IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アドヴィックスの特許一覧

<>
  • 特開-車両の制動制御装置 図1
  • 特開-車両の制動制御装置 図2
  • 特開-車両の制動制御装置 図3
  • 特開-車両の制動制御装置 図4
  • 特開-車両の制動制御装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046707
(43)【公開日】2024-04-04
(54)【発明の名称】車両の制動制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/88 20060101AFI20240328BHJP
   B60T 13/20 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
B60T8/88
B60T13/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152019
(22)【出願日】2022-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】飯田 崇史
(72)【発明者】
【氏名】家成 康知
(72)【発明者】
【氏名】河村 光
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 淳
【テーマコード(参考)】
3D048
3D246
【Fターム(参考)】
3D048BB01
3D048CC05
3D048HH13
3D048HH15
3D048HH18
3D048HH26
3D048HH37
3D048HH59
3D048PP02
3D048RR11
3D246BA02
3D246DA01
3D246GA01
3D246HA38A
3D246JB47
3D246LA02Z
3D246LA15Z
3D246LA52Z
3D246LA55Z
3D246MA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】制動制御装置において、電気モータの回転軸と流体ポンプの回転軸との間の軸ズレ発生を検出すること。
【解決手段】制動制御装置は、電気モータによって駆動される流体ポンプを加圧源にして、ホイールシリンダのホイール圧を増加する。電気モータを制御するコントローラは、電気モータの回転数を一定回転数になるように駆動している状態で、電気モータの出力に相当する出力相当値の振幅が第1判定値以上である場合に電気モータの回転軸と流体ポンプの回転軸との間に軸ズレが発生していることを判定する。或いは、コントローラは、電気モータに一定電流を供給して電気モータを駆動している状態で、電気モータの回転数の振幅が第2判定値以上である場合に軸ズレが発生していることを判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータによって駆動される流体ポンプを加圧源にして、ホイールシリンダのホイール圧を増加する車両の制動制御装置において、
前記電気モータを制御するコントローラは、前記電気モータの回転数を一定回転数になるように駆動している状態で、前記電気モータの出力に相当する出力相当値の振幅が第1判定値以上である場合に、前記電気モータの回転軸と前記流体ポンプの回転軸との間に軸ズレが発生していることを判定する、車両の制動制御装置。
【請求項2】
電気モータによって駆動される流体ポンプを加圧源にして、ホイールシリンダのホイール圧を増加する車両の制動制御装置において、
前記電気モータを制御するコントローラは、前記電気モータに一定電流を供給して前記電気モータを駆動している状態で、前記電気モータの回転数の振幅が第2判定値以上である場合に、前記電気モータの回転軸と前記流体ポンプの回転軸との間に軸ズレが発生していることを判定する、車両の制動制御装置。
【請求項3】
電気モータによって駆動される流体ポンプを加圧源にして、ホイールシリンダのホイール圧を増加する車両の制動制御装置において、
前記電気モータを制御するコントローラは、前記電気モータの回転数を一定回転数になるように駆動している状態で、前記電気モータの出力に相当する出力相当値を平滑化した値が第3判定値以上である場合に、前記電気モータの回転軸と前記流体ポンプの回転軸との間に軸ズレが発生していることを判定する、車両の制動制御装置。
【請求項4】
電気モータによって駆動される流体ポンプを加圧源にして、ホイールシリンダのホイール圧を増加する車両の制動制御装置において、
前記電気モータを制御するコントローラは、前記電気モータに一定電流を供給して前記電気モータを駆動している状態で、前記電気モータの回転数を平滑化した値が第4判定値以上である場合に、前記電気モータの回転軸と前記流体ポンプの回転軸との間に軸ズレが発生していることを判定する、車両の制動制御装置。
【請求項5】
電気モータによって駆動される流体ポンプを加圧源にして、ホイールシリンダのホイール圧を増加する車両の制動制御装置において、
前記電気モータを制御するコントローラは、前記電気モータの回転数を一定回転数になるように駆動している状態で、前記電気モータの出力に相当する出力相当値が第5判定値を超える頻度が第1所定頻度以上である場合に、前記電気モータの回転軸と前記流体ポンプの回転軸との間に軸ズレが発生していることを判定する、車両の制動制御装置。
【請求項6】
電気モータによって駆動される流体ポンプを加圧源にして、ホイールシリンダのホイール圧を増加する車両の制動制御装置において、
前記電気モータを制御するコントローラは、前記電気モータに一定電流を供給して前記電気モータを駆動している状態で、前記電気モータの回転数が第6判定値を超える頻度が第2所定頻度以上である場合に、前記電気モータの回転軸と前記流体ポンプの回転軸との間に軸ズレが発生していることを判定する、車両の制動制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の制動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ホイールシリンダ圧の検出により、電動モータ制御によるポンプ駆動が正常に行われているかどうかの判断を行いつつ、ホイールシリンダ圧の検出を行うセンサの異常判定を行うために、ブラシレスモータ33を所定制御量駆動した際、圧力センサ16~20によりブレーキ液圧を検出し、この際のブレーキ液圧とブラシレスモータ33の所定制御量駆動時に発生する予め算出された液圧とを比較することにより、ポンプユニット50及びバルブユニット51の異常判断を行うことが記載されている。
【0003】
特許文献1では、ブラシレスモータの制御量から推定される圧力推定値と、圧力センサによって検出される圧力検出値との比較結果によって、ブラシレスモータ33とギヤポンプ34の異常が判定される。具体的には、以下の処理で判定が行われる。
(1)増圧弁25~28を閉じた状態で、ブラシレスモータ33に所定制御量の駆動を行い、ギヤポンプ34で、ブレーキ液配管43内の吐出圧を圧力推定値P01にする。
(2)ブレーキ液配管43の吐出圧(内部圧)を、圧力センサ16により、圧力検出値P1として検出する。そして、ブラシレスモータ33とギヤポンプ34で発生させたはずの圧力推定値P01の上下に範囲を持たせたものと比較する。
(3)P01-ΔP≦P1≦P01+ΔPの条件を満たす場合には、ブラシレスモータ33とギヤポンプ34が性能を充分に発揮していると判断する。P01-ΔP≦P1≦P01+ΔPの条件が成立しない場合には、ブラシレスモータ33とギヤポンプ34に異常が生じ、正常に作動していない可能性を判断する。
【0004】
ところで、ポンプユニット(「電動ポンプ」ともいう)では、電気モータと流体ポンプとはカップリング装置によって連結されている。出願人は、電気モータと流体ポンプを接続するカップリング装置において、特許文献2に記載されるように、寿命が長く回転力を円滑且つ静粛に伝達可能なものを開発している。
【0005】
電気モータの回転軸と流体ポンプの回転軸とが別々の部材であり、連結部を有する構成では、それらの回転軸の間でズレが生じることがある。例えば、連結部には、カップリング装置が用いられる。カップリング装置は、軸ズレの影響を吸収する機能を有するが、軸ズレの程度が過大になると、その影響は補償され得なくなる。このため、制動制御装置では、軸ズレの発生が検出されることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-067335号公報
【特許文献2】特開2011-080530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、制動制御装置において、電気モータの回転軸と流体ポンプの回転軸との間で軸ズレが発生した場合に、それが検出され得るものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車両の制動制御装置(SC)は、電気モータ(MA)によって駆動される流体ポンプ(QA)を加圧源にして、ホイールシリンダ(CW)のホイール圧(Pw)を増加する。
【0009】
