(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046714
(43)【公開日】2024-04-04
(54)【発明の名称】防災ドア
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20240328BHJP
A62C 2/06 20060101ALI20240328BHJP
E06B 7/32 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
A62C2/06 503
E06B7/32 B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152029
(22)【出願日】2022-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】523155009
【氏名又は名称】イープラス合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097700
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 恒則
(72)【発明者】
【氏名】矢口 良一
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】 水圧や空気圧によりドアが開けられない場合であっても容易に脱出できるようにした防災ドアを提供する。
【解決手段】 第1のドア枠2に第1のドア3を一方向Aに開閉可能に取り付け、該第1のドア3内に第2のドア枠8を形成し、該2のドア枠8に第1のドア3と反対方向Bに開閉する小型の第2のドア4を取り付けてなる。第2のドア4には非常用のドアであることと開ける方向が明示されているとよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のドア枠に第1のドアを一方向に開閉可能に取り付け、該第1のドア内に第2のドア枠を形成し、該2のドア枠に前記第1のドアと反対方向に開閉する小型の第2のドアを取り付けてなることを特徴とする防災ドア。
【請求項2】
第2のドアには非常用のドアであることと開ける方向が明示されている請求項1に記載の防災ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水圧や空気圧でドアが開けられなくなり閉じ込められることを回避する防災ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大雨等による水害により地下室のドアが水圧で開けられなくなり溺死する危険があった。近年は線状降水帯の発生により短時間で集中的に大雨が発生し、水害となることも多くなっている。地下室に大量の雨水が流入してドアが水圧で開けられず、閉じ込められる事故も発生している。
また、工場等で火災や爆発事故が発生した場合、工場内の空気圧が増し、工場出入口の内開きドアが空気圧に抗して開けるのが困難となって工場内に閉じ込められてしまう事故も発生し得る。
【0003】
自動車が水中に転落して水没したようなとき、水圧によりドアが開けられずに閉じ込められるのを防止するための自動車の緊急脱出装置の提案もされている。特許文献1には、水中に転落した自動車の車内に自動的に水を導入してドアが開くようにした自動車の緊急脱出装置が開示されている。この装置は、車体の一部に導水路を形成し、この導水路内に開閉弁を取り付け、水中に自動車が転落した場合、この開閉弁が開き、車内に水を流入させることにより、ドアを開けることができるようにしたものである。
【0004】
このように、自動車が水没した際の緊急脱出装置の提案はされているが、水害により地下室のドアが水圧により開けられず閉じ込められたり、工場等で火災や事故等による空気圧上昇により出入口のドアが開けられず閉じ込められた際に、容易に脱出できるようにした装置等の提案はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、水圧や空気圧によりドアが開けられない場合であっても容易に脱出できるようにした防災ドアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る防災ドアは、第1のドア枠に第1のドアを一方向に開閉可能に取り付け、該第1のドア内に第2のドア枠を形成し、該2のドア枠に前記第1のドアと反対方向に開閉する小型の第2のドアを取り付けてなること、を特徴としている。
請求項2に係る発明は、第2のドアには非常用のドアであることと開ける方向が明示されているものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、第1のドア枠に第1のドアを一方向に開閉可能に取り付け、該第1のドア内に第2のドア枠を形成し、該2のドア枠に前記第1のドアと反対方向に開閉する小型の第2のドアを取り付けてなるので、第1のドアが水圧や空気圧を受け、これに抗して開けられない場合でも、第2のドアは水圧や空気圧が抜ける方向に開くため、簡単に開けることができる。これにより、第2のドアから容易に脱出することができる。
請求項2に係る発明によれば、第2のドアには非常用のドアであることと開ける方向が明示されているので、非常時のパニック状態でも冷静に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。本発明による防災ドア1は、第1のドア枠2に開閉可能に設けた第1のドア3と、該第1のドア3内に設けた小型の第2のドア4からなる。
【0011】
第1のドア枠2の吊元側縦枠2aに第1のドアの吊元側3aを丁番5を介して一方向A(内開き又は外開き)に開閉可能に取り付ける。第1のドアの戸先側3bにはドアノブ6が取り付けられている。第1のドア枠2の戸先側縦枠2bには第1のドア3がこれ以上回転せず一方向にのみ開くように規制する規制部(規制壁)7を設けてある。なお、図において、符号2cは第1のドア枠の上枠、符号2dは第1のドア枠の下枠である。かかる構造は、従来のドアの構造と同様である。
【0012】
第1のドア3内には第2のドア枠8を形成してあり、該第2のドア枠8に第2のドア4を開閉可能に取り付けてある。第2のドア枠8の吊元側縦枠8aに第2のドアの吊元側4aを丁番9を介して他方向B(外開き又は内開き)(第1のドア3の開閉方向とは反対方向)に開閉可能に取り付ける。第2のドアの戸先側4bにはドアノブ10が取り付けられている。第2のドア枠8の戸先側縦枠8bには第2のドア4がこれ以上回転せず他方向B(第1のドア3の開閉方向とは反対方向)にのみ開くように規制する規制部(規制壁)11を設けてある。なお、図において、符号8cは第2のドア枠の上枠、符号8dは第2のドア枠の下枠である。
図において、第2のドアの吊元側4aと第1のドアの吊元側3aとは同じ側(
図1及び
図2では共に左側)としてあるが、互いに反対側としてもよい。
【0013】
第2のドア4は、第1のドア3の開閉方向とは反対向きに開閉するようにしてある。また、第1のドア3より小型であるが、その出入口は人が通過できる広さとなっている。この第2のドア4は通常は使用しない。第1のドア3が水圧や空気圧に抗して開けることができなくなった場合に使用する非常用のドアである。
このため、第2のドア4は非常用であること(例えば、「非常口」)、また、開ける方向(例えば、「押す」又は「引く」など)、を文字や図形等で分かり易く表示しておくことが望ましい。このような表示により、緊急事態の発生によりパニック状態となった場合でも冷静に対処し易くなる。
【0014】
このように、第2のドア4は第1のドア3とは開閉方向が反対方向であるので、第1のドア3が水圧Cや空気圧Dに抗して開けることができない場合でも、第2のドア4は水圧Cや空気圧Dがかる方向と同方向に開くため簡単に開けることができ、第2のドア4から容易に脱出できることになる。
【符号の説明】
【0015】
1 防災ドア
2 第1のドア枠
2a 第1のドア枠の吊元側縦枠
2b 第1のドア枠の戸先側縦枠
3 第1のドア
3a 第1のドアの吊元側
3b 第1のドアの戸先側
4 第2のドア
4a 第2のドアの吊元側
4b 第2のドアの戸先側
5 丁番
6 ドアノブ
7 規制部(規制壁)
8 第2のドア枠
8a 第2のドア枠の吊元側縦枠
8b 第2のドア枠の戸先側縦枠
9 丁番
10 ドアノブ
11 規制部(規制壁)
A 一方向
B 他方向
C 水圧
D 空気圧