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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046725
(43)【公開日】2024-04-04
(54)【発明の名称】チャック付き袋体
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/36 20060101AFI20240328BHJP
   B65D 33/25 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
B65D33/36
B65D33/25 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152044
(22)【出願日】2022-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】722002650
【氏名又は名称】内海 嚴紀
(72)【発明者】
【氏名】内海 嚴紀
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA01
3E064BA01
3E064BA21
3E064BB03
3E064EA12
3E064EA18
3E064FA03
3E064FA06
3E064HM01
3E064HN12
3E064HS10
(57)【要約】
【課題】放出時のチャックへの内容物の付着による密閉性の低下を、少ない手間で防止する袋体を提供する。
【解決手段】 開口部2cと相対向するシートの2aおよび2bとを有する袋本体2と、開口部2cの全開状態および全閉状態を可能とするチャック3と、基端部4aが袋本体2の内部にあって相対向するシート2aに対して固定されている案内シート片4と、を備え、案内シート片4は開口部2cの全開状態において先端部4bがチャック3を越え開口部の外部にある状態と、全閉状態において曲げ込まれて袋本体2の内部に収納された状態とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部および相対向するシートを有する袋本体と、前記相対向するシートに設けられ対向する凸条および凹条を有し前記開口部の全開状態および全閉状態を可能とするチャックと、基端部が該チャックよりも前記袋本体の内部側にあって前記相対向するシートの一方のみに対して固定されている案内シート片と、を備え、
該案内シート片は、前記開口部の全開状態において該案内シート片の先端部が前記チャックを越え開口部の外部にある状態と、前記全閉状態において前記袋本体の内部に収納された状態とを有するチャック付き袋体。
【請求項2】
開口部および相対向するシートを有する袋本体と、前記相対向するシートに設けられ対向する凸条および凹条を有し前記開口部の全開状態および全閉状態を可能とするチャックと、基端部が該チャックよりも前記袋本体の内部側にあって前記相対向するシートの一方に対して固定されると共に基端部の両側端部が相対向するシートの一方と相対向するシートの他方とに挟まれて固定されている案内シート片と、を備え、
該案内シート片は、前記開口部の全開状態において該案内シート片の先端部が前記チャックを越え開口部の外部にある状態と、前記全閉状態において前記袋本体の内部に収納された状態とを有するチャック付き袋体。
【請求項3】
開口部および相対向するシートを有する袋本体と、前記相対向するシートに設けられ対向する凸条および凹条を有し前記開口部の全開状態および全閉状態を可能とするチャックと、基端部が該チャックよりも前記袋本体の内部側にあって前記相対向するシートの一方に対し固定されると共に該袋本体の片方の側端部のみの内部側を経由して前記相対向するシートの他方に対しても固定されている案内シート片と、を備え、
該案内シート片は、前記開口部の全開状態において該案内シート片の先端部が前記チャックを越え開口部の外部にある状態と、前記全閉状態において前記袋本体の内部に収納された状態とを有するチャック付き袋体。
【請求項4】
一端部に固着部を有する密閉された袋体であって、該固着部が取り除かれることにより請求項1または請求項2または請求項3に記載のチャック付き袋体となることを特徴とするチャック付き袋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納し密閉するチャックを設けた袋体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品などの物品を収納する袋体の開口部に、断面が凸状の突条と凹状の凹条とを嵌合させて密閉するチャックを設けたものが広く使われている。収納された物品である内容物の一部をチャックを開けて放出した後にチャックを閉じて再び保管する使い方が一般的であるが、特に内容物が粉体あるいは流動体の場合、チャックを通過する内容物がチャックに付着することにより嵌合が十分になされず密閉が不完全になることが起こり得る。