本発明に係る車両の制動制御装置(SC)では、前記電気モータ(MA)を制御するコントローラ(ECU)は、前記電気モータ(MA)の回転数(Na)を一定回転数(nc)になるように駆動している状態で、前記電気モータ(MA)の出力に相当する出力相当値(Tm)の振幅(At)が第1判定値(at)以上である場合に、前記電気モータ(MA)の回転軸(Jm)と前記流体ポンプ(QA)の回転軸(Jq)との間に軸ズレが発生していることを判定する。
【0010】
本発明に係る車両の制動制御装置(SC)では、前記電気モータ(MA)を制御するコントローラ(ECU)は、前記電気モータ(MA)に一定電流(ic)を供給して前記電気モータ(MA)を駆動している状態で、前記電気モータ(MA)の回転数(Na)の振幅(An)が第2判定値(an)以上である場合に、前記電気モータ(MA)の回転軸(Jm)と前記流体ポンプ(QA)の回転軸(Jq)との間に軸ズレが発生していることを判定する。
【0011】
本発明に係る車両の制動制御装置(SC)では、前記電気モータ(MA)を制御するコントローラ(ECU)は、前記電気モータ(MA)の回転数(Na)を一定回転数(nc)になるように駆動している状態で、前記電気モータ(MA)の出力に相当する出力相当値(Tm)を平滑化した値(Th)が第3判定値(th)以上である場合に、前記電気モータ(MA)の回転軸(Jm)と前記流体ポンプ(QA)の回転軸(Jq)との間に軸ズレが発生していることを判定する。
【0012】
本発明に係る車両の制動制御装置(SC)では、前記電気モータ(MA)を制御するコントローラ(ECU)は、前記電気モータ(MA)に一定電流(ic)を供給して前記電気モータ(MA)を駆動している状態で、前記電気モータ(MA)の回転数(Na)を平滑化した値(Nh)が第4判定値(nh)以上である場合に、前記電気モータ(MA)の回転軸(Jm)と前記流体ポンプ(QA)の回転軸(Jq)との間に軸ズレが発生していることを判定する。
【0013】
本発明に係る車両の制動制御装置(SC)では、前記電気モータ(MA)を制御するコントローラ(ECU)は、前記電気モータ(MA)の回転数(Na)を一定回転数(nc)になるように駆動している状態で、前記電気モータ(MA)の出力に相当する出力相当値(Tm)が第5判定値(tm)を超える頻度(Ht)が第1所定頻度(ht)以上である場合に、前記電気モータ(MA)の回転軸(Jm)と前記流体ポンプ(QA)の回転軸(Jq)との間に軸ズレが発生していることを判定する。
【0014】
本発明に係る車両の制動制御装置(SC)では、前記電気モータ(MA)を制御するコントローラ(ECU)は、前記電気モータ(MA)に一定電流(ic)を供給して前記電気モータ(MA)を駆動している状態で、前記電気モータ(MA)の回転数(Na)が第6判定値(na)を超える頻度(Hn)が第2所定頻度(hn)以上である場合に、前記電気モータ(MA)の回転軸(Jm)と前記流体ポンプ(QA)の回転軸(Jq)との間に軸ズレが発生していることを判定する。
【0015】
軸ズレが発生すると、電気モータMAの負荷が変動するため、出力相当値Tm、モータ回転数Na等のモータ状態量Maが変化する。上記構成によれば、モータ状態量Maの変化に基づいて、軸ズレ発生の有無が判定される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】制動制御装置SCの第1の実施形態を説明するための概略図である。
図2】第1、第2判定例を説明するためのブロック図、及び、時系列線図である。
図3】他の判定例である、第3~第6判定例を説明するための時系列線図である。
図4】制動制御装置SCの第2の実施形態を説明するための概略図である。
図5】制動制御装置SCの第3の実施形態を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<構成部材等の記号、及び、記号末尾の添字>
以下の説明において、「CW」等の如く、同一記号を付された構成部材、演算処理、信号、特性、及び、値は、同一機能のものである。また、制動液BFの循環流KNにおいて、流体ポンプQAの吐出部Qoに近い側(吸入部Qiから離れた側)が「上流側」と称呼され、流体ポンプQAの吸入部Qiに近い側(吐出部Qoから離れた側)が「下流側」と称呼される。
【0018】
シリンダCM、CS、流体ポンプQA、差圧弁UA、インレット弁VI、ホイールシリンダCW、リザーバRV、RA等は、流体路によって接続される。ここで、「流体路」は、液圧を伝達するよう制動液BFを移動するための経路である。流体路には、配管、流体ユニットHU内の流路、ホース等が該当する。以下の説明では、マスタ路HM、ホイール路HW、還流路HK、リザーバ路HR、減圧路HG、サーボ路HV等が流体路である。
【0019】
<制動制御装置SCの第1実施形態>
図1の概略図を参照して、制動制御装置SCの第1の実施形態について説明する。図1には、制動制御装置SCを構成する流体ユニットHUとして、特開2018-069923号公報のアクチュエータ5(特に、ホイールシリンダCWの一輪分)が模式的に表されている。
【0020】
第1の実施形態に係る制動制御装置SCは、アンチロックブレーキ制御(「ABS制御」ともいう)、横滑り防止制御(ESC:Electronic Stability Control)、及び、トラクション制御を実行するための汎用の装置である。更に、制動制御装置SCでは、これらの制御に加え、自動制動制御が実行される。自動制動制御は、運転支援装置からの要求減速度に基づいて、障害物との衝突を回避する、或いは、衝突時の被害を軽減するように、自動的に車両を減速するものである。
【0021】
制動制御装置SCが備えられる車両には、制動操作部材BPが備えられる。制動操作部材BP(例えば、ブレーキペダル)は、運転者が車両を減速するために操作する部材である。また、車両には、制動装置(非図示)が備えられる。制動装置は、ブレーキキャリパ、摩擦部材(例えば、ブレーキパッド)、及び、回転部材(例えば、ブレーキディスク)にて構成される。ブレーキキャリパには、ホイールシリンダCWが設けられる。ホイールシリンダCWに、ホイール圧Pwが制動制御装置SCから供給されることで、摩擦部材が、車輪WHに固定された回転部材に押し付けられる。これにより、車輪WHには制動力が発生される。詳細には、ホイール圧Pwによって車輪WHに制動トルクが加えられ、この制動トルクによって、車輪WHの制動力が発生する。
【0022】
車両には、アンチロックブレーキ制御、横滑り防止制御、トラクション制御等を実行するために、各種センサが備えられる。具体的には、車輪WHの回転速度Vw(車輪速度)を検出するよう、車輪速度センサVWが設けられる。また、操舵操作部材(非図示)の操作量Sa(操舵操作量であって、例えば、操舵角)を検出するよう、操舵操作量センサSAが設けられる。更に、車両(特に、車体)について、ヨーレイトYrを検出するヨーレイトセンサYR、前後加速度Gxを検出する前後加速度センサGX、及び、横加速度Gyを検出する横加速度センサGYが設けられる。これらのセンサ信号は、コントローラECUに入力される。そして、コントローラECUによって、アンチロックブレーキ制御、横滑り防止制御、トラクション制御等が実行される。
【0023】
車両には、制動操作部材BPの操作に応じて、マスタ圧Pmを発生するマスタシリンダCMが備えられる。マスタシリンダCMには、マスタピストンNMが挿入され、液圧室Rm(「マスタ室」という)が形成される。マスタピストンNMには制動操作部材BPが接続され、制動操作部材BPの操作に連動して、マスタピストンNMが移動される。マスタシリンダCM(特に、マスタ室Rm)とホイールシリンダCWとは、マスタ路HM、還流路HK、ホイール路HW等の流体路によって接続される。マスタピストンNMの移動によって、マスタシリンダCMからホイールシリンダCWに対して、マスタ圧Pmが、ホイール圧Pwとして供給される。マスタシリンダCMとホイールシリンダCWとの間に、制動制御装置SCが設けられる。制動制御装置SCは、流体ユニットHU、及び、コントローラECUにて構成される。
【0024】
≪流体ユニットHU≫
制動制御装置SCの流体ユニットHUによって、マスタ圧Pmが、各ホイールシリンダCWで個別に調整(増減)され、ホイール圧Pwとして、ホイールシリンダCWに供給される。流体ユニットHUは、電気モータMA、流体ポンプQA、差圧弁UA、調圧リザーバRA、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOにて構成される。
【0025】
電気モータMAによって、流体ポンプQAが駆動される。電気モータMAによって駆動される流体ポンプQAが、ホイール圧Pwを増加するための加圧源である。
【0026】
電気モータMAの回転軸部材JM(「モータ軸部材」ともいう)と、流体ポンプQAの回転軸部材JQ(「ポンプ軸部材」ともいう)とは、別々の部材である。これらは、連結部CAで接続され、電気モータMAの回転動力が、流体ポンプQAに伝達される。例えば、連結部CAでは、電気モータMAの軸部材JMの端部に、モータ回転軸線Jmに平行な平面Mm(「モータ端部平面」という)が形成されるとともに、流体ポンプQAの軸部材JQの端部に、ポンプ回転軸線Jqに平行な平面Mq(「ポンプ端部平面」という)が形成され、モータ端部平面Mmとポンプ端部平面Mqとの接触によって、動力が伝達される(吹出部XCAを参照)。或いは、モータ端部平面Mmとポンプ端部平面Mqとの間に緩衝部材が設けられ、この緩衝部材を介した接触によって、動力伝達が行われてもよい。ここで、緩衝部材としては、ゴム等の弾性体、若しくは、樹脂が採用される。
