようになっている。なお、本実施の形態の発射装置は、1分間に99個(1秒間に1.65個)の遊技球を発射することができる。
【0064】
上皿16の内側側面の右部には、上皿16から遊技球を発射装置に供給するための供給口22が設けられている。また、上皿16の下方には、上皿16に遊技球を貯留しきれなくなった場合に余剰の遊技球を貯留しておく下皿24が設けられている。
【0065】
上皿16の縁部の手前側には、演出操作装置(演出ボタン)26が設けられており、遊技者が演出操作装置26を操作すると、遊技機で行われる演出が変化する。本実施形態では、演出操作装置26は、押しボタンおよびロータリースイッチ(ジョグダイヤル)を有しており、演出操作装置26を押下する操作と、演出操作装置26を回転させる操作と、を行うことができるようになっている。
【0066】
図11は、遊技盤6の外観構成を示す正面図である。遊技盤6には、円形状に外レール28が設けられており、外レール28に囲まれた領域が、遊技球が移動する遊技領域4となっている。また、遊技領域4の左端部には、外レール28に沿うように円弧状に内レール30が設けられており、外レール28と内レール30は、遊技盤6の下方に設けられた図示しない発射装置から発射された遊技球を遊技領域4に誘導する。
【0067】
遊技盤6の中央部には、遊技を盛り上げるための演出画像等を表示する液晶ディスプレイ32と、液晶ディスプレイ32を取り囲むように形成されたディスプレイ枠34を備える演出ユニット36が設けられている。
【0068】
本実施の形態では、液晶ディスプレイ32の手前側を遊技球が通過できないようになっており、発射装置から発射された遊技球は、液晶ディスプレイ32の左側の遊技領域4か右側の遊技領域4を落下するようになっている。そして遊技領域4には、遊技盤6の表面に交差するように図示しない多数の遊技釘が打ち付けられており、遊技領域4を移動する遊技球の移動方向がランダムに変化するようになっている。
【0069】
ディスプレイ枠34の左部には、液晶ディスプレイ32の左側の遊技領域4を落下する遊技球が通過できる開口40が形成されており、この開口40を通過した遊技球はディスプレイ枠34に設けられている通路42を通過して、液晶ディスプレイ32の下方に設けられたステージ44に落下するようになっている。このステージ44の上面は滑らかな曲面となっているとともに、ステージ44とガラスユニット8との間に遊技球がステージ44から下方に落下できる隙間が形成されており、通路42からステージ44上に落下した遊技球がステージ44上を左右に往復移動した後にステージ44の中央部付近から下方に落下するようになっている。
【0070】
ステージ44の中央部の下方には、第1始動入賞口46が設けられている。また、液晶ディスプレイ32の右側の遊技領域4には、通過ゲート48が設けられている。また、通過ゲート48の下方に、第2始動入賞口50が設けられている。この第2始動入賞口50には、第2始動入賞口50に遊技球が進入しにくい縮小状態(進入を補助しない状態・非補助状態)と遊技球が進入しやすい拡大状態(進入を補助する状態・補助状態)との間で動作可能な補助部材を備える普通役物52が設けられている。
【0071】
液晶ディスプレイ32の右側の遊技領域4には、第2始動入賞口50の下方に大入賞口54が設けられている。この大入賞口54には、大入賞口54を塞ぐ可動部材を備える特別役物56が設けられている。特別役物56は、大入賞口54に遊技球が進入不可能な閉状態と、大入賞口54に遊技球が進入可能な開状態との間で動作可能に構成されている(
図8は閉状態を示している)。特別役物56は、大当たりが当選すると開始される特別遊技状態において、所定条件下で開状態となるように制御される。
【0072】
大入賞口54の下方には、大入賞通路58が下方に向かって設けられている。大入賞通路58の下端には、通常進入口62が設けられている。また、大入賞通路58の下方には、大入賞通路58の途中から下方に向かって分岐するように特定通路65が設けられている。この特定通路65には、特定通路65を塞ぐ可動部材を備える特定役物66が設けられている。特定役物66は、特定通路65に遊技球が進入不可能な閉状態と、特定通路65に遊技球が進入可能な開状態との間で動作可能に構成されている(
図11は閉状態を示している)。特定役物66は、特別遊技状態において所定条件下で開状態となるように制御される。特定通路65の下端には、特定進入口68が設けられている。また、遊技領域4の最下部には、いずれの入賞口にも進入せずに遊技領域4を落下した遊技球を遊技機の内部に回収するアウト口69が設けられている。
【0073】
遊技球の発射装置は、グリップユニット20(
図10)の回転量を調整することにより遊技球の射出力が変化するように構成されており、グリップユニット20の回転量が少ない場合には液晶ディスプレイ32の左側の遊技領域4を遊技球が落下するように遊技球が発射され、グリップユニット20の回転量が多い場合には液晶ディスプレイ32の右側の遊技領域4を遊技球が落下するように遊技球が発射される。