【0003】
また、大きな袋からこれに比べ開口部の小さな容器あるいは食器などに内容物の一部を放出することがよく行われるが、この際に内容物が容器あるいは食器などの中に十分に案内されず外部に散逸してしまうことがある。
【0004】
密閉が不完全になることの改善策として、袋体の内部に内筒を備え、内筒の端部外周を袋体の内部内周に全周にわたって固定させ、内筒を袋体内部に折り畳むことによりチャックを閉じて密閉することを可能とし、内容物を放出するときは内筒を袋体の外に出すことにより内容物とチャックとの接触を内筒により遮断するという発明が特許文献1および特許文献2に開示されている。これにより内容物のチャックへの付着による密閉性の低下を防ぐとともに折り畳んだ内筒により内容物を封じることができ、二重に封をして密封度を増ことができるものである。
【0005】
しかしこの方法は、内容物を放出する際に折り畳んである内筒を広げて袋体の外まで出し放出を終えると内筒を折り畳んで袋体の内部に収納するための手間が多く掛かり、袋体の内周とほぼ同じ外周を持ち折り畳んで袋体の内部に収納する長さを持つ内筒の製作に係るコストおよび内筒外周を袋体内周に全周にわたって溶着あるいは接着するコストが掛かり、また、内筒の袋体内への収納に係るスペースが必要でありその分袋体の収納容量が減少するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6850389号公報
【特許文献2】特許第7034571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする課題は、内容物の放出に係る手間を少なくすること、内容物を放出する際にチャックと内容物との接触を遮断する手段に係るコストを少なくすること、および袋体の収納容量を減少させないこと、加えて放出時における内容物の散逸機会を少なくすることである。
【0008】
本発明は、上記課題が解決された、チャックへの内容物付着による密閉性の低下を可及的に防ぐ袋体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係る袋体は、一端にチャックにより開閉を可能とした開口部を有し、このチャックは断面が凸状の突条と凹状の凹条とを嵌合させて閉鎖するチャックである袋体であって、基端部がチャックに沿ってチャックよりも袋体の内部側に固定された可撓性のある案内シート片を備えており、該案内シート片の先端部は該案内シート片の延伸時にチャックを越え開口部の外部に達する。
これにより該袋体は、開口部が全閉状態で案内シート片が袋体内に曲げ込まれている状態と、開口部が全開状態で案内シート片の先端部がチャックを越え開口部の外部にある状態とを有している。
【0010】
物品を袋体の内部に収納する際は、開口部を全開状態にして案内シート片をその先端部がチャックを越え開口部の外部に出た状態とし、物品を袋体の中に入れた後に案内シート片を袋体の中に曲げ入れて開口部を全閉状態にする。
【0011】
収納された物品である内容物を袋体の外部へ放出する際は、開口部を開けて案内シート片をその先端部がチャックを越え開口部の外部に位置するまで出した後に、案内シート片の二面のうち袋体に固定されている方の裏面を下側にして袋体を傾けて内容物を放出する。
この際には、放出のための開口面積を確保するために袋体の開口部を変形させて広げるが、この操作に伴って案内シート片の表面が先端部に向けた谷状となり、この上を通して内容物を放出する。
【0012】
これにより、放出される内容物とチャックとの接触が案内シート片により遮断され、放出時における内容物のチャックへの付着による密閉性の低下を防ぐことができる。
また、案内シート片が簡単なシート片であることから、放出に係る手間を少なくでき、低コストであり、袋体の容量に殆ど影響を与えない。
【0013】
大きな袋体で内容物が粉体など散逸しやすい物の場合には、一般的にチャックを部分的に閉じ開口を小さくして放出し内容物の散逸を防ぐことが行われるが、本発明のチャック付き袋体においても案内シート片の幅を適当に選ぶことにより同様の操作が可能となる。
また、案内シート片の先端部が開口部の外部に出るまでの長さとすることにより、放出状態がよく見られて放出量をコントロールし易く、また容器などに放出する場合もその案内がし易くなり、内容物の散逸機会を少なくできる。
【0014】
なお本発明においては、案内シート片が袋体の内部に収納され開口部が全閉にされた状態において案内シート片の裏面に内容物が付着し、内容物の放出時に該裏面とチャックとが接触することにより内容物がチャックに付着する可能性はあり得る。