【0027】
連結部CAにて、2つの軸部材(即ち、モータ軸部材JM、及び、ポンプ軸部材JQ)が連結され、動力が伝達される。連結部CAには、カップリング(「軸継手」ともいう)が採用され得る。例えば、軸継手として、オルダム軸継手、たわみ軸継手等が採用される。また、モータ軸部材JM、及び、ポンプ軸部材JQのうちの一方の端部に凸部が形成され、それらのうちの他方の端部に凹部が形成され、凸部が凹部に挿入(例えば、圧入)されることで、連結部CAが構成されてもよい。
【0028】
連結部CAにおいて、モータ回転軸Jm(線分であり、「モータ回転軸線」ともいう)とポンプ回転軸Jq(線分であり、「ポンプ回転軸線」ともいう)とは一直線上にあることが望ましい。しかしながら、モータ軸部材JM、及び、ポンプ軸部材JQは個別の部材であるため、それらの回転軸Jm、Jqにズレが生じることがある。モータ回転軸線Jmとポンプ回転軸線Jqとのズレ(上記の一直線上から外れること)が、「軸ズレ」と称呼される。軸ズレは、回転軸間の偏心であり、「ミスアライメント」とも称呼される。
【0029】
例えば、軸ズレでは、モータ回転軸Jmとポンプ回転軸Jqとは交わっているが、これらが角度を有してズレる場合がある(吹出部XCAの(a)を参照)。該軸ズレが、「偏角ズレ(又は、偏角誤差)」と称呼される。或いは、モータ回転軸Jmとポンプ回転軸Jqとが平行にズレる場合がある(吹出部XCAの(b)を参照)。該軸ズレが、「平行ズレ(又は、平行誤差)」と称呼される。更に、偏角ズレと平行ズレとが組み合わさって、軸ズレが発生する場合もある。連結部CAには、軸ズレを吸収する機能を有するものもある(例えば、軸継手)。しかしながら、軸ズレの程度(度合い)が大きくなる場合には、連結部CAでは、軸ズレが吸収され難くなる。
【0030】
電気モータMAには、回転子(ロータ)の回転角Ka(「モータ回転角」ともいう)を検出するよう、回転角センサKAが設けられる。検出されたモータ回転角Kaは、コントローラECUに入力される。そして、コントローラECUでは、モータ回転角Kaに基づいて、モータ回転数Naが演算される。具体的には、モータ回転角Kaが時間微分されて、モータ回転数Naが決定される。
【0031】
流体ポンプQAにおいて、吸入部Qiと吐出部Qoとは、還流路HK(流体路)によって接続される。還流路HKには、常開型の差圧弁UAが設けられる。差圧弁UAは、通電状態(例えば、供給電流Ia)に基づいて開弁量が連続的に制御されるリニア型の電磁弁である。還流路HKの吐出部Qoの近傍には、逆止弁GAが設けられる。詳細には、還流路HKにおいて、流体ポンプQAの吐出部Qoと差圧弁UAとの間に、逆止弁GAが配置される。逆止弁GAでは、一方側の方向の流れは許容されるが、他方側(一方側とは反対側)の方向の流れは阻止される。つまり、逆止弁GAによって、還流路HKでは、制動液BFが一方側の方向に限って流れるので、流体ポンプQAは、一方向に限って回転することが可能である(即ち、流体ポンプQAは、他方向には回転できない)。還流路HKには、差圧弁UAに対して下流側に、調圧リザーバRAが設けられる。詳細には、差圧弁UAと流体ポンプQAの吸入部Qiとの間に調圧リザーバRAが配置される。
【0032】
還流路HKは、差圧弁UAと調圧リザーバRAとの間の部位Bmにて、マスタ路HM(流体路)を介して、マスタシリンダCMのマスタ室Rmに接続される。また、還流路HKは、逆止弁GAと差圧弁UAとの間の部位Bwにて、ホイール路HW(流体路)を介して、ホイールシリンダCWに接続される。ホイール路HWには、常開型のインレット弁VIが設けられる。ホイール路HWは、インレット弁VIとホイールシリンダCWとの間の部位Bgにて、減圧路HG(流体路)を介して、流体ポンプQAの吸入部Qi、及び、調圧リザーバRAに接続される。詳細には、還流路HKの調圧リザーバRAと吸入部Qiとの間の部位Biとホイール路HWの部位Bgとは、減圧路HGによって接続される。そして、減圧路HGには、常閉型のアウトレット弁VOが設けられる。インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOとして、オン・オフ型の電磁弁が採用される。インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOは、各ホイール圧Pwを個別に調節できるよう、ホイールシリンダCW毎に設けられる。
【0033】
流体ユニットHUが駆動されていない場合(即ち、差圧弁UA、電気モータMA、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOに電力が供給されていない場合)には、マスタ室Rmで発生されたマスタ圧Pmは、液圧伝達経路である、マスタ路HM、還流路HK、及び、ホイール路HWを介して、ホイールシリンダCWに供給される。電気モータMAに給電が行われ、電気モータMAが駆動されると、還流路HKには、「Qo→GA→UA→RA→Qi」の循環流KN(破線矢印で示す)が発生する。差圧弁UAに給電が行われず、全開状態にある場合には、還流路HKにおいて、差圧弁UAに対して、上流側の液圧Pq(「調整圧」という)と下流側の液圧Pm(マスタ圧)とは等しい(即ち、「Pq=Pm」)。
【0034】
差圧弁UAへの通電量Ia(供給電流)が増加されると、差圧弁UAの開弁量が減少される。これにより、差圧弁UAによって循環流KN(還流路HK内で循環する制動液BFの流れ)が絞られ、循環流KNの流れが阻害される。換言すれば、差圧弁UAによって、還流路HKの流路が狭められて、差圧弁UAによるオリフィス効果が発揮される。これにより、差圧弁UAの上流側の液圧Pq(調整圧)が下流側の液圧Pm(マスタ圧)から増加される。つまり、循環流KNにおいて、差圧弁UAに対して、調整圧Pqとマスタ圧Pmとの液圧差(差圧)が発生される。この差圧は、差圧弁UAへの供給電流Iaによって調節される。差圧弁UAによって発生された差圧(結果、調整圧Pq)は、自動制動制御、トラクション制御、及び、横滑り防止制御の実行(特に、加圧)に利用される。
【0035】
制動制御装置SCでは、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOが制御されて、ホイール圧Pwの減少、増加、保持が、ホイールシリンダCW毎に個別で行われる。ホイール圧Pwの個別調節は、アンチロックブレーキ制御、トラクション制御、及び、横滑り防止制御の実行(特に、液圧保持、減圧)に利用される。インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOに給電が行われず、それらの作動が停止している場合には、インレット弁VIは開弁され、アウトレット弁VOは閉弁される。この状態では、ホイール圧Pwは、調整圧Pqに等しい。ホイール圧Pwを減少するためには、インレット弁VIが閉弁され、アウトレット弁VOが開弁される。ホイールシリンダCWへの制動液BFの流入が阻止されるとともに、ホイールシリンダCW内の制動液BFが調圧リザーバRAに流出するので、ホイール圧Pwは減少される。ホイール圧Pwを増加するためには、インレット弁VIが開弁され、アウトレット弁VOが閉弁される。制動液BFの調圧リザーバRAへの流出が阻止され、調整圧PqがホイールシリンダCWに供給されるので、ホイール圧Pwが増加される。但し、ホイール圧Pwの増加の上限は調整圧Pqまでである。ホイール圧Pwを保持するためには、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOが共に閉弁される。ホイールシリンダCWは流体的に封止されるので、ホイール圧Pwが一定に維持される。
【0036】
≪コントローラECU≫
コントローラECU(「電子制御ユニット」ともいう)によって、流体ユニットHU(MA、UA等)が制御される。コントローラECUは、マイクロプロセッサMP、及び、駆動回路DRにて構成される。
【0037】
コントローラECU(特に、マイクロプロセッサMP)には、車輪速度Vw、操舵操作量Sa、ヨーレイトYr、横加速度Gy、及び、モータ回転角Kaが入力される。コントローラECUにて、車輪速度Vwに基づいて、車体速度Vxが演算される。そして、車体速度Vx、車輪速度Vw、操舵操作量Sa、ヨーレイトYr、及び、横加速度Gyの信号に基づいて、自動制動制御、アンチロックブレーキ制御、トラクション制御、及び、横滑り防止制御が実行される。具体的には、コントローラECUによって、流体ユニットHUを構成する電気モータMA、及び、各種電磁弁(UA等)が駆動される。コントローラECUの駆動回路DRには、モータ回転角Kaに基づいて、電気モータMAを駆動するよう、スイッチング素子(例えば、MOS-FET)にてHブリッジ回路が構成される。また、駆動回路DRには、各種電磁弁(UA等)を駆動するよう、スイッチング素子が備えられる。マイクロプロセッサMPにプログラムされた制御アルゴリズムに基づいて、差圧弁UAへの供給電流Ia(「差圧弁電流」ともいう)、インレット弁VIへの供給電流Ii(「インレット弁電流」ともいう)、アウトレット弁VOへの供給電流Io、電気モータMAへの供給電流Im(「モータ電流」ともいう)が制御される。駆動回路DRには、差圧弁UAへの供給電流Iaを検出する差圧弁電流センサIA、インレット弁VIへの供給電流Iiを検出するインレット弁電流センサII(非図示)、及び、電気モータMAへの供給電流Imを検出するモータ電流センサIMが設けられる。