【0074】
遊技者は、遊技状況に応じてグリップユニット20の回転量を調整し、遊技球が左側の遊技領域4を落下して、あるいは開口40と通路42とステージ44を通過して第1始動入賞口46に進入するように遊技球を発射させたり(左打ち)、遊技球が右側の遊技領域4を落下して、通過ゲート48を遊技球が通過するように、あるいは第2始動入賞口50に遊技球が進入するように、あるいは大入賞口54に遊技球が進入するように遊技球を発射させたりする(右打ち)。
【0075】
遊技盤6の右下部であって、遊技領域4の外側には、遊技機の各種状態をランプ等の点灯および消灯により示す状態表示部70が設けられている。本実施形態の遊技機は、主制御基板および副制御基板を含む制御基板によって制御される。そして、主制御基板や副制御基板等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所与のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。主制御基板や副制御基板は、遊技機本体81(内枠)に設けられている。
【0076】
主制御基板(主制御手段)は、入力手段(第1始動入賞口センサ、通過ゲートセンサ、第2始動入賞口センサ、大入賞口センサ、通常進入口センサ、特定通路センサ、払出センサ等)からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、出力手段(状態表示駆動装置、普通役物駆動装置、特別役物駆動装置、特定役物駆動装置、払出装置等)の動作制御を行う。
【0077】
副制御基板(副制御手段)は、主制御基板から送られてくるコマンドや、演出操作装置26に対する操作を検出する演出操作センサからの入力信号を受けて、遊技の進行状況に合わせた演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、演出装置(演出表示装置、音響装置、演出物駆動装置等)の動作制御を行う。
【0078】
図12は、遊技盤6を取り外した状態の遊技機本体81(内枠)を、前方上側から見た斜視図である。内枠の下部側には、基板ユニットとしての電源ユニット300が設けられている。
図13は、電源ユニット300を後方側から見た斜視図である。電源ユニット300は、略直方体の箱状となっており、左右方向に長尺となっている。電源ユニット300は、複数の部品が配置された電源基板(図示せず)、電源基板を覆う電源ケース301、電源(電源基板)のONまたはOFFを切り替え可能な電源スイッチ302、前面パネル303、背面側に設けられたコネクタ304等を備えている。
【0079】
電源ケース301の天面301aには、複数の放熱孔301b(開口)(孔)が設けられている。放熱孔301bは、前後方向に長尺な長孔(長穴)となっている。なお、放熱孔301bは、略長方形状の孔であってもよく、略楕円形状の孔であってもよい。放熱孔301bは、左右方向に所定の間隔ごとに設けられている。また、放熱孔301bは、左右方向に沿って2列に並ぶように設けられている。放熱孔301bは、電源ユニット300の内部で発生した熱を逃がすため(放熱効果を実現するため)に設けられている。放熱孔301bを多く設けるほど、放熱効果を高くすることができる。電源ケース301は、金属製であってもよく、樹脂製であってもよい。
【0080】
なお、本実施形態では、放熱孔301bが前後方向に長尺となっているものとするが、これに限らず、左右方向に長尺となるように設けられていてもよい。
【0081】
ここで、放熱孔301bの長手方向の長さ(寸法)を第1長さとする。また、放熱孔301bの短手方向の長さ(寸法)を第2長さとする。第1長さは、遊技球の直径(約11mmまたは約30mm)よりも大きくなっている。具体的には、第1長さは約21.5mmとなっている。第2長さは、遊技球の直径(約11mm)よりも小さくなっている。具体的には、第2長さは約2.5mmとなっている。なお、第2長さは、遊技球の半径(約5.5mm)よりも小さくなっている。
【0082】
本実施形態に係る遊技機(パチンコ遊技機)での遊技には遊技球B(
図5)が用いられる。パチンコ遊技機では、電源ユニット300の天面301aへの遊技球の落下が起こり得るが、放熱孔301bの寸法(開口寸法)が上記のように設定されているため、天面301aに遊技球が落下した場合であっても、遊技球が放熱孔301bを通過して、電源ユニット300の内部に完全に入り込むことは不可能となっている。換言すると、遊技球全体が放熱孔301bを介して電源ユニット300の内部に侵入しないようになっている(侵入が阻止されるようになっている)。
【0083】