【0015】
しかし、これは二次的な付着であること、案内シート片の裏面のうちチャックに対応する位置に付着した場合であること、案内シート片に剛性を与えて付着を防ぐ工夫をすること、また案内シート片を設けずに内容物がチャック上を直接横切って進む場合に較べ付着量が微小あることから、この内容物のチャックへの付着による密閉性の低下を殆ど起こさないことが期待できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のチャック付き袋体は、案内シート片を設けることにより、内容物の放出に係る手間が少なく低コストで収納容量に殆ど影響を与えずに、内容物のチャックへの付着による密閉性の低下および放出時の内容物の散逸を可及的に防げるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のチャック付き袋体の正面図である。(実施形態1-1)
図2図1のチャック付き袋体の中央縦断面の部分図である。
図3図1のチャック付き袋体の案内シート片を収納した状態の中央縦断面の部分図である。
図4図1のチャック付き袋体の内容物を放出する状態の斜視図である。
図5図1のチャック付き袋体の案内シート片の形態を変えたチャック付き袋体の中央縦断面の部分図である。(実施形態1-2)
図6図5のチャック付き袋体と製作工程の正面図である。
図7図1のチャック付き袋体の案内シート片の形態を変えたチャック付き袋体の中央縦断面の部分図である。(実施形態1-3)
図8図7のチャック付き袋体と製作工程の正面図である。
図9】本発明のチャック付き袋体と製作工程の正面図である。(実施形態2)
図10】本発明のチャック付き袋体の正面図である。(実施形態3)
図11図10のチャック付き袋体の中央縦断面の部分断面図である。
図12図10のチャック付き袋体の案内シート片を収納した状態の中央縦断面の部分断面図である。
図13図10のチャック付き袋体の内容物を放出する状態の斜視図である。
図14図10のチャック付き袋体の案内シート片を備える形態を変えたものの説明図である。
図15】本発明のチャック付き袋体の正面図である。(実施形態4)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明に係るチャック付き袋体の実施形態について、各請求項に対応させて図面を用いて順次説明する。なお図面は、チャックあるいはシートの断面を表すなどの理由により模式図としている。
[実施形態1-1]
先ず、請求項1の発明の一実施形態である実施形態1-1について説明する。
図1は本発明に係るチャック付き袋体1であって、袋本体2とチャック3と案内シート片4とを備えている。また、図1および図2は開口部2cが全開状態で案内シート片4の先端部4bがチャック3を越え開口部2cの外部にある状態を示している。
【0019】
図1において、袋本体2は相対向するシートの一方である相対向するシート2aおよび相対向するシートの他方である相対向するシート2bとを備え、材質は可撓性のある合成樹脂であり、底部2fおよび両側端部2d、2eは溶着あるいは接着などにより固着されて閉じており、図における開口部2cの上端のみが開いている。
なお袋本体2は容量を増すためのマチが付いたもの、材質が紙あるいは紙および合成樹脂がラミネートされたものでも構わない。また、相対向するシート2aおよび2bが一体のシートであって底部2fおよび両側端部2d、2eのうちの一つがこれを折り曲げて構成されているものでも構わない。
【0020】
袋本体2には開口部2cにチャック3が設けられており開口部2cの全開状態、および全閉状態が可能となっている。具体的にはチャック3は図2に示すように断面凸状の突条3aが相対向するシート2aの内面に固着され、断面凹状の凹条3bが相対向するシート2bの内面に突条3aに対向して固着されており、突条3aおよび凹条3bの両端は図1に示すように袋本体2の側端部2d、2eの内側に達している。なお、上記の突条と凹条を入れ替えた実施形態のものでも構わない。
【0021】
図3に示すように突条3aと凹条3bとが嵌合されることにより開口部2cの全閉状態が得られ、図2に示すように突条3aと凹条3bが分離されることにより開口部2cの全開状態が得られる。また、部分的に嵌合されることにより部分開状態も得られる。
【0022】
チャック3の材質は弾性のある合成樹脂であり開口部2cの全開状態と全閉状態を繰り返すことができるので、チャック3を設けた袋本体2は粉体あるいは流動体などの内容物の放出と保管を繰り返して使用するのに適した袋体である。
【0023】
また、チャックを構成する突条および凹条がテープ状のシートを有していてこのシートを対象物に固着することにより突条および凹条を対象物に固定する方式のチャックが広く用いられており、このタイプのチャックであっても構わない。