【0038】
更に、コントローラECU(特に、マイクロプロセッサMP)には、「電気モータMAの回転軸Jmと流体ポンプQAの回転軸Jqとの間に軸ズレが発生しているか、否か」を判定するための軸ズレ判定ブロックBHが含まれる。該判定は、軸ズレ発生を検出するものであり、「軸ズレ判定」と称呼される。軸ズレ判定ブロックBH(単に、「判定ブロック」ともいう)には、軸ズレ判定用のアルゴリズムがプログラムされている。
【0039】
軸ズレ判定は、車両が停止している場合に実行される。例えば、軸ズレ判定は、イグニッションスイッチがオンされた場合に、制動制御装置SCの初期チェックとして実行される。或いは、運転者が乗車するため、車両のドアが開かれた場合(例えば、カーテシスイッチがオンされた場合)に実行されてもよい。更に、軸ズレ判定は、自動走行(例えば、リモート駐車制御等の自動駐車制御)の実行前に行われ得る。ここで、「リモート駐車制御」は、スマートフォン等の外部操作デバイスによる遠隔操作にて、自動的に駐車を行う機能である。
【0040】
軸ズレ判定ブロックBHには、電気モータMAに係る状態量Maの信号が入力される。「電気モータMAに係る状態量Ma」は、「モータ状態量」とも称呼される。例えば、軸ズレ判定ブロックBHには、モータ状態量Maとして、モータ電流センサIMによって検出された供給電流Im(モータ電流)が入力される。また、軸ズレ判定ブロックBHには、モータ状態量Maとして、モータ回転数Naが入力される。例えば、モータ回転数Naは、モータ回転角センサKAによって検出されたモータ回転角Kaが時間微分されることで決定され得る。或いは、モータ回転数Naは、モータ電流Imから算出されてもよい。
【0041】
軸ズレ判定ブロックBHでは、差圧弁UAの開弁量が減少されている状態(但し、完全に閉弁はされていない状態)で、電気モータMAが定常駆動される場合に、モータ状態量Maの変化(増減)に基づいて軸ズレが判定される。電気モータMAの駆動が開始されるとき(即ち、起動時)には、電気モータMAには突入電流(「起動電流」ともいう)が流れる。その後、モータ電流Imは略一定の状態となる。「定常駆動」は、電気モータMAが、突入電流の発生後に、一定の状態(例えば、モータ回転数Na、モータ電流Imの一定状態)を保って駆動されることである。
【0042】
軸ズレ判定における電気モータMA、差圧弁UA等の一連の駆動が、「判定駆動」と称呼される。つまり、軸ズレ判定ブロックBHでは、判定駆動が実行される場合のモータ状態量Maの変化に応じて、軸ズレの発生が判定される。判定駆動は、車両の停止状態(即ち、「Vx=0」の状態)で実行される。また、軸ズレ判定の実行条件に、制動操作部材BPが操作されていない状態(即ち、「Ba=0」の状態)が付け加えられてもよい。
【0043】
軸ズレ判定ブロックBHにて、軸ズレの発生(即ち、異常状態)が判定されると、これが、報知装置WGによって、運転者に報知される。例えば、コントローラECUの軸ズレ判定ブロックBHから、報知信号Wgが報知装置WGに出力される。これにより、報知装置WGでは、音、光等によって、軸ズレに係る異常状態が、運転者に知らされる。
【0044】
<軸ズレ判定>
図2のブロック図を参照して、軸ズレ判定ブロックBHによって実行される軸ズレ判定について説明する。軸ズレ判定ブロックBHの処理は、コントローラECUにプログラムされている。軸ズレ判定ブロックBHでは、軸ズレ(例えば、偏角ズレ)に起因して、モータ状態量Maが振動的になることに基づいて、軸ズレが判定される。軸ズレ判定ブロックBHは、判定駆動ブロックMD、信号取得ブロックSG、及び、判定処理ブロックHNにて構成される。
【0045】
判定駆動ブロックMDでは、予め設定されたパターンに基づいて、電気モータMA、及び、差圧弁UAが駆動される。即ち、判定駆動ブロックMDから、駆動回路DRに対して指示が行われる。例えば、判定駆動は、停車状態での非制動時に実行される(即ち、「Vx=0、Ba=0」の状態)。
【0046】
信号取得ブロックSGでは、判定駆動でのモータ状態量Ma(電気モータMAに係る状態量)の信号が取得される。具体的には、モータ状態量Maには、モータ電流Im、モータ回転数Na等が含まれる。モータ電流Imは、駆動回路DRに設けられたモータ電流センサIMによって検出される。モータ回転数Naは、モータ回転角Kaに基づいて、それが時間微分されることで決定される。例えば、モータ回転角Kaは、電気モータMAに設けられたモータ回転角センサKAによって検出される。
【0047】
判定処理ブロックHNでは、判定駆動中のモータ状態量Maの振幅に基づいて、軸ズレ判定が実行される。詳細は後述するが、判定期間内において、判定条件が満足されることに基づいて、軸ズレ発生(即ち、異常状態)が判定される。そして、判定期間内に、異常状態が判定されない場合には、判定期間の終了時に、軸ズレが発生していないこと(即ち、正常状態)が判定される。軸ズレの発生が判定されると、判定処理ブロックHNから、報知信号Wgが報知装置WGに出力される。
【0048】
電気モータMAの軸部材JMと流体ポンプQAの軸部材JQとは別個要素であり、それらが連結部CAにて接合されている。このため、モータ、ポンプ回転軸Jm、Jqに軸ズレが発生することがある。軸ズレが発生すると、電気モータMAと流体ポンプQAとは滑らかに回転しなくなり、電気モータMAの負荷が振動的になる。このため、判定処理ブロックHNでは、モータ状態量Maの振幅に基づいて、軸ズレ発生の有無が判定される。以上、軸ズレ判定の概要について説明した。次に、軸ズレ判定の具体的な判定例(第1~第6の判定例)について説明する。
【0049】
≪第1の判定例≫
図2の時系列線図(時間Tの経過に伴う各種状態量の遷移を表す吹出部XHB内の線図)を参照して、軸ズレに係る第1の判定例について説明する。第1判定例では、軸ズレ判定用のモータ状態量Maとして、「モータ電流Imから、電気モータMAのトルクとして出力されるまでの状態量(状態変数)」が採用される。該状態量は、電気モータMAのトルク出力に係る状態量であり、「出力相当値Tm(電気モータMAのトルク出力に相当する値)」と称呼される。例えば、出力相当値Tmは、モータ電流Im(モータ電流センサIMの検出値)に基づいて算出される。また、モータ電流Im自体が、出力相当値Tmとして採用されてもよい。電気モータMAの出力を検出するトルクセンサが備えられる構成では、該センサによって検出されるモータトルクが、出力相当値Tmとして採用され得る。
【0050】
第1判定例の判定駆動では、先ず、電気モータMAの回転数Naが一定回転数ncとなるように、電気モータMAが駆動される。具体的には、電気モータMAの目標回転数Ntが、一定回転数ncに設定される。「一定回転数nc」は、予め設定された所定値(定数)である。そして、モータ回転数Naが、目標回転数Nt(=nc)に一致するように、電気モータMAのトルク出力が制御される。電気モータMAの出力は、モータ電流Imと相関関係があるため、電気モータMAへの供給電流Imが、回転数フィードバック制御に基づいて調整される。このとき、差圧弁UAには通電が行われていないので、差圧弁UAは全開状態である。
【0051】
突入電流の発生期間が終わると、電気モータMAは、「Na=nc(一定回転数)」の定常駆動状態にされる。定常駆動状態で、時点t0にて、差圧弁UAに給電が行われる。これにより、差圧弁UAの開弁量が減少される。具体的には、時点t0から、差圧弁電流Iaが、所定の時間勾配da(「増加勾配」という)にて徐々に増加される。そして、時点t1にて、差圧弁電流Iaが所定電流ix(「差圧弁所定電流」ともいう)に到達する。時点t1以降は、差圧弁電流Iaは所定電流ixに維持され、差圧弁UAの開弁量が一定にされる。ここで、差圧弁UAの開弁量は、減少されてはいるが、完全には閉弁されていない。「増加勾配da(時間に対する差圧弁電流Iaの変化量)」、及び、「所定電流ix(差圧弁所定電流)」は、予め設定された所定値(定数)である。
【0052】
時点t1の後の時点t2から、判定期間が開始される。「判定期間」は、軸ズレに起因する出力相当値Tmの変動を監視するための期間であり、判定時間tjに亘って継続される。「判定時間tj」は、予め設定された所定値(定数)である。時点t2にて、判定時間tjに係る時間Tのカウントが開始される。
【0053】
判定期間内(時点t2から時点t3までの間)において、出力相当値Tmの振幅At(「出力振幅」ともいう)が演算される。出力相当値Tmについて、極大値Tp、及び、極小値Tqが演算され、極大値Tpと極小値Tqとの差が、出力振幅Atとして決定される。例えば、軸ズレが発生している場合には、出力相当値Tmは特性線ZIaのように周期的に変動する。判定期間の開始直後に、出力相当値Tmは、極大値Tp1となり、その後、極小値Tq2となる。出力相当値Tmの振幅Atは、極大値Tp1と極小値Tq2との差として演算される(即ち、「At1=Tp1-Tq2」)。次に、出力相当値Tmは、再度、極大値Tp3となるので、出力振幅Atは、「At2=Tp3-Tq2」にて演算される。出力相当値Tmの極値(即ち、極大値、極小値)に基づいて、判定期間が終了するまで、出力相当値Tmの振幅Atが繰り返し演算される。
