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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046729
(43)【公開日】2024-04-04
(54)【発明の名称】方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/30 20060101AFI20240328BHJP
   B01J 20/24 20060101ALI20240328BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20240328BHJP
   C12N 11/12 20060101ALI20240328BHJP
   C12R 1/01 20060101ALN20240328BHJP
   C12R 1/125 20060101ALN20240328BHJP
   C12R 1/385 20060101ALN20240328BHJP
   C12R 1/40 20060101ALN20240328BHJP
【FI】
B01J20/30
B01J20/24 C
C12N1/20 D
C12N1/20 F
C12N11/12
C12R1:01
C12R1:125
C12R1:385
C12R1:40
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022207311
(22)【出願日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】2022902760
(32)【優先日】2022-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】522500402
【氏名又は名称】エンレテック テクノロジーズ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー モザック
(72)【発明者】
【氏名】オンダー キミョン
【テーマコード(参考)】
4B033
4B065
4G066
【Fターム(参考)】
4B033NA02
4B033NA12
4B033NB02
4B033NB14
4B033NB45
4B033ND04
4B033ND20
4B065AA19X
4B065AA42X
4B065AA44X
4B065AC20
4B065BA30
4B065CA46
4B065CA54
4B065CA56
4G066AA16D
4G066AA34D
4G066AA47D
4G066AB29D
4G066AC02B
4G066BA09
4G066BA17
4G066CA01
4G066CA05
4G066CA10
4G066DA20
4G066FA02
4G066FA17
4G066FA37
(57)【要約】      (修正有)
【課題】炭化水素ベースおよび水性ベースの汚染物質の吸収のための吸収剤を製造する方法を提供する。
【解決手段】製造する方法は、酸性化綿粉を提供することを含む。酸性化綿粉は、典型的には、綿の加工からの廃棄物である。該方法はまた、酸性化綿粉を、該酸性化綿粉を中和するのに十分な量の中和剤と組み合わせることを含む。中和剤は、いったんそれが酸性化綿粉を中和したときに、その副産物が、得られる吸収剤の一部を適切に形成し得るように選択することができる。例えば、中和剤は、アルカリ金属塩またはMgOなどのアルカリ土類金属塩であり得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.酸性化綿粉を提供すること;
b.該酸性化綿粉を、該酸性化綿粉を中和するのに十分な量の中和剤と組み合わせること
の工程を含む、炭化水素ベースおよび水性ベースの汚染物質の吸収のための吸収剤を製造する方法。
【請求項2】
中和剤を、いったんそれが酸性化綿粉を中和したときに、その副産物が、得られる吸収剤の一部を形成するのに適しているように選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
中和剤が、アルカリ金属塩またはMgOなどのアルカリ土類金属塩を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
中和剤が、水を適用することによって反応するMgOを含む鉱物粉末である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
MgOを含む鉱物粉末が、反応性のか焼したテクニカルグレードのMgOを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
酸性化綿粉を、綿くずを、該綿くずを粉塵に変換する条件下で酸で処理することによって製造する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
酸がガスである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
酸がHClまたは硫酸である、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