【0024】
袋本体2に対して案内シート片4が固定されている。具体的には図1および図2に示すように案内シート片4の基端部4aが相対向するシート2aの内面であって突条3aよりも袋本体2の内部側に溶着あるいは接着などにより固着され固着部5を為して固定されている。
案内シート片4はほぼ方形で、先端部4bがチャック3を越え開口部2cの外部に達する長さを有し、幅は側端4c、4dが共にチャック3の内端よりも中央側に位置する寸法を有している。また、図1に示すチャック付き袋体1は大き目の袋体であり、小さい袋体の場合は側端4c、4dが共にチャック3の内端の近傍に位置する幅とする方が後述するように適している。
【0025】
なお、図2においてチャック3の説明のために案内シート片4と相対向するシート2aとの為す角度が大きい模式図となっているが、実際の突条3aの高さは約1mm以下程度のものが多く用いられており内容物放出に弊害とならない角度をとり得る。
また、案内シート片4の材質は合成樹脂であって可撓性と後述する適度の剛性を有している。
【0026】
図3は案内シート片4が袋本体2の内部に曲げ入れられ、開口部2cが全閉状態にされた図である。この状態で、案内シート片4はその剛性により裏面4fの多くの部分が相対向するシート2bの内面に密着する。この剛性が大きすぎると相対向するシート2bへの押力によりチャック3の嵌合が解き放されることがあるので適度の剛性となっている。
また、案内シート片4は一枚のシート片であるためチャック付き袋体1の収納容量への影響は殆ど生じず、低コストの期待もできる。
【0027】
次に、図3のように開口部2cが全閉状態にあるチャック付き袋体1に収納された内容物を放出する際の操作について説明する。
先ず図3に示す開口部2cを上にし全開状態にして開口部2cを広げる。次に案内シート片4の先端部4bの一部であって図1の側端4cと側端4dとの中央付近を開口部2cの外部に引き出す。この操作により案内シート片4の剛性により短時間で容易に図1図2に示す放出のための状態にすることができ、放出は案内シート片4の裏面4fを下側にしてチャック付き袋体1を斜めにして行う。
【0028】
図4はチャック付き袋体1に収納してある内容物6を容器7に放出している状態を表しており、案内シート片4は表面4eが谷状となって内容物6を容器7に案内する。案内シート片4の先端部4bが開口部2cの外部へ出ているので放出される状態が見やすく、これを見ながら内容物6が散逸しないように放出量をコントロールできる。
【0029】
本図は両手で持つほどの大きさの袋体の例であり、案内シート片4の側端4cおよび側端4dの外側のチャック3をできるだけ閉じて内容物が紛体で一気に放出されるような場合にもこの散逸を防止するようにしている。
なお、案内シート片4の側端4cと側端4dとの幅が大きいほど内容物6の外部への散逸防止になり、案内シート片4の先端部4bが開口部2cの外部へ出る量が大きいほど放出される状態がよく見えて案内し易くなるが、逆に大きいほど案内シート片4を出し入れする手間およびコストが多くなるので、袋本体2の大きさを基にした適度の大きさとされている。
【0030】
放出を終えた後に案内シート片4を収納するには、先ず図1に示す案内シート片4の裏面4fの一部であって側端4cと側端4dとの中央付近を図2の矢印Aの方向に力を加えて袋本体2のチャック3よりも内部側に曲げ入れる。この結果案内シート片4の剛性により案内シート片4は中央付近から側端4cおよび側端4dにかけて袋本体2の内部方向へ湾曲するのでこの湾曲した部分を押し込みながら徐々にチャック3を閉じていくことにより短時間で容易に開口部2cを図3に示す全閉状態にすることができる。
以上のように、案内シート片4を備えることにより放出操作に係る手間が前記先行技術より少なくなる。
【0031】
次に、チャック3への内容物付着による密閉性の低下の防止について説明する。
図4に示す内容物6が放出されている状態において、内容物6は案内シート片4の表面4e上を通過しチャック3とは案内シート片4により遮断されており、内容物6のチャック3への付着を防止できる。
【0032】
また、先端部4bが開口部2cの外部に達しているので放出される内容物6が、図2に示す相対向するシート2aの内面であって突条3aより外部側の部分に付着することもなく、案内シート片4を図3のように収納する際にこの部分から内容物6がチャック3に付着することも生じない。従って放出される内容物6による密閉性の低下は防止される。
【0033】
なお、図3に示す開口部2cの全閉状態においてはチャック3は嵌合しており嵌合部に内容物が付着することはないが、内容物の放出時に図2のように案内シート片4の裏面4fがチャック3の突条3aに接触するので裏面4fのこの接触する部分に内容物が付着しているとこれが突条3aに移動し付着する可能性はあり得る。