【0054】
時点t2から、判定時間tjを経過した時点t3にて、判定期間が終了される。ここで、出力振幅Atの平均値Atv(「平均出力振幅」ともいう)が演算される。そして、平均出力振幅Atvが判定値at(「第1判定値」ともいう)以上である場合(即ち、「Atv≧at」の場合)に、軸ズレが発生していること(異常状態)が判定される。これに対し、平均出力振幅Atvが第1判定値at未満であり、軸ズレ発生が否定される場合には、軸ズレが生じていないこと(正常状態)が判定される。ここで、「(第1)判定値at」は、軸ズレ判定用のしきい値であり、予め設定された所定値(定数)である。
【0055】
平均出力振幅Atvによる判定に代えて、出力振幅Atが決定される毎に、第1判定値atとの比較が行われてもよい。具体的には、第1回目の出力振幅At1が決定されると、「出力振幅At1が第1判定値at以上であるか、否か」が判定される。次に、第2回目の出力振幅At2が決定されると、「出力振幅At2が第1判定値at以上であるか、否か」が判定される。その後、判定期間に亘って、該処理が繰り返される。そして、判定が肯定される回数Ty(即ち、出力振幅Atが第1判定値at以上である回数であり、「出力に係る肯定回数」ともいう)が所定回数tyを超える場合に軸ズレの発生(異常状態)が判定される。これに対し、出力に係る肯定回数Tyが所定回数tyを超えず、軸ズレ発生が否定される場合には、軸ズレの非発生(正常状態)が判定される。「所定回数ty」は、予め設定された所定値(定数)である。何れにしても、軸ズレの発生は、出力振幅Atが第1判定値at以上である場合に判定される。
【0056】
判定期間が終了する時点t3の後の時点t4にて、差圧弁UAへの通電が停止される。同様に、電気モータMAの駆動が停止され、判定駆動が終了される。
【0057】
第1の判定例では、判定期間中の出力相当値Tmの振幅Atに基づいて、軸ズレ判定が実行される。軸ズレが発生しておらず、モータ回転軸Jmとポンプ回転軸Jqとが、略一直線上にある場合には、電気モータMAの負荷変動は小さく、その回転は円滑である。このため、出力相当値Tmは略一定で維持される(特性線ZJaを参照)。出力振幅Atは第1判定値at未満の状態に維持されるので、軸ズレの発生は否定される。これに対し、モータ回転軸Jmとポンプ回転軸Jqとがズレている場合(例えば、偏角誤差を有する場合)には、電気モータMAに対する負荷が変動するため、出力振幅Atが大きくなる。そして、軸ズレの程度(例えば、モータ回転軸Jmとポンプ回転軸Jqとがなす角である偏角の大きさ)が大きくなるに伴って、出力振幅Atは増大する。このため、出力振幅Atが第1判定値at以上である場合には、軸ズレの発生が検知される。
【0058】
≪第2の判定例≫
図2の時系列線図の角括弧[ ]にて表示している記号が、第2の判定例に対応している。第1の判定例では、モータ回転数Naが目標回転数Nt(=nc)に一致するように、電気モータMAが回転数フィードバック制御によって駆動された。これに代えて、第2の判定例では、回転数フィードバック制御は採用されず、一定のモータ電流Im(値ic)が供給されることで、電気モータMAは駆動される。従って、軸ズレ発生時には、第1の判定例では出力相当値Tmが振動的になるが、第2の判定例ではモータ回転数Naが振動的になる。このため、第2の判定例では、軸ズレ判定用のモータ状態量Maとして、モータ回転数Naが採用される。第1判定例に対して電気モータMAの制御方法、及び、モータ状態量Maとしてモータ回転数Naが採用されること以外は同じであるため、以下、相違点を主に説明する。
【0059】
第2判定例の判定駆動では、先ず、電気モータMAに一定電流icが供給され、定常駆動状態にされる。「一定電流ic」は、予め設定された所定値(定数)である。このとき、差圧弁UAへの給電は停止されており、差圧弁UAは全開状態である。電気モータMAの定常駆動中に、時点t0にて、差圧弁UAに給電が行われ、差圧弁UAの開弁量が減少される。
【0060】
時点t2から、判定期間が開始され、モータ回転数Naの振幅An(「回転数振幅」ともいう)が演算される。回転数振幅Anは、モータ回転数Naについて、極大値Np、及び、極小値Nqに基づいて演算される。例えば、軸ズレが発生している場合には、モータ回転数Naは特性線ZIbのように変動する。回転数振幅Anの演算は、判定期間が終了するまで、判定時間tj(予め設定された所定値)に亘って継続される。
【0061】
時点t3にて、判定期間が終了される。ここで、回転数振幅Anの平均値Anv(「平均回転数振幅」ともいう)が演算される。そして、平均回転数振幅Anvが判定値an(「第2判定値」ともいう)以上である場合(即ち、「Anv≧an」の場合)に、軸ズレが発生していること(異常状態)が判定される。これに対し、平均回転数振幅Anvが第2判定値an未満であり、軸ズレ発生が否定される場合には、軸ズレが生じていないこと(正常状態)が判定される。ここで、「(第2)判定値an」は、軸ズレ判定用のしきい値であり、予め設定された所定値(定数)である。
【0062】
平均回転数振幅Anvによる判定に代えて、回転数振幅Anが決定される毎に、第2判定値anとの比較が行われてもよい。具体的には、第1回目の回転数振幅An1が決定されると、「回転数振幅An1が第2判定値an以上であるか、否か」が判定される。次に、第2回目の回転数振幅An2が決定されると、「回転数振幅An2が第2判定値an以上であるか、否か」が判定される。その後、判定期間に亘って、該処理が繰り返される。そして、判定が肯定される回数Ny(即ち、回転数振幅Anが第2判定値an以上である回数であり、「回転数に係る肯定回数」ともいう)が所定回数nyを超える場合に軸ズレの発生(異常状態)が判定される。これに対し、回転数に係る肯定回数Nyが所定回数nyを超えず、軸ズレ発生が否定される場合には、軸ズレの非発生(正常状態)が判定される。「所定回数ny」は、予め設定された所定値(定数)である。何れにしても、回転数振幅Anが第2判定値an以上である場合に、軸ズレの発生が判定される。
【0063】
軸ズレの有無が判定されると時点t4にて、判定駆動が終了される。これにより、差圧弁UAへの通電が停止され、電気モータMAの駆動が停止される。
【0064】
第2の判定例では、判定期間中のモータ回転数Naの振幅Anに基づいて、軸ズレ判定が実行される。第2の判定例では、電気モータMAに一定電流icが供給されているので、軸ズレ発生時には、モータ回転数Naが変動し、回転数振幅Anが増大する。このため、回転数振幅Anが第2判定値an以上である場合には、軸ズレの発生が識別される。これに対して、軸ズレの非発生時には、電気モータMAの負荷変動は小さく、モータ回転数Naは略一定であるため、その振幅Anは小さい(特性線ZJbを参照)。回転数振幅Anは第2判定値an未満の状態に維持されるので、軸ズレは発生していないと判定される。
【0065】
<他の軸ズレ判定>
図3の時系列線図(時間Tの経過に伴う各種状態量の遷移を表す線図)を参照して、軸ズレに係る第3~第6の判定例について説明する。上述した第1、第2の判定例では、軸ズレ(例えば、偏角ズレ)の増加に伴って、モータ状態量Maが振動的になることに着目して、軸ズレ判定が行われた。このことに加え、以下で説明する第3~第6の判定例では、軸ズレ(例えば、平行ズレ)に起因して、モータ状態量Maが増加することに着目して、軸ズレが判定される。なお、実際の軸ズレでは、偏角ズレ、及び、平行ズレのうちの一方のみが発生することは稀であり、通常、これらは併発する。
【0066】
≪第3の判定例≫
第3の判定例において、モータ状態量Ma、及び、判定駆動は、第1の判定例と同じである。つまり、モータ状態量Maには、出力相当値Tmが採用される。また、電気モータMAは、回転数Naが一定回転数ncとなるように、回転数フィードバック制御によって駆動される。
【0067】
先ず、「Na=nc(=Nt)」にて電気モータMAが定常状態になるように判定駆動が行われる。そして、時点u0から、差圧弁UAに給電が行われ、差圧弁UAの開弁量が減少される。時点u1にて、差圧弁電流Iaが差圧弁所定電流ixに到達し、その後は、一定電流ixで維持される。「Ia=ix」の状態である時点u2から判定期間が開始され、出力相当値Tmが監視される。つまり、判定期間に亘って、出力相当値Tmの値(データ)が取得され、記憶される。判定期間は、予め設定された判定時間tjに亘って継続され、時点u3にて終了される。
【0068】
判定期間の終了時点である時点u3にて、記憶されたデータに基づいて、平滑化された出力相当値Tmの値Th(「平滑出力値」ともいう)が演算される。例えば、平滑出力値Thとして、判定期間中の出力相当値Tmの平均値が演算される。或いは、判定期間中の出力相当値Tmがフィルタ処理(例えば、ローパスフィルタ)されて、平滑出力値Thが決定されてもよい。そして、平滑出力値Thに基づいて、軸ズレ発生の有無が判定される。具体的には、平滑出力値Thが判定値th(「第3判定値」ともいう)未満である場合(即ち、「Th<th」の場合)には、軸ズレの発生は否定される。これに対して、平滑出力値Thが第3判定値th以上である場合(即ち、「Th≧th」の場合)には、軸ズレの発生が肯定される。「(第3)判定値th」は、軸ズレ判定用のしきい値であり、予め設定された所定値(定数)である。