か焼したテクニカルグレードのMgOが、少なくとも95% MgO w/w%、典型的には少なくとも96%、より典型的には少なくとも97%w/w%を含む組成物である、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
か焼したテクニカルグレードのMgOが、3~8ミクロンの平均粒子径を有する、請求項5~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
MgOを、綿粉1kgあたり2~6重量%の範囲のMgOの量で適用する、請求項3~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
1つまたは複数の微生物株を吸収剤中に導入する工程をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
1つまたは複数の微生物株が1つまたは複数の細菌株である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
1つまたは複数の微生物株が細菌株のコンソーシアムである、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
1つまたは複数の微生物株が、種:緑膿菌、枯草菌、スフィンゴビウム・ヤノイクヤエ、フェニルバクテリウム属の種、およびオクロバクトラム・インターメディウムのそれぞれ由来の少なくとも1つの細菌株を含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
吸収剤中に導入する1つまたは複数の微生物株が、種:緑膿菌、枯草菌、スフィンゴビウム・ヤノイクヤエ、フェニロバクテリウム属の種、オクロバクトラム・インターメディウム、ブドウ球菌属の種、バークホルデリア・ラタ、ステノトロホモナス・マルトフィリア、クレブシエラ属の種、パエニバシラス・ポリミキサ、シュードモナス・ヴェロニ、デルフティア・ラクストリス、バークホルデリア・セパシア、バチルス・ベレゼンシス、およびシュードモナス・プチダのそれぞれ由来の少なくとも1つの細菌株を含む、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において開示されるのは、炭化水素ベースおよび水性ベースの汚染物質の吸収における使用のための吸収剤を製造する方法である。該吸収剤は、排他的ではないが、汚染された土壌、海辺、地面等の処理において、特に使用される。
【背景技術】
【0002】
ガソリン、ディーゼル、およびオイルなどの炭化水素ベースの製品、並びに塗料および殺虫剤などの他の汚染物質製品の広範な使用は、偶発的な漏出、不法投棄またはそのような製品の持続不可能な管理のいずれかを通して、土壌および自然環境の汚染につながっている。そのような製品による場所の汚染は、健康への重大な懸念を作り出し、並びに自然の生態系に広範な損害を引き起こす。
【0003】
結果として、汚染された場所の修復は、土地管理の実行において重要な要素となっている。この点について、ガソリン、ディーゼル、オイル、塗料、および殺虫剤などの汚染物質の、土壌、海辺および他の土地領域からの除去は、より健康的でより住みやすい場所に、直接貢献する。例えば、土壌中の汚染物質の除去は、水路および埋め立て地中への汚染物質の浸出の防止によって、きれいな水および衛生に直接貢献する。修復を介して土壌の質を高めることは、より良い品質の食品および農産物の普及に貢献する。
【0004】
修復および漏出浄化製品は、典型的には、汚染物質を吸収するための吸収剤を含有する。カオリン、粘土、活性炭、セルロースおよび泥炭を含む、さまざまな種類の吸収剤が、修復/漏出浄化製品において使用されている。しかしながら、修復/漏出浄化製品がしばしば必要とされる規模は、吸収剤のコストが法外であり得ることを意味する。
【0005】
より最近は、バイオレメディエーションが、汚染された場所、特に炭化水素ベースの汚染物質で汚染された場所を処理するのに、ますます使用されている。バイオレメディエーションは、汚染物質を吸収、分解および/または代謝して、より安全でより環境的にダメージの少ない化合物にすることができる、微生物を使用することを含む。バイオレメディエーションは、持続可能であり、生態系への影響がより少なく、多くの場合安価で、スケールアップ可能であり、汚染物質の破壊を通して恒久的な解決策を提供する。
【0006】
しかしながら、汚染された場所の環境は、過酷であり、一般的には、微生物の活動を支援するものではない。結果として、汚染された場所におけるバイオレメディエーション中に微生物の活動および/または微生物の数を維持することは、困難であり得る。さらに、バイオレメディエーション中に微生物の集団を支援するのに適している可能性のある栄養製剤は、特にバイオレメディエーションが持続可能なように効果的であるために必要とされる規模では、信頼性が高くない。
【0007】