【0034】
しかし前記図3において示した裏面4fと相対向するシート2bの内面との密着により裏面4fへの内容物の付着は大幅に防止できること、裏面4fであって突条3aと接触する部位に付着した場合に起こることであり且つ二次的な付着であること、案内シート片4を設けないものに較べ微量な付着であること、によりこの事象による密閉性の低下は殆ど起きないことが期待できる。
【0035】
[実施形態1-2]
以上においては、案内シート片4はほぼ方形となっているがこれに限定されない。また更に製作コスト低減の可能性のある形態とすることができ、次に請求項1の発明の一実施形態である実施形態1-2について説明する。なお、本実施形態のチャック付き袋体11はここに説明する部分以外は、放出時の操作、密閉性の低下防止その他を含め実施形態1-1のチャック付き袋体1と同様である。
【0036】
図5は、図1におけるチャック付き袋体1の案内シート片4と相対向するシート2aとを相対向するシート21aに替え、この一部を用いて案内シート片41を形成したチャック付き袋体11の中央縦断面を表した図である。 また、図6に相対向するシート21bを破断した状態のチャック付き袋体11の正面図を示す。
【0037】
図5において、相対向するシート21aは開口部21cにおいてZ状に折り返されており、第一の折り返し21a1は開口部21cの先端となっており、第二の折り返し21a2は案内シート片41の基端部41aの端となっている。なお、本実施形態1-2における案内シート片41は、基端部41aを除き図1の案内シート片4と同じ形状となっており、すなわち基端部41a、先端部41b、図6に示す側端41c、41dを有するシート片である。従って第二の折り返し21a2は案内シート片41を有する範囲にのみ存在し、折り返し21a2の存在しない部分は図6に示す端部21a3となっていて袋本体21の側端部21d、21eに達している。
【0038】
また、図5の第一の折り返し21a1により相対向するシート21aの内面が向き合った状態になった部分はチャック31の突条31aの近傍を除き内面同士が固着され、固着部51aおよび固着部51bを為している。 また、図6に示す第二の折り返し21a2の無い部分である相対向するシート21aの端部21a3も固着部51bにて固着されている。
【0039】
案内シート片41の基端部41aは相対向するシート21aに固着され固着部51を為して固定されている。また、相対向するシート21bに設けられたチャック31の凹条31bに対向して、突条31aが相対向するシート21aに設けられている。
【0040】
図6にチャック付き袋体11の製作工程の最後の部分を示しており、チャック付き袋体用の部材は矢印X方向に順次送られて、固着工程矢印Yおよび切断工程矢印Zを経てチャック付き袋体11が製作される。
【0041】
Aを付したチャック付き袋体11は、固着工程矢印Yにおいて側端部21d、21eが固着され切断工程矢印Zにおいてこの固着部分を二つに切断して完成された袋体である。チャック付き袋体11は、第一の折り返し21a1と端部21a3との間の部分を含めた相対向するシート21aと、相対向するシート21bと、チャック31とが、固着工程矢印Yにおいて固着され切断工程矢印Zにおいて切断された側端部21dおよび側端部21eを有している。
【0042】
これにより、案内シート片41を有する相対向するシート21a、相対向するシート21bおよびチャック31が、未完成のチャック付き袋体B、Cおよびその前工程において連続して繋がっているため、これらの部材の供給が容易となり、且つ相対向するシート21aが案内シート片41を有しているので製作工程に供給する部材の点数が実施形態1-1のチャック付き袋体1よりも減り低コストとなる可能性を有する。
【0043】
[実施形態1-3]
次に製作コスト低減の可能性のある他の形態として、請求項1の発明の一実施形態である実施形態1-3について説明する。なお、本実施形態のチャック付き袋体12はここに説明する部分以外は、放出時の操作、密閉性の低下防止その他を含め実施形態1-1のチャック付き袋体1と同様である。
【0044】
前述のように、チャックを構成する突条および凹条がテープ状のシートを有していてこのシートを対象物に固着することにより突条および凹条を対象物に固定する方式のチャックが広く用いられている。図7は、図1におけるチャック付き袋体1の案内シート片4に替え、突条32aの有する前記シートである突条用シート32a1を用いて案内シート片42を形成したチャック付き袋体12の中央縦断面を表した図である。 また、図8に相対向するシート22bを破断した状態のチャック付き袋体12の正面図を示す。
【0045】