【0069】
例えば、モータ回転軸Jmとポンプ回転軸Jqとが平行にズレている場合には、電気モータMAに対する負荷が増加するので、出力相当値Tmは、全体的に増加される。このため、特性線ZIcで示されるように、平滑出力値Thが相対的に大きくなり、「Th≧th」が満足される場合(例えば、「Th=hi」の場合)には、軸ズレが発生していると判定される。一方、特性線ZJcで示されるように、平滑出力値Thが相対的に小さく、「Th≧th」が否定される場合(例えば、「Th=hj」の場合)には、軸ズレは発生していないと判定される。
【0070】
≪第4の判定例≫
図4の時系列線図の角括弧[ ]にて表示している記号が、第4の判定例に対応する。第4の判定例において、モータ状態量Ma、及び、判定駆動は、第2の判定例と同じである。つまり、モータ状態量Maには、モータ回転数Naが採用される。また、電気モータMAは、一定のモータ電流Im(=ic)が供給されることで判定駆動される。以下、第3の判定例との違いを主に説明する。
【0071】
「Im=ic」で、電気モータMAが定常状態になるように駆動される。時点u0にて、差圧弁UAの開弁量が減少される。時点u1にて、差圧弁UAの開弁量が一定で維持される。時点u2から時点u3までが判定期間であり、この期間のモータ回転数Naのデータが取得され、記憶される。
【0072】
時点u3にて、記憶されたモータ回転数Naのデータに基づいて、平滑化されたモータ回転数Naの値Nh(「平滑回転数」ともいう)が演算される。例えば、平滑回転数Nhとして、判定期間中のモータ回転数Naの平均値が演算される。或いは、判定期間中のモータ回転数Naがフィルタ処理(例えば、ローパスフィルタ)されて、平滑回転数Nhが決定されてもよい。そして、平滑回転数Nhに基づいて、軸ズレ発生の有無が判定される。具体的には、平滑回転数Nhが判定値nh(「第4判定値」ともいう)未満である場合(即ち、「Nh<nh」の場合)には、軸ズレの発生は否定されるが、平滑回転数Nhが第4判定値nh以上である場合(即ち、「Nh≧nh」の場合)には、軸ズレの発生が肯定される。「(第4)判定値nh」は、軸ズレ判定用のしきい値であり、予め設定された所定値(定数)である。
【0073】
例えば、モータ、ポンプ回転軸Jm、Jqにて平行ズレが発生する場合には、電気モータMAに対する負荷が増加するので、モータ回転数Naは、全体的に増加される。このため、特性線ZIdで示されるように、平滑回転数Nhが相対的に大きくなり、「Nh≧nh」が満足される場合には、軸ズレが発生していると判定される。一方、特性線ZJdで示されるように、平滑回転数Nhが相対的に小さく、「Nh≧nh」が否定される場合には、軸ズレは発生していないと判定される。
【0074】
≪第5の判定例≫
第5の判定例では、出力相当値Tmがしきい値tm(「第5判定値」ともいう)を超える頻度に基づいて、軸ズレ判定が実行される。第5の判定例では、モータ状態量Ma、及び、判定駆動は、第1、第3の判定例と同様である。即ち、モータ状態量Maには出力相当値Tmが採用され、電気モータMAは、その回転数Naが一定回転数ncとなるように制御される。以下、相違点を中心に説明する。
【0075】
判定期間において、第5判定値tmが設定される。判定期間(時点u2から時点u3までの間)に亘って、出力相当値Tmと第5判定値tmとの比較が行われる。そして、出力相当値Tmが第5判定値tmを超える頻度Ht(即ち、出力相当値Tmが第5判定値tmよりも大きくなることの発生度数であり、「第1頻度」ともいう)が演算される。具体的には、第1頻度Htとして、「Tm>tm」となる時間(「時間頻度」ともいう)が採用される。また、第1頻度Htとして、「Tm>tm」となる回数(「回数頻度」ともいう)が採用されてもよい。例えば、軸ズレが発生している場合には、出力相当値Tmは特性線ZIcのように変動する。第5の判定例では、出力相当値Tmが第5判定値tmを超える期間が、期間N1、N2、…、Nnのように、判定期間に亘って、順次記憶される。そして、期間N1、N2、…、Nnの時間の合計が、第1頻度Ht(時間頻度)として決定される。或いは、期間N1、N2、…、Nnの発生回数が、第1頻度Ht(回数頻度)として決定されてもよい。
【0076】
第1頻度Htが、しきい頻度ht(「第1しきい頻度」ともいう)未満である場合には、軸ズレの発生が否定される。これに対して、第1頻度Htが、第1しきい頻度ht以上である場合には、軸ズレの発生が肯定される。ここで、「(第5)判定値tm」、及び、「(第1)しきい頻度ht」は、予め設定された所定値(定数)である。ここで、時間頻度Ht(「Tm>tm」の発生時間)が採用される場合には、第1しきい頻度htの次元は時間で設定され、回数頻度Ht(「Tm>tm」の発生回数)が採用される場合には、第1しきい頻度htの次元は回数で設定される。
【0077】
例えば、モータ、ポンプ回転軸Jm、Jqにて、偏角ズレ、及び、平行ズレの両方の増加に伴って、出力相当値Tmの振幅Atは増加しつつ、出力相当値Tmが全体として増加する。特性線ZIcで示されるように、「Ht≧ht」が満足される場合には、軸ズレの発生が検知される。これに対して、特性線ZJcで示されるように、第1頻度Htが第1しきい頻度htに満たない場合(即ち、「Ht<ht」の場合)には、軸ズレは生じていないと判定される。
【0078】
≪第6の判定例≫
第6の判定例では、モータ回転数Naがしきい値na(「第6判定値」ともいう)を超える頻度に基づいて、軸ズレ判定が実行される。第6の判定例では、モータ状態量Ma、及び、判定駆動は、第2、第4の判定例と同様である。即ち、モータ状態量Maにはモータ回転数Naが採用され、電気モータMAには一定電流icが給電される。以下、相違点を中心に説明する。
【0079】
判定期間において、第6判定値naが設定される。判定期間(時点u2から時点u3までの間)に亘って、モータ回転数Naと第6判定値naとの比較が行われる。そして、モータ回転数Naが第6判定値naを超える頻度Hn(即ち、モータ回転数Naが第6判定値naよりも大きくなることの発生度数であり、「第2頻度」ともいう)が演算される。具体的には、第2頻度Hnとして、「Na>na」となる時間(時間頻度)が採用される。また、第2頻度Hnとして、「Na>na」となる回数(回数頻度)が採用されてもよい。例えば、軸ズレが発生している場合には、モータ回転数Naは特性線ZIdのように変動する。第6の判定例では、モータ回転数Naが第6判定値naを超える期間が、期間N1、N2、…、Nnのように、判定期間に亘って、順次記憶される。そして、期間N1、N2、…、Nnの時間の合計が、第2頻度Hn(時間頻度)として決定される。或いは、期間N1、N2、…、Nnの発生回数が、第2頻度Hn(回数頻度)として決定されてもよい。
【0080】
第2頻度Hnが、しきい頻度hn(「第2しきい頻度」ともいう)未満である場合には、軸ズレの発生は否定される。これに対して、第2頻度Hnが、第2しきい頻度hn以上である場合には、軸ズレの発生が肯定される。ここで、「(第6)判定値na」、及び、「(第2)しきい頻度hn」は、予め設定された所定値(定数)である。ここで、時間頻度Hn(「Na>na」の発生時間)が採用される場合には、第2しきい頻度hnの次元は時間で設定され、回数頻度Hn(「Na>na」の発生回数)が採用される場合には、第2しきい頻度hnの次元は回数で設定される。
【0081】
例えば、モータ、ポンプ回転軸Jm、Jqにて、偏角ズレ、及び、平行ズレの両方の増加に伴って、モータ回転数Naの振幅Anは増加しつつ、モータ回転数Naが全体として増加する。このため、特性線ZIdで示されるように、「Hn≧hn」が満足される場合には、軸ズレが発生していることが識別される。これに対して、特性線ZJdで示されるように、第2頻度Hnが第2しきい頻度hnに満たない場合(即ち、「Hn<hn」の場合)には、軸ズレの非発生が判定される。
【0082】
<制動制御装置SCの第2実施形態>
図4の概略図を参照して、制動制御装置SCの第2の実施形態について説明する。図4には、制動制御装置SCを構成する流体ユニットHUとして、特開2019-059294号公報に記載される構成(特に、上部流体ユニットYUの調圧ユニットYC、及び、マスタシリンダCMから前輪ホイールシリンダCWiの一輪分)を模式化したものである。
【0083】
制動制御装置SCの第2の実施形態が適用される車両には、制動操作部材BPの操作量Ba(「制動操作量」という)を検出する制動操作量センサBAが設けられる。例えば、制動操作量センサBAとして、制動操作部材BPの操作変位Spを検出する操作変位センサSPが設けられる。加えて、ストロークシミュレータSSの液圧Pz(「シミュレータ圧」という)を検出するシミュレータ圧センサPZが採用される。制動制御装置SCにおいては、制動操作量Baは、運転者の制動意志を表す信号の総称であり、制動操作量センサBAは、制動操作量Baを検出するセンサの総称である。制動操作量Baは、コントローラECUに入力される。
【0084】