必要とされているのは、特にバイオレメディエーションにおいて、環境修復に適した、費用対効果の高い形で、大規模に製造することができる製品である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、バイオレメディエーションにおける使用のために経済的に実行可能な規模で、微生物の活動を効果的に支援する吸収剤を製造する方法を開発した。該方法によって製造される吸収剤はまた、汚染物質を封じ込めることを確実にし、バイオレメディエーションから望ましい結果を達成するための時間、コストおよびリスクを低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様は、
a.酸性化綿粉を提供すること;
b.該酸性化綿粉を、該酸性化綿粉を中和するのに十分な量の中和剤と組み合わせること
の工程を含む、炭化水素ベースおよび水性ベースの汚染物質の吸収のための吸収剤を製造する方法を提供する。
【0010】
第2の態様は、
a.酸性化綿粉を提供すること;
b.該酸性化綿粉を、該酸性化綿粉を中和するのに十分な量の中和剤と組み合わせて、吸収剤を製造すること;
c.1つまたは複数の微生物株を該吸収剤中に導入すること
の工程を含む、炭化水素ベースおよび水性ベースの汚染物質の吸収および低下のためのバイオレメディエーション製品を製造する方法を提供する。
【0011】
第3の態様は、
a.酸性化綿粉を提供すること;
b.該酸性化綿粉を、該酸性化綿粉を中和するのに十分な量の酸化マグネシウムと組み合わせて、吸収剤を製造すること
の工程を含む、炭化水素ベースおよび水性ベースの汚染物質の吸収のための吸収剤を製造する方法を提供する。
第3の態様の方法は、
c.1つまたは複数の微生物株を該吸収剤中に導入すること
の工程をさらに含み得る。
【0012】
本発明者らは、驚くべきことに、中和された綿粉が、それ自体で汚染物質吸収剤として作用し得るが、さらにバイオレメディエーション型の微生物の適切な担体としても作用し得ることを発見した(例えば、それらが、それらが汚染された場所のしばしば過酷な環境で生き残り、繁栄するように、多くの障壁を克服することを可能にすることによって)。さらに、本発明者らは、綿粉が、微生物がこれらの汚染物質を迅速に低下させることにおいてより効果的であるように、炭化水素を引き付け、該微生物を支援するホストとして作用することを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本方法の特定の実施態様の非限定的な例を、図1を参照することを含めて、ここで説明する。
図1図1は、本明細書において記載する方法の実施態様を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一つの実施態様においては、
a.酸性化綿粉を提供すること;
b.該酸性化綿粉を、該酸性化綿粉を中和するのに十分な量の中和剤と組み合わせること
の工程を含む、炭化水素ベースおよび水性ベースの汚染物質の吸収のための吸収剤を製造する方法を提供する。
【0015】
本明細書において使用する酸性化綿粉は、酸性化綿くずと同じ意味を有する。綿くずは、非常に短い繊維であり、典型的には、綿繰り処理後に綿実上に残る繊維である。綿くずは、(くずでコーティングされた)綿実を酸で処理して酸性化綿くずおよびくずを取った綿実を製造することにより、種子から取り出す。
【0016】
酸性化綿粉は、典型的には、綿の一部を粉塵に変換する条件下で酸で処理した任意の綿から産生し得る、廃棄物である。
【0017】
一つの実施態様においては、処理酸は、ガスである。一つの実施態様においては、酸は、HCl、硫酸または硝酸である。一つの実施態様においては、酸は、HClまたは硫酸である。一つの実施態様においては、酸は、HClである。一つの実施態様においては、酸は、硫酸である。一つの実施態様においては、酸は、硝酸である。
【0018】
一つの実施態様においては、酸性化綿粉は、綿くずを粉塵に変換する条件下で綿くずを酸で処理することによって、製造する。例えば、植付け用の綿実を調製するときに、綿実の表面上の綿くずを酸で処理して、くずを取り外し得る。そのような、綿実のくずを取ることから製造した酸性化綿粉は、本明細書において記載する方法の原料を形成し得る。すなわち、通常は、植付け用の綿実の調製中に産生する廃棄物である、酸性化綿粉が、本明細書において記載する方法においては、有利な用途を見出し得る。酸性化綿粉は、綿産業の廃棄物であるため、それは、大量に経済的に得ることができ、該方法はまた、酸性化綿粉を廃棄する必要性を低下させる。
【0019】
酸性化綿粉と組み合わせる中和剤は、粉末、微粒子、または溶液であり得る。一つの実施態様においては、中和剤は、粉末または微粒子である。そのような実施態様においては、中和は、酸性化綿粉および粉末または微粒子の組合せに水を適用することによって達成される。
【0020】
中和剤は、いったんそれが酸性化綿粉を中和したときに、その副産物が、得られる吸収剤の一部を形成するのに適しているように選択し得る。例えば、その副産物は、環境に優しい、中立的または有益でさえあり得る。
【0021】
環境に有害ではなく、細菌の増殖および/または代謝に有益な中和剤を選択する際に、本発明者らは、微生物の活動が、保持されるかまたは刺激さえされ得ることを見出した。
【0022】