図7の開口部22cにおいて、突条32aは突条用シート32a1が固着部52aおよび52bにより相対向するシート22aに固着されて固定されており、凹条32bは突条32aに対向して凹条用シート32b1が相対向するシート22bに固着されて固定されている。
【0046】
突条用シート32a1は突条32aより袋本体22の内部側にV状の折り返しを有しており、この折り返し32a2は案内シート片42の基端部42aの端となっている。なお、本実施形態1-3における案内シート片42は、基端部42aを除き図1の案内シート片4と同じ形状となっており、すなわち基端部42a、先端部42b、図8に示す側端42c、42dを有するシート片である。更に折り返し32a2は案内シート片42を有する範囲にのみ存在し、突条用シート32a1の部分であり案内シート片42を除いた部分も突条32aを相対向するシート22aに固定するために固着部52a、52bにて相対向するシート22aに固着されている。
【0047】
前記折り返し32a2を端とする基端部42aは、対向した突条用シート32a1に固着され固着部52を為しており、固着部52に固着されている突条用シート32a1が固着部52bにより相対向するシート22aに固着されていることにより基端部42aは相対向するシート22aに対して固定されている。
【0048】
図8にチャック付き袋体12の製作工程の最後の部分を示しており、チャック付き袋体用の部材は矢印X方向に順次送られて、固着工程矢印Yおよび切断工程矢印Zを経てチャック付き袋体12が製作される。
【0049】
Aを付したチャック付き袋体12は、固着工程矢印Yにおいて側端部22d、22eが固着され切断工程矢印Zにおいてこの固着部分を二つに切断して完成された袋体である。チャック付き袋体12は、相対向するシート22aと、相対向するシート22bと、突条用シート32a1を有する突条32aと、凹条用シート32b1を有する凹条32bとが、固着工程矢印Yにおいて固着され切断工程矢印Zにおいて切断された側端部22dおよび側端部22eを有している。
【0050】
これにより、相対向するシート22a、相対向するシート22b、突条用シート32a1を有する突条32a、凹条用シート32b1を有する凹条32bが、未完成のチャック付き袋体B、Cおよびその前工程において連続して繋がっているため、これらの部材の供給が容易となり、且つ突条用シート32a1が案内シート片42を有しており製作工程に供給する部材の点数が実施形態1-1のチャック付き袋体1よりも減り低コストとなる可能性を有する。
【0051】
[実施形態2]
次に、請求項2の発明の一実施形態である実施形態2について説明する。なお、本実施形態のチャック付き袋体13は実施形態1-1の図1に示すチャック付き袋体1の案内シート片4に替えて案内シート片43を備えたものであり、ここに説明する部分以外は、放出時の操作、密閉性の低下防止その他を含め、実施形態1-1のチャック付き袋体1と同様である。
【0052】
図9はチャック付き袋体13の製作工程の最後の部分であって、チャック付き袋体用の部材は矢印X方向に順次送られて、固着工程矢印Yおよび切断工程矢印Zを経てチャック付き袋体13が製作される。
【0053】
Aを付したチャック付き袋体13は、固着工程矢印Yにおいて側端部23dおよび23eが固着され切断工程矢印Zにおいてこの固着部分を二つに切断して完成された袋体であってその案内シート片43の基端部43aの形態が図1に示すチャック付き袋体1の案内シート片4と異なり、これに伴って側端部23d、23eもチャック付き袋体1の袋本体2の側端部2d、2eと一部が異なっている。
【0054】
すなわち、案内シート片43の基端部43aの両側端部43c1、43d1が袋本体23の側端部23d、23eに達している。そして基端部43aは相対向するシート23aに固着され固着部53を為して固定されており、更に固着工程矢印Yにおいて両側端部43c1、43d1が相対向するシート23aと23bとに挟まれて固着され切断工程矢印Zにおいて切断されている。なお、チャック33も固着工程矢印Yにおいて相対向するシート23aと23bとに挟まれて固着され切断工程矢印Zにおいて切断さている。
【0055】
これにより、相対向するシート23a、23bおよびチャック33に加えて案内シート片43も、未完成のチャック付き袋体B、Cおよびその前工程のものが連続して繋がっているため、これらの部材の供給が容易となり低コストとなる可能性を有する。
【0056】
[実施形態3]
次に、請求項3の発明の一実施形態である実施形態3について説明する。
本発明に係るチャック付き袋体10は、実施形態1-1の図1に示すチャック付き袋体1に備えられている案内シート片4に替えて案内シート片40が備えられているものである。従って案内シート片4およびその固着部5以外については実施形態1-1と同様であり以下同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