制動制御装置SCには、ストロークシミュレータSS(単に、「シミュレータ」ともいう)が設けられる。シミュレータSSによって、制動操作部材BPの操作力Fpが発生される。制動制御装置SCは、ブレーキバイワイヤ型であるため、制動操作部材BPの操作特性(操作変位Spと操作力Fpとの関係)は、シミュレータSSによって発生される。シミュレータ圧Pzを検出するよう、シミュレータ圧センサPZが設けられる。なお、シミュレータ圧Pzは、制動操作部材BPの操作力Fpを表す状態量である。
【0085】
第1の実施形態に係る流体ユニットHUは、横滑り防止制御等を実行するための汎用ユニットであった。これに対し、制動制御装置SCの第2の実施形態は、ブレーキバイワイヤ型のサービスブレーキ用装置である。制動制御装置SCは、流体ユニットHU、及び、コントローラECUにて構成される。
【0086】
第2実施形態に係る流体ユニットHUは、サービスブレーキ(「常用ブレーキ」ともいう)のためのユニットである。流体ユニットHUによって、制動操作量Baに応じて、ホイールシリンダCWのホイール圧Pwが調整される。具体的には、ホイール圧Pwは、制動操作量Baが大きいほど、大きくなるように制御される。第1実施形態と同様に、第2実施形態でも、流体ユニットHUには、電気モータMA、流体ポンプQA、差圧弁UA、及び、インレット弁VIが含まれている。
【0087】
第1実施形態に対する相違点は、第2実施形態では、「流体ポンプQAがマスタリザーバRV(「大気圧リザーバ」ともいう)から制動液BFを吸引できること」、及び、「差圧弁UAによって調整された液圧Pu(「サーボ圧」という)が、制御シリンダCSと制御ピストンNSとを介して、ホイールシリンダCWに、ホイール圧Pwとして伝達されること」である。具体的には、第2実施形態において、液圧は、「Pu→Ps→Pw」の順で伝達される。上述したように、第1実施形態と同一の符号が付された構成要素は、同一機能であるため、主として、相違点について説明する。
【0088】
電気モータMAと流体ポンプQAとは、連結部CAを介して接続される。電気モータMAの動力は、連結部CAを介して流体ポンプQAに伝達される。電気モータMAには、回転子(ロータ)の回転角Kaを検出するよう、回転角センサKAが設けられる。コントローラECUでは、モータ回転角Kaに基づいて、モータ回転数Naが演算される。
【0089】
流体ポンプQAにおいて、吸入部Qiと吐出部Qoとは、還流路HKによって接続される。還流路HKには、常開型のリニア型電磁弁である差圧弁UAが設けられる。還流路HKの吐出部Qoの近傍には、逆止弁GAが設けられる。還流路HKは、差圧弁UAの下流側で、吸入部Qiの上流側の部位Br(差圧弁UAと吸入部Qiとの間の部位)にて、リザーバ路HR(流体路)を介して、マスタリザーバRVに接続される。また、還流路HKは、逆止弁GAの下流側で、差圧弁UAの上流側の部位Bs(流体ポンプQAと差圧弁UAとの間の部位)にて、サーボ路HV(流体路)を介して、制御シリンダCSのサーボ室Ruに接続される。
【0090】
制御シリンダCSには、制御ピストンNSが挿入される。制御シリンダCSの内部は、制御ピストンNSによって、2つの液圧室(「サーボ室Ru」及び「制御室Rs」という)に仕切られている。サーボ室Ruは、サーボ路HVに接続される。また、制御室Rsは、ホイール路HWを介して、ホイールシリンダCWに接続される。ホイール路HWには、常開型のオン・オフ電磁弁であるインレット弁VIが設けられる。
【0091】
制動操作量Baが「0(ゼロ)」である場合(即ち、非制動時)には、流体ユニットHUは駆動されない。従って、差圧弁UA、電気モータMA、及び、インレット弁VIに電力が供給されない。制動時には、電気モータMAが駆動され、還流路HKには、破線矢印で示すように、「Qo→GA→UA→Qi」の循環流KNが発生される。差圧弁UAに給電が行われず、全開状態にある場合には、還流路HKにおいて、差圧弁UAに対して、上流側の液圧Pu(サーボ圧)と下流側の液圧(大気圧)とは等しい(即ち、「Pu=0」)。
【0092】
制動操作量Baの増加に応じて、差圧弁UAへの通電量Ia(供給電流)が増加されると、差圧弁UAの開弁量が減少される。これにより、差圧弁UAによって循環流KN(還流路HK内で循環する制動液BFの流れ)が絞られ、循環流KNの流れが阻害される。これにより、差圧弁UAの上流側の液圧Pu(サーボ圧)が大気圧から増加される。
【0093】
サーボ圧Puは、サーボ路HVを介して、サーボ室Ruに供給される。サーボ圧Puの増加によって、制御ピストンNSが前進方向(サーボ室Ruの体積が増加し、制御室Rsの体積が減少する方向)に押圧される。これにより、制御室Rs内の液圧Ps(「制御圧」という)が増加される。制御室Rsは、ホイール路HWを介して、ホイールシリンダCWに接続されているので、制御室Rsが、ホイール圧Pwとして、ホイールシリンダCWに供給される。なお、制動時(アンチロックブレーキ制御等の非実行時のサービスブレーキの場合)には、インレット弁VIへの給電は行われず、インレット弁VIは全開状態である。
【0094】
第2の実施形態に係る流体ユニットHUでは、流体ポンプQAが吐出する制動液BFの循環流KNが、差圧弁UAによって絞られることで、サーボ圧Puが発生される。サーボ圧Puは、制御シリンダCS内のサーボ室Ruに供給される。サーボ圧Puは、制御ピストンNSを介して、制御圧Psとして伝達される。そして、制御圧Psは、ホイール路HWを介して、ホイール圧PwとしてホイールシリンダCWに供給される。
【0095】
コントローラECUによって、流体ユニットHUが制御される。コントローラECUには、制動操作量Ba(Sp、Pz等)、及び、モータ回転角Kaが入力される。コントローラECUにて、制動操作量Baの信号に基づいて、サービスブレーキ制御が実行される。「サービスブレーキ制御」は、サービスブレーキの機能を実現するために、制動操作量Baに応じたホイール圧Pwの制御である。具体的には、コントローラECUによって、電気モータMAが駆動され、還流路HKに循環流KNが発生される。そして、差圧弁電流Iaは、制動操作量Baが大きいほど、大きくなるように調整される。これにより、サービスブレーキ制御では、制動操作量Baが大きいほど、サーボ圧Pu(結果、ホイール圧Pw)が大きくなるように制御される。コントローラECUでは、上記同様に、モータ、ポンプ回転軸Jm、Jqの軸ズレ判定が実行される。
【0096】
<制動制御装置SCの第3実施形態>
図5の概略図を参照して、制動制御装置SCの第3の実施形態について説明する。図5には、制動制御装置SCを構成する流体ユニットHUとして、特開2019-059294号公報に記載される構成(特に、上部流体ユニットYUの調圧ユニットYCから後輪ホイールシリンダCWkの一輪分)を模式化したものである。
【0097】
第2の実施形態と同様に、第3の実施形態に係る制動制御装置SCは、サービスブレーキのためのブレーキバイワイヤ型ユニットである。それらの相違点は、第2実施形態では、サーボ圧Puが制御シリンダCS、及び、制御ピストンNSを介してホイールシリンダCWに伝達されるのに対し、第3実施形態では、サーボ圧Puが直接ホイールシリンダCWに伝達される。具体的には、第3の実施形態では、還流路HKが、逆止弁GAの下流側で、差圧弁UAの上流側の部位Bs(流体ポンプQAと差圧弁UAとの間の部位)にて、ホイール路HWを介して、ホイールシリンダCWに接続される。これにより、サーボ圧Puが、ホイール圧Pwとして、ホイールシリンダCWに対して、直接供給される。第3の実施形態でも、上記同様に、コントローラECUでは、モータ、ポンプ回転軸Jm、Jqの軸ズレ判定が実行される。
【0098】
<変形例>
上述する第1~第6の判定例では、軸ズレ判定の際に、差圧弁UAに給電が行われ、差圧弁UAの開弁量が減少された。このことは、軸ズレ判定の必須要件ではない。即ち、判定駆動において、差圧弁UAへの給電は行われず、判定期間中に、その全開状態が維持されていてもよい(即ち、「Ia=0」の状態)。軸ズレが発生している場合には、差圧弁UAの開弁量が減少されていなくても、電気モータMAの負荷は増加するため、軸ズレの判定は可能である。しかしながら、差圧弁UAの開弁量が減少されていると、軸ズレに起因する電気モータMAの負荷はより顕著になる。このため、判定期間には、差圧弁UAの開弁量が減少され得る。
【0099】
上述する判定例では、軸ズレの有無は、判定期間の終了時点t3、u3にて判定された。肯定回数Ty、Ny(第1、第2判定を参照)、及び、頻度Ht、Hn(第5、第6判定を参照)に基づく判定のうちで少なくとも1つでは、軸ズレ発生が肯定された時点にて、それが判定されてもよい。つまり、肯定回数Ty、Nyが所定回数ty、ny以上になる時点で、軸ズレ発生が肯定される。また、頻度Ht、Hnが、所定のしきい頻度ht、hn以上になる時点で、軸ズレ発生が肯定される。
【0100】
上述する判定例では、判定駆動は、判定期間の終了後の時点t4、u4にて終了された。判定駆動は、判定期間の終了と同時に終了されてもよい。また、肯定回数Ty、Ny、頻度Ht、Hnに基づく判定のように、判定期間内にて軸ズレ発生が判定される場合には、軸ズレ発生が肯定された時点で、判定駆動が終了されてもよい。判定駆動の終了により、電気モータMA等への給電が停止される。
【0101】