一つの実施態様においては、中和剤は、微生物の生存に有益な金属を含む。一つの実施態様においては、金属は、アルカリ土類金属またはアルカリ金属である。一つの実施態様においては、金属は、マグネシウム、カルシウムおよびナトリウムから選択される。一つの実施態様においては、中和剤は、MgO、NaOH、CaO、Mg(OH)、CaCO、Ca(OH)、またはMgCOなどの金属塩を含む。中和剤は、そのような塩の2つ以上の組合せを含み得る。
【0023】
一つの実施態様においては、中和剤は、MgOを含む。
【0024】
オーストラリア特許第687186号は、硫酸で酸性化した綿を中和するためのアンモニア(NH)の使用が、硫酸アンモニウムを含有する吸収剤をもたらすことを記載する。しかしながら、無水アンモニアは、有毒で、腐食性で、可燃性の危険なガスである。無水アンモニアを吸い込むことの影響は、肺への刺激から重度の呼吸器損傷にまで及び、より高い濃度では死亡の可能性がある。無水アンモニアはまた、皮膚、目および肺に対して腐食性でもある。従って、大量のアンモニアの使用は、特別な取扱いおよび保管条件を必要とする。
【0025】
本明細書において記載するように、本発明者らは、アンモニアとは対照的に、MgOなどのアルカリ土類金属塩および/またはアルカリ金属塩が、より安全で、保管および取扱いがより容易であり、高い中和能力を有することを見出した。重要なことに、本発明者らは、吸収剤の製造(production)(すなわち、製造(manufacture))中に形成される大部分のマグネシウム塩が、容易に水に溶け、すなわち、引き続くスラッジ処理の問題なく、迅速で、きれいで効率的な中和操作を確実にすることを見出した。
【0026】
本明細書において開示する吸収剤製品において産生するマグネシウム塩が、環境に悪影響を与えず、また、産生する吸収剤が、バイオレメディエーション適用において微生物の支援を強化することが見出された。この点については、実施例において記載するように、本明細書において記載する方法によって製造した吸収剤の使用は、
- 1000倍を超える、土壌細菌量における増加;
- 有益な細菌における増加を促進するための、多数の常在菌を有する環境内における、導入した細菌株の確立;
- 土壌デヒドロゲナーゼ酵素活性における、汚染されていない土壌において検出されるレベルまでの増強;
- 炭化水素(C6-C40からの炭化水素鎖長、BTEXおよびナフタレン3)の迅速な分解;
- 土壌の改善された保水能力;
- 微生物の活動にとって理想的なレベル内の維持されたpH;
をもたらす。
【0027】
理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、綿からのセルロースおよび中和剤の陽イオンの組合せが、過酷な汚染環境での微生物の活動を支援するのに役立つと信じる。
【0028】
典型的には、MgOは、粉末として酸性化綿に添加し、これらは、酸性化綿とMgO粉末との組合せに水を適用することによって反応する。
【0029】
一つの実施態様においては、粉末は、MgOを含む鉱物粉末である。一つの実施態様においては、MgOを含む鉱物粉末は、反応性のか焼した(calcined)テクニカルグレードのMgOを含む。
【0030】
一つの実施態様においては、か焼したテクニカルグレードのMgOは、少なくとも95% MgO w/w%、典型的には少なくとも96%、より典型的には少なくとも97%w/w%を含む組成物である。
【0031】
一つの実施態様においては、か焼したテクニカルグレードのMgOは、3~8ミクロンの平均粒子径を有する。本発明者らは、3~8ミクロンの平均粒子径が、改善された中和を提供することを見出した。
【0032】
一つの実施態様においては、MgOは、酸性化綿粉1kgあたり1~10重量%、2~9重量%、2~8重量%、2~7重量%、または2~6重量%の範囲のMgOの量で適用する。典型的には、MgOは、綿粉1kgあたり2~6重量%の範囲のMgOの量で適用する。
【0033】
一つの実施態様においては、か焼したテクニカルグレードのMgOは、MgO、CaO、SiO、Fe、およびAlを含む。
【0034】
一つの実施態様においては、か焼したテクニカルグレードのMgOは、3~8ミクロンの平均粒子径を有する、MgO、CaO、SiO、Fe、およびAlを含む。
【0035】
一つの実施態様においては、か焼したテクニカルグレードのMgOは、表1に記載する成分および特性を有する。
【0036】
【表1】
【0037】
一つの実施態様においては、本方法はさらに、1つまたは複数の微生物株を吸収剤に導入する工程を含む。
【0038】
本明細書において使用する、1つまたは複数の微生物株を吸収剤に導入することは、該吸収剤に固有のまたは本来関連する任意の微生物株に加えて、1つまたは複数の微生物株を該吸収剤に添加することを指す。いくつかの実施態様においては、1つまたは複数の微生物株は、それらが吸収剤に本来関連しない種であるという点で、該吸収剤にとって外因性の種由来である。いくつかの実施態様においては、1つまたは複数の微生物株は、それらが吸収剤に本来関連する種由来であるが、該吸収剤においてすでに自然発生している微生物群に加えて添加されるという点で、該吸収剤に固有の種由来である。いくつかの実施態様においては、1つまたは複数の微生物株は、外因性のおよび固有の種由来の株の混合物を含む。導入した株は、吸収剤とブレンドするか、さもなければ混合し得る。