図10はチャック付き袋体10の開口部2cが全開状態で案内シート片40の先端部40bがチャック3を越え開口部2cの外部にある状態を示している。
案内シート片40はほぼ方形のシートが中央部40gで二つに折り曲げられ、特に基端部40aは折り目をつけて折り返された形状をしている。その基端部40aはチャック3よりも袋本体2の内部側に固着されている。また、 案内シート片40は先端部40bがチャック3を越え開口部2cの外部に達する長さを有し、且つ側端40c、40dは共にチャック3の内端よりも中央側に位置している。
その材質は実施形態1-1の案内シート片4と同様に合成樹脂であって可撓性と適度の剛性を有している。
【0058】
図11図10におけるZ-Z断面の断面図であり、案内シート片40の基端部40aは、相対向するシート2aの内面と、片方の側端部である側端部2dの内部側の部分と、相対向するシート2bの内面とに、途切れることなく固着され固着部50を為して固定されている。また、図11において案内シート片40の側端40cと40dとの間の表面40eは先端部40bに向けた谷状となっている。
【0059】
図12は案内シート片40を袋本体2の内部に収納して開口部2cを全閉状態にした状態における図10のZ-Z断面と同方向の断面図である。 案内シート片40は、収納された状態で裏面4fの多くの部分が相互に密着する剛性を有している。この剛性が大きすぎると裏面4fの密着部分にかかる押力によりチャック3の嵌合が解き放されることがあるので適度の剛性となっている。
また、案内シート片40は一枚のシートでありチャック付き袋体10の収納容量への影響は殆ど生じず、低コストの期待もできる。
【0060】
次に、図12のように開口部2cが全閉状態にあるチャック付き袋体10に収納された内容物を放出する際の操作について説明する。
先ず図12に示す開口部2cを上にし全開状態にして開口部2cを拡げ、案内シート片40の先端部40bの一部であって図10に示す中央部40g付近を開口部2cの外部に引き出すことにより、案内シート片40の剛性により全先端部40bが開口部2cの外部に出て短時間で容易に図11の状態にすることができる。放出は案内シート片40の裏面40fを下側にしてチャック付き袋体10を斜めにして行う。
【0061】
図13はチャック付き袋体10に収納してある内容物6を容器7に放出している状態を表しており、案内シート片40は表面40eが谷状となって内容物6を容器7に案内する。案内シート片40の先端部40bが開口部2cの外部へ出ているので放出される状態が見やすく、これを見ながら内容物6が散逸しないように放出量をコントロールできる。
【0062】
本図は両手で持つほどの大きさの袋体の例であるが、内容物が紛体で一気に放出されるような場合にはチャック3の開いている部分を部分的に閉じてこの散逸を少なくする方法が採れる。
なお、案内シート片40の中央部40gから側端40cおよび40dまでの長さが大きいほど内容物6の外部への散逸を防止でき、案内シート片40の先端部40bが開口部2cの外部へ出る量が大きいほど放出される状態が見やすくなるが、逆に大きいほど案内シート片40を出し入れする手間およびコストが多くなるので、案内シート片40は袋本体2の大きさを基にした適度の大きさとされている。
【0063】
放出を終えた後に案内シート片40を収納するには、先ず図10に示す案内シート片40の山型に曲がった状態の中央部40g付近の裏面40fを矢印A方向に力を加えて、チャック3よりも袋本体2の内部側に曲げ入れる。
【0064】
この操作によりこの部分が山型から谷型に変わるとともに、案内シート片40の剛性により案内シート片40は側端40cおよび40dにかけて袋本体2の内部方向へ湾曲するのでこの湾曲した部分を押し込みながらチャック3を閉じていくことにより短時間で容易に開口部2cを図12に示す全閉状態にすることができる。 この全閉状態における案内シート片40の折れ曲り状態は 図11に示す線分pの部分の裏面40fが谷型となり、線分mおよびnの部分の裏面40fが共に山型となっている。
以上のように、案内シート片40を備えることにより放出操作に係る手間が前記先行技術より少なくなる。
【0065】
次に、チャック3への内容物付着による密閉性の低下の防止について説明する。
図13に示す内容物6が放出されている状態において、内容物6は案内シート片40の表面40e上を通過しチャック3とは案内シート片40により遮断されており、内容物6がチャック3に付着することはない。
【0066】
また、先端部40bが開口部2cの外部に達しているので放出される内容物6が、相対向するシート2aおよび2bの内面であってチャック3より外部側の部分に付着することもなく、案内シート片40を図12のように収納する際にこの部分から内容物6がチャック3に付着することも生じない。従って放出される内容物6による密閉性の低下は防止される。