放熱孔301bの短手方向寸法である第2長さ(約2.5mm)と遊技球の直径とは、約8.5mmの差があるため、遊技球を放熱孔301bに強引に押し込んだ場合であっても、遊技球全体が(遊技球が完全に)電源ユニット300の内部に侵入しないようになっている。
【0084】
また、本実施形態に係る遊技機では、所定の部品の固定(取り付け)等に固定部材としてのネジ(
図4)が用いられる。放熱孔301bの第2長さは、ネジの頭部の直径(約4mm)よりも小さくなっている。なお、ネジが座金組込みネジ(ワッシャー付きのネジ)の場合、第2長さは、ワッシャーの直径よりも小さく(短く)なっている。
【0085】
例えば、組み付けの作業時に誤ってネジを電源ユニット300の天面301aに落下させてしまうことが起こり得るが、放熱孔301bの寸法(開口寸法)が上記のように設定されているため、天面301aにネジが落下した場合であっても、ネジが放熱孔301bを通過して、電源ユニット300の内部に完全に入り込むことは不可能となっている。換言すると、ネジ全体が放熱孔301bを介して電源ユニット300の内部に侵入しないようになっている(侵入が阻止されるようになっている)。
【0086】
なお、第1長さは、ネジの長さ(ネジの全長:約9.2mm)よりも大きくなっている。ただし、仮に、ネジの軸方向が放熱孔301bの長手方向と略平行となる姿勢でネジが落下した場合であっても、第2長さがネジの頭部の直径よりも小さいため(ネジの頭部の直径が第2長さよりも大きいため)、ネジが放熱孔301bを通過し、電源ユニット300の内部に入り込むことは不可能となっている。
【0087】
放熱孔301bは、遊技球およびネジの電源ユニット300の内部への侵入を防ぐ一方、天面301aに落下した遊技球およびネジが、天面301aから下方に落下するのを防ぐことが可能な大きさとなっている。換言すると、放熱孔301bは、遊技球およびネジをその場に留めること(留めた状態(嵌まった状態)とすること)が可能となっている。なお、放熱孔301bに嵌まった遊技球は、放熱孔301bの長手方向への移動は可能であるが、短手方向には移動できない。
【0088】
放熱孔301bは、第2長さが約2.5mmとなっている。このため、呼び径2.3mmのネジの場合、ネジのねじ部が放熱孔301bに入り得る。しかし、その場合であっても、ネジの頭部の直径が第2長さよりも大きくなっているため、ネジ全体が放熱孔301bを通過して、電源ユニット300の内部に入り込むことは不可能となっている。換言すると、放熱孔301bの寸法(開口寸法)は、少なくともネジの頭部が放熱孔301bを通過しない大きさに設定されている。
【0089】
本実施形態の遊技機は、
外枠(2)と、前記外枠に対して開閉可能に設けられた内枠(81)と、ネジと、を備えた遊技機であって、
前記内枠は、箱状の基板ユニット(300)を備え、
前記基板ユニットの天面(301a)には、複数の孔(301b)が形成され、
前記孔は、長孔となっており、
前記孔の長手方向の寸法は、遊技球の直径より大きく、
前記孔の短手方向の寸法は、遊技球の直径より小さく、かつ前記ネジの頭部の直径より小さい。
【0090】
基板ユニットの天面に複数の孔(放熱孔)を設けることで、基板ユニット内部の熱を逃がすことができ、基板ユニット内部が高温となることによる部品の破損(故障)を抑制できる。このとき、仮に遊技球およびネジが、放熱孔を介して基板ユニットの内部に完全に入り込んだ場合、内部に設けられている部品と接触して、当該部品が破損(故障)するおそれがある。
本実施形態では、遊技球およびネジが、放熱孔を通過し、基板ユニットの内部に完全に入り込むことは不可能となっている。換言すると、遊技球全体およびネジ全体が放熱孔を介して基板ユニットの内部に侵入することが阻止されている。このため、遊技球およびネジが基板ユニットの内部に完全に侵入することによって生じる部品の破損(故障)を抑制できる。
【0091】
放熱孔は小さく設定すると放熱効果が低くなり、大きく設定すると遊技球やネジが内部に侵入するおそれが生じるが、本実施形態は、放熱孔の大きさ(サイズ)を好適な大きさ(サイズ)としたものであり、放熱効果を向上させつつ(確保しつつ)、遊技球やネジの侵入を防ぐことができる。
【0092】
なお、本発明は、上述した各実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、任意の構成要素の変形または任意の構成要素の省略が可能である。換言すると、遊技機の構成等は上述した各実施の形態のそれに限定されない。また、本発明は、発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 筐体
2 外枠
10 電源ユニット(基板ユニット)
10a 天面
10b 放熱孔(孔)
20 前扉
81 遊技機本体(内枠)
300 電源ユニット(基板ユニット)
301a 天面
301b 放熱孔(孔)