【0039】
本発明者らは、多数の常在菌を有する環境内における、導入した微生物株、典型的には導入した細菌株の確立が、有益な細菌における増加を促進することを見出した。
【0040】
典型的には、1つまたは複数の微生物株の少なくとも1つは、炭化水素ベースの汚染物質中の1つまたは複数の炭化水素を利用することができる。
【0041】
一つの実施態様においては、1つまたは複数の微生物株は、細菌株である。
10
【0042】
一つの実施態様においては、1つまたは複数の微生物株は、細菌株のコンソーシアムである。
【0043】
典型的には、細菌株は、含油植物に本来関連する、典型的な細菌株である。含油植物の例は、綿、落花生、米、とうもろこし、および大豆を含む。
【0044】
一つの実施態様においては、吸収剤中に導入する1つまたは複数の細菌株は、緑膿菌、枯草菌、スフィンゴビウム・ヤノイクヤエ、フェニロバクテリウム属の種、およびオクロバクトラム・インターメディウムから選択される少なくとも1種由来の、典型的には少なくとも2、3、4、または5種由来の1つまたは複数の株を含む。
【0045】
一つの実施態様においては、吸収剤中に導入する1つまたは複数の細菌株は、緑膿菌、枯草菌、スフィンゴビウム・ヤノイクヤエ、フェニロバクテリウム属の種、オクロバクトラム・インターメディウム、ブドウ球菌属の種、バークホルデリア・ラタ、ステノトロホモナス・マルトフィリア、クレブシエラ属の種、パエニバシラス・ポリミキサ、シュードモナス・ヴェロニ、デルフティア・ラクストリス、バークホルデリア・セパシア、バチルス・ベレゼンシス、およびシュードモナス・プチダから選択される少なくとも1種由来の、典型的には少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15種由来の1つまたは複数の株を含む。
【0046】
一つの実施態様においては、吸収剤中に導入する1つまたは複数の細菌株は、種:緑膿菌、枯草菌、スフィンゴビウム・ヤノイクヤエ、フェニロバクテリウム属の種、およびオクロバクトラム・インターメディウムのそれぞれ由来の少なくとも1つの株を含む。
【0047】
一つの実施態様においては、吸収剤中に導入する1つまたは複数の細菌株は、種:緑膿菌、枯草菌、スフィンゴビウム・ヤノイクヤエ、フェニロバクテリウム属の種、オクロバクトラム・インターメディウム、ブドウ球菌属の種、バークホルデリア・ラタ、ステノトロホモナス・マルトフィリア、クレブシエラ属の種、パエニバシラス・ポリミキサ、シュードモナス・ヴェロニ、デルフティア・ラクストリス、バークホルデリア・セパシア、バチルス・ベレゼンシス、およびシュードモナス・プチダのそれぞれ由来の少なくとも1つの株を含む。
【0048】
以下の特許請求の範囲においてはおよび先行する説明においては、明示的な文言または必然的な暗黙によって文脈がそれとは違った風に求める場合を除き、単語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変形は、包括的な意味で、すなわち、記載する特徴の存在を明記するが、本方法のさまざまな実施態様におけるさらなる特徴の存在または追加を排除しないように、使用される。
【実施例0049】
図1は、バイオレメディエーション製品を製造する工程を示す図である。この方法において、綿繰りによる種子からの綿の除去によって製造される毛羽立った綿実は、綿くずの原料である。毛羽立った綿実を、高温のオーブン中で加熱して、長いくず繊維を取り除く。しかしながら、長いくず繊維を取り除くために綿加工産業において使用される任意の方法を使用して、長いくず繊維を取り除き得ることは、当業者によって認識されるであろう。
【0050】
残りの短い繊維を有する綿実を、濃HClガスで処理して、1未満のpHを有する酸性化綿粉をもたらす。
【0051】
酸性化綿粉は、さまざまな綿加工工場から商業的に入手し得る。
【0052】
酸性化綿粉を、次いで、MgOを含む中和剤とブレンドし、中和効果を生み出すのに十分な、少量の水を添加する。これは、5を超えるpHを有する吸収剤の産生をもたらす。得られた吸収剤は、すぐに流通できる製品として包装し得る。
【0053】
任意に、吸収剤を、引き続き、包装用の製品を製造するために細かい木材繊維とブレンドする。
【0054】
さらに、吸収剤は、引き続き、緑膿菌、枯草菌、スフィンゴビウム・ヤノイクヤエ、フェニロバクテリウム属の種、オクロバクトラム・インターメディウム、ブドウ球菌属の種、バークホルデリア・ラタ、ステノトロホモナス・マルトフィリア、クレブシエラ属の種、パエニバシラス・ポリミキサ、シュードモナス・ヴェロニ、デルフティア・ラクストリス、バークホルデリア・セパシア、バチルス・ベレゼンシス、およびシュードモナス・プチダを含む細菌のコンソーシアムとブレンドし得る。
【0055】
硝酸アンモニウムまたは他の窒素源などの栄養素をこの段階で加えて、細菌の支援を助ける。
【0056】
得られるバイオレメディエーション製品を、次いで、すぐに流通できるように包装する。
【0057】
本明細書に開示する方法の精神および範囲から逸脱することなく、多くの修正をなし得ることは、当業者に理解されるであろう。
図1
【外国語明細書】