【0067】
なお、図12に示す開口部2cの全閉状態においてはチャック3は嵌合しており嵌合部に内容物が付着することはないが、内容物の放出時に図11のように案内シート片40の裏面40fがチャック3の突条3aおよび凹条3bに接触するので裏面40fのこの部分に内容物が付着しているとこれが突条3aおよび凹条3bに移動し付着する可能性はあり得る。
【0068】
しかし、前記図12において示した裏面40fが相互に密着していることにより裏面40fへの内容物の付着は大幅に防止できること、突条3aと接触する部位に付着した場合に起こることであり且つ二次的な付着であること、案内シート片40を設けないものに較べ微量な付着であること、によりこの事象による密閉性の低下は殆ど起きないことが期待できる。
【0069】
以上においては、チャック付き袋体10は袋本体2の側端部2dの内側が開口部2cにおいても直線的になっている形態であるが、スライダー付きのチャックのようにチャック3の端部近傍において突条3aと凹条3bとが固着されているなどにより、開口部2cにおいて側端部2dの内側が直線的になっていない袋体も数多く用いられている。
図14はこのような場合において案内シート片40を袋本体2に固着する一形態のチャック付き袋体14の一部を示したものである。
【0070】
図14において、チャック3の突条と凹条とが端部で固着されており固着端部3cを為している。案内シート片40は中央部40gが固着端部3cに接しない位置までチャック3と平行方向に移動された位置にあり、その位置で基端部40aが相対向するシート2aおよび2bに固着され固着部50を為している。
【0071】
相対向するシート2aおよび2bの一部分であって、側端部2dの内側の部分であり基端部40aとの間にある部分は、相対向するシート2aと2bとが固着され固着部50aを為している。これにより基端部40aと側端部2dとの間が封鎖され内容物の通過が防止されて、固着端部3cの存在に関わらず図10に示すチャック付き袋体10と同様の効果が得られる。
【0072】
また、実施形態1-2と類似した形態として図5に示すチャック付き袋体11と同様に相対向するシートを用いて案内シート片を形成する形態もあり得る。この場合においては図10の袋本体2の相対向するシート2aおよび2bは一枚のシートを側端部2dで折り曲げて形成されており、その開口部は共に図5の相対向するシート21aと同様にZ状に折り返され同様に固着されている。この形態とすることにより部材の点数が減り低コストとなる可能性を有する。
【0073】
[実施形態4]
次に、請求項4の発明の一実施形態である実施形態4について説明する。
図15に本発明に係るチャック付き袋体100を示す。チャック付き袋体100は、先端部100aが相対向するシート100bと100cとが固着され固着部100dを為して閉じており、内容物を商品とする包装袋として用いられている。
【0074】
チャック付き袋体100の両側端部100eおよび100fは、相対向するシート100bと100cとを固着して形成されており、側端部100eは切欠100gを有し側端部100fは切欠100hを有している。これらの切欠は固着部100dの近傍に位置しており、両方の切欠ともに側端部の固着された部分内に設けられている。相対向するシート100bおよび100cの材質は可撓性のある合成樹脂であり、かつ切欠を始点として手で引き裂ける性質を有している。
【0075】
前記切欠100gまたは100hを始点として相対向するシート100bおよび100cを重ねて引き裂いて分離された状態を想像図で示す。
実施形態3のチャック付き袋体100は、チャック付き袋体100から固着部100dを主とする部分が取り除かれているAを付した袋体が、実施形態1-1または実施形態1-2または実施形態1-3または実施形態2または実施形態3に示すチャック付き袋体となるチャック付き袋体である。なお、図15に示すチャック付き袋体100は内容物を収納していて、前記各実施形態のチャックを閉じて開口部を全閉にした状態にある。
【符号の説明】
【0076】
1 チャック付き袋体
2 袋本体
2a 相対向するシート
2b 相対向するシート
2c 開口部
3 チャック
3a 突条
3b 凹条
4 案内シート片
4a 基端部
4b 先端部
4e 表面
4f 裏面
5 固着部
11 チャック付き袋体
41 案内シート片
12 チャック付き袋体
13 チャック付き袋体
43 案内シート片
43c1 側端部
43d1 側端部
10 チャック付き袋体
40 案内シート片
50 固着部
100 チャック付き袋体
100d 固着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15