上述する実施形態では、モータ回転角Kaを検出する回転角センサKAが設けられたが、回転角センサKAは省略されてもよい。該構成では、電気モータMAに係る回転角Ka、回転数Naは、推定演算に基づいて決定される。例えば、モータ電流センサIMの検出結果Im(モータ電流)に基づいて、モータ回転数Naが推定される。そして、モータ回転数Na(モータ回転速度)に基づいて、それが時間積分されて、モータ回転角Kaが推定される。
【0102】
<実施形態のまとめ>
以下、制動制御装置SCの実施形態についてまとめる。
制動制御装置SCでは、電気モータMAによって駆動される流体ポンプQAを加圧源にして、ホイールシリンダCWのホイール圧Pwが増加される。ここで、電気モータMAは、コントローラECUによって制御される。
【0103】
詳細には、制動制御装置SCは、電気モータMA、流体ポンプQA、差圧弁UA、及び、コントローラECUにて構成される。流体ポンプQAは、電気モータMAに接続される。差圧弁UAは、流体ポンプQAの吐出部Qoと流体ポンプQAの吸入部Qiとを接続する流体路HKに設けられる。差圧弁UAによって、流体ポンプQAが吐出する制動液BFが調整圧Pq、又は、サーボ圧Puに増加される。ここで、流体ポンプQAを加圧源として、差圧弁UAによって調整される液圧が「出力圧」と総称される。従って、第1実施形態では、調整圧Pqが出力圧に該当し、第2、第3実施形態では、サーボ圧Puが出力圧に該当する。何れにしても、制動制御装置では、出力圧Pq、Puの増加によってホイール圧が増加される。
【0104】
コントローラECUによって、電気モータMA、及び、差圧弁UAは制御(駆動)される。更に、コントローラECUによって、電気モータMAに係る状態量Ma(モータ状態量)の変化に基づいて、「電気モータMAの回転軸Jmと流体ポンプQAの回転軸Jqとの間に軸ズレが発生しているか、否か」の軸ズレ判定が行われる。
【0105】
軸ズレ判定には、モータ回転数Naが用いられる。例えば、モータ回転角Naは、モータ回転角センサKAの検出結果(即ち、モータ回転角Ka)から算出される。或いは、モータ回転角センサKAは省略され、モータ回転角Naは、他の情報(例えば、モータ電流Im)から推定されてもよい。即ち、モータ回転角センサKAは、軸ズレ判定に係る必須の構成要素ではなく、それが省略されてもよい。
【0106】
軸ズレの第1判定例では、コントローラECUは、電気モータMAの回転数Naが一定回転数ncになるように、電気モータMAを駆動する。該状態で、コントローラECUは、出力相当値Tmの振幅Atが第1判定値at以上である場合に、軸ズレが発生していることを判定する。これに対し、出力相当値Tmの振幅Atが第1判定値at未満である場合に、軸ズレが発生していないことを判定する。
【0107】
軸ズレの第2判定例では、コントローラECUは、電気モータMAに一定電流icを供給して、電気モータMAを駆動する。該状態で、コントローラECUは、モータ回転数Naの振幅Anが第2判定値an以上である場合に、軸ズレが発生していることを判定する。これに対し、電気モータMAの回転数Naの振幅Anが第2判定値an未満である場合に、軸ズレが発生していないことを判定する。
【0108】
軸ズレの第3判定例では、コントローラECUは、電気モータMAの回転数Naが一定回転数ncになるように、電気モータMAを駆動する。該状態で、コントローラECUは、出力相当値Tmを平滑化した値Th(平滑出力値)が第3判定値th以上である場合に、軸ズレが発生していることを判定する。これに対し、平滑出力値Thが第3判定値th未満である場合に、軸ズレが発生していないことを判定する。例えば、平滑出力値Thには、出力相当値Tmの平均値、及び、フィルタ処理後の出力相当値Tmのうちの少なくとも1つが採用される。
【0109】
軸ズレの第4判定例では、コントローラECUは、電気モータMAに一定電流icを供給して、電気モータMAを駆動する。該状態で、コントローラECUは、モータ回転数Naを平滑化した値Nh(平滑回転数)が第4判定値nh以上である場合に、軸ズレが発生していることを判定する。これに対し、平滑回転数Nhが第4判定値nh未満である場合に、軸ズレが発生していないことを判定する。例えば、平滑回転数Nhには、モータ回転数Naの平均値、及び、フィルタ処理後のモータ回転数Naのうちの少なくとも1つが採用される。
【0110】
軸ズレの第5判定例では、コントローラECUは、電気モータMAの回転数Naが一定回転数ncになるように、電気モータMAを駆動する。該状態で、コントローラECUは、出力相当値Tmが第5判定値tmを超えることの発生頻度(時間又は回数)である第1頻度Htを決定する。そして、第1頻度Htが第1所定頻度ht以上である場合に、軸ズレが発生していることを判定する。これに対し、第1頻度Htが第1所定頻度ht未満である場合に、軸ズレが発生していないことを判定する。
【0111】
軸ズレの第6判定例では、コントローラECUは、電気モータMAに一定電流icを供給して、電気モータMAを駆動する。該状態で、コントローラECUは、モータ回転数Naが第6判定値naを超えることの発生頻度(時間又は回数)である第2頻度Hnを決定する。そして、第2頻度Hnが第2所定頻度hn以上である場合に、軸ズレが発生していることを判定する。これに対し、第2頻度Hnが第2所定頻度hn未満である場合に、軸ズレが発生していないことを判定する。
【0112】
電気モータMAから流体ポンプQAへの動力伝達においては、モータ回転軸Jmとポンプ回転軸Jqとが一直線となっていることが望ましい。しかしながら、電気モータMAの軸部材JMと、流体ポンプQAの軸部材JQとは、別部材であるため、モータ回転軸Jmとポンプ回転軸Jqとの間にズレ(即ち、軸ズレ)が生じることがある。軸ズレには、モータ回転軸Jmとポンプ回転軸Jqとが角度(偏角)をもって交わる状態(即ち、「偏角ズレ」)、モータ回転軸Jmとポンプ回転軸Jqとは平行ではあるが一直線上にはない状態(即ち、平行ズレ)等が存在する。軸ズレが発生すると、軸ズレが発生していない場合に比較して、電気モータMAの負荷が振動的になるとともに、その大きさが増加する。例えば、偏角ズレが生じる場合には、モータ状態量Maの振幅が増加する。また、平行ズレが生じる場合には、電気モータMAの負荷が増大する。実際の軸ズレは、偏角ズレと平行ズレとが組み合わされて発生する。
【0113】
第1、第3、第5の判定例では、判定駆動において、モータ回転数Naが一定回転数nc(目標回転数)になるように、電気モータMAが制御される。このため、電気モータMAの負荷変化に起因して、出力相当値Tmが変化する。ここで、出力相当値Tmは、モータ電流Im(入力)が電気モータMAのトルク(出力)に変換されるまでの状態量のうちの1つが該当し、例えば、モータ電流Imが該当する。上記の判定例では、出力相当値Tmの変化(At、Th、Ht等)に応じて、軸ズレの有無が判定され得る。
【0114】
第2、第4、第6の判定例では、判定駆動において、一定電流icのモータ電流Imが通電されることで、電気モータMAが制御される。このため、電気モータMAの負荷変化に起因して、モータ回転数Naが変化する。上記の判定例では、モータ回転数Naの変化(An、Nh、Hn等)に応じて、軸ズレの有無が判定され得る。
【0115】
第1の判定例、乃至、第6の判定例のうちの少なくとも1つにおいて、コントローラECUによって、軸ズレ判定を実行する場合に差圧弁UAへの給電が行われ、その開弁量が減少されてもよい。差圧弁UAが全開状態であっても、軸ズレに起因して、出力相当値Tm、モータ回転数Naの変動は発生する。差圧弁UAの開弁量が減少されることで、出力相当値Tm、モータ回転数Naの変動は更に明瞭になる。このため、差圧弁UAの開弁量が減少されることにより、判定精度が向上され得る。
【符号の説明】
【0116】
SC…制動制御装置、WG…報知装置、BP…制動操作部材(ブレーキペダル)、CM…マスタシリンダ、NM…マスタピストン、CW…ホイールシリンダ、CS…制御シリンダ、NS…制御ピストン、SS…ストロークシミュレータ、HU…流体ユニット、ECU…コントローラ(電子制御ユニット)、MA…電気モータ、QA…流体ポンプ、Qi…流体ポンプの吸入部、Qo…流体ポンプの吐出部、CA…連結部(カップリング、軸継手)、GA…逆止弁、UA…差圧弁、HK…還流路、HM…マスタ路、HW…ホイール路、HV…サーボ路、HR…リザーバ路、VI…インレット弁、VO…アウトレット弁、Pm…マスタ圧、Pq…調整圧(出力圧の一例)、Pw…ホイール圧、Pu…サーボ圧(出力圧の一例)、Ps…制御圧、Ba…制動操作量、Rm…マスタ室、Ru…サーボ室、Rs…制御室、Im…モータ電流、Tm…出力相当値(MAの出力に相当する値)、Na…モータ回転数、At…出力振幅(Tmの振幅)、at…第1判定値(Atに対応する判定しきい値)、An…回転数振幅(Naの振幅)、an…第2判定値(Anに対応する判定しきい値)、Th…平滑出力値(平滑化されたTmの値)、th…第3判定値(Thに対応する判定しきい値)、Nh…平滑回転数(平滑化されたNaの値)、nh…第4判定値(Nhに対応する判定しきい値)、Ht…第1頻度(「Tm>tm」の発生時間又は発生回数)、ht…第1しきい頻度(Htに対応する判定しきい値)、Hn…第2頻度(「Na>na」の発生時間又は発生回数)、hn…第2しきい頻度(Hnに対応する判定しきい値)。


図1
図2
図3
図4